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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023121474
(43)【公開日】2023-08-31
(54)【発明の名称】偏光分離素子及び光受信装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/30 20060101AFI20230824BHJP
   H04B 10/67 20130101ALI20230824BHJP
【FI】
G02B5/30
H04B10/67
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022024837
(22)【出願日】2022-02-21
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和3年度 国立研究開発法人情報通信研究機構「革新的情報通信技術研究開発委託研究/空間並列チャネル伝送に向けた垂直入射型ナノハイブリッド光変調器・受信器の研究開発」、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】000236436
【氏名又は名称】浜松ホトニクス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504137912
【氏名又は名称】国立大学法人 東京大学
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140442
【弁理士】
【氏名又は名称】柴山 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100124291
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 悟
(72)【発明者】
【氏名】相馬 豪
(72)【発明者】
【氏名】野本 佳朗
(72)【発明者】
【氏名】中野 義昭
(72)【発明者】
【氏名】種村 拓夫
【テーマコード(参考)】
2H149
5K102
【Fターム(参考)】
2H149AA24
2H149AB01
2H149AB03
2H149BA04
2H149BA05
2H149FA41W
2H149FA41Z
2H149FA42W
2H149FA42Z
2H149FA43W
2H149FA43Z
2H149FB08
2H149FD03
2H149FD46
5K102AA15
5K102AH26
5K102PH22
5K102PH31
(57)【要約】
【課題】 対象光の偏光成分の分離、集光を簡易な構成で好適に行うことが可能な偏光分離素子を提供する。
【解決手段】 偏光分離素子10は、基板11と、それぞれ2回回転対称の複数の構造体を含む構造体パターン20を有して基板11の上面12上に形成された偏光分離層15とを備える。偏光分離層15は、対象光Lに含まれる第1~第6偏光成分を分離して、集光面35上において互いに異なる第1~第6集光位置にそれぞれ集光する。構造体パターン20は、第1、第2偏光成分を集光する第1構造体パターンと、第3、第4偏光成分を集光する第2構造体パターンと、第5、第6偏光成分を集光する第3構造体パターンとを有し、第1構造体、第2構造体、及び第3構造体からなるパターンを単位パターンとし、複数の単位パターンを2次元状に配列して構成されている。
【選択図】 図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象光に対して透過性を有する基板と、
前記対象光に対して透過性を有し前記基板よりも屈折率が高い材料からなり、それぞれ2回回転対称の複数の構造体を含む構造体パターンを有して前記基板の上面上に形成された偏光分離層と
を備え、
前記基板の下面及び前記偏光分離層の上面の一方が光入射面、他方が光出射面となる透過型の構成を有し、
前記偏光分離層は、前記光入射面側から入射した前記対象光に含まれる第1~第6偏光成分を分離して、前記光出射面側に設定された集光面上において互いに異なる第1~第6集光位置にそれぞれ集光するとともに、
前記構造体パターンは、
複数の第1構造体を含み、前記第1偏光成分及び前記第2偏光成分をそれぞれ前記第1集光位置及び前記第2集光位置に集光する第1構造体パターンと、
複数の第2構造体を含み、前記第3偏光成分及び前記第4偏光成分をそれぞれ前記第3集光位置及び前記第4集光位置に集光する第2構造体パターンと、
複数の第3構造体を含み、前記第5偏光成分及び前記第6偏光成分をそれぞれ前記第5集光位置及び前記第6集光位置に集光する第3構造体パターンと
を有し、前記第1構造体、前記第2構造体、及び前記第3構造体からなる直線状または三角形状のパターンを単位パターンとし、前記基板の前記上面上に複数の前記単位パターンを2次元状に配列して構成されている、偏光分離素子。
【請求項2】
前記構造体パターンを構成する前記複数の構造体のそれぞれの前記基板の前記上面上でのサイズ、及び前記基板の前記上面からの高さは、それぞれ前記対象光の波長未満に設定されている、請求項1記載の偏光分離素子。
【請求項3】
前記構造体パターンにおける前記複数の構造体の配置間隔は、前記対象光の波長未満に設定されている、請求項1または2記載の偏光分離素子。
【請求項4】
2回回転対称の前記構造体は、楕円柱である、請求項1~3のいずれか一項記載の偏光分離素子。
【請求項5】
前記第1~第6偏光成分は、それぞれ、x方向直線偏光成分、y方向直線偏光成分、+45°直線偏光成分、-45°直線偏光成分、左回り円偏光成分、及び右回り円偏光成分である、請求項1~4のいずれか一項記載の偏光分離素子。
【請求項6】
前記単位パターンは、正三角形状のパターンであり、前記構造体パターンは、六角格子状に構成されている、請求項1~5のいずれか一項記載の偏光分離素子。
【請求項7】
前記単位パターンは、直角二等辺三角形状のパターンであり、前記構造体パターンは、正方格子状に構成されている、請求項1~5のいずれか一項記載の偏光分離素子。
【請求項8】
前記構造体パターンは、複数の前記単位パターンとして、
前記第1構造体のうちで前記第1偏光成分及び前記第2偏光成分の一方の集光に用いられる構造体、前記第2構造体のうちで前記第3偏光成分及び前記第4偏光成分の一方の集光に用いられる構造体、及び前記第3構造体のうちで前記第5偏光成分及び前記第6偏光成分の一方の集光に用いられる構造体からなる第1単位パターンと、
前記第1構造体のうちで前記第1偏光成分及び前記第2偏光成分の他方の集光に用いられる構造体、前記第2構造体のうちで前記第3偏光成分及び前記第4偏光成分の他方の集光に用いられる構造体、及び前記第3構造体のうちで前記第5偏光成分及び前記第6偏光成分の他方の集光に用いられる構造体からなる第2単位パターンと
を含む、請求項1~7のいずれか一項記載の偏光分離素子。
【請求項9】
前記構造体パターンは、複数の前記単位パターンとして、前記第1構造体、前記第2構造体、及び前記第3構造体の配置が互いに異なる複数種類の単位パターンを含む、請求項1~8のいずれか一項記載の偏光分離素子。
【請求項10】
前記基板と、前記複数の構造体の材料との屈折率差は、0.25以上である、請求項1~9のいずれか一項記載の偏光分離素子。
【請求項11】
前記複数の構造体の材料は、誘電体材料である、請求項1~10のいずれか一項記載の偏光分離素子。
【請求項12】
前記複数の構造体の材料は、半導体材料または酸化物材料である、請求項1~10のいずれか一項記載の偏光分離素子。
【請求項13】
前記第1~第6集光位置は、前記集光面上で設定された正六角形の頂点にそれぞれ配置されている、請求項1~12のいずれか一項記載の偏光分離素子。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項記載の偏光分離素子と、
前記集光面上で前記第1~第6集光位置に集光された前記対象光の前記第1~第6偏光成分それぞれを検出する光検出部と
を備える、光受信装置。
【請求項15】
前記光検出部は、前記第1~第6集光位置に配置され、それぞれ前記第1~第6偏光成分を検出する第1~第6光検出器を有する、請求項14記載の光受信装置。
【請求項16】
前記光検出部による前記第1~第6偏光成分の検出結果について解析を行って、前記対象光のストークスパラメータを求める解析部をさらに備える、請求項14または15記載の光受信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象光の偏光成分を分離して、互いに異なる集光位置に集光する偏光分離素子、及びそれを用いた光受信装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
非特許文献1には、対象光のx方向直線偏光成分、y方向直線偏光成分、+45°直線偏光成分、-45°直線偏光成分、左回り円偏光成分、及び右回り円偏光成分の6個の偏光成分を測定して、ストークスパラメータのイメージングを行う技術が開示されている。非特許文献1に記載された構成では、サブ波長のメタサーフェス構造を用いて対象光に含まれる各偏光成分の分離、集光を行っている。
【0003】
非特許文献2には、例えば、左回り円偏光及び右回り円偏光の2個の偏光成分を分離、集光する技術が開示されている。非特許文献2に記載された構成では、対象光を反射する金属層上に形成されたメタサーフェス構造によって対象光の偏光成分を分離する反射型の構成が用いられている。また、特許文献1、非特許文献3には、メタサーフェス構造を用いた位相及び偏光の制御について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2016/0077261号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】E. Arbabi et al., "Full-Stokesimaging polarimetry using dielectric metasurfaces", ACS Photonics Vol.5(2018), pp.3132-3140
【非特許文献2】Q. Fan et al., "Visiblelight focusing flat lenses based on hybrid dielectric-metal metasurfacereflector-arrays", Scientific Reports Vol.7, 45044 (2017)
【非特許文献3】A. Arbabi et al.,"Dielectric metasurfaces for complete control of phase and polarizationwith subwavelength spatial resolution and high transmission", NatureNanotechnology Vol.10 (2015), pp.937-943
【非特許文献4】P. Dong et al., "128-Gb/s100-km transmission with direct detection using silicon photonic Stokes vectorreceiver and I/Q modulator", Optics Express Vol.24 (2016), pp.14208-14214
【非特許文献5】K. Kikuchi et al., "Multi-levelsignaling in the Stokes space and its application to large-capacity opticalcommunications", Optics Express Vol.22 (2014), pp.7374-7387
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、クラウドサービスの拡大、IoT(Internet of Things)の概念の普及などにより、データセンター間をはじめとする短距離の通信トラフィックが増加している。このような短距離通信では、例えば、通信に用いられる光の強度に情報を載せ、その光強度を受光素子によって直接検出する強度変調・直接検波(IM-DD:Intensity Modulation - Direct Detection)方式が用いられている。
【0007】
また、さらなる大容量伝送を可能とするために、スペクトル利用効率が高い光通信システムの開発が進められている(例えば、非特許文献4参照)。そのような光通信システムの1つとして、パルス振幅変調(PAM:Pulse Amplitude Modulation)方式が研究されている。しかしながら、PAM方式では、光の強度に対する1次元的な変調しか行うことが出来ないため、変調レベルを増加させることが難しいという問題がある。
【0008】
これに対して、直接検波を利用しながらも多次元空間を利用することができる通信方式として、光の偏波状態を利用したストークスベクトル変調・直接検波(SVM-DD:Stokes-Vector Modulation - Direct Detection)方式が注目されている(例えば、非特許文献4、5参照)。SVM-DD方式では、光の偏光成分を変調し、各偏光状態に対応するストークスベクトル(ストークスパラメータ)に値を割り当てることによって、情報の伝送を行う。
【0009】
このようなSVM-DD方式によれば、2つの直交する偏波の強度と、その相対的な位相差の3つの自由度を用いることで、3次元ストークス空間を利用した3次元的な光変調が可能になる。また、偏波間の相対位相情報のみを利用するため、直接検波によって信号を受信することができ、コヒーレント系を必要としない。
【0010】
例えば、非特許文献5の図4には、3次元ストークス空間中における2値、4値、8値の場合の信号点の配置の例が示されている。この図から理解されるように、SVM-DD方式では3次元空間を利用することから、簡易な直接検波方式を用いるにもかかわらず、従来の方式に比べてスペクトル効率を向上することができる。
【0011】
SVM-DD方式における光信号の受信器では、例えば非特許文献4の図1に光集積回路の構成例が示されているように、光学系、光回路の構成が複雑になる等の問題がある。これに対して、光信号の受信器において、メタサーフェス構造による偏光制御を利用することが考えられる。しかしながら、例えば非特許文献1に記載の構成では、各偏光成分に対応するメタサーフェス構造体群が別々のセクションに分割配置されている。このような構成では、光通信での応用を考えると、位置で機能が分割されているために対称性が悪いという問題がある。また、非特許文献2に記載の構成では、集光できるのは2個の偏光成分のみであって、全てのストークスパラメータを求めることができない。
【0012】
本発明は、対象光の偏光成分の分離、集光を簡易な構成で好適に行うことが可能な偏光分離素子、及び光受信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明による偏光分離素子は、(1)対象光に対して透過性を有する基板と、(2)対象光に対して透過性を有し基板よりも屈折率が高い材料からなり、それぞれ2回回転対称の複数の構造体を含む構造体パターンを有して基板の上面上に形成された偏光分離層とを備え、基板の下面及び偏光分離層の上面の一方が光入射面、他方が光出射面となる透過型の構成を有し、(3)偏光分離層は、光入射面側から入射した対象光に含まれる第1~第6偏光成分を分離して、光出射面側に設定された集光面上において互いに異なる第1~第6集光位置にそれぞれ集光するとともに、(4)構造体パターンは、複数の第1構造体を含み、第1偏光成分及び第2偏光成分をそれぞれ第1集光位置及び第2集光位置に集光する第1構造体パターンと、複数の第2構造体を含み、第3偏光成分及び第4偏光成分をそれぞれ第3集光位置及び第4集光位置に集光する第2構造体パターンと、複数の第3構造体を含み、第5偏光成分及び第6偏光成分をそれぞれ第5集光位置及び第6集光位置に集光する第3構造体パターンとを有し、第1構造体、第2構造体、及び第3構造体からなる直線状または三角形状のパターンを単位パターンとし、基板の上面上に複数の単位パターンを2次元状に配列して構成されている。
【0014】
上記構成の偏光分離素子では、基板上の偏光分離層において、複数の構造体を含む構造体パターンを形成して、この構造体パターンを用いて、光入射面側から入射した対象光に含まれる第1~第6偏光成分を分離して、集光面上において互いに異なる第1~第6集光位置にそれぞれ集光する。また、構造体パターンを、第1、第2偏光成分を分離、集光する第1構造体パターンと、第3、第4偏光成分を分離、集光する第2構造体パターンと、第5、第6偏光成分を分離、集光する第3構造体パターンとによって構成する。
【0015】
そして、このような構成において、基板の上面(パターン形成面)上における第1~第3構造体を含む複数の構造体の配列について、第1構造体、第2構造体、及び第3構造体の3個の構造体からなるパターンを単位パターンと規定して、基板上に複数の単位パターンを2次元状に配列している。このような構成によれば、基板上において第1~第3構造体を一様に分散配置させて、素子に入射する対象光の第1~第6偏光成分を、簡易な構成で対称性良く分離、集光することができる。
【0016】
上記の偏光分離素子において、構造体パターンを構成する複数の構造体のそれぞれの基板の上面上でのサイズ、及び基板の上面からの高さは、それぞれ、対象光の波長未満に設定されている構成としてもよい。また、構造体パターンにおける複数の構造体の配置間隔は、対象光の波長未満に設定されている構成としてもよい。これにより、複数の構造体を含む構造体パターンによって、対象光の偏光成分を分離、集光するためのサブ波長のメタサーフェス構造を好適に構成することができる。また、構造体パターンにおける2回回転対称の構造体については、具体的には例えば、楕円柱を用いることができる。
【0017】
上記の偏光分離素子において、対象光の第1~第6偏光成分については、具体的には、それぞれ、x方向直線偏光成分、y方向直線偏光成分、+45°直線偏光成分、-45°直線偏光成分、左回り円偏光成分、及び右回り円偏光成分である構成としてもよい。このような構成によれば、分離、集光された各偏光成分を検出することにより、例えば対象光のストークスパラメータを好適に求めることができる。
【0018】
上記の偏光分離素子において、偏光分離層における単位パターン、及び構造体パターンの具体的な構成については、単位パターンは、正三角形状のパターンであり、構造体パターンは、六角格子状に構成されていてもよい。また、単位パターンは、直角二等辺三角形状のパターンであり、構造体パターンは、正方格子状に構成されていてもよい。
【0019】
また、構造体パターンは、複数の単位パターンとして、第1構造体のうちで第1偏光成分及び第2偏光成分の一方の集光に用いられる構造体、第2構造体のうちで第3偏光成分及び第4偏光成分の一方の集光に用いられる構造体、及び第3構造体のうちで第5偏光成分及び第6偏光成分の一方の集光に用いられる構造体からなる第1単位パターンと、第1構造体のうちで第1偏光成分及び第2偏光成分の他方の集光に用いられる構造体、第2構造体のうちで第3偏光成分及び第4偏光成分の他方の集光に用いられる構造体、及び第3構造体のうちで第5偏光成分及び第6偏光成分の他方の集光に用いられる構造体からなる第2単位パターンとを含む構成としてもよい。
【0020】
また、構造体パターンは、複数の単位パターンとして、第1構造体、第2構造体、及び第3構造体の配置(配置順序、パターン形状等)が互いに異なる複数種類の単位パターンを含む構成としても良い。
【0021】
上記の偏光分離素子において、基板と、複数の構造体の材料との屈折率差は、0.25以上である構成としてもよい。これにより、複数の構造体を含む構造体パターンによる対象光の偏光成分の分離、集光を好適に実現することができる。
【0022】
上記の偏光分離素子において、複数の構造体を構成する材料については、複数の構造体の材料は、誘電体材料である構成としてもよい。また、複数の構造体の材料は、半導体材料または酸化物材料である構成としてもよい。
【0023】
上記の偏光分離素子において、対象光の第1~第6偏光成分がそれぞれ集光される第1~第6集光位置は、集光面上で設定された正六角形の頂点にそれぞれ配置されている構成としてもよい。このような構成によれば、対象光の各偏光成分の集光、及びその光検出器による検出等を好適に行うことができる。
【0024】
本発明による光受信装置は、上記構成の偏光分離素子と、集光面上で第1~第6集光位置に集光された対象光の第1~第6偏光成分それぞれを検出する光検出部とを備える。このような構成によれば、上記の偏光分離素子によって分離、集光された対象光の第1~第6偏光成分のそれぞれの光強度を、光検出部において好適に検出することができる。
【0025】
上記の光受信装置において、光検出部は、第1~第6集光位置に配置され、それぞれ第1~第6偏光成分を検出する第1~第6光検出器を有する構成としてもよい。また、光検出部については、上記のように各偏光成分を個別に検出する光検出器を設ける構成以外にも、例えば、第1~第6偏光成分を検出する撮像装置などの単一の光検出器を設ける構成としてもよい。
【0026】
上記の光受信装置は、光検出部による第1~第6偏光成分の検出結果について解析を行って、対象光のストークスパラメータを求める解析部をさらに備える構成としてもよい。このような構成は、例えば、光受信装置をSVM-DD方式を用いた光通信に適用する場合に好適である。
【発明の効果】
【0027】
本発明の偏光分離素子及び光受信装置によれば、対象光の偏光成分の分離、集光を簡易な構成で好適に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】(a)ストークス空間中のポアンカレ球、及び各ストークスパラメータに対応する6個の偏光成分、及び(b)ポアンカレ球上の点Pに対応する光の偏光状態を模式的に示す図である。
図2】偏光分離素子を含む光受信装置の一実施形態の構成を示す模式図である。
図3】光検出部における光検出器の配置構成を示す平面図である。
図4】偏光分離素子における構造体パターンの構成を模式的に示す平面図である。
図5】構造体パターンにおける複数の構造体の配列について示す図である。
図6】構造体パターンにおける複数の構造体の配列について示す図である。
図7】偏光分離素子の全体構成を示す光学顕微鏡画像である。
図8】偏光分離素子における構造体パターンの構成を一部拡大して示す電子顕微鏡画像である。
図9】(a)、(b)構造体パターンにおける各構造体の形状の設定について示す図である。
図10】構造体パターンにおける各構造体の形状の設定について示す図である。
図11】(a)、(b)構造体パターンにおける光の透過位相、及び楕円柱の長さの関係について示す図である。
図12】(a)~(f)構造体パターンにおける各偏光成分に対応する位相分布を示す図である。
図13】偏光分離素子の特性を評価するための測定系の構成を示す図である。
図14】(a)~(f)撮像装置において取得された対象光の強度分布を示す図である。
図15】(a)~(f)図14の測定結果から求められた対象光のストークスパラメータについて示すグラフである。
図16】撮像装置で取得された対象光の強度分布から再生されたストークスベクトルについて示す図である。
図17】偏光分離素子における構造体パターンの構成の変形例を示す図である。
図18】偏光分離素子における構造体パターンの構成の変形例を示す図である。
図19】偏光分離素子における構造体パターンの構成の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面とともに、偏光分離素子、及び光受信装置の実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
【0030】
最初に、偏光分離素子による偏光分離の対象となる光の偏光成分、及びストークスパラメータ等について、簡単に説明する。以下では、対象光の伝搬方向をz軸、z軸に直交する2軸をx軸、y軸とする。光の偏光状態は、下記の式(1)で定義されるストークスパラメータS、S、SによるストークスベクトルSによって表すことができる。
【数1】

ここで、Eはx軸方向の偏光成分の振幅、Eはy軸方向の偏光成分の振幅、δは偏光成分間の相対位相(位相差)である。
【0031】
また、上記のストークスパラメータによって規定される3次元空間を、ストークス空間という。ストークスベクトルS=(S,S,S)をストークス空間中にプロットすると、任意の偏光状態を空間中の点に対応させることができる。特に、各ストークスパラメータを光強度で規格化した場合、光の偏光状態に対応する点は、ストークス空間中の単位球面上に分布する。この単位球面は、ポアンカレ球と呼ばれる。
【0032】
ストークスベクトルSにおいて、パラメータSは、x方向直線偏光成分とy方向直線偏光成分との強度差に対応し、パラメータSは、+45°直線偏光成分と-45°直線偏光成分との強度差に対応し、パラメータSは、左回り円偏光成分と右回り円偏光成分との強度差に対応している。図1(a)は、ストークス空間中のポアンカレ球、及び各ストークスパラメータに対応する上記の6個の偏光成分を示し、図1(b)は、ポアンカレ球上の点Pに対応する光の偏光状態を示している。
【0033】
上記から理解されるように、対象光について、例えばx方向直線偏光成分、y方向直線偏光成分、+45°直線偏光成分、-45°直線偏光成分、左回り円偏光成分、及び右回り円偏光成分の6個の偏光成分の光強度を検出し、その差分を求めることにより、対象光のストークスパラメータS、S、Sを求めることができる。以下に説明する偏光分離素子は、そのような対象光の偏光成分の分離、集光を可能とするものである。
【0034】
図2は、偏光分離素子を含む光受信装置の一実施形態の構成を示す模式図である。ここで、以下の各図においては、説明の容易のため、必要に応じてxyz直交座標系を合わせて図示している。この座標系において、z軸は、上述したように偏光分離の対象となる対象光Lの伝搬方向を示し、x軸、y軸は、z軸に直交する2軸を示している。
【0035】
本実施形態による光受信装置1Aは、偏光分離素子10と、光検出部30と、解析部50とを備えている。また、偏光分離素子10は、対象光Lに含まれる偏光成分を分離して、それぞれ所定の集光位置に集光するものであり、基板11と、偏光分離層15とを備えて構成されている。なお、図2においては、対象光Lの例として、光ファイバ60の出力端面から出力された所定波長の光を示している。対象光Lの波長λは、例えば通信波長帯で使用される1.55μmである。
【0036】
基板11は、波長λの対象光Lに対して透過性を有する材料からなる。図2に示す偏光分離素子10は、透過型に構成されており、基板11の下面13は、対象光Lが入射する光入射面、上面12は、後述する偏光分離層15の構造体パターン20が形成されるパターン形成面となっている。
【0037】
基板11を構成する材料としては、偏光分離層15を形成、支持することが可能であって対象光Lに対して透過性を有するものであれば、任意の材料を用いてよい。そのような基板11の材料としては、例えば、酸化物材料、フッ化物材料を用いることができる。酸化物材料としては、具体的には、石英(SiO)、BK7、Al等を用いることができる。また、フッ化物材料としては、具体的には、MgF、CaF、LiF等を用いることができる。
【0038】
偏光分離層15は、対象光Lに対して透過性を有するとともに、基板11よりも屈折率が高い材料からなり、基板11の上面12上に形成されている。また、偏光分離層15は、それぞれ2回回転対称性を有する複数の構造体を含む構造体パターン20を有し、基板11の下面13側から入射した対象光Lに含まれる第1~第6偏光成分を分離して、基板11とは反対側に設定された集光面35上において互いに異なる第1~第6集光位置にそれぞれ集光するように形成される。このような構成において、偏光分離層15の上面(基板11とは反対側の面)は、対象光Lが出射する光出射面となっている。
【0039】
偏光分離層15における複数の構造体を構成する材料としては、対象光Lに対して透過性を有し基板11よりも屈折率が高いものであれば、任意の材料を用いてよいが、誘電体材料を用いることが好ましく、また、半導体材料または酸化物材料を用いることが好ましい。半導体材料としては、具体的には、IV族半導体材料であるSi、III-V族半導体材料であるGaAs、InP、GaN、InGaAs等を用いることができる。また、酸化物材料としては、具体的には、TiO、Ta、Nb、HfO、ZrO、Y、Gd、CeO、Al等を用いることができる。また、偏光分離層15の材料として、窒化物であるSi等を用いてもよい。
【0040】
また、偏光分離層15の構造体パターン20によって分離される対象光Lの第1~第6偏光成分については、以下においては具体例として、第1偏光成分をx方向直線偏光成分L11とし、第2偏光成分をy方向直線偏光成分L12とし、第3偏光成分を+45°直線偏光成分L21とし、第4偏光成分を-45°直線偏光成分L22とし、第5偏光成分を左回り円偏光成分L31とし、第6偏光成分を右回り円偏光成分L32とする。第1~第6偏光成分を上記のように設定することにより、それらの測定結果から、対象光LのストークスパラメータS、S、Sを好適に求めることができる。なお、対象光Lの偏光成分を分離する構造体パターン20の構成については、具体的には後述する。
【0041】
光検出部30は、偏光分離素子10によって集光面35上で第1~第6集光位置に集光された対象光Lの偏光成分L11、L12、L21、L22、L31、L32をそれぞれ検出する。本実施形態の光受信装置1Aにおいては、光検出部30は、集光面35上で第1~第6集光位置に対応して配置され、それぞれ上記の偏光成分を検出する第1~第6光検出器311、312、321、322、331、332を有して構成されている。なお、図2においては、説明の便宜のため、上記の光検出器を1次元状に配列して示しているが、光検出部30における実際の光検出器の配置は、例えば図3に示すようになる。
【0042】
図3は、集光面35上における第1~第6集光位置の設定、及び光検出部30における光検出器の配置構成について示す平面図である。本実施形態においては、図3に示すように、対象光Lの偏光成分L11、L12、L21、L22、L31、L32がそれぞれ集光される集光位置は、集光面35上において設定された正六角形の頂点にそれぞれ配置されており、光検出部30を構成する光検出器311、312、321、322、331、332は、それぞれ対応する集光位置に配置されている。
【0043】
図3に示す構成では、具体的には、x方向直線偏光成分L11に対応する光検出器311は、集光面35上において上方に配置されている。y方向直線偏光成分L12に対応する光検出器312は、右上に配置されている。+45°直線偏光成分L21に対応する光検出器321は、右下に配置されている。-45°直線偏光成分L22に対応する光検出器322は、下方に配置されている。左回り円偏光成分L31に対応する光検出器331は、左下に配置されている。右回り円偏光成分L32に対応する光検出器332は、左上に配置されている。
【0044】
このように、光検出部30において、対象光Lの各偏光成分に対して個別に光検出器を設ける構成では、光検出器として、高速で動作する0次元光検出器等の光検出器を用いることができる。そのような光検出器としては、例えば、フォトダイオード(例えばpinフォトダイオード)、光電子増倍管等を用いることができる。光検出部30の各光検出器は、対応する偏光成分を検出して、検出した光強度を示す検出信号を出力する。
【0045】
なお、上記構成では、対象光Lの各偏光成分の集光位置、及びそれに対応する光検出部30の各光検出器を、集光面35上の正六角形の頂点に配置しているが、集光面35における集光位置及び光検出器の配置については、このような構成に限らず、具体的には様々な配置構成を用いることができる。
【0046】
再び図2を参照する。解析部50は、光検出部30の各光検出器からの検出信号を入力し、光検出部30による対象光Lの各偏光成分の検出結果について必要な解析を行う。解析部50は、具体的には例えば、光検出部30による検出結果に基づいて、対象光Lのストークスパラメータを求める。
【0047】
図2に示す構成では、解析部50において、光検出器311によるx方向直線偏光成分L11の検出結果、及び光検出器312によるy方向直線偏光成分L12の検出結果に基づいて、ストークスパラメータSが求められる。また、光検出器321による+45°直線偏光成分L21の検出結果、及び光検出器322による-45°直線偏光成分L22の検出結果に基づいて、ストークスパラメータSが求められる。また、光検出器331による左回り円偏光成分L31の検出結果、及び光検出器332による右回り円偏光成分L32の検出結果に基づいて、ストークスパラメータSが求められる。
【0048】
このような解析部50を備える構成は、例えば、光受信装置1Aを、SVM-DD方式を用いた光通信に適用する場合に好適である。なお、このような解析部50については、不要であれば設けない構成としてもよい。
【0049】
偏光分離素子10の偏光分離層15における構造体パターン20の具体的な構成について、図4を参照しつつ説明する。図4は、偏光分離素子10における構造体パターン20の構成を模式的に示す平面図である。
【0050】
構造体パターン20を構成する複数の構造体のそれぞれは、基板11の上面12上において2回回転対称の形状を有する。図4においては、そのような形状の構造体の好適な例として、楕円柱を示している。各楕円柱の形状を規定する長軸方向の長さ、短軸方向の長さ、及びx軸に対する傾き角度は、構造体パターン20の機能に対応して個別かつ適切に設定されている。
【0051】
また、構造体パターン20において、複数の構造体のそれぞれの基板11の上面12上でのサイズ、及び上面12からの高さは、好ましくはそれぞれ対象光Lの波長λ未満に設定される。ここで、構造体のサイズについては、例えば構造体が楕円柱の場合には、その長軸方向の長さを対象光Lの波長λ未満に設定するのが好ましい。また、構造体パターン20において、複数の構造体の配置間隔は、好ましくは対象光Lの波長λ未満に設定される。構造体パターン20における複数の構造体のサイズ、高さ、及び配置間隔を、波長λに対して上記のように設定することにより、この構造体パターン20は、サブ波長のメタサーフェス構造として機能する。
【0052】
偏光分離層15は、上述したように対象光Lに含まれる各偏光成分を分離して、集光面35上においてそれぞれ対応する集光位置に集光する。このような偏光成分の分離、集光の機能を実現するために、複数の構造体を含むサブ波長の構造体パターン20は、図4に示すように、第1構造体パターン21、第2構造体パターン22、及び第3構造体パターン23の3種類の構造体パターンによって構成されている。
【0053】
第1構造体パターン21は、複数の第1構造体26によって構成され、x方向直線偏光成分L11及びy方向直線偏光成分L12を、それぞれ光検出器311、312が配置されている第1、第2集光位置に集光する。
【0054】
第2構造体パターン22は、複数の第2構造体27によって構成され、+45°直線偏光成分L21及び-45°直線偏光成分L22を、それぞれ光検出器321、322が配置されている第3、第4集光位置に集光する。
【0055】
第3構造体パターン23は、複数の第3構造体28によって構成され、左回り円偏光成分L31及び右回り円偏光成分L32を、それぞれ光検出器331、332が配置されている第5、第6集光位置に集光する。
【0056】
また、第1~第3構造体パターン21~23を構成する第1~第3構造体26~28の基板11上での配列については、図4において構造体を結ぶ実線によって示すように、構造体パターン20は、第1構造体26、第2構造体27、及び第3構造体28からなる直線状または三角形状パターンを単位パターン25とし、基板11の上面12上に複数の単位パターン25を2次元状に配列して構成されている。
【0057】
図4に示す構成では、単位パターン25は正三角形状のパターンとなっており、その上方の頂点に第1構造体26が配置され、左下の頂点に第2構造体27が配置され、右下の頂点に第3構造体28が配置されている。また、図4に示す構造体パターン20は、図5において六角格子Aとともに第1~第3構造体26~28の配列を示すように、六角格子状(正三角格子状)に構成されている。
【0058】
また、図4図5に示す第1~第3構造体26~28の配列は、図5においてy軸方向に延びる直線B1~B3を示すように、第2構造体27が等間隔に配列された直線B2、第1構造体26が等間隔に配列された直線B1、及び第3構造体28が等間隔に配列された直線B3を、x軸方向に等間隔、かつ構造体の配置が交互になるように配列した構成となっている。
【0059】
構造体パターン20による各偏光成分の分離及び集光については、第1構造体パターン21の複数の第1構造体26は、具体的には、x方向直線偏光成分L11の集光に用いられる構造体と、y方向直線偏光成分L12の集光に用いられる構造体とを含んでいる。第2構造体パターン22の複数の第2構造体27は、+45°直線偏光成分L21の集光に用いられる構造体と、-45°直線偏光成分L22の集光に用いられる構造体とを含んでいる。第3構造体パターン23の複数の第3構造体28は、左回り円偏光成分L31の集光に用いられる構造体と、右回り円偏光成分L32の集光に用いられる構造体とを含んでいる。
【0060】
第1~第3構造体パターン21~23における上記した6種類の構造体の配列については、例えば、図6に示すような配列とすることができる。図6に示す構造体パターン20は、複数の単位パターン25として、実線で示す第1単位パターン251と、破線で示す第2単位パターン252とを含んで構成されている。
【0061】
第1単位パターン251は、第1構造体26のうちでx方向直線偏光成分L11の集光に用いられる構造体261、第2構造体27のうちで+45°直線偏光成分L21の集光に用いられる構造体271、及び第3構造体28のうちで左回り円偏光成分L31の集光に用いられる構造体281を含む。第2単位パターン252は、第1構造体26のうちでy方向直線偏光成分L12の集光に用いられる構造体262、第2構造体27のうちで-45°直線偏光成分L22の集光に用いられる構造体272、及び第3構造体28のうちで右回り円偏光成分L32の集光に用いられる構造体282を含む。
【0062】
また、上記の6種類の構造体の配列については、図6に示した構成以外にも、具体的には様々な構成を用いることができる。一般には、構造体パターン20は、複数の単位パターン25として、第1構造体26のうちでx方向直線偏光成分L11及びy方向直線偏光成分L12の一方の集光に用いられる構造体、第2構造体27のうちで+45°直線偏光成分L21及び-45°直線偏光成分L22の一方の集光に用いられる構造体、及び第3構造体28のうちで左回り円偏光成分L31及び右回り円偏光成分L32の一方の集光に用いられる構造体からなる第1単位パターンと、第1構造体26のうちでx方向直線偏光成分L11及びy方向直線偏光成分L12の他方の集光に用いられる構造体、第2構造体27のうちで+45°直線偏光成分L21及び-45°直線偏光成分L22の他方の集光に用いられる構造体、及び第3構造体28のうちで左回り円偏光成分L31及び右回り円偏光成分L32の他方の集光に用いられる構造体からなる第2単位パターンと、を含んで構成されることが好ましい。
【0063】
図7は、偏光分離素子10の具体的な構成例の全体構成を示す光学顕微鏡画像である。また、図8は、偏光分離素子10における構造体パターン20の構成を一部拡大して示す電子顕微鏡画像である。この偏光分離素子10は、直径500μmの円形状に形成されている。なお、図7図8に示した偏光分離素子の構成例の具体的な構造、材料等については、詳しくは後述する。
【0064】
上記実施形態による偏光分離素子10、及び偏光分離素子10を用いた光受信装置1Aの効果について説明する。
【0065】
図2図4に示した偏光分離素子10では、基板11上の偏光分離層15において、複数の構造体を含む構造体パターン20を形成し、この構造体パターン20を用いて、基板11の下面13側から入射した対象光Lに含まれる第1~第6偏光成分を分離して、集光面35上において互いに異なる第1~第6集光位置にそれぞれ集光する。また、基板11上の構造体パターン20を、第1、第2偏光成分を分離、集光する第1構造体パターン21と、第3、第4偏光成分を分離、集光する第2構造体パターン22と、第5、第6偏光成分を分離、集光する第3構造体パターン23とによって構成する。
【0066】
そして、このような構成において、基板11の上面12上における複数の構造体の配列について、第1構造体26、第2構造体27、及び第3構造体28の3個の構造体からなるパターンを単位パターン25と規定して、基板11上に複数の単位パターン25を所定の配列パターンで2次元状に配列している。このような構成によれば、図4に示したように、基板11上において第1~第3構造体26~28を一様に分散配置させて、偏光分離素子10に入射する対象光Lの第1~第6偏光成分を、簡易な構成で対称性良く分離、集光することができる。
【0067】
また、図2に示した光受信装置1Aは、上記構成の偏光分離素子10と、集光面35上で第1~第6集光位置に集光された対象光Lの第1~第6偏光成分それぞれを検出する光検出部30とを備える構成としている。このような構成によれば、偏光分離素子10によって分離、集光された対象光Lの各偏光成分の光強度を、光検出部30において好適に検出することができる。
【0068】
上記構成の偏光分離素子10では、上述したように、構造体パターン20を構成する複数の構造体のそれぞれのサイズ、高さ、及び構造体の配置間隔を、対象光Lの波長未満に設定することが好ましい。これにより、基板11上の複数の構造体を含む構造体パターン20によって、対象光Lの偏光成分を分離、集光するためのサブ波長のメタサーフェス構造を好適に実現することができる。
【0069】
偏光分離層15における複数の構造体の材料については、上記したように基板11よりも屈折率が高い材料が用いられるが、具体的には、基板11の材料と、偏光分離層15の複数の構造体の材料との屈折率差を、0.25以上に設定することが好ましい。これにより、複数の構造体を含む構造体パターン20による対象光Lの偏光成分の分離、集光を好適に実現することができる。
【0070】
参考として、基板11及び偏光分離層15に関して上述した材料について、波長1.55μmの光に対する屈折率値を挙げておくと、基板11に関して、石英(SiO)が1.44、BK7が1.50、Alが1.75、MgFが1.36、CaFが1.42、LiFが1.38である。
【0071】
また、偏光分離層15に関して、Siが3.478、GaAsが3.374、InPが3.167、GaNが2.3、TiOが2.4、Taが2.09、Nbが2.17、HfOが1.82、ZrOが2.07、Yが1.90、Gdが1.7、CeOが1.7、Alが1.75、Siが1.989である。
【0072】
偏光分離素子10における構造体パターン20の具体的な構成、及び構造体パターン20を構成する構造体(楕円柱)の設計方法等について説明する。基板11及び偏光分離層15からなる偏光分離素子10は、例えば、石英(SiO)基板上にシリコン(Si)層が形成されたSOQ(Silicon on Quartz)基板を用い、Si層を微細加工技術によってメタサーフェス構造化することで、作製することができる。また、以下においては、構造体パターン20を構成する構造体は、楕円柱であるとする。
【0073】
第1構造体パターン21は、それによる光の透過位相分布φ(x,y)が、x方向直線偏光成分L11及びy方向直線偏光成分L12を第1、第2集光位置に集光するように設計される。すなわち、第1構造体パターン21は、ポアンカレ球のS軸を基底とした偏光分離及び集光レンズとして動作するように設計される。
【0074】
第2構造体パターン22は、それによる光の透過位相分布φ(x,y)が、+45°直線偏光成分L21及び-45°直線偏光成分L22を第3、第4集光位置に集光するように設計される。この第2構造体パターン22による位相分布は、例えば、上記の第1構造体パターン21の位相分布をx軸から45°回転させることで得られる。
【0075】
第3構造体パターン23は、それによる光の透過位相分布φ(x,y)が、左回り円偏光成分L31及び右回り円偏光成分L32を第5、第6集光位置に集光するように設計される。この第3構造体パターン23による位相分布は、例えば、x方向とy方向との位相差がπになる構造を作成し、それをx軸に対して角度θだけ傾けることで得られる。
【0076】
図9図10は、構造体パターン20における各構造体の形状の設定について示す図である。図9(a)、(b)に示すように、構造体の楕円柱の形状は、x方向の楕円軸の長さを示すD、y方向の楕円軸の長さを示すD、及び楕円柱のx軸からの回転角度θによって決定される。また、図9(a)において、dは構造体である楕円柱の配置間隔を示している。例えば、図4に示したような六角格子状の構成の場合、配置間隔dは、全ての楕円柱間で一定である。
【0077】
また、図10に示すように、偏光分離素子10による偏光分離の対象となる対象光Lについて、x方向に偏光した光の等価振幅を|t|とし、その透過位相をφとし、y方向に偏光した光の等価振幅を|t|とし、その透過位相をφとする。また、図10において、tは基板11の厚さを示し、hは構造体パターン20を含む偏光分離層15の高さを示している。一例では、SiO基板11の厚さはt=625μm、Si偏光分離層15の高さはh=1050nm、楕円柱の配置間隔はd=700nmである。
【0078】
構造体パターン20を構成する複数の構造体の設計においては、まず、上記した楕円柱の長さD、Dを変化させたときに得られる位相φ、φの変化量を、電磁界計算手法である厳密結合波解析(RCWA:Rigorous Coupled Wave Analysis)によって求める。具体的な計算手法は、例えば非特許文献1に記載されているものと同様である。
【0079】
図11は、構造体パターン20における光の透過位相φ、φ、及び楕円柱の形状パラメータである長さD、Dの関係について示す図であり、図11(a)は、位相φ、φの各値に対応する長さDを示し、図11(b)は、位相φ、φの各値に対応する長さDを示している。ここでは、対象光Lの波長λを1.55μmとし、六角格子状の構造体パターン20における楕円柱の配置間隔(格子定数)dを700nmとし、x軸に対する回転角度θを0°として計算を行った。図11(a)、(b)に示す計算結果を用いることにより、必要とされる透過位相φ、φを得るための楕円柱の長さD、Dを求めることができる。
【0080】
上記では、楕円柱の回転角度をθ=0°として計算したが、±45°直線偏光成分については、上記の楕円柱をx軸から±45°回転すればよい。また、左回り円偏光成分については、必要な透過位相はφ=φ+2θとなり、右回り円偏光成分については、必要な透過位相はφ=φ-2θとなる。また、このときに必要な条件は、φ=φ+πとなるようにD、Dを決定することである。
【0081】
構造体パターン20による対象光Lの各偏光成分の集光については、偏光成分を集光面35上の集光位置に集光させるメタレンズとしての機能を実現するために、第1~第3構造体パターン21~23におけるメタサーフェス構造に、下記の式(2)で表される位相分布を持たせる。
【数2】

ここで、(x、y)は集光面35における各偏光成分の集光位置の座標であり、fは集光距離である。
【0082】
具体的には、集光距離fを2.5mm(NA~0.10)とし、集光面35における各集光位置間の距離(六角形の頂点間の距離、図3参照)を50μmとした。この場合、例えば、偏光分離素子10の中心位置を原点とし、μmを単位として、x方向直線偏光成分L11を集光する第1構造体パターン21の中心座標は(0,50)、y方向直線偏光成分L12を集光する第1構造体パターン21の中心座標は(43.3,25)である。
【0083】
+45°直線偏光成分L21を集光する第2構造体パターン22の中心座標は(43.3,-25)、-45°直線偏光成分L22を集光する第2構造体パターン22の中心座標は(0,-50)である。左回り円偏光成分L31を集光する第3構造体パターン23の中心座標は(-43.3,-25)、右回り円偏光成分L32を集光する第3構造体パターン23の中心座標は(-43.3,25)である。
【0084】
図12は、構造体パターン20における各偏光成分(波長1.55μm)に対応する位相分布を示す図である。図12(a)、(b)は、第1構造体パターン21(MS1)における位相分布を示し、図12(c)、(d)は、第2構造体パターン22(MS2)における位相分布を示し、図12(e)、(f)は、第3構造体パターン23(MS3)における位相分布を示している。なお、偏光分離素子10の形状及びサイズについては、光ファイバとの結合を考慮して、直径φ500μmの円形としている。以上のようにして、偏光分離素子10における複数の構造体を含む構造体パターン20の構成を決定することができる。
【0085】
上記実施形態による偏光分離素子10の製造方法の一例について、簡単に説明する。まず、基板11となるSiO層、及び偏光分離層15となるSi層を有するSOQ基板を用意し、一般的な有機洗浄によって、SOQ基板を洗浄する。ここでは、例えば、アセトン、IPA、またはエタノール中にて、SOQ基板の超音波洗浄を行う。また、SOQ基板において、SiO層の厚さtは例えば625μm、Si層の高さhは例えば1050nmである。
【0086】
続いて、Si層とレジストとの濡れ性及び密着性向上を目的に、表面活性剤(例えば、東京応化OAP)を塗布し、例えば3000rpm、30secでスピンコーティングを行った後、120℃で1分間のベーキングを行う。そして、Si層上にEBレジスト(例えば、ZEP520A)を塗布し、スピンコーティングによって、約200nmの厚さとする。
【0087】
その後、電子線描画装置を使用して描画し、現像を行うことにより、構造体パターン20に対応するメタサーフェス構造のレジストパターンを形成する。次に、レジストパターンを保護膜にしてSi層のドライエッチングを行うことにより、構造体パターン20となるSi層のメタサーフェス構造を形成する。ドライエッチング用のガスとしては、例えばSF、C、Arを用いることができる。その後、Si層をエッチングする際にマスクとして使用したEBレジストをOアッシングにより除去することにより、上記構成を有する偏光分離素子10を作製することができる。
【0088】
上記した構成例による偏光分離素子10の特性について、具体的な測定データとともに説明する。図13は、偏光分離素子10の特性を評価するための測定系2Aの構成を示す図である。図13に示す測定系2Aは、レーザ光源101、偏光コントローラ102、ファイバコリメータ103、偏光子104、1/2波長板105、1/4波長板106、絞り107、対物レンズ108、チューブレンズ109、及び撮像装置110によって構成されている。
【0089】
上記の測定系2Aにおいて、評価対象となる偏光分離素子10は、絞り107と対物レンズ108との間に配置されている。レーザ光源101としては、例えば波長可変レーザを用いることができる。また、撮像装置110としては、例えばInGaAsカメラ(浜松ホトニクス製C12741-03、受光面サイズ:12.8mm(H)×10.24mm(V))を用いることができる。
【0090】
レーザ光源101から出力された波長λ=1.55μmの対象光Lは、偏光コントローラ102、ファイバコリメータ103、偏光子104、1/2波長板105、1/4波長板106、及び絞り107を経て、偏光分離素子10に到達する。このとき、偏光子104、1/2波長板105、及び1/4波長板106を回転することにより、対象光Lを所望の偏光状態に設定することができる。
【0091】
偏光分離素子10で分離、集光された各偏光成分は、倍率50倍の対物レンズ108によって平行光とされ、チューブレンズ109によって撮像装置110の受光面上に結像される。撮像装置110で取得された2次元画像における各偏光成分の光強度によって、偏光分離素子10の特性を評価することができる。
【0092】
図14は、撮像装置110において取得された対象光Lの強度分布を示す図である。図14(a)は、偏光分離される対象光Lのストークスベクトル(S,S,S)を(+1,0,0)としたときの測定結果を示し、図14(b)は、(-1,0,0)としたときの測定結果を示し、図14(c)は、(0,+1,0)としたときの測定結果を示し、図14(d)は、(0,-1,0)としたときの測定結果を示し、図14(e)は、(0,0,+1)としたときの測定結果を示し、図14(f)は、(0,0,-1)としたときの測定結果を示している。
【0093】
また、図15(a)~(f)は、図14(a)~(f)の測定結果からそれぞれ求められた対象光LのストークスパラメータS、S、Sについて示すグラフである。これらの図14図15に示すように、上記構成の偏光分離素子10によれば、対象光Lに含まれる各偏光成分を好適に分離、集光して、そのストークスパラメータを精度良く測定することが可能である。
【0094】
図16は、撮像装置110で取得された対象光Lの強度分布から再生されたストークスベクトルについて示す図である。図16において、ストークス空間に図示した球はポアンカレ球を示し、実線で示したデータは理論的に得られる偏光状態を示し、プロット点で示したデータは実際に対象光の偏光状態を測定した結果を示している。
【0095】
また、図16において、データC1は、1/2波長板(HWP)105及び1/4波長板(QWP)106をθQWP=2θHWPの関係を保った状態で回転させたときのデータを示し、データC2は、1/2波長板105をθHWP=0°に固定した状態で1/4波長板106のθQWPを回転させたときのデータを示し、データC3は、1/2波長板105をθHWP=45°に固定した状態で1/4波長板106のθQWPを回転させたときのデータを示している。これらのデータC1~C3に示すように、理論的に求めた偏光状態と、測定結果の偏光状態とは良く一致している。
【0096】
図4図5に示した構造体パターン20の他の構成例について説明する。上記実施形態では、構造体パターン20について、単位パターン25を正三角形状のパターンとし、構造体パターン20を六角格子状に構成している。対象光Lの各偏光成分の分離、集光に用いられる構造体パターン20については、具体的には上記した構成以外にも、様々な構成を用いることができる。なお、以下の図17図19においては、各構造体を円形によって図示し、複数の構造体の配置パターンを模式的に示している。
【0097】
図17は、偏光分離素子10における構造体パターン20の構成の第1変形例を示す図である。図17に示す構成では、第1構造体26、第2構造体27、及び第3構造体28からなる二等辺三角形状のパターンを単位パターン25aとしている。また、複数の単位パターン25aから構成される構造体パターン20の全体構成については、図5の構成と同様に、六角格子状に構成されている。
【0098】
図18は、偏光分離素子10における構造体パターン20の構成の第2変形例を示す図である。図18に示す構成では、複数の単位パターンとして、第1構造体26、第2構造体27、及び第3構造体28の配置が互いに異なる複数種類(図18の例では2種類)の単位パターン25b、25cを含んでいる。単位パターン25b、25cは、いずれも正三角形状のパターンとなっている。
【0099】
単位パターン25bでは、図4の単位パターン25と同様に、正三角形状パターンの上方の頂点に第1構造体26が配置され、左下の頂点に第2構造体27が配置され、右下の頂点に第3構造体28が配置されている。一方、単位パターン25cでは、正三角形状パターンの上方の頂点に第1構造体26が配置され、左下の頂点に第3構造体28が配置され、右下の頂点に第2構造体27が配置されており、単位パターン25bとは第2構造体27及び第3構造体28の配置が入れ替わっている。
【0100】
なお、構造体パターン20において、複数の単位パターンとして複数種類の単位パターンを設ける構成では、一般には、第1構造体26、第2構造体27、及び第3構造体28の配置順序またはパターン形状等が互いに異なる単位パターンを用いることが好ましい。また、単位パターンの種類の個数については、上記構成では2種類としているが、3種類以上としてもよい。
【0101】
図19は、偏光分離素子10における構造体パターン20の構成の第3変形例を示す図である。図19に示す構成では、第1構造体26、第2構造体27、及び第3構造体28からなる直角二等辺三角形状のパターンを単位パターン25dとしている。また、複数の単位パターン25dから構成される構造体パターン20の全体構成については、図5の構成とは異なり、正方格子状に構成されている。
【0102】
このように、基板11上に形成される偏光分離層15における構造体パターン20については、具体的には様々なパターン構成を用いることが可能である。なお、構造体パターン20の全体構成については、図5図17図18の構成では六角格子状のパターンとし、図19の構成では正方格子状のパターンとしている。これらのパターンについては、図19の正方格子状のパターンでは、第2構造体27と第3構造体28との配置間隔が、第1構造体26と第2構造体27または第3構造体28との配置間隔よりも長くなっている。このような点を考慮すると、構造体パターン20の全体構成については、全ての構造体の配置間隔が等しくなる六角格子状のパターンとすることがより好ましい。
【0103】
偏光分離素子、及び光受信装置は、上記実施形態及び構成例に限られるものではなく、様々な変形が可能である。例えば、偏光分離素子による分離、集光の対象となる対象光の第1~第6偏光成分について、上記実施形態では、x方向直線偏光成分、y方向直線偏光成分、+45°直線偏光成分、-45°直線偏光成分、左回り円偏光成分、及び右回り円偏光成分としているが、このような構成に限定されず、具体的には様々な偏光成分の組合せを用いてよい。また、構造体パターンを構成する2回回転対称の構造体の形状については、上記した楕円柱に限らず、具体的には様々な形状の構造体を用いてよい。
【0104】
また、透過型の偏光分離素子の構成について、上記実施形態では、基板の下面を光入射面、偏光分離層の上面を光出射面としているが、このような構成に限定されず、偏光分離層の上面を光入射面、基板の下面を光出射面としてもよい。一般には、偏光分離素子は、基板の下面及び偏光分離層の上面の一方が光入射面、他方が光出射面となる透過型の構成を有し、偏光分離層は、光入射面側から入射した対象光に含まれる第1~第6偏光成分を分離して、光出射面側に設定された集光面上において互いに異なる第1~第6集光位置にそれぞれ集光する構成であればよい。また、基板の下面を光出射面とする構成では、例えば、光検出部となるフォトダイオードなどの光検出器を、基板の下面に直接貼り合わせるような構成とすることも可能である。
【0105】
また、偏光分離素子を備える光受信装置において、対象光の各偏光成分を検出する光検出部の構成については、上記実施形態では、それぞれ第1~第6偏光成分を検出する第1~第6光検出器を設ける構成としているが、このような構成に限定されず、例えば図13の評価測定系において示したように、光検出部として、単一の撮像装置を用いる構成としてもよい。そのような撮像装置としては、例えば、CCDカメラ、CMOSカメラ等を用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明は、対象光の偏光成分の分離、集光を簡易な構成で好適に行うことが可能な偏光分離素子、及び光受信装置として利用可能である。
【符号の説明】
【0107】
1A…光受信装置、10…偏光分離素子、11…基板、12…上面、13…下面、15…偏光分離層、20…構造体パターン、21…第1構造体パターン、22…第2構造体パターン、23…第3構造体パターン、25、251、252、25a~25d…単位パターン、26、261、262…第1構造体、27、271、272…第2構造体、28、281、282…第3構造体、
30…光検出部、311、312、321、322、331、332…光検出器、35…集光面、50…解析部、60…光ファイバ、
2A…測定系、101…レーザ光源、102…偏光コントローラ、103…ファイバコリメータ、104…偏光子、105…1/2波長板、106…1/4波長板、107…絞り、108…対物レンズ、109…チューブレンズ、110…撮像装置、
…対象光、L11…x方向直線偏光成分、L12…y方向直線偏光成分、L21…+45°直線偏光成分、L22…-45°直線偏光成分、L31…左回り円偏光成分、L32…右回り円偏光成分。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図10
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図15
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図17
図18
図19