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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023012143
(43)【公開日】2023-01-25
(54)【発明の名称】ステアリングサポート
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/08 20060101AFI20230118BHJP
【FI】
B62D25/08 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021115622
(22)【出願日】2021-07-13
(71)【出願人】
【識別番号】391002498
【氏名又は名称】フタバ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】塩谷 優太
【テーマコード(参考)】
3D203
【Fターム(参考)】
3D203AA02
3D203BB37
3D203BB54
3D203CA52
3D203CB09
3D203CB19
3D203CB24
3D203DA13
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ステアリング剛性を向上させ、車両の操舵感を向上する。
【解決手段】ステアリングサポートは、本体部と締結部と補強部材101,102,103とを備える。本体部は、上本体部及び下本体部を備える。上本体部及び下本体部は、車幅方向に延在する。上本体部及び下本体部の間に内部空間が形成される。締結部は、本体部とステアリングとを締結させる部位であるステアリング締結部を構成するために、内部空間に当接するように設けられる。補強部材は、内部空間に設けられ、上本体部及び下本体部を連結し、締結部から延在する。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車幅方向に延びた状態で車両に搭載され、前記車両のステアリングを上方から支持するように構成されたステアリングサポートであって、当該ステアリングサポートは、本体部と締結部と補強部材とを備え、
前記本体部は、上本体部及び下本体部を備え、前記上本体部及び前記下本体部は、前記車幅方向に延在し、前記上本体部は当該ステアリングサポートが前記車両に搭載された状態において前記下本体部の上側に位置し、前記上本体部及び前記下本体部の間に内部空間が形成され、
前記締結部は、前記本体部と前記ステアリングとを締結させる部位であるステアリング締結部を構成するために、前記内部空間に当接するように前記本体部に設けられ、
前記補強部材は、前記内部空間に設けられ、前記上本体部及び前記下本体部を連結し、前記締結部から延在する、ステアリングサポート。
【請求項2】
請求項1に記載のステアリングサポートであって、
前記締結部は、前記本体部における前記車両の後方側に設けられる、ステアリングサポート。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のステアリングサポートであって、
前記補強部材は、前記締結部から前記本体部における面状の部位よりも剛性が高い部位まで延在する、ステアリングサポート。
【請求項4】
請求項3に記載のステアリングサポートであって、
前記上本体部と前記下本体部とは互いに別部材であり、前記上本体部と前記下本体部とを接合することで前記本体部が形成され、
前記剛性が高い部位は、前記上本体部と前記下本体部との接合部である、ステアリングサポート。
【請求項5】
請求項3又は請求項4に記載のステアリングサポートであって、
前記車両のボディの一部を構成し、前記車幅方向に延びたパイプ状の部材であるステアリングメンバを更に備え、
前記本体部は、前記ステアリングメンバに締結される前記車幅方向の端部であるステアリングメンバ締結端部を備え、
前記剛性が高い部位は、前記ステアリングメンバ締結端部である、ステアリングサポート。
【請求項6】
請求項3から請求項5までのいずれか1項に記載のステアリングサポートであって、
前記本体部は、前記車両の運転席側ピラーに締結される前記車幅方向の端部であるピラー締結端部を備え、
前記剛性が高い部位は、前記ピラー締結端部である、ステアリングサポート。
【請求項7】
請求項1に記載のステアリングサポートであって、
前記車両のボディの一部を構成し、前記車幅方向に延びたパイプ状の部材であるステアリングメンバを更に備え、
前記本体部は、ステアリングメンバ締結端部とピラー締結端部とを備え、
前記ステアリングメンバ締結端部は、前記ステアリングメンバに締結される、前記本体部の前記車幅方向の一方の端部であり、
前記ピラー締結端部は、前記車両の運転席側ピラーに締結される、前記本体部の前記車幅方向の他方の端部であり、
当該ステアリングサポートは、
前記締結部として、前記車幅方向に離間して設けられる右締結部及び左締結部を備え、
前記補強部材として、前記右締結部から前記ステアリングメンバ締結端部まで延在する右補強部材と、前記左締結部から前記ピラー締結端部まで延在する左補強部材と、
を備える、ステアリングサポート。
【請求項8】
請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載のステアリングサポートであって、
前記締結部は、前記本体部における前記車両の後方側に設けられる後方締結部であり、
前記補強部材は、前記後方締結部から延在する後方補強部材であり、
当該ステアリングサポートは、突出部と前方締結部と前方補強部材とを更に備え、
前記突出部は、前記本体部における前記車幅方向の中央に位置する部分である本体中央部に前記車両の前側に突出するように設けられ、
前記前方締結部は、前記本体部と前記ステアリングとを締結させる部位である前方ステアリング締結部を構成するために、前記突出部に設けられ、
前記前方補強部材は、前記内部空間に設けられ、前記上本体部及び前記下本体部を連結し、前記前方締結部に近接して設けられる、ステアリングサポート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両のステアリングを上方から支持するように構成されたステアリングサポートに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されたインパネリインホースメントにおける運転席側部分は、ステアリングサポートとして構成される。この運転席側部分の本体部は、車幅方向に延在する板状の部材である上本体部及び下本体部をもなか合わせすることにより形成される。運転席側部分は、ステアリングを上方から支持する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-270467号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
運転者がハンドル操作を行うと、ステアリングからステアリングサポートに外力が入力される。この外力により、ステアリングサポートにおける本体部が面変形を起こす。その結果、ステアリング支持剛性が悪化し、タイヤの動作に遅れが発生し、運転者の操舵感が損なわれる。
【0005】
本開示の1つの局面は、ステアリング剛性を向上させ、操舵感を向上することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、車幅方向に延びた状態で車両に搭載され、車両のステアリングを上方から支持するように構成されたステアリングサポートであって、本体部と締結部と補強部材とを備える。本体部は、上本体部及び下本体部を備える。上本体部及び下本体部は、車幅方向に延在する。上本体部は、当該ステアリングサポートが車両に搭載された状態において下本体部の上側に位置する。上本体部及び下本体部の間に内部空間が形成される。締結部は、本体部とステアリングとを締結させる部位であるステアリング締結部を構成するために、内部空間に当接するように本体部に設けられる。補強部材は、内部空間に設けられ、上本体部及び下本体部を連結し、締結部から延在する。
【0007】
このような構成によれば、補強部材が本体部の面が変形することを抑制する。したがって、本体部の面変形による外力のタイヤへの伝達ロスを抑制できる。ひいては、運転者の操舵感を向上できる。
【0008】
なお、本明細書において「補強部材が、締結部から延在する」とは、補強部材の端部のうち締結部側の端部が締結部に近接することを意味してもよい。この場合において、補強部材は、締結部側の端部が締結部に当接するように設けられていてもよく、締結部側の端部と締結部との間に隙間を置いた状態で設けられていてもよい。
【0009】
本開示の一態様では、締結部は、本体部における車両の後方側に設けられていてもよい。
このような構成によれば、補強部材は、車両の後方側に設けられた前記締結部から延在する。したがって、締結部が本体部における車両の後方側に設けられるステアリングサポートにおいて本体部の面変形を抑制し、外力のタイヤへの伝達ロスを抑制できる。ひいては、運転者の操舵感を向上できる。
【0010】
本開示の一態様では、補強部材は、締結部から本体部における面状の部位よりも剛性が高い部位まで延在していてもよい。
このような構成によれば、締結部から入力される外力が、補強部材を伝って前記剛性が高い部位まで伝達する。このため、比較的面変形しやすい前記面状の部位に加わる外力を低減できる。したがって、前記剛性が高い部位まで補強部材が延在していない構成と比較して、本体部の面変形を抑制し、運転者の操舵感を向上できる。
【0011】
なお、本明細書において「補強部材が、剛性が高い部位まで延在する」とは、補強部材の端部のうち前記剛性が高い部位側の端部が、前記剛性が高い部位に近接することを意味してもよい。この場合において、補強部材は、前記剛性が高い部位側の端部が、前記剛性が高い部位に当接するように設けられていてもよく、前記剛性が高い部位側の端部と前記剛性が高い部位との間に隙間を置いた状態で設けられていてもよい。
【0012】
なお、以後、本体部の面状の部位を「面状部」とも記載する。
本開示の一態様では、上本体部と下本体部とは互いに別部材であり、上本体部と下本体部とを接合することで本体部が形成されてもよい。そして、前記剛性が高い部位は、上本体部と下本体部との接合部であってもよい。
【0013】
このような構成によれば、締結部から、補強部材を伝って上本体部と下本体部との接合部へと外力が伝達する。よって、本体部の面状部に加わる外力を低減でき、本体部の面変形を抑制できる。よって、運転者の操舵感を向上できる。
【0014】
本開示の一態様では、ステアリングサポートは、ステアリングメンバを更に備えていてもよい。ステアリングメンバは、車両のボディの一部を構成し、車幅方向に延びたパイプ状の部材である。そして、本体部は、ステアリングメンバに締結される車幅方向の端部であるステアリングメンバ締結端部を備えていてもよい。そして、前記剛性が高い部位は、ステアリングメンバ締結端部であってもよい。
【0015】
このような構成によれば、補強部材を伝って締結部からステアリングメンバ締結端部へと外力が伝達する。よって、本体部の面状部に加わる外力を低減でき、本体部の面変形を抑制できる。よって、運転者の操舵感を向上できる。
【0016】
本開示の一態様では、本体部は、車両の運転席側ピラーに締結される車幅方向の端部であるピラー締結端部を備えていてもよい。そして、前記剛性が高い部位は、ピラー締結端部であってもよい。
【0017】
このような構成によれば、補強部材を伝って締結部からピラー締結端部へと外力が伝達する。よって、本体部の面状部に加わる外力を低減でき、本体部の面変形を抑制できる。よって、運転者の操舵感を向上できる。
【0018】
本開示の一態様では、ステアリングサポートは、ステアリングメンバを更に備えていてもよい。そして、本体部は、ステアリングメンバ締結端部とピラー締結端部とを備えていてもよい。ステアリングメンバ締結端部は、ステアリングメンバに締結される、本体部の車幅方向の一方の端部である。ピラー締結端部は、車両の運転席側ピラーに締結される、本体部の車幅方向の他方の端部である。また、ステアリングサポートは、締結部として、車幅方向に離間して設けられる右締結部及び左締結部を備えてもよい。また、ステアリングサポートは、補強部材として、右補強部材と左補強部材とを備えてもよい。右補強部材は、右締結部からステアリングメンバ締結端部まで延在する。左補強部材は、左締結部からピラー締結端部まで延在する。
【0019】
このような構成によれば、本体部の左右の部位の剛性を向上できる。ひいては、ステアリングサポートが右補強部材及び左補強部材のうちいずれか一方しか備えていない場合と比較して、より一層本体部の面変形を抑制し、運転者の操舵感を向上できる。
【0020】
本開示の一態様では、ステアリングサポートは、以下の構成であってもよい。すなわち、締結部は、本体部における車両の後方側に設けられる後方締結部である。また、補強部材は、後方締結部から延在する後方補強部材である。そして、ステアリングサポートは、突出部と前方締結部と前方補強部材とを更に備える。突出部は、本体部における車幅方向の中央に位置する部分である本体中央部に車両の前側に突出するように設けられる。前方締結部は、本体部とステアリングとを締結させる部位である前方ステアリング締結部を構成するために、突出部に設けられる。前方補強部材は、内部空間に設けられ、上本体部及び下本体部を連結し、前方締結部に近接して設けられる。
【0021】
このような構成によれば、前方締結部から入力された外力が、前方補強部材を伝って上本体部及び下本体部のうちいずれか一方から他方へと伝搬する。よって、外力を上本体部及び下本体部のいずれか一方で集中して受けることを抑制し、上本体部又は下本体部の面変形を抑制できる。したがって、前方補強部材を備えない構成と比較して、外力のタイヤへの伝達ロスが生じることをより一層抑制し、運転者の操舵感を向上できる。
【0022】
なお、「車幅方向の中央」などの記載における「中央」とは、厳密な意味での中央に限るものではなく、上記と同様の効果を奏するのであれば厳密に中央でなくてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、ステアリングサポートの斜視図である。
図2図2は、ステアリングサポートの上部を示す図である。
図3図3は、ステアリングサポートの下部を示す図である。
図4図4は、ステアリングサポートの後部を示す図である。
図5図5は、ステアリングサポートの前部を示す図である。
図6図6は、ステアリングサポートの左側部の一部を示す図である。
図7図7は、ステアリングサポートの右側部の一部を示す図である。
図8図8は、図4のVIII-VIII断面図である。
図9図9は、図4のIX-IX断面図である。
図10図10は、図2のX-X断面図である。
図11図11は、ステアリングサポートの斜視図において補強部材を視認可能に示した図である。
図12図12は、ステアリングサポートの上部を示す図において補強部材を視認可能に示した図である。
図13図13は、図12における符号Aで示す部分を切り取って示した図である。
図14図14は、補強部材にフランジ部を設け、当該フランジ部を用いて補強部材を本体部に接合する構成を示す図である。
図15図15は、他の実施形態に係る補強部材の設置例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しながら、本開示の実施形態を説明する。
[1.構成]
[1-1.全体の構成]
図1~7に示すステアリングサポート1は、例えば鋼材から形成される。ステアリングサポート1は、車幅方向(換言すれば、車両における左右方向)に延びた状態で車両に搭載される。以後、車両における前、後、右、左を、単に前、後、右、左と記載する。また、左右方向の中央を、単に中央と記載する。
【0025】
ステアリングサポート1の左端は、ブラケット91を介して運転席側ピラー94に締結される。なお、運転席側ピラー94とは、運転席側のドア付近に設けられる車両のボディを構成する部材である。また、本実施形態のステアリングサポート1は米国仕様、つまり運転席が左側に設けられた車両用である。一方、ステアリングサポート1の右端は、ステアリングメンバ9の左端に締結される。
【0026】
ステアリングメンバ9とは、車両のボディの一部を構成するパイプ状の部材であり、左右方向に直線状に延びた状態で車両の助手席の前方に配置される。以後、ステアリングメンバ9の左右方向に垂直な断面の中心を通過する仮想的な直線を、軸線90と記載する。軸線90は、左右方向に延びる。また、ステアリングメンバ9の右端は、ブラケット92を介して車両のボディ(一例として、助手席側ピラー)に締結される。また、ステアリングメンバ9の左端は、ステアリングサポート1の右端の付近に位置する。しかしながら、ステアリングメンバ9の左端は、例えば、ステアリングサポート1における中央部分や、左側の部分に位置していてもよい。
【0027】
そして、ステアリングサポート1は、ステアリング8におけるステアリングコラム82を上側から支持する(図6、7参照)。なお、ステアリングコラム82とは、ハンドル80に対する回転操作をステアリング機構に伝達するステアリングシャフト81の外周面を囲む部位である。
【0028】
ステアリングサポート1は、本体部10と、右端部11と、左端部12と、後方ステアリング締結部13と、フロアブレース締結部14と、を備える。また、ステアリングサポート1は、突出部20と、前方ステアリング締結部21(図6、7、9参照)と、ボディ締結部22と、複数(この例では3つ)の補強部材101~103(図8~13参照)と、前述のステアリングメンバ9と、を備える。
[2.本体部]
本体部10は、左右方向に延びるように設けられる中空の部位であり、略前後方向(以後、幅方向とも記載)に広がる(図1~5参照)。また、本体部10は、上本体部3と下本体部4とを備える。上及び下本体部3、4は、プレス成形等により所定の形状に形成された、車幅方向に延在する板状の部材であり、互いに別部材として構成される。
【0029】
上及び下本体部3、4は、本体部10の右端から左端にわたって延びるとともに、本体部10の幅方向に広がる。上及び下本体部3、4は、前側の縁に位置するフランジ状の部位である前フランジ部30、40と、後側の縁に位置するフランジ状の部位である後フランジ部31、41と、を備える。上本体部3における前フランジ部30と後フランジ部31との間の部分は、上側に突出する溝状の部位を形成している。また、下本体部4における前フランジ部40と後フランジ部41との間の部分は、下側に突出する溝状の部位を形成している。
【0030】
ステアリングサポート1が車両に搭載された状態において上本体部3は下本体部4の上側に位置する。そして、本体部10は、上及び下本体部3、4における前フランジ部30、40同士と、後フランジ部31、41同士と、をそれぞれ溶接等により接合することで形成される。このように、本体部10は、モナカ構造を有する。
【0031】
上本体部3と下本体部4との間には、内部空間18が形成される(図6~10、14参照)。内部空間18は、本体部10の右端から左端にわたって延びる。
以後、本体部10における中央に位置する部分を、本体中央部15とする。本体中央部15には、後述する突出部20が設けられる。また、本体部10における本体中央部15(換言すれば、突出部20)の右側の部分と左側の部分とをそれぞれ、本体右部16、本体左部17とする。本体右部16及び本体左部17は、本体中央部15に向かうに従い、前後方向の長さ(以後、幅)が広くなる。そして、本体中央部15は、本体右部16及び本体左部17以上の幅の広さを有する。
【0032】
また、本体部10の右端、左端の部分は、それぞれ、略円筒状の右端部11、左端部12を形成する。右端部11及び左端部12は、それぞれ、内部空間18に当接し、内部空間18に連通する開口を形成する。また、前述したステアリングメンバ9の軸線90は、これらの開口の略中心を通過する(図6、7参照)。
[3.上本体部]
上本体部3は、前述した前及び後フランジ部30、31と、右湾曲部32と、左湾曲部33と、前面部34と、前上面部35と、後面部36と、後上面部37と、を備える(図1~13参照)。
【0033】
右湾曲部32、左湾曲部33は、それぞれ、上本体部3における本体右部16、本体左部17に含まれる部分に形成される。右湾曲部32、左湾曲部33は、それぞれ、前フランジ部30の後側の縁部から、後フランジ部31の前側の縁部にかけて広がり、上側に突出する略円弧状に湾曲する。
【0034】
一方、前面部34、前上面部35、後面部36及び後上面部37は、上本体部3における本体中央部15に含まれる部分に形成される。
前面部34は、前フランジ部30から上側に広がる面状の部位である。
【0035】
前上面部35は、前面部34の縁部のうち前フランジ部30とは反対側の縁部から後側に広がる面状の部位である。前上面部35は、後側に向かうに従い上側に向かうように傾斜する。
【0036】
後面部36は、前上面部35の後側の縁部と緩やかな湾曲部を介して連続する面状の部位である。後面部36は、後側に向かうに従い下側に向かうように傾斜する。
後上面部37は、後面部36の後側の縁部から後フランジ部31の前側の縁部にわたって広がる面状の部位である。後上面部37は、後側に向かうに従い上側に向かうように傾斜する。
[4.下本体部]
下本体部4は、前述した前及び後フランジ部40、41と、前側部42と、底面部43と、を備える(図1~13参照)。
【0037】
前側部42は、前フランジ部40の後側の縁部から広がる壁状の部位である。前側部42は、後側に向かうに従い下側に向かうように傾斜する。
底面部43は、前側部42の後側の縁部から後フランジ部41の前側の縁部にわたって広がる面状の部位である。底面部43は、上本体部3の右湾曲部32、左湾曲部33、前上面部35、後面部36及び後上面部37と略上下方向に対面する。底面部43の左右方向における中央部は、上側に窪んだ形状をしている。当該窪んだ部分の後部は、上本体部3の後上面部37と当接している(図3、4、9、10参照)。
[5.突出部]
突出部20は、前側に突出するように本体部10の本体中央部15に設けられる(図1~13参照)。突出部20は、プレス成形等により所定の形状に形成された板材である上突出部5と下突出部6とを有する。
【0038】
上突出部5は、上伸長部50と、上右壁部51と、上左壁部52と、右接合部53と、左接合部54と、を備える。
上伸長部50は、上本体部3における本体中央部15を形成する部分に配置され、前後方向に延びる細長い部位である。上伸長部50は、上本体部3における後面部36及び後上面部37に沿って配置され、後面部36の前側の縁部の近傍から前方に突出する(図9参照)。上伸長部50の後方における左右の両縁部には、上側に突出する溝状の2つの上溝部50a、50bが形成されている(図1、2、4、5、10~12参照)。上溝部50a、50bは、前後方向に延在し、互いに間隔を空けて略平行に位置する。上溝部50a、50bと上本体部3との間には、隙間が形成されている。また、上伸長部50における上溝部50aと上溝部50bとの間の部分は、上本体部3に当接し、例えば溶接等により上本体部3に接合される。
【0039】
上右壁部51、上左壁部52は、それぞれ、上伸長部50における右端、左端から下方に突出する壁状の部位である。
右接合部53は、上右壁部51の下端から右側に突出するフランジ状の部位である。左接合部54は、上左壁部52の下端から左側に突出するフランジ状の部位である。右及び左接合部53、54は、それぞれ、後面部36及び後上面部37に当接する。右接合部53、左接合部54は、略三角形状であり、例えば溶接等により上本体部3に接合される。
【0040】
一方、下突出部6は、下本体部4における本体中央部15を形成する部分から前方に突出する部位である。下突出部6は、下伸長部60と、下前端部61と、下右壁部62と、下左壁部63と、を備える。
【0041】
下伸長部60は、上伸長部50に対面するように上伸長部50の下側に配置され、前後方向に延びる細長い部位である。
下前端部61は、下伸長部60の前端から上側に突出し、前側を向く壁状の部位である。
【0042】
下右壁部62、下左壁部63は、それぞれ、下伸長部60及び下前端部61の右端、左端から、上伸長部50に向かって突出する壁状の部位である。
そして、下右壁部62及び下左壁部63の後端を含む部分は、下本体部4の底面部43に、例えば溶接等により接合される。また、下前端部61の上端部は、上突出部5における上伸長部50の前端部と例えば溶接等により接合される。同様に、下右壁部62及び下左壁部63における前側に位置する部分は、上突出部5における上右壁部51及び上左壁部52における後側に位置する部分と例えば溶接等により接合される。
[6.後方締結部]
後方ステアリング締結部13は、本体中央部15における後方側に設けられる(図1~4、6、7、10~12参照)。後方ステアリング締結部13は、本体部10とステアリング8(より詳しくは、ステアリングコラム82の取付部83)とを締結する(図6、7参照)。後方ステアリング締結部13は、本体部10における軸線90よりも後側の部分に設けられ、内部空間18に当接する。
【0043】
後方ステアリング締結部13は、本体中央部15の後方側において中央を挟んで右側及び左側にそれぞれ設けられる右後方ステアリング締結部13a及び左後方ステアリング締結部13bを備える。
【0044】
右後方ステアリング締結部13aは、本体部10及び内部空間18を貫通する貫通部材の一例であるボルト70aと、2つの第1ボルト穴71a、72aと、を含む複数の部位により構成される。同様に、左後方ステアリング締結部13bは、ボルト70bと、2つの第1ボルト穴71b、72bと、を含む複数の部位により構成される。
【0045】
詳細には、右後方ステアリング締結部13aの2つの第1ボルト穴71a、72aは、それぞれ、上本体部3の後上面部37と下本体部4の底面部43とに設けられ、内部空間18を挟んで対面する。そして、ボルト70aは、内部空間18を貫通しつつ、対面する2つの第1ボルト穴71a、72a、及び、ステアリングコラム82の取付部83(図7参照)のボルト穴に挿入される。左後方ステアリング締結部13bについても同様である。このようにして、ステアリング8が本体部10に締結される。
【0046】
一方、後方締結部は、後方ステアリング締結部13a、13bを構成するために、本体部10の後方側において内部空間18に当接するように設けられる。本実施形態では、後方締結部は、後方ステアリング締結部13a、13bを構成する第1ボルト穴71a、72a、71b、72bである。
【0047】
以後、右後方ステアリング締結部13aを構成する第1ボルト穴71a、72aを右後方締結部71a、72aと記載する。また、左後方ステアリング締結部13bを構成する第1ボルト穴71b、72bを左後方締結部71b、72bと記載する。また、右後方締結部71a、72a及び左後方締結部71b、72bを総称して後方締結部71a、72a、71b、72bとも記載する。
【0048】
本実施形態では、一例として、後方ステアリング締結部13a、13bは、ステアリング8と共に上突出部5も締結する。前述したように、上突出部5は、後上面部37の上面に当接する(図1、2、8~10参照)。そして、上突出部5の後方側において中央を挟んで右側の部分と左側の部分とにそれぞれ第2ボルト穴73a、73bが形成されている。そして、ボルト70aは、上突出部5の第2ボルト穴73aと、後上面部37及び底面部43の各第1ボルト穴71a、72aと、に挿入される。同様に、ボルト70bは、上突出部5の第2ボルト穴73bと、後上面部37及び底面部43の各第1ボルト穴71b、72bと、に挿入される。これにより、上突出部5は、ステアリング8と共に本体部10に締結される。
【0049】
なお、後方ステアリング締結部13a、13bにより上突出部5を締結しない構成としてもよい。また、後方ステアリング締結部13a、13bは、1本、又は、3本以上のボルトにより、本体部10、ステアリング8及び上突出部5を締結するよう構成されていてもよい。
[7.前方締結部]
前方ステアリング締結部21は、本体部10とステアリング8とを締結する(図6、7、9参照)。前方ステアリング締結部21は、下突出部6の下右壁部62及び下左壁部63における後側の端部の付近に設けられる(図6、7参照)。前方ステアリング締結部21は、軸線90よりも前側であって、内部空間18の外部に位置する。詳細には、前方ステアリング締結部21は、内部空間18の前側に位置する部分の下方に位置する。
【0050】
本実施形態では、一例として、前方ステアリング締結部21は、下突出部6の下右壁部62及び下左壁部63の各々を左右方向に貫通する2つのボルト穴74a、74bと、図示省略するボルトとで形成されている。
【0051】
具体的には、下右壁部62と下左壁部63との間に、ステアリングコラム82が配置される。そして、前方ステアリング締結部21のボルト穴74a、74bと、ステアリングコラム82のボルト穴と、にボルトを挿入することで、ステアリング8が突出部20に締結される。
【0052】
前方締結部は、前方ステアリング締結部21を構成するために、突出部20に設けられる。本実施形態では、前方締結部は、前方ステアリング締結部21を構成するボルト穴74a、74bである。以後、ボルト穴74a、74bを前方締結部74a、74bと記載する。
【0053】
[8.他の締結部]
ステアリングサポート1における本体部10の右端部11は、ステアリングメンバ9の左端に締結される(図1~5参照)。すなわち、右端部11の開口には、ステアリングメンバ9の左端が挿入される。そして、右端部11における開口を囲む縁部は、例えば溶接等により、その全周にわたってステアリングメンバ9の左端に接合され、これにより、ステアリングメンバ締結部11aが構成される。ステアリングメンバ締結部11aは、内部空間18に当接する。
【0054】
また、本体部10の左端部12は、箱状のブラケット91を介して、運転席側ピラー94に締結される(図1~5参照)。すなわち、左端部12は、ブラケット91に形成された開口部に挿入され、左端部12の開口を囲む縁部は、例えば溶接等により、その全周にわたってブラケット91の開口部に接合される。そして、ブラケット91は、当該ブラケットの後側の部分を挿通する少なくとも1つのボルトにより、運転席側ピラー94に接合される。つまり、左端部12は、本体部10を運転席側ピラー94に締結するピラー締結部12aを構成する。ピラー締結部12aは、内部空間18に当接する。
【0055】
また、下本体部4の底面部43における右端部11の付近には、本体部10とフロアブレース93の上端と、を締結するフロアブレース締結部14が設けられている(図1~5参照)。なお、フロアブレース93とは、車両のボディにおけるステアリングサポート1の下側に位置する部分から上側に突出するように設けられた細長い部材である。
【0056】
また、下突出部6における下前端部61には、突出部20と車両のボディと、を締結するボディ締結部22が形成されている(図5等参照)。
本実施形態では、後方ステアリング締結部13におけるボルト70a,70bは、内部空間18を跨ぐように設けられる。一方、ステアリングメンバ9に締結される本体部10の右端部11、及び、運転席側ピラー94に締結される本体部10の左端部12もまた、内部空間18を跨ぐように設けられる。
【0057】
そして、後方ステアリング締結部13の少なくとも一部と、右端部11の少なくとも一部とは、内部空間18を通過する略直線上に位置する(図1~4参照)。
また、後方ステアリング締結部13の少なくとも一部と、左端部12の少なくとも一部とは、内部空間18を通過する略直線上に位置する(図1~4参照)。
【0058】
また、後方ステアリング締結部13の少なくとも一部と、フロアブレース締結部14の少なくとも一部とは、内部空間18を通過する略直線上に位置する(図1~4参照)。
本実施形態では、後方ステアリング締結部13の少なくとも一部と、右端部11、左端部12及びフロアブレース締結部14の少なくとも一部と、を結ぶ略直線は、左右方向に対し傾斜している。しかし、当該略直線は、左右方向に延びていてもよい。
【0059】
また、本体部10の本体中央部15における前側の端部は、突出部20における前方ステアリング締結部21(図6、7参照)よりも前側に位置する。
[9.補強部材]
補強部材101~103は、内部空間18に設けられる(図8~12参照)。図11、12では、補強部材101~103を視認可能に示している。補強部材101~103は、上本体部3及び下本体部4を連結し、左右方向に延在する平板状の部材である。補強部材101~103は、例えば鋼材から形成される。
【0060】
第1補強部材101は、本体部10の右後方側の縁部に沿って、右後方ステアリング締結部13aを構成する右後方締結部71a、72aからステアリングメンバ締結部11a、つまり、右端部11まで延在するように設けられる。換言すれば、第1補強部材101は、右後方締結部71a、72aと右端部11とを結ぶ最短経路に沿って延在するように設けられる。
【0061】
一方、第2補強部材102は、本体部10の左後方側の縁部に沿って、左後方ステアリング締結部13bを構成する左後方締結部71b、72bからピラー締結部12a、つまり、左端部12まで延在するように設けられる。換言すれば、第2補強部材102は、左後方締結部71b、72bと左端部12とを結ぶ最短経路に沿って延在するように設けられる。
【0062】
なお、本体部10の右端部11及び左端部12は、本体部10の面状部よりも剛性が高い部位である。ここでいう面状部とは、本体部10における面状の部位であり、換言すれば、本体部10を構成する部位のうち、一定以上の広がりを有する面状の部位である。例えば、面状部は、底面部43と上面部とを含む部位であってもよい。底面部43は、前述のとおり、下本体部4を構成する部位のうち、前後方向、左右方向又は上下方向に広がる面状の部位である。一方、上面部は、上本体部3を構成する部位のうち、前後方向、左右方向又は上下方向に広がる面状の部位である。上面部は、前述した前面部34、前上面部35、後面部36等である。また、本実施形態のように本体部10がモナカ構造を有する場合、面状部は、本体部10のうち、右端部11、左端部12、及び、上本体部3と下本体部4との接合部、以外の部分であってもよい。なお、面状部には、平面状の部位と曲面状の部位との双方が含まれる。
【0063】
一方、第3補強部材103は、本体部10の中央部(本体中央部15)の前方側の縁部に沿って左右に延在するように設けられる。
第3補強部材103は、下方の端部が前方ステアリング締結部21に近接するように設けられる(図9参照)。具体的には、第3補強部材103は、前方ステアリング締結部21の直上に位置する。また、第3補強部材103は、前方締結部(ボルト穴)74a、74bに締結されるボルトに沿って左右に延在する。なお、第3補強部材103の左右方向の長さは、右後方ステアリング締結部13a及び左後方ステアリング締結部13bとの間の距離よりも若干短い(図12参照)。
【0064】
ここで、第1及び第2補強部材101、102は、当該補強部材101、102の上下の端面をそれぞれ上本体部3、下本体部4に突き当てるように設けられる(図13参照)。図13は、図12における符号Aで示す部分を切り取って示した図である。そして、第1及び第2補強部材101、102は、上本体部3、下本体部4に対し、例えばウィービング溶接により接合される。なお、ウィービング溶接では、溶接トーチを、補強部材101、102の長手方向(すなわち、左右方向)に平行な溶接線Lに沿って稲妻形(ジグザグ)に往復移動させる。図13のジグザグ線Zは、溶接軌跡を示す。
【0065】
一方、第3補強部材103は、下本体部4の底面部43に対し、略垂直に起立する本体部103aと、本体部103aの上端から前側に屈曲し、上本体部3の前面部34に対し、略垂直に起立する屈曲部103bと、を備える(図9参照)。つまり、第3補強部材103の長手方向に直交する方向の断面形状が略L字状である。そして、屈曲部103bの上端部の端面と本体部103aの下端部の端面とがそれぞれ、上及び下本体部3、4の内壁面に例えばウィービング溶接等で接合される。
【0066】
[2.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)本実施形態では、ステアリングサポート1は、後方締結部71a、72a、71b、72bから延在するように設けられた補強部材101、102を備える。
【0067】
ここで、運転者がハンドル80を操作すると、後方締結部71a、72a、71b、72bから本体部10に外力が入力される。本体部10の面状部は本体部10における他の部位よりも比較的剛性が低いため、外力を受けると変形しやすい。そして、本体部10が変形すると、外力のタイヤへの伝達ロスが生じ、タイヤの動作に遅れが生じ得る。
【0068】
この点、本実施形態では、補強部材101、102が本体部10の面状部が変形することを抑制する。したがって、本体部10の面変形による外力のタイヤへの伝達ロスを抑制できる。ひいては、運転者の操舵感を向上できる。
【0069】
(2)また、本体部10の面変形を抑制するため、本体部10の板厚を大きくして、本体部10の剛性を向上させることが考えられる。しかしながら、その場合、本体部10が一般に大型化する。これに対し、本実施形態では、補強部材101、102を設けることで本体部10の剛性を向上させる。このため、剛性を高めるため本体部10の板厚を大きくしなくてもよい。よって、本体部10の板厚を大きくする場合と比較して、本体部10の大型化を抑制し、省スペース化及び軽量化できる。
【0070】
(3)本実施形態では、補強部材101、102は、後方締結部71a、72a、71b、72bから本体部10における面状部よりも剛性が高い部位まで延在する。なお、前記剛性が高い部位は、本体部10の部位である。
【0071】
したがって、後方締結部71a、72a、71b、72bから入力される外力が、補強部材101、102を伝って前記剛性が高い部位まで伝達する。このため、比較的面変形しやすい面状部に加わる外力を低減できる。したがって、前記剛性が高い部位まで補強部材101、102が延在していない構成と比較して、本体部10の面変形を抑制し、運転者の操舵感を向上できる。
【0072】
(4)本実施形態では、本体部10の右端部11は、ステアリングメンバ9に締結される。そして、前記剛性が高い部位は、右端部11である。そして、第1補強部材101は、右後方締結部71a、72aから右端部11まで延在する。
【0073】
したがって、ハンドル80の操作時において、図12の矢印A1で示す向きに沿って、外力が第1補強部材101を伝って右後方締結部71a、72aから右端部11に伝搬する。よって、本体部10の面状部に加わる外力を低減でき、本体部10の面変形を抑制できる。よって、運転者の操舵感を向上できる。
【0074】
(5)本実施形態では、本体部10の左端部12は、ブラケット91を介して運転席側ピラー94に締結される。そして、前記剛性が高い部位は、左端部12である。そして、第2補強部材102は、左後方締結部71b、72bから左端部12まで延在する。
【0075】
したがって、ハンドル80の操作時において、図12の矢印A2で示す向きに沿って、外力が第2補強部材102を伝って左後方締結部71b、72bから左端部12に伝搬する。よって、本体部10の面状部に加わる外力を低減でき、本体部10の面変形を抑制できる。よって、運転者の操舵感を向上できる。
【0076】
(6)本実施形態では、ステアリングサポート1は、突出部20と、前方締結部74a、74bと、を備える。突出部20は、本体部10における車幅方向の中央に位置する部分である本体中央部15に車両の前側に突出するように設けられた部位である。前方締結部74a、74bは、本体部10とステアリング8とを締結させる部位である前方ステアリング締結部21を構成するために、突出部20に設けられる。そして、ステアリングサポート1は、第3補強部材103を備える。第3補強部材103は、内部空間18に設けられ、上本体部3及び下本体部4を連結し、前方ステアリング締結部21に上下方向の一端部(下端部)が近接して設けられる。
【0077】
したがって、ハンドル80の操作時において、図9の矢印A3で示す向きに沿って、前方ステアリング締結部21から入力された外力が、第3補強部材103を伝って下本体部4から上本体部3に伝搬する。
【0078】
よって、外力を、上及び下本体部3、4の双方で受けることができる。つまり、外力を分散させ、下本体部4で集中して外力を受けることを抑制できる。よって、第3補強部材103が設けられない構成と比較して、下本体部4、ひいては、本体部10の面変形を抑制できる。したがって、外力のタイヤへの伝達ロスが生じることを抑制し、運転者の操舵感を向上できる。
【0079】
(7)本実施形態では、上及び下本体部3、4の内壁面に突き当てるようにして補強部材101、102が設けられる。換言すれば、平板状の補強部材101、102の上下の端面を、上本体部3及び下本体部4の内壁面にそれぞれ当接させる。
【0080】
ここで、図14に示すような補強部材104を考える。補強部材104は、平板状の本体部104aと、本体部104aの上端と下端とにそれぞれ設けられ、互いに反対方向(前方及び後方)に突出するフランジ部104b、104cと、を備える。補強部材104は、長手方向(すなわち、左右方向)に直交する方向の断面形状がS字状である。そして、補強部材104のフランジ部104b、104cと上及び下本体部3、4とをそれぞれ接合する。
【0081】
この場合、例えば上側の後方締結部72bから入力される外力は、上本体部3→フランジ部104b→本体部104a→フランジ部104c→下本体部4の順で伝搬する。図14中、矢印は力の伝搬を示す。この場合、補強部材104には外力が曲げモーメントとして作用する。
【0082】
一方、本実施形態のように補強部材101、102を上及び下本体部4に突き当てて設置することで、外力は、補強部材101、102に対し、曲げモーメントとしてではなく軸力として作用する。その結果、図14に示すようにS字状の補強部材104を設置する場合と比較して、補強部材101、102を外力により変形しにくくできる。
【0083】
また、本実施形態のように補強部材101、102を突き当てて設置することで、図13の矢印で示すように、S字状の補強部材104を用いる場合と比較して、上本体部3から下本体部4までの力の伝達経路を短くできる。よって、速やかに外力を上本体部3から下本体部4に逃がし、外力の伝達ロスを抑制できる。
【0084】
(8)本実施形態では、本体部10は、ステアリングメンバ9に締結される右端部11と、運転席側ピラー94に締結される左端部12と、を備える。そして、ステアリングサポート1は、後方締結部として、本体部10の車両の後方側において車幅方向に離間して設けられる右後方締結部71a、72a及び左後方締結部71b、72bを備える。そして、ステアリングサポート1は、補強部材として、右後方締結部71a、72aから右端部11まで延在する第1補強部材101と、左後方締結部71b、72bから左端部12まで延在する第2補強部材102と、を備える。
【0085】
したがって、ハンドル80の操作時において、補強部材101、102を伝って後方締結部71a、72a、71b、72bから右端部11及び左端部12に外力が伝搬する。よって、本体部10の左右の部位の剛性を向上できる。ひいては、補強部材101、102のいずれか一方のみしか設けられない構成と比較して、より一層本体部10の面変形を抑制し、運転者の操舵感を向上できる。
【0086】
なお、本実施形態では、後方締結部71a、72a、71b、72bが締結部に相当し、右後方締結部71a、72aが右締結部に相当し、左後方締結部71b、72bが左締結部に相当し、後方ステアリング締結部13がステアリング締結部に相当する。また、右端部11がステアリングメンバ締結端部に相当し、左端部12がピラー締結端部に相当し、第1補強部材101及び第2補強部材102が後方補強部材に相当し、第3補強部材103が前方補強部材に相当する。また、第1補強部材101が右補強部材に相当し、第2補強部材102が左補強部材に相当する。
【0087】
[3.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
【0088】
(1)上記実施形態において、ステアリングサポートは、1つ、又は、3つ以外の複数、の補強部材を備えていてもよい。
(2)上記実施形態では、本体部10の面状部よりも剛性が高い部位として本体部10の右端部11及び左端部12を例示したが、前記剛性が高い部位はこれに限られない。例えば、前記剛性が高い部位は、上本体部3と下本体部4との接合部であってもよい。上本体部3と下本体部4との接合部は、具体的には、上及び下本体部3、4における前フランジ部30、40同士と、後フランジ部31、41同士と、の接合部であってもよい。
【0089】
そして、例えば、右後方ステアリング締結部13aを構成する右後方締結部71a、72aから車両前方側の接合部(すなわち、前フランジ部30、40同士の接合部)まで延在するように補強部材105、106が設けられていてもよい(図15参照)。同様に、左後方ステアリング締結部13bを構成する左後方締結部71b、72bから車両前方側の接合部まで延在するように補強部材107が設けられていてもよい。また例えば、右後方締結部71a、72a又は左後方締結部71b、72bから車両後方側の接合部(後フランジ部31、41同士の接合部)まで延在するように補強部材108、109が設けられていてもよい。
【0090】
このような構成によれば、補強部材105~109を伝って、後方締結部71a、72a、71b、72bから上及び下本体部3、4の接合部へと外力が伝達する。よって、本体部10の面状部に加わる外力を低減でき、本体部10の面変形を抑制できる。よって、運転者の操舵感を向上できる。
【0091】
特に、上及び下本体部3、4の接合部は左右方向に延在し、比較的広範囲に存在する。そして、接合部のどの部分に補強部材を延在するように設けても比較的同様の効果を奏する。したがって、本体部10の右端部11及び左端部12まで延在するように補強部材を設ける構成と比較して、補強部材を設けるに際の設置の自由度を高くできる。
【0092】
(3)上記実施形態において、後方締結部71a、72a、71b、72bから前記剛性が高い部位までの経路の途中で、図15の補強部材110a、110bのように、1つの補強部材が分割されて設置されもよい。換言すれば、後方締結部71a、72a、71b、72bから前記剛性が高い位置までを結ぶ経路に沿って複数の補強部材110a、110bが並べられて配置されていてもよい。この場合において、複数の補強部材110a、110bの前記経路に沿う方向の端部同士が近接するように複数の補強部材110a、110bが設けられていてもよい。
【0093】
(4)上記実施形態では、補強部材101~103はモナカ構造の本体部10に設けられる。しかしながら、補強部材が設けられる部材はこれに限られない。例えば、補強部材は、モナカ構造以外の中空の部材(例えば、上及び下本体部3、4が一体成形された部材)の内部空間に設けられてもよい。この場合も上記実施形態と同様に前記中空の部材の剛性を向上し、運転者の操舵感を向上できる。
【0094】
なお、上及び下本体部3、4が一体成形されている場合に補強部材を設けるときは、本体部の内部及び外部を連通する開口部を設け、当該開口部から補強部材を内部に圧入して、本体部10の内部に補強部材を配置してもよい。あるいは、押出加工を用いて、補強部材が内部に配置された状態の中空の部材を製造してもよい。
【0095】
なお、本体部がモナカ構造以外の中空の部材である場合、本体部の面状部は、当該本体部のうち、右端部及び左端部以外の部分であってもよい。
(5)上記実施形態では、補強部材101~103は長手方向を有する形状であるが、補強部材の形状はこれに限られない。例えば、補強部材は、長手方向を有しない板状形状であってもよく、板状以外の形状であってもよい。この場合において例えば、補強部材は、上下に延在する円柱形状、円筒形状、楕円形状、多角柱形状等、任意の形状であってもよい。
【0096】
(6)上記実施形態において、補強部材101~103はウィービング溶接以外の溶接方法、又は、溶接以外の接合方法で上及び下本体部3、4に接合されてもよい。
(7)上記実施形態において、例えば第1補強部材101は、上下の右後方締結部72a、72bのうちいずれか一方から延在し、いずれか他方から離間していてもよい。この場合も、第1補強部材101は、右後方締結部72a、72bから延在する。第2補強部材102についても同様である。
【0097】
(8)上記実施形態において、補強部材101~103は、後方締結部71a、72a、71b、72bから延在していればよく、前記剛性が高い部位まで延在していなくてもよい。また、補強部材は、本体部10における面変形を起こしやすい箇所やステアリング8からの外力の伝達効率が良くなる箇所等、適宜の箇所に設置されてもよい。
【0098】
(9)上記実施形態では、締結部として、本体部10における車両の後方側に設けられる後方締結部71a、72a、71b、72bを例示したが、締結部はこれに限られない。例えば、締結部は、本体部10における車両の前方側、又は、本体部10における前後方向の中央部に設けられる締結部であってもよい。そして、当該締結部から延在するように補強部材が設けられてもよい。
【0099】
(10)上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。
【符号の説明】
【0100】
1…ステアリングサポート、3…上本体部、4…下本体部、8…ステアリング、
10…本体部、18…内部空間、21…前方ステアリング締結部、
71a、72a、71b、72b…後方締結部、101~109…補強部材。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15