(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023121522
(43)【公開日】2023-08-31
(54)【発明の名称】収納装置
(51)【国際特許分類】
A47B 51/00 20060101AFI20230824BHJP
A47B 49/00 20060101ALI20230824BHJP
A47B 77/04 20060101ALI20230824BHJP
A47F 5/00 20060101ALI20230824BHJP
【FI】
A47B51/00 501C
A47B49/00 502K
A47B77/04 A
A47F5/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022024902
(22)【出願日】2022-02-21
(71)【出願人】
【識別番号】506360631
【氏名又は名称】株式会社三条工機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100097065
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 雅栄
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 豊
【テーマコード(参考)】
3B118
3B260
【Fターム(参考)】
3B118BB03
3B118BB15
3B118DA12
3B118DA13
3B118DA31
3B260EA00
3B260EA02
(57)【要約】
【課題】取付箇所のスペース確保が容易な収納装置を提供すること。
【解決手段】移動ガイド機構3は、取付基体1に対する移動収納体2の前後方向への移動をガイドする前後移動ガイド部4と、前後移動ガイド部4の前端部と連設状態に設けられて前後移動ガイド部4の前端部に至った移動収納体2の下方への降下移動をガイドする降下移動ガイド部5とを備え、降下移動ガイド部5は、下方へカーブする円弧形状のガイドに形成されていて、降下移動ガイド部5により移動収納体2が前方へ移動しつつ前側が徐々に下がり傾斜するように降下して、収納本体Aの前端部を避けながら取付基体1の前側下方の降下位置P2へ前下がり傾斜状態に配設されるように構成されている収納装置。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納本体に取付ける取付基体と、収納物を収納する移動自在な移動収納体と、前記収納本体に対する前記移動収納体の移動をガイドする移動ガイド機構とから構成され、
前記移動ガイド機構は、前記取付基体に対する前記移動収納体の前後方向への移動をガイドして移動収納体を前記収納本体に収納された収納位置から前方へ移動可能な前後移動ガイド部と、この前後移動ガイド部の前端部と連設状態に設けられて前後移動ガイド部の前方移動限位置に至った前記移動収納体の前記取付基体に対する下方への降下移動をガイドして移動収納体を取付基体の前側下方の降下位置へ移動可能な降下移動ガイド部とを備え、
この降下移動ガイド部は、下方へカーブする円弧形状のガイドに形成されていて、この降下移動ガイド部により前記移動収納体が前方へ移動しつつ前側が徐々に下がり傾斜するように降下して、前記収納本体の前端部を避けながら前記取付基体の前側下方の前記降下位置へ前下がり傾斜状態で配設されるように構成されていることを特徴とする収納装置。
【請求項2】
前記移動収納体に、この移動収納体の後方へ突出する形状の支持アームが設けられ、この支持アームが前記移動ガイド機構を介して前記取付基体に移動自在に取付けられていて、この支持アームが前記前後移動ガイド部に沿って前方へ移動した際に移動収納体が前記取付基体より前方へ配設されるように構成されていることを特徴とする請求項1記載の収納装置。
【請求項3】
前記取付基体に、前記移動ガイド機構を介して移動ベースが移動自在に設けられ、この移動ベースに前記移動収納体が昇降回動自在に枢着されていて、前記移動ベースが前記前後移動ガイド部の前端部に至った際にこの枢着部を支点に移動収納体が下方へ回動移動することにより移動収納体が前記降下位置へ前下がり傾斜状態に配設されるように構成されていると共に、前記枢着部には、少なくとも前記移動収納体を上昇回動付勢する付勢手段が設けられていることを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載の収納装置。
【請求項4】
前記移動収納体に、この移動収納体の後方へ突出する形状の支持アームが設けられ、
この支持アームが、前記移動ガイド機構を介して前記取付基体に移動自在に設けられている移動ベースに連結されていて、この移動ベースが前記前後移動ガイド部に沿って前方へ移動した際に前記移動収納体が前記取付基体より前方へ配設されるように構成されていると共に、
前記支持アームは、前記移動ベースに設けられている枢着部に昇降回動自在に枢着連結されていて、この支持アーム若しくは移動ベースが前記前後移動ガイド部の前端部に至った際に前記枢着部を支点に支持アームが下方へ回動移動することにより前記移動収納体が前記降下位置へ前下がり傾斜状態に配設されるように構成されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の収納装置。
【請求項5】
前記取付基体に、前記降下移動ガイド部に沿って円弧状のラック歯が設けられ、このラック歯に歯合する歯車が前記支持アームに設けられていて、前記降下移動ガイド部にガイドされた移動収納体の昇降移動に伴ってラック歯に対し歯車が回動しながら移動するように構成されていると共に、この歯車には、ダンパー機構による回動抵抗が付与されていて、この回動抵抗のある歯車が前記ラック歯に対し回動しながら移動することにより、前記支持アームの昇降移動が減速するように構成されていることを特徴とする請求項4記載の収納装置。
【請求項6】
前記移動ガイド機構は、前記支持アームに対する前記移動収納体の前後方向への移動をガイドする拡張前後移動ガイド部を備えて、前記移動収納体がこの拡張前後移動ガイド部に沿って前方へ移動すると共に、前記支持アームと前記移動ベースとが前記前後移動ガイド部に沿って前方へ移動した際に、移動収納体が前記取付基体より前方へ配設されるように構成されていることを特徴とする請求項4,5のいずれか1項に記載の収納装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吊戸棚や陳列棚などの収納本体から移動収納体を前側下方へ引出して収納物の出し入れを行うことができる収納装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
たとえばキッチンの吊戸棚や陳列棚などにおいて、棚部を底部開口部から下方に引き降ろして収納物を取り出したり載せて戻し上昇させたりして出し入れが容易となるものや、棚部を前方に引出して出し入れが容易となるものなど様々な昇降装置を備えた収納装置が提案されている。
【0003】
具体的には、高い位置に設けられた収納棚(吊戸棚や陳列棚など)と、収納棚に収納可能な収納体と、前記収納棚と収納体の左右両側部間に設けられた一対の昇降案内手段とを備え、前記収納棚内の収納位置と、前記収納棚の前方斜め下方の降下位置(使用位置)とにわたって、前記一対の昇降案内手段により収納体が昇降可能に構成されており、また、前記一対の昇降案内手段は、前側リンク部材及び後側リンク部材とをそれぞれ備えていると共に、前側リンク部材と後側リンク部材により平行リンク機構が構成されていて、前記収納体が前記収納位置から前記収納棚の前端部にぶつからないように前方へせり出しながら前記降下位置へと水平姿勢を維持したまま昇降可能に構成されている(下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1のように収納体の昇降機構に平行リンク機構が用いられているものは、この平行リンク機構により前記収納位置にある収納体が、一旦上昇方向に移動した後に弧状の軌跡を描きながら収納棚の手前側下方に降下するように構成されていることによって収納体が収納棚の前端部を避けて昇降移動するので、収納棚に対し収納体が収納位置から上昇移動するだけのスペース確保が必要であった(このような収納体の上昇移動スペースが確保できない場合には、平行リンク機構に加えて、収納棚から収納体を平行リンク機構ごと前方にスライド移動させるスライド機構を併用し、一旦収納体がスライド機構を介して前方へスライド移動した後で平行リンク機構を介して降下するような複雑な機構を採用する必要があった。)。
【0006】
また、平行リンク機構を用いると、収納体が大きく前方へせり出しながら前記降下位置へ降下してくるので、収納棚前方のスペース確保も必要であった。
【0007】
本発明は、この点、収納位置から収納体の上昇を伴うことなく降下位置へと引き出すことができると共に、降下する際の収納体の前方へのせり出しも小さく設計可能となる収納装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0009】
収納本体Aに取付ける取付基体1と、収納物を収納する移動自在な移動収納体2と、前記収納本体Aに対する前記移動収納体2の移動をガイドする移動ガイド機構3とから構成され、
前記移動ガイド機構3は、前記取付基体1に対する前記移動収納体2の前後方向への移動をガイドして移動収納体2を前記収納本体Aに収納された収納位置P1から前方へ移動可能な前後移動ガイド部4と、この前後移動ガイド部4の前端部と連設状態に設けられて前後移動ガイド部4の前方移動限位置に至った前記移動収納体2の前記取付基体1に対する下方への降下移動をガイドして移動収納体2を取付基体1の前側下方の降下位置P2へ移動可能な降下移動ガイド部5とを備え、
この降下移動ガイド部5は、下方へカーブする円弧形状のガイドに形成されていて、この降下移動ガイド部5により前記移動収納体2が前方へ移動しつつ前側が徐々に下がり傾斜するように降下して、前記収納本体Aの前端部を避けながら前記取付基体1の前側下方の前記降下位置P2へ前下がり傾斜状態で配設されるように構成されていることを特徴とする収納装置に係るものである。
【0010】
また、前記移動収納体2に、この移動収納体2の後方へ突出する形状の支持アーム7が設けられ、この支持アーム7が前記移動ガイド機構3を介して前記取付基体1に移動自在に取付けられていて、この支持アーム7が前記前後移動ガイド部4に沿って前方へ移動した際に移動収納体2が前記取付基体1より前方へ配設されるように構成されていることを特徴とする請求項1記載の収納装置に係るものである。
【0011】
また、前記取付基体1に、前記移動ガイド機構3を介して移動ベース8が移動自在に設けられ、この移動ベース8に前記移動収納体2が昇降回動自在に枢着されていて、前記移動ベース8が前記前後移動ガイド部4の前端部に至った際にこの枢着部9を支点に移動収納体2が下方へ回動移動することにより移動収納体2が前記降下位置P2へ前下がり傾斜状態に配設されるように構成されていると共に、前記枢着部9には、少なくとも前記移動収納体2を上昇回動付勢する付勢手段10が設けられていることを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載の収納装置に係るものである。
【0012】
また、前記移動収納体2に、この移動収納体2の後方へ突出する形状の支持アーム7が設けられ、
この支持アーム7が、前記移動ガイド機構3を介して前記取付基体1に移動自在に設けられている移動ベース8に連結されていて、この移動ベース8が前記前後移動ガイド部4に沿って前方へ移動した際に前記移動収納体2が前記取付基体1より前方へ配設されるように構成されていると共に、
前記支持アーム7は、前記移動ベース8に設けられている枢着部9に昇降回動自在に枢着連結されていて、この支持アーム7若しくは移動ベース8が前記前後移動ガイド部4の前端部に至った際に前記枢着部9を支点に支持アーム7が下方へ回動移動することにより前記移動収納体2が前記降下位置P2へ前下がり傾斜状態に配設されるように構成されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の収納装置に係るものである。
【0013】
また、前記取付基体1に、前記降下移動ガイド部5に沿って円弧状のラック歯11が設けられ、このラック歯11に歯合する歯車12が前記支持アーム7に設けられていて、前記降下移動ガイド部5にガイドされた移動収納体2の昇降移動に伴ってラック歯11に対し歯車12が回動しながら移動するように構成されていると共に、この歯車12には、ダンパー機構13による回動抵抗が付与されていて、この回動抵抗のある歯車12が前記ラック歯11に対し回動しながら移動することにより、前記支持アーム7の昇降移動が減速するように構成されていることを特徴とする請求項4記載の収納装置に係るものである。
【0014】
また、前記移動ガイド機構3は、前記支持アーム7に対する前記移動収納体2の前後方向への移動をガイドする拡張前後移動ガイド部6を備えて、前記移動収納体2がこの拡張前後移動ガイド部6に沿って前方へ移動すると共に、前記支持アーム7と前記移動ベース8とが前記前後移動ガイド部4に沿って前方へ移動した際に、移動収納体2が前記取付基体1より前方へ配設されるように構成されていることを特徴とする請求項4,5のいずれか1項に記載の収納装置に係るものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明は上述のように構成したから、取付基体が収納本体に取付けられることで収納本体に設置された移動収納体は、収納位置から移動ガイド機構の前後移動ガイド部を介して前方へ引き出されるように移動した後、移動ガイド機構の降下移動ガイド部を介して前方へ移動しつつ前側が徐々に下がり傾斜するように降下するので、収納本体の前端部を確実に避けながら取付基体の前側下方の降下位置へ前下がり傾斜状態に配設されて、この降下位置に存する移動収納体に対して収納物を容易に出し入れでき、しかも本発明の移動ガイド機構は、平行リンク機構を採用した場合のように、収納位置にある移動収納体が上昇移動を伴いつつ降下したり、大きく前方へせり出しながら降下する構成ではないので、この上昇移動や前方せり出しを考慮したスペース確保の必要がなく、取付場所の上部や前方にあまりスペースがないような収納本体に対しても使用できるように設計でき、尚且つ本発明の移動ガイド機構は、取付基体に対する移動収納体の前後方向への移動をガイドする前後移動ガイド部と、この前後移動ガイド部の前端部と連設状態に設けられて前後移動ガイド部の前端部に至った移動収納体の下方への降下移動をガイドする降下移動ガイド部とで足りる構成のため、平行リンク機構を要する従来の収納装置と比べて簡易構成で容易に設計実現可能となるなど、極めて実用性に優れた収納装置となる。
【0016】
また、請求項2記載の発明においては、移動収納体が支持アームを介して移動ガイド機構に取付けられていて支持アームが前後移動ガイド部に沿って前方へ移動した際に移動収納体が前記取付基体より前方へ配設されるように構成されているから、前後移動ガイド部のガイド長を支持アームが存在している分短くでき、それ故、この前後移動ガイドを含めた移動ガイド機構が体裁良く収納本体に収まるように設計することも容易に可能となるなど、一層実用性に優れた構成の収納装置となる。
【0017】
また、請求項3記載の発明においては、取付基体に対し移動収納体が昇降移動する構成と、取付基体に対し移動ガイド機構を介して移動収納体が移動する構成とを簡易構成にして容易に設計実現可能となり、しかも、付勢手段により移動収納体が上昇付勢されていることで、収納物が収納されている移動収納体を降下位置へ移動させる際には、安全な速度で移動収納体が降下移動することになると共に、降下位置にある移動収納体を上昇移動させる際には、重い収納物が収納されていても軽い力で上昇移動させることができるなど、一層実用性に優れた構成の収納装置となる。
【0018】
また、請求項4記載の発明においては、移動ガイド機構が体裁良く収納本体に収まるように設計することが容易に可能となり、しかも、取付基体に対し移動収納体が昇降移動する構成も、取付基体に対し移動ガイド機構を介して移動収納体が移動する構成も簡易に設計実現可能となるなど、一層実用性に優れた構成の収納装置となる。
【0019】
また、請求項5記載の発明においては、降下移動ガイド部を介した移動収納体の昇降移動がダンパー機構により減速されるので、重い収納物が収納された移動収納体を降下位置へ降下移動する際には勢いよく降下することなくこの降下移動が安全な速度で行われると共に、例えば移動収納体を上昇移動方向へ付勢する付勢手段を備えていた場合でも、移動収納体を上昇させる際には勢いよく上昇することなくこの上昇移動が安全な速度で行われるなど、一層実用性に優れた構成の収納装置となる。
【0020】
また、請求項6記載の発明においては、前記支持アームに対する前記移動収納体の前後方向への移動をガイドする拡張前後移動ガイド部を備えて、前記移動収納体がこの拡張前後移動ガイド部に沿って前方へ移動すると共に、前記支持アームと前記移動ベースとが前記前後移動ガイド部に沿って前方へ移動した際に、移動収納体が前記取付基体より前方へ配設されるように構成されているから、移動収納体が支持アームに対し前方へ移動して取付基体より前方へ配設される構造上、移動収納体の前後長を短くでき、それ故、この移動収納体が収納位置で体裁良く収納本体に収まるように設計することも容易に可能となるなど、一層実用性に優れた構成の収納装置となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本実施例を示す、移動収納体が収納位置に存する状態の概略説明斜視図である。
【
図3】
図1,
図2の状態から、移動収納体を支持アームに対し前方へスライド移動させた状態を示す概略説明斜視図である。
【
図5】
図3,
図4の状態から、移動収納体とともに支持アームと移動ベースを前方へスライド移動させた状態を示す概略説明斜視図である。
【
図7】
図5,
図6の状態から、移動収納体を支持アームとともに下方へ降下移動させて(移動収納体を降下位置に移動させて)この降下位置で上昇移動がロックされている状態を示す概略説明斜視図である。
【
図9】
図7,
図8の状態から、移動収納体を前方へ引動して上昇移動ロックを解除した状態を示す概略説明側面図である。
【
図10】
図9に続いて移動収納体を上昇移動させた後、移動収納体を後方へスライド移動させた状態を示す概略説明側面図、並びにこの状態での引出しロック機構の作動(ロック状態)を示す説明拡大側面図である。
【
図11】
図10に続いて移動収納体をさらに後方へスライド移動させた状態を示す概略説明側面図、並びにこの状態での引出しロック機構の作動(ロック解除直前の状態)を示す説明拡大側面図である。
【
図12】
図11の引出しロック機構を示す説明拡大斜視図である。
【
図13】
図11,
図12に続いて移動収納体をさらに後方へスライド移動させた状態、並びにこの状態での引出しロック機構の作動(ロック解除状態)を示す説明拡大側面図である。
【
図14】
図13の引出しロック機構を示す説明拡大斜視図である。
【
図15】
図13,
図14に続いて移動収納体をさらに後方へスライド移動させた状態、並びにこの状態での収納ロック機構の作動(ロック直前の状態)を示す説明拡大側面図である。
【
図16】
図15に続いて移動収納体をさらに後方へスライド移動させた状態、並びにこの状態での収納ロック機構の作動(ロック状態)を示す説明拡大側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の最適な実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示し簡単に説明する。
【0023】
取付基体1を収納本体Aに取付けると、収納物を収納する移動収納体2が移動ガイド機構3を介して収納本体Aに配設される。
【0024】
また、この移動収納体2は、移動ガイド機構3を介して取付基体1(収納本体A)に対し移動自在である。
【0025】
具体的には、移動ガイド機構3は、前記取付基体1に対する前記移動収納体2の前後方向への移動をガイドして少なくとも移動収納体2を前記収納本体Aに収納された収納位置P1から前方へ移動可能な前後移動ガイド部4と、この前後移動ガイド部4の前端部と連設状態に設けられ前後移動ガイド部4の前方移動限位置に至った前記移動収納体2の前記取付基体1に対する下方への降下移動をガイドして少なくとも移動収納体2を取付基体1の前側下方の降下位置P2へ移動可能な降下移動ガイド部5とを備えている。
【0026】
そのため、前記収納位置P1にある移動収納体2を前方へ移動させると、前記移動ガイド機構3を介して移動収納体2は前方へ引き出された後、下方に向かって降下移動することになる。
【0027】
また、この際、前記降下移動ガイド部5は、下方へカーブする円弧形状のガイドに形成されていて、この降下移動ガイド部5により前記移動収納体2が前方へ移動しつつ前側が徐々に下がり傾斜するように降下して、前記収納本体Aの前端部を避けながら前記取付基体1の前側下方の前記降下位置P2へ前下がり傾斜状態で配設される。
【0028】
従って、本発明によれば、平行リンク機構を要する従来の収納装置と比べて、収納位置にある移動収納体2が上昇移動を伴わず、平行運動を伴って水平姿勢を維持しつつ大きく前方へせり出しながら降下する構成でもないので、この上昇移動や前方せり出しを考慮したスペース確保の必要がなく、取付場所の上部や前方にあまりスペースがないような収納本体Aに対しても取付けて使用できるように設計可能である。
【0029】
また、本発明の移動ガイド機構3は、前記取付基体1に対する前記移動収納体2の前後方向への移動をガイドする前後移動ガイド部4と、この前後移動ガイド部4の前端部と連設状態に設けられて前後移動ガイド部4の前方移動限位置に至った前記移動収納体2の下方への降下移動をガイドする降下移動ガイド部5とで足りる構成のため、平行リンク機構を要する従来の収納装置と比べても簡易構成で容易に設計実現可能である。
【実施例0030】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0031】
本実施例の収納装置は、収納本体Aに取付ける取付基体1と、収納物を収納する移動自在な移動収納体2と、前記収納本体Aに対する前記移動収納体2の移動をガイドする移動ガイド機構3とから構成されている。
【0032】
また、図示した収納本体Aは、収納棚A(以下、本実施例では収納本体Aを収納棚Aと称して説明する。)を示しており、この収納棚Aの最上段の棚板上に本実施例の収納装置(取付基体1)が取付けられている場合を示しているが、この例に限らず、本実施例の収納装置は、収納棚Aの途中の段の棚板上に取付けられていても良い。
【0033】
本実施例の前記取付基体1は、左右一対の基板部14と、この左右の基板部14間に架設固定される複数の連結桟15とから構成されている。
【0034】
また、前記基板部14は、
図1,
図3,
図5に示すような前後方向に長さを有する長方形板状体に構成され、この基板部14が立てられた状態で左右に間隔を置いて対設され、この左右の基板部14の前端部の下部間と、後端部の上下部間との三箇所に前記連結桟15が架設固定されて、平面視方形枠状体の前記取付基体1が構成され、さらに左右の基板部14の下端部が、夫々の対向内側に向けて直角に折曲されて、この下端折曲片が収納棚Aの棚板(の上面)に面接状態に取付固定される取付脚部16として構成されている。
【0035】
本実施例の移動収納体2は、前記取付基体1内に収納配設可能な形態、すなわち前記左右の基板部14の前後幅よりもやや小さい前後幅を有すると共に、左右の基板部14間の対向間隔よりやや幅狭な左右幅寸法を有する平面視方形状で上部開口形の網カゴ状体に構成され、さらにこの移動収納体2の前端下部には、この移動収納体2が取付基体1内に収まっている収納位置P1で取付基体1から前方へ突出してこの移動収納体2を移動操作可能な把手17が突設されている。
【0036】
本実施例の移動ガイド機構3は、前記取付基体1に対する前記移動収納体2の前後方向への移動をガイドする前後移動ガイド部4と、この前後移動ガイド部4の前端部と連設状態に設けられて前後移動ガイド部4の前端部に至った前記移動収納体2の下方への降下移動及び降下した移動収納体2の上昇移動をガイドする降下移動ガイド部5(昇降移動ガイド部5)とを備えている。
【0037】
具体的には、前記取付基体1の左右の基板部14の夫々の対向内側面の上方側と下方側に、前後方向に長さを有する水平ストレート形状の第一ガイドレール18と第二ガイドレール19が付設されていて、この第一ガイドレール18と第二ガイドレール19とが前記前後移動ガイド部4として構成されており(取付基体1の左右両側に前後移動ガイド部4が設けられており)、この左右の前後移動ガイド部4夫々に、移動ベース8が前後方向にスライド移動自在に設けられている。
【0038】
この左右の移動ベース8について説明すると、いずれも側面視略三角状の板材で構成され、この移動ベース8の対向外側面の上部(頂角部)一箇所と、下部前後(底角部)二箇所との合計三箇所に走行ローラ20が設けられていて、この上部の走行ローラ20が前記第一ガイドレール18に走行可能に装着されていると共に、下部(二箇所)の走行ローラ20が前記第二ガイドレール19に走行可能に装着されていることにより、移動ベース8が走行ローラ20を介して基板部14(取付基体1)に対し前後方向にスライド移動自在に設けられている。
【0039】
また、前記移動収納体2の左右両側部には、前後方向に長さを有してこの移動収納体2の後方へ突出する形状の支持アーム7が設けられ、この支持アーム7が前記移動ベース8に連結されて、移動ベース8が前記前後移動ガイド部4に沿って前方へ移動した際にはこの支持アーム7と一緒に移動収納体2が前記取付基体1より前方へ配設されるように構成されている。
【0040】
また、この支持アーム7は、帯板状の傾斜中間板部21を介して前側板部22よりも後側板部23が上方に配置する側面視略S字状の板材で構成されており、さらに詳しくは、前側板部22は、水平帯板状に形成されてこの前側板部22が前記移動収納体2の左右側面部に連結され、後側板部23は、後方側に至るほど上下幅が拡大する板形状に形成されてこの後側板部23の後端下部が前記移動ベース8に連結されている。
【0041】
また、この左右の支持アーム7は、後側板部23の後端上部同士が接続杆24によって接続一体化されていて、左右の支持アーム7(左右の移動ベース8)が前記取付基体1に対し連動して前後移動するように構成されていると共に、左右の支持アーム7の後側板部23の対向外側面の上部途中部には、走行ローラ25が設けられ、この走行ローラ25が前記第一ガイドレール18に走行可能に装着されていて、左右の支持アーム7も移動ベース8に連動して第一ガイドレール18に沿って前後方向に移動するように構成されている(左右の支持アーム7の前後移動も前記前後移動ガイド部4の第一ガイドレール18にガイドされるように構成されている。)。
【0042】
また、この支持アーム7は、前後方向の長さが、前記取付基体1の基板部14の前後長さよりもやや小さく(短く)設定されていて、この支持アーム7が前記移動ベース8と一緒に前記第一ガイドレール18に沿ってスライド移動して前記取付基体1の最も後方へ配置した際には、この支持アーム7が取付基体1の前後からはみ出すことなく収まるように構成されている。
【0043】
また、この支持アーム7は、その後側板部23の後端下部が前記移動ベース8の中心付近に設けられている枢着軸部9(枢着部9)に昇降回動自在に枢着連結されていると共に、この枢着部9には渦巻バネ10を採用した付勢手段10が設けられていて、この付勢手段10により支持アーム7(と前記移動収納体2)が常時上昇回動付勢されるように構成されている。
【0044】
また、前記第一ガイドレール18は、その前端側に下方へ向かってカーブしながら前方へ向かって凸湾曲する円弧形状のガイドレールが連設形成されていて、この円弧ガイドレール部が前記降下移動ガイド部5として構成され、前記支持アーム7の走行ローラ25が前方への移動によってこの降下移動ガイド部5に至り、続いてこの降下移動ガイド部5を走行ローラ25が走行すると、それまでは水平姿勢であった前記移動収納体2(支持アーム7)が前方へ移動しつつ前記枢着部9を支点に前側が徐々に下がり傾斜するように降下して、前記収納棚Aの棚板の前端部を避けながら前記取付基体1の前側下方の降下位置P2へ前下がり傾斜状態に配設されるように構成されている。
【0045】
また、前記前後移動ガイド部4と前記降下移動ガイド部5とによる前記支持アーム7と前記移動ベース8の前記取付基体1に対するスライド移動は、前後移動ガイド部4の前記第一ガイドレール18と前記第二ガイドレール19の後端部に前記走行ローラ20が至ったところが後方へのスライド限位置となり、第一ガイドレール18と前記第二ガイドレール19の前端部に前記走行ローラ20が至ったところが前方へのスライド限位置となり、前記降下移動ガイド部5の前端部(下端部)に前記走行ローラ25が至ったところが下方へのスライド限位置となるように構成されている。
【0046】
また、さらに前記降下移動ガイド部5(前記第一ガイドレール18前端側の円弧ガイドレール部)は、前下端部が後方に向かって若干延設する形状に形成され、この後方延設ガイド部が降下ロック部26として構成され、前記支持アーム7の走行ローラ25が降下移動ガイド部5の最前(下)端部に至って移動収納体2が降下位置P2にある状態で移動収納体2を後方へ押し込み操作して支持アーム7の走行ローラ25を前記降下ロック部26に位置させるか、若しくは移動収納体2が降下位置P2に配置した状態でその自重により支持アーム7の走行ローラ25が前記降下ロック部26に位置すると、この状態では、前記付勢手段10若しくは手動操作による移動収納体2の上昇回動が阻止されて降下位置P2でロックされるように構成されており、ロック解除操作は、ロック状態の移動収納体2を前方へ引っ張るように動かすことで支持アーム7の走行ローラ25を前記降下ロック部26から離脱させて前記降下移動ガイド部5の最前(下)端部に位置させると、この降下移動ガイド部5に沿って移動収納体2を上昇回動操作可能となる。図中符号40は走行ローラ25が降下ロック部26に位置した際に後述の歯車12が収納案内される歯車収容部である。
【0047】
また、本実施例は、前記取付基体1の左右の基板部14の前側に、前記降下移動ガイド部5に沿ってこの降下移動ガイド部5の形状に同調する円弧状のラック歯11が設けられ、このラック歯11に歯合する歯車12が前記支持アーム7の後側板部23の上部前側に設けられていて、前記降下移動ガイド部5にガイドされた移動収納体2(支持アーム7)の昇降移動に伴ってラック歯11に対し歯車12が回動しながら移動するように構成されている。
【0048】
また、この歯車12は、この歯車12に回動抵抗を付与するダンパー機構13(ロータリーダンパー)を備えたものが採用されており、このダンパー機構13による歯車12の回動抵抗により前記支持アーム7の昇降移動が減速して前記移動収納体2の昇降移動が安全な速度で行われるように構成されている。
【0049】
また、本実施例の前後移動ガイド部4は、前記支持アーム7に対する前記移動収納体2の前後方向への移動をガイドする拡張前後移動ガイド部6を備えている。
【0050】
具体的には、前記移動収納体2の左右両側部に夫々、水平前後方向に長さを有する第三ガイドレール27が付設されていて、この第三ガイドレール27が前記拡張前後移動ガイド部6として構成されている。
【0051】
一方、左右の前記支持アーム7の前側板部22の対向内側面の前端部と後端部に走行ローラ28が設けられ、この前後の走行ローラ28が前記第三ガイドレール27に走行自在に嵌合装着されていることにより、前記支持アーム7(の前側板部22)に対し前記移動収納体2が水平姿勢で設けられていると共に、支持アーム7(の前側板部22)に対し水平姿勢を維持したまま前後方向へ移動自在に設けられている。
【0052】
即ち、本実施例の前後移動ガイド部4は、前記第一ガイドレール18と前記第二ガイドレール19を介した前後スライド移動と、前記第三ガイドレール27を介した前後スライド移動との二段階の前後スライド移動構造が採用されており、これによって長いガイドレールを用いることなく水平姿勢を維持した移動収納体2の前後スライド移動量を確保できているので、前後移動ガイド部4をコンパクト化でき、取付けた際に収納棚A内に収まるコンパクトな本収納装置を簡易に設計実現可能である。
【0053】
また、前記拡張前後移動ガイド部6による移動収納体2の前記支持アーム7に対するスライド移動は、拡張前後移動ガイド部6の前記第三ガイドレール27の後端部に、後側の前記走行ローラ28が至ったところが前方へのスライド限となるように構成されていると共に、この前方スライド限位置にある移動収納体2をこの状態でスライド不能状態にロックするロック解除可能な引出しロック機構29を前記移動収納体2と前記支持アーム7とに備えている。
【0054】
即ち、前記降下位置P2に存する移動収納体2を上昇回動移動させて前記収納位置P1へ押し入れ収納させる際には、この引出しロック機構29により移動収納体2が支持アーム7に対して後方へスライド移動することなく、移動収納体2が前方スライド限位置に存する状態のままで支持アーム7(と移動ベース8)が前記前後移動ガイド部5に沿って後方へスライド移動するように構成されている。
【0055】
この引出しロック機構29について説明すると、前記移動収納体2の左右両側の後部下部に後端部が鉤形に形成されている側面視転L字状の係止片30が設けられている一方、この係止片30後端の鉤形部31が突き当たり係止可能なストッパブロック32が左右の前記支持アーム7夫々の前側板部22の後端部に下方へ向けて垂設されていて、前方スライド限位置に存する移動収納体2を支持アーム7に対し後方へスライド移動しようとすると、前記鉤形部31が前記ストッパブロック32の前側面に突き当たり係止して移動収納体2の支持アーム7に対する後方へのスライド移動が阻止されるように構成されている。
【0056】
また、左右の前記ストッパブロック32は、左右の前記支持アーム7の前側板部22の後端部(前側板部22と傾斜中間板部21の連設部)に垂設されている取付板部41に上下方向にスライド移動自在に設けられていて、常態ではこのストッパブロック32は自重によりスライド下限位置に配置されており、このストッパブロック32が上昇移動すると、このストッパブロック32の前側面に係止片30の鉤形部31が突き当たり係止できなくなって、支持アーム7に対する移動収納体2の後方へのスライド移動が許容されるように構成されている。
【0057】
また、このストッパブロック32は、その外側(前記基板部14に臨設する側)の下部が内側よりも下方へ延設垂下する形状に形成されていると共に、この外側垂下部の下面が後方側ほど高くなるように傾斜する摺動傾斜面33に形成されている。
【0058】
一方、前記取付基体1の左右の基板部14の夫々の取付脚部16上面の中ほどには、解除誘導ブロック34が付設されていると共に、この解除誘導ブロック34は、上面が後方側ほど高くなるように傾斜する誘導傾斜面35に形成されている。
【0059】
また、この解除誘導ブロック34は、前記支持アーム7の前後スライド移動に伴って前後移動する前記ストッパブロック32の少なくとも前記摺動傾斜面33の移動軌跡と重なる位置に設けられていると共に、前記誘導傾斜面35が、スライド下限位置に配置しているストッパブロック32の摺動傾斜面33に面接可能な高さ寸法を有するように構成されていて、前方スライド限位置で後方へのスライド移動がロックされている移動収納体2を後方へ押し入れスライド移動させると、支持アーム7と移動ベース8とが前記前後移動ガイド部4に沿って後方へスライド移動するが、やがて支持アーム7のストッパブロック32が前記解除誘導ブロック34に至ると、ストッパブロック32の摺動傾斜面33が解除誘導ブロック34の誘導傾斜面35に面接するように構成されている(
図10参照)。
【0060】
そして、摺動傾斜面33と誘導傾斜面35とが面接後も移動収納体2を後方へスライド移動させ続けると、摺動傾斜面33が誘導傾斜面35に対し摺動してストッパブロック32が解除誘導ブロック34を避けるように上昇移動し(
図11,
図12参照)、これにより係止片30の鉤形部31がストッパブロック32の前側面に突き当たることができなくなって(前記引出しロック機構29による移動収納体2の支持アーム7に対する後方へのスライド移動阻止状態が解除されて)、係止片30がストッパブロック32の内側下面の下方をくぐり抜け(
図13,
図14参照)、その結果移動収納体2が支持アーム7に対し後方へスライド移動して前記取付基体1内に移動収納体2が収まった収納位置P1へと配置し得るように構成されている。
【0061】
また、前記拡張前後移動ガイド部6による移動収納体2の前記支持アーム7に対するスライド移動は、拡張前後移動ガイド部6の前記第三ガイドレール27の前端部付近に、前側の前記走行ローラ28が至ると、移動収納体2が前記取付基体1内に収納されて前記収納位置P1に存する状態となるように構成されていると共に、移動収納体2が収納位置P1に存する状態で前記支持アーム7(と前記移動ベース8)の取付基体1前方へのスライド移動を阻止する阻止解除可能な収納ロック機構36を備えている。
【0062】
この収納ロック機構36について説明すると、前記取付基体1の左右の基板部14の夫々の取付脚部16上部の後方寄りに係止用ブロック37が設けられ、この係止用ブロック37の上面には係止突起38が設けられていると共に、この係止突起38は、係止用ブロック37上面から切り出し形成された切り出し片で形成されていて、この切り出し片のもつ弾性により係止突起38が下方へ没動・復帰(上動)可能に構成されている。
【0063】
また、この係止用ブロック37は、上面の前記係止突起38が前記移動収納体2の前後スライド移動に伴って前後移動する前記係止片30の移動軌跡と重なる位置に設けられていると共に、側面視山形であって中間の頂部が前記係止片30の鉤形部31よりも高い位置に存する形状に形成されていて、前記引出しロック機構29が解除状態となった後移動収納体2が後方へスライド移動すると、やがて鉤形部31が係止用ブロック37に至って係止突起38の前側傾斜面に乗り上げ(
図15参照)、この前側傾斜面が後進する鉤形部31の下端部に押圧されることで係止突起38が下方へ没動し、係止突起38の頂部を鉤形部31が乗り越えて後側傾斜面に至ると、係止突起38が弾性により復帰上動突出して鉤形部31が簡単には戻り動(前方へ移動)できない状態となり、この状態が移動収納体2の前記収納位置P1となってこの収納位置P1に移動収納体2がある状態が維持されるように構成されている。
【0064】
また、鉤形部31が係止突起38の頂部を乗り越えて後側傾斜面に至った際に鉤形部31が突き当たり当接して移動収納体2の後方へのスライド移動を阻止する移動阻止ブロック39が左右の前記移動ベース8の対向内側面の下部に付設されていて、この鉤形部31が移動阻止ブロック39の前側面に当接した状態が、移動収納体2の取付基体1に対する後方へのスライド移動限位置であって且つ移動収納体2の前記収納位置P1となるように設定構成されている。
【0065】
以上のように構成されている本実施例の収納装置の作動を説明する。
【0066】
収納棚Aの前記収納位置P1に存している移動収納体2(
図1、
図2参照)を前記降下位置P2へと移動させる場合は、ユーザーが前記把手17を掴んで手前側に引き寄せると、移動収納体2に設けられている前記係止片30も前方へ移動し、この際前記鉤形部31が前記係止用ブロック37の係止突起38(の後側傾斜面)を下方へ没動させ鉤形部31が係止突起38の頂部を乗り越えたところで前記収納ロック機構36が解除され、前記拡張前後移動ガイド部6を介して移動収納体2が支持アーム7及び移動ベース8に対し前方へスライド移動する。
【0067】
移動収納体2が支持アーム7に対する前方スライド移動限位置に至ると(
図3,
図4参照)、前記係止片30の鉤形部31が前記ストッパブロック32の前方に配置して(前記引出しロック機構29が機能して)移動収納体2が支持アーム7に対して後方へスライド移動できなくなると共に、第一ガイドレール18と第二ガイドレール19とで構成される前記前後移動ガイド部4を介して支持アーム7と移動ベース8が移動収納体2と一緒に前方へスライド移動してさらに前方へ引き出される(
図5,
図6参照)。
【0068】
続けて、移動収納体2を手前側へ引き寄せることにより前記支持アーム7の走行ローラ25が前記降下移動ガイド部5に至ってこの降下移動ガイド部5を走行ローラ25が走行すると、前記移動収納体2が前方へ移動しつつ前記枢着部9を支点に前側が徐々に下がり傾斜するように降下して(
図6中の想像線参照)、前記収納棚Aの棚板の前端部を避けながら前記取付基体1の前側下方の降下位置P2へ前下がり傾斜状態に配設される。
【0069】
そして、この降下位置P2に存している移動収納体2を、例えば後方へ押し込み操作して前記支持アーム7の走行ローラ25を前記降下ロック部26に位置させると、前記付勢手段10若しくは手動操作による移動収納体2の上昇回動が阻止されて降下位置P2でロックされることとなり(
図7,
図8参照)、この降下位置P2で上昇移動がロックされている移動収納体2に対し収納物を容易に出し入れできる。
【0070】
降下位置P2で移動がロックされている移動収納体2を再び前記収納位置P1へと移動させる場合は、前記把手17を掴んで移動収納体2を前方へ引き寄せて支持アーム7の走行ローラ25を前記降下ロック部26から離脱させると、走行ローラ25が前記降下移動ガイド部5の最前(下)端部に位置して、この降下移動ガイド部5に沿って移動収納体2を上昇回動操作可能となる(
図9参照)。
【0071】
そして、移動収納体2が上昇回動移動限位置に至った(水平姿勢に戻った)ところで、移動収納体2を後方へ押し込むと、前記引出しロック機構29により移動収納体2が前方スライド限位置に存する状態のままで支持アーム7(と移動ベース8)が前記前後移動ガイド部5の前記降下移動ガイド部5を除いた第一ガイドレール部18と第二ガイドレール部19に沿って後方へスライド移動し(
図10参照)、支持アーム7の前記ストッパブロック32が前記解除誘導ブロック34に至ると、ストッパブロック32が解除誘導ブロック34を避けるように上昇移動し、これにより前記引出しロック機構29による移動収納体2の支持アーム7に対する後方へのスライド移動阻止状態が解除されて、係止片30がストッパブロック32の内側下面の下方をくぐり抜け、移動収納体2が支持アーム7に対し後方へスライド移動する(
図11~
図14参照)。
【0072】
前記引出しロック機構29解除後も移動収納体2を後方へスライド移動させ続けることで、前記鉤形部31が前記係止用ブロック37に至り、鉤形部31が前記係止突起38の頂部を乗り越えると、移動収納体2が前記収納位置P1に配置して、この状態が前記収納ロック機構36により維持される(
図15,
図16参照)。
【0073】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。