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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023121487
(43)【公開日】2023-08-31
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 45/33 20180101AFI20230824BHJP
   F21S 45/37 20180101ALI20230824BHJP
   F21S 45/47 20180101ALI20230824BHJP
   F21S 45/50 20180101ALI20230824BHJP
   F21S 41/148 20180101ALI20230824BHJP
   F21V 31/03 20060101ALI20230824BHJP
   F21V 29/74 20150101ALI20230824BHJP
   F21V 29/89 20150101ALI20230824BHJP
   F21W 103/00 20180101ALN20230824BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20230824BHJP
【FI】
F21S45/33
F21S45/37
F21S45/47
F21S45/50
F21S41/148
F21V31/03 100
F21V31/03 300
F21V29/74
F21V29/89
F21W103:00
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022024853
(22)【出願日】2022-02-21
(71)【出願人】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110004060
【氏名又は名称】弁理士法人あお葉国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100077986
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100139745
【弁理士】
【氏名又は名称】丹波 真也
(74)【代理人】
【識別番号】100187182
【弁理士】
【氏名又は名称】川野 由希
(74)【代理人】
【識別番号】100207642
【弁理士】
【氏名又は名称】簾内 里子
(72)【発明者】
【氏名】戸塚 貴丈
(72)【発明者】
【氏名】福田 悠介
【テーマコード(参考)】
3K014
【Fターム(参考)】
3K014AA01
3K014NA09
(57)【要約】
【課題】灯室内外に連通する呼吸孔が設けられた車両用灯具で、ランプボディの複雑化を抑制した車両用灯具を提供する。
【解決手段】
前方が開口したランプボディ(2)と、該ランプボディ(2)の前方開口部に取付けられ灯室を形成する前面カバー(4)とを有し、前記灯室(S)内を外部に連通させる空気通路を構成する呼吸孔(30)が設けられ、前記ランプボディ(2)の後面壁(2b)には開口部(2c)が設けられており、前記開口部(2c)を閉塞するカバー部材(20)に前記呼吸孔(30)が形成されている車両用灯具(1)を提供する。呼吸孔を直接にランプボディに形成する必要がなく、開口部の数を削減でき、ランプボディの複雑化を抑制できる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前方が開口したランプボディと、該ランプボディの前方開口部に取付けられ灯室を形成する前面カバーとを有し、前記灯室内を外部に連通させる空気通路を構成する呼吸孔が設けられた車両用灯具であって、
前記ランプボディの後面壁には開口部が設けられており、前記開口部を閉塞するカバー部材に前記呼吸孔が形成されている、
ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記呼吸孔の一方の端部は、通気性を有するフィルムまたはフィルタに覆われている、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記呼吸孔の少なくとも一部は筒状壁により形成されており、前記筒状壁の出口開口部には、切り欠き部が形成されており、前記切り欠き部は閉塞せずに、前記出口開口部にはキャップが外嵌されている、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記筒状壁は背面へ向かって突設されており、前記筒状壁の内部空間を上下に仕切る隔壁が形成され、
前記隔壁の下側部には、前記筒状壁の後端に開口して前記切り欠き部が形成されており、
前記キャップは、有底筒状の形状を有し、前記キャップの内側底面には通気性を有するフィルムまたはフィルタが配置されている、
ことを特徴とする請求項3に記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記カバー部材には、前記呼吸孔から離間しつつ、前記呼吸孔を囲む防水壁が形成されている、
ことを特徴とする請求項1~請求項4のいずれかに記載の車両用灯具。
【請求項6】
前記カバー部材は、バックカバーである、
ことを特徴とする請求項1~請求項5のいずれかに記載の車両用灯具。
【請求項7】
前記カバー部材は、金属部材で構成され、前記灯室内に配置される光源のヒートシンクの一部を構成する、
ことを特徴とする請求項1~請求項5のいずれかに記載の車両用灯具。
【請求項8】
前記開口部は、前記ランプボディの前記後面壁の端部近傍に設けられる、
ことを特徴とする請求項1~請求項7のいずれかの請求項に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、灯室内外に連通する呼吸孔が設けられた車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用灯具には、灯室内外を連通させて、灯室の内外で空気を循環させるための呼吸孔が設けられたものがある(例えば、特許文献1)。呼吸孔は主としてランプボディの後面壁に設けられる。
【0003】
この呼吸孔により、灯室内に配置された光源の点灯による発熱や気温の変化などに伴う灯室内の空気の膨張・収縮が許容されるとともに、灯室内の湿気が外部へと逃がされ、灯室内に湿気が溜まることが防止される。これにより、灯室内の水分が灯室の内側からレンズなどに付着することで生じる灯室内の曇りが防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-205234号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、ランプボディの後面壁には、呼吸孔を含めて様々な用途のために複数の開口部が設けられており、これがボディ形状の複雑化を招き、ランプボディの成形性を下げる要因となっている。
【0006】
本発明は、これを鑑みてなされたものであり、ランプボディの複雑化を抑制した車両用灯具を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題を解決するため、本開示のある態様においては、前方が開口したランプボディと、該ランプボディの前方開口部に取付けられ灯室を形成する前面カバーとを有し、前記灯室内を外部に連通させる空気通路を構成する呼吸孔が設けられた車両用灯具であって、前記ランプボディの後面壁には開口部が設けられており、前記開口部を閉塞するカバー部材に前記呼吸孔が形成されるように、車両用灯具を構成した。
【0008】
この態様によれば、呼吸孔を背面壁に直接設ける必要がなく、後面壁に形成する開口部の数を削減することができるため、ランプボディに複雑化を抑制できる。加えて、開口部の数の削減によりランプボディの剛性を高めることができる。ランプボディ形状の単純化となり、ランプボディの成形性も向上し、ランプボディの金型製造コストを抑えることができる。
【0009】
また、ある態様では、前記呼吸孔の一方の端部は、通気性を有するフィルムまたはフィルタに覆われているように構成した。この態様によれば、呼吸孔を塞ぐフィルムやフィルタにより、塵や砂などは遮蔽される一方で、水蒸気や空気の通路は確保される。
【0010】
また、ある態様では、前記呼吸孔の少なくとも一部は筒状壁により形成されており、前記筒状壁の出口開口部には、切り欠き部が形成されており、前記切り欠き部は閉塞せずに、前記出口開口部にはキャップが外嵌されているように構成した。この態様によれば、キャップにより灯室へ水や砂への侵入が防がれる一方、切り欠きにより灯室内外は連通する。
【0011】
また、ある態様では、前記筒状壁は背面へ向かって突設されており、前記筒状壁の内部空間を上下に仕切る隔壁が形成され、前記隔壁の下側部には、前記筒状壁の後端に開口して前記切り欠き部が形成されており、前記キャップは、有底筒状の形状を有し、前記キャップの内側底面には通気性を有するフィルムまたはフィルタが配置されているように構成した。この態様によれば、外部から灯室へ水が入りにくくなるとともに、カバー部材の成形時にアンダーカットもなく、カバー部材の成形性が良好となる。
【0012】
また、ある態様では、前記カバー部材には、前記呼吸孔から離間しつつ、前記呼吸孔を囲む防水壁が形成されているものとした。この態様によれば、呼吸孔から灯室内への水の侵入が抑制される。
【0013】
また、ある態様においては、前記カバー部材は、バックカバーであるものとした。
【0014】
また、ある態様においては、前記カバー部材は、金属部材で構成され、前記灯室内に配置される光源のヒートシンクの一部を構成するものとした。車両用灯具の構成部品数を削減できる。汎用性の高い構成部品であり、他の車両用灯具にも用いることが可能となる。
【0015】
また、ある態様によれば、前記開口部は、前記ランプボディの前記後面壁の端部近傍に設けられるものとした。後面壁の端部近傍、即ち、灯室の壁際であるほど、灯室内に発生する気流が広範囲となり、灯室の換気効率がよい。
【発明の効果】
【0016】
以上の説明から明らかなように、ランプボディの複雑化を抑制した車両用灯具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1の実施形態に係る車両用灯具の概要構成を示す鉛直断面図である。
図2】バックカバーを示す。(A)が背面図、(B)が正面図、(C)が背面斜視図である。
図3】同車両用灯具の作用効果を説明する説明図であり、同車両用灯具の背面図である。
図4】第2の実施形態に係る車両用灯具の概要構成を示す鉛直断面図である。
図5】ヒートシンクを示す。(A)が背面図、(B)が正面図、(C)が背面斜視図である。
図6】変形例である。第2実施形態の図4に対応する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の具体的な実施形態を、図面を参照しながら説明する。実施形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。また、以下の実施形態および変形例の説明において、同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。以下、車両用灯具の光照射方向を前方として説明する。
【0019】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る車両用灯具1の概略構成を示し、鉛直面に沿って切断した鉛直断面図である。
【0020】
図1に示すように、車両用灯具1は前照灯であり、車両の前部の左右両側にそれぞれ装着される。前照灯は、左右一対で設けられ、互いに左右方向に概ね対称に構成される。
【0021】
車両用灯具1は、ランプハウジングとして、前方が開口した箱状のランプボディ2と、前面カバー4とを備える。前面カバー4は、例えばポリカードネイトなどの透光性を有する樹脂で構成され、前面カバー4がランプボディの前方開口部に取付けられることで、内側に灯室Sが画成される。
【0022】
画成された灯室S内には、ランプユニットLU1が収容されている。ランプユニットLU1は、発光素子である光源11、リフレクター12、投影レンズ13、およびこれらを支持する支持部材14を有する。
【0023】
光源11には、白色LED(Light Emitting Diode)が用いられている。リフレクター12は、内面が光を反射する反射面となっており、光源11から出射した光を投影レンズ13に向けて導くように構成されている。投影レンズ13は、いわゆるインナーレンズであり、例えば、前方側表面および後方側表面が自由曲面形状を有する自由曲面レンズからなる。
【0024】
光源11から出射した光は、リフレクター12の反射面によって前方に反射され、投影レンズ13および前面カバー4を通過し、前方に出射して車両前方に所定の配光を形成する。
【0025】
灯室S内に収容されるランプユニットLU1の形態は、これに限られず、他の従来周知の構成を用いてよく、その種類は問わない。
【0026】
ランプボディ2の後面壁2bには、光源11などのランプユニットLU1の構成部品を交換するための、開口部2cが設けられている。開口部2cには、開口部2cを閉塞するカバー部材として、バックカバー20が着脱可能に取り付けられている。バックカバー20により、開口部2cは開閉可能に構成される。バックカバー20には、開口部2cへの取付部に、パッキン部材として弾性部材で構成されるOリング5が周着されている。Oリング5により、開口部2cの周縁部が、バックカバー20と密着する。
【0027】
(バックカバー20)
バックカバー20について、詳しく説明する。図2は、バックカバー20を示し、(A)が背面図、(B)が正面図、(C)が背面斜視図である。
【0028】
バックカバー20の略中央部には、呼吸孔30が設けられている。呼吸孔30は、灯室Sの内外の空気を出し入れするための空気通路である。ランプボディ2の後面壁2bに設けられた開口部2cの周縁部に、該開口部2cを閉塞してバックカバー20が取付けられるが、バックカバー20にある呼吸孔30により、灯室S内は外部に連通して、互いに空間的につながった状態となる。
【0029】
バックカバー20は、合成樹脂により成形された射出成形品であり、開口部2cを塞ぐ蓋部21、および蓋部21の主として背面側に設けられる呼吸孔部40(図1参照)を備える。
【0030】
蓋部21は、開口部2cを覆う平板状の鉛直壁22、および鉛直壁22から前方に突出する短い筒状の周面壁23を有する。周面壁23が、開口部2cに対して内接するように挿通して、周面壁23に設けられた外爪24が、開口部2cに係合することで、バックカバー20は開口部2cに取付けられる。
【0031】
バックカバー20と開口部2cとの係合は、上記構成に限られず、例えば、螺合や内爪による凹凸係合など、他の周知の係合構造を用いても良い。
【0032】
鉛直壁22の外形は、上方に膨らんだ半円の一方の端点(本実施形態では後方視して左端点)から、下方へまっすぐに伸びる垂線の端点と、前記半円の他方の端点(本実施形態では後方視して右端点)を多少延長した後に、前記垂線の端点まで傾斜して伸びる線とを結んだ、略しずく形状となっている。バックカバー20が開口部2cに取付けされると、鉛直壁22の該しずく形状の直線部の一方が鉛直配置となり、正位置を確認できる。またもう一方の直線部は、鉛直配置された一方の直線部端部と接続されるため、斜めに配置され、直線部同士の連結部分が最下方に配置される。
【0033】
呼吸孔部40は、呼吸孔30、筒状壁31、および防水壁33を含み、主として蓋部21の背面側に突出して設けられている。
【0034】
呼吸孔30は、上方側へ膨らんだ略半円柱形状を有している。そして、この呼吸孔30を形成している筒状壁31は、その半円筒部分が平面部分よりも多少下方の位置まで延長して形成されている。
【0035】
換言すれば、筒状壁31は、円筒形状に形成され、筒状壁31内部には、筒状壁31の内部空間を上下に仕切る隔壁37が形成されており、筒状壁31の下側部には、後端に開口する切り欠き部38が深く形成されている。筒状壁31の水平部分(隔壁37)よりも多少下方位置まで延長された部分に挟まれた空間が切り欠き部38である。これにより呼吸孔30が略半円柱形状に構成される。
【0036】
筒状壁31は、鉛直壁22の中央に、背面方向に向かって突設されており、外周に等間隔で設けられたリブ32により補強されている。筒状壁31の内周面および外周面は、軸線に対してわずかな勾配が設けられている。即ち、内周面は、後端に行くに従って、軸線から遠ざかるように、外周面は後端に行くに従って軸線に近づくようになっている(図1参照)。
【0037】
鉛直壁22の外面に、呼吸孔30を、その筒状壁31からある程度離れた位置において囲むようにして、防水壁33が突設されている。防水壁33の鉛直壁22からの突出量は、筒状壁31のそれよりも大きい。
【0038】
防水壁33は、鉛直壁22の外形の形状と概ね同形のしずく型に形成される。上述したように、鉛直壁22においては、しずく型の外形の二本の直線部の連結部が最下方に配置されるが、防水壁33においては、この連結部分が切り欠かれており、最も下方に配置される部分が解放された囲い形態となっている。
【0039】
筒状壁31や防水壁33により、水が呼吸孔30を通り灯室Sへは侵入しにくい構成となっている。また、筒状壁31や防水壁33に水が付着した場合でも、防水壁33の切り欠き部や筒状壁31の勾配により、速やかに流れ落ちる。
【0040】
図1に戻り説明すると、筒状壁31の灯具外への出口となる後端の開口部には、キャップ70が外嵌されている。キャップ70は有底円筒形状で、内側底面にフィルタ80が配置されている。キャップ70が筒状壁31に外嵌されると、フィルタ80が筒状壁31の後端にある出口側の開口部を塞ぎ、さらにフィルタ80ごとキャップ70が筒状壁31を覆っている。キャップ70により灯室S内への水の侵入が防がれる。
【0041】
フィルタ80は、通気性を有し、空気や水蒸気を通過させたうえで、塵や埃は遮蔽する。フィルタ80により、筒状壁31の半円筒部は閉塞されており、外部からの水の侵入は抑制される。その一方で、筒状壁31の後端開口部には切り欠き部38が形成されており、切り欠き部38はキャップ70で閉塞されていないことから、筒状壁31の半円筒部を通過してフィルタ80に入り込んだ空気は、フィルタ80内で切り欠き部38へ折り返し、切り欠き部38を通過して外部に放出される。即ち、灯室S内の空気は、筒状壁31の上方半円筒部、フィルタ80、切り欠き部38を通り、灯室S外の空気と連通する(図1の二点鎖線の矢印を参照)。
【0042】
上記のように構成することで、ランプボディ2に呼吸孔を直接形成することなく、灯室S内外を連通される呼吸孔を設けることができるため、後面壁2bに形成する開口部の数を抑制することができ、ランプボディ2の複雑化を抑制できるとともに、ランプボディ2の剛性を高めることができる。
【0043】
さらに、上記形状やフィルタ80およびキャップ70により、埃や砂は遮蔽される一方で空気や水蒸気は通過することができる。筒状壁31に付着した水分も後端開口部から流れ出てる。切り欠き部38が筒状壁31の下方にあり、かつキャップ70やフィルタ80によるラビリンス構造により、灯室S内外は連通しつつ、外部から灯室S内へ水が浸入することが抑制される。
【0044】
ここで、ランプボディ2の開口部2cは、後面壁2bの端部近傍に設けられると好ましい。これを、図3を用いて説明する。図3は車両用灯具1の背面図であり、ランプボディ2の概略構成を示す。矢印は、空気の流れを示している。図3においてはキャップ70およびフィルタ80は省略した。
【0045】
後面壁2bには、バックカバー20の取付けられる開口部2c以外に、他の呼吸孔2dが後面壁2bの背面側に突出して直接形成されている。このように、ランプボディには、灯室内の空気の循環性を向上させるために、複数の呼吸孔が形成されることがある。
【0046】
バックカバー20に設けられた呼吸孔30から流れ込んだ空気は、他の呼吸孔2dから流出し(入出が逆の場合もある)、灯室S内に気流を発生させる。二つの呼吸孔の間で気流が発生するため、二つの呼吸孔が離れているほど、また呼吸孔が背面壁の端部近傍、即ち、灯室の壁際に形成されているほど、灯室内の循環性が向上する。このため、開口部2cが後面壁2bの端部付近に設けられていると、好ましい。さらに後面壁2bの長手方向(本実施形態においては左右方向)の端部付近に設けられると、より好ましい。
【0047】
ランプボディ2の後面壁2bの少なくとも一つの開口部を覆うカバー部材に本構成が設けられていればよく、さらに他の開口部を覆う別のカバー部材にも本構成を用いてもよい。
【0048】
(第2実施形態)
図4は、第2の実施形態に係る車両用灯具101の概略構成を示す鉛直端面図である。車両用灯具101は、標識灯である。
【0049】
図4に示すように、車両用灯具101は、ランプハウジングとして、前方が開口した箱状のランプボディ102と、透光性部材で構成される前面カバー104とを備える。前面カバー104がランプボディ102の前方開口部に取付けられることで、内側に灯室Sが画成される。
【0050】
画成された灯室S内には、ランプユニットLU2が収容されている。ランプユニットLU2は、発光素子である光源111、リフレクター112、投影レンズ113を有する。光源111は基板に装着され、ヒートシンク160の前面に、光照射方向を前方にして配置される。リフレクター112および投影レンズ113は図示しない支持部材に支持されている。
【0051】
リフレクター112は、お椀型に形成され、光源111の前方に、光源111を底面部として配置される。リフレクター112は、内面が光を反射する反射面となっており、光源111から出射した光を投影レンズ113に向けて導くように構成されている。
【0052】
投影レンズ13は、いわゆるインナーレンズであり、例えば、前方側表面および後方側表面が自由曲面形状を有する自由曲面レンズからなる。
【0053】
光源111から出射した光は、リフレクター12の反射面によって前方に反射され、投影レンズ113および前面カバー104を通過し、前方に出射して車両前方に所定の配光を形成する。
【0054】
なお、灯室S内に収容されるランプユニットLU2の形態は、ランプユニットLU1と同様に、これに限られず、他の従来周知の構成を用いてよく、その種類は問わない。
【0055】
ヒートシンク160は、放熱性の高い金属部材で構成されており、光源111の駆動時に発生する熱を放熱する。灯室S内の温度上昇を避けるため、背面側の一部が、ランプボディ102の後面壁102bに形成された開口部102cより外部配置される。ヒートシンク160は、開口部102cを閉塞して、開口部102cに着脱可能に取付けられている。本実施形態におけるヒートシンク160は、開口部102cを閉塞するカバー部材である。なお、図4に示すように、ヒートシンク160には、キャップ70およびフィルタ80が取り付けられているが、こられは第1実施形態と同等であるため、説明は省略する。
【0056】
(ヒートシンク160)
ヒートシンク160について図5を用いて詳しく説明する。図5は、ヒートシンク160を示し、(A)が背面図、(B)が正面図、(C)が背面斜視図である。
【0057】
ヒートシンク160の略中央部には、呼吸孔130が設けられている。呼吸孔130は第1実施形態の呼吸孔30と同等に構成されるため、説明は省略する。
【0058】
ヒートシンク160は、開口部102cを塞ぐ蓋部121、および蓋部121の主として背面側に設けられる放熱フィン部150を備える。
【0059】
蓋部121は、開口部102cを覆う平板状の鉛直壁122、および鉛直壁122から前方に突出する短い筒状の周面壁123を有する。
【0060】
ランプボディ102の開口部102cの外周には図示しない複数の切り欠きが形成されている。周面壁123には該切り欠きに対応した外爪124が設けられており、周面壁123が開口部102cに挿通して回転係合することで、ヒートシンク160は開口部102cに取付けられる。
【0061】
鉛直壁122の外形は円形に構成され、呼吸孔130は鉛直壁122の中央に形成される。より多くの他の車両用灯具に流用できるように、汎用性を高めている。
【0062】
放熱フィン部150は、呼吸孔130、筒状壁131、および防水壁133を含み、主として蓋部121の背面に突出して設けられている。
【0063】
呼吸孔130は、上方側へ膨らんだ略半円柱形状を有しており、この呼吸孔130を形成している筒状壁131は、円筒形状に形成され、筒状壁131の内部には、その内部空間を上下に仕切る隔壁137が形成されて、これにより呼吸孔30が略半円柱形状に構成されるとともに、筒状壁131の下側部には、後端に開口する切り欠き部138が深く形成されている。筒状壁131の形状およびその構成は筒状壁31と同等であり、詳しい説明は割愛する。
【0064】
筒状壁131は、鉛直壁122の中央に、背面方向に向かって突設されている。筒状壁131からある程度離れた位置において囲むようにして、防水壁133が突設されている。
【0065】
防水壁133は、背面視して、へ字状をした上面部と、該上面部の両端からまっすぐに下方へ延びた側面部が一体に形成されてなる。また、筒状壁131の下方を覆うように遮水壁135がへ字状に形成されている。さらに、防水壁133の左右の側面部の外側(外周側)には、防水壁133の側面部に平行して、平板状のフィン136が等間隔に離間して設けられている。
【0066】
防水壁133および遮水壁135により、水が呼吸孔130を通り灯室Sへは侵入しにくい構成となっている。
【0067】
さらに、外部配置される防水壁133、遮水壁135、周面壁123、フィン136は、それぞれ所定距離をあけて背面へ突設されており、外気に触れる表面積を増加させ、放熱効率を上げる放熱フィンとしての役割を果たしている。
【0068】
上記構成により、ヒートシンク160は、開口部102cを閉塞して一部を灯室S外に配置して、光源111の熱を灯室外に放出し、なおかつ灯室Sと外気との連通を可能とした。
【0069】
(変形例)
図6は車両用灯具101の変形例である車両用灯具101´を示す。図6図4に対応している。
【0070】
車両用灯具101´は、ランプボディ102の開口部102cを閉塞するヒートシンク160´の形態のみが車両用灯具101とは異なっている。
【0071】
ヒートシンク160´には、筒状壁131、防水壁133、遮水壁135が設けられておらず、鉛直壁122に貫通孔として呼吸孔130´が設けられる形態となっている。
【0072】
呼吸孔130´は、灯室Sの外側となる出口開口部を、通気性のあるフィルム90で覆われている。フィルム90は通気性を有し、水蒸気は通過させるが、水や塵、砂などは遮蔽する。フィルム90により、灯室S内外の水分量を均一化する事で、灯室S内に溜まった水分を水蒸気の形で灯室S外へ放出して、レンズ曇りを防止する。フィルム90が水の侵入を阻止するため、ヒートシンク160´に防水のための構造物を設ける必要がない。 このように、フィルタやキャップの代わりに呼吸孔用のフィルム90を使用してもよい。呼吸孔130´は、半円形状に限られず、円形や矩形であってもよい。
【0073】
以上、本発明の好ましい実施形態について述べたが、上記の実施形態は本発明の一例にすぎず、これらを当業者の知識に基づいて組み合わせることが可能であり、そのような形態も本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0074】
1 :車両用灯具
2、102 :ランプボディ
2b、102b :後面壁
2c、102c :開口部
4、104 :前面カバー
11、111 :光源
20 :バックカバー
30、130 :呼吸孔
70 :キャップ
80 :フィルタ
90 :フィルム
160 :ヒートシンク
カバー部材:(バックカバー20、ヒートシンク160)
S :灯室
図1
図2
図3
図4
図5
図6