(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023121584
(43)【公開日】2023-08-31
(54)【発明の名称】用紙後処理装置、及び用紙後処理システム
(51)【国際特許分類】
B65H 45/18 20060101AFI20230824BHJP
B65H 37/06 20060101ALI20230824BHJP
【FI】
B65H45/18
B65H37/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022025001
(22)【出願日】2022-02-21
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003443
【氏名又は名称】弁理士法人TNKアジア国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100129997
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 米藏
(72)【発明者】
【氏名】頴川 圭介
(72)【発明者】
【氏名】能宗 輝光
(72)【発明者】
【氏名】上野 康則
【テーマコード(参考)】
3F108
【Fターム(参考)】
3F108AA01
3F108AB01
3F108AC01
3F108BA03
3F108BA09
3F108CD04
3F108CD07
3F108GA01
3F108GB03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】折りブレードの先端を各折りローラーのニップ域で折り曲げられた用紙束の間から移動させて抜く方法を適確に設定して、折りブレードの先端を抜く動作が支障なく行われるようにする。
【解決手段】用紙後処理装置において、駆動制御部は、折りブレード79の先端79Cが各折りローラー78のニップ域NPで折り曲げられた記録紙の隙間から抜かれるタイミングで各折りローラー78の回転を停止させるか又は各折りローラー78の回転速度を低下させ、折りブレード79の先端79Cが記録紙束の隙間から抜かれると、各折りローラー78の回転を再開させるか又は各折りローラー78の回転速度を復帰させる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
相互に圧接されて互いに反対方向に回転される一対の折りローラーと、
前記各折りローラーの間に形成されるニップ域に対して接離方向に移動される折りブレードと、
前記各折りローラーのニップ域と前記折りブレードの間に用紙を搬送する搬送部と、
前記各折りローラーを回転させるローラー駆動部と、
前記ブレードを前記各折りローラーのニップ域に対して前記接離方向に移動させるブレード駆動部と、
前記ローラー駆動部を制御して前記各折りローラーの回転を制御すると共に、前記ブレード駆動部を制御する駆動制御部と、を備え、
前記駆動制御部は、前記ブレード駆動部を制御して、前記折りブレードを、前記ニップ域に対して接近方向に移動させて前記用紙からなる用紙束を前記ニップ域に押し込んで折り曲げさせた後、前記ニップ域に対して離間方向に移動させ、
更に、前記駆動制御部は、
前記ローラー駆動部を制御して、前記折りブレードが前記各折りローラーのニップ域に対して接離方向に移動されている間、前記各折りローラーの回転速度を一定に維持する第1回転制御と、
前記ローラー駆動部を制御して、前記折りブレードの先端が前記ニップ域で折り曲げられた前記用紙束の隙間から抜かれるタイミングで前記各折りローラーの回転を停止させるか、又は前記各折りローラーの回転速度を低下させ、前記折りブレードの先端が前記用紙束の隙間から抜かれたとき、前記各折りローラーの回転を停止させた状態から前記各折りローラーの回転を再開させるか、又は前記各折りローラーの回転速度を前記低下させた状態から元の回転速度に復帰させる第2回転制御と、を選択して行う、用紙後処理装置。
【請求項2】
前記駆動制御部は、
(i)前記用紙束の用紙間の摩擦力が大のときに前記第2回転制御を選択し、前記用紙束の用紙間の摩擦力が小のときに前記第1回転制御を選択し、
又は、(ii) 前記用紙束を構成する用紙を送り込んでくる画像形成装置がインクジェット方式であるときに前記第2回転制御を選択し、前記画像形成装置が電子写真方式であるときに前記第1回転制御を選択する、請求項1に記載の用紙後処理装置。
【請求項3】
画像を用紙に形成する画像形成装置と、前記用紙を前記画像形成装置から受け取って、前記用紙に対して処理を施す用紙後処理装置とを備え、
前記用紙後処理装置は、
相互に圧接されて互いに反対方向に回転される一対の折りローラーと、
前記各折りローラーの間に形成されるニップ域に対して接離方向に移動される折りブレードと、
前記各折りローラーのニップ域と前記折りブレードの間に用紙を搬送する搬送部と、
前記各折りローラーを回転させるローラー駆動部と、
前記ブレードを前記各折りローラーのニップ域に対して前記接離方向に移動させるブレード駆動部と、
前記ローラー駆動部を制御して前記各折りローラーの回転を制御すると共に、前記ブレード駆動部を制御する駆動制御部と、を備え、
前記駆動制御部は、前記ブレード駆動部を制御して、前記折りブレードを、前記ニップ域に対して接近方向に移動されて前記用紙からなる用紙束を前記ニップ域に押し込んで折り曲げさせた後、前記ニップ域に対して離間方向に移動させ、
前記駆動制御部は、
前記画像形成装置が電子写真方式のものである場合に、前記駆動部を制御して、前記折りブレードが前記各折りローラーのニップ域に対して接離方向に移動されている間、前記各折りローラーの回転速度を一定に維持する第1回転制御を行い、
前記画像形成装置がインクジェット方式のものである場合に、前記ローラー駆動部を制御して、前記折りブレードの先端が前記ニップ域で折り曲げられた前記用紙束の隙間から抜かれるタイミングで前記各折りローラーの回転を停止させるか、又は前記各折りローラーの回転速度を低下させ、前記折りブレードの先端が前記用紙束の隙間から抜かれたとき、前記各折りローラーの回転を停止させた状態から元の回転速度で回転を再開させるか、又は前記各折りローラーの回転速度を前記低下させた状態から元の回転速度に復帰させる第2回転制御を行う、
用紙後処理システム。
【請求項4】
インクジェット方式によりインクを用いて原稿の画像を用紙に形成する画像形成装置と、前記用紙を前記画像形成装置から受け取って、前記用紙に対して処理を施す用紙後処理装置とを備え、
前記用紙後処理装置は、
相互に圧接されて互いに反対方向に回転される一対の折りローラーと、
前記各折りローラーの間に形成されるニップ域に対して接離方向に移動される折りブレードと、
前記各折りローラーのニップ域と前記折りブレードの間に用紙を搬送する搬送部と、
前記各折りローラーを回転させるローラー駆動部と、
前記ブレードを前記各折りローラーのニップ域に対して前記接離方向に移動させるブレード駆動部と、
前記ローラー駆動部を制御して前記各折りローラーの回転を制御すると共に、前記ブレード駆動部を制御する駆動制御部と、を備え、
前記駆動制御部は、前記ブレード駆動部を制御して、前記折りブレードを、前記ニップ域に対して接近方向に移動されて前記用紙からなる用紙束を前記ニップ域に押し込んで折り曲げさせた後、前記ニップ域に対して離間方向に移動させ、
前記駆動制御部は、前記ローラー駆動部を制御して、前記折りブレードの先端が前記ニップ域で折り曲げられた前記用紙束の隙間から抜かれるタイミングで前記各折りローラーの回転を停止させるか、又は前記各折りローラーの回転速度を低下させ、前記折りブレードの先端が前記用紙束の隙間から抜かれたとき、前記各折りローラーの回転を停止させた状態から元の回転速度で回転を再開させるか、又は前記各折りローラーの回転速度を前記低下させた状態から元の回転速度に復帰させる、用紙後処理システム。
【請求項5】
原稿の画像を用紙に形成する画像形成装置と、前記用紙を前記画像形成装置から受け取って、前記用紙に対して処理を施す用紙後処理装置とを備え、
前記用紙後処理装置は、
相互に圧接されて互いに反対方向に回転される一対の折りローラーと、
前記各折りローラーの間に形成されるニップ域に対して接離方向に移動される折りブレードと、
前記各折りローラーのニップ域と前記折りブレードの間に用紙を搬送する搬送部と、
前記各折りローラーを回転させるローラー駆動部と、
前記ブレードを前記各折りローラーのニップ域に対して前記接離方向に移動させるブレード駆動部と、
前記ローラー駆動部を制御して前記各折りローラーの回転を制御すると共に、前記ブレード駆動部を制御する駆動制御部と、を備え、
前記駆動制御部は、前記ブレード駆動部を制御して、前記折りブレードを、前記ニップ域に対して接近方向に移動されて前記用紙からなる用紙束を前記ニップ域に押し込んで折り曲げさせた後、前記ニップ域に対して離間方向に移動させ、
前記駆動制御部は、
前記ローラー駆動部を制御して、前記折りブレードが前記各折りローラーのニップ域に対して接離方向に移動されている間、前記各折りローラーの回転速度を一定に維持する第1回転制御と、
前記ローラー駆動部を制御して、前記折りブレードの先端が前記ニップ域で折り曲げられた前記用紙束の隙間から抜かれるタイミングで前記各折りローラーの回転を停止させるか又は前記各折りローラーの回転速度を低下させ、前記折りブレードの先端が前記用紙束の隙間から抜かれたとき、前記各折りローラーの回転を停止させた状態から元の回転速度で回転を再開させるか、又は前記各折りローラーの回転速度を前記低下させた状態から元の回転速度に復帰させる第2回転制御と、を選択して行う、用紙後処理システム。
【請求項6】
前記駆動制御部は、
(i)前記用紙束の用紙間の摩擦力が大のときに前記第2回転制御を選択し、前記用紙束の用紙間の摩擦力が小のときに前記第1回転制御を選択し、
又は、(ii) 前記用紙束を構成する用紙を送り込んでくる画像形成装置がインクジェット方式であるときに前記第2回転制御を選択し、前記画像形成装置が電子写真方式であるときに前記第1回転制御を選択する、請求項5に記載の用紙後処理システム。
【請求項7】
ユーザーによる操作で、摩擦力を指定する指示が入力される操作部を前記画像形成装置に備え、
前記駆動制御部は、前記操作部に入力された指示が示す摩擦力、或いは、前記画像形成装置がインクジェット方式又は電子写真方式を示す情報に基づいて、前記第1回転制御又は前記第2回転制御を選択する、請求項6に記載の用紙後処理システム。
【請求項8】
相互に圧接されて互いに反対方向に回転される一対の折りローラーと、
前記各折りローラーの間に形成されるニップ域に対して接離方向に移動される折りブレードと、
前記各折りローラーのニップ域と前記折りブレードの間に用紙を搬送する搬送部と、
前記各折りローラーを回転させるローラー駆動部と、
前記ブレードを前記各折りローラーのニップ域に対して前記接離方向に移動させるブレード駆動部と、
前記ローラー駆動部を制御して前記各折りローラーの回転を制御すると共に、前記ブレード駆動部を制御する駆動制御部と、を備え、
前記駆動制御部は、前記ブレード駆動部を制御して、前記折りブレードを、前記ニップ域に対して接近方向に移動されて前記用紙からなる用紙束を前記ニップ域に押し込んで折り曲げさせた後、前記ニップ域に対して離間方向に移動させ、
前記駆動制御部は、前記ローラー駆動部を制御して、前記折りブレードの先端が前記ニップ域で折り曲げられた前記用紙束の隙間から抜かれるタイミングで前記各折りローラーの回転を停止させるか、又は前記各折りローラーの回転速度を低下させ、前記折りブレードの先端が前記用紙束の隙間から抜かれたとき、前記各折りローラーの回転を停止させた状態から元の回転速度で回転を再開させるか、又は前記各折りローラーの回転速度を前記低下させた状態から元の回転速度に復帰させる用紙後処理装置。
【請求項9】
相互に圧接されて互いに反対方向に回転される一対の折りローラーと、
前記各折りローラーの間に形成されるニップ域に対して接離方向に移動される折りブレードと、
前記各折りローラーのニップ域と前記折りブレードの間に用紙を搬送する搬送部と、
前記各折りローラーを回転させるローラー駆動部と、
前記ブレードを前記各折りローラーのニップ域に対して前記接離方向に移動させるブレード駆動部と、
前記ローラー駆動部を制御して前記各折りローラーの回転を制御すると共に、前記ブレード駆動部を制御する駆動制御部と、を備え、
前記駆動制御部は、前記ブレード駆動部を制御して、前記折りブレードを、前記ニップ域に対して接近方向に移動されて前記用紙からなる用紙束を前記ニップ域に押し込んで折り曲げさせた後、前記ニップ域に対して離間方向に移動させ、
前記駆動制御部は、前記ローラー駆動部を制御して、前記折りブレードが前記各折りローラーのニップ域に対して接離方向に移動されている間、前記各折りローラーの回転速度を一定に維持する用紙後処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の用紙を積み重ねてなる用紙束に対して処理を施す用紙後処理装置及び用紙後処理システムに関し、特に、用紙束を折り曲げるための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置では、画像読取部により原稿の画像を読取り、画像形成部により原稿の画像を用紙(記録紙)に形成する。また、用紙後処理装置では、原稿の画像が形成された用紙を画像形成装置から受け取って、用紙に対して後処理を施す。用紙後処理装置により実施される後処理としては、複数の用紙を積み重ねてなる用紙束を折り曲げる折り曲げ処理などがある。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の折り処理装置では、一対の折りローラーと、各折りローラーのニップ部に対して接離方向に移動される折りブレードとを備え、シートが排紙ローラーから排出されて各折りローラーへと搬送されて来ると、折りブレードを、シートを介して各折りローラーのニップ部へと移動させて、各折りローラーによりシートを折り曲げており、各折りローラーを排紙ローラーの排紙線速度と同じ線速度で回転させながらシートの折り曲げ処理を行っている。あるいは、折りブレードの移動速度を各折りローラーの線速よりも遅く設定している。これにより、各折りローラーの回転を一旦停止させたり低速にしたりせずに、折り曲げ処理を行って、生産性の向上を図ることができる。
【0004】
また、特許文献2に記載のシート後処理装置では、搬送ローラー対により搬送されている用紙の先端が用紙先端検出センサーで検出された時点から所定時間の経過時に、押込板(折りブレードに相当する)の移動を開始させている。押込板の移動速度は、用紙搬送速度よりも速くされている。また、押込板による用紙の押し込み動作は、用紙における押込板との接触位置から用紙搬送方向下流側の部分が用紙搬送方向とは逆方向に引き戻されるようにして実行される。これにより、用紙のストッパーを設けなくても、搬送中の用紙を目標の折り位置で折ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010-168175号公報
【特許文献2】特開2013-082512号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、折りブレードは、各折りローラーのニップ域に対して接近方向に移動されて、用紙束をニップ域に押し込んで折り曲げさせた後、ニップ域に対して離間方向に移動される。このとき、折りブレードの先端は、各折りローラーのニップ域で折り曲げられた用紙束の隙間に挟み込まれた状態で移動されて、その隙間から抜かれる。このため、各折りローラー、用紙束、及び折りブレードに負荷がかかる。
【0007】
例えば、インクジェット方式により画像が形成された用紙束の場合は、用紙束の各用紙の面がインクで濡れた状態にあるので、各折りローラーのニップ域で折り曲げられた用紙束と該各折りローラーの間の摩擦が大きく、これらの間に滑りが生じ難く、またその折り曲げられた用紙束の隙間に挟まれた折りブレードの先端と該用紙束の間の摩擦も大きく、これらの間にも滑りが生じ難い。このため、折りブレードの先端を折り曲げられた用紙束の隙間から移動させて抜くには大きな力が必要となる。その上、折りブレードの先端を移動させて抜くときには、各折りローラーの用紙束に接する周面部分の回転方向と折りブレードの先端の移動方向が逆方向になるので、折りブレードの先端を抜く力が各折りローラーの回転を阻止する方向に作用する。これにより、例えば各折りローラーがロックして、各折りローラーを回転させるモーターに過電流が流れ、モーターが停止されるという不具合が発生する。
【0008】
また、電子写真方式により画像が形成された用紙束の場合は、用紙束の各用紙の面が乾いた状態にあり、また現像剤にはトナーとワックスが混合されていて、このワックスにより記録紙の面が平滑化されるので、各折りローラーのニップ域で折り曲げられた用紙束と該各折りローラーの間の摩擦が小さく、これらの間に滑りが生じ易く、またその折り曲げられた用紙束の隙間に挟まれた折りブレードの先端と該用紙束の間の摩擦も小さく、これらの間にも滑りが生じ易い。このため、折りブレードの先端を各折りローラーのニップ域で折り曲げられた用紙束の隙間から移動させて抜くときに大きな力を必要とせず、折りブレードの先端を抜く力が各折りローラーの回転を阻止することはない。しかしながら、用紙束の各用紙の間にずれが生じ易い傾向にある。
【0009】
従って、インクジェット方式により画像が形成された用紙束及び電子写真方式により画像が形成された用紙束のそれぞれについて、折りブレードの先端を各折りローラーのニップ域で折り曲げられた用紙束の隙間から移動させて抜く方法を最適化するのが好ましい。
【0010】
換言すれば、インクジェット方式により画像が形成された用紙束と電子写真方式により画像が形成された用紙束とでは、用紙束と各折りローラーの間の摩擦力、及び折りブレードの先端と用紙束の間の摩擦力が異なることから、この摩擦力の大小に応じて、折りブレードの先端を各折りローラーのニップ域で折り曲げられた用紙束の隙間から移動させて抜く方法を最適化する必要がある。
【0011】
上記特許文献1では、折りブレードの移動速度を各折りローラーの線速よりも遅くしているが、上記のように用紙束の用紙間の摩擦力の大小に応じて、折りブレードの先端を各折りローラーのニップ域で折り曲げられた用紙束の隙間から移動させて抜く方法を最適化することについては言及されていない。
【0012】
また、特許文献2では、押込板の移動速度を用紙搬送速度よりも速くしているが、やはり上記のような方法については言及されていない。
【0013】
本発明は、上記の事情に鑑みなされたものであり、折りブレードの先端を各折りローラーのニップ域で折り曲げられた用紙束の間から移動させて抜く方法を最適化して、折りブレードの先端を抜く動作が支障なく行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一局面にかかる用紙後処理装置は、相互に圧接されて互いに反対方向に回転される一対の折りローラーと、前記各折りローラーの間に形成されるニップ域に対して接離方向に移動される折りブレードと、前記各折りローラーのニップ域と前記折りブレードの間に用紙を搬送する搬送部と、前記各折りローラーを回転させるローラー駆動部と、前記ブレードを前記各折りローラーのニップ域に対して前記接離方向に移動させるブレード駆動部と、前記ローラー駆動部を制御して前記各折りローラーの回転を制御すると共に、前記ブレード駆動部を制御する駆動制御部と、を備え、前記駆動制御部は、前記ブレード駆動部を制御して、前記折りブレードを、前記ニップ域に対して接近方向に移動させて前記用紙からなる用紙束を前記ニップ域に押し込んで折り曲げさせた後、前記ニップ域に対して離間方向に移動させ、更に、前記駆動制御部は、前記ローラー駆動部を制御して、前記折りブレードが前記各折りローラーのニップ域に対して接離方向に移動されている間、前記各折りローラーの回転速度を一定に維持する第1回転制御と、前記ローラー駆動部を制御して、前記折りブレードの先端が前記ニップ域で折り曲げられた前記用紙束の隙間から抜かれるタイミングで前記各折りローラーの回転を停止させるか、又は前記各折りローラーの回転速度を低下させ、前記折りブレードの先端が前記用紙束の隙間から抜かれたとき、前記各折りローラーの回転を停止させた状態から前記各折りローラーの回転を再開させるか、又は前記各折りローラーの回転速度を前記低下させた状態から元の回転速度に復帰させる第2回転制御と、を選択して行うものである。
【0015】
本発明の一局面にかかる用紙後処理システムは、画像を用紙に形成する画像形成装置と、前記用紙を前記画像形成装置から受け取って、前記用紙に対して処理を施す用紙後処理装置とを備え、前記用紙後処理装置は、相互に圧接されて互いに反対方向に回転される一対の折りローラーと、前記各折りローラーの間に形成されるニップ域に対して接離方向に移動される折りブレードと、前記各折りローラーのニップ域と前記折りブレードの間に用紙を搬送する搬送部と、前記各折りローラーを回転させるローラー駆動部と、前記ブレードを前記各折りローラーのニップ域に対して前記接離方向に移動させるブレード駆動部と、前記ローラー駆動部を制御して前記各折りローラーの回転を制御すると共に、前記ブレード駆動部を制御する駆動制御部と、を備え、前記駆動制御部は、前記ブレード駆動部を制御して、前記折りブレードを、前記ニップ域に対して接近方向に移動されて前記用紙からなる用紙束を前記ニップ域に押し込んで折り曲げさせた後、前記ニップ域に対して離間方向に移動させ、前記駆動制御部は、前記画像形成装置が電子写真方式のものである場合に、前記駆動部を制御して、前記折りブレードが前記各折りローラーのニップ域に対して接離方向に移動されている間、前記各折りローラーの回転速度を一定に維持する第1回転制御を行い、前記画像形成装置がインクジェット方式のものである場合に、前記ローラー駆動部を制御して、前記折りブレードの先端が前記ニップ域で折り曲げられた前記用紙束の隙間から抜かれるタイミングで前記各折りローラーの回転を停止させるか、又は前記各折りローラーの回転速度を低下させ、前記折りブレードの先端が前記用紙束の隙間から抜かれたとき、前記各折りローラーの回転を停止させた状態から元の回転速度で回転を再開させるか、又は前記各折りローラーの回転速度を前記低下させた状態から元の回転速度に復帰させる第2回転制御を行うものである。
【0016】
本発明の一局面にかかる用紙後処理システムは、インクジェット方式によりインクを用いて原稿の画像を用紙に形成する画像形成装置と、前記用紙を前記画像形成装置から受け取って、前記用紙に対して処理を施す用紙後処理装置とを備え、前記用紙後処理装置は、相互に圧接されて互いに反対方向に回転される一対の折りローラーと、前記各折りローラーの間に形成されるニップ域に対して接離方向に移動される折りブレードと、前記各折りローラーのニップ域と前記折りブレードの間に用紙を搬送する搬送部と、前記各折りローラーを回転させるローラー駆動部と、前記ブレードを前記各折りローラーのニップ域に対して前記接離方向に移動させるブレード駆動部と、前記ローラー駆動部を制御して前記各折りローラーの回転を制御すると共に、前記ブレード駆動部を制御する駆動制御部と、を備え、前記駆動制御部は、前記ブレード駆動部を制御して、前記折りブレードを、前記ニップ域に対して接近方向に移動されて前記用紙からなる用紙束を前記ニップ域に押し込んで折り曲げさせた後、前記ニップ域に対して離間方向に移動させ、前記駆動制御部は、前記ローラー駆動部を制御して、前記折りブレードの先端が前記ニップ域で折り曲げられた前記用紙束の隙間から抜かれるタイミングで前記各折りローラーの回転を停止させるか、又は前記各折りローラーの回転速度を低下させ、前記折りブレードの先端が前記用紙束の隙間から抜かれたとき、前記各折りローラーの回転を停止させた状態から元の回転速度で回転を再開させるか、又は前記各折りローラーの回転速度を前記低下させた状態から元の回転速度に復帰させる。
【0017】
本発明の一局面にかかる用紙後処理システムは、原稿の画像を用紙に形成する画像形成装置と、前記用紙を前記画像形成装置から受け取って、前記用紙に対して処理を施す用紙後処理装置とを備え、前記用紙後処理装置は、相互に圧接されて互いに反対方向に回転される一対の折りローラーと、前記各折りローラーの間に形成されるニップ域に対して接離方向に移動される折りブレードと、前記各折りローラーのニップ域と前記折りブレードの間に用紙を搬送する搬送部と、前記各折りローラーを回転させるローラー駆動部と、前記ブレードを前記各折りローラーのニップ域に対して前記接離方向に移動させるブレード駆動部と、前記ローラー駆動部を制御して前記各折りローラーの回転を制御すると共に、前記ブレード駆動部を制御する駆動制御部と、を備え、前記駆動制御部は、前記ブレード駆動部を制御して、前記折りブレードを、前記ニップ域に対して接近方向に移動されて前記用紙からなる用紙束を前記ニップ域に押し込んで折り曲げさせた後、前記ニップ域に対して離間方向に移動させ、前記駆動制御部は、前記ローラー駆動部を制御して、前記折りブレードが前記各折りローラーのニップ域に対して接離方向に移動されている間、前記各折りローラーの回転速度を一定に維持する第1回転制御と、前記ローラー駆動部を制御して、前記折りブレードの先端が前記ニップ域で折り曲げられた前記用紙束の隙間から抜かれるタイミングで前記各折りローラーの回転を停止させるか又は前記各折りローラーの回転速度を低下させ、前記折りブレードの先端が前記用紙束の隙間から抜かれたとき、前記各折りローラーの回転を停止させた状態から元の回転速度で回転を再開させるか、又は前記各折りローラーの回転速度を前記低下させた状態から元の回転速度に復帰させる第2回転制御と、を選択して行うものである。
【0018】
本発明の一局面にかかる用紙後処理装置は、相互に圧接されて互いに反対方向に回転される一対の折りローラーと、前記各折りローラーの間に形成されるニップ域に対して接離方向に移動される折りブレードと、前記各折りローラーのニップ域と前記折りブレードの間に用紙を搬送する搬送部と、前記各折りローラーを回転させるローラー駆動部と、前記ブレードを前記各折りローラーのニップ域に対して前記接離方向に移動させるブレード駆動部と、前記ローラー駆動部を制御して前記各折りローラーの回転を制御すると共に、前記ブレード駆動部を制御する駆動制御部と、を備え、前記駆動制御部は、前記ブレード駆動部を制御して、前記折りブレードを、前記ニップ域に対して接近方向に移動されて前記用紙からなる用紙束を前記ニップ域に押し込んで折り曲げさせた後、前記ニップ域に対して離間方向に移動させ、前記駆動制御部は、前記ローラー駆動部を制御して、前記折りブレードの先端が前記ニップ域で折り曲げられた前記用紙束の隙間から抜かれるタイミングで前記各折りローラーの回転を停止させるか、又は前記各折りローラーの回転速度を低下させ、前記折りブレードの先端が前記用紙束の隙間から抜かれたとき、前記各折りローラーの回転を停止させた状態から元の回転速度で回転を再開させるか、又は前記各折りローラーの回転速度を前記低下させた状態から元の回転速度に復帰させるものである。
【0019】
本発明の一局面にかかる用紙後処理装置は、相互に圧接されて互いに反対方向に回転される一対の折りローラーと、前記各折りローラーの間に形成されるニップ域に対して接離方向に移動される折りブレードと、前記各折りローラーのニップ域と前記折りブレードの間に用紙を搬送する搬送部と、前記各折りローラーを回転させるローラー駆動部と、前記ブレードを前記各折りローラーのニップ域に対して前記接離方向に移動させるブレード駆動部と、前記ローラー駆動部を制御して前記各折りローラーの回転を制御すると共に、前記ブレード駆動部を制御する駆動制御部と、を備え、前記駆動制御部は、前記ブレード駆動部を制御して、前記折りブレードを、前記ニップ域に対して接近方向に移動されて前記用紙からなる用紙束を前記ニップ域に押し込んで折り曲げさせた後、前記ニップ域に対して離間方向に移動させ、前記駆動制御部は、前記ローラー駆動部を制御して、前記折りブレードが前記各折りローラーのニップ域に対して接離方向に移動されている間、前記各折りローラーの回転速度を一定に維持するものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、折りブレードの先端の移動速度と各折りローラーの周面の移動速度との関係を適確に設定して、用紙束の折り曲げが支障なく行われるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明にかかる第1実施形態の用紙後処理システムにおける画像形成装置及び用紙後処理装置を示す断面図である。
【
図2】画像形成装置及び用紙後処理装置の主要内部構成を示す機能ブロック図である。
【
図3】用紙後処理装置における中綴じ部を拡大して示す断面図である。
【
図4】中綴じ部における各分割トレイ、各折りローラー、折りブレード、回転カムなどを拡大して示す断面図である。
【
図5】(A)及び(B)は、中綴じ部における回転カムの回転に伴う折りブレードの移動を示す図である。
【
図6】(A)及び(B)は、
図5(A)及び(B)に続く回転カムの回転に伴う折りブレードの移動を示す図である。
【
図7】各折りローラーの回転を停止させるか又は各折りローラーの回転速度を低下させ、更に各折りローラーの回転を再開させるか又は各折りローラーの回転速度を復帰させるための制御手順を示すフローチャートである。
【
図8】(A)は各折りローラーの回転を停止させるか又は各折りローラーの回転速度を低下させるときの回転カムの回転角度を示す図であり、(B)は各折りローラーの回転を再開させるか又は各折りローラーの回転速度を復帰させるときの回転カムの回転角度を示す図である。
【
図9】本発明にかかる第2実施形態の用紙後処理システムにおける画像形成装置及び用紙後処理装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明にかかる第1実施形態の用紙後処理システムにおける画像形成装置及び用紙後処理装置を示す断面図である。第1実施形態の用紙後処理システムSyは、原稿の画像を読取って記録紙(用紙)に形成する画像形成装置10と、記録紙を画像形成装置10から受け取って、記録紙に対して後処理を施す用紙後処理装置20とを備えている。
【0023】
画像形成装置10は、画像読取部11と、画像形成部12とを備えている。画像読取部11では、複数の原稿Mが原稿トレイ1に載置されると、これらの原稿Mを原稿トレイ1から順次引き出して搬送しつつ、各原稿Mの画像を撮像素子により読取り、各原稿Mを排出トレイ2に順次排出して重ねる。各原稿Mの画像毎に、撮像素子のアナログ出力がデジタル信号に変換されて、原稿Mの画像を示す画像データが生成される。
【0024】
画像形成部12は、複数の原稿Mの画像を示すそれぞれの画像データを逐次入力する度に、画像データによって示される原稿Mの画像を、インクジェット方式により記録紙Pに形成する。画像形成部12は、4色(ブラック、シアン、マゼンタ、及びイエロー)のインク滴を吐出するそれぞれのラインヘッド(インクヘッドの一例)15を有している。各ラインヘッド15は、それぞれの色のインク滴を、給紙部14から第1搬送路3を通じて搬送ユニット4へと搬送されて来た記録紙(用紙)Pに吐出して、カラー画像を記録紙Pに形成する。
【0025】
搬送ユニット4は、駆動ローラー8と、従動ローラー9と、テンションローラー5と、搬送ベルト6とを備えている。搬送ベルト6は、無端状のベルトであり、駆動ローラー8、従動ローラー9、及びテンションローラー5に架け渡されている。駆動ローラー8は、モーター(図示せず)により反時計回りに回転駆動されるローラーであり、駆動ローラー8が回転駆動されることで、搬送ベルト6が反時計回りに周回移動されると共に、従動ローラー9及びテンションローラー5が反時計回りに従動回転する。
【0026】
テンションローラー5は、搬送ベルト6のテンションを適切に保つためのローラーである。吸着ローラー7は、搬送ベルト6に接触しており、搬送ベルト6を帯電させることで、給紙部14から給紙された記録紙Pを搬送ベルト6に静電的に吸着させる。
【0027】
画像形成部12により各原稿Mの画像がそれぞれの記録紙Pに形成され、各記録紙Pが、中継搬送路18を経由し、搬送ローラー19を通じて用紙後処理装置20へと搬送される。
【0028】
また、記録紙Pの裏面にも原稿Mの画像を記録する場合、記録紙Pを中継搬送路18から搬送ローラー16へと搬送し、搬送ローラー16を一旦停止させて逆回転させるというスイッチバック搬送を行い、記録紙Pを、第2搬送路17を通じて搬送ユニット4に戻して、記録紙Pの表裏を反転させ、画像形成部12により記録紙Pの裏面に原稿Mの画像を形成させ、記録紙Pを、中継搬送路18を経由させ、搬送ローラー19を通じて用紙後処理装置20へと搬送させる。
【0029】
一方、用紙後処理装置20は、画像形成装置10からの記録紙Pを搬送する複数の搬送ローラー21、22、23、搬送ローラー21を通過した記録紙Pを水平方向に導いて搬送ローラー22へと送り出すか又は搬送ローラー21を通過した記録紙Pを下方に導いて搬送ローラー23へと送り出す分岐爪24、複数の記録紙Pを積み重ねて、各記録紙Pからなる記録紙束の一端部にステイプル処理を施す片綴じ部25、片綴じ部25によりステイプル処理が施された記録紙束が排出される排出トレイ26、各記録紙Pを積み重ねて、各記録紙Pからなる記録紙束の中央部にステイプル処理を施し、記録紙束をその中央で折り曲げる中綴じ部27、及び中綴じ部27によりステイプル処理が施されて折り曲げられた記録紙束が排出される排出トレイ28などを備える。
【0030】
片綴じ部25は、各搬送ローラー21、22により搬送されて来た複数の記録紙Pが逐次排出される処理トレイ71、記録紙Pが処理トレイ71に排出される度に、記録紙Pをステイプル部72側に付勢して移動させるパドル73、処理トレイ71に積み重ねられた複数の記録紙Pからなる記録紙束の一端部にステイプル処理を施すステイプル部72、及びステイプル部72によりステイプル処理が施された記録紙束を排出トレイ26に排出する排出ローラー74などを備える。
【0031】
中綴じ部27は、各搬送ローラー21、23により搬送されて来た複数の記録紙Pが逐次排出される2枚の分割トレイ75A、75B、各分割トレイ75A、75B上の記録紙P又は各記録紙Pからなる記録紙束を移動させて、記録紙P又は記録紙束の位置を調節する一対のストッパー85A、85B、各ストッパー85A、85Bを支持して、各ストッパー85A、85Bを記録紙Pの搬送方向に移動させるそれぞれの回転ベルト76A、76B、各分割トレイ75A、75B上の記録紙束の中央部にステイプル処理を施すステイプル部77、各分割トレイ75A、75B間のスペース上方に配置されて、互いに圧接されている各折りローラー78、各分割トレイ75A、75B間のスペースを通じて各折りローラー78のニップ域に対向配置された折りブレード79、折りブレード79を各折りローラー78のニップ域に対して接離する方向に移動させる回転カム80、各折りローラー78による記録紙束の搬送方向下流側に配置されて記録紙束をガイドするガイド部81、記録紙束を搬送する搬送ローラー82、及び記録紙束を排出トレイ28に排出する排出コンベアー83などを備える。
【0032】
次に、画像形成装置10及び用紙後処理装置20の制御に係る構成について説明する。
図2は、画像形成装置10及び用紙後処理装置20の主要内部構成を示す機能ブロック図である。
図2に示すように画像形成装置10は、画像読取部11と、画像形成部12と、表示部41と、操作部42と、タッチパネル43と、記憶部44と、制御部46と、インターフェイス47とを備えている。これらの構成要素は、互いにバスを通じてデータ又は信号の送受信が可能とされている。
【0033】
表示部41は、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)や有機EL(OLED:Organic Light-Emitting Diode)ディスプレイなどから構成される。
【0034】
操作部42は、テンキー、決定キー、スタートキーなどの物理キーを備えている。
【0035】
表示部41の画面には、タッチパネル43が配置されている。タッチパネル43は、所謂抵抗膜方式や静電容量方式などのタッチパネルであって、タッチパネル43に対するユーザーの指などの接触(タッチ)をその接触位置とともに検知して、その接触位置の座標を示す検知信号を制御部46などに出力する。
【0036】
記憶部44は、SSD(Solid State Drive)又はHDD(Hard Disk Drive)などの大容量の記憶装置であって、各種のアプリケーションプログラムや種々のデータを記憶している。
【0037】
制御部46は、画像読取部11、画像形成部12、表示部41、操作部42、タッチパネル43、記憶部44、及びインターフェイス47などと接続されており、これらの構成要素の動作制御や、該各構成要素との間での信号またはデータの送受信を行う。すなわち、制御部46は、画像形成装置10の動作に必要な制御及び処理などを実行する。
【0038】
制御部46は、プロセッサー、RAM(Random Access Memory)、及びROM(Read Only Memory)などから構成される。プロセッサーは、例えばCPU(Central Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、又はMPU(Micro Processing Unit)等であり、上記のROM又は記憶部44に記憶された制御プログラムに従って、画像形成装置10の動作に必要な上記制御及び処理などを実行する。
【0039】
また、制御部46は、表示部41の表示動作を制御する機能を有する。更に、制御部46は、タッチパネル43から出力される検知信号あるいは操作部42の物理キーの操作に基づき、ユーザーにより入力された操作指示を受付ける。例えば、制御部46は、タッチパネル43を通じて表示部41の画面に表示されているGUI(Graphical User Interface)などに対するタッチ操作を受付ける。
【0040】
また、用紙後処理装置20は、片綴じ部25と、中綴じ部27と、駆動制御部56と、インターフェイス57とを備えている。これらの構成要素は、互いにバスを通じてデータ又は信号の送受信が可能とされている。
【0041】
駆動制御部56は、プロセッサー、RAM、及びROMなどから構成され、片綴じ部25及び中綴じ部27を駆動制御する。
【0042】
画像形成装置10の制御部46と用紙後処理装置20の駆動制御部56は、それぞれのインターフェイス47、57を通じて、データ又は信号を互いに入出力する。例えば、画像形成装置10の制御部46は、用紙後処理装置20による後処理を示す制御信号を用紙後処理装置20の駆動制御部56に出力し、用紙後処理装置20の駆動制御部56がその制御信号に応じて片綴じ部25又は中綴じ部27を駆動制御する。
【0043】
このような構成の用紙後処理システムSyにおいて、例えば、画像形成装置10により複数の原稿Mの画像を読取ってそれぞれの記録紙に記録し、用紙後処理装置20の中綴じ部27により各記録紙からなる記録紙束の中央部を綴じて、記録紙束をその中央部で折り曲げるという中綴じ処理を実施させる場合、ユーザーは、タッチパネル43を通じて表示部41の画面に表示されているGUIを操作して、中綴じ処理の実行指示を入力する。そして、ユーザーは、複数の原稿Mを画像読取部11にセットして、操作部42のスタートキーを操作して、コピー指示を入力する。
【0044】
画像形成装置10の制御部46は、中綴じ処理を示す制御信号を、インターフェイス47を通じて用紙後処理装置20に出力し、これと同時に画像読取部11により各原稿Mの画像を順次読取らせて、各原稿Mの画像を画像形成部12によりそれぞれの記録紙に形成させ、これらの記録紙を用紙後処理装置20に逐次搬送させる。
【0045】
用紙後処理装置20の駆動制御部56は、中綴じ処理を示す制御信号を、インターフェイス57を通じて入力すると共に、画像形成装置10から搬送されて来た各記録紙を逐次受け入れ、その制御信号に基づき中綴じ部27における各回転ベルト76A、76B、各折りローラー78、回転カム80、搬送ローラー82、及び排出コンベアー83のそれぞれの駆動源となる各モーターなどを駆動制御して、それらを作動させる。これにより、各記録紙からなる記録紙束の中央部にステイプル処理が施されて、記録紙束がその中央で折り曲げられ、記録紙束が排出トレイ28へと排出される。
【0046】
図3は、用紙後処理装置20における中綴じ部27を拡大して示す断面図である。
図3に示すように中綴じ部27において、2枚の分割トレイ75A、75Bは、互いの間にスペースを開けて、搬送ローラー23による記録紙の搬送方向に並べて配置されている。
【0047】
複数の記録紙が搬送ローラー23により順次搬送されて各分割トレイ75A、75Bに重ねられる。駆動制御部56は、記録紙が各分割トレイ75A、75Bに重ねられる度に、記録紙の搬送方向のサイズに応じて、各回転ベルト76A、76Bを回転移動させて、記録紙の両端をそれぞれのストッパー85A、85Bに当接させて揃え、各記録紙を各分割トレイ75A、75B上に積み重ねて記録紙束とする。
【0048】
駆動制御部56は、各回転ベルト76A、76Bを回転移動させて、各ストッパー85A、85Bにより各分割トレイ75A、75B上の記録紙束を移動させ、記録紙束の中央部をステイプル部77によるステイプル処理の位置に位置決めし、ステイプル部77により記録紙束の中央部に対してステイプル処理を施させる。
【0049】
続いて、駆動制御部56は、各回転ベルト76A、76Bを回転移動させて、各ストッパー85A、85Bにより各分割トレイ75A、75B上の記録紙束を移動させ、記録紙束の中央部を各分割トレイ75A、75Bの間のスペースに位置決めする。
【0050】
駆動制御部56は、各折りローラー78を互いに異なる矢印方向に回転駆動させ、回転カム80を回転させて、折りブレード79を各折りローラー78の間に形成されているニップ域に対して接離する方向に移動させる。この折りブレード79が記録紙束を介して各折りローラー78のニップ域に接近する方向に移動されると、折りブレード79の先端により記録紙束の中央部が突き上げられて、記録紙束の中央部が各折りローラー78のニップ域に押し込まれ、各折りローラー78により記録紙束の中央部が折り曲げられて、記録紙束が2つ折りにされる。この折り曲げられた記録紙束は、各折りローラー78を通過してガイド部81により案内されて搬送ローラー82へと導かれ、搬送ローラー82により排出コンベアー83へと搬送され、排出コンベアー83を通じて排出トレイ28に排出される。
【0051】
図4は、中綴じ部27における各分割トレイ75A、75B、各折りローラー78、折りブレード79、回転カム80などを拡大して示す断面図である。
図4に示すように折りブレード79は、縦板79A及び底板79BからなるL字型の断面形状を有し、各折りローラー78のニップ域NPに対して接離する矢印方向Dに移動自在に支持されている。また、折りブレード79の縦板79Aの下端近くには、接触ローラー86が回転自在に支持されている。
【0052】
回転カム80は、回転軸88により支持され、回転軸88と共に回転される。コイルバネ87は、伸長された状態で、その両端が折りブレード79の底板79Bと中綴じ部27の固定位置27A(例えば中綴じ部27のフレーム)とに係止されて、折りブレード79を各折りローラー78のニップ域NPに対して離間する方向に付勢している。
【0053】
折りブレード79の接触ローラー86は、折りブレード79と共に矢印方向Dに移動する。この接触ローラー86の矢印方向Dの移動軌跡と交差する位置に、回転軸88並びに回転カム80の回転中心が配置されている。コイルバネ87により折りブレード79が各折りローラー78のニップ域NPに対して離間する方向に付勢されているので、折りブレード79の接触ローラー86が回転カム80の周面に常に圧接される。
【0054】
コイルバネ87の付勢により折りブレード79の接触ローラー86が回転カム80の周面に常に圧接されているので、回転カム80(回転軸88)が回転されると、折りブレード79の接触ローラー86が回転カム80の周面に追従して矢印方向Dに移動され、折りブレード79の先端79Cも矢印方向Dに移動される。
【0055】
回転カム80(回転軸88)は、例えば駆動源となるステッピングモーター、ステッピングモーターの出力軸の回転を回転軸88に伝達するギアユニットなどにより回転駆動される。回転カム80、接触ローラー86、コイルバネ87、回転軸88、回転軸88並びに回転カム80を回転させるモーターは、折りブレード79を矢印方向Dに移動させる特許請求の範囲に記載されているブレード駆動部の一例である。
【0056】
同様に、各折りローラー78は、例えば駆動源となるモーター、モーターの出力軸の回転を各折りローラーに78に伝達するギアユニットなどにより回転駆動される。尚、各折りローラー78の駆動源となるモーター及びギアユニットは、各折りローラー78を回転させる特許請求の範囲に記載されているローラー駆動部の一例である。
【0057】
図5(A)に示すように回転カム80には、回転カム80(回転軸88)の回転中心R0に最も近い周面部分80A、回転中心R0から最も遠い回転カム80の周面部分80C、周面部分80Aと周面部分80Cの中間における回転カム80の2つの周面部分80Bが形成されている。折りブレード79の接触ローラー86が回転カム80の周面部分80Aに接触しているときには、折りブレード79の接触ローラー86が各折りローラー78のニップ域NPに対して最も離間し、折りブレード79の先端79Cもニップ域NPに対して最も離間して各分割トレイ75A、75Bの間のスペースから退避する。この状態で、記録紙束PTが各分割トレイ75A、75B上で移動されて、記録紙束PTの中央部が各分割トレイ75A、75B間のスペースに到達して位置決めされる。
【0058】
図5(B)に示すように回転カム80(回転軸88)が矢印方向に回転されると、折りブレード79の接触ローラー86が回転カム80の一方の周面部分80Bに接触してニップ域NPに接近する方向に移動し、折りブレード79の先端79Cもニップ域NPに接近する方向に移動して記録紙束PTの中央部を押し上げる。これにより、記録紙束PTの中央部の折り曲げが開始される。
【0059】
そして、
図6(A)に示すように回転カム80(回転軸88)が180度回転されて、折りブレード79の接触ローラー86が周面部分80Cに接触しているときに、折りブレード79の接触ローラー86が各折りローラー78のニップ域NPに最も接近し、折りブレード79の先端79Cもニップ域NPに最も接近する。これにより、記録紙束PTの中央部が各折りローラー78のニップ域NPに押し込まれて折り曲げられる。
【0060】
更に、
図6(B)に示すように回転カム80(回転軸88)が回転されると、折りブレード79の接触ローラー86が回転カム80の他方の周面部分80Bに接触してニップ域NPに対して離間する方向に移動し、折りブレード79の先端79Cもニップ域NPから離間する方向に移動して各分割トレイ75A、75Bの間のスペースから退避する。折り曲げられた記録紙束PTは、各折りローラー78のニップ域NPを通過してガイド部81へと搬送される。
【0061】
このように回転カム80により折りブレード79の先端79Cがニップ域NPに対して接近する方向に移動されると、折りブレード79の先端79Cにより記録紙束PTの中央部が各折りローラー78のニップ域NPに押し込まれ、各折りローラー78により記録紙束PTが折り曲げられる。
【0062】
ここで、画像形成装置10における画像形成部12は、インクジェット方式によりインクを用いて記録紙に原稿の画像を形成するので、記録紙の面に付着しているインクが乾く前に、用紙後処理装置20の中綴じ部27により記録紙束PTが折り曲げられる。この場合、記録紙束PTの記録紙の面がインクで濡れた状態にあり、各折りローラー78のニップ域NPで折り曲げられた記録紙束PTと該各折りローラー78の間の摩擦が大きく、これらの間に滑りが生じ難く、またその折り曲げられた記録紙束PTの隙間に挟まれた折りブレード79の先端79Cと該記録紙束PTの間の摩擦も大きく、これらの間にも滑りが生じ難く、よって折りブレード79の先端79Cを折り曲げられた記録紙束PTの隙間から移動させて抜くには大きな力が必要となる。その上、
図6(A)、(B)から明らかなように折りブレード79の先端79Cを移動させて抜くときには、各折りローラー78の記録紙束PTに接する周面部分の回転方向と折りブレード79の先端79Cの移動方向が逆方向になるので、折りブレード79の先端79Cを抜く力が各折りローラー78の回転を阻止する方向に作用する。このため、例えば各折りローラー78がロックして、各折りローラー78を回転させるモーターに過電流が流れ、モーターの保護回路が作動して、モーターが停止されるという不具合が発生するおそれがある。
【0063】
そこで、第1実施形態では、折りブレード79の先端79Cが各折りローラー78のニップ域NPで折り曲げられた記録紙束PTの隙間から抜かれるタイミングで各折りローラー78の回転を停止させるか又は各折りローラー78の回転速度を低下させ、折りブレード79の先端79Cが記録紙束PTの隙間から抜かれると、各折りローラー78の回転を停止させた状態から元の回転速度に再開させるか、又は各折りローラー78の回転速度を上記低下させた状態から元の回転速度に復帰させている。この場合、各折りブレード79の先端79Cを抜く力が各折りローラー78の回転を阻止する方向に作用して、各折りローラー78がロックしても、各折りローラー78の駆動源となるモーターの回転が停止されるか又はモーターの回転速度が低下されるため、モーターに過電流が流れないか又は過電流のレベルが抑えられ、モーターが停止されるという不具合を回避することができる。
【0064】
次に、上記のように各折りローラー78の回転を停止させた状態から元の回転速度に再開させ、又は各折りローラー78の回転速度を上記低下させた状態から元の回転速度に復帰させるための制御手順を、
図7に示すフローチャートなどを参照して説明する。
【0065】
例えば、駆動制御部56は、各折りローラー78の駆動源となるモーターを回転させると共に、回転カム80の駆動源となるステッピングモーターを回転させ、
図5(A)、(B)に示すように各折りローラー78を回転させつつ、折りブレード79を各折りローラー78のニップ域NPに対して接近方向に移動させ、更に
図6(A)に示すように折りブレード79の先端79Cをニップ域NPに最も接近させ、記録紙束PTの中央部を各折りローラー78のニップ域NPに押し込んで折り曲げさせる(S101)。
【0066】
このとき、
図5(A)に示すように折りブレード79の先端79Cがニップ域NPに対して最も離間しているときの回転カム80の回転位置を初期の回転位置とし、この初期の回転位置での回転カム80の回転角度θを0とすると(θ=0)、駆動制御部56は、回転カム80の駆動源となるステッピングモーターに印加されるパルス信号の数などを制御して、回転カム80を回転させつつ、パルス信号の数に基づき回転カム80の初期の回転位置からの回転角度θを算出する(S102)。そして、駆動制御部56は、その算出された回転角度θが予め設定された第1角度閾値θ1に達したか否かを判定し(S103)、その算出された回転角度θが第1角度閾値θ1に達しなければ(S103「No」)、S102、S103を繰り返す。
【0067】
第1角度閾値θ1は、
図8(A)に示すように折りブレード79の先端79Cが各折りローラー78のニップ域NPに最も接近した直後の回転カム80の回転角度θであり、折り曲げられた記録紙束PTの隙間から抜かれる方向への折りブレード79の先端79Cの移動が開始された直後に、回転カム80の回転角度θが第1角度閾値θ1に達する。
【0068】
駆動制御部56は、S102で算出された回転角度θが第1角度閾値θ1に達すると(S103「Yes」)、各折りローラー78の駆動源となるモーターを停止させるか又は該モーターの回転速度を低下させて、
図8(A)に示すように各折りローラー78の回転を停止させるか、又は該各折りローラー78の回転速度を低下させる(S104)。
【0069】
また、駆動制御部56は、回転カム80の駆動源となるステッピングモーターを継続的に回転させて、回転カム80を回転させ、折りブレード79の先端79Cを各折りローラー78のニップ域NPから更に離間させる。
【0070】
続いて、駆動制御部56は、ニップ域NPからの折りブレード79の先端79Cの更なる離間に際し、回転カム80の駆動源となるステッピングモーターに印加されるパルス信号の数に基づき回転カム80の回転角度θを算出して(S105)、この算出された回転角度θが、
図8(B)に示すような予め設定された第2角度閾値θ2に達したか否かを判定し(S106)、その算出された回転角度θが第2角度閾値θ2に達しなければ(S106「No」)、S105、S106を繰り返す。
【0071】
第2角度閾値θ2は、
図8(B)に示すように折りブレード79の先端79Cが各折りローラー78のニップ域NPから十分に離間した予め定められた位置にあるときの回転カム80の回転角度θであって、第1角度閾値θ1よりも大きい。折りブレード79の先端79Cが折り曲げられた記録紙束PTの隙間から確実に離れたときに、回転カム80の回転角度θが第2角度閾値θ2に達する。
【0072】
駆動制御部56は、S105で算出された回転角度θが第2角度閾値θ2に達すると(S106「Yes」)、各折りローラー78の駆動源となるモーターの回転を停止させた状態から元の回転速度に再開させるか又は該モーターの回転速度を上記低下させた状態から元の回転速度に戻して、
図6(B)に示すように各折りローラー78の回転を停止させた状態から元の回転速度に再開させるか、又は該各折りローラー78の回転速度を上記低下させた状態から元の回転速度に復帰させる(S107)。これにより、折り曲げられた記録紙束PTは、各折りローラー78のニップ域NPを通過してガイド部81へと搬送される。
【0073】
また、駆動制御部56は、回転カム80の駆動源となるステッピングモーターを継続的に回転させて、回転カム80を回転させ、各折りローラー78の折りブレード79の先端79Cをニップ域NPからより離間させる。
【0074】
このように第1実施形態では、
図6(A)に示すように折りブレード79の先端79Cがニップ域NPに最も接近して、記録紙束PTの中央部が各折りローラー78のニップ域NPに押し込まれ、
図8(A)に示すように回転カム80の回転角度θが第1角度閾値θ1に達して、記録紙束PTの隙間から抜かれる方向への折りブレード79の先端79Cの移動が開始されると、各折りローラー78の回転が停止されるか又は該各折りローラー78の回転速度が低下され、続いて
図8(B)に示すように回転カム80の回転角度θが第2角度閾値θ2に達して、折りブレード79の先端79Cが、折り曲げられた記録紙束PTの隙間から確実に離れると、
図6(B)に示すように各折りローラー78の回転が再開されるか又は該各折りローラー78の回転速度が復帰される。すなわち、折りブレード79の先端79Cが各折りローラー78のニップ域NPで折り曲げられた記録紙束PTの隙間から抜かれるタイミングで各折りローラー78の回転が一時的に停止されるか又は該各折りローラー78の回転速度が一時的に低下される。このため、各折りブレード79の先端79Cを抜く力が各折りローラー78の回転を阻止する方向に作用して、各折りローラー78がロックしても、各折りローラー78の駆動源となるモーターに過電流が流れないか又は過電流のレベルが抑えられ、モーターが停止されるという不具合が生じることはない。
【0075】
尚、第1角度閾値θ1及び第2角度閾値θ2は、各折りブレード79の先端79Cを抜く力が各折りローラー78の回転を阻止する方向に作用して、各折りローラー78がロックするような角度範囲を実験などで経験的に求め、この角度範囲を規定するように設定されるのが好ましい。
<第2実施形態>
図9は、本発明にかかる第2実施形態の用紙後処理システムにおける画像形成装置及び用紙後処理装置を示す断面図である。尚、
図9において、
図1と同様の作用を果たす部位には同じ符号を付している。
【0076】
第2実施形態の用紙後処理システムSyは、原稿の画像を読取って記録紙に形成する画像形成装置10と、記録紙を画像形成装置10から受け取って、記録紙に対して後処理を施す用紙後処理装置20とを備えている。
【0077】
画像形成装置10は、画像読取部11と、画像形成部12Aとを備えている。画像読取部11では、複数の原稿を原稿トレイ1から順次引き出して搬送しつつ、各原稿の画像を撮像素子により読取り、各原稿を排出トレイ2に順次排出して重ねる。各原稿の画像毎に、撮像素子のアナログ出力がデジタル信号に変換されて、原稿の画像を示す画像データが生成される。
【0078】
画像形成部12Aは、複数の原稿の画像を示すそれぞれの画像データを逐次入力する度に、画像データによって示される原稿の画像を、電子写真方式によりトナーを含む現像剤を用いて記録紙に形成する。画像形成部12Aは、マゼンタ用の画像形成ユニット63M、シアン用の画像形成ユニット63C、イエロー用の画像形成ユニット63Y、及びブラック用の画像形成ユニット63Bkを備えている。各画像形成ユニット63M、63C、63Y、及び63Bkのいずれにおいても、感光体ドラム64の表面を均一帯電させ、感光体ドラム64の表面を露光して、感光体ドラム64の表面に静電潜像を形成し、感光体ドラム64の表面の静電潜像をトナー像に現像して、感光体ドラム64の表面のトナー像を、中間転写ベルト62に転写する。これにより、カラーのトナー像が中間転写ベルト62上に形成される。このカラーのトナー像は、中間転写ベルト62と2次転写ローラー66の間のニップ域Nにおいて給紙部14から第1搬送路68を通じて搬送されてきた記録紙Pに2次転写される。
【0079】
画像形成部12Aにより各原稿の画像がそれぞれの記録紙Pに形成された後、各記録紙Pが定着部65で逐次加熱及び加圧されて、各記録紙P上のそれぞれのトナー像が熱圧着により定着される。更に、各記録紙Pは、搬送ローラー61を通じて用紙後処理装置20へと搬送される。
【0080】
また、記録紙Pの裏面にも原稿の画像を記録する場合、記録紙Pを排出トレイ69手前の排出ローラー67へと搬送し、排出ローラー67を一旦停止させてから逆回転させるというスイッチバック搬送を行い、記録紙Pを搬送ローラー61から第2搬送路70を通じて第1搬送路68のニップ部Nに戻して、記録紙Pの表裏を反転させ、画像形成部12Aにより記録紙Pの裏面に原稿Mの画像を形成させ、記録紙Pを、搬送ローラー61を通じて用紙後処理装置20へと搬送させる。
【0081】
一方、用紙後処理装置20の機構に係る構成は、第1実施形態において
図1を参照して述べた通りである。用紙後処理装置20では、画像形成装置10から搬送されて来た各記録紙を順次受け入れ、例えば、中綴じ部27が、各記録紙からなる記録紙束の中央部にステイプル処理を施して、記録紙束をその中央で折り曲げ、記録紙束を排出トレイ28へと排出させる。
【0082】
次に、第2実施形態における画像形成装置10及び用紙後処理装置20の制御に係る構成は、
図2に示す第1実施形態と概ね同じである。ただし、第2実施形態における画像形成装置10は、インクジェット方式の画像形成部12の代わりに、電子写真方式の画像形成部12Aを適用している点で第1実施形態とは異なる。第2実施形態における画像形成装置10の制御部46は、電子写真方式の画像形成部12Aを制御して、上記のような手順で原稿の画像を画像形成部12Aにより記録紙に形成させる。
【0083】
また、第2実施形態において、画像形成装置10の制御部46は、第1実施形態と同様に、画像読取部11、画像形成部12A、表示部41、操作部42、タッチパネル43、記憶部44、及びインターフェイス47などと接続されており、これらの構成要素の動作制御や、該各構成要素との間での信号またはデータの送受信を行う。
【0084】
また、第2実施形態において、画像形成装置10の制御部46と用紙後処理装置20の駆動制御部56は、それぞれのインターフェイス47、57を通じて、データ又は信号を互いに送受信する。画像形成装置10の制御部46は、用紙後処理装置20による後処理を示す制御信号を用紙後処理装置20の駆動制御部56に出力し、用紙後処理装置20の駆動制御部56がその制御信号に応じて片綴じ部25又は中綴じ部27を駆動制御する。
【0085】
ここで、画像形成装置10における画像形成部12Aは、電子写真方式によりトナーを用いて記録紙に原稿の画像を形成するので、記録紙の面が乾いた状態にあり、また現像剤にはトナーとワックスが混合されていて、このワックスにより記録紙の面が平滑化される。この場合、各折りローラー78のニップ域NPで折り曲げられた記録紙束と該各折りローラー78の間の摩擦が小さく、これらの間に滑りが生じ易く、またその折り曲げられた記録紙束の隙間に挟まれた折りブレード79の先端79Cと該記録紙束の間の摩擦も小さく、これらの間にも滑りが生じ易い。このため、折りブレード79の先端79Cを各折りローラー78のニップ域NPで折り曲げられた記録紙束の隙間から移動させて抜くときに大きな力を必要とせず、折りブレード79の先端79Cを抜く力が各折りローラー78の回転を阻止することはない。
【0086】
しかしながら、記録紙束の記録紙の間にずれが生じ易い。このため、仮に、第1実施形態のように折りブレード79の先端79Cが各折りローラー78のニップ域NPで折り曲げられた記録紙束の隙間から抜かれるタイミングで各折りローラー78の回転を停止させるか又は各折りローラー78の回転速度を低下させると、記録紙束が折りブレード79の先端79Cの抜かれる方向に引っ張られて、各折りローラー78に直接接する記録紙束の外側1枚の記録紙を残して、他の記録紙がその抜かれる方向にずれ、更に各折りローラー78がモーターの駆動力を伝達するギアユニットのバックラッシュの分だけ逆方向に回転するので、これに伴い他の記録紙が記録紙束の外側1枚の記録紙より更にずれるという不具合が発生する。
【0087】
そこで、第2実施形態では、折りブレード79が各折りローラー78のニップ域NPに対して接離方向に移動されている間、各折りローラー78の回転速度を一定に維持している。
【0088】
この場合、駆動制御部56は、各折りローラー78の駆動源となるモーターを回転させると共に、回転カム80の駆動源となるステッピングモーターを回転させ、
図5(A)、(B)に示すように各折りローラー78を回転させつつ、折りブレード79を各折りローラー78のニップ域NPに対して接近方向に移動させ、更に
図6(A)に示すように各折りローラー78を回転させつつ、折りブレード79の先端79Aを各折りローラー78のニップ域NPに最も接近させ、この後に
図6(B)に示すように各折りローラー78を回転させつつ、折りブレード79の先端79Aを各折りローラー78のニップ域NPに対して離間方向に移動させる。
【0089】
要するに、第2実施形態では、折りブレード79の先端79Cが各折りローラー78のニップ域NPに対して接近して離間する間、各折りローラー78は、一度も停止されることなく一定の回転速度で回転される。
【0090】
このため、記録紙束は、折りブレード79の先端79Cの抜かれる方向に引っ張られながらも、該記録紙束の記録紙の間にずれが生じる間もなく、各折りローラー78により速やかに折り曲げられながら搬送される。
<第3実施形態>
第3実施形態では、用紙後処理装置20がインクジェット方式及び電子写真方式のいずれの画像形成装置10にも適用されることを前提とし、画像形成装置10がインクジェット方式及び電子写真方式のいずれであるかに応じて、第1実施形態又は第2実施形態と同様に用紙後処理装置の中綴じ部27における各折りローラー78の回転及び停止を制御している。
【0091】
上記のように第1実施形態では、回転カム80の回転角度θが第1角度閾値θ1に達して、記録紙束の隙間から抜かれる方向への折りブレード79の先端79Cの移動が開始されると、各折りローラー78の回転が停止されるか又は該各折りローラー78の回転速度が低下され、続いて回転角度θが第2角度閾値θ2に達して、折りブレード79の先端79Cが、折り曲げられた記録紙束の隙間から確実に離れると、各折りローラー78の回転が上記停止された状態から元の回転速度で再開されるか、又は該各折りローラー78の回転速度が上記低下した状態から元の回転速度に復帰される。このような各折りローラー78の回転制御を、第2回転制御と称す。
【0092】
また、上記のように第2実施形態では、折りブレード79の先端79Cが各折りローラー78のニップ域NPに対して接近して離間する間、各折りローラー78は、一度も停止されることなく一定の回転速度で回転される。このような各折りローラー78の回転制御を、第1回転制御と称す。
【0093】
ここで、ユーザーは、タッチパネル43を通じて表示部41の画面に表示されているGUIを操作して、中綴じ処理を指示し、複数の原稿を画像読取部11にセットして、操作部42のスタートキーを操作する。
【0094】
画像形成装置10の制御部46は、中綴じ処理及び画像形成装置10がインクジェット方式及び電子写真方式のいずれであるかを示す制御信号を、インターフェイス47を通じて用紙後処理装置20に出力し、これと同時に画像読取部11により各原稿の画像を順次読取らせて、各原稿の画像を画像形成部12によりそれぞれの記録紙に形成させ、これらの記録紙を用紙後処理装置20に逐次搬送させる。
【0095】
用紙後処理装置20の駆動制御部56は、上記制御信号を、インターフェイス57を通じて受け取ると共に、画像形成装置10から搬送されて来た各記録紙を逐次受け入れ、上記制御信号に基づき、画像形成装置10がインクジェット方式及び電子写真方式のいずれであるかを判定すると共に、中綴じ部27を駆動制御して、各記録紙からなる記録紙束の中央部にステイプル処理を施して、記録紙束をその中央で折り曲げ、記録紙束を排出トレイ28へと排出させる。
【0096】
このとき、用紙後処理装置20の駆動制御部56は、画像形成装置10がインクジェット方式であると判定した場合に、各折りローラー78の駆動源となるモーターを回転させると共に、回転カム80の駆動源となるステッピングモーターを回転させ、
図7に示すフローチャートの制御手順を実行して、上記の第2回転制御を行う。
【0097】
これにより、各折りブレード79の先端79Cを抜く力が各折りローラー78の回転を阻止する方向に作用して、各折りローラー78がロックしても、モーターが停止されるという不具合が回避される。
【0098】
また、用紙後処理装置20の駆動制御部56は、画像形成装置10が電子写真方式であると判定した場合に、各折りローラー78の駆動源となるモーターを回転させると共に、回転カム80の駆動源となるステッピングモーターを回転させ、折りブレード79の先端79Cが各折りローラー78のニップ域NPに対して接近して離間する間、各折りローラー78を一定の回転速度で回転させて、上記の第1回転制御を行う。
【0099】
これにより、記録紙束は、折りブレード79の先端79Cの抜かれる方向に引っ張られながらも、該記録紙束の記録紙の間にずれが生じる間もなく、各折りローラー78により速やかに折り曲げられながら搬送される。
<更なる他の実施形態>
この実施形態では、第3実施形態のように画像形成装置10がインクジェット方式及び電子写真方式のいずれであるかに応じて上記の第2回転制御又は第1回転制御を選択して行う代わりに、記録紙の面の摩擦の大小に応じて上記の第2回転制御又は第1回転制御を選択して行っている。
【0100】
インクジェット方式により原稿の画像が形成された記録紙の場合、記録紙の面がインクで濡れているので、記録紙束の記録紙の間の摩擦が大きい。
【0101】
また、電子写真方式により原稿の画像が形成された記録紙の場合、記録紙の面が乾いた状態にあり、かつワックスにより記録紙の面が平滑化されているので、記録紙束の記録紙の間の摩擦が小さい。
【0102】
更に、記録紙の種類によって、記録紙の面の摩擦が変化する。あるいは、記録紙の印字率、サイズ、あるいは湿度、温度などの環境変化に応じて、記録紙の面の摩擦が変化する。
【0103】
ユーザーは、タッチパネル43を通じて表示部41の画面に表示されているGUIを操作して、中綴じ処理を指示するときに、記録紙の面の摩擦の大小を判断して、記録紙の面の摩擦の大小をも指示する。そして、ユーザーは、複数の原稿を画像読取部11にセットして、操作部42のスタートキーを操作してコピー実行指示を入力する。
【0104】
画像形成装置10の制御部46は、中綴じ処理及び記録紙の面の摩擦の大小を示す情報を含む制御信号を、インターフェイス47を通じて用紙後処理装置20に出力し、これと同時に画像読取部11により各原稿の画像を順次読取らせて、各原稿の画像を画像形成部12によりそれぞれの記録紙に形成させ、これらの記録紙を用紙後処理装置20に逐次搬送させる。
【0105】
用紙後処理装置20の駆動制御部56は、中綴じ処理及び記録紙の面の摩擦の大小を示す情報を含む上記制御信号を、インターフェイス57を通じて受け取ると共に、画像形成装置10から搬送されて来た各記録紙を逐次受け入れ、上記制御信号に基づき中綴じ部27を駆動制御して、各記録紙からなる記録紙束の中央部にステイプル処理を施して、記録紙束をその中央で折り曲げ、記録紙束を排出トレイ28へと排出させる。
【0106】
このとき、用紙後処理装置20の駆動制御部56は、上記制御信号によって記録紙の面の摩擦の大が示されている場合に、各折りローラー78の駆動源となるモーターを回転させると共に、回転カム80の駆動源となるステッピングモーターを回転させ、
図7に示すフローチャートの制御手順を実行して、上記の第2回転制御を行う。
【0107】
これにより、各折りブレード79の先端79Cを抜く力が各折りローラー78の回転を阻止する方向に作用して、各折りローラー78がロックしても、モーターが停止されるという不具合が回避される。
【0108】
また、用紙後処理装置20の駆動制御部56は、制御信号によって記録紙の面の摩擦の小が示されている場合に、各折りローラー78の駆動源となるモーターを回転させると共に、回転カム80の駆動源となるステッピングモーターを回転させ、上記の第1回転制御を行う。
【0109】
これにより、記録紙束は、該記録紙束の記録紙の間にずれを生じる間もなく、各折りローラー78により折り曲げられながら搬送される。
【0110】
尚、ユーザーが、記録紙の面の摩擦の大小を判断して、記録紙の面の摩擦の大小を指示する代わりに、画像形成装置10の制御部46がそれらの判断と指示を行ってもよい。この場合、画像形成装置10の制御部46は、画像形成装置10がインクジェット方式及び電子写真方式のいずれであるかを判定し、またユーザーの入力指示に基づき記録紙の種類及びサイズを取得し、更に記録紙の印字率を算出し、またセンサーにより検出された湿度、温度などを取得し、これらの情報に基づいて、記録紙の面の摩擦が大であるか小であるかを判定して、中綴じ処理及び記録紙の面の摩擦の大小を示す情報を含む制御信号を、インターフェイス47を通じて用紙後処理装置20に出力するようにしてもよい。
【0111】
上記更なる他の実施形態及び第3実施形態の場合、用紙後処理装置20の駆動制御部56は、上記制御信号に基づいて、上記第2回転制御と上記第1回転制御とを選択して行うことになる。
【0112】
また、上記各実施形態では、用紙後処理装置20に駆動制御部56を設けているが、駆動制御部56を省略して、制御部46により用紙後処理装置20を直接制御する構成としてもよい。
【0113】
また、回転カム80とは異なる種類の他のカムを適用しても構わない。多様なカムが提供されているが、例えば水平運動を上下運動に変換するカムなどの適用が考えられる。更に、回転運動を往復運動に変換するリンク機構などを用いて、折りブレード79を各折りローラー78のニップ域NPに対して接離する方向に移動させてもよい。
【0114】
また、
図1乃至
図9を用いて説明した上記各実施形態及び変形例の構成及び処理は、本発明の一例に過ぎず、本発明を当該構成及び処理に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0115】
10 画像形成装置
11 画像読取部
12 画像形成部
12A 画像形成部
20 用紙後処理装置
27 中綴じ部
28 排出トレイ
77 ステイプル部
78 折りローラー
79 折りブレード
80 回転カム
41 表示部
42 操作部
43 タッチパネル
44 記憶部
46 制御部
47 インターフェイス
56 駆動制御部
57 インターフェイス