(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023121477
(43)【公開日】2023-08-31
(54)【発明の名称】物品集積装置
(51)【国際特許分類】
B65G 47/30 20060101AFI20230824BHJP
B65G 47/08 20060101ALI20230824BHJP
【FI】
B65G47/30 F
B65G47/08 E
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022024840
(22)【出願日】2022-02-21
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-08-21
(71)【出願人】
【識別番号】000103932
【氏名又は名称】オリオン機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】恩田 浩光
(72)【発明者】
【氏名】本庄 隆秋
【テーマコード(参考)】
3F080
3F081
【Fターム(参考)】
3F080AA19
3F080BA01
3F080BD15
3F080CD05
3F080CE05
3F080CE08
3F080CG12
3F080CG14
3F081AA10
3F081BD11
3F081CB05
3F081CB07
3F081CE14
(57)【要約】
【課題】占有スペースを縮小して、物品の集積に係る生産効率を向上させることができる物品集積装置を提供する。
【解決手段】物品集積装置1は、互いに独立して位置制御可能な多数のスライダ11が基台10に沿って移動自在に構成されるリニアコンベア4と、物品搬送台5の搬入位置に搬入される物品Wを、所定角度ピッチで回転して、スライダ11に連結された搬送部材32に向かって押し出す回転体6と、該回転体6の回転に伴って、搬送部材32を回転体6から遠退する方向に物品Wの厚み相当分移動させる制御ロジックを含む制御装置と、を備えている。これにより、占有スペースを縮小して、物品Wの集積に係る生産効率を向上させることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一枚ずつ搬入される物品を所定数ごとに集積して搬送する物品集積装置であって、
互いに独立して位置制御可能な多数のスライダが基台に沿って移動自在に構成されるリニアコンベアと、
物品搬送経路の搬入位置に搬入される物品を、所定角度ピッチで回転して、前記スライダに連結された搬送部材に向かって押し出す回転体と、
該回転体の回転に伴って、前記搬送部材を該回転体から遠退する方向に前記物品の厚み相当分移動させる制御ロジックを含む制御装置と、
を備えることを特徴とする物品集積装置。
【請求項2】
前記制御装置は、前記搬送部材に対して所定数集積された物品群を、当該搬送部材を含む進行方向前後一対の搬送部材により圧縮、保持して、前記物品搬送経路に設けた搬出位置に移動させる制御ロジックを含むことを特徴とする請求項1に記載の物品集積装置。
【請求項3】
前記制御装置は、前記搬入位置に対して位置決めされる、前記搬送部材を含む進行方向前後一対の搬送部材の進行方向後側に前後一対の搬送部材を待機させる制御ロジックを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の物品集積装置。
【請求項4】
前記回転体は、間に搬入される物品が位置するように互いに間隔を置いて一対配置され、
前記回転体は、その回転軸の外周面から放射状に押出部材が複数突設され、
前記一対の回転体の押出部材が、物品を前記搬送部材に向かって押し出す構成であることを特徴とする請求項1~3いずれかに記載の物品集積装置。
【請求項5】
前記各回転体が所定角度回転して、前記搬入位置に搬入される物品を前記搬送部材に押し当てた直後は、当該各回転体の押出部材により、前記搬送部材に集積された物品を当該搬送部材との間で保持する構成であることを特徴とする請求項4に記載の物品集積装置。
【請求項6】
前記基台は、無端状に構成されることを特徴とする請求項1~5いずれかに記載の物品集積装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一枚ずつ搬入される物品を所定数ごとに集積して搬送する物品集積装置に関するものである。なお、物品は、例えば、紙おむつやナプキン等である。
【背景技術】
【0002】
上述した物品集積装置における従来技術として、特許文献1及び2に製品集積装置が開示されている。特許文献1に係る製品集積装置は、一般的な製品集積装置であり、所定間隔を隔ててスライド自在に配置された第1及び第2回転部材と、第1回転部材と第2回転部材との間に巻回されたチェーン及び当該チェーンに所定間隔で取付けられた多数の羽根部材を含む回転コンベアと、を備えている。そして、製品集積装置の隣接する羽根部材間に製品、例えば紙おむつが順次搬入されて、回転コンベアのチェーンの移動に伴って、各羽根部材間の所定数の製品が搬出位置まで搬送される。続いて、所定数の製品が搬出位置まで到達すると、プッシャ部材等の製品搬出手段により各羽根部材間の所定数の製品が各羽根部材間から搬出される。続いて、所定数の製品が圧縮手段により整列圧縮されて、その状態で中間コンベアを介して包装機まで搬送される。
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載のような一般的な製品集積装置では、回転コンベアが平面視で無端状に備えられており、その装置本体が大型化するために、占有スペースが相当大きくなり、スペース効率が非常に悪化する。しかも、従来の製品集積装置では、中間コンベアを含む、製品群の中間コンベア上への投入機構及び製品群の中間コンベア上からの払出機構等の各種の周辺機構を備える必要があり、製品を集積して包装機までに至る装置全体も巨大化して、大きな占有スペースが必要となる。
【0004】
また、特許文献2に係る製品集積装置は、加工機からの製品を受け入れ順次搬送する第1及び第2製品供給手段と、該第1及び第2製品供給手段から供給された製品を順次整列させて集積する第1及び第2集積手段と、該第1及び第2集積手段で集積された製品を所定個数毎に保持する第1及び第2保持手段と、第1または第2保持手段のいずれか一方により所定個数毎に保持された製品を包装機へ搬出する製品搬出手段と、を備えている。そして、製品加工機から第1または第2製品供給手段に供給された所定数の製品は、第1または第2集積手段、及び第1または第2保持手段により、所定数の製品が集積された状態で置き台の長手方向略中央部位まで搬送されて、製品搬出手段によって包装機に搬出される。その後、第1または第2保持手段は初期位置に戻り、この動作が繰り返される。
【0005】
しかしながら、この特許文献2に係る製品集積装置においても、特に、製品供給手段を2系統必要としているために、特許文献1に記載の製品集積装置と同様に、大型化してしまい、占有スペースが非常に大きく、スペース効率が悪化する。また、特許文献2に係る製品集積装置では、例えば、第1保持手段が所定数の製品を保持した状態で置き台の長手方向略中央部位の搬出位置まで移動して、製品群を製品搬出手段によって包装機に搬出した後、初期位置まで後退して、その間に第2集積手段及び第2保持手段が作動される。要するに、本製品集積装置では、第1集積手段及び第1保持手段を有する第1系統と、第2集積手段及び第2保持手段を有する第2系統とが交互に作動されることにより生産効率の低下を抑えようとしているが、さらに生産効率を向上させるために、第1及び第2製品供給手段による製品の供給速度を速めると、第1系統と第2系統とを正常に交互に作動させることが困難になる虞があり、製品の集積に係る生産効率が下がり、改善する必要がある。
【0006】
また、特許文献2に係る製品集積装置では、上下一対の回転部材の回転によって、第1または第2製品供給手段によって供給された製品を各回転部材に設けた螺旋状に延びる棒状部材との接触により前に送り出す構成が採用されているが、第1及び第2製品供給手段による製品の供給速度を速めると、螺旋状の各棒状部材と製品との摩擦により製品が加熱され、場合によっては製品が焦げる虞もあり、生産効率を向上させることができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006-225121号公報
【特許文献2】特開2009-220980号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そして、本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、占有スペースを縮小して、物品の集積に係る生産効率を向上させることができる物品集積装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明は、一枚ずつ搬入される物品を所定数ごとに集積して搬送する物品集積装置であって、互いに独立して位置制御可能な多数のスライダが基台に沿って移動自在に構成されるリニアコンベアと、物品搬送経路の搬入位置に搬入される物品を、所定角度ピッチで回転して、前記スライダに連結された搬送部材に向かって押し出す回転体と、該回転体の回転に伴って、前記搬送部材を該回転体から遠退する方向に前記物品の厚み相当分移動させる制御ロジックを含む制御装置と、を備えることを特徴とするものである。
請求項1の発明では、回転体が所定角度回転することにより、物品搬送経路の搬入位置に搬入される物品を物品搬送経路に沿って移動自在な搬送部材に押し当てる。続いて、この搬送部材は、物品が押し当てられた直後、次の物品に対して回転体が所定角度回転すると、物品の厚み相当分の距離、回転体から遠退方向に移動して停止する。この動作を繰り返すことで、物品搬送経路の搬入位置に順次搬入されてくる物品が物品搬送経路上の搬送部材に順次集積される。そして、請求項1の発明では、上述した動作を、リニアコンベアを採用することで成立させているので、装置本体をコンパクトにすることができ、ひいては、スペース効率を非常に良好にすることができる。
【0010】
請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した発明において、前記制御装置は、前記搬送部材に対して所定数集積された物品群を、当該搬送部材を含む進行方向前後一対の搬送部材により圧縮、保持して、前記物品搬送経路に設けた搬出位置に移動させる制御ロジックを含むことを特徴とするものである。
請求項2の発明では、回転体の回転により進行方向前側の搬送部材に所定数の物品が集積された後は、進行方向後側の搬送部材が当該物品群の進行方向最も後側の物品に接触するようにして移動しつつ、当該前後一対搬送部材間に配置された物品群を圧縮、保持した状態で物品搬送経路に沿ってその搬出位置まで移動される。
【0011】
請求項3に記載した発明は、請求項1または2に記載した発明において、前記制御装置は、前記搬入位置に対して位置決めされる、前記搬送部材を含む進行方向前後一対の搬送部材の進行方向後側に前後一対の搬送部材を待機させる制御ロジックを含むことを特徴とするものである。
請求項3の発明では、前後一対の搬送部材間に物品群を圧縮、保持した状態で物品搬送経路の搬出位置に向かって移動を開始すると、次の前後一対の搬送部材が物品搬送経路の搬入位置に対する初期位置に迅速に移動することができ、回転体の回転による、次の、前側の搬送部材への物品の集積を迅速に開始することができる。
【0012】
請求項4に記載した発明は、請求項1~3いずれかに記載した発明において、前記回転体は、間に搬入される物品が位置するように互いに間隔を置いて一対配置され、前記回転体は、その回転軸の外周面から放射状に押出部材が複数突設され、前記一対の回転体の押出部材が、物品を前記搬送部材に向かって押し出す構成であることを特徴とするものである。
請求項4の発明では、一対の回転体の押出部材が、物品の両端部に接触して搬送部材に向かって押し出すことができるので、例えば、おむつ等の不安定な物品を立った状態で安定して搬送部材に押し出すことができる。
【0013】
請求項5に記載した発明は、請求項4に記載した発明において、前記各回転体が所定角度回転して、前記搬入位置に搬入される物品を前記搬送部材に押し当てた直後は、当該各回転体の押出部材により、前記搬送部材に集積された物品を当該搬送部材との間で保持する構成であることを特徴とするものである。
請求項5の発明では、各回転体が所定角度回転して、物品を搬送部材に押し当てた直後から、搬送部材が各回転体から遠退する方向に移動する直前までは、当該各回転体の押出部材により、搬送部材に集積された物品を搬送部材との間で保持することができる。
【0014】
請求項6に記載した発明は、請求項1~5いずれかに記載した発明において、前記基台は、無端状に構成されることを特徴とするものである。
請求項6の発明では、前後一対の搬送部材を物品搬送経路の搬入位置と搬出位置との間を往復運動させるのではなく、多数の、前後一対の搬送部材を基台に沿って一方向に移動させて循環させることで、搬入位置及び搬出位置に移動させることができる。その結果、時間的ロスがなく、また構造的に複雑にすることもなく、搬入位置では前後一対の搬送部材間に物品群を集積して、且つ前後一対の搬送部材間に物品群を圧縮、保持しつつ搬出位置に移動させ、当該搬出位置にて、前後一対の搬送部材間から物品群を搬出する作用を繰り返すことができる。
なお、基台は、側面視において、その外形が長円形状を呈する無端状に構成されても良いし、平面視において、その外形が長円形状を呈する無端状に構成されても良い。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る物品集積装置では、占有スペースを縮小して、物品の集積に係る生産効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る物品集積装置を示し、(a)は平面図であり、(b)は側面図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に係る物品集積装置の正面図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態に係る物品集積装置に採用したリニアコンベアの側面図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態に係る物品集積装置の作用を示す図であり、(a)は平面図であり、(b)は側面図である。
【
図5】
図5は、
図4から続く、本発明の実施形態に係る物品集積装置の作用を示す図であり、(a)は平面図であり、(b)は側面図である。
【
図6】
図6は、
図5から続く、本発明の実施形態に係る物品集積装置の作用を示す図であり、(a)は平面図であり、(b)は側面図である。
【
図7】
図7は、
図6から続く、本発明の実施形態に係る物品集積装置の作用を示す図であり、(a)は平面図であり、(b)は側面図である。
【
図8】
図8は、
図7から続く、本発明の実施形態に係る物品集積装置の作用を示す図であり、(a)は平面図であり、(b)は側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態に係る物品集積装置1を
図1~
図8に基づいて詳細に説明する。
本発明の実施形態に係る物品集積装置1は、一枚ずつ搬入されるシート状の物品Wを所定数ごとに集積して搬送するものである。物品Wは、紙おむつやナプキン等である。本実施形態では、
図2に示すように、物品Wは紙おむつである。
図1を参照して、本実施形態に係る物品集積装置1は、互いに独立して位置制御可能な多数のスライダ11が基台10に沿って移動自在に構成されるリニアコンベア4と、該リニアコンベア4の基台10の幅方向外側に設けられる、物品搬送経路としての物品搬送台5と、物品搬送台5に設けられた搬入位置に搬入される物品Wを、所定角度ピッチで回転して、搬送部材32に向かって押し出す上下一対の回転体6、6と、特に、各搬送部材32、32、すなわち、リニアコンベア4の各スライダ11、11の位置を、後述するリニアスケールを含む各種検出センサ(図示略)からの検出信号に基づき制御する制御装置7と、を備えている。
【0018】
図1及び
図3を参照して、リニアコンベア4は、リニアモータを駆動源として、基台10上に敷設されたレールに沿って多数のスライダ11をそれぞれ移動させるものである。なお、リニアモータとしては、いわゆる可動磁石型リニアモータが適用される。この可動磁石型リニアモータは、具体的には、電磁石(電機子)がリニアモータ固定子として基台10上に固定される一方、永久磁石がリニアモータ可動子として各スライダ11に固定され、電磁石を構成するコイルへの電流供給が制御されることで各スライダ11に推進力が与えられる。そして、各スライダ11に固定されるスケールと、基台10側に配置される複数のセンサと、を備えるリニアスケールが組み込まれる。このリニアスケールによる位置検出に基いて、前記コイルへの電流供給が制御されることで、特定位置への各スライダ11の移動が可能となっている。なお、図では、リニアコンベア4において、基台10及び各スライダ11以外の構成部材の図示は省略している。
【0019】
リニアコンベア4の基台10は、側面視において、その外形が対向する一対の半円弧状部と、一対の半円弧状部に接続され対向する一対の直線状部とからなる長円形状を呈する無端状に構成される。基台10の上側に位置する直線状部には、その側方に並ぶように物品搬送経路としての物品搬送台5が配置される。物品搬送台5は、平面視矩形状に形成される。物品搬送台5には、当該物品搬送台5の上流側(搬送方向後側で
図1の左側)に物品Wが順次搬入される搬入位置が設けられ、下流側(搬送方向前側で
図1の右側)に所定数集積された物品群W’(
図8参照)が搬出される搬出位置が設けられる。
【0020】
この物品搬送台5上に物品Wが立った状態で集積、搬送される。
図2を参照して、物品搬送台5には、幅方向に沿って間隔を置いて複数の細長い逃げ孔14が形成される。逃げ孔14は、物品搬送台5の幅方向に沿って間隔を置いて配置される複数の回転体6の押出部材29との干渉を避けるべく形成される。逃げ孔14は、物品搬送台5の搬入位置において、長手方向に沿って所定長さ形成される。逃げ孔14は、物品搬送台5の幅方向に沿って、後述する回転体6に対応して複数形成される。なお、本実施形態では、基台10は、側面視において、その外形が長円形状を呈する無端状に構成されているが、基台10を、平面視において、その外形が長円形状を呈する無端状に構成しても良い。
【0021】
図1及び
図2を参照して、物品搬送台5の搬入位置には、物品Wを一枚ずつ順次物品搬送台5上に搬入する物品搬入手段16が備えられる。物品搬入手段16は、例えば、無端状ベルト18が所定位置に配置された案内ローラ19及び駆動ローラ(図示略)に巻回されて構成されてなるベルトユニット20、20が一対配置されて構成される。一対のベルトユニット20、20は、一対の無端状ベルト18、18が所定範囲にて互いに対向するように構成される。
図1では、一対のベルトユニット20、20の端部のみが図示されている。一対のベルトユニット20、20(無端状ベルト18、18)の端部が、物品搬送台5の搬入位置であって、リニアコンベア4の基台10の上方に配置される。そして、一対のベルトユニット20、20の無端状ベルト18、18が駆動ローラの駆動により作動されることで、多数の物品Wが互いに間隔を開けて一対のベルトユニット20、20間(一対の無端状ベルト18、18間)をそれぞれ移動して、その端部から順次物品搬送台5の搬入位置に搬入される。
【0022】
図1(a)及び
図2を参照して、一対のベルトユニット20、20の端部に対して、物品搬送台5の幅方向に沿って対向して、物品搬送台5の幅方向外側の位置にストッパ部材22が配置される。ストッパ部材22は、略矩形の板材であって、物品搬送台5から上方に立設される。ストッパ部材22は、物品Wの高さ程度の高さを有する。ストッパ部材22は、物品搬送台5の長手方向に沿って延びている。このストッパ部材22により、一対のベルトユニット20、20の端部からの物品Wが、物品搬送台5の幅方向外側に逸脱するのを防止することができる。なお、
図1(b)では、ストッパ部材22の図示を省略している。
【0023】
図1を参照して、物品搬送台5の搬出位置には、物品Wが所定数集積された物品群W’を物品搬送台5から搬出する物品群搬出手段24が備えられる。物品群搬出手段24は、物品搬送台5の搬出位置において、例えば、物品搬送台5上をその幅方向に沿って横切るように往復運動するプッシャ部材26等で構成される。そして、
図8も参照して、後述する前後一対の搬送部材32、32がその間に物品群W’を保持した状態で物品搬送台5に沿って移動して搬出位置に到達すると、プッシャ部材26が前進することで、前後一対搬送部材32、32間の物品群W’が物品搬送台5からその幅方向に沿う外側に向かって搬出される。
【0024】
図1、
図4及び
図5を参照して、回転体6、6は、その間に物品Wが位置するように上下一対配置される。上下一対の回転体6、6は、物品搬送台5の幅方向に沿って間隔を置いて複数列配置されている。本実施形態では、上下一対の回転体6、6は、物品搬送台5の幅方向に沿って間隔を置いて3列配置されている。なお、上下一対の回転体6、6の、物品搬送台5の幅方向に沿う数量は、物品Wの種類、すなわち大きさによって変化させることができる。各回転体6は、回転軸28と、該回転軸28の外周面から放射状に複数突設される押出部材29、29と、を備えている。
【0025】
各回転軸28には、サーボモータの出力軸(図示略)が連結される。各回転体6は、サーボモータの駆動により同期して回転される。各回転体6は、サーボモータの駆動により所定角度ピッチで回転される。
図1、
図4及び
図5において、上側の回転体6は反時計回り方向に、下側の回転体は時計回り方向にそれぞれ回転する。押出部材29は棒状に形成される。本実施形態では、押出部材29、29は、回転軸28の周方向に沿って等間隔で複数本設けられる。本実施形態では、押出部材29は5本設けられる。
【0026】
上下一対の回転体6、6のうち上側の回転体6は、その全体が物品搬送台5の上面から上方の位置に配置される。一方、下側の回転体6は、物品搬送台5の下方であって、当該回転体6が回転された際、その押出部材29、29が物品搬送台5の各逃げ孔14(
図2参照)から上方に突出、または逃げ孔14から下方に没入する位置に配置される。上下一対の回転体6、6間の距離は、後述する作用を奏するような所定距離に設定される。そして、
図2、
図4及び
図5を参照して、上下一対の回転体6、6の間に物品Wが位置して、上下一対の回転体6、6が所定方向にそれぞれ回転すると、上側の回転体6の押出部材29が物品Wの上端部に接触すると共に、下側の回転体6の押出部材29が物品Wの下端部に接触する。
【0027】
図1及び
図2を参照して、搬送部材32は板状に形成される。搬送部材32はリニアコンベア4のスライダ11の上面に連結される。搬送部材32は、スライダ11の上面に対して垂直方向に立った状態でスライダ11に連結されて、物品搬送台5上まで延びる。搬送部材32は、制御装置7によるスライダ11の位置制御により、上下一対の回転体6、6の回転軸28、28間を含む、物品搬送台5上を移動自在で、且つ任意位置に停止可能に制御される。
図2を参照して、搬送部材32は、正面視において、略矩形状に形成される。搬送部材32は、リニアコンベア4の基台10の上方で、一対のベルトユニット20、20の端部との干渉を防ぐための切欠き部34が設けられている。
【0028】
図2を参照して、搬送部材32の下端は、物品搬送台5の上面に近接しつつ、その上端は物品搬送台5上の物品Wの上端と略一致する。搬送部材32の上端には、上側の回転体6の押出部材29(
図1参照)との干渉を防ぐ上側凹部36が形成される。この上側凹部36、36は、物品搬送台5の幅方向に沿って配置された各回転体6、6に対応して複数設けられる。一方、搬送部材32の下端にも、下側の回転体6の押出部材29(
図1参照)との干渉を防ぐ下側凹部37が形成される。この下側凹部37、37は、物品搬送台5の幅方向に沿って配置された各回転体6、6に対応して複数設けられる。
【0029】
図1に示す制御装置7は、各回転体6(サーボモータ)の回転動作、リニアコンベア4の各スライダ11、すなわち各搬送部材32、32の位置、及び物品群搬出手段24(プッシャ部材26)の動作を、リニアスケールを含む各種検出センサからの検出信号に基づき制御するものである。当該制御装置7による制御方法は、後述する本実施形態に係る物品集積装置1の作用を説明する際に詳しく説明する。
【0030】
次に、本実施形態に係る物品集積装置1の作用を
図4~
図8に基づいて、
図1及び
図2も適宜参照して説明する。なお、上述したように、以下で説明する、各回転体6(サーボモータ)の回転動作、各搬送部材32、32の位置(リニアコンベア4の各スライダ11、11の位置)、及び物品群搬出手段24(プッシャ部材26)の動作は、制御装置7により制御されている。
まず、
図1を参照して、上下一対の回転体6、6間において、前後一対の搬送部材32、32が互いに間隔を置いた初期位置(搬入位置の初期位置)に位置決めされる。このとき、上下一対の回転体6、6における押出部材29、29が、後側の搬送部材32の上側及び下側凹部36、37(
図2参照)内または若干前側に位置決めされる。この前後一対の搬送部材32、32よりも上流側(搬送方向後側で
図1及び
図4の左側)には、次の、前後一対の搬送部材32、32が互いに間隔を置いた状態で位置決め待機される。
【0031】
次に、
図4を参照して、物品搬入手段16の一対のベルトユニット20、20の端部から最初の物品Wが物品搬送台5上で各回転体6、6の押出部材29、29の前方に搬入されたことを光電センサ等の検出センサ(図示略)にて検出すると、上側の回転体6が反時計回り方向に、下側の回転体6が時計回り方向にそれぞれ所定角度回転する。その結果、各回転体6、6の押出部材29、29が、物品Wの上端部及び下端部に接触することで、物品Wを前側の搬送部材32に向かって押し出して、前側の搬送部材32に押し当てる。このとき、各回転体6、6の次の押出部材29、29が、後側の搬送部材32の上側及び下側凹部36、37付近に待機される。また、このとき、当該各回転体6、6の押出部材29、29により、前側の搬送部材32に押し当てられた物品Wを前側の搬送部材32との間で保持した状態となる。
【0032】
次に、
図5を参照して、物品搬入手段16の一対のベルトユニット20、20の端部から次の物品Wが物品搬送台5上で各回転体6、6の押出部材29、29の前方に搬入されたことを検出センサにて検出すると、各回転体6、6が上述した方向に再び所定角度回転すると同時に、前側の搬送部材32は、各回転体6、6から遠退する方向に移動する。このとき、前側の搬送部材32は、物品Wの厚み相当分の距離、各回転体6、6から遠退する方向に移動して停止する。この各回転体6、6の回転に伴って、次の物品Wが前側の搬送部材32に向かって押し出されて、前側の搬送部材32に順次集積される。
【0033】
そして、
図6を参照して、上述した動作が繰り返され、物品搬入手段16の一対のベルトユニット20、20の端部から最後の物品Wが物品搬送台5上で各回転体6、6の押出部材29、29の前方に搬入されたことを検出センサにて検出する。すると、各回転体6、6が上述した方向にそれぞれ所定角度回転することで、最後の物品Wを前側の搬送部材32に向かって押し出して、前側の搬送部材32に集積された最終列の物品Wに押し当てる。
【0034】
図7も参照して、これら各回転体6、6の回転に追従するように、初期位置に配置された後側の搬送部材32が前進して、前側の搬送部材32に集積された最後の物品Wを押圧することで、前後一対の搬送部材32、32により、所定数集積された物品群W’を圧縮、保持する。また最後の物品Wに対する各回転体6、6の回転に追従するように、待機されていた前後一対の搬送部材32、32が、物品搬送台5の搬入位置に対する初期位置に移動する。引き続き、物品搬送台5の搬入位置に対して初期位置に配置された前後一対の搬送部材32、32に対して、上述したような集積動作が繰り返される。
【0035】
次に、
図8を参照して、先行する前後一対の搬送部材32、32により圧縮、保持された所定数集積された物品群W’は、その状態で物品搬送台5上を搬出位置まで搬送される。続いて、前後一対の搬送部材32、32間の物品群W’が物品搬送台5の搬出位置に到達すると、物品群搬出手段24である例えばプッシャ部材26が、前後一対の搬送部材32、32間の物品群W’に向かって前進する。プッシャ部材26が前進すると、物品群W’が物品搬送台5からその幅方向外側に向かって押し出されて搬出される。
【0036】
図8から解るように、物品搬送台5の搬出位置にて、前後一対の搬送部材32、32間の物品群W’がプッシャ部材26により物品搬送台5から搬出される動作と、物品搬送台5の搬入位置にて、各回転体6、6により前後一対の搬送部材32、32間に物品Wが所定数集積される動作とは略同じタイミングで行われる。なお、物品搬送台5の搬出位置にて、プッシャ部材26により物品搬送台5から搬出された物品群W’は、中間コンベアを介さずに、物品群W’を包装袋に包装するための包装機(図示略)に直接供給される。
【0037】
引き続き、物品搬送台5の搬出位置にて物品群W’が搬出され、当該プッシャ部材26が初期位置に後退した後、空の各搬送部材32、32は、基台10に沿って循環するように一周して、再び搬入位置に至るまで所定位置で待機される。また、
図8を参照して、物品搬送台5の搬入位置にて、前後一対の搬送部材32、32間に物品Wが集積される前段階または集積されている間に、当該一対の搬送部材32、32の後側に次の一対の搬送部材32、32が待機される。そして、上述したこの一連の動作が繰り返し行われることで、物品搬入手段16の一対のベルトユニット20、20の端部から順次搬入位置に搬入されてくる物品Wを所定数集積してなる物品群W’として物品搬送台5の搬出位置から順次搬出することができる。
【0038】
以上説明したように、本実施形態に係る物品集積装置1では、互いに独立して位置制御可能な多数のスライダ11が基台10に沿って移動自在に構成されるリニアコンベア4と、物品搬送台5の搬入位置に搬入される物品Wを、所定角度ピッチで回転して、スライダ11に連結された搬送部材32に向かって押し出す回転体6と、該回転体6の回転に伴って、搬送部材32を該回転体6から遠退する方向に物品Wの厚み相当分移動させる制御ロジックを含む制御装置7と、を備えている。
このように、本実施形態に係る物品集積装置1では、特に、リニアコンベア4を採用することで、制御装置7による搬送部材32(スライダ11)の動作(位置)を制御して、搬送部材32に所定数の物品Wを集積するので、従来(特許文献1及び2に記載の製品集積装置)よりも、装置本体を非常にコンパクトにすることができ、ひいては、占有スペースを縮小でき、スペース効率を非常に良好にすることができる。
【0039】
また、本実施形態に係る物品集積装置1における制御装置7は、所定数集積された物品群W’を前後一対の搬送部材32、32により圧縮、保持して物品搬送台5に設けた搬出位置に移動させる制御ロジックを含む。
これにより、従来の集積装置では必要であった、無端状コンベアの各羽根部材間から各物品を払い出した後、各物品を整列させて圧縮する工程を必要としないので、物品Wの集積に係る生産効率を向上させることができる。しかも、従来必要であった物品群圧縮機構を備える必要がないので、さらに装置本体をコンパクトにすることができる。
【0040】
さらに、本実施形態に係る物品集積装置1における制御装置7は、物品搬送台5の搬入位置に対する初期位置に位置決めされる前後一対の搬送部材32、32の後側に前後一対の搬送部材32、32を待機させる制御ロジックを含む。
これにより、前後一対の搬送部材32、32間に物品群W’を圧縮、保持した状態で物品搬送台5の搬出位置に向かって移動を開始すると、次の前後一対の搬送部材32、32が物品搬送台5の搬入位置に対する初期位置に迅速に移動することができ、各回転体6の回転による、次の、前側の搬送部材32への物品Wの集積を迅速に開始することができる。その結果、さらに物品Wの集積に係る生産効率を向上させることができる。
【0041】
さらにまた、本実施形態に係る物品集積装置1では、特許文献2に係る製品集積装置のように、第1系統及び第2系統を備えておらず、容易に、先行する前後一対の搬送部材32、32の後側に前後一対の搬送部材32、32を待機させることができる。その結果、生産効率を向上させるために、物品搬入手段16による物品Wの搬入速度を速めても、物品Wの搬入速度に対応して、物品Wの集積を正常に行うことができる。
【0042】
さらにまた、本実施形態に係る物品集積装置1では、物品搬入手段16を一箇所しか備えていないにも関わらず(特許文献2に記載の製品集積装置では第1及び第2製品供給手段が備えられる)、物品搬送台5の搬出位置にて前後一対の搬送部材32、32間の物品群W’がプッシャ部材26により物品搬送台5から搬出される動作と、物品搬送台5の搬入位置にて各回転体6、6により前後一対の搬送部材32、32間に物品Wが所定数集積される動作とを略同じタイミングで行うことができる。
この点からも、物品Wの集積に係る生産効率を向上させることができる。また装置本体、に加え、装置本体の周りに配置される物品搬入手段16等の周辺機構をコンパクトにすることができる。その結果、物品Wを集積して包装機までに至る装置全体をコンパクトにすることができ、占有スペースを相当縮小することができる。
【0043】
さらにまた、本実施形態に係る物品集積装置1では、回転体6、6は、間に搬入される物品Wが位置するように互いに間隔を置いて上下一対配置され、また、回転体6は、その回転軸28の外周面から放射状に押出部材29、29が複数突設され、上下一対の回転体6、6の押出部材29、29が、物品Wを搬送部材32に向かって押し出す構成である。
これにより、上下一対の回転体6、6の押出部材29、29が、物品Wの上端部及び下端部にそれぞれ接触して搬送部材32に向かって押し出すことができるので、例えば、おむつ等のような不安定な物品Wを安定して立った状態で搬送部材32に押し出すことができる。このように、本実施形態に係る物品集積装置1では、上下一対の回転体6、6の押出部材29、29により、物品Wを搬送部材32に向かって押し出す構成で、押し出す際の押出部材29と物品Wとの接触時間が短く構成されているので、従来の製品集積装置(特許文献2に係る製品集積装置)のように、物品搬入手段16による物品Wの搬入速度を速めても、物品Wが摩擦により加熱されることはなく、生産効率を向上させることができる。
【0044】
さらにまた、本実施形態に係る物品集積装置1では、各回転体6、6が所定角度回転して、物品Wが前側の搬送部材32に押し当てられた直後から、次の物品Wに対応して各回転体6、6が再び所定角度回転しつつ前側の搬送部材32が各回転体6、6から遠退する方向に移動する直前までは、各回転体6、6の押出部材29、29により、前側の搬送部材32に集積された物品Wを前側の搬送部材32との間で保持する構成である。
これにより、各回転体6、6における所定角度の回転により搬送部材32に各物品Wを集積する際、搬送部材32に押し出された物品Wの傾倒を抑制すると共に、各物品Wを隙間無く集積することができる。
【0045】
さらにまた、本実施形態に係る物品集積装置1では、基台10は、無端状に構成されるので、物品搬送台5の搬入位置では前後一対の搬送部材32、32間に物品群W’を集積して、且つ前後一対の搬送部材32、32間に物品群W’を圧縮、保持しつつ物品搬送台5の搬出位置に移動させ、当該搬出位置にて、前後一対の搬送部材32、32間から物品群W’を搬出する作用を時間的ロスがなく、また構造的に複雑にすることもなく繰り返すことができる。
この点からも、さらに物品Wの集積に係る生産効率を向上させることができ、しかも、占有スペースを縮小して、スペース効率を良好にすることができる。
【0046】
さらにまた、従来の集積装置にあっては、物品を集積した物品群W’を整列させて圧縮した後、物品群W’を中間コンベアに投入する工程→中間コンベアを包装機まで駆動させる工程→中間コンベア上の物品群W’を包装機に払い出す工程が必要となっていたが、本実施形態に係る物品集積装置1では、リニアコンベア4及び物品搬送台5が従来の中間コンベアの役目をも果たすことができる。その結果、物品搬送台5の搬出位置にて、プッシャ部材26により物品搬送台5から搬出された物品群W’を、中間コンベアを介さずに包装機に直接供給することができる。
この点からも、従来必要であった上述した各工程は必要としないので、さらに物品Wの集積に係る生産効率を向上させることができる。しかも、従来必要であった、集積装置の周りに周辺機器として配置されていた、物品群W’の中間コンベア上への投入機構、中間コンベア及び物品群W’の中間コンベア上からの払出機構等の各種周辺機構を備える必要がない。その結果、物品集積装置1を含む、物品Wを集積して包装機までに至る装置全体をコンパクトにすることができ、占有スペースを相当縮小することができる。
【0047】
なお、本実施形態に係る物品集積装置1では、基台10の上側に位置する直線状部の側方に並ぶように物品搬送台5を配置して、該物品搬送台5に対応して物品搬入手段16及び物品群搬出手段24を配置しているが、基台10の下側に位置する直線状部にもその側方に並ぶように物品搬送台5を配置して、該物品搬送台5に対応して物品搬入手段16及び物品群搬出手段24を配置してもよい。これにより、さらに物品Wの集積に係る生産効率を向上させることができる。
【符号の説明】
【0048】
1 物品集積装置,4 リニアコンベア,5 物品搬送台(物品搬送経路),6 回転体,7 制御装置,10 基台,11 スライダ,28 回転軸,29 押出部材,32 搬送部材,W 物品,W’ 物品群