(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023121511
(43)【公開日】2023-08-31
(54)【発明の名称】通信装置、通信方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G08B 25/04 20060101AFI20230824BHJP
H04M 11/04 20060101ALI20230824BHJP
G08B 21/02 20060101ALI20230824BHJP
【FI】
G08B25/04 K
H04M11/04
G08B21/02
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022024888
(22)【出願日】2022-02-21
(71)【出願人】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 潔人
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 裕
【テーマコード(参考)】
5C086
5C087
5K201
【Fターム(参考)】
5C086AA22
5C086BA01
5C086CA30
5C086DA08
5C086DA14
5C087AA02
5C087AA03
5C087BB74
5C087DD03
5C087DD24
5C087EE07
5C087EE14
5C087FF01
5C087FF02
5C087FF16
5C087FF23
5K201BA03
5K201BA19
5K201CC02
5K201CC03
5K201DC02
5K201DC04
5K201EC06
5K201ED05
5K201ED07
5K201ED08
5K201EF07
5K201EF10
5K201FA05
(57)【要約】
【課題】低コストであり手軽に導入可能である安否確認システムの実現に貢献する通信装置、通信方法、及びプログラムの提供。
【解決手段】通信端末からパケットを受信する受信部と、前記受信部により所定期間に受信したパケットの量を計量する計量部と、前記計量部での計量結果に応じて利用者の安否確認を行うか否かを判断する判断部と、前記判断部での判断結果に応じて安否確認を行う確認部と、を有する通信装置の提供。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信端末からパケットを受信する受信部と、
前記受信部により所定期間に受信したパケットの量を計量する計量部と、
前記計量部での計量結果に応じて利用者の安否確認を行うか否かを判断する判断部と、
前記判断部での判断結果に応じて安否確認を行う確認部と、
を有する通信装置。
【請求項2】
前記判断部は、前記計量部で計量された所定期間内のパケットの量の最小値を取得し、前記最小値に応じて安否確認を行うか否かを判断する、
請求項1の通信装置。
【請求項3】
前記判断部は、前記計量部で計量されたパケットの量を示す数値が属する数値範囲に基づいて安否確認を行うか否かを判断する、
請求項1の通信装置。
【請求項4】
前記計量部は、さらに、所定期間に計量したパケットの量の推移を取得し、
前記判断部は、取得した所定期間のパケットの量の推移が、あらかじめ保持されているパケットの量の推移に対して所定の乖離度を示しているか否かで安否確認を行うか否かを判断する、
請求項1の通信装置。
【請求項5】
前記計量部は特定の端末から受信したパケットの量を計量し、
前記判断部は前記計量部にて計量した特定の端末からのパケットの量の計量結果に応じて安否確認を行うか否かを判断する、
請求項1の通信装置。
【請求項6】
前記確認部は、安否確認を行った場合に、所定の応答があるまで安否確認を行う、
請求項1から5のいずれか一の通信装置。
【請求項7】
前記確認部は、安否確認を利用者の電話機に架電することで行い、前記電話機がオンフックの状態からオフフックの状態になるとの応答があるか否かにより安否確認を行う、
請求項1から6のいずれか一の通信装置。
【請求項8】
前記確認部による安否確認の結果に応じてあらかじめ保持されている連絡先に通報を行う通報部を有する、
請求項1から7いずれか一の通信装置。
【請求項9】
前記通報部は、保持されている通報先毎に通報を行うか否かを決定する、
請求項8の通信装置。
【請求項10】
通信端末から位置情報を取得する位置情報取得部をさらに有し、
前記通報部は前記位置情報にも基づいて通報を行うか否かを決定する、
請求項8又は9の通信装置。
【請求項11】
通信端末からパケットを受信するステップと、
所定期間に受信したパケットの量を計量するステップと、
受信したパケットの計量結果に応じて安否確認を行うか否かを判断するステップと、
判断結果に応じて安否確認を行うステップと、
を有する通信方法。
【請求項12】
通信端末からパケットを受信する処理と、
所定期間に受信したパケットの量を計量する処理と、
受信したパケットの計量結果に応じて安否確認を行うか否かを判断する処理と、
判断結果に応じて安否確認を行う処理と、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置、通信方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年において、コロナウイルスによる自宅療養者や、一人暮らしの高齢者の安否確認に対するニーズが高まっている。このような問題を解決するための手段として、家電に見守り機能を実装して、ユーザの家族に通知するシステムや警備会社による見守り機能のソリューション提供が知られている。しかしながら、こういったシステムを導入するためには、サーバ側に大規模なシステムを構築する必要や、端末側にも専用のデバイスを用意する必要があり、導入するにあたり費用的な負担がかかるという課題がある。
【0003】
特許文献1には以下のような安否確認システムが開示されている。該システムではディジタルテレビジョン装置に緊急連絡先を記憶させ、同装置の利用状況から利用者が異常状態にあるか否かを判定する。判定の結果、異常であるとの結果となった場合には緊急連絡手段が保持されている緊急連絡先に緊急連絡信号を送信する。当該信号は緊急連絡先の端末装置により受信される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
なお、上記先行技術文献の各開示を、本書に引用をもって繰り込むものとする。以下の分析は、本発明者らによってなされたものである。
【0006】
しかしながら、上記開示された発明は、端末として新たに上記機能を実現するハードウエアやソフトウエアを搭載するディジタルテレビジョン装置を新たに購入する必要がある。また現在においてはメディア利用実態が多様であり、必ずしもディジタルテレビジョン装置の利用状況だけで利用者の異常を検出することは妥当ではない。このように多様なメディア利用実態の下では、単一の装置だけではなく、他の装置においてもいわゆる見守り機能を搭載する装置を導入する必要が生じ、結果として導入コストが上がることとなる。その上、装置毎に個別に設定等を行う必要があり、導入の手間がかかることになる。
【0007】
本発明は、低コストであり手軽に導入可能である安否確認システムの実現に貢献する通信装置、通信方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明乃至開示の第一の視点によれば、通信端末からパケットを受信する受信部と、前記受信部により所定期間に受信したパケットの量を計量する計量部と、前記計量部での計量結果に応じて利用者の安否確認を行うか否かを判断する判断部と、前記判断部での判断結果に応じて安否確認を行う確認部と、を有する通信装置が提供される。
【0009】
本発明乃至開示の第二の視点によれば、通信端末からパケットを受信するステップと、所定期間に受信したパケットの量を計量するステップと、受信したパケットの計量結果に応じて利用者の安否確認を行うか否かを判断するステップと、判断結果に応じて安否確認を行うステップと、を有する通信方法が提供される。
【0010】
本発明乃至開示の第三の視点によれば、通信端末からパケットを受信する処理と、所定期間に受信したパケットの量を計量する処理と、受信したパケットの計量結果に応じて利用者の安否確認を行うか否かを判断する処理と、判断結果に応じて安否確認を行う処理と、をコンピュータに実行させるためのプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明乃至開示の各視点によれば、本発明は、低コストであり手軽に導入可能である安否確認システムの実現に貢献する通信装置、通信方法、及びプログラムを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】一実施形態に係る通信装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】第1の実施形態に係る通信装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】第1の実施形態における通信装置の特に判断部における処理の概要を示すための概念図である。
【
図4】第1の実施形態における通信装置の特に判断部における別の処理の概要を示すための概念図である。
【
図5】第1の実施形態に係る通信装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図6】第1の実施形態に係る通信装置のハードウエア構成を示す概略図である。
【
図7】第2の実施形態に係る通信装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図8】第2の実施形態に係る通信装置のメモリに格納されるデータの簡単な構成を示す図である。
【
図9】第2の実施形態に係る通信装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図10】第2の実施形態における通信装置の別の構成を示すためのブロック図である。
【
図11】第2の実施形態に係る通信装置の動作画面の一例を示すための概略図である。
【
図12】第2の実施形態に係る通信装置の動作画面の別の一例を示すための概略図である。
【
図13】第2の実施形態に係る通信装置の動作を決定する条件の一例を示すための図である。
【
図14】第2の実施形態に係る通信装置の動作画面のさらに別の一例を示すための概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
初めに、一実施形態の概要について説明する。なお、この概要に付記した図面参照符号は、理解を助けるための一例として各要素に便宜上付記したものであり、この概要の記載はなんらの限定を意図するものではない。また、各図におけるブロック間の接続線は、双方向及び単方向の双方を含む。一方向矢印については、主たる信号(データ)の流れを模式的に示すものであり、双方向性を排除するものではない。さらに、本願開示に示す回路図、ブロック図、内部構成図、接続図などにおいて、明示は省略するが、入力ポート及び出力ポートが各接続線の入力端及び出力端のそれぞれに存在する。入出力インタフェースも同様である。
【0014】
図1は一実施形態に係る通信装置の構成の一例を示すブロック図である。この図にあるように、一実施形態に係る通信装置10は、受信部11と、計量部12と、判断部13と、確認部14と、を有する。
【0015】
受信部11は通信端末からパケットを受信する。「通信端末」とは、主に無線LAN(Local Area Network)や有線LAN及び電話回線等で接続され、通信パケットによる通信が可能な端末を指す。例えばPC(パーソナルコンピュータ)や、タブレット端末、スマートフォン、スマートスピーカー、スマートウォッチ等の汎用通信デバイスをはじめ、IP電話やディジタルテレビジョン装置、ビデオレコーダ、冷暖房装置、電子レンジや冷蔵庫、洗濯機等の専用家電であって、パケット通信によるネットワーク接続が可能なデバイスの全てが該当する。受信したパケットは後述する計量部12に送られる。
【0016】
計量部12は、受信部11により所定期間に受信したパケットの量を計量する。「所定期間」とは、あらかじめ定められた期間であって、計量したパケットの量を取得し、後述する判断部13に送るためのタイミングを定めたものである。例えば所定期間を1日と定めると、安否確認の対象者の1日の通信の利用状況が反映されたパケットの量を把握することが可能である。「パケットの量」は受信部11により受信したパケットの数であってもよいし、受信したパケットの容量であってもよい。
【0017】
計量部12によるパケットの計量は、パケットのヘッダ情報を参照して、送信元の端末を特定するIPアドレスや、MACアドレス等毎に行ってもよい。つまり特定の通信端末のみに限定して計量を行うといった構成でもよい。このような限定を行うことによって、変動要因が大きい通信端末を除外してより生活実態を反映した端末の通信量を把握することが可能である。
【0018】
判断部13は、計量部12での計量結果に応じて通報を行うか否かを判断する。「計量結果に応じて」とは、計量部12より計量結果を取得して、計量結果を所定の基準やルールに照らして判断を行うことを意味する。例えば、所定期間内のパケットの量の最小値があらかじめ定められた閾値に達しない場合には安否確認を行うといったルールや、あらかじめ計量部で計量された所定期間毎のパケットの量の平均値を算出し、前記平均値に応じて安否確認を行うか否かを判断するといったルール、もしくは計量されたパケットの量を示す数値が、あらかじめ定められた数値範囲に属するか否かで安否確認を行うか否かを判断するルール等を適用する構成であってもよい。
【0019】
確認部14は、判断部13での判断結果に応じて安否確認を行う。「安否確認」とは、利用者の端末に対して応答が必要なメッセージを送信することである。例えば、PCやスマートフォンに応答が必要な通知をポップアップで表示させたり、応答専用の端末であって安否確認時には音や光で応答を促し、ボタンを押下したりすることで応答することを可能として安否確認を行うことなどがあげられる。
【0020】
以下に具体的な実施の形態について、図面を参照してさらに詳しく説明する。なお、各実施形態において同一構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0021】
[第1の実施形態]
図2は第1の実施形態に係る通信装置の構成の一例を示すブロック図である。この図にあるように、第1の実施形態に係る通信装置10は、一実施形態と同様に、受信部11と、計量部12と、判断部13と、確認部14と、を有する。本実施形態の通信装置は通報部15を新たに有する。受信部11については上記一実施形態と同様な構成であるので記載は省略する。
【0022】
図3は第1の実施形態における通信装置10の特に判断部13における処理の概要を示すための概念図である。
図3は計量部12で計量された累積パケット量を示している。この図において「所定の期間」は0時から23時59分の24時間となっている。細い実線で示す系列31が、ある日に計量された通信パケットの量を示している。点線で示す系列33に示す量が1日のパケットの総容量の閾値であって、一例として所定期間経過時の23時59分に累積のパケット量がこの閾値以上であるか否かを判断部13が判定する。その結果閾値以上であった場合には正常時であると判断され、点線で示す系列32で示すように、閾値を下回った場合には異常であると判断され確認部14により安否確認が実行される。なお、上記の閾値は、通常時におけるパケットの総使用量の平均値等の集計の結果算出された代表値であってもよい。
【0023】
太い実線で示す系列34は累積パケット量の各時刻における基準値を示す直線である。一例として、系列31の累積パケット量は系列34で示す基準値をいずれの時刻においても上回っており、安否確認の対象者は正常に活動しているとの判断結果となる。一方で系列32についてはお昼過ぎの時点で基準値である系列34を下回っており、判断部13は
対象者に異常が認められ、安否確認を行うとの判断を下すことができる。この系列34の基準値を示す直線はある一定期間における累積パケット量を計量し、平均値等として算出されたものであってもよい。系列34は直線となっているが、曲線とすれば、より通常時の累積パケット量に近似した基準値を提供することが可能であり、信頼性の高い判断を行うことが可能である。
【0024】
また、上記判断基準に加えて、35に示すような数値範囲を設定し、その範囲から逸脱しなければ正常であるとして通報は行わないとの判断とし、逸脱していれば異常がみられるとして通報を行うとの判断をするといった構成でもよい。
【0025】
図4も第1の実施形態における通信装置10の特に判断部13における別の処理の概要を示すための概念図である。
図4は計量部12で計量された各時刻におけるパケット量を示している。実線で示す系列41は正常時のパケット量を示している。点線で示す系列42は、夕刻の時間帯にパケット量が減少しており、異常時のパケット量を示している。19時にはこの日のパケット量の最小値を示しており、太い点線で示す系列45で表されている最小値の基準値を下回っている。このため安否確認を行うとの判断結果となっている。このように、判断部13は所定期間(この例では一日)内のパケットの量の最小値を取得し、その最小値に応じて安否確認を行うか否かを判断するという構成でもよい。
【0026】
太い実線で示す系列43は、正常時のある一定期間に計量されたパケット量の推移を学習により獲得したモデルである。例えば、44に示すようにこの推移から所定量逸脱した場合には異常であるとの判断を行ってもよい。また各時刻に計量されたパケット量の推移と系列43に示すモデルの推移との間の乖離を積算し、乖離度が一定の基準に達すると異常であると判断し、安否確認を行うという判断結果としてもよい。
【0027】
対象者の外出時にはパケット量が減少するため、異常時と区別がつかないといった問題があるが、外出時には判断部13における判断を実行しないといった設定を可能とする構成であってもよい。また、在宅しているか否かを通信端末が取得する位置情報を通信装置10が取得する構成をとってもよい。すなわち、通信装置10が位置情報取得部(図示せず)を有する構成である。位置情報の取得は通信端末が有するGPS(Global Positioning System)に基づくものや、携帯電話網の基地局の位置情報、電波ビーコンと近距離無線、通信装置10に接続されたセンサ、Wi-Fiセンシングを用いるものなど種々の態様が考えられる。
【0028】
確認部14は判断部13の判断に応じて安否確認を実行するが、安否確認に対する応答が得られるまで安否確認を続行するという構成でもよい。例えば確認先として所定の電話番号に架電するといった設定の場合には、電話機がオンフックの状態からオフフックの状態になるまで呼び出しを続けるといった構成でもよい。また、確認手段を複数設定しておいて、応答がない場合には別の確認手段に切り替え、安否確認を行うという構成でもよい。
【0029】
通報部15は、確認部14による安否確認の結果に応じてあらかじめ保持されている連絡先に通報を行う。「通報」とは、通信端末により、所定の通報先に接続を試みることを指す。例えば、家族や医療機関、自治体等の公的機関や、消防や警察、さらには警備会社等が通報先として考えられる。通報の手段は、通信装置10があらかじめ通報先と通報内容を保持しており、これを呼び出すことで実行されていてもよい。
【0030】
[動作の説明]
本実施形態の通信装置10の動作の一例について
図5を用いて説明する。
図5は、第1の実施形態に係る通信装置10の動作の一例を示すフローチャートである。
【0031】
同装置が動作を開始すると、通信端末からパケットを受信する(ステップS51)。次に受信したパケットのカウントを行う(ステップS52)。次に、所定期間が経過したか否かの判断を行う(ステップS53)。所定期間が経過していないとの判断結果(ステップS53、N)であった場合には再びパケットを受信する処理(ステップS51)を繰り返す。所定期間が経過したとの判断結果(ステップS53、Y)となった場合には、カウントされたパケットの量が所定の基準に達しているか否かの判断を行う(ステップS54)。具体的には例えば、所定期間内に受信して計量されたパケット量の最小値が基準となる閾値以下であるか否かを判断する等の処理を実行する。パケット量の最小値が閾値以上であった場合(ステップS54、N)には再びパケットを受信する処理(ステップS51)に戻る。パケット量の最小値が閾値未満であった場合(ステップS54、Y)には安否確認をすべきとの判断結果を下し、安否確認を実行する(ステップS55)。安否確認を行った結果、応答がある場合(ステップS56、Y)には再びパケットを受信する処理(ステップS51)に戻る。これに対して応答がない場合(ステップS56、N)には保持されている連絡先に通報を行う(ステップS57)。
【0032】
[ハードウエア構成]
本実施形態の通信装置10は、情報処理装置(コンピュータ)により構成可能であり、
図6に例示する構成を備える。例えば、通信装置10は、内部バス65により相互に接続される、CPU(Central Processing Unit)61、メモリ62、入出力インタフェース63及び通信手段であるNIC(Network Interface Card)64等を備える。
【0033】
但し、
図6に示す構成は、通信装置10のハードウエア構成を限定する趣旨ではない。通信装置10は、図示しないハードウエアを含んでもよいし、必要に応じて入出力インタフェース63を備えていなくともよい。また、通信装置10に含まれるCPU等の数も
図6の例示に限定する趣旨ではなく、例えば、複数のCPUが通信装置10に含まれていてもよい。
【0034】
メモリ62は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、補助記憶装置(ハードディスク等)である。
【0035】
入出力インタフェース63は、図示しない表示装置や入力装置のインタフェースとなる手段である。表示装置は、例えば、液晶ディスプレイ等である。入力装置は、例えば、キーボードやマウス等のユーザ操作を受付ける装置である。
【0036】
通信装置10の機能は、メモリ62に格納された受信プログラム、計量プログラム、判断プログラム、確認プログラム、通報プログラム等といったプログラム群(処理モジュール)と、パケット量の閾値等の判断基準を格納したデータや、通報先のリスト、通報先の連絡先データなどのデータ等のデータ群により実現される。当該処理モジュールは、例えば、メモリ62に格納された各プログラムをCPU61が実行することで実現される。また、そのプログラムは、ネットワークを介してダウンロードするか、あるいは、プログラムを記憶した記憶媒体を用いて、更新することができる。さらに、上記処理モジュールは、半導体チップにより実現されてもよい。即ち、上記処理モジュールが行う機能を何らかのハードウエア、及び/又は、ソフトウエアで実行する手段があればよい。
【0037】
[ハードウエアの動作]
通信装置10は、動作を開始すると、受信プログラムがメモリ62から呼び出され、CPU61で実行状態となる。同プログラムはNIC64を介して端末装置から通信パケットを受信し、計量プログラム及び転送プログラムにパケットデータを渡す。
【0038】
計量プログラムも受信プログラムと共にCPU61で実行状態となっており、受信プログラムからパケットを取得する。計量プログラムはパケットが到達するとカウントアップを行い受信したパケットの数量を計測する。
【0039】
判断プログラムは通信装置10が動作を開始すると共にメモリ62から呼び出され、CPU61で実行状態となる。同プログラムは、計時処理を実行し、所定の期間の経過を検出する。所定の期間の経過が検出されると、計量プログラムにより計量されたパケット量のデータを読み込む。次に、読み込んだパケット量が所定の基準に達しているか否かを判定する。例えば、計量されたパケット量の所定期間内での最小値の判断基準としてメモリ62に保持されている閾値と比較演算し、パケット量の所定期間内での最小値が閾値以上であると、再び所定の期間の経過を計時により検出する。パケット量の所定期間内の最小値が閾値に達しない場合であると、後述する確認プログラムに信号を送り、安否確認をトリガする。
【0040】
トリガされた確認プログラムは、メモリ62から呼び出され、CPU61にて実行状態となる。同プログラムは、利用者の電話機に架電し、応答を待機する。利用者が電話の呼び出しに気付いて受話器を上げ、オンフックの状態からオフフックの状態になった場合には無事であることが判明し、安否確認処理は完了し、再び受信プログラムにより通信パケットを受信する処理に戻る。一方、所定の期間内に応答が無い場合には異常であるとして、通報プログラムをトリガする。
【0041】
通報プログラムはメモリ62から呼び出され、当初はCPU61で待機状態となっており、確認プログラムによるトリガ信号を受け取ると、実行状態となる。通報プログラムは、メモリ62に保持されている通報先のデータを読み込み、通報先に応じたデバイスやアプリケーションプログラムの制御を実行する。例えば通報先が電話番号となっている場合には通話プログラムを起動し、架電処理を実行する。あるいは例えば通報先がPCに接続されたスマートスピーカーである場合には、メッセンジャープログラムを起動して通報内容を、NIC64を介して送信する。
【0042】
[効果の説明]
上記第1の実施形態に係る通信装置により、既存の通信端末を活用して低コストで導入が容易な安否確認システムを構成することが可能である。また、通信パケットの量を計量するため、特定のデバイスではなく、あらゆる通信端末の通信の状況を包括的に知ることが可能であり、妥当性の高い安否確認を行うことが可能である。
【0043】
[第2の実施形態]
第2の実施形態では、パケット監視機能を有するHGW(Home Gate Way)装置とIP(Internet Protocol)電話を使用して高齢者や自宅療養者の安否確認が可能なシステムについて述べる。
【0044】
本実施形態の通信装置701は下記の構成を有する。すなわち、第2の実施形態に係る通信装置701は、
図7に示す通り、CPU704、メモリ711、タイマー710、電話部705、ネットワーク制御部702としてWAN(Wide Area Network)部712、無線LAN(Local Area Network)部708、有線LAN部709から構成される。
【0045】
CPU704は、それぞれ外部インタフェース、メモリ711、タイマー710の制御を行う。また、パケット通信の監視や通信量が期待値かどうか判断を行う処理機能を有する。
【0046】
タイマー710は、CPU704が時間のカウントや日時を指定するような場合に使用される。例えば、装置開発者やユーザが時間指定した場合などに使用される。本明細書では、CPU704とは別にタイマー710を記載したが、一般的にはタイマー機能がCPU704内に取り込まれていてもよい。
【0047】
無線LAN部708及び有線LAN部709を有する通信装置701とスマートフォン、タブレット、PC、ゲーム機といった端末703が帰属しているとする。端末703を使用する際に発生する通信量(パケット量)をCPU704で監視し、一日ごとの通信をタイマー710で管理し、メモリ711に格納させていく。ある程度の日数の通信量をCPU704にて統計を出し、1日の通信量を学習させる。
【0048】
1日の通信量が期待値を満たさなかった場合、電話部705を介して電話機706に発信を行い、ユーザ(安否確認の対象者)の安否を確認する。この時、電話機706がオフフックとなった場合には問題なし、オンフックのままである場合異常が発生したと判断する。異常が発生したと判断した際に、WAN部712からネットワークを介してユーザの家族や警察、救急又は地方自治体といった緊急連絡先707に連絡を行う。
【0049】
図8はメモリ711に格納されるデータの簡単な構成を示している。メモリ711には、音声ファイル801、見守り機能有効化判定802、緊急連絡先格納領域803、給電信号検出開始の時間804、給電信号検出の終了時間805、給電信号検出時間の間隔806、CPU704の制御用プログラム807、パケット監視プログラム808、パケット量学習プログラム809、パケット処理量保存領域810が保存されている。
【0050】
WAN部712は、SIP(Session Initiation Protocol)サーバ714を含むインターネットに接続するためのインタフェースを示すものとする。ONU713を経由して、SIPサーバ714とIP電話のネゴシエーション及び通話設定が行われる。また、SIPサーバ714を含むインターネットからの光信号はONU(Optical NetWork Unit)713で終端され、デジタル信号に変換されWAN部712に届く。
【0051】
無線LAN部708は、スマートフォンや家電のような無線LAN通信を行う機能を持つ端末703との通信を行う。高周波の信号を処理する集積回路やアンテナなどの機能を含めた総称を無線LAN部と定義する。無線LANは2.4GHz、5GHzといった周波数帯域を使用したものがあるが、特にこれらに限定されない。
【0052】
有線LAN部709は、PCや家電といった有線LAN通信を行う機能をもつ端末703との通信を行う。有線LANは、10Base-Tや1000Base-Tといった様々な規格があるが特にこれらに限定はされない。
【0053】
電話部705は、電話機やFAX機能付き電話機706が接続され、IP電話機能を実現させる機能を持つ。電話機706からの音声(アナログ)信号をデジタル信号に変換(IP化)すること、通話先からのデジタル信号をアナログ信号に変換する機能や電話機へ呼出信号を発信する機能などを持つ。電話部705でデジタル化された信号はCPU704、WAN部712、インターネット上に存在するSIPサーバ714を介して、通話先と接続され通話が可能となる。これらの機能すべてを総称し電話部と定義する。
【0054】
[動作の説明]
本実施形態の通信装置701の動作の一例について
図9ないし
図10を用いて説明する。
図9は第2の実施形態に係る通信装置701の動作の一例を示すフローチャートである。まず、通信装置701に無線LAN部708又は有線LAN部709に接続できる端末703を帰属させる。次にユーザは通信装置701の
図8のようなWEB GUI(Graphical User Interface)にアクセスし、見守り機能有効化の選択、緊急連絡先、通知可能時間の登録を行う。この時、これらの登録したデータはメモリ711に格納される。これにより、見守り機能が有効化される。
【0055】
CPU704は、メモリ711に格納されたパケット監視プログラム808に従い、一日のパケット通信量をパケット処理量保存領域810に格納していく。約一カ月データを蓄積させたらCPU704はメモリ711に格納されたパケット量学習プログラム809の処理を行う。パケット量学習プログラム809により、パケット量の統計をとり、1日当たりの最低のパケット処理量を算出し、ユーザに安否確認を入れる閾値を定める(ステップS901)。なお、本説明でのプロセスでは最初の一カ月は動作しないようなプロセスとなっているが、ユーザ指定の閾値を下回った場合に通知する方法や、開発者指定の閾値より下回った場合でも通知する方法があるものとする。
【0056】
CPU704はメモリ711に保存された指定時間が、給電信号検出の開始時間804及び終了時間805以内となっているかタイマー110を用い確認する。このとき、指定時間以内でない場合、ある程度時間を空け(ステップS903)、再度指定時間になっていないか確認を行う(ステップS902)ようにする。この時のある程度の時間はユーザが指定する方法と開発者側が指定する方法といった様々な方法があるが特に制限はしない。指定時間が、開始時間804及び終了時間805となっている場合、CPU704は、パケット監視プログラム808によりユーザの一日に使用するパケット量が閾値に満たさないか確認を行う(ステップS904)。パケットが閾値を満たさない場合、電話部705から電話機706に対して呼び出し信号を発信するように制御を行う(ステップS905)。
【0057】
ユーザが、発信音に反応し電話機706をオフフック(受話器を上げている状態)にした場合、CPU704はあらかじめメモリ711に保存された音声ファイル801を受話器に向かって再生させる。また、呼び出し信号を発信した際にオフフックとなっていた場合は呼び出し信号を停止させる(ステップS907)。電話機706がオフフックの状態又はオンフックからオフフックの状態に切り替わることでユーザの安否を確認できたため、再度ユーザ安否確認のためのループに戻る(ステップS902、ステップS903)。
【0058】
呼び出し信号を発信してもオンフックの状態である場合、緊急連絡先へ通知を行う(ステップS906)。緊急連絡先の通知先はあらかじめ緊急連絡先格納領域803に登録した宛先に発信を行い、音声ファイル801に登録された状況を連絡することで通知を行い、フローが終了する(ステップS908)。なお、緊急連絡先への通知先だが、通信状況により優先度を変更できるものとする。
【0059】
[変形例]
本実施形態の通信装置1001は下記の通りにも実施可能である。
【0060】
図9における電話機での通知(ステップS905)は、
図10のUSB部1003を用いたスマートスピーカー1005や無線送受信部1004を用いたスマートスピーカー1006に置き換えてもよい。基本的なフローは
図9と同様であるが、この場合、呼び出し信号は発信しない。音声ファイルはスマートスピーカーに向かって再生させるものとし、電話機をオフフックにすることで解除される。
【0061】
図9における電話機での通知(ステップS905)は、
図10に示す通り、通信装置1001に内蔵されるスピーカ1007に置き換えてもよい。基本的なフローは
図9と同様であるが、この場合、呼び出し信号は発信しない(ステップS905)。音声ファイルは内蔵スピーカに向かって再生させるものとする。電話機をオフフックにすることで解除される。
【0062】
図8の緊急連絡先の例として、家族、救急、自治体と挙げているが、いきなり救急への連絡を行うと社会的に混乱が起きてしまうので、優先順位を設けられる構成であってもよい。優先順位の決め方としての一例を
図11に示す。この方法では連絡先に応じて通信量閾値を定め、閾値以下の場合に各連絡先に連絡が行くものとしてよい。
【0063】
図8に緊急連絡先の例として、家族、救急、自治体と挙げているが、いきなり救急への連絡を行うと社会的に混乱が起きてしまうので、上記と同様に優先順位を設けられる構成であってもよい。優先順位の決め方としての別の一例を
図12及び
図13に示す。この方法では、WEB GUI上の自動選択を選ぶ(
図12)ことで、
図13に従って連絡先の範囲を決定する。連絡先の決め方は直近30日の通信量計測で、μを平均値、σを標準偏差とした場合にμ-1σ以下かつμ-2σより大きい場合には家族に連絡する。μ-2σ以下かつμ-3σより大きい場合には家族と自治体に連絡する。μ-3σ以下の場合には全てに連絡するという構成であってもよい。
【0064】
本発明では、急な来客により通信量が増加する場合がある。この場合の対策の一例を
図14に示す。ユーザの使用するデバイスのMACアドレス選択し、監視対象を定めることで急な来客による通信量増加を防止する構成であってもよい。
【0065】
本発明において、パケット情報量での判別のみならず、HGWに記憶されたMACアドレスのデバイスが帰属されたり、HGWの帰属先にipアドレスが配下に新しく割り振られたりすることで周辺に対象者がいると認識してもよい。
【0066】
[効果の説明]
本実施形態の通信装置701では、HGW装置とIP電話とを備えることで安否確認システムが手軽に導入可能である。また上記の通りHGW装置のみの設定を変更することで安否確認を対象者の生活態様により柔軟に適合させて実行することが可能である。
【0067】
前述の実施形態の一部又は全部は、以下の各付記のようにも記載することができる。しかしながら、以下の各付記は、あくまでも、本発明の単なる例示に過ぎず、本発明は、かかる場合のみに限るものではない。
[付記1]
上述の第一の視点に係る通信装置のとおりである。
[付記2]
判断部は、計量部で計量された所定期間内のパケットの量の最小値を取得し、前記最小値に応じて安否確認を行うか否かを判断する、好ましくは付記1の通信装置。
[付記3]
判断部は、計量部で計量されたパケットの量を示す数値が属する数値範囲に基づいて安否確認を行うか否かを判断する、好ましくは付記1の通信装置。
[付記4]
計量部は、さらに、所定期間に計量したパケットの量の推移を取得し、
判断部は、取得した所定期間のパケットの量の推移が、あらかじめ保持されているパケットの量の推移に対して所定の乖離度を示しているか否かで安否確認を行うか否かを判断する、好ましくは付記1の通信装置。
[付記5]
計量部は特定の端末から受信したパケットの量を計量し、
判断部は前記計量部にて計量した特定の端末からのパケットの量の計量結果に応じて安否確認を行うか否かを判断する、好ましくは付記1の通信装置。
[付記6]
確認部は、安否確認を行った場合に、所定の応答があるまで安否確認を行う、好ましくは付記1から5のいずれか一の通信装置。
[付記7]
確認部は、安否確認を利用者の電話機に架電することで行い、前記電話機がオンフックの状態からオフフックの状態になるとの応答があるか否かにより安否確認を行う、好ましくは付記1から6のいずれか一の通信装置。
[付記8]
確認部による安否確認の結果に応じてあらかじめ保持されている連絡先に通報を行う通報部を有する、好ましくは付記1から7のいずれか一の通信装置。
[付記9]
通報部は、保持されている通報先毎に通報を行うか否かを決定する、好ましくは付記8の通信装置。
[付記10]
端末から位置情報を取得する位置情報取得部をさらに有し、通報部は前記位置情報にも基づいて通報を行うか否かを決定する、好ましくは付記8又は9の通信装置。
[付記11]
上述の第二の視点に係る通信方法のとおりである。
[付記12]
上述の第三の視点に係るプログラムのとおりである。
なお、付記11及び付記12は、付記1と同様に、付記2~付記10に展開することが可能である。
【0068】
なお、引用した上記の特許文献等の各開示は、本書に引用をもって繰り込むものとする。本発明の全開示(特許請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の全開示の枠内において種々の開示要素(各請求項の各要素、各実施形態ないし実施例の各要素、各図面の各要素等を含む)の多様な組み合わせ、ないし、選択(部分的削除を含む)が可能である。すなわち、本発明は、特許請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。特に、本書に記載した数値範囲については、当該範囲内に含まれる任意の数値ないし小範囲が、別段の記載のない場合でも具体的に記載されているものと解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0069】
10、701、1001:通信装置
11:受信部
12:計量部
13:判断部
14:確認部
15:通報部
61、704:CPU
62、711:メモリ
63:入出力インタフェース
64:NIC
65:内部バス
710:タイマー
702:ネットワーク制御部
703:端末
705:電話部
706:電話機
707:緊急連絡先
708:無線LAN部
709:有線LAN部
712:WAN部
713:ONU
714:SIPサーバ
801:音声ファイル
802:見守り機能有効化判定
803:緊急連絡先格納領域
804:給電信号検出の開始時間
805:給電信号検出の終了時間
806:給電信号検出時間の間隔
807:制御用プログラム
808:パケット監視プログラム
809:パケット量学習プログラム
810:パケット処理量保存領域
1001:通信装置
1003:USB部
1004:無線送受信部
1005:スマートスピーカー
1006:スマートスピーカー
1007:スピーカ