(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023121541
(43)【公開日】2023-08-31
(54)【発明の名称】回転方向判定装置および判定方法
(51)【国際特許分類】
G11B 15/68 20060101AFI20230824BHJP
G11B 17/047 20060101ALI20230824BHJP
G11B 33/12 20060101ALI20230824BHJP
【FI】
G11B15/68
G11B17/047
G11B33/12 301A
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022024936
(22)【出願日】2022-02-21
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100134544
【弁理士】
【氏名又は名称】森 隆一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 貴将
(57)【要約】
【課題】モータの逆回転による装置の破損を防止する技術に関する。
【解決手段】回転方向判定装置は、記録媒体を格納部から出し入れするピッカーを備え、該ピッカーにより出し入れされた記録媒体をドライブ装置へ搬送するアクセッサ2を駆動するモータ1と、モータ1と連動してアクセッサ2へ駆動力を伝達する伝達部3と、該伝達部3の回転によって切り替えられるセンサ4の検出方向と交差する方向への移動により検出信号を切り替えるフラグ部材5を複数備え、ギアと連動して回転するセンサ操作部6と、センサ4から供給される信号によってモータを制御する制御部7とを有し、フラグ部材5は、回転方向への寸法が互いに異なる複数種より構成され、伝達部3の一の回転方向と反対方向とで配列順が互いに異なる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
格納部に収容された記録媒体を該格納部から出し入れするピッカーを備え、該ピッカーにより出し入れされた前記記録媒体を該記録媒体へデータを読み書きするドライブ装置へ搬送するアクセッサを駆動するモータと、
該モータの回転と連動して前記アクセッサへ駆動力を伝達する伝達部と、
該伝達部の回転によって切り替えられるセンサと、
該センサの検出方向と交差する方向への移動によりセンサの検出信号を切り替えるフラグ部材を複数備え、前記伝達部の動作と連動して回転するセンサ操作部と、
前記センサから供給される信号によって前記モータを制御する制御部と、
を有し、
複数の前記フラグ部材は、その回転方向への寸法が互いに異なる複数種より構成され、
互いに寸法が異なる複数のフラグ部材は、前記伝達部の一の回転方向と反対方向とで配列順が互いに異なる、
回転方向判定装置。
【請求項2】
前記フラグ部材は、第1のフラグ部材と、該第1のフラグ部材より前記回転方向への寸法が大きい第2のフラグ部材とから構成され、
前記制御部は、前記第1のフラグ部材が所定回数連続して検出された後の第2のフラグ部材の検出結果によって前記モータによるアクセッサの回転方向を判定する、
請求項1に記載の回転方向判定装置。
【請求項3】
前記伝達部は、前記モータから回転が伝達されて回転するギアであって、前記センサ操作部は該ギアと一体に回転する、
請求項1または2のいずれか1項に記載の回転方向判定装置。
【請求項4】
前記センサは、出射された光線の受光の有無を検出するセンサであって、
前記センサ操作部を構成するフラグ部材は、前記伝達部の移動にともなって、前記センサに入射する光線と交差する方向へ移動して前記光線を遮断する板状の部材であって、回転方向に沿う寸法が異なる複数種により構成された、
請求項1~3のいずれか1項に記載の回転方向判定装置。
【請求項5】
複数の前記フラグ部材は、前記伝達部を構成するギアに該ギアの回転方向に沿って配列された、
請求項4に記載の回転方向判定装置。
【請求項6】
格納部に収容された記録媒体を該格納部から出し入れするピッカーを備え、該ピッカーにより出し入れされた前記記録媒体を該記録媒体へデータを読み書きするドライブ装置へ搬送するアクセッサをモータにより駆動する工程と、
該モータの回転と連動して、複数のフラグ部材を移動させる工程と、
該フラグ部材の移動によってセンサの出力を切り替え操作する工程と、
該切り替え操作に伴って発生するパルスから前記モータの回転方向を判定する工程と、
を備え、
複数の前記フラグ部材は、前記センサを操作する方向への寸法が異なる複数種が用いられ、前記モータの回転による一方向への移動と他方向への移動とで前記異なる寸法のものの配列順序が異なる、
回転方向判定方法。
【請求項7】
複数の前記フラグ部材の前記回転方向に沿う寸法を互いに異ならせ、
互いに寸法が異なる複数の前記フラグ部材の検出順序によって前記回転方向を判定する、
請求項6に記載の回転方向判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転方向判定装置および判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
データが書き込まれた磁気テープをカセットケースに収容した媒体をマガジンに格納し、該マガジンからの前記媒体の出し入れをアクセッサによって行うとともに、取り出した媒体をドライブ装置に装着して、前記磁気テープへのデータの書き込み、読み出しを行うライブラリ装置が、データセンター等で使用されている。
このライブラリ装置で使用されるアクセッサは、前記マガジンの並ぶ方向へ沿って配置された搬送路と、搬送路上を移動可能な媒体搬送トレイと、媒体搬送トレイを移動させる移動用モータと、マガジン又はドライブのスロットに対して媒体を出し入れするピッカーとを備える。このような構成を有するアクセッサでは、移動用モータの駆動及びピッカーの動作により、マガジン間又はマガジンとドライブとの間にて媒体を搬送する。
【0003】
また、このアクセッサでは、前記ピッカーの位置や移動距離のカウント、媒体の有無などの検出を前記アクセッサの駆動モータ等と連動して動作する操作子によるフォトセンサの遮光の有無から行い、このフォトセンサで検知した情報に基づき、アクセッサの動作状況を把握し、その状況に基づいて媒体の搬送動作を制御する方式が採用されることがある。
【0004】
特許文献1には、本発明に関連するライブラリ装置が開示されている。この特許文献1に記載されたライブラリ装置は、アクセッサによってカートリッジ式記録媒体を取り出そうとする際、媒体を正しく掴んでいない場合にエラー報告を行う構成が開示されている。
特許文献2には、本発明に関連する、駆動入力ギアとともに回転する遮光体によるフォトインターラプターの遮光の有無の検出に関する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6-251475号公報
【特許文献2】特開2018-173518号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、前記アクセッサを駆動するステッピングモータには、入力されたパルスと検出された遮光パルスとから脱調を検出する機能が設けられているが、前記特許文献2に記載されたパルスの検出では、ステッピングモータの逆回転によるアクセッサの逆方向への移動を的確に判定することができないという課題がある。
【0007】
この発明は、アクセッサの逆方向への移動を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様にかかる回転方向検出装置は、格納部に収容された記録媒体を該格納部から出し入れするピッカーを備え、該ピッカーにより出し入れされた前記記録媒体を該記録媒体へデータを読み書きするドライブ装置へ搬送するアクセッサを駆動するモータと、該モータの回転と連動して前記アクセッサへ駆動力を伝達する伝達部と、該伝達部の回転によって切り替えられるセンサと、該センサの検出方向と交差する方向への移動によりセンサの検出信号を切り替えるフラグ部材を複数備え、前記伝達部と連動して回転するセンサ操作部と、前記センサから供給される信号によって前記モータを制御する制御部と、を有し、複数の前記フラグ部材は、その回転方向への寸法が互いに異なる複数種より構成され、互いに寸法が異なる複数のフラグ部材は、前記伝達部の一の回転方向と反対方向とで配列順が互いに異なることを特徴とする。
【0009】
本発明の第2の態様にかかる回転方向検出方法は、格納部に収容された記録媒体を該格納部から出し入れするピッカーを備え、該ピッカーにより出し入れされた前記記録媒体を該記録媒体へデータを読み書きするドライブ装置へ搬送するアクセッサをモータにより駆動する工程と、該モータの回転と連動して、複数のフラグ部材を移動させる工程と、該フラグ部材の移動によってセンサの出力を切り替え操作する工程と、該切り替え操作に伴って発生するパルスから前記モータの回転方向を判定する工程とを備え、複数の前記フラグ部材は、前記センサを操作する方向への寸法が異なる複数種が用いられ、前記モータの回転による一方向への移動と他方向への移動とで前記異なる寸法のものの配列順序が異なることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、アクセッサの逆方向への移動を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の最小構成例にかかる回転方向判定装置の最小構成例を示すブロック図である。
【
図2】本発明の最小構成例にかかる移動方法判定方法の最小構成例を示す工程図である。
【
図3】本発明の一実施形態にかかる回転方向判定装置を備えたアクセッサの全体の外観を示す斜視図である。
【
図6】比較例のステッピングモータおよびギアの斜視図である。
【
図8】一実施形態にかかる回転方向判定装置に使用されるギアの斜視図である。
【
図9】
図8のギアと、操作子であるフラグの配列との関係の説明図である。
【
図10】
図8のギアに一実施形態の操作子を設けた斜視図である。
【
図11】
図10のギアと該ギアに設けられた操作子の配列との関係を示す模式図である。
【
図12】一実施形態の回転方向判定装置の制御部のブロック図である。
【
図13】逆走検出回路で使用される論理回路の回路図である。
【
図14】一実施形態の回転方向判定装置の制御部で行われる処理の一部を示すフローチャートである。
【
図15】
図14のステップFOW以降の処理、ステップREV以前の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る回転方向検出装置の最小構成例について
図1を参照して説明する。
この回転方向検出装置は、格納部に収容された記録媒体を該格納部から出し入れするピッカーを備え、該ピッカーにより出し入れされた前記記録媒体を該記録媒体へデータを読み書きするドライブ装置へ搬送するアクセッサ2を駆動するモータ1と、該モータ1の回転と連動して前記アクセッサ2へ駆動力を伝達する伝達部3と、該伝達部3の回転によって切り替えられるセンサ4と、該センサ4の検出方向と交差する方向への移動によりセンサ4の検出信号を切り替えるフラグ部材5を複数備え、前記伝達部と連動して回転するセンサ操作部6と、前記センサ4から供給される信号によって前記モータを制御する制御部7とを有し、複数の前記フラグ部材5は、その回転方向への寸法が互いに異なる複数種より構成され、互いに寸法が異なる複数のフラグ部材5は、前記伝達部3の一の回転方向と反対方向とで配列順が互いに異なることを特徴とする。
【0013】
上記構成によれば、前記伝達部が一の方向へ回転した場合と反対方向へ回転した場合とで前記フラグ部材が前記センサ4に検出される順序が異なるので、この順序に基づいて前記制御部が回転方向を判定することができる。
【0014】
本発明に係る回転方向検出方法の最小構成例について
図2を参照して説明する。
回転方向検出方法は、格納部に収容された記録媒体を該格納部から出し入れするピッカーを備え、該ピッカーにより出し入れされた前記記録媒体を該記録媒体へデータを読み書きするドライブ装置へ搬送するアクセッサをモータにより駆動する工程SP1と、該モータの回転と連動して、複数のフラグ部材を移動させる工程SP2と、該フラグ部材の移動によってセンサの出力を切り替え操作する工程SP3と、該切り替え操作に伴って発生するパルスから前記モータの回転方向を判定する工程SP4とを備え、複数の前記フラグ部材は、前記センサを操作する方向への寸法が異なる複数種が用いられ、前記モータの回転による一方向への移動と他方向への移動とで前記異なる寸法のものの配列順序が異なることを特徴とする。
【0015】
上記構成によれば、前記伝達部が一の方向へ回転した場合と反対方向へ回転した場合とで前記フラグ部材が前記センサに検出される順序が異なるので、この順序に基づいて回転方向を判定することができる。
【0016】
(実施形態)
図1、2を具体化した本発明の一実施形態に係る構成について
図3~
図11を参照して説明する。
図3~
図5を参照して、一実施形態にかかる搬送方向判定装置を備えたライブラリ装置の構成の概要を説明する。
このライブラリ装置は、
図3に示すように、磁気テープをカセットケースに収容した媒体11を複数格納して、収納した複数の媒体1を一度に装置内に出し入れするマガジン12と、装置内部で前記マガジン12に収納された前記媒体11を出し入れして搬送するアクセッサ13と、該アクセッサ13上を前進/後退して媒体11を引き込むまたは押し出すピッカー14と、アクセッサ13が移動するときに荷重を支えて回転する滑車である複数のローラー15と、前記アクセッサ13上もしくは前記ピッカー14上にあってアクセッサ13やピッカー14の位置/移動距離/媒体の有無を把握するための複数のフォトセンサ16(
図6、7参照)と、前記アクセッサ13が搬送した媒体11を内部に取り込んでデータを読み書きするドライブ17と、これらの構造物を収容する筐体の共通ベースであるボトムシャーシ18とを備える。
【0017】
上記のように構成されたライブラリ装置は、前記マガジン12の内部に収容されている前記媒体11を搬送するアクセッサ13を持ち、このアクセッサ13は、後述の
図8に詳細を示すステッピングモータ20で駆動している。後述の
図8に詳細を示すエンコーダセンサ21は、このアクセッサ13の動作による移動距離に相当するカウントを検知する。ライブラリ装置は、その検知した情報を基に動作中のアクセッサの状況を把握し、その状況に基づいて媒体を搬送する動作を制御する。
【0018】
上記エンコーダセンサ21に使用されるフォトセンサ16の詳細な構成について、
図6、7を参照して説明する。
図6、7は、前記エンコーダセンサ21として使用される透過型のフォトセンサ16の具体例を示すものである。この透過型のフォトセンサ16は、発光部22と受光部23を持ち、発光部22が発した光(矢印Lで示す)を受光部23が受光する構造である。すなわち、前記発光部22から出射した光が前記受光部23で受光されるか否かによって、受光部23がONまたはOFFの信号を出力する。
【0019】
前記フォトセンサ16は、
図7(a)(b)に示すように、検出対象24と一体に移動するセンサ操作部としての遮光体25が前記発光部22と受光部23との間を通過するよう配置される。
前記フォトセンサ16は、前記発光部22と受光部23との間に前記遮光体25等の物体がある場合には、
図7(a)のように発光部22の発した光が遮光体25に遮られることで、前記受光部23に光が届かない遮光状態となって出力がOFFとなり、前記発光部22と受光部23の間に遮光体25等の物体が無い場合には、
図7(b)に示すように、前記発光部22の発した光が受光部23に届くことで受光状態となって出力がONとなる。
【0020】
図8は前記アクセッサ13を駆動するステッピングモータ20と該ステッピングモータ20からアクセッサ13へ動力を伝達する機構、および前記アクセッサ13の移動距離をカウントする機構を示すものである。
図7の検出対象24に相当する部材であるギア30は、
図9に示すように、同図の遮光体25として機能する12個のフラグ31aによって構成されるフラグ群31を有する。該フラグ31aは、前記ギア30の円周方向に等間隔で配置された同一の幅寸法の遮光体である。前記フラグ31aは、前記ギア30の回転と連動して回転方向へ移動することにより、一定の周期でフォトセンサをON~OFFに切り替え操作する。前記ギア30は、前記ステッピングモータ20の回転駆動によってギア32、ギア33、ギア34へ順次回転が伝動されることによって連動して回転し、フラグ群31の各フラグ31aがエンコーダセンサ21の検出光と交差する方向へ通過する。
このように、ライブラリ装置は、前記エンコーダセンサ21が受光と遮光を繰り返すことで出力されるセンサ信号を基に、モータ制御部42が移動距離を算出している。
【0021】
一実施形態のライブラリ装置には、入力されたステップのパルス数だけ前記ステッピングモータ20が回転したかを判定する脱調検出機能が搭載されている。すなわち、前記ステッピングモータ20の駆動中に規定パルス数以内にセンサ信号の出力に変化があるかどうかを監視し、センサ信号の出力が変化せず、移動距離がカウントされない場合、脱調を検出する。
図8、9では、便宜上、前記フラグ31aが同一の幅寸法でかつ一定の相互間隔で配置されている一般的な配列である比較例を図示した。したがって、前記アクセッサ13の移動距離をカウントするエンコーダセンサ21にあっては、一定のパルスを検出する単相でかつフラグ31aの配列が、一の回転方向とその反対の回転方向とで対称となる。
【0022】
すなわち、アクセッサ13の動作方向が前進か後退か(ドライブ17に接近するか離れるか)のどちらの方向へ移動するかにかかわらず、同様のON~OFFが出力される信号となる。そのことによって、脱調検出機能では、センサ信号の変化しか監視していないため、アクセッサの動作方向を検知することができない。さらに、誤った方向にアクセッサが動作していても、動作を停止させることができず、誤った位置に前記媒体11を移動することにより、アクセッサ13および媒体11を装置内部に激突させることがあり得る。
【0023】
図10、11は、本発明の一実施形態にかかるフラグ群31Aを有するギア30を示す。このギア30は、
図7の検出対象24に相当する部材であって、
図9の比較例に示したフラグ31aと該フラグ31aより幅(ギアの円周方向への寸法)が広いフラグ31bとを所定の配列で設けた構成を有する。これらフラグ30a、30bは、遮光体25としての機能を有する。
すなわち、前記フラグ群31Aは、
図11(a)に示すように、前記フラグ31aと31bとが図中左から右へ向かう前進方向へ配置されている。すなわち、
図11(a)の左から、フラグ31b、31b、31a、31b、31a、31a、31b、31b、31a、31b、31a、31b、31b……と配置されている。
この配列によれば、31aを検出する場合を“1”31bを検出する場合を“0”と表現すれば、前進方向へ回転する場合には、110100110100……の順となり、後退方向へ回転する場合には、001011001011……となるから、前進方向への回転と後退方向への回転とによって異なる信号列となる。
【0024】
図12は、アクセッサを駆動する制御部に関する機能ブロック図である。逆走検出回路40は、前記エンコーダセンサ21を構成する受光部23の検出信号を基にフラグ長(前記フラグ31a、31bの幅に応じて出力されるONまたはOFFの信号)を判別し、フラグ通過順を検出する。例えば、前記幅広のフラグ31bが2つ連続で検出されたタイミングをトリガーとし、その後幅広のフラグ31bが通過するタイミングで前記アクセッサ13の動作方向を検出する。前進の場合、トリガー検出後に従来幅のフラグ31aが1つ通過した後に幅広のフラグ31bが通過する。後進の場合、トリガー検出後に従来幅のフラグ31aが2つ通過した後に幅広のフラグ31bが通過する。
【0025】
前記逆走検出回路40は、前記アクセッサ13の動作方向検出信号をCPU(Central Processing Unit)43からの移動の指示に基づいて出力した動作制御方向信号と比較し、一致/不一致の信号をモータ制御部42へ送る。この動作方向が不一致の場合、モータ制御部42がステッピングモータ20の駆動を停止する。また脱調検出回路41は、前記エンコーダセンサ21から供給される信号が前記ステッピングモータ20の実際の駆動信号との一致/不一致を判断し、不一致の場合は駆動パルスの位相調整、あるいは前記ステッピングモータ20を停止する。
【0026】
図13は、前記逆走検出回路40において逆走検出信号を生成する論理回路の構成例である。
図13(a)は、通過したフラグ長を判別し、幅広フラグが2つ連続で検出されたタイミングのトリガー信号を生成する回路の構成例を示すものである。
第1のカウント器51は、フラグ31bの広いフラグ幅の通過の際のエンコーダセンサの出力時間内での逆走検出クロック数に合わせた規定回数が予め設定されており、前記エンコーダセンサ21を遮光している間の前記逆走検出クロックの立ち上がり回数と前記規定回数とを比較してフラグ長を判別し、幅広フラグ31bの場合は出力端子Aから“1”を出力し、従来幅のフラグ31aの場合は出力端子Bから“1”を出力する。前記規定回数は、ステッピングモータ20の励磁電流パターンから検出したモータ回転数に合わせた値を用意しておき、そこから設定する。
前記第1のカウント器51の出力端子Aの出力は、第1のフリップフロップ52のData(データ)入力端子へ入力され、また、出力端子Bの出力は、第1のフリップフロップ52のCLR(クリア)入力端子へ入力される。したがって、第1のフリップフロップ52は、幅広のフラグ31bが通過する度に1にセットされて“1”を保持し、幅の狭いフラグ31aが通過する毎にリセットされる。
前記第1のフリップフロップ52の出力Cが第2のカウント器53に入力されると、回転方向検出のスタートを指示する信号が出力され、このスタートを指示する信号は、前記第1のフリップフロップ52の出力Cが“1”でないことを条件にクリアされてが“0”となる。
【0027】
図13(b)は、トリガーの幅広フラグが2つ連続で通過した後に、幅広フラグが通過するまで何個のフラグが通過したかをカウントし、前進/後退の判定結果を示す信号を出力する回路の構成例を示すものである。
第2のフリップフロップ54は、前記第2のカウント器53からスタート信号が入力されると、前記幅広のフラグ31bの通過により出力される信号Aを第3のカウント器55へ出力する。該第3のカウント器55は、前記幅広のフラグ31bの通過をカウントし、カウント結果を比較器56へ供給する。
該比較器56は、入力されたカウント値と、入力された動作方向信号(正方向を1、逆方向を0とする回転方向の指令値)とを比較し、指令値と一致しない場合には、逆走検出信号をモータ制御部42へ出力し、脱調の場合と同様に、ステッピングモータ20の停止等の処理を行わせる。
【0028】
以上のように構成された回転方向判定装置のアクセッサの動作を、モータ制御部42で実行される処理とともに、
図14、15を参照して説明する。
図14のフローチャートは、一実施形態のアクセッサの動作の例である。
この動作にあっては、逆走検出機能にてフラグの通過順を検出しており、アクセッサの動作方向が誤った方向の場合、モータ制御部にてアクセッサの動作を停止させる。
SP101
前記媒体11のいずれを出し入れすべきかの指令があると、当該媒体11の位置と前記アクセッサ13のX座標方向(マガジンが並んだ方向)と現在位置との位置情報に基づいて、前記CPU43が移動量(ステッピングモータ20の回転量の命令として供給すべきパルスの数)を算出し、対象となる媒体11の位置までアクセッサ13を移動させるための移動パルスを指定する。
SP102
次に、前記モータ制御部42がCPU43から入力した信号に従い、前記ステッピングモータ20を駆動する。
SP103
このモータの駆動中は、フラグ31a、31bを備えることによる脱調検出機能によって前記エンコーダセンサ21の信号の出力が切り替えられ、この信号に基づいて移動距離がカウントされているかを確認する。カウントされていると判断した場合には、SP104へ進み、カウントされていないと判断した場合には、ステップFOWへ進んで、
図15に示す各ステップを実行する。
【0029】
SP104
さらに、逆走検出機能によって指示された動作方向と検出された動作方向とを比較し、一致する場合はステップSP105へ、一致しない場合は、SP106へ進む。この動作方向の比較は、
図11(a)に示すフラグ31aと31bとの配列に基づいて幅広のフラグ31bを連続して検出した後のフラグ31a、31bの検出の順序の相違による。
SP106
動作方向が不一致の場合、モータ制御部42がアクセッサ動作を停止する。
SP107
リトライによる復旧を試みるため、アクセッサ13の動作異常が一定回数以下であるか確認する。
SP107
リトライ回数が所定の回数以下の場合、アクセッサ13の動作を再開する。動作異常が一定回数を超えた場合は処理を終了する。
前記ステップSP104において動作方向が正しいと判定された場合は、ステップSP105へ進む。
SP105
最後に、モータ制御部42にてアクセッサ13のX座標の移動距離とCPU43に指定された移動パルス数とを比較し、指定位置に到着したか確認する。指定位置に到着していない場合はモータ駆動を継続する。
【0030】
前記ステップSP103において、パルス数をカウントしない脱調と判断してステップFOWへ進んだ場合には、
図15のステップFOW以下の処理を実行する。
SP108
脱調となった場合、前記モータ制御部42はCPU43へ脱調信号を出力する。
SP109
脱調信号が入力されると、次に原点検出動作を行う。
SP110 SP111
原点検出動作中は、前記ステップSP103と同様に所定のパルス数がカウントされたかの脱調検出機能とパルスの配列が正しいかの逆走判定機能とが働く。脱調、逆走ともない場合は、次のステップSP112に進み。所定パルス数となっていない場合はステップ113のリトライ判断へ進み、逆走している場合はステップSP114へ進んでステッピングモータ20の動作を停止する。
SP112
モータ制御部にて指定位置の原点に到着したかを確認する。原点に到着した場合は、ステップRETから、
図14のステップSP101へ進み、出し入れする媒体の位置までのアクセッサ移動をやり直す。原点に到着していない場合は、ステップSP115でタイムアウトと判断されない限り、前記ステップSP109へ戻って原点検出動作を継続する。
SP115
タイムアウトになったかを判断し、予め設定された所定の時間が経過した場合は異常終了する。
【0031】
上記各工程の処理により、前記アクセッサ13の動作方向が誤った方向の場合、モータ制御部42にて動作を停止させることができる。この制御により、誤った方向へアクセッサ13が移動し誤った位置で動作を終了することがなく、また、前記アクセッサ13および媒体11が装置内部に激突することを回避することができる。
この効果は、前記アクセッサ13の移動距離をカウントするエンコーダセンサ21および幅の異なる2種のフラグ31a、31bを使用することによって実現することができるため、新たなセンサおよび実装スペースを必要とすることがない。さらに、フラグ31a、31bの幅を変えることによって正逆を判定することができ、この幅の相違はエンコーダセンサ21の出力信号のデューティー比が変わるのみで、パルス数の増加を伴わないから、既存の(同一の幅のフラグを用いた)パルスモータにおけるパルスのカウント(検出)と同一の制御によって実現することができる。
【0032】
上記一実施形態にあっては、光透過式のフォトセンサを用いたが、フラグによって反射する光線を検出する反射式のフォトセンサ、あるいは、ギアと一体に回転する磁性体片(帯状の磁性体パターンの列)をフラグとしてこのフラグを磁気センサによって検出する方式にも本発明を適用することができる。
前記フラグを設けるギアは
図8~11に例示されたギアに限定されるものではなく、ステッピングモータからアクセッサに到る駆動系に設けられた他のギアであっても良い。
センサを操作するフラグ部材を備えるセンサ操作部は、一実施形態の如く、回転伝達系に設けられたギアと一体に回転する別の部材に限られるものではなく、ギアを構成する部材の歯が形成された個所以外の部分に付属的に形成された部材であっても良い。
【0033】
以上、本発明の一実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの一実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、モータによって駆動される装置の回転方向判定装置および判定方法に利用することができる。
【符号の説明】
【0035】
1 モータ
2 アクセッサ
3 伝達部
4 センサ
5 フラグ部材
6 センサ操作部
7 制御部
11 媒体
12 マガジン
13 アクセッサ
14 ピッカー
15 ローラ-
16 フォトセンサ
17 ドライブ
18 ボトムシャーシ
20 ステッピングモータ
21 エンコーダセンサ
22 発光部
23 受光部
24 検出対象
25 遮光体
30 ギア
31a、31b フラグ
31、31A フラグ群
40 逆走検出回路
41 脱調検出回路
42 モータ制御部
43 CPU
51 第1のカウント器
52 第1のフリップフロップ
53 第2のカウント器
54 第2のフリップフロップ
55 第3のカウント器
56 比較器
【手続補正書】
【提出日】2022-11-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
格納部に収容された記録媒体を該格納部から出し入れするピッカーを備え、該ピッカーにより出し入れされた前記記録媒体を該記録媒体へデータを読み書きするドライブ装置へ搬送するアクセッサを駆動するモータと、
該モータの回転と連動して前記アクセッサへ駆動力を伝達する伝達部と、
該伝達部の回転によって切り替えられるセンサと、
該センサの検出方向と交差する方向への移動によりセンサの検出信号を切り替えるフラグ部材を複数備え、前記伝達部の動作と連動して回転するセンサ操作部と、
前記センサから供給される信号によって前記モータを制御する制御部と、
を有し、
複数の前記フラグ部材は、その回転方向への寸法が互いに異なる複数種より構成され、
互いに寸法が異なる複数のフラグ部材は、前記伝達部の一の回転方向と反対方向とで配列順が互いに異なり、
前記フラグ部材は、第1のフラグ部材と、該第1のフラグ部材より前記回転方向への寸法が大きい第2のフラグ部材とから構成され、
前記制御部は、前記第1のフラグ部材が所定回数連続して検出された後の第2のフラグ部材の検出結果によって前記モータによるアクセッサの回転方向を判定する、
回転方向判定装置。
【請求項2】
前記伝達部は、前記モータから回転が伝達されて回転するギアであって、前記センサ操作部は該ギアと一体に回転する、
請求項1に記載の回転方向判定装置。
【請求項3】
前記センサは、出射された光線の受光の有無を検出するセンサであって、
前記センサ操作部を構成するフラグ部材は、前記伝達部の移動にともなって、前記センサに入射する光線と交差する方向へ移動して前記光線を遮断する板状の部材であって、回転方向に沿う寸法が異なる複数種により構成された、
請求項1または2のいずれか1項に記載の回転方向判定装置。
【請求項4】
複数の前記フラグ部材は、前記伝達部を構成するギアに該ギアの回転方向に沿って配列された、
請求項3に記載の回転方向判定装置。
【請求項5】
格納部に収容された記録媒体を該格納部から出し入れするピッカーを備え、該ピッカーにより出し入れされた前記記録媒体を該記録媒体へデータを読み書きするドライブ装置へ搬送するアクセッサをモータにより駆動する工程と、
該モータの回転と連動して、複数のフラグ部材を移動させる工程と、
該フラグ部材の移動によってセンサの出力を切り替え操作する工程と、
該切り替え操作に伴って発生するパルスから前記モータの回転方向を判定する工程と、
を備え、
複数の前記フラグ部材は、前記センサを操作する方向への寸法が異なる複数種が用いられ、前記モータの回転による一方向への移動と他方向への移動とで前記異なる寸法のものの配列順序が異なり、
複数の前記フラグ部材の前記回転方向に沿う寸法を互いに異ならせ、
互いに寸法が異なる複数の前記フラグ部材の検出順序によって前記回転方向を判定する、
回転方向判定方法。