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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023121619
(43)【公開日】2023-08-31
(54)【発明の名称】半導体発光装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/48 20100101AFI20230824BHJP
   H01L 33/50 20100101ALI20230824BHJP
   H01L 33/62 20100101ALI20230824BHJP
【FI】
H01L33/48
H01L33/50
H01L33/62
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022025065
(22)【出願日】2022-02-21
(71)【出願人】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】河野 圭真
(72)【発明者】
【氏名】市川 幸治
(72)【発明者】
【氏名】神原 大蔵
(72)【発明者】
【氏名】堀尾 直史
【テーマコード(参考)】
5F142
【Fターム(参考)】
5F142AA12
5F142AA51
5F142AA82
5F142BA32
5F142CA11
5F142CD02
5F142CD15
5F142CD44
5F142CD47
5F142CD48
5F142CE03
5F142CE16
5F142CE32
5F142DA14
5F142DA73
5F142FA21
5F142FA24
(57)【要約】      (修正有)
【課題】半導体発光素子及び導光体の側面から出射する光を遮光し、かつ半導体発光素子と導光体を外界から保護することが可能で、かつ信頼性が高く、製造が容易な半導体発光装置を提供する。
【解決手段】底面に第1電極及び第2電極を有する支持基板、及び、支持基板上に設けられ、第1電極及び前記第2電極に接続された発光半導体層を有する半導体発光素子11と、接着層12によって半導体発光素子の出射面上に接着された導光体13と、を有する発光素子アセンブリ10Aと、発光素子アセンブリの側面を覆う熱収縮性樹脂からなる筒状の熱収縮性被覆部材14と、を有する。
【選択図】図1C
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面に第1電極及び第2電極を有する支持基板、及び、前記支持基板上に設けられ、前記第1電極及び前記第2電極に接続された発光半導体層を有する半導体発光素子と、
接着層によって前記半導体発光素子の出射面上に接着された導光体と、を有する発光素子アセンブリと、
前記発光素子アセンブリの側面を覆う熱収縮性樹脂からなる筒状の熱収縮性被覆部材と、
を有する半導体発光装置。
【請求項2】
前記発光素子アセンブリ及び前記熱収縮性被覆部材は熱硬化性接着剤によって接着されている請求項1に記載の半導体発光装置。
【請求項3】
前記発光素子アセンブリは矩形柱形状を有する請求項1又は2に記載の半導体発光装置。
【請求項4】
前記熱収縮性被覆部材は略円柱形状又は略多角柱形状を有する請求項1ないし3のいずれか一項に記載の半導体発光装置。
【請求項5】
前記熱収縮性被覆部材の外表面上に設けられ、熱収縮性樹脂からなる外側被覆部材を有する請求項1ないし4のいずれか一項に記載の半導体発光装置。
【請求項6】
前記導光体は蛍光体である請求項1ないし5のいずれか一項に記載の半導体発光装置。
【請求項7】
前記熱収縮性被覆部材は、前記半導体発光素子の裏面に回り込んで前記半導体発光素子の前記裏面の周縁部を覆う回り込み部を有する請求項1ないし6のいずれか一項に記載の半導体発光装置。
【請求項8】
前記熱収縮性被覆部材は略円柱形状を有し、
前記熱収縮性被覆部材及び前記発光素子アセンブリの間に挿入及び充填された樹脂成形体を内側被覆部材として含む請求項1ないし6のいずれか一項に記載の半導体発光装置。
【請求項9】
前記発光素子アセンブリは矩形柱形状を有し、前記樹脂成形体は断面が円弧状を有する請求項8に記載の半導体発光装置。
【請求項10】
前記内側被覆部材は外側面には複数の凹凸を有している請求項8又は9に記載の半導体発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体発光装置、特に発光ダイオード(LED)などの半導体発光素子を有する半導体発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高出力化や配光制御のため、発光ダイオード(LED)などの半導体発光素子を複数デバイス内に配置して用いることが行われている。
【0003】
例えば、自動車用ヘッドライトにおいて、走行環境に合わせて配光を制御する配光可変型のヘッドランプ(ADB: Adaptive Driving Beam)が知られている。また、高出力の照明用LEDパッケージや、LEDを高密度に配置した情報通信機器用のLEDパッケージなどが知られている。
【0004】
しかし、一般に、複数の半導体発光素子が並置された半導体発光装置において、導通されている素子から放出された光の一部が非導通状態の素子に伝播することがあった。このような漏れ光や光のクロストークは、複数の半導体発光素子を配置して用いる様々な応用分野において問題であった。
【0005】
例えば、特許文献1には、基板及び発光素子の側面に誘電体多層膜からなる光反射層を設けることが開示されている。また、特許文献2には、誘電体多層膜からなり、半導体積層体の側面を覆う反射部材を有し、半導体積層体の側面上端から側方への光漏れを抑制する発光素子について開示されている。
【0006】
特許文献3には、蛍光物質が分散され、発光ダイオードを封止する封止樹脂の側面に光学多層膜からなる反射層を設けることが開示されている。
【0007】
また、特許文献4には、製造工程におけるボンディングワイヤの接触による半導体チップのショートを防止するべく半導体チップを熱収縮チューブによって囲繞し、絶縁コートを施した半導体電子部品が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2015-225862号公報
【特許文献2】特開2015-119063号公報
【特許文献3】特開2006-351808号公報
【特許文献4】特開2001-168132号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上記した点に鑑みてなされたものであり、半導体発光素子及び導光体の側面から出射する光を遮光し、かつ半導体発光素子と導光体を外界から保護することが可能で、かつ気密性にも優れた信頼性の高い半導体発光装置を提供することができる。また、製造が容易で低コストの簡便な構造の半導体発光装置を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の1実施形態による半導体発光装置は、
底面に第1電極及び第2電極を有する支持基板、及び、前記支持基板上に設けられ、前記第1電極及び前記第2電極に接続された発光半導体層を有する半導体発光素子と、
接着層によって前記半導体発光素子の出射面上に接着された導光体と、を有する発光素子アセンブリと、
前記発光素子アセンブリの側面を覆う熱収縮性樹脂からなる筒状の熱収縮性被覆部材と、
を有している。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1A】本発明の第1の実施形態による半導体発光装置10の上面を模式的に示す平面図である。
図1B】半導体発光装置10の側面を模式的に示す図である。
図1C図1AのA-A線に沿った半導体発光装置10の断面を模式的に示す断面図である。
図1D】半導体発光装置10の側部の一部Wの断面を拡大して示す部分拡大断面図である。
図2A】半導体発光素子11の上面を示す平面図である。
図2B】半導体発光素子11の裏面を模式的に示す平面図である。
図2C図2Aに示す線A-Aに沿った断面を示す断面図である。
図3A】被覆成型機100にセットされた発光素子アセンブリ10A及び熱収縮樹脂14Aからなるチューブ状の被覆部材14を示す上面図及び断面図である。
図3B】被覆成型機100を加熱しつつ、一対の押圧型101が押し当てられた発光素子アセンブリ10Aを示す上面図及び断面図である。
図3C】押圧型101を開き、製造された半導体発光装置を示す上面図及び断面図である。
図4A】第1の実施形態の改変例の半導体発光装置50を示す断面図である。
図4B図4Aに示す半導体発光装置50の側部の一部Wの断面を拡大して示す部分拡大断面図である。
図5A】本発明の第2の実施形態による半導体発光装置70の上面を模式的に示す平面図である。
図5B】半導体発光装置70の側面を模式的に示す図である。
図5C図5AのA-A線に沿った半導体発光装置70の断面を模式的に示す断面図である。
図5D】半導体発光装置70の側部の一部Wの断面を拡大して示す部分拡大断面図である。
図6】第2の実施形態の改変例の半導体発光装置75の側壁部の一部Wの断面を拡大して示す部分拡大断面図である。
図7A】第2の実施形態の半導体発光装置70の製造に適した第1の個別成形法を示す図である。
図7B】第2の実施形態の半導体発光装置70の製造に適した個別成形法を示す図である。
図8A】第2の実施形態の半導体発光装置70の製造に適した連続成形法を示す図である。
図8B図8Aの線E-Eに沿った面から見た場合の上面図である。
図8C図8Aの線F-Fに沿った面から見た場合の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下においては、本発明の好適な実施形態について説明するが、これらを適宜改変し、組合せてもよい。また、以下の説明及び添付図面において、実質的に同一又は等価な部分には同一の参照符を付して説明する。
【0013】
[第1の実施形態]
(1)半導体発光装置の構成
図1Aは、本発明の第1の実施形態による半導体発光装置10の上面を模式的に示す平面図である。図1Bは、半導体発光装置10の側面を模式的に示す図である。図1Cは、図1AのA-A線に沿った半導体発光装置10の断面を模式的に示す断面図である。図1Dは、図1Cに示す半導体発光装置10の側部の一部Wの断面を拡大して示す部分拡大断面図である。
【0014】
本実施形態において、半導体発光装置10は、発光ダイオード(LED)である半導体発光素子11、熱硬化性の樹脂からなる透光層である接着層12、導光体である蛍光体プレート13及び被覆部材14を有している。
【0015】
より詳細には、半導体発光素子11及び蛍光体プレート13は透光層である接着層12によって接着され、一体となって発光素子アセンブリ10Aが形成されている。発光素子アセンブリ10Aは全体として矩形柱形状を有している。
【0016】
また、図1Cに示すように、半導体発光装置10は、半導体発光素子11の裏面に回路基板に直接実装可能なパッド電極34A及び34Bを有している。
【0017】
なお、発光素子アセンブリ10Aの形状は矩形柱形状に限定されず、円柱(長円柱を含む)形状、多角柱形状を有していてもよい。また、半導体発光素子11又は蛍光体プレート13(導光体)は、角部が面取りされた多角柱形状を有していてもよい。
【0018】
また、被覆部材14は発光素子アセンブリ10Aの全側面を覆うことが好ましい。なお、接着層12は、半導体発光素子11及び蛍光体プレート13(導光体)の間に充填されていることが好ましい。また、接着層12は、熱硬化性の樹脂であることが好ましいが、紫外線硬化型などの硬化性の樹脂を用いることもできる。
【0019】
(2)被覆部材
図1C及び図1Dに示すように、本実施形態において、被覆部材14(以下、第1の被覆部材とも称する。)は、内側表面に接着樹脂14Gが塗布されたチューブ状の熱収縮樹脂14Aとからなり、熱収縮樹脂14Aの加熱収縮によって発光素子アセンブリ10Aの側面に密着して接着されている。
【0020】
さらに、被覆部材14は、半導体発光素子11の裏面に回り込んで密着した回り込み部14Rを有している。被覆部材14の回り込み部14Rは、半導体発光素子11の裏面の周縁部を覆っている。
【0021】
熱収縮樹脂14Aとしては、光反射性を有する樹脂、例えば白色系(染料、顔料)又は樹脂にTiO2粒子などの反射性粒子を分散させたフッ素樹脂、シリーン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂など、熱収縮処理が可能な樹脂を用いることができる。特に、フッ素樹脂は耐通気性、耐水性等の気密性に優れているので好適である。
【0022】
例えば、フッ素樹脂としては、PTFE(:ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(パーフルオロアルコキシアルカン)、FEP(パーフルオロエチレンプロペンコポリマ)、ETFE(エチレンテトラフルオロエチレンコポリマ)等が挙げられる。
【0023】
熱収縮チューブは、例えば樹脂をチューブ状に成形後、電子線で高分子を架橋した後に、膨張し、冷却して形状を固定して製造される。そして、加熱により元の形状に戻る力で収縮する。すなわち、熱収縮樹脂はチューブ状に1次形成した樹脂を引き伸ばしたものであり、面方向の断裂に高い強度を有し、また伸張もするので熱履歴による断裂に強い。
【0024】
また、図1Dを参照して説明すると、蛍光体プレート13の外表面13E及び/又は被覆部材14の内表面14Iに凹凸を設け、粗面化することによって密着性を向上することができる。
【0025】
なお、上記においては、熱収縮樹脂14Aが光反射性を有する場合について説明したが、光吸収性の粒子を分散させ、光吸収性による遮光性を有する熱収縮樹脂によって形成されていてもよい。
【0026】
(3)導光体及び接着層
導光体である蛍光体プレート13は、半導体発光装置10の上面側の封止材としても機能する。半導体発光素子11からの発光は蛍光体プレート13の底面から蛍光体プレート13に入射し、蛍光体プレート13の表面(光出射面13S)から半導体発光装置10の出射光LOが出射される。
【0027】
例えば、半導体発光素子11は青色光を放射し、蛍光体プレート13は半導体発光素子11からの青色光を黄色光に変換する。半導体発光装置10からは青色光及び黄色光の混色光である白色光が出射光LOとして出射される。また、蛍光体プレート13として半導体発光素子11からの青色光を略全て黄色光に変換する蛍光体プレート13を用いれば、半導体発光装置10からの出射光LOを黄色光にすることもできる。同様に、赤色光や赤外光にすることもできる。
【0028】
導光部材13には、アルミナ及びYAG:Ce等からなるセラミック蛍光体板、ガラス及びα又はβサイアロン等からなるガラス蛍光体板、シリコーン樹脂及びシリケイト:Ce等からなる樹脂蛍光体板、YAG及びCe等からなる単結晶又は多結晶の単一結晶蛍光体板を用いることができる。
【0029】
なお、蛍光体プレート13に代わって、透光性のガラス板、サファイア板、樹脂板、又はレンズ及び回折光学素子付きの板等の導光部材を用いてもよい。
【0030】
接着層12は、半導体発光素子11が放射した光を透光する樹脂、例えば透光性のシリコーン樹脂、エポキシ樹脂又はアクリル樹脂などを用いることができる。あるいは、低融点ガラス、ナノ金属酸化物焼結体等を利用することができる。また、多孔質のナノ金属酸化物焼結体に樹脂又は低融点ガラスを含浸した複合体等を利用することもできる。また、接着層12内に拡散剤、光変換部材を添加することもできる。
【0031】
(4)半導体発光素子
以下に、図面を参照して半導体発光素子11について詳細に説明する。図2Aは、半導体発光素子11の上面を示す平面図である。なお、内部の電極構造の説明のため、素子内部の電極についても破線で示している。
【0032】
図2Bは、半導体発光素子11の裏面、すなわちプリント基板(PCB)などの回路基板上に半導体発光素子11が実装される面を模式的に示す平面図である。また、図2Cは、図2Aに示す線A-Aに沿った断面を示す断面図である。
【0033】
図2Cは、半導体発光素子11の構成の一例を模式的かつ詳細に示す断面図である。半導体発光素子11は、発光半導体層として、いわゆるシンフィルムLED(thin-film LED)であるLED半導体層20を支持基板31に貼り付けた構成を有している。
【0034】
より具体的には、LED半導体層(発光半導体層)20は、成長基板上にエピタキシャル成長したLED構造を有する半導体層(シンフィルムLED)を成長基板から取り外し、支持基板31に貼り付けた構成を有している。本実施形態では、成長最表面層であるp型半導体層を下面として支持基板31に貼り付け、n型半導体層を表面層としている。
【0035】
支持基板31は、P(リン)又はAs(ヒ素)などをドープしたSi(シリコン)からなる導電性のn型基板である。
【0036】
LED半導体層20は、n型半導体層(第2導電型の半導体層)21、発光層22及びp型半導体層(第1導電型の半導体層)23を有している。n型半導体層21及びp型半導体層23は、それぞれ少なくとも1つの半導体層からなり、電子又は正孔障壁層、電流拡散層、コンタクト層など目的に応じた種々の半導体層を有していてもよい。
【0037】
なお、本実施形態においては、第1導電型がp型であり、第2導電型がn型である場合を例に説明するが、第1導電型がn型であり、第2導電型がp型であってもよい。
【0038】
LED半導体層20は、例えばGaN系の半導体層からなる青色発光のLED半導体層であるが、これに限定されない。発光層22は、例えば単一量子井戸(SQW)又は多重量子井戸(MQW)構造を有している。
【0039】
LED半導体層20は、p-電極25A及びn-電極25Bを有する。p-電極25Aは導電性のp側接合層26によって基板p電極32Aに接合され、n-電極25Bは導電性のn側接合層27によって基板n電極32Bに接合されている。
【0040】
p-電極25Aは、インジウムスズ酸化物(ITO)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)及び銀(Ag)反射膜がp型半導体層23上にこの順で形成されたITO/Ni/Pt/Ag層からなる。n-電極25Bは、チタン(Ti)又はニッケル(Ni)、白金(Pt)及び金(Au)がn型半導体層21上にこの順で形成された(Ti又はNi)/Pt/Au層からなる。
【0041】
なお、p-電極25A及びn-電極25Bの材料及び構造は上記に限定されない。光反射による取り出し効率向上、オーミック特性、素子信頼性(寿命)などの特性を考慮して適宜適した構造を選択し得る。
【0042】
LED半導体層20の側面には、SiO2からなる素子保護膜28Aが設けられている。また、支持基板31の表面(LED半導体層20との接合側)には、SiO2からなる基板保護膜28Bが設けられている。
【0043】
基板p電極32Aは導通ビア33に接続され、導通ビア33を介して半導体発光装置10の裏面のアノード電極34A(第1電極)に電気的に接続されている。基板p電極32A、導通ビア33及びアノード電極34Aは、SiO2からなる基板絶縁膜35によって支持基板31と絶縁されている。
【0044】
基板n電極32Bは、導電性のSi基板である支持基板31を介して半導体発光装置10の裏面のカソード電極34B(第2電極)に電気的に接続されている。
【0045】
半導体発光素子11が実装された回路基板等(図示しない)からアノード電極34A及びカソード電極34Bに電流が印加されることにより半導体発光素子11は発光し、n型半導体層21の表面21Sから出射される(直接光)。また、発光層22から当該直接光とは反対方向に放出された光はp-電極25Aによって反射され、n型半導体層21の表面21Sから出射される(反射光)。すなわち、当該直接光及び反射光は半導体発光素子11の出射光LEとしてn型半導体層21の表面21Sから出射される。
【0046】
なお、LED半導体層20がシンフィルムLEDである場合を例に説明したが、これに限定されない。LED半導体層20は、例えば、透光性基板を成長基板とし、成長最表面層(例えばp型半導体層)を出射面とした、いわゆるフリップチップ型のLED半導体層であってもよい。
【0047】
(5)第1の実施形態による半導体発光装置10の製造方法
次に、半導体発光装置10の製造工程について図3A図3Cを参照して説明する。なお、各図において、上側には上面図を、下側には発光素子アセンブリ10Aの中心線に沿った断面の断面図を示している。
【0048】
まず、図3Aに示すように、被覆成型機100に、発光素子アセンブリ10Aと、内側表面に接着剤14Gが塗布された熱収縮樹脂14Aとからなるチューブ状の被覆部材14(図1Dを参照)をセットする。この際、断面図に示すように、熱収縮樹脂14Aは、成型押圧時に発光素子アセンブリ10Aの側面全体及び底部の周縁部に当接され得る大きさ及び位置で配置される。
【0049】
また、発光素子アセンブリ10Aの電極パッド34A、34Bには保護シート104が貼られ、台座103の窪みに嵌り、位置決めされる。
【0050】
次に、図3Bに示すように、被覆成型機100を加熱しつつ、L字形状の一対の押圧型101を発光素子アセンブリ10Aの側方の両側から押し当てる(図中、矢印)。これにより、発光素子アセンブリ10Aの側面に被覆部材14が隙間を作ることなく密着する。また、熱収縮樹脂14Aに塗付された接着剤14Gは加熱により硬化して、発光素子アセンブリ10Aの側面及び底部の周縁部に熱収縮樹脂14Aが接着される。
【0051】
続いて、図3Cに示すように、被覆成型機100を冷却しつつ、押圧型101を開く(図中、矢印)。以上の工程により、発光素子アセンブリ10Aの側面及び底部の周縁部に被覆部材14が密着した半導体発光装置10が製造される。
【0052】
(6)第1の実施形態の改変例
図4Aは、第1の実施形態の改変例の半導体発光装置50を示す断面図であり、図4Bは、図4Aに示す半導体発光装置50の側部の一部Wの断面を拡大して示す部分拡大断面図である。
【0053】
本改変例においては、内側被覆部材16Aと外側被覆部材16Bとを有する被覆部材16が発光素子アセンブリ10Aの側面上に設けられている。すなわち、図4Aに示すように、内側被覆部材16Aの外周側面上に熱収縮樹脂からなる外側被覆部材16Bが密着して設けられている。すなわち、半導体発光装置50は2層の熱収縮樹脂からなる被覆部材16を有している。
【0054】
より詳細には、内側被覆部材16A及び外側被覆部材16Bが積層され、内側被覆部材16Aの内面には接着樹脂14Gが塗布されたチューブ状の熱収縮樹脂16が加熱収縮によって発光素子アセンブリ10Aの側面に密着して接着されている。
【0055】
内側被覆部材16Aは光反射性の熱収縮樹脂、例えば白樹脂であり、外側被覆部材16Bは光吸収性の熱収縮樹脂、例えば黒樹脂である。
【0056】
このように、被覆部材16として、光反射性の内側被覆部材と光吸収性の外側被覆部材とが積層された熱収縮樹脂を用いることによって発光素子アセンブリ10Aからの光及び被覆部材外側からの光に対して高い遮光性を両立させている。
【0057】
以上、説明したように、第1の実施形態の半導体発光装置10,50によれば、半導体発光素子及び導光体の側面から出射する光を遮光し、かつ半導体発光素子と導光体とを外界から保護することができ、また気密性にも優れた信頼性の高い半導体発光装置を提供することができる。また、製造が容易で低コストの簡便な構造の半導体発光装置を提供することができる。
【0058】
[第2の実施形態]
(1)半導体発光装置の構成
図5Aは、本発明の第2の実施形態による半導体発光装置70の上面を模式的に示す平面図である。図5Bは、半導体発光装置70の側面を模式的に示す図である。図5Cは、図5AのA-A線に沿った半導体発光装置70の断面を模式的に示す断面図である。図5Dは、半導体発光装置70の側部の一部Wの断面を拡大して示す部分拡大断面図である。
【0059】
図5A図5Cに示すように、本実施形態において、半導体発光装置70は、第3の被覆部材71(内側被覆部材)と第1の被覆部材72(外側被覆部材)とを有する被覆部材16が発光素子アセンブリ10Aの側面上に設けられている。
【0060】
第3の被覆部材71は、硬化済みの樹脂、すなわち成形体であって、例えば光反射性を有する白色樹脂である。また、第1の被覆部材72は、第1の実施形態において説明したような熱収縮樹脂からなるチューブ状の被覆部材を用いて形成されている。
【0061】
本実施形態において、第1の被覆部材72は、光反射性樹脂からなるが、光吸収性樹脂、色付き樹脂等の多彩な樹脂の中から選択することができる。
【0062】
図5Dに示すように、第3の被覆部材71の内側表面には第3の接着層71Gが設けられ、第3の被覆部材71と蛍光体プレート13とを互いに接着している。また、第1の被覆部材72の内側表面には第1の接着層72Gが設けられ、第1の被覆部材72と第3の被覆部材71とを互いに接着している。
【0063】
より詳細には、発光素子アセンブリ10Aは矩形柱形状を有し、その4つの側面の各々に外面が円柱側面であり断面が円弧状(又は半円柱状)の第3の被覆部材71が密着して設けられている。ここで、当該4つの第3の被覆部材71の半円柱側面(外側表面)は全体として一つの閉じた円柱側面を形成している。そして、当該4つの第3の被覆部材71による円柱側面上に第1の被覆部材72が密着して設けられている。
【0064】
換言すれば、矩形柱形状の発光素子アセンブリ10Aが円柱状の第1の被覆部材72に内接し、第1の被覆部材72と発光素子アセンブリ10Aとの間に断面が円弧状の第3の被覆部材71が挿入され、第3の被覆部材71は第1の被覆部材72及びと発光素子アセンブリ10Aに密着して設けられている。
【0065】
なお、第1の被覆部材72は略円柱形状を有していればよい。すなわち、隣接する第3の被覆部材71間の接続部、又は発光素子アセンブリ10Aが第1の被覆部材72に内接する部分において、第1の被覆部材72が凹部又は凸部を有していても、全体として円柱形状を有していればよい。このような場合でも、熱収縮チューブである第1の被覆部材72は熱収縮によって隙間なく均等に発光素子アセンブリ10A及び第3の被覆部材71を被覆することが可能である。
【0066】
また、第3の被覆部材71(内側被覆部材)が円弧形状の断面を有する場合について説明したが、これに限定されない。樹脂成形体である第3の被覆部材71が第1の被覆部材72(外側被覆部材)と発光素子アセンブリ10Aとの間に挿入され、熱収縮樹脂である第1の被覆部材72の加熱収縮によって第1の被覆部材72と発光素子アセンブリ10Aとの間に充填される形状を有していればよい。したがって、この場合、第1の被覆部材72は、多角柱形状を含む任意の形状を有していることができる。
【0067】
本実施形態においては、断面が円弧状の第3の被覆部材71を発光素子アセンブリ10Aの外側面と熱収縮チューブ(第1の被覆部材72)の間に挿入することで、第1の実施形態において使用した被覆成型機は不要となり、より簡易に半導体発光装置70を製造することができる。
【0068】
(2)第2の実施形態の改変例
図6は、第2の実施形態の改変例の半導体発光装置75の側部の一部Wの断面を拡大して示す部分拡大断面図である。
【0069】
本改変例においては、内側被覆部材である第3の被覆部材71Aの外側面には複数の凹凸(又は溝)77が設けられており、第3の被覆部材71Aと第1の被覆部材72との間には接着剤は設けられていない。
【0070】
熱収縮樹脂からなるチューブ状の第1の被覆部材72は加熱成形時に第3の被覆部材71Aの凹凸77内に嵌入し、第3の被覆部材71Aに強固に密着される。
【0071】
(3)半導体発光装置の第1の製造方法(個別成形法)
図7A及び図7Bは、第2の実施形態の半導体発光装置70の製造に適した第1の製造方法である個別成形法の一例を示す図である。図7A及び図7Bは、それぞれ加熱成形前、加熱成形後の状態を示している、なお、各図において、上側には発光素子アセンブリ10Aの中心線に沿った断面図を、下側には線D-Dにおける面から見た場合の上面図を示している。
【0072】
図7Aを参照して説明すると、被覆成型機200において、誘導管201は矩形形状の発光素子アセンブリ10Aの側面に応じた矩形管形状を有している。重ねられた第3の被覆部材71及び第1の被覆部材72は誘導管201に沿って送られる。なお、第1の接着層71G、第2の接着層72G(図5D参照)は図示が省略されている。
【0073】
第3の被覆部材71及び第1の被覆部材72は台座103上に誘導された後、誘導管201が上方に引き抜かれると(図7A、断面図)、発光素子アセンブリ10Aの4側面との間に間隙をあけて第3の被覆部材71及び第1の被覆部材72が配置される(図7A、上面図)。
【0074】
次に、カッタ-CTによって、発光素子アセンブリ10Aの高さと同一の高さで第3の被覆部材71及び第1の被覆部材72が切断される(図7A、断面図)。
【0075】
続いて、温風ノズル203によって第1の被覆部材72が加熱されると、図7Bに示すように、第1の被覆部材72は収縮し、第3の被覆部材71が発光素子アセンブリ10Aの4側面に密着して接着される。また、熱収縮後、さらに加熱することにより接着層が熱硬化される。以上の工程により半導体発光装置70の製造が終了する。
【0076】
(4)半導体発光装置の第1の製造方法(連続成形法)
図8Aは、第2の実施形態の半導体発光装置70の製造に適した第2の製造方法である連続成形法の一例を示す図である。図8B及び図8Cは、図8Aの線E-E及び線F-Fに沿った面から見た場合の上面図である。
【0077】
図8Aを参照して説明すると、被覆成型機300において、発光素子アセンブリ10Aの側面に応じた矩形管形状を有する第1の誘導管301に沿って発光素子アセンブリ10Aが下方(図中、矢印)に送られる。
【0078】
すなわち、図8Bに示すように、第3の被覆部材71と発光素子アセンブリ10Aとの間に第1の誘導管301が挿入された状態で第3の被覆部材71、第1の被覆部材72及び発光素子アセンブリ10Aが移送される。
【0079】
続いて、第1の誘導管301が外れた移送位置で温風ノズル303によって第1の被覆部材72が加熱されると、第1の被覆部材72は収縮し、第3の被覆部材71が発光素子アセンブリ10Aの4側面に密着して接着される。
【0080】
続いて、図8Cに示すように、第1の被覆部材72が密着した発光素子アセンブリ10Aは第2の誘導管302の内側面に沿って移送され、ヒータ304によって加熱されて、接着層が熱硬化される(図8A)。
【0081】
最後に、カッタ-CTによって、発光素子アセンブリ10Aの高さと同一の高さで第3の被覆部材71及び第1の被覆部材72が切断される。以上の工程により半導体発光装置70の製造が終了する。
【0082】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、半導体発光素子及び導光体の側面から出射する光を遮光し、かつ半導体発光素子と導光体を外界から保護することが可能かつ気密性にも優れた信頼性の高い半導体発光装置を提供することができる。また、製造が容易で低コストの簡便な構造の半導体発光装置を提供することができる。
【0083】
なお、上記した実施形態においては、半導体発光素子及び導光体が矩形柱形状を有する場合について説明したが、これに限定されない。例えば、多角柱形状、円柱(長円柱を含む)形状を有する場合についても適用することができる。
【0084】
また、半導体発光装置が円柱形状を有する場合について説明したが、これに限定されない。例えば、多角柱形状、円柱(長円柱を含む)形状を有する場合についても適用することができる。
【符号の説明】
【0085】
10,50,70:半導体発光装置、10A:発光素子アセンブリ、11:半導体発光素子、12:接着層、13:導光体(蛍光体プレート)、14:被覆部材、14A:熱収縮樹脂、14R:回り込み部、16A:内側被覆部材、16B:外側被覆部材、20:発光半導体層、21:第2導電型の半導体層)、22:発光層、23:第1導電型の半導体層、71、71A:第3の被覆部材(内側被覆部材)、72:第1の被覆部材(外側被覆部材)、71G,72G:接着層、200,300:被覆成型機
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図5D
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C