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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023121469
(43)【公開日】2023-08-31
(54)【発明の名称】空調装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/028 20190101AFI20230824BHJP
【FI】
F24F1/028
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022024829
(22)【出願日】2022-02-21
(71)【出願人】
【識別番号】000001845
【氏名又は名称】サンデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】弁理士法人エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】角田 和久
(72)【発明者】
【氏名】松井 竜
(72)【発明者】
【氏名】岩澤 直孝
(72)【発明者】
【氏名】狩野 靖明
(72)【発明者】
【氏名】戸部 隆久
【テーマコード(参考)】
3L049
【Fターム(参考)】
3L049BB07
3L049BC02
3L049BD03
(57)【要約】
【課題】小型化しつつ、送風機から熱交換器へより効率よく送風することができる空調装置を提供する。
【解決手段】冷媒回路の一部を構成する熱交換部30と、前記熱交換部に空気を送風する軸流ファン60と、を筐体10に収容した空調装置であって、前記熱交換部は、前記熱交換部の内部を通過する空気の流通方向と、前記流通方向に直交する延在方向とを有し、前記軸流ファンは、前記熱交換部の上流側において、前記延在方向の一方側に、かつ、前記軸流ファンの回転軸が前記空気流通方向に対して傾斜するように配置される空調装置1を提供する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒回路の一部を構成する熱交換部と、前記熱交換部に空気を送風する軸流ファンと、を筐体に収容した空調装置であって、
前記熱交換部は、前記熱交換部の内部を通過する空気の流通方向と、前記流通方向に直交する延在方向とを有し、
前記軸流ファンは、前記熱交換部の上流側において、前記延在方向の一方側に、かつ、前記軸流ファンの回転軸が前記流通方向に対して傾斜するように配置される、空調装置。
【請求項2】
前記軸流ファンの空気の流通方向の下流側に、前記延在方向の一方側から他方側へ向かう突出部が設けられ、
前記軸流ファンにより送風される空気の少なくとも一部が前記突出部に向かって送出され、前記熱交換部に流入する空気を整流する、請求項1記載の空調装置。
【請求項3】
前記熱交換部は、前記筐体内において前記延在方向が鉛直方向となるように配置され、
前記熱交換部は、蒸発器と凝縮器とを有し、
鉛直方向上側に蒸発器を配置すると共に鉛直方向下側に凝縮器を配置し、
前記軸流ファンは、前記蒸発器の空気流通方向上流側に、かつ、前記回転軸が前記筐体の鉛直方向上側の内壁に向かうように傾斜して配置される、請求項1又は請求項2記載の空調装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、冷媒回路を構成する機器(圧縮機、凝縮器、蒸発器、膨張弁など)や送風機などの空調に必要な機器一式を筐体に収容し、比較的狭い限られた空間に設置して使用される小型の空調装置が知られている。このような小型の空調装置には、例えば、家屋の室内や車室内に設置される空調装置や、持ち運び可能でユーザの所望の場所に設置して用いられる小型の空調装置などがある。
【0003】
例えば、特許文献1には、二輪車に設置される小型の空調装置であって、筐体内を隔壁により上下二室に分離し、上室に上流側から下流に向かって蒸発器、蒸発器用送風機、空調空気吹き出し口を配置するとともに、下室に上流側から下流に向かって凝縮器、凝縮器用送風機、吹き出し開口を配置したものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-154646号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、小型の空調装置は比較的狭い限られた空間に設置して使用されるため、より一層の小型化が求められるが、特許文献1の空調装置のように、筐体内が上下二室に分離され、計2つの送風機を筐体内に収容する場合には小型化に限界がある。そこで、小型化のために、例えば、隔壁を設けずに1つの送風機から蒸発器と凝縮器とに適宜送風するように構成することが考えられる。
【0006】
しかしながら、送風機における送風面積、すなわち、翼が回転することで送風を行う面積に対して、蒸発器及び凝縮器が空気を吸い込む面積が大きい場合には、蒸発器及び凝縮器の双方に対して所望の送風バランスで風量を分配したり、効率よく送風したりすることが難しく、送風機の回転数に対して蒸発器及び凝縮器へ送風される風量が小さくなるなどの問題が生じ得る。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、小型化しつつ、送風機から熱交換器へより効率よく送風することができる空調装置を提供すること、などを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、冷媒回路の一部を構成する熱交換部と、前記熱交換部に空気を送風する軸流ファンと、を筐体に収容した空調装置であって、前記熱交換部は、前記熱交換部の内部を通過する空気の流通方向と、前記流通方向に直交する延在方向とを有し、前記軸流ファンは、前記熱交換部の上流側において、前記延在方向の一方側に、かつ、前記軸流ファンの回転軸が前記空気流通方向に対して傾斜するように配置される、空調装置を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、小型化しつつ、送風機から熱交換器へより効率よく送風することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る空調装置の外観を示す斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係る空調装置の内部の概略構成を示す斜視図である。
図3】本発明の実施形態に係る空調装置の内部の概略構成を示す上面図である。
図4】本発明の実施形態に係る空調装置の内部の概略構成を示す側面図である。
図5】本発明の実施形態に係る空調装置において、軸流ファンの空気の流れを説明するための側面図である。
図6】比較例に係る空調装置において、軸流ファンの空気の流れを説明するための側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の説明において、同一の符号は同一の機能の部位を示しており、各図における重複説明は適宜省略する。また、各図面において、正面図における前後方向をX方向、正面図における左右方向をY方向、正面図における上下方向をZ方向とする。
【0012】
図1から図4に、本実施形態に係る空調装置1の概略構成を示す。空調装置1は、筐体10、筐体10内に収容される圧縮機20、熱交換部30(凝縮器40及び蒸発器50)、軸流ファン60、制御装置70、及び、ファンダクト80を備えている。
【0013】
本実施形態において、熱交換部30は、凝縮器40と蒸発器50とを備え、これらを鉛直方向(図中、Z方向)に配置し、鉛直方向を延在方向として筐体10内に収容されている。空調装置1では、熱交換部30内にX方向に沿って空気を流通させることで、熱交換部30を通過する空気と冷媒との熱交換を行わせる。つまり、本実施形態において、熱交換部30の内部を通過する空気の流通方向がX方向であり、その方向と熱交換部30の延在方向であるZ方向とが直交する。
【0014】
筐体10において、凝縮器40の収容位置に対応する位置に排気口11が設けられると共に、蒸発器50の収容位置に対応する位置に開口部12が設けられている。開口部12には、空調ダクト110が設けられている。また、筐体10の軸流ファン60の収容位置に対応する位置に空気の吸込口(図示せず)が設けられている。
【0015】
筐体10に収容される圧縮機20、凝縮器40及び蒸発器50は不図示の膨張機構等と共に冷媒配管によって接続され、冷媒が循環する冷媒回路を構成している。冷媒回路において、冷媒は、圧縮機20によって圧縮されて高圧のガス冷媒となって吐出される。高圧のガス冷媒は、凝縮器40に流入し、軸流ファン60からファンダクト80を介して送風された凝縮器40を通過する空気と熱交換することにより放熱する。
【0016】
凝縮器40から流出した高圧冷媒は、図示しない膨張機構によって減圧されて膨張し、低圧冷媒となり、蒸発器50に流入する。蒸発器50に流入した低圧冷媒は、軸流ファンからファンダクト80を介して送風されて蒸発器50を通過する空気と熱交換することにより吸熱し、蒸発器50を流出した後に圧縮機20へ戻る。圧縮機20に流入した冷媒は、再び圧縮され、上記循環を繰り返す。
【0017】
軸流ファン60は、熱交換部30の空気上流側において、熱交換部30の延在方向の一方側に、かつ、軸流ファン60の回転軸が空気流通方向に対して傾斜するように配置されている。本実施形態においては、軸流ファン60は、熱交換部30を構成する凝縮器40と蒸発器50との配列方向において蒸発器50側に配置され、軸流ファン60の鉛直方向上部が熱交換部30から遠ざかるように、例えば、10°程度傾斜している。
【0018】
軸流ファン60の傾斜角度は、軸流ファン60の熱交換部30に対する配置位置、後述するファンダクト80及び突出部81の形状・大きさ、軸流ファン60の送風能力、熱交換部30の大きさ等を考慮して適宜定めることが好ましい。
【0019】
軸流ファン60は、筐体10に設けられた図示しない吸気口から取り込んだ空気を、後述するファンダクト80を介して熱交換部30に送風する。また、本実施の形態において、軸流ファン60は、蒸発器50から軸流ファン60側を見たときに(以下、正面視という)、時計回りに風が吹き出すようにファンが回転するようになっている。
【0020】
軸流ファン60から凝縮器40に送風された空気は、凝縮器40を通過する過程で冷媒と熱交換し、筐体10に設けられた排気口11から流出する。
軸流ファン60から蒸発器50に送風された空気は、蒸発器50を通過する過程で冷媒に吸熱されて冷却される。冷却された空気は、筐体10の開口部12から、空調ダクト110に流出する。空調ダクト110に流出した空気は、冷風として吹き出される。
軸流ファン60による熱交換部30への空気の流れの詳細については後述する。
【0021】
制御装置70は、インバータ(不図示)を含む各種電子部品が取り付けられた基板71を有し、例えば、電源から供給された電力の電圧や周波数を変換して出力することにより、圧縮機20を稼働させるモーターの回転数を制御する。制御装置70は、軸流ファン60から送風されファンダクト80を通過する空気によって基板71上のインバータによる発熱が冷却される位置に設けられている。
【0022】
ファンダクト80は、筐体10内において、軸流ファン60と熱交換部30との間に設けられ、軸流ファン60から送風された空気を熱交換部30へ導くように構成されている。
ファンダクト80は、上下方向に長く、主として蒸発器50に空気を導く上側ダクト部85と、主として凝縮器40に空気を導く下側ダクト部84とを備えている。
【0023】
すなわち、上側ダクト部85は、軸流ファン60と蒸発器50との間であって、かつ、軸流ファン60と下側ダクト部84との間に設けられる。上側ダクト部85における軸流ファン60と蒸発器50と間には、ファンダクト80の上側内壁面に蒸発器50側から凝縮器40側に向かって突出する突出部81が設けられている。下側ダクト部84は、上側ダクト部85と凝縮器40との間に設けられている。下側ダクト部84には、ファンダクト80が筐体10に収容されたときに圧縮機20側となる後端面の上下方向中央部近傍に、段差状の絞り部82が設けられている。
【0024】
(軸流ファン60から凝縮器40及び蒸発器50への空気の流れについて)
以下、図5を参照して、軸流ファン60から凝縮器40及び蒸発器50への空気の流れについて説明する。
軸流ファン60から送出された空気は、上側ダクト部85を通過し、蒸発器50に送出されると共に下側ダクト部84に流入し、下側ダクト部84に流入した空気は凝縮器40に送出される。
【0025】
ここで、軸流ファン60から送出される空気は、回転軸方向に直進する風量に比して軸流ファン60の回転翼方向(半径方向)に向かう風量が大きくなる。また、軸流ファン60は、図中上部が蒸発器50から遠ざかるように、つまり、回転軸の蒸発器50側端部が突出部81に向かうように傾斜している。このため、図5に示すように、軸流ファン60の回転軸よりも下方に送出された空気は、蒸発器50と下側ダクト部84に向かって送出され、軸流ファン60の回転軸よりも上方に送出された空気は、ファンダクト80の上側内壁面及び突出部81に向かって送出される。
【0026】
軸流ファン60から上側内壁面及び突出部81に向けて送出された空気は、上側内壁面と突出部81とにおいて風向を変更させられて、蒸発器50及び下側ダクト部84に導かれる。このとき、軸流ファン60から回転軸方向に直進することで蒸発器50の上方に向かっていた空気も、上側内壁面及び突出部81において風向を変更させられた空気によって下方へ押し下げられて、蒸発器50の中央部近傍に導かれる。したがって、蒸発器50及び下側ダクト部84、延いては凝縮器40へ流れる空気の風量を増大させることができると共に、風速分布を均一化することができる。
【0027】
一方、図6に示す比較例では、軸流ファン160が傾斜しておらず、蒸発器150の内部を通過する空気の流通方向と軸流ファン160の回転軸とが平行になっている。この場合、軸流ファン160の回転軸よりも上側に送出された空気は、上側内壁面と突出部181において風向が変更させられる。特に、上側内壁面において風向が変更させられた空気の一部は突出部181に向かい、突出部182において再度風向が変更させられ、軸流ファン60に戻る方向に向いてしまう。
【0028】
軸流ファン160の回転軸方向に直進して蒸発器150に向かう空気は、上側内壁面及び突出部181おいて風向が変更させられた空気よりも風量が少ないため、突出部181において再度風向が変更させられて軸流ファン160に戻る方向に向いた空気を蒸発器150と下側ダクト部184に導くことができない。
【0029】
このため、ファンダクト180内において、突出部81において再度風向が変更させられて軸流ファン160に戻る方向に向いた空気が、突出部81の下端部近傍と軸流ファン160との間で比較的大きな空気の渦(図6中、破線で示した領域V)を生じさせてしまうことがあり、軸流ファン160の回転数に比して蒸発器150及び下側ダクト部184へ流れる空気の風量が減少してしまう。
【0030】
以上述べた如く、本実施形態に係る空調装置1によれば、軸流ファン60を熱交換部30(蒸発器50及び凝縮器40)の空気の流通方向上流側において、熱交換部30の延在方向の一方側(蒸発器50側)に、かつ、軸流ファン60の回転軸が空気流通方向に対して傾斜するように配置したので、軸流ファン60の回転軸より上側に送出された空気の風向をファンダクト80の上側内壁面及び突出部81において変更させることができる。
【0031】
これにより、軸流ファン60の回転軸より上側に送出された空気を効率よく蒸発器50及び下側ダクト部84に導くと共に、軸流ファン60から回転軸方向に直進する空気を下方へ押し下げて蒸発器50及び下側ダクト部84に導く。したがって、蒸発器50及び下側ダクト部84、延いては凝縮器40へ流れる空気の風量を増大させることができると共に、風速分布を均一化することができる。
【0032】
このように、1つの軸流ファン60で軸流ファン60の送風面積よりも大きな空気の吸込み面積を有する熱交換部(凝縮器40、蒸発器50)に対して、均一的かつ効率よく送風することができる。すなわち、小型化しつつ、送風機から熱交換器へより効率よく送風することができる。
【0033】
なお、凝縮器40と蒸発器50との配列方向は上記した実施形態に限られず、左右方向(図面のY方向)に並列に配置するものとしてもよい。この場合においても、熱交換部30の内部を通過する空気の流通方向と熱交換部30の延在方向とが直交するように構成することが好ましい。
【0034】
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0035】
1:空調装置、10:筐体、11:排気口、12:開口部、20:圧縮機、30:熱交換部、40:凝縮器、50:蒸発器、60:軸流ファン、70:制御装置、71:基板、80:ファンダクト、81:突出部、82:絞り部、84:下側ダクト部、85:上側ダクト部、110:空調ダクト
図1
図2
図3
図4
図5
図6