(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023121330
(43)【公開日】2023-08-31
(54)【発明の名称】不動産管理装置、不動産管理方法、及び、不動産管理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/16 20120101AFI20230824BHJP
【FI】
G06Q50/16 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022024611
(22)【出願日】2022-02-21
(71)【出願人】
【識別番号】398040527
【氏名又は名称】株式会社オービック
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】都澤 康平
(72)【発明者】
【氏名】上野 剛光
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC28
(57)【要約】
【課題】入金期日前における不動産管理手数料の算出及び計上を可能とする。
【解決手段】仮管理手数料データ生成部が、不動産物件の請求予定の賃料に基づいて、所定の入金期日前における不動産物件の管理手数料を示す仮管理手数料データを生成する。期日前仕訳データ生成部は、生成された仮管理手数料データに基づいて、収益を示す仮仕訳伝票データ及び仮仕訳伝票データに対応する、入金期日後用のマイナス分の振替伝票データを生成する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
不動産物件の請求予定の賃料に基づいて、所定の入金期日前における不動産物件の管理手数料を示す仮管理手数料データを生成する仮管理手数料データ生成部と、
生成された前記仮管理手数料データに基づいて、収益を示す仮仕訳伝票データ及び前記仮仕訳伝票データに対応する、入金期日後用のマイナス分の振替伝票データを生成する期日前仕訳データ生成部と、
を有する不動産管理装置。
【請求項2】
入金期日後において、入金された前記不動産物件の賃料に対応する管理手数料データを生成する管理手数料データ生成部と、
生成された前記管理手数料データに基づいて、前記管理手数料計上用の仕訳データを生成する仕訳データ生成部と、をさらに備えること、
を特徴とする請求項1に記載の不動産管理装置。
【請求項3】
前記仮管理手数料データで示される前記不動産物件毎の仮管理手数料と、前回入金された前記不動産物件毎の管理手数料とを比較する比較部と、
前記比較部による比較結果を表示する表示制御部と、をさらに備えること、
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の不動産管理装置。
【請求項4】
仮管理手数料データ生成部が、不動産物件の請求予定の賃料に基づいて、所定の入金期日前における不動産物件の管理手数料を示す仮管理手数料データを生成する仮管理手数料データ生成ステップと、
期日前仕訳データ生成部が、生成された前記仮管理手数料データに基づいて、収益を示す仮仕訳伝票データ及び前記仮仕訳伝票データに対応する、入金期日後用のマイナス分の振替伝票データを生成する期日前仕訳データ生成ステップと、
を有する不動産管理方法。
【請求項5】
コンピュータを、
不動産物件の請求予定の賃料に基づいて、所定の入金期日前における不動産物件の管理手数料を示す仮管理手数料データを生成する仮管理手数料データ生成部と、
生成された前記仮管理手数料データに基づいて、収益を示す仮仕訳伝票データ及び前記仮仕訳伝票データに対応する、入金期日後用のマイナス分の振替伝票データを生成する期日前仕訳データ生成部として機能させること、
を特徴とする不動産管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不動産管理装置、不動産管理方法、及び、不動産管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(特開2002-109198号公報)に、経営効率改善システムが開示されている。この経営効率改善システムは、貸借対照表と損益計算書の実績データをコンピュータに入力する工程と、年金管理に関する実績データを入力する工程と、不動産管理に関する実績データを入力する工程と、経営(利益)計画をデータとして入力する工程とを有する。
【0003】
また、設備投資計画の入力工程と、前記実績データを基に経営(利益)計画を推進した場合の将来の貸借対照表と損益計算書を選択したシミュレーション毎にコンピュータにより算出する予測(シミュレーション)データ試算工程と、予測データの蓄積管理工程と、予測データの出力工程とを有する。
【0004】
これにより、対照表及び損益計算書に、年金、保有不動産、子会社の資産又は負債等を取り込んで将来の経営計画を判断でき、年金運用又は不動産運用の種類毎に将来の貸借対照表又は損益計算書を試算すると共に、グループ企業全体の経営支援を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、不動産管理会社の収益減の一つとして不動産物件(テナント)の管理手数料(PMフィー)が知られている。PMフィーは、定額で計上されている場合を除き、テナントから回収した入金ベースで計算されることが多い。このため、例えば月末等の入金期日前にPMフィーを計算して計上することは困難であった。このようなPMフィーの算出及び計上のタイミングの遅れは、月次決算業務の遅れの原因となる。
【0007】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、入金期日前における不動産管理手数料の算出及び計上を可能とする不動産管理装置、不動産管理方法、及び、不動産管理プログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る不動産管理装置は、不動産物件の請求予定の賃料に基づいて、所定の入金期日前における不動産物件の管理手数料を示す仮管理手数料データを生成する仮管理手数料データ生成部と、生成された仮管理手数料データに基づいて、収益を示す仮仕訳伝票データ及び仮仕訳伝票データに対応する、入金期日後用のマイナス分の振替伝票データを生成する期日前仕訳データ生成部と、を有する。
【0009】
また、上述の課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る不動産管理方法は、仮管理手数料データ生成部が、不動産物件の請求予定の賃料に基づいて、所定の入金期日前における不動産物件の管理手数料を示す仮管理手数料データを生成する仮管理手数料データ生成ステップと、期日前仕訳データ生成部が、生成された仮管理手数料データに基づいて、収益を示す仮仕訳伝票データ及び仮仕訳伝票データに対応する、入金期日後用のマイナス分の振替伝票データを生成する期日前仕訳データ生成ステップと、を有する。
【0010】
また、上述の課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る不動産管理プログラムは、コンピュータを、不動産物件の請求予定の賃料に基づいて、所定の入金期日前における不動産物件の管理手数料を示す仮管理手数料データを生成する仮管理手数料データ生成部と、生成された仮管理手数料データに基づいて、収益を示す仮仕訳伝票データ及び仮仕訳伝票データに対応する、入金期日後用のマイナス分の振替伝票データを生成する期日前仕訳データ生成部として機能させること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、入金期日前における不動産管理手数料の算出及び計上を可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、実施の形態の不動産管理装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、実施の形態の不動産管理装置におけるPMフィーの計上処理の概要を示す図である。
【
図3】
図3は、PMフィー仮請求明細データの作成動作の流れを示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、オーナー送金調達データ作成画面の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、請求ベースで作成されたPMフィー仮請求明細データ等を示す図である。
【
図6】
図6は、月末における会計データの作成動作の流れを示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、会計データ作成画面の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、実施の形態の不動産管理装置で生成される仮計上伝票データ及び振替伝票データの一例を示す図である。
【
図9】
図9は、入金ベースのPMフィー請求明細データの作成動作の流れを示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、オーナー送金調達データ作成画面の一例を示す図である。
【
図11】
図11は、入金ベースで作成されたPMフィー請求明細データの一例を示す図である。
【
図12】
図12は、最終的なPMフィーの計上仕訳の作成動作の流れを示すフローチャートである。
【
図13】
図13は、会計データ作成画面の一例を示す図である。
【
図14】
図14は、最終的な計上伝票データの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を適用した実施の形態となる不動産管理装置を、図面に基づいて詳細に説明する。なお、本実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0014】
(ハードウェア構成)
図1は、実施の形態の不動産管理装置1のハードウェア構成を示すブロック図である。この
図1に示すように不動産管理装置1は、記憶部2、制御部3、通信インターフェース部4及び入出力インターフェース部5を備えている。入出力インターフェース部5には、入力装置6及び出力装置7が接続されている。出力装置7としては、モニタ装置(家庭用テレビを含む)等の表示部を用いることができる。入力装置6としては、キーボード装置及びマウス装置、及びマイクロホン装置の他、マウス装置と協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタ装置を用いることができる。
【0015】
記憶部2としては、例えばROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)等の記憶装置を用いることができる。記憶部2には、記憶領域である費目マスタ11が記憶されている。また、記憶部2には、期日前における不動産管理手数料(PMフィー)の計算及び計上を可能とする不動産管理プログラムが記憶されている。また、記憶部2には、不動産管理プログラムを実行することで生成される、請求元明細データ、PMフィー仮請求明細データ、請求増減表データ、仮計上伝票データ、振替伝票データ、PMフィー請求明細データ及び計上データ等が記憶される。
【0016】
(不動産管理装置の機能構成)
制御部3は、記憶部2に記憶されている不動産管理プログラムを実行することで、入力処理部21、データ生成部22、仮管理手数料データ生成部23、及び、期日前仕訳データ生成部24として機能する。また、制御部3は、不動産管理プログラムを実行することで、管理手数料データ生成部25、仕訳データ生成部26、比較部27、及び、表示制御部28として機能する。
【0017】
入力処理部21は、後述するオーナー送金調達データ作成画面又は会計データ作成画面等を介して業務オペレータ等の入力操作に対応する入力処理を行う。データ生成部22は、各テナントの入金予定日、請求金額、入金日、及び、入金済金額を含む請求ベース及び入金ベースの計算元明細データを生成する。仮管理手数料データ生成部23は、所定の入金期日である例えば月末日前において、請求ベースで生成された計算元明細データに基づいて、各テナントのPMフィーを示すPMフィー仮請求明細データを生成する。
【0018】
期日前仕訳データ生成部24は、仮管理手数料データ生成部23により生成されたPMフィー仮請求明細データに基づいて、仮計上用のマイナス分の仕訳データとして、仮計上伝票データを生成すると共に、この仮計上伝票データに対応する、翌月分の振替伝票データを生成する。管理手数料データ生成部25は、入金期日後である例えば月初日において、入金ベースの計算元明細データに基づいて、PMフィー請求明細データを生成する。
【0019】
仕訳データ生成部26は、PMフィー請求明細データに基づいて、計上伝票データを生成する。また、比較部27は、今月分の不動産物件毎の仮PMフィーと、前月に請求済みの不動産物件毎のPMフィーとを比較する。業務オペレータは、表示されたPMフィーの比較結果に基づいて、仮PMフィーの異常の有無を判断する。表示制御部28は、オーナー送金調達データ作成画面、及び、会計データ作成画面等を出力装置7に表示する。
【0020】
(PMフィーの計上処理の概要)
図2は、実施の形態の不動産管理装置1におけるPMフィーの計上処理の概要を示す図である。実施の形態の不動産管理装置1の場合、
図2(a)に示すように月末において、仮のPMフィーを算出するために、未入金を含め、入金予定日、請求金額、入金日及び入金済金額を含む全テナント分の請求元明細データを生成する。この請求元明細データは、各テナントに対して請求予定の賃料(事務所賃料)を示す。この請求元明細データに基づいて、所定の入金期日である月末日前における各テナントのPMフィーを示すPMフィー仮請求明細データを生成する。また、前月に生成したPMフィー仮請求明細データと、今回生成したPMフィー仮請求明細データとを比較し、異常値の有無をチェックする。
【0021】
次に実施の形態の不動産管理装置1は、
図2(b)に示すように、PMフィー仮請求明細データに基づいて仮のPMフィーの計上仕訳、及び、月初での振替仕訳を作成する。
【0022】
次に、実施の形態の不動産管理装置1は、
図2(c)に示すように、翌月初において、各テナントからの入金が確定したタイミングで、最終的なPMフィーを計算し、
図2(d)に示すように最終的なPMフィーの計上仕訳を作成する。
【0023】
(PMフィーの計上処理の詳細)
以下、このようなPMフィーの計上処理を詳細に説明する。
【0024】
(PMフィー仮請求明細データの作成動作)
まず、
図3のフローチャートに、PMフィー仮請求明細データの作成動作の流れを示す。PMフィー仮請求明細データの作成する場合、業務オペレータは、入力装置6を介してオーナー送金調達データの作成画面の表示操作を行う。この表示操作を検出すると、表示制御部28は、ステップS1において、
図4に例示するオーナー送金調達データ作成画面を出力装置7に表示する。このオーナー送金調達データ作成画面は、積算年月の入力欄、計算基準の選択欄、計算対象日付の入力欄、及び、物件コードの入力欄等を備えている。
【0025】
計算基準の選択欄は、PMフィーの請求明細データを、過去の請求(請求予定)に基づいて行うか(請求ベース)又は入金結果に基づいて行うか(入金ベース)を選択するための選択欄である。この
図4の例は、「請求ベース」が選択された例である。計算対象日付の入力欄は、例えば「2021年10月1日~2021年10月31日」等のように、PMフィーの請求明細データの作成対象となる期間を入力するための入力欄である。物件コードの入力欄は、PMフィーの請求明細データの作成対象となるテナント(物件)を入力するための入力欄である。
【0026】
次に、ステップS2において、仮管理手数料データ生成部23が、オーナー送金調達データ作成画面の計算基準の選択欄の選択状態を参照することで、「請求ベース」が選択されているか否かを判別する。「入金ベース」が選択されている場合は、そのまま
図3のフローチャートの処理が終了となる。これに対して、「請求ベース」が選択されている場合(ステップS2:Yes)、ステップS3に処理が進む。
【0027】
ステップS3では、仮管理手数料データ生成部23が、請求元明細データに基づいて、PMフィー仮請求明細データを生成する。具体的には、このPMフィー仮請求明細データの生成に先立って、データ生成部22により、未入金を含め、各テナントに請求予定の事務所賃料を示す請求元明細データが生成される。この請求元明細データは、
図5(a)に示すように、「T0001」等のテナント固有のテナントコード、及び、「テナントA」等のテナント名を示す請求先情報、及び、「B0001」等の物件コード、及び、「Aビルディング(Aビル)」等の物件名を示す物件情報を含んで構成される。
【0028】
また、請求元明細データは、「H01」等の費目コード、及び、事務所賃料を示す費目情報を含んで構成される。また、請求元明細データは、「2021年10月31日」等の入金予定日と、「10000円」等の事務所賃料の請求金額と、「2021年10月31日」等の、実際の入金日と、「10000円」等の入金済金額を含んで構成される。
【0029】
仮管理手数料データ生成部23は、このような請求元明細データに基づいて、各ビルディングのオーナーに請求予定のPMフィーの仮の明細データである、
図5(c)に例示するPMフィー仮請求明細データを生成する。このPMフィー仮請求明細データは、
図5(c)に示すように、「O0001」等のオーナーコード及びオーナーA等のオーナー名を含む請求先情報、「B0001」等の物件コード及び「Aビル」等の物件名を含む物件情報を含んで構成される。また、PMフィー仮請求明細データは、「H11」等の費目コード、及び、「プロパティマネジメントフィー:PMフィー」等の費目名を含む費目情報、「2021年10月31日」等の計上日、及び、「1000円」等の金額を含んで構成される。
【0030】
費目コード及び費目名は、
図5(b)に例示する費目マスタ11を参照して入力される。すなわち、費目マスタ11には、
図5(b)に示すように「H11」等の費目コード、「プロパティマネジメントフィー:PMフィー」等の費目名、「売掛金」等の未収完了科目、「PMフィー収入」等の売上勘定科目、及び、「1:PMフィー」等のPMフィー区分が、それぞれ関連付けされて記憶されている。仮管理手数料データ生成部23は、この費目マスタ11を参照することで、PMフィー仮請求明細データの費目コード及び費目名を入力する。
【0031】
図5(c)に示すPMフィー仮請求明細データの「金額」は、物件単位のPMフィーの金額となっている。すなわち、
図5(a)の例の場合、実施の形態の不動産管理装置1を所有する不動産業者は、物件コードが「B0001」の「Aビル」のテナントA及びテナントBを管理している。例えば、テナントA及びテナントBの家賃は、それぞれ「10000円」であり、この家賃の5%の「500円」を、PMフィーとしてオーナーAに請求予定であるとする。このため、PMフィー仮請求明細データの「金額」としては、テナントA及びテナントBの各PMフィーを加算した金額(500円+500円=1000円)が、テナントA及びテナントBのAビルのオーナーに請求するPMフィーの金額として入力される。
【0032】
同様に、
図5(a)の例の場合、実施の形態の不動産管理装置1を所有する不動産業者は、物件コードが「B0003」の「Cビル」のテナントE及びテナントFを管理している。例えば、テナントE及びテナントFの家賃は、それぞれ「30000円」であり、この家賃の5%の「1500円」を、PMフィーとしてオーナーCに請求予定であるとする。このため、PMフィー仮請求明細データの「金額」としては、テナントE及びテナントFの各PMフィーを加算した金額(1500円+1500円=3000円)が、テナントE及びテナントFのCビルのオーナーに請求するPMフィーの金額として入力される。
【0033】
次に、ステップS4では、データ生成部22が、PMフィー仮請求明細データの各項目と、各テナントに対して請求した前月分のPMフィーの項目を含む、
図5(d)に示す請求増減表データを生成する。
図5(d)の例は、前月分のPMフィーとして、AビルのオーナーAに「1000円」が請求され、BビルのオーナーBに「2000円」が請求され、CビルのオーナーCに「1500円」が請求された例である。また、
図5(d)の例は、当月において、AビルのオーナーAに「1000円」、BビルのオーナーBに「2000円」、及び、CビルのオーナーCに「1500円」のPMフィーがそれぞれ請求される予定であることを示している。
【0034】
次に、ステップS5では、比較部27が、請求増減表データに含まれる当月分のPMフィーである仮PMフィー(=PMフィー仮請求明細データに含まれるPMフィー)と、前月分のPMフィーである、前月に入金されたPMフィーとを、物件毎に比較する(異常値のチェック処理)。データ生成部22は、ステップS6において、この比較結果を前月分及び今月分の「差額」として、
図5(d)に示す請求増減表データに入力して反映させる。
【0035】
図5(d)の請求増減表データの例は、AビルのオーナーAに対する当月分の仮PMフィーの金額が「1000円」であり、前月に請求されたPMフィーの金額が「1000円」であるため、比較部27による比較結果が「0円」となり、データ生成部22により、「0円」の差額が請求増減表データに入力された例である。同様に、
図5(d)の請求増減表データの例は、BビルのオーナーBに対する当月分の仮PMフィーの金額が「2000円」であり、前月に請求されたPMフィーの金額が「2000円」であるため、比較部27による比較結果が「0円」となり、データ生成部22により、「0円」の差額が請求増減表データに入力された例である。
【0036】
これに対して、CビルのオーナーCに対する当月分の仮PMフィーの金額は「3000円」であるのに対し、前月に請求されたPMフィーの金額は「1500円」である。このため、比較部27による比較結果は「1500円」となり、データ生成部22により、「1500円」の差額が請求増減表データに入力される。この請求増減表データは、業務オペレータにより表示指示操作が行われた際に、表示制御部28により、出力装置7に表示される。業務オペレータは、この差額を見ることで、当月分として算出された仮PMフィーの金額の異常の有無を判断する。
【0037】
ここで、CビルのオーナーCに対する当月分の仮PMフィーと、前月に請求されたPMフィーの差額となる「1500円」は、当月に新規契約が発生したことによる差額であるとする。この場合、業務オペレータにより、「1500円」の差額があっても「問題無し」と判断される。このように業務オペレータは、請求増減表データに含まれる差額に基づいて、当月分として算出された仮PMフィーの異常の有無を判断する。
【0038】
(会計データの作成動作)
次に、月末において、仮PMフィーの計上仕訳及び月初での振替仕訳を作成する会計データの作成動作を説明する。
図6のフローチャートに、月末における会計データの作成動作の流れを示す。業務オペレータにより会計データの作成が指定操作されると、表示制御部28は、ステップS11において、会計データ作成画面を出力装置7に表示する。
【0039】
図7に、会計データ作成画面の一例を示す。この
図7に示すように、会計データ作成画面は、仕訳種類の選択欄、事業者コードの選択欄、日付の入力欄等を備えている。このうち、仕訳種類の選択欄では、通常仕訳、及び、PMフィーの仮仕訳のいずれかを選択するようになっている。
図6のフローチャートは、月末にPMフィーの仮仕訳を行う例であるため、仕訳種類の選択欄において、業務オペレータにより、「仮仕訳(PMフィー)」が選択される。
【0040】
ステップS12では、仮管理手数料データ生成部23が、会計データ作成画面の仕訳種類の選択欄を参照することで、「仮仕訳(PMフィー)」が選択されているか否かを判別する。「仮仕訳(PMフィー)」が選択されていない場合は(ステップS12:No)、そのままこの
図3のフローチャートの処理が終了となる。
【0041】
「仮仕訳(PMフィー)」が選択されている場合(ステップS12:Yes)、仮管理手数料データ生成部23は、ステップS13において、
図8(a)に示すPMフィー仮請求明細データを生成する。なお、PMフィー仮請求明細データは、上述の「請求ベース」の選択時に生成されたPMフィー仮請求明細データを用いてもよい(
図5(c)参照)。
【0042】
次に、ステップS14では、「月末」において、期日前仕訳データ生成部24が、
図8(a)に例示するPMフィー仮請求明細データに基づき、
図8(b)に例示する仮計上伝票(黒伝票)を生成する。
【0043】
図8(b)に例示する仮計上伝票は、伝票番号、伝票日付、借方金額、借方科目、貸方科目、貸方金額、物件名、及び、取引先を含んで構成される。借方金額及び貸方金額は、
図8(a)に示したPMフィー仮請求明細データのオーナーA~オーナーCに対する金額が入力される。また、貸方科目は「売掛金」となり、貸方科目は「PMフィー収入」となる。
【0044】
次に、ステップS15では、「翌月初日」において、期日前仕訳データ生成部24が、仮計上伝票に対応する、
図8(c)に例示するようなマイナス分の振替伝票(赤伝票)を生成する。
図8(c)に例示する振替伝票は、伝票番号、伝票日付、借方金額、借方科目、貸方科目、貸方金額、物件名、及び、取引先を含んで構成される。借方金額及び貸方金額は、
図8(b)に示した仮計上伝票に対応して、「-1000円」等のようにマイナスの同金額が入力される。また、貸方科目は「売掛金」となり、貸方科目は「PMフィー収入」となる。
【0045】
このように生成された仮計上伝票データ、及び、振替伝票データは、実施の形態の不動産管理装置1にネットワークを介して接続されている会計サーバ装置の会計システムに計上され、又は、実施の形態の不動産管理装置1の記憶部2に記憶されている会計システムに計上される。
【0046】
このように、管理受託物件の管理手数料となるPMフィーを、入金前において、入金を想定して算出することで、経営者目線で売上を早期把握することができ、現状把握とそれに対する対策の検討を速やかに実行可能とすることができる。また、現場目線では、前月と比較した結果の異常値等を早い段階で検知することができる。
【0047】
また、月末に仮計上した伝票を、翌月初において自動的に振替処理できるため、ミスの影響を最小限に抑えることができる。
【0048】
(入金確定後における最終的なPMフィーの計上処理)
次に、翌月となると、各テナントから賃料(例えば事務所賃料)が入金される。このため、「入金ベース」の請求元明細データを作成する。
図9は、この翌月における入金ベースの請求元明細データの作成動作の流れを示すフローチャートである。まず、業務オペレータは、上述のオーナー送金調達データ作成画面の表示指定操作を行う。表示制御部28は、この表示指定操作が行われると、ステップS21において、
図10に例示するオーナー送金調達データ作成画面を出力装置7に表示する。
【0049】
次に、業務オペレータは、
図10に示すオーナー送金調達データ作成画面の計算基準の選択欄の「入金ベース」を選択操作する。ステップS22では、管理手数料データ生成部25が、計算基準の「入金ベース」が選択されたか否かを判別している。「入金ベース」の選択を検出すると(ステップS22:Yes)、データ生成部22は、ステップS23において、各テナントから入金された賃料に基づいて、翌月の月初に、
図11(a)に例示する請求元明細データを生成する。この
図11(a)の例は、AビルのテナントAの貸借人から、「2021年10月31日」に事務所賃貸料である「10000円」が入金され、AビルのテナントBの貸借人から、「2021年11月1日」に事務所賃貸料である「10000円」が入金された例を示している。
【0050】
また、この
図11(a)の例は、CビルのテナントEの貸借人から、「2021年10月31日」に事務所賃貸料である「30000円」が入金され、CビルのテナントFの貸借人に対する事務所賃貸料の請求金額は「30000円」であったが、月初において未入金となっている例を示している。
【0051】
次に、ステップS23では、管理手数料データ生成部25が、請求元明細データに基づいて、各ビルディングのオーナーに対して請求するPMフィーの明細データであるPMフィー請求明細データを生成する。具体的には、
図11(b)に示すように、管理手数料データ生成部25は、費目を「H11:プロパティマネジメントフィー」とし、計上日が月初となる「2021年11月1日」として、各ビルディングのオーナーに対して請求する「1000円」、「2500円」、「1500円」等のPMフィーのPMフィー請求明細データを生成する。
【0052】
(最終的なPMフィーの計上仕訳の作成動作)
次に、
図12は、最終的なPMフィーの計上仕訳の作成動作の流れを示すフローチャートである。上述のように「入金ベース」のPMフィー請求明細データを生成されると、業務オペレータは、会計データ作成画面の表示指定操作を行う。この会計データ作成画面の表示指定操作を検出すると、表示制御部28は、ステップS31において、
図13に例示する会計データ作成画面を出力装置7に表示する。業務オペレータは、この会計データ作成画面の「仕訳種類」の選択欄で「通常」の仕訳種類を選択する。
【0053】
この仕訳データ生成部26は、ステップS32で「通常」の仕訳種類が選択されたか否かを判別している。「通常」の仕訳種類が選択されると(ステップS32:Yes)、仕訳データ生成部26は、ステップS33において、
図14(a)に例示するPMフィー請求明細データに基づいて、
図14(b)に例示する計上伝票データを生成する。
【0054】
この計上伝票データは、伝票番号、伝票日付、借方金額、借方科目、貸方科目、貸方金額、物件名、及び、取引先を含んで構成される。伝票日付としては、月初の「2021年11月1日」が入力される。借方科目としては「売掛金」が、貸方科目としては「PMフィー収入」が入力される。また、取引先としては、「オーナーA」又は「オーナーB」等のように、取引先となる各ビルディングのオーナーの名前が入力される。このように生成された計上伝票データは、実施の形態の不動産管理装置1にネットワークを介して接続されている会計サーバ装置の会計システムに計上され、又は、実施の形態の不動産管理装置1の記憶部2に記憶されている会計システムに計上される。
【0055】
(実施の形態の効果)
以上の説明から明らかなように、実施の形態の不動産管理装置1は、管理受託物件の管理手数料となるPMフィーを、入金前において、入金を想定して算出できる。
【0056】
このため、経営者目線で売上を早期把握することができ、現状把握とそれに対する対策の検討を速やかに実行可能とすることができる。また、現場目線では、前月と比較した結果の異常値等を早い段階で検知することができる。
【0057】
また、月末に仮計上した伝票を、翌月初において自動的に振替処理できる。このため、ミスの影響を最小限に抑えることができる。
【0058】
[国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)への貢献]
本実施形態により、業務効率化や企業の適切な経営判断を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標8及び目標9に貢献することが可能となる。
【0059】
また、本実施形態により、廃棄ロス削減や、ペーパレス・電子化を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標12、目標13及び目標15に貢献することが可能となる。
【0060】
また、本実施形態により、統制、ガバナンス強化に寄与することができるので、SDGsの目標16に貢献することが可能となる。
【0061】
[他の実施の形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0062】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を手動的に行うこともでき、或いは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0063】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0064】
また、不動産管理装置1に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも図示の如く物理的に構成されていることを要しない。
【0065】
例えば、不動産管理装置1が備える処理機能、特に制御部3及び制御部3にて行われる各処理機能については、その全部又は任意の一部を、CPU(Central Processing Unit)および当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。なお、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて不動産管理装置1に機械的に読み取られる。すなわち、ROM又はHDD等の記憶部等には、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部3を構成する。
【0066】
また、この不動産管理装置1の不動産管理プログラムは、不動産管理装置1に対して任意のネットワークを介して接続された他のサーバ装置に記憶されていてもよく、必要に応じてその全部又は一部をダウンロードすることも可能である。
【0067】
また、本実施形態で説明した処理を実行するための不動産管理プログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto-Optical Disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、及び、Blu-ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0068】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコード又はバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施の形態に示した不動産管理装置1において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0069】
記憶部2は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、及び、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、及び、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0070】
また、不動産管理装置1は、既知のパーソナルコンピュータ装置又はワークステーション等の情報処理装置で構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された情報処理装置で構成してもよい。また、情報処理装置は、本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラム又はデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0071】
さらに、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部又は一部を、各種の付加等に応じて又は機能付加に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、不動産管理業に有用である。
【符号の説明】
【0073】
1 不動産管理装置
2 記憶部
3 制御部
4 通信インターフェース部
5 入出力インターフェース部
6 入力装置
7 出力装置
11 費目マスタ
21 入力処理部
22 データ生成部
23 仮管理手数料データ生成部
24 期日前仕訳データ生成部
25 管理手数料データ生成部
26 仕訳データ生成部
27 比較部
28 表示制御部