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特開2023-121552医用画像処理装置、医用画像処理システムおよび医用画像処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023121552
(43)【公開日】2023-08-31
(54)【発明の名称】医用画像処理装置、医用画像処理システムおよび医用画像処理方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/00 20060101AFI20230824BHJP
【FI】
A61B6/00 303Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022024955
(22)【出願日】2022-02-21
(71)【出願人】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(74)【代理人】
【識別番号】100155608
【弁理士】
【氏名又は名称】大日方 崇
(72)【発明者】
【氏名】武藤 実由
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA01
4C093AA26
4C093CA35
4C093FF16
4C093FF25
4C093FG13
4C093FG16
(57)【要約】
【課題】骨密度の算出結果の精度が低下することを抑制することが可能な医用画像処理装置を提供する。
【解決手段】この医用画像処理装置100は、複数の椎体40が写るX線画像10を取得する画像取得部1と、X線画像10中から、複数の椎体40の領域である椎体領域41を識別する椎体領域識別部20と、操作者の選択操作30を受け付ける入力受付部3と、入力受付部3によって入力された選択操作30に基づいて、椎体領域41から、骨密度の算出対象から除外する領域である除外領域41aを領域毎に決定する除外領域決定部21と、除外領域決定部21によって決定された除外領域41a以外の椎体領域41である算出対象領域41bを用いて骨密度の算出を行う骨密度算出部22と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の椎体が写るX線画像を取得する画像取得部と、
前記X線画像中から、前記複数の椎体の領域である椎体領域を識別する椎体領域識別部と、
操作者の選択操作を受け付ける入力受付部と、
前記入力受付部によって入力された前記選択操作に基づいて、前記椎体領域から、骨密度の算出対象から除外する領域である除外領域を領域毎に決定する除外領域決定部と、
前記除外領域決定部によって決定された前記除外領域以外の前記椎体領域である算出対象領域を用いて骨密度の算出を行う骨密度算出部と、を備える、医用画像処理装置。
【請求項2】
前記椎体領域識別部は、前記椎体領域における隣り合う椎体の境界である椎体間境界線を取得するように構成されており、
前記椎体領域に前記椎体間境界線を表示する境界線表示部をさらに備え、
前記除外領域決定部は、前記選択操作に基づいて選択された前記除外領域の上下両側の前記椎体間境界線に挟まれた領域を、骨密度の算出から除外するように構成されている、請求項1に記載の医用画像処理装置。
【請求項3】
前記X線画像を表示する表示部と、
前記椎体領域を識別可能な標識を前記X線画像に重畳した重畳画像を生成する重畳画像生成部と、
前記重畳画像を前記表示部に表示させる制御を行う画像表示制御部と、をさらに備え、
前記入力受付部は、前記選択操作として、前記重畳画像における前記標識を選択する操作入力を受け付けるように構成されており、
前記除外領域決定部は、前記標識を選択する操作入力に基づいて、前記算出対象領域を決定するように構成されている、請求項2に記載の医用画像処理装置。
【請求項4】
前記除外領域決定部は、前記標識を選択する操作入力に基づいて、前記重畳画像上における選択された位置の位置情報を取得するとともに、前記選択された位置に最も近い前記椎体間境界線である最近傍境界線と、前記選択された位置に対して、前記最近傍境界線とは反対側の前記椎体間境界線である反対側境界線とを取得し、前記最近傍境界線と前記反対側境界線との間の前記椎体領域を、前記算出対象領域から除外するように構成されている、請求項3に記載の医用画像処理装置。
【請求項5】
前記重畳画像生成部は、前記椎体領域のうち、前記算出対象領域と、前記算出対象領域以外の領域との表示態様を異ならせるように構成されている、請求項3または4に記載の医用画像処理装置。
【請求項6】
前記重畳画像を記憶する記憶部をさらに備え、
前記画像表示制御部は、前記重畳画像とともに、前記記憶部に記憶された過去の前記重畳画像を前記表示部に表示させる制御を行うように構成されている、請求項3~5のいずれか1項に記載の医用画像処理装置。
【請求項7】
前記入力受付部は、操作者の入力操作として、前記椎体間境界線の位置を調整する操作を受け付けるように構成されており、
前記除外領域決定部は、前記椎体間境界線を調整する操作に基づいて位置が調整された後の前記椎体間境界線に挟まれた領域を、骨密度の算出対象から除外するように構成されている、請求項2~6のいずれか1項に記載の医用画像処理装置。
【請求項8】
前記骨密度算出部による算出結果を出力する算出結果出力部、をさらに備える、請求項1~7のいずれか1項に記載の医用画像処理装置。
【請求項9】
X線源と、
前記X線源から照射されたX線を検出する検出器と、
前記検出器の検出結果に基づいて、X線画像を生成する画像処理装置と、を備え、
前記画像処理装置は、
前記X線画像を取得する画像取得部と、
前記X線画像中から、前記複数の椎体の領域である椎体領域を識別する椎体領域識別部と、
操作者の選択操作を受け付ける入力受付部と、
前記入力受付部によって入力された前記選択操作に基づいて、前記椎体領域から、骨密度の算出対象から除外する領域である除外領域を領域毎に決定する除外領域決定部と、
前記除外領域決定部によって決定された前記除外領域以外の前記椎体領域である算出対象領域を用いて骨密度の算出を行う骨密度算出部と、を備える、医用画像処理システム。
【請求項10】
複数の椎体が写るX線画像を取得するステップと、
前記X線画像中から、前記複数の椎体の領域である椎体領域を識別するステップと、
操作者の選択操作に基づいて、前記椎体領域から、骨密度の算出対象から除外する領域である除外領域を領域毎に決定するステップと、
決定された前記除外領域以外の前記椎体領域である算出対象領域を用いて骨密度の算出を行うステップと、を備える、医用画像処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、医用画像処理装置、医用画像処理システムおよび医用画像処理方法に関し、特に、被写体の椎体が写るX線画像を処理する医用画像処理装置、医用画像処理装置、医用画像処理システムおよび医用画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被写体の椎体(脊椎(背骨)を構成する椎骨の円柱状の部分)が写るX線画像を処理する医用画像処理装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、機械学習によって学習された学習済み学習モデルによって、椎体が写るX線画像から椎体を検出する構成が開示されている。上記特許文献1において椎体の検出に用いられる学習済みモデルは、骨(椎体)の領域と、骨以外(椎体以外)の領域とを判別することにより、椎体の検出を行う。また、上記特許文献1では、検出した椎体の骨密度(骨塩量)を算出するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-209028号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、椎体の画像は、たとえば、骨粗鬆症の診断などに用いられる。骨粗鬆症の診断では、椎体の1つ1つについて、骨密度を算出する。また、骨粗鬆症の診断には、骨密度の平均値が用いられる。被検者の椎体の近傍に金属部材などが写る場合、または、椎体に骨折が生じていた場合には、金属部材に起因する画素値、および、骨折が生じていた位置の画素値が、椎体の画素値よりも高いことに起因して、骨密度の算出結果が不正確になる。そのため、金属部材が近傍に写る椎体、または、骨折が生じていた椎体は、骨密度の算出対象から除外することが好ましい。しかしながら、上記特許文献1に開示されている構成では、学習済みモデルによって検出された全ての椎体に対して、骨密度の算出などを行う。そのため、金属部材が近傍に写る椎体、または、骨折が生じた椎体などが含まれる場合、金属部材の画素値、または、骨折箇所の画素値が椎体の画素値よりも高いことに起因して、骨密度の算出結果の精度が低下するという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、骨密度の算出結果の精度が低下することを抑制することが可能な医用画像処理装置、医用画像処理システムおよび医用画像処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面による医用画像処理装置は、複数の椎体が写るX線画像を取得する画像取得部と、X線画像中から、複数の椎体の領域である椎体領域を識別する椎体領域識別部と、操作者の選択操作を受け付ける入力受付部と、入力受付部によって入力された選択操作に基づいて、椎体領域から、骨密度の算出対象から除外する領域である除外領域を領域毎に決定する除外領域決定部と、除外領域決定部によって決定された除外領域以外の椎体領域である算出対象領域を用いて骨密度の算出を行う骨密度算出部と、を備える。
【0008】
また、上記目的を達成するために、この発明の第2の局面による医用画像処理システムは、X線源と、X線源から照射されたX線を検出する検出器と、検出器の検出結果に基づいて、X線画像を生成する画像処理装置と、を備え、画像処理装置は、X線画像を取得する画像取得部と、X線画像中から、複数の椎体の領域である椎体領域を識別する椎体領域識別部と、操作者の選択操作を受け付ける入力受付部と、入力受付部によって入力された選択操作に基づいて、椎体領域から、骨密度の算出対象から除外する領域である除外領域を領域毎に決定する除外領域決定部と、除外領域決定部によって決定された除外領域以外の椎体領域である算出対象領域を用いて骨密度の算出を行う骨密度算出部と、を備える。
【0009】
また、上記目的を達成するために、この発明の第3の局面による医用画像処理方法は、複数の椎体が写るX線画像を取得するステップと、X線画像中から、複数の椎体の領域である椎体領域を識別するステップと、操作者の選択操作に基づいて、椎体領域から、骨密度の算出対象から除外する領域である除外領域を領域毎に決定するステップと、決定された除外領域以外の椎体領域である算出対象領域を用いて骨密度の算出を行うステップと、を備える。
【発明の効果】
【0010】
上記第1の局面における医用画像処理装置では、上記のように、入力受付部によって入力された選択操作に基づいて、骨密度の算出対象から除外する領域である除外領域を領域毎に決定する除外領域決定部と、除外領域決定部によって決定された除外領域以外の椎体領域である算出対象領域を用いて骨密度の算出を行う骨密度算出部と、を備える。これにより、除外領域決定部が、操作者の選択操作によって、骨密度の算出対象領域から除外する領域である除外領域を決定するので、たとえば、操作者が、金属部材が近傍に写る椎体の領域および骨折が生じていた椎体の領域を選択することにより、金属部材が近傍に写る椎体および骨折が生じていた椎体を骨密度の算出対象から除外することができる。その結果、金属部材が近傍に写る椎体および骨折が生じていた椎体を除外した算出対象領域を用いて骨密度の算出が行われるので、骨密度の算出結果の精度が低下することを抑制することができる。また、上記のように、入力受付部によって入力された選択操作に基づいて、椎体領域から、骨密度の算出対象から除外する領域である除外領域を領域毎に決定する除外領域決定部を備える。これにより、除外領域決定部が、操作者の選択操作によって、除外領域を領域毎に決定するため、たとえば、操作者のドラッグ操作によって、椎体領域から徐々に領域を削除することにより除外領域を決定する構成と異なり、1度の選択操作によって、除外領域を容易に算出対象領域から除外することができる。
【0011】
また、上記第2の局面における医用画像処理システムでは、上記のように、骨密度の算出対象から除外する領域である除外領域を領域毎に決定する除外領域決定部と、除外領域決定部によって決定された除外領域以外の椎体領域である算出対象領域を用いて骨密度の算出を行う骨密度算出部と、を備える画像処理装置を備える。これにより、上記第1の局面による医用画像処理装置と同様に、骨密度の算出結果の精度が低下することを抑制することが可能な医用画像処理システムを提供することができる。
【0012】
また、上記第3の局面における医用画像処理方法では、上記のように、操作者の選択操作に基づいて、椎体領域から、骨密度の算出対象から除外する領域である除外領域を領域毎に決定するステップと、決定された除外領域以外の椎体領域である算出対象領域を用いて骨密度の算出を行うステップとを備える。これにより、上記第1の局面による医用画像処理装置と同様に、骨密度の算出結果の精度が低下することを抑制することが可能な医用画像処理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】一実施形態による医用画像処理システムの全体構成を示した模式図である。
図2】一実施形態によるX線画像撮像装置の構成を説明するための模式図である。
図3】椎体が写るX線画像を説明するための模式図である。
図4】椎体領域に標識および椎体間境界線が重畳された重畳画像を説明するための模式図である。
図5】一実施形態による医用画像処理装置が、表示部に重畳画像を表示する構成を説明するための模式図である。
図6】重畳画像および過去の重畳画像を表示する画面例を示す模式図である。
図7】一実施形態におる除外領域決定部が除外領域とする領域が、操作者によって選択された状態を説明するための模式図である。
図8】一実施形態による除外領域決定部が、操作者によって選択された椎体領域を除外領域として決定する処理を説明するための模式図である。
図9】一実施形態における算出結果表示部が表示する算出結果を説明するための模式図である。
図10】一実施形態による医用画像処理装置において、椎体間境界線の一方側の端部の位置を調整する構成を説明するための模式図(A)および模式図(B)である。
図11】一実施形態による医用画像処理装置において、椎体間境界線の他方側の端部の位置を調整する構成を説明するための模式図(A)および模式図(B)である。
図12】一実施形態における医用画像処装置が、算出対象領域を決定するとともに、骨密度を算出する処理を説明するためのフローチャートである。
図13】一実施形態による医用画像処装置が、椎体間境界線の位置を調整する処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
図1および図2を参照して、一実施形態による医用画像処理システム300の構成について説明する。図1に示すように、医用画像処理システム300は、医用画像処理装置100と、X線画像撮像装置200とを備える。医用画像処理装置100は、X線画像撮像装置200と同一の部屋(検査室または手術室)に配置されており、有線または無線により接続されている。なお、医用画像処理装置100は、被検者80(図2参照)の骨密度の算出を行い、骨粗鬆症の診断に用いることが可能な撮像装置である。医用画像処理装置100は、特許請求の範囲の「画像処理装置」の一例である。
【0016】
(医用画像処理装置の構成)
医用画像処理装置100は、図1に示すように、画像取得部1と、画像処理部2と、入力受付部3と、表示部4と、記憶部5とを備える。
【0017】
画像取得部1は、複数の椎体40(図3参照)が写るX線画像10を取得するように構成されている。本実施形態では、画像取得部1は、たとえば、X線画像撮像装置200からX線画像10を取得するように構成されている。画像取得部1は、たとえば、入出力インターフェースを含む。
【0018】
画像処理部2は、X線画像10中の複数の椎体40(図3参照)の骨密度を算出するように構成されている。また、画像処理部2は、後述する重畳画像11を生成するように構成されている。画像処理部2は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、および、GPU(Graphics Processing Unit)などを含んで構成されたコンピュータ、プロセッサ、または、回路(circuitry)である。また、ハードウェアとしてのCPUなどからなる画像処理部2は、ソフトウェア(プログラム)の機能ブロックとして、椎体領域識別部20と、除外領域決定部21と、骨密度算出部22と、境界線表示部23と、重畳画像生成部24と、画像表示制御部25と、算出結果出力部26と、を含む。画像処理部2は、記憶部5に記憶されたプログラムを実行することにより、椎体領域識別部20、除外領域決定部21、骨密度算出部22、境界線表示部23、重畳画像生成部24、画像表示制御部25、および、算出結果出力部26、として機能する。画像処理部2の各機能ブロックの詳細については、後述する。
【0019】
入力受付部3は、操作者の操作を受け付けるように構成されている。本実施形態では、入力受付部3は、操作者による椎体領域41(図3参照)の選択操作30、および、後述する椎体間境界線13(図4参照)の位置を調整する操作(調整操作31)を受け付けるように構成されている。入力受付部3は、たとえば、マウス、キーボード、タッチパネル式の液晶ディスプレイなどの、入力デバイスを含む。
【0020】
表示部4は、X線画像10を表示するように構成されている。本実施形態では、表示部4は、重畳画像11を表示するように構成されている。また、本実施形態では、表示部4は、記憶部5に記憶された過去の重畳画像11aを、重畳画像11とともに表示する。また、本実施形態では、表示部4は、骨密度算出部22によって算出された算出結果32を表示するように構成されている。重畳画像11、過去の重畳画像11a、および、算出結果32の詳細については、後述する。表示部4は、たとえば、液晶モニタ、有機EL(Electro-Luminescence)モニタなどの表示装置を含む。
【0021】
記憶部5は、重畳画像11を記憶するように構成されている。また、記憶部5は、過去の重畳画像11aを記憶するように構成されている。また、記憶部5は、椎体領域識別部20がX線画像10に写る椎体40(図3参照)を識別する際に用いる学習済みモデル33を記憶している。また、記憶部5には、画像処理部2が実行するプログラムが記憶されている。記憶部5は、たとえば、HDD(Hard Disk Drive)、または、SSD(Solid State Drive)などの不揮発性のメモリなどを含む。
【0022】
学習済みモデル33は、X線画像10に写る椎体40(図3参照)を個別に推定するとともに、個別に推定した各椎体40の間の境界線である椎体間境界線13(図4参照)を推定することを学習させることにより作成される。学習済みモデル33は、椎体40が写るX線画像10と、X線画像10に対して椎体領域41および椎体間境界線13を重畳させた画像とを教師データとして学習される。学習済みモデル33は、X線画像10が入力されることにより、椎体領域41(図4参照)の情報(位置情報)および、椎体間境界線13の情報(位置情報)を出力する。学習済みモデル33は、たとえば、畳み込みニューラルネットワーク(Convolutional neural network;CNN)、または、畳み込みニューラルネットワークを一部に含む学習モデルを学習させることにより作成される。
【0023】
(X線画像撮像装置の構成)
図2に示すように、X線画像撮像装置200は、X線源50と、X線検出部51と、撮像装置制御部52と、撮像装置画像処理部53と、を備える。撮像装置制御部52は、X線源50、および、撮像装置画像処理部53と、電気的に接続されている。また、X線検出部51は、撮像装置画像処理部53と電気的に接続されている。X線画像撮像装置200は、被検者80を撮像することにより、複数の椎体40(図3参照)が写るX線画像10を生成する。また、X線画像撮像装置200は、生成したX線画像10を医用画像処理装置100へと送る。なお、図2に示す例では、電気的な接続を破線で図示し、情報の入出力を実線の矢印で図示している。また、X線検出部51は、特許請求の範囲の「検出器」の一例である。
【0024】
X線源50は、高電圧が印加されることにより、X線を発生させる。X線源50で発生されたX線は、X線検出部51が配置された方向に照射されるように構成されている。X線源50は、たとえば、X線管(図示せず)と、電圧供給部(図示せず)とを含むX線発生装置である。
【0025】
X線検出部51は、X線源50から照射されたX線を検出するとともに、検出されたX線を電気信号に変換する。X線検出部51は、たとえば、FPD(Flat Panel Detector)である。X線検出部51の検出信号(画像信号)は、撮像装置画像処理部53へと送られる。
【0026】
撮像装置制御部52は、X線画像撮像装置200を制御するように構成されている。撮像装置制御部52は、たとえば、CPU、ROM、RAM、および、GPUなどを含んで構成されたコンピュータ、プロセッサ、または、回路(circuitry)である。
【0027】
撮像装置画像処理部53は、X線検出部51から送られた検出信号に基づいて、X線画像10を生成するように構成されている。撮像装置画像処理部53は、たとえば、GPU、または、画像処理用に構成されたFPGA(Field-Programmable Gate Array)などのプロセッサ、または、回路(circuitry)を含む。
【0028】
撮像装置画像処理部53において生成されたX線画像10は、医用画像処理装置100へと送られる。
【0029】
(X線画像および重畳画像)
次に、図3および図4を参照して、X線画像10および重畳画像11について説明する。
【0030】
図3に示すように、X線画像10は、被検者80(図2参照)の椎体40が写る画像である。図3に示す例では、第1椎体40a、第2椎体40b、第3椎体40c、および、第4椎体40dが写っている。また、学習済みモデル33(図1参照)は、X線画像10において、椎体40を個別に推定することにより、椎体領域41と、椎体40以外の領域とを識別する。具体的には、学習済みモデル33は、複数の椎体40に対して、1つの椎体領域41を識別するように構成されている。なお、図3に示す例では、便宜的に、椎体領域41を破線で図示している。また、本実施形態では、X線画像10は、被検者80の腰の椎体40(腰椎)が写る画像である。
【0031】
次に、図4を参照して、重畳画像11について説明する。重畳画像11は、重畳画像生成部24(図1参照)によって生成される。重畳画像11は、椎体領域41を識別可能な標識12をX線画像10(図3参照)に重畳した画像である。本実施形態では、重畳画像11では、複数の椎体40(図3参照)に対して、1つの標識12が重畳される。また、図4に示すように、重畳画像11には、椎体間境界線13が表示される。図4に示すように、椎体間境界線13は、互いに隣接する椎体40(図3参照)の間の位置に表示される。すなわち、重畳画像11において、複数の椎体間境界線13が表示される。なお、椎体間境界線13の一方側の端部13aおよび他方側の端部13bには、それぞれ、矩形形状の標識14aおよび標識14bが表示されている。標識14aおよび標識14bは、椎体間境界線13の位置の調整を行う際に操作される。椎体間境界線13の位置の調整については、後述する。
【0032】
また、重畳画像11は、軟組織の領域15を、椎体領域41と識別可能に表示している。軟組織の領域15は、骨密度の算出時に用いられる。図4に示す例では、軟組織の領域15に対して、椎体領域41とは異なるハッチングを付すことにより、軟組織の領域15と椎体領域41とが識別可能な状態を示している。
【0033】
(重畳画像の表示)
次に、図5を参照して、画像処理部2が重畳画像11を生成し、表示部4に表示する構成について説明する。
【0034】
本実施形態では、椎体領域識別部20は、X線画像10中から、複数の椎体40(図3参照)の領域である椎体領域41(図4参照)を識別するように構成されている。椎体領域識別部20は、複数の椎体40の領域を個別に識別し、個別に識別した椎体40の領域をつなげ合わせることにより、椎体領域41を識別する。具体的には、椎体領域識別部20は、画像取得部1からX線画像10を取得する。また、椎体領域識別部20は、記憶部5から、学習済みモデル33を読み込む。椎体領域識別部20は、取得したX線画像10を、学習済みモデル33に入力することにより、椎体領域の情報20aを取得する。椎体領域の情報20aは、X線画像10における椎体領域41(図3参照)の座標情報である。また、椎体領域識別部20は、取得した椎体領域の情報20aを、重畳画像生成部24に対して出力する。
【0035】
また、椎体領域識別部20は、椎体領域41における隣り合う椎体40の境界である椎体間境界線13(図4参照)を取得するように構成されている。具体的には、椎体領域識別部20は、X線画像10を、学習済みモデル33に対して入力することにより、椎体間境界線の情報20bを取得する。椎体間境界線の情報20bは、各椎体間境界線13の座標情報である。また、椎体領域識別部20は、取得した椎体間境界線の情報20bを、境界線表示部23に対して出力する。
【0036】
重畳画像生成部24は、椎体領域41(図3参照)を識別可能な標識12(図3参照)をX線画像10に重畳した重畳画像11を生成するように構成されている。具体的には、重畳画像生成部24は、椎体領域識別部20から入力された椎体領域の情報20aを取得する。重畳画像生成部24は、取得した椎体領域の情報20aに基づいて、X線画像10に対して標識12を重畳させる。より具体的には、重畳画像生成部24は、椎体領域の情報20aである椎体領域の座標情報に基づいて、椎体領域41に対応する画素領域に対して、標識12を重畳させる。なお、椎体領域の情報20aは、椎体領域41を表す座標範囲の情報である。重畳画像生成部24は、生成した重畳画像11を、境界線表示部23に対して出力する。
【0037】
境界線表示部23は、椎体領域41に椎体間境界線13を表示するように構成されている。境界線表示部23は、椎体領域識別部20から椎体間境界線の情報20bを取得する。また、境界線表示部23は、重畳画像生成部24から、重畳画像11を取得する。境界線表示部23は、椎体間境界線の情報20bに基づいて、重畳画像11において椎体間境界線13を表示する。具体的には、椎体間境界線の情報20bである椎体間境界線13の座標情報に基づいて、重畳画像11上に椎体間境界線13を表示(重畳)させる。境界線表示部23を、椎体間境界線13を表示させた重畳画像11を、画像表示制御部25に対して出力する。
【0038】
画像表示制御部25は、重畳画像11を表示部4に表示させる制御を行うように構成されている。具体的には、画像表示制御部25は、境界線表示部23から重畳画像11を取得する。また、画像表示制御部25は、取得した重畳画像11を、表示部4に対して出力する。
【0039】
また、本実施形態では、画像表示制御部25は、重畳画像11とともに、記憶部5に記憶された過去の重畳画像11aを表示部4に表示させる制御を行うように構成されている。具体的には、画像表示制御部25は、記憶部5から過去の重畳画像11aを読み込むことにより取得する。また、画像表示制御部25は、取得した過去の重畳画像11aを、重畳画像11とともに表示部4に対して出力する。
【0040】
表示部4は、画像表示制御部25から入力された重畳画像11、および、過去の重畳画像11aを、表示する。
【0041】
図6は、表示部4(図5参照)が重畳画像11を表示する第1表示画面16の模式図である。
【0042】
第1表示画面16には、骨密度の算出対象から除外する除外領域41a(図8参照)を決定する除外領域決定モードに変更するための第1ボタン16aと、椎体間境界線13の調整操作モードに変更するための第2ボタン16bと、OKボタン16cと、キャンセルボタン16dとが表示される。
【0043】
第1ボタン16aを押下した際の処理、および、第2ボタン16bを押下した際の処理については、後述する。
【0044】
OKボタン16cが押下された場合、算出結果出力部26(図1参照)による骨密度の算出処理が実行され、その後、第1表示画面16が閉じられる。また、キャンセルボタン16dが押下された場合、骨密度の算出処理が行われず、第1表示画面16が閉じられる。
【0045】
図6に示すように、表示部4(図5参照)は、重畳画像11と、過去の重畳画像11aとを、並べて表示する。また、第1表示画面16には、差分画像11bが表示されている。差分画像11bは、X線源50(図2参照)に印加する管電圧を変更して撮影された2枚のX線画像10(図2参照)の差分を取った画像である。差分画像11bは、管電圧を変更して撮影されたX線画像10の差分を取ることにより、軟組織が除去された画像である。
【0046】
(除外領域の決定)
ここで、椎体領域41のうち、椎体40(図3参照)のうちの金属部材が近傍に写る椎体(図示せず)や、椎体40のうちの骨折が生じていた椎体(図示せず)が含まれる場合、金属部材の画素値、または骨折が生じていた箇所の画素値が椎体40の画素値よりも高いことに起因して、骨密度の算出結果32(図1参照)が不正確になる場合がある。したがって、本実施形態では、除外領域決定部21(図1参照)は、操作者の選択操作30(図1参照)に基づいて、椎体領域41から、骨密度の算出から除外する領域を決定するように構成されている。
【0047】
図7に示すように、除外領域決定部21(図1参照)は、選択操作30(図1参照)に基づいて、除外領域41a(図8参照)の候補となる領域を選択するように構成されている。なお、操作者は、選択操作30を行う前に、予め、第1ボタン16a(図6参照)を押下する。すなわち、除外領域決定部21は、操作者による第1ボタン16aの操作入力を検知した場合に、除外領域41aを決定する操作モードに移行させる。また、図7に示す例は、操作者が、算出対象領域41bから除外する領域の候補として、第3椎体40cを選択する場合を示している。
【0048】
入力受付部3は、選択操作30として、重畳画像11における標識12を選択する操作入力を受け付けるように構成されている。図7に示すカーソル60は、入力受付部3が受け付けた選択操作30によって、第3椎体40cが選択することを示している。除外領域決定部21は、標識12を選択する操作入力に基づいて、算出対象領域41bを決定するように構成されている。具体的には、除外領域決定部21は、選択操作30に基づいて選択された除外領域41aの上下両側の椎体間境界線13に挟まれた領域を、骨密度の算出から除外するように構成されている。
【0049】
除外領域決定部21(図1参照)は、標識12を選択する操作入力に基づいて、重畳画像11上における選択された位置61の位置情報を取得する。また、除外領域決定部21は、選択された位置61に最も近い椎体間境界線13である最近傍境界線13cを取得する。具体的には、除外領域決定部21は、選択された位置61の座標情報(選択された位置61の位置座標)を取得する。そして、除外領域決定部21は、矢印62および矢印63に示すように、選択された位置61から、選択された位置61の下方向の直近の椎体間境界線13までの距離W1と、選択された位置61から、選択された位置61の上方向の直近の椎体間境界線13までの距離W2とを取得する。そして、除外領域決定部21は、距離W1と距離W2とを比較し、距離が小さいほうの椎体間境界線13を、最近傍境界線13cに決定する。また、選択された位置61に対して、最近傍境界線13cとは反対側の椎体間境界線13である反対側境界線13dを取得する。
【0050】
そして、図8に示すように、除外領域決定部21(図1参照)は、選択操作30(図1参照)に基づいて、除外領域41aを決定するように構成されている。本実施形態では、除外領域決定部21は、入力受付部3(図1参照)によって入力された選択操作30に基づいて、椎体領域41から、骨密度の算出対象から除外する領域である除外領域41aを領域毎に決定するように構成されている。具体的には、除外領域決定部21(図1参照)は、最近傍境界線13cと反対側境界線13dとの間の椎体領域41を、算出対象領域41bから除外するように構成されている。なお、重畳画像生成部24(図1参照)は、椎体領域41のうち、算出対象領域41bと、算出対象領域41b以外の領域(除外領域41a)との表示態様を異ならせるように構成されている。具体的には、重畳画像生成部24は、除外領域41aが決定された後の重畳画像11cにおいて、算出対象領域41bには、標識12を重畳させ、算出対象領域41b以外の領域(除外領域41a)には、標識12を重畳させない。図8に示す例では、第3椎体40cが、除外領域41aとして決定されたので、第3椎体40cに対応する領域と、第3椎体40cの上側の椎体領域41(算出対象領域41b)および第3椎体40cの下側の椎体領域41(算出対象領域41b)とにおいて、互いに表示態様を異ならせている。なお、図8に示す例では、ハッチングの有無によって、算出対象領域41bと、算出対象領域41b以外の領域(除外領域41a)との表示態様を異ならせた状態を表現している。
【0051】
骨密度算出部22(図1参照)は、除外領域決定部21によって決定された除外領域41a以外の椎体領域41である算出対象領域41bを用いて骨密度の算出を行うように構成されている。本実施形態では、骨密度算出部22は、椎体領域41の骨密度として、BMD(Bone Mineral Density)を算出するように構成されている。なお、X線画像10(図3参照)に写る椎体40(図3参照)は、椎体40と、X線の照射軸方向において椎体40(図3参照)と重なる位置の軟組織とを透過したX線に基づいて画像化されている。したがって、椎体領域41の画素値は、椎体40と、軟組織とを透過したX線の強度に基づく値である。そこで、本実施形態では、椎体領域41の画素値から、軟組織によるX線の減衰の影響を除去するために、骨密度算出部22は、算出対象領域41bの画素値と、軟組織の領域15の画素値とに基づいて、骨密度を算出する。なお、本実施形態では、骨密度算出部22は、差分画像11b(図6参照)を用いて骨密度の算出を行うDXA(Dual Energy X-ray Absorptiometry)法により、各椎体40の骨密度(BMD)を取得する。なお、骨密度算出部22が骨密度を算出する手法については、問わない。
【0052】
(算出結果の表示)
次に、図9を参照して、算出結果32(図1参照)を表示する構成について説明する。本実施形態では、算出結果出力部26(図1参照)は、骨密度算出部22(図1参照)による算出結果32を出力するように構成されている。図9に示す第2表示画面17は、算出結果32を表示する画面例である。
【0053】
図9に示すように、骨密度算出部22は、算出結果32として、第1算出結果34、および、第2算出結果35を、表示部4(図1参照)に対して出力する。
【0054】
第1算出結果34は、椎体40毎の骨密度の算出結果である。また、第2算出結果35は、各椎体40の算出結果32の平均値である。
【0055】
第1算出結果34は、測定年月日34aと、年齢34bと、部位34cと、骨密度34dとを含む。図9に示す例では、部位34cとして、L1(第1椎体40a)、L2(第2椎体40b)、および、L4(第4椎体40d)の椎体40の骨密度34dを表示している。なお、図9に示す例は、L3(第3椎体40c)を除外領域41a(図8参照)として除外した後の算出結果32(図1参照)であるため、L3の骨密度34dの欄には、骨密度の値が表示されていない。
【0056】
また、第2算出結果35は、測定年月日35aと、年齢35bと、部位35cと、骨密度35dと、同年齢比較35eと、若年齢比較35fとを含む。骨密度35dは、部位35cの各骨密度の値の平均値である。なお、本実施形態では、L3(第3椎体40c)を除外領域41a(図8参照)としたため、骨密度35dは、L1(第1椎体40a)、L2(第2椎体40b)、および、L4(第4椎体40d)の椎体40の骨密度の平均値である。
【0057】
また、同年齢比較35eは、被検者80(図2参照)と同年齢の骨密度の平均値に対する被検者80の骨密度35dの値の割合である。また、若年齢比較35fは、若年齢(腰椎の場合、20歳~44歳)の骨密度の平均値に対する被検者80の骨密度35dの割合である。
【0058】
また、第2表示画面17には、第1算出結果34および第2算出結果35とともに、重畳画像11が表示されている。
【0059】
(椎体間境界線の調整)
次に、本実施形態による画像処理部2(図1参照)が、椎体間境界線13の位置を調整する構成について説明する。椎体領域識別部20(図5参照)は、学習済みモデル33(図5参照)によって、椎体間境界線13の位置を取得する。この際、重畳画像11に表示された椎体間境界線13の位置が実際の椎体40の間に位置しない場合がある。また、重畳画像11に表示された椎体間境界線13の位置が、実際の椎体40の間に位置している場合でも、操作者が椎体間境界線13の位置を調整したい場合がある。
【0060】
そのため、本実施形態では、画像処理部2(図1参照)は、椎体間境界線13の位置を調整可能に構成されている。具体的には、入力受付部3(図1参照)は、操作者の入力操作として、椎体間境界線13の位置を調整する操作(調整操作31(図1参照))を受け付けるように構成されている。
【0061】
図10(A)および図10(B)は、椎体間境界線13の一方側の端部13aの位置を調整する際の模式図である。図10(A)および図10(B)に示す例は、第1椎体40aおよび第2椎体40bの間の椎体間境界線13の一方側の端部13aの位置を調整する構成である。
【0062】
図10(A)に示すように、入力受付部3(図1参照)は、調整操作31(図1参照)として、カーソル60による標識14aの選択操作を受け付ける。そして、図10(B)に示す重畳画像11dのように、入力受付部3は、調整操作31として、標識14aに対するドラッグアンドドロップ操作を受け付ける。なお、図10(B)における破線で図示したカーソル60aは、図10(A)に示した移動前のカーソル60である。図10(B)に示す例は、カーソル60aの位置から、カーソル60の位置まで、カーソル60をドラッグアンドドロップ操作する。これにより、椎体間境界線13の一方側の端部13aの位置が調整される。
【0063】
図11(A)および図11(B)は、椎体間境界線13の他方側の端部13bの位置を調整する際の模式図である。図10(A)および図10(B)に示す例は、第1椎体40aおよび第2椎体40bの間の椎体間境界線13の他方側の端部13bの位置を調整する構成である。
【0064】
図11(A)に示すように、入力受付部3(図1参照)は、調整操作31(図1参照)として、カーソル60による標識14bの選択操作を受け付ける。そして、図11(B)に示す重畳画像11eのように、入力受付部3は、調整操作31として、標識14bに対するドラッグアンドドロップ操作を受け付ける。なお、図11(B)における破線で図示したカーソル60bは、図11(B)に示した移動前のカーソル60である。図11(B)に示す例は、カーソル60bの位置から、カーソル60の位置まで、カーソル60をドラッグアンドドロップ操作する。これにより、椎体間境界線13の他方側の端部13bの位置が調整される。
【0065】
本実施形態では、除外領域決定部21(図1参照)は、図10および図11に示すように、椎体間境界線13を調整する操作に基づいて位置が調整された後の椎体間境界線13に挟まれた領域(椎体領域41)を、骨密度の算出対象から除外するように構成されている。
【0066】
(算出対象領域の決定および骨密度の算出)
次に、図12を参照して、本実施形態による画像処理部2(図5参照)が、算出対象領域41b(図8参照)を決定するとともに、骨密度の算出を行う処理について説明する。
【0067】
ステップ101において、画像取得部1(図5参照)は、複数の椎体40(図3参照)が写るX線画像10(図5参照)を取得する。
【0068】
ステップ102において、椎体領域識別部20(図5参照)は、X線画像10中から、複数の椎体40の領域である椎体領域41(図3参照)を識別する。
【0069】
ステップ103において、重畳画像生成部24(図5参照)は、重畳画像11(図5参照)を生成する。ステップ103における処理では、境界線表示部23(図5参照)が、重畳画像11において椎体間境界線13(図4参照)を表示させる。また、画像表示制御部25(図5参照)は、重畳画像生成部24が生成した重畳画像11を、表示部4(図5参照)において表示させる。
【0070】
ステップ104において、画像処理部2は、除外領域41a(図8参照)を決定する操作入力があったか否かを判定する。除外領域41aを決定する操作入力があった場合、処理は、ステップ105へ進む。除外領域41aを決定する操作入力がなかった場合、処理は、ステップ107へ進む。なお、除外領域41aを決定する操作入力とは、第1ボタン16a(図6参照)を押下する処理である。
【0071】
ステップ105において、除外領域決定部21(図1参照)は、操作者の選択操作30(図1参照)の操作入力があったか否かを判定する。選択操作30の入力があった場合、処理は、ステップ106へ進む。選択操作30の入力がなかった場合、ステップ105の処理を繰り返す。
【0072】
ステップ106において、除外領域決定部21は、操作者の選択操作30に基づいて、椎体領域41(図7参照)から、骨密度の算出対象から除外する領域である除外領域41a(図8参照)を領域毎に決定する。具体的には、除外領域決定部21は、選択された位置61(図7参照)の位置情報を取得する。また、除外領域決定部21は、選択された位置61の最近傍境界線13c(図7参照)および反対側境界線13d(図7参照)を取得する。そして、除外領域決定部21は、最近傍境界線13cおよび反対側境界線13dの間の椎体領域41を、除外領域41aとして決定する。
【0073】
ステップ107において、骨密度算出部22(図1参照)は、骨密度を算出する操作入力があったか否かを判定する。骨密度を算出する操作入力があった場合、処理は、ステップ108へ進む。骨密度を算出する操作入力がない場合、処理は、ステップ109へ進む。なお、骨密度を算出する操作入力は、たとえば、OKボタン16c(図7参照)を押下する操作入力である。
【0074】
ステップ108において、骨密度算出部22は、決定された除外領域41a以外の椎体領域41である算出対象領域41b(図8参照)を用いて骨密度の算出を行う。なお、骨密度算出部22は、算出した算出結果32(図1参照)を、表示部4に対して出力する。その後、処理は、終了する。
【0075】
また、処理が、ステップ107からステップ109へ進んだ場合、ステップ109において、画像処理部2は、第1表示画面16(図6参照)を閉じる操作入力があったか否かを判定する。第1表示画面16を閉じる操作入力があった場合、骨密度の算出を行わずに処理は、終了する。第1表示画面16を閉じる操作入力がなかった場合、処理は、ステップ105へ進む。なお、第1表示画面16を閉じる操作入力とは、たとえば、第2ボタン16b(図6参照)を押下する操作入力である。
【0076】
(椎体間境界線の位置の調整)
次に、図13を参照して、本実施形態による画像処理部2(図1参照)が、椎体間境界線13(図10(A)参照)の位置を調整する処理について説明する。なお、図13を参照して説明する椎体間境界線13の位置を調整する処理は、第1表示画面16(図6参照)において、第2ボタン16b(図6参照)が操作(押下)された際に開始される。
【0077】
ステップ201において、画像処理部2(図1参照)は、椎体間境界線13(図19(A)参照)の位置を調整する操作(調整操作31(図1参照))が入力されたか否かを判定する。調整操作31が入力された場合、処理は、ステップ202へ進む。調整操作31が入力されなかった場合、処理は、ステップ204へ進む。
【0078】
ステップ202において、画像処理部2(図1参照)は、椎体間境界線13の位置を調整する。具体的には、画像処理部2(図1参照)は、図10、および、図11に示したように、標識14a(図10(A)参照)および標識14b(図11(A)参照)を移動させる操作入力に基づいて、椎体間境界線13(図10(A)参照)の位置を調整する。
【0079】
ステップ203において、画像処理部2は、椎体間境界線13の位置が調整された後の重畳画像11e(図11(B)参照)を、表示部4(図1参照)に表示する。
【0080】
ステップ204において、画像処理部2は、椎体間境界線13の位置の調整を終了する操作入力があったか否かを判定する。椎体間境界線13の位置の調整を終了する操作入力は、たとえば、重畳画像11(図7参照)に写る標識12の選択操作30(図1参照)、OKボタン16c(図7参照)を押下する操作などである。椎体間境界線13の位置の調整を終了する操作入力があった場合、処理は、終了する。椎体間境界線13の位置の調整を終了する操作入力がなかった場合、処理は、ステップ201へ進む。
【0081】
(本実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0082】
本実施形態では、上記のように、医用画像処理装置100は、複数の椎体40が写るX線画像10を取得する画像取得部1と、X線画像10中から、複数の椎体40の領域である椎体領域41を識別する椎体領域識別部20と、操作者の選択操作30を受け付ける入力受付部3と、入力受付部3によって入力された選択操作30に基づいて、椎体領域41から、骨密度の算出対象から除外する領域である除外領域41aを領域毎に決定する除外領域決定部21と、除外領域決定部21によって決定された除外領域41a以外の椎体領域41である算出対象領域41bを用いて骨密度の算出を行う骨密度算出部22と、を備える。
【0083】
これにより、除外領域決定部21が、操作者の選択操作30によって、骨密度の算出対象領域41bから除外する領域である除外領域41aを決定するので、たとえば、操作者が、金属部材が近傍に写る椎体40の領域および骨折していた椎体40の領域を選択することにより、金属部材が近傍に写る椎体40および骨折が生じていた椎体40を骨密度の算出対象から除外することができる。その結果、金属部材が近傍に写る椎体40および骨折が生じていた椎体40を除外した算出対象領域41bを用いて骨密度の算出が行われるので、骨密度の算出結果32の精度が低下することを抑制することができる。また、除外領域決定部21が、操作者の選択操作30によって、除外領域41aを領域毎に決定するため、たとえば、操作者のドラッグ操作によって、椎体領域41から徐々に領域を削除することにより除外領域41aを決定する構成と異なり、1度の選択操作30によって、除外領域41aを容易に算出対象領域41bから除外することができる。
【0084】
また、本実施形態では、上記のように、医用画像処理システム300は、X線源50と、X線源50から照射されたX線を検出する検出器(X線検出部51)と、検出器(X線検出部51)の検出結果に基づいて、X線画像10を生成する画像処理装置(医用画像処理装置100)と、を備え、画像処理装置(医用画像処理装置100)は、X線画像10を取得する画像取得部1と、X線画像10中から、複数の椎体40の領域である椎体領域41を識別する椎体領域識別部20と、操作者の選択操作30を受け付ける入力受付部3と、入力受付部3によって入力された選択操作30に基づいて、椎体領域41から、骨密度の算出対象から除外する領域である除外領域41aを領域毎に決定する除外領域決定部21と、除外領域決定部21によって決定された除外領域41a以外の椎体領域41である算出対象領域41bを用いて骨密度の算出を行う骨密度算出部22と、を備える。これにより、医用画像処理装置100と同様に、骨密度の算出結果32の精度が低下することを抑制することが可能な医用画像処理システム300を提供することができる。
【0085】
また、本実施形態では、上記のように、医用画像処理方法は、複数の椎体40が写るX線画像10を取得するステップと、X線画像10中から、複数の椎体40の領域である椎体領域41を識別するステップと、操作者の選択操作30に基づいて、椎体領域41から、骨密度の算出対象から除外する領域である除外領域41aを領域毎に決定するステップと、決定された除外領域41a以外の椎体領域41である算出対象領域41bを用いて骨密度の算出を行うステップと、を備える。これにより、医用画像処理装置100と同様に、骨密度の算出結果32の精度が低下することを抑制することが可能な医用画像処理方法を提供することができる。
【0086】
また、上記実施形態では、以下のように構成したことによって、下記のような更なる効果が得られる。
【0087】
すなわち、本実施形態では、上記のように、椎体領域識別部20は、椎体領域41における隣り合う椎体40の境界である椎体間境界線13を取得するように構成されており、椎体領域41に椎体間境界線13を表示する境界線表示部23をさらに備え、除外領域決定部21は、選択操作30に基づいて選択された除外領域41aの上下両側の椎体間境界線13に挟まれた領域を、骨密度の算出から除外するように構成されている。これにより、除外領域決定部21は、椎体領域41のうち、選択操作30によって選択された領域と、選択された領域の上下方向の椎体間境界線13とにおいて除外領域41aを決定するので、複数の椎体40を含む椎体領域41のうちの除外領域41aを、椎体40単位で容易に決定することができる。
【0088】
また、本実施形態では、上記のように、X線画像10を表示する表示部4と、椎体領域41を識別可能な標識12をX線画像10に重畳した重畳画像11を生成する重畳画像生成部24と、重畳画像11を表示部4に表示させる制御を行う画像表示制御部25と、をさらに備え、入力受付部3は、選択操作30として、重畳画像11における標識12を選択する操作入力を受け付けるように構成されており、除外領域決定部21は、標識12を選択する操作入力に基づいて、算出対象領域41bを決定するように構成されている。これにより、操作者は、重畳画像11を視認しながら、標識12を選択することが可能になるので、除外領域41aを容易に選択することができる。
【0089】
また、本実施形態では、上記のように、除外領域決定部21は、標識12を選択する操作入力に基づいて、重畳画像11上における選択された位置61の位置情報を取得するとともに、選択された位置61に最も近い椎体間境界線13である最近傍境界線13cと、選択された位置61に対して、最近傍境界線13cとは反対側の椎体間境界線13である反対側境界線13dとを取得し、最近傍境界線13cと反対側境界線13dとの間の椎体領域41を、算出対象領域41bから除外するように構成されている。これにより、除外領域決定部21は、選択された位置61の位置情報に基づいて、最近傍境界線13cおよび反対側境界線13dを取得するので、除外領域41aの上下方向の両側の椎体間境界線13を、容易に取得することができる。
【0090】
また、本実施形態では、上記のように、重畳画像生成部24は、椎体領域41のうち、算出対象領域41bと、算出対象領域41b以外の領域との表示態様を異ならせるように構成されている。これにより、操作者は、重畳画像11において、算出対象領域41bと、算出対象領域41b以外の領域とを、視覚的に容易に識別することができる。その結果、操作者は、椎体領域41のうちの所望する領域が、除外領域41aとして決定されたか否かを、視覚的に容易に把握することができる。
【0091】
また、本実施形態では、上記のように、重畳画像11を記憶する記憶部5をさらに備え、画像表示制御部25は、重畳画像11とともに、記憶部5に記憶された過去の重畳画像11aを表示部4に表示させる制御を行うように構成されている。これにより、重畳画像11と過去の重畳画像11aとが表示部4に表示されるので、操作者は、重畳画像11と過去の重畳画像11aとを一見して容易に比較することができる。その結果、操作者は、過去の重畳画像11aを確認することにより、重畳画像11において除外領域41aとして選択すべき領域があるか否かを予め把握することができる。
【0092】
また、本実施形態では、上記のように、入力受付部3は、操作として、椎体間境界線13の位置を調整する操作(調整操作31)を受け付けるように構成されており、除外領域決定部21は、椎体間境界線13を調整する操作に基づいて位置が調整された後の椎体間境界線13に挟まれた領域を、骨密度の算出対象から除外するように構成されている。これにより、たとえば、椎体領域識別部20が取得した椎体間境界線13の位置が正しくない場合に、操作者は、椎体間境界線13の位置を容易に修正することができる。また、椎体領域識別部20が取得した椎体間境界線13の位置が正しい場合でも、操作者が任意の位置に椎体間境界線13の位置を調整したい場合がある。この場合、上記のように構成することにより、操作者が所望する位置に椎体間境界線13の位置を調整した後、除外領域41aを決定することができる。これらの結果、操作者の利便性(ユーザビリティ)を向上させることができる。
【0093】
また、本実施形態では、上記のように、骨密度算出部22による算出結果32を出力する算出結果出力部26をさらに備える。これにより、算出結果出力部26は、たとえば、表示部4に対して算出結果32を出力することにより、操作者に対して算出結果32を提示することができる。その結果、操作者は、算出結果32を容易に把握することができる。
【0094】
[変形例]
今回開示された実施形態は、全ての点で例示であり制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更(変形例)が含まれる。
【0095】
たとえば、上記実施形態では、医用画像処理装置100が、境界線表示部23を備え、重畳画像11において椎体間境界線13を表示する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、医用画像処理装置100は、境界線表示部23を備えていなくてもよい。この場合、椎体領域識別部20が、複数の椎体40毎に、個別の椎体領域を識別し、重畳画像11において個別の領域として表示すればよい。
【0096】
また、上記実施形態では、医用画像処理装置100が、重畳画像生成部24を備える構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、医用画像処理装置100は、重畳画像生成部24を備えていなくてもよい。しかしながら、医用画像処理装置100が重畳画像生成部24を備えていない場合、操作者は、X線画像10に基づいて、除外領域41aを選択することになる。この場合、椎体領域41と他の領域とが容易に識別可能でないX線画像10に基づいて除外領域41aを選択しなければならず、操作者の熟練度によっては、除外領域41aの選択が困難になる場合がある。したがって、医用画像処理装置100は、重畳画像生成部24を備えていることが好ましい。
【0097】
また、上記実施形態では、除外領域決定部21が、重畳画像11に表示される標識12を選択する選択操作30に基づいて、除外領域41aを決定する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、除外領域決定部21は、椎体40毎に予め設定された番号(数値)などの入力に基づいて、除外領域41aを決定するように構成されていてもよい。
【0098】
また、上記実施形態では、除外領域決定部21が、最近傍境界線13cおよび反対側境界線13dを取得し、最近傍境界線13cおよび反対側境界線13dの間の椎体領域41を、骨密度の算出対象から除外する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、除外領域決定部21は、選択された位置61からの距離によらず、選択された位置61の上方向の椎体間境界線13と、下方向の椎体間境界線13とを、取得し、取得した椎体間境界線13の間の椎体領域41を、骨密度の算出対象から除外するように構成されていてもよい。
【0099】
また、上記実施形態では、画像表示制御部25が、過去の重畳画像11aを表示する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。画像表示制御部25は、過去の重畳画像11aを表示しなくてもよい。
【0100】
また、上記実施形態では、医用画像処理システム300が、医用画像処理装置100と、X線画像撮像装置200とを備える構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、X線画像撮像装置200が備える画像処理部(撮像装置画像処理部53)が、医用画像処理装置100として機能するように構成されていれば、医用画像処理システム300は、医用画像処理装置100を備えていなくてもよい。
【0101】
また、上記実施形態では、医用画像処理装置100が、1つの椎体40に対応する椎体領域41を除外する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、医用画像処理装置100が除外する椎体領域41(除外領域41a)は、複数であってもよい。たとえば、医用画像処理装置100は、2つの椎体40に対応する椎体領域41を、除外領域41aとして決定してもよいし、3つの椎体40に対応する椎体領域41を、除外領域41aとして決定してもよい。
【0102】
また、上記実施形態では、医用画像処理装置100が、椎体間境界線13の一方側の端部13aの標識14a、および、他方側の端部13bの標識14bに対する操作に基づいて、椎体間境界線13の位置を調整する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、医用画像処理装置100は、椎体間境界線13自体(椎体間境界線13の線)に対する操作に基づいて、椎体間境界線13の位置を調整するように構成されていてもよい。
【0103】
また、上記実施形態では、医用画像処理装置100は、X線画像撮像装置200からX線画像10を取得する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、医用画像処理装置100は、X線画像撮像装置200によって予め撮像され、サーバなどに記憶されたX線画像10を取得するように構成されていてもよい。
【0104】
また、上記実施形態では、医用画像処理装置100とX線画像撮像装置200とが同一の部屋に配置される構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、医用画像処理装置100は、ワークステーションまたは診察室に配置され、X線画像撮像装置200は検査室または手術室に配置されていてもよい。この場合、医用画像処理装置100とX線画像撮像装置200とは、たとえば、ネットワークを介して接続すればよい。
【0105】
また、上記実施形態では、除外領域決定部21が、操作者の選択操作30に基づいて、除外領域41aを決定する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、除外領域決定部21は、椎体領域41の画素値に基づいて、椎体領域41のうちの骨密度の算出から除外する領域を、予め除外するように構成されていてもよい。このように構成すれば、金属部材が近傍に写る椎体、および、骨折が生じていた椎体などを、操作者が選択する前に、予め除外することができる。その結果、操作者の負担を軽減することができる。
【0106】
また、上記実施形態では、学習済みモデル33が、椎体間境界線13を推定する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、学習済みモデル33は、椎体領域41のみを推定するように構成されていてもよい。この場合、たとえば、椎体領域識別部20が、椎体間境界線13を取得するように構成されていてもよい。この場合、椎体領域識別部20は、学習済みモデル33によって推定された椎体40のうち、上側の椎体40の下端と、下側の椎体40の上端との間の位置を、椎体間境界線13として取得すればよい。
【0107】
[態様]
上記した例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0108】
(項目1)
複数の椎体が写るX線画像を取得する画像取得部と、
前記X線画像中から、前記複数の椎体の領域である椎体領域を識別する椎体領域識別部と、
操作者の選択操作を受け付ける入力受付部と、
前記入力受付部によって入力された前記選択操作に基づいて、前記椎体領域から、骨密度の算出対象から除外する領域である除外領域を領域毎に決定する除外領域決定部と、
前記除外領域決定部によって決定された前記除外領域以外の前記椎体領域である算出対象領域を用いて骨密度の算出を行う骨密度算出部と、を備える、医用画像処理装置。
【0109】
(項目2)
前記椎体領域識別部は、前記椎体領域における隣り合う椎体の境界である椎体間境界線を取得するように構成されており、
前記椎体領域に前記椎体間境界線を表示する境界線表示部をさらに備え、
前記除外領域決定部は、前記選択操作に基づいて選択された前記除外領域の上下両側の前記椎体間境界線に挟まれた領域を、骨密度の算出から除外するように構成されている、項目1に記載の医用画像処理装置。
【0110】
(項目3)
前記X線画像を表示する表示部と、
前記椎体領域を識別可能な標識を前記X線画像に重畳した重畳画像を生成する重畳画像生成部と、
前記重畳画像を前記表示部に表示させる制御を行う画像表示制御部と、をさらに備え、
前記入力受付部は、前記選択操作として、前記重畳画像における前記標識を選択する操作入力を受け付けるように構成されており、
前記除外領域決定部は、前記標識を選択する操作入力に基づいて、前記算出対象領域を決定するように構成されている、項目2に記載の医用画像処理装置。
【0111】
(項目4)
前記除外領域決定部は、前記標識を選択する操作入力に基づいて、前記重畳画像上における選択された位置の位置情報を取得するとともに、前記選択された位置に最も近い前記椎体間境界線である最近傍境界線と、前記選択された位置に対して、前記最近傍境界線とは反対側の前記椎体間境界線である反対側境界線とを取得し、前記最近傍境界線と前記反対側境界線との間の前記椎体領域を、前記算出対象領域から除外するように構成されている、項目3に記載の医用画像処理装置。
【0112】
(項目5)
前記重畳画像生成部は、前記椎体領域のうち、前記算出対象領域と、前記算出対象領域以外の領域との表示態様を異ならせるように構成されている、項目3または4に記載の医用画像処理装置。
【0113】
(項目6)
前記重畳画像を記憶する記憶部をさらに備え、
前記画像表示制御部は、前記重畳画像とともに、前記記憶部に記憶された過去の前記重畳画像を前記表示部に表示させる制御を行うように構成されている、項目3~5のいずれか1項に記載の医用画像処理装置。
【0114】
(項目7)
前記入力受付部は、操作者の入力操作として、前記椎体間境界線の位置を調整する操作を受け付けるように構成されており、
前記除外領域決定部は、前記椎体間境界線を調整する操作に基づいて位置が調整された後の前記椎体間境界線に挟まれた領域を、骨密度の算出対象から除外するように構成されている、項目2~6のいずれか1項に記載の医用画像処理装置。
【0115】
(項目8)
前記骨密度算出部による算出結果を出力する算出結果出力部、をさらに備える、項目1~7のいずれか1項に記載の医用画像処理装置。
【0116】
(項目9)
X線源と、
前記X線源から照射されたX線を検出する検出器と、
前記検出器の検出結果に基づいて、X線画像を生成する画像処理装置と、を備え、
前記画像処理装置は、
前記X線画像を取得する画像取得部と、
前記X線画像中から、前記複数の椎体の領域である椎体領域を識別する椎体領域識別部と、
操作者の選択操作を受け付ける入力受付部と、
前記入力受付部によって入力された前記選択操作に基づいて、前記椎体領域から、骨密度の算出対象から除外する領域である除外領域を領域毎に決定する除外領域決定部と、
前記除外領域決定部によって決定された前記除外領域以外の前記椎体領域である算出対象領域を用いて骨密度の算出を行う骨密度算出部と、を備える、医用画像処理システム。
【0117】
(項目10)
複数の椎体が写るX線画像を取得するステップと、
前記X線画像中から、前記複数の椎体の領域である椎体領域を識別するステップと、
操作者の選択操作に基づいて、前記椎体領域から、骨密度の算出対象から除外する領域である除外領域を領域毎に決定するステップと、
決定された前記除外領域以外の前記椎体領域である算出対象領域を用いて骨密度の算出を行うステップと、を備える、医用画像処理方法。
【符号の説明】
【0118】
1 画像取得部
3 入力受付部
4 表示部
5 記憶部
10 X線画像
11、11c、11d、11e 重畳画像
11a 過去の重畳画像
12 標識
13 椎体間境界線
13c 最近傍境界線
13d 反対側境界線
20 椎体領域識別部
21 除外領域決定部
22 骨密度算出部
23 境界線表示部
24 重畳画像生成部
25 画像表示制御部
26 算出結果出力部
30 選択操作
31 調整操作(椎体間境界線の位置を徴せ鵜する操作)
32 算出結果
40 椎体(複数の椎体)
41 椎体領域
41a 除外領域
41b 算出対象領域
50 X線源
51 X線検出部(検出器)
100 医用画像処理装置(画像処理装置)
200 X線画像撮像装置
300 医用画像処理システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13