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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023121622
(43)【公開日】2023-08-31
(54)【発明の名称】検出装置および検出方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 25/70 20230101AFI20230824BHJP
   G02B 7/34 20210101ALI20230824BHJP
   G03B 13/36 20210101ALI20230824BHJP
   H04N 25/46 20230101ALI20230824BHJP
   H04N 23/54 20230101ALI20230824BHJP
【FI】
H04N5/369
G02B7/34
G03B13/36
H04N5/347
H04N5/225 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022025068
(22)【出願日】2022-02-21
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VERILOG
(71)【出願人】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109209
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 一任
(72)【発明者】
【氏名】菊地 哲央
(72)【発明者】
【氏名】畠山 陵
(72)【発明者】
【氏名】山崎 幸恵
【テーマコード(参考)】
2H011
2H151
5C024
5C122
【Fターム(参考)】
2H011BA23
2H151BA06
2H151BA17
2H151CB09
5C024CY47
5C024EX13
5C024EX43
5C024EX52
5C024GX03
5C024GX07
5C024GY31
5C024HX28
5C122DA13
5C122EA06
5C122FB05
5C122FB16
5C122FC06
5C122FC10
5C122FD07
5C122HA46
5C122HA88
5C122HB01
5C122HB02
5C122HB05
5C122HB10
(57)【要約】
【課題】ポテンシャル障壁を低く設定した画素を用いて検出する場合においても、検出精度が低下しないようにした検出装置および検出方法を提供する。
【解決手段】マイクロレンズに対応する複数の受光部を有する画素を複数備え、画素は複数の位相差検出方向に応じて受光部の間のポテンシャル障壁の高さを異ならせている撮像素子を具備している。撮像素子へ特定の位相差検出方向を指示して撮像素子の蓄積動作を実行させ(S9)、位相差検出方向に応じて異なる蓄積判定レベルを設定し、加算信号と蓄積判定レベルに基づいて撮像素子の蓄積動作を制御する(S5、S17)。そして、ポテンシャル障壁がより低い位相差検出方向の指示による蓄積動作により生成された対をなす加算信号を複数の画素について画素加算することで対をなす画素加算信号を生成し、この対をなす画素加算信号を上述の加算信号として位相差を検出する(S13)。
【選択図】 図12A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロレンズに対応する複数の受光部を有する画素を複数備え、上記複数の受光部は所定の複数の位相差検出方向に対応して設けられ、上記位相差検出方向に応じて上記複数の受光部の出力信号を加算して対をなす加算信号を出力することが可能であって、上記画素は、上記複数の位相差検出方向に応じて上記受光部の間のポテンシャル障壁の高さを異ならせている撮像素子と、
上記対をなす加算信号に基づく位相差を検出する制御部と、
を具備し、
上記制御部は、上記撮像素子へ特定の位相差検出方向を指示して上記撮像素子の蓄積動作を実行させ、上記位相差検出方向に応じて異なる蓄積判定レベルを設定し、上記加算信号と上記蓄積判定レベルに基づいて上記撮像素子の蓄積動作を制御し、
上記撮像素子は、上記ポテンシャル障壁がより低い位相差検出方向の指示による上記蓄積動作によって生成された上記対をなす加算信号を上記複数の画素について画素加算することで対をなす画素加算信号を生成し、
上記制御部は、上記画素加算信号を上記加算信号として上記位相差を検出する、
ことを特徴とする検出装置。
【請求項2】
上記撮像素子は、上記対をなす加算信号を、上記位相差検出方向と異なる方向に画素加算して上記対をなす画素加算信号を生成することを特徴とする請求項1に記載の検出装置。
【請求項3】
上記撮像素子は、上記対をなす加算信号を、上記位相差検出方向と同じ方向に画素加算して上記対をなす画素加算信号を生成することを特徴とする請求項2に記載の検出装置。
【請求項4】
上記制御部は、上記画素加算に応じて上記蓄積判定レベルを補正し、上記画素加算信号と上記補正された蓄積判定レベルに基づいて上記撮像素子の蓄積動作を制御することを特徴とする請求項1に記載の検出装置。
【請求項5】
上記撮像素子は、上記画素毎に所定の規則によって配置される複数の異なる色フィルタを有し、同色の上記色フィルタに対応する加算信号を加算して上記対をなす画素加算信号を生成することを特徴とする請求項1に記載の検出装置。
【請求項6】
マイクロレンズに対応する複数の受光部を有する画素を複数備え、上記複数の受光部は所定の複数の位相差検出方向に対応して設けられ、上記位相差検出方向に応じて上記複数の受光部の出力信号を加算して対をなす加算信号を出力することが可能であって、上記画素は、上記複数の位相差検出方向に応じて上記受光部の間のポテンシャル障壁の高さを異ならせている撮像素子と、
上記対をなす加算信号に基づく位相差を検出する制御部と、
を具備し、
上記制御部は、上記撮像素子へ特定の位相差検出方向を指示して上記撮像素子の蓄積動作を実行させ、上記位相差検出方向に応じて異なる蓄積判定レベルを設定し、上記加算信号と上記蓄積判定レベルに基づいて上記撮像素子の蓄積動作を制御し、
上記撮像素子は、上記位相差検出方向の指示に応じて上記蓄積動作によって生成された上記対をなす加算信号を、上記位相差検出方向の指示に応じて異なる画素加算の態様によって上記複数の画素について画素加算することで対をなす画素加算信号を生成し、
上記制御部は、上記画素加算信号を上記加算信号として上記位相差を検出する
ことを特徴とする検出装置。
【請求項7】
上記制御部は、同一の上記位相差検出方向を指示して上記撮像素子の蓄積動作を所定回数だけ実行させ、上記所定回数が2以上の場合は上記所定回数の上記蓄積動作に対応する上記加算信号同士を画素加算して上記画素加算信号を生成し、
上記異なる画素加算の態様として上記位相差検出方向に応じて上記所定回数を異ならせることを特徴とする請求項6に記載の検出装置。
【請求項8】
上記撮像素子は、上記異なる画素加算の態様として、上記指示された位相差検出方向に応じて画素加算する上記複数の画素の数または範囲を異ならせて上記画素加算信号を生成することを特徴とする請求項6に記載の検出装置。
【請求項9】
上記制御部は、上記ポテンシャル障壁がより高い位相差検出方向を優先して上記撮像素子の蓄積動作を実行する第1の撮像駆動モードと、上記ポテンシャル障壁がより低い位相差検出方向を優先して蓄積動作を実行する第2の撮像駆動モードとを選択する撮像駆動モード選択部を有し、
上記制御部は、上記撮像駆動モード選択部によって上記第1の撮像駆動モードの蓄積動作を実行させ、上記ポテンシャル障壁がより高い位相差検出方向の検出結果が所定条件を満たす場合に、上記第2の撮像駆動モードによる蓄積動作を実行させ上記ポテンシャル障壁がより低い位相差検出方向の検出を行うことを特徴とする請求項6に記載の検出装置。
【請求項10】
上記所定条件は、上記ポテンシャル障壁がより高い位相差検出方向の位相差検出が連続して複数回検出不能な場合で、かつ、上記ポテンシャル障壁がより低い位相差検出方向の位相差検出が連続して複数回検出可能な場合であることを特徴とする請求項9に記載の検出装置。
【請求項11】
上記制御部は、上記第1の撮像駆動モードでは、上記ポテンシャル障壁がより高い位相差検出方向を指示して上記撮像素子の蓄積動作を複数回実行させ、続いて上記ポテンシャル障壁がより低い位相差検出方向を指示して上記撮像素子の蓄積動作を実行させ、上記ポテンシャル障壁がより高い位相差検出方向の上記複数回の蓄積動作に対応する上記加算信号同士を画素加算して上記画素加算信号を生成し位相差検出を行うことを特徴とする請求項9に記載の検出装置。
【請求項12】
上記制御部は、上記第2の撮像駆動モードでは、上記ポテンシャル障壁がより低い位相差検出方向を指示して上記撮像素子の蓄積動作を複数回実行させ、上記ポテンシャル障壁がより低い位相差検出方向の上記複数回の蓄積動作に対応する上記加算信号同士を画素加算して上記画素加算信号を生成し位相差検出を行うことを特徴とする請求項9に記載の検出装置。
【請求項13】
マイクロレンズに対応する複数の受光部を有する画素を複数備え、上記複数の受光部は所定の複数の位相差検出方向に対応して設けられ、上記位相差検出方向に応じて上記複数の受光部の出力信号を加算して対をなす加算信号を出力することが可能であって、上記画素は、上記複数の位相差検出方向に応じて上記受光部の間のポテンシャル障壁の高さを異ならせている撮像素子を具備する検出装置における検出方法において、
上記撮像素子へ特定の位相差検出方向を指示して上記撮像素子の蓄積動作を実行させ、上記位相差検出方向に応じて異なる蓄積判定レベルを設定し、上記加算信号と上記蓄積判定レベルに基づいて上記撮像素子の蓄積動作を制御し、
上記ポテンシャル障壁がより低い位相差検出方向の指示による上記蓄積動作によって生成された上記対をなす加算信号を上記複数の画素について画素加算することで対をなす画素加算信号を生成し、
上記画素加算信号を上記加算信号として上記位相差を検出する、
ことを特徴とする検出方法。
【請求項14】
マイクロレンズに対応する複数の受光部を有する画素を複数備え、上記複数の受光部は所定の複数の位相差検出方向に対応して設けられ、上記位相差検出方向に応じて上記複数の受光部の出力信号を加算して対をなす加算信号を出力することが可能であって、上記画素は、上記複数の位相差検出方向に応じて上記受光部の間のポテンシャル障壁の高さを異ならせている撮像素子を具備する検出装置における検出方法において、
上記撮像素子へ特定の位相差検出方向を指示して上記撮像素子の蓄積動作を実行させ、上記位相差検出方向に応じて異なる蓄積判定レベルを設定し、上記加算信号と上記蓄積判定レベルに基づいて上記撮像素子の蓄積動作を制御し、
上記位相差検出方向の指示に応じて上記蓄積動作によって生成された上記対をなす加算信号を、上記位相差検出方向の指示に応じて異なる画素加算の態様によって上記複数の画素について画素加算することで対をなす画素加算信号を生成し、
上記画素加算信号を上記加算信号として上記位相差を検出する、
ことを特徴とする検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1個のマイクロレンズに対応する複数の受光部を有する画素を複数備える撮像素子を有し、複数の受光部の出力を用いて対をなす複数の出力信号の位相差を求め、この位相差に基づいて、焦点検出または奥行き検出等の検出を行うことのできる検出装置および検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
撮像素子の撮像面に複数のマイクロレンズと、各マイクロレンズに対応して複数の受光部を配置し、結像光学系の射出瞳を分割した領域を通る複数の光束を、各受光部によってそれぞれ光電変換し、この光電変換された出力信号の位相差を検出し、この位相差に基づいて結像光学系のデフォーカス量を検出する焦点検出装置が知られている。また、この分割された各受光部の出力信号を全て加算することによって、画像を構成する1画素分の画素信号として使用することも知られている。
【0003】
例えば、特許文献1に示される光電変換装置は、撮像素子のマイクロレンズ1個に対応して4分割フォトダイオード(以下、「4PD」と称す)を配置する構成の画素を有し、4PDのうちの上下(TB)のPDの電荷を加算した画素出力を使用して左右(RL)方向の位相差検出を行っている。また、左右(RL)のPDの電荷を加算した画素出力を使用して上下(TB)方向の位相差検出を行っている。この特許文献1においては、4PDの画素において、PD間のポテンシャル障壁を画素間のポテンシャル障壁と異ならせて低く設定することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-162658号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
撮像素子の画素に斜めから光が入射すると、複数の受光部のそれぞれにおいて光電変換によって発生する電荷量が相違し、一部の受光部の電荷が飽和してしまう。この場合には、全ての受光部の信号(電荷)を加算した画像用画素信号の線形性が失われてしまう。
【0006】
特許文献1に示されるように、画素間のポテンシャル障壁よりもPD間のポテンシャル障壁を下げるようにすれば、一部の受光部(PD)が飽和してしまっても、画像用画素信号は飽和することがない。しかしながら、特許文献1では、4PDのいずれか1個において、光電変換された電荷量が飽和すると、水平・垂直方向の両方とも位相差検出が不能となってしまう。従って、特許文献1に記載の技術を採用し位相差検出を行う場合、この飽和を避けるために、より下げられたポテンシャル障壁に相当する1PD分の電荷量(飽和)に対応する閾値電圧に基づき蓄積制御を行う必要がある。すなわち、画像用画素信号(4PD分の信号)の閾値電圧の1/4より小さい閾値電圧を設け、1PD分の信号電圧がこの閾値電圧を越えないように蓄積制御する必要がある。特許文献1に記載の技術を採用して位相差検出を行う場合には、1PD分の信号電圧に対して、画像用画素信号(4PD分の信号)の閾値電圧の1/4より小さい閾値電圧に設定して蓄積制御を行なければならないことから、焦点検出(AF)用信号のダイナミックレンジが不十分になってしまい、検出精度が低下してしまう。
【0007】
また垂直(上下)方向の受光部間のポテンシャル障壁を、水平(左右)方向の受光部間のポテンシャル障壁と異ならせ、より低く設定する場合がある。この場合には、垂直方向のPDの信号を加算した左右一対の信号(それぞれR画素信号、L画素信号と呼び、両方を合わせRL画素信号と呼ぶ)を蓄積・読出す際の信号の閾値を、画像用画素信号(4PD分信号)に対応する閾値の1/2の閾値(2PD分)に設定し蓄積制御を行うことにより飽和を避けることが可能となる。この構成では、原理的に読出し効率が高いRL画素の信号のダイナミックレンジをより大きくとることができ、AFの精度向上と高速化が可能となる。
【0008】
しかしながら、上述したように、垂直方向の受光部間のポテンシャル障壁を水平方向の受光部間のポテンシャル障壁より低く設定する場合、水平方向(左右方向)のPDの信号を加算した上下一対の信号(それぞれT画素信号、B画素信号と呼び、両方を合わせTB画素信号と呼ぶ)をAF用信号として蓄積・読み出す際には、飽和を避けるために、RL画素信号の閾値(画像用画素信号の閾値の1/2)に対してさらにポテンシャル障壁の高さの比率に応じた低い閾値に設定することになる。この場合には、TB画素信号のレベルが小さくなってしまい、検出精度が低下してしまう。
【0009】
本発明は、このような事情を鑑みてなされたものであり、画素内の一部の受光部間のポテンシャル障壁を低く設定した画素を用いて検出する場合においても、検出精度の低下を防止する検出装置および検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため第1の発明に係る検出装置は、マイクロレンズに対応する複数の受光部を有する画素を複数備え、上記複数の受光部は所定の複数の位相差検出方向に対応して設けられ、上記位相差検出方向に応じて上記複数の受光部の出力信号を加算して対をなす加算信号を出力することが可能であって、上記画素は、上記複数の位相差検出方向に応じて上記受光部の間のポテンシャル障壁の高さを異ならせている撮像素子と、上記対をなす加算信号に基づく位相差を検出する制御部と、を具備し、上記制御部は、上記撮像素子へ特定の位相差検出方向を指示して上記撮像素子の蓄積動作を実行させ、上記位相差検出方向に応じて異なる蓄積判定レベルを設定し、上記加算信号と上記蓄積判定レベルに基づいて上記撮像素子の蓄積動作を制御し、上記撮像素子は、上記ポテンシャル障壁がより低い位相差検出方向の指示による上記蓄積動作によって生成された上記対をなす加算信号を上記複数の画素について画素加算することで対をなす画素加算信号を生成し、上記制御部は、上記画素加算信号を上記加算信号として上記位相差を検出する。
【0011】
第2の発明に係る検出装置は、上記第1の発明において、上記撮像素子は、上記対をなす加算信号を、上記位相差検出方向と異なる方向に画素加算して上記対をなす画素加算信号を生成する。
第3の発明に係る検出装置は、上記第2の発明において、上記撮像素子は、上記対をなす加算信号を、上記位相差検出方向と同じ方向に画素加算して上記対をなす画素加算信号を生成する。
【0012】
第4の発明に係る検出装置は、上記第1の発明において、上記制御部は、上記画素加算に応じて上記蓄積判定レベルを補正し、上記画素加算信号と上記補正された蓄積判定レベルに基づいて上記撮像素子の蓄積動作を制御する。
第5の発明に係る検出装置は、上記第1の発明において、上記撮像素子は、上記画素毎に所定の規則によって配置される複数の異なる色フィルタを有し、同色の上記色フィルタに対応する加算信号を加算して上記対をなす画素加算信号を生成する。
【0013】
第6の発明に係る検出装置は、マイクロレンズに対応する複数の受光部を有する画素を複数備え、上記複数の受光部は所定の複数の位相差検出方向に対応して設けられ、上記位相差検出方向に応じて上記複数の受光部の出力信号を加算して対をなす加算信号を出力することが可能であって、上記画素は、上記複数の位相差検出方向に応じて上記受光部の間のポテンシャル障壁の高さを異ならせている撮像素子と、上記対をなす加算信号に基づく位相差を検出する制御部と、を具備し、上記制御部は、上記撮像素子へ特定の位相差検出方向を指示して上記撮像素子の蓄積動作を実行させ、上記位相差検出方向に応じて異なる蓄積判定レベルを設定し、上記加算信号と上記蓄積判定レベルに基づいて上記撮像素子の蓄積動作を制御し、上記撮像素子は、上記位相差検出方向の指示に応じて上記蓄積動作によって生成された上記対をなす加算信号を、上記位相差検出方向の指示に応じて異なる画素加算の態様によって上記複数の画素について画素加算することで対をなす画素加算信号を生成し、上記制御部は、上記画素加算信号を上記加算信号として上記位相差を検出する。
【0014】
第7の発明に係る検出装置は、上記第6の発明において、上記制御部は、同一の上記位相差検出方向を指示して上記撮像素子の蓄積動作を所定回数だけ実行させ、上記所定回数が2以上の場合は上記所定回数の上記蓄積動作に対応する上記加算信号同士を画素加算して上記画素加算信号を生成し、上記異なる画素加算の態様として上記位相差検出方向に応じて上記所定回数を異ならせる。
第8の発明に係る検出装置は、上記第6の発明において、上記撮像素子は、上記異なる画素加算の態様として、上記指示された位相差検出方向に応じて画素加算する上記複数の画素の数または範囲を異ならせて上記画素加算信号を生成する。
【0015】
第9の発明に係る検出装置は、上記第6の発明において、上記制御部は、上記ポテンシャル障壁がより高い位相差検出方向を優先して上記撮像素子の蓄積動作を実行する第1の撮像駆動モードと、上記ポテンシャル障壁がより低い位相差検出方向を優先して蓄積動作を実行する第2の撮像駆動モードとを選択する撮像駆動モード選択部を有し、上記制御部は、上記撮像駆動モード選択部によって上記第1の撮像駆動モードの蓄積動作を実行させ、上記ポテンシャル障壁がより高い位相差検出方向の検出結果が所定条件を満たす場合に、上記第2の撮像駆動モードによる蓄積動作を実行させ上記ポテンシャル障壁がより低い位相差検出方向の検出を行う。
第10の発明に係る検出装置は、上記第9の発明において、上記所定条件は、上記ポテンシャル障壁がより高い位相差検出方向の位相差検出が連続して複数回検出不能な場合で、かつ、上記ポテンシャル障壁がより低い位相差検出方向の位相差検出が連続して複数回検出可能な場合である。
【0016】
第11の発明に係る検出装置は、上記第9の発明において、上記制御部は、上記第1の撮像駆動モードでは、上記ポテンシャル障壁がより高い位相差検出方向を指示して上記撮像素子の蓄積動作を複数回実行させ、続いて上記ポテンシャル障壁がより低い位相差検出方向を指示して上記撮像素子の蓄積動作を実行させ、上記ポテンシャル障壁がより高い位相差検出方向の上記複数回の蓄積動作に対応する上記加算信号同士を画素加算して上記画素加算信号を生成し位相差検出を行う。
第12の発明に係る検出装置は、上記第9の発明において、上記制御部は、上記第2の撮像駆動モードでは、上記ポテンシャル障壁がより低い位相差検出方向を指示して上記撮像素子の蓄積動作を複数回実行させ、上記ポテンシャル障壁がより低い位相差検出方向の上記複数回の蓄積動作に対応する上記加算信号同士を画素加算して上記画素加算信号を生成し位相差検出を行う。
【0017】
第13の発明に係る検出方法は、マイクロレンズに対応する複数の受光部を有する画素を複数備え、上記複数の受光部は所定の複数の位相差検出方向に対応して設けられ、上記位相差検出方向に応じて上記複数の受光部の出力信号を加算して対をなす加算信号を出力することが可能であって、上記画素は、上記複数の位相差検出方向に応じて上記受光部の間のポテンシャル障壁の高さを異ならせている撮像素子を具備する検出装置における検出方法において、上記撮像素子へ特定の位相差検出方向を指示して上記撮像素子の蓄積動作を実行させ、上記位相差検出方向に応じて異なる蓄積判定レベルを設定し、上記加算信号と上記蓄積判定レベルに基づいて上記撮像素子の蓄積動作を制御し、上記ポテンシャル障壁がより低い位相差検出方向の指示による上記蓄積動作によって生成された上記対をなす加算信号を上記複数の画素について画素加算することで対をなす画素加算信号を生成し、 上記画素加算信号を上記加算信号として上記位相差を検出する。
【0018】
第14の発明に係る検出方法は、マイクロレンズに対応する複数の受光部を有する画素を複数備え、上記複数の受光部は所定の複数の位相差検出方向に対応して設けられ、上記位相差検出方向に応じて上記複数の受光部の出力信号を加算して対をなす加算信号を出力することが可能であって、上記画素は、上記複数の位相差検出方向に応じて上記受光部の間のポテンシャル障壁の高さを異ならせている撮像素子を具備する検出装置における検出方法において、上記撮像素子へ特定の位相差検出方向を指示して上記撮像素子の蓄積動作を実行させ、上記位相差検出方向に応じて異なる蓄積判定レベルを設定し、上記加算信号と上記蓄積判定レベルに基づいて上記撮像素子の蓄積動作を制御し、上記位相差検出方向の指示に応じて上記蓄積動作によって生成された上記対をなす加算信号を、上記位相差検出方向の指示に応じて異なる画素加算の態様によって上記複数の画素について画素加算することで対をなす画素加算信号を生成し、上記画素加算信号を上記加算信号として上記位相差を検出する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、画素内の一部の受光部間のポテンシャル障壁を低く設定した画素を用いて検出する場合においても、検出精度の低下を防止する検出装置および検出方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態に係る撮像装置の主として電気的構成を示すブロック図である。
図2】本発明の一実施形態に係る撮像装置の撮像素子の主として電気的構成を示すブロック図である。
図3A】本発明の一実施形態に係る撮像装置において、4PD画素タイプの画素の構成を示す図である。
図3B】本発明の一実施形態に係る撮像装置において、4PD画素タイプの画素部における、マイクロレンズの光軸方向に沿った断面図である。
図4】本発明の一実施形態に係る撮像装置において、4PD画素タイプの画素部における、 RL画素優先の際のポテンシャル障壁を説明する図である。
図5】本発明の一実施形態における撮像装置において、AF時および表示(LV)時の撮像(蓄積/読出し)シーケンスを示す図である。
図6】本発明の一実施形態における撮像装置において、RL画素読出し時の画素加算を説明する図である。
図7】本発明の一実施形態における撮像装置において、TB画素読出し時の画素加算を説明する図である。
図8】本発明の一実施形態における撮像装置において、TB画素読出し時の画素加算の変形例を説明する図である。
図9】本発明の一実施形態における撮像装置において、AF時および表示(LV)時の撮像(蓄積/読出し)シーケンスの変形例を示す図である。
図10】本発明の一実施形態における撮像装置において、TB読出しモードにおいてAFを行う場合において、表示を行う際の画素加算を説明する図である。
図11】本発明の一実施形態における撮像装置において、連写を行う際のAF時および表示(LV)時の撮像(蓄積/読出し)シーケンスを示す図である。
図12A】本発明の一実施形態における撮像装置の動作を示すフローチャートである。
図12B】本発明の一実施形態における撮像装置の動作を示すフローチャートである。
図12C】本発明の一実施形態における撮像装置の動作を示すフローチャートである。
図13】本発明の一実施形態における撮像装置の露出狙い設定動作を示すフローチャートである。
図14】本発明の一実施形態における撮像装置の撮像駆動モード設定の動作を示すフローチャートである。
図15】本発明の一実施形態における撮像装置において、デプスマップの例を示す図である。
図16】本発明の一実施形態における撮像装置において、デプス情報を用いて画像処理を行った画像の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態に係る撮像装置について説明する。この撮像装置は、撮像部を有し、この撮像部によって被写体像を画像データに変換し、この変換された画像データに基づいて、被写体像を本体の背面等に配置した表示部にライブビュー表示する。撮影者はライブビュー表示を観察することによって、構図やシャッタタイミングを決定する。レリーズ操作時には、画像データが記録媒体に記録される。記録媒体に記録された画像データは、再生モードを選択すると、表示部に再生表示することができる。
【0022】
また、本実施形態に係る撮像装置の撮像素子208は、マイクロレンズに対応する複数の受光部を有する画素を複数備え、この複数の受光部は所定の複数の位相差検出方向に対応して設けられている(図3A図3B参照)。また、撮像素子208の画素は、位相差検出方向に応じて、受光部間のポテンシャル障壁の高さを異ならせている(図4(a)参照)。
【0023】
本実施形態において、具体的には、撮像素子のマイクロレンズ1個に対応して4分割フォトダイオードを配置する画素とし(図3A参照)、位相差の検出に当たって横方向(左右方向)を縦方向(上下方向)に対して優先的に位相差検出を行うものとする。右側に配置され上下のフォトダイオード信号を加算(以下上下加算)された信号を生成する仮想的R画素(以下R画素)と左側に配置され上下加算された信号を生成する仮想的L画素(以下L画素)の間(以下RL間)のポテンシャル障壁と、上側に配置され左右のフォトダイ―ド信号を加算(以下左右加算)された信号を生成する仮想的T画素(以下T画素)と下側に配置され左右加算された信号を生成する仮想的B画素(以下B画素)の間(以下TB間)のポテンシャル障壁について、後述のRL画素優先に適合したポテンシャル障壁を持たせている(図4(a)参照)。
【0024】
具体的には、上側に配置されたT画素と下側に配置されたB画素の間のポテンシャル障壁を、右側に配置されたR画素と左側に配置されたL画素の間のポテンシャル障壁より低く設定する(図4(a)参照)。例えば、TB間のポテンシャル障壁の高さを、RL間のポテンシャル障壁の高さの70%に設定する。上下(左右)加算で水平(垂直)位相差検出を行うための2PD(R/L画素またはT/B画素)読み出しの場合には、読み出す画素対の画素間のポテンシャル障壁の高さに応じた閾値電圧(後述する蓄積判定レベル、飽和判定レベル)を設定して蓄積動作を行う。
【0025】
上述したようにTB間におけるポテンシャル障壁の高さをRL間のポテンシャル障壁の高さよりも低く設定すると、RL方向の位相差検出精度を向上させることができる。しかし、TB間のポテンシャル障壁が低いことから、TB画素信号を飽和させないように制御するとTB画素信号の信号レベルが低くなってしまい、TB方向の位相差検出精度が低下するおそれがある。
【0026】
そこで、本実施形態においては、TB画素信号について画素加算により信号レベルを向上させている。画素加算を行うにあたって、1フレーム分のTB画素信号を読み出す場合に、位相差検出方向ではない方向(RL方向)について画素加算を行う。この画素加算を行っても、まだ信号レベルが不足する場合は位相差検出方向(TB方向)にも画素加算を行ってもよい。また、RGB(赤色・緑色・青色)画素の全てのTB画素信号を読出して位相差検出を行うとともに、読出したTB画素データを位相差検出方向(TB方向)にデジタル加算することによって、表示用信データして兼用する。さらに、複数フレーム分のTB画素信号を読出し、同一の位置のTB画素データを加算(フレーム加算)して位相差検出を行ってもよい。
【0027】
図1は、本発明の一実施形態に係る焦点検出装置を含む撮像装置(具体的には例えばデジタルカメラ)1の構成の一例を示すブロック図である。なお、図1中において、矢印付き実線はデータの流れを、矢印付き破線は制御信号の流れをそれぞれ示している。
【0028】
撮像装置1は、交換式レンズ100と、カメラ本体200とを有する。交換式レンズ100は、カメラ本体200に着脱できるように構成されている。交換式レンズ100とカメラ本体200とは、交換式レンズ100がカメラ本体200に装着されたときに、互いに通信できるように接続される。なお、撮像装置1は、必ずしもレンズ交換式の撮像装置でなくてもよい。例えば、撮像装置1は、レンズ一体型の撮像装置であってもよい。また、スマートフォン等、携帯機器内に設けられた撮像装置であってもよい。
【0029】
交換式レンズ100は、撮像光学系102と、駆動部104と、レンズCPU(Central Processing Unit)106と、レンズ側記憶部108とを備える。ここで、交換式レンズ100の各ブロックは、例えばハードウェアによって構成されている。しかしながら、必ずしもハードウェアによって構成されている必要はなく、一部はソフトウェアによって構成されていてもよい。また、交換式レンズ100の各ブロックは、単一のハードウェア又はソフトウェアによって構成されていなくてもよく、複数のハードウェア又はソフトウェアによって構成されていてもよい。また、交換式レンズとカメラ本体が一体に構成されている場合には、レンズCPU106とCPU212が1つのCPUで構成されていてもよい。
【0030】
撮像光学系102は、被写体からの光束をカメラ本体200の撮像素子208に結像させるための光学系である。撮像光学系102は、フォーカスレンズ102aと、絞り102bとを有する。フォーカスレンズ102aは、光軸方向に移動することによって、撮像光学系102の焦点位置を調節できるように構成されている。
【0031】
絞り102bは、フォーカスレンズ102aの光軸上に配置される。絞り102bの口径は可変である。絞り102bは、フォーカスレンズ102aを通過して撮像素子208に入射する被写体からの光量を調節する。駆動部104は、駆動モータと駆動回路等を有し、レンズCPU106から出力される制御信号に基づいて、フォーカスレンズ102aと絞り102bを駆動する。ここで、撮像光学系102は、ズームレンズとして構成されていてもよい。この場合、駆動部104がズーム駆動も行ってもよく、またユーザが手動操作によって焦点距離を変化させてもよい。駆動部104は、撮像光学系に含まれる絞りを駆動する絞り駆動部(アクチュエータ、ドライバ)として機能する。
【0032】
レンズCPU106は、CPUとその周辺回路を含むプロセッサであり、レンズ側記憶部108に記憶されているプログラムに従って動作する。レンズCPU106は、インターフェース(I/F)110を通じてカメラ本体200のCPU212との間で通信できるように構成されている。レンズCPU106は、カメラ本体200のCPU212からの制御信号に従って駆動部104を制御する。また、レンズCPU106は、I/F110を通じて、絞り102bの絞り値(F値)及びレンズ側記憶部108に記憶されているレンズ情報等の各種情報をCPU212に送信する。レンズCPU106は、撮像光学系に含まれるフォーカスレンズの位置を制御するフォーカスレンズ制御部としての機能を果たす。
【0033】
なお、レンズCPU106は、必ずしもCPU(Central Processing Unit)によって構成されていなくてもよい。すなわち、レンズCPU106と同様の機能は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等のプロセッサによって実現されてもよい。また、レンズCPU106と同様の機能は、ソフトウェアによって実現されてもよい。
【0034】
レンズ側記憶部108は、電気的書き換え可能な不揮発性メモリを有し、上述のプログラム以外にも交換式レンズ100に関するレンズ情報等を記憶している。レンズ情報は、例えば撮像光学系102の焦点距離の情報や収差の情報を含む。
【0035】
カメラ本体200は、メカシャッタ202と、駆動部204と、操作部206と、撮像素子208と、手振れ補正回路210と、CPU212と、画像処理回路214と、画像圧縮展開部216と、焦点検出回路218と、露出制御回路220と、表示部222と、バス224と、DRAM(Dynamic Random Access Memory)226と、本体側記憶部228と、記録媒体230とを有する。ここで、カメラ本体200の各ブロックは、例えばハードウェアによって構成されている。しかしながら、必ずしもハードウェアによって構成されている必要はなく、一部はソフトウェアによって構成されていてもよい。また、カメラ本体200の各ブロックは、単一のハードウェア又はソフトウェアによって構成されていなくてもよく、複数のハードウェア又はソフトウェアによって構成されていてもよい。
【0036】
メカシャッタ202は、開閉自在に構成され、撮像素子208への被写体からの光束の入射時間(撮像素子208の露光時間)を調節する。メカシャッタ202としては、例えばフォーカルプレーンシャッタが採用される。このフォーカルプレーンシャッタ以外にも、レンズシャッタをレンズ鏡筒側に設けてもよい。駆動部204は、CPU212からの制御信号に基づいてメカシャッタ202を駆動する。駆動部204は、メカシャッタ202を駆動するアクチュエータと、このアクチュエータの駆動回路等を有し、メカシャッタ202の開閉動作を行う。
【0037】
操作部206は、ユーザの指示を撮像装置1に入力するためのインターフェースであり、電源ボタン、レリーズボタン、動画ボタン、モードダイヤル、再生ボタン、メニューボタン等の各種の操作ボタン及びタッチパネル等の各種の操作部材を含む。この操作部206は、各種の操作部材の操作状態を検知し、検知結果を示す信号をCPU212に出力する。
【0038】
撮像素子208は、撮像光学系102の光軸上であって、メカシャッタ202の後方で、かつ、撮像光学系102によって被写体からの光束が結像される位置付近に配置されている。撮像素子208は、被写体を撮像して被写体に係る画素信号を生成する。
【0039】
撮像素子208は、複数の画素が2次元状に配列された画素部22(図2参照)を有する。画素は、マイクロレンズLe(図3A図3B参照)に対応し、複数の受光部に分割された構成となっている。複数の受光部は、撮像光学系である撮像レンズ2の射出瞳を複数に瞳分割した領域を通過する光束をそれぞれ光電変換して光電変換信号を生成する。撮像素子208は、例えば、原色ベイヤ配列のカラーフィルタを備える単板式CMOS撮像素子として構成されているが、もちろんこの構成に限定されるものではない。撮像素子208の詳しい構成については、図2および図3を用いて後述する。
【0040】
なお、撮像素子208は、各画素の各受光部の出力信号を画素内加算し画素内加算信号を生成し、画素内加算信号をさらに画素加算する。画素内加算信号を増幅して出力するようにしても勿論かまわない。この場合、画素加算処理や増幅処理は、図2のアナログ処理部23参照において行ってよい。勿論、受光部の信号を画素内加算した出力をAD変換したデジタル信号に対して、CPU212等が加算処理を行うようにしてもよい。
【0041】
撮像素子208は、マイクロレンズに対応する複数の受光部を有する画素を複数備え、複数の受光部は所定の複数の位相差検出方向に対応して設けられ、位相差検出方向に応じて複数の受光部の出力信号を加算して対をなす加算信号を出力することが可能な撮像素子である。撮像素子は、複数の位相差検出方向に応じて受光部の間のポテンシャル障壁の高さを異ならせる(例えば、図4参照)。
【0042】
また、撮像素子は、ポテンシャル障壁がより低い位相差検出方向の指示による蓄積動作により生成された対をなす加算信号を複数の画素について画素加算することで対をなす画素加算信号を生成する(例えば、図6図8参照)。なお、後述する制御部は、対をなす画素加算信号を加算信号として位相差を検出する(例えば、図12AのS13、図12BのS31等参照)。撮像素子は、位相差検出方向の指示に応じて蓄積動作により生成された対をなす加算信号を、位相差検出方向の指示に応じて異なる画素加算の態様により複数の画素について画素加算することで対をなす画素加算信号を生成する(例えば、図9参照)。本実施形態においては、画素加算は、同一フレーム内において、同色・同一開口の画素信号の加算を行っており(例えば、図6図8参照)、また異なるフレーム間において、対応する画素位置同士の画素信号の加算も行っている。本実施形態においては、同一フレーム内およびフレーム間の両方で、画素信号の加算を行っているが、いずれか一方の加算のみでもよい。
【0043】
撮像素子208は、図4を用いて後述するように、複数の受光部の間のポテンシャル障壁が、位相差検出方向によって高さが異なる。撮像素子は、対をなす加算信号を、位相差検出方向と異なる方向に画素加算して対をなす画素加算信号を生成する(例えば、図6図7参照)。撮像素子は、対をなす加算信号を、位相差検出方向と同じ方向に画素加算して対をなす画素加算信号を生成する(例えば、図8参照)。撮像素子は、画素毎に所定の規則により配置される複数の異なる色フィルタを有し、同色の色フィルタに対応する加算信号を加算して対をなす画素加算信号を生成する(例えば、図6図7図8図12AのS7、図13等参照)。
【0044】
撮像素子は、異なる画素加算の態様として、指示された位相差検出方向に応じて画素加算する複数の画素の数または範囲を異ならせて画素加算信号を生成する。例えば、図6図7図8)に示すように、指示された位相差検出方向がRL方向かTB方向かに応じて、つまりRL画素読出しかTB画素読出しかに応じて、同一フレーム内で画素加算する画素の数や範囲を異ならせて加算処理を行っている。
【0045】
手振れ補正回路210は、カメラ本体200に発生した手振れが抑制されるように、撮像素子208をその受光面と平行な方向に移動させる。手振れの動きを打ち消すように撮像素子208が移動されることによって、手振れに起因して画像データに発生する被写体像のぶれが抑制される。なお、手振れ補正回路は、交換式レンズ100に設けられていてもよい。この場合の手振れ補正回路は、撮像光学系102に含まれる手振れ補正光学系を移動させるように構成される。
【0046】
CPU212は、CPUとその周辺回路を含むプロセッサであり、本体側記憶部228に記憶されているプログラムに従ってカメラ本体200の全体制御を行う。CPU212は、例えば撮像素子208による撮像動作(撮像駆動モード、画素内加算設定、画素加算設定、読出動作等も含む)を制御する。また、CPU212は、焦点検出回路218によって検出されたフォーカスレンズ102aの焦点状態に応じて、フォーカスレンズ102aを駆動するための制御信号をレンズCPU106に対して出力する。また、CPU212は、露出制御回路220によって算出された露出設定値をレンズCPU106及び撮像素子208に対して出力する。ここで、CPU212は、前述のレンズCPU106と同様に、必ずしもCPUとして構成されていなくてもよい。すなわち、CPU212と同様の機能は、ASIC、FPGA等によって実現されてもよい。また、CPU212と同様の機能は、ソフトウェアによって実現されてもよい。
【0047】
CPU212は焦点検出回路218と協働して、対をなす加算信号に基づく位相差を検出する制御部として機能する(例えば、図12AのS13、図12BのS31等参照)。この制御部は、撮像素子へ特定の位相差検出方向を指示して撮像素子の蓄積動作を実行させ、位相差検出方向に応じて異なる蓄積判定レベルを設定し、加算信号と蓄積判定レベルに基づいて撮像素子の蓄積動作を制御する(例えば、図6図7図8図12AのS7~11、S17、図12BのS27~S31、S35、図13図14等参照)。
【0048】
また、制御部は、画素加算に応じて蓄積判定レベルを補正し、画素加算信号と補正された蓄積判定レベルに基づいて撮像素子の蓄積動作を制御する。後述するように、画素飽和しているか否かの閾値THを、画素加算に応じて(本実施形態においては、RL画素読出しか、TB読出し)、変更している(例えば、図12AのS7、図13等参照)。制御部は、判定結果に基づき焦点検出または奥行き検出を行う(例えば、図12AのS19、図12BのS37、図15等参照)。
【0049】
制御部は、同一の位相差検出方向を指示して撮像素子の蓄積動作を所定回数だけ実行させ、所定回数が2以上の場合は所定回数の蓄積動作に対応する加算信号同士を画素加算して画素加算信号を生成し、異なる画素加算の態様として位相差検出方向に応じて所定回数を異ならせる(例えば、図9図12AのS11、図12BのS29等参照)。例えば、図9に示すように、同一の位相差検出方向で連続するフレームの蓄積動作を行う場合、異なるフレームの画素加算データ同士をさらに加算する(フレーム加算)。上述の「所定回数2以上」として、例えば、RL画素読出しを2回、またはTB画素読出しを2回としてもよい。また、図9に示すように位相差検出方向に応じた所定回数としてRL画素読出しを2回、TB画素読出しを1回とする。
【0050】
また、制御部は、ポテンシャル障壁がより高い位相差検出方向を優先して撮像素子の蓄積動作を実行する第1の撮像駆動モードと(例えば、図9のRL×2モード参照)、ポテンシャル障壁がより低い位相差検出方向を優先して蓄積動作を実行する第2の撮像駆動モード(例えば、図9のTB×2モード参照)とを選択する撮像駆動モード選択部を有している(例えば、図12AのS17、図12BのS35、図14等参照)。制御部は、撮像駆動モード選択部により第1の撮像駆動モードの蓄積動作(例えば、RL×2モード)を実行させ、ポテンシャル障壁がより高い位相差検出方向の検出結果が所定条件を満たす場合に(例えば、図14のS87No参照)、第2の撮像駆動モードによる蓄積動作を実行させ、ポテンシャル障壁がより低い位相差検出方向の検出を行う(例えば、図14のS91参照)。
【0051】
上述の所定条件は、ポテンシャル障壁がより高い位相差検出方向の位相差検出が連続して複数回検出不能な場合で、かつ、ポテンシャル障壁がより低い位相差検出方向の位相差検出が連続して複数回検出可能な場合である(例えば、図14のS83~S87参照)。また、所定の条件は、連続して複数回測距不能な場合で、かつ、ポテンシャル障壁がより低い位相差検出で連続して複数回測距可能な場合であってもよい。
【0052】
また、制御部は、第1の撮像駆動モードでは、ポテンシャル障壁がより高い位相差検出方向を指示して撮像素子の蓄積動作を複数回実行させ、続いてポテンシャル障壁がより低い位相差検出方向を指示して撮像素子の蓄積動作を実行させ、ポテンシャル障壁がより高い位相差検出方向の複数回の蓄積動作に対応する加算信号同士を画素加算して画素加算信号を生成し位相差検出を行う(例えば、図5図6図9図12AのS11、図12BのS29等参照)。
【0053】
また、制御部は、第2の撮像駆動モード(例えば、TB画素読出し)では、ポテンシャル障壁がより低い位相差検出方向を指示して撮像素子の蓄積動作を複数回実行させ、ポテンシャル障壁がより低い位相差検出方向の複数回の蓄積動作に対応する加算信号同士を画素加算して画素加算信号を生成し位相差検出を行う(例えば、図7図8参照)。
【0054】
画像処理回路214は、撮像素子208から読出される複数の画素データから構成される画像データに対して各種の画像処理を施す。例えば画像処理回路214は、静止画撮影(連写も含む)の際には、静止画記録用の画像処理を施し、静止画データを生成する。同様に、画像処理回路214は、動画撮影の際には、動画記録用の画像処理を施し、動画データを生成する。さらに、画像処理回路214は、ライブビュー(LV)表示時には、表示用の画像処理を施し、表示画像データを生成する。
【0055】
画像圧縮展開部216は、画像圧縮回路および画像伸張回路を有する。画像圧縮展開部216は、画像データの記録時には、画像処理回路214で生成された画像データ(静止画データ又は動画データ)を圧縮する。また、画像データの再生時には、記録媒体230に圧縮状態で記録された画像データを伸張する。
【0056】
焦点検出回路218は、撮像素子208の各画素にて画素内加算され出力される焦点検出用画素信号(RL画素信号、TB画素信号)に基づく焦点検出用画素データを用いた位相差検出によってフォーカスレンズ102aの焦点検出を行う。また、焦点検出回路218は、位相差検出結果を用いて、物体の奥行を検出することも可能である。
【0057】
焦点検出回路218は、制御部(CPU212)と協働して、対をなす加算信号に基づく位相差を検出する制御部として機能する(例えば、図12AのS13、図12BのS31等参照)。なお、この制御部の機能は、焦点検出回路218とCPU212が協働して実現する場合に限らず、焦点検出回路218が単独で担ってもよく、また他の回路、プロセッサ等、例えば、CPU212単独で担うようにしてもよい。制御部は、撮像素子へ特定の位相差検出方向を指示して撮像素子の蓄積動作を実行させ(例えば、図12AのS9、S11、図12BのS27、S29参照)、位相差検出方向に応じて異なる蓄積判定レベルを設定し(例えば、図12AのS17、S17、図12BのS27、S35、図14等参照)、加算信号と蓄積判定レベルに基づいて撮像素子の蓄積動作を制御する。
【0058】
露出制御回路220は、測光部としての機能を果たし、撮像素子208の画素データに基づいて露出設定値を算出する。この露出制御回路220は、撮像素子208の画素データから被写体輝度を測定し、測定した被写体輝度から撮影時の被写体の輝度を適正値にするために必要な露出設定値を算出する。露出設定値は、絞り102bの開口量(絞り値)、撮像素子208の露光時間(シャッタースピード)を含む。
【0059】
表示部222は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等のディスプレイを有し、カメラ本体200の背面等に配置され、または電子ビューファインダとして配置される。この表示部222は、CPU212の制御に従って画像を表示する。表示部222は、ライブビュー表示や記録済み画像の再生表示等に使用される。
【0060】
バス224は、撮像素子208、CPU212、画像処理回路214、画像圧縮展開部216、焦点検出回路218、露出制御回路220、表示部222、DRAM226、本体側記憶部228、記録媒体230に接続され、これらのブロックで発生した各種のデータを転送するための転送路として動作する。
【0061】
DRAM226は、電気的に書き換え可能な揮発性メモリであり、撮像素子208から出力される画素データ、静止画データ、動画データ、表示画像データ、CPU212における処理データ等の各種データを一時的に記憶する。なお、一時記憶用としてSDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)が用いられてもよい。
【0062】
本体側記憶部228は、電気的に書き換え可能な不揮発性メモリである。本体側記憶部228は、CPU212で使用されるプログラムと、カメラ本体200の調整値等の各種データを記憶する。記録媒体230は、電気的に書き換え可能な不揮発性メモリであり、カメラ本体200に内蔵されるか又は装填されるように構成されている。記録媒体230は、記録用の画像データを所定の形式の画像ファイルとして記録する。なお、DRAM226、本体側記憶部228及び記録媒体230は、それぞれ1つのメモリ等で構成されてもよいし、複数のメモリ等が組み合わされて構成されてもよい。
【0063】
次に、図2を用いて、撮像素子208の構成について説明する。撮像素子208は、マイクロレンズに対応する画素を有し、この画素は複数の受光部に分割されている。画素は、分割された各受光部によって光束を光電変換して生成された光電変換信号に基づいて画像用画素信号と焦点検出用画素信号を生成する。なお、本実施形態における画素は、受光部としてフォトダイオード(PD)が使用されている。
【0064】
撮像素子208は、図2に示す例において、垂直走査部21と、画素部22と、アナログ処理部23と、ADC(Analog Digital Converter)処理部24と、メモリ部25と、水平走査部26と、出力部27と、入力部28と、素子制御部29と、を備える。
【0065】
画素部22には、画像用画素および焦点検出用画素が配列されている。画像用画素信号と焦点検出用画素信号は、被写体像を光電変換することによって生成され、この生成された信号の読み出しは、垂直走査部21~出力部27までの少なくとも一部、および素子制御部29などが行う。
【0066】
垂直走査部21は、垂直走査回路を有し、画素部22の画素の水平方向の並び(行)を順次、選択することによって、走査を垂直方向に行う。この垂直走査部21が、特定の行を選択して、選択された行にある各画素のリセットや転送を行うことで、画素の電荷蓄積時間(露光時間)が制御される。
【0067】
アナログ処理部23は、アナログ処理回路を有し、画素部22から読み出されたアナログの画素信号をアナログ信号処理する回路である。このアナログ処理部23は、例えば、画素信号を増幅するプリアンプ、画素信号からリセットノイズを低減する相関二重サンプリング(CDS)回路などを含んでいる。
【0068】
アナログ・デジタル変換処理部(ADC処理部)24は、AD変換回路を有し、アナログ処理部23から出力されたアナログの画素信号をデジタルの画素データに変換する。このADC処理部24は、例えば、カラムADCに代表されるような、画素部22から読み出された画素信号を列毎のアナログ・デジタル・コンバータ(ADC)によってAD変換する構成が採用されている。
【0069】
メモリ部25は、メモリを有し、ADC処理部24で変換された画素データを一時的に保持する電気的書き換え可能な揮発性メモリ回路等で構成されている。水平走査部26は、水平走査回路を有し、メモリ部25から、画素データ(画像用画素データと焦点検出用画素データ)を列順に読み出す。
【0070】
出力部27は、出力回路を有し、水平走査部26によって読み出された画素信号を配列して画素信号列を生成し、シリアル信号や差動信号などの出力信号形式に変換して出力する。なお、この出力部27または上述したADC処理部24等は、増感処理(設定されているISO感度に応じた信号増幅処理)を行う増感部としても機能するようになっている。
【0071】
入力部28は、入力回路を有し、CPU212や不図示の撮像素子駆動部から、撮像素子208の制御に係る同期信号、基準クロック、動作設定の情報などを受信する。
【0072】
素子制御部29は、撮像制御回路を有し、入力部28を通じて受信した同期信号および基準クロックに合わせて、撮像素子208内の各ブロックを制御するものであり、読出方法選択部30を備えている。また、素子制御部29は、CPU212から入力部28を通じて撮像駆動モードを切り換える指示等の動作設定指示を受信して、撮像素子208内の各ブロックを制御する。
【0073】
読出方法選択部30は、選択回路を有し、入力部28を通じて受信した動作設定の情報(例えば、静止画撮影、動画撮影、ライブビュー、AF等のカメラモード)に基づいて、撮像素子208からの読出し方法を選択して設定する。画素内加算の読出し方式としては、1PD単純読出し方式、2PD加算読出し方式、4PD全加算値(位相差情報なし)を読出す4PD加算読出し方式、等の全部または一部などを設けてもよい。この画素内加算した画素信号をさらに加算する画素加算の読出方法も設定する。
【0074】
例えば、後述するAF(RL)読出は(例えば、図5参照)、2PD加算読出し方式で、RL方向における一対の焦点検出用画素信号、すなわち、図3AのPDaおよびPDbの画素内加算信号と、PDcとPDdの画素内加算信号を生成してRL画素信号を生成する(図6参照)。また、後述する表示(TB)読出(図5)は、2PD加算読出し方式でTB方向における一対の焦点検出用画素信号(TB画素信号)を出力する(図7図8参照)。このTB方向の一対の焦点検出用画素信号は、図3AのPDaおよびPDcの画素内加算信号と、PDbとPDdの画素内加算信号を生成してTB画素信号として生成される。静止画本露光・読出(図11)は、4PD加算読出し方式で、1つの画素内で生成された4PDの全ての光電変換信号を画素内加算することで画像用画素信号を生成し読み出す。
【0075】
次に、図3Aおよび図3Bを用いて、画素部22に配置された画素の構造について説明する。画素部22は、上述したように、画素が2次元状(垂直方向(列方向)および水平方向(行方向))に配列された画素アレイ部である。
【0076】
図3Aは、1つのマイクロレンズLeに対して4つのフォトダイオードPDが配置される4PD画素の画素構造の例を示す。図3Aに示す4PD画素は、1つのマイクロレンズLeに対して、1つのカラーフィルタFと4つのフォトダイオードPDa、PDb、PDc、PDdを配置する。各画素は、図3Bに示すように、物体側から像側へ向かう積層方向の順に、マイクロレンズLeとカラーフィルタFとフォトダイオードPDa~PDdとが配設された構成となっている。マイクロレンズLeは、光を集めることによって画像用画素としての4PD画素に到達する光量を増加させ、画像用画素の開口率を実質的に大きくするものである。カラーフィルタFは、例えば原色ベイヤ配列のカラーフィルタの場合には、赤色(R)フィルタ、緑色(G)フィルタ、または青色(B)フィルタの何れかが、その画素位置に応じて配設されている。
【0077】
図3Aおよび図3Bに示す4PD画素では、1つのマイクロレンズLeの結像範囲に、フォトダイオードPDa~PDdが瞳分割方向に配設され、4つのフォトダイオードPDa~PDdは、水平方向および垂直方向の位相差を検出することができるように上下左右に4分割されている。4つのフォトダイオードPDが、左上、左下、右上、右下の位置にそれぞれ配置される。すなわち、1つの画素が、4つのフォトダイオードPDa,PDb,PDc,PDdを有し、瞳分割方向は水平方向と垂直方向の2つである。
【0078】
フォトダイオードPDの出力を画素内で垂直2PD加算(上下加算)する場合、つまり、図3Aにおける(PDa+PDb)出力と(PDc+PDd)出力とを生成する場合は、水平方向の位相差を検出(縦線検知)するための焦点検出用画素信号R、Lとなる。図3Aの右上側に示すように、左側の2PD加算信号Lと右側の2PD加算信号Rが得られる。また、フォトダイオードPDの出力を画素内で水平2PD加算(左右加算)する場合、つまり、(PDa+PDc)出力と(PDb+PDd)出力とを生成する場合は、垂直方向の位相差を検出(横線検知)するための焦点検出用画素信号T、Bとなる。図3Aの右下側に示すように、上側の2PD加算値Tと下側の2PD加算信号Bが得られる。また、フォトダイオードPDの出力を画素内で4PD加算する場合、つまり、(PDa+PDb+PDc+PDd)を生成する場合、4PD加算の画素信号は画像用画素信号となる。
【0079】
次に、図4を用いて、4PD画素のポテンシャル障壁の設定について説明する。複数の位相差検出方向に応じて受光部(PD)の間のポテンシャル障壁の高さを異ならせるが、R/L画素優先の方が、読出し効率が良いので、本実施形態においては、R/L画素優先のポテンシャル障壁の設定としRL画素を用いる検出を優先的に使用する。RL画素読出しの方がTB画素読出しに対して読出し効率が良い理由を説明する。撮像素子208から画素データを読出す行数が多いほど読出し時間が長くなりタイムラグが発生する。水平位相差検出用のRL画素データの読出しは、読出す行数の増減が位相差検出精度に影響せず、画素加算や画素間引きによる読出し行数の縮小が可能である。一方、垂直位相差検出用のTB画素信号の読出しは、読出す行数の増減が位相差検出精度に大きく影響し、読出し行数の縮小により精度の低下となる。よって、RL画素信号の読出しは、精度を維持しつつ読出し速度の高速化が容易で読出し効率がより良いといえる。
【0080】
図4(a)は、画素を、電荷を蓄積する器のように表現するイメージ図である。RL画素優先のポテンシャル障壁の設定において、画素内の受光部PD間のポテンシャル障壁(以下、単に障壁と記す)の高さを示す。図4(a)において、LTとLBは、それぞれ、図3Aの上側左受光部LT(PDa)と下側右受光部LB(PDb)に対応し、電荷を蓄積する器に相当する。そして、RTとRBは、それぞれ図3Aの上側右受光部RT(PDc)と下側右受光部RB(PDd)に対応し電荷を蓄積する器に相当する。図3Aを用いて説明したように、位相差の検出方向が矢印A(RL方向ともいう)の場合には、LTとLBに蓄積された電荷に応じた信号を画素内加算することによってL画素信号を生成できる。そして、RTとRBに蓄積された電荷に応じた信号を画素内加算することによって、R画素信号を生成できる。R/L画素優先の場合には、LTとLBの間と、RTとRBの間に位置する障壁Ptb(境界B2に相当)のレベルは、LTとRTの間と、LBおよびRBの間に位置する障壁Prl(境界B1に相当)のレベルに対して、低くなるように設定する。
【0081】
このように、障壁Ptbのレベルが障壁Prlのレベルに対して低くなるように設定しているので、例えば、LTへの入射光量が他の受光部よりも多く、電荷が多量に発生して、蓄積された電荷が障壁Ptbを超えて溢れるような場合がある。この場合には、この溢れ出た電荷はLBにまず流れ込む。このように、電荷が障壁を超えて溢れる場合を電荷の飽和と記す。L画素(LT+LB)において発生した電荷が障壁Prlを超えない限り、R画素(RT+RB)に電荷が流れ出てしまうことがない。このため、位相差方向Aにおいて位相差を検出する場合には、受光部LT、LB、RT、RBのいずれか1つにおいて、障壁Ptbに関する電荷の飽和が発生しても、R画素(RT+RB)とL画素(LT+LB)のそれぞれでは電荷の飽和が発生しない。したがって、R画素、L画素のそれぞれの画素値(画素出力電圧)としては、飽和することがないので、位相差方向Aについての位相差を検出することができる。次に、障壁に関する優先度を持たせる場合と持たせない場合を比較して、優先度を持たせる場合の効果について説明する。
【0082】
図4(b)に示すように、障壁に関する優先度を持たせない場合、すなわち、障壁PaのレベルがRL方向およびTB方向で等しい場合には、受光部LT、LB、RT、RBのいずれか1つでも、蓄積された電荷が飽和して障壁Paを超えて、電荷が流れ出した場合、RL方向の位相差、TB方向の位相差の両方とも電荷量のバランスが崩れ、位相差検出が不能となってしまう。このような電荷の飽和を回避するためには、電荷蓄積量を監視して蓄積時間を調節する必要がある。撮像素子208では、フォトダイオードPDに蓄積された電荷が、容量(フローティングディフュージョン)に転送され電圧に変換されて信号電圧として読み出される。この容量は、4PD加算の画素信号である画像用画素信号として最適化された容量値に設定されている。4PD加算の画素信号の電荷の飽和に相当する信号電圧を1とすると、受光部LT,LB、RT、RBの電荷の飽和に相当する信号電圧は1/4となる。ここでは、説明の複雑化を避けるため、ポテンシャル障壁Paの高さに相当するレベルを4PD加算の電荷の飽和のレベルとする。
【0083】
このため、1PDの画素信号は、1PDの障壁Paのレベルに相当する電荷量(電荷の飽和に相当する電荷量)に相当する閾値電圧、つまり4PD加算の画素信号の電荷の飽和に相当する閾値電圧の1/4に閾値電圧を設定し、この閾値電圧を超えないように蓄積時間を制御する必要がある。このように障壁Paのレベルを同一とし優先度を持たせない場合、閾値電圧としては4PD加算の画素信号の閾値電圧の1/4倍した値を電荷の飽和判定レベルとしなければならない。2PD加算の画素信号の場合も同じであり、1PDの電荷の飽和を判定するためには、4PD加算の画素信号の閾値電圧の1/4倍した値を電荷の飽和判定レベルとしなければならない。したがって、障壁に優先度を持たせない場合、焦点検出用画素(RL画素、TB画素)の信号電圧のダイナミックレンジは画像用画素(4PD加算)の信号電圧のダイナミックレンジの1/4に縮小され、位相差検出の精度が低下する問題がある。
【0084】
一方、上述したRL画素優先の障壁の設定では、障壁に関する優先度を持たせているので、RL画素を読み出す場合は、4PDの内の1PDのLT(またはLB)の電荷量が障壁Ptbを越えても、LT、LBの2PD分の電荷量が障壁Prlを越えなければ、RL画素のそれぞれの信号電圧は飽和しない。RL間の障壁Prlのレベルを、優先度を持たせない場合の障壁Paのレベルと同一とする場合、RL画素の障壁Paのレベルに対応する2PD分(LT、LB、またはRT、RB)の電荷量は、障壁Paのレベルに対応する4PD加算の電荷量の1/2となる。従って、RL画素の信号電圧については、4PD加算の信号電圧の電荷飽和判定レベルの1/2に電荷飽和判定レベルを設定することが可能となる。これによって、RL方向の位相差検出用の焦点検出用画素(RL画素)の信号電圧のダイナミックレンジは、画像用画素(4PD加算)の信号電圧のダイナミックレンジの1/2とすることが可能である。優先度を持たせない場合に比較してダイナミックレンジを2倍に拡大することができる。なお、ポテンシャル障壁の設定は、撮像素子の製造工程にて半導体の不純物濃度の調節等によって設定可能であり、詳細説明を省略する。
【0085】
次に、図4(a)を用いて説明した障壁のレベルの設定に基づき、画素データの飽和判定レベルの設定の仕方について説明する。RL画素優先の障壁の設定でR/L画素の画素データを読み出す場合には、前述したように、飽和判定レベルをR画素とL画素の間の障壁Prlのレベルに相当する電圧レベルに設定する。一般的に、障壁Prlのレベルは、4PD加算画素のリニアリティを確保するために、4PD加算画素の電荷の飽和レベルPの70%程度と設定する。4PD加算画素の画素信号を読み出す場合の信号電圧の飽和レベルを、たとえば4096(量子化12ビットに相当)とする場合には、RL画素の信号電圧の飽和レベルはそれぞれ2PD分の電荷量に相当する信号電圧の4096×70%/2=1433程度に相当する。従って、RL画素の信号電圧(画素データ)の飽和判定レベルは、たとえば1300程度に設定すればよい(図12AのS7、図13参照)。
【0086】
TB画素の画素データを読み出す場合は、飽和判定レベルをT画素とB画素の間の障壁Ptbのレベルに相当する電圧レベルに設定する。障壁Ptbのレベルは、障壁Prlのレベルの70%程度に設定する。4PD加算画素を読み出す場合の信号電圧の飽和レベルを4096とする場合には、TB画素の信号電圧の飽和レベルそれぞれ2PD分の電荷量に相当する信号電圧である4096×70%×70%/4=501程度に相当する。従って、TB画素の信号電圧(画素データ)の飽和判定レベルは、たとえば450程度に設定すればよい(図12AのS7、図13参照)。
【0087】
一方、RL画素優先の障壁の設定としない場合、4つのPDのどれか1個でも電荷の飽和が発生すると、パランスが崩れ相関演算に影響が現れてしまう。この場合には、同じ条件の下で、RL画素の信号電圧の飽和レベルは、4096×70%/4=716程度となってしまう。従って、RL画素優先の障壁の設定とすることによってRL画素の信号電圧(画素データ)は約2倍(1433/716)のダイナミックレンジを確保することができ、効果は大きい。
【0088】
後述する図5に示す位相差検出を行うフレームにおいて、RL画素信号の露光/読出し(AF(RL))の場合は、RL画素用の飽和判定レベル(閾値)、TB画素信号の露光/読出し(表示(TB))の場合は、TB画素用の飽和判定レベル(閾値)を設定して飽和を判定する。
【0089】
次に、図5を用いて、本実施形態におけるAF/表示の露光/読出しシーケンスについて説明する。このシーケンスは、後述する図12AのフローのステップS9におけるAF&LV用露光&読出し処理において実行される。また、本実施形態においては、焦点検出(AF)用としてRL画素読出し行い、表示用としてTB画素読出しを行っている。
【0090】
図5において、「VS」は、素子制御部29に入力される同期信号VS(垂直同期信号)のタイミングを示している。VS(1)からVS(6)はAF露光読出し動作のタイミングを示す垂直同期信号であり、VS(3)、VS(4)、VS(6)、VS(7)は表示露光読出しタイミングを示す垂直同期信号である。素子制御部29はVSに基づいて各フレームの露光・読出し動作のタイミングを制御する。AF露光読出し(AF(RL))の処理は2フレーム続けて行われ、その後、表示露光読出し(表示(TB))の処理が1フレーム行われる。このシーケンスを1個の単位として実行する。図5は、2回連続して実行される例を示している。なお、連続する2回のAF(RL)により読出される焦点検出用RL画素信号はフレーム加算されるが、後述する。各フレームにおいて素子制御部29からのリセット信号が垂直走査部21を通じてライン(行)毎に画素部22の各画素に出力され、各画素の露光動作が開始される。素子制御部29からの読出し信号が垂直走査部21を通じてライン(行)毎に画素部22の各画素に出力され、各画素の露光動作を終了させ読出しを実行する。このリセット信号と読出し信号の間が各フレーム(各画素)の露光時間として制御される。1シーケンスの長さは、LV表示の更新間隔(フレームレート)等に応じて決められる。
【0091】
図5のAF(RL)では、水平方向の位相差検出を行うための焦点検出用画素信号RLの生成と読出しを行う。この時の焦点検出用画素信号の読出しと加算処理については、図6を用いて後述する。また、表示(TB)では、ライブビュー(LV)表示用および、垂直方向の位相差検出を行うための焦点検出用画素信号TBの生成と読出しを行う。このときの画素信号読出しと加算処理については、図7図8を用いて後述する。
【0092】
次に、図6を用いて、図5のAF(RL)において行われる焦点検出用RL画素信号の読出しについて説明する。図6の上側の図は各画素(信号)に対応させた配置と画素加算のイメージを示す。これは、撮像素子上の画素の配置やメモリ上の画素データの配置をイメージするものである。例えば、位置(m1、n1)に位置するRは左側開口の赤色画素(R)またはその信号を、(m2、n1)に位置するRは右側開口の赤色画素(R)またはその信号を意味する。(m1、n2)に位置するGbは左側開口の緑色画素(Gb)またはその信号を、(m2、n2)に位置するGbr右側開口の緑色画素(Gb)またはその信号を意味する。「B」、「Gb」は、同様にそれぞれ左側開口または右側開口の青色画素、緑色画素、またはその信号は青色画素を意味する。
【0093】
アナログ処理部23が、RL画素信号の画素加算を行う。垂直方向については同色・同一開口(左開口同士又は右開口同士)の画素信号を6画素加算するように設定され、水平方向は画素加算を行わない。例えば、行n1、n3、n5、n7、n9、n11に対応するGrの左側(列m3、m7、・・・)と右側(列m4、m8、・・・)の画素信号をそれぞれ画素加算する。同様に、行n2、n4、n6、n8、n10、n12のGbの左側(列m1、m5、・・・)と右側(列m2、m6、・・・)の画素信号をそれぞれ画素加算する。この画素加算を実行すると、図6の下図に示すように、緑色画素データGrとGbの加算値のみを詰めて読み出す。高速化のため赤色画素データRと青色画素データBは間引いて読出していないが、赤色画素データRと青色画素データBも同様に画素加算して読み出してもよい。この画素加算処理を行うことによって、画素信号の行数が圧縮されて減り、読み出し時間が短縮される。一方で、画素信号の列数を圧縮しないので水平方向の位相差の検出精度は確保される。また、図6の下側の図は、このような画素加算後に読出された画素データのメモリ部25のデータ配置のイメージ図である。
【0094】
このように、列毎に6画素のGr画素の左側画素信号と右側画素信号の加算値と、Gb画素の左側画素信号と右側画素信号の加算値が、RL画素信号として、図6の下側の図表に示す形式でメモリ部25に記憶される。撮像素子208は、RL画素データとして、これらの画素加算値をデジタル値に変換して出力し、焦点検出回路218ではこのRL画素データを用いて、後述する相関演算等が実施される。
【0095】
次に、図7を用いて、図5の表示(TB)のTB画素信号の読出しについて説明する。ここでは、主として、ライブビュー表示用の画素信号の読出しを行う。但し、図5のAF(RL)において読み出したRL画素信号に基づいて焦点検出ができない場合に、画素加算読出しされた上下方向のTB画素信号による焦点検出の信頼性があるかの判定について使用される。そのため、TB方向の位相差検出ができるように、位相差情報を残した状態でTB画素信号の画素加算が行われる。TB画素読出しは、TB方向(垂直方向)の位相差、すなわち、撮影画面内の横線のような画像について位相差検出を行うための画素データの読出し処理である。本実施形態においては、RL方向を優先してAFを行うが、被写体によっては、RL方向(水平方向、横方向)の位相差検出ができない場合がある。このような場合に、TB方向(垂直方向、縦方向)の位相差検出が可能であれば、この位相差検出の結果に基づいてAFを行う。
【0096】
図7の上側の図は各画素(信号)に対応させた配置と画素加算のイメージ図であり、図6と同様であることから、詳しい説明を省略する。アナログ処理部23が、TB画素信号の画素加算を行う。この場合、水平方向について、同色、同一開口(上開口同士又は下開口同士)の画素信号を3画素加算するように設定されている。上側開口の画素は前述のT画素、下側開口の画素は前述のB画素に相当する。図8は作図の都合上、TB画素を上下ではなく左右に配置して示している。
【0097】
図7に示す例では、例えば、位置(m1、n1)、(m5、n1)、(m9、n1)の3つのR画素の上側(T)画素信号が画素加算され、加算信号Rが図8の下段左側の図の(m1、n1)に記憶される。また、(m2、n1)、(m6、n1)、(m10、n1)の3つのR画素の下側(B)画素信号が画素加算され、加算信号Rが図8の下段左側の図の(m2、n1)に記憶される。同様に、(m7、n1)、(m11、n1)、(m15、n1)の3つのGr画素の上側(T)画素信号が画素加算され、加算信号Grが図8の下段左側の図の(m3、n1)に記憶される。また、(m8、n1)、(m12、n1)、(m16、n1)の3つのGr画素の下側(B)画素信号が画素加算され、加算信号Grが図8の下段左側の図の(m4、n1)に記憶される。Gb画素、B画素についても、同様に3つの画素信号の加算信号Gb、Bが図8の下段の左側の図表に示す如く記憶される。なお、本明細書においては、図7に示すように、水平方向の3画素を加算する画素加算を「横3加算」と称することがある。
【0098】
また、ライブビュー表示を行うためには、位相差情報は不要であるので、同一画素の上側(T)画素信号と下側(B)画素信号を加算し、位相差情報を消去した画素データを生成する。すなわち、図7の下段の左側の図に示すように、R画素の上側(T)画素信号と下側(B)画素信号を加算し、同様にGr画素、Gb画素、B画素の上側(T)画素信号と下側(B)画素信号を加算する。この加算処理を行うと、図7の下段の右側の図が示すように、位相差情報(すなわち、上側(T)情報と下側(B)情報)が消去され、画像情報のみの信号となる。この加算処理は、CPU212によるデジタル加算により実行される。
【0099】
このように、本実施形態におけるTB画素読出しでは、TB画素信号の画素加算によって信号レベルをより大きくしてS/Nを確保している。なお、水平3画素分の画素加算を、必要な信号レベルや読出し時間に応じて加算画素数を5画素分等に変更してもよい。
【0100】
従って、図7に示す例では、対をなす加算信号(画素内加算されたTB画素信号)を、位相差検出方向(ここでは、TB方向)と異なる方向(ここではRL方向)に画素加算して対をなす画素加算信号を生成している。
【0101】
さらに、図7に示す例では、RGBの画素の全てのTB画素データを読出して位相差検出方向にてデジタル加算することによって、表示用データとして兼用している。なお、AF(RL)のフレーム(図5参照)において、RL画素は高速化のためにG(Gr、Gb)のみ読み出していた。
【0102】
次に、図8を用いて、図7に示したTB画素読出しの変形例について説明する。図7では、位相差検出方向とは異なるRL方向(水平方向、横方向)について同一開口(上開口同士又は下開口同士)の画素信号の画素加算を行う。これに対し、本変形例ではRL方向について画素信号を画素加算するとともに、TB方向(垂直方向、縦方向)についても同一開口(上開口同士又は下開口同士)の画素信号を画素加算する。
【0103】
図8に示す例では、位置(m1、n1)、(m5、n1)、(m9、n1)、(m1、n3)、(m5、n3)、(m9、n3)、(m1、n5)、(m5、n5)、(m9、n5)の9個のR画素の上側(T)画素信号が画素加算される。また、(m2、n1)、(m6、n1)、(m10、n1)、(m2、n3)、(m6、n3)、(m10、n3)、(m2、n5)、(m6、n5)、(m10、n5)の9個のR画素の下側(B)画素信号が画素加算される。B画素、Gr画素、Gb画素についても、それぞれ上側(T)画素信号と下側(B)画素信号が画素加算される。上述した水平3画素/垂直3画素の画素加算の画素加算信号(TB画素信号)は、図8の下段の左側に示すように、マトリックス状の焦点検出用TB画素データとしてメモリ部25に記憶される。さらに、撮像素子208から読出され焦点検出用画素データとしてメモリに記憶され、焦点検出回路218はこの焦点検出用画素データに基づいて位相差を検出する。なお、本明細書においては、図8に示すように、垂直方向の3画素の画素信号と水平方向の3画素の画素信号の画素加算を「横縦9加算」と称することがある。
【0104】
図7に示す例では、対をなす加算信号(画素内加算されたTB画素信号)を、位相差検出方向(ここでは、TB方向)と異なる方向(ここではRL方向)だけについて画素加算して対をなす画素加算信号を生成する。図8に示す変形例は、さらに位相差検出方向と同じ方向についても画素加算を行い、図7の例に対して画素加算信号のレベルをさらに大きくすることができる。
【0105】
また、図8の下段の左側の図表における、同色の異なる開口の複数のR、Gr、Gb、Bの画素加算データの対を加算すると、下段の右側の図表となる。すなわち、この図表に記載の加算値は、画素加算されたT画素信号とB画素信号を加算したものであり、位相差情報が消去されている。ライブビュー表示用の画素データは、位相差情報は不要なので、この図8の下段の右側に示される加算値を用いて表示用データとする。
【0106】
画素加算されたT画素信号とB画素信号の加算は、画素加算されたTB画素信号をAD変換して焦点検出用画素データとして出力し、CPU121が読出した後にデジタル的に加算する。また、アナログ処理部23が画素加算されたT画素信号とB画素信号をさらに画素加算し、メモリ部25の画素加算されたTB画素信号の記憶領域と異なる領域に記憶するという方法でもよい。ここで、図8に示した例では、位相差検出方向、すなわちTB方向についても画素信号の画素加算を行うので、信号レベルを増大させる一方で位相差検出の分解能が低下してAF精度が低下するおそれがある。これに対して、図7の例では、位相差検出方向であるTB方向については画素加算を行わず、位相差検出方向とは異なるRL方向について画素加算を行う。TB方向に画素信号を加算しないので、図8の画素加算に比較して信号レベルはより小さいが位相差検出方向(TB方向)の分解能を維持することができる。図7に示す画素加算を行った結果の信号レベルが、焦点検出演算用としてまだ小さいと判断される場合に、図8に示す画素加算を行うようにしてもよい。また、9画素分の画素加算を、必要な信号レベルや読出し時間に応じて加算画素数を16画素分等に変更してもよい。
【0107】
次に、図9を用いて、本発明の一実施形態の変形例について説明する。図5に示したように、本実施形態においては、2フレーム続けて焦点検出用RL画素読出し(AF(RL))を行い(VS(1)~VS(3)参照)、ライブビュー表示フレームのTB画素読出し(表示(TB))を行っている(VS(3)~VS(4))。この図9の上段に示す撮像駆動シーケンスをRL×2モードともいう(図14参照)。このシーケンスを1個の単位として実行する。図9の上段は、2回連続して実行される例を示している。このRL×2モードにおいて、連続する2回のAF(RL)により読出されるRL画素データをフレーム加算し、フレーム加算されたRL画素データに基づき焦点検出を行う。焦点検出の結果、例えば、被写体像に横線があるが縦線がない場合には、RL画素データで焦点検出しても合焦点を検出することができず、複数回、AF検出結果がNGとなってしまうことがある。図9の上段は、RL×2モードで2回連続して検出NGとなる状態を示す。この場合、VS(3)~VS(4)の表示(TB)の、図7図8に示したTB画素読出しによるTB画素信号の画素加算値(図7図8の下段の左側の図表参照)を用いて焦点検出が可能であるか否かを判定する
【0108】
図9の上段のRL×2モードにおいて、AF(RL)のRL画素信号による焦点検出が不能で、表示(TB)のTB画素信号を用いた焦点検出が可能の場合には、TB画素信号を用いた焦点検出を行うTB×2モード(図9の下段)に切り替える。TB×2モードは、2フレーム続けてTB画素読出し(AF(TB))を行い(VS(11)~VS(13)参照)、その後、表示(ライブビュー)フレームの画素読出しを行う(VS(13)~VS(14)参照)。このシーケンスを1個の単位として実行する。図9の下段は、2回連続して実行される例を示している。連続する2回のAF(TB)により読出される焦点検出用TB画素信号はフレーム加算され焦点検出に使用される。表示フレームでは、ライブビュー表示用の画素読出しを行う(図10)。TB×2モードにおいて、TB画素読出しによる焦点検出が複数回NGの場合は、RL×2モードに切り替える(図14のS95No→S99参照)。
【0109】
図9の下段のTB×2モードのシーケンスにおいて、AF(TB)フレームでは、撮像素子208によりTB画素信号の露光、画素加算(フレーム内画素加算)が行われ、TB画素データが出力されDRAM226に格納される。そして、AF(TB)フレームが2回連続して実行され、2フレーム分のTB画素データがDRAM226に格納される。焦点検出回路218は、2フレーム分のTB画素データの同一画素に対応するTB画素データをデジタル的に加算(フレーム加算)する。焦点検出回路218は、フレーム加算されたTB画素データに基づいて位相差検出を行う。このようなフレーム内画素加算とフレーム加算の両方を実施しても良いが(図12のS13参照)、フレーム内画素加算のみであってもよいし、フレーム加算のみであってもよい。フレーム内画素加算とフレーム加算の両方を実施すれば、フレーム内画素加算よりもさらに信号レベル(S/N)を向上させて検出することができる。このTB画素データを用いて焦点検出を行った結果、信頼性が2回続けて低い場合(検出NGが2回続く)には、再び、RL×2モードに切り替えて焦点検出(AF)を行う。
【0110】
次に、図10を用いて、図9のシーケンスの下段中に示した、VS(13)~VS(14)における、表示フレームの画素読出しについて説明する。
【0111】
図10は、各画素(信号)に対応させた配置と画素加算のイメージ図であり、図6と同様であることから、詳しい説明を省略する。各画素信号は、撮像素子208の各画素の4PDのフォトダイオード信号をすべて画素内加算した信号を示している。すなわち、図10において、R(赤色)画素について(m1、n1)、(m5、n1)、(m9、n1)、(m1、n3)、(m5、n3)、(m9、n3)、(m1、n5)、(m5、n5)、(m9、n5)、の9つのR画素の画素信号を加算し、画素加算信号を生成する。同様に、B(青色)画素について(m7、n4)、(m11、n4)、(m15、n4)、(m7、n6)、(m11、n6)、(m15、n6)、(m7、n8)、(m11、n8)、(m15、n8)、の9つのB画素の画素信号を加算し、画素加算信号を生成する。同様に、Gr画素とGb画素についても、9つの画素信号を加算し、加算信号を生成する。
【0112】
このように、図10に示す表示フレームの画素加算読出しにあたっては、撮像素子208センサでは、各画素の4PDのフォトダイオード信号をすべて画素内加算した画素信号について、アナログ処理部23により垂直方向3画素加算、水平方向3画素加算の9画素加算を行い、AD処理部24によりAD変換して表示用画素データとして出力する。
【0113】
次に、図11に示すシーケンスを用いて、連写撮影を行う場合について説明する。図5に示したシーケンスは、2フレーム続けてAF(RL)の露光・読出しとAF検出を行った後に、表示(TB)フレームの露光・読出しを行い、ライブビュー表示用の画素データの取得を行っていた。この図11に示すシーケンスは、連写を行う場合であって、2フレーム続けてRL画素読出しを行ってから(V(21)~V(23)参照)、静止画撮影と表示用データの取得を行い(V(23)~V(24)参照))、その後、再び、2フレーム続けてRL画素読出しを行っている(V(24)~V(26)参照)。この処理を、レリーズ釦が操作されている間、繰り返し行う。なお、図11に示す例では、RL画素読出しに基づきAF検出を行うとしたが、RL画素読出しによってAF検出ができない場合には、図11のAF(RL)をAF(TB)に置き換えてTB画素読出しを行い、AF検出を行うようにしてもよい。
【0114】
図11のように、図5の表示用フレーム(表示(TB))を、連写における静止画露光とし連写シーケンスに適用してもよい。そして、静止画画像データから表示用画像データを作成してライブビュー表示を行う。また、AF(RL)を2フレーム続けて行い、RL画素信号のフレーム加算を行ってフレーム加算したRL画素データを用いて焦点検出を行う。フレーム加算することによって、更に精度よく位相差を検出することができる。フレーム加算数は2フレーム分に限らず、連写速度に応じAF(RL)を連続3フレーム実行し3フレーム加算としてもよい。
【0115】
次に、図12Aないし図12Cに示すフローチャートを用いて、焦点検出装置を含む撮像装置の動作について説明する。このフローチャートは、カメラ本体200内のCPU212が、本体側記憶部228に記憶されたプログラムに従って、カメラ本体200および交換式レンズ100内の各部を制御することによって実現する。
【0116】
ユーザが撮像装置1の電源をオン操作したことが検出されると、図12Aに示すカメラ電源オンのフローが開始する。電源オンのフローが開始すると、まず1stレリーズスイッチがオンか否かについて判定する(S1)。ここでは、CPU212は、操作部206の内のレリーズボタンの1stレリーズスイッチがオンの状態であるか否かを判定する。ユーザは、被写体にピントを合わせ、露出を決定する場合には、レリーズボタンを半押しする。ユーザがレリーズボタンを半押し操作すると、この操作に応答して1stレリーズスイッチがオンの状態となる。
【0117】
ステップS1における判定の結果、1stレリーズスイッチがオンでない場合、ライブビュー(LV)画像の取り込みを行う(S3)。ここでは、CPU212は、メカシャッタ202を全開状態とするように駆動部204に対して制御信号を出力すると共に、絞り102bを所定量(例えば開放絞り)だけ駆動するように、レンズCPU106に対して制御信号を出力する。その後、CPU212は、所定時間毎に(表示フレームレートで決まる時間)、撮像素子208に対して制御信号を出力し、撮像素子208によるLV表示のための撮像を行う。LV表示のための撮像が完了する毎に、素子制御部29は、画素部22からの画素信号を読み出す。なお、画素信号の読み出しに際し、素子制御部29は、画素部22の各画素内の4個のフォトダイオード(受光部)の信号を画素内加算させ、必要に応じて同色の信号をさらに画素加算させて画素データとして出力する。撮像素子208から出力された画素データは、表示用データとしてDRAM226に記憶され、表示用データに基づき表示部222にライブビュー画像が表示される。
【0118】
ステップS1における判定の結果、1stレリーズスイッチがオンの場合には、次に、RL×2モードを設定する(S5)。ここでは、CPU212は、RL画素読出しを2フレーム続けて撮像を行い、次に表示とTB画素読出しを1フレーム分の撮像を行うRL×2モードを設定する(図9の上段のシーケンス参照)。なお、このRL×2モードを実行した後は、ステップS17において、AF検出結果に応じて、RL×2モードを継続するか、TB×2モードに変更するかが判定される。
【0119】
次に、露出の狙いを設定する(S7)。ここでは、CPU212は、前回フレーム画像を読み出した際のAF露光結果に基づいて、次のAFフレームにおける露光時間の設定を行う。前回、AF検出が可能であり(S15参照)、画素信号が飽和していない場合には、有効AFエリアの画素出力の平均値=TH/3となる程度の露光時間を設定する。また、前回のAFフレームにおいて、全AFエリアの検出がNGであり、かつ飽和画素が発生した場合には、有効AFエリアの最大画素出力値=TH×0.8となるように露光時間を決定する。この露出の狙いの設定の詳しい動作については、図13を用いて後述する。
【0120】
なお、閾値THは、前述の飽和判定レベルに相当し、本実施形態においては、RL読出し時=1300、TB読出し(横3加算)時=450、TB読出し(横縦9加算)時=1300としている。閾値THは、画素データとの比較により画素が飽和した否かの判定に使用するとともに、上述したように露光時間を制御するためのパラメータとして使用する。
【0121】
露出の狙いを設定すると、次に、AF&LV用露光&読出しを行う(S9)。CPU212は、図9にて説明したオートフォーカス(AF)及びLV表示のための撮像と読み出しを行う。前述したように、AFおよびLV用の露光および読出しモードとしては、RL×2モードとTB×2モードがある。初回のみは、RL×2モードが設定されているが、次回以降はステップS17において設定されたモードに基づいて、AF&LV用露光と読出しが実行される。RL×2モードが設定されている場合には、AF検出フレームにおいては、図6を用いて説明したRL画素読出し動作を実行し、LVフレームにおいては、図8または図7を用いて説明したTB画素読出し動作を実行する。TB×2モードが設定されている場合には、AF検出フレームにおいては図7図8を用いて説明したTB画素読出し動作を実行し、LVフレームにおいては、図10を用いて説明した画素読出し動作を実行する。
【0122】
AF&LV用露光&読出しを行うと、次に、読出した2フレーム分のAF用画素データ画素データをフレーム加算する(S11)。フレーム加算は、露光後、読み出された画素信号をADC処理部24によってAD変換した後、同じ画素位置の画素データ同士を加算する。なお、このフレーム加算は、CPU212が行ってもよく、焦点検出回路218が行ってもよい。フレーム加算後のデータを用いて、後述するステップS13において位相差を検出する。フレーム加算は、ベイヤ上の全データを色ごとに、加算平均処理する。なお、加算演算は、「加算平均」によって行ってもよい。加算平均を行うことによって、デジタル演算を行う際に演算値が飽和してしまうことを防止できる。また、本実施形態においては、フレーム加算の有無によって、閾値THの値は変えていない。しかし、フレーム加算の有無に応じて、閾値THを変更するようにしてもよい。例えば、フレーム加算するとダイナミックレンジが広くなることから、フレーム加算を行う場合には閾値THを大きくしてもよい。なお、2フレームの画素データを加算するフレーム間加算を行わない場合には、このステップをスキップしてもよい。
【0123】
次に、相関演算および信頼性判定を行う(S13)。ここでは、CPU212は、焦点検出回路218によって焦点検出演算を実行させる。焦点検出回路218は、DRAM226に記憶されている対をなす焦点検出用画素データ(図6図8の下段の図表参照)を用いて相関演算を行う。相関演算は、複数の所定のAFエリア(焦点検出領域)内の焦点検出用画素データに基づいて、位相差に相当する2像間隔値を、AFエリアについてそれぞれ生成する。相関演算が終了すると、次に、焦点検出回路218は、焦点検出の信頼性判定を行う。信頼性判定は、画素データから得られる被写体像のコントラストに相当する信頼性評価値や、相関演算の結果として算出される複数の相関値に基づいて判定される。
【0124】
信頼性を判定すると、次に、検出がOKか否かを判定する(S15)。ここでは、AF検出がOKかNGかを判定する。すなわち、ステップS13においてエリア毎に信頼性が所定値よりも高いか否かを判定し、低い場合には信頼性がNGとされる。このステップでは、全AFエリアについて、信頼性がNGと判定されなかった場合、つまり、少なくとも1個のAFエリアについて信頼性がOKと判定された場合に、検出OKと判定される。
【0125】
ステップS15における判定の結果、検出がOKでなかった場合、すなわちNGであった場合には、撮像駆動モードを設定する(S17)。ステップS1において、1stレリーズ釦が操作された後、初回はRL×2モードによるRL画素データでAF検出が行われる。この後、R×2モードで連続して複数回検出がNGとなり、かつTB画素読出しによる検出の結果がOKの場合にはTB×2モードによるAF検出に切り替える(図9参照)。TB×2モードに切り替えた後、TB画素読出しで連続して複数回検出がNGとなったか、または1stレリーズが押下られた場合の初回はRL画素読出しに切り替えてAF検出を行う。それ以外の場合には、現在の撮像駆動モードを継続する。この撮像駆動モード設定の詳しい動作については、図14を用いて後述する。撮像駆動モードを設定すると、ステップS1に戻る。
【0126】
一方、ステップS15における判定の結果、検出がOKであった場合には、次に、ピントずれ量を検出する(S19)。ここでは、焦点検出回路218は、ステップS13における信頼性判定の際に信頼性が高いと判定された焦点検出領域(AFエリア)の2像間隔値を用いてフォーカスレンズ102aのピントずれ量(デフォーカス量)を算出する。
【0127】
ピントずれ量を算出すると、次に、エリアを選択する(S21)。ここでは、焦点検出回路218は、信頼性判定によって信頼性が高いと判定された複数の焦点検出領域のピントずれ量に基づいて焦点検出領域(および対応するデフォーカス量)を選択する。例えば最至近に対応するデフォーカス量を示す焦点検出領域を選択する。エリア選択処理は、最至近被写体に限らず、顔検出による人の顔が存在するエリアを選択してもよく、ユーザがマニュアルで選択したエリアであってもよい。なお、エリア選択は、CPU212が行ってもよい。
【0128】
エリア選択を行うと、次に、合焦状態を判定する(S23)。ここでは、CPU212は、フォーカスレンズ102aが合焦状態にあるか否かを判定する。すなわち、エリア選択処理において選択された焦点検出領域におけるピントずれ量が予め定められた許容範囲内であるか否かを判定し、許容範囲内であるときには合焦状態と判定する。
【0129】
ステップS23における判定の結果、合焦状態でない場合には、フォーカスレンズ駆動を実行する(S25)。ここでは、CPU212は、ステップS21において選択された焦点検出領域について算出されたピントずれ量に基づくフォーカスレンズ位置に、フォーカスレンズ102aが駆動されるようにレンズCPU106と通信を行い、制御信号を出力する。レンズCPU106は、この制御信号を受けると、駆動部104を通じてフォーカスレンズ102aを指示された位置へ駆動する。フォーカスレンズ102aを駆動する。その後、処理はS1に戻る。
【0130】
ステップS23における判定の結果、合焦状態の場合には、AF&LV用露光&読出しを行う(S27)。ここでは、CPU212は、ステップS9と同様に、オートフォーカス(AF)及びライブビュー(LV)表示のための撮像(露光)と読み出しを行う。撮像駆動モードは、直前に実行された撮像駆動モードを実行し、次回以降は、後述するステップS35において設定された撮像駆動モードを実行する。撮像素子208から焦点検出用画素データが読み出されDRAM226に記憶され、表示用画素データがDRAM226に記憶される。また、表示用画素データを用いてライブビュー(LV)表示を行う。
【0131】
次に、AFの2フレームを加算する(S29)。ここでは、2フレーム続けて実行したAF用読出しの焦点検出用画素データをフレーム加算する。このステップS29における処理は、ステップS11と同様であることから、詳しい説明は省略する。続いて、相関演算および信頼性判定を行う(S31)。ここでは、焦点検出回路218が焦点検出演算を実行し、また焦点検出結果の信頼性を判定する。このステップS31における処理は、ステップS13と同様であることから、詳しい説明は省略する。
【0132】
ステップS31において、信頼性を判定すると、次に、検出がOKか否かを判定する(S33)。ここでは、ステップS31における信頼性判定結果に基づいて、焦点検出結果がOKか否かを判定する。このステップS33における処理は、ステップS15と同様であることから、詳しい説明は省略する。
【0133】
ステップS33における判定の結果、検出がOKでなかった場合、すなわちNGであった場合には、撮像駆動モードを設定する(S35)。このステップでは、撮像駆動モードを、RL×2モードとTB×2モードの何れかに設定する。このステップS35における処理は、ステップS17と同様であることから、詳しい説明は省略する。
【0134】
一方、ステップS33における判定の結果、検出がOKであった場合には、次に、ピントずれ量を検出する(S37)。ここでは、焦点検出回路218は、フォーカスレンズ102aのピントずれ量(デフォーカス量)を算出し、このピントずれ量に基づいて、焦点検出領域(および対応するデフォーカス量)を選択する。このステップS37における処理は、ステップS19と同様であることから、詳しい説明は省略する。
【0135】
ピントずれ量を算出すると、次に、エリアを選択する(S39)。ここでは、ステップS37において算出されたピントずれ量等に基づいて、ピントを合わせるエリアを選択する。このステップS39における処理は、ステップS21と同様であることから、詳しい説明は省略する。
【0136】
エリアを選択すると、次に、履歴情報を保存する(S41)。ここでは、焦点検出回路218は、焦点検出に係る情報を履歴情報として例えばDRAM226に保存する。焦点検出に係る情報は、例えばステップS37で算出されたピントずれ量の情報、画素データ取得時刻、及び選択された焦点検出領域の情報を含む。なお、履歴情報の保存は、CPU212が、焦点検出に係る情報をDRAM226に保存するようにしてもよい。
【0137】
履歴情報を保存すると、次に、2ndレリーズスイッチがオンか否かについて判定する(S43)。ここでは、CPU212が、操作部206の内の2ndレリーズスイッチがオンされているか否かを判定する。ユーザが、静止画画像を撮影する場合にレリーズボタンを全押しすると、この操作に応答して2ndレリーズスイッチがオンの状態となる。連写撮影モードが設定されている場合には、ユーザがレリーズ釦を全押し操作を行っている間、このステップにおける判定はYesとなり、ステップS49以下の処理を繰り返す(図11参照)。
【0138】
ステップS43における判定の結果、2ndレリーズスイッチがオンでない場合は、合焦状態か否かを判定する(S45)。ここでは、ステップS23と同様の処理を行い、判定の結果、合焦状態の場合には、S27に戻る。
【0139】
一方、ステップS43における判定の結果、合焦状態でない場合には、フォーカスレンズを駆動する(S47)。ここでは、CPU212は、ステップS25と同様にフォーカスレンズ102aをピントずれ量に基づいて適切なフォーカスレンズ位置に移動させる。フォーカスレンズ駆動を行うと、ステップS27に戻る。
【0140】
ステップS43に戻り、このステップにおける判定の結果、2ndレリーズスイッチがオンの場合には、動体予測演算を行う(S47)。ここでは、CPU212は、焦点検出回路218に動体予測演算を実行させる。動体予測演算は、ステップS41において記憶させた過去のピントずれ量演算の結果(フォーカスレンズ位置)と検出時刻の履歴に基づいて、今回の静止画の露光時において合焦となるフォーカスレンズ102aの位置を予測する。
【0141】
動体予測演算を行うと、次に、シャッタ動作を開始する(S51)。ここでは、CPU212は、静止画取得のための撮像(本露光)を行うために、メカシャッタ202の動作を開始させる。このメカシャッタ202の動作は、本露光の前後のメカシャッタ202の開閉動作と、本露光の後でライブビュー及びAFのための撮像を開始するためのメカシャッタ202の全開動作とを含む(図12Cのフローには、シャッタ動作の開始のタイミングのみを記載している)。CPU212は、シャッタ動作を開始すると、まず、メカシャッタ202を全閉状態とするように駆動部204の制御信号を切り替える。そして、ステップS55において、本露光の間、メカシャッタ202を全開した後に一旦全閉する。その後、CPU212は、メカシャッタ202を全開状態とするように駆動部204を制御する。
【0142】
シャッタ動作を開始すると、絞りの絞り込み駆動とフォーカスレンズ駆動(LD)を同時に開始する(S53)。ここでは、CPU212は、レンズCPU106に対してフォーカスレンズ102a及び絞り102bを同時に駆動させるように指示し、両者の動作を開始させる。フォーカスレンズ102aの駆動位置は、ステップS49の動体予測演算において予測された位置である。絞り102bの開口量は、直前の測光演算によって測定された被写体輝度に基づいて算出された絞り値に応じた開口量である。
【0143】
絞りとフォーカスレンズ駆動を行うと、次に、本露光を行う(S55)。ここでは、CPU212は、本露光を実行し、前述したように、メカシャッタ202によって予め決められた露光期間だけを露光させるように駆動部204を制御する。本露光は、静止画記録用の画像データを取得するための撮像であり、露光読出し動作では画素ごとに4個のフォトダイオードの出力値を画素内加算(4PD加算)した画素値を生成し出力する。CPU212は、本露光の終了後に、撮像素子208から画素信号を読み出す動作を実行させ、画素信号の読み出し後、記録用の静止画データを生成するための処理を画像処理回路214に行わせる。画像処理回路214は、記録用の画像データの生成に必要な処理を行って記録用の静止画データを生成する。画像処理の完了後、CPU212は、画像圧縮展開部216によって記録用の静止画データを圧縮する。圧縮の完了後、CPU212は、圧縮された記録用の静止画データを画像ファイルとして記録媒体230に記録する。
【0144】
続いて、絞りLD同時駆動(開放)を実行する(S57)。ここでは、CPU212は、レンズCPU106に対して絞り102bを開放させるように、またフォーカスレンズ102aを目標位置へ駆動するように指示する。また、ステップS49における動体予測演算によって予測された位置へ、ステップS53においてフォーカスレンズ102aを駆動している。しかしながら、本露光までの処理時間が限られるため目標位置に達せずに、駆動に残りが生ずることがある。ステップS57では、このようなフォーカスレンズの駆動残り分を駆動するように指示する。
【0145】
続いて、1stレリーズスイッチがオンか否について判定する(S59)。ここでは、CPU212は、操作部206の内のレリーズボタンの1stレリーズスイッチがオンの状態であるか否かを判定する。この判定の結果、1stレリーズスイッチがオンの場合には、ステップS27に戻り、前述の処理を実行する。
【0146】
一方、ステップS57における判定の結果、1stレリーズスイッチがオンでない場合には、カメラ電源がオフか否かを判定する(S61)。ここでは、CPU212は、カメラ本体200の電源をオフするか否かを判定する。例えば、ユーザの操作部206の操作によって電源のオフが指示された場合、又は所定時間のユーザの操作部206の操作がない場合には電源をオフすると判定される。この判定の結果、カメラ本体200の電源をオフしないと判定されたときには、処理はステップS1に戻る。一方、ステップS61において、カメラ本体200の電源をオフすると判定されたときには、このフローの処理は終了する。
【0147】
次に、図13に示すフローチャートを用いて、ステップS7(図12A参照)の露出狙いの設定における動作について説明する。この露出狙いの設定のフローでは、前述したように、画素データが閾値THを超えないように露光時間を設定するものであり、RL画素読出しが設定されている場合にはTHは1300に設定され、横3加算のTB画素読出しが設定されている場合にはTH450に設定され、横縦9加算のTB画素読出しが設定されている場合には1300が設定されている。
【0148】
露出狙いの設定のフローが開始すると、まず、前回、検出可能か否かを判定する(S71)。ここでは、ステップS15またはS33において、AF検出結果がOKか否かを判定しているので、このステップでは、これらの判定の結果が、検出OKか否かを判定する。
【0149】
ステップS71における判定の結果、前回、検出可能ではない場合には、飽和画素があるか否かを判定する(S73)。ここでは、撮像素子208から読み出された画素データの値が、閾値THを超えている画素があるか否かを判定する。この閾値THは、前述したように、RL画素読出し、横3加算のTB画素読出、横縦9加算のTB画素読出に応じて異なっている。なお、飽和画素があるか否かの判定にあたっては、飽和画素の数が所定数を超えている場合に、Yesと判定してもよく、所定数としては、1個、10個等の固定値でもよく、また読み出す画素数に対する割合であってもよい。
【0150】
ステップS73における判定の結果、飽和画素ありと判定された場合には、今回の露光時間=前回の露光時間×(TH×0.8)/有効AFエリアの最大画素出力値平均とする(S75)。ここでは、前回検出不能であり、また飽和画素が発生していることから、飽和画素が発生しない(または所定数以下になる)ように、今回の露光時間の調整を行う。このために、前回のAF検出の有効AFエリアにおける最大画素出力値平均が、今回は閾値THの80%になるような、より短い露光時間を求める。最大画素出力値平均は、複数のAFエリアのそれぞれの最大画素出力値の平均値である。なお、本実施形態においては、閾値THの80%としているが、この閾値THの値は設計思想に応じて適宜変更してもよい。
【0151】
一方、ステップS71における判定の結果、前回、検出可能であった場合、またはステップS73における判定の結果、飽和画素がない場合には、今回の露光時間=前回の露光時間×(TH/3)/(有効AFエリアの画素出力値平均)とする(S77)。ここでは、前回検出可能であったことから、今回も検出可能となるような露光時間を設定する。すなわち、前回の検出の有効AFエリアにおける画素出力値の平均値が、閾値THの1/3になるような露光時間を求める。一般に、画素出力値の平均値が閾値THの1/3となるように露光時間を制御すれば、最大画素値が飽和することを防止できる。なお、ステップTH/3を狙いとしているが、これに限らず、例えば、TH/2を用いてもよく、設計思想に応じて適宜変更してもよい。また、ステップS77では、前回の露光時間を採用してもよい。
【0152】
次に、図14に示すフローチャートを用いて、ステップS17(図12A参照)およびS35(図12B参照)の撮像駆動モード設定における動作について説明する。この撮像駆動モード設定のフローでは、前述したように、撮像素子208から画素データを読み出すシーケンスとして、RL×2モード、TB×2モードの、いずれかの撮像駆動モードを設定する。
【0153】
撮像駆動モード設定のフローが開始すると、まず、現在、RL×2モードが設定されているか否かを判定する(S81)。前述したように、初回はRL×2モードが設定されているが(図12AのS5、図12BのS33参照)、検出結果が所定条件を満たす検出NG(検出不能)の状態となると撮像駆動モードが変更される(図12AのS17、図12BのS35参照)。このステップでは、現在設定されている撮像駆動モードがRL×2モードであるか否かを判定する。
【0154】
ステップS81における判定の結果、現在、RL×2モードが設定されていた場合には、RL画素データを用いたAF検出(以下RL検出)の結果、全AFエリアにおいて検出NGか否かを判定する(S83)。本実施形態においては、前述したように、ステップS15(図12A)またはステップS33(図12B)において、全AFエリアにおける検出N結果を判定している。このステップでは、CPU212は、RL×2モードで全AFエリアにおいてRL検出がNGか否かを判定する。
【0155】
ステップS83における判定の結果、RL×2モードのRL検出が全AFエリアにてNGの場合には、前回のRL×2モードのRL検出が全AFエリアにてNGか否かを判定する(S85)。前述したように、本実施形態においては、RL×2モードによるRL検出を2回行い、RL検出が2回とも検出NGの場合に2回目のRL×2モードによるTB検出の結果を参照する。このステップでは、CPU212が、RL×2モードの前回1回目のRL検出が検出NGか否かを判定する。今回が1回目のRL×2モードでRL検出がNGの場合は、RL×2モードの2回目を実行させるためNOと判定する。
【0156】
ステップS85における判定の結果、前回のRL×2モードで全AFエリアのRL検出がNGの場合は、次に、2回目のRL×2モードのTB画素データ(表示(TB))を用いた検出(以下TB検出)が全AFエリアでNGか否かを判定する(S87)。RL×2モードは、図5に示したように、2回のRL画素読出し(AF(RL))を行うと(VS(1)~VS(3))、次に、TB画素読出し(表示(TB))を行う(VS(3)~VS(4))。このステップでは、CPU212が、TB画素読出しで取得されたTB画素データを用いたTB検出が全AFエリアで検出NGか否かを判定する。
【0157】
ステップS87における判定の結果、2回目のRL×2モードのTB検出が全AFエリアで検出NGの場合、またはステップS85における判定の結果、前回のRL×2モードで全AFエリアのRL検出がNGの場合、またはステップS83においてRL検出が全AFエリアで検出NGではない(一部のAFエリアで検出可能)の場合には、次に、RL×2モードを継続する(S89)。この場合には、図5に示しRL×2モードを続行する。
【0158】
一方、ステップS87における判定の結果、2回目のRL×2モードのTB検出が全てNGでない場合、すなわち、少なくとも一部のAFエリアでのTB検出が検出OKの場合には、次に、撮像駆動モードをTB×2モードに変更する(S91)。TB×2モードは、図9の下段のシーケンスに示すように、2フレーム続けてTB画素読出し(AF(TB))を行い、フレーム加算したTB画素データを用いてTB検出行うモードである(VS(11)~VS(13)参照)。
【0159】
ステップS81に戻り、このステップでの判定の結果が、現在RL×2モードが設定されていない場合、すなわちTB×2モードが設定されている場合には、次に、TB画素データを用いたTB検出の結果、全AFエリアにおいて検出NGか否かを判定する(S93)。本実施形態においては、前述したように、ステップS15(図12A)またはステップS33(図12B)において、全AFエリアにおける検出結果を判定している。このステップでは、CPU212は、TB×2モードでTB検出した結果、全AFエリアにおいてTB検出が検出NGか否かを判定する。
【0160】
ステップS93における判定の結果、TB×2モードのTB検出が、全AFエリアについて検出NGであった場合には、次に、TB×2モードの1回目か否かを判定する(S95)。
【0161】
ステップS93における判定の結果、TB×2モードのTB検出が全AFエリアについて検出NGではない場合、またはステップS95における判定の結果、TB×2モードの1回目の場合には、TB×2モードをそのまま継続する(S97)。TB画素読出しによるTB検出の結果、全AFエリアについてNGでなく一部のAFエリアで検出可能の場合は、検出可能なAFエリアでのTB検出を行うためTB×2モードを継続する。TB×2モードの1回目の検出の場合には、TB×2モードの2回目の検出結果を判定するためにTB×2モードを続行する。
【0162】
一方、ステップS95における判定の結果、TB×2モードの1回目でない場合には、RL×2モードに変更する(S99)。TB画素読出しによるTB検出の結果、検出NGが2回続いたことから、撮像駆動モードをRL×2モードに変更する。この場合は、例えば被写体が横線から縦線へ変化によりTB画素読出しによる垂直方向の位相差を検出し難くなった可能性がある。そこで、縦線を検出可能なRL画素読出しによる水平方向の位相差を検出するためにRL×2モードに変更している。
【0163】
ステップS89、S91、S97、S99において、撮像駆動モードの設定を行うと、元のフローに戻る。
【0164】
図1図14を用いて、本発明の一実施形態として、撮影レンズの焦点検出を行い、撮影レンズを合焦点に移動させる例について説明した。しかし、本発明は自動焦点調節(オートフォーカス)に適用する以外にも、たとえば、デプスマップを作成する場合に応用することができる。前述したように、本実施形態においては、撮像素子208を複数のAFエリアに分割し、このAFエリア毎に撮影レンズのデフォーカス量(ピントずれ量)を算出している(図12AのS19参照)。図15は、このAFエリア毎に、デフォーカス量をマッピングした例である。すなわち、図15に示すデプスマップにおいて、画面上の数値は、そのAFエリアに対応する被写体のデフォーカス量(ピントずれ量)を示している。
【0165】
図15に示すようなデプスマップが作成できると、このデプスマップを用いて、ボケ量をコントロールしたり、3D画像を再構築したりすることができる。図16は、デプス情報を用いて、主要被写体以外の被写体、例えば、背景や手前にある被写体等の邪魔な被写体をぼかす画像処理を行った例である。図16において、左側に示す画像P1は、画像処理する前の画像であり、エリア毎にデプス情報を検出したデプスマップが作成されている。右側に示す画像P2は、背景の鳥等の画像と、手前の印刷物の画像を、デプス情報に基づいて、ぼかす画像処理を施してある。すなわち、デプス情報が第1の所定値より遠距離を示すエリアと、第2の所定値より近距離を示すエリアの画像に対してぼかし処理をほどこしてある。このような画像処理を施すことによって、主要被写体を目立たせることができる。
【0166】
以上説明したように、本発明の一実施形態においては、撮像素子のマイクロレンズ1個に対応する4分割PDの画素(受光部)が設けられ、RL画素優先となるようにポテンシャル障壁を設定し(図4(a)参照)、2PD読み出しの場合に読出す画素対のポテンシャル障壁の高さに応じた閾値電圧を設定して蓄積動作を行っている。 TB画素間のポテンシャル障壁をRL画素間のポテンシャル障壁より低く設定している(図4(a)参照)。より低い閾値電圧のTB画素信号を用いる場合には、TB画素信号を画素加算することによって信号レベルを向上させ、位相差検出精度を向上させている(図7図8参照)。このため、左右位相差検出のRL画素の信号のダイナミックレンジをより大きくとることができ、上下位相差検出のTB画素の信号成分を向上するので、トータルのAF精度を向上させることができる。
【0167】
また、本発明の一実施形態における検出装置は、マイクロレンズに対応する複数の受光部を有する画素を複数備え、複数の受光部は所定の複数の位相差検出方向に対応して設けられ、位相差検出方向に応じて複数の受光部の出力信号を加算して対をなす加算信号を出力することが可能であって、画素は、複数の位相差検出方向に応じて受光部の間のポテンシャル障壁の高さを異ならせている撮像素子を具備している(図3図4(a)参照)。そして、この検出装置では、撮像素子へ特定の位相差検出方向を指示して撮像素子の蓄積動作を実行させ(例えば、図12AのS9、図12BのS27、S29等参照)、位相差検出方向に応じて異なる蓄積判定レベルを設定し、加算信号と蓄積判定レベルに基づいて撮像素子の蓄積動作を制御している(例えば、図12AのS5、S17、図12BのS35、図14等参照)。そして、ポテンシャル障壁がより低い位相差検出方向の指示による蓄積動作によって生成された対をなす加算信号を複数の画素について画素加算することで対をなす画素加算信号を生成し(図6図8参照)、対をなす画素加算信号に基づき位相差を検出している(例えば、図12AのS13、図12BのS31等参照)。このため、ポテンシャル障壁を低く設定した画素を用いて検出する場合においても(例えば、TB画素読出しで検出する場合)、検出精度が低下することがない。
【0168】
また、本発明の一実施形態において、上述の検出装置では、撮像素子へ特定の位相差検出方向を指示して撮像素子の蓄積動作を実行させ、位相差検出方向に応じて異なる蓄積判定レベルを設定し、加算信号と蓄積判定レベルに基づいて撮像素子の蓄積動作を制御している(例えば、図12AのS5、S17、図12BのS35、図14等参照)。そして、位相差検出方向の指示に応じて蓄積動作によって生成された対をなす加算信号を、位相差検出方向の指示に応じて異なる画素加算の態様によって複数の画素について画素加算することで対をなす画素加算信号を生成し(例えば、図9図12AのS9、S11、図12BのS27、S29等参照)、対をなす画素加算信号に基づき位相差を検出している(例えば、図12AのS13、図12BのS31等参照)。このため、ポテンシャル障壁を低く設定した画素を用いて検出する場合においても(例えば、TB画素読出しで検出する場合)、検出精度が低下することがない。
【0169】
なお、本発明の一実施形態においては、AF検出を行う場合に、2フレーム連続して行っていた(例えば、図5図9参照)。しかし、連続するフレーム数は、2回に限らず、3回以上でもかまわない。フレーム内加算のみでフレーム間加算処理を行わない場合には、2フレーム連続せずに、AF検出は1フレームのみであってもよい。
【0170】
また、画素信号が飽和しているか否かの判断するための閾値THとして、RL画素読出し時=1300、TB画素読出し時(横3加算)時=450、TB画素読出し(横9加算)時=1300を用いていた。しかし、この値は、使用する画素信号のビット数等を考慮して適宜変更してもよい。また、露出狙いの設定を行う際の演算式(図13のS75、S77)は、飽和画素を考慮して適宜変更してもよい。
【0171】
また、本発明の一実施形態においては、焦点検出回路218、画像処理回路214、画像圧縮展開部216、露出制御回路220等の全部または一部を、CPU212およびその周辺回路と一体化してもよい。また、焦点検出回路218、画像処理回路214、画像圧縮展開部216、露出制御回路220等は、ヴェリログ(Verilog)によって記述されたプログラム言語に基づいて生成されたゲート回路等のハードウェア構成でもよく、またDSP(Digital Signal Processor)等のソフトを利用したハードウェア構成を利用してもよく、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路で構成されたプロセッサにおける各回路部であってもよい。また、これらを適宜組み合わせてもよいことは勿論である。または、1つ以上のCPUで構成されるプロセッサが、記録媒体に記録されたコンピュータプログラムを読み込んで実行することによって、各部としての機能を実行するようにしても構わない。
【0172】
また、本発明の一実施形態においては、撮影のための機器として、デジタルカメラを用いて説明したが、カメラとしては、デジタル一眼レフカメラでもミラーレスカメラでもコンパクトデジタルカメラでもよく、ビデオカメラ、ムービーカメラのような動画用のカメラでもよく、さらに、携帯電話、スマートフォン、携帯情報端末、パーソナルコンピュータ(PC)、タブレット型コンピュータ、ゲーム機器等に内蔵されるカメラ、医療用カメラ(例えば、医療用内視鏡)、顕微鏡等の科学機器用のカメラ、工業用内視鏡、自動車搭載用カメラ、監視用カメラでも構わない。いずれにしても、撮像面において位相差AFを採用する撮影のための機器であれば、本発明を適用することができる。さらに、焦点検出装置に限らず、位相差を検出する検出装置であれば、本発明を適することができる。
【0173】
また、本明細書において説明した技術のうち、主にフローチャートで説明した制御に関しては、プログラムで設定可能であることが多く、記録媒体や記録部に収められる場合もある。この記録媒体、記録部への記録の仕方は、製品出荷時に記録してもよく、配布された記録媒体を利用してもよく、インターネットを通じてダウンロードしたものでもよい。
【0174】
また、本発明の一実施形態においては、フローチャートを用いて、本実施形態における動作を説明したが、処理手順は、順番を変えてもよく、また、いずれかのステップを省略してもよく、ステップを追加してもよく、さらに各ステップ内における具体的な処理内容を変更してもよい。
【0175】
また、特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず」、「次に」等の順番を表現する言葉を用いて説明したとしても、特に説明していない箇所では、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【0176】
本発明は、上記実施形態にそのまま限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせによって、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素の幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0177】
1・・・撮像装置、21・・・垂直走査部、22・・・画素部、23・・・アナログ処理部、24・・・ADC処理部、25・・・メモリ部、26・・・水平走査部、27・・・出力部、28・・・入力部、29・・・素子制御部、30・・・読出方法選択部、100・・・交換式レンズ、102・・・撮像光学系、102a・・・フォーカスレンズ、102b・・・絞り、104・・・駆動部、106・・・レンズCPU、108・・・レンズ側記憶部、200・・・カメラ本体、202・・・メカシャッタ、204・・・駆動部、206・・・操作部、208・・・撮像素子、210・・・手振れ補正回路、212・・・CPU、214・・・画像処理回路、216・・・画像圧縮展開部、218・・・焦点検出回路、218a・・・位相差画素列生成部、218b・・・位相差画素データ加工部、218ba・・・飽和検出部、218c・・・相関演算部、220・・・露出制御回路、222・・・表示部、224・・・バス、226・・・DRAM、228・・・本体側記憶部、230・・・記録媒体
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図12C
図13
図14
図15
図16