IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ フタバ産業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-排気管 図1
  • 特開-排気管 図2
  • 特開-排気管 図3
  • 特開-排気管 図4
  • 特開-排気管 図5
  • 特開-排気管 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023121427
(43)【公開日】2023-08-31
(54)【発明の名称】排気管
(51)【国際特許分類】
   F01N 13/08 20100101AFI20230824BHJP
   F01N 1/02 20060101ALI20230824BHJP
   F16L 55/00 20060101ALI20230824BHJP
【FI】
F01N13/08 A
F01N1/02 E
F16L55/00 G
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022024774
(22)【出願日】2022-02-21
(71)【出願人】
【識別番号】391002498
【氏名又は名称】フタバ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】梶川 正博
(72)【発明者】
【氏名】都築 裕介
【テーマコード(参考)】
3G004
3H025
【Fターム(参考)】
3G004AA01
3G004BA01
3G004CA01
3G004DA14
3H025CA01
3H025CB12
(57)【要約】
【課題】より広い帯域の騒音を抑制する。
【解決手段】排気管は、内管と、外管と、開口と、閉鎖部と、少なくとも1つの閉塞部とを備える。外管は、二重管を形成するように内管の外側に配置され、内管との間に消音室を形成する。開口は二重管の第1端に位置し、閉鎖部は二重管の第2端にて消音室を閉鎖する。閉塞部は、開口及び閉鎖部から離間して設けられ、消音室を閉塞することで、消音室を複数の消音領域に分割する。また、閉塞部は、これらの消音領域を連通する少なくとも1つの流路を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される排気管であって、
排ガスを流下させるよう構成された内管と、
二重管を形成するように前記内管の外側に配置され、前記内管との間に消音室を形成する外管と、
前記二重管の第1端にて前記消音室を開放する開口と、
前記二重管の第2端にて前記消音室を閉鎖する閉鎖部と、
前記開口及び前記閉鎖部から離間して設けられ、前記消音室を閉塞することで、前記消音室を、前記排ガスの流れ方向の上流側の消音領域と下流側の消音領域とに分割する少なくとも1つの閉塞部と、を備え、
前記閉塞部は、前記上流側の消音領域と前記下流側の消音領域とを連通する少なくとも1つの流路を有する
排気管。
【請求項2】
請求項1に記載の排気管であって、
前記開口の面積は、前記閉塞部の前記流路における前記排ガスの流れ方向に直交する断面の面積よりも大きい
排気管。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の排気管であって、
前記外管における前記閉塞部が位置しない部分の前記排ガスの流れ方向に平行な断面は、前記排ガスの流れ方向の第1端から第2端まで、前記排ガスの流れ方向に沿って延びる
排気管。
【請求項4】
請求項1から請求項3のうちのいずれか1項に記載の排気管であって、
前記外管は、前記内管に向かって陥没する凹部を有し、
前記閉塞部は、前記凹部を有する
排気管。
【請求項5】
請求項1から請求項4のうちのいずれか1項に記載の排気管であって、
前記閉塞部の数は1つである
排気管。
【請求項6】
請求項1から請求項5のうちのいずれか1項に記載の排気管であって、
前記二重管の第1端は、前記排ガスの流れ方向の上流側に位置する
排気管。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、排気管に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘルムホルツ共鳴又はサイドブランチによる音波の干渉を利用して、車両の排気管の騒音を減衰させる技術が知られている。一例として、特許文献1に開示された技術では、二重管構造を有する排気管における内管と外管との間の隙間に、共鳴室と共鳴管とが形成される。そして、ヘルムホルツ共鳴により、共鳴室の容積及び共鳴管の長さ等に応じた周波数の騒音が減衰される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-112063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術では、特定の周波数の騒音を減衰できるが、その一方で、より広い帯域の騒音を抑制したいとの要望が存在する。
本開示の一態様では、より広い帯域の騒音を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様は、車両に搭載される排気管であって、内管と、外管と、開口と、閉鎖部と、少なくとも1つの閉塞部と、を備える。内管は、排ガスを流下させるよう構成される。外管は、二重管を形成するように内管の外側に配置され、内管との間に消音室を形成する。開口は、二重管の第1端にて消音室を開放する。閉鎖部は、二重管の第2端にて消音室を閉鎖する。閉塞部は、開口及び閉鎖部から離間して設けられ、消音室を閉塞することで、消音室を、排ガスの流れ方向の上流側の消音領域と下流側の消音領域とに分割する。また、閉塞部は、上流側の消音領域と下流側の消音領域とを連通する少なくとも1つの流路を有する。
【0006】
上記構成によれば、消音室全体での共鳴による消音効果と、閉塞部により形成された消音室の各消音領域での共鳴による消音効果とが得られる。このため、閉塞部を設けず、消音室全体での共鳴により消音を行う場合に比べ、より広い帯域の騒音を抑制できる。
【0007】
本開示の一態様では、開口の面積は、閉塞部の流路における排ガスの流れ方向に直交する断面の面積よりも大きくてもよい。
上記構成によれば、消音室の開口の面積が広くなるため、音波が消音室に入り易くなり、消音室全体及び各消音領域での共鳴が生じ易くなる。このため、より広い帯域の騒音を良好に抑制できる。
【0008】
本開示の一態様では、外管における閉塞部が位置しない部分の排ガスの流れ方向に平行な断面は、排ガスの流れ方向の第1端から第2端まで、排ガスの流れ方向に沿って延びていてもよい。
【0009】
上記構成によれば、排気管の配置スペースを抑制できる。
本開示の一態様では、外管は、内管に向かって陥没する凹部を有し、閉塞部は、凹部を有していてもよい。
【0010】
上記構成によれば、良好に閉塞部を形成できる。
本開示の一態様では、閉塞部の数は1つであってもよい。
上記構成によれば、閉塞部により分割された消音室の各消音領域において、良好に共鳴による消音効果が得られる。このため、より広い帯域の騒音を良好に抑制できる。
【0011】
本開示の一態様では、二重管の第1端は、排ガスの流れ方向の上流側に位置してもよい。
上記構成によれば、音波が消音室に入り易くなり、消音室全体及び消音室の各消音領域での共鳴が生じ易くなる。このため、より広い帯域の騒音を良好に抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】排気管の透過的な側面図である。
図2図1のII-II断面図である。
図3図1のIII-III断面図である。
図4】排気管の消音量の測定結果を示すグラフである。
図5】変形例の排気管における閉塞部周辺の透過的な側面図である。
図6】変形例の排気管における閉塞部周辺の透過的な側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の実施形態について図面を用いて説明する。なお、本開示の実施の形態は、下記の実施形態に何ら限定されることはなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうる。
【0014】
[1.概要]
本実施形態の排気管1は、車両に搭載され、車両のエンジンからの排ガスの流路を構成する(図1参照)。また、排気管1は、マフラとしての機能を有する二重管2を備えている。
【0015】
具体的には、排気管1は、一例として軸線1Aの方向に真っすぐに延びており、排ガスは、軸線1Aの方向に上流側から下流側へと流下する。また、排気管1は、二重管2を構成する内管3及び外管4と、閉塞部5とを備える。内管3及び外管4は、軸線1Aに直交する断面(以後、単に断面と記載)が円形となっている(図2参照)。
【0016】
[2.外管]
外管4は、軸線1Aの方向に真っすぐに延びており、内管3の外側に配置され、入口部40と、拡径部41と、本体部42とを備える(図1参照)。
【0017】
入口部40は、排気管1への排ガスの入口を形成する円筒状の部位である。
拡径部41は、入口部40の下流側の端部に接続されており、下流側に向かうに従い外管4の断面を拡大する。
【0018】
本体部42は、拡径部41の下流側の端部に接続された円筒状の部位であり、本体部42の断面の径は、入口部40の断面の径に比べて大きくなっている。
[3.内管]
内管3は、軸線1Aの方向に真っすぐに延びており、外管4の本体部42の内側に配置され、内管3と外管4の本体部42とにより二重管2が形成される(図1参照)。内管3は、本体部30と、拡径部31と、出口部32とを備える。
【0019】
本体部30は、内管3への排ガスの入口を形成する円筒状の部位である。
拡径部31は、本体部30の下流側の端部に接続されており、下流側に向かうに従い内管3の断面を拡大する。
【0020】
出口部32は、拡径部31の下流側の端部に接続された円筒状の部位であり、出口部32の断面の径は、拡径部31の断面の径に比べて大きくなっている。また、出口部32は、外管4の本体部42における下流側の端部に接合されている。
【0021】
[4.二重管]
上述したように、内管3と外管4の本体部42とにより、軸線1Aの方向に真っすぐに延びる二重管2が形成される(図1参照)。内管3及び本体部42は、断面が同心円状に配置されており、軸線1Aは、内管3及び本体部42の断面の中心を通過する。
【0022】
そして、二重管2を流下する排ガスは、内管3を通過して排気管1の外部に流出する。また、内管3の本体部30及び拡径部31と外管4の本体部42との間の空間は、排ガスの騒音を抑制するための消音室20として機能する。
【0023】
具体的には、内管3の本体部30の上流側の端部と、外管4の本体部42との間には、内管3の開口を囲む隙間があり、該隙間は、二重管2の上流側の端部にて消音室20を開放する開口21を形成する(図2参照)。消音室20の開口21は、消音室20の断面と同じ形状を有する。
【0024】
また、内管3の出口部32の外周面は、外管4の本体部42の下流側の端部に当接しており、これらの部位により、二重管2の下流側の端部にて、消音室20の下流側の端部を閉鎖する閉鎖部22が形成される。
【0025】
このため、内管3の本体部30における上流側の端部と、内管3の拡径部31における下流側の端部とが、それぞれ、消音室20における上流側の端部と下流側の端部とに相当する。以後、消音室20の上流側の端部と下流側の端部との間の軸線1Aに沿った距離を、L1とする。L1は、消音室20の全体の長さに相当する。具体的には、L1は、内管3における本体部30の上流側の端面から、拡径部31と出口部32との境界までの長さである。
【0026】
[5.閉塞部]
消音室20には、開口21及び閉鎖部22(換言すれば、消音室20の両端)から離間するように、一例として1つの閉塞部5が設けられる(図1参照)。消音室20の上流側の端部と、閉塞部5の上流側の端部との間の距離は、L2に設定される。具体的には、L2は、内管3における本体部30の上流側の端面から、閉塞部5の上流側の端面までの長さである。また、閉塞部5の上流側の端部と、消音室20の下流側の端部との間の距離は、L3に設定される。具体的には、L3は、閉塞部5の上流側の端面から拡径部31と出口部32との境界までの長さである。なお、L2及びL3は0よりも大きい数値であり、これらの数値は、消音量を増加させたい騒音の帯域に応じて適宜定められる。
【0027】
閉塞部5は、消音室20を閉塞することで、消音室20を、上流側に位置する第1消音領域20Aと、下流側に位置する第2消音領域20Bとに分割する。なお、L2及びL3は、それぞれ、第1及び第2消音領域20A、20Bの長さに相当する。
【0028】
一例として、閉塞部5は、内管3の本体部30と外管4の本体部42との間に配置された介在物により構成される。また、介在物として、一例としてワイヤメッシュが用いられる。介在物は、内管3の本体部30の外周面と外管4の本体部42の内周面とにより挟持されており、内管3の本体部30及び外管4の本体部42は、介在物に対し摺動可能となっている。なお、介在物は、内管3の本体部30又は外管4の本体部42の一方に接合されており、介在物に接合されていない内管3の本体部30又は外管4の本体部42が、介在物に対し摺動可能となっていても良い。
【0029】
閉塞部5は、第1消音領域20Aと第2消音領域20Bとを連通する2つの流路50を有する(図3参照)。これらの流路50は、軸線1Aを挟んで対面する。なお、閉塞部5は、1つ、又は、3つ以上の流路50を有していても良い。つまり、本実施形態では、消音室20における内管3を周回する領域を部分的に閉塞する介在物により、閉塞部5が形成される。そして、消音室20の開口21の面積は、閉塞部5の各流路50における断面の面積の総和(以後、総面積)よりも大きくなっている。なお、流路50は、介在物の一部を径方向に陥没させることで形成されてもよい。また、例えば、複数の介在物を周方向に隙間を空けて配置し、各介在物の間の隙間により、流路50を形成してもよい。
【0030】
また、内管3及び外管4の本体部30、42における軸線1Aに平行な断面は、それぞれ、上流側の端部から下流側の端部まで、軸線1A(換言すれば、排ガスの流れ方向)に沿って延びる。このため、外管4の本体部42における消音室20の各消音領域20A、20Bに対面する部分(換言すれば、閉塞部5が位置しない部分)の該平行な断面は、それぞれ、上流側の端部から下流側の端部まで、軸線1Aに沿って延びる。換言すれば、該部分の該平行な断面は、軸線1Aに対し平行又は略平行に延びる。
【0031】
[6.閉塞部による消音効果]
二重管2に形成された消音室20は、サイドブランチ型の消音器として機能する(図1参照)。また、消音室20に閉塞部5を設けることで、消音室20全体での共鳴による消音効果と、第1及び第2消音領域20Aの各々での共鳴による消音効果とが得られる。
【0032】
具体的には、消音室20全体の消音効果は、消音室20全体の長さであるL1に対応する周波数の共鳴により生じる。また、第1及び第2消音領域20A、20Bでの共鳴による消音効果は、それぞれ、第1及び第2消音領域20A、20Bの長さであるL2、L3に対応する周波数の共鳴により生じる。このため、L1~L3の値に応じて、減衰される度合いが大きくなる騒音の帯域が変化する。
【0033】
そして、図4のグラフのライン6~8が示すように、本実施形態の排気管1は、該排気管1から閉塞部5を除いた場合に比べ、より広い帯域の騒音が抑制される。すなわち、ライン6は、閉塞部5が除かれた排気管1の消音量の測定結果を示す。なお、該排気管1は、L1=700mmとなっている。また、ライン7は、L1=700mm、L2=200mm、L3=500mmである場合における排気管1の消音量の測定結果を示す。また、ライン8は、L1=700mm、L2=350mm、L3=350mmである場合における排気管1の消音量の測定結果を示す。
【0034】
図4のグラフによれば、低周波数帯域では、閉塞部5を有さない排気管1と、閉塞部5を有する各排気管1とは、周波数と消音量との対応関係は類似する。つまり、低周波数帯域の騒音に対しては、閉塞部5を有する排気管1は、閉塞部5を有さない各排気管1と同程度の消音効果を奏する。一方、高周波数帯域では、これらの排気管1の周波数と消音量との対応関係に違いが生じており、閉塞部5を有する各排気管1は、閉塞部5を有さない排気管1に比べ、消音量が多い。
【0035】
つまり、閉塞部5を設けることで、低周波数帯域の騒音の消音量を維持しつつ、高周波帯域の騒音の消音量を増加させることができる。つまり、閉塞部5を設けることで、抑制される騒音の帯域が高周波数側に広がる。
【0036】
また、ライン6、7は、L2及びL3の数値が異なる場合、高周波帯域において、消音量が増加する騒音の帯域が異なるものとなることを示している。このため、排気管1が搭載される車両で生じる騒音の特性に応じてL2及びL3を調整することで、好適に騒音を抑制できる。
【0037】
[7.閉塞部の変形例]
本実施形態の排気管1において、内管3及び/又は外管4の形状により閉塞部5の全部又は一部が構成されても良い。
【0038】
具体的には、例えば、外管4の本体部42に、本体部42を周回するように、内管3に向かって陥没する凹部43を設けても良い(図5参照)。そして、凹部43の底部と内管3の本体部30との間に、本実施形態と同様にしてワイヤメッシュ51を配置しても良い。つまり、凹部43とワイヤメッシュ51とにより、閉塞部5を構成してもよい。
【0039】
また、例えば、外管4の本体部42に、本体部42を周回するように、底部が内管3の本体部30に当接する凹部を設けても良い。そして、凹部の底部に溝部を形成することで、該底部と本体部30との間に、第1消音領域20Aと第2消音領域20Bとを連通する少なくとも1つの流路を形成しても良い。つまり、ワイヤメッシュ51等の介在物を設けること無く、外管4の本体部42の凹部により、閉塞部を構成してもよい。
【0040】
こうすることにより、閉塞部を良好に形成できる。
なお、これらの場合においても、外管4の本体部42における閉塞部5が位置しない部分(換言すれば、凹部以外の部分)の、軸線1Aに平行な断面は、それぞれ、上流側の端部から下流側の端部まで軸線1Aに沿って延びてもよい。
【0041】
また、本体部42における凹部以外の部分における軸線1Aの方向の長さは、閉塞部5における軸線1Aの方向の長さよりも長いのが好ましい。つまり、本体部42における軸線1Aに沿って延びる部分は、本体部42の凹部よりも長いのが好ましい。
【0042】
また、例えば、内管3の本体部30に、本体部30を周回するように、外管4に向かって突出する凸部33を形成しても良い(図6参照)。そして、凸部33の頂部と外管4の本体部42との間に、本実施形態と同様にしてワイヤメッシュ51を配置しても良い。つまり、凸部33とワイヤメッシュ51とにより、閉塞部5を構成してもよい。
【0043】
また、例えば、内管3の本体部30に、本体部30を周回するように、頂部が外管4の本体部42に当接する凸部を形成しても良い。そして、凸部の頂部に溝部を形成することで、該頂部と本体部42との間に、第1消音領域20Aと第2消音領域20Bとを連通する少なくとも1つの流路を形成しても良い。つまり、ワイヤメッシュ51等の介在物を設けること無く、内管3の本体部30の凸部により、閉塞部を形成してもよい。
【0044】
なお、これらの場合においても、外管4の本体部42における軸線1Aに平行な断面は、上流側の端部から下流側の端部まで軸線1Aに沿って延びてもよい。
この他にも、内管3及び外管4の本体部30、42の各々に、同様にして凸部及び凹部を設け、凸部の頂部と凹部の底部との間に同様にして介在物を設けることで、閉塞部を形成してもよい。また、凸部の頂部と凹部の底部とを当接させると共に、これらの部位の間に少なくとも1つの流路を形成し、介在物を設けること無く、凸部及び凹部により閉塞部を形成してもよい。
【0045】
[8.効果]
(1)上記実施形態によれば、消音室20全体での共鳴による消音効果と、閉塞部5により形成された消音室20の各消音領域20A、20Bでの共鳴による消音効果とが得られる。このため、閉塞部5を設けず、消音室20全体での共鳴により消音を行う場合に比べ、より広い帯域の騒音を抑制できる。
【0046】
(2)また、消音室20の開口21の面積は、閉塞部5の各流路50における断面の総面積よりも大きい。これにより、開口21の面積が広くなるため、音波が消音室20に入り易くなり、消音室20全体及び各消音領域20A、20Bでの共鳴が生じ易くなる。このため、より広い帯域の騒音を良好に抑制できる。
【0047】
(3)また、外管4の本体部42における各消音領域20A、20Bに対面する部分は、軸線1Aに平行な断面が、それぞれ、上流側の端部から下流側の端部まで、軸線1Aに沿って延びる。このため、排気管1の配置スペースを抑制できる。
【0048】
(4)また、閉塞部5は開催物であるワイヤメッシュを有しており、内管3及び/又は外管4は、ワイヤメッシュに対し摺動可能となっている。このため、二重管2に熱伸びが生じた際、内管3と外管4との間の熱伸び差を吸収でき、座屈を抑制できる。
【0049】
また、ヘルムホルツ共鳴又はサイドブランチを利用した消音を行う二重管構造を有するマフラにおいて、内管と外管との間における消音室の端部を閉鎖する部位をワイヤメッシュにより構成し、内管と外管との間の熱伸び差を吸収する技術が知られている。また、同様のマフラにおいて、消音室の端部にワイヤメッシュを配置し、該ワイヤメッシュにより消音室の開口を形成することで、内管と外管との間の熱伸び差を吸収する技術も知られている。
【0050】
これらのマフラでは、ワイヤメッシュの密度が低いと消音室の端部で音波が反射し難くなり、共鳴による消音効果が低減する恐れがある。このため、ワイヤメッシュを高密度にする必要があり、その結果、コストの上昇を招いていた。これに対し、上記実施形態によれば、ワイヤメッシュの密度が消音効果に与える影響が小さく、ワイヤメッシュの密度を低くすることができる。このため、コストの上昇を抑制できる。
【0051】
(5)また、消音室20の開口21は、二重管2の上流側の端部に位置する。このため、音波が消音室20に入り易くなり、消音室20全体及び消音室20の各消音領域20A、20Bでの共鳴が生じ易くなる。このため、より広い帯域の騒音を良好に抑制できる。
【0052】
[9.他の実施形態]
(1)上記実施形態において、二重管2の開口21が下流側に位置し、閉鎖部22が上流側に位置するようにしてもよい。具体的には、例えば、内管3の出口部32を上流側に配置すると共に、本体部30を下流側に配置してもよい。また、例えば、排気管1における内管3の出口部32及び外管4の本体部42が位置する側の開口を、排気管1への排ガスの入口として用いてもよい。
【0053】
(2)上記実施形態において、二重管2の消音室20にN個(Nは2以上の整数)の閉塞部5を設けても良い。そして、消音量を増加させたい騒音の帯域に応じて、消音室20の開口21と各閉塞部5との間の距離を定めてもよい。これにより、消音室20にN+1個の消音領域が形成され、各消音領域では、当該消音領域の長さに対応する周波数での共鳴により、消音効果が生じる。このため、より広い帯域の騒音を抑制できる。
【0054】
また、この場合、消音室20の開口21の面積を、各閉塞部5における各流路の断面の総面積よりも大きくするのが好適である。
(3)上記実施形態において、二重管2は、軸線1Aの方向に真っすぐ延びる形状に限らず、例えば、湾曲又は屈曲した形状であってもよい。また、二重管2を構成する内管3及び外管4の本体部30、42は、断面が同心円状となるように配置されるが、これに限らず、本体部30、42の位置は適宜定められ得る。また、内管3及び外管4の断面は、円形に限らず、適宜定められ得る。
【0055】
(4)上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。
【符号の説明】
【0056】
1…排気管、1A…軸線、2…二重管、20…消音室、20A…第1消音領域、20B…第2消音領域、21…開口、22…閉鎖部、3…内管、30…本体部、4…外管、42…本体部、5…閉塞部、50…流路。
図1
図2
図3
図4
図5
図6