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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023121540
(43)【公開日】2023-08-31
(54)【発明の名称】ゆで卵用ホッパー
(51)【国際特許分類】
   A47J 47/01 20060101AFI20230824BHJP
   B65G 65/40 20060101ALI20230824BHJP
【FI】
A47J47/01
B65G65/40 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022024935
(22)【出願日】2022-02-21
(71)【出願人】
【識別番号】591210932
【氏名又は名称】株式会社大和製作所
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋本 光喜
(72)【発明者】
【氏名】ス ションレ タッダ
【テーマコード(参考)】
3F075
4B066
【Fターム(参考)】
3F075AA02
3F075BA01
3F075BB01
3F075CA09
3F075CB12
3F075CC04
3F075CD14
4B066DD11
4B066DD90
(57)【要約】
【課題】ゆで卵用ホッパーを提供する。
【解決手段】ゆで卵用ホッパー100は、周壁板11と底板14とを有し、底部に、殻付きのゆで卵300を外部に排出する排出口13が形成された容器本体10と、容器本体10の内部の空間を、高さ方向に3つの層に仕切る階層構造部材30と、階層構造部材30によって仕切って形成された3つの層のうち下層の収容空間S3に溜められた殻付きのゆで卵300を、排出口13に送る移送部40と、移送部40を駆動する駆動部60と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周壁板と底板とを有し、底部に、殻付きのゆで卵を外部に排出する排出口が形成された容器本体と、
前記容器本体の内部の空間を、高さ方向に複数の層に仕切る階層構造部材と、
前記階層構造部材によって仕切って形成された層の収容空間に溜められた殻付きのゆで卵を、前記排出口に送る移送部と、
前記移送部を駆動する駆動部と、を備えたゆで卵用ホッパー。
【請求項2】
前記移送部は、前記階層構造部材によって形成された前記複数の層のうち最も下方に位置する下層の収容空間に設けられた回転板を有し、
前記回転板は、回転中心から放射状に延びた複数の凸部の間にそれぞれ、前記殻付きのゆで卵が配置される卵配置部が形成され、
前記回転板は、前記回転中心回りの回転により、前記卵配置部のそれぞれが、順次、前記排出口に臨む、請求項1に記載のゆで卵用ホッパー。
【請求項3】
前記階層構造部材は、前記複数の層のうち最も下方に位置する下層の収容空間を内側の空間と外側の空間とに仕切る周壁を有し、
前記周壁に、前記内側の空間に配置された前記殻付きのゆで卵を1つずつ、前記周壁の外側の空間に通過させる孔が形成されている、請求項1又は2に記載のゆで卵用ホッパー。
【請求項4】
前記階層構造部材は、前記下層の一つ上の層における底板を有し、
前記底板に、前記一つ上の層に溜められた前記殻付きのゆで卵を前記下層における前記内側の空間に移動させる開口が形成されている請求項3に記載のゆで卵用ホッパー。
【請求項5】
前記階層構造部材は、前記複数の層のうち最も上方に位置する上層を除いた層の高さを、1個の前記殻付きのゆで卵を横姿勢にした状態の高さ寸法よりも高く、かつ、2個の前記殻付きゆで卵を横姿勢にして高さ方向に積み重ねた寸法よりも低く設定している請求項1から4のうちいずれか1項に記載のゆで卵用ホッパー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゆで卵用ホッパーに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ラーメン等を提供する飲食店舗では、多くのゆで卵が消費される。そして、このゆで卵は、殻を剥くのに結構な手間がかかる。特に、黄身が半熟のゆで卵の場合、外側の白身は固まっているものの、柔らかいため、人手によって殻を剥くのがより難しい。
【0003】
そこで、ゆで卵の殻を装置によって剥くことが考えられる(例えば、特許文献1参照)。このような殻剥き装置によれば、短時間のうちにたくさんのゆで卵を剥くことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-176706号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ゆで卵の殻を、上述した殻剥き装置で剥く場合、殻剥き装置に供給する必要がある。しかし、殻を剥く前の多数(例えば30個以上、望ましくは50個以上、特に望ましくは70個以上)のゆで卵を収容して貯留し、収容したゆで卵を一つずつ殻剥き装置に供給するゆで卵用のホッパーは存在しなかった。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、殻を剥く前のゆで卵を多数(例えば30個以上、望ましくは50個以上、特に望ましくは70個以上)収容し、収容したゆで卵を一つずつ殻剥き装置等に供給するゆで卵用ホッパーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、周壁板と底板とを有し、底部に、殻付きのゆで卵を外部に排出する排出口が形成された容器本体と、前記容器本体の内部の空間を、高さ方向に複数の層に仕切る階層構造部材と、前記階層構造部材によって仕切って形成された層の収容空間に溜められた殻付きのゆで卵を、前記排出口に送る移送部と、前記移送部を駆動する駆動部と、を備えたゆで卵用ホッパーである。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るゆで卵用ホッパーによれば、殻を剥く前のゆで卵を多数(例えば30個以上、望ましくは50個以上、特に望ましくは70個以上)収容し、収容したゆで卵を一つずつ殻剥き装置等に供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】ゆで卵用ホッパー及びゆで卵の殻剥き装置を示す斜視図である。
図2】ホッパーを示す詳細図であり、ホッパーの上方からの斜視図である。
図3】ホッパーの中心軸を通る鉛直面による断面を示す斜視断面図である。
図4】ホッパーの下方からの斜視図である。
図5図2から上層の底板を取り外した状態を示す斜視図である。
図6図5の状態での平面図である。
図7図5から中層の第1底板、第2底板及び繋ぎ板を取り外した状態を示す斜視図である。
図8図7の状態での平面図である。
図9図5から下層の天板を取り外した状態を示す斜視図である。
図10図8の状態での、排出口を臨む向きからの斜視図である。
図11図10の状態から回転板を取り外した状態を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係るゆで卵用ホッパーの実施形態について、図面を用いて説明する。
【0011】
<構成>
図1はゆで卵用ホッパー100及びゆで卵の殻剥き装置200を示す斜視図である。図示のゆで卵の殻剥き装置200(以下、単に殻剥き装置200という。)は、殻付きのゆで卵300の殻を剥いて、中身であるゆで卵本体を分離して取り出す装置である。
【0012】
殻剥き装置200は、複数個の殻付きのゆで卵300が配置される供給トレイ210を備え、供給トレイ210に配置された殻付きのゆで卵300を1つずつ殻剥き装置200の内部に供給し、内部においてゆで卵300の殻を剥いて殻を排出し、殻が剥かれた後の中身であるゆで卵本体を殻と分離した状態で、排出部220から外部に排出する。
【0013】
排出部220の先に、水を張った受けボウルを配置しておくことにより、殻剥き装置200によって殻が剥かれたゆで卵本体を、ボウルで受けることができる。
【0014】
ゆで卵用ホッパー100は、本発明に係るゆで卵用ホッパーの一実施形態である。ゆで卵用ホッパー100(以下、単に、ホッパー100という。)は、例えば70~100個という多数の殻付きのゆで卵300を溜め、その溜められた多数のゆで卵300を、底部の排出口13から1つずつ、順次、外部に排出する。
【0015】
ホッパー100は、例えば、排出口13が、殻剥き装置200の供給トレイ210の真上において開口するように配置されている。これにより、ホッパー100の排出口13から1つずつ排出された殻付きのゆで卵300は、供給トレイ210に供給され、供給トレイ210から、殻剥き装置200の内部に供給される。
【0016】
図2から図11は、ホッパー100を示す詳細図であり、図2は上方からの斜視図、図3は中心軸を通る鉛直面による断面を示す斜視断面図、図4は下方からの斜視図である。
【0017】
また、図5図2から上層の底板31を取り外した状態を示す斜視図、図6図5の状態での平面図、図7図5から中層の第1底板32、第2底板33及び繋ぎ板34を取り外した状態を示す斜視図、図8図7の状態での平面図である。
【0018】
また、図9図5から下層の天板35を取り外した状態を示す斜視図、図10図8の状態での、排出口13を臨む向きからの斜視図、図11図10の状態から回転板41を取り外した状態を示す分解斜視図である。
【0019】
図示のホッパー100は、図2,3,4に示すように、容器本体10と、階層構造部材30と、移送部40と、駆動部60と、を備えている。容器本体10は、周壁板11と底板14とを有し、円錐台を上下反対の姿勢で配置したような形状に形成されている。周壁板11は円錐台の斜面に相当し、底板14は円錐台の上底面に相当する。周壁板11は、高さ位置が低くなるにしたがって、容器本体10が窄(すぼ)まるように傾斜している。
【0020】
容器本体10の上端は開口し、周壁板11の上端部が、半径方向の外側に延びてフランジ12を形成している。底板14は、円板状に形成されていて、周縁が周壁板11の下端部に繋がり、容器本体10の下端を塞いでいる。なお、周壁板11と底板14とは、互いに別体であったものを接合して一体に繋いで形成されたものであってもよいし、単一の円板状の板状体をプレスの絞り加工によって形成されたものであってもよい。
【0021】
容器本体10には、周壁板11と底板14とが隣接した下端部の一部に、容器本体10の内外を通じさせる孔が形成されている。この孔は、殻付きゆで卵300を1つ通過させる大きさに形成されていて、容器本体10の内部に溜められた殻付きゆで卵300を、容器本体10の外部に排出する排出口13となっている。また、底板14の中心には、図3に示すように、後述の回転軸62を貫通させる孔14aが形成されている。
【0022】
周壁板11の内面には、上端のフランジ12から、周壁板11の内面に沿って、高さ方向に延びた帯状に形成された4つの支持部材21,22,23,24が配置されている。4つの支持部材21,22,23,24は底板14の孔14aを中心とする円周方向に、略等角度間隔で配置されている。
【0023】
各支持部材21~24には、それぞれ長手方向に沿った所定の間隔で、2つの支持駒が固定され、また、各支持部材21~24の下端は、内側に折れて形成されている。各支持部材21~24の上端は外側に折れて、その外側に折れた部分がフランジ12に固定されている。
【0024】
各支持部材21~24の上端の外側に折れた部分には、各支持部材21~24の幅方向の中央部から一方の側縁まで延びた、一定幅のスリットが形成されている。一方、フランジ12には、軸径がスリットの幅よりも小さく、軸端(頭)がスリットの幅よりも大きいピン25が固定されている。そして、各支持部材21~24の外側に折れた部分をフランジ12に引っ掛けた状態で、各支持部材21~24をピン25に対して時計回り(後述する回転板41の回転方向と同一方向)に移動させる。
【0025】
これにより、各支持部材21~24のスリットを、ピン25の軸端とフランジ12との間の隙間に滑り込ませ、端部にピン25の軸をスリットに突き当てて、各支持部材21~24が図2に示す位置に固定される。これにより、各支持部材21~24は、上方への移動が阻止され、後述する階層構造部材30が、殻付きのゆで卵300によって上方に移動しようとするのを阻止することができる。
【0026】
また、各支持部材21~24に形成されたスリットは、各支持部材21~24を止めているピン25に対して時計回りの側にのみ形成されている。このため、後述する回転軸62が時計回りに回転することにより、階層構造部材30がゆで卵300とともに時計回りに連れ回ろうとしても、各支持部材21~24が時計回りに回転することが阻止され、したがって、支持部材21~24がピン25から外れるのを防止することができる。
【0027】
ここで、支持部材21は、ピン25によってフランジ12に固定された状態で、周壁板11の内面に沿って、下端が内側に折れて形成されている。支持部材21には、上から、2つの支持駒21a(図5参照),21b(図7参照)が固定され、また、下端の内側に折れた部分が支持駒21c(図9参照)として機能する。そして、各支持駒21a,21b,21cは、後述する階層構造部材30を構成する底板31,32及び天板35を下方から支持する。
【0028】
同様に、支持部材22は、ピン25によってフランジ12に固定された状態で、周壁板11の内面に沿って、下端が内側に折れて形成されている。支持部材22には、上から、2つの支持駒22a(図5参照),22b(図7参照)が固定され、また、下端の内側に折れた部分が支持駒22c(図9参照)として機能する。そして、各支持駒22a,22b,22cは、後述する階層構造部材30を構成する底板31,33及び天板35を下方から支持する。
【0029】
同様に、支持部材23は、ピン25によってフランジ12に固定された状態で、周壁板11の内面に沿って、下端が内側に折れて形成されている。支持部材23には、上から、2つの支持駒23a,23b(図10参照)が固定され、また、下端の内側に折れた部分が支持駒23c(図10参照)として機能する。そして、各支持駒23a,23b,23cは、後述する階層構造部材30を構成する底板31,33及び天板35を下方から支持する。
【0030】
同様に、支持部材24は、ピン25によってフランジ12に固定された状態で、周壁板11の内面に沿って、下端が内側に折れて形成されている。支持部材24には、上から、2つの支持駒24a,24b(図11参照)が固定され、また、下端の内側に折れた部分が支持駒22c(図11参照)として機能する。そして、各支持駒24a,24b,24cは、後述する階層構造部材30を構成する底板31,32及び天板35を下方から支持する。
【0031】
駆動部60は、図4に示すように、容器本体10の下方に設けられている。駆動部60は、モータベース73に設置されている。モータベース73は、底板14の下面に固定された補強部材71,72に結合して固定されている。駆動部60は、モータ61と回転軸62と2つの減速部63,64と2つのセンサ65,66とを備えている。
【0032】
モータ61は、例えば商用電源から供給される電力により回転し、第1の減速部63はモータ61の回転を減速し、第2の減速部64は第1の減速部63で減速されたモータ61の回転をさらに減速して回転軸62に伝える。回転軸62は、角柱状に形成され、後述する図11に示すように、底板14の中心を貫通して、容器本体10の内部空間に突出している。
【0033】
センサ65は、図1に示すように、ホッパー100の下部に、殻剥き装置200の供給トレイ210に近接して設けられている。センサ65は、機械的なセンサであってもよいし、光学的なセンサあってもよい。センサ65は、供給トレイ210上の殻付きのゆで卵300が満杯であることを検出する。
【0034】
そして、センサ65が、供給トレイ210上の殻付きのゆで卵300が満杯であることを検出したときは、モータ61が回転を停止し、ホッパー100から供給トレイ210上に殻付きのゆで卵300を送り出すのを停止する。
【0035】
センサ66は、図1に示すように、ホッパー100の下部の補強部材72に設けられたセンサーステーに、固定されている。センサ66も、センサ65と同様、機械的なセンサであってもよいし、光学的なセンサであってもよい。センサ66は、供給トレイ210の上方で、ホッパー100の排出口13の近傍に侵入した作業者の手などを検出する。具体的には、排出口13にゆで卵300が詰まる等した場合に、作業者が供給トレイ210の側から排出口13付近まで手を差し入れると、センサ66がその手を検出する。
【0036】
そして、センサ65が、供給トレイ210上の殻付きのゆで卵300がホッパー100の排出口13の近傍に侵入した作業者の手などを検出したときは、モータ61が回転を停止し、ホッパー100から供給トレイ210上に殻付きのゆで卵300を送り出すのを停止する。
【0037】
階層構造部材30は、図3に示すように、容器本体10の内部の空間を、高さ方向に3層(上層、中層及び下層)の収容空間S1,S2,S3に仕切る。階層構造部材30は、具体的には、上層の収容空間S1の底板31と、中層の収容空間S2の第1底板32と第2底板33と2つの繋ぎ板34と、下層の収容空間S3の天板35と回転板41と、を備えている。
【0038】
上層の収容空間S1は、図3に示すように、下方が底板31によって仕切られ、上方は開放された空間となっている。したがって、上層の収容空間S1は、周壁板11の上端であるフランジ12よりも下方の、容器本体10の内部空間だけでなく、容器本体10の、フランジ12よりも上方の空間も含む。
【0039】
中層の収容空間S2は、下方が第1底板32、第2底板33及び2つの繋ぎ板34により仕切られ、上方が底板31によって仕切られているため、底板31が中層の収容空間S2における天板に相当し、高さ方向に有限の空間となっている。
【0040】
そして、この中層の収容空間S2の高さは、1個の殻付きゆで卵300を横姿勢にした状態の高さ寸法(短径)よりも高く、かつ、2個の殻付きゆで卵300を横姿勢にして高さ方向に積み重ねた寸法よりも低く設定されている。
【0041】
下層の収容空間S3は、下方が容器本体10の底板14により仕切られ、上方が天板35によって仕切られているため、高さ方向に有限の空間となっている。そして、この下層の収容空間S3の高さも、1個の殻付きゆで卵300を横姿勢にした状態の高さ寸法(短径)よりも高く、かつ、2個の殻付きゆで卵300を横姿勢にして高さ方向に積み重ねた寸法よりも低く設定されている。
【0042】
上層の底板31は、上層の収容空間S1において溜められた殻付きゆで卵300を下方から支持する部材である。上層の底板31は、図2に示すように、周縁部の一部に切り欠き31aが形成された円板状に形成されている。そして、上層の底板31は、4つの支持駒21a,22a,23a,24aによって下方から支持されて、各支持駒21a,22a,23a,24aに、ねじによって固定されている。
【0043】
支持駒21a,22a,23a,24aに固定された状態で、図3に示すように、底板31は水平面に対して傾斜した姿勢となり、切り欠き31aが最も低い位置となる姿勢で固定されている。したがって、上層の収容空間S1に配置された殻付きのゆで卵300は、底板31の傾斜に沿って図2の矢印で示したように下方に移動し、周縁部に形成された1か所の切り欠き31aを通って、底板31の下方、つまり中層の収容空間S2に移動する。
【0044】
なお、中層の収容空間S2に、多数の殻付きのゆで卵300が充填されていて、切り欠き31aから中層の収容空間S2に移動できない殻付きのゆで卵300は、上層の収容空間S1に溜められる。上層の収容空間S1は、上方が開放しているため高さ方向に制限は無く、したがって、上層の収容空間S1には、殻付きゆで卵300を、高さ方向に複数積み上げた状態で溜めることができる。
【0045】
このようにして、ホッパー100は、上層の収容空間S1に、例えば、60個の殻付きのゆで卵300を溜めることができる。なお、上層の収容空間S1に溜めることのできる殻付きのゆで卵300の数は、少なくとも10個以上であればよく、30個以上であることが好ましく、50個以上であることが特に望ましい。
【0046】
そして、中層の収容空間S2に隙間ができると、上層の収容空間S1に溜められた殻付きのゆで卵300が、順次、切り欠き31aを通じて中層の収容空間S2に移動する。
【0047】
中層の第1底板32、中層の第2底板33及び2つの繋ぎ板34は、容器本体10の内部空間を、高さ方向に3つの層に仕切った場合の、上層の直下に形成された中層の収容空間S2において溜められた殻付きゆで卵300を下方から支持する部材である。
【0048】
第1底板32と第2底板33は、図5,6に示すように、それぞれ円弧状に形成されていて、内側の円弧に相当する部分に、それぞれ切り欠き32a,33aが形成されている。第1底板32は、容器本体10の中心部に切り欠き32aが配置されるように、2つの支持駒21b,24bによって下方から支持されて、各支持駒21b,24bに、ねじによって固定されている。このとき、図3に示すように、第1底板32は水平面に対して傾斜した姿勢となり、容器本体10の中心部に形成された切り欠き32aが最も低い位置となる。
【0049】
また、第2底板33は、図6に示すように、容器本体10の中心部に切り欠き33aが配置されるように、2つの支持駒22b,23bによって下方から支持されて、各支持駒22b,23bに、ねじによって固定されている。このとき、図3に示すように、第2底板33は水平面に対して傾斜した姿勢となり、容器本体10の中心部に形成された切り欠き33aが最も低い位置となる。
【0050】
そして、第1底板32と第2底板33は、それぞれの円弧の周方向の端縁が、扇状に形成された繋ぎ板34に接合されて、リング状に一体化されている。このとき、第1底板32の切り欠き32aと第2底板33の切り欠き33aとが一体となって、1つの開口32bを形成している。
【0051】
なお、第1底板32、第2底板33及び2つの繋ぎ板34が一体となった中層の底板は、上述した4つの部材(第1底板32、第2底板33及び2つの繋ぎ板34)を接合して一体に形成したものに限らない。すなわち、中心部に開口32bが形成された単一の円環状の底板を、曲げ加工によって、第1底板32に相当する部分、第2底板33に相当する部分及び2つの繋ぎ板34に相当する部分からなる一体物として形成してもよい。
【0052】
上述したように、中層の収容空間S2において最も低い位置に開口32bが形成されている。したがって、中層の収容空間S2に溜められた殻付きのゆで卵300は、第1底板32の傾斜に沿って、図5の矢印で示したように下方に移動し、容器本体10の中心部に形成された開口32bを通って、中層よりも下方に形成された下層の収容空間S3に移動する。
【0053】
なお、下層の収容空間S3に、多数の殻付きのゆで卵300が充填されていて、開口32bから下層の収容空間S3に移動できない殻付きのゆで卵300は、中層の収容空間S2に溜められた状態となり、殻付きのゆで卵300は、第1底板32上だけでなく、2つの繋ぎ板34上及び第2底板33上にも溜められた状態となる。
【0054】
そして、下層の収容空間S3に隙間ができると、中層の収容空間S2の第1底板32上や第2底板33上に溜められた殻付きのゆで卵300が、第1底板32や第2底板33の傾斜に沿って図5の矢印で示したように下方に移動し、開口32bを通じて下層の収容空間S3に移動する。
【0055】
また、中層の収容空間S2の2つの繋ぎ板34上に溜められた殻付きのゆで卵300も、第1底板32や第2底板33から移動してきた殻付きのゆで卵300によって押され、開口32bを通じて下層の収容空間S3に移動する。
【0056】
中層の収容空間S2の高さは、前述したように1個の殻付きゆで卵300を横姿勢にした状態の高さ寸法(短径)よりも高く、かつ、2個の殻付きゆで卵300を横姿勢にして高さ方向に積み重ねた寸法よりも低いため、中層の収容空間S2において、殻付きのゆで卵300が高さ方向に2個以上積み重なることは無く、また、殻付きのゆで卵300が、第1底板32、第2底板33又は繋ぎ板34と、上層の底板31との間に、挟まって移動できなくなるのを防止している。これにより、ホッパー100は、中層の収容空間S2において、殻付きのゆで卵300を円滑に移動させることができる。
【0057】
なお、ホッパー100は、中層の収容空間S2に、例えば、20個の殻付きのゆで卵300を溜めることができる。中層の収容空間S2に溜めることのできる殻付きのゆで卵300の数としては、少なくとも10個以上であればよく、望ましくは15個以上、特に望ましくは20個以上である。
【0058】
中層の収容空間S2の下方に形成された下層の収容空間S3は、図3に示すように、第1底板32、第2底板33及び2つの繋ぎ板34の下方に配置された天板35と容器本体10の底板14とによって上下が仕切られている。
【0059】
下層の天板35は、図7,8に示すように、4つの支持駒21c,22c,23c,24cによって下方から支持されて、各支持駒21c,22c,23c,24cに、ねじによって固定されている。4つの支持駒21c,22c,23c,24cによって固定されて天板35は、水平な姿勢で保持されている。
【0060】
天板35は、中層における開口32bの下方に、開口32bよりも大きな円形の受入孔35d(図8参照)が形成された円環状の板部35aと、板部35aの受入孔35dの周縁に沿って、下方に延びたボス状の周壁35bと、を有している。周壁35bは、下層の収容空間S3を、半径方向における内側の空間と外側の空間とに仕切っている。中層の開口32bから下方に移動した殻付きのゆで卵300は、下層の収容空間S3のうち周壁35bで周囲を囲まれた内側の空間に送られる。
【0061】
周壁35bには、周方向の異なる4つの位置において、殻付きのゆで卵300を1つずつ、周壁35bの内側の空間から周壁35bの外側の空間に通過させることのできる振分け孔35cが形成されている。
【0062】
下層の収容空間S3には、下層の収容空間S3に溜められた殻付きのゆで卵300を、容器本体10の排出口13に1つずづ移送する移送部40が設けられている。移送部40は、下層の収容空間S3に溜められた殻付きのゆで卵300を、1つずつ、順次、排出口13に送る。移送部40は、回転板41と、中心カバー42と、固定ねじ43と、を備えている。
【0063】
回転板41は、図11に示すように、中心Cに角孔41bが形成され、中心C回りの等角度間隔で8個の、放射状に延びた凸部41cが形成されている。そして、中心C回りの周方向において隣り合う2つの凸部41cの各間は、凸部41cに対して下方に凹んだ領域となり、この凹んだ領域が、殻付きのゆで卵300の配置される卵配置部41aとなる。
【0064】
回転板41は、底板14上に配置されるが、底板14を貫通して容器本体10の内部に突き出した、角柱状の回転軸62が、回転板41の角孔41bに嵌め合わされ、回転板41は回転軸62に対して周方向に拘束される。回転軸62の上方から中心カバー42が被せられ、中心カバー42の上方から、固定ねじ43は回転軸62にねじ締結されているため、中心カバー42は固定ねじ43と回転軸62とに挟まれて固定される。回転板41は、中心カバー42によって上方から押さえられていることで、上方への浮き上がりが規制され、モータ61の駆動によって回転軸62が中心C回りの、平面視で時計回りの回転にしたがって、中心C回りの時計回りに回転する。
【0065】
中層から下層に移動した殻付きのゆで卵300は、図7に示す、天板35の周壁35bで囲まれた内側の空間に受け入れられるが、殻付きのゆで卵300は、この空間において、回転板41の上に載る。回転板41の上面は、図3に示すように、半径方向の外側に向かって下がるように傾斜しており、また、回転板41の上面に載った殻付きのゆで卵300には、回転板41の回転による遠心力が作用する。
【0066】
これにより、周壁35bの内側の空間に受け入れられた殻付きのゆで卵300は、中心Cから半径方向の外側に移動し、周壁35bに押し付けられる。
【0067】
周壁35bに押し付けられた殻付きのゆで卵300は、回転板41の回転にしたがって周壁35bに沿って周方向に移動する。そして、殻付きのゆで卵300は、周壁35bに形成された振分け孔35cに対向した位置に到達すると、振分け孔35cを通って、収容空間S2のうち周壁35bの外側の空間に移動する。
【0068】
周壁35bの外側の領域に移動した殻付きのゆで卵300は、自重により、回転板41の、凸部41cよりも低い領域である卵配置部41aに移動する。これにより、殻付きのゆで卵300は、回転板41の全ての卵配置部41aに配置された状態となる。
【0069】
下層の、周壁35bで囲まれた内側の空間に収容された全ての殻付きのゆで卵300は、上述した作用により、順次、振分け孔35cを通過して卵配置部41aに移動し、全ての卵配置部41aに殻付きのゆで卵300が1つずつ配置された状態となる。
【0070】
そして、図10に示すように、各卵配置部41aは、回転板41の回転によって、順次、容器本体10の排出口13に臨み、排出口13に臨んだ卵配置部41aに配置された殻付きのゆで卵300は、排出口13からホッパー100の外部に排出されて、殻剥き装置200の供給トレイ210に供給される。
【0071】
下層の収容空間S3の高さは、中層の収容空間と同様に、1個の殻付きゆで卵300を横姿勢にした状態の高さ寸法(短径)よりも高く、かつ、2個の殻付きゆで卵300を横姿勢にして高さ方向に積み重ねた寸法よりも低いため、下層の収容空間S3において、殻付きのゆで卵300が高さ方向に2個以上積み重なることは無く、また、殻付きのゆで卵300が、天板35の板部35aと底板14との間に、挟まって移動できなくなるのを防止している。これにより、ホッパー100は、下層の収容空間S1において、殻付きのゆで卵300を円滑に移動させることができる。
【0072】
なお、ホッパー100は、下層の収容空間S3に、例えば、20個の殻付きのゆで卵300を溜めることができる。下層の収容空間S3に溜めることのできる殻付きのゆで卵300の数としては、少なくとも10個以上であればよく、望ましくは15個以上、特に望ましくは20個以上である。
【0073】
排出口13から、殻付きのゆで卵300がホッパー100の外部に排出されることで、下層の収容空間S3に隙間ができて、中層の収容空間S2に溜められた殻付きのゆで卵300が下層に移動し、これにより中層の収容空間S2に隙間ができて、上層の収容空間S1に溜められた殻付きのゆで卵300が中層の収容空間S2に移動する。
【0074】
<効果>
以上のように構成された本実施形態のホッパー100は、容器本体10の内部を、上層、中層及び下層という階層化された構造としたことで、積み上げられた殻付きのゆで卵300のうち下部に位置する殻付きのゆで卵300に、上方に位置する殻付きのゆで卵300による過度の重量が作用するのを防止し、殻が割れて中身であるゆで卵本体が損傷するのを防止することができる。
【0075】
したがって、本実施形態のホッパー100は、容器本体10の内部が階層化されていないものに比べて、多数(例えば、100個)の殻付きのゆで卵300を溜めることができる。なお、ホッパー100に溜めることのできる殻付きのゆで卵300の数量は、100個に限定されるものではなく、少なくとも30個、好ましくは50個、特に好ましくは70個以上であればよい。
【0076】
また、本実施形態のホッパー100は、回転板41の回転により、溜められた多数の殻付きのゆで卵300を、1つずつ、順次、ホッパー100の外部に排出して、殻剥き装置等に殻付きのゆで卵300を適切に供給することができる。
【0077】
しかも、本実施形態のホッパー100は、容器本体10の内部の空間を上述したように階層化構造としたことで、最下部に設けられた回転板41に上方からの大きな重量を作用させないようにすることができ、回転板41を円滑に回転させることができる。
【0078】
本実施形態のホッパー100は、上層、中層及び下層という3つの階層に形成したものであるが、本発明に係るゆで卵用ホッパーは、階層化構造を3つの階層に限定したものではなく、上層と下層との2つの階層化構造を適用してもよいし、上層と下層との間の中層を複数形成した4層以上の階層化構造を適用してもよい。
【0079】
このように、階層を4層以上にすることで、ホッパー100は、さらに多くの殻付きのゆで卵300を溜めることもできる。
【0080】
本実施形態のホッパー100は、殻付きのゆで卵300を多数溜めるものであるが、溜めるゆで卵は、殻付きのものに限定されず、殻が剥かれた後のゆで卵であってもよい。また、本発明に係るゆで卵用ホッパーは、ゆで卵だけでなく生卵を溜めるホッパーとして用いることもできる。
【符号の説明】
【0081】
10 容器本体
11 周壁板
13 排出口
14 底板
30 階層構造部材
40 移送部
60 駆動部
100 卵用ホッパー
200 殻剥き装置
300 ゆで卵
C 中心
S1,S2,S3 収容空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11