(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023121546
(43)【公開日】2023-08-31
(54)【発明の名称】固着具打込み支援装置
(51)【国際特許分類】
E04G 21/16 20060101AFI20230824BHJP
B25C 7/00 20060101ALI20230824BHJP
B25H 5/00 20060101ALI20230824BHJP
【FI】
E04G21/16
B25C7/00 Z
B25H5/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022024944
(22)【出願日】2022-02-21
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088580
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 敦
(74)【代理人】
【識別番号】100195453
【弁理士】
【氏名又は名称】福士 智恵子
(74)【代理人】
【識別番号】100205501
【弁理士】
【氏名又は名称】角渕 由英
(72)【発明者】
【氏名】中村 知行
(72)【発明者】
【氏名】梅沢 浩之
(72)【発明者】
【氏名】村井 孝司
(72)【発明者】
【氏名】野村 勇樹
(72)【発明者】
【氏名】南川 達浩
【テーマコード(参考)】
2E174
3C012
3C068
【Fターム(参考)】
2E174AA03
2E174BA01
2E174CA04
2E174CA06
2E174CA28
2E174CA31
2E174DA17
2E174DA34
2E174DA52
2E174DA63
3C012BL02
3C068AA01
3C068AA04
3C068BB01
3C068CC02
3C068GG20
(57)【要約】
【課題】ボードを保持した状態でボードの複数箇所に固着具を打込むときに、従来よりも簡易な構成で作業負担を軽減できる固着具打込み支援装置を提供する。
【解決手段】固着具打込み支援装置1は、ボードBを載置する載置部10と、載置部10を上下方向に移動可能に支持する昇降部20と、載置部10に載置されたボードに固着具を打込む打込み工具60と、載置部10に対して打込み工具60を水平方向に移動可能となるように取り付ける移動装置と、を備え、移動装置は、載置部10においてボードBが載置される面とは異なる面に設けられる案内部40と、案内部40に沿って水平方向に移動し、打込み工具を支持する移動部50と、を有し、移動部50とともに打込み工具60を水平方向に移動させることで、載置部10に載置されたボードBにおいて異なる箇所に固着具64を打込み可能とする。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボードを載置する載置部と、
前記載置部を上下方向に移動可能に支持する昇降部と、
前記載置部に載置された前記ボードに固着具を打込む打込み工具と、
前記載置部に対して前記打込み工具を水平方向に移動可能となるように取り付ける移動装置と、を備え、
前記移動装置は、
前記載置部において前記ボードが載置される面とは異なる面に設けられる案内部と、
前記案内部に沿って水平方向に移動し、前記打込み工具を支持する移動部と、を有し、
前記移動部とともに前記打込み工具を水平方向に移動させることで、前記載置部に載置された前記ボードにおいて異なる箇所に固着具を打込み可能とすることを特徴とする固着具打込み支援装置。
【請求項2】
前記案内部は、前記載置部の底面又は側面に形成された凹凸形状の案内レールであって、
前記移動部は、前記案内部に対してスライド移動可能に取り付けられ、
前記打込み工具は、前記載置部に載置された前記ボードの底面に前記固着具を打込むことを特徴とする請求項1に記載の固着具打込み支援装置。
【請求項3】
前記案内部は、前記載置部の底面に設けられ、
前記移動部は、前記案内部から下方へ突出するように設けられ、
前記打込み工具は、前記昇降部に対して前記移動部よりも外側位置に配置され、
前記移動装置は、前記打込み工具を前記載置部よりも外側位置で移動させることで、前記ボードの外周部分に固着具を打込み可能とすることを特徴とする請求項1又は2に記載の固着具打込み支援装置。
【請求項4】
前記載置部は、
前記昇降部の上端部に取り付けられ、前記昇降部の上端部から水平方向において異なる向きに延出している複数の延出部と、
前記複数の延出部それぞれの延出端部を連結する枠状の枠状部と、を有し、
前記案内部は、少なくとも前記枠状部に沿って形成され、
前記移動装置は、前記打込み工具を前記枠状部に沿って移動させることで、前記ボードの外周部分に固着具を打込み可能とすることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の固着具打込み支援装置。
【請求項5】
前記複数の延出部は、前記昇降部の上端部から水平方向において略放射状に延出し、
前記案内部は、前記延出部に沿って形成され、
前記移動装置は、前記打込み工具を前記延出部に沿って移動させることで、前記ボードの中央部及び/又は中央部周辺に固着具を打込み可能とすることを特徴とする請求項4に記載の固着具打込み支援装置。
【請求項6】
前記打込み工具は、
前記載置部に載置された前記ボードの底面に下方から前記固着具を打込む打込み部と、
前記載置部に対して前記打込み部を上下方向に移動させ、前記ボードの底面に前記打込み部を近接又は当接させた状態で前記固着具を打込むために操作される打込み操作部と、を有し、
前記打込み部は、
前記移動部が前記枠状部に形成された前記案内部から、前記延出部に形成された前記案内部へ移動可能となるように、前記載置部よりも下方位置に配置され、
前記打込み操作部が操作されることで前記固着具を打込むために上方へ移動し、
前記打込み操作部は、前記打込み工具の本体部よりも下方へ突出していることを特徴とする請求項5に記載の固着具打込み支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボードを保持した状態で固着具を打込む固着具打込み支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
建築物の内装施工において、建築物の天井に建築ボードとしての石膏ボードを取り付ける際には、脚立を用いて手作業で行うことが多く、ビスや釘等で石膏ボードを下地材に打ち止めする作業に労力と時間がかかっていた。
そこで、石膏ボード等の建築ボードを保持しつつ、天井部分にある下地材等に建築ボードを当接させて、下地材等と建築ボードとに固着具を打込むことで作業効率を向上させる搬送装置が開示されている(例えば特許文献1参照)。
特許文献1に記載の搬送装置は、石膏ボードを支持した状態で天井位置まで移動させる支持部材を有している。そして、石膏ボードを天井位置で支持した状態で、固着具等を石膏ボードに仮打ちする仮打ち機構を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、石膏ボードの複数箇所に仮打ちを行う場合に、特許文献1に記載の搬送装置では、仮打ち機構が支持部材の中央部分の一箇所のみに設けられていたため、その都度、搬送装置を移動させる必要があった。そのため、作業時間が増大し、作業効率が低くなる虞があった。また、複数個所に仮打ち機構を備える構成とすると、部品点数が多くなり、装置の重量の増大化や、コスト増加の虞があった。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、ボードを保持した状態でボードの複数箇所に固着具を打込むときに、従来よりも簡易な構成で作業負担を軽減することが可能な固着具打込み支援装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題は、本発明に係る固着具打込み支援装置によれば、ボードを載置する載置部と、前記載置部を上下方向に移動可能に支持する昇降部と、前記載置部に載置されたボードに固着具を打込む打込み工具と、前記載置部に対して前記打込み工具を水平方向に移動可能となるように取り付ける移動装置と、を備え、前記移動装置は、前記載置部において前記ボードが載置される面とは異なる面に設けられる案内部と、前記案内部に沿って水平方向に移動し、前記打込み工具を支持する移動部と、を有し、前記移動部とともに前記打込み工具を水平方向に移動させることで、前記載置部に載置された前記ボードにおいて異なる箇所に固着具を打込み可能であることにより解決される。
【0007】
上記の固着具打込み支援装置によれば、載置部により石膏ボードを保持した状態で、案内部に沿って打込み工具を移動可能としているため、例えば天井部分にある下地材に建築ボードを当接させた状態で、当該建築ボードの複数箇所に固着具を打込むことが可能となる。これにより、脚立を利用しなくとも高い位置に固着具を打込むことができるため、作業負担を軽減できる。また、打込み工具は一つであっても良いため、簡易な構成で、好適にボードの保持及び仮打ち作業を行うことが可能となる。
すなわち、上記の固着具打込み支援装置によれば、ボードを保持した状態でボードの複数箇所に固着具を打込むときに、従来よりも簡易な構成で作業負担を軽減することができる。
【0008】
また、上記の固着具打込み支援装置において、前記案内部は、前記載置部の底面又は側面に形成された凹凸形状の案内レールであって、前記移動部は、前記案内部に対してスライド移動可能に取り付けられ、前記打込み工具は、前記載置部に載置された前記ボードの底面に前記固着具を打込むと良い。
こうすることで、案内レールが載置部の一部として構成されるため、部品点数を削減できる。
【0009】
また、上記の固着具打込み支援装置において、前記案内部は、前記載置部の底面に設けられ、前記移動部は、前記案内部から下方へ突出するように設けられ、前記打込み工具は、前記昇降部に対して前記移動部よりも外側位置に配置され、前記移動装置は、前記打込み工具を前記載置部よりも外側位置で移動させることで、前記ボードの外周部分に固着具を打込み可能とすると良い。
こうすることで、コンパクトな形状でボードの外周部分にも打込み作業が可能となる。具体的には、案内部が載置部の底面に形成され、移動部が案内部から下方へ突出しているため、水平方向において載置部の外側に打込み工具を大幅に張り出させることなく、ボードの外周部分に打込むことができる。
【0010】
また、上記の固着具打込み支援装置において、前記載置部は、前記昇降部の上端部に取り付けられ、前記昇降部の上端部から水平方向において異なる向きに延出している複数の延出部と、前記複数の延出部それぞれの延出端部を連結する枠状の枠状部と、を有し、前記案内部は、少なくとも前記枠状部に沿って形成され、前記移動装置は、前記打込み工具を前記枠状部に沿って移動させることで、前記ボードの外周部分に固着具を打込み可能とすると良い。
このように、複数の延出部と、枠状部とを有しているため、安定してボードを支持することができる。また、枠状部の底面に案内部が形成されるため、ボードの外周部分に沿って好適に打込み作業を行うことが可能となる。
【0011】
また、上記の固着具打込み支援装置において、前記複数の延出部は、前記昇降部の上端部から水平方向において略放射状に延出し、前記案内部は、前記延出部に沿って形成され、前記移動装置は、前記打込み工具を前記延出部に沿って移動させることで、前記ボードの中央部及び/又は中央部周辺に固着具を打込み可能とすると良い。
こうすることで、ボードの外周部分だけではなく、ボードの中央部分にも打込み作業が可能となる。
【0012】
また、上記の固着具打込み支援装置において、前記打込み工具は、前記載置部に載置された前記ボードの底面に下方から前記固着具を打込む打込み部と、前記載置部に対して前記打込み部を上下方向に移動させ、前記ボードの底面に前記打込み部を近接又は当接させた状態で前記固着具を打込むために操作される打込み操作部と、を有し、前記打込み部は、前記移動部が前記枠状部に形成された前記案内部から、前記延出部に形成された前記案内部へ移動可能となるように、前記載置部よりも下方位置に配置され、前記打込み操作部が操作されることで前記固着具を打込むために上方へ移動し、前記打込み操作部は、前記打込み工具の本体部よりも下方へ突出していると良い。
こうすることで、ボードを載置する載置部を避けながら(かわしながら)、打込み工具を水平方向に移動させることができ、かつ、打込み作業時には打込み部を上方移動させ、ボードの底面に打込み部を近接させることができる。また、打込み操作部が下方へ突出して、作業者の手元近傍に配置されているため、打込み操作部が操作されやすく、ボードの底面に向けて固着具を真上に打込むことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る固着具打込み支援装置によれば、ボードを保持した状態で固着具をボードに打込むときに、簡易な構成で作業負担を軽減できる固着具打込み支援装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本実施形態の固着具打込み支援装置の全体構成を示す図である。
【
図2】固着具打込み支援装置を斜め下から見たときの図である。
【
図4A】載置部、案内部、移動部及び打込み工具の底面図であって、打込み工具が移動する前の状態を示す図である。
【
図4B】打込み工具が案内部に沿って移動した後の状態を示す図である。
【
図4C】打込み工具が更に移動した後の状態を示す図である。
【
図4D】打込み作業が完了したときの状態を示す図である。
【
図6】変形例の固着具打込み支援装置の正面図であって、載置部が回動した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、
図1~
図4Dに基づき、本発明の一実施形態(以下、本実施形態)の固着具打込み支援装置1について説明する。
固着具打込み支援装置1は、建築ボードとなる石膏ボードBを支持して、被施工体となる天井下地材の近傍まで石膏ボードBを昇降させる機能を有する。
更に、固着具打込み支援装置1は、天井下地材及び石膏ボードBに、釘、ビス、ステープル等の固着具64を打込む作業に用いられる。
なお、本装置1は、天井下地材に石膏ボードBを仮止めするものであるが、本止めを行うものとしても良い。
【0016】
<固着具打込み支援装置1の構成>
固着具打込み支援装置1は、
図1~
図4Dに示すように、載置部10と、昇降部20と、基部30と、案内部40と、移動部50と、打込み工具60と、から主に構成されている。案内部40及び移動部50が「移動装置」に相当する。
なお、固着具打込み支援装置1が床面に載置された際に、基部30に対して載置部10が設けられる側が上方側となる。
【0017】
載置部10は、
図1~
図4Dに示すように、石膏ボードBを載置するものであって、石膏ボードBの中央部分を下方から支持する載置支持部11と、石膏ボードBの外周部分を下方から支持する枠状部12と、載置支持部11を昇降部20に固定する固定部13と、を備える。
載置部10は、例えば断面略四角形状又は断面略四角枠状の鋼材(例えばアルミニウム)から形成され、石膏ボードBを載置可能な形状を有している。
載置部10において載置支持部11及び枠状部12の上面が、石膏ボードBを載置する載置面となる。また、載置部10の底面には、案内部40が形成される。
【0018】
載置支持部11は、
図2、
図4に示すように、昇降部20の上端に取り付けられる載置中央部11aと、載置中央部11aから水平方向に延出する複数の延出部11bと、を有する。
載置中央部11aは、固定部13に固定される部位である。具体的には、載置中央部11aは、載置部10の長手方向に延びる2本の直線状の部位であって、固定部13の外側面に、互いに平行となるように取り付けられる。
延出部11bは、載置中央部11aと一体的に形成され、載置中央部11aから略放射状に延在する4本の棒状の部位である。具体的には、2本の載置中央部11aの長手方向の各端部からそれぞれ幅方向の外側に向かって90度屈曲して延在する部位である。
枠状部12は、4つの延出部11bのそれぞれの延出端部11cを連結する枠状の部位であって、延出部11bと一体的に形成される。
【0019】
固定部13は、昇降部20の上端部に取り付けられ、載置中央部11aを固定する。
載置部10は、固定部13によって昇降部20の上端部に取り付けられることで、昇降部20の昇降動作によって昇降し、石膏ボードBを昇降させることができる。
【0020】
本実施形態の載置部10は、石膏ボードBに固着具64を打込むことができるように、複数の棒状部材(受け部材)を連結させることで枠状の載置面を構成している。
しかし、石膏ボードBを載置できる形状であれば、これに限定されず、載置部10を一枚の板状部材としても良い。その場合、載置部10から張り出した石膏ボードBの外周部分に固着具64を打込むことができる。より好ましくは、載置部10の中央部分に貫通孔を設けると良い。そうすると、貫通孔を通じて石膏ボードBの中央部分に固着具64を打込むことができる。
そのほか、載置部10を水平方向において変形可能な構成としても良い。例えば、載置部10の枠状部12を水平方向に伸縮させることで、載置面の大きさを変形させても良い。そうすることで、様々なサイズの石膏ボードBを支持することができる。
【0021】
昇降部20は、
図1~
図3に示すように、後述するシリンダケース31に対して、載置部10を上下方向に移動可能に支持するものである。
具体的には、昇降部20は、ピストン部材21と、第1ブラケット22と、第2ブラケット23と、下方延出部材24と、脱落防止部材25と、規制部材26と、を備える。
シリンダケース31は、ホース3を通じてエアコンプレッサ2と接続され、当該エアコンプレッサ2から圧縮空気が供給される。
昇降部20は、シリンダケース31に接続されたホース3を通じて、エアコンプレッサ2から供給される圧縮空気のエネルギーを駆動力に変換し、ピストン部材21を上下方向に移動させる。
石膏ボードBを載置した載置部10は、昇降部20の動作によって上方に移動し、天井下地材の近傍まで石膏ボードBを搬送する。
【0022】
ピストン部材21は、
図3に示すように、下段ピストン21Aと、上段ピストン21Bと、を有する。
下段ピストン21Aは、シリンダケース31の内側に設けられ、シリンダケース31内の空気圧の高まりに応じてシリンダケース31から上方にスライドする可動部材である。換言すれば、下段ピストン21Aは、シリンダケース31から上方に移動可能な第1段目のピストンである。
【0023】
上段ピストン21Bは、下段ピストン21Aの内側に設けられ、シリンダケース31内の空気圧の高まりに応じて下段ピストン21Aから更に上方にスライドする可動部材である。
換言すれば、上段ピストン21Bは、下段ピストン21Aから更に上方に移動可能な第2段目のピストンである。すなわち、上段ピストン21Bの移動の上限位置は、下段ピストン21Aの移動の上限位置よりも高くなる。
【0024】
ピストン部材21は、シリンダケース31に対して、上下にピストン運動を行う。エアコンプレッサ2からシリンダケース31への圧縮空気の流入と、空気の開放との操作指示は、ホース3に接続された操作部4を通じて実行可能である。
具体的には、操作部4の上昇ボタン4Aが押下された場合には、エアコンプレッサ2からシリンダケース31に向けて圧縮空気が流入する。これにより、ピストン部材21が押し上げられる。シリンダケース31への圧縮空気の流入量に応じて、すなわち操作部4の操作に応じて、ピストン部材21の移動高さの調整が可能である。
【0025】
また、操作部4の下降ボタン4Bが押下された場合には、シリンダケース31の不図示の弁を開放することで、シリンダケース31から空気が抜けるようになる。
こうすると、載置部10、ピストン部材21の重さによりシリンダケース31から空気が抜けて、ピストン部材21が元の位置に移動する、すなわち下方に移動することとなる。
【0026】
第1ブラケット22は、
図3に示すように、上段ピストン21Bに下方延出部材24を取り付けるための取付部材である。なお、第1ブラケット22は、上段ピストン21Bに固定され、上段ピストン21Bと一体的に移動する。
第2ブラケット23は、下方延出部材24の延出方向をガイドするとともに、規制部材26を取り付けるための取付部材である。なお、第2ブラケット23は、下段ピストン21Aに固定され、下段ピストン21Aと一体的に移動する。
【0027】
下方延出部材24は、第1ブラケット22に取り付けられ、第1ブラケット22から下方に延出する円柱形のパイプである。左右の下方延出部材24のそれぞれには、規制部材26(第1ストッパ部材26a)が取り付けられる。
脱落防止部材25は、球形状であって、下方延出部材24の下端部に取り付けられる。
脱落防止部材25は、第1ストッパ部材26aよりも下方に取り付けられるため、第1ストッパ部材26aの下方延出部材24からの脱落を防止でき、下方延出部材24の下端部を作業者が握りやすくなる。
【0028】
規制部材26は、第1ストッパ部材26aと、第2ストッパ部材26bと、を有する。
第1ストッパ部材26aは、上下方向に貫通する貫通孔が形成され、その貫通孔に下方延出部材24が通される。なお、下方延出部材24に対する第1ストッパ部材26aの取り付け位置は可変となっている。
第1ストッパ部材26aは、下方延出部材24の任意の位置に固定される。具体的には、第1ストッパ部材26aは、下方延出部材24の下部に形成された複数の孔にプランジャを固定することによって、下方延出部材24に対して任意の位置で固定することができる。
第2ストッパ部材26bには、上下方向に貫通する貫通孔が形成され、その貫通孔に下方延出部材24が通される。第2ストッパ部材26bは、締結具を用いて第2ブラケット23に固定される。
【0029】
上記構成において、操作部4の上昇ボタン4Aが押下されると、下段ピストン21Aとともに移動する第2ストッパ部材26bは、下段ピストン21Aの停止と同時に停止する。これに対し、上段ピストン21Bとともに移動する第1ストッパ部材26aは、上方への移動を継続し、最終的に第2ストッパ部材26bと当接することとなる。
これにより、上段ピストン21Bと第1ストッパ部材26aの上方への移動が規制される。
【0030】
基部30は、
図1~
図3に示すように、載置部10及び昇降部20を水平方向に走行可能に支持するものである。
具体的には、基部30は、昇降部20を支持するシリンダケース31と、シリンダケース31を支持する脚部32と、シリンダケース31及び脚部32を移動させる複数の車輪33と、を備える。
【0031】
シリンダケース31は、上下にピストン運動を行うピストン部材21を収容する。
脚部32は、シリンダケース31の下端から放射状に延びて、シリンダケース31を支持する。脚部32の延出端部には、車輪33が取り付けられる。
車輪33は、キャスタ(自在キャスタ)で構成されている。車輪33は、載置部10が床面と平行な状態となるようにして、シリンダケース31及び脚部32を移動可能に支持する。
基部30は、4つの車輪33を備えているため、固着具打込み支援装置1を走行させる労力を軽減できる。なお、車輪33の個数や位置、形状は特に限定されるものではない。
【0032】
案内部40は、
図1~
図4に示すように、打込み工具60を水平方向に移動可能に案内するものであって、載置部10の底面に設けられている。具体的には、案内部40は、載置部10の底面に形成された凹凸形状の案内レールである。
より詳しく述べると、案内部40は、載置部10の幅方向の中央部の底面に形成され、載置部10の長手方向に開口したスリット状の凹部である。
案内部40は、載置部10のうち、載置面とは異なる面に形成される。このように、載置部10の上面が載置面となり、載置部10の底面に案内部40(案内レール)が形成されることで、案内部40は、載置部10の載置面に対して移動部50及び打込み工具60を水平方向に移動可能となるように支持することができる。
【0033】
案内部40には、後述する移動部50のスライダ51が挿入され、案内部40によってスライダ51がスライド移動可能に案内される。すなわち、案内部40の内部には、スライダ51が接触してスライド移動可能な摺動面が形成されている。
【0034】
移動部50は、
図1~
図4に示すように、案内部40に対してスライド移動可能に取り付けられるものである。
具体的には、移動部50は、案内部40に沿ってスライド移動するスライダ51と、スライダ51に取り付けられ、打込み工具60を取り付ける工具取付部52と、を備える。
スライダ51及び工具取付部52は、案内部40から下方へ突出するように設けられる。
【0035】
スライダ51は、凸形状を有し、凹状の案内部40に挿入され、案内部40に沿って移動可能となっている。
工具取付部52は、その外側面に打込み工具60が取り付けられ、打込み工具60を案内部40に沿って移動させるものである。
工具取付部52は、スライダ51の下端部に固定され、スライダ51とともに案内部40に沿って移動する。工具取付部52は、水平方向において、昇降部20よりも外側に突出する位置に、打込み工具60が配置される。
【0036】
移動部50は、打込み工具60を載置部10よりも外側位置で移動させることで、石膏ボードBの外周部分に後述する打込み部62を位置させて、石膏ボードBの底面に固着具64を打込む作業が可能となる。 このように、移動部50は、枠状部12の底面に形成された案内部40に沿ってスライダ51を移動させることにより、水平方向に移動する。
【0037】
なお、本実施形態では、凹状の案内部40に凸状のスライダ51が挿入されている。しかし、これに限定されず、凹凸形状は逆であっても良い。具体的には、凸状の案内部40に凹状のスライダ51が挿入されても良い。
【0038】
本実施形態では、案内部40は、載置部10の底面に一体となって形成される。すなわち、案内部40は、載置部10の一部である。しかし、載置部10の底面に別部材の案内レールを取り付けることで、案内部40を構成しても良い。
また本実施形態では、載置部10の底面に案内部40が形成されるが、載置部10の側面に案内部40が形成されていても良い。その場合、案内部40は、載置部10の側面に一体となって形成されても良いし、載置部10とは別部材としても良い。
【0039】
案内部40は、
図4Aに示すように、載置部10の枠状部12の底面に沿って形成される。作業者は、案内部40及び移動部50により、打込み工具60を枠状部12に沿って移動させることで、石膏ボードBの外周部分に固着具64を打込むことができる。
【0040】
なお、本実施形態では、案内部40は、載置支持部11の底面には設けられていない。しかし、これに限らず、
図4Bに示すように、載置支持部11の底面に案内部40を形成しても良い。
案内部40は、枠状部12の底面に沿って形成される第1案内部40aと、載置支持部11の底面に形成される第2案内部40bと、を備える。第2案内部40bは、載置支持部11の複数の延出部11bの底面に沿って形成される。
このように枠状部12及び載置支持部11の底面に案内部40を設けることで、石膏ボードBの外周周辺だけではなく、中央部及び中央部周辺にも、固着具64を打込む作業が可能となる。
【0041】
打込み工具60は、石膏ボードBに固着具64を打込む工具である。例えば、打込み工具60は、その内部に固着具64を保持している。
打込み工具60は、移動装置を構成する案内部40及び移動部50によって、載置部10よりも下方位置において載置部10に対して水平方向に移動することができる。そして、打込み工具60は、載置部10の上面に載置された石膏ボードBの底面に下方から固着具64を打込むことができる。
【0042】
打込み工具60は、
図1~
図4Dに示すように、工具取付部52に取り付けられた打込み本体部61と、固着具64を打ち出す打込み部62と、打込み工具60を上下方向及び水平方向に移動させる打込み操作部63と、を備える。
打込み部62は、打込み操作部63が操作されることで上方へ移動する。そして、打込み部62が石膏ボードBの底面に当接した状態で不図示のトリガーが引かれると、打込み工具60は、打込み本体部61内のコンプレッサから供給される空気圧によって、打込み部62から石膏ボードBに向けて固着具64を打ち出す。
【0043】
打込み本体部61は、工具取付部52から側方へ突出するように工具取付部52に取り付けられる。打込み本体部61は、スライダ51の移動とともに水平方向に移動する。
なお、打込み工具60は、工具取付部52に対して、上下方向を軸として回転可能に取り付けられても良い。こうすることで、水平方向において案内部40よりも外側の位置だけでなく、案内部40よりも内側の位置においても、石膏ボードBの底面への打込み作業が可能となる。
【0044】
打込み部62は、載置部10よりも下方位置において、打込み本体部61の上端部に取り付けられる。打込み部62は、打込み本体部61とともに上方へ移動する。
なお、打込み部62は、載置部10よりも下方位置に配置されることで、石膏ボードBよりも下方位置で水平方向に移動可能となる。
例えば、載置部10の中央付近に位置する延出部11bの底面に案内部40が設けられる場合に、打込み部62は、石膏ボードBの中央付近においても、載置部10の下方位置で水平方向に移動可能となる。
【0045】
打込み部62は、載置部10に載置された石膏ボードBの底面に当接又は近接した状態で、下方から固着具64を打込む。打込み部62は安全装置として機能する。例えば、打込み部62が石膏ボードBに押し付けられていない状態では、トリガーが引かれた場合であっても、打込み工具60は固着具64を打ち込むことができない。
【0046】
打込み操作部63は、
図3に示すように、作業者が打込み工具60の移動動作及び打込み動作を行うために操作されるものであって、打込み本体部61の下端部に取り付けられるパイプ部63aと、作業者によって把持される把持部63bと、を有する。
パイプ部63aは、例えば金属製の長尺のパイプであって、打込み本体部61の下端よりも下方へ突出する。
把持部63bは、作業者の指をかけることができる開口部を有し、パイプ部63aの下端部に設けられる。
パイプ部63aは、上下方向に長尺であるため、昇降部20により石膏ボードBが天井近傍に位置するときであっても、作業者は手元で操作可能となる。具体的には、
図3に示すように、昇降部20が上昇したときに把持部63bの床面からの高さが、昇降部20の第2ブラケット23の床面からの高さとほぼ同じ位置となる。
【0047】
作業者は、パイプ部63a及び把持部63bを把持して、打込み工具60を水平方向にスライド移動することにより、打込み工具60の移動操作行う。また、打込み部62を上下方向にスライド移動することにより、載置部10に載置された石膏ボードBの底面に固着具64を打込む操作を行う。
【0048】
<固着具打込み支援装置1の動作>
次に、
図4A~
図4D、
図5を参照しながら、固着具打込み支援装置1による固着具64の打込み動作について説明する。
なお、
図4A~
図4D、
図5における破線は、固着具打込み支援装置1が石膏ボードBに対して固着具64を打ち込むことができる打込み可能位置を示す。
【0049】
まず、作業者は、
図4Aに示すように、石膏ボードBにおける打込み位置において、打込み操作部63を上方に操作することにより、打込み本体部61を上方に移動させ、打込み部62を石膏ボードBの底面に当接させて、固着具64を打込む。
その後、
図4Bに示すように、作業者は、打込み操作部63を把持しながら、案内部40に沿って、次の打込み位置まで打込み本体部61を水平方向に移動させる。作業者は、再び打込み操作部63を上方に操作することにより、石膏ボードBの底面に次の固着具64を打込む。
そして、
図4Cに示すように、作業者は、打込み工具60を移動させながら、上記作業を繰り返し行う。
打込み作業が完了すると、
図4Dに示すように、石膏ボードBは、その外周部分の異なる箇所に固着具64が打ち込まれた状態となる。
このように、作業者は、石膏ボードBを上昇させた状態で打込み操作部63を操作し、打込み工具60の移動動作及び打込み動作を繰り返し行うことで、石膏ボードBにおける複数の異なる箇所に固着具64を打込むことができる。
【0050】
なお、
図5は、載置部10及び案内部40の変形例を示す。具体的には、載置部10の載置支持部11(載置中央部11a、延出部11b)及び案内部40の形状が異なる。
載置中央部11aは、載置部10の短手方向に延びる2本の直線状の部位であって、その端部が固定部13の外側面に取り付けられる。
延出部11bは、載置中央部11aと一体的に形成され、載置部10の長手方向に延びる2本の直線状の部位である。2本の延出部11bは、互いに平行となるように延びており、その長手方向の中央部分が、載置中央部11aの各端部に取り付けられる。
案内部40は、枠状部12の底面に形成された第1案内部40aと、延出部11bの底面に形成された第2案内部40bと、を有する。第1案内部40a及び第2案内部40bは、連続して案内レールが形成される。そのため、移動部50は、第1案内部40aと第2案内部40bとの間を、水平方向に移動することができる。
【0051】
図5の変形例についても、
図4A~
図4Dと同様に、作業者は石膏ボードBにおける複数の異なる箇所に固着具64を打込むことができる。
具体的には、石膏ボードBの外周部分における打込み位置において、作業者は、打込み操作部63を上方に操作することにより、打込み部62を石膏ボードBの外周部分の底面に当接させて、固着具64を打込むことができる。
その後、作業者は、打込み操作部63を把持しながら、第1案内部40aから第2案内部40bに沿って、次の打込み位置まで打込み本体部61を水平方向に移動させる。そして、作業者は、再び打込み操作部63を上方に操作することにより、石膏ボードBの中央部における底面に固着具64を打込む。
このように、作業者は、枠状部12の外周の外側に突出する石膏ボードBの外周部分にも、延出部11b近傍である石膏ボードBの中央部及び中央部周辺にも、固着具64を打込むことができる。
【0052】
<変形例>
次に、変形例の固着具打込み支援装置1について、
図6に基づいて説明する。
図6は、載置部10の載置面が、上側から水平方向に向かって90度回動した状態を示す。
なお、上述の固着具打込み支援装置1と重複する内容については説明を省略する。
変形例の固着具打込み支援装置1では、回動部材70及び支持部材71を備えている構成が主に異なっている。
【0053】
回動部材70は、
図5に示すように、昇降部20の中間位置に設けられ、載置部10の高さ及び載置部10の載置面の向きを変えることができる。
載置部10は、載置面の端部に設けられ、載置面の向きを変えたときに石膏ボードBを保持可能な支持部材71を有する。
支持部材71は、載置部10の載置面を上側から水平方向に向かって90度回動した場合に、石膏ボードBと当接することで、石膏ボードBを保持することができる。
【0054】
作業者は、打込み工具60の打込み操作部63を石膏ボードBに向かって、打込み部62を押し付ける方向に操作することにより、石膏ボードBに固着具64を打込むことができる。
その後、作業者は、打込み操作部63を把持しながら、次の打込み位置まで、案内部40に沿って、打込み本体部61を水平方向又は上下方向に移動させる。そして、再び打込み操作部63を操作することにより、石膏ボードBに固着具64を打込む。
このように、作業者は、打込み工具60を移動させながら、上記作業を繰り返し行うことで、壁下地材に石膏ボードBを近接又は当接させた状態で、石膏ボードBにおける複数の異なる箇所に、固着具64を打込むことができる。
【0055】
<その他の実施形態>
本発明の固着具打込み支援装置1は、上記の実施形態に限定されるものではない。
例えば、打込み工具60は、ビス打ち機であるが、特に限定されず、釘打機、タッカー等であっても良い。
【0056】
また、昇降部20の動力源は限定されない。本実施形態では、動力源に圧縮エア(エアコンプレッサ2)を用いているが、当該動力源にモーター等を用いても良い。
【0057】
また、移動装置(案内部40に対する移動部50の移動)は、作業者による手動操作に応じて打込み工具60を移動させる構成としていたが、自動操作としても良い。
この場合、固着具打込み支援装置1が、案内部40に沿って移動部50を移動させるように制御する制御装置を更に備える構成とし、例えばボタンの押し動作による自動操作によって移動部50を案内部40に沿って移動させると良い。
【0058】
また、固着具打込み支援装置1は、載置部10を昇降部20によって昇降可能としたが、必ずしも昇降部20を備えてなくても良い。
【0059】
また、固着具打込み支援装置1が、管理や支援のための情報を表示する表示部を更に備えていても良い。例えば、表示部は、液晶モニタやタブレット等であって、作業者が視認可能な位置(例えば、基部30)に取り付けられていると良い。そうすることで、表示部に打込み位置の情報を表示することで、作業者は打込み位置の確認しながら、打込み作業が可能となる。
【0060】
上記実施形態では、主として本発明に係る固着具打込み支援装置に関して説明した。
ただし、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
【符号の説明】
【0061】
1 固着具打込み支援装置
2 エアコンプレッサ
3 ホース
4 操作部
4A 上昇ボタン
4B 下降ボタン
10 載置部
11 載置支持部
11a 載置中央部
11b 延出部
11c 延出端部
12 枠状部
13 固定部
20 昇降部
21 ピストン部材
21A 下段ピストン
21B 上段ピストン
22 第1ブラケット
23 第2ブラケット
24 下方延出部材
25 脱落防止部材
26 規制部材
26a 第1ストッパ部材
26b 第2ストッパ部材
30 基部
31 シリンダケース
32 脚部
33 車輪
40 案内部(案内レール、移動装置の一部)
40a 第1案内部
40b 第2案内部
50 移動部(移動装置の一部)
51 スライダ
52 工具取付部
60 打込み工具
61 打込み本体部
62 打込み部
63 打込み操作部
63a パイプ部
63b 把持部
64 固着具
70 回動部材
71 支持部材
B 石膏ボード(ボード)