(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023121367
(43)【公開日】2023-08-31
(54)【発明の名称】紙パック切断装置
(51)【国際特許分類】
B26D 3/00 20060101AFI20230824BHJP
B26D 1/03 20060101ALI20230824BHJP
【FI】
B26D3/00 603A
B26D1/03
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022024669
(22)【出願日】2022-02-21
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-10-11
(71)【出願人】
【識別番号】522068360
【氏名又は名称】武田 璃乃杏
(71)【出願人】
【識別番号】522068371
【氏名又は名称】鎌田 妃陽里
(71)【出願人】
【識別番号】522068382
【氏名又は名称】阿部 成翔
(74)【代理人】
【識別番号】100155882
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100154678
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 博子
(72)【発明者】
【氏名】武田 璃乃杏
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 妃陽里
(72)【発明者】
【氏名】阿部 成翔
(57)【要約】 (修正有)
【課題】安全かつ容易に紙パックを切断することができる紙パック切断装置を提供する。
【解決手段】紙パック切断装置は、ほぼ矩形の筐体2と、筐体2に対して移動可能であるとともに紙パックPを保持可能なドロワ体3とを備える。ドロワ体3は、紙パックPを保持可能なパック保持部31と、筐体2の開口部を封鎖可能なカバー部33とを備える。切断手段5は、パック保持部31に対向配置される刃固定部50と、刃固定部50に固定される第1刃51、第2刃52及び第3刃53とを備える。紙パック切断装置は、切断手段5をパック保持部31側に移動させる押圧手段7を備える。押圧手段7は、筐体2外に位置する押下レバー71と、押下レバー71と刃固定部50とを連結するリンク機構72とを備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、前記筐体に対して移動可能であるとともに紙パックを保持可能なドロワ体と、を備える紙パック切断装置であって、
前記筐体内に配置され前記紙パックを切断可能な切断手段と、前記切断手段を移動させる切断スライド機構と、をさらに備え、
前記ドロワ体は、前記紙パックを保持するパック保持部を備え、前記パック保持部が前記筐体外に位置する開放位置と、前記パック保持部が前記筐体内に位置する閉鎖位置とを有し、
前記切断手段は、前記パック保持部に対向配置される刃固定部と、前記刃固定部に固定される第1刃、第2刃及び第3刃とを備え、前記第1刃の第1刃先及び前記第2刃の第2刃先は劣角をなして対向配置されるとともに前記第1刃の第1刃身及び前記第2刃の第2刃身が同一面上に配置され、前記第3刃の第3刃身は前記第1刃身及び前記第2刃身に交差する方向に配置されることを特徴とする紙パック切断装置。
【請求項2】
前記切断スライド機構は、前記筐体外に位置する押下レバーと、前記押下レバーと前記刃固定部とを連結するリンク機構とを備え、
前記押下レバーの押下によって前記刃固定部が前記パック保持部へ向かって移動することを特徴とする紙パック切断装置。
【請求項3】
前記ドロワ体は、前記パック保持部が載置される底板部と、前記底板部に固定されるとともに前記閉鎖位置において前記筐体に形成された開口部を封鎖可能なカバー部と、前記カバー部に設けた取手部とを備え、
前記ドロワ体を前記閉鎖位置に固定可能なロック手段をさらに備えることを特徴とする請求項1又は2記載の紙パック切断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、紙パックを切断することができる切断装置に関し、特に切断後の紙パックを容易に平面状に展開することができる紙パック切断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
小学校や中学校の学校給食に紙パック入りの牛乳が提供されることがある。飲み終わった紙パックはリサイクルのために、児童及び生徒が破いて平面状に展開している。紙パックは手で破くので、飲み残しの牛乳や紙パックをすすいだ水が衣服や床に飛び散ったりして不衛生であった。また、特に低学年の児童は力が弱く紙パックがうまく破れないという問題があった。
【0003】
特許文献1には紙パックを切断する切断処理器が開示される。切断処理器は、本体内に位置し紙パックを保持する容器保持筒と、本体の開口部を旋回する可動アームとを備える。容器保持筒には、その内側から外側に向かって刃先が突出した固定切断刃が設けられ、可動アームの内側には可動切断刃が設けられる。この特許文献1において、紙パックの頂部を押し広げて開口を形成し、開口から底部に向かって容器保持筒に紙パックを押し込む。容器保持筒には固定切断刃が設けられるから、紙パックを押し込んだ際に紙パックの一部が縦方向に切断される。紙パックを容器保持筒に押し込んだ状態で可動アームを回動させることによって紙パックの底を可動切断刃で切断することができる。
このように切断処理器を用いることによって紙パックを切断し展開することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の切断処理器において、紙パックを固定切断刃で切断しながら容器保持筒に押し込まなければならず、比較的強い力を要する。また、紙パックを容器保持筒に押し込む際に固定切断刃に手が接触してしまうおそれもある。
【0006】
この発明は、安全かつ容易に紙パックを切断することができる紙パック切断装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、筐体と、前記筐体に対して移動可能であるとともに紙パックを保持可能なドロワ体と、を備える紙パック切断装置であって、前記筐体内に配置され前記紙パックを切断可能な切断手段と、前記切断手段を移動させる切断スライド機構と、をさらに備え、前記ドロワ体は、前記紙パックを保持するパック保持部を備え、前記パック保持部が前記筐体外に位置する開放位置と、前記パック保持部が前記筐体内に位置する閉鎖位置とを有し、前記切断手段は、前記パック保持部に対向配置される刃固定部と、前記刃固定部に固定される第1刃、第2刃及び第3刃とを備え、前記第1刃の第1刃先及び前記第2刃の第2刃先は劣角をなして対向配置されるとともに前記第1刃の第1刃身及び前記第2刃の第2刃身が同一面上に配置され、前記第3刃の第3刃身は前記第1刃身及び前記第2刃身に交差する方向に配置されることを特徴とする。
第1刃、第2刃及び第3刃は、筐体内に収納されているので手に触れる心配がなく安全である。第1刃、第2刃及び第3刃を切断スライド機構によって移動可能としたので、手を刃に近づけなくても容易に紙パックを切断することができる。第1刃身及び第2刃身と、第3刃身との向きを変えることによって、一度に複数の方向から紙パックを切断することができ、さらには切断した紙パックを容易に展開することができる。
【0008】
前記切断スライド機構は、前記筐体外に位置する押下レバーと、前記押下レバーと前記刃固定部とを連結するリンク機構とを備え、前記押下レバーの押下によって前記刃固定部が前記パック保持部へ向かって移動することを特徴とする。
押下レバーを押下するだけで容易かつ安全に紙パックを切断することができる。また、体重をかけて押下することによってより小さい力での切断が可能である。
【0009】
前記ドロワ体は、前記パック保持部が載置される底板部と、前記底板部に固定されるとともに前記閉鎖位置において前記筐体に形成された開口部を封鎖可能なカバー部と、前記カバー部に設けた取手部とを備え、前記ドロワ体を前記閉鎖位置に固定可能なロック手段をさらに備えることを特徴とする。
カバー部を設けることによって、誤って筐体内に手を入れるのを防止することができる。ロック手段を設けることによって、切断中のより高い安全性を担保することができる。
【発明の効果】
【0010】
この発明に係る紙パック切断装置によれば、紙パックを切断する第1刃、第2刃及び第3刃がすべて筐体内に位置するので操作時に刃を触る心配がなく安全である。また、切断手段として3つの刃を用い、移動手段を用いて切断手段を移動させるだけでよいので、紙パックの切断を容易かつ安全におこなうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】ドロワ体の閉鎖位置における紙パック切断装置全体の斜視図。
【
図2】ドロワ体の開放位置における紙パック切断装置全体の斜視図。
【
図4】(a)紙パック切断装置の側面図であって手前側面板を省略した図。(b)紙パックを紙パック保持部に差し込んだ図。(c)ドロワ体を閉鎖位置に移動させた図。
【
図5】(a)ロック手段によって閉鎖位置に施錠した図。(b)切断スライド機構を操作し、切断手段によって紙パックを切断する途中の図。(c)切断手段によって紙パックを切断した図。
【
図6】(a)切断された紙パックを示す斜視図。(b)展開した紙パックを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1~
図5を参照し、この発明の一実施形態である紙パック切断装置1について説明する。
(紙パック切断装置1)
特に
図1~
図3を参照すれば、紙パック切断装置1は、ほぼ矩形の筐体2と、筐体2に対して移動可能であるとともに紙パックPを保持可能なドロワ体3とを備える。紙パック切断装置1は、横方向X、縦方向Y、高さ方向Zを有し、この実施形態において、ドロワ体3は筐体2から縦方向Yに引き出したり、筐体2内に押し込んだりすることができる。
【0013】
(筐体2)
筐体2は土台21と、土台に対向配置される上面板22と、土台に対して起立し対向配置される一対の側面板23と、側面板23の間に亘って配置される背面板24と、背面板24に対向配置される正面板25と、を備える。正面板25は正面の上方のみを封鎖するとともに下向きに開口する凹形状を有し、正面板25が配置されない部分でドロワ体3が出し入れ可能な開口部26を形成する。
【0014】
(ドロワ体3)
特に
図3を参照すれば、ドロワ体3は、紙パックPを保持可能なパック保持部31と、パック保持部31が載置及び固定される底板部32と、底板部32から起立するとともに筐体2の開口部26を封鎖可能なカバー部33とを備える。カバー部33は、背面板24にほぼ平行な板状であり、背面板24に対向する面とは反対の面、すなわち外面に取手部34が配置される。パック保持部31は側面板23とほぼ平行に対抗する一対の第1面31a及び第2面31bと、カバー部33にほぼ平行に対向する第3面31cとを有する。第1面31a、第2面31b及び第3面31cは上面から見た際にコ字状となる。第1面31a及び第2面31bの外側には縦方向Yに延びるパックストッパ36が設けられ、差し込まれた紙パックPの上端を支持する。第1面31a及び第2面31bの上端からパックストッパ36までの寸法は、紙パックPの底面から上端までの寸法よりもわずかに小さくなるようにしている。このような寸法関係にすることによって、紙パックPをパック保持部31に差し込んだ際、パック保持部31の上端と紙パックPの底面との間に隙間が形成される。第3面31cにはその上端から高さ方向Zの下方に向かうスリット31dが形成される。第1面31a及び第2面31bと側面板23との間には、これらにほぼ平行な摺動板35がそれぞれ設けられる(
図2参照)。
【0015】
(ドロワ体スライド機構4)
特に
図2を参照すれば、ドロワ体3は、筐体2に対して移動可能とするためのドロワ体スライド機構4を有する。ドロワ体スライド機構4は、摺動板35の外側に固定されたインナーメンバ41と、筐体2の側面板23の内側に設けられたアウターメンバ42によって構成される。取手部34を縦方向Yに引いたり押したりすることによって、インナーメンバ41がアウターメンバ42内を移動し、これによってドロワ体3を縦方向Yに摺動移動させることができる。
図1がドロワ体3を筐体2の最も奥まで押し込んだ状態の閉鎖位置であり、
図2が最も手前まで引き出した状態の開放位置である。
なお、ここで説明したドロワ体スライド機構4は、一実施例を示したにすぎず、この分野で用いられる公知の機構を制限なく用いることができる。
【0016】
(切断手段5)
特に
図3を参照すれば、紙パック切断装置1は、筐体2内に位置し紙パックPを切断可能な切断手段5を備える。切断手段5は、パック保持部31に対向配置される刃固定部50と、刃固定部50に固定される第1刃51、第2刃52及び第3刃53とを備える。この実施形態において刃固定部50は板状であって、筐体2の背面板24とほぼ平行であるとともに、背面板24に対向する一方の面50aと、正面板25に対向する他方の面50bを備える。第1刃51、第2刃52及び第3刃53は、刃固定部50の他方の面50bからパック保持部31に向かって起立する。すなわち、第1刃51の第1刃身51a、第2刃52の第2刃身52a及び第3刃53の第3刃身53aが他方の面50bに接続され、第1刃51の第1刃先51b、第2刃の第2刃先52b及び第3刃53の第3刃先53bがパック保持部31に向かって配置される。第1刃身51a及び第2刃身52aは上面板22とほぼ平行に同一面上に配置され、第1刃先51bと第2刃先52bは劣角をなして対向配置される。第3刃身53aは第1刃身51a及び第2刃身52aに交差する方向、すなわち側面板23とほぼ平行に配置される。
【0017】
(切断スライド機構6)
紙パック切断装置1には、切断手段5が縦方向Yにスライド可能な切断スライド機構6を備える。切断スライド機構6は、刃固定部50から起立するとともに側面板23に対してほぼ平行な一対の摺動板61と、摺動板61の外側に設けられたインナーメンバ62と、側面板23の内側に取り付けられたアウターメンバ63とを備える。アウターメンバ63は上面板22とほぼ平行に延び、アウターメンバ63内をインナーメンバ62が移動することによって、切断手段5が縦方向Yに摺動移動可能とされる。
なお、この実施形態で説明した切断スライド機構6は一実施例にすぎず、この分野で用いられる公知の機構を制限なく用いることができる。
【0018】
(押圧手段7)
紙パック切断装置1は、切断手段5をパック保持部31側に移動させる押圧手段7を備える。押圧手段7は、筐体2外に位置する押下レバー71と、押下レバー71と刃固定部50とを連結するリンク機構72とを備える。押下レバー71は、横方向Xに離間した一対のサイドプレート73と、サイドプレート73の筐体2側に位置する基端73aを回動可能に側面板23に取り付けるシャフト74と、サイドプレート73の先端73bに配置された把持部75と、基端73a及び先端73bの間であって一対のサイドプレート73間に延びる連結部76とを備える。リンク機構72は、その一端72aが連結部76に連結され、他端72bが刃固定部50に連結される。シャフト74は筐体2内に位置し、連結部76は筐体2外に位置する。したがって、リンク機構72はそのほとんどが筐体2内に位置し、一部が背面板24に形成された開口24aを介してその外側に露出する。
【0019】
上記のような構成において、押圧手段7のシャフト74は支点として、把持部75は力点として、連結部76は作用点として、全体的にてこの原理によって切断手段5を縦方向Yに押圧する。すなわち、把持部75を高さ方向Zの下方へと押し下げると、サイドプレート73はシャフト74を中心に回動し、連結部76も高さ方向Zの下方へと押し下げられる。連結部76に連結されたリンク機構72の一端72aも押し下げられ、他端72bが筐体2の正面側へと押し付けられる。すなわち、
図3の図面右側へと押し付けられる。これに伴い刃固定部50も図面右側へと押し付けられ、第1刃51、第2刃52及び第3刃53も移動する。すなわち、押圧手段7によって切断手段5が縦方向Yに移動される。このとき、切断手段5は、インナーメンバ62がアウターメンバ63内を摺動することによって安定して移動することができる。
なお、押圧手段7として押下レバー71及びリンク機構72を用いているが、この機構に限定されるものではなく、他の機構を用いて切断手段5を押圧しても良い。
【0020】
(ロック機構8)
紙パック切断装置1は、ドロワ体3を筐体2内に押し込んだ状態を維持するためのロック機構8を備える。この実施形態において、ロック機構8は、ヒンジ81とブロック体82により構成される。ブロック体82は、ヒンジ81によって土台21に対して起伏可能に取り付けられる。ブロック体82は伏状態においてその先端が閉じられたカバー部33に当接しロック状態となる(
図1参照)。ロック状態ではドロワ体3を引き出すことができない。ブロック体82の起状態においてはドロワ体3を引き出すことができるロック解除状態となる(
図2参照)。ロック解除状態においてドロワ体3を引き出すと、ブロック体82の底部が開けられたカバー部33に当接し、パック保持部31が筐体2から露出する位置関係を有する。
なお、ロック機構8としてヒンジ81及びブロック体82を用いたが、これに限定されるものではなく、ドロワ体3のロック状態を維持するために他のロック機構8を用いることも可能である。
【0021】
(動作説明)
上記のような紙パック切断装置1において紙パックPを切断する方法について説明する。特に
図3を参照すれば、紙パックPは、第1側面P1、第2側面P2、第3側面P3、第4側面P4、底面P5及び上部開口P6を有する。上部が閉じている場合には、事前に開口しておく。この実施形態では、一般的に給食で提供される200ml容量の紙パックPを用いて説明する。
【0022】
紙パック切断装置1を使用するに際し、
図4(a)に示したようにロック機構8のブロック体82を起こしロック解除状態とし、取手部34を握ってドロワ体3を縦方向Yに引き出してパック保持部31を露出させる。
図4(b)に示したように、露出したパック保持部31に紙パックPの上部開口P6を下にして差し込む。パック保持部31は紙パックPの内側寸法よりもわずかに小さい寸法とするとともに、第1面31a、第2面31b及び第3面31cがコ字状を呈するので、紙パックPはその形状を保持したままパック保持部31に容易に差し込むことができる。また、パック保持部31に紙パックPを差し込んだとき、上部開口P6がパックストッパ36に接触し紙パックPの底面P5とパック保持部31との間に隙間を形成する。
【0023】
紙パック切断装置1は、ドロワ体3を引き出した開放位置において、切断手段5はすべて筐体2内に収まっており、紙パックPをパック保持部31にセットする際であっても刃が使用者に触れることがない。また、筐体2の正面に配置された凹形状の正面板25は、パック保持部31は通ることができるが正面板25とパック保持部31との隙間から手を入れることはできない寸法としている。
【0024】
図4(c)に示したように、紙パックPをパック保持部31に差し込んだら、ドロワ体3を筐体2内へと押し込む。このとき正面の開口部26はドロワ体3のカバー部33で確実に覆われ、筐体2内の切断手段5に使用者が接触することはない。
【0025】
図5(a)に示したように、ドロワ体3を筐体2内に押し込み、閉鎖位置にしたらロック機構8のブロック体82を倒し、ドロワ体3が開かないように施錠することができる。このように施錠することによって、後の切断作業を安全におこなうことができる。
【0026】
図5(b)に示したように、押圧手段7の把持部75を高さ方向Zの下方へと押し下げ、リンク機構72を介して切断手段5を縦方向Yに押圧する。切断手段5が押圧されると、第1刃先51bが紙パックPの底面P5近傍の角であって、第1側面P1と第2側面P2との角に当接し、図示しない第2刃先52bが第1側面P1と第4側面P4との角に当接する。
図5(c)に示したように、押圧手段7をさらに押圧すると、第1刃51が第2側面P2を底面P5近傍で切断し、第2刃52が第4側面P4を底面P5近傍で切断する。このとき第3刃先53bは第1側面P1を切断し、スリット31dへと導かれる。
【0027】
図4(a)~(c)及び
図5(a)~(c)の一連の作業で切断作業が完了する。切断作業が完了した後は、把持部75を高さ方向Zの上方へと引き上げて切断手段5を初期位置へと戻し、ドロワ体3を筐体2から引き出して切断された紙パックPをパック保持部31から引き出す。
【0028】
図6(a)は切断された紙パックPを示したものである。紙パックPの第1側面P1は、底面P5から上部開口P6に亘って二分割され、底面P5は、第1側面P1、第2側面P2及び第4側面P4との間で切断され、第3側面P3でのみ切断されずに連結したままとされる。このように切断された紙パックPは容易に手で押し開いて、
図6(b)で示したように平面状に展開することができる。
【0029】
上記のようにこの実施形態の紙パック切断装置1によれば、切断時及び切断前後のいずれにおいても刃が筐体2の内部に収納されているから、刃に触ってけがをするという心配がなく、安全に切断作業をすることができる。しかも、ドロワ体3の解放位置であっても正面板25によって正面の開口が塞がれているから、作業の前後においても刃が手に触れることがなく安全である。
【0030】
紙パックPの切断おいて押下レバー71を押し下げるだけでよいので、一度の操作で容易に紙パックPを切断することができる。自身の体重をかけるように押下レバー71を押し下げることができるので力の弱い子供でも簡単に切断することができる。押圧手段7はリンク機構72を用いるとともに、てこの原理を利用することによって、より一層軽い力で切断手段5を移動させることができ、紙パックPを確実に切断することができる。また、第1刃51,第2刃52及び第3刃53の三つの刃を用い、しかも第3刃53の向きを他とは異なるようにすることによって、立体的な紙パックPを効率よく、かつ確実に切断することができる。さらに、紙パックPの角は固く、角を切断しようとすると過度な力が必要となるが、この実施形態では第1面P1、第2面P2及び第3面P3の面を切断するのでより小さい力で切断することができる。
【0031】
この実施形態では、土台21を上面板22よりも大きくして安定性を向上さることができる。また、ロック機構8のブロック体82はロック状態において土台21に積層されるので邪魔になりにくく、ロック機構8に引っ掛かったりすることがなく安全である。
【符号の説明】
【0032】
1 :紙パック切断装置
2 :筐体
3 :ドロワ体
5 :切断手段
6 :切断スライド機構
24a :開口
26 :開口部
31 :パック保持部
32 :底板部
33 :カバー部
34 :取手部
50 :刃固定部
51 :第1刃
51a :第1刃身
51b :第1刃先
52 :第2刃
52a :第2刃身
52b :第2刃先
53 :第3刃
53a :第3刃身
71 :押下レバー
72 :リンク機構
P :紙パック
【手続補正書】
【提出日】2022-07-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、前記筐体に対して移動可能であるとともに紙パックを保持可能なドロワ体と、を備える紙パック切断装置であって、
前記筐体内に配置され前記紙パックを切断可能な切断手段と、前記切断手段を移動させる切断スライド機構と、をさらに備え、
前記ドロワ体は、底板部と、前記底板部に載置及び固定され前記紙パックを保持するパック保持部を備え、前記パック保持部が前記筐体外に位置する開放位置と、前記パック保持部が前記筐体内に位置する閉鎖位置とを有し、
前記パック保持部は、前記底板部から起立するとともにコ字状を呈する第1面、第2面及び第3面を有し、前記紙パックの上部開口に前記パック保持部を差し込むことにより保持可能であり、
前記切断手段は、前記パック保持部に対向配置される刃固定部と、前記刃固定部に固定される第1刃、第2刃及び第3刃とを備え、前記第1刃の第1刃先及び前記第2刃の第2刃先は劣角をなして対向配置されるとともに前記第1刃の第1刃身及び前記第2刃の第2刃身が同一面上に配置され、前記第3刃の第3刃身は前記第1刃身及び前記第2刃身に交差する方向に配置され、前記第1刃及び前記第2刃が前記紙パックの底面近傍を切断し、前記第3刃が前記紙パックの側面を切断することを特徴とする紙パック切断装置。
【請求項2】
前記切断スライド機構は、前記筐体外に位置する押下レバーと、前記押下レバーと前記刃固定部とを連結するリンク機構とを備え、
前記押下レバーの押下によって前記刃固定部が前記パック保持部へ向かって移動することを特徴とする請求項1記載の紙パック切断装置。
【請求項3】
前記ドロワ体は、前記底板部に固定されるとともに前記閉鎖位置において前記筐体に形成された開口部を封鎖可能なカバー部と、前記カバー部に設けた取手部とを備え、
前記ドロワ体を前記閉鎖位置に固定可能なロック手段をさらに備えることを特徴とする請求項1又は2記載の紙パック切断装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
この発明は、筐体と、前記筐体に対して移動可能であるとともに紙パックを保持可能なドロワ体と、を備える紙パック切断装置であって、前記筐体内に配置され前記紙パックを切断可能な切断手段と、前記切断手段を移動させる切断スライド機構と、をさらに備え、前記ドロワ体は、底板部と、前記底板部に載置及び固定され前記紙パックを保持するパック保持部を備え、前記パック保持部が前記筐体外に位置する開放位置と、前記パック保持部が前記筐体内に位置する閉鎖位置とを有し、前記パック保持部は、前記底板部から起立するとともにコ字状を呈する第1面、第2面及び第3面を有し、前記紙パックの上部開口に前記パック保持部を差し込むことにより保持可能であり、前記切断手段は、前記パック保持部に対向配置される刃固定部と、前記刃固定部に固定される第1刃、第2刃及び第3刃とを備え、前記第1刃の第1刃先及び前記第2刃の第2刃先は劣角をなして対向配置されるとともに前記第1刃の第1刃身及び前記第2刃の第2刃身が同一面上に配置され、前記第3刃の第3刃身は前記第1刃身及び前記第2刃身に交差する方向に配置され、前記第1刃及び前記第2刃が前記紙パックの底面近傍を切断し、前記第3刃が前記紙パックの側面を切断することを特徴とする。
第1刃、第2刃及び第3刃は、筐体内に収納されているので手に触れる心配がなく安全である。第1刃、第2刃及び第3刃を切断スライド機構によって移動可能としたので、手を刃に近づけなくても容易に紙パックを切断することができる。第1刃身及び第2刃身と、第3刃身との向きを変えることによって、一度に複数の方向から紙パックを切断することができ、さらには切断した紙パックを容易に展開することができる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
前記ドロワ体は、前記底板部に固定されるとともに前記閉鎖位置において前記筐体に形成された開口部を封鎖可能なカバー部と、前記カバー部に設けた取手部とを備え、前記ドロワ体を前記閉鎖位置に固定可能なロック手段をさらに備えることを特徴とする。
カバー部を設けることによって、誤って筐体内に手を入れるのを防止することができる。ロック手段を設けることによって、切断中のより高い安全性を担保することができる。