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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023121302
(43)【公開日】2023-08-31
(54)【発明の名称】ガス残量管理システム
(51)【国際特許分類】
   G08C 15/00 20060101AFI20230824BHJP
   G06Q 50/06 20120101ALI20230824BHJP
   F17C 13/02 20060101ALI20230824BHJP
【FI】
G08C15/00 B
G08C15/00 D
G06Q50/06
F17C13/02 301A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022024563
(22)【出願日】2022-02-21
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山下 真純
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 崇士
(72)【発明者】
【氏名】白澤 忠徳
【テーマコード(参考)】
2F073
3E172
5L049
【Fターム(参考)】
2F073AA03
2F073AA04
2F073AA08
2F073AB01
2F073BB01
2F073BB07
2F073BB09
2F073BC02
2F073CC03
2F073CC08
2F073CC09
2F073CC12
2F073CD11
2F073DD06
2F073DE08
2F073DE13
2F073DE16
2F073EE01
2F073FF01
2F073FF15
2F073FG01
2F073FG02
2F073GG01
2F073GG09
3E172AA02
3E172AA05
3E172AB05
3E172BA01
3E172BB12
3E172BB13
3E172BB17
3E172BD05
3E172DA87
3E172KA03
3E172KA21
5L049CC06
(57)【要約】
【課題】需要家宅において突発的なガス消費が生じた場合にガス切れが起き難いガス残量管理システムを提供する。
【解決手段】ガス残量管理システムは、1又は複数の需要家宅に設置されたガス容器からガス機器に流れるガスを計測する流量計測部と、前記流量計測部による計測結果に基づき前記ガス容器におけるガスの残量を算出する残量算出部と、前記残量算出部による算出結果に基づき前記ガス容器の交換時期を前記需要家宅ごとに推定する交換時期推定部と、前記需要家宅においてガス使用想定条件を超えるガスの使用量が前記流量計測部により計測された際に報知を行う報知部とを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1又は複数の需要家宅に設置されたガス容器からガス機器に流れるガスを計測する流量計測部と、
前記流量計測部による計測結果に基づき前記ガス容器におけるガスの残量を算出する残量算出部と、
前記残量算出部による算出結果に基づき前記ガス容器の交換時期を前記需要家宅ごとに推定する交換時期推定部と、
前記需要家宅においてガス使用想定条件を超えるガスの使用量が前記流量計測部により計測された際に報知を行う報知部と、を備える、ガス残量管理システム。
【請求項2】
前記残量算出部は、前記流量計測部に対応する前記需要家宅ごとに付与されるガス容器設置情報に基づき、一つの前記流量計測部から得られる計測結果から前記ガスの残量を算出し、又は、複数の前記流量計測部から得られる計測結果の総和から前記ガスの残量を算出する、請求項1に記載のガス残量管理システム。
【請求項3】
前記ガスの産気率を日付に対応させて記憶する記憶部をさらに備え、
前記残量算出部は、前記流量計測部による計測結果が得られた日付に対応する前記産気率を用いて前記ガスの残量を算出する、請求項1又は2に記載のガス残量管理システム。
【請求項4】
前記記憶部は、前記産気率を地域に対応させて記憶し、
前記残量算出部は、前記需要家宅の地域に対応する前記産気率を用いて前記ガスの残量を算出する、請求項3に記載のガス残量管理システム。
【請求項5】
前記残量算出部は、
前記流量計測部による計測結果に基づき所定期間における前記ガスの使用量の平均値を前記需要家宅ごとに算出し、
前記平均値に基づき前記所定期間終了後における前記ガスの将来的な使用量を前記需要家宅ごとに推定すると共に、前記所定期間終了後における前記ガス容器内のガスの将来的な残量を前記需要家宅ごとに推定する、請求項1乃至4の何れか1項に記載のガス残量管理システム。
【請求項6】
前記残量算出部は、人工知能機能を有し、所定期間における前記流量計測部による計測結果に基づき、前記所定期間終了後における前記ガスの将来的な使用量を前記需要家宅ごとに前記人工知能機能により推定し、かつ前記所定期間終了後における前記ガス容器内のガスの将来的な残量を前記需要家宅ごとに前記人工知能機能により推定する、請求項1乃至5の何れか1項に記載のガス残量管理システム。
【請求項7】
前記交換時期推定部は、前記需要家宅における前記ガスの1日の使用量の実績値を基に定められた閾値を用い、前記残量算出部により算出された前記ガス容器におけるガスの残量が前記閾値未満になる時期を前記ガス容器の交換時期として推定する、請求項1乃至6の何れか1項に記載のガス残量管理システム。
【請求項8】
前記報知部は、前記ガス使用想定条件として所定期間における前記需要家宅のガスの使用量の平均値を用いる、請求項1乃至7の何れか1項に記載のガス残量管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス残量管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ガス容器内のガスの残量を管理するシステムがある。例えば特許文献1には、ガス供給源からの検針情報に基づき、当該ガス供給源における1日当りのガス平均使用量を算出し、交換後ガス残量および上記ガス平均使用量に基づきガス容器の交換時期を予測することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-074571号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の技術では、突発的なガス消費が生じた場合にガス切れが起きる可能性が高いという課題があった。
【0005】
そこで、本発明は、需要家宅において突発的なガス消費が生じた場合にガス切れが起き難いガス残量管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のガス残量管理システムは、1又は複数の需要家宅に設置されたガス容器からガス機器に流れるガスを計測する流量計測部と、前記流量計測部による計測結果に基づき前記ガス容器におけるガスの残量を算出する残量算出部と、前記残量算出部による算出結果に基づき前記ガス容器の交換時期を前記需要家宅ごとに推定する交換時期推定部と、前記需要家宅においてガス使用想定条件を超えるガスの使用量が前記流量計測部により計測された際に報知を行う報知部と、を備えるものである。
【0007】
本発明に従えば、交換時期推定部によってガス容器の交換時期が需要家宅ごとに推定される。そして、需要家宅においてガス使用想定条件を超えるガスの使用量が計測された際、つまり需要家宅において突発的なガス消費が生じた際に、報知部による報知が行われる。これにより、事業者はガス容器の交換を前倒しで行う等の対応を執ることが可能となる。これによって、需要家宅において突発的なガス消費が生じた場合にガス切れが起き難くなる。
【0008】
上記発明において、前記残量算出部は、前記流量計測部に対応する前記需要家宅ごとに付与されるガス容器設置情報に基づき、一つの前記流量計測部から得られる計測結果から前記ガスの残量を算出し、又は、複数の前記流量計測部から得られる計測結果の総和から前記ガスの残量を算出してもよい。
【0009】
上記構成に従えば、一つのガス容器が一つの需要家宅に対応して設けられている場合にガスの残量を算出することができるだけでなく、一つのガス容器が複数の需要家宅に対応して設けられている場合にも計測結果の総和からガスの残量を算出することができる。
【0010】
上記発明において、ガス残量管理システムは、前記ガスの産気率を日付に対応させて記憶する記憶部をさらに備え、前記残量算出部は、前記流量計測部による計測結果が得られた日付に対応する前記産気率を用いて前記ガスの残量を算出してもよい。
【0011】
上記構成に従えば、季節に基づく日付に応じて変わり得る産気率を用いるので、得られるガスの残量情報の信頼性を高めることができる。
【0012】
上記発明において、前記記憶部は、前記産気率を地域に対応させて記憶し、前記残量算出部は、前記需要家宅の地域に対応する前記産気率を用いて前記ガスの残量を算出してもよい。
【0013】
上記構成に従えば、需要家宅の所在地域に応じて変わり得る産気率を用いるので、得られるガスの残量情報の信頼性をより高めることができる。
【0014】
上記発明において、前記残量算出部は、前記流量計測部による計測結果に基づき所定期間における前記ガスの使用量の平均値を前記需要家宅ごとに算出し、前記平均値に基づき前記所定期間終了後における前記ガスの将来的な使用量を前記需要家宅ごとに推定すると共に、前記所定期間終了後における前記ガス容器内のガスの将来的な残量を前記需要家宅ごとに推定してもよい。
【0015】
上記構成に従えば、所定期間終了後におけるガスの将来的な使用量および所定期間終了後におけるガス容器内のガスの将来的な残量を、所定期間におけるガスの使用傾向に基づき推定することができる。これによって、信頼性の高いガスの将来的な使用量の推定結果およびガスの将来的な残量の推定結果を得ることができる。
【0016】
上記発明において、前記残量算出部は、人工知能機能を有し、所定期間における前記流量計測部による計測結果に基づき、前記所定期間終了後における前記ガスの将来的な使用量を前記需要家宅ごとに前記人工知能機能により推定し、かつ前記所定期間終了後における前記ガス容器内のガスの将来的な残量を前記需要家宅ごとに前記人工知能機能により推定してもよい。
【0017】
上記構成に従えば、人工知能を用いるので、ガスの将来的な使用量の推定結果およびガスの将来的な残量の推定結果の信頼性を向上することができる。
【0018】
上記発明において、前記交換時期推定部は、前記需要家宅における前記ガスの1日の使用量の実績値を基に定められた閾値を用い、前記残量算出部により算出された前記ガス容器におけるガスの残量が前記閾値未満になる時期を前記ガス容器の交換時期として推定してもよい。
【0019】
ガスの残量がガス容器の容積の例えば10%に達する時期を一律に交換時期とする場合には、需要家宅において突発的なガス消費が生じた場合にガス切れが起き易くなる。これに対して、上記構成に従えば、ガスの1日の使用量の実績値に基づく閾値を用いて交換時期を推定するため、需要家宅において突発的なガス消費が生じた場合にガス切れが起こり難い。
【0020】
上記発明において、前記報知部は、前記ガス使用想定条件として所定期間における前記需要家宅のガスの使用量の平均値を用いてもよい。
【0021】
上記構成に従えば、報知部は需要家宅における突発的なガス消費を検知し易くなる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、需要家宅において突発的なガス消費が生じた場合にガス切れが起き難いガス残量管理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本実施形態に係るガス残量管理システムを示すブロック図である。
図2図1のガス残量管理システムにおける需要家宅およびセンターサーバの詳細な構成を示すブロック図である。
図3】ガス使用想定条件を示す想定条件テーブルの図である。
図4】一つのガス容器に対して複数の需要家宅が対応付けられた態様を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態に係るガス残量管理システムについて図面を参照しながら説明する。以下に説明するガス残量管理システムは本発明の一実施形態に過ぎない。従って、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で追加、削除および変更が可能である。
【0025】
図1は本実施形態に係るガス残量管理システム100を示すブロック図であり、図2図1のガス残量管理システム100における需要家宅20およびセンターサーバ10の詳細な構成を示すブロック図である。
【0026】
図1に示すように、ガス残量管理システム100はセンターサーバ10および複数の需要家宅20を含む。なお、図1では4つの需要家宅20を例示しているが、ガス残量管理システム100において需要家宅20は3つ以下であってもよいし、或いは5つ以上であってもよい。
【0027】
図2に示すように、各需要家宅20には、2つのガス容器11と、切替器12と、ガスメータ13と、2つのガス機器14とが設けられる。ガスメータ13が流量計測部に相当する。需要家宅20の例としては、病院、学校、自治体施設、介護施設、一般家庭および商業施設等が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、ガスを使用し得る建物であればよい。
【0028】
ガス容器11はガスボンベとも呼ばれ、当該ガス容器11内にはLPガス(液化石油ガス)等のガスが充填されている。以下の説明では、LPガスを単にガスと記載する。切替器12は2つのガス容器11のうち一方のガス容器11内のガスが需要家宅20に供給されるようにガス供給路の切り替えを行う。これにより、2つのガス容器11のうち一方のガス容器11内でガス切れが生じても、他方のガス容器11内のガスがガス機器14に供給され得る。
【0029】
上記のガス切れを以下の通り定義する。本実施形態において、使用すべきガス容器11が切替器12により切り替えられれば、切り替えられる前まで使用していたガス容器11はガス切れの状態となっていることを意味する。この場合、切替器12はガス容器11内にかかる圧力の変化を検出してガス容器11を切り替える。具体的には、切替器12はガス容器11内に圧力をかけてガスを充填しており、当該ガスがなくなれば上記圧力が降下する。切替器12は上記圧力の変化を検出し、当該圧力が降下したタイミングでガス容器11を切り替える。したがって、切替器12により検出される圧力が降下することをもってガス切れと見做すことができる。また、ガス切れには、圧力が低下してガス機器14が使えなくなった際に手動でガス容器11を切り替えた場合も含まれる。さらに、ガス切れには、圧力だけでなく、例えば想定しているガス容量から使用ガス流量を減算して得られる残量が0又は0近傍の値になった場合も含まれる。これらの定義は2つのガス容器11のガス切れの各々に適用される。
【0030】
ガスメータ13は各ガス機器14に供給されるガスの流量を測定する。ガスメータ13は何らかの異常を検知したときにガス供給路を遮断部により遮断する等の措置を実行してもよい。
【0031】
ガスメータ13は通信部13aを有する。通信部13aはセンターサーバ10に対して無線により通信を行う機能を有する。通信部13aとセンターサーバ10との無線通信方式としては、例えばインターネットやLAN、又はLPWA(Low Power Wide Area)等の通信ネットワークを用いることができる。通信部13aは、需要家宅20におけるガスの使用量の情報を、使用された日付情報、当該需要家宅20を特定するIDおよび当該需要家宅20の所在地域情報と併せてセンターサーバ10に定期的に送信する。
【0032】
ガス機器14は、例えばガスコンロ、ガス給湯器、又はガスファンヒーター等であるが、これらに限定されるものではなく、ガスを消費する機器であればよい。
【0033】
本実施形態において、センターサーバ10は、残量算出部1と、交換時期推定部2と、報知部3と、記憶部4と、通信部5とを有する。センターサーバ10の上記構成要素のうち残量管理部1、交換時期推定部2および報知部3は、CPU(Central Processing Unit)とプログラムを記憶したメモリ(ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory))とを含むマイクロコントローラ、又は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等により機能的に実現される。また、記憶部4としては、各種メモリ又はハードディスク等を用いることができる。
【0034】
残量算出部1は、各需要家宅20のガスメータ13の通信部13aから送られてくるガスの使用量の計測結果を通信部5を介して定期的に受け取る。残量算出部1は、需要家宅20ごとに付与されるガス容器設置情報に基づき上記計測結果からガス容器11におけるガスの残量を算出する。上記のガス容器設置情報とは、1つのガス容器11に対応付けられた需要家宅20の戸数を示す情報である。図2では、2つのガス容器11が設けられてはいるが、1つのガス容器11に対応付けられた需要家宅20の戸数は1である。なお、1つのガス容器11に対応付けられた需要家宅20の戸数が複数である態様については後で述べる。
【0035】
本実施形態において、残量算出部1は人工知能1aを有する。残量算出部1は、所定期間におけるガスメータ13による計測結果に基づき、当該所定期間終了後におけるガスの将来的な使用量を需要家宅20ごとに人工知能1aにより推定する。この場合、所定日数におけるガスの平均使用量を算出し、算出した平均使用量を複数のグループの何れかに分類し、各グループに対応するロジック(演算式)に基づき上記ガスの将来的な使用量を需要家宅20ごとに推定することができる。そして、残量算出部1は、所定期間終了後におけるガス容器11内のガスの将来的な残量を需要家宅20ごとに人工知能1aにより推定する。この場合、所定日数におけるガスの平均残量を算出し、算出した平均残量を複数のグループの何れかに分類し、各グループに対応するロジック(演算式)に基づき上記ガスの将来的な残量を需要家宅20ごとに推定することができる。
【0036】
或いは、残量算出部1は、ガスメータ13による計測結果に基づき所定期間におけるガスの使用量の平均値を需要家宅20ごとに算出してもよい。例えば、残量算出部1は過去7日間におけるガスの使用量の累積値を7日間で除算することで上記平均値を算出することができる。そして、残量算出部1は、算出した平均値に基づいて所定期間終了後におけるガスの将来的な使用量を需要家宅20ごとに推定すると共に、所定期間終了後におけるガス容器11内のガスの将来的な残量を需要家宅20ごとに推定する。
【0037】
残量算出部1は、ガスの残量を算出する際に産気率を用いてもよい。この場合、残量算出部1は、計測結果を送信してくるガスメータ13に対応する需要家宅20の所在地域に対応する産気率や当該ガスメータ13による計測結果が得られた日付に対応する産気率を用いてガスの残量を算出する。これによって、算出により得られるガスの残量情報の信頼性をより高めることができる。なお、産気率の詳細については後述する。
【0038】
交換時期推定部2は、残量算出部1による算出結果に基づきガス容器11の交換時期を需要家宅20ごとに推定する。詳細には、交換時期推定部2は、残量算出部1により算出されたガスの残量が1日の使用量の実績値に基づき決められた閾値未満になる時期をガス容器の交換時期として決定する。1日の使用量の実績値として、例えば所定期間におけるガスの使用量の平均値を採用してもよい。また、交換時期推定部2は、上記交換時期の推定時期として例えばガス容器11におけるガスの残量が当該ガス容器11の容積の半分に達した時にガス容器11の交換時期を推定する。
【0039】
報知部3は、需要家宅20のガスメータ13により計測されたガスの使用量の情報を通信部5を介して受け取る。報知部3は、警告を報知するよう表示部又は音声装置等を制御するものであり、需要家宅20においてガス使用想定条件を超えるガスの使用量がガスメータ13により計測された際に、ガス容器11の交換を行う事業者に対してガス容器11の交換を促すための警告処理を行う。
【0040】
本実施形態におけるガス使用想定条件について説明する。ガス使用想定条件は需要家宅20ごとに定めることができ、想定条件テーブルTgとして記憶部4に予め記憶される。想定条件テーブルTgには、例えば、所定期間における需要家宅20のガスの使用量の平均値が記録される。以下、具体例について説明する。
【0041】
図3はガス使用想定条件を示す想定条件テーブルTgの図である。なお、図3の想定条件テーブルTgにおいては、3つの需要家宅20を各々識別すべく需要家宅A~Cと記載している。
【0042】
図3に示すように、需要家宅Aについてのガス使用想定条件として、例えば過去1週間におけるガスの使用量の平均値を用いることができる。需要家宅Bについてのガス使用想定条件として、例えば過去1ヶ月間におけるガスの使用量の平均値を用いることができる。また、需要家宅Cについてのガス使用想定条件としては、例えば過去3年間の同週におけるガスの使用量の平均値又は過去3年間の同程度の気温の日におけるガスの使用量の平均値を用いることができる。このように、ガスの使用がほぼ毎日認められる、例えば家族で構成されるような需要家宅Aについては、比較的短期間における平均値をガス使用想定条件として採用することができる。また、例えば泊り出張等に起因してほぼ毎日のガスの使用が認め難い、例えば単身者で構成されるような需要家宅Bについては、比較的中期間における平均値をガス使用想定条件として採用することができる。さらに、建物が例えば別荘であることに起因してガスの使用がほとんど認められないような需要家宅Cについては、過去数年間の所定シーズンにおける平均値、過去数年間の同程度の気温(例えば±5℃)の日における平均値、又は過去数年間の同じ天候の日における平均値等をガス使用想定条件として採用することができる。なお、これらのガス使用想定条件は例示であり、上記に限定されるものではない。
【0043】
記憶部4は、交換時期推定部2による交換時期の推定の際に用いられる上記閾値、上述の想定条件テーブルTg、および、ガスの産気率が記録されたテーブル等を記憶する。
【0044】
ガスの産気率は気温により変動し得る値であることから、例えば4つの地域ごとの産気率が記憶部4に記憶される。例えば、需要家宅20の所在地域が北海道、青森、岩手および秋田を含む第1地域である場合の産気率は4.69m/10kgである。需要家宅20の所在地域が宮城、山形、福島、新潟、富山および石川を含む第2地域である場合の産気率は4.78m/10kgである。また、需要家宅20の所在地域が沖縄を含む第3地域である場合の産気率は4.80m/10kgである。さらに、需要家宅20の所在地域が上記自治体以外の都道府県を含む第4地域である場合の産気率は4.82m/10kgである。
【0045】
記憶部4は、ガスの産気率を、上記の所在地域に加えて日付にも対応させて記憶してもよい。この場合、例えば、春における産気率、夏における産気率、秋における産気率、および冬における産気率が上述の第1乃至第4地域ごとに定められてもよい。これにより、各地域の産気率を季節に応じてさらに区分けすることができる。
【0046】
通信部5は、ガスメータ13の通信部13aから送信された、需要家宅20の所在地情報、当該需要家宅20を特定するIDおよびガスが使用された日付情報が付随されたガスの使用量の情報を定期的に受信する。
【0047】
図4は一つのガス容器11に対して複数の需要家宅20が対応付けられた態様を示すブロック図である。
【0048】
図4に示すように、一つのガス容器11に対して複数の需要家宅20Aのガスメータ13が対応付けられている。この場合、残量算出部1は、複数のガスメータ13から得られる計測結果の総和からガス容器11内のガスの残量を算出する。
【0049】
以上述べたように、本実施形態のガス残量管理システム100によれば、交換時期推定部2によってガス容器11の交換時期が需要家宅20ごとに推定される。そして、需要家宅20においてガス使用想定条件を超えるガスの使用量が計測された際、つまり需要家宅20において突発的なガス消費が生じた際に、報知部3による報知が行われる。これにより、事業者はガス容器11の交換を前倒しで行う等の対応を執ることが可能となる。このことによって、需要家宅20において突発的なガス消費が生じた場合にガス切れが起き難くなる。
【0050】
(変形例)
本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。例えば以下の通りである。
【0051】
上記実施形態では、ガス残量管理システム100をガスメータ13およびセンターサーバ10を含む技術概念として説明したが、これに限定されるものではない。ガス残量管理システム100をガスメータ13単体に設けるシステムにすることも可能である。
【0052】
また、上記実施形態では、残量算出部1、交換時期推定部2、および報知部3をセンターサーバ10に設ける態様としたが、これに限定されるものではない。残量算出部1、交換時期推定部2、および報知部3をガスメータ13に設けて、センターサーバ10は報知内容を出力する機能を有する態様でもよい。
【0053】
また、上記実施形態では、ガス使用想定条件として所定期間における需要家宅20のガスの使用量の平均値を定めたが、これに限られるものではない。ガス使用想定条件の他の例として、例えば同じ所在地域における複数の需要家宅20の所定期間におけるガスの使用量の平均値などが挙げられる。
【0054】
また、上記実施形態では、残量算出部1に人工知能1aを設けたが、残量算出部1においてガスの残量を算出することができればよく、当該人工知能1aについては必須の構成要素ではない。
【0055】
また、上記実施形態では、各需要家宅20について2つのガス容器11および2つのガス機器14を例示したが、これに限定されるものではなく、ガス容器11は1つ又は3つ以上でもよく、ガス機器14も1つ又は3つ以上でもよい。
【0056】
さらに、上記実施形態では、ガス容器11にガスの一例としてのLPガス(液化石油ガス)を充填したが、これに限定されるものではなく、ガス容器11に酸素等の他のガスを充填してもよい。
【符号の説明】
【0057】
1 残量算出部
1a 人工知能
2 交換時期推定部
3 報知部
4 記憶部
5 通信部
10 センターサーバ
11 ガス容器
13 ガスメータ
13a 通信部
14 ガス機器
20,20A 需要家宅
100 ガス残量管理システム
図1
図2
図3
図4