(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023121590
(43)【公開日】2023-08-31
(54)【発明の名称】ゴルフクラブのシャフトのフィッティング装置
(51)【国際特許分類】
A63B 69/36 20060101AFI20230824BHJP
【FI】
A63B69/36 541P
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022025009
(22)【出願日】2022-02-21
(71)【出願人】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104134
【弁理士】
【氏名又は名称】住友 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100156225
【弁理士】
【氏名又は名称】浦 重剛
(74)【代理人】
【識別番号】100168549
【弁理士】
【氏名又は名称】苗村 潤
(74)【代理人】
【識別番号】100200403
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 幸信
(74)【代理人】
【識別番号】100206586
【弁理士】
【氏名又は名称】市田 哲
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 弘祐
(72)【発明者】
【氏名】植田 勝彦
(72)【発明者】
【氏名】中村 佑斗
(72)【発明者】
【氏名】南家 健太
(72)【発明者】
【氏名】平 和樹
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ボールの弾道に関する情報に基づき、推奨すべきシャフトを選定する選定モードを切り替え、多様なニーズに対応する。
【解決手段】フィッティング装置200は、スイングセンサ100からの第1計測値と、ゴルフボールの弾道に関する第2計測値とを取得する取得部201と、第1計測値に基づいて、複数のスイングの特徴量を算出する算出部202と、それぞれのスイング特徴量に基づいて、推奨すべきシャフトの仕様を特定するための複数のシャフト指標を決定する第1決定部203と、決定された複数のシャフト指標の種類数を判別する種類数判別部204と、シャフト指標が複数種類ある場合、第2計測値に基づいて、シャフト選定モードを、第1選定モード又は第2選定モードに切り替える選定モード切替部205と、切り替えられた選定モードにしたがって、推奨すべきシャフトの仕様を特定するための第1シャフト指標を決定する第2決定部207とを含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴルファに適したゴルフクラブのシャフトを選定するためのフィッティング装置であって、
弾道測定装置が設置された環境で、スイングセンサが取り付けられたゴルフクラブを用い、複数回、ゴルフボールを打撃するスイングを行って取得される前記スイングセンサからの第1計測値と、前記弾道測定装置で計測された前記ゴルフボールの弾道に関する第2計測値とを取得する取得部と、
前記第1計測値に基づいて、複数の前記スイングそれぞれのスイング特徴量を算出する算出部と、
前記スイングごとに、前記それぞれのスイング特徴量に基づいて、前記ゴルファに推奨すべきシャフトの仕様を特定するための複数のシャフト指標を決定する第1決定部と、
決定された複数の前記シャフト指標の種類数を判別する種類数判別部と、
前記シャフト指標が複数種類ある場合、前記第2計測値に基づいて、前記シャフトを選定するための選定モードを、第1選定モード、又は、前記第1選定モードとは異なる第2選定モードに切り替える選定モード切替部と、
切り替えられた前記選定モードにしたがって、複数の前記シャフト指標から前記ゴルファに推奨すべきシャフトの仕様を特定するための第1シャフト指標を決定する第2決定部とを含む、
ゴルフクラブのシャフトのフィッティング装置。
【請求項2】
前記選定モード切替部は、前記第2計測値の最大値と最小値との差が予め定められた基準値以上のときに前記第1選定モードに切り替え、かつ、前記差が前記基準値よりも小さいときに前記第2選定モードに切り替える、請求項1に記載のゴルフクラブのシャフトのフィッティング装置。
【請求項3】
前記第2計測値に基づいて、複数の前記スイングの優劣を判別する優劣判別部と、
前記スイングの優劣に基づいて、複数の前記スイングに重みを設定する重み付け部とをさらに含み、
前記第1選定モードは、前記スイング特徴量と前記重みとに基づいて、前記第1シャフト指標を決定する、請求項1又は2に記載のゴルフクラブのシャフトのフィッティング装置。
【請求項4】
前記第1選定モードにおいて、前記第2決定部は、複数の前記シャフト指標又はこれに対応する指標を、前記重みを考慮して重み付け平均することにより、前記第1シャフト指標を決定する、請求項3に記載のゴルフクラブのシャフトのフィッティング装置。
【請求項5】
前記第1選定モードにおいて、前記第1決定部は、複数の前記スイング特徴量を、前記重みを考慮して重み付け平均することにより第1スイング特徴量を決定し、
前記第2決定部は、前記第1スイング特徴量に基づいて、前記第1シャフト指標を決定する、請求項3に記載のゴルフクラブのシャフトのフィッティング装置。
【請求項6】
前記第2計測値は、前記ゴルフボールの飛距離に関する第1弾道情報を含み、
前記優劣判別部は、前記第1弾道情報に基づいて、前記スイングの優劣を判別する、請求項3ないし5のいずれか1項に記載のゴルフクラブのシャフトのフィッティング装置。
【請求項7】
前記第2計測値は、前記ゴルフボールの予め定められた目標飛球線に対する左右のずれに関する第2弾道情報を含み、
前記優劣判別部は、前記第2弾道情報に基づいて、前記スイングの優劣を判別する、請求項3ないし5のいずれか1項に記載のゴルフクラブのシャフトのフィッティング装置。
【請求項8】
前記優劣判別部は、前記第2計測値が最も優れるベストショットと、前記第2計測値が最も劣るワーストショットとを判別し、
前記重み付け部は、前記ワーストショットのスイングの重みを前記ベストショットのスイングの重みよりも大きく設定する、請求項4ないし7のいずれか1項に記載のゴルフクラブのシャフトのフィッティング装置。
【請求項9】
複数の前記シャフト指標を、その出現数で順位付けする順位付け部をさらに含み、
前記第2選定モードは、前記順位付けにしたがって前記第1シャフト指標を決定する、請求項1ないし8のいずれか1項に記載のゴルフクラブのシャフトのフィッティング装置。
【請求項10】
前記第1シャフト指標が、前記シャフトの曲げ剛性に関する指標を含む、請求項1ないし9のいずれか1項に記載のゴルフクラブのシャフトのフィッティング装置。
【請求項11】
前記第1シャフト指標が、前記シャフトの重量に関する指標を含む、請求項1ないし10のいずれか1項に記載のゴルフクラブのシャフトのフィッティング装置。
【請求項12】
請求項1ないし11のいずれか1項に記載された前記フィッティング装置を含む、ゴルフクラブのシャフトのフィッティングシステムであって、
前記第1計測値を計測するための前記スイングセンサと、
前記第2計測値を計測するための前記弾道測定装置と、
前記第1シャフト指標又はこれに対応する指標を表示する表示部とを含む、
ゴルフクラブのシャフトのフィッティングシステム。
【請求項13】
ゴルファに適したゴルフクラブのシャフトを選定するためのフィッティング方法であって、
弾道測定装置が設置された環境で、スイングセンサが取り付けられたゴルフクラブを用い、複数回、ゴルフボールを打撃するスイングを行って取得される前記スイングセンサからの第1計測値と、前記弾道測定装置で計測された前記ゴルフボールの弾道に関する第2計測値とを取得するステップと、
前記第1計測値に基づいて、複数の前記スイングそれぞれのスイング特徴量を算出するステップと、
前記スイングごとに、前記それぞれのスイング特徴量に基づいて、前記ゴルファに推奨すべきシャフトの仕様を特定するための複数のシャフト指標を決定するステップと、
決定された複数の前記シャフト指標の種類数を判別するステップと、
前記シャフト指標が複数種類ある場合、前記第2計測値に基づいて、前記シャフトを選定するための選定モードを、第1選定モード、又は、前記第1選定モードとは異なる第2選定モードのいずれかに切り替えるステップと、
切り替えられた前記選定モードにしたがって、複数の前記シャフト指標から前記ゴルファに推奨すべきシャフトの仕様を特定するための第1シャフト指標を決定するステップとを含む、
ゴルフクラブのシャフトのフィッティング方法。
【請求項14】
前記第1シャフト指標又はこれに対応する指標を表示するステップをさらに含む、請求項13に記載のゴルフクラブのシャフトのフィッティング方法。
【請求項15】
ゴルファに適したゴルフクラブのシャフトを選定するためのフィッティングプログラムであって、
弾道測定装置が設置された環境で、スイングセンサが取り付けられたゴルフクラブを用い、複数回、ゴルフボールを打撃するスイングを行って取得される前記スイングセンサからの第1計測値と、前記弾道測定装置で計測された前記ゴルフボールの弾道に関する第2計測値とを取得するステップと、
前記第1計測値に基づいて、複数の前記スイングそれぞれのスイング特徴量を算出するステップと、
前記スイングごとに、前記それぞれのスイング特徴量に基づいて、前記ゴルファに推奨すべきシャフトの仕様を特定するための複数のシャフト指標を決定するステップと、
決定された複数の前記シャフト指標の種類数を判別するステップと、
前記シャフト指標が複数種類ある場合、前記第2計測値に基づいて、前記シャフトを選定するための選定モードを、第1選定モード、又は、前記第1選定モードとは異なる第2選定モードのいずれかに切り替えるステップと、
切り替えられた前記選定モードにしたがって、複数の前記シャフト指標から前記ゴルファに推奨すべきシャフトの仕様を特定するための第1シャフト指標を決定するステップとをコンピュータに実行させる、
ゴルフクラブのシャフトのフィッティングプログラム。
【請求項16】
前記第1シャフト指標又はこれに対応する指標を表示するステップをさらに含む、請求項15に記載のゴルフクラブのシャフトのフィッティングプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ゴルフクラブのシャフトのフィッティング装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1及び2は、ゴルファのスイングに基づいて当該ゴルファにマッチしたシャフトを選定するためのシャフトのフィッティング方法や装置を提案している。このフィッティング方法では、センサがグリップに取り付けられたゴルフクラブでゴルフボールを打撃して取得される前記センサからの計測値を、コンピュータの受信手段で得る工程と、前記計測値から得られるスイング特徴量を用いてゴルファにマッチしたシャフトを、前記コンピュータの演算処理手段で選定する工程とを含む。
【0003】
また、特許文献1及び2では、フィッティングを希望するゴルファに所定数(例えば5球)のボールを試打させ、各打球時に算出したスイング特徴量の平均を当該ゴルファのスイング特徴量として設定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6087132号公報
【特許文献2】特許第6911298号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ゴルファ(とりわけアベレージゴルファ)は、常に同じスイングができるわけではない。特に、ラウンド時には、ミスショットもしばしば発生する。したがって、ミスショット時のスイングに適するシャフト、すなわち、これまではミスショットにつながっていたスイングをした場合であっても、大きな飛距離と小さい左右のずれを有する打球を提供しうるシャフトを希望するゴルファのニーズがある。
【0006】
また、ミスショットとはいえないとしても、ゴルファのスイングに一定のばらつきがある場合、個々のスイングに適した複数のシャフトの選定を希望するゴルファのニーズもある。
【0007】
本開示は、以上のような実情に鑑み案出なされたもので、打撃されたゴルフボールの弾道に関する情報に基づき、ゴルファに推奨すべきシャフトを選定するための選定モードを切り替えて、ひいては、ゴルファの多様なニーズに対応することが可能なゴルフクラブのシャフトのフィッティング装置等を提供することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、ゴルファに適したゴルフクラブのシャフトを選定するためのフィッティング装置であって、弾道測定装置が設置された環境で、スイングセンサが取り付けられたゴルフクラブを用い、複数回、ゴルフボールを打撃するスイングを行って取得される前記スイングセンサからの第1計測値と、前記弾道測定装置で計測された前記ゴルフボールの弾道に関する第2計測値とを取得する取得部と、前記第1計測値に基づいて、複数の前記スイングそれぞれのスイング特徴量を算出する算出部と、前記スイングごとに、前記それぞれのスイング特徴量に基づいて、前記ゴルファに推奨すべきシャフトの仕様を特定するための複数のシャフト指標を決定する第1決定部と、決定された複数の前記シャフト指標の種類数を判別する種類数判別部と、前記シャフト指標が複数種類ある場合、前記第2計測値に基づいて、前記シャフトを選定するための選定モードを、第1選定モード、又は、前記第1選定モードとは異なる第2選定モードに切り替える選定モード切替部と、切り替えられた前記選定モードにしたがって、複数の前記シャフト指標から前記ゴルファに推奨すべきシャフトの仕様を特定するための第1シャフト指標を決定する第2決定部とを含む、ゴルフクラブのシャフトのフィッティング装置である。
【発明の効果】
【0009】
本開示のゴルフクラブのシャフトのフィッティング装置は、上記の構成を採用することにより、ゴルファの多様なニーズに対応することが可能なゴルフクラブのシャフトのフィッティング装置等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態のゴルフクラブのシャフトのフィッティングシステムを示す全体構成図である。
【
図2】本実施形態のフィッティングシステムのブロック図である。
【
図3】本実施形態のフィッティング方法の一実施形態を示すフローチャートである。
【
図4】スイング中のシャフトの撓みの挙動を説明する図である。
【
図5】スイングにおける時間経過とコック方向の角速度との関係を示すグラフである 。
【
図6】第1ないし第4特徴量と、それに適したEI値との関係を示すグラフである。
【
図9】1回のスイングから取得される情報を視覚化して示すブロック図である。
【
図10】選定モード切替処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図11】第1選定モードの手順の一例を示すフローチャートである。
【
図12】第2選定モードの手順の一例を示すフローチャートである。
【
図13】表示部に表示された第1選定モードのフィッティング結果の一例である。
【
図14】表示部に表示された第2選定モードのフィッティング結果の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施の一形態が図面に基づき説明される。
実施形態及び図面に表された具体的な構成は、本開示の内容理解のためのものであって、本開示は、図示されている具体的な構成に限定されるものではない。また、複数の実施形態については、明細書を通して、同一又は共通する要素については同一の符号が付されており、重複する説明が省略される。
【0012】
図1は、本実施形態のゴルフクラブのシャフトのフィッティングシステム1を示す全体構成図を示す。また、
図2は、本実施形態のフィッティングシステム1のブロック構成図を示す。本実施形態のフィッティングシステム1及びフィッティング方法は、フィッティングを希望するゴルファ3のスイングを計測し、このスイングに適したゴルフクラブ2のシャフト22の仕様を選定することができる。したがって、本開示のフィッティングシステム1は、ゴルファ3のスイングに対応するシャフト22を提案し、ひいては、ゴルファ3の打球の飛距離や方向性を改善する。
【0013】
図1及び2に示されるように、本実施形態のフィッティングシステム1は、例えば、ゴルフクラブ2に装着可能なスイングセンサ100と、フィッティング装置200と、表示部300と、弾道測定装置400とを含む。
【0014】
[ゴルフクラブ]
ゴルフクラブ2は、例えば、グリップ21、シャフト22及びヘッド23を有する。本実施形態では、ゴルフクラブ2として、ウッド型のゴルフクラブが示される。他の実施形態では、ゴルフクラブ2は、アイアン型やパター型であっても良い。
【0015】
[スイングセンサ]
スイングセンサ100は、例えば、
図1に示されるように、ゴルフクラブ2に装着可能に構成される。本実施形態のスイングセンサ100は、ゴルフクラブ2のグリップ21又はシャフト22に着脱自在とされる。スイングセンサ100は、ゴルファ3のスイング動作を妨げないように、小型かつ軽量に構成されるのが望ましい。
【0016】
本実施形態のスイングセンサ100は、スイング中のゴルフクラブ2から、所定の物理量である第1計測値を計測することができる。
図2に示されるように、本実施形態のスイングセンサ100は、角速度計測部101を含み、第1計測値がスイング中のゴルフクラブ2の角速度である場合を示す。好ましい態様では、スイングセンサ100は、ゴルフクラブ2に関連付けられた3次元の局所座標系の少なくとも1軸回りの角速度を計測することができる。他の態様では、特許文献2に記載されるように、上記物理量は、ゴルフクラブ2の加速度、及び/又は地磁気であっても良い。
【0017】
図1に示されるように、局所座標系は、例えば、z軸がゴルフクラブ2のシャフト22の軸方向、x軸がヘッド23のトウ・ヒール方向、y軸がゴルフクラブ2のアドレス時の目標飛球方向に沿う方向とされても良い。本実施形態のスイングセンサ100は、スイング中の上記3軸それぞれの周りの角速度を所定のサンプリング周期(例えば、1ミリ秒)で計測することができる。
【0018】
したがって、ゴルファ3が、スイングセンサ100が取り付けられたゴルフクラブ2で、複数回、ゴルフボール4を打撃するスイングを行うと、前記第1計測値がスイングセンサ100でそれぞれ計測され得る。スイング回数は、2回以上であれば特に制限されないが、好ましくは3回以上、さらに好ましくは5回以上とされても良い。
【0019】
図2に示されるように、本実施形態のスイングセンサ100は、さらに、計測された第1計測値をフィッティング装置200に提供するための通信部102を備える。通信部102は、スイング動作の妨げないように、無線方式が望ましい。他の態様では、通信部102は、有線方式であっても良い。また、スイングセンサ100は、通信部102に代えて、又は、通信部102とともに、取り外し可能な記憶媒体(図示省略)を備えていても良い。この場合、第1計測値は、記憶媒体に一旦記憶され、この記憶媒体を介して、フィッティング装置200に取り込まれても良い。
【0020】
[弾道測定装置]
弾道測定装置400は、複数回のスイングによって打撃されたゴルフボール4のそれぞれの弾道に関する情報である第2計測値を計測することができる。ゴルフボール4の「弾道に関する情報」とは、ゴルフクラブで打撃されたゴルフボール4の運動状態を特定するデータであり、例えば、第1弾道情報及び/又は第2弾道情報を含む。
【0021】
第1弾道情報は、打撃されたゴルフボール4の飛距離又はこれに対応する情報を含む。ゴルフボール4の飛距離は、飛距離そのものの情報の他、打撃されたゴルフボール4の諸情報(例えば、打ち出し角、ボール速度、バックスピン量等の情報)から近似的に計算された値であって良い。
【0022】
第2弾道情報は、打撃されたゴルフボール4の予め定められた目標飛球線に対する左右のずれ又はこれに対応する情報を含む。ゴルフボール4の左右のずれは、ずれ量そのものの情報の他、打撃されたゴルフボール4の諸情報(打ち出し角、ボール速度、バックスピン量、サイドスピン量等の情報)から近似的に計算された値であって良い。
【0023】
図1及び
図2に示されるように、弾道測定装置400は、例えば、目標飛球線を挟んで、ゴルファ3とは反対側に設置される。弾道測定装置400は、例えば、カメラ及び制御装置(図示省略)を含む計測部401を備える。計測部401は、ヘッド23や打撃されたゴルフボール4を撮像し、かつ、撮像されたデータを解析することで、第2計測値を計測することができる。また、弾道測定装置400は、スイング中のゴルフクラブ2のヘッド23がゴルフボール4を打撃するときの速度であるヘッド速度(以下、「HS」と表記する場合がある。)も計測することができる。このような弾道測定装置400としては、市販されている種々の弾道測定器を用いることができ、例えば、「SkyTrak」(スカイトラック,エルエルシー社の登録商標)など、小型かつ持ち運び自在な可搬性を有するものが好適である。
【0024】
図2に示されるように、本実施形態の弾道測定装置400は、第2計測値をフィッティング装置200に提供するための通信部402をさらに備える。本実施形態の通信部402は、無線方式であるが、ケーブルを用いた有線方式であっても良い。また、弾道測定装置400は、通信部402に代えて、又は、通信部402とともに、取り外し可能な記憶媒体(図示省略)を備えていても良い。この場合、第2計測値は、記憶媒体を介して、フィッティング装置200に取り込まれても良い。
【0025】
[フィッティング装置]
本実施形態のフィッティング装置200は、スイングセンサ100及び弾道測定装置400から、それぞれ第1計測値及び第2計測値を取得し、予め定められた処理を実行する。フィッティング装置200は、例えば、コンピュータであって、とりわけ、汎用性のある様々なパーソナルコンピュータ、タブレットコンピュータ、スマートフォン、さらには専用端末として実現され得る。
【0026】
図2に示されるように、フィッティング装置200は、スイングセンサ100及び弾道測定装置400からそれぞれ第1計測値及び第2計測値を取得する取得部201と、第1計測値に基づいて、複数のスイングのスイング特徴量を算出する算出部202と、スイング特徴量に基づいて、ゴルファ3に推奨すべきシャフト22の仕様を特定するための複数のシャフト指標を決定する第1決定部203と、決定された複数のシャフト指標の種類数を判別する種類数判別部204と、シャフト指標が複数種類ある場合、シャフト22を選定するための選定モードを、第1選定モード又は第2選定モードのいずれかに切り替える選定モード切替部205と、切り替えられた選定モードにしたがって、複数のシャフト指標からゴルファに推奨すべきシャフトの仕様を特定するための第1シャフト指標を決定する第2決定部207と含む。
【0027】
また、本実施形態のフィッティング装置200は、記憶部210(後述)と、入力部211と、制御部212とをさらに含む。記憶部210は、例えば、フィッティングプログラムや各種マスターデータ(後述)等が記憶される不揮発性の第1記憶部210A(詳細は後述する)と、作業用メモリとしての役割を果たす揮発性の第2記憶部210Bとを含む。フィッティングプログラムの処理手順は、例えば、
図3のフローチャートに表示されている。
【0028】
入力部211は、例えば、キーボード、マウス、タブレットの仮想キーボード等で構成される。制御部212は、前記プログラムにしたがって、前記各部を動作させるもので、例えば、セントラルプロセッサ(CPU)で構成される。
【0029】
[取得部]
取得部201は、無線方式により、スイングセンサ100の通信部102及び弾道測定装置400の通信部402と通信可能に構成されている。したがって、取得部201は、スイングセンサ100及び弾道測定装置400で計測された第1計測値及び第2計測値を、それぞれ、通信部102及び402を介して、取得するステップを実行できる(
図3のステップS1及びS2)。取得部201は、取得した第1計測値及び第2計測値を記憶部210に記憶させる。
【0030】
[算出部]
算出部202は、取得部201で取得された第1計測値に基づいて、複数のスイングそれぞれのスイング特徴量を算出するステップを実行することができる(
図3のステップS3)。スイング特徴量は、ゴルファ3のスイング動作を定量的に特徴づける特徴量である。スイング特徴量は、このような特徴量であれば、特に限定されない。本実施形態では、特許文献1及び2で既に詳述されているスイング特徴量が採用される。以下、このスイング特徴量が簡単に説明される。
【0031】
一般に、ゴルファ3のスイングは、アドレス、トップ、インパクトと推移する。その際、ゴルフクラブ2のシャフト22には、ヘッド23の慣性により、曲げが生じる。この曲げは、スイングの過程において、トップからインパクトに向けてシャフト22の手元側から先端側に伝わる。
図4には、スイング過程における、テイクバック(トップ)からインパクトまでのゴルファ3の手とシャフト22の一部が示される。
図4では、シャフト22の曲げの大きな箇所が仮想線で囲まれている。
【0032】
図4において、スイングのトップに至った時点1では、シャフト22の手元付近げに曲が生じる。次に、切り返しからダウンスイング初期の時点2に至ると、曲げはシャフト22の先端側にやや移動する。さらに、ゴルファ3の腕が水平になる時点3では、曲げはシャフト22の中央よりも先端側に移動する。さらに、インパクト直前の時点4では、曲げはシャフト22の先端付近まで移動する。
【0033】
上述のようなスイング中のシャフト22の曲げの位置の変化を考慮し、本実施形態では、スイングの特徴として、トップ付近からインパクトに至るダウンスイング中のコック方向の角速度ωyに着目している。具体的には、スイングの時間経過にしたがって、いくつかの時点での角速度ωyに着目している。ここで、スイングの「トップ付近」とは、トップ直前の所定時間及びトップ直後の所定時間を含む時間帯を意味しており、具体的には、例えばトップ-50msから、トップ+50msまでの100msの時間帯を意味する。
【0034】
図5は、あるスイングについてアドレスからインパクトまでの時間(s)とスイング中のゴルフクラブ2のコック方向の角速度ωy(deg/s)との関係を示す。本実施形態では、
図5に示されるように、1スイングあたりのスイング特徴量として、次の4つの第1ないし第4特徴量F1~F4を含む。
【0035】
第1特徴量F1は、トップ付近のコック方向の角速度ωyの傾きである。第1特徴量F1は、例えば、トップから50ms前の角速度ωyと、トップから50ms後の角速度ωyとの和で求めることができる。なお、トップを境として、スイング中のゴルフクラブ2の角速度の向きが変わる。したがって、上記和を求める際には、事前に、トップよりも前の角速度にマイナスを乗じ、正の値へと変換される。
【0036】
第2特徴量F2は、トップから、角速度ωyが最大となる時点までの当該角速度ωyの平均値である。第2特徴量F2は、トップからインパクトまでの角速度ωyにおける最大値を求め、トップから、この最大値となる時点までの角速度ωyの累積値を、トップから、前記最大値となる時点までの時間で除すことにより求めることができる。
【0037】
第3特徴量F3は、角速度ωyが最大となる時点からインパクトまでの当該角速度ωyの平均値である。第3特徴量F3は、前記最大値となる時点からインパクトまでの角速度ωyの累積値を、前記最大値となる時点からインパクトまでの時間で除すことにより求めることができる。
【0038】
第4特徴量F4は、トップからインパクトまでの角速度ωyの平均値である。この第4特徴量F4は、トップからインパクトまでの角速度ωyの累積値を、トップからインパクトまでの時間で除すことにより求めることができる。
【0039】
本実施形態では、スイングが複数回行われることから、スイング毎のスイング特徴量、すなわち、複数のスイング特徴量が記憶部210に記憶される。各スイング特徴量は、それぞれ第1ないし第4特徴量F1~F4を含むのは上述のとおりである。
【0040】
[第1決定部]
第1決定部203は、スイングごとに、それぞれのスイング特徴量に基づいて、ゴルファ3に推奨すべきシャフト22の仕様を特定するための複数のシャフト指標を決定するステップを実行することができる(
図3のステップS4)。シャフト指標は、シャフト22を具体的に特定するのに役立つ指標である。既に特許文献1で開示されるように、多数の打撃試験の結果の分析を通して、ゴルファのスイング特徴量が分かれば、そのスイングに適したシャフト指標を決定することができる。ここで、あるスイングに適したシャフト(又はシャフト指標)は、事前に特定されたヘッド23を有するゴルフクラブ2でスイングをしたときに、打球の飛距離がより大きく、かつ、左右のブレがより小さくなるようなシャフト(又はシャフト指標)を意味する。特定のヘッド23は、例えば、ゴルファ3が既に使用しているヘッド23でも良いし、使用を予定しているヘッドでも良い。
【0041】
本実施形態の第1決定部203は、スイング特徴量に基づいて、まず、シャフト22の各位置の理想的な曲げ剛性値(以下、「EI値」という場合がある。)を決定し(第1決定ステップ)、次いで、このEI値に基づいて、シャフト指標の一つである「IFC」を決定する(第2決定ステップ)。以下、第1決定ステップ及び第2決定ステップが詳細に説明される。ただし、第1決定部203は、他の態様として、スイング特徴量に基づいて、直接、「IFC」を決定しても良いし、シャフト指標としてEI値を用いても良い。
【0042】
[第1決定ステップ]
本実施形態では、一つのシャフト指標は、シャフト22の軸方向の4箇所の位置(後述)でのEI値からなる。したがって、一つのシャフト指標は、4つのEI値のセットである。4つのEI値が特定されることで、シャフト22の仕様を具体的に特定するのに役立つ。また、複数のシャフト指標とは、4つのEI値のセットであるシャフト指標が複数あることを意味する。
【0043】
図6は、算出部202で算出された第1ないし第4特徴量F1~F4と、それに適したEI値との関係式を示す。これらの関係式は、予め定められた複数のヘッド速度帯(
図6において、「HS」で示され、単位はm/sである。)ごとに定められている。本実施形態では、ヘッド速度帯は、3つ又は4つに区分されている。また、これらの関係式は、予め、第1記憶部210Aに記憶されている。
【0044】
特許文献1及び2で開示されているように、多数の打撃試験の結果の分析を通して、ゴルファ3の第1ないし第4特徴量F1~F4と、そのスイングに適したシャフト22の軸方向の所定の位置でのEI値の分布との関係は大凡特定することができる。以下、この点について簡単に説明する。
【0045】
図7は、シャフト22の平面図である。
図7に示されるように、シャフト22のEI値の軸方向の分布は、シャフト22を4つの領域a~dに仮想区分したときに、各領域a~dの代表的なEI値として特定することができる。具体的には、領域aないしdのEI値は、それぞれ、シャフト22のチップ端22aから軸方向に36インチ、26インチ、16インチ及び6インチの位置P1~P4で測定される。これらの各位置P1~P4でのEI値は、それぞれ第1ないし第4特徴量F1~F4と相関関係があることが判明している。
【0046】
そこで、本実施形態では、打撃試験の結果を回帰(単回帰)することにより、特定のヘッド23を前提として、
図6に示したように、ヘッド速度帯毎に、各第1ないし第4特徴量F1~F4と、それに適するシャフト22の軸方向の各位置P1~P4でのEI値との関係を示す関係式(近似式)が予め算出され、これが第1記憶部210Aに記憶されている。なお、測定点であるシャフト22の軸方向の位置P1~P4は、上記の態様に限定されるわけではなく、上記の位置を基準に±2インチ程度で変更されても良い。また、各位置でのEI値は、特許文献1に記載された方法で測定される。
【0047】
図6から明らかなように、各関係式は、第1ないし第4特徴量F1~F4が大きくなると、それに比例してシャフト22の各位置P1~P4でのEI値も大きくなる(シャフト22が硬くなる)関係を示す。また、各関係式は、ヘッド速度が大きくなるほど、それに適するシャフト22の各位置P1~P4でのEI値も大きくなる(シャフト22が硬くなる)関係を示す。本実施形態の各関係式は、いずれも一次式が採用されているが、これに限定されるものではない。また、
図6の各関係式において、上記ヘッド速度帯の区分は例示であり、区分の数や具体的なヘッド速度の範囲は、適宜変更されても良い。
【0048】
以上のとおり、第1決定部203は、第1ないし第4特徴量F1~F4と、ゴルファの平均のヘッドスピードと、上記関係式とに基づいて、複数のスイングにそれぞれに適したEI値を決定することができる。より具体的には、本実施形態では、1スイングあたり、1つのシャフト指標が決定され、この1つのシャフト指標は、軸方向の各位置P1~P4での4つのEI値を含む。
【0049】
[第2決定ステップ]
本実施形態の第1決定部203は、第1決定ステップで決定されたEI値に基づいて、「IFC」を決定する。IFCは、International Flex Cord(インターナショナル・フレックス・コード)の略であり、シャフト22の軸方向の各位置P1~P4でのEI値の範囲をより汎用化ないし一般化した指標である。
【0050】
シャフトの各位置P1~P4でのEI値は、
図8に示されるようなEI値-IFC変換表によって、IFCの値(0~9の整数)へと変換される。そして、IFCは、シャフト22の各領域aないしdのIFCの値を4つ順番に並べた4桁の数字(例えば、「5655」等)で、ある曲げ剛性の分布を有するシャフト22を特定することができる。
【0051】
以上述べたように、本実施形態の第1決定部203は、スイングごとに、それぞれのスイング特徴量に基づいて、ゴルファ3に推奨すべきシャフト22の仕様を特定するための複数のシャフト指標(この実施形態ではIFC)を決定することができる。
【0052】
図9には、以上の処理によって、1回のスイングによって取得されるデータを視覚化して示す。スイングにより、第1計測値及び第2計測値が取得される。第1計測値からは、スイング特徴量、シャフトの複数位置でのEI値及びシャフト指標が順次算出される。また、第2計測値は、打球の飛距離及び左右のずれを含む。本実施形態では、複数のスイングそれぞれについて、これらのデータが取得ないし算出される。
【0053】
[種類数判別部]
種類数判別部204は、第1決定部203で決定された複数のシャフト指標(IFC)の種類数を判別するステップを実行する(
図3のステップS5)。種類数判別部204は、複数のシャフト指標(IFC)を比較し、それらの種類数(パターン数)を判別する。もし、全てのシャフト指標が同じ4桁の数字である場合、種類数判別部204は、種類数として1を出力し、それ以外の場合には、シャフト指標の種類数に応じた数を出力する。種類数判別部204の出力値は、記憶部210に記憶される。
【0054】
[選定モード切替部]
第2計測値(すなわち、複数のスイングで得られたゴルフボール4の弾道)を分析すると、ミスショットが含まれると推定される場合がある。ここで、ミスショットとは、他の弾道と比較して、ゴルフボール4の飛距離及び/又は左右のずれが予め定められた基準値よりも大きい場合のスイング及び/又はゴルフボール4の弾道を意味する。このような場合、ゴルファのスコアアップを図るために、ゴルファに、ミスショットの是正により特化したシャフト22を推奨することが効果的な場合がある。
【0055】
一方、第2計測値を分析すると、ミスショットとはいえないまでもスイングに一定のばらつきがあると推定できる場合がある。このような場合、ゴルファには、各スイングにそれぞれ適した複数のシャフト22を推奨することが効果的な場合がある。
【0056】
以上より、第2計測値に基づいて、推奨すべきシャフト22の選定モードを適宜切り替え、ゴルファのスイングによりマッチしたシャフト22を推奨することは重要である。本実施形態のフィッティングシステム1及びフィッティング方法では、このような実情に鑑み、選定モード切替部205を導入する。具体的には、本実施形態の選定モード切替部205は、推奨されるシャフト指標が複数種類あるか否かを判断し(
図3のステップS6)、その結果が肯定的である場合(ステップS6でY)、選定モード切替処理を実行する(ステップS8)。
【0057】
選定モード切り替え処理は、詳細は後述するが、
図10に示されるように、第2計測値に基づいて、シャフト22を選定するための選定モードを、第1選定モード(ステップS84、S89)又は第2選定モード(ステップS85、S90)に切り替える。第1選定モードと第2選定モードとは、互いに異なるシャフトの推奨基準が採用される。これにより、ゴルファには、異なる選定モードによって選定されたシャフト22が推奨され得る。なお、ステップS6の判断の結果が否定的である場合(
図3のステップS6でN)、現在決定されているシャフト指標が1種類であることから、当該シャフト指標を、最終的に、ゴルファへ提案するシャフト22を特定するための指標である第1シャフト指標に決定する(ステップS7)。
【0058】
好ましい態様として、選定モード切替処理では、複数の第2計測値の中から最大値と最小値との差が算出され、この差に基づいて、選定モードの切り替えが行われても良い。第2計測値は、ゴルフボール4の飛距離に関する第1弾道情報、及び/又は、目標飛球線に対する左右のずれに関する第2弾道情報を含む。したがって、前記差として、飛距離について最大値と最小値との差、及び/又は、左右のずれについて最大値と最小値との差が採用されても良い。そして、本実施形態では、前記差が予め定められた基準値以上のときに第1選定モードを選択し、かつ、前記差が前記基準値よりも小さいときに第2選定モードを選択するように構成されている。
【0059】
次に、
図10を参照しながら、本実施形態の選定モード切替処理のより詳細な処理手順の一例を示す。
【0060】
図10に示されるように、選定モード切替部205は、ステップS4で決定されたシャフト指標の種類数が3以上か否かを判断する(ステップS81)。ステップS31の結果が否定的である場合(ステップS81でN)、選定モード切替部205は、複数のスイングの第2計測値を参照し、ベストショット及びワーストショットを抽出する(ステップS82)。この抽出のステップは、
図2に示されるように、選定モード切替部205の優劣判別部206により実行される。
【0061】
[優劣判別部]
優劣判別部206は、例えば、第1弾道情報(すなわち、打撃されたゴルフボール4の飛距離に関する情報)に基づいて、スイングの優劣や、ベストショット及びワーストショット等を判別する。より具体的には、優劣判別部206は、例えば、各スイングを、打球の飛距離でソートし、飛距離が大きいものほど優秀であることを示すフラグを設定することができる。また、優劣判別部206は、最も大きい飛距離が得られたスイングをベストショット(ベストスイング)とし、最も小さい飛距離が得られたスイングをワーストショット(ワーストスイング)として判別することができる。
【0062】
他の態様では、優劣判別部206は、例えば、第2弾道情報(すなわち、打球の目標飛球線に対する左右のずれに関する情報)に基づいて、ベストショット及びワーストショットを判別することができる。より具体的には、優劣判別部206は、例えば、各スイングを、打球の左右のずれの大きさでソートし、ずれが小さいものほど優秀であることを示すフラグを設定することができる。また、優劣判別部206は、最も小さいずれ量が得られたスイングをベストショット(ベストスイング)とし、最も大きい左右のずれが得られたスイングをワーストショット(ワーストスイング)として判別することができる。
【0063】
さらに他の態様では、優劣判別部206は、第1弾道情報及び第2弾道情報の両方を用いた基準にしたがって、スイングの優劣を判別しても良い。この場合、例えば、第1弾道情報及び/又は第2弾道情報にそれぞれ係数などを乗じて複合した評価値を計算し、この評価値に基づいて、スイングをソートし、ベストショット及びワーストショットを判別することができる。
【0064】
次に、本実施形態の選定モード切替部205は、ベストショットとワーストショットとにおいて、飛距離の差及び左右のずれの差を計算する。選定モード切替部205は、飛距離の差が5ヤード以上、かつ、左右のずれの差が10ヤード以上か否かを判断する(ステップS83)。本実施形態では、ステップS83の結果が肯定的である場合(ステップS83でY)、選定モードが、第1選定モードに切り替えられる(ステップS84)。他方、ステップS83の結果が否定的である場合(ステップS83でN)、選定モードが、第2選定モードに切り替えられる(ステップS85)。なお、ステップS83での判断基準になる条件や基準値は、例えば、フィッティング対象のゴルファのスキル等に応じて、適宜変更することができる。
【0065】
[第1選定モード]
図11は、第2決定部207によって実施される本実施形態の第1選定モードの詳細の一例である。本実施形態の第1選定モードは、ベストショットとワーストショットとの差が予め定めた基準値以上の場合に実行される。この場合、ワーストショットは、ミスショットと推定できる蓋然性が高い。このため、本実施形態の第1選定モードでは、ゴルファのスコアアップを図る観点から、ゴルファに、ミスショットの是正により特化したシャフト22を選定するように機能する。
【0066】
より具体的には、第1選定モードでは、先ず、スイングの優劣に基づいて、複数のスイングに重みが設定される(ステップS101)。このステップは、
図2に示されるように、第2決定部207の重み付け部208により実行される。「重み」は、フィッティングの観点に応じて設定される係数であって、その値が大きいほど、当該スイングがフィッティングの結果により影響を与えるように機能する。本実施形態の重み付け部208は、ワーストショットのスイングの重みw2を、ベストショットのスイングの重みw1よりも大きく設定する(w2>w1)。したがって、本実施形態の重み付け部208は、ワーストショットのスイングを、ベストショットのスイングよりも際立たせることができる。
【0067】
各スイングに設定される重みw1、w2(以下、これらを総称で「重みwi」という場合がある。)の具体的な値については適宜調整されるもので、特に制限されない。本実施形態では、最も大きな重みw2が2.0とされ、最も小さな重みw1が0.5とされている。
【0068】
次に、複数のスイング特徴量と、重みwiとに基づいて、ゴルファに推奨すべきシャフト22の仕様を特定する第1シャフト指標が決定される(ステップS102)。このステップS102は、第2決定部207により実行される。
【0069】
本実施形態の第2決定部207は、ステップS4で決定された複数のシャフト指標(この値は、スイング特徴量と対応する)を、上述の重みwiを考慮して重み付け平均することにより、ゴルファに推奨すべき第1シャフト指標を決定する。したがって、本実施形態の第1シャフト指標も、シャフト22の軸方向の4箇所の位置P1~P4でのEI値のセットからなる。
【0070】
具体的には、第1シャフト指標のシャフト軸方向の位置P1でのEI値(EI(P1))は、以下のような重み付け平均によって、決定することができる。
EI(P1)=(w1・EI1(P1)+w2・EI2(P1))/(w1+w2)
ここで、w1及びw2は、それぞれ、ベストショットのスイング及びワーストショットのスイングに設定された重み、EI1(P1)及びEI2(P1)は、それぞれ、ベストショットのスイング及びワーストショットのスイングについて第1特徴量F1から決まるEI値である。
【0071】
同様に、第1シャフト指標のシャフト軸方向の位置P2でのEI値(EI(P2))も、以下のような重み付け平均によって、決定することができる。
EI(P2)=(w1・EI1(P2)+w2・EI2(P2))/(w1+w2)
ここで、EI1(P2)及びEI2(P2)は、それぞれ、ベストショットのスイング及びワーストショットのスイングについて第2特徴量F2から決まるEI値である。
【0072】
また、第1シャフト指標の位置P3及びP4でのEI値(EI(P3))及び(EI(P4))も上記と同様に重み付け平均によって、決定することができる。これにより、4つのEI値であるEI(P1)、EI(P2)、EI(P3)及びEI(P4)のセットからなる第1シャフト指標が決定される。
【0073】
本実施形態の第1選定モードでは、ワーストショットのスイングの重みw2が、ベストショットのスイングの重みw1よりも大きく設定されている。したがって、第1選定モードによって決定された第1シャフト指標は、ワーストショットにより適した一つのシャフト22を特定するためのIFCである。このような過程を経て選定されたシャフト22は、これまで、ワーストショットとなっていたスイングをしたときでも、より飛距離が大きく、かつ、より左右のずれが少ない打球を提供するのに役立つ。
【0074】
[第1選定モードの変形例]
上記の第1選定モードの例では、シャフト指標に重み付けを乗じたが、他の例では、複数のスイング特徴量を、重みを考慮して重み付け平均することにより第1スイング特徴量が決定されても良い。具体的には、第1スイング特徴量の第1特徴量F1aは、以下のような重み付け平均によって、決定することができる。
F1a=(w1・F11+w2・F12)/(w1+w2)
ここで、w1及びw2は、それぞれ、ベストショット及びワーストショットのスイングの重み、F11及びF12は、それぞれ、ベストショット及びワーストショットのスイングの第1特徴量である。
【0075】
同様に、第1スイング特徴量の第2特徴量F2aは、以下のような重み付け平均によって、決定することができる。
F2a=(w1・F21+w2・F22)/(w1+w2)
ここで、F21及びF22は、それぞれ、ベストショット及びワーストショットのスイングの第2特徴量である。
【0076】
また、第1スイング特徴量の第3特徴量F3a及び第4特徴量F4aも上記と同様に重み付け平均によって、決定することができる。これにより、第1ないし第4特徴量F1a、F2a、F3a及びF4aのセットからなる第1スイング特徴量が決定される。
【0077】
次に、第2決定部207は、第1スイング特徴量に基づいて、第1シャフト指標を決定する。すなわち、複数のスイング特徴量を先に重み付け平均して一つの第1スイング特徴量を計算し、この第1スイング特徴量に基づいて第1シャフト指標を決定する。このような実施形態のフィッティングシステム1、フィッティング装置200及びフィッティング方法においても、大きな重みが設定されたスイングに適したシャフトを提案することができる。
【0078】
[第2選定モード]
図12は、第2決定部207によって実施される本実施形態の第2選定モードの詳細の一例である。本実施形態の第2選定モードは、ベストショットとワーストショットとの差が予め定めた基準値よりも小さい場合に実行される。この場合、ミスショットとはいえないとしても、ゴルファのスイングに一定のばらつきがあると推定できる蓋然性が高い。そこで、本実施形態の第2選定モードは、ゴルファに様々な選択肢を与えるという観点から、ゴルファに、個々のスイングに適した複数のシャフト22を選定するように機能する。
【0079】
図12に示されるように、本実施形態の第2選定モードでは、例えば、出現数が多いシャフト指標を上位に順位付けし、出現数が少ないシャフト指標を下位に順位付けする(ステップS201)。本明細書において、「順位付け」は、フィッティング対象のゴルファへの推奨度を意味し、順位付けが上位のものほど推奨度が高いことを意味する。このステップは、
図2に示されるように、第2決定部207の順位付け部209により実行される。
【0080】
ここで、順位付けが、具体的な例に従って説明される。今、5回のスイングで決定されたシャフト指標IFCが、次のようなものであったとする。
スイング1に決定されたIFC:5655
スイング2に決定されたIFC:6655
スイング3に決定されたIFC:5655
スイング4に決定されたIFC:5655
スイング5に決定されたIFC:6655
上記のような場合、順位付け部209は、「5655」の出現数3と、「6655」の出現数2をそれぞれ計数し、それらの出現数でソートする。そして、順位付け部209は、第1シャフト指標として、その出現数が多いIFC「5655」をシャフト指標の第1位に順位付けし、ついでIFC「6655」をシャフト指標の第2位に順位付けする。これらの情報は、記憶部210に記憶される。第2選定モードにおいて、第1シャフト指標は、順位付けされた複数のシャフト22のIFCである。
【0081】
選定モード切替部205によって、ステップS84又はステップS85が実行されることで、第1シャフト指標が決定された後、第1シャフト指標が表示部300に表示される(
図3のステップS9)。
【0082】
[表示部]
表示部300は、例えば、ディスプレイである。制御部212は、第1選定モード又は第2選定モードで決定された第1シャフト指標(例えば、IFC)を表示部300に表示するステップを実行する。
【0083】
図13は、表示部300に表示された第1選定モードのフィッティング結果の一例を示す。
図13に示されるように、本実施形態の表示部300には、推奨されるシャフト22のIFCが視覚的に表示される。本実施形態の表示部300には、推奨シャフトとして、ミスショットの是正に特化したIFCとして「5655」が例示されている。他の態様では、表示部300には、IFCに代えて、第1シャフト指標に対応する情報として、シャフト軸方向の位置P1~P4の4箇所のEI値が表示されても良い。
【0084】
また、本実施形態では、制御部212は、表示部300に、スイング中の「コックの動き」を表示させることができる。この「コックの動き」は、スイング特徴量における第1ないし第4特徴量F1~F4の大きさに対応している。
【0085】
さらに、本実施形態では、制御部212は、表示部300に、推奨されるIFCを満足するシャフトの1ないし複数を一覧(適合シャフト一覧)として表示させることができる。このような適合シャフト一覧の表示は、IFCとそれに適合するシャフトの品番等とを関連付けたデータベースを予め第1記憶部210Aに記憶させておくことで容易に実現できる。
【0086】
図14には、表示部300に表示された第2選定モードのフィッティング結果の一例を示す。
図14に示されるように、本実施形態の表示部300には、推奨されるシャフト22のIFCが順位付けされて視覚的に表示される。例えば、表示部300の上部には、第1位の推奨シャフトとしてIFC「5655」が表示されており、その下部に第2位の推奨シャフトとしてIFC「6655」が表示される。
【0087】
推奨シャフト(第1位)は、上記の例において、スイング1、3及び4のスイングに適したシャフトである。すなわち、推奨シャフト(第1位)は、スイング1、3及び4をしたときに、打球の飛距離がより大きく、かつ、左右のブレがより小さくなる傾向を示す。一方、推奨シャフト(第2位)は、上記スイング2及び5のスイングに適したシャフトである。すなわち、推奨シャフト(第2位)は、スイング2及び5をしたときに、打球の飛距離がより大きく、かつ、左右のブレがより小さくなる傾向を示す。
【0088】
このように、シャフト指標をその出現数で順位付けして表示することにより、ゴルファのスイング傾向により沿ったシャフト指標をベストなもののみならず、いわゆるセカンドベストまで提案することができる。なお、
図14の例では、シャフト指標は、第2位までが表示されているが、フィッティング結果に応じて、第3位以降のシャフト指標が表示される場合があり得る。
【0089】
以上のように、本実施形態のフィッティングシステム1、フィッティング装置200及びフィッティング方法によれば、上記の構成を採用することにより、ゴルファの多様なニーズに対応することが可能なゴルフクラブのシャフトを提案することができる。
【0090】
なお、
図10のステップS81において、シャフト指標の種類数が3以上の場合(ステップS81でY)、順位付け部209により、出願数でシャフト指標が順位付けされ、第1位のシャフト指標に対応するスイング及び弾道をベストショットとし、第2位以下のシャフト指標に対応するスイング及び弾道をワーストショットとして抽出する(ステップS86)。
【0091】
次に、本実施形態の選定モード切替部205は、ベストショットと、第2位のワーストショットとにおいて、飛距離の差及び左右のずれの差を計算する。そして、飛距離の差が5ヤード以上、かつ、左右のずれの差が10ヤード以上か否かを判断し(ステップS87)、結果が肯定的である場合(ステップS83でY)、第1選定モードが実行される(ステップS89)。上述したように、ステップS87の結果が肯定的な場合、スイングの中にミスショットが含まれると推定され得るからである。
【0092】
同様に、選定モード切替部205は、ベストショットと、第3位のワーストショットとにおいて、飛距離の差及び左右のずれの差を計算し、飛距離の差が5ヤード以上、かつ、左右のずれの差が10ヤード以上か否かを判断し(ステップS88)、結果が肯定的である場合(ステップS88でY)、第1選定モードが実行される(ステップS89)。
【0093】
一方、ステップS87及びステップS87の結果がいずれも否定的(N)である場合、複数のスイングの中にミスショットが含まれているというよりは、スイングのばらつきがあると推察され得る。よって、これらの場合には、第2選定モードが実行される(ステップS90)。
【0094】
上記実施形態では、ゴルファ3に適したシャフト22を選定するために、シャフト指標として、シャフト22の曲げ剛性値に関する指標が用いられた。しかしながら、本開示は、シャフト指標として、曲げ剛性に関する指標に変えて、又は、曲げ剛性に関する指標とともに本件出願当時に既に知られている様々な指標を採用することができる。このような指標は、例えば、シャフト22(及び又はゴルフクラブ2)の重量や慣性モーメントであっても良い。これらのシャフト指標のフィッティングは、例えば、特許文献2のように公知の手法にしたがって、行われれば良い(なお、ここに、上記特許文献1及び2の全ての内容を参照により引用する。)。
【0095】
以上、本開示の実施形態が詳細に説明されたが、本開示は、上記の具体的な開示に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範囲内において、種々変更して実施することができる。
【0096】
[付記]
本開示は以下の態様を含む。
【0097】
[本開示1]
ゴルファに適したゴルフクラブのシャフトを選定するためのフィッティング装置であって、
弾道測定装置が設置された環境で、スイングセンサが取り付けられたゴルフクラブを用い、複数回、ゴルフボールを打撃するスイングを行って取得される前記スイングセンサからの第1計測値と、前記弾道測定装置で計測された前記ゴルフボールの弾道に関する第2計測値とを取得する取得部と、
前記第1計測値に基づいて、複数の前記スイングそれぞれのスイング特徴量を算出する算出部と、
前記スイングごとに、前記それぞれのスイング特徴量に基づいて、前記ゴルファに推奨すべきシャフトの仕様を特定するための複数のシャフト指標を決定する第1決定部と、
決定された複数の前記シャフト指標の種類数を判別する種類数判別部と、
前記シャフト指標が複数種類ある場合、前記第2計測値に基づいて、前記シャフトを選定するための選定モードを、第1選定モード、又は、前記第1選定モードとは異なる第2選定モードに切り替える選定モード切替部と、
切り替えられた前記選定モードにしたがって、複数の前記シャフト指標から前記ゴルファに推奨すべきシャフトの仕様を特定するための第1シャフト指標を決定する第2決定部とを含む、
ゴルフクラブのシャフトのフィッティング装置。
[本開示2]
前記選定モード切替部は、前記第2計測値の最大値と最小値との差が予め定められた基準値以上のときに前記第1選定モードに切り替え、かつ、前記差が前記基準値よりも小さいときに前記第2選定モードに切り替える、本開示1に記載のゴルフクラブのシャフトのフィッティング装置。
[本開示3]
前記第2計測値に基づいて、複数の前記スイングの優劣を判別する優劣判別部と、
前記スイングの優劣に基づいて、複数の前記スイングに重みを設定する重み付け部とをさらに含み、
前記第1選定モードは、前記スイング特徴量と前記重みとに基づいて、前記第1シャフト指標を決定する、本開示1又は2に記載のゴルフクラブのシャフトのフィッティング装置。
[本開示4]
前記第1選定モードにおいて、前記第2決定部は、複数の前記シャフト指標又はこれに対応する指標を、前記重みを考慮して重み付け平均することにより、前記第1シャフト指標を決定する、本開示3に記載のゴルフクラブのシャフトのフィッティング装置。
[本開示5]
前記第1選定モードにおいて、前記第1決定部は、複数の前記スイング特徴量を、前記重みを考慮して重み付け平均することにより第1スイング特徴量を決定し、
前記第2決定部は、前記第1スイング特徴量に基づいて、前記第1シャフト指標を決定する、本開示3に記載のゴルフクラブのシャフトのフィッティング装置。
[本開示6]
前記第2計測値は、前記ゴルフボールの飛距離に関する第1弾道情報を含み、
前記優劣判別部は、前記第1弾道情報に基づいて、前記スイングの優劣を判別する、本開示3ないし5のいずれかに記載のゴルフクラブのシャフトのフィッティング装置。
[本開示7]
前記第2計測値は、前記ゴルフボールの予め定められた目標飛球線に対する左右のずれに関する第2弾道情報を含み、
前記優劣判別部は、前記第2弾道情報に基づいて、前記スイングの優劣を判別する、本開示3ないし5のいずれかに記載のゴルフクラブのシャフトのフィッティング装置。
[本開示8]
前記優劣判別部は、前記第2計測値が最も優れるベストショットと、前記第2計測値が最も劣るワーストショットとを判別し、
前記重み付け部は、前記ワーストショットのスイングの重みを前記ベストショットのスイングの重みよりも大きく設定する、本開示4ないし7のいずれかに記載のゴルフクラブのシャフトのフィッティング装置。
[本開示9]
複数の前記シャフト指標を、その出現数で順位付けする順位付け部をさらに含み、
前記第2選定モードは、前記順位付けにしたがって前記第1シャフト指標を決定する、本開示1ないし8のいずれかに記載のゴルフクラブのシャフトのフィッティング装置。
[本開示10]
前記第1シャフト指標が、前記シャフトの曲げ剛性に関する指標を含む、本開示1ないし9のいずれかに記載のゴルフクラブのシャフトのフィッティング装置。
[本開示11]
前記第1シャフト指標が、前記シャフトの重量に関する指標を含む、本開示1ないし10のいずれかに記載のゴルフクラブのシャフトのフィッティング装置。
[本開示12]
本開示1ないし11のいずれか1項に記載された前記フィッティング装置を含む、ゴルフクラブのシャフトのフィッティングシステムであって、
前記第1計測値を計測するための前記スイングセンサと、
前記第2計測値を計測するための前記弾道測定装置と、
前記第1シャフト指標又はこれに対応する指標を表示する表示部とを含む、
ゴルフクラブのシャフトのフィッティングシステム。
[本開示13]
ゴルファに適したゴルフクラブのシャフトを選定するためのフィッティング方法であって、
弾道測定装置が設置された環境で、スイングセンサが取り付けられたゴルフクラブを用い、複数回、ゴルフボールを打撃するスイングを行って取得される前記スイングセンサからの第1計測値と、前記弾道測定装置で計測された前記ゴルフボールの弾道に関する第2計測値とを取得するステップと、
前記第1計測値に基づいて、複数の前記スイングそれぞれのスイング特徴量を算出するステップと、
前記スイングごとに、前記それぞれのスイング特徴量に基づいて、前記ゴルファに推奨すべきシャフトの仕様を特定するための複数のシャフト指標を決定するステップと、
決定された複数の前記シャフト指標の種類数を判別するステップと、
前記シャフト指標が複数種類ある場合、前記第2計測値に基づいて、前記シャフトを選定するための選定モードを、第1選定モード、又は、前記第1選定モードとは異なる第2選定モードのいずれかに切り替えるステップと、
切り替えられた前記選定モードにしたがって、複数の前記シャフト指標から前記ゴルファに推奨すべきシャフトの仕様を特定するための第1シャフト指標を決定するステップとを含む、
ゴルフクラブのシャフトのフィッティング方法。
[本開示14]
前記第1シャフト指標又はこれに対応する指標を表示するステップをさらに含む、本開示13に記載のゴルフクラブのシャフトのフィッティング方法。
[本開示15]
ゴルファに適したゴルフクラブのシャフトを選定するためのフィッティングプログラムであって、
弾道測定装置が設置された環境で、スイングセンサが取り付けられたゴルフクラブを用い、複数回、ゴルフボールを打撃するスイングを行って取得される前記スイングセンサからの第1計測値と、前記弾道測定装置で計測された前記ゴルフボールの弾道に関する第2計測値とを取得するステップと、
前記第1計測値に基づいて、複数の前記スイングそれぞれのスイング特徴量を算出するステップと、
前記スイングごとに、前記それぞれのスイング特徴量に基づいて、前記ゴルファに推奨すべきシャフトの仕様を特定するための複数のシャフト指標を決定するステップと、
決定された複数の前記シャフト指標の種類数を判別するステップと、
前記シャフト指標が複数種類ある場合、前記第2計測値に基づいて、前記シャフトを選定するための選定モードを、第1選定モード、又は、前記第1選定モードとは異なる第2選定モードのいずれかに切り替えるステップと、
切り替えられた前記選定モードにしたがって、複数の前記シャフト指標から前記ゴルファに推奨すべきシャフトの仕様を特定するための第1シャフト指標を決定するステップとをコンピュータに実行させる、
ゴルフクラブのシャフトのフィッティングプログラム。
[本開示16]
前記第1シャフト指標又はこれに対応する指標を表示するステップをさらに含む、本開示15に記載のゴルフクラブのシャフトのフィッティングプログラム。
【符号の説明】
【0098】
1 フィッティングシステム
2 ゴルフクラブ
3 ゴルファ
4 ゴルフボール
5 スイング
22 シャフト
100 スイングセンサ
200 フィッティング装置
201 取得部
202 算出部
203 第1決定部
204 種類数判別部
205 選定モード切替部
206 優劣判別部
207 第2決定部
208 重み付け部
209 順位付け部
F1~F4 第1ないし第4特徴量