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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023121517
(43)【公開日】2023-08-31
(54)【発明の名称】燃料電池システム及びその運転方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04694 20160101AFI20230824BHJP
   H01M 8/249 20160101ALI20230824BHJP
   H01M 8/04303 20160101ALI20230824BHJP
   H01M 8/04302 20160101ALI20230824BHJP
   H01M 8/04225 20160101ALI20230824BHJP
   H01M 8/04228 20160101ALI20230824BHJP
   H01M 8/04313 20160101ALI20230824BHJP
   H01M 8/10 20160101ALN20230824BHJP
【FI】
H01M8/04694
H01M8/249
H01M8/04303
H01M8/04302
H01M8/04225
H01M8/04228
H01M8/04313
H01M8/10 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022024896
(22)【出願日】2022-02-21
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107641
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 耕一
(74)【代理人】
【識別番号】100168273
【弁理士】
【氏名又は名称】古田 昌稔
(72)【発明者】
【氏名】川添 大輔
【テーマコード(参考)】
5H126
5H127
【Fターム(参考)】
5H126BB06
5H127AA06
5H127AB14
5H127AB17
5H127AC14
5H127BA02
5H127BA58
5H127BA60
5H127BB02
5H127BB12
5H127BB37
5H127DA01
5H127DA11
5H127DB69
5H127DC41
5H127DC49
(57)【要約】
【課題】燃料電池スタックの交換時における燃料電池システムの発電出力の低下を抑制するための技術を提供する。
【解決手段】本開示の燃料電池システム100は、複数の燃料電池スタック12と、複数の燃料電池スタック12が複数の目標運転率R1,R2及びR3を達成するように、複数の燃料電池スタック12の運転を制御する制御部140と、を備えている。複数の燃料電池スタック12は、同一の目標運転率を達成するように制御される2台以上の燃料電池スタックを含んでいてもよい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の燃料電池スタックと、
前記複数の燃料電池スタックが複数の目標運転率を達成するように、前記複数の燃料電池スタックの運転を制御する制御部と、
を備えた、
燃料電池システム。
【請求項2】
前記複数の燃料電池スタックは、同一の前記目標運転率を達成するように制御される2台以上の燃料電池スタックを含む、
請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項3】
同一の前記目標運転率を達成するように制御される前記複数の燃料電池スタックの群を発電ユニットと定義したとき、複数の発電ユニットが存在し、
前記複数の発電ユニットのそれぞれにおける前記燃料電池スタックの台数は、複数であり、
前記複数の発電ユニット間における前記燃料電池スタックの台数の差が1以下である、
請求項1又は2に記載の燃料電池システム。
【請求項4】
前記目標運転率は、前記燃料電池スタックの交換時期、及び、同一の前記目標運転率を達成するように制御される前記燃料電池スタックの台数から選ばれる少なくとも1つを用いて算出される、
請求項1から3のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記目標運転率に対する実際の運転率の比率を表す運転率一致度に応じて、前記複数の燃料電池スタックにおいて優先的に運転する及び/又は休止させる前記燃料電池スタックを決定する、
請求項1から4のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
【請求項6】
前記制御部は、前記複数の燃料電池スタックの中から運転するべき前記燃料電池スタックを選ぶとき、前記運転率一致度が小さい前記燃料電池スタックを優先的に運転させる、
請求項5に記載の燃料電池システム。
【請求項7】
同一の前記目標運転率を達成するように制御される前記複数の燃料電池スタックの群を発電ユニットと定義したとき、複数の発電ユニットが存在し、
前記制御部は、前記複数の燃料電池スタックの中から運転するべき前記燃料電池スタックを選ぶとき、前記複数の発電ユニットに属する前記複数の燃料電池スタックの中から前記運転率一致度が最も小さい前記燃料電池スタックを選んで優先的に運転させる、
請求項5に記載の燃料電池システム。
【請求項8】
前記複数の燃料電池スタックが運転中であり、かつ、電力需要が減少したとき、前記制御部は、前記運転率一致度が大きい前記燃料電池スタックを優先的に休止させる、
請求項5から7のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
【請求項9】
同一の前記目標運転率を達成するように制御される前記複数の燃料電池スタックの群を発電ユニットと定義したとき、複数の発電ユニットが存在し、
前記複数の燃料電池スタックが運転中であり、かつ、電力需要が減少したとき、前記制御部は、前記複数の発電ユニットに属する前記複数の燃料電池スタックの中から前記運転率一致度が最も大きい前記燃料電池スタックを選んで優先的に休止させる、
請求項5から7のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
【請求項10】
複数の燃料電池スタックを備えた燃料電池システムの運転方法であって、
前記複数の燃料電池スタックが複数の目標運転率を達成するように、前記複数の燃料電池スタックの運転を制御することを含む、
燃料電池システムの運転方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、燃料電池システム及びその運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、複数の燃料電池スタックを備えた燃料電池システムを開示する。特許文献1には、複数の燃料電池スタックを順次交代して運転することによって、各燃料電池スタックの累積運転時間を短くし、これらの寿命を延ばすことが可能となることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5248711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、燃料電池スタックの交換時における燃料電池システムの発電出力の低下を抑制するための技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の燃料電池システムは、
複数の燃料電池スタックと、
前記複数の燃料電池スタックが複数の目標運転率を達成するように、前記複数の燃料電池スタックの運転を制御する制御部と、
を備えている。
【0006】
別の側面において、本開示は、
複数の燃料電池スタックを備えた燃料電池システムの運転方法であって、
前記複数の燃料電池スタックが複数の目標運転率を達成するように、前記複数の燃料電池スタックの運転を制御することを含む。
【発明の効果】
【0007】
本開示の技術によれば、燃料電池スタックの交換時における燃料電池システムの発電出力の低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1における燃料電池システムの構成を示すブロック図
図2】実施の形態1における燃料電池システムの電気回路の構成を示すブロック図
図3】実施の形態1における発電ユニットの構成を示すブロック図
図4】制御部が実行する処理を示すフローチャート
図5】各発電ユニットにおける燃料電池スタックの発電計画を示すタイミングチャート
図6】第1群から第3群に属する燃料電池スタックの単位期間における発電計画を示すタイミングチャート
図7】第1群から第3群に属する燃料電池スタックの単位期間における別の発電計画を示すタイミングチャート
【発明を実施するための形態】
【0009】
(本開示の基礎となった知見等)
本発明者が本開示に想到するに至った当時、複数の燃料電池スタックを順次交代して運転することによって、各燃料電池スタックの累積運転時間を短くし、これらの寿命を延ばすことが行われていた。
【0010】
複数の燃料電池スタックを順次交代して運転すると、複数の燃料電池スタックのそれぞれの累積運転時間が互いに略一致し、燃料電池スタックの劣化が均等に進む。この場合、同時期に集中して全ての燃料電池スタックが交換時期を迎えるので、燃料電池スタックの交換作業時における燃料電池システムの発電出力が大幅に低下する。場合によっては、燃料電池システムを完全に停止させる必要がある。
【0011】
燃料電池システムの発電出力が大幅に低下したりゼロになったりすることは、燃料電池システムの利便性を大幅に損なう可能性がある。そのため、燃料電池スタックの交換時における発電出力の低下を抑制するための技術が求められる。
【0012】
本発明者は、このような課題を発見し、その課題を解決するために、本開示の主題を構成するに至った。
【0013】
以下、図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。ただし、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、又は、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が必要以上に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0014】
なお、添付図面及び以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0015】
(実施の形態1)
以下、図1から図3を用いて、実施の形態1を説明する。
【0016】
[1-1.構成]
[1-1-1.燃料電池システムの構成]
図1は、実施の形態1の燃料電池システム100の構成を示すブロック図である。燃料電池システム100は、複数の発電ユニット101aから101c、燃料ガス供給経路111、及び、ガス排出経路112を備える。
【0017】
複数の発電ユニット101aから101cは、第1発電ユニット101a、第2発電ユニット101b、及び、第3発電ユニット101cを含む。発電ユニットの数は特に限定されない。発電ユニットの数は、2以上であってもよく、3以上であってもよく、4以上であってもよい。
【0018】
燃料電池システム100は、複数の燃料電池スタック12を含む。詳細には、発電ユニット101aから101cのそれぞれが複数の燃料電池スタック12を含む。図1の例では、第1発電ユニット101aは、複数の燃料電池スタック12として、燃料電池スタック12aから12dを含む。第2発電ユニット101bは、複数の燃料電池スタック12として、燃料電池スタック12eから12hを含む。第3発電ユニット101cは、複数の燃料電池スタック12として、燃料電池スタック12iから12lを含む。
【0019】
第1発電ユニット101aにおける燃料電池スタック12の台数、第2発電ユニット101bにおける燃料電池スタック12の台数、及び、第3発電ユニット101cにおける燃料電池スタック12の台数は、それぞれ、複数である。第1発電ユニット101a、第2発電ユニット101b、及び、第3発電ユニット101cの間における燃料電池スタック12の台数の差が1以下である。典型的には、第1発電ユニット101aに属する燃料電池スタック12の台数、第2発電ユニット101bに属する燃料電池スタック12の台数、及び、第3発電ユニット101cに属する燃料電池スタック12の台数は等しい。このような構成によれば、要求電力を満たすための発電計画を作成しやすい。ただし、発電ユニット101aから101cのそれぞれが燃料電池スタック12を1台のみ有していてもよい。
【0020】
発電ユニット101aから101cは、それぞれ、同一の目標運転率Rを達成するように制御される燃料電池スタック12の群を表す。第1発電ユニット101aは、第1の目標運転率R1を達成するように制御される燃料電池スタック12の群である。第2発電ユニット101bは、第2の目標運転率R2を達成するように制御される燃料電池スタック12の群である。第3発電ユニット101cは、第3の目標運転率R3を達成するように制御される燃料電池スタック12の群である。
【0021】
目標運転率Rは、運転率の目標値を表す。運転率は、所定の単位期間の長さに対する所定の単位期間あたりの発電時間の比率を表す。例えば、所定の単位期間が1日(24時間)であり、1日あたりの発電時間(運転時間)が12時間であるとき、運転率は0.5(百分率で50%)である。1日あたり12時間を目標として燃料電池スタック12の運転が制御されるとき、「0.5」の目標運転率が設定される。
【0022】
複数の目標運転率は、それぞれ、複数の交換時期に対応している。例えば、第1の目標運転率R1を達成するように燃料電池スタック12aから12dの運転を制御すると、燃料電池スタック12aから12dの交換時期は、燃料電池システム100の運用開始時点から5年後である。第1の目標運転率R1は、5年後の交換時期に対応している。
【0023】
なお、運転率は、燃料電池システム100の累積運転時間に対する燃料電池スタック12の累積運転時間の比率であってもよい。例えば、工場のような設備で燃料電池システム100を運用する場合、工場の生産計画に基づき、所定期間(例えば5年間)における燃料電池システム100の累積運転時間を予測できる。この場合、燃料電池スタック12の交換時期も予測できる。
【0024】
第1発電ユニット101aは、電装部品群13をさらに含む。電装部品群13は、制御基板及び通信装置を含む。制御基板は、第1発電ユニット101aの各種の機器を制御するための回路基板である。通信装置は、制御基板と必要なデータ通信を行うため装置である。
【0025】
同様に、第2発電ユニット101bは、電装部品群13をさらに含む。第3発電ユニット101cは、電装部品群13をさらに含む。
【0026】
第1発電ユニット101a、第2発電ユニット101b及び第3発電ユニット101cは、互いに同じ構成を有する。燃料電池スタック12の種類は1種類である。このような構成によれば、発電ユニットの数の増減、及び、燃料電池スタック12の数の増減によって、使用者のニーズ、特に要求電力に応じた燃料電池システム100を迅速かつ安価に提供できる。また、燃料電池スタック12の交換が容易である。
【0027】
本実施の形態では、発電ユニットの数が「3」である。図1では、1つの発電ユニットに対して1つの電装部品群13が設けられている。しかし、このことは必須ではない。電装部品群13は、燃料電池スタック12のそれぞれに対して設けられていてもよい。すなわち、燃料電池システム100は、ハードウェアの交換を伴うことなく、発電ユニットの組み換えが可能に構成されていてもよい。例えば、図1に示された12台の燃料電池スタック12を1つ、2つ又は4つの発電ユニットに分けることができる。
【0028】
燃料ガス供給経路111は、燃料電池システム100の外部に設置された水素含有ガス供給源110から複数の燃料電池スタック12に水素含有ガスを導く。ガス排出経路112は、複数の燃料電池スタック12から排出されたオフガスを燃料電池システム100の外部に導く。水素含有ガスは、例えば、水素ガスの体積含有率が99%以上の純水素ガスである。水素含有ガスは、水蒸気改質反応によって水及び炭化水素から生成された改質ガスであってもよい。
【0029】
図2は、燃料電池システム100の電気回路の構成を示すブロック図である。燃料電池システム100は、制御部140及び通信回路141を備える。制御部140は、通信回路141を通じて、発電ユニット101aから101cの電装部品群13と通信を行う。これにより、制御部140は、発電ユニット101aから101cにおける各機器を制御できる。
【0030】
制御部140は、複数の燃料電池スタック12が複数の目標運転率R1,R2及びR3を達成するように、複数の燃料電池スタック12の運転を制御する。詳細には、制御部140は、燃料電池スタック12のそれぞれが互いに異なる複数の目標運転率R1,R2及びR3のそれぞれを達成するように、燃料電池スタック12の運転を制御する。本実施の形態では、発電ユニット101aから101cのそれぞれに互いに異なる目標運転率R1,R2及びR3が割り当てられる。複数の目標運転率R1,R2及びR3は、第1発電ユニット101aのための第1の目標運転率R1、第2発電ユニット101bのための第2の目標運転率R2、及び、第3発電ユニット101cのための第3の目標運転率R3を含む。
【0031】
「目標運転率が割り当てられる」及び「目標運転率を設定する」の用語は、例えば、制御部140のプロセッサ(CPU)が目標運転率をレジスタ、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、磁気記憶装置等に記憶させることを意味する。目標運転率に関する情報は、発電ユニットに送信されてもよく、されなくてもよい。
【0032】
燃料電池スタック12の電圧は、累積使用時間に応じて低下する。電圧が閾値を下回った場合、該当する燃料電池スタック12を交換する必要がある。したがって、燃料電池スタック12の使用可能期間(単位:年)は、燃料電池スタック12の運転可能時間と単位期間あたりの発電時間とに応じて決まる。例えば、燃料電池スタック12の運転可能時間が60000時間であり、1日あたりの平均発電時間が12時間であるとき、燃料電池スタック12の使用可能期間は、60000/(12×365)≒13.7(年)である。
【0033】
複数の燃料電池スタック12の間で運転可能時間に差は無い。そのため、互いに異なる複数の目標運転率が設定されることによって、燃料電池スタック12の使用可能期間に差が生じる。すなわち、第1発電ユニット101aに属する燃料電池スタック12aから12dの交換時期、第2発電ユニット101bに属する燃料電池スタック12eから12hの交換時期、及び、第3発電ユニット101cに属する燃料電池スタック12iから12lの交換時期は、互いに異なる。例えば、第1発電ユニット101aに属する燃料電池スタック12aから12dの最初の交換時期は、燃料電池システム100の運用開始時点から5年後である。第2発電ユニット101bに属する燃料電池スタック12eから12hの最初の交換時期は、燃料電池システム100の運用開始時点から10年後である。第3発電ユニット101cに属する燃料電池スタック12iから12lの最初の交換時期は、燃料電池システム100の運用開始時点から15年後である。本実施の形態によれば、燃料電池スタック12の交換時期が同時期に集中することを回避できる。使用可能期間が経過した燃料電池スタック12の交換作業を進めながら、残りの燃料電池スタック12の運転を行うことができる。したがって、燃料電池スタック12の交換時における燃料電池システム100の発電出力の低下を抑制することができる。
【0034】
「交換時期」は、一定の幅を持った期間でありうる。例えば、燃料電池システム100の運用開始時点から5年後に第1発電ユニット101aに属する燃料電池スタック12の交換が必要である場合、交換時期は、5年±6ヵ月でありうる。
【0035】
燃料電池システム100において、複数の燃料電池スタック12は、同一の目標運転率を達成するように制御される2台以上の燃料電池スタック12を含む。本実施の形態では、第1発電ユニット101aに属する複数(4台)の燃料電池スタック12aから12dの目標運転率は同一である。同様に、第2発電ユニット101bに属する複数(4台)の燃料電池スタック12eから12hの目標運転率は同一である。第3発電ユニット101cに属する複数(4台)の燃料電池スタック12iから12lの目標運転率は同一である。このような構成によれば、同時期に2台以上の燃料電池スタック12の交換時期が到来するので、燃料電池スタック12の交換作業の回数を減らすことができる。
【0036】
燃料電池システム100は、送電回路130をさらに備える。送電回路130を通じて、燃料電池システム100によって生成された電力が燃料電池システム100の外部の電力負荷131へと供給される。
【0037】
[1-1-2.発電ユニットの構成]
図3は、第1発電ユニット101aの構成を示すブロック図である。第2発電ユニット101b及び第3発電ユニット101cも第1発電ユニット101aと同じ構成を有する。第1発電ユニット101aに関する以下の説明は、第2発電ユニット101b及び第3発電ユニット101cにも適用される。
【0038】
第1発電ユニット101aは、複数の燃料電池スタック12、燃料ガス圧力調整部14、燃料ガス供給経路15、エジェクタ16、混合ガス供給経路17、未反応燃料ガス循環経路18、酸化剤ガス供給部19、酸化剤ガス供給経路20、ガス排出経路112、スタック送電回路132、及び、電装部品群13を備える。
【0039】
燃料電池スタック12は、燃料ガス及び酸化剤ガスを用いて発電する。燃料ガスとして、水素含有ガスが用いられる。酸化剤ガスとして、空気が用いられる。燃料電池スタック12は、アノード121、カソード122及び電解質膜123を備える。アノード121には、水素含有ガスが供給される。カソード122には、空気が供給される。電解質膜123は、プロトンの移動を許容するプロトン伝導膜である。燃料電池スタック12は、例えば、固体高分子型燃料電池である。
【0040】
複数の燃料電池スタック12は、同一の構成を有する燃料電池スタックである。このような構成は、燃料電池スタック12の交換又はメンテナンスを容易にするとともに、燃料電池システム100のコストの低減に寄与する。
【0041】
燃料ガス圧力調整部14は、燃料ガス供給経路111と燃料ガス供給経路15とに接続されており、燃料ガス供給経路15を流れる水素含有ガスの圧力を調整する。水素含有ガスは、燃料ガス供給経路111を通じて、水素含有ガス供給源110(図1)から第1発電ユニット101aに供給される。
【0042】
未反応燃料ガス循環経路18は、各燃料電池スタック12のアノード121の出口とエジェクタ16とを接続している。未反応燃料ガス循環経路18を通じて、エジェクタ16に未反応混合ガスが供給される。未反応混合ガスは、アノード121から排出された未反応のガスである。燃料ガス供給経路15を通じて、エジェクタ16に水素含有ガスが供給される。エジェクタ16において、未反応混合ガスと水素含有ガスとが混合され、混合ガスが生成される。
【0043】
混合ガス供給経路17は、エジェクタ16の出口とアノード121の入口とを接続している。混合ガス供給経路17を通じて、各燃料電池スタック12のアノード121に混合ガスが供給される。
【0044】
燃料ガス圧力調整部14において水素含有ガスの圧力を調整することによって、混合ガス供給経路17における混合ガスの圧力を調整することができる。これにより、燃料電池スタック12のアノード121における混合ガスの圧力を調整することができる。
【0045】
エジェクタ16は、燃料ガス供給経路15と未反応燃料ガス循環経路18との合流部に配置されている。
【0046】
酸化剤ガス供給部19は、各燃料電池スタック12のカソード122に空気を供給する。酸化剤ガス供給部19は、例えば、空気ブロワを含む。
【0047】
酸化剤ガス供給経路20は、酸化剤ガス供給部19と各燃料電池スタック12のカソード122の入口とを接続している。酸化剤ガス供給経路20を通じて、各燃料電池スタック12のカソード122に空気が供給される。
【0048】
ガス排出経路112は、燃料電池スタック12のカソード122から排出された空気を第1発電ユニット101aの外部へと導く経路である。
【0049】
電装部品群13は、制御部(図示せず)を含み、第1発電ユニット101a及び第1発電ユニット101aに搭載された各種の機器を制御する。この制御部は、制御機能を有するものであれば特に限定されず、例えば、演算処理部(図示せず)と制御プログラムを記憶する記憶部(図示せず)とを備える。演算処理部としては、CPUが例示される。記憶部としては、メモリが例示される。
【0050】
電装部品群13は、通信回路141を通じて、燃料電池システム100の制御部140と通信可能である。制御部140からの指示に基づいて、第1発電ユニット101a及び第1発電ユニット101aに搭載された各種の機器が制御される。各種の機器には、弁、ポンプ、電気ヒータなどが含まれる。
【0051】
アノード121のガス拡散の性能などから、アノード121に供給された混合ガスを全て発電に使用することは困難である。発電に使用されなかった未反応混合ガスがアノード121から排出される。未反応混合ガスを廃棄すると、未反応混合ガスに含まれた水素ガスが無駄になり、燃料電池システム100の効率が低下する。本実施の形態によれば、エジェクタ16において、未反応混合ガスと水素含有ガスとが混合され、混合ガスが得られる。混合ガスが燃料電池スタック12のアノード121に供給される。これにより、水素ガスの無駄を減少させ、第1発電ユニット101aの高効率化を図ることができる。
【0052】
燃料電池スタック12において生成された電力は、電装部品群13によって直流から交流に変換され、送電回路130を通じて電力負荷131に送られる。
【0053】
燃料電池システム100においては、制御部140から送信された指示によって、第1発電ユニット101aの発電出力、すなわち、燃料電池スタック12の運転が制御される。これにより、燃料電池システム100の全体の発電出力が調整される。
【0054】
[1-2.動作]
以上のように構成された燃料電池システム100について、その動作を以下説明する。
【0055】
図4は、制御部140が実行する処理を示すフローチャートである。ステップS1において、制御部140は、発電を開始すべき旨の発電指示があるまで待機する。このような指示は、使用者による入力によるものであってもよく、タイマーの作動によるものであってもよく、制御部140と通信可能な外部機器から燃料電池システム100に向けて送信されたものであってもよい。
【0056】
発電指示を受け取ることに応じて、制御部140は発電計画を受信、作成又は読み出す(ステップS2)。発電計画は、発電指示とともに外部から燃料電池システム100に送信されてもよく、発電指示を受け取ることに応じて制御部140で作成されてもよく、制御部140の記憶装置に予め記憶されていてもよい。例えば、電力負荷131が6kWの発電出力を必要とするとき、6kWの要求電力を表す情報が制御部140に入力される。制御部140は、6kWの発電出力を達成するために、発電ユニット101aから101cにおける燃料電池スタック12の発電計画(運転計画)を作成する。以下において、燃料電池スタック12の定格出力は1kWと仮定する。
【0057】
発電計画には、全体目標運転率R0が含まれていてもよい。全体目標運転率R0は、全ての燃料電池スタック12の目標運転率の平均値であり、要求電力に基づいて決定されうる。
【0058】
次に、制御部140は、全体目標運転率R0を達成するように、互いに異なる目標運転率R1,R2及びR3を発電ユニット101aから101cのそれぞれに設定する(ステップS3)。目標運転率R1,R2及びR3は、第1の目標運転率R1、第2の目標運転率R2、及び、第3の目標運転率R3を含む。
【0059】
ここで、単位期間が1日(24時間)であり、全体目標運転率R0が50%であると仮定する。一例において、第2発電ユニット101bの燃料電池スタック12には、全体目標運転率R0に等しい運転率、すなわち、第2の目標運転率R2=50(%)が割り当てられる。第1発電ユニット101aの燃料電池スタック12には、全体目標運転率R0よりも大きい運転率、例えば、第1の目標運転率R1=75(%)が割り当てられる。この場合、第3発電ユニット101cの燃料電池スタック12に割り当てられる第3の目標運転率R3は、下記式(1)によって求められ、目標運転率R3=25(%)となる。式(1)において、M1は、第1発電ユニット101aの燃料電池スタック12の台数を表す。M2は、第2発電ユニット101bの燃料電池スタック12の台数を表す。M3は、第3発電ユニット101cの燃料電池スタック12の台数を表す。
【0060】
R0=(M1・R1+M2・R2+M3・R3)/(M1+M2+M3)・・・(1)
【0061】
式(1)によれば、目標運転率は、同一の目標運転率を達成するように制御される燃料電池スタック12の台数を用いて算出される。
【0062】
図5は、発電ユニット101aから101cにおける燃料電池スタック12の発電計画を示すタイミングチャートである。詳細には、図5(a)は、第1発電ユニット101aにおける燃料電池スタック12aから12dの発電計画を示している。図5(b)は、第2発電ユニット101bにおける燃料電池スタック12eから12hの発電計画を示している。図5(c)は、第3発電ユニット101cにおける燃料電池スタック12iから12lの発電計画を示している。図5(a)から(c)において、4つの棒グラフは、それぞれ、4台の燃料電池スタック12の発電期間を示している。空白の期間は、休止期間である。「発電期間」は、燃料電池スタック12が電力を生成している期間である。「発電期間」は、燃料電池スタック12が概ね定格出力で電力を生成している期間であってもよい。「休止期間」は、燃料電池スタック12が電力を生成していない期間である。休止期間において、燃料電池スタック12は、発電のための準備が整った状態にあってもよく、完全に停止した状態であってもよい。
【0063】
発電ユニット101aから101cのそれぞれにおいて、発電期間と休止期間とが単位期間(24時間)内に含まれるように、燃料電池スタック12のそれぞれが運転される。これにより、発電ユニット101aから101cのそれぞれに設定された目標運転率R1,R2及びR3が達成される。
【0064】
図5(a)に示すように、第1発電ユニット101aには第1の目標運転率R1(=75%)が割り当てられている。そのため、単位期間内のどの瞬間においても4台中3台の燃料電池スタック12が発電中である。第1発電ユニット101aにおいて、燃料電池スタック12の運転時間は18時間であり、休止時間は6時間である。運転中の燃料電池スタック12と休止中の燃料電池スタック12との組み合わせは6時間ごとに切り替わる。
【0065】
図5(b)に示すように、第2発電ユニット101bには第2の目標運転率R2(=50%)が割り当てられている。そのため、単位期間内のどの瞬間においても4台中2台の燃料電池スタック12が発電中である。第2発電ユニット101bにおいて、燃料電池スタック12の運転時間は12時間であり、休止時間は12時間である。運転中の燃料電池スタック12と休止中の燃料電池スタック12との組み合わせは6時間ごとに切り替わる。
【0066】
図5(c)に示すように、第3発電ユニット101cには第3の目標運転率R3(=25%)が割り当てられている。そのため、単位期間内のどの瞬間においても4台中1台の燃料電池スタック12が発電中である。第3発電ユニット101cにおいて、燃料電池スタック12の運転時間は6時間であり、休止時間は18時間である。運転中の燃料電池スタック12と休止中の燃料電池スタック12との組み合わせは6時間ごとに切り替わる。
【0067】
燃料システム100において、要求電力(6kW)を生成することができる必要最小限の台数(図5の例では6台)の燃料電池スタック12が同時に運転されている。
【0068】
24時間の単位期間において、第3発電ユニット101cの燃料電池スタック12の運転時間は、第1発電ユニット101aの燃料電池スタック12の運転時間の1/3倍である。第2発電ユニット101bの燃料電池スタック12の運転時間は、第1発電ユニット101aの燃料電池スタック12の運転時間の2/3倍である。
【0069】
したがって、第2発電ユニット101bの燃料電池スタック12の使用可能期間T2は、第1発電ユニット101aの燃料電池スタック12の使用可能期間T1の1.5倍である。第3発電ユニット101cの燃料電池スタック12の使用可能期間T3は、第1発電ユニット101aの燃料電池スタック12の使用可能期間T1の3倍である。このように、目標運転率によって使用可能期間を設定することができる。
【0070】
次に、ステップS4において、目標運転率R1,R2又はR3を達成するように、各燃料電池スタック12の運転を制御する。
【0071】
制御部140は、ステップS5において停止指示を受け取ると、ステップS6において、全ての燃料電池スタック12を停止させる。
【0072】
一方、ステップS7において、全体目標運転率R0の変更の有無を判断する。全体目標運転率R0は、例えば、要求電力の変化などに応じて制御部140に入力される。
【0073】
全体目標運転率R0が変更された場合、ステップS8において、制御部140は、目標運転率R1,R2及びR3を再設定する。詳細には、変更後の全体目標運転率R0が達成され、かつ、燃料電池スタック12の交換時期が発電ユニットごとに分散するように、発電ユニット101aから101cにおける燃料電池スタック12の目標運転率R1,R2及びR3が設定される。
【0074】
その後、再設定された目標運転率R1,R2及びR3を達成するように燃料電池スタック12の運転が制御される(ステップS4)。
【0075】
本実施の形態によれば、燃料電池スタック12の交換時期を発電ユニット101a,101b及び101cごとに分散させることができる。そのため、同時期に交換するべき燃料電池スタック12の台数を削減できる。結果として、燃料電池スタック12の交換時における燃料電池システム100の発電出力の低下を抑制できる。
【0076】
[1-3.目標運転率の他の決定方法]
目標運転率は、発電ユニット101aから101cのそれぞれに属する燃料電池スタック12の台数以外の基準に基づいて決定されてもよい。例えば、燃料電池スタック12の所望の交換時期に基づいて目標運転率を算出し、算出した目標運転率を発電ユニットのそれぞれに割り当てることができる。
【0077】
まず、全体目標運転率R0が50%であり、燃料電池スタック12の最初の交換時期が5年後であり、5年周期で燃料電池スタック12の交換が行われるように複数の目標運転率を算出する。全体目標運転率R0は、要求電力に応じて決定される。
【0078】
説明のための計算を簡素化するために、目標運転率Rが50%のときの燃料電池スタック12の使用可能期間Tが15年であるとみなす。この場合、燃料電池スタック12は、15×365×24×0.5=65700(時間)の運転可能時間を有する。
【0079】
目標運転率Rが50%であり、かつ燃料電池スタック12の使用可能期間Tが15年であるとき、この目標運転率Rを第1の目標運転率R1として採用できる(下記条件1)。
【0080】
次に、全体目標運転率R0が50%、かつ、燃料電池スタック12の交換時期が5年周期の条件を満たすには、第2の目標運転率R2は、50%未満であることが求められる(下記条件2)。その場合の使用可能期間Tは、20年、25年、30年、又はそれ以上の5の倍数の年数のいずれかである。同様に、第3の目標運転率R3は、50%より大きいことが求められる(下記条件3)。その場合の使用可能期間Tは、5年又は10年である。
【0081】
ここで、第1の目標運転率R1が適用される燃料電池スタック12の使用可能期間Tを使用可能期間T1と定義する。第2の目標運転率R2が適用される燃料電池スタック12の使用可能期間Tを使用可能期間T2と定義する。第3の目標運転率R3が適用される燃料電池スタック12の使用可能期間Tを使用可能期間T3と定義する。第2の目標運転率R2が適用される燃料電池スタック12の台数M2のうち、単位期間中のある瞬間に運転状態にある燃料電池スタック12の台数がM2’で表される。第3の目標運転率R3が適用される燃料電池スタック12の台数M3のうち、単位期間中のある瞬間に運転状態にある燃料電池スタック12の台数がM3’で表される。m及びnは、それぞれ、整数の定数である。m及びnによって、使用可能期間T2及びT3が5の倍数の年数であることが理解される。
【0082】
条件(1)から(3)の下、下記式(2)から(7)を解くと、m=2、n=6、M1=4、M2=4、M2’=1、M3=4、M3’=3、R2=25、R3=75、T2=10、T3=30が求められる。
【0083】
(条件1)
R1=50(%)
T1=15(年)
【0084】
(条件2)
R2<50(%)
【0085】
(条件3)
100(%)>R3>50(%)
【0086】
T2=T1・R1/R2=5m<15・・・(2)
【0087】
T3=T1・R1/R3=5n>15・・・(3)
【0088】
M2’/M2=R2・・・(4)
【0089】
1≦M2’<M2・・・(5)
【0090】
M3’/M3=R3・・・(6)
【0091】
1≦M3’<M3・・・(7)
【0092】
よって、第1の目標運転率R1(50%)が割り当てられる燃料電池スタック12の台数は4台である。第2の目標運転率R2(25%)が割り当てられる燃料電池スタック12の台数は4台である。第3の目標運転率R3(75%)が割り当てられる燃料電池スタック12の台数は4台である。第1の目標運転率R1(50%)が割り当てられた複数の燃料電池スタック12を「第1群に属する燃料電池スタック」と表記する。第2の目標運転率R2(25%)が割り当てられた複数の燃料電池スタック12を「第2群に属する燃料電池スタック」と表記する。第3の目標運転率R3(75%)が割り当てられた複数の燃料電池スタック12を「第3群に属する燃料電池スタック」と表記する。
【0093】
第1群に属する燃料電池スタック12は15年ごとに交換時期を迎える。第3群に属する燃料電池スタック12は10年ごとに交換時期を迎える。第2群に属する燃料電池スタック12は30年ごとに交換時期を迎える。
【0094】
具体的には、燃料電池システム100の運用開始時点から10年後、第3群に属する燃料電池スタック12の1回目の交換が必要である。更にその5年後、第1群に属する燃料電池スタック12の1回目の交換が必要である。更にその5年後、第3群に属する燃料電池スタック12の2回目の交換が必要である。更にその10年後、第3群に属する燃料電池スタック12の3回目の交換、第1群に属する燃料電池スタック12の2回目の交換、及び、第2群に属する燃料電池スタック12の1回目の交換が必要である。
【0095】
上記の例によれば、全ての燃料電池スタック12の交換が重なる時期は、燃料電池システム100の運用開始時点から30年後である。30年後には燃料電池システム100の全体の刷新が必要である。そのため、燃料電池スタック12の交換時における燃料電池システム100の発電出力の低下について実質的に考慮する必要がない。
【0096】
本実施の形態によれば、燃料電池スタック12の交換を5年周期、かつ5の倍数の周期で計画的に実施できる。また、全ての燃料電池スタック12を同時期に交換する必要がない。一部の燃料電池スタック12のみを交換することによって、燃料電池スタック12の交換時における燃料電池システム100の発電出力の低下を抑制できる。
【0097】
図6は、第1群から第3群に属する燃料電池スタック12の単位期間における発電計画を示すタイミングチャートである。単位期間は24時間である。詳細には、図6(a)は、第3群に属する燃料電池スタック12の発電計画を示している。図6(b)は、第1群に属する燃料電池スタック12の発電計画を示している。図6(c)は、第2群に属する燃料電池スタック12の発電計画を示している。図6(a)から(c)のそれぞれにおいて、4つの棒グラフは、それぞれ、4台の燃料電池スタック12の発電期間を示している。空白の期間は、休止期間である。第1群-1、第1群-2、第1群-3、及び、第1群-4の表記は、それぞれ、第1群に属する燃料電池スタック12を表す。このことは、第2群及び第3群の表記にも適用される。
【0098】
また、燃料電池スタック12の交換時期を決定する方法としては、以下の方法も挙げられる。以下の方法では、第1の目標運転率R1が割り当てられる燃料電池スタック12の使用可能期間T1と第2の目標運転率R2が割り当てられる燃料電池スタック12の使用可能期間T2との間の期間の長さが、第2の目標運転率R2が割り当てられる燃料電池スタック12の使用可能期間T2と第3の目標運転率R3が割り当てられる燃料電池スタック12の使用可能期間T3との間の期間の長さに等しい。この場合の目標運転率R1,R2及びR3の算出方法を以下に説明する。
【0099】
例えば、燃料電池スタック12を連続使用した場合の使用可能期間が10年であると仮定する。運転可能時間は、10×24×365=87600(時間)である。使用可能期間T1が15年、使用可能期間T2が18年、使用可能期間T3が21年となるように、目標運転率R1,R2及びR3が定められる。使用可能期間T1,T2及びT3の間の期間は3年である。
【0100】
使用可能期間T1,T2及びT3から、目標運転率R1,R2及びR3は、下記式(8)(9)(10)を用いて算出される。
【0101】
100・10/T1=R1・・・(8)
100・10/T2=R2・・・(9)
100・10/T3=R3・・・(10)
【0102】
使用可能期間T1が15年であり、使用可能期間T2が18年であり、使用可能期間T3が21年であるとき、目標運転率R1,R2及びR3は、それぞれ、67%、56%及び48%となる。
【0103】
また、第1の目標運転率R1が割り当てられる燃料電池スタック12の群を第1群と定義する。第1群に属する燃料電池スタック12の台数がN1(台)で表される。第1群に属する燃料電池スタック12のうち、単位期間中のある瞬間に運転状態にある燃料電池スタック12の台数がN1’で表される。第2の目標運転率R2が割り当てられる燃料電池スタック12の群を第2群と定義する。第2群に属する燃料電池スタック12の台数がN2で表される。第2群に属する燃料電池スタック12のうち、単位期間中のある瞬間に運転状態にある燃料電池スタック12の台数がN2’で表される。第3の目標運転率R3が割り当てられる燃料電池スタック12の群を第3群と定義する。第3群に属する燃料電池スタック12の台数がN3で表される。第3群に属する燃料電池スタック12のうち、単位期間中のある瞬間に運転状態にある燃料電池スタック12の台数がN3’で表される。これらの条件の下、下記式(11)(12)及び(13)が成り立つ。
【0104】
100・N1’/N1=R1・・・(11)
100・N2’/N2=R2・・・(12)
100・N3’/N3=R3・・・(13)
【0105】
式(8)から(13)を用い、N1からN3及びN1’からN3’の最小の整数値として、N1=3(台)、N2=9(台)、N3=2(台)、N1’=2(台)、N2’=5(台)、N3’=1(台)が求められる。
【0106】
目標運転率R1,R2及びR3が決まっているため、N1’からN3’の値は、N1からN3の値が決まれば自動的に決まる。実際の燃料電池システムにおけるN1からN3の値は、燃料電池システムの発電能力、各群の間で許容される燃料電池スタック12の台数の差、燃料電池システムに搭載できる燃料電池スタック12の台数に応じて決めることができる。
【0107】
例えば、単一の燃料電池スタック12の単位期間あたりの発電量が100kWhであり、燃料電池スタック12の交換時期を除いて単位期間あたり最低1600kWhの総発電量が燃料電池システム100に要求されると仮定する。この場合、N1=6(台)、N2=9(台)、N3=6(台)の値を設定することによって、上記式(11)(12)及び(13)から、N1’=4(台)、N2’=5(台)、N3’=3(台)が求められる。したがって、単位期間あたりの総発電量が1700kWhを達するように、燃料電池スタック12の台数を決めることができる。
【0108】
このように、使用可能期間T3を決定し、決定した使用可能期間T3に基づいて目標運転率及び必要な燃料電池スタック12の台数を算出することができる。
【0109】
図7は、第1群から第3群に属する燃料電池スタック12の単位期間における発電計画を示すタイミングチャートである。単位期間は24時間である。詳細には、図7(a)は、第1群に属する燃料電池スタック12の発電計画を示している。図7(b)は、第2群に属する燃料電池スタック12の発電計画を示している。図7(c)は、第3群に属する燃料電池スタック12の発電計画を示している。図7(a)から(c)において、4つの棒グラフは、それぞれ、4台の燃料電池スタック12の発電期間を示している。空白の期間は、休止期間である。第1群-1、第1群-2、第1群-3、第1群-4、第1群-5、及び、第1群-6の表記は、それぞれ、第1群に属する燃料電池スタック12を表す。このことは、第2群及び第3群の表記にも適用される。
【0110】
[1-4.効果等]
以上のように、燃料電池システム100において、制御部140は、複数の燃料電池スタック12が複数の目標運転率R1,R2及びR3を達成するように、複数の燃料電池スタック12の運転を制御する。
【0111】
複数の目標運転率R1,R2及びR3が設定されることによって、燃料電池スタック12の使用可能期間に差が生じる。燃料電池スタック12の交換時期が同時期に集中することを回避できる。使用可能期間が経過した燃料電池スタック12の交換作業を進めながら、残りの燃料電池スタック12の運転を行うことができる。したがって、燃料電池スタック12の交換時における燃料電池システム100の発電出力の低下を抑制することができる。
【0112】
また、本実施の形態において、複数の燃料電池スタック12は、同一の目標運転率を達成するように制御される2台以上の燃料電池スタック12を含んでいてもよい。
【0113】
これにより、同時期に2台以上の燃料電池スタック12の交換時期が到来するので、燃料電池スタック12の交換作業の回数を減らすことができる。
【0114】
また、本実施の形態において、同一の目標運転率を達成するように制御される複数の燃料電池スタック12の群を発電ユニットと定義したとき、複数の発電ユニット101a,101b及び101cが存在してもよい。複数の発電ユニット101a,101b及び101cのそれぞれにおける燃料電池スタックの台数は、複数であってもよい。複数の発電ユニット101a,101b及び101c間における燃料電池スタック12の台数の差が1以下であってもよい。
【0115】
これにより、特定の交換時期に交換すべき燃料電池スタック12の台数と他の交換時期に交換すべき燃料電池スタック12の台数とが略一致する。そのため、燃料電池スタック12の交換時における燃料電池システム100の発電出力の低下も概ね等しい。
【0116】
また、本実施の形態において、目標運転率は、燃料電池スタック12の交換時期、及び、同一の目標運転率を達成するように制御される燃料電池スタック12の台数から選ばれる少なくとも1つを用いて算出されうる。
【0117】
これにより、燃料電池スタック12の交換を計画的に実施することができる。
【0118】
(実施の形態2)
実施の形態2は、実際の運転率を目標運転率に近づけるための技術を提供する。
【0119】
[2-1.動作]
制御部140は、所定期間における燃料電池システム100の運転率α、及び、所定期間における各燃料電池スタック12の運転率ξを逐次算出して記憶する。所定期間は、例えば、燃料電池システム100の運用開始時点から1年後までの期間(1年間)である。1年の期間には、発電期間と休止期間とが含まれる。
【0120】
燃料電池システム100の運転率αは、下記の式(14)に基づいて算出される。
【0121】
α=W1/W0・・・(14)
W1:所定期間における燃料電池システム100の累積発電量
W0:全ての燃料電池スタック12が所定期間の全期間にわたって運転したと仮定したときの燃料電池システム100の累積発電量
【0122】
各燃料電池スタック12の運転率ξは、下記式(15)に基づいて算出される。
【0123】
ξ=w1/w0=t1/t0・・・(15)
w1:所定期間における燃料電池スタック12の累積発電量
w0:燃料電池スタック12が所定期間の全期間にわたって運転したと仮定したときの当該燃料電池スタック12の累積発電量
t1:所定期間における燃料電池スタック12の累積発電時間
t0:所定期間における燃料電池スタック12の累積発電時間と累積休止時間との合計
【0124】
発電計画に沿って各燃料電池スタック12が運転され、これにより、燃料電池システム100が必要な電力を生成する。発電計画が決まれば、結果として運転率αも決まる。言い換えれば、運転率αは、発電計画を実現するための運転比率である。
【0125】
ここで、要求電力は、常に一定とは限らず、時間とともに変化することがある。例えば、電力負荷が工場の設備であることを想定すると、要求電力に極端な変化はないが、日々の小さい変化はありうる。
【0126】
要求電力に応じて発電計画が日々変化すると、燃料電池システム100の運用開始時点から日が浅い段階では、運転率αも日々変化する。ただし、運用開始時点から一定期間(例えば1年)が経過すると、運転率αは一定の値に収束する。運転率αが一定値に収束する段階においては、当日に算出される運転率αは、次の日に算出される運転率αに概ね等しい。この運転率αは、全ての燃料電池スタック12の平均の目標運転率Rに設定されうる。
【0127】
例えば、燃料電池システム100の運転率αが50%のとき、燃料電池スタック12の平均の目標運転率Rも50%である。燃料電池システム100が30台の燃料電池スタック12を有し、30台の燃料電池スタック12をA群、B群、C群の3つの群に10台ずつ分けると仮定する。この場合、A群の目標運転率RAが75%、B群の目標運転率RBが50%、及び、C群の目標運転率RCが25%に設定されうる。A群は、実施の形態1における第1発電ユニット101aに対応する。B群は、実施の形態1における第2発電ユニット101bに対応する。C群は、実施の形態1における第3発電ユニット101cに対応する。
【0128】
A群に属するn号機の燃料電池スタック12の運転率ξAnは、下記式(16)によって表される。
【0129】
運転率ξAn=T1An/T0An・・・(16)
T1An:A群のn号機の燃料電池スタック12の累積発電時間
T0An:A群のn号機の燃料電池スタック12の累積発電時間と累積休止時間との合計
n:1から10の整数
【0130】
運転率ξAnが目標運転率RAに一致することが理想である。しかし、実際には日々の要求電力の変化に合わせて燃料電池スタック12は発電したりしなかったりする。そのため、運転率ξAnと目標運転率RAとの間に差が生じる。運転率ξAnと目標運転率RAとの間の差は、下記式(17)の運転率一致度γAnで表すことができる。
【0131】
γAn=ξAn/RA・・・(17)
【0132】
理想と現実とが一致すれば運転率一致度γは「1」である。そのため、A群の燃料電池スタック12の運転率一致度γA1,γA2・・・γA10のそれぞれが「1」に収束することが望ましい。運転率一致度γが1未満のとき、該当する燃料電池スタック12の運転率は目標値よりも低い。運転率一致度γが1より大きいとき、該当する燃料電池スタック12の運転率は目標値よりも高い。
【0133】
同様に、B群及びC群においても、運転率一致度γBn及びγCnを算出することができる。運転率一致度γBn及びγCnのそれぞれの値も「1」に収束することが望ましい。
【0134】
上記の運転率一致度γAn,γBn及びγCnは、優先的に運転する燃料電池スタック12を選定するときに使用されうる。運転率一致度γAn,γBn及びγCnは、優先的に休止させる燃料電池スタック12を選定するときにも使用されうる。制御部140は、目標運転率Rに対する実際の運転率ξの比率を表す運転率一致度γに応じて、複数の燃料電池スタック12において優先的に運転する及び/又は休止させる燃料電池スタック12を決定する。
【0135】
例えば、燃料電池システム100が発電計画に従って一定の発電出力を維持しているときに要求電力が増加すると、新たに発電する燃料電池スタック12を選定する必要がある。この場合、制御部140は、休止状態にある燃料電池スタック12の中から少なくとも1台の燃料電池スタック12を選んで起動させる。一例において、制御部140は、複数の燃料電池スタック12の中から運転するべき燃料電池スタック12を選ぶとき、運転率一致度γが小さい燃料電池スタック12を優先的に運転させる。つまり、計画通りの発電期間に達する前に特定の燃料電池スタック12を運転させる。
【0136】
運転率一致度γの小さい燃料電池スタック12を選定するとき、A群に属する燃料電池スタック12の中で最も小さい運転率一致度γを有する燃料電池スタック12を選んでもよい。同様に、B群に属する燃料電池スタック12の中で最も小さい運転率一致度γを有する燃料電池スタック12を選んでもよい。C群に属する燃料電池スタック12の中で最も小さい運転率一致度γを有する燃料電池スタック12を選んでもよい。つまり、優先的に運転する燃料電池スタック12が群単位で選定されうる。
【0137】
ただし、A群、B群及びC群に属する全ての燃料電池スタック12の中から最も小さい運転率一致度γを有する燃料電池スタックを選定してもよい。例えば、制御部140は、複数の燃料電池スタック12の中から運転するべき燃料電池スタック12を選ぶとき、A群に属する複数の燃料電池スタック12、B群に属する複数の燃料電池スタック12、及び、C群に属する複数の燃料電池スタック12の中から運転率一致度γが最も小さい燃料電池スタック12を選んで優先的に運転させる。
【0138】
一方、燃料電池システム100が計画通りに一定の発電出力を維持しているときに要求電力が減少すると、新たに休止する燃料電池スタック12を選定する必要がある。この場合、制御部140は、運転状態にある燃料電池スタック12の中から少なくとも1台の燃料電池スタック12を選んで休止させる。一例において、複数の燃料電池スタック12が運転中であり、かつ、電力需要が減少したとき、制御部140は、運転率一致度γが大きい燃料電池スタック12を優先的に休止させる。つまり、発電計画通りの休止期間に達する前に特定の燃料電池スタック12を休止させる。
【0139】
運転率一致度γの大きい燃料電池スタック12を選定するとき、A群に属する燃料電池スタック12の中で最も大きい運転率一致度γを有する燃料電池スタック12を選んでもよい。同様に、B群に属する燃料電池スタック12の中で最も大きい運転率一致度γを有する燃料電池スタック12を選んでもよい。C群に属する燃料電池スタック12の中で最も大きい運転率一致度γを有する燃料電池スタック12を選んでもよい。つまり、優先的に休止する燃料電池スタック12が群単位で選定されうる。
【0140】
ただし、A群、B群及びC群に属する全ての燃料電池スタック12の中から最も大きい運転率一致度γを有する燃料電池スタックを選定してもよい。例えば、複数の燃料電池スタック12が運転中であり、かつ、電力需要が減少したとき、制御部140は、A群に属する複数の燃料電池スタック12、B群に属する複数の燃料電池スタック12、及び、C群に属する複数の燃料電池スタック12の中から運転率一致度γが最も大きい燃料電池スタック12を選んで優先的に休止させる。
【0141】
制御部140は、小さい運転率一致度γを有する燃料電池スタック12の運転を優先し、大きい運転率一致度γを有する燃料電池スタック12の休止を優先する。最終的には、運転率ξの平均値が目標運転率Rに収束する。運転率一致度γの平均値が1に収束する。結果として、意図する運転が可能となる。
【0142】
なお、各群の燃料電池スタック12の台数が同一であることは必須ではない。例えば、A群に9台、B群に10台、C群に11台のように、各群の燃料電池スタック12の台数が異なっていてもよい。
【0143】
[2-2.効果等]
以上のように、本実施の形態において、制御部140は、目標運転率Rに対する実際の運転率の比率ξを表す運転率一致度γに応じて、複数の燃料電池スタック12において優先的に運転する及び/又は休止させる燃料電池スタック12を決定する。
【0144】
これにより、燃料電池システム100に求められる発電出力を満たしながら、燃料電池スタック12の実際の運転率を目標運転率に近づけることができる。その結果、燃料電池スタック12の交換時期を合わせることができるので、燃料電池スタック12の交換時における燃料電池システム100の発電出力の低下を抑制できる。
【0145】
また、本実施の形態において、制御部140は、複数の燃料電池スタック12の中から運転するべき燃料電池スタック12を選ぶとき、運転率一致度γが小さい燃料電池スタック12を優先的に運転させてもよい。
【0146】
また、本実施の形態において、同一の目標運転率を達成するように制御される複数の燃料電池スタック12の群を発電ユニットと定義したとき、複数の発電ユニット101a,101b及び101cが存在してもよい。制御部140は、複数の燃料電池スタック12の中から運転するべき燃料電池スタック12を選ぶとき、複数の発電ユニット101a,101b及び101cに属する複数の燃料電池スタック12の中から運転率一致度γが最も小さい燃料電池スタック12を選んで優先的に運転させてもよい。
【0147】
また、本実施の形態において、複数の燃料電池スタック12が運転中であり、かつ、電力需要が減少したとき、制御部140は、運転率一致度γが大きい燃料電池スタック12を優先的に休止させてもよい。
【0148】
また、本実施の形態において、複数の燃料電池スタック12が運転中であり、かつ、電力需要が減少したとき、制御部140は、複数の発電ユニット101a,101b及び101cに属する複数の燃料電池スタック12の中から運転率一致度γが最も大きい燃料電池スタック12を選んで優先的に休止させてもよい。
【0149】
以上の態様によれば、燃料電池スタック12の実際の運転率ξのバラつきを抑えることができる。つまり、複数の燃料電池スタック12の劣化を均一化できる。
【0150】
(他の実施の形態)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態1及び2を説明した。ただし、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用できる。また、上記実施の形態1及び2で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。
【0151】
そこで、以下、他の実施の形態を例示する。
【0152】
本実施の形態では、同一の発電ユニットに属する燃料電池スタック12に同一の目標運転率が設定される。ただし、このことは必須ではない。発電ユニットは、それぞれ少なくとも1台の燃料電池スタック12を含む複数の群を含んでいてもよく、各群に互いに異なる目標運転率が割り当てられてもよい。また、複数の群は、複数の発電ユニットにまたがって設定されてもよく、各群に互いに異なる目標運転率が割り当てられてもよい。
【0153】
これにより、燃料電池システム100の設計の自由度を高めることができる。
【0154】
特定の発電ユニットに属する燃料電池スタック12の台数は、他の発電ユニットに属する燃料電池スタック12の台数と異なることがある。例えば、燃料電池スタック12の全台数が7台であるとき、2台の燃料電池スタック12に第1の目標運転率R1が割り当てられ、他の2台の燃料電池スタック12に第2の目標運転率R2が割り当てられ、残りの3台の燃料電池スタック12に第3の目標運転率R3が割り当てられてもよい。この場合、第1発電ユニットに属する燃料電池スタック12の台数が2台であり、第2発電ユニットに属する燃料電池スタック12の台数が2台であり、第3発電ユニットに属する燃料電池スタック12の台数が3台である。
【0155】
また、複数の燃料電池スタック12のそれぞれの交換時期を先に決定し、それらの交換時期に燃料電池スタック12の使用可能期間が経過するように目標運転率が設定されてもよい。
【0156】
これにより、交換時期を先に任意で決定することができるので、使用者の計画に合わせて燃料電池システム100を運転することが可能となる。
【0157】
また、特定の燃料電池スタック12に割り当てられる目標運転率は、単位期間における、燃料電池システム100の全発電能力に対する特定の燃料電池スタック12の発電能力の比率を用いて算出されてもよい。
【0158】
これにより、各交換時期において発電出力の低下のばらつきを考慮に入れて目標運転率が設定されうる。このことは、特に、燃料電池スタック12の交換中に発電出力のばらつきを抑制するように燃料電池システムを運転する場合に有効である。
【0159】
制御部140は、発電ユニット101aから101cを制御できる限り特に限定されない。発明の主題を表現する際に、発電ユニット101aから101cを制御する装置を、制御部140の他にも、制御手段又はそれらに類似する文言で表記する場合がある。制御部140は様々な態様で実現可能である。
【0160】
例えば、制御部140としてプロセッサを用いてもよい。制御部140としてプロセッサを用いれば、プログラムを格納している記憶媒体からプログラムをプロセッサに読み込ませ、プロセッサによりプログラムを実行することで、各種処理を実行することが可能となる。記憶媒体に格納されたプログラムを変更することで処理内容を変更できるので、制御内容の変更の自由度を高めることができる。プロセッサとしては、例えば、CPU(Central Processing Unit)、及び、MPU(Micro-Processing Unit)などがある。記憶媒体としては、例えば、ハードディスク、フラッシュメモリ、及び、光ディスクなどがある。
【0161】
また、制御部140として、プログラムの書き換えが不可能なワイヤードロジックを用いてもよい。制御部140としてワイヤードロジックを用いれば、処理速度の向上に有効である。ワイヤードロジックとしては、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などがある。
【0162】
また、制御部140として、プロセッサとワイヤードロジックとの組み合わせを用いてもよい。プロセッサとワイヤードロジックとを組み合わせて制御部140を実現すれば、ソフトウェア設計の自由度を高めつつ、処理速度を向上させることができる。また、制御部140と、制御部140と別の機能を有する回路とを、1つの半導体素子で構成してもよい。別の機能を有する回路としては、例えば、A/D・D/A変換回路などがある。また、制御部140は、1つの半導体素子で構成してもよいし、複数の半導体素子で構成してもよい。複数の半導体素子で制御部140を構成する場合、特許請求の範囲に記載の各制御を、互いに異なる半導体素子で実現してもよい。さらに、半導体素子と抵抗又はコンデンサなどの受動部品とを含む構成によって制御部140を構成してもよい。
【0163】
通信回路141は、制御部140と発電ユニット101aから101cとの通信を可能にするものである限り特に限定されない。発明の主題を表現する際に、制御部140と発電ユニット101aから101cとの通信を可能にする回路を、通信回路141の他にも、コミュニケータ、通信部、送受信手段、送受信部又はそれらに類似する文言で表記する場合がある。
【0164】
通信回路は様々な態様で実現可能である。例えば、通信回路は、制御部140と発電ユニット101aから101cとを有線で接続するように構成されていてもよく、制御部140と発電ユニット101aから101cとを無線で接続するように構成されていてもよい。制御部140と発電ユニット101aから101cとが有線で接続される場合、通信のセキュリティ性、及び、通信の安定性が向上する。
【0165】
有線接続の通信回路としては、例えば、Ethernet(イーサネット:登録商標)規格に基づく有線LAN、又は、光ファイバーケーブルを用いた有線接続などがある。
【0166】
無線接続の通信回路としては、基地局等の外部機器を介して無線接続する回路、制御部140と発電ユニット101aから101cとを直接無線接続する回路などがある。基地局等を介しての制御部140と発電ユニット101aから101cとの無線接続としては、例えば、WiFi(ワイファイ:登録商標)ルータと無線通信するIEEE802.11対応の無線LAN、第3世代移動通信システム(通称3G)、第4世代移動通信システム(通称4G)、IEEE802.16対応のWiMax(ワイマックス:登録商標)、LPWA(Low Power Wide Area)などがある。
【0167】
通信回路141として、制御部140と発電ユニット101aから101cとを直接無線接続する通信回路を用いれば、通信のセキュリティ性の向上に有効である。また、WiFi(ワイファイ:登録商標)ルータなどの中継機器が存在しない場所でも、燃料電池システム100と外部機器との通信が可能となる。制御部140と発電ユニット101aから101cとを直接無線接続する通信回路としては、例えば、Bluetooth(ブルートゥース:登録商標)による通信、ループアンテナを介したNFC(Near Field Communication)による通信、赤外線通信などがある。
【0168】
なお、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲又はその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0169】
本開示は、複数の燃料電池スタックを備えた燃料電池システムに適用可能である。本開示は、1台以上の燃料電池スタックを含む発電ユニットを3台以上備えた燃料電池システムに特に有用である。
【符号の説明】
【0170】
12,12a,12b,12c,12d,12e,12f,12g,12h,12i,12j,12k,12l 燃料電池スタック
13 電装部品群
14 燃料ガス圧力調整部
15 燃料ガス供給経路
16 エジェクタ
17 混合ガス供給経路
18 未反応燃料ガス循環経路
19 酸化剤ガス供給部
20 酸化剤ガス供給経路
100 燃料電池システム
101a 第1発電ユニット
101b 第2発電ユニット
101c 第3発電ユニット
110 水素含有ガス供給源
111 燃料ガス供給経路
112 ガス排出経路
121 アノード
122 カソード
123 電解質膜
130 送電回路
131 電力負荷
132 スタック送電回路
140 制御部
141 通信回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7