(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023121314
(43)【公開日】2023-08-31
(54)【発明の名称】ビーズクッションソファ
(51)【国際特許分類】
A47C 27/00 20060101AFI20230824BHJP
【FI】
A47C27/00 Q
A47C27/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022024584
(22)【出願日】2022-02-21
(71)【出願人】
【識別番号】514210500
【氏名又は名称】ワンズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125645
【弁理士】
【氏名又は名称】是枝 洋介
(74)【代理人】
【識別番号】100145609
【弁理士】
【氏名又は名称】楠屋 宏行
(74)【代理人】
【識別番号】100149490
【弁理士】
【氏名又は名称】羽柴 拓司
(72)【発明者】
【氏名】高橋 太三郎
【テーマコード(参考)】
3B096
【Fターム(参考)】
3B096AA03
3B096AB01
3B096AD07
(57)【要約】
【課題】座面部分及び背当て部分を安定的に形成することができるビーズクッションソファを提供する。
【解決手段】
本ビーズクッションソファは、伸縮性素材の布地で構成され、ビーズが充填された内袋体1と、伸縮性素材の布地11で構成され、前記内袋体を密着して収容する外袋体とを備えている。内袋体1は、矩形状をなし、その中央部領域において上下の布地11を縫合したキルティング部12が縦方向に複数形成されており、そのキルティング部12の一端から内袋体1の縦方向の一端までの第1非キルティング部の長さb1が、キルティング部12の他端から内袋体1の縦方向の他端までの第2非キルティング部の長さb2よりも大きくなっている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
伸縮性素材の布地で構成され、ビーズが充填された内袋体と、
伸縮性素材の布地で構成され、前記内袋体を密着して収容する外袋体と
を備え、
前記内袋体は、矩形状をなし、その中央部領域において上下の前記布地を縫合したキルティング部が縦方向に複数形成されており、前記キルティング部の一端から前記内袋体の縦方向の一端までの第1非キルティング部の長さが、前記キルティング部の他端から前記内袋体の縦方向の他端までの第2非キルティング部の長さよりも大きい、
ビーズクッションソファ。
【請求項2】
前記キルティング部の長さは、前記第1非キルティング部の長さよりも大きい、
請求項1に記載のビーズクッションソファ。
【請求項3】
前記外袋体は、前記内袋体を収容するための開口部を有し、前記開口部の周囲には前記開口部を絞るための絞り紐が設けられ、前記内袋体を収容した状態で前記絞り紐により前記開口部が絞られることによって、前記内袋体を密着して収容する、
請求項1又は2に記載のビーズクッションソファ。
【請求項4】
前記外袋体の下側の前記布地の上面と前記内袋体の下側の前記布地の下面との間に配置され、前記内袋体に充填されたビーズの移動を抑制するシート状部
をさらに備える、
請求項1又は2に記載のビーズクッションソファ。
【請求項5】
前記外袋体は、前記内袋体を収容するための開口部を有し、前記開口部の周囲には前記開口部を絞るための絞り紐が設けられ、前記内袋体及び前記シート状部を収容した状態で前記絞り紐により前記開口部が絞られることによって、前記内袋体及び前記シート状部を密着して収容する、
請求項4に記載のビーズクッションソファ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒状の発泡プラスチックであるビーズが充填されたビーズクッションソファに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、第一袋生地、第二袋生地、及びこれらの第一袋生地と第二袋生地の周縁同士が掛け止められることにより得られるソファ袋体の内部に充填されるビーズを備え、第二袋生地が第一袋生地の中に包み込まれて縮小弾性袋を形成可能なビーズクッションソファが開示されている。このビーズクッションソファの場合、第二袋生地による縮小弾性袋が使用者の身体姿勢の変化に応じて弾性変形することにより、使用者の身体姿勢に応じた形状を容易に得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ソファとしての使用を考慮した場合、ビーズクッションソファには座面部分及び背当て部分が必須になるところ、上記の従来のビーズクッションソファでは、使用者が身体姿勢を変化させるとそれに伴って座面部分及び背当て部分の形状が大きく変形してしまうため、安定した着座姿勢を保持することが困難になるという問題がある。
【0005】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、使用者の着座姿勢を安定させることができるビーズクッションソファを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一の態様のビーズクッションソファは、伸縮性素材の布地で構成され、ビーズが充填された内袋体と、伸縮性素材の布地で構成され、前記内袋体を密着して収容する外袋体とを備え、前記内袋体は、矩形状をなし、その中央部領域において上下の前記布地を縫合したキルティング部が縦方向に複数形成されており、前記キルティング部の一端から前記内袋体の縦方向の一端までの第1非キルティング部の長さが、前記キルティング部の他端から前記内袋体の縦方向の他端までの第2非キルティング部の長さよりも大きい。
【0007】
前記態様において、前記キルティング部の長さは、前記第1非キルティング部の長さよりも大きくてもよい。
【0008】
また、前記態様において、前記外袋体は、前記内袋体を収容するための開口部を有し、前記開口部の周囲には前記開口部を絞るための絞り紐が設けられ、前記内袋体を収容した状態で前記絞り紐により前記開口部が絞られることによって、前記内袋体を密着して収容してもよい。
【0009】
また、前記態様において、前記外袋体の下側の前記布地の上面と前記内袋体の下側の前記布地の下面との間に配置され、前記内袋体に充填されたビーズの移動を抑制するシート状部をさらに備えてもよい。
【0010】
また、前記態様において、前記外袋体は、前記内袋体を収容するための開口部を有し、前記開口部の周囲には前記開口部を絞るための絞り紐が設けられ、前記内袋体及び前記シート状部を収容した状態で前記絞り紐により前記開口部が絞られることによって、前記内袋体及び前記シート状部を密着して収容してもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、座面部分及び背当て部分を安定的に形成することにより使用者の着座姿勢を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施の形態のビーズクッションソファが備える内袋体の構成を示す斜視図。
【
図6】実施の形態のビーズクッションソファが備える外袋体の構成を示す平面図。
【
図7】実施の形態のビーズクッションソファが備えるシート状部の構成を示す斜視図。
【
図8】シート状部上に内袋体が配置された状態の構成を示す右側面図。
【
図9】実施の形態のビーズクッションソファの構成を示す右側面図。
【
図10】シート状部上に内袋体が配置された状態の構成を示す右側面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に示す各実施の形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置及び方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は下記のものに限定されるわけではない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において種々の変更を加えることができる。
【0014】
本実施の形態のビーズクッションソファは、ビーズが充填された内袋体と、その内袋体を収容する外袋体と、内袋体の下方に設けられるシート状部とを備えている。以下、これらの内袋体、外袋体、及びシート状部の各構成について説明する。
【0015】
(内袋体の構成)
図1は、本実施の形態のビーズクッションソファが備える内袋体の構成を示す斜視図である。
図1において、各方向が矢印により示されている。ビーズクッションソファの使用者の頭側の方向を「前方」、脚側の方向を「後方」、右手側の方向を「左方」、左手側の方向を「右方」とする。また、
図2乃至
図4はそれぞれ、当該内袋体の構成を示す平面図、右側面図、及び正面図であり、
図5は、
図2に示すA-A線における断面図である。
【0016】
内袋体1は、平面視において概ね縦長な長方形をなしており、上下2枚の布地11の周縁を縫合することにより形成される。布地11は、例えばポリウレタン弾性繊維を含む伸縮性素材によって構成されている。
【0017】
図5にも示すとおり、内袋体1の内部には、多数のビーズ13が充填されている。ビーズ13は、例えば直径1mm~0.1mm程度の球形の粒状物であって、ポリエチレン、ポリスチレン等の発泡プラスチックによって構成される。ビーズ13は、布地11に張力が生じつつ、内袋体1が変形可能な程度に充填されている。
【0018】
図2に示すように、内袋体1の平面視中央部領域には、上下の布地11が縫合された2つのキルティング部12,12が設けられている。キルティング部12,12は、前後方向(縦方向)に直線的に延びており、左右方向(横方向)に対向している。各キルティング部12の縦方向の長さaは同一である。但し、これらの長さaが多少異なっていてもよい。
【0019】
各キルティング部12の前方側の一端から内袋体1の前方側の一端までは、上下の布地11が縫合されていない第1非キルティング部である。また、各キルティング部12の後方側の一端から内袋体1の後方側の一端までは、上下の布地11が縫合されていない第2非キルティング部である。
【0020】
第1非キルティング部の長さb1は、第2非キルティング部の長さb2よりも大きい。本実施の形態では、長さb1が長さb2の2倍程度となっている。また、キルティング部12の長さaは、第1非キルティング部の長さb1よりも大きい。本実施の形態では、長さaが長さb1の2倍程度となっている。なお、ここでの2倍程度は例示であって、より大きく又はより小さくてもよい。
【0021】
上記のとおり、キルティング部12,12のそれぞれは縦方向に延びている。そのため、キルティング部12,12は、内袋体1の中央部領域において、ビーズ13の横方向への移動を阻害する一方で、縦方向への移動を促す。使用者がこの中央部領域を手で押すなどすると、当該中央部領域内のビーズ13は、キルティング部12,12に促されて縦方向に移動し、第1非キルティング部及び第2非キルティング部がそれぞれ形成されている内袋体1の前後端部に至る。
【0022】
内袋体1の前後端部においては、キルティング部が設けられていないため、ビーズ13は横方向にも縦方向にも容易に移動可能である。その一方で、内袋体1の前後端部それぞれから中央部領域への縦方向へのビーズ13の移動は、中央部領域に形成されているキルティング部12,12によって阻害される。そのため、一旦内袋体1の中央部領域から前後端部へ移動したビーズ13は、容易には中央部領域に戻らず、前後端部内に留まる。
【0023】
上記のとおり、第1非キルティング部の長さb1は第2非キルティング部の長さb2よりも大きいため、内袋体1の前端部の容積は、後端部の容積よりも大きくなっている。そのため、後端部と比べると、前端部の方により多くのビーズ13が移動して留まることになる。これにより、内袋体1の前端部の厚さ(高さ方向の長さ)は、後端部の厚さよりも大きくなる。したがって、
図4に示すとおり、内袋体1の上面においては、前端部が後端部と比べて高くなる。この前端部は、ビーズクッションソファの背当て部分を含む背もたれ部として機能する。なお、前端部の縦方向の長さ及び使用者の体格などによっては、当該前端部がヘッドレストとして機能することもある。
【0024】
図5に示すとおり、内袋体1の中央部領域において、キルティング部12,12で囲まれた領域は、左右で隣り合う領域よりも容積が小さい。そのため、キルティング部12,12で囲まれた領域の厚さは、当該隣り合う領域の厚さよりも小さい。また、内袋体1の中央部領域において、キルティング部12,12で囲まれた領域内のビーズ13を内袋体1の前後端部へ移動させると、当該領域内の厚さは、前後で隣り合う領域、すなわち内袋体1の前後端部の厚さよりも小さくなる。そのため、内袋体1の中央部領域は、横方向及び縦方向で凹状に窪んでいる。この窪んだ領域には、使用者の腰部及び臀部が収まることになる。
【0025】
また、上述したように、内袋体1においては、中央部領域(上記の窪んだ領域)と比べると後端部の方が厚さは大きい。そのため、使用者の腰部及び臀部が中央部領域に収まると、後端部が、ビーズクッションソファの座面部分を含む座部として機能する。
【0026】
上述したように、内袋体1においては、キルティング部12,12の作用により、ビーズクッションソファの背もたれ部及び座部として機能する領域が形成される。上述したように、一旦内袋体1の中央部領域から前後端部へ移動したビーズ13は、容易には中央部領域に戻らずに前後端部内に留まるため、背もたれ部及び座部として機能する領域は安定的に保たれる。本実施の形態の場合、後述の外袋体及びシート状部によって、当該領域がより一層安定的に保たれることになる。
【0027】
また、上記のとおり、キルティング部12の長さaは第1非キルティング部の長さb1及び第2非キルティング部の長さb2よりも大きいため、上記の窪んだ領域が十分に確保されるとともに安定的に形成されることになる。この場合、その窪んだ領域と前端部(背もたれ部)及び後端部(座部)との差異が安定的に保たれることになるため、結果として背もたれ部及び座部を安定的に形成することが可能になる。
【0028】
(外袋体の構成)
次に、外袋体の構成について説明する。この外袋体は、ビーズクッションソファのソファカバーとして機能するものであって、内袋体1の破損・汚損を防止することはもちろんのこと、後述のようにビーズクッションソファの全体形状を変形させる役割を有する。
【0029】
図6は、ビーズクッションソファが備える外袋体の構成を平面図である。外袋体2は、平面視において概ね縦長の長方形をなしており、その外形は平面視において内袋体1と略同一である。また、外袋体2は、上下2枚の布地21の後縁、左縁、及び右縁を縫合することにより形成される。前縁は縫合されていないため、外袋体2の前端部には開口部22が形成される。後述するように、この開口部22を介して、内袋体1が外袋体2に収容される。なお、布地21は、内袋体1の布地11と同様に、ポリウレタン弾性繊維を含む伸縮性素材などにより構成されている。
【0030】
外袋体2には、開口部22の周囲を引き絞るための絞り機構が設けられている。この絞り機構は、外袋体2の前端縁に設けられた紐通し部23と、紐通し部23内に挿通される絞り紐24と、紐通し部23と外方とを連通する連通孔25と、絞り紐24の中途に係止されるストッパー26とを有している。
【0031】
紐通し部23は、外袋体2の前端縁、すなわち開口部22の開口縁の全周にわたって設けられ、筒状に形成される。絞り紐24は、その筒状内に挿通されており、開口部22を絞るために用いられる。絞り紐24は、その長さが紐通し部23の長さよりも大きく、その一部が連通孔25を介して外方へ延出される。絞り紐24の紐通し部23の外方に延出された部分(以下「延出部分」という)にはストッパー26が係止されている。
【0032】
ストッパー26は、絞り紐24の延在方向にスライド可能に絞り紐24に係合され、絞り紐24の任意の位置に係止可能なように構成されている。また、ストッパー26は、連通孔25よりも大きい外形を有しており、絞り紐24の延出部分が連通孔25を介して紐通し部23内に入り込むことを防止する。そのため、ストッパー26により絞り紐24の延出部分の長さを調整することができ、それに伴って絞り紐24の紐通し部23内に挿通されている部分(以下「挿通部分」という)の長さを調整することができる。その結果、絞り紐24により開口部22を絞ることが可能になる。このようにして開口部22が絞られることにより、外袋体2は、内袋体1及び後述のシート状部を密着して収容する。
【0033】
(シート状部の構成)
次に、シート状部の構成について説明する。このシート状部は、内袋体1に充填されたビーズの移動を規制する規制部として機能するとともに、内袋体1の形状を維持するための部材としても機能する。
【0034】
図7は、ビーズクッションソファが備えるシート状部の構成を平面図である。シート状部3は、平面視において概ね縦長の長方形をなしており、その外形は平面視において内袋体1と略同一である。
【0035】
シート状部3は、例えば低反発ウレタンフォームなどの変形可能な材質で構成され、1乃至10cm程度の厚みを有している。シート状部3は、内袋体1の下面(底面)と密着して設けられることにより、内袋体1の底面付近におけるビーズ13の移動を規制し、ビーズクッションソファの底付き感を軽減する。なお、シート状部3は、変形はするものの、内袋体1と比べるとその変形は容易ではないため、内袋体1の形状の維持に貢献する。
【0036】
(ビーズクッションソファの使用方法)
以下、上述した内袋体1、外袋体2、及びシート状部3を備えるビーズクッションソファの使用方法について、
図8乃至
図10を参照しながら説明する。
ビーズクッションソファの使用者はまず、内袋体1の特定の部位を手で押すなどしてビーズを移動させることにより、内袋体1の形状を整える。このとき、特に内袋体1の中央部領域内のビーズが前後端部のそれぞれに移動させられる。これにより、上述したように、内袋体1の前端部の厚さを中央部領域及び後端部よりも大きくして背もたれ部を形成するとともに、後端部の厚さを中央部領域よりも大きくして座部を形成することができる。
【0037】
次に、使用者は、形状が整えられた内袋体1をシート状部3上に重ねる。このとき、シート状部3及び内袋体1の外形が平面視において一致するように、内袋体1がシート状部3上に重ねられる。
図8は、このようにしてシート状部3上に内袋体1が配置された状態の構成を示す右側面図である。
【0038】
次に、使用者は、外袋体2のストッパー26を操作することにより絞り紐24の延出部分を短くして開口部22を十分に開口させた上で、シート状部3及びその上に配置された内袋体1を、開口部22を介して外袋体2内に収容する。その後、使用者は、絞り紐24とストッパー26との係止状態を解除した上で、絞り紐24を引っ張ることによって絞り紐24の挿通部分の長さを小さくしながら開口部22を絞り、ストッパー26を絞り紐24の延出部分に係止する。これにより、シート状部3及び内袋体1が外袋体2に密着した状態で収容される。
【0039】
図9は、上述したようにして外袋体2の開口部22が絞られることにより得られたビーズクッションソファ100の構成を示す右側面図である。また、
図10は、そのビーズクッションソファ100の外袋体2内に収容されている状態のシート状部3及び内袋体1の構成を示す右側面図である。外袋体2の開口部22が絞られた場合、
図10に示すように、シート状部3及び内袋体1は外袋体2の布地21により内側に押圧されて圧縮される。そのため、ビーズクッションソファ100の全体形状が変形する。
【0040】
絞り紐24の挿通部分が最低限の長さとなるまで絞り紐24が引っ張られた場合、開口部22が十分に絞られて閉状態となる。このとき、シート状部3及び内袋体1は外袋体2の布地21により最も強く押圧されて圧縮された状態となる。そのため、ビーズクッションソファ100の全体形状は、より内側に丸められた状態となる。他方、絞り紐24の挿通部分の長さがより大きい状態で絞り紐24の引っ張りを終了させた場合、シート状部3及び内袋体1の圧縮状態はより緩やかとなる。この場合、ビーズクッションソファ100の全体形状は、圧縮される前により近い状態となる。このように、開口部22の絞り度合いによって、ビーズクッションソファ100の全体形状を変形させることができる。このようにして、本実施の形態では、使用者の好みなどに合わせて、ビーズクッションソファ100の全体形状を調節することが可能になる。このようにして調節された形状は、外袋体2のストッパー26を絞り紐24に係止させることにより、安定して維持される。
【0041】
本実施の形態の場合、内袋体1によって座面部分及び背当て部分が安定的に形成される。そのため、使用者は安定した着座姿勢を容易に保つことが可能になる。また、外袋体2の開口部22の絞り度合いを調節することにより、ビーズクッションソファ100の全体形状を調節することができるため、使用者の好みに合わせた形状を実現することができる。
【0042】
なお、上記のように形成されたビーズクッションソファ100を裏返し、底面側(シート状部3が配置されている側)を上面として使用しても構わない。この場合、使用者がビーズクッションソファ100の中央部領域に腰掛けると、その中央部領域が窪んで座部が形成されるとともに、前端部が隆起して背もたれ部が形成される。これにより、使用者は安定した着座姿勢を保持できるようになる。このようにビーズクッションソファ100を適宜裏返して使用することにより、使用者は所望の使用感を得ることができる。
【0043】
(その他の実施の形態)
上記の実施の形態では、内袋体1に2つのキルティング部12が設けられているが、その数はこれに限定されるわけではない。但し、1つのキルティング部12のみが設けられている場合、ビーズ13の中央部領域から前後端部への縦方向の移動を十分に促すことができず、且つ、ビーズ13の前後端部から中央部領域への縦方向の移動を十分に規制することができないおそれがある。そのため、内袋体1には2つ以上のキルティング部が設けられていることが好ましい。
【0044】
また、上記の実施の形態では、キルティング部12が縦方向に直線的に延びているが、縦方向に延びているのであればこれに限定されるわけではなく、例えば湾曲部分を有するような形状であってもよい。
【0045】
また、上記の実施の形態では、シート状部3が設けられているが、これが設けられておらず、外袋体2に内袋体1のみが収容される構成であってもよい。但し、底付き感を抑制したり、内袋体1の形状をより安定させたりするためには、シート状部3が設けられていることが好ましい。
【0046】
また、上記の実施の形態では、内袋体1の内部にビーズ13以外のものが充填されていないが、これに限定されるわけではない。ビーズ13の移動を大きく損なわない程度に他のものが充填されていてもよい。
【符号の説明】
【0047】
1 内袋体
11 布地
12 キルティング部
13 ビーズ
2 外袋体
21 布地
22 開口部
23 紐通し部
24 絞り紐
25 連通孔
26 ストッパー
3 シート状部
100 ビーズクッションソファ