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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023121323
(43)【公開日】2023-08-31
(54)【発明の名称】緩衝部材
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/05 20060101AFI20230824BHJP
【FI】
B65D81/05 500A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022024599
(22)【出願日】2022-02-21
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】根本 慎二
【テーマコード(参考)】
3E066
【Fターム(参考)】
3E066AA06
3E066BA06
3E066CA04
3E066FA13
3E066HA01
3E066JA01
3E066KA10
3E066KA20
3E066NA01
(57)【要約】
【課題】複数回の衝撃に対して継続的に緩衝効果を発揮させることができ、かつ、容易に形成することが可能な緩衝部材を提供する。
【解決手段】緩衝部材は、第1方向に延びる筒軸を有する筒状であり、第1方向と直交する第2方向の一方側から被梱包物に接触し、第2方向から加わる第1の衝撃を自身が変形することによって緩衝する筒状緩衝部と、筒状緩衝部の内部空間に配置され、第1の衝撃後、筒状緩衝部が変形した状態で、第2方向から第2の衝撃が加わったとき、第2の衝撃を自身が変形することによって緩衝する内緩衝部と、を備え、内緩衝部は、段ボールシートの中芯の横目方向が第2方向となるよう配置される。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単一の段ボールシートを折り曲げることによって形成される緩衝部材であって、
第1方向に延びる筒軸を有する筒状であり、前記第1方向と直交する第2方向の一方側から被梱包物に接触し、前記第2方向から加わる第1の衝撃を自身が変形することによって緩衝する筒状緩衝部と、
前記筒状緩衝部の内部空間に配置され、前記第1の衝撃後、前記筒状緩衝部が変形した状態で、前記第2方向から第2の衝撃が加わったとき、前記第2の衝撃を自身が変形することによって緩衝する内緩衝部と、を備え、
前記内緩衝部は、前記段ボールシートの中芯の横目方向が前記第2方向となるよう配置される、緩衝部材。
【請求項2】
前記筒状緩衝部は、前記第2方向に対向配置される第1壁部および第2壁部を有し、
前記第1壁部は、前記第2方向の一方側に配置され、
前記第2壁部は、前記第2方向の他方側に配置され、前記被梱包物に接触し、
前記内緩衝部は、前記第1壁部および前記第2壁部の少なくとも一方の内側面に対して前記第2方向に間隔を隔てて配置される、請求項1に記載の緩衝部材。
【請求項3】
前記第2の衝撃が加わったとき、前記筒状緩衝部は、前記内部空間において、前記内緩衝部のうち前記中芯に貼り合わされるライナーの表面と接触することにより、前記第2方向とは異なる方向への前記内緩衝部の変形を規制する、請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記内緩衝部は、前記段ボールシートの一部をつづら折りすることにより形成される積層ブロックである、請求項1~3のいずれか1項に記載の緩衝部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緩衝部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、梱包ケース内の被梱包物に対する衝撃を緩衝する緩衝部材が知られている。たとえば、特許文献1の緩衝部材は、パルプモールド成型法によりパルプモールド系材料から型を用いて形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-127147号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の緩衝部材は、中空の突部を備える。突部は、被梱包物との接触面から法線方向に延びる筒状部を有する。筒状部の外周部には、前記法線方向に沿って交互に連続する凹凸部が形成される。特許文献1では、緩衝部材が伸縮し易くなる。すなわち、特許文献1では、複数回の衝撃に対して継続的に緩衝効果を発揮させることができる。
【0005】
しかし、特許文献1の緩衝部材は、2つのパルプモールド成型品を組み合わせて形成される。このため、緩衝部材を形成する作業者からすると、緩衝部材の部品点数が多い(2つのパルプモールド成型品を組み合わせる作業が必要となる)ので、煩わしい。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、複数回の衝撃に対して継続的に緩衝効果を発揮させることができ、かつ、容易に形成することが可能な緩衝部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の一局面による緩衝部材は、単一の段ボールシートを折り曲げることによって形成される緩衝部材であって、第1方向に延びる筒軸を有する筒状であり、第1方向と直交する第2方向の一方側から被梱包物に接触し、第2方向から加わる第1の衝撃を自身が変形することによって緩衝する筒状緩衝部と、筒状緩衝部の内部空間に配置され、第1の衝撃後、筒状緩衝部が変形した状態で、第2方向から第2の衝撃が加わったとき、第2の衝撃を自身が変形することによって緩衝する内緩衝部と、を備える。内緩衝部は、段ボールシートの中芯の横目方向が第2方向となるよう配置される。
【発明の効果】
【0008】
本発明の構成では、複数回の衝撃に対して継続的に緩衝効果を発揮させることができ、かつ、容易に形成することが可能な緩衝部材を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態による緩衝部材の斜視図である。
図2】一実施形態による緩衝部材により被梱包物が保護された状態の斜視図である。
図3】一実施形態による緩衝部材を成す段ボールシートの模式図である。
図4】一実施形態による第1緩衝部材の斜視図である。
図5図4に示す第1緩衝部材の内部構造を示す斜視図である。
図6図4に示す第1緩衝部材をYZ平面で切断した断面図である。
図7】段ボールシートの圧壊について説明するための図である。
図8】段ボールシートの座屈について説明するための図である。
図9】一実施形態による第1緩衝部材に第1の衝撃が加わったときの状態を模式的に示す図である。
図10】一実施形態による第1緩衝部材の段ボールシートを展開した斜視図である。
図11】一実施形態による第2緩衝部材の斜視図である。
図12図11に示す第2緩衝部材の内部構造を示す模式図である。
図13図11に示す第2緩衝部材をYZ平面で切断した断面図である。
図14図11に示す第2緩衝部材をXY平面で切断した断面図である。
図15】一実施形態による第2緩衝部材の段ボールシートを展開した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図1図15を参照し、本発明の一実施形態による緩衝部材10について説明する。以下の説明では、図中のX方向を左右方向と定義し、Y方向を前後方向と定義し、Z方向を上下方向と定義する。なお、X方向は「第1方向」に相当し、Y方向は「第2方向」に相当し、Z方向は「第3方向」に相当する。
【0011】
また、X方向のうち、+X側を右と定義し、-X側を左と定義する。Y方向のうち、+Y側を前と定義し、-Y側を後と定義する。Z方向のうち、+Z側を上と定義し、-Z側を下と定義する。
【0012】
<全体構成>
図1および図2に示すように、緩衝部材10は、被梱包物1000と共に、梱包ケース2000に収納される。緩衝部材10は、梱包ケース2000の内部において、被梱包物1000を保護する。梱包ケース2000の内部に緩衝部材10を配置することにより、被梱包物1000への衝撃が緩衝される。被梱包物1000は、たとえば、プリンターである。梱包ケース2000には、符号は省略するが、緩衝部材10とは別の緩衝部材も配置される。
【0013】
梱包ケース2000は、段ボールシートで形成される。梱包ケース2000は、上側に開口2000Aを有する。緩衝部材10は、開口2000Aを介して、梱包ケース2000に対して出し入れされる。すなわち、梱包ケース2000に対する緩衝部材10の出し入れ方向は上下方向である。被梱包物1000も同様、開口2000Aを介して、梱包ケース2000に対して出し入れされる。
【0014】
緩衝部材10は、上側および下側にそれぞれ配置される。詳細は後述するが、上側および下側の各緩衝部材10は、それぞれ、筒状緩衝部1と、内緩衝部2と、を備える。上側の緩衝部材10は、被梱包物1000の前方上側への衝撃を緩衝する。下側の緩衝部材10は、被梱包物1000の前方下側への衝撃を緩衝する。
【0015】
以下の説明では、上側および下側の各緩衝部材10を区別する必要がある場合、上側の緩衝部材10に符号110を付して第1緩衝部材110と称し、下側の緩衝部材10に符号210を付して第2緩衝部材210と称する。また、第1緩衝部材110の筒状緩衝部1に符号11を付して第1筒状緩衝部11と称し、第1緩衝部材110の内緩衝部2に符号12を付して第1内緩衝部12と称する。第2緩衝部材210の筒状緩衝部1に符号21を付して第2筒状緩衝部21と称し、第2緩衝部材210の内緩衝部2に符号22を付して第2内緩衝部22と称する。
【0016】
ここで、緩衝部材10は、単一の段ボールシート100(図10および図15参照)を折り曲げることによって形成される。言い換えると、筒状緩衝部1および内緩衝部2は、単一の段ボールシート100を折り曲げることによって形成される。緩衝部材10の形成方向(段ボールシート100の折り曲げ方法)については後述する。
【0017】
緩衝部材10に使用される段ボールシート100は、図3に示すように、中芯101と一対のライナー102とを有するシート材である。中芯101は、波板である。一対のライナー102は、表ライナーおよび裏ライナーを含む。一対のライナー102は、それぞれ、平板である。中芯101は、一対のライナー102の間に挟まれる。中芯101および一対のライナー102は、互いに貼り合わされる。すなわち、筒状緩衝部1および内緩衝部2は、それぞれ、中芯101と一対のライナー102とを貼り合わせたシート材で形成される。
【0018】
なお、段ボールシート100において、縦目方向は、中芯101の紙幅方向であり、中芯101に形成される波の筋方向である。また、段ボールシート100において、横目方向は、中芯101の流れ方向であり、縦目方向と直交する方向である。言い換えると、横目方向は、中芯101と一対のライナー102とにより形成される細管の長手方向と直交する方向である。
【0019】
<緩衝部材の詳細構成>
まず、図4図6を参照し、第1筒状緩衝部11および第1内緩衝部12について説明する。
【0020】
第1筒状緩衝部11は、左右方向に延びる筒軸を有する筒状である。第1筒状緩衝部11は、中空角筒状に折り曲げられる。第1緩衝部材110が被梱包物1000と共に梱包ケース2000に収納された状態では、第1筒状緩衝部11の4面の外壁のうち1面は、被梱包物1000と向き合い、被梱包物1000の前方上側に接触する。
【0021】
第1筒状緩衝部11は、前後方向に対向配置される第1壁部111および第2壁部112を有する。また、第1筒状緩衝部11は、上下方向に対向配置される第3壁部113および第4壁部114を有する。
【0022】
第1壁部111は、前方側に配置される。第2壁部112は、後方側に配置される。第2壁部112は、被梱包物1000と前後方向に向き合い、被梱包物1000に前方側から接触する。第3壁部113は、上方側に配置され、第4壁部114は、下方側に配置される。
【0023】
第1内緩衝部12は、第1筒状緩衝部11の内部空間に配置される。具体的には、第1内緩衝部12は、第1壁部111、第2壁部112、第3壁部113および第4壁部114によって囲まれる空間に配置される。言い換えると、第1筒状緩衝部11は、第1内緩衝部12を内部空間に有する。さらに言い換えると、第1筒状緩衝部11は、波板としての中芯101を内部空間に有する。
【0024】
第1内緩衝部12は、第1内緩衝部12の中芯101の横目方向が前後方向となるよう配置される。言い換えると、第1内緩衝部12は、前後方向を横目方向とする中芯101を有する。さらに言い換えると、第1筒状緩衝部11の内部空間に第1内緩衝部12として配置される段ボールシート100の一部は、中芯101の横目方向が前後方向となる。
【0025】
また、第1内緩衝部12は、段ボールシート100の一部を上下方向に複数重ねることにより形成される積層ブロックである。第1内緩衝部12としての積層ブロックは、段ボールシート100の一部をつづら折りすることにより形成される。言い換えると、第1内緩衝部12は、上下方向に重なる複数の中芯101を有する。たとえば、第1内緩衝部12は、3枚分の段ボールシート100を重ねた積層ブロックであり、上下方向に重なる3枚の中芯101を有する。
【0026】
段ボールシート100のうち第1内緩衝部12を成す部分は、第3壁部113および第4壁部114のそれぞれと略平行に配置され、第3壁部113と第4壁部114との上下方向間に配置される。言い換えると、第1内緩衝部12の中芯101は、第3壁部113と第4壁部114との上下方向間に配置される。第1内緩衝部12の最上層の上面は、第3壁部113の内側面(当該内側面は、言い換えると、天面である)と接触していてもよいし接触していなくてもよい。さらに、第1内緩衝部12の最下層の下面は、第4壁部114の内側面(当該内側面は、言い換えると、底面である)と接触していてもよいし接触していなくてもよい。
【0027】
また、第1内緩衝部12は、第1壁部111の内側面に対して前後方向に間隔を隔てて配置される。言い換えると、第1内緩衝部12の前方側の端部と第1壁部111の内側面との間には、間隔G(隙間)が設けられる。さらに言い換えると、第1内緩衝部12の中芯101は、第1壁部111の内側面に対して前後方向に間隔を隔てて配置される。第1内緩衝部12を成す中芯101が上下方向に複数積層される場合には、第1内緩衝部12を成す全ての中芯101が第1壁部111の内側面に対して前後方向に間隔を隔てて配置される。
【0028】
本実施形態では、上記の構成により、複数回の衝撃に対して継続的に緩衝効果を発揮させることが可能な第1緩衝部材110を得ることができる。
【0029】
具体的には、第1筒状緩衝部11の前方側から第1の衝撃が加わった場合、第3壁部113および第4壁部114がそれぞれ前後方向に潰れることにより、前方側からの第1の衝撃が緩衝される。言い換えると、第1筒状緩衝部11は、前方側から加わる第1の衝撃を自身が変形することによって緩衝する。第3壁部113および第4壁部114は、第1の衝撃が加わることによって座屈する場合がある。
【0030】
第1の衝撃が加わったとき、第1内緩衝部12は、第1壁部111の内側面に対して前後方向に間隔を隔てて配置されているので、緩衝材として機能しない。すなわち、第1内緩衝部12は、変形しない(潰れない)。たとえば、第1筒状緩衝部11の前方側からの衝撃が1回以上加わったとき、第1壁部111が第1内緩衝部12に接触する。これにより、第1筒状緩衝部11が前後方向に潰れた後、次からは第1内緩衝部12に緩衝効果を発揮させることができる。
【0031】
第1内緩衝部12は、第1の衝撃後、前方側からさらに加わる第2の衝撃を緩衝する。具体的には、第1の衝撃が1回以上加わったことによって第1壁部111と接触した後、すなわち、第1筒状緩衝部11が変形した後、第1筒状緩衝部11が変形した状態で、前方側から第2の衝撃が加わったとき、第1内緩衝部12は、第2の衝撃を自身が変形することによって緩衝する。
【0032】
ここで、第1内緩衝部12に加わる衝撃の方向は、第1内緩衝部12を成す中芯101の横目方向と略一致する。すなわち、第1内緩衝部12には、中芯101が横目方向に潰れるような衝撃が加わる。このような衝撃が第1内緩衝部12に加わると、第1内緩衝部12を成す中芯101が前後方向(横目方向)に収縮するように変形するが、中芯101が前後方向に完全に潰れていなければ、以降も第1内緩衝部12に緩衝効果を発揮させることができる。その結果、第1緩衝部材110は、複数回の衝撃に対して継続的に緩衝効果を発揮する。
【0033】
しかし、第1内緩衝部12が意図せぬ形状に変形すると、第1内緩衝部12が緩衝材として機能しなくなる。具体的には、第1内緩衝部12が前後方向に潰れた場合(圧壊した場合)、すなわち、図7に示すような変形を起こした場合には、それ以降も第1内緩衝部12は緩衝効果を発揮する。一方で、第1内緩衝部12が折れ曲がった場合(座屈した場合)、すなわち、図8に示すような変形を起こした場合には、それ以降は第1内緩衝部12の緩衝効果が低下する。そして、第1内緩衝部12が緩衝材として機能しなくなる場合がある。
【0034】
ここで、第1の衝撃によって第1筒状緩衝部11は変形するが、その変形のし方(折れ曲がり方)は様々である。たとえば、第1筒状緩衝部11は、筒の内側または外側に向かって2つに折れ曲がるが場合がある。また、場合によっては、図9の上図から下図に示す形状に変形する。なお、図9は模式図である。図9では、第1筒状緩衝部11を太線で示し、第1内緩衝部12をハッチング柄の矩形図形で示す。図9において、上図は、第1の衝撃が加わる直前の第1筒状緩衝部11の状態であり、下図は、第1の衝撃が加わった後の第1筒状緩衝部11の状態である。
【0035】
図9に示すように、第1筒状緩衝部11は、第1の衝撃が加わることにより、その前方側の部分が主に折れ曲がる場合がある。このような形状となるよう第1筒状緩衝部11が変形した場合には、第3壁部113と第4壁部114との上下方向間に第1内緩衝部12が挟み込まれた状態で維持される。
【0036】
これにより、第2の衝撃が加わったとき、第1筒状緩衝部11は、その内部空間において、第1内緩衝部12のうち中芯101に貼り合わされるライナー102の表面と接触することにより、前後方向とは異なる方向への第1内緩衝部12の変形を規制する。言い換えると、第2の衝撃が加わったとき、第1内緩衝部12が上側(または、下側)に折れ曲がる方向に変形しようとしても、第1内緩衝部12の上側および下側にはそれぞれ第3壁部113および第4壁部114が存在するので、第1内緩衝部12の上側および下側への変形が規制される。
【0037】
第2の衝撃が加わったとき、前後方向とは異なる方向への第1内緩衝部12の変形が規制されることにより、第1内緩衝部12を前後方向に変形(圧壊)させることができる。これにより、第2の衝撃が加わって以降、前方側から再び衝撃が加わったとき、第1内緩衝部12に緩衝効果を発揮させることができる。
【0038】
以下、図10を参照し、第1緩衝部材110の形成方向(段ボールシート100の折り曲げ方法)について説明する。図10において、太い実線は切り線であり、破線は谷折り線であり、一点鎖線は山折り線である。図10では、第1筒状緩衝部11および第1内緩衝部12の各部に対応する個所(二点鎖線で囲う箇所)のみ、切り線、谷折り線および山折り線を示す。
【0039】
第1緩衝部材110は、図10に示す段ボールシート100(1001)を折り曲げることによって形成される。具体的には、まず、段ボールシート1001のうち、第1内緩衝部12となる部分が折り曲げられる。その後、第1内緩衝部12を囲うように第1筒状緩衝部11となる部分が中空角筒状に折り曲げられる。図10において、段ボールシート1001(中芯101)の横目方向はD1方向である。
【0040】
本実施形態の構成では、単一の段ボールシート1001を折り曲げることにより、容易に、第1筒状緩衝部11および第1内緩衝部12を備える第1緩衝部材110を形成することができる。すなわち、段ボールシート1001を折り目に沿って折り曲げるだけで、第1内緩衝部12を成す中芯101の横目方向を前後方向とすることができる。
【0041】
次に、図11図14を参照し、第2筒状緩衝部21および第2内緩衝部22について説明する。
【0042】
第2筒状緩衝部21は、左右方向に延びる筒軸を有する筒状である。第2筒状緩衝部21は、中空角筒状に折り曲げられる。第2緩衝部材210が被梱包物1000と共に梱包ケース2000に収納された状態では、第2筒状緩衝部21の4面の外壁のうち1面は、被梱包物1000と向き合い、被梱包物1000の前方下側に接触する。
【0043】
具体的には、第2筒状緩衝部21は、前後方向に対向配置される第1壁部211および第2壁部212を有する。また、第2筒状緩衝部21は、上下方向に対向配置される第3壁部213および第4壁部214を有する。
【0044】
第1壁部211は、前方側に配置される。第2壁部212は、後方側に配置される。第2壁部212は、被梱包物1000と前後方向に向き合い、被梱包物1000に前方側から接触する。第3壁部213は、上方側に配置され、第4壁部214は、下方側に配置され。
【0045】
第2内緩衝部22は、第2筒状緩衝部21の内部空間に配置される。具体的には、第2内緩衝部22は、第1壁部211、第2壁部212、第3壁部213および第4壁部214によって囲まれる空間に配置される。言い換えると、第2筒状緩衝部21は、第2内緩衝部22を内部空間に有する。さらに言い換えると、第2筒状緩衝部21は、中芯101を内部空間に有する。
【0046】
第2内緩衝部22は、第2内緩衝部22の中芯101の横目方向が前後方向となるよう配置される。言い換えると、第2内緩衝部22は、前後方向を横目方向とする中芯101を有する。さらに言い換えると、第2筒状緩衝部21の内部空間に第2内緩衝部22として配置される段ボールシート100の一部は、横目方向が前後方向となる。
【0047】
また、第2内緩衝部22は、第2壁部212の内側面に対して前後方向に間隔を隔てて配置される。言い換えると、第2内緩衝部22の後方側の端部と第2壁部212の内側面との間には、間隔G(隙間)が設けられる。さらに言い換えると、第2内緩衝部22の中芯101は、第2壁部212の内側面に対して前後方向に間隔を隔てて配置される。
【0048】
ここで、第2内緩衝部22は、上下方向を板厚方向とする横壁部分22Aを有する。さらに、第2内緩衝部22は、左右方向を板厚方向とする縦壁部分22Bを有する。
【0049】
横壁部分22Aは、第3壁部213と略平行に配置される。横壁部分22Aは、第3壁部213の内側面(当該内側面は、言い換えると、天面である)と接触していてもよい接触していなくてもよい。縦壁部分22Bは、第4壁部214の内側面(当該内側面は、言い換えると、底面である)に対して立設するよう配置される。
【0050】
たとえば、第2筒状緩衝部21の内部空間には、一対の縦壁部分22Bが2組配置される。横壁部分22Aは、各縦壁部分22Bの上端部(上方側の端部)から左右方向に延びる。そして、一対の縦壁部分22Bから延びる各横壁部分22Aは、互いに接続される(図12参照)。
【0051】
本実施形態では、上記の構成により、複数回の衝撃に対して継続的に緩衝効果を発揮させることが可能な第2緩衝部材210を得ることができる。
【0052】
具体的には、第2筒状緩衝部21の前方側から第1の衝撃が加わった場合、第3壁部213および第4壁部214がそれぞれ前後方向に潰れることにより、前方側からの第1の衝撃が緩衝される。言い換えると、第2筒状緩衝部21は、前方側から加わる第1の衝撃を自身が変形することによって緩衝する。第3壁部213および第4壁部214は、第1の衝撃が加わることによって座屈する場合がある。
【0053】
第1の衝撃が加わったとき、第2内緩衝部22は、第2壁部212の内側面に対して前後方向に間隔を隔てて配置されているので、緩衝材として機能しない。すなわち、第2内緩衝部22は、変形しない(潰れない)。たとえば、第2筒状緩衝部21の前方側からの衝撃が1回以上加わったとき、第2壁部212が第2内緩衝部22に接触する。これにより、第2筒状緩衝部21が前後方向に潰れた後、次からは第2内緩衝部22に緩衝効果を発揮させることができる。
【0054】
具体的には、第1の衝撃が1回以上加わったことによって第2壁部212が第2内緩衝部22に接触した後、すなわち、第2筒状緩衝部21が変形した後、第2筒状緩衝部21が変形した状態で、前方側から第2の衝撃が加わったとする。この場合には、第2内緩衝部22に衝撃が加わる。このとき、第2内緩衝部22は、第2の衝撃を自身が変形することによって緩衝する。
【0055】
ここで、第2内緩衝部22に加わる衝撃の方向は、第2内緩衝部22を成す中芯101の横目方向と略一致する。すなわち、第2内緩衝部22には、中芯101が横目方向に潰れるような衝撃が加わる。このような衝撃が第2内緩衝部22に加わると、第2内緩衝部22を成す中芯101が前後方向(横目方向)に収縮するように変形するが、中芯101が前後方向に完全に潰れていなければ、以降も第2内緩衝部22に緩衝効果を発揮させることができる。その結果、第2緩衝部材210は、複数回の衝撃に対して継続的に緩衝効果を発揮する。
【0056】
以下、図15を参照し、第2緩衝部材210の形成方法(段ボールシート100の折り曲げ方法)について説明する。図15において、太い実線は切り線であり、破線は谷折り線である。図15では、第2筒状緩衝部21および第2内緩衝部22の各部に対応する個所(二点鎖線で囲う箇所)のみ、切り線および谷折り線を示す。
【0057】
第2緩衝部材210は、図15に示す段ボールシート100(1002)を折り曲げることによって形成される。具体的には、まず、段ボールシート1002のうち、第2内緩衝部22となる部分が折り曲げられる。その後、第2内緩衝部22を囲うように第2筒状緩衝部21となる部分が中空角筒状に折り曲げられる。図15において、段ボールシート1002(中芯101)の横目方向はD2方向である。
【0058】
本実施形態の構成では、単一の段ボールシート1002を折り曲げることにより、容易に、第2筒状緩衝部21および第2内緩衝部22を備える第2緩衝部材210を形成することができる。すなわち、段ボールシート1002を折り目に沿って折り曲げるだけで、第2内緩衝部22を成す中芯101の横目方向を前後方向とすることができる。
【0059】
今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0060】
1 筒状緩衝部
2 内緩衝部
10 緩衝部材
100 段ボールシート
101 中芯
102 ライナー
111、211 第1壁部
112、212 第2壁部
1000 被梱包物
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