(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023121454
(43)【公開日】2023-08-31
(54)【発明の名称】車両用灯具及び車両後方照射システム
(51)【国際特許分類】
B60Q 1/24 20060101AFI20230824BHJP
F21S 41/663 20180101ALI20230824BHJP
F21S 41/24 20180101ALI20230824BHJP
F21S 41/30 20180101ALI20230824BHJP
F21S 41/148 20180101ALI20230824BHJP
F21S 43/243 20180101ALI20230824BHJP
F21S 43/30 20180101ALI20230824BHJP
F21S 43/14 20180101ALI20230824BHJP
F21V 8/00 20060101ALI20230824BHJP
F21V 23/00 20150101ALI20230824BHJP
F21V 7/06 20060101ALI20230824BHJP
F21V 7/04 20060101ALI20230824BHJP
F21W 102/17 20180101ALN20230824BHJP
F21W 103/45 20180101ALN20230824BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20230824BHJP
【FI】
B60Q1/24 A
F21S41/663
F21S41/24
F21S41/30
F21S41/148
F21S43/243
F21S43/30
F21S43/14
F21V8/00 330
F21V23/00 110
F21V7/06
F21V7/04 100
F21W102:17
F21W103:45
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022024810
(22)【出願日】2022-02-21
(71)【出願人】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(72)【発明者】
【氏名】川上 拓也
【テーマコード(参考)】
3K014
3K244
3K339
【Fターム(参考)】
3K014AA01
3K244AA05
3K244BA14
3K244CA03
3K244DA01
3K244EA01
3K244EA12
3K244EA23
3K244EB01
3K244HA01
3K339AA13
3K339AA14
3K339AA22
3K339AA28
3K339AA31
3K339BA01
3K339BA12
3K339BA22
3K339BA23
3K339BA25
3K339BA28
3K339CA14
3K339CA30
3K339DA01
3K339EA04
3K339GB21
3K339GB26
3K339HA02
3K339KA01
3K339MA01
3K339MC35
3K339MC36
(57)【要約】
【課題】車両の後退時に車両後方に向けて照射される光の照射範囲のうち障害物が存在する照射領域に向けて光を選択的に照射することを可能とした車両用灯具を提供する。
【解決手段】第1の光源5Aから出射された第1の光L1をリフレクタ6により反射しながら、リフレクタ6により反射された第1の光L1を車両後方に向けて照射する第1の発光ユニット7と、第2の光源5Bから出射された第2の光L2を導光レンズ8により導光しながら、導光レンズ8により導光された第2の光L2を車両後方に向けて照射する第2の発光ユニット9とを備え、第1の発光ユニット7は、第1の光L1を車両後方の照射範囲に向けて照射し、第2の発光ユニット9は、車両幅方向に複数並んで配置されて、照射範囲と重複するように車両幅方向において分割された照射領域毎に、第2の光L2を選択的に照射する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の光源と、リフレクタとを含み、前記第1の光源から出射された第1の光を前記リフレクタにより反射しながら、前記リフレクタにより反射された第1の光を車両後方に向けて照射する第1の発光ユニットと、
第2の光源と、導光レンズとを含み、前記第2の光源から出射された第2の光を前記導光レンズにより導光しながら、前記導光レンズにより導光された第2の光を車両後方に向けて照射する第2の発光ユニットとを備え、
前記第1の発光ユニットと前記第2の発光ユニットとの何れか一方の発光ユニットは、前記第1の光と前記第2の光との何れか一方の光を車両後方の照射範囲に向けて照射し、
前記第1の発光ユニットと前記第2の発光ユニットとの何れか他方の発光ユニットは、車両幅方向に複数並んで配置されて、前記照射範囲と重複するように前記車両幅方向において分割された照射領域毎に、前記第1の光と前記第2の光との何れか他方の光を選択的に照射することを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記一方の発光ユニットは、車両幅方向に複数並んで配置されて、前記照射範囲に向けて前記一方の光を照射することを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記第1の光源及び前記第2の光源が実装された基板を備え、
前記リフレクタは、前記基板を挟んで前記第1の光源が位置する側に配置され、
前記導光レンズは、前記基板を挟んで前記第2の光源が位置する側に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記一方の発光ユニットが前記第1の発光ユニットであり、
前記他方の発光ユニットが前記第2の発光ユニットであることを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の車両用灯具。
【請求項5】
車両の後退時に車両後方に向けて光を照射する車両後方照射システムであって、
請求項1~4の何れか一項に記載の車両用灯具と、
前記車両後方の障害物を検出する検出部と、
前記検出部が前記障害物を検出したときに、前記障害物が存在する照射領域に向けて前記他方の光を選択的に照射する制御を行う制御部とを備えることを特徴とする車両後方照射システム。
【請求項6】
前記検出部は、前記車両後方の画像を撮像する撮像部を含み、前記撮像部が撮像した画像に基づいて、前記障害物を検出することを特徴とする請求項5に記載の車両後方照射システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具及び車両後方照射システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、車両の後退時に車両後方の歩行者や車両等の障害物を検出し、この障害物に対して光を照射することで、運転者や歩行者に注意喚起することが行われている(例えば、下記特許文献1を参照。)。
【0003】
具体的に、下記特許文献1には、カメラで撮像した画像から、車両後方の障害物を検出し、モータ等のアクチュエータによってシェードを回転させながら、車両後方に向けて照射される光の照射範囲を近傍から遠方まで可変に制御することが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1に記載の車両用灯具では、シェードにより車両後方に向けて照射される光の照射範囲を可変に制御する構成のため、柔軟に障害物が存在する領域に対して正確に且つ強い光を照射することは困難である。このため、障害物を早期に発見することができず、運転者への注意喚起が不十分となる虞れがある。
【0006】
また、特許文献1に記載の車両用灯具では、このシェードを回転させる機構など、部品点数も多く複雑な構造となってコストが嵩むことになる。
【0007】
本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、車両の後退時に車両後方に向けて照射される光の照射範囲のうち障害物が存在する照射領域に向けて光を選択的に照射することを可能とした車両用灯具を提供することを目的とする。
【0008】
また、本発明は、そのような車両用灯具を用いて、車両後方の障害物に対して強い光を照射することによって、車両後方の障害物を早期に発見し、運転者に対して注意喚起を促すことを可能とした車両後方照射システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
〔1〕 第1の光源と、リフレクタとを含み、前記第1の光源から出射された第1の光を前記リフレクタにより反射しながら、前記リフレクタにより反射された第1の光を車両後方に向けて照射する第1の発光ユニットと、
第2の光源と、導光レンズとを含み、前記第2の光源から出射された第2の光を前記導光レンズにより導光しながら、前記導光レンズにより導光された第2の光を車両後方に向けて照射する第2の発光ユニットとを備え、
前記第1の発光ユニットと前記第2の発光ユニットとの何れか一方の発光ユニットは、前記第1の光と前記第2の光との何れか一方の光を車両後方の照射範囲に向けて照射し、
前記第1の発光ユニットと前記第2の発光ユニットとの何れか他方の発光ユニットは、車両幅方向に複数並んで配置されて、前記照射範囲と重複するように前記車両幅方向において分割された照射領域毎に、前記第1の光と前記第2の光との何れか他方の光を選択的に照射することを特徴とする車両用灯具。
〔2〕 前記一方の発光ユニットは、車両幅方向に複数並んで配置されて、前記照射範囲に向けて前記一方の光を照射することを特徴とする前記〔1〕に記載の車両用灯具。
〔3〕 前記第1の光源及び前記第2の光源が実装された基板を備え、
前記リフレクタは、前記基板を挟んで前記第1の光源が位置する側に配置され、
前記導光レンズは、前記基板を挟んで前記第2の光源が位置する側に配置されていることを特徴とする前記〔1〕又は〔2〕に記載の車両用灯具。
〔4〕 前記一方の発光ユニットが前記第1の発光ユニットであり、
前記他方の発光ユニットが前記第2の発光ユニットであることを特徴とする前記〔1〕~〔3〕の何れか一項に記載の車両用灯具。
〔5〕 車両の後退時に車両後方に向けて光を照射する車両後方照射システムであって、
前記〔1〕~〔4〕の何れか一項に記載の車両用灯具と、
前記車両後方の障害物を検出する検出部と、
前記検出部が前記障害物を検出したときに、前記障害物が存在する照射領域に向けて前記他方の光を選択的に照射する制御を行う制御部とを備えることを特徴とする車両後方照射システム。
〔6〕 前記検出部は、前記車両後方の画像を撮像する撮像部を含み、前記撮像部が撮像した画像に基づいて、前記障害物を検出することを特徴とする前記〔5〕に記載の車両後方照射システム。
【発明の効果】
【0010】
以上のように、本発明によれば、車両の後退時に車両後方に向けて照射される光の照射範囲のうち障害物が存在する照射領域に向けて光を選択的に照射することを可能とした車両用灯具を提供することが可能である。
【0011】
また、本発明によれば、そのような車両用灯具を用いて、車両後方の障害物に対して強い光を照射することによって、車両後方の障害物を早期に発見し、運転者に対して注意喚起を促すことを可能とした車両後方照射システムを提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係る車両用灯具の構成を示す正面図である。
【
図2】
図1中に示す線分A-Aによる車両用灯具の断面図である。
【
図3】
図1に示す車両用灯具を用いた車両後方照射システムの構成を示すブロック図である。
【
図4】
図3に示す車両後方照射システムの動作の一例を説明するための図であり、(A)は車両後方の画像を示す模式図であり、(B)は車両用灯具の点灯状態を示す正面図である。
【
図5】
図3に示す車両後方照射システムの動作の一例を説明するための図であり、(A)は車両後方の画像を示す模式図であり、(B)は車両用灯具の点灯状態を示す正面図である。
【
図6】
図3に示す車両後方照射システムの動作の一例を説明するための図であり、(A)は車両後方の画像を示す模式図であり、(B)は車両用灯具の点灯状態を示す正面図である。
【
図7】
図1に示す車両用灯具とは別の構成例を示す断面図である。
【
図8】
図1に示す車両用灯具とは別の構成例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下の説明で用いる図面においては、各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を異ならせて示すことがあり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
【0014】
(車両用灯具)
先ず、本発明の一実施形態として、例えば
図1及び
図2に示す車両用灯具1について説明する。
なお、
図1は、車両用灯具1の構成を示す正面図である。
図2は、
図1中に示す線分A-Aによる車両用灯具1の断面図である。
【0015】
また、以下に示す図面では、XYZ直交座標系を設定し、X軸方向を車両用灯具1の前後方向(長さ方向)、Y軸方向を車両用灯具1の左右方向(幅方向)、Z軸方向を車両用灯具1の上下方向(高さ方向)として、それぞれ示すものとする。
【0016】
本実施形態の車両用灯具1は、例えば、車両(図示せず。)の後端側の両コーナー部(本実施形態では左後端側のコーナー部)に搭載されるリアコンビネーションランプRCLのうち、一方の発光ユニットとして車両の後退時に白色発光するバックランプBCLと、他方の発光ユニットとして車両の後退時に選択的に白色発光するバックアクセサリーランプBALと含む車両用灯具に本発明を適用したものである。
【0017】
なお、本実施形態の車両用灯具1は、上述したリアコンビネーションランプRCL以外にも、このリアコンビネーションランプRCLと隣接するリッドランプに、本発明を適用したバックランプBCL及びバックアクセサリーランプBALを含む構成であってもよい。
【0018】
また、リアコンビネーションランプRCLは、車両の後端側の両コーナー部において左右対称に配置されるものの、本実施形態の車両用灯具1については、左右両側のリアコンビネーションランプRCLに配置された構成だけでなく、片側(左側又は右側)のリアコンビネーションランプRCLのみに配置された構成であってもよい。
【0019】
なお、以下の説明において、「前」「後」「左」「右」「上」「下」との記載は、特に断りのない限り、車両用灯具1を正面(車両後方)から見たときのそれぞれの方向を意味するものとする。したがって、車両を正面(車両前方)から見たときのそれぞれの方向とは、前後左右を逆にした方向となっている。
【0020】
本実施形態の車両用灯具1は、
図1及び
図2に示すように、前面が開口したハウジング2と、このハウジング2の開口を覆う透明なアウターレンズ3とにより構成される灯体4を備えている。なお、灯体4の形状については、車両のデザイン等に合わせて、適宜変更することが可能である。
【0021】
本実施形態の車両用灯具1は、第1の光源5Aと、リフレクタ6とを含む複数(本実施形態では3つ)の第1の発光ユニット7(必要に応じて第1の発光ユニット7a,7b,7cとして区別する。)と、第2の光源5Bと、導光レンズ8とを含む複数(本実施形態では3つ)の第2の発光ユニット9(必要に応じて第2の発光ユニット9a,9b,9cとして区別する。)と、エクステンション10とを備え、これらが灯体4の内側に配置された構成を有している。
【0022】
第1の発光ユニット7及び第2の発光ユニット9は、それぞれ車両の幅方向(以下、「車幅方向」という。)に並んで配置されている。
【0023】
第1の光源5A及び第2の光源5Bは、例えば白色光を発する発光ダイオード(LED)からなる。第1の光源5A及び第2の光源5Bは、それぞれのLEDを駆動する駆動回路が設けられた回路基板11の上に実装されている。
【0024】
このうち、第1の光源5Aは、回路基板11の一面(本実施形態では下面)側に実装されている。これにより、第1の光源5Aは、下方に向けて光(以下、「第1の光」として区別する。)L1を放射状に出射する。また、第1の光源5Aは、複数の第1の発光ユニット7の配置に合わせて、車幅方向に複数(本実施形態では3つ)並んで配置されている。
【0025】
一方、第2の光源5Bは、回路基板11の一面側の第1の光源5Aよりも後側に実装されている。これにより、第2の光源5Bは、下方に向けて光(以下、「第2の光」として区別する。)L2を放射状に出射する。また、第2の光源5Bは、複数の第2の発光ユニット9の配置に合わせて、車幅方向に複数(本実施形態では3つ)並んで配置されている。
【0026】
なお、本実施形態では、上述した第1の光源5A及び第2の光源5Bを構成するLEDと、LEDを駆動する駆動回路とが回路基板11の上に実装された構成となっているが、LEDが実装された実装基板と、LEDを駆動する駆動回路が設けられた回路基板とを別々に配置し、実装基板と回路基板との間をハーネスと呼ばれる配線コードを介して電気的に接続し、LEDが発する熱から駆動回路を保護する構成としてもよい。
【0027】
リフレクタ6は、回路基板11を挟んで第1の光源5Aと対向する下方側に位置して、この回路基板11に実装された3つの第1の光源5Aに各々対応して車幅方向に3つ並んで配置されている。
【0028】
リフレクタ6は、例えば、断面視で第1の光源5Aの中心(発光点)を焦点とする放物線を基調とした凹状の反射面6aを有している。リフレクタ6には、例えば白色のガラスエポキシ樹脂などの光拡散性を有する反射部材や、アルミ蒸着膜などの反射膜が設けられた反射部材を用いることができる。また、リフレクタ6には、反射面6aのみに反射膜が設けられた白色の反射部材を用いてもよい。
【0029】
これにより、各第1の発光ユニット7は、第1の光源5Aから出射された第1の光L1をリフレクタ6の反射面6aにより反射しながら、このリフレクタ6の反射面6aにより反射された第1の光L1を車両後方に向けて照射する。
【0030】
なお、リフレクタ6については、反射面6aを複数の反射領域に分割したマルチリフレクタ構造を有していてもよい。これにより、リフレクタ6は、各反射領域に入射した第1の光L1の反射方向を制御し、反射面6aに入射した第1の光L1を車幅方向に拡散しながら反射することが可能である。
【0031】
導光レンズ8は、回路基板11を挟んで第2の光源5Bと対向する下方側に位置して、この回路基板11に実装された3つの第2の光源5Bに各々対応して車幅方向に3つ並んで配置されている。
【0032】
導光レンズ8は、インナーレンズとして、第2の光源5Bから出射された第2の光L2を導光させる導光体からなる。導光レンズ8には、例えばポリカーボネイトやアクリル等の透明樹脂やガラスなど、空気よりも屈折率の高い材質からなる光透過性部材を用いることができる。
【0033】
導光レンズ8は、第2の光源5Bに対向して配置されて、第2の光源5Bから出射された第2の光L2を内部へと入射する入射部12と、入射部12から入射した第2の光L2を導光させる導光部13と、導光部13の入射部12と対向する側に配置されて、導光部13の内部で導光される第2の光L2を導光部13の正面側に向けて反射する反射部14と、導光部13の正面側に配置されて、反射部14で反射された第2の光L2を外部へと出射する出射部15とを有している。
【0034】
入射部12は、導光部13の一端側(本実施形態では上端側)に平坦(平面)な入射面12aを有している。第2の光源5Bから出射された第2の光L2は、入射面12a(入射部12)から導光部13の内部へと入射し、導光部13の内部で反射を繰り返しながら、導光部13の他端側(本実施形態では下端側)に向けて導光される。
【0035】
なお、入射部12は、上述した入射面12aの構成に限らず、第2の光源5Bから放射状に出射された第2の光L2を平行化又は集光しながら、導光部13の内部へと入射する構成としてもよい。
【0036】
導光部13は、車幅方向に延在し、且つ、入射部12と反射部14との間で第2の光L2を下方に向けて導光させる第1の部分13aと、反射部14と出射部15との間で第2の光L2を前方に向けて導光させる第2の部分13bとを有している。第1の部分13aは、リフレクタ6の後方に位置している。第2の部分13bは、リフレクタ6の下方に位置している。
【0037】
反射部14は、導光部13の第1の部分13aと第2の部分13bとの間に位置して、導光部13の正面側に向けて所定の角度(本実施形態では導光部13の内部で導光される第2の光L2の光軸に対して45°)で傾斜した反射面14aを有している。導光部13の内部で導光される第2の光L2は、反射面14a(反射部14)で反射されることによって、導光部13の正面側に向けて導光される。
【0038】
出射部15は、導光部13の正面側に出射面15aを有している。また、出射面15aには、この出射面15aから外部(車両前方)に向けて出射される第2の光L2を拡散させるための複数の拡散カット16が設けられている。
【0039】
拡散カット16としては、例えば、フルートカットや魚眼カットと呼ばれるレンズカットや、ローレット加工やシボ加工等を施すことによって形成された凹凸構造などを挙げることができる。本実施形態では、拡散カット16として、出射面15aから出射される第2の光L2を車両の上下方向及び左右方向に拡散させる魚眼カットが設けられている。
【0040】
出射部15では、出射面15aに入射した第2の光L2を複数の拡散カット16により拡散しながら導光部13(導光レンズ8)の外部へと出射する。
【0041】
これにより、各第2の発光ユニット9は、第2の光源5Bから出射された第2の光L2を導光レンズ8により導光しながら、この導光レンズ8により導光された第2の光L2を車両後方に向けて照射する。
【0042】
エクステンション10は、有色(例えば黒色)の遮光部材からなり、第1の発光ユニット7及び第2の発光ユニット9の正面に対応した開口部10aを有して、この開口部10aの周囲を覆うように配置されている。エクステンション10は、開口部10aの周囲を覆うことで、この開口部10a以外から出射される第1の光L1及び第2の光L2を遮光する。
【0043】
以上のような構成を有する本実施形態の車両用灯具1では、第1の発光ユニット7と第2の発光ユニット9との何れか一方の発光ユニット(本実施形態では第1の発光ユニット7)がバックランプBCLを構成し、何れか他方の発光ユニット(本実施形態では第2の発光ユニット9)がバックアクセサリーランプBALを構成している。
【0044】
バックランプBCLでは、車両の後退時に、一方の光である第1の光L1を車両後方の照射範囲に向けて照射することが可能となっている。
【0045】
これに対して、バックアクセサリーランプBALでは、車両の後退時に、バックランプBCLの照射範囲と重複するように車幅方向において分割された照射領域毎に、他方の光である第2の光L2を選択的に照射することが可能となっている。
【0046】
(車両後方照射システム)
次に、
図3に示す上記車両用灯具1を用いた車両後方照射システム100について説明する。
なお、
図3は、車両後方照射システム100の構成を示すブロック図である。
【0047】
本実施形態の車両後方照射システム100は、
図3に示すように、上記車両用灯具1と、車両後方の障害物を検出する検出部101と、検出部101が障害物を検出したときに、障害物が存在する照射領域に向けて第2の光L2を選択的に照射する制御を行う制御部102とを備えている。
【0048】
検出部101は、車両の後部に搭載されたバックカメラなどの撮像部を含み、車両後方の画像Gを撮像しながら、この画像Gのデータを制御部102に送信する。なお、検出部101については、上述した撮像部を含む構成に限らず、車両後方の障害物を検出するセンサを含む構成であってもよい。
【0049】
制御部102は、車両の搭載されたコンピュータ(ECU)からなり、検出部101から送信された画像Gのデータを受信し、画像G中から障害物を検出するための演算を行う。また、制御部102は、障害物を検出したときに、車両用灯具1に対して制御信号を出力する。
【0050】
これにより、車両用灯具1において、車両後方に向けて照射される第1の光L1の照射範囲のうち、障害物が存在する照射領域に向けて第2の光L2を照射するように、第2の光源5Bの点灯を選択的に切り替える制御を行う。
【0051】
以上のような構成を有する車両後方照射システム100の動作の一例について、
図4~
図6を参照しながら説明する。
なお、
図4~
図6は、車両後方照射システム100の動作の一例を説明するための図であり、(A)は車両後方の画像Gを示す模式図であり、(B)は車両用灯具1の点灯状態を示す正面図である。
【0052】
本実施形態の車両後方照射システム100では、先ず、
図4(A),(B)に示すように、車両の後退時に、複数のバックランプBCL(第1の発光ユニット7a,7b,7c)が第1の光L1を車両後方の照射範囲Eに向けて照射する。
【0053】
このとき、複数のバックランプBCL(第1の発光ユニット7a,7b,7c)から照射される第1の光L1は、車幅方向において重複しながら、車両後方において1つの照射範囲Eを形成している。
【0054】
なお、複数のバックランプBCL(第1の発光ユニット7a,7b,7c)から照射される第1の光L1は、各々が照射範囲Eにおいて重複されることによって、1つの照射範囲Eを形成するようにしてもよい。
【0055】
図4(A),(B)に示す場合では、照射範囲Eと重複するように車両幅方向において分割された3つの照射領域e1,e2,e3のうち、障害物(本実施形態では歩行者)Sを存在する右側の照射領域e1に対応した右側のバックアクセサリーランプBAL(第2の発光ユニット9a)の第2の光源5Bを点灯する。これにより、右側のバックアクセサリーランプBAL(第2の発光ユニット9a)から障害物Sを検出した右側の照射領域e1に向けて第2の光L2が照射される。
【0056】
この場合、運転者は、画像Gに映し出された障害物Sが存在する照射領域e1に第2の光L2が照射されることで、車両後方の障害物Sを早期に発見することが可能である。
【0057】
次に、
図5(A),(B)に示すように、障害物Sが照射範囲Eの外側(本実施形態では右側)に移動した場合、上述した右側のバックアクセサリーランプBAL(第2の発光ユニット9a)の第2の光源5Bを消灯する。これにより、複数のバックランプBCL(第1の発光ユニット7a,7b,7c)から車両後方の照射範囲Eに向けて第1の光L1のみが照射された状態となる。
【0058】
一方、
図6(A),(B)に示すように、障害物Sが照射範囲Eの内側(本実施形態では左側)に移動した場合、上述した左側のバックアクセサリーランプBAL(第2の発光ユニット9b)の第2の光源5Bを消灯し、障害物Sを存在する中側の照射領域e2に対応した中側のバックアクセサリーランプBAL(第2の発光ユニット9b)の第2の光源5Bを点灯する。これにより、中側のバックアクセサリーランプBAL(第2の発光ユニット9b)から障害物Sを検出した中側の照射領域e2に向けて第2の光L2が照射される。
【0059】
この場合、運転者は、画像Gに映し出された障害物Sが存在する照射領域e2に第2の光L2が照射されることで、車両後方の障害物Sを早期に発見することが可能である。
【0060】
なお、本実施形態の車両後方照射システム100では、上述した障害物Sを存在する1つの照射領域e1,e2,e3のみに第2の光L2を照射するだけでなく、障害物Sを存在する複数の照射領域e1,e2,e3に対して第2の光L2を同時に照射することも可能である。
【0061】
以上のように、本実施形態の車両用灯具1を用いた車両後方照射システム100では、車両の後退時に車両後方に向けて照射される第1の光L1の照射範囲Eのうち、障害物Sが存在する照射領域e1,e2,e3に向けて第2の光L2を選択的に照射することが可能である。
【0062】
また、本実施形態の車両用灯具1を用いた車両後方照射システム100では、バックランプBCL(第1の発光ユニット7)からの第1の光L1よりも強いバックアクセサリーランプBAL(第2の発光ユニット9)からの第2の光L2を車両後方の障害物Sに対してスポット的に照射することが可能である。これにより、車両後方の障害物Sを早期に発見し、運転者に対して注意喚起を促すことが可能である。
【0063】
なお、本発明は、上記実施形態のものに必ずしも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記車両用灯具1では、上述した第1の発光ユニット7がバックランプBCL(一方の発光ユニット)を構成し、第2の発光ユニット9がバックアクセサリーランプBAL(他方の発光ユニット)を構成したものとなっているが、第2の発光ユニット9がバックランプBCL(一方の発光ユニット)を構成し、第1の発光ユニット7がバックアクセサリーランプBAL(他方の発光ユニット)を構成したものであってもよい。
【0064】
また、上記車両用灯具1では、回路基板11を挟んだ一方側(
図2では下側)に第1の発光ユニット7が配置され、回路基板11を挟んだ一方側(
図2では下側)に第2の発光ユニット9が配置された構成となっているが、例えば
図7に示すように、回路基板11を挟んだ一方側(
図7では下側)に第1の発光ユニット7(第1の光源5A及びリフレクタ6)が配置され、回路基板11を挟んだ他方側(
図7では上側)に第2の発光ユニット9(第2の光源5B及び導光レンズ8)が配置された構成とすることも可能である。
【0065】
さらに、
図8に示すように、第1の発光ユニット7及び第2の発光ユニット9を一体化した構成とすることも可能である。
【0066】
なお、本実施形態の車両用灯具1については、左右両側のリアコンビネーションランプRCLに配置された場合、左側のリアコンビネーションランプRCLに配置された複数のバックアクセサリーランプBALと、右側のリアコンビネーションランプRCLに配置された複数のバックアクセサリーランプBALとの点灯を同期しながら制御し、バックランプBCLの照射範囲と重複するように車幅方向において分割された照射領域毎に、左右両側のバックアクセサリーランプBALから第2の光L2を選択的に照射することが可能である。
【0067】
一方、本実施形態の車両用灯具1については、左側のリアコンビネーションランプRCLに配置された複数のバックアクセサリーランプBALと、右側のリアコンビネーションランプRCLに配置された複数のバックアクセサリーランプBALとの点灯を独立で制御し、バックランプBCLの照射範囲と重複するように車幅方向において左右別々に分割された照射領域毎に、第2の光L2を選択的に照射することも可能である。
【0068】
なお、本実施形態の車両用灯具1については、車両後方の障害物Sを検出した場合に、この障害物Sが存在する照射領域e1,e2,e3に向けて第2の光L2を照射するだけでなく、車両後方の障害物Sを検出したことを音声や警告灯などで告知する構成としてもよい。
【0069】
また、車両の内部に搭載されたバックモニタなどの表示部において、上述した撮像部により撮像された画像Gを表示するようにしてもよい。この場合、運転者は、表示部を見ながら、画像Gに映し出された車両後方の障害物Sを早期に発見することが可能である。
【符号の説明】
【0070】
1…車両用灯具 2…ハウジング 3…アウターレンズ 4…灯体 5A…第1の光源 5B…第2の光源 6…リフレクタ 7…第1の発光ユニット 8…導光レンズ 9…第2の発光ユニット 10…エクステンション 11…回路基板 12…入射部 13…導光部 14…反射部 15…出射部 16…拡散カット RCL…リアコンビネーションランプ BCL…バックランプ BAL…バックアクセサリーランプ 100…車両後方照射システム 101…検出部(撮像部) 102…制御部 L1…第1の光 L2…第2の光 E…照射範囲 e1,e2,e3…照射領域 S…障害物