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特開2023-121361積付位置計画情報補正プログラム、積付位置計画情報補正方法、積付位置計画装置、およびパレタイズロボット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023121361
(43)【公開日】2023-08-31
(54)【発明の名称】積付位置計画情報補正プログラム、積付位置計画情報補正方法、積付位置計画装置、およびパレタイズロボット
(51)【国際特許分類】
   B65G 61/00 20060101AFI20230824BHJP
   B65G 57/03 20060101ALI20230824BHJP
【FI】
B65G61/00
B65G57/03
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022024659
(22)【出願日】2022-02-21
(71)【出願人】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】小熊 祐司
(72)【発明者】
【氏名】松本 拓哉
【テーマコード(参考)】
3F029
【Fターム(参考)】
3F029AA04
3F029AA05
3F029AA08
3F029BA01
3F029CA00
3F029DA01
3F029DA21
(57)【要約】
【課題】生成された荷物の積付位置計画の情報を、荷物がより安定した状態で積み付けられるように補正することが可能な積付位置計画情報補正プログラム、積付位置計画情報補正方法、積付位置計画装置、およびパレタイズロボットを提供する。
【解決手段】積付位置計画装置1は、積付対象の複数物体に対応するアイテム情報を、積付先の容器に対応する容器情報内の所定位置に割り当てることで、容器内における物体の積付位置を示した積付位置計画情報を取得し、取得した積付位置計画情報内のアイテム情報の中から移動対象の第1アイテム情報を選択し、選択した第1アイテム情報の割り当て位置を、容器情報の中心、選択したアイテム情報を下部から支持する第2アイテム情報の中心、または第2アイテム情報の端部に向って、容器情報に対して水平方向に移動させて積付位置計画情報を補正する積付位置計画情報補正部23を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータに、
積付対象の複数物体に対応するアイテム情報を、積付先の容器に対応する容器情報内の所定位置に割り当てることで、前記容器内における前記物体の積付位置を示した積付位置計画情報を取得する積付位置計画情報取得機能と、
取得した前記積付位置計画情報内のアイテム情報の中から移動対象の第1アイテム情報を選択し、選択した前記第1アイテム情報の割り当て位置を、前記容器情報の中心、前記移動対象のアイテム情報を下部から支持する第2アイテム情報の中心、または前記第2アイテム情報の端部に向って、前記容器情報に対して水平方向に移動させて前記積付位置計画情報を補正する積付位置計画情報補正機能と、
を実行させるための積付位置計画情報補正プログラム。
【請求項2】
前記積付位置計画情報取得機能では、前記第1アイテム情報の端部が、前記容器情報の端部または前記第2アイテム情報の端部を超えないように、前記アイテム情報の割り当て位置を移動させる、請求項1に記載の積付位置計画情報補正プログラム。
【請求項3】
前記積付位置計画情報補正機能では、前記積付位置計画情報内において、所定のアイテム情報を移動させる際に同時に移動が必要になるアイテム情報を、前記所定のアイテム情報に依存する「子」のアイテム情報として認識し、前記「子」のアイテム情報を移動させる際に同時に移動が必要になるアイテム情報を、前記所定のアイテム情報の「子孫」のアイテム情報として認識し、前記所定のアイテム情報を、前記「子」のアイテム情報に対する「親」のアイテム情報として認識するとともに前記「子孫」のアイテム情報に対する「祖先」のアイテム情報として認識することで、複数のアイテム情報間の依存関係を認識し、
所定の移動可否判定対象のアイテム情報の「子」のアイテム情報または「子孫」のアイテム情報から「親」のアイテム情報および「祖先」のアイテム情報をたどるすべての経路が、前記移動可否判定対象のアイテム情報を経由する場合に、前記移動可否判定対象のアイテム情報の割り当て位置を移動可能と判定する
請求項1または2に記載の積付位置計画情報補正プログラム。
【請求項4】
積付対象の複数物体に対応するアイテム情報を、積付先の容器に対応する容器情報内の所定位置に割り当てることで、前記容器内における前記物体の積付位置を示した積付位置計画情報を取得し、
前記積付位置計画情報内のアイテム情報の中から移動対象の第1アイテム情報を選択し、選択した第1アイテム情報の割り当て位置を、前記容器情報の中心、前記選択したアイテム情報を下部から支持する第2アイテム情報の中心、または前記第2アイテム情報の端部に向って、前記容器情報に対して水平方向に移動させて前記積付位置計画情報を補正する、積付位置計画情報補正方法。
【請求項5】
積付対象の複数物体に対応するアイテム情報を、積付先の容器に対応する容器情報内の所定位置に割り当てることで、前記容器内における前記物体の積付位置を示した積付位置計画情報を取得する積付位置計画情報取得部と、
前記積付位置計画情報内のアイテム情報の中から移動対象の第1アイテム情報を選択し、選択した第1アイテム情報の割り当て位置を、前記容器情報の中心、前記選択したアイテム情報を下部から支持する第2アイテム情報の中心、または前記第2アイテム情報の端部に向って、前記容器情報に対して水平方向に移動させて前記積付位置計画情報を補正する積付位置計画情報補正部と、を備えた積付位置計画装置。
【請求項6】
請求項5に記載の積付位置計画装置を搭載し、
前記積付位置計画情報補正部で補正された積付位置計画情報に基づいて、前記積付位置計画情報取得部が取得した積付位置計画情報に基づいて前記容器に積み付けられた物体のうち、該当する積付位置計画情報が補正されたアイテム情報に対応する物体の積付位置を補正する動作機構、を備えたパレタイズロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、積付位置計画情報補正プログラム、積付位置計画情報補正方法、積付位置計画装置、およびパレタイズロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
物流システムにおいては、パレット等の容器に複数個の荷物を積み付けて移動させることで、効率良く荷物の搬送を行っている。その際、パレットに対して単一種類の荷物を積み付ける単載を行うとは限らず、複数種類の荷物を積み付ける複載を行う場合もある。単載の場合は、予め好適な荷物の積付パターンを決めておくことで、複数のパレットに対してこの積付パターンで効率良く積付作業を行うことができる。しかし混載の場合は、荷物の種類や数によって好適な積付パターンが異なるため、パレットごとに荷物の積付位置計画を行う必要がある。
【0003】
混載の積み付け作業は、主に作業員が荷物の種類や数を認識して試行錯誤することで行っているため、積付位置計画の優劣や作業時間が作業者によって異なる、試行錯誤を伴う作業を行うことで荷物が劣化したり破損したりする恐れがある、などの問題点がある。
【0004】
これに鑑み、パレットに対する荷物の積付位置計画を自動算出する技術が開示されている(例えば、特許文献1)。この技術では、積み付け対象の荷物の種類に基づいて、パレットに複数種類の荷物を混載するための各荷物の積付位置を算出する。この技術を用いることで、パレットに複数種類の荷物を混載する場合に、効率良く積み付け作業を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-83486号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の特許文献1に記載された技術では、効率良く積付位置計画を立てるために、新たな荷物の積付位置をパレット上の空き空間内の隅の位置、例えば左奥等に限定して、積付位置計画情報を生成している。しかし、このようにして生成された積付位置計画に基づいて荷物を積み付けると、パレット上で荷物が不安定な状態になり、パレットを移動させる際に荷崩れが発生する場合があるという問題があった。
【0007】
本開示は上記事情に鑑みてなされたものであり、生成された荷物の積付位置計画の情報を、荷物がより安定した状態で積み付けられるように補正するための積付位置計画情報補正プログラム、積付位置計画情報補正方法、積付位置計画装置、およびパレタイズロボットの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る積付位置計画情報補正プログラムは、コンピュータに、積付対象の複数物体に対応するアイテム情報を、積付先の容器に対応する容器情報内の所定位置に割り当てることで、前記容器内における前記物体の積付位置を示した積付位置計画情報を取得する積付位置計画情報取得機能と、取得した前記積付位置計画情報内のアイテム情報の中から移動対象の第1アイテム情報を選択し、選択した前記第1アイテム情報の割り当て位置を、前記容器情報の中心、前記移動対象のアイテム情報を下部から支持する第2アイテム情報の中心、または前記第2アイテム情報の端部に向って、前記容器情報に対して水平方向に移動させて前記積付位置計画情報を補正する積付位置計画情報補正機能とを実行させる。
【0009】
前記積付位置計画情報取得機能では、前記第1アイテム情報の端部が、前記容器情報の端部または前記第2アイテム情報の端部を超えないように、前記アイテム情報の割り当て位置を移動させてもよい。
【0010】
前記積付位置計画情報補正機能では、前記積付位置計画情報内において、所定のアイテム情報を移動させる際に同時に移動が必要になるアイテム情報を、前記所定のアイテム情報に依存する「子」のアイテム情報として認識し、前記「子」のアイテム情報を移動させる際に同時に移動が必要になるアイテム情報を、前記所定のアイテム情報の「子孫」のアイテム情報として認識し、前記所定のアイテム情報を、前記「子」のアイテム情報に対する「親」のアイテム情報として認識するとともに前記「子孫」のアイテム情報に対する「祖先」のアイテム情報として認識することで、複数のアイテム情報間の依存関係を認識し、所定の移動可否判定対象のアイテム情報の「子」のアイテム情報または「子孫」のアイテム情報から「親」のアイテム情報および「祖先」のアイテム情報をたどるすべての経路が、前記移動可否判定対象のアイテム情報を経由する場合に、前記移動可否判定対象のアイテム情報の割り当て位置を移動可能と判定してもよい。
【0011】
また、本開示に係る積付位置計画情報補正方法は、積付対象の複数物体に対応するアイテム情報を、積付先の容器に対応する容器情報内の所定位置に割り当てることで、前記容器内における前記物体の積付位置を示した積付位置計画情報を取得し、前記積付位置計画情報内のアイテム情報の中から移動対象の第1アイテム情報を選択し、選択した第1アイテム情報の割り当て位置を、前記容器情報の中心、前記選択したアイテム情報を下部から支持する第2アイテム情報の中心、または前記第2アイテム情報の端部に向って、前記容器情報に対して水平方向に移動させて前記積付位置計画情報を補正する。
【0012】
また、本開示に係る積付位置計画装置は、積付対象の複数物体に対応するアイテム情報を、積付先の容器に対応する容器情報内の所定位置に割り当てることで、前記容器内における前記物体の積付位置を示した積付位置計画情報を取得する積付位置計画情報取得部と、前記積付位置計画情報内のアイテム情報の中から移動対象の第1アイテム情報を選択し、選択した第1アイテム情報の割り当て位置を、前記容器情報の中心、前記選択したアイテム情報を下部から支持する第2アイテム情報の中心、または前記第2アイテム情報の端部に向って、前記容器情報に対して水平方向に移動させて前記積付位置計画情報を補正する積付位置計画情報補正部とを備える。
【0013】
また本開示に係るパレタイズロボットは、前記積付位置計画装置を搭載し、前記積付位置計画情報補正部で補正された積付位置計画情報に基づいて、前記積付位置計画情報取得部が取得した積付位置計画情報に基づいて前記容器に積み付けられた物体のうち、該当する積付位置計画情報が補正されたアイテム情報に対応する物体の積付位置を補正する動作機構を備える。
【発明の効果】
【0014】
本開示の積付位置計画情報補正プログラム、積付位置計画情報補正方法、積付位置計画装置、およびパレタイズロボットによれば、生成された荷物の積付位置計画の情報を、荷物がより安定した状態で積み付けられるように補正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】一実施形態に係る積付位置計画装置の構成を示すブロック図である。
図2】一実施形態に係る積付位置計画装置の動作を示すフローチャートである。
図3】(a)は、一実施形態に係る積付位置計画装置がパレットPにアイテム情報AおよびBを割り当てて生成した積付位置計画情報の一例を上から見た図であり、(b)は、(a)の積付位置計画情報に基づいて生成した有向グラフである。
図4】一実施形態に係る積付位置計画装置が実行する積付位置計画情報の補正処理の流れを示すフローチャートである。
図5】(a)は、一実施形態に係る積付位置計画装置がパレットPにアイテム情報A、BおよびCを割り当てて生成した積付位置計画情報の一例を横から見た図であり、(b)は、(a)の積付位置計画情報に基づいて生成した有向グラフである。
図6】(a)は、一実施形態に係る積付位置計画装置がパレットPにアイテム情報A、B、C、およびDを割り当てて生成した積付位置計画情報の一例を横から見た図であり、(b)は、(a)の積付位置計画情報に基づいて生成した有向グラフである。
図7】(a)は、一実施形態に係る積付位置計画装置がパレットPにアイテム情報A、BおよびCを割り当てて生成した積付位置計画情報の他の例を横から見た図であり、(b)は、(a)の積付位置計画情報に基づいて生成した有向グラフである。
図8】(a)は、一実施形態に係る積付位置計画装置がパレットPにアイテム情報A、B、C、D、およびEを割り当てて生成した積付位置計画情報の一例を横から見た図であり、(b)は、(a)の積付位置計画情報に基づいて生成した有向グラフである。
図9】(a)は、一実施形態に係る積付位置計画装置がパレットPにアイテム情報A、B、C、D、およびEを割り当てて生成した積付位置計画情報の他の例を横から見た図であり、(b)は、(a)の積付位置計画情報に基づいて生成した有向グラフである。
図10】(a)は、一実施形態に係る積付位置計画装置がパレットPにアイテム情報A、B、C、D、およびEを割り当てて生成した積付位置計画情報の他の例を上から見た図であり、(b)は、(a)の積付位置計画情報に基づいて生成した有向グラフである。
図11】(a)は、一実施形態に係る積付位置計画装置が積付位置計画情報内の移動対象のアイテム情報Fの中心をパレットPの中心に合わせて移動させた状態を示す図、(b)は、移動対象のアイテム情報Fの中心を、アイテム情報Fを下部方向から支持するアイテム情報Aの中心に合わせて移動させた状態を示す図、(C)は、移動対象のアイテム情報F内の複数のアイテム情報それぞれを、これらを下部方向から支持するアイテム情報Aの異なる位置の端部に向かうように移動させた状態を示す図である。
図12】一実施形態に係る積付位置計画装置が積付位置計画情報内の移動対象のアイテム情報AおよびFの中心をパレットPの中心に合わせて移動させた状態を示す図である。
図13】(a)は、一実施形態に係る積付位置計画装置が、補正前の積付位置計画情報に基づいて生成した画像情報の一例であり、(b)は、(a)に示す積付位置計画情報を補正した状態について生成した画像情報の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下の実施形態では、物流システムにおいて、複数の段ボール箱等の直方体の荷物をパレット等の容器に積み付けて搬送する際の荷物の積付位置の計画情報を生成する積付位置決定処理について説明する。本実施形態において、段ボール箱等の荷物が積付位置決定処理対象の物体であり、パレットが積付先の容器である。
【0017】
〈一実施形態による積付位置計画装置の構成〉
一実施形態による積付位置計画装置の構成について、図1を参照して説明する。本実施形態による積付位置計画装置1は、入力部10と、CPU20と、積付位置計画情報記憶部30と、出力部40とを備える。
【0018】
入力部10は、例えば利用者が操作するマウス、キーボード、または、物流システム全体を統括する上位システムとの通信を行う通信手段で構成される。入力部10は、荷物の積付位置の計画情報を生成するための情報として、積付対象の複数の荷物に関する情報と、積付先のパレットに関する情報を、利用者の操作情報または上位システムから送信される情報に基づいて入力する。具体的には、入力部10は、積付対象の荷物に関する情報および積付先のパレットの情報として、それぞれ種別ごとの数量、形状および大きさの情報を入力する。
【0019】
CPU20は、予め搭載されたプログラムを実行することで動作し、入力情報取得部21と、積付位置計画情報生成部22と、積付位置計画情報補正部23と、出力情報生成部24とを有する。
【0020】
入力情報取得部21は、入力部10から入力された積付対象の荷物に関する情報を、各荷物に対応するアイテム情報として取得する。また入力情報取得部21は、入力部10から入力された積付先のパレットに関する情報を、容器情報(パレット情報)として取得する。
【0021】
積付位置計画情報生成部22は、入力情報取得部21が取得した情報に基づいて、所定のアイテム情報をパレット情報上の空き空間情報内に割り当てることで、当該アイテム情報に対応する荷物に関し、積付先のパレット上における積付位置を決定する。積付位置計画情報生成部22は、積付位置が決定した荷物に対応するアイテム情報のパレット情報上における割り当て位置を当該アイテム情報に付加して、積付位置計画情報として積付位置計画情報記憶部30に記憶させる。
【0022】
積付位置計画情報補正部23は、積付位置計画情報記憶部30に記憶された積付位置計画情報を補正する指示を取得すると、積付位置計画情報取得部として機能して積付位置計画情報記憶部30から積付位置計画情報を取得する。また積付位置計画情報補正部23は、取得した積付位置計画情報から移動対象のアイテム情報を特定し、特定したアイテム情報の割り当て位置を補正する。
【0023】
出力情報生成部24は、積付位置計画情報記憶部30に記憶されたアイテム情報に付加された積付位置の情報に基づいて、決定された積付位置計画情報に関する出力情報を生成して出力部40に出力させる。
【0024】
積付位置計画情報記憶部30は、積付位置決定処理が実行済みのアイテム情報に対して決定された、積付位置を示す情報を記憶する。
【0025】
出力部40は、出力情報生成部24が生成した出力情報を、プリンタによる印字、表示画面への表示、AR(Augmented Reality)ディスプレイへの表示、上位システムへのデータ送信等により、出力する。
【0026】
〈一実施形態による積付位置計画装置の動作〉
次に、本実施形態による積付位置計画装置の動作について、図2のフローチャートを参照して説明する。まず、積付位置計画装置1が、利用者の操作または上位システムからの情報送信により、荷物の積付位置の計画情報の生成を指示する情報を取得すると、入力部10が当該情報をCPU20に入力する。
【0027】
CPU20は、入力部10から入力された荷物の積付位置の計画情報の生成を指示する情報を入力情報取得部21が取得し、積付位置計画情報生成部22に送出する。積付位置計画情報生成部22は、当該指示に従って、前回の積付位置計画情報の生成処理により生成されて積付位置計画情報記憶部30に記憶されている積付位置計画情報を削除して、積付位置計画情報記憶部30を初期化する(S1)。
【0028】
次に、利用者の操作または上位システムからの情報送信により、荷物の積付位置の計画情報を生成するための条件として、積付対象の荷物に関する情報および積付先のパレットの情報が入力部10から入力される。具体的には、積付対象の荷物に関する情報として、種別ごとの数量、形状および大きさ(幅、奥行き、および高さ)の情報が入力され、積付先のパレットの情報として、数量、形状、および積付に使用可能な内寸(幅、奥行き)の情報が入力される。
【0029】
入力情報取得部21は、入力部10から入力された積付対象の荷物に関する情報を、各荷物に対応するアイテム情報として取得する。ここで、1つのアイテム情報は必ずしも1つの荷物に対応していなくても良く、隣接する複数の荷物に対応する複数のアイテム情報を含む最小の直方体を、該当する複数の荷物に対応する1つのアイテム情報として扱ってもよい。また入力情報取得部21は、入力部10から入力された積付先のパレットに関する情報を、容器情報(パレット情報)として取得する。
【0030】
次に、積付位置計画情報生成部22が、入力情報取得部21が取得した情報に基づいて、所定のアイテム情報をパレット情報の空き空間情報内に割り当てることで、当該アイテム情報に対応する荷物に関し、積付先のパレット上における積付位置を決定する。積付位置計画情報生成部22がパレット上における荷物の積付位置を決定する手法については、既知の技術を用いることができる。積付位置計画情報生成部22は、決定した荷物の積付位置の情報を、該当する荷物の積付位置計画情報として取得する。
【0031】
積付位置計画情報生成部22は、各荷物の積付位置計画情報として、パレット情報内の所定位置を原点とする、該当するアイテム情報内の所定位置の座標を取得する。図3(a)は、パレット情報Pの左奥の角に荷物αに対応するアイテム情報Aの角を合わせて割り当て、アイテム情報Aの水平方向の手前左端に荷物βに対応するアイテム情報Bを合わせて割り当てた状態を上から見た図である。この場合、積付位置計画情報生成部22は、パレット情報Pの左奥の角を原点p(0,0)とし、幅方向をx軸、奥行き方向をy軸とした場合のアイテム情報Aの左奥の角の座標a(0,0)を、荷物αの積付位置計画情報として取得する。また積付位置計画情報生成部22は、同様に、アイテム情報Bの左奥の角の座標b(x1,0)を、荷物βの積付位置計画情報として取得する。
【0032】
積付位置計画情報生成部22は、決定した各荷物の積付位置計画情報である座標の情報を該当するアイテム情報に付加して、積付位置計画情報記憶部30に記憶させる(S3)。
【0033】
次に、出力情報生成部24が、積付位置計画情報記憶部30に記憶された各アイテム情報の積付位置の情報に基づいて、生成された積付位置計画情報の画像情報を出力情報として生成して出力部40に出力させる。積み付け作業者は、出力された積付位置計画情報の画像情報に基づいて、パレットに荷物を積み付ける。
【0034】
ここで、積み付けた荷物がパレット上で不安定な状態であることを認識した利用者が、積付位置計画情報の補正を指示する操作を行うと、入力部10が当該操作情報をCPU20に入力する。
【0035】
積付位置計画情報の補正を指示する操作情報を取得すると(S5の「YES」)、積付位置計画情報補正部23が、積付位置計画情報記憶部30に記憶されている積付位置計画情報の補正処理を実行する(S6)。
【0036】
積付位置計画情報補正部23には、補正処理の条件(1)として、後述するように選択する移動対象のアイテム情報の座標を、x軸の正方向およびy軸の正方向にのみ、移動可能であることが設定されている。つまり積付位置計画情報補正部23は、座標の原点であるパレット情報の左奥から離れる方向に、アイテム情報を移動させることが可能である。パレット情報内の左奥以外の他の角を原点として設定した場合には、積付位置計画情報補正部23には、当該原点から離れる方向にアイテム情報を移動可能として補正処理の条件(1)が設定される。
【0037】
また補正処理の条件(2)として、積付位置計画情報補正部23には、移動対象のアイテム情報の端部がパレット情報の端部を超えないように、当該アイテム情報を移動可能であることが設定されている。また積付位置計画情報補正部23には、移動対象のアイテム情報が他のアイテム情報の上部に重ねられている場合には、移動対象のアイテム情報の端部が当該他のアイテム情報の端部を超えないように移動可能であることが設定されている。
【0038】
図4は、積付位置計画情報補正部23が実行する、積付位置計画情報の補正処理の流れを示すフローチャートである。積付位置計画情報補正部23は、積付位置計画情報の補正処理を開始すると、積付位置計画情報記憶部30に記憶された積付位置計画情報を取得する(S61)。
【0039】
次に積付位置計画情報補正部23は、取得した積付位置計画情報に基づいて、アイテム情報間の依存関係を判定する(S62)。ここで、アイテム情報間の依存関係とは、異なる2つのアイテム情報の位置関係を示すものである。
【0040】
図3(a)のように2次元的な配置でアイテム情報AおよびBを割り当てた積付位置計画情報において、積付位置計画情報補正部23は、アイテム情報Aをy軸方向に移動させる際にそれに伴ってアイテム情報Bも同時に動かす必要がある。この場合、積付位置計画情報補正部23は、「アイテム情報Bはアイテム情報Aに依存する」と判定する。このときアイテム情報Bは、アイテム情報Aに対して水平方向に依存している。以降、このように判定した依存関係を「A→B」と記載する。
【0041】
積付位置計画情報補正部23は、図3(a)の積付位置計画情報から判定した依存関係「A→B」の情報に基づいて、図3(b)のように「A」および「B」をノードとし、ノード「A」からノード「B」への依存方向をエッジで示した有向グラフを生成する。
【0042】
また積付位置計画情報補正部23は、依存関係が「A→B」である場合、アイテム情報Bをアイテム情報Aに依存する「子」のアイテム情報として認識し、アイテム情報Bに依存するアイテム情報をアイテム情報Aの「子孫」のアイテム情報として認識する。また積付位置計画情報補正部23は、アイテム情報Aを、アイテム情報Bに対する「親」のアイテム情報として認識するとともに上述した「子孫」のアイテム情報に対する「祖先」のアイテム情報として認識する。このようにして積付位置計画情報補正部23は、積付位置計画情報内の複数のアイテム情報間の依存関係を認識する。
【0043】
図5(a)は、パレット情報P上にアイテム情報A、B、およびCを3次元的な配置で割り当てて生成された積付位置計画情報を横から見た図である。この積付位置計画情報では、パレット情報Pの左奥の角を原点p(0,0)とし、幅方向をx軸、高さ方向をz軸とした座標空間において、パレット情報Pの左奥の点pに角を合わせてアイテム情報Aが割り当てられている。またこの積付位置計画情報では、アイテム情報Aの水平方向の右側にアイテム情報Bが割り当てられ、アイテム情報AおよびBにまたがるようにこれらの上部にアイテム情報Cが割り当てられている。つまり、アイテム情報Cは、アイテム情報AおよびBに対して垂直方向の位置に割り当てられている。
【0044】
図5(a)の積付位置計画情報内では、アイテム情報Aをx軸方向に動かすときにそれに伴ってアイテム情報Bも動かす必要があるため、積付位置計画情報補正部23は、「アイテム情報Bはアイテム情報Aに依存する」と判定する。ここで、アイテム情報Bはアイテム情報Aに対して水平方向に依存しており、この依存関係は、「A→B」で示される。
【0045】
またこの積付位置計画情報内で、アイテム情報Cの位置を固定したままアイテム情報AおよびBをx軸方向に動かすと、アイテム情報AおよびBと、アイテム情報Cとの接地面が小さくなり、アイテム情報Cが不安定な状態になる。これにより、積付位置計画情報補正部23は、アイテム情報AおよびBをx軸方向に動かすときにそれに伴ってアイテム情報Cも動かす必要があり、「アイテム情報Cはアイテム情報AおよびBに依存する」と判定する。ここで、アイテム情報Cはアイテム情報AおよびBに対して垂直方向に依存しており、この依存関係は、「A→C」および「B→C」で示される。
【0046】
積付位置計画情報補正部23は、図5(a)の積付位置計画情報に関する依存関係「A→B」、「A→C」、および「B→C」の情報に基づいて、図5(b)に示す有向グラフを生成する。
【0047】
図6(a)は、パレット情報P上にアイテム情報A、B、CおよびDを3次元的な配置で割り当てて生成された積付位置計画情報を横から見た図である。この積付位置計画情報では、パレット情報Pの左奥の点pに角を合わせてアイテム情報Aが割り当てられている。またこの積付位置計画情報では、アイテム情報Aの水平方向の右側にアイテム情報Bが割り当てられ、アイテム情報Aの上部にアイテム情報Cが割り当てられ、アイテム情報Bの上部にアイテム情報Dが割り当てられている。つまり、アイテム情報Cはアイテム情報Aに対して垂直方向の位置に割り当てられ、アイテム情報Dはアイテム情報Bに対して垂直方向の位置に割り当てられている。
【0048】
積付位置計画情報補正部23は、図5(a)の場合と同様に、図6(a)に示す積付位置計画情報内に基づいて「アイテム情報Bはアイテム情報Aに依存する」と判定する。また、アイテム情報Bはアイテム情報Aに対して水平方向に依存しており、この依存関係は、「A→B」で示される。
【0049】
またこの積付位置計画情報内で、アイテム情報Cの位置を固定したままアイテム情報Aをx軸方向に動かすと、アイテム情報Cが不安定な状態になる。これにより、積付位置計画情報補正部23は、アイテム情報Aをx軸方向に動かすときにそれに伴ってアイテム情報Cも動かす必要があり、「アイテム情報Cはアイテム情報Aに依存する」と判定する。ここで、アイテム情報Cはアイテム情報Aに対して垂直方向に依存しており、この依存関係は、「A→C」で示される。
【0050】
また積付位置計画情報補正部23は、同様にアイテム情報Bをx軸方向に動かすときにそれに伴ってアイテム情報Dも動かす必要があり、「アイテム情報Dはアイテム情報Bに依存する」と判定する。ここで、アイテム情報Dはアイテム情報Bに対して垂直方向に依存しており、この依存関係は、「B→D」で示される。
【0051】
またこの積付位置計画情報内で、アイテム情報Cはアイテム情報Aの上面からはみ出ない範囲で移動可能であり、アイテム情報Dはアイテム情報Bの上面からはみ出ない範囲で移動可能である。つまり、アイテム情報Cとアイテム情報Dとは互いに独立して移動が可能であり、アイテム情報Cとアイテム情報Dとの間に依存関係はない。
【0052】
積付位置計画情報補正部23は、図6(a)の積付位置計画情報に関する依存関係を示す「A→B」、「A→C」、および「B→D」の情報に基づいて、図6(b)に示す有向グラフを生成する。
【0053】
同様の手法で、積付位置計画情報補正部23は、さらに複雑な積付位置計画情報からも、アイテム情報間の依存関係を判定することができる。例えば、積付位置計画情報補正部23は、図7(a)に示す積付位置計画情報に基づいて、アイテム情報間の依存関係を示す情報として「A→B」および「B→C」を判定し、これらの情報に対応する図7(b)の有向グラフを生成することができる。
【0054】
また、積付位置計画情報補正部23は、図8(a)に示す積付位置計画情報に基づいて、アイテム情報間の依存関係を示す情報として「A→B」、「A→C」、「B→C」、「B→D」、「C→E」、および「D→E」を判定する。そして積付位置計画情報補正部23は、これらの情報に対応する図8(b)の有向グラフを生成することができる。
【0055】
また、積付位置計画情報補正部23は、図9(a)に示す積付位置計画情報に基づいて、アイテム情報間の依存関係を示す情報として「A→B」、「A→D」、「B→C」、「B→E」、「C→D」、および「C→E」を判定する。そして積付位置計画情報補正部23は、これらの情報に対応する図9(b)の有向グラフを生成することができる。
【0056】
図10(a)は、パレット情報P上にアイテム情報A、B、C、D、およびEを割り当てた積付位置計画情報を、上から見た図である。この積付位置計画情報では、左奥の点pに角を合わせて上面積の大きいアイテム情報Aが割り当てられ、アイテム情報Aの上面に、アイテム情報群B、C、D、およびEが左奥から詰めて割り当てられている。積付位置計画情報補正部23は、この図10(a)に示す積付位置計画情報の中で、アイテム情報群B、C、D、およびEを含む最小の直方体を、アイテム情報群B、C、D、およびEに対応する1つのアイテム情報Fとして認識する。そして積付位置計画情報補正部23は、図10(a)の積付位置計画情報に基づいて、アイテム情報間の依存関係を示す情報として「A→F」を判定し、これに対応する図10(b)の有向グラフを生成することができる。
【0057】
図4のフローチャートに戻り、積付位置計画情報補正部23は、積付位置計画情報内のアイテム情報間の依存関係を示す有向グラフに基づいて、移動可能なアイテム情報があるか否かを判定する(S63)。
【0058】
複数アイテム情報に関する積付位置計画情報では、安定性や積載率を向上させるために、複数アイテム情報の上部に、これらを跨いで別のアイテム情報を割り当てることがある。このような積付位置計画情報に基づいて荷物を積み付けた場合、上部の1つの荷物を下から支える複数の荷物のうちの1つを移動させると、上部の荷物が落下してしまう可能性がある。
【0059】
例えば、図8(a)の積付位置計画情報に基づいて荷物を積み付けた場合、アイテム情報Cに対応する荷物を移動させると、アイテム情報Eが落下してしまう可能性がある。このような事態を回避するため、積付位置計画情報補正部23は、生成した有向グラフに基づいて、他のアイテム情報との位置関係に応じて安全に移動可能なアイテム情報のみを、移動対象として選択する。
【0060】
具体的には積付位置計画情報補正部23は、所定の移動可否判定対象のアイテム情報の「子」のアイテム情報または「子孫」のアイテム情報から、「親」のアイテム情報および「祖先」のアイテム情報をたどるすべての経路を検索する。そして、検索したすべての経路が、当該移動可否判定対象のアイテム情報を経由する場合に、積付位置計画情報補正部23は当該移動可否判定対象のアイテム情報および当該アイテム情報に依存するアイテム情報を移動可能と判定する。また積付位置計画情報補正部23は、「子」を有さないアイテム情報、つまり自身に対して依存するアイテム情報がないアイテム情報を、移動可能と判定する。
【0061】
例えば積付位置計画情報補正部23は、図5(b)の有向グラフに基づいて、子を有さないアイテム情報Cを移動可能と判定する。
【0062】
また積付位置計画情報補正部23は、図6(b)の有向グラフに基づいて、アイテム情報Bに関し、その子であるアイテム情報Dから先祖をたどる経路がアイテム情報Bを経由すると認識する。これにより積付位置計画情報補正部23は、アイテム情報Bを、これに依存するアイテム情報Dとともに移動可能と判定する。
【0063】
また積付位置計画情報補正部23は、図7(b)の有向グラフに基づいて、アイテム情報Aに関し、その子であるアイテム情報Bまたは子孫であるアイテム情報Cから先祖をたどる経路がアイテム情報Aを経由すると認識する。これにより積付位置計画情報補正部23は、アイテム情報Aを、これに依存するアイテム情報BおよびCとともに移動可能と判定する。
【0064】
また積付位置計画情報補正部23は、図7(b)の有向グラフに基づいて、アイテム情報Bに関し、その子であるアイテム情報Cから先祖をたどる経路がアイテム情報Bを経由すると認識する。これにより積付位置計画情報補正部23は、アイテム情報Bを、これに依存するアイテム情報Cとともに移動可能と判定する。
【0065】
また積付位置計画情報補正部23は、図7(b)の有向グラフに基づいて、子を有さないアイテム情報Cを移動可能と判定する。
【0066】
同様にして積付位置計画情報補正部23は、図8(b)の有向グラフに基づいて、アイテム情報Aを、これに依存するアイテム情報B、C、D、およびEとともに移動可能と判定する。また積付位置計画情報補正部23は、図8(b)の有向グラフに基づいて、子を有さないアイテム情報Eを移動可能と判定する。
【0067】
同様にして積付位置計画情報補正部23は、図9(b)の有向グラフに基づいて、子を有さないアイテム情報DおよびEを移動可能と判定する。
【0068】
同様にして積付位置計画情報補正部23は、図10(b)の有向グラフに基づいて、子を有さないアイテム情報Fを移動可能と判定する。また積付位置計画情報補正部23は、アイテム情報Aに関し、その子であるアイテム情報Fから先祖をたどる経路がアイテム情報Aを経由すると認識する。これにより積付位置計画情報補正部23は、アイテム情報Aを、これに依存するアイテム情報Fとともに移動可能と判定する。
【0069】
一方、積付位置計画情報補正部23は、例えば図8(b)の有向グラフに基づいて、アイテム情報Dに関し、その子であるアイテム情報Eから先祖をたどる複数の経路の中に、アイテム情報Dを経由しない経路「アイテム情報E→C→B→A」があると認識する。この場合、積付位置計画情報補正部23は、アイテム情報Dを移動不可能と判定する。
【0070】
同様に、積付位置計画情報補正部23は、図8(b)の有向グラフに基づいて、アイテム情報Cに関し、その子であるアイテム情報Eから先祖をたどる複数の経路の中に、アイテム情報Cを経由しない経路「アイテム情報E→D→B→A」があると認識する。この場合、積付位置計画情報補正部23は、アイテム情報Cを移動不可能と判定する。
【0071】
同様に、積付位置計画情報補正部23は、図9(b)の有向グラフに基づいて、アイテム情報Bに関し、その子孫であるアイテム情報Dから先祖をたどる複数の経路の中に、アイテム情報Bを経由しない経路「アイテム情報D→A」があると認識する。この場合、積付位置計画情報補正部23は、アイテム情報Bを移動不可能と判定する。
【0072】
同様に、積付位置計画情報補正部23は、図9(b)の有向グラフに基づいて、アイテム情報Cに関し、その子であるアイテム情報Dから先祖をたどる複数の経路の中に、アイテム情報Cを経由しない経路「アイテム情報D→A」があると認識する。この場合、積付位置計画情報補正部23は、アイテム情報Cを移動不可能と判定する。
【0073】
上述した処理により移動可能なアイテム情報があると判定したときには(S63の「YES」)、積付位置計画情報補正部23は、移動可能なアイテム情報の中から、移動対象のアイテム情報を選択する(S64)。このように移動対象のアイテム情報を選択することにより、安全に移動可能な荷物に対するアイテム情報のみを移動対象として選択することができる。
【0074】
以下に、図10(a)の積付位置計画情報に基づいて、積付位置計画情報補正部23が、移動可能なアイテム情報A、Fのうち、アイテム情報Fのみを移動対象として特定し、補正処理を実行する場合について説明する。
【0075】
積付位置計画情報補正部23は、積付位置計画情報に基づいて積み付けた荷物がパレット上で安定するように、移動対象のアイテム情報の移動方向および移動量を特定する(S65)。
【0076】
積付位置計画情報補正部23は、上述した補正処理の条件(1)に基づいて、現在の位置からx軸の正方向であり且つy軸の正方向である方向、つまりパレット情報Pの原点pから離れる方向を、アイテム情報Fの移動方向として特定することができる。
【0077】
また積付位置計画情報補正部23は、上述した補正処理の条件(2)に基づいて、アイテム情報Fの端部がアイテム情報Aの端部を超えないように、アイテム情報Fを移動することが可能である。つまり積付位置計画情報補正部23は、アイテム情報Fがアイテム情報Aの上面からはみ出ない範囲で、特定した移動方向へのアイテム情報Fの移動量を算出することができる。図10(a)においては、アイテム情報Fがアイテム情報Aの上面からはみ出ない範囲で可能な最大距離は、x軸の正方向に距離d1、y軸の正方向に距離d2である。
【0078】
積付位置計画情報補正部23は、移動対象の第1のアイテム情報を、例えば、パレット情報Pの中心、またはアイテム情報Fを下部方向から支持する第2のアイテム情報であるアイテム情報Aの中心に向かうように、移動対象のアイテム情報Fの移動方向および移動量を特定する。
【0079】
積付位置計画情報補正部23は、算出した移動方向および移動量の情報に基づいてアイテム情報Fの割り当て位置を、パレット情報Pに対して水平方向に移動させる(S66)。
【0080】
積付位置計画情報補正部23が、アイテム情報Fを移動対象とし、パレット情報Pの中心に向かって割り当て位置を移動させたときの移動後の積付位置計画情報を、図11(a)に示す。アイテム情報Fの割り当て位置をパレット情報Pの中心に移動させる方法には、(i) アイテム情報Fの中心をパレット情報Pの中心に合わせるように移動させる方法と、(ii)アイテム情報群B、C、D、およびEの重心をパレット情報Pの中心に合わせる方法とがある。
【0081】
上述した(i)の方法によりアイテム情報Fの割り当て位置を移動させる際には、積付位置計画情報補正部23は、アイテム情報Fおよびパレット情報Pの形状および大きさの情報から、アイテム情報Fの移動方向および移動量を簡易に算出することができる。一方、(ii)の方法によりアイテム情報Fの移動方向および移動量を算出する際には、積付位置計画情報補正部23は、アイテム情報A~Eおよびパレット情報Pの形状および大きさの情報に加えて、アイテム情報B~DおよびEの重量の情報を必要とする。このように、(ii)の方法によりアイテム情報Fの移動方向および移動量を算出する場合は必要な情報が多くなるが、より安定性の高い積み付位置計画情報を生成することができるという利点がある。
【0082】
また、積付位置計画情報補正部23が、アイテム情報Fを移動対象とし、当該アイテム情報Fを下部方向から支持するアイテム情報Aの中心に向かって移動させたときの移動後の積付位置計画情報を、図11(b)に示す。この場合も、(i) アイテム情報Fの中心をアイテム情報Aの中心に合わせるように移動させる方法と、(ii)アイテム情報群B、C、D、およびEの重心をアイテム情報Aの中心に合わせる方法とのいずれを用いてもよい。
【0083】
また積付位置計画情報補正部23は、移動対象のアイテム情報が複数のアイテム情報群を含む場合、当該複数のアイテム情報それぞれが、これらを下部方向から支持するアイテム情報の異なる位置の端部に向かうように、移動方向および移動量を特定してもよい。
【0084】
例えば積付位置計画情報補正部23は、アイテム情報Fを構成するアイテム情報B、C、D、およびEそれぞれが、アイテム情報Aの4つの角の端部それぞれに向かうように分散させて、移動方向および移動量を特定する。
【0085】
積付位置計画情報補正部23が、算出した移動方向および移動量の情報に基づいてアイテム情報B、C、D、およびEを移動させたときの移動後の積付位置計画情報を、図11(C)に示す。
【0086】
このようにイテム情報B、C、D、およびEを分散させて移動させることで、これらのアイテム情報B、C、D、およびEが積み付けの最上部にあり、且つ高さが揃っている場合、さらに上部に積み付けを行う際の自由度を高めることができる。例えば、分散して割り当てられたアイテム情報B、C、D、およびEに対応する荷物の上部に板やパレットを設置することで、安定した状態でさらに他の荷物を積み付けることができる。
【0087】
また積付位置計画情報補正部23が図10(a)の積付位置計画情報に関し、アイテム情報AとFの双方を移動対象とし、これらの割り当て位置をパレット情報Pの中心に向かって移動させたときの移動後の積付位置計画情報を、図12に示す。
【0088】
このように上下方向に積み重ねられた複数のアイテム情報AおよびFの割り当て位置を移動させる場合、積付位置計画情報補正部23は、先祖側であるアイテム情報Aと、子孫側であるアイテム情報Fとのどちらを先に移動先の位置を特定してもよい。積付位置計画情報補正部23がアイテム情報Aの移動先を先に特定すると、積付位置計画情報の土台である下部部分の位置が先に特定され、上部部分であるアイテム情報Fの位置が後で確定される。このような順で移動先を特定することで、積付位置計画情報補正部23は、よりバランスのとれた積付位置計画情報を生成することができる。
【0089】
積付位置計画情報補正部23は、上述したいずれかの方法により算出した移動方向および移動量の情報に基づいてアイテム情報B、C、D、およびEの割り当て位置を移動させることで、対応する荷物の積付位置計画情報を補正する。そして積付位置計画情報補正部23は、補正した積付位置計画情報を積付位置計画情報記憶部30に記憶させ、処理を終了する(S67)。
【0090】
また、上述したアイテム情報の補正処理において、ステップS63で移動可能なアイテム情報がないと判定した場合には(S63の「NO」)、処理を終了する。
【0091】
図2のフローチャートに戻り、積付位置計画情報の補正後、出力情報生成部24が、積付位置計画情報記憶部30に記憶された積付位置計画情報の画像情報を出力情報として生成して出力部40に出力させる。また出力情報生成部24は、積付位置計画情報の補正処理中の動作の情報や画像情報を出力情報として生成して出力部40に出力させてもよい。
【0092】
図13(a)は、補正前の積付位置計画情報に基づいて生成した画像情報の一例であり、図13(b)は、図13(a)に示す積付位置計画情報を補正した状態について生成した画像情報の一例である。図13(b)の積付位置計画情報はパレットPの中心に荷物の中心が合っており、図13(a)に比べて安定性が高くなっている。
【0093】
積み付け作業者は、出力された積付位置計画情報の画像情報に基づいて、パレットに積み付けられた荷物のうち、積付位置計画情報が補正されたアイテム情報に対応する荷物の積付位置を補正する。
【0094】
上述した積付位置計画装置1を、積付作業を行うパレタイズロボット(図示せず)に搭載し、当該パレタイズロボットが、積付位置計画情報補正部23で補正された積付位置計画情報に基づいて、該当する荷物の積付位置を補正するように構成してもよい。この場合、パレタイズロボットが有する動作機構が、出力部40から出力された積付位置計画情報に基づいてパレットに積み付けられた荷物のうち、積付位置計画情報が補正されたアイテム情報に対応する物体の積付位置を補正する。このようにパレタイズロボットが動作することにより、効率良く、積み付けた荷物の補正正作業を行うことができる。
【0095】
以上の実施形態によれば、積付位置計画装置は、生成された荷物の積付位置計画情報を、荷物がより安定した状態で積み付けられるように補正することができる。
【0096】
その際、積付位置計画装置は、移動対象のアイテム情報の端部が、積付先のパレット情報の端部、または移動対象のアイテム情報を下部から支持する他のアイテム情報の端部を超えないように、当該アイテム情報の割り当て位置を移動させる。このように移動対象のアイテム情報を移動させることで、積付位置計画装置は、確実に荷物が安定した状態で積み付けられるように、積付位置計画情報を補正することができる。
【0097】
また、積付位置計画装置は、積付位置計画情報内において、移動可否判定対象のアイテム情報の「子」のアイテム情報または「子孫」のアイテム情報から「親」のアイテム情報および「祖先」のアイテム情報をたどるすべての経路を検索する。そして、当該移動可否判定対象のアイテム情報を経由する場合に、当該移動可否判定対象のアイテム情報の割り当て位置を移動可能と判定する。このように判定することにより、積付位置計画装置は、荷物が安全に移動可能か否かを、精度良く判定することができる。
【0098】
上述した実施形態においては、積付位置計画装置1が、自装置内で生成した積付位置計画情報を補正する場合について説明した。しかしこれには限定されず、積付位置計画装置1が、他の装置で生成された積付位置計画情報を外部から取得し、取得した積付位置計画情報を補正してもよい。
【0099】
この場合、入力部10から他の装置から積付位置計画情報を取得し、取得した積付位置計画情報を入力情報取得部21が積付位置計画情報記憶部30に記憶させる。そして、積付位置計画情報記憶部30に記憶された積付位置計画情報を、積付位置計画情報補正部23が補正する。
【0100】
ここで、他の装置から取得する積付位置計画情報は、積付先のパレットに対する各アイテム情報の位置が特定可能な情報であればよい。この積付位置計画情報としては、例えば各アイテム情報の座標や形状を直接記述した数値データのほか、CADデータ、写真、LiDARにより計測された点群データなどが考えられる。
【0101】
上述した実施形態では、容器に積み付ける物体が段ボール箱の場合について説明したが、これには限定されず、個別製品の収納箱、建築資材、米袋やセメント袋等の袋類など、直方体として近似可能な物体であれば用いることができる。
【0102】
また、上述した実施形態では、積付先の容器がパレットの場合について説明したが、これには限定されず、かご車、折り畳みコンテナ、トラック、建設資材置き場などであってもよい。
【0103】
また、上述した実施形態では、積付位置計画装置1が単一の装置で構成された場合について説明したが、これには限定されず、複数の装置で構成されていてもよい。例えば、入力部10と出力部40をWebブラウザで実装し、入力部10からネットワーク経由で積付位置計画装置に積付位置計画情報の生成処理を実行させ、生成された情報をネットワーク経由で出力部40に送信してもよい。
【0104】
上述した積付位置計画装置1の積付位置計画情報補正部23が有する積付位置計画情報取得機能および積付位置計画情報補正機能をプログラム化してコンピュータに組み込むことにより、当該コンピュータを積付位置計画装置として機能させる積付位置計画情報補正プログラムを構築することも可能である。
【0105】
いくつかの実施形態を説明したが、上記開示内容に基づいて実施形態の修正または変形をすることが可能である。上記実施形態のすべての構成要素、及び請求の範囲に記載されたすべての特徴は、それらが互いに矛盾しない限り、個々に抜き出して組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0106】
1 積付位置計画装置
10 入力部
21 入力情報取得部
22 積付位置計画情報生成部
23 積付位置計画情報補正部
24 出力情報生成部
30 積付位置計画情報記憶部
40 出力部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13