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特開2023-121364マグネシウム系固化材、マグネシウム系固化材の施工方法、及び舗装
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  • 特開-マグネシウム系固化材、マグネシウム系固化材の施工方法、及び舗装 図1
  • 特開-マグネシウム系固化材、マグネシウム系固化材の施工方法、及び舗装 図2
  • 特開-マグネシウム系固化材、マグネシウム系固化材の施工方法、及び舗装 図3
  • 特開-マグネシウム系固化材、マグネシウム系固化材の施工方法、及び舗装 図4
  • 特開-マグネシウム系固化材、マグネシウム系固化材の施工方法、及び舗装 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023121364
(43)【公開日】2023-08-31
(54)【発明の名称】マグネシウム系固化材、マグネシウム系固化材の施工方法、及び舗装
(51)【国際特許分類】
   E01C 7/30 20060101AFI20230824BHJP
   E01C 21/00 20060101ALI20230824BHJP
   C09K 17/02 20060101ALI20230824BHJP
   C09K 17/32 20060101ALI20230824BHJP
【FI】
E01C7/30
E01C21/00
C09K17/02 P
C09K17/32 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022024665
(22)【出願日】2022-02-21
(71)【出願人】
【識別番号】000245852
【氏名又は名称】矢作建設工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】築城 寛行
(72)【発明者】
【氏名】武藤 裕久
【テーマコード(参考)】
2D051
2D053
4H026
【Fターム(参考)】
2D051AA05
2D051AA09
2D051AE05
2D051AF01
2D051AF17
2D051AG06
2D051AH02
2D051AH03
2D051EA01
2D051EA06
2D051EB01
2D051EB06
2D053AD01
2D053AD03
4H026CB03
4H026CC05
(57)【要約】
【課題】舗装及び土壌の強度を高める。
【解決手段】マグネシウム系固化材15は、マグネシウムと木質材料の燃焼灰とを含む。マグネシウム系固化材15は、例えば舗装や土壌改良に用いられる。マグネシウム系固化材15を舗装に用いる場合、砂16に対しマグネシウム系固化材15が混合される。すなわち、マグネシウム系固化材15を混合した砂16が舗装材14として用いられる。また、マグネシウム系固化材15を土壌改良に用いる場合には、土壌(土)に対しマグネシウム系固化材15が混合される。こうしたマグネシウム系固化材15に木質材料の燃焼灰が含まれることにより、マグネシウム系固化材15が用いられた舗装及び土壌等の強度をより高くすることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マグネシウムと木質材料の燃焼灰とを含むマグネシウム系固化材。
【請求項2】
前記マグネシウム及び前記燃焼灰が混合される砂を含み、
前記燃焼灰は、前記砂の一部を置換するように混合されており、
前記燃焼灰の重量をXとするとともに前記砂の重量をYとしたとき、重量比X/(X+Y)が0.01~0.35となるように、前記砂の一部が前記燃焼灰に置換されている請求項1に記載のマグネシウム系固化材。
【請求項3】
マグネシウムと木質材料の燃焼灰とを含むマグネシウム系固化材を施工場所にある砂と混合するものであり、
前記マグネシウム系固化材は、前記燃焼灰の重量をXとするとともに前記砂の重量をYとしたとき、重量比X/(X+Y)が0.01~0.35となるように、前記砂と混合されるマグネシウム系固化材の施工方法。
【請求項4】
マグネシウムと木質材料の燃焼灰とを含むマグネシウム系固化材が砂に混合されており、そのマグネシウム系固化材が混合された砂を舗装材として用いている舗装。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マグネシウム系固化材、マグネシウム系固化材の施工方法、及び舗装に関する。
【背景技術】
【0002】
舗装や土壌改良に用いられる固化材として、マグネシウム系固化材が知られている。例えば特許文献1では、マグネシウム系固化材が混合された砂を舗装材として用いる舗装が示されている。この場合、マグネシウム系固化材によって固められた砂が舗装材として用いられるため、舗装を強固なものとすることができる。また、マグネシウム系固化材を砂の一種である土壌の土と混合することにより、土壌を強固なものに改良することも行われている。なお、マグネシウム系固化材を混合した砂を斜面などに吹き付けることにより、その斜面の表面を硬化させて雑草などの防草対策とすることも行われている。
【0003】
舗装及び土壌改良に上記マグネシウム系固化材を用いることにより、それら舗装及び土壌の強度をある程度は高めることができる。また、上記マグネシウム系固化材は、アルカリ成分等を流出させることがない。このため、マグネシウム系固化材からのアルカリ成分等の流出に伴って、マグネシウム系固化材が舗装材及び土壌の周辺に影響を及ぼすこともない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-51849号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したマグネシウム系固化材を舗装及び土壌改良に用いることにより、舗装及び土壌の周辺に影響を及ぼすことなく、それら舗装及び土壌の強度をある程度は高めることができる。しかし、マグネシウム系固化材を用いた舗装及び土壌の強度向上については、より高い効果が望まれており、その点で改善の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決するマグネシウム系固化材は、マグネシウムと木質材料の燃焼灰とを含むものとされる。
【0007】
この構成によれば、マグネシウム系固化材に木質材料の燃焼灰が含まれることにより、マグネシウム系固化材を舗装及び土壌等に用いたとき、それら舗装及び土壌等の強度をより高くすることができる。
【0008】
上記マグネシウム系固化材は、マグネシウム及び燃焼灰が混合される砂を含むものとすることが考えられる。燃焼灰は、砂の一部を置換するように混合されているものとされる。また、燃焼灰の重量をXとするとともに前記砂の重量をYとしたとき、重量比X/(X+Y)が0.01~0.35となるように、上記砂の一部が上記燃焼灰に置換される。
【0009】
上記構成によれば、マグネシウム及び燃焼灰を砂に対し上述したように混合することにより、マグネシウム、燃焼灰、及び砂を含むマグネシウム系固化材を舗装及び土壌等に用いたとき、それら舗装及び土壌等の強度を効果的に高くすることができる。
【0010】
上記課題を解決するマグネシウム系固化材の施工方法では、マグネシウムと木質材料の燃焼灰とを含むマグネシウム系固化材が施工場所にある砂と混合される。上記マグネシウム系固化材は、燃焼灰の重量をXとするとともに砂の重量をYとしたとき、重量比X/(X+Y)が0.01~0.35となるように、上記砂と混合される。
【0011】
この方法によれば、マグネシウム及び燃焼灰が含まれるマグネシウム系固化材を、上述したように砂と混合することにより、そのマグネシウム系固化材を舗装及び土壌等に用いたとき、それら舗装及び土壌等の強度を効果的に高くすることができる。
【0012】
上記課題を解決する舗装は、次のようなマグネシウム系固化材が混合された砂を舗装材として用いている。上記マグネシウム固化材は、マグネシウムと木質材料の燃焼灰とを含んでいる。
【0013】
この構成によれば、木質材料の燃焼灰が含まれたマグネシウム系固化材を砂と混合し、そのマグネシウム系固化材が混合された砂を舗装材として用いることによって、舗装の強度をより高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】土系舗装を示す断面図。
図2】木質系舗装を示す断面図。
図3】実験1の実験結果を示すグラフ。
図4】実験2の実験結果を示すグラフ。
図5】実験2の実験結果を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、マグネシウム系固化材、その施工方法、及び、それらを用いた舗装の一実施形態について、図1図5を参照して説明する。
<土系舗装>
図1に示す道路の舗装は、土系舗装であって、路床18と路盤11と表層12とを備えている。路床18は、土を積層して厚さ方向に圧縮することによって形成されている。路盤11は、路床18の上に位置している。路盤11は、砕石13等を積層して厚さ方向に圧縮することによって形成されている。表層12は、路盤11の上に舗装材14を敷きならした後に締め固めることによって形成されている。この舗装材14は、マグネシウム系固化材15を、水分と併せて砂16と混合することによって形成されている。言い換えれば、この土系舗装では、マグネシウム系固化材15が混合された砂16を舗装材14として用いている。ここでいう砂16とは、岩石の粒であって有機物を含まないものを意味するだけでなく、岩石が粉状に砕けたものに有機物が加わったもの(土)のことも意味する。マグネシウム系固化材15と砂16とを混合する際の上記水分については、砂16に含まれる水分を利用してもよいし、水を加えるようにしてもよい。
【0016】
<木質系舗装>
図1に示す道路の舗装は、木質系舗装であって、路盤11と表層12とを備えている。この表層12も、路盤11の上に舗装材14を敷きならした後に締め固めることによって形成されている。上記舗装材14は、マグネシウム系固化材15を、水分と併せて砂16及び木質材17と混合することによって形成されている。言い換えれば、この木質系舗装では、マグネシウム系固化材15及び木質材17が混合された砂16を舗装材14として用いている。木質材17としては、ウッドチップ及び樹皮等を用いることが考えられる。
【0017】
<マグネシウム系固化材15>
上述した土系舗装及び木質系舗装で用いられるマグネシウム系固化材15は、マグネシウムと木質材料の燃焼灰とを含んでいる。上記マグネシウムとしては、酸化マグネシウム及び塩化マグネシウムといったものを用いることが考えられる。上記木質材料の燃焼灰としては、木質バイオマスボイラで生じた燃焼灰を用いることが考えられる。
【0018】
マグネシウム系固化材15は、舗装材14に用いられる砂16と混合される。マグネシウム系固化材15に含まれる燃焼灰は、上記砂16の一部を置換するように混合されている。このときのマグネシウム系固化材15における上記燃焼灰以外の物質(マグネシウム等)に関しては、上記物質及び水分に対する砂16の体積比率が例えば1.4となるようにされている。上記体積比率は、1.4以外の値に変更してもよい。
【0019】
次に、マグネシウム系固化材15の施工方法について説明する。
土系舗装及び木質系舗装に用いられる上記マグネシウム系固化材15は、施工場所にある砂16と混合される。このマグネシウム系固化材15を混合した砂16が舗装材14として用いられる。砂16に対する上記マグネシウム系固化材15の混合は、舗装材14における上記燃焼灰の重量をXとするとともに舗装材14における砂16の重量をYとしたとき、重量比X/(X+Y)が所定範囲内の値となるように行われる。
【0020】
上記所定範囲としては、例えば0.01~0.35とすることが考えられる。また、上記所定範囲については、例えば0.05~0.25とすることが好ましく、例えば0.1~0.2とすることがより好ましい。こうした所定範囲の数値は、以下の実験1及び実験2に基づいて定められている。図3図5は、実験1及び実験2の実験結果を示している。
【0021】
(実験1)
この実験では、水と木質材料の燃焼灰を含まないマグネシウム系固化材とを砂に混合した後、その砂の一方向についての圧縮強度を測定する。実験1の実験結果を示す図3のグラフでは、横軸がマグネシウム系固化材の水固化材比とされ、縦軸が上記砂の圧縮強度とされている。上記水固化材比は、マグネシウム系固化材に含まれるマグネシウムの質量を、上記水の質量で除算した値である。上記砂の圧縮強度は、その砂を一方向に圧縮したときに上記砂が耐え得る単位面積当たりの力の大きさの上限値である。
【0022】
実験1では、マグネシウム系固化材及び水に対する砂の体積比率を0.69、0.7、1.0、1.4、2.0と変えるとともに、それぞれの体積比率でマグネシウム系固化材の水固化材比を0.6、0.9、1.0、1.2としたときの上記砂の圧縮強度を測定している。そして、図3には上記圧縮強度の測定値がプロットされている。図3から、上記圧縮強度を測定する際には、マグネシウム系固化材及び水に対する砂の体積比率を1.4とすることが安定した測定値を得るうえで好ましいことが分かる。
【0023】
(実験2)
この実験では、マグネシウム系固化材及び水に対する砂の体積比率を1.4に固定した状態で、マグネシウム系固化材の水固化材比を0.6、0.9、1.0、1.2と変化させる。更に、それぞれのマグネシウム系固化材の水固化材比で、上記重量比X/(X+Y)を0.1、0.16、0.2、0.32、0.48としたときの上記砂に対する一方向についての圧縮強度を測定する。上記重量比X/(X+Y)については、上記砂の一部を上記燃焼灰に置換する際の置換率と言い換えることができる。
【0024】
図4には上記圧縮強度の測定値がプロットされている。更に、図4には、実験1においてマグネシウム系固化材及び水に対する砂の体積比率を1.4としたときの上記圧縮強度の測定値もプロットされている。図5には、重量比X/(X+Y)、すなわち置換率を0としたときの上記圧縮強度と置換率を0.1、0.16、0.2、0.32、0.48としたときの上記圧縮強度との強度比がプロットされている。
【0025】
図3図5に示す実験1及び実験2の実験結果に基づき、上述した所定範囲の数値が定められている。
次に、本実施形態のマグネシウム系固化材、マグネシウム系固化材の施工方法、及び舗装の作用効果について説明する。
【0026】
(1)マグネシウム系固化材15は、マグネシウムと木質材料の燃焼灰とを含むものとされている。このマグネシウム系固化材15は、例えば土壌改良や舗装に用いられる。マグネシウム系固化材15を舗装に用いる場合、舗装材14の砂16に対しマグネシウム系固化材15が混合される。すなわち、舗装材14が、マグネシウムと木質材料の燃焼灰とが含まれるマグネシウム系固化材15を、砂16とを混合することによって形成される。また、マグネシウム系固化材15を土壌改良に用いる場合には、土壌(土)に対しマグネシウム系固化材15が混合される。こうしたマグネシウム系固化材15に木質材料の燃焼灰が含まれることにより、マグネシウム系固化材15が用いられた舗装材14及び土壌等の強度をより高くすることができる。
【0027】
(2)マグネシウムと木質系材料の燃焼灰とを含むマグネシウム系固化材15は、施工場所にある砂16と混合される。このマグネシウム系固化材15を混合した砂16が舗装材14として用いられる。砂16に対する上記マグネシウム系固化材15の混合は、燃焼灰の重量をXとするとともに砂16の重量をYとしたとき、重量比X/(X+Y)が所定範囲内の値となるように、例えば0.01~0.35となるように行われる。このようにマグネシウム及び燃焼灰が含まれるマグネシウム系固化材15を舗装及び土壌等に用いることにより、それら舗装及び土壌等の強度を効果的に高くすることができる。なお、舗装及び土壌等の強度を高くするためには、上記所定範囲を例えば0.05~0.25とすることが好ましく、例えば0.1~0.2とすることが最も好ましい。
【0028】
(3)マグネシウム系固化材15に含まれる木質材料の燃焼灰としては、木質バイオマスボイラで生じた燃焼灰を用いることが考えられる。木質バイオマスボイラでは、木質材料を燃焼させることによって生じた燃焼灰を廃棄していた。このため、そうした燃焼灰をマグネシウム系固化材15に用いることにより、廃棄していた燃焼灰を再利用することができる。その結果、上記燃焼灰をマグネシウム系固化材15に用いることにより、環境保全に寄与することができる。
【0029】
(4)マグネシウム系固化材15に含まれる木質材料の燃焼灰は、そのマグネシウム系固化材15を舗装及び土壌等に用いたとき、アルカリ成分等を舗装及び土壌の周辺に流出させることはない。このため、マグネシウム系固化材15からのアルカリ成分等の流出に伴って、マグネシウム系固化材15が舗装及び土壌の周辺に影響を及ぼすことを抑制できる。従って、自然環境の豊かな状況で施工される土系舗装及び木質系舗装といった舗装にマグネシウム系固化材15を用いる際、そのマグネシウム系固化材15が舗装周辺の自然環境に影響を及ぼすことを抑制できる。
【0030】
なお、上記実施形態は、例えば以下のように変更することもできる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・土系舗装及び木質系舗装以外の舗装にマグネシウム系固化材15を用いてもよい。
【0031】
・マグネシウム系固化材を斜面などの防草対策に用いてもよい。この場合、マグネシウム系固化材が混合された砂を上記斜面に吹き付け、その斜面を硬化させることによって斜面の防草が行われる。
【0032】
・上記所定範囲は、0.01~0.35から外れた範囲であってもよい。
・マグネシウム系固化材15は、マグネシウムと木質系材料の燃焼灰と砂とを含むものであってもよい。この場合、上記燃焼灰は、上記砂の一部を置換するように混合される。そして、上記燃焼灰の重量をXとするとともに上記砂の重量をYとしたとき、重量比X/(X+Y)が所定範囲内の値となるように、上記砂の一部が上記燃焼灰に置換される。上記所定範囲としては、例えば0.01~0.35とすることが考えられる。また、上記所定範囲については、例えば0.05~0.25とすることが好ましく、例えば0.1~0.2とすることがより好ましい。
【符号の説明】
【0033】
11…路盤
12…表層
13…砕石
14…舗装材
15…マグネシウム系固化材
16…砂
17…木質材
18…路床
図1
図2
図3
図4
図5