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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023121356
(43)【公開日】2023-08-31
(54)【発明の名称】船舶推進機および船舶
(51)【国際特許分類】
   B63H 21/21 20060101AFI20230824BHJP
   B63H 20/00 20060101ALI20230824BHJP
   F02D 29/02 20060101ALI20230824BHJP
【FI】
B63H21/21
B63H20/00 800
F02D29/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022024652
(22)【出願日】2022-02-21
(71)【出願人】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125254
【弁理士】
【氏名又は名称】別役 重尚
(74)【代理人】
【識別番号】100118278
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 聡
(72)【発明者】
【氏名】原 良輔
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 宏樹
【テーマコード(参考)】
3G093
【Fターム(参考)】
3G093AA19
3G093BA03
3G093BA05
3G093DA01
3G093DB11
3G093DB29
3G093EA01
3G093EA03
(57)【要約】
【課題】シフト切り替え時のエンジンストールを抑制する。
【解決手段】指令信号が取得され、指令信号に基づいて、前後進のシフトが制御され、船速Vが取得され、船速Vから船舶10の進行方向が判定される。船外機ECU40Aは、前後進切替機構44におけるシフト位置を、中立位置から、船舶10の進行方向とは反対方向に対応する位置に切り替える際に、船速Vに基づいてエンジン16の出力を増加させる補正制御を実行する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンを有する船舶推進機であって、
船舶に設けられたジョイスティックの操作に基づく指令信号を取得する第1の取得部と、
前記第1の取得部により取得された前記指令信号に基づいて、前後進のシフトを制御すると共に前記エンジンを制御する制御部と、
前記船舶の速度を取得する第2の取得部と、
前記第2の取得部により取得された前記船舶の速度から前記船舶の進行方向を判定する判定部と、を有し、
前記制御部は、前後進切替機構におけるシフト位置を、中立位置から、前記判定部により判定された前記船舶の進行方向とは反対方向に対応する位置に切り替える際に、前記第2の取得部により取得された前記船舶の速度に基づいて前記エンジンの出力を増加させる補正制御を実行する、船舶推進機。
【請求項2】
前記制御部は、前記補正制御を実行する際、前記船舶の速度と前記エンジンの目標出力を示す値との関係を示す情報と、取得された前記船舶の速度とに基づいて、前記エンジンの出力の増加量を決定する、請求項1に記載の船舶推進機。
【請求項3】
前記制御部は、前記エンジンの吸気量を制御することで前記補正制御を実行する、請求項1または2に記載の船舶推進機。
【請求項4】
前記制御部は、前記補正制御を実行する際、前記エンジンのアイドリング状態を保持するための基本吸気量に対して、取得された前記船舶の速度に応じた量を加算することで、前記エンジンの出力を増加させる、請求項3に記載の船舶推進機。
【請求項5】
前記エンジンの目標出力を示す値は、前記エンジンのアイドリング状態を保持するための基本吸気量に対する増加割合を示す係数であり、
前記制御部は、前記エンジンの吸気量を制御することで前記補正制御を実行し、
前記制御部は、前記補正制御を実行する際、取得された前記船舶の速度に対応する係数を前記基本吸気量に乗算することで、前記エンジンの出力を増加させる、請求項2に記載の船舶推進機。
【請求項6】
前記エンジンの目標出力を示す値は、前記エンジンのアイドリング状態を保持するための基本吸気量に対する加算量であり、
前記制御部は、前記エンジンの吸気量を制御することで前記補正制御を実行し、
前記制御部は、前記補正制御を実行する際、取得された前記船舶の速度に対応する加算量を前記基本吸気量に加算することで、前記エンジンの出力を増加させる、請求項2に記載の船舶推進機。
【請求項7】
前記制御部は、シフト位置が、中立位置から前記進行方向とは反対方向に対応する位置に切り替わったことが検出されたことに応じて、前記補正制御を開始する、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の船舶推進機。
【請求項8】
前記制御部は、シフト位置を、中立位置から前記進行方向とは反対方向に対応する位置に切り替えることを示す前記指令信号が前記第1の取得部により取得されたことに応じて、前記補正制御を開始する、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の船舶推進機。
【請求項9】
前記制御部は、シフト位置を、中立位置から前記進行方向とは反対方向に対応する位置に切り替えた後に、シフト位置が中立位置に切り替わったことが検出された場合は、前記補正制御を終了する、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の船舶推進機。
【請求項10】
前記制御部は、シフト位置を、中立位置から前記進行方向とは反対方向に対応する位置に切り替えた後に、取得された前記船舶の速度が所定速度を下回った場合は、前記補正制御を終了する、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の船舶推進機。
【請求項11】
前記第2の取得部は、測位衛星から取得された測位信号に基づいて前記船舶の速度を取得する、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の船舶推進機。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか1項に記載の船舶推進機を備える、船舶。
【請求項13】
エンジンを有する船舶推進機を備える船舶であって、
操作子と、
前記操作子の操作に基づく指令信号を取得する第1の取得部と、
前記第1の取得部により取得された前記指令信号に基づいて、前記船舶推進機の前後進のシフトを制御すると共に前記エンジンを制御する制御部と、
前記船舶の速度を取得する第2の取得部と、
前記第2の取得部により取得された前記船舶の速度から前記船舶の進行方向を判定する判定部と、を有し、
前記制御部は、前記船舶推進機の前後進切替機構におけるシフト位置を、中立位置から、前記判定部により判定された前記船舶の進行方向とは反対方向に対応する位置に切り替える際に、前記第2の取得部により取得された前記船舶の速度に基づいて前記エンジンの出力を増加させる補正制御を実行する、船舶。
【請求項14】
エンジンを有する複数の船舶推進機を備える船舶であって、
操作子と、
前記操作子の操作に基づく指令信号を取得する第1の取得部と、
前記第1の取得部により取得された前記指令信号に基づいて、前記船舶推進機の前後進のシフトを制御すると共に前記エンジンを制御する制御部と、
前記船舶の速度を取得する第2の取得部と、
前記第2の取得部により取得された前記船舶の速度から前記船舶の進行方向を判定する判定部と、を有し、
前記制御部は、複数の前記船舶推進機のうち、前後進切替機構におけるシフト位置が中立位置にある船舶推進機を対象として補正制御を実行し、
前記補正制御は、前記前後進切替機構におけるシフト位置を、中立位置から、前記判定部により判定された前記船舶の進行方向とは反対方向に対応する位置に切り替える際に、前記第2の取得部により取得された前記船舶の速度に基づいて前記エンジンの出力を増加させる制御である、船舶。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船舶推進機および船舶に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1、2に示されるように、主に航行中の船舶を制動する等のためにシフト位置が前進と後進とに切り替わった際のエンジンストールを抑止する技術が知られている。例えば、特許文献2の技術は、レバー操作によりシフト位置が前進と後進とに切り替えられた時点またはその直前から所定の期間において吸気量を増量する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-90055号公報
【特許文献2】特開平10-176560号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、シフト位置の切り替わりによりエンジンストールが生じるケースは、制動を要する場合に限られない。例えば、2以上の船舶推進機を有する船舶においては、個々の船舶推進機の制御部が、指令に基づいて独自にシフト位置およびエンジン出力を制御する。特に、ジョイスティックを用いたモードでは、要求されるシフト位置やエンジン出力が船舶推進機ごとに逐次変化する。
【0005】
例えば、船舶の回頭航行時には、一部の船舶推進機が推力を発生させ、他の船舶推進機ではシフト位置が中立位置となっていて推力を発生させないケースがある。また、船舶の横移動時には、一部の船舶推進機と他の船舶推進機とでシフト位置が逆となるケースもある。
【0006】
前方への推進力を発生させている第1の船舶推進機と、シフト位置が中立位置となっている第2の船舶推進機に着目すると、船舶の航行による水流によって、第2の船舶推進機のプロペラが正転方向に連れ回る。このように、中立シフト状態が継続している第2の船舶推進機に、ジョイスティックの操作に基づき後方への推力を発生させる要求が生じた場合、第2の船舶推進機の制御部がシフト位置を後進位置に切り替える。この場合、要求されるプロペラの回転方向は逆転方向であり、現在の連れ回り方向(正転方向)とは反対であるので、シフトショックと相まってエンジンに大きな負荷がかかり、エンジンストールに至る場合もある。このような状況は、特にジョイスティックを用いたモードでは頻繁に生じる可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の一態様による船舶推進機は、エンジンを有する船舶推進機であって、船舶に設けられたジョイスティックの操作に基づく指令信号を取得する第1の取得部と、前記第1の取得部により取得された前記指令信号に基づいて、前後進のシフトを制御すると共に前記エンジンを制御する制御部と、前記船舶の速度を取得する第2の取得部と、前記第2の取得部により取得された前記船舶の速度から前記船舶の進行方向を判定する判定部と、を有し、前記制御部は、前後進切替機構におけるシフト位置を、中立位置から、前記判定部により判定された前記船舶の進行方向とは反対方向に対応する位置に切り替える際に、前記第2の取得部により取得された前記船舶の速度に基づいて前記エンジンの出力を増加させる補正制御を実行する。
【0008】
この構成によれば、ジョイスティックの操作に基づく指令信号が取得され、前記指令信号に基づいて、前後進のシフトが制御されると共に前記エンジンが制御され、前記船舶の速度が取得され、取得された前記船舶の速度から前記船舶の進行方向が判定される。前後進切替機構におけるシフト位置を、中立位置から、前記判定部により判定された前記船舶の進行方向とは反対方向に対応する位置に切り替える際に、取得された前記船舶の速度に基づいて前記エンジンの出力を増加させる補正制御が実行される。これにより、中立位置から船舶の進行方向とは反対方向に対応する位置へのシフト切り替え時のエンジンストールが抑制される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、シフト切り替え時のエンジンストールを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】船舶推進機が適用される船舶の側面図である。
図2】船舶の主要な構成を示すブロック図である。
図3】前後進切替機構およびクラッチ機構の構成を説明するための模式的な部分拡大図である。
図4】前後進切替機構およびクラッチ機構の構成を説明するための模式的な部分拡大図である。
図5】前後進切替機構およびクラッチ機構の構成を説明するための模式的な部分拡大図である。
図6】補正テーブルの一例を示す図である。
図7】補正制御におけるシフト位置、吸気量およびエンジン回転数の遷移を示すタイミングチャートである。
図8】船外機制御処理を示すフローチャートである。
図9】補正テーブルの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0012】
図1は、本発明の一実施の形態に係る船舶推進機が適用される船舶の側面図である。この船舶10は、一例として滑走艇であり、船体11と、船体11に搭載される船舶推進機としての複数の船外機12(12A、12B、12C、12D)と、複数のトリムタブ13とを備えている。各船外機12は船体11の船尾に並べて取り付けられている。搭載される船外機12の数は問わない。船体11の操船席付近には、ステアリングホイール14が備えられる。
【0013】
各船外機12は、取付ユニット19を介して船体11に取り付けられ、主としてステアリングホイール14の操作に応じて取付ユニット19における略垂直なステアリング軸まわりに回動する。これにより、船舶10が操舵される。
【0014】
図2は、船舶10の主要な構成を示すブロック図である。船外機12に関しては、図2では主として駆動源の切り替えに係る制御系が示され、駆動源による駆動力の制御系の図示は省略されている。船外機12(12A、12B、12C、12D)はそれぞれ、船外機ECU(Electronic Control Unit)40(40A、40B、40C、40D)を有する。各船外機12の構成は互いに共通であるので、以下、特に区別の必要がない場合、船外機12に関しては代表して船外機12Aおよび船外機ECU40Aを説明する。
【0015】
船体11には、BCU(ボートコントローラユニット)50、リモコンECU51、ジョイスティック52、リモコン53、GNSS受信部54、各種操作部55が配置される。BCU50は、船舶10の全体を制御する。各種操作部55は、ステアリングホイール14(図1)のほか、設定操作子や表示部を含む。各種操作部55からの操作信号はBCU50に供給される。
【0016】
リモコン53は、中立位置から前進方向と後進方向とに操作可能な操作子である。通常操船モードにおいて、リモコン53の操作信号がリモコンECU51に供給される。リモコンECU51は、リモコン53の操作量や操作方向を示す指令信号を必要な船外機ECU40に出力する。例えば、船外機ECU40Aは、リモコン53の操作量に応じてエンジン16の回転速度を制御し、リモコン53の操作方向に応じてアクチュエータ25を制御する。これにより、船舶10の船速が調整されると共に、前後進が切り換えられる。
【0017】
ジョイスティック52は、船舶10を直感的に操縦するための操作子である。操船者は、船舶10がジョイスティックモードへ移行したときのみ、ジョイスティック52によって船舶10を操縦することができる。ジョイスティック52からの操作信号はBCU50に供給される。
【0018】
ジョイスティック52は前後左右に傾倒可能であり、また、基部に対して捻る(回転操作する)ことも可能である。BCU50は、各種操作部55からの操作信号およびジョイスティック52から操作信号に基づいて、船外機ECU40A~40Dをそれぞれどのように制御すべきかを判定する。そしてBCU50は、その判定結果に従って、船外機ECU40A~40Dのそれぞれに、必要な推力を発生させるための信号と、必要に応じてシフト切り替えを行うための信号とを、リモコンECU51を介して出力する。
【0019】
従って、通常操船モードではないジョイスティックモードにおいては、主としてジョイスティック52の操作に基づく指令信号が、リモコンECU51を介して各船外機ECU40に供給される。なお、指令信号には、船外機12をステアリング軸まわりに回動させる指令も含まれる。船外機12は、そのための操舵機構(図示せず)を備える。なお、船外機12をステアリング軸まわりに回動させるための外付けのステアリング装置が設けられていてもよい。
【0020】
GNSS受信部54は、測位衛星から測位信号を受信するGPSなどのGNSS(Global Navigation Satellite Systems)の受信機を含み、GPS信号などの測位信号を位置情報として受信する。GNSS受信部54で受信された位置情報は、船舶10の位置情報としてBCU50およびリモコンECU51を介して船外機ECU40A~40Dに供給される。
【0021】
船外機ECU40Aは、第1の取得部41と、第2の取得部42と、判定部43と、メモリ46とを有する。第1の取得部41、第2の取得部42および判定部43の各機能は、いずれも不図示のCPU、ROM、RAM、タイマ等の協働により実現される。このROMには、CPUによって実行される制御プログラムが格納されている。メモリ46は不揮発性の記憶媒体である。メモリ46には、後述する補正テーブル(図6)が格納されている。
【0022】
船外機12Aは、エンジン16と、プロペラ18が取り付けられたプロペラシャフト20と、該プロペラシャフト20に結合された軸状のシフトスライダ21とを有する。船外機12Aは、エンジン16の駆動力によって回転されるプロペラ18によって推進力を得る。
【0023】
また、船外機12Aは、エンジン16からプロペラシャフト20への駆動力の伝達、非伝達を切り替えるクラッチ機構22を有する。さらに、船外機12Aは、シフトスライダ21を軸方向に移動させるシフトリンク機構24と、シフトリンク機構24を駆動するアクチュエータ25と、アクチュエータ25を作動させる電気モータとしてのアクチュエータモータ26とを有する。プロペラ18は、プロペラシャフト20と共に正転方向または逆転方向に回転する。前後進切替機構44の詳細は図3図5で説明する。
【0024】
エンジン16は、一定の回転方向にドライブシャフト29を回転させる。前後進切替機構44は、正転方向の回転がドライブシャフト29からプロペラシャフト20に伝達される前進状態と、逆転方向の回転がドライブシャフト29からプロペラシャフト20に伝達される後進状態とに切り替わる。前後進切替機構44は、ドライブシャフト29からプロペラシャフト20への回転の伝達が遮断される中立状態にも切り替わる。
【0025】
図3図5は、前後進切替機構およびクラッチ機構の構成を説明するための模式的な部分拡大図である。
【0026】
前後進切替機構44は、シフトリンク機構24およびクラッチ機構22を含む。シフトリンク機構24は、シフトスライダ21、シフトロッド31、リンクアーム32、プッシャー33を含む。クラッチ機構22は、ドライブギヤ36、前進側ドリブンギヤ37、後進側ドリブンギヤ38、ドッグクラッチ39を含む。エンジン16とクラッチ機構22とはドライブシャフト29で連結されている。
【0027】
アクチュエータ25は、アクチュエータモータ26の作動によって発生する油圧を利用してシフトロッド31を上下動させる。なお、アクチュエータ25は、シフトモータの回転をボールねじによってシフトロッド31の上下動へ機械的に変換する構成であってもよい。
【0028】
シフトリンク機構24において、シフトロッド31がL字状のリンクアーム32の一端に接続される一方、シフトスライダ21の先端がプッシャー33を介してリンクアーム32の他端に接続される。リンクアーム32はシフトロッド31の上下動をプッシャー33の前後動へ変換することにより、シフトスライダ21を軸方向に移動させる。
【0029】
クラッチ機構22は、いずれもベベルギヤであるドライブギヤ36、前進側ドリブンギヤ37および後進側ドリブンギヤ38を有すると共に、円筒状のドッグクラッチ39を有する。ドライブギヤ36は、ドライブシャフト29の下端部に固定されてドライブシャフト29とともに回転する。前進側ドリブンギヤ37は、プロペラシャフト20を内包するように配置される。後進側ドリブンギヤ38は、前進側ドリブンギヤ37と正対するように配置される。ドッグクラッチ39は、プロペラシャフト20の軸方向(以下、単に軸方向という)において前進側ドリブンギヤ37と後進側ドリブンギヤ38との間に配置される。
【0030】
ドッグクラッチ39は、プロペラシャフト20を内包するように配置されるスリーブ状の部材である。ドッグクラッチ39の内周面には軸方向に延伸する複数の溝が設けられ、各溝は、プロペラシャフト20の外周から突出して軸方向に延伸する複数の突起と係合する。これにより、ドッグクラッチ39は、プロペラシャフト20とともに回転するとともに、プロペラシャフト20に対して軸方向へ相対的に移動することができる。前進側ドリブンギヤ37におけるドッグクラッチ39との対向面には複数の歯が設けられ、ドッグクラッチ39における前進側ドリブンギヤ37と対向する端部(前端)にも複数の歯が設けられる。また、後進側ドリブンギヤ38におけるドッグクラッチ39との対向面には複数の歯が設けられ、ドッグクラッチ39における後進側ドリブンギヤ38と対向する端部(後端)にも複数の歯が設けられる。なお、ドッグクラッチ39は、不図示の機構を介して、シフトリンク機構24により、シフトスライダ21とともに軸方向に移動される。
【0031】
クラッチ機構22では、前進側ドリブンギヤ37と後進側ドリブンギヤ38のいずれもがドライブギヤ36と常時係合し、ドライブギヤ36によってプロペラシャフト20の軸周りに回転駆動される。しかし、前進側ドリブンギヤ37及び後進側ドリブンギヤ38は間にドライブギヤ36を挟むように正対して配置されるため、前進側ドリブンギヤ37と後進側ドリブンギヤ38は互いに逆方向に回転する。
【0032】
このほか、図示しないが、船外機12Aは、スロットルアクチュエータ、燃料供給装置、エンジン16の回転速度を検出する速度センサ、スタータモータ等を備える。
【0033】
図3は、シフト状態が、エンジン16からの駆動力がプロペラ18へ伝達されない中立状態にある場合を示している。この中立状態では、シフトリンク機構24のシフトロッド31が上下に移動可能な範囲における中間位置に位置する。ドッグクラッチ39が前進側ドリブンギヤ37及び後進側ドリブンギヤ38のいずれとも係合しないように、シフトスライダ21及びドッグクラッチ39は、軸方向に移動可能な範囲における中間位置に位置する。
【0034】
図4は、シフト状態が、エンジン16からの駆動力がプロペラ18へ伝達される前進状態にある場合を示している。この前進状態では、シフトリンク機構24のシフトロッド31が上方へ移動する。ドッグクラッチ39の前端の歯が前進側ドリブンギヤ37の対向面の歯と係合するように、シフトスライダ21及びドッグクラッチ39が軸方向の前方(図中左方向)へ移動する。
【0035】
このとき、エンジン16の駆動力は、ドライブシャフト29、ドライブギヤ36、前進側ドリブンギヤ37、ドッグクラッチ39を介してプロペラシャフト20へ伝達され、プロペラ18を正回転させる。前進状態ではプロペラ18が正回転するため、船舶10は前進のみ行うことができる。
【0036】
図5は、シフト状態が、エンジン16からの駆動力がプロペラ18へ伝達される後進状態にある場合を示している。この後進状態では、シフトリンク機構24のシフトロッド31が下方へ移動する。ドッグクラッチ39の後端の歯が後進側ドリブンギヤ38の対向面の歯と係合するように、シフトスライダ21及びドッグクラッチ39が軸方向の後方(図中右方向)へ移動する。
【0037】
このとき、エンジン16の駆動力は、ドライブシャフト29、ドライブギヤ36、後進側ドリブンギヤ38、ドッグクラッチ39を介してプロペラシャフト20へ伝達され、プロペラ18を逆回転させる。後進状態ではプロペラ18が逆回転するため、船舶10は後進のみ行うことができる。
【0038】
リモコンECU51(図2)から各船外機ECU40に出力される指令信号は、主にジョイスティック52、リモコン53の操作に基づくものであり、シフトリクエストおよびスロットルリクエストを含む。シフトリクエストは、指令先の船外機12のシフト状態を、中立状態、前進状態、後進状態のいずれかへ切り替えることを指示する信号である。スロットルリクエストは、指令先の船外機12のエンジン16の目標の吸入空気量を指示する信号である。指令信号は第1の取得部41により取得される。
【0039】
船外機ECU40は、受信したシフトリクエストで示されるシフト量に対応するだけのアクチュエータモータ26の駆動量を要求するアクチュエータ駆動信号をアクチュエータモータ26へ送信する。アクチュエータ駆動信号を受信したアクチュエータモータ26は、要求された駆動量に従ってアクチュエータ25を作動させる。
【0040】
また、船外機ECU40は、受信したスロットルリクエストに対応する駆動信号をスロットルアクチュエータに送信し、それに応じてスロットルアクチュエータが駆動される。
【0041】
図2に示すように、アクチュエータ25は、シフト位置センサ45を有する。シフト位置センサ45は、シフトロッド31の位置を検出し、検出された位置をシフト位置情報としてアクチュエータモータ26を介して船外機ECU40Aへ送信する。シフト位置情報を受信した船外機ECU40Aは、当該シフト位置情報が示すシフト量とシフトリクエストにおけるシフト量とが一致するように制御する。
【0042】
ところで、各船外機12の船外機ECU40は、自身が受信した指令信号に基づいてエンジン16や前後進切替機構44を制御する。リモコンECU51を介して出力される指令信号の内容は、指令先の船外機12によって異なる場合がある。例えば、船舶10の回頭航行時や横移動時等には、一部の船外機12のみが推力を発生させているケースや、船外機12間でシフト位置が異なっているケースがある。ジョイスティックを用いたモードではこれらのケースが頻繁に生じる可能性がある。
【0043】
中立シフト状態が継続している船外機12に、シフト位置を前進または後進位置に切り替える指令が受信された場合、プロペラ18に要求される回転方向が現在の連れ回り方向とは反対となり、エンジン16に大きな負荷がかかる。本実施の形態では、このようなケースでのエンジンストールの発生を抑制するため、各船外機12の船外機ECU40が、補正制御(後述するステップ図8のステップS104)を実行する。実質的には、前後進切替機構44におけるシフト位置が中立位置にある船外機12が、補正制御の実行の対象となる。
【0044】
補正制御においては、制御部としての船外機ECU40は、前後進切替機構44におけるシフト位置を、中立位置から、船舶10の進行方向とは反対方向に対応する位置に切り替える際に、船舶10の航行速度(船速Vと記す)に基づいてエンジン16の出力を増加させる。
【0045】
図6は、補正テーブルの一例を示す図である。この補正テーブルは、船外機12ごとに実験等によって予め取得され、各メモリ46に格納されている。この補正テーブルは、横軸に船速Vをとり、縦軸に吸気量の増加割合(乗算係数K)をとったものである。乗算係数Kは、エンジン16の目標出力を示す値の一例であり、エンジン16のアイドリング状態を保持するための基本吸気量に対する増加割合を示す係数である。従って、船速Vによって定まる乗算係数Kによって、エンジン16の出力の増加量が決定される。補正制御において、船外機ECU40は、基本吸気量に乗算係数Kを乗算した値に目標の吸気量を設定することで、エンジン16の出力を適切な量だけ増加させる。
【0046】
補正テーブルにおいて、概ね船速Vの増加に伴って乗算係数Kは大きい値となる。ただし、船速Vが所定速度V1を下回る領域では、乗算係数Kが1.0となり、実質的に吸気量は増えない。
【0047】
本実施の形態においては、船速Vとして、船舶10自体の速度を採用する。すなわち、エンジン16の回転数から船速を推測する手法は採用しない。この推測する手法を採用すると正しい船速Vを取得できないからである。例えば、船舶10が航行中にシフト位置が中立位置にある船外機12では、エンジン16の回転から船速Vを認識することができない。
【0048】
GNSS受信部54で受信され、リモコンECU51を介して供給された船舶10の位置情報を第2の取得部42(図2)が受信したものが船速Vである。判定部43は、第2の取得部42により取得された船速Vから、船舶10の進行方向を判定する。
【0049】
図7は、補正制御におけるシフト位置、吸気量およびエンジン回転数の遷移を示すタイミングチャートである。船速Vは所定速度V1以上で一定であるとする。このタイミングチャートには、シフトリクエスト61、現在シフト位置62、エンジン回転数63、スロットル開度64、エンジン回転数65が示されている。
【0050】
エンジン回転数65はエンジン16の回転数である。現在シフト位置62は、シフト位置センサ45により検出された前後進切替機構44の現在のシフト位置である。シフトリクエスト61は、リモコンECU51から出力された指令信号に含まれる。スロットル開度64はエンジン16の吸気量を規定する。エンジン回転数63は、補正制御を適用しなかった場合のエンジン16の回転数であり、比較例として示されている。
【0051】
シフト位置を、中立位置から、船舶10の進行方向とは反対方向に対応するシフト位置に切り替えるシフトリクエストが取得された場合に、補正制御が実行される。時点T1は、後進位置または前進位置のうち船舶10の進行方向とは反対方向に対応するシフト位置(後進または前進位置)へのシフト切り替え(シフトリクエスト)を示す指令信号を第1の取得部41が取得(受信)した時点である。
【0052】
時点T2は、シフト位置センサ45により、シフト位置が、船舶10の進行方向とは反対方向に対応するシフト位置に切り替わった(後進(前進)シフトにINした)ことが検出された時点である。時点T3は、中立位置へのシフト切り替え(シフトリクエスト)を示す指令信号を第1の取得部41が取得(受信)した時点である。時点T4は、シフト位置センサ45により、シフト位置が後進位置または前進位置から中立位置に切り替わったことが検出された時点である。
【0053】
後進(前進)シフトにINすると(T2)、船外機ECU40は補正制御を開始し、エンジン16の出力を増加させるためにスロットル開度64を上昇させ、吸気量を増加させる。その際、船外機ECU40は、前述したように、補正テーブル(図6)を参照して船速Vに対応する乗算係数Kを求め、基本吸気量に乗算係数Kを乗算した値を目標の吸気量に設定する。そして船外機ECU40は、この目標の吸気量に対応したスロットル開度64となるようにスロットルアクチュエータを制御する。
【0054】
その後、時点T4が到来すると、船外機ECU40は補正制御を終了させる。すなわち船外機ECU40は、基本吸気量に対応したスロットル開度64となるようにスロットルアクチュエータを制御する。
【0055】
比較例(エンジン回転数63)においては、シフト位置が中立位置から前進または後進に移行する際に、シフトショックだけでなく、水流に起因する大きな負荷がエンジン16にかかり、エンジン16が停止に至っている。これに対し、本実施の形態では、中立位置から船舶10の進行方向とは反対方向に対応するシフト位置へ移行する際に吸気量を増加させることにより、エンジン回転数65の大きな低下が抑制される。すなわち、エンジン回転数65は、シフトショックにより一時的に低下するが、エンジン16の停止に至ることなく徐々に復帰している。
【0056】
よって、中立位置から、船舶10の進行方向とは反対方向に対応するシフト位置にシフトを切り替える際のエンジンストールを抑制することができる。
【0057】
図8は、船外機制御処理を示すフローチャートである。この船外機制御処理は、各船外機12の船外機ECU40により並行して実行される。ここでは、船外機12Aの船外機ECU40Aで実行される処理を例示する。この処理は、船外機ECU40Aにおいて、ROMに格納されたプログラムをCPUがRAMに展開して実行することにより実現される。この処理は、船外機12Aへ電源が供給されると開始される。
【0058】
ステップS101では、船外機ECU40Aは、その他の処理を実行する。ここでは、船外機ECU40Aは、各種操作部55の操作に応じた制御を実行する。例えば、通常操船モードやジョイスティックモードなどの設定・設定解除、補正制御の適用/非適用の設定等が実行される。補正制御が非適用に設定されると、ステップS103以降は実行されず、ステップS101とステップS102とが繰り返し実行される。
【0059】
ステップS102では、船外機ECU40Aは、通常制御を実行する。この通常制御では、船外機ECU40Aは、リモコンECU51から出力された指令信号(シフトリクエストおよびスロットルリクエスト等)に基づいて、前後進のシフトを制御すると共にエンジン16を制御する。従って、指令信号に応じてアクチュエータ25およびスロットルアクチュエータが駆動される。
【0060】
ステップS103では、船外機ECU40Aは、補正制御を開始するかどうかを決める開始条件が成立するか否かを判別する。すなわち、上述したように、シフト位置センサ45により、シフト位置が、後進・前進位置のうち船舶10の進行方向とは反対方向に対応するシフト位置に切り替わったことが検出された(時点T2が到来した)か否かを判別する。そして船外機ECU40Aは、開始条件が成立しない場合はステップS101に戻り、開始条件が成立した場合は、ステップS104で補正制御を開始する。
【0061】
なお、時点T1の到来を補正制御の開始条件としてもよい。すなわち、中立位置から船舶10の進行方向とは反対方向に対応するシフト位置に切り替えることを示す指令信号が第1の取得部41により取得されたことに応じて補正制御を開始してもよい。そのようにすれば、吸気量増加タイミングが早まるので、エンジンストールの抑制効果が高まる。
【0062】
船外機ECU40Aは、補正制御では、上述したように、補正テーブル(図6)を用いて、第2の取得部42により取得された船速Vに基づいてエンジン16の吸気量を増加させ、出力を増加させる。
【0063】
ステップS105では、船外機ECU40Aは、補正制御を終了するかどうかを決める終了条件が成立するまで待機する。すなわち船外機ECU40Aは、上述したように、シフト位置を、中立位置から船舶10の進行方向とは反対方向に対応する位置に切り替えた後に、シフト位置が中立位置に切り替わったことがシフト位置センサ45により検出された(時点T4が到来した)か否かを判別する。
【0064】
そして船外機ECU40Aは、終了条件が成立した場合は、ステップS106に進み、実行していた補正制御を終了させ、ステップS101に戻る。
【0065】
ここで、補正テーブル(図6)によれば、船速Vが所定速度V1未満(V<V1)となると乗算係数Kは1.0となり、目標の吸気量は基本吸気量と一致する。従って、実質的には補正制御が終了したのと同じ制御内容になる。
【0066】
なお、シフト位置を中立位置から船舶10の進行方向とは反対方向に対応する位置に切り替えた後にV<V1となったことと、時点T4が到来したこととの少なくともいずれかが生じたことを、補正制御の終了条件としてもよい。このようにすれば、時点T4前にV<V1が成立した場合でも補正制御は終了される。従って、仮に時点T4前に船速Vが所定速度V1付近を小刻みに上下するような状況であっても、吸気量増加の実施と非実施とが頻繁に繰り返されることが回避される。
【0067】
なお、時点T3の到来を、補正制御の終了条件としてもよい。
【0068】
本実施の形態によれば、船外機ECU40Aは、前後進切替機構44におけるシフト位置を、中立位置から、船舶10の進行方向とは反対方向に対応する位置に切り替える際に、船速Vに基づいてエンジン16の出力を増加させる補正制御を実行する。これにより、シフト切り替え時のエンジンストールを抑制することができる。
【0069】
特に、船速Vと乗算係数Kとが対応付けられた補正テーブルを用いて吸気量が制御される。その際、測位衛星から取得された測位信号に基づいて船速Vが取得されるので、中立位置から船舶10の進行方向とは反対方向に対応するシフト位置へ移行する際にエンジン16にかかる負荷に対応する適切な量の吸気量を増加させることができる。
【0070】
なお、ジョイスティックモードでは、シフトリクエストおよびスロットルリクエストが船外機12ごとに異なるケースが珍しくないため、ジョイスティック52の操作に基づく指令信号に基づいて補正制御することの効果が高い。しかしこれに限定されず、リモコン53の操作に基づく指令信号に基づいて補正制御を実行しても、エンジンストールを抑制する効果は得られる。
【0071】
なお、補正テーブル(図6)の縦軸は乗算係数Kであり、基本吸気量に乗算係数Kを乗算することで、実質的に、必要な吸気量が基本吸気量に対して加算された。しかし、補正テーブルはこれに限られず、図9に示すものを採用してもよい。
【0072】
図9は、変形例の補正テーブルを示す図である。縦軸には、基本吸気量に対して加算すべき加算量αをとっている。加算量αは、エンジン16の目標出力を示す値の一例である。
【0073】
補正制御において、船外機ECU40Aは、船速Vに対応する加算量αを基本吸気量に加算した値に目標の吸気量を設定することで、エンジン16の出力を適切な量だけ増加させる。この補正テーブルにおいて、概ね船速Vの増加に伴って加算量αは大きい値となる。ただし、船速Vが所定速度V1を下回る領域では、加算量αが0となり、実質的に吸気量は増えない。
【0074】
なお、このほか、補正テーブルに代えて、船速Vとエンジン16の目標出力を示す値との対応関係を示す関数を用いてもよい。
【0075】
本実施の形態では、補正制御において、吸気量を増加させることでエンジンの出力を増加させた。しかし、これ以外の手法を採用してもよい。例えば、燃料の噴射時期や点火プラグの点火時期を制御(進角)する手法を採用してもよい。
【0076】
上記補正制御は、実質的に、複数の船外機12のうち、前後進切替機構44におけるシフト位置が中立位置にあるものを対象として適用される。この観点から、BCU50が複数の船外機12を統括的に制御し、上記補正制御を船外機12ごとに実行してもよい。つまり、制御部としてのBCU50は、補正制御の開始条件が成立した船外機12に対して、ステップS104~S106の処理を実行する。あるいは、BCU50は、補正制御の開始条件が成立した船外機12に対して、ステップS104~S106の処理の実行を指示してもよい。
【0077】
あるいは、複数の船外機12のうち特定の1つ(例えば、船外機12A)が、自身およびその他の船外機12を統括的に制御し、上記補正制御を船外機12ごとに実行してもよい。
【0078】
本発明が適用される船舶推進機は船外機に限られず、前後進切替機構を備えるものであればよい。従って、船内外機(スターンドライブ、インボードモータ・アウトボードドライブ)や船内機(インボードモータ)にも本発明を適用することができる。
【0079】
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0080】
10 船舶、 16 エンジン、 40 船外機ECU、 44 前後進切替機構、 41 第1の取得部、 42 第2の取得部、 43 判定部、 52 ジョイスティック
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9