IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ オムロンオートモーティブエレクトロニクス株式会社の特許一覧

特開2023-121509半導体モジュール及び半導体モジュールの製造方法
<>
  • 特開-半導体モジュール及び半導体モジュールの製造方法 図1
  • 特開-半導体モジュール及び半導体モジュールの製造方法 図2
  • 特開-半導体モジュール及び半導体モジュールの製造方法 図3
  • 特開-半導体モジュール及び半導体モジュールの製造方法 図4
  • 特開-半導体モジュール及び半導体モジュールの製造方法 図5
  • 特開-半導体モジュール及び半導体モジュールの製造方法 図6
  • 特開-半導体モジュール及び半導体モジュールの製造方法 図7
  • 特開-半導体モジュール及び半導体モジュールの製造方法 図8
  • 特開-半導体モジュール及び半導体モジュールの製造方法 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023121509
(43)【公開日】2023-08-31
(54)【発明の名称】半導体モジュール及び半導体モジュールの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 25/07 20060101AFI20230824BHJP
   H02M 7/12 20060101ALI20230824BHJP
   H02M 3/28 20060101ALI20230824BHJP
   H01L 23/48 20060101ALI20230824BHJP
【FI】
H01L25/04 C
H02M7/12 W
H02M3/28 F
H02M3/28 Z
H01L23/48 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022024886
(22)【出願日】2022-02-21
(71)【出願人】
【識別番号】510123839
【氏名又は名称】ニデックモビリティ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100155712
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 尚
(72)【発明者】
【氏名】横田 啓輔
【テーマコード(参考)】
5H006
5H730
【Fターム(参考)】
5H006CA07
5H006CB03
5H006CC08
5H006DA02
5H006HA84
5H730AA16
5H730AS01
5H730BB27
5H730DD03
5H730DD04
5H730DD16
5H730EE02
5H730EE08
5H730EE75
5H730ZZ04
5H730ZZ15
(57)【要約】
【課題】半導体素子において異常発熱が発生することを防止した半導体モジュールを提供する。
【解決手段】半導体モジュール(1)は、3つの半導体素子(11,12,13)と、第1バスバー(141)と、第2バスバー(142)と、調整用素子(15)とを備えている。各調整用素子(151,152,153)は、導電性部材から形成され、3つの電流経路(R1,R2,R3)に寄生する各インダクタンス同士の差が少なくなるように配置されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力変換を行う半導体モジュールであって、
互いに並列に接続された複数の半導体素子と、
前記複数の半導体素子の各入力端子に接続された第1バスバーと、
前記複数の半導体素子の各出力端子に接続された第2バスバーと、
前記第1バスバー及び前記第2バスバーのうち少なくとも一方に接続され、前記複数の半導体素子のそれぞれを流れる複数の電流経路に寄生する各インダクタンスを調整するための調整用素子と、
を備え、
前記調整用素子は、導電性部材から形成され、前記複数の電流経路に寄生する各インダクタンス同士の差が少なくなるように配置されていることを特徴とする半導体モジュール。
【請求項2】
前記調整用素子は、前記複数の電流経路のそれぞれに配置され、
複数の前記調整用素子の各々の幅は、各々が配置された前記電流経路の寄生インダクタンスが小さくなるに従って、小さくなっていることを特徴とする請求項1に記載の半導体モジュール。
【請求項3】
前記調整用素子は、前記複数の電流経路のそれぞれに配置され、
複数の前記調整用素子の各々の断面積及び厚さのうち少なくとも一方は、各々が配置された前記電流経路の寄生インダクタンスが小さくなるに従って、小さくなっていることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体モジュール。
【請求項4】
前記調整用素子は、前記複数の電流経路のそれぞれに配置され、
前記複数の電流経路のうち、少なくとも、寄生インダクタンスが最も小さい電流経路に配置された前記調整用素子には、スリットが形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の半導体モジュール。
【請求項5】
前記第1バスバーの幅は、前記第2バスバーの幅よりも広く形成され、
前記複数の電流経路は、前記第1バスバーを通る距離が長いほど寄生インダクタンスが小さいことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の半導体モジュール。
【請求項6】
前記調整用素子は、シャント抵抗を有し、
前記シャント抵抗を流れる電流を検出する電流検出部としての機能を備えていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の半導体モジュール。
【請求項7】
前記調整用素子は、バスバーであることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の半導体モジュール。
【請求項8】
複数の半導体素子の各入力端子側に第1バスバーを配置し、前記複数の半導体素子の各出力端子側に第2バスバーを配置する配置工程と、
前記第1バスバー及び前記第2バスバーのうち少なくとも一方に、調整用素子を接続することにより、前記複数の半導体素子のそれぞれを流れる複数の電流経路の各インダクタンス同士の差が少なくなるように調整する調整工程と、
を含む半導体モジュールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体モジュール、及び半導体モジュールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の半導体素子を並列に接続し、個々の半導体素子に電流が分散して流れるようにすることで、大電流で駆動を行えるようにした半導体モジュールが提案されている。例えば、特許文献1には、2つのダイオード素子が並列接続され、各ダイオード素子の端子を複数のプレート配線に接続して構成される整流回路モジュールについて記載されている。
【0003】
特許文献1の整流回路モジュールでは、整流回路モジュールの入力端子部と、各ダイオード素子の各入力端子との電力伝達経路の距離を等しくすることで、各ダイオード素子の電力伝達経路のインダクタンスを等しくしている。これにより、整流回路モジュールの出力電圧の安定化を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-55783号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のように、各ダイオード素子の電力伝達経路の距離を等しくしたとしても、各電力伝達経路において、各プレート配線の幅などがばらつく場合がある。この場合、各電力伝達経路の寄生インダクタンスが異なる値となり、各ダイオード素子を流れる電流に偏りが発生して、電流が流れ易いダイオード素子で異常発熱が発生することがあるという課題がある。
【0006】
本発明は、半導体素子において異常発熱が生じることを防止した半導体モジュールを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の態様1に係る半導体モジュールは、電力変換を行う半導体モジュールであって、互いに並列に接続された複数の半導体素子と、前記複数の半導体素子の各入力端子に接続された第1バスバーと、前記複数の半導体素子の各出力端子に接続された第2バスバーと、前記第1バスバー及び前記第2バスバーのうち少なくとも一方に接続され、前記複数の半導体素子のそれぞれを流れる複数の電流経路に寄生する各インダクタンスを調整するための調整用素子と、を備えている。前記調整用素子は、導電性部材から形成され、前記複数の電流経路に寄生する各インダクタンス同士の差が少なくなるように配置されている。
【0008】
上記構成によれば、複数の電流経路に寄生する各インダクタンスの差が少なくなるように、導電性部材から形成された調整用素子を設けることによって、半導体素子において異常発熱が生じることを防止できる。
【0009】
本発明の態様2に係る半導体モジュールでは、前記調整用素子は、前記複数の電流経路のそれぞれに配置されている。複数の前記調整用素子の各々の幅は、各々が配置された前記電流経路の寄生インダクタンスが小さくなるに従って小さくなっている。
【0010】
上記構成によれば、電流経路の寄生インダクタンスが小さくなるに従って、調整用素子の幅を小さくすることにより、複数の電流経路の各寄生インダクタンス同士の差を少なくして、偏流の発生に伴う異常発熱を防止できる。
【0011】
本発明の態様3に係る半導体モジュールでは、前記調整用素子は、前記複数の電流経路のそれぞれに配置されている。複数の前記調整用素子の断面積及び厚さのうち少なくとも一方は、各々が配置された前記電流経路の寄生インダクタンスが小さくなるに従って小さくなっている。
【0012】
上記構成によれば、電流経路の寄生インダクタンスが小さくなるに従って、調整用素子の断面積及び厚さのうち少なくとも一方が小さくなっていることにより、複数の電流経路の各寄生インダクタンス同士の差を少なくして、半導体素子において偏流の発生に伴って異常発熱が発生することを防止できる。
【0013】
本発明の態様4に係る半導体モジュールでは、前記調整用素子は、前記複数の電流経路のそれぞれに配置されている。前記複数の電流経路のうち、少なくとも、寄生インダクタンスが最も小さい前記調整用素子にはスリットが形成されている。
【0014】
上記構成によれば、複数の電流経路のうち、少なくとも、寄生インダクタンスが最も小さい電流経路に配置された調整用素子にスリットを形成することにより、複数の電流経路の各寄生インダクタンス同士の差を少なくして、半導体素子において偏流の発生に伴って異常発熱が発生することを防止できる。
【0015】
本発明の態様5に係る半導体モジュールでは、前記第1バスバーの幅は、前記第2バスバーの幅よりも広く形成されている。前記複数の電流経路は、前記第1バスバーを通る距離が長いほど寄生インダクタンスが小さい。
【0016】
上記構成によれば、第1バスバーの幅と第2バスバーの幅とが異なっていても、調整用素子を用いることで、複数の電流経路に寄生する各インダクタンスを調整することができる。これにより、半導体モジュールの部品配置の自由度を高めることができる。
【0017】
本発明の態様6に係る半導体モジュールでは、前記調整用素子は、シャント抵抗を有し、前記シャント抵抗を流れる電流を検出する電流検出部としての機能を備えている。この構成によれば、複数の電流経路に寄生する各インダクタンスを調整するための調整用素子を、電流検出部として兼用することができる。
【0018】
本発明の態様7に係る半導体モジュールでは、前記調整用素子は、バスバーである。上記構成によれば、調整用素子が第1バスバー及び第2バスバーと同じバスバーから形成されているので、半導体モジュールの製造工程を簡素化することができる。
【0019】
本発明の態様8に係る半導体モジュールの製造方法では、複数の半導体素子の各入力端子側に第1バスバーを配置し、前記複数の半導体素子の各出力端子側に第2バスバーを配置する配置工程と、前記第1バスバー及び前記第2バスバーのうち少なくとも一方に、調整用素子を接続することにより、前記複数の半導体素子のそれぞれを流れる複数の電流経路の各インダクタンス同士の差が少なくなるように調整する調整工程と、を含む。
【0020】
上記構成によれば、調整工程において、第1バスバー及び第2バスバーのうち少なくとも一方に調整用素子を配置することにより、複数の電流経路に寄生する各インダクタンス同士の差を低減することで、半導体素子において異常発熱が生じることを防止できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の一態様によれば、半導体素子において異常発熱が発生することを防止した半導体モジュールを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施形態1に係る半導体モジュールを備えた電力変換装置の等価回路図である。
図2】実施形態1に係る半導体モジュールの平面図である。
図3図2のIII-III断面図である。
図4】実施形態1に係る半導体モジュールの製造方法の流れを示すフローチャートである。
図5】実施形態1に係る半導体モジュールの各電流経路の電流値の時間変化を示すグラフである。
図6】本発明の実施形態2に係る半導体モジュールの平面図である。
図7】本発明の実施形態3に係る半導体モジュールの平面図である。
図8】比較例に係る半導体モジュールの平面図である。
図9】比較例に係る半導体モジュールの各電流経路の電流値の時間変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
〔実施形態1〕
以下、本発明の実施形態1について、図1図5を参照して説明する。
【0024】
[電力変換装置の構成]
図1は、本発明の実施形態1に係る第1半導体モジュール1及び第2半導体モジュール1aを備えた電力変換装置100の等価回路図である。図1に示すように、電力変換装置100は、インバータ回路20と、絶縁トランス30と、第1半導体モジュール1及び第2半導体モジュール1aを含む整流回路10と、フィルタ回路40とを備えている。
【0025】
電力変換装置100は、例えばDC-DCコンバータであり、電気自動車及びハイブリッド自動車等の車両に搭載されるものである。電力変換装置100の入力ラインP1,N1には、図示しない直流電源が接続される。また、電力変換装置100の出力ラインP2,N2には、図示しない負荷が接続される。
【0026】
インバータ回路20は、第1スイッチング素子21と、第2スイッチング素子22と、第3スイッチング素子23と、第4スイッチング素子24と、駆動回路25とを有している。
【0027】
第1スイッチング素子21、第2スイッチング素子22、第3スイッチング素子23、及び第4スイッチング素子24は、例えば、パワーMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor)である。なお、第1スイッチング素子21、第2スイッチング素子22、第3スイッチング素子23、及び第4スイッチング素子24は、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)であってもよい。
【0028】
第1スイッチング素子21、第2スイッチング素子22、第3スイッチング素子23、及び第4スイッチング素子24は、フルブリッジ回路を構成している。より詳細には、第1スイッチング素子21と、第2スイッチング素子22とは直列に接続されている。第3スイッチング素子23と、第4スイッチング素子24とは直列に接続されている。第1スイッチング素子21及び第2スイッチング素子22と、第3スイッチング素子23及び第4スイッチング素子24とが並列に接続されている。なお、スイッチング素子の数は、4つに限らず、例えば6つであってもよい。
【0029】
第1スイッチング素子21の両端部には、第1コンデンサ211が接続されている。第2スイッチング素子22の両端部には、第2コンデンサ221が接続されている。第3スイッチング素子23の両端部には、第3コンデンサ231が接続されている。第4スイッチング素子24の両端部には、第4コンデンサ241が接続されている。
【0030】
第1スイッチング素子21、第2スイッチング素子22、第3スイッチング素子23、及び第4スイッチング素子24は、それぞれ第1スイッチング素子21、第2スイッチング素子22、第3スイッチング素子23、及び第4スイッチング素子24のスイッチング損失を抑制する機能を有する。
【0031】
駆動回路25は、第1スイッチング素子21、第2スイッチング素子22、第3スイッチング素子23、及び第4スイッチング素子24を駆動制御することで、電力変換装置100に入力される直流電力を交流電力に変換する。インバータ回路20は、変換された交流電力を、絶縁トランス30の1次巻線31に供給される。
【0032】
絶縁トランス30は、1次巻線31と、2次巻線32と、2次巻線33とを有している。1次巻線31の両端部は、インバータ回路20の接続点201及び接続点202に接続されている。2次巻線32の両端部は、第1半導体モジュール1の接続点101及び接続点102に接続されている。2次巻線33の両端部は、第2半導体モジュール1aの接続点102及び接続点103に接続されている。1次巻線31と2次巻線32,33とは、互いに磁気的に結合している。
【0033】
整流回路10は、絶縁トランス30の2次側に接続されている。整流回路10は、絶縁トランス30の2次巻線32,33に発生する交流電圧を直流電圧に変換して、フィルタ回路40へ出力する。
【0034】
整流回路10は、第1半導体モジュール1と、第2半導体モジュール1aとを備えている。第1半導体モジュール1は、互いに並列に接続された第1半導体素子11と、第2半導体素子12と、第3半導体素子13とを有している。第2半導体モジュール1aは、互いに並列に接続された第4半導体素子11aと、第5半導体素子12aと、第6半導体素子13aとを有している。
【0035】
第1半導体素子11を流れる第1電流経路R1、第2半導体素子12を流れる第2電流経路R2、及び第3半導体素子13を流れる第3電流経路R3(図2参照)には、それぞれL1,L2,L3のインダクタンスが寄生している。同様に、第4半導体素子11a、第5半導体素子12a、及び第6半導体素子13aを流れる電流経路には、それぞれL1a,L2a,L3aのインダクタンスが寄生している。
【0036】
フィルタ回路40は、整流回路10の接続点104及び接続点105に接続され、平滑リアクトル41と、平滑コンデンサ42とを有している。平滑リアクトル41及び平滑コンデンサ42は、整流回路10から出力される直流電圧を平滑化し、平滑化後の直流電圧を負荷側に出力する。
【0037】
[電力変換装置の動作]
電力変換装置100では、駆動回路25は、例えば、以下に示す4つのモード1~モード4が順に繰り返されるように、第1スイッチング素子21、第2スイッチング素子22、第3スイッチング素子23、及び第4スイッチング素子24の駆動を制御する。
【0038】
(モード1)
モード1では、第1スイッチング素子21と第4スイッチング素子24が、同時にオンする。1次側には、図示しない直流電源から、第1スイッチング素子21→1次巻線31→第4スイッチング素子24→電源の経路で電流が流れる。一方、2次側には、2次巻線32→第1半導体素子11、第2半導体素子12、及び第3半導体素子13→平滑リアクトル41→図示しない負荷→2次巻線32の経路で、負荷電流が流れる。
【0039】
(モード2)
モード2では、第1スイッチング素子21、第2スイッチング素子22、第3スイッチング素子23、及び第4スイッチング素子24が、すべてオフである。1次側には、電流が流れない。一方、2次側には、平滑リアクトル41→平滑コンデンサ42→2次巻線32→第1半導体素子11、第2半導体素子12、及び第3半導体素子13→平滑リアクトル41の経路、及び、平滑リアクトル41→平滑コンデンサ42→2次巻線33→第4半導体素子11a、第5半導体素子12a、及び第6半導体素子13a→平滑リアクトル41の経路で、負荷電流が流れる。
【0040】
(モード3)
モード3では、第2スイッチング素子22と第3スイッチング素子23が、同時にオンする。1次側には、直流電源から、第3スイッチング素子23→1次巻線31→第2スイッチング素子22→直流電源の経路で、電流が流れる。一方、2次側には、2次巻線33→第4半導体素子11a、第5半導体素子12a、及び第6半導体素子13a→平滑リアクトル41→負荷→2次巻線33の経路で、負荷電流が流れる。
【0041】
(モード4)
モード4では、第1スイッチング素子21、第2スイッチング素子22、第3スイッチング素子23、及び第4スイッチング素子24が、すべてオフである。1次側には、電流が流れない。一方、2次側には、モード2と同様に負荷電流が流れる。
【0042】
[半導体モジュールの構成]
次に、整流回路10を構成する第1半導体モジュール1の構成について、図2及び図3を参照して説明する。図2は、実施形態1における第1半導体モジュール1の平面図である。図3は、図2のIII-III断面図である。
【0043】
図2及び図3に示すように、第1半導体モジュール1は、第1半導体素子11と、第2半導体素子12と、第3半導体素子13と、第1バスバー141と、第2バスバー142と、接続バスバー143~145と、調整用素子15とを備え、これらの部材が一体化されている。
【0044】
第1半導体素子11、第2半導体素子12、及び第3半導体素子13は、例えばダイオードである。第1半導体素子11は、アノード端子である第1入力端子111と、カソード端子である第1出力端子112とを有している。第2半導体素子12は、アノード端子である第2入力端子121と、カソード端子である第2出力端子122とを有している。第3半導体素子13は、アノード端子である第3入力端子131と、カソード端子である第3出力端子132とを有している。
【0045】
第1半導体素子11、第2半導体素子12、及び第3半導体素子13の各第1入力端子111、第2入力端子121、及び第3入力端子131は、第1バスバー141に接続されている。また、第1半導体素子11、第2半導体素子12、及び第3半導体素子13の各第1出力端子112、第2出力端子122、及び第3出力端子132は、それぞれ接続バスバー143,144,145に接続されている。
【0046】
第1バスバー141及び第2バスバー142は、銅等の導電性部材から形成されている。第1バスバー141の幅A1は、第2バスバー142の幅A2よりも広く形成されている。
【0047】
(調整用素子)
次に、調整用素子15について、図2及び図3を参照して説明する。図2及び図3に示すように、調整用素子15は、第1調整用素子151と、第2調整用素子152と、第3調整用素子153とを有している。調整用素子15は、銅等の導電性部材から形成されたバスバーである。
【0048】
第1調整用素子151、第2調整用素子152、及び第3調整用素子153は、それぞれ接続バスバー143、接続バスバー144、及び接続バスバー145に接続されていると共に、第2バスバー142に接続されている。なお、調整用素子15は、アルミニウムから形成されていてもよい。
【0049】
第1調整用素子151は、図2に示すように、平面視で矩形状を有している。第1調整用素子151の幅W1は、第1半導体素子11の幅と同じ程度の長さに設定されている。第1調整用素子151は、図3に示すように、接続バスバー143及び第2バスバー142を跨ぐように配置されている。
【0050】
図2に示すように、第2調整用素子152は、平面視で矩形状を有している。第2調整用素子152の幅W2は、第1調整用素子151の幅W1よりも小さく形成されている。第2調整用素子152は、接続バスバー144及び第2バスバー142を跨ぐように配置されている。
【0051】
第3調整用素子153は、平面視で矩形状を有している。第3調整用素子153の幅W3は、第1調整用素子151の幅W1、及び第2調整用素子152の幅W2よりも小さく形成されている。第3調整用素子153は、接続バスバー145及び第2バスバー142を跨ぐように配置されている。
【0052】
次に、第1半導体モジュール1の電流の流れについて説明する。図2に示すように、第1半導体モジュール1に入力された電流Iinは、第1電流経路R1、第2電流経路R2及び第3電流経路R3を経由して、第2バスバー142から出力される(図2のIout参照)。
【0053】
第1電流経路R1は、第1バスバー141の入力側から、第1半導体素子11及び第1調整用素子151を経由し、第2バスバー142の出力側へ至る経路である。第2電流経路R2は、第1バスバー141の入力側から、第2半導体素子12及び第2調整用素子152を経由し、第2バスバー142の出力側へ至る経路である。第3電流経路R3は、第1バスバー141の入力側から、第3半導体素子13及び第3調整用素子153を経由し、第2バスバー142の出力側へ至る経路である。
【0054】
ここで、第1バスバー141の幅A1が、第2バスバー142の幅A2よりも広く形成されていることから、第1バスバー141を通る距離が長い電流経路ほど寄生インダクタンスが小さくなり、電流が流れ易くなる傾向がある。
【0055】
即ち、図8に示す比較例のように、調整用素子15を設けない第1半導体モジュール1Cでは、第1バスバー141を通る距離が長い電流経路ほど寄生インダクタンスが小さくなり、電流が流れ易くなる。この場合、第3電流経路R3C、第2電流経路R2C、第1電流経路R1Cの順に、電流が流れ易くなっている。
【0056】
従って、図9に示すように、第3電流経路R3Cを流れる電流I3Cの値が、第1電流経路R1Cを流れる電流I1Cの値、及び第2電流経路R2Cを流れる電流I2Cの値よりも大きくなる。特に、第3電流経路R3Cでは、図9の囲い線Xで示される区間において、偏流が発生している。
【0057】
そこで、実施形態1では、図9に示すような偏流の発生を防ぐために、第1電流経路R1、第2電流経路R2、及び第3電流経路R3に、それぞれ第1調整用素子151、第2調整用素子152、及び第3調整用素子153を配置することで、各インダクタンスL1,L2,L3の差を低減している。以下、第1半導体モジュール1の製造方法について説明する。
【0058】
[半導体モジュールの製造方法]
図4は、第1半導体モジュール1の製造方法の流れを示すフローチャートである。なお、以下に示す第1半導体モジュール1の製造方法は一例であり、これに限定されない。
【0059】
図4に示すように、まず、第1半導体素子11、第2半導体素子12、及び第3半導体素子13の各第1入力端子111、第2入力端子121、及び第3入力端子131側に第1バスバー141を配置し、第1半導体素子11、第2半導体素子12、及び第3半導体素子13の各第1出力端子112、第2出力端子122、及び第3出力端子132側に第2バスバー142を配置する配置工程(S1)を行う。
【0060】
具体的には、第1半導体素子11、第2半導体素子12、及び第3半導体素子13の各第1入力端子111、第2入力端子121、及び第3入力端子131に、第1バスバー141を接続すると共に、各第1出力端子112、第2出力端子122、及び第3出力端子132に、それぞれ接続バスバー143,144,145を接続する。そして、各接続バスバー143,144,145に、未加工の第1調整用素子151をそれぞれ接続し、接続した各第1調整用素子151に第2バスバー142を接続する。
【0061】
続いて、第1電流経路R1、第2電流経路R2、及び第3電流経路R3に寄生するインダクタンスL1,L2,L3を測定する(S2)。各インダクタンスL1,L2,L3は、例えば、第1バスバー141と第2バスバー142との間に所定の電圧を印加し、このとき第1電流経路R1、第2電流経路R2、及び第3電流経路R3に流れる電流の時間変化を測定し、測定した電流値を印加した電圧値により除算することで算出できる。なお、各インダクタンスL1,L2,L3は、電磁界シミュレーションによって算出してもよい。
【0062】
次に、第1半導体素子11、第2半導体素子12、及び第3半導体素子13のそれぞれを流れる第1電流経路R1、第2電流経路R2、第3電流経路R3の各インダクタンスL1,L2,L3同士の差が少なくなるように調整する調整工程(S3)を行う。具体的には、第2バスバー142に接続した第1調整用素子151の幅を調整することにより、各インダクタンスL1,L2,L3同士の差を少なくする。
【0063】
この場合、第2電流経路R2に配置された第1調整用素子151の幅をW1からW2となるように加工して、第2調整用素子152を形成させる。また、第3電流経路R3に配置された第1調整用素子151の幅をW1からW3となるように加工して、第3調整用素子153を形成させる。
【0064】
このようにして、図2に示すように、第2電流経路R2に、第1調整用素子151よりも幅の小さい第2調整用素子152を配置し、第3電流経路R3に、第2調整用素子152よりも幅の小さい第3調整用素子153を配置することができる。
【0065】
これにより、第1電流経路R1、第2電流経路R2、及び第3電流経路R3に寄生する各インダクタンスL1,L2,L3同士の差が小さくなり、図5に示すように、第1電流経路R1、第2電流経路R2、及び第3電流経路R3に流れる電流I1,I2,I3の大きさが同等となるようにすることが可能である。
【0066】
[実施形態1の効果]
以上説明した実施形態1の第1半導体モジュール1を備えた電力変換装置100では、第1電流経路R1、第2電流経路R2、及び第3電流経路R3に寄生する各インダクタンスL1,L2,L3同士の差が少なくなるように、調整用素子15(第1調整用素子151、第2調整用素子152、及び第3調整用素子153)を配置した。具体的には、電流経路の寄生インダクタンスが小さくなるに従って、調整用素子の幅が小さくなるように、第1電流経路R1、第2電流経路R2及び第3電流経路R3に、第1調整用素子151、第2調整用素子152、及び第3調整用素子153を配置した。
【0067】
これにより、第1電流経路R1、第2電流経路R2、及び第3電流経路R3の各寄生インダクタンスL1,L2,L3同士の差を少なくして、図5に示すように、各第1電流経路R1、第2電流経路R2、及び第3電流経路R3を流れる電流の大きさI1,I2,I3のばらつきを少なくすることで、偏流(図9のX参照)の発生を防ぎ、第3半導体素子13の異常発熱を防止できる。
【0068】
特に、第1バスバー141の幅A1と、第2バスバー142の幅A2とが異なっていても、第1電流経路R1、第2電流経路R2、及び第3電流経路R3に寄生する各インダクタンスL1,L2,L3同士の差に応じて、幅の異なる第1調整用素子151、第2調整用素子152、第3調整用素子153を配置することによって、各インダクタンスL1,L2,L3のバランス化を図ることができる。これにより、第1半導体モジュール1の部品配置の自由度を高めることができる。
【0069】
また、調整用素子15が、第1バスバー141及び第2バスバー142と同様のバスバーから形成されているので、第1半導体モジュール1の製造工程を簡素化することが可能である。
【0070】
〔変形例〕
上記した実施形態1では、調整用素子15は、バスバーから形成されているものとしたが、これに限定されない。実施形態1の変形例として、調整用素子15を、抵抗体と、銅等の金属端子とを有するシャント抵抗から形成してもよい。
【0071】
この場合、図4の測定工程S2において、調整用素子15を、上記シャント抵抗を流れる電流を検出するための電流検出部として使用することが可能である。つまり、変形例の調整用素子15では、第1電流経路R1、第2電流経路R2、及び第3電流経路R3の各インダクタンスL1,L2,L3を調整する機能と、電流検出部としての機能とを兼用できる。
【0072】
〔実施形態2〕
次に、本発明の実施形態2に係る第1半導体モジュール1Aついて、図6を参照して説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0073】
図6は、実施形態2における第1半導体モジュール1Aの平面図である。図6に示すように、第1半導体モジュール1Aは、第1半導体素子11と、第2半導体素子12と、第3半導体素子13と、第1バスバー141と、第2バスバー142と、接続バスバー143~145と、調整用素子15Aとを備えている。
【0074】
(調整用素子)
調整用素子15Aは、第1調整用素子151Aと、第2調整用素子152Aと、第3調整用素子153Aとを有している。第1調整用素子151A、第2調整用素子152A、及び第3調整用素子153Aは、それぞれ接続バスバー143、接続バスバー144、及び接続バスバー145に接続されていると共に、第2バスバー142に接続されている。
【0075】
第1調整用素子151Aは、平面視で矩形状を有している。第1調整用素子151Aは、接続バスバー143及び第2バスバー142を跨ぐように、電流I1Aの第1電流経路R1Aに配置されている。
【0076】
第2調整用素子152Aは、平面視で矩形状を有している。第2調整用素子152Aは、接続バスバー144及び第2バスバー142を跨ぐように、電流I2Aの第2電流経路R2Aに配置されている。また、第2調整用素子152Aには、スリット1521が3箇所形成されている。
【0077】
具体的には、第2調整用素子152Aにおいて、第1調整用素子151A側に2つのスリット1521が形成され、これら2つのスリット1521の間における第3調整用素子153A側にスリット1521が1つ形成されている。
【0078】
このため、第2調整用素子152Aの断面積は、第1調整用素子151Aの断面積よりも小さくなっている。ここで、断面積とは、電流I2Aの流れる方向に垂直な方向の断面積をいう。また、第2調整用素子152Aの電流経路R2Aは、第1調整用素子151Aの電流経路R1Aよりも長くなっている。
【0079】
第3調整用素子153Aは、平面視で矩形状を有している。第3調整用素子153Aは、接続バスバー145及び第2バスバー142を跨ぐように、電流I3Aの第3電流経路R3Aに配置されている。また、第3調整用素子153Aには、スリット1531が3箇所形成されている。
【0080】
具体的には、第3調整用素子153Aにおいて、第2調整用素子152A側に2つのスリット1531が形成され、これら2つのスリット1531の間における第2調整用素子152Aとは反対側にスリット1531が1つ形成されている。
【0081】
第3調整用素子153Aのスリット1531は、第2調整用素子152Aのスリット1521よりも、平面視において、その総面積が大きい。このため、第3調整用素子153Aにおける電流I3Aの流れる方向に垂直な方向の断面積は、第2調整用素子152Aの上記断面積よりも小さくなっている。また、第3調整用素子153Aの電流経路R3Aは、第2調整用素子152Aの電流経路R2Aよりも長くなっている。
【0082】
[半導体モジュールの製造方法]
実施形態2の第1半導体モジュール1Aの製造方法では、図4に示す調整工程S3が、実施形態1と異なる。実施形態2では、調整工程S3において、第2バスバー142に接続された第1調整用素子151Aに、矩形状のスリットを形成することにより、各インダクタンスL1,L2,L3同士の差を少なくする。
【0083】
具体的には、第2電流経路R2Aに配置された第1調整用素子151Aに、スリット1521を3箇所形成することにより、第2調整用素子152Aを形成させる。また、第3電流経路R3Aに配置された第1調整用素子151Aに、スリット1531を3箇所形成することにより、第3調整用素子153Aを形成させる。
【0084】
このようにして、図6に示すように、第2電流経路R2Aに、第1調整用素子151Aよりも断面積の小さい第2調整用素子152Aを配置し、第3電流経路R3Aに、第2調整用素子152Aよりも断面積の小さい第3調整用素子153Aを配置できる。
【0085】
[実施形態2の効果]
以上説明した実施形態2の第1半導体モジュール1Aでは、第2電流経路R2Aにスリット1521が形成された第2調整用素子152Aを配置し、第3電流経路R3にスリット1531が形成された第3調整用素子153Aを配置した。
【0086】
このように、寄生インダクタンスが小さい電流経路ほど、調整用素子の断面積が小さく、且つ電流経路が長くなるように調整用素子を配置することで、第1電流経路R1A、第2電流経路R2A、及び第3電流経路R3Aの各寄生インダクタンスL1,L2,L3同士の差を低減できる。これにより、図5に示すように、第1電流経路R1A、第2電流経路R2A、及び第3電流経路R3Aをそれぞれ流れる電流I1A,I2A,I3Aの大きさのばらつきを少なくできる。
【0087】
〔実施形態3〕
次に、本発明の実施形態3に係る第1半導体モジュール1Bついて、図7を参照して説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0088】
図7は、実施形態3における第1半導体モジュール1Bの平面図である。図7に示すように、第1半導体モジュール1Bは、第1半導体素子11と、第2半導体素子12と、第3半導体素子13と、第1バスバー141と、第2バスバー142と、接続バスバー143~145と、調整用素子15Bとを備えている。
【0089】
(調整用素子)
調整用素子15Bは、第1調整用素子151Bと、第2調整用素子152Bと、第3調整用素子153Bとを有している。第1調整用素子151B、第2調整用素子152B、及び第3調整用素子153Bは、それぞれ接続バスバー143、接続バスバー144、及び接続バスバー145に接続されていると共に、第2バスバー142に接続されている。
【0090】
第1調整用素子151Bは、平面視で矩形状を有している。第1調整用素子151Bは、接続バスバー143及び第2バスバー142を跨ぐように、電流I1Bの第1電流経路R1Bに配置されている。
【0091】
第2調整用素子152Bは、平面視で矩形状を有している。第2調整用素子152Bは、接続バスバー144及び第2バスバー142を跨ぐように、電流I2Bの電流経路R2Bに配置されている。また、第2調整用素子152Bには、矩形状の溝1522が2箇所形成されている。このため、第2調整用素子152Bの断面積は、第1調整用素子151Bの断面積よりも小さくなっている。ここで、断面積は、電流I2Bの流れる方向に垂直な方向の断面積をいう。
【0092】
第3調整用素子153Bは、平面視で矩形状を有している。第3調整用素子153Bは、接続バスバー145及び第2バスバー142を跨ぐように、電流I3Bの電流経路I3Bに配置されている。
【0093】
第3調整用素子153Bには、矩形状の溝1532が2箇所形成されている。第3調整用素子153Bの溝1532の面積は、第2調整用素子152Bの溝1522の面積よりも、平面視において、その総面積が大きい。このため、第3調整用素子153Bにおける電流I3Bの流れる方向に垂直な方向の断面積は、第2調整用素子152Bの上記断面積よりも小さくなっている。
【0094】
[半導体モジュールの製造方法]
実施形態3の第1半導体モジュール1Bの製造方法では、図4に示す調整工程S3が、実施形態1と異なる。実施形態3では、調整工程S3において、第2バスバー142に接続された第1調整用素子151Bに、矩形状の溝を形成することにより、各インダクタンスL1,L2,L3同士の差を少なくする。
【0095】
具体的には、第2電流経路R2Bに配置された第1調整用素子151Bに、溝1522を2箇所形成することにより、第2調整用素子152Bを形成させる。また、第3電流経路R3Bに配置された第1調整用素子151Bに、溝1532を2箇所形成することにより、第3調整用素子153Bを形成させる。
【0096】
このようにして、図7に示すように、第2電流経路R2Bに、第1調整用素子151Bよりも断面積の小さい第2調整用素子152Bを配置し、第3電流経路R3Bに、第2調整用素子152Bよりも断面積の小さい第3調整用素子153Bを配置できる。
【0097】
[実施形態3の効果]
以上説明した実施形態3の第1半導体モジュール1Bでは、第1電流経路R1Bよりも寄生インダクタンスが小さい第2電流経路R2B及び第3電流経路R3Bに、第1電流経路R1Bに配置された第1調整用素子151Bよりも断面積が小さく、且つ溝1522,1532が形成された第2調整用素子152B及び第3調整用素子153Bを配置した。
【0098】
これにより、第1電流経路R1B、第2電流経路R2B、及び第3電流経路R3Bの各寄生インダクタンスL1,L2,L3同士の差を低減させて、図5に示すように、第1電流経路R1B、第2電流経路R2B、及び第3電流経路R3Bをそれぞれ流れる電流の大きさI1B,I2B,I3Bのばらつきを少なくすることができる。
【0099】
〔その他の実施形態〕
上記した実施形態1~3では、第1半導体モジュール1,1A,1Bを、電力変換装置100の一例であるDC-DCコンバータに用いるものとしたが、これに限らず、他にも、インバータ装置であるDC-ACコンバータ装置など、電力変換を行う装置全般に適用することが可能である。
【0100】
上記した実施形態1~3では、第1半導体素子11、第2半導体素子12、及び第3半導体素子13の第1出力端子112、第2出力端子122、及び第3出力端子132側に、それぞれ第1調整用素子151,151A,151B、第2調整用素子152,152A,152B、及び第3調整用素子153,153A,153Bを接続するものとしたが、これに限定されない。例えば、寄生インダクタンスが最も小さくなる第3電流経路R3,R3A,R3Bにだけ、調整用素子15,15A,15Bを配置してもよい。
【0101】
上記した実施形態1では、電流経路の寄生インダクタンスが小さくなるに従って、調整用素子の幅が小さくなるようにしたが、これに限定されない。例えば、第2調整用素子152の厚さ及び第3調整用素子153の厚さが、第1調整用素子151の厚さよりも、小さくなっていてもよい。
【0102】
本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0103】
1、1A、1B 半導体モジュール
10 整流回路
11 第1半導体素子
12 第2半導体素子
13 第3半導体素子
15、15A、15B 調整用素子
21、22、23、24 スイッチング素子
100 電力変換装置
111、121、131 入力端子
112、122、132 出力端子
141 第1バスバー
142 第2バスバー
151、151A、151B 第1調整用素子
152、152A、152B 第2調整用素子
153、153A,153B 第3調整用素子
1521、1531 スリット
1522、1532 溝
L1、L2、L3 インダクタンス
R1、R1A、R1B 第1電流経路
R2、R2A、R2B 第2電流経路
R3、R3A、R3B 第3電流経路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9