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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023121598
(43)【公開日】2023-08-31
(54)【発明の名称】通知システムおよび通知方法
(51)【国際特許分類】
   G08B 25/00 20060101AFI20230824BHJP
   G08B 25/04 20060101ALI20230824BHJP
   G08B 21/02 20060101ALI20230824BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20230824BHJP
   G06T 7/20 20170101ALI20230824BHJP
   G06T 7/70 20170101ALI20230824BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20230824BHJP
【FI】
G08B25/00 510M
G08B25/04 K
G08B21/02
G06T7/00 660A
G06T7/20 300B
G06T7/70 B
H04N7/18 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022025024
(22)【出願日】2022-02-21
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 義照
(72)【発明者】
【氏名】岡田 康
(72)【発明者】
【氏名】堀内 孝治
(72)【発明者】
【氏名】吉原 毅
【テーマコード(参考)】
5C054
5C086
5C087
5L096
【Fターム(参考)】
5C054CA04
5C054CA05
5C054CC02
5C054EA05
5C054FC12
5C054FE09
5C054FE13
5C054FE14
5C054HA19
5C086AA22
5C086BA30
5C086CA28
5C086CB36
5C086DA40
5C086FA17
5C086FA18
5C087AA02
5C087AA03
5C087AA09
5C087AA10
5C087AA19
5C087BB02
5C087BB20
5C087DD03
5C087DD20
5C087DD23
5C087DD31
5C087DD49
5C087EE14
5C087EE18
5C087FF01
5C087FF02
5C087FF16
5C087GG02
5C087GG08
5C087GG66
5C087GG70
5C087GG83
5L096AA06
5L096BA02
5L096CA04
5L096DA01
5L096DA02
5L096DA03
5L096FA52
5L096FA67
5L096FA69
5L096FA77
5L096GA51
5L096HA02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】カメラの撮像領域内で、個々の人物からの距離の大小に関係なく潜在的に非常事態になり得る様々な事象を迅速に検知して通知する通知システム及び通知方法を提供する。
【解決手段】監視カメラ10と通信可能に接続されたサーバ20及びサーバと通信可能に接続された所定の端末装置30を備える通知システム1において、サーバは、監視カメラの撮像画像に基づいて、撮像領域内にいる人物の視線もしくは人物の顔の向きを検出する視線検出部22B、撮像画像に基づく人物のストレス指数を算出するストレス指数算出部22C、人物が見ている撮像領域内の対象領域を特定する対象領域特定部22D、対象領域の特定に使用した人物のストレス指数から、対象領域のストレス度を推定する対象領域ストレス度推定部22E及びストレス度を所定の端末に通知させる制御部を備える。制御部は、ストレス度が所定値を超える場合に所定の端末装置に通知を送信する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像領域を撮像する監視カメラと通信可能に接続されたサーバと、
前記サーバと通信可能に接続された所定の端末と、を備え、
前記サーバは、
前記監視カメラの撮像画像に基づいて、前記撮像領域内にいる少なくとも1人の人物の視線もしくは前記人物の顔の向きを検出する視線検出部と、
前記監視カメラの前記撮像画像に基づいて、前記人物のストレス指数を算出するストレス指数算出部と、
前記人物の視線もしくは前記人物の顔の向きに基づいて、前記人物が見ている前記撮像領域内の対象領域を特定する対象領域特定部と、
前記対象領域の特定に使用した少なくとも1人の人物のストレス指数から、前記対象領域のストレス度を推定するストレス度推定部と、
前記ストレス度を前記所定の端末に通知させる制御部と、を備え、
前記制御部は、前記ストレス度が所定値を超える場合に前記所定の端末に前記通知を送信する、
通知システム。
【請求項2】
前記制御部は、所定の時間継続して前記対象領域の前記ストレス度が前記所定値を超え続ける場合に、前記所定の端末に前記通知を送信する、
請求項1に記載の通知システム。
【請求項3】
前記所定値は、第1の所定値と前記第1の所定値より小さい第2の所定値とであり、
前記制御部は、
前記ストレス度が前記第1の所定値以上の場合には前記所定の端末に前記通知を送信し、
前記ストレス度が前記第1の所定値未満でかつ前記第2の所定値以上である場合には、所定の時間継続して前記対象領域の前記ストレス度が前記第2の所定値を超え続ける場合に、前記所定の端末に前記通知を送信する、
請求項1に記載の通知システム。
【請求項4】
前記対象領域特定部は、前記ストレス指数が閾値を超える人物の人数が第1の人数を超える場合、前記ストレス指数が前記閾値を超える前記人物の視線もしくは前記人物の顔の向きから前記対象領域を特定する、
請求項1に記載の通知システム。
【請求項5】
前記対象領域特定部は、第2の人数を超える人物のそれぞれの視線もしくは前記第2の人数を超える前記人物のそれぞれの顔の向きに基づいて前記対象領域を特定する、
請求項1に記載の通知システム。
【請求項6】
前記対象領域特定部は、第2の人数を超える人物の中で前記ストレス指数の算出が可能であった人物の人数が第3の人数より多い場合、前記第3の人数より多い人物のそれぞれの視線もしくは前記第3の人数より多い人物のそれぞれの顔の向きから対象領域を特定する、
請求項1に記載の通知システム。
【請求項7】
前記対象領域特定部は、
第2の人数を超える人物のそれぞれの視線もしくは前記第2の人数を超える前記人物のそれぞれの顔の向きが交差する領域を前記対象領域の候補と選定し、
前記対象領域の候補の選定に使用した人物のストレス指数から推定されたストレス度が前記所定値を超える場合に前記対象領域の候補を前記対象領域と特定する、
請求項1に記載の通知システム。
【請求項8】
前記対象領域特定部は、第2の人数を超える人物のそれぞれの視線もしくは前記第2の人数を超える前記人物のそれぞれの顔の向きが交差する領域を前記対象領域の候補と選定し、
前記ストレス指数算出部は、前記第2の人数を超える前記人物の中で前記ストレス指数が検知された人物の人数が第3の人数以下の場合、前記ストレス指数が算出された前記人物のストレス指数のいずれかの値を前記ストレス指数が検知されなかった人物のストレス指数として使用し、
前記ストレス度推定部は、前記領域を見ている人物の前記ストレス指数から前記選定された対象領域のストレス度を推定し、
前記対象領域特定部は、前記ストレス度が前記所定値を超える場合に前記対象領域の候補を前記対象領域と特定する、
請求項1に記載の通知システム。
【請求項9】
前記通知の内容は、前記対象領域の場所、前記対象領域の前記ストレス度の値および前記対象領域の特定に使用した前記人物の人数である、
請求項1に記載の通知システム。
【請求項10】
前記制御部は、前記対象領域に近い位置に存在する警備員の端末を選択して前記通知を送信する、
請求項1に記載の通知システム。
【請求項11】
前記ストレス指数算出部は、顔の表情、前記人物の急な振り向きを伴う注視の動作または前記人物の急な視線の変化に伴う注視の動作のうち少なくとも一つから前記人物の前記ストレス指数を算出する、
請求項1に記載の通知システム。
【請求項12】
前記ストレス度推定部は、前記対象領域を特定に使用した前記人物の前記ストレス指数を合計して算出する、
請求項1に記載の通知システム。
【請求項13】
撮像領域を撮像する監視カメラと所定の端末との間でそれぞれ通信可能に接続されるサーバにより実行され、
前記監視カメラの撮像画像に基づいて、前記撮像領域内にいる少なくとも1人の人物の視線もしくは前記人物の顔の向きを検出するステップと、
前記監視カメラの前記撮像画像に基づいて、前記人物のストレス指数を算出するステップと、
前記人物の視線もしくは前記人物の顔の向きに基づいて、前記人物が見ている前記撮像領域内の対象領域を特定するステップと、
前記対象領域の特定に使用した少なくとも1人の人物のストレス指数から、前記対象領域のストレス度を推定するステップと、
前記ストレス度が所定値を超える場合に前記所定の端末に通知するステップと、を有する、
通知方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、通知システムおよび通知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、撮像画像に基づいて、人の混雑度を推定する混雑解析部と、撮像画像に基づいて、人の属性を推定する属性解析部と、混雑度と人の属性とに基づいて、危険レベルを推定する危険レベル解析部と、各種情報を表示部に表示するよう制御する表示処理部を有する画像処理装置が開示されている。表示処理部は、危険レベルを示す画面を表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-200715号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、カメラ(例えば、監視カメラ)からの撮像映像を、画像処理技術を用いて人の密度または移動速度を解析し人の混雑のレベルを判定する技術がある。このようなカメラは、人の混雑レベルの進行を把握することで、撮像領域で起こりうる事故または事件等の非常事態を未然に防ぐために用いられる。しかしながら、非常事態には様々なケースが考えられ、例えば必ずしも混雑度の高い領域ではない領域において、体調不良で倒れこむ人が発生する、異常音が鳴る、喧嘩が発生する、または交通事故が発生するなどである。このような非常事態は必ずしも人の多寡に依存せず不特定に発生し得る。
【0005】
特許文献1では、推定された人の混雑度と属性とに基づいて危険レベルを推定する技術が開示されているが、人の混雑度に紐づかない非常事態のケースに用いることは想定されていない。そのため、人物それぞれに近い場所で起こる可能性がある危険を推定できるものの、人物それぞれから離れた場所も含めた危険を推定できないという課題があった。
【0006】
本開示は、上述した従来の状況に鑑みて案出され、カメラの撮像領域内で、個々の人物からの距離の大小に関係なく潜在的に非常事態になり得る様々な事象を迅速に検知して通知する通知システムおよび通知方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、撮像領域を撮像する監視カメラと通信可能に接続されたサーバと、前記サーバと通信可能に接続された所定の端末と、を備え、前記サーバは、前記監視カメラの撮像画像に基づいて、前記撮像領域内にいる少なくとも1人の人物の視線もしくは前記人物の顔の向きを検出する視線検出部と、前記監視カメラの前記撮像画像に基づいて、前記人物のストレス指数を算出するストレス指数算出部と、前記人物の視線もしくは前記人物の顔の向きに基づいて、前記人物が見ている前記撮像領域内の対象領域を特定する対象領域特定部と、前記対象領域の特定に使用した少なくとも1人の人物のストレス指数から、前記対象領域のストレス度を推定するストレス度推定部と、前記ストレス度を前記所定の端末に通知させる制御部と、を備え、前記制御部は、前記ストレス度が所定値を超える場合に前記所定の端末に前記通知を送信する、通知システムを提供する。
【0008】
また、本開示は、撮像領域を撮像する監視カメラと所定の端末との間でそれぞれ通信可能に接続されるサーバにより実行され、前記監視カメラの撮像画像に基づいて、前記撮像領域内にいる少なくとも1人の人物の視線もしくは前記人物の顔の向きを検出するステップと、前記監視カメラの前記撮像画像に基づいて、前記人物のストレス指数を算出するステップと、前記人物の視線もしくは前記人物の顔の向きに基づいて、前記人物が見ている前記撮像領域内の対象領域を特定するステップと、前記対象領域の特定に使用した少なくとも1人の人物のストレス指数から、前記対象領域のストレス度を推定するステップと、前記ストレス度が所定値を超える場合に前記所定の端末に通知するステップと、を有する、通知方法提供する。
【0009】
なお、これらの包括的または具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム、または、記録媒体で実現されてもよく、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムおよび記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、カメラの撮像領域内で、個々の人物からの距離の大小に関係なく潜在的に非常事態になり得る様々な事象を迅速に検知して通知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施の形態1および2に係る特定された対象領域の概要の一例を示す図
図2】実施の形態1に係る監視カメラおよびサーバのブロック図
図3】実施の形態1に係る対象領域のストレスを通知するフローチャート
図4】実施の形態1に係る対象領域を見ている人物のストレス値と対象領域のストレス度の関係を表す表
図5】実施の形態1に係る対象領域の特定の場合分けを表す表
図6】実施の形態1および2に係る地図上での対象領域の位置の一例を表す図
図7】実施の形態2に係る監視カメラおよびサーバのブロック図
図8】実施の形態2に係る対象領域のストレスを表示するフローチャート
図9】実施の形態2に係る対象領域のストレスの継続時間を示す図
図10】実施の形態2に係る撮像画像に対象領域のストレス度を重畳した画像を用いた表示例を表す図
図11】実施の形態2に係る地図上に対象領域のストレス度を重畳した画像を用いた表示例を表す図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を適宜参照して、本開示に通知システムおよび通知方法を具体的に開示した実施の形態について、詳細に説明する。ただし、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、すでによく知られた事項の詳細説明及び実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、添付図面及び以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の記載の主題を限定することは意図されていない。
【0013】
(実施の形態1に至る経緯)
特許文献1には、撮像画像に基づいて、人の混雑度を推定する混雑解析部と、撮像画像に基づいて、人の属性を推定する属性解析部と、混雑度と人の属性とに基づいて、危険レベルを推定する危険レベル解析部と、各種情報を表示部に表示するよう制御する表示処理部を有する画像処理装置が開示されている。表示処理部は、危険レベルを示す画面を表示する。
【0014】
従来、カメラ(例えば、監視カメラ)からの撮像映像を、画像処理技術を用いて人の密度または移動速度を解析し人の混雑のレベルを判定する技術がある。このようなカメラは、人の混雑レベルの進行を把握することで、撮像領域で起こりうる事故または事件等の非常事態を未然に防ぐために用いられる。しかしながら、非常事態には様々なケースが考えられ、例えば必ずしも混雑度の高い領域ではない領域において、体調不良で倒れこむ人が発生する、異常音が鳴る、喧嘩が発生する、または交通事故が発生するなどである。このような非常事態は必ずしも人の多寡に依存せず不特定に発生し得る。
【0015】
特許文献1では、推定された人の混雑度と属性とに基づいて危険レベルを推定する技術が開示されているが、人の混雑度に紐づかない非常事態のケースに用いることは想定されていない。そのため、人物それぞれに近い場所で起こる可能性がある危険を推定できるものの、人物それぞれから離れた場所も含めた危険を推定できないという課題があった。
【0016】
そこで、以下の実施の形態1では、カメラの撮像領域内で、個々の人物からの距離の大小に関係なく潜在的に非常事態になり得る様々な事象を迅速に検知して通知する通知システムおよび通知方法の例を説明する。
【0017】
(実施の形態1)
まず、図1を参照して、実施の形態1および2に係る特定された対象領域の概要の一例について説明する。図1は、実施の形態1および2に係る特定された対象領域の概要の一例を示す図である。
【0018】
図1は、監視カメラ10と監視カメラ10が撮像した撮像領域100とを表す図である。監視カメラ10は、例えば駅構内、商業施設またはオフィスのエントランス等の屋内もしくは、交差点または駅前広場等の屋外に設置される。なお、これらは一例であり、監視カメラ10の設置場所はこれらの場所に限定されない。監視カメラ10は、一例として設置場所で喧嘩、事故、人の渋滞または不審者の発生等の非常事態を監視する。監視カメラ10が監視する対象として上述した例は一例であり限定されない。
【0019】
撮像領域100は、監視カメラ10が撮像する領域である。図1の例に係る撮像領域100には、人物A1、A2およびA3が位置している。
【0020】
人物A1、A2およびA3は、監視カメラ10の撮像映像に映る人物である。人物A1、A2およびA3から伸びる中央の矢印はそれぞれの視線の向きである。人物A1、A2およびA3の視線は交わっており、異なる場所から同一の方向を見ていることを表す。人物A1、A2およびA3から伸びる中央以外の2本の直線はそれぞれの視野を表す。
【0021】
次に、対象領域について説明する。対象領域とは、人物の視線の方向から非常事態(上述参照)が発生していると推測される領域のことである。監視カメラ10は、撮像した撮像映像をサーバ20(図2参照)に送信する。サーバ20は、監視カメラ10から取得した撮像映像を基に対象領域を特定する。対象領域の詳しい特定方法は、後述する。
【0022】
領域200は、人物A1、A2およびA3の視線が交差する領域から特定された対象領域である。図1に係る撮像領域の例では、3人の人物が領域200を見ており、領域200で非常事態が起きていると推測される。このように、非常事態がまさに今起きている場合あるいはこれから非常事態が起きそうな場合には人の注目が集まり易い傾向があることを踏まえ、複数の人物(図1では3人を例示)の視線が交差している領域200が対象領域と特定される。
【0023】
次に、図2を参照して、実施の形態1に係る監視カメラおよびサーバのブロック図について説明する。図2は、実施の形態1に係る監視カメラおよびサーバのブロック図である。通知システム1は、監視カメラ10、サーバ20および端末装置30を有する。なお、監視カメラ10とサーバ20とは、1つの装置に組み込まれてもよい。
【0024】
監視カメラ10は、設置場所を撮像するカメラであり、通信I/F11、メモリ12、撮像部13およびプロセッサ14を備える。
【0025】
撮像部13は、少なくとも光学素子としてのレンズ(不図示)とイメージセンサ(不図示)とを有して構成される。レンズは、監視カメラ10の撮像した領域の画角内からの対象物により反射された光を入射してイメージセンサの受光面(言い換えると、撮像面)に対象物の光学像を結像する。イメージセンサは、例えばCCD(Charged Coupled Device)あるいはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などの固体撮像素子である。イメージセンサは、所定時間(例えば1/30(秒))ごとに、レンズを介して撮像面に結像した光学像を電気信号に変換してメモリ12に送る。例えば、所定時間が1/30(秒)である場合、監視カメラ10のフレームレートは30fpsとなる。また、撮像部13は、上述した所定時間ごとに、電気信号に所定の信号処理を施すことで画像データ(映像データ)を生成してもよい。なお、この画像データ(映像データ)を生成する処理は、撮像部13の出力を保存しているメモリ12から取得したプロセッサ14により実行されてもよい。撮像部13は、画像データ(映像データ)をプロセッサ14に出力する。なお、図2では図示を省略しているが、撮像部13は、画像データ(映像データ)を、通信I/F11に直接出力してもよい。
【0026】
メモリ12は、例えばRAM(Random Access Memory)とROM(Read Only Memory)とを用いて構成され、監視カメラ10の動作に必要なプログラム、さらには、動作中に生成されたデータを一時的に保持する。RAMは、例えば、監視カメラ10の動作中に使用されるワークメモリである。ROMは、例えば、監視カメラ10を制御するためのプログラムを予め記憶して保持する。言い換えると、撮像部13は、ROMに記憶されているプログラムを実行することで、光学像の電気信号への変換を実行可能である。例えば、メモリ12は、撮像部13によって撮像された画像データを一時的に記憶してよい。また、メモリ12は、RAMおよびROM以外にフラッシュメモリをさらに有してもよく、画像データ(映像データ)を記憶してよい。
【0027】
プロセッサ14は、例えばCPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、GPU(Graphical Processing Unit)もしくはFPGA(Field Programmable Gate Array)である。プロセッサ14は、監視カメラ10の全体的な動作を司るコントローラとして機能し、監視カメラ10の各部の動作を統括するための制御処理、監視カメラ10の各部との間のデータの入出力処理、データの演算処理およびデータの記憶処理を行う。プロセッサ14は、メモリ12に記憶されたプログラムに従って動作する。プロセッサ14は、動作時にメモリ12を使用し、プロセッサ14が生成または取得したデータをメモリ12に一時的に保存する。
【0028】
通信I/F11は、サーバ20の通信I/F21との間で無線または有線で通信を行うネットワークインターフェース回路である。ここでI/Fは、インターフェースのことを表す。通信I/F11とサーバ20の通信I/F21との通信は、ネットワーク(不図示)を介してもよい。通信I/F11による通信方式は、例えば、WAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)、LTE(Long Term Evolution)、5G等の移動体通信、電力線通信、近距離無線通信(例えばBlootooth(登録商標)通信)、携帯電話用の通信等である。通信I/F11は、撮像部13により撮像された画像データ(映像データ)を通信I/F21に送信する。
【0029】
サーバ20は、監視カメラ10の通信I/F11から画像データ(映像データ)を取得する。サーバ20は、通信I/F21、プロセッサ22およびメモリ23を備える。サーバ20は端末装置30と通信可能に接続される。
【0030】
通信I/F21は、監視カメラ10の通信I/F11および端末装置30のそれぞれとの間で無線または有線で通信を行うネットワークインターフェース回路である。通信I/F21と監視カメラ10の通信I/F11との通信、通信I/F21と端末装置30との通信は、ネットワーク(不図示)を介してもよい。通信I/F21による通信方式は、例えば、WAN、LAN、LTE、5G等の移動体通信、電力線通信、近距離無線通信(例えばBlootooth(登録商標)通信)、携帯電話用の通信等である。通信I/F21は、プロセッサ22の通知制御部22Fで生成された通知を端末装置30に送信する。通信I/F21は、監視カメラ10の通信I/F11から取得した画像データ(映像データ)をプロセッサ22に送信する。
【0031】
プロセッサ22は、サーバ20を統括的に制御し、例えばCPU、DSP、GPUもしくはFPGAである。プロセッサ22は、顔検出部22A、視線検出部22B、ストレス指数算出部22C、対象領域特定部22D、対象領域ストレス度推定部22Eおよび通知制御部22Fを機能的に有する。プロセッサ22は、メモリ23のROM(不図示)に記憶されたプログラムおよびデータを用いることで、顔検出部22A、視線検出部22B、ストレス指数算出部22C、対象領域特定部22D、対象領域ストレス度推定部22Eおよび通知制御部22Fのそれぞれの機能を実現する。プロセッサ22は、動作中にメモリ23のRAM(不図示)を使用し、プロセッサ22および各部が生成あるいは取得したデータもしくは情報をメモリ23のRAMに一時的に保存する。
【0032】
検出部の一例としての顔検出部22Aは、通信I/F21から取得した画像データ(映像データ)を解析し、画像データ(映像データ)に映る少なくとも1人の人物の顔を検出する。顔検出部22Aは、解析された人物の顔から、顔の向き(つまり顔がどの方向を向いているか)を検出してもよい。顔検出部22Aは、画像データ(映像データ)を解析しバイタル情報を検出してもよい。例えば、バイタル情報とは、人物の心臓の規則的な収縮と光の吸収量との関係から検出される脈拍や、人物から放射される赤外線から検出される体温である。顔検出部22Aは、検出された少なくとも1人の人物の顔のデータ(以下、「顔データ」と称する。)を視線検出部22Bに出力する。顔検出部22Aは、顔データをストレス指数算出部22Cに出力してもよい。また、顔検出部22Aは、顔データをメモリ23に一時的に保存してもよい。
【0033】
検出部の一例としての視線検出部22Bは、顔検出部22Aから取得した顔データを基に、人物の視線を検出する。視線検出部22Bは、例えば顔データから人物の目が検出できなかった場合、人物の顔の向きを検出してもよい。この場合、視線検出部22Bは、顔の向きから視線方向を推測し検出する。つまり、視線検出部22Bは、監視カメラ10の撮像画像に基づいて、撮像領域内にいる少なくとも1人の人物の視線もしくは人物の顔の向きを検出する。視線検出部22Bは、検出された視線のデータ(以下、「視線データ」と称する。)をストレス指数算出部22Cに出力する。また、視線検出部22Bは、視線データをメモリ23に一時的に保存してもよい。
【0034】
処理部の一例としてのストレス指数算出部22Cは、顔データもしくは視線データからストレスの指数(以下、「ストレス指数」と称する。)を算出する。ストレス指数とは、人物が発生した非常事態を見たもしくは異常音を聞いたなどの場合に、人物が感じたストレス(以下、「ストレス」と称する。)を数値化したものである。つまり、ストレス指数算出部22Cは、監視カメラ10の撮像画像に基づいて人物のストレス指数を算出する。ストレス指数算出部22Cは、ストレスを顔データから検出した表情から算出する。ストレス指数算出部22Cは、人物の急な振り向きを伴う注視の動作によりストレスを算出してもよい。ストレス指数算出部22Cは、人物の急な視線の変化に伴う注視の動作によりストレスを算出してもよい。ストレス指数算出部22Cは、ストレスをバイタル情報から算出してもよい。ストレス指数算出部22Cは、算出されたストレス指数を対象領域特定部22Dに出力する。また、ストレス指数算出部22Cは、ストレス指数を示すデータをメモリ23に一時的に保存してもよい。
【0035】
処理部の一例としての対象領域特定部22Dは、対象領域を特定する。対象領域特定部22Dは、人物の視線もしくは人物の顔の向きに基づいて、人物が見ている撮像領域内の対象領域を特定する。対象領域特定部22Dは、一例として、複数の人物の視線方向およびストレス指数から対象領域を特定する。なお、対象領域の特定の方法はこれに限られず、図5で詳しく説明する。対象領域特定部22Dは、特定された対象領域を対象領域ストレス度推定部22Eに出力する。また、対象領域特定部22Dは、対象領域を示すデータをメモリ23に一時的に保存してもよい。
【0036】
処理部の一例としての対象領域ストレス度推定部22Eは、対象領域の特定に使用した少なくとも1人の人物のストレス指数から、対象領域のストレス度を推定する。ストレス度とは、対象領域の特定に使用した人物のストレス指数のそれぞれを合計したものである。対象領域のストレス度の算出方法については、図4で詳しく説明する。なお、対象領域ストレス度推定部22Eは、対象領域と人物との距離に応じてそれぞれの人物のストレス指数がストレス度に反映される割合を調整してもよい。例えば、対象領域ストレス度推定部22Eは、対象領域との距離が所定の閾値未満の人物のストレス指数には第1の係数を乗じる。対象領域ストレス度推定部22Eは、対象領域との距離が所定の閾値以上の人物のストレス指数には第1の係数より小さい第2の係数を乗じる。対象領域ストレス度推定部22Eは、第1の係数または第2の係数を乗じたストレス指数を合計する。なお、距離に係る閾値は1つに関わらず複数設定されてもよい。対象領域ストレス度推定部22Eは、算出されたストレス度を通知制御部22Fに出力する。また、対象領域ストレス度推定部22Eは、ストレス度を示すデータをメモリ23に一時的に保存してもよい。
【0037】
制御部の一例としての通知制御部22Fは、通知する情報(以下、「通知データ」と称する。)を生成し端末装置30に通知させる。通知制御部22Fは、例えば、対象領域ストレス度推定部22Eから取得したストレス度が所定値を超える場合に端末装置30に通知する。通知制御部22Fが通知する場合はこれに限られず詳しくは図3のステップSt17の処理で説明する。所定値とは、ユーザによって予め定められたストレス度の閾値である。なお、通知制御部22Fは、対象領域に地理的に近い位置に存在する警備員の端末を選択して通知してもよい。警備員とは、監視カメラ10の撮像領域を警備する人である。通知データは、対象領域の場所、対象領域のストレス度、対象領域の特定に使用した人物の人数、ストレスの継続時間、撮像された画像データ(映像データ)で構成される情報、もしくはそれらの情報を確認できるURL(Uniform Resource Locator)等で示される開示先情報である。ストレスの継続時間とは、ストレス度が所定の閾値を継続的に超えていた時間のことである。なお、通知する対象は警備員に限られず、複数の撮像領域見ることが可能な中央監視室等の部屋にいる監視員等でもよい。
【0038】
メモリ23は、例えばRAMとROMとを用いて構成され、サーバ20の動作に必要なプログラム、さらには、動作中に生成されたデータを一時的に保持する。RAMは、例えば、サーバ20の動作中に使用されるワークメモリである。ROMは、例えば、サーバ20を制御するためのプログラムを予め記憶して保持する。また、メモリ23は、RAMおよびROM以外にフラッシュメモリをさらに有してもよく、画像データ(映像データ)を記憶してよい。
【0039】
モバイル端末31は、例えば、携帯電話機、スマートフォンあるいはタブレット端末である。モバイル端末31は、通信I/F21との間でデータ通信を行う。例えば、モバイル端末31は、監視カメラ10の撮像領域を警備する警備員等が所有する端末である。
【0040】
クライアント端末32は、例えば、パーソナルコンピュータである。クライアント端末32は、通信I/F21との間でデータ通信を行う。例えば、クライアント端末32は、監視カメラ10の撮像領域監視する中央監視室等に設置された端末である。
【0041】
モバイル端末31とクライアント端末32とを合わせて端末装置30と称する。つまり、端末装置30は、通信I/F21を通じてサーバ20と通信可能に接続される。
【0042】
次に、図3を参照して、実施の形態1に係る対象領域のストレスを通知する処理を説明する。図3は、実施の形態1に係る対象領域のストレスを通知するフローチャートである。図3に係るフローチャートの各処理は、サーバ20のプロセッサ22により実行される。
【0043】
顔検出部22Aは、監視カメラ10の通信I/F11から画像データ(映像データ)を取得する。顔検出部22Aは、取得した画像データ(映像データ)から人物の顔を検出する(ステップSt11)。顔検出部22Aは、検出された顔データを視線検出部22Bおよびストレス指数算出部22Cに送信する。
【0044】
視線検出部22Bは、顔検出部22Aから顔データを取得する。視線検出部22Bは、全ての顔から視線およびストレス指数を検出できているか否かを判定する(ステップSt12)。視線検出部22Bは、全ての顔から視線およびストレス指数を検出できていないと判定した場合(ステップSt12、YES)、顔検出部22Aから取得した顔データに基づいて、その顔データに対応する人物の視線の方向を検出する。
【0045】
ストレス指数算出部22Cは、顔検出部22Aから顔データを取得する。ストレス指数算出部22Cは、顔データからストレス指数を算出する(ステップSt14)。プロセッサ22の処理は、ステップSt14の処理の後ステップSt12の処理に戻る。
【0046】
視線検出部22Bは、全ての顔から視線およびストレス指数を検出できたと判定した場合(ステップSt12、NO)、検出された視線データおよびストレス指数を示すデータを対象領域特定部22Dに送信する。対象領域特定部22Dは、取得した視線データおよびストレス指数から対象領域を特定(決定)する(ステップSt15)。なお、対象領域の特定(決定)はこれに限られず、詳しくは図5で後述する。対象領域特定部22Dは、特定された対象領域を示すデータを対象領域ストレス度推定部22Eに送信する。
【0047】
対象領域ストレス度推定部22Eは、対象領域の特定に使用した人物のストレス指数を合計してストレス度を推定する(ステップSt16)。対象領域ストレス度推定部22Eは、通知制御部22Fに推定されたストレス度を示すデータを送信する。
【0048】
通知制御部22Fは、対象領域ストレス度推定部22Eから対象領域のストレス度を示すデータを取得する。通知制御部22Fは、取得したストレス度を示すデータから端末装置30に通知データを通知するか否かを判定する(ステップSt17)。
【0049】
通知制御部22Fは、ステップSt17の処理でストレス度が所定値を超える場合に通知すると判定し(ステップSt17、YES)、端末装置30に通知データを送信する(ステップSt18)。ステップSt18の処理の後、図3に示すプロセッサ22の処理は終了する。
【0050】
なお、通知制御部22Fは、ステップSt17の処理で所定の時間継続して対象領域のストレス度が所定値を超え続ける場合に通知データを送信すると判定してもよい。また、所定値は、第1の所定値と第1の所定値より小さい第2の所定値の2つの所定値であってもよい。通知制御部22Fは、ストレス度が第1の所定値以上の場合に通知すると判定してもよい。通知制御部22Fは、ストレス度が第1の所定値未満でかつ第2の所定値以上である場合には、所定の時間継続して対象領域のストレス度が第2の所定値を超え続ける場合に通知データを送信すると判定してもよい。
【0051】
通知制御部22Fは、ステップSt17の処理で通知しないと判定した場合(ステップSt17、NO)、図3に示すプロセッサ22の処理は終了する。
【0052】
次に、図4を参照して、実施の形態1に係る撮像領域100にいる人物のストレス指数と対象領域のストレス度との関係を説明する。図4は、実施の形態1に係る撮像領域にいる人のストレス指数と対象領域のストレス度との関係を表す表である。
【0053】
図4に係る表は、撮像領域100にいる各人物に対して、ストレス指数の値と、閾値との比較と、対象領域のストレス度算出に採用するか否かと、算出された対象領域のストレス度とを表す。閾値は、一例として1.0とする。なお、閾値の値は1.0に限定されない。人物のストレス指数が閾値を超える場合、そのストレス指数は対象領域のストレス度の算出に用いるとする。以下、人物のストレス指数をストレス度の算出に用いることを、ストレス度算出に採用すると称する。
【0054】
人1は、ストレス指数が2.0であり閾値(例えば1.0)より大きいため、ストレス度算出に採用する。
【0055】
人2は、ストレス指数が0.02であり閾値(例えば1.0)以下のため、ストレス度算出に採用しない。
【0056】
人3は、ストレス指数が0.5であり閾値(例えば1.0)以下のため、ストレス度算出に採用しない。
【0057】
人4は、ストレス指数が2.7であり閾値(例えば1.0)より大きいため、ストレス度算出に採用する。
【0058】
人5は、ストレス指数が1.1である。ここで、ストレス指数が固定値というのは、人物の動作に紐づけて予め定められた値である。ある動作は、例えば、人物が急な振り向きを伴う注視の動作である。なお、これは一例であり限られない。人5は、ストレス指数が閾値より大きいため、ストレス度算出に採用する。
【0059】
以上より、人1、人4および人5のストレス指数をストレス度算出に採用する。対象領域のストレス度は、人1、人4および人5のストレス指数を合計した値の5.8となる。
【0060】
このように、対象領域ストレス度推定部22Eは、対象領域の特定に使用した人物のストレス指数から、対象領域に対するストレス度を推定する。図4では、ストレス指数が閾値より大きい人物を対象領域の特定に使用した。なお、これは一例であり他の例については図5で説明する。
【0061】
次に、図5を参照して、実施の形態1に係る対象領域の特定の場合分けを説明する。図5は、実施の形態1に係る対象領域の特定の場合分けを表す表である。
【0062】
図5に係る4つの項目は、それぞれ対象領域特定部22Dが対象領域を特定する処理を行うための条件を表す。4つの項目のどの条件を用いて対象領域と特定するかは、予め設定され決められている。
【0063】
第1の人数、第2の人数および第3の人数は、ユーザによって予め定められた人数に係る閾値である。
【0064】
まず、1つ目の条件で対象領域を特定するケースについて説明する。対象領域特定部22Dは、ストレス指数がストレス指数の閾値(例えば図4を参照して説明した「1.0」)を超える人物の人数が第1の人数を超えている場合、ストレス指数がストレス指数の閾値を超える人物の視線もしくは人物の顔の向きから対象領域を特定する。
【0065】
次に、2つ目の条件で対象領域を特定するケースについて説明する。対象領域特定部22Dは、撮像領域100内のある領域を第2の人数を超える人物が見ている場合、第2の人数を超える人物のそれぞれの視線もしくは第2の人数を超える人物のそれぞれの顔の向きに基づいて対象領域を特定(決定)する。
【0066】
次に、3つ目の条件で対象領域を特定するケースについて説明する。対象領域特定部22Dは、撮像領域100内のある領域を第2の人数を超える人物が見ていると判定する。その後、対象領域特定部22Dは、第2の人数を超える人物の中でストレス指数の算出が可能であった人物の人数が第3の人数より多いと判定する。この場合、対象領域特定部22Dは、第3の人数より多い人物のそれぞれの視線もしくは第3の人数より多い人物のそれぞれの顔の向きから対象領域を特定(決定)する。
【0067】
次に、4つ目の条件で対象領域を特定するケースについて説明する。対象領域特定部22Dは、第2の人数を超える人物のそれぞれの視線もしくは第2の人物を超える人物のそれぞれの顔の向きが交差する領域を対象領域の候補と選定する。対象領域特定部22Dは、対象領域の候補の選定に使用した人物のストレス指数から推定されたストレス度が所定値を超える場合に、対象領域の候補と選定された領域を対象領域と特定(決定)する。
【0068】
また、4つ目の条件で対象領域を特定するケースは以下であってもよい。対象領域特定部22Dは、第2の人数を超える人物のそれぞれの視線もしくは第2の人物を超える人物のそれぞれの顔の向きが交差する領域を対象領域の候補と選定する。ストレス指数算出部22Cは、第2の人数を超える人物の中でストレス指数が検知された人物の人数が第3の人数以下であると判定する。この場合、ストレス指数算出部22Cは、ストレス指数が算出された人物のストレス指数のいずれかの値を代表値としてストレス指数が検知されなかった人物のストレス指数として使用する。なお、代表値は、最小値でもよいし、最大値でもよいし、全体の平均値でもよい。対象領域ストレス度推定部22Eは、選定された対象領域を見ている人物のストレス指数からのストレス度を推定する。対象領域特定部22Dは、推定されたストレス度が所定値を超える場合に対象領域の候補を対象領域と特定(決定)する。
【0069】
これにより、監視カメラ10の設置場所に応じて適切な条件を用いることで、高精度に対象領域を特定することができる。
【0070】
次に、図6を参照して、実施の形態1および2に係る地図上での対象領域の位置の一例を説明する。図6は、実施の形態1および2に係る地図上での対象領域の位置の一例を表す図である。
【0071】
図300は、監視カメラ10の設置場所を含む領域一帯の地図を表す。地図300には、監視カメラ10、物体70、警備員50、60および領域200を含む。物体70は、柱または建物等である。領域200は、対象領域である。
【0072】
対象領域が特定されると通知制御部22Fの処理の下、サーバ20から端末装置30に通知データが送信される。地図300の中の警備員50、60のうち、警備員50の方が領域200により近い位置に存在するため、警備員50が有する端末に通知される。つまり、領域200の位置は、地図300に紐づけられているため、通知制御部22Fは、端末装置30から警備員の位置情報を取得し領域200により近い位置の警備員を選択して通知することができる。なお、通知制御部22Fは、領域200により近い位置にいる警備員の端末装置30だけでなく、地図300が示す領域一帯に存在している一部あるいは全ての警備員の端末装置30にも通知データを送信してもよい。
【0073】
これにより、通知システム1は、非常事態になり得る事象を検知した場合、より早く対応できる位置に存在する警備員に通知することができる。
【0074】
以上により、実施の形態1に係る通知システム1は、撮像領域を撮像する監視カメラ10と通信可能に接続されたサーバ2-と、サーバ20と通信可能に接続された端末装置30と、を備える。サーバ20は、監視カメラ10の撮像画像に基づいて、撮像領域内にいる少なくとも1人の人物の視線もしくは人物の顔の向きを検出する視線検出部22Bと、監視カメラ10の撮像画像に基づいて、人物のストレス指数を算出するストレス指数算出部22Cと、人物の視線もしくは人物の顔の向きに基づいて、人物が見ている撮像領域内の対象領域を特定する対象領域特定部22Dと、対象領域の特定に使用した少なくとも1人の人物のストレス指数から、対象領域のストレス度を推定する対象領域ストレス度推定部22Eと、ストレス度を端末装置30に通知させる通知制御部22Fと、を備える。通知制御部22Fは、ストレス度が所定値を超える場合に端末装置30に通知データを送信する。
【0075】
これにより、通知システム1は、監視カメラ10の撮像領域内で、個々の人物からの距離の大小に関係なく潜在的に非常事態になり得る様々な事象を迅速に検知して通知することができる。
【0076】
また、実施の形態1に係る通知制御部22Fは、所定の時間継続して対象領域のストレス度が所定値を超え続ける場合に、端末装置30に通知データを送信する。これにより、通知システム1は、突発的で危険になり得ない事象の通知または誤検知を減らし高精度に通知を行うことができる。
【0077】
また、実施の形態1に係る通知システム1で、所定値は、第1の所定値と第1の所定値より小さい第2の所定値とであり、通知制御部22Fは、ストレス度が第1の所定値以上の場合には端末装置30に通知データを送信する。通知制御部22Fは、ストレス度が第1の所定値未満でかつ第2の所定値以上である場合には、所定の時間継続して対象領域のストレス度が第2の所定値を超え続ける場合に、端末装置30に通知データを送信する。これにより、通知システム1は、ストレス度が大きく危険が高いと推定され、ただちに通知を行うべき事象に関しては通知を行うことができる。また、通知システム1は、ストレス度が中程度である場合は、所定の時間継続してストレス度が所定値を超え続けている事象についてのみ通知することで突発的で危険になり得ない事象の通知または誤検知を減らし高精度に通知を行うことができる。つまり、通知システムは、ストレス度の大きさによって通知するタイミングを柔軟に変えることができ、より高精度な通知を行うことができる。
【0078】
また、実施の形態1に係る対象領域特定部22Dは、ストレス指数が閾値を超える人物の人数が第1の人数を超える場合、ストレス指数が閾値を超える人物の視線もしくは人物の顔の向きから対象領域を特定する。これにより、通知システム1は、多くの人物がストレスを感じている領域を対象領域として特定することができる。
【0079】
また、実施の形態1に係る対象領域特定部22Dは、第2の人数を超える人物のそれぞれの視線もしくは第2の人数を超える人物のそれぞれの顔の向きに基づいて対象領域を特定する。これにより、通知システム1は、多くの人物の視線が集まる領域を対象領域として特定することができる。通知システム1は、人物の表情の検知が困難でストレス指数が算出できない場合などでも対象領域を特定することができる。
【0080】
また、実施の形態1に係る対象領域特定部22Dは、第2の人数を超える人物の中でストレス指数の算出が可能であった人物の人数が第3の人数より多い場合、第3の人数より多い人物のそれぞれの視線もしくは第3の人数より多い人物のそれぞれの顔の向きから対象領域を特定する。これにより、通知システム1は、多くの人物がストレス指数の算出が可能な場合に対象領域を特定するため、より高精度に危険が潜む事象を検知することができる。
【0081】
また、実施の形態1に係る対象領域特定部22Dは、第2の人数を超える人物のそれぞれの視線もしくは第2の人数を超える人物のそれぞれの顔の向きが交差する領域を対象領域の候補と選定し、対象領域の候補の選定に使用した人物のストレス指数から推定されたストレス度が所定値を超える場合に対象領域の候補を対象領域と特定する。これにより、通知システム1は、多くの人物が見ていてかつストレス度の高い領域を対象領域と特定することができる。これにより、通知システム1は、危険度が高いと推定される事象を高精度に検知することができる。
【0082】
また、実施の形態1に係る対象領域特定部22Dは、第2の人数を超える人物のそれぞれの視線もしくは第2の人数を超える人物のそれぞれの顔の向きが交差する領域を対象領域の候補と選定する。ストレス指数算出部22Cは、前記第2の人数を超える人物の中でストレス指数が検知された人物の人数が第3の人数以下の場合、ストレス指数が算出された人物のストレス指数のいずれかの値をストレス指数が検知されなかった人物のストレス指数とする。対象領域ストレス度推定部22Eは、領域を見ている人物のストレス指数から選定された対象領域のストレス度を推定する。対象領域特定部22Dは、ストレス度が所定値を超える場合に対象領域の候補と選定された領域を対象領域と特定する。これにより、通知システム1は、多くの人物が見ているけれどもストレス指数が算出できた人物が少なかった場合でも、高精度に対象領域の特定を行うことができる。
【0083】
また、実施の形態1に係る通知データの内容は、対象領域の場所、対象領域のストレス度の値および対象領域の特定に使用した人物の人数である。これにより、通知システム1は、警備員に潜在的に非常事態になり得る様々な事象の情報を通知することができる。
【0084】
また、実施の形態1に係る通知制御部22Fは、対象領域に近い位置に存在する警備員の端末装置30を選択して通知データを送信する。これにより、通知システム1は、潜在的に非常事態になり得る様々な事象に迅速な対応を通知により警備員に促すことができる。
【0085】
また、実施の形態1に係るストレス指数算出部22Cは、顔の表情、人物の急な振り向きを伴う注視の動作または人物の急な視線の変化に伴う注視の動作のうち少なくとも一つから人物のストレス指数を算出する。これにより、通知システム1は、人物の感じるストレスを検知することができる。これにより、通知システム1は、監視カメラ10の撮像領域で発生する非常事態になり得る事象を、人物の感じるストレスから算出することができる。
【0086】
また、実施の形態1に係る対象領域ストレス度推定部22Eは、対象領域を特定に使用した人物の前記ストレス指数を合計して算出する。これにより、通知システム1は、人物の感じるストレスから対象領域のストレス度を数値化して算出することができる。
【0087】
(実施の形態2に至る経緯)
特許文献1では、推定された人の混雑度と属性とに基づいて危険レベルを推定する技術が開示されているが、人の混雑度に紐づかない非常事態のケースに用いることは想定されていない。そのため、人物それぞれに近い場所で起こる可能性がある危険を推定できるものの、人物それぞれから離れた場所も含めた危険を推定できないという課題があった。
【0088】
そこで、以下の実施の形態2では、カメラの撮像領域内で、個々の人物からの距離の大小に関係なく潜在的に非常事態になり得る様々な事象を迅速に検知して表示する表示システムおよび表示方法の例を説明する、なお、以下の説明に置いて、実施の形態1と同一の構成要素については同一の符合を用いることで、その説明を省略する。
【0089】
(実施の形態2)
図7を参照して、実施の形態2に係る監視カメラおよびサーバのブロック図について説明する。図7は、実施の形態2に係る監視カメラおよびサーバのブロック図である。表示システム2は、監視カメラ10、サーバ20および端末装置30を有する。なお、監視カメラ10とサーバ20とは、1つの装置に組み込まれてもよい。以下、実施の形態1の図2で説明した内容と異なる部分のみ説明する。
【0090】
プロセッサ22は、顔検出部22A、視線検出部22B、ストレス指数算出部22C、対象領域特定部22D、対象領域ストレス度推定部22Eおよび表示制御部22Gを有する。
【0091】
処理部の一例としてのストレス指数算出部22Cは、顔データから、「楽しい」または「驚き」等の感情を検出して数値として算出してもよい。
【0092】
制御部の一例として、表示制御部22Gは、表示する情報(以下、「表示データ」と称する。)を生成し端末装置30に表示させる。表示制御部22Gは、例えば、対象領域ストレス度推定部22Eから取得したストレス度が所定値を超える場合に端末装置30に表示する。表示制御部22Gが表示する場合はこれに限られず詳しくは図8のステップSt19の処理で説明する。
【0093】
次に、図8を参照して、実施の形態2に係る対象領域のストレスを表示する処理を説明する。図8は、実施の形態2に係る対象領域のストレスを表示するフローチャートを表す。図8に係るフローチャートの各処理は、サーバ20のプロセッサ22により実行される。ステップSt11からステップSt16までの各処理は、実施の形態1の図3と同一符合の処理と同じであるため説明を省略する。
【0094】
表示制御部22Gは、対象領域ストレス度推定部22Eから対象領域のストレス度を取得する。表示制御部22Gは取得したストレス度から端末装置30に表示するか否かを判定する(ステップSt19)。
【0095】
表示制御部22Gは、ステップSt17の処理でストレス度が所定値を超える場合に表示すると判定し(ステップSt19、YES)、端末装置30に表示データを送信する(ステップSt20)。
【0096】
なお、表示制御部22Gは、ステップSt19の処理で所定の時間継続して対象領域のストレス度が所定値を超え続ける場合に表示すると判定してもよい。また、所定値は、第1の所定値と第1の所定値より小さい第2の所定値の2つの所定値であってもよい。表示制御部22Gは、ストレス度が第1の所定値以上の場合に表示すると判定してもよい。表示制御部22Gは、ストレス度が第1の所定値未満でかつ第2の所定値以上である場合には、所定の時間継続して対象領域のストレス度が第2の所定値を超え続ける場合に表示すると判定してもよい。
【0097】
表示制御部22Gは、ステップSt19の処理で表示しないと判定した場合(ステップSt19、NO)、プロセッサ22の処理は終了する。
【0098】
次に、図9を参照して、実施の形態2に係る対象領域のストレスの継続時間について説明する。図9は、実施の形態2に係る対象領域のストレスの継続時間を示す図である。
【0099】
図9に示したグラフは、横軸が時間t、縦軸が対象領域のストレス度を表す。
【0100】
波形WV1は、ストレス度の経時変化の推移を表す。波形WV1は、時刻t0から時刻t1の間は所定値よりも小さいストレス度である。波形WV1は、時刻t1から時刻t2の間は所定値より大きいストレス度となる。波形WV1は、時刻t2以降では所定値より小さなストレス度となる。
【0101】
波形WV1のストレス度が所定値を超える期間C1を対象領域のストレスが継続している時間と定義する(以下、「継続時間」と称する。)。
【0102】
次に、図10を参照して、実施の形態2に係る撮像画像に対象領域のストレス度を重畳した画像を用いた表示例を説明する。図10は、実施の形態2に係る撮像画像に対象領域のストレス度を重畳した画像を用いた表示例を表す図である。
【0103】
画面DP1は、端末装置30に表示される画面の一例である。画面DP1は、画像IM1と、画像IM1に紐づけられた情報のリストTB1と、画像IM1の場所を示す名称NMとを含む。画面DP1は、表示制御部22Gによって生成され端末装置30に表示される。
【0104】
画像IM1は、表示制御部22Gによって生成された画像である。表示制御部22Gは、対象領域のストレス度を、対象領域を含む撮像画像に重畳させた画像IM1を生成し端末装置30に表示させる。例えば、表示制御部22Gは、撮像画像にストレス度を示すヒートマップを重畳した画像を生成してもよい。
【0105】
画像IM1について説明する。画像IM1は、監視カメラ10によって撮像された人物P1、P2、P3、P4、P5、P6およびP7、バイクBA、車CA、フレームF1、F2およびストレス度分布H1、H2を含む。ストレス度分布H1、H2は対象領域のストレス度の分布である。なお、画像IM1に含まれる物はこれらに限られない。
【0106】
画像IM1のフレームF1の対象領域では、車CAとバイクBAの衝突事故が発生している。人物P5、P6およびP7がフレームF1の対象領域を見ている。人物P5のストレス指数および視線の向き、人物P6のストレス指数および視線の向きおよび人物P7のストレス指数および視線の向きから対象領域のストレス度が算出される。このストレス度が、画像IM1上にストレス度分布H1として重畳される。
【0107】
画像IM1のフレームF2の対象領域では、人物P1と人物P2とが会話している。例えば、上述した衝突事故を起こした運転手と警察官との会話などである。人物P3および人物P4がフレームF2の対象領域を見ている。人物P3のストレス指数および視線の向き、人物P4のストレス指数および視線の向きから対象領域のストレス度が算出される。このストレス度が、画像IM1上にストレス度分布H2として重畳される。
【0108】
リストTB1は、対象領域のストレス度と、ストレスが発生した時刻(以下、「発生時刻」と称する。)と、継続時間と、対象領域の特定に使用した人物の人数と、ストレスが発生している間の対象領域を含む場所の映像データを再生するボタンBT1とを含む。例えば、No.1の対象領域に関しては、ストレス度が2.6、発生時刻が10:05、継続時間が20分および対象領域の特定に使用した人物の人数が3人である。リストTB1は、対象領域に係る情報をストレス度が高い順番で上から並べてもよいし、発生時刻が早いものから順に並べてもよい。
【0109】
リストTB1のNo.1の項目が紐づけられた対象領域は、フレームF1の対象領域である。リストTB1のNo.2の項目が紐づけられた対象領域は、フレームF2の対象領域である。No.1のストレス度は2.6であり、No.2のストレス度は1.8である。そのため、画像IM1上に重畳されたヒートマップは、フレームF1の対象領域の方がフレームF2の対象領域よりも濃く表示される。
【0110】
リストTB1は、ストレス度が所定値以上の対象領域に係る情報だけでなく、ストレス度が所定値以下の対象領域に係る情報についても含んでよい。例えば、所定値が1.0である場合、No.1およびNo.2は所定値を超えるストレス度を有する対象領域である。一方、No.3、No.4およびNo.5は所定値以下のストレス度を有する対象領域である。この場合、No.1およびNo.2は濃く表示され、No.3、No.4およびNo.5は薄く表示されてもよい。また、No.1およびNo.2のリストTB1の項目部分は背景色をつけるなどして目立たせてもよい。
【0111】
表示制御部22Gは、リストTB1に含まれる項目が選択されると、その選択に基づく信号を端末装置30から取得し、画像IM1の中で選択された項目に紐づけられた対象領域の位置に印をつけた画像を生成し端末装置30に表示させる。例えば、リストTB1のNo.1の項目が押下されると、画像IM1のフレームF1に黒い四角形の枠が重畳される。なお、リストTB1のNo.1の項目が押下された場合の印はこれに限られず円形の枠などでもよい。また、所定値を超えるストレス度を有する対象領域に関して、画像IM1にフレームF1、F2を重畳して表示させてもよい。この場合、例えば、リストTB1の項目が選択された場合に重畳される枠の色よりも、選択された項目以外の所定値を超えるストレス度を有する対象領域を薄い色で重畳させておいてもよい。
【0112】
ボタンBT1は、各対象領域を含む場所の映像データを再生するボタンである。ボタンBT1が押下されると、その押下に基づく信号が端末装置30からサーバ20に送られ、サーバ20からボタンBT1に対応する時間分(例えば継続時間(分))の映像データがサーバ20から端末装置30に送られ、画像IM1の部分に映像データが端末装置30において再生される。なお、ボタンBT1が押下された場合、別のページに遷移して映像データが再生されてもよい。ボタンBT1が押下されると、発生時刻よりも前から映像データの再生がされてもよい。例えば、リストTB1のNo.1では、発生時刻が10:05であるため、1分前の10:04からの映像データが再生される。なお、これは一例であり、10分前からでもよいし、1時間前からでもよい。また、ボタンBT1が押下されると、ストレスがなくなった時刻から適当な時間が経過した時刻までの映像データが再生されてもよい。例えば、リストTB1のNo.1では、発生時刻が10:05であり継続時間が20分であるためストレスは10:25になくなっている。そのため、ボタンBT1が押下された場合、ストレスがなくなった時刻の1分後の10:26までの映像データが再生されてもよい。なお、これは一例であり、10分後まででもよいし、1時間後まででもよい。
【0113】
次に、図11を参照して、実施の形態2に係る地図上に対象領域のストレス度を重畳した画像を用いた表示例を説明する。図11は、実施の形態2に係る地図上に対象領域のストレス度を重畳した画像を用いた表示例を表す図である。図11は、図10の○○駅A交差点付近の地図を表し、ストレス度分布H1、H2は図10と同様の事象に基づくものを表す。
【0114】
画面DP2は、端末装置30に表示される画面の一例である。画面DP2は、画像IM2と、画像IM2に紐づけられた情報のリストTB2とを含む。画面DP2は、表示制御部22Gによって生成され端末装置30に表示される。
【0115】
画像IM2は、表示制御部22Gによって生成された画像である。表示制御部22Gは、ストレス度を、対象領域を含む地図に重畳させた画像IM2を生成し端末装置30に表示させる。例えば、表示制御部22Gは、撮像画像にストレス度を示すヒートマップを重畳した画像を生成してもよい。
【0116】
画像IM2について説明する。画像IM2は、監視カメラ10の模式図、柱または建物等を示す物体70およびフレームF1、F2を含む。
【0117】
リストTB2は、ストレスが発生している場所と、対象領域のストレス度と、発生時刻と、継続時間と、対象領域の特定に使用した人物の人数と、ストレスが発生している間の対象領域を含む場所の映像データを再生するボタンBT2とを含む。例えば、No.1の対象領域に関しては、ストレスが発生している場所が○○駅A交差点であり、ストレス度が2.6、発生時刻が10:05、継続時間が20分および対象領域の特定に使用した人物の人数が3人である。リストTB2は、対象領域に係る情報をストレス度が高い順番で上から並べてもよいし、発生時刻が早いものから順に並べてもよいし、ストレスが発生している場所の名前順に並べてもよい。
【0118】
リストTB2のNo.1の項目が紐づけられた対象領域は、フレームF1の対象領域である。リストTB2のNo.2の項目が紐づけられた対象領域は、フレームF2の対象領域である。No.1のストレス度は2.6であり、No.2のストレス度は1.8である。そのため、画像IM1上に重畳されたヒートマップは、フレームF1の対象領域の方がフレームF2の対象領域よりも濃く表示される。
【0119】
リストTB2は、ストレス度が所定値以上の対象領域に係る情報だけでなく、ストレス度が所定値以下の対象領域に係る情報についても含んでよい。例えば、所定値が1.0である場合、No.1およびNo.2は所定値を超えるストレス度を有する対象領域である。一方、No.3、No.4およびNo.5は所定値以下のストレス度を有する対象領域である。この場合、No.1およびNo.2は濃く表示され、No.3、No.4およびNo.5は薄く表示されてもよい。また、No.1およびNo.2のリストTB1の項目部分は背景色をつけるなどして目立たせてもよい。
【0120】
表示制御部22Gは、リストTB2に含まれる項目が選択されると、その選択に基づく信号を端末装置30から取得し、画像IM2の中で選択された項目に紐づけられた対象領域の位置に印をつけた画像を生成し端末装置30に表示させる。例えば、リストTB2のNo.1の項目が押下されると、画像IM2のフレームF1に黒い四角形の枠が重畳される。なお、リストTB1のNo.1の項目が押下された場合の印はこれに限られず円形の枠などでもよい。また、所定値を超えるストレス度を有する対象領域に関して、画像IM2にフレームF1、F2を重畳して表示させておいてもよい。この場合、例えば、リストTB1の項目が選択された場合に重畳される枠の色よりも、選択された項目以外の所定値を超えるストレス度を有する対象領域を薄い色で重畳させておいてもよい。
【0121】
ボタンBT2は、各対象領域を含む場所の映像データを再生するボタンである。ボタンBT2は、図10のボタンBT1と同様の動作であるため説明を省略する。
【0122】
図10の画面DP1および図11の画面DP2は、端末装置30に表示される画面である。画面DP1および画面DP2は、図8のステップSt10の処理に基づいて表示されるか判定される。なお、画面DP1および画面DP2は、中央監視室等に設置された端末にリアルタイムで表示されてもよい。この場合は、ストレス度に係る情報はリアルタイムで更新されてよい。これは、例えば、要人の警備、コンサートまたは競技が行われているスタジアム等の監視で用いられる。
【0123】
以上により、実施の形態2に係る表示システム2は、撮像領域を撮像する監視カメラ10と通信可能に接続されたサーバ20と通信可能に接続された端末装置30と、を備える。サーバ20は、監視カメラ10の撮像画像に基づいて、撮像領域内にいる少なくとも1人の人物の視線もしくは人物の顔の向きを検出する視線検出部22Bと、監視カメラ10の撮像画像に基づいて、人物のストレス指数を算出するストレス指数算出部22Cと、人物の視線もしくは人物の顔の向きから、人物が見ている撮像領域内の対象領域を特定する対象領域特定部22Dと、対象領域の特定に使用した少なくとも1人の人物のストレス指数から、対象領域のストレス度を推定するストレス度推定部22Eと、ストレス度を端末装置30に表示させる表示制御部22Gと、を備える。表示制御部22Gは、対象領域を含む地図または撮像画像にストレス度を重畳させた画像IM1、IM2を生成し端末装置30に表示させる。
【0124】
これにより、表示システム2は、カメラの撮像領域内で、個々の人物からの距離の大小に関係なく潜在的に非常事態になり得る様々な事象を迅速に検知して表示することができる。
【0125】
また、実施の形態2に係る表示制御部22Gは、ストレス度を示すヒートマップを重畳した画像IM1、IM2を生成し端末装置30に表示させる。これにより、表示システム2は、ストレス度が高く非常事態になり得る事象を視覚的にわかりやすく表示することができる。
【0126】
また、実施の形態2に係る表示制御部22Gは、ストレス度が所定値を超える場合に端末装置30に画像IM1、IM2を送信する。これにより、表示システム2は、特定された対象領域の中でストレス度が高いものを選択的に端末装置30に表示することができる。これにより、表示システム2は、警備員により危険が高いと推測される事象について優先的に知らせることができる。
【0127】
また、実施の形態2に係る表示制御部22Gは、所定の時間継続して対象領域のストレス度が所定値を超え続ける場合に、端末装置30に画像を送信する。これにより、表示システム2は、突発的で危険になり得ない事象の通知または誤検知を減らし高精度に通知を行うことができる。
【0128】
また、実施の形態2に係る表示システム2で、所定値は、第1の所定値と第1の所定値より小さい第2の所定値とである。表示制御部22Gは、ストレス度が第1の所定値以上の場合には端末装置30に画像IM1、IM2を送信する。表示制御部22Gは、ストレス度が第1の所定値未満でかつ第2の所定値以上である場合には、所定の時間継続して対象領域のストレス度が第2の所定値を超え続ける場合に、端末装置30に画像IM1、IM2を送信する。これにより、表示システム2は、ストレス度が大きく危険が高いと推定され、ただちに通知を行うべき事象に関しては画像IM1、IM2を端末装置30に送信することができる。また、表示システム2は、ストレス度が中程度である場合は、所定の時間継続してストレス度が所定値を超え続けている事象についてのみ画像IM1、IM2を端末装置30に送信する。これにより表示システム2は、突発的で危険になりえない事象を端末装置30に表示することまたは誤検知を減らすことができる。つまり、表示システム2は、ストレス度の大きさによって端末装置30に画像IM1、IM2を表示するタイミングを柔軟に変えることができる。
【0129】
また、実施の形態2に係る表示制御部22Gは、画像IM1と、画像IM1と紐づけられた情報のリストTB1とを含む画面DP1を生成し前記所定の端末に表示させる。また、実施の形態2に係る表示制御部22Gは、画像IM2と、画像IM2と紐づけられた情報のリストTB2とを含む画面DP2を生成し前記所定の端末に表示させる。これにより、表示システム2は、警備員等に潜在的に非常事態になり得る様々な事象の情報を知らせることができる。
【0130】
また、実施の形態2に係る表示制御部22Gは、リストTB1に含まれる項目が選択されると、画像IM1の中で選択された項目に紐づけられた対象領域の位置に印をつけた画像IM1を生成し端末装置30に表示させる。また、実施の形態2に係る表示制御部22Gは、リストTB2に含まれる項目が選択されると、画像IM2の中で選択された項目に紐づけられた対象領域の位置に印をつけた画像IM2を生成し端末装置30に表示させる。これにより、表示システム2は、リストTB1の各項目と紐づいた対象領域が画像IM1上でどれなのかを視覚的にわかりやすく端末装置30に表示することができる。なお、リストTB2の各項目についても同様である。
【0131】
また、実施の形態2に係るリストTB1は、ストレス度の値と、ストレスが発生した時刻と、ストレスが発生していた継続時間と、対象領域の特定に使用した人物の人数と、ストレスが発生している間の対象領域を含む場所の撮像映像を再生するボタンBT1とを含む。また、実施の形態2に係るリストTB2は、ストレス度の値と、ストレスが発生した時刻と、ストレスが発生していた継続時間と、対象領域の特定に使用した人物の人数と、ストレスが発生している間の対象領域を含む場所の撮像映像を再生するボタンBT2とを含む。これにより、表示システム2は、監視カメラ10の撮像領域の対象領域に係る情報を端末装置30に表示することができる。
【0132】
以上、添付図面を参照しながら実施の形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例、修正例、置換例、付加例、削除例、均等例に想到し得ることは明らかであり、それらについても本開示の技術的範囲に属すると了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0133】
本開示の技術は、カメラの撮像領域内で、個々の人物からの距離の大小に関係なく潜在的に非常事態になり得る様々な事象を迅速に検知して通知する通知システムおよび通知方法として有用である。
【符号の説明】
【0134】
10 監視カメラ
11,21 通信I/F
12,23 メモリ
13 撮像部
14,22 プロセッサ
20 サーバ
22A 顔検出部
22B 視線検出部
22C ストレス指数算出部
22D 対象領域特定部
22E 対象領域ストレス度推定部
22F 通知制御部
22G 表示制御部
30 端末装置
31 モバイル端末
32 クライアント端末
50,60 警備員
70 物体
100 撮像領域
200 領域
300 地図
A1,A2,A3,P1,P2,P3,P4,P5,P6,P7 人物
WV1 波形
t0,t1,t2 時刻
C1 期間
DP1,DP2 画面
IM1,IM2 画像
F1,F2 フレーム
CA 車
BA バイク
NM 名称
H1,H2 ストレス度分布
TB1,TB2 リスト
BT1,BT2 ボタン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11