(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023121644
(43)【公開日】2023-08-31
(54)【発明の名称】受信装置
(51)【国際特許分類】
H04B 1/16 20060101AFI20230824BHJP
【FI】
H04B1/16 G
H04B1/16 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022025098
(22)【出願日】2022-02-21
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 昌隆
【テーマコード(参考)】
5K061
【Fターム(参考)】
5K061BB01
5K061BB06
5K061BB17
5K061CC40
5K061CC45
5K061FF11
(57)【要約】
【課題】異なる電子部品でデジタル放送波の復調とアナログ放送波の復調とを行う受信装置において、デジタル音声信号とアナログ音声信号との出力時間差の調整を容易に行う。
【解決手段】受信装置1は、第1の電子部品10と、第2の電子部品20と、を備える。第1の電子部品10は、第1信号処理部12と、第1信号処理部12を制御する第1制御部14と、を備える。第2の電子部品20は、第2信号処理部22と、第2信号処理部22を制御する第2制御部24と、を備える。第1制御部14は、第1信号処理部12の第1送信部12Cから第2の電子部品20への受信信号52の送信と、第1信号処理部12の第2送信部12Dから第2の電子部品20へのアナログ音声信号54の送信と、が同時に開始されるように、第1信号処理部12を制御する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電子部品と、第2の電子部品と、を備えた受信装置であって、
前記第1の電子部品は、
デジタル放送波とアナログ放送波とを含む受信信号を復調してアナログ音声信号を出力するアナログ音声復調部と、前記受信信号を前記第2の電子部品へ送信する第1送信部と、前記アナログ音声信号を前記第2の電子部品へ送信する第2送信部と、を有する第1信号処理部と、
前記第1信号処理部を制御する第1制御部と、
を備え、
前記第2の電子部品は、
前記受信信号を前記第1送信部から受信する第1受信部と、前記アナログ音声信号を前記第2送信部から受信する第2受信部と、前記受信信号を復調しデジタル音声信号を出力するデジタル音声復調部と、前記デジタル音声信号および前記アナログ音声信号の少なくとも一方を出力音声信号として選択する選択部と、を有する第2信号処理部と、
前記第2信号処理部を制御する第2制御部と、
を備え、
前記第1制御部は、
前記第1送信部から前記第2の電子部品への前記受信信号の送信と、前記第2送信部から前記第2の電子部品への前記アナログ音声信号の送信と、が同時に開始されるように、前記第1信号処理部を制御する、
受信装置。
【請求項2】
前記選択部は、
前記アナログ音声信号と前記デジタル音声信号とに含まれる同一の音声成分のタイミングが一致するように、固定時間差に応じて前記アナログ音声信号と前記デジタル音声信号との出力時間差を調整し、出力時間差を調整された前記デジタル音声信号および前記アナログ音声信号の少なくとも一方を前記出力音声信号として選択する、
請求項1に記載の受信装置。
【請求項3】
前記アナログ音声復調部は、
前記受信信号に基づいて、前記デジタル音声信号と前記アナログ音声信号との合成に関する合成パラメータを算出し、
前記第1信号処理部は、
前記合成パラメータを前記第2の電子部品へ送信する第3送信部、を更に有し、
前記第2信号処理部は、
前記合成パラメータを受信する第3受信部、を更に有し、
前記選択部は、
前記デジタル音声信号および前記アナログ音声信号を前記合成パラメータに応じて加工した信号を、前記出力音声信号として選択し、
前記第1制御部は、
前記第1送信部から前記第2の電子部品への前記受信信号の送信と、前記第2送信部から前記第2の電子部品への前記アナログ音声信号の送信と、前記第3送信部から前記第2の電子部品への前記合成パラメータの送信と、が同時に開始されるように、前記第1信号処理部を制御する、
請求項1または請求項2に記載の受信装置。
【請求項4】
前記アナログ音声復調部は、
前記受信信号に基づいて、前記デジタル音声信号と前記アナログ音声信号の合成に関する合成パラメータを算出し、
前記選択部は、
前記デジタル音声信号および前記アナログ音声信号を前記合成パラメータに応じて加工した信号を、前記出力音声信号として選択し、
前記第1制御部は、
前記第1送信部から前記第2の電子部品への前記受信信号の送信と、前記第2送信部から前記第2の電子部品への前記アナログ音声信号の送信と、が同時に開始されるように、前記第1信号処理部を制御するとともに、前記合成パラメータを前記第2制御部を介して前記第2信号処理部へ送信する、
請求項1または請求項2に記載の受信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
北米における地上ラジオ放送は、HDラジオと呼ばれる。HDラジオでは、IBOC(In-Band On-Channel)規格が採用されている。IBOC規格では、AM(Amplitude Modulation)変調またはFM(Frequency Modulation)変調されたアナログ放送波と、OFDM(Orthogonal frequency Division Multiplexing)変調されたデジタル放送波と、を送信する。
【0003】
IBOC規格では、例えば、アナログ放送波の上下両側の周波数帯域を用いてデジタル放送波が送信される。受信装置は、特定の周波数帯域の電波を受信することで、同時にアナログ放送波およびデジタル放送波を受信する。また、同一の周波数帯域に送信されるアナログ放送波およびデジタル放送波には、同一の音声成分が含まれる。受信装置は、アナログ放送波とデジタル放送波とで同一の音声成分のタイミングが一致するように出力時間差を調整し、デジタル放送波のデジタル音声信号とアナログ放送波のアナログ音声信号とを切替えて出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2011/102144号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、受信装置側を複数の電子部品から構成し、デジタル放送波の復調と、アナログ放送波の復調と、を異なる電子部品で行う構成が知られている。このような構成では、デジタル放送の処理系と、アナログ放送の処理系と、の処理時間の差を一定に保つ事は難しい。このため、従来技術では、含まれる同一の音声成分のタイミングが一致するようにデジタル音声信号とアナログ音声信号との出力時間差を調整することが困難となる場合があった。
【0006】
本開示は、異なる電子部品でデジタル放送波の復調とアナログ放送波の復調とを行う受信装置において、デジタル音声信号とアナログ音声信号との出力時間差の調整を容易に行うことができる受信装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る受信装置は、第1の電子部品と、第2の電子部品と、を備えた受信装置である。前記第1の電子部品は、第1信号処理部と、前記第1信号処理部を制御する第1制御部と、を備える。前記第1信号処理部は、デジタル放送波とアナログ放送波とを含む受信信号を復調してアナログ音声信号を出力するアナログ音声復調部と、前記受信信号を前記第2の電子部品へ送信する第1送信部と、前記アナログ音声信号を前記第2の電子部品へ送信する第2送信部と、を有する。前記第2の電子部品は、第2信号処理部と、前記第2信号処理部を制御する第2制御部と、を備える。第2信号処理部は、前記受信信号を前記第1送信部から受信する第1受信部と、前記アナログ音声信号を前記第2送信部から受信する第2受信部と、前記受信信号を復調しデジタル音声信号を出力するデジタル音声復調部と、前記デジタル音声信号および前記アナログ音声信号の少なくとも一方を出力音声信号として選択する選択部と、を有する。前記第1制御部は、前記第1送信部から前記第2の電子部品への前記受信信号の送信と、前記第2送信部から前記第2の電子部品への前記アナログ音声信号の送信と、が同時に開始されるように、前記第1信号処理部を制御する。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係る受信装置によれば、異なる電子部品でデジタル放送波の復調とアナログ放送波の復調とを行う受信装置において、デジタル音声信号とアナログ音声信号との出力時間差の調整を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係る受信装置の構成を示す図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係る受信装置で実行される処理の流れを示すシーケンス図である。
【
図3】
図3は、第2の実施形態に係る受信装置の構成を示す図である。
【
図4】
図4は、第2の実施形態に係る受信装置で実行される処理の流れを示すシーケンス図である。
【
図5】
図5は、第3の実施形態に係る受信装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本開示に係る受信装置1の実施形態について説明する。
【0011】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態に係る受信装置1の構成を示す図である。受信装置1は、ラジオ放送波50を受信および復調し、出力音声信号70を出力する。
【0012】
ラジオ放送波50は、アナログ放送波およびデジタル放送波を含む。
【0013】
アナログ放送波は、AM変調またはFM変調された放送波である。デジタル放送波は、OFDM変調された放送波である。アナログ放送波およびデジタル放送波は、同一の音声成分を含み、同時に放送される。すなわち、アナログ放送波とデジタル放送波とはサイマル放送される。
【0014】
本実施形態では、アナログ放送波およびデジタル放送波が、IBOC規格の放送波である場合を一例として説明する。このため、本実施形態においては、デジタル放送波は、アナログ放送波の上下両側の周波数帯域を用いて送信される。なお、アナログ放送波およびデジタル放送波は、IBOC規格の放送波に限定されない。また、アナログ放送波およびデジタル放送波は、異なる周波数帯域に位置するように変調されていてもよい。
【0015】
受信装置1は、第1の電子部品10と、第2の電子部品20と、を備える。第1の電子部品10と第2の電子部品20とは、データまたは信号を授受可能に接続されている。
【0016】
第1の電子部品10は、アナログ放送波を復調する電子部品である。第1の電子部品10は、少なくとも一部が回路で構成された電子部品である。なお、第1の電子部品10の全てをソフトウェアで構成してもよい。第1の電子部品10の少なくとも一部は、例えば、半導体集積回路などの半導体デバイスである。
【0017】
第2の電子部品20は、デジタル放送波を復調する電子部品である。第2の電子部品20は、少なくとも一部が回路で構成された電子部品である。第2の電子部品20の全てをソフトウェアで構成してもよい。第2の電子部品20の少なくとも一部は、例えば、半導体集積回路などの半導体デバイスである。
【0018】
第2の電子部品20と第1の電子部品10とは、同じ電子部品であってもよいし、異なる電子部品であってもよい。第2の電子部品20と第1の電子部品10とは、復調に関する処理以外の処理を実行するための機能部の構成または回路構成の、少なくとも一部が異なる事が好ましい。復調とは、アナログ放送波の復調およびデジタル放送波の復調を含む。
【0019】
まず、第1の電子部品10について説明する。
【0020】
第1の電子部品10は、第1信号処理部12と、第1制御部14と、を備える。第1信号処理部12と第1制御部14とは、データまたは信号を授受可能に接続されている。
【0021】
第1信号処理部12は、アナログ放送波の復調に関する各種処理を実行する。第1制御部14は、第1信号処理部12を制御する。
【0022】
第1信号処理部12は、アンテナ11と、受信部12Aと、アナログ音声復調部12Bと、第1送信部12Cと、第2送信部12Dと、を有する。
【0023】
受信部12A、アナログ音声復調部12B、第1送信部12C、第2送信部12D、および第1制御部14、の少なくとも1つは、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサにプログラムを実行させること、すなわちソフトウェアにより実現されてもよいし、ハードウェアにより実現されてもよい。受信部12A、アナログ音声復調部12B、第1送信部12C、第2送信部12D、および第1制御部14の全てがソフトウェアにより実現されてもよく、全てがそれぞれ異なるハードウェアにより実現されてもよい。あるいは、受信部12A、アナログ音声復調部12B、第1送信部12C、第2送信部12D、および第1制御部14の少なくとも1つがソフトウェアにより実現され、他がハードウェアにより実現されてもよい。
【0024】
アンテナ11は、ラジオ放送波50を受信する。上述したように、ラジオ放送波50は、デジタル放送波とアナログ放送波とを含む。
【0025】
受信部12Aは、アンテナ11で受信されたラジオ放送波50をBBIQ(Base BandIQ)信号である受信信号52に変換し、アナログ音声復調部12Bおよび第1送信部12Cへ出力する。受信部12Aは、ラジオ放送波50を、ラジオ放送波50に含まれるアナログ放送波の周波数帯域の中央の周波数が0Hzとなるように、かつ、該0Hzから±αHzの周波数帯域の信号になるように変調することで、受信信号52とする。αには、アナログ放送波の周波数帯域と該アナログ放送波の上下両側の周波数帯域を占めるデジタル放送波の周波数帯域との合計値の1/2の周波数の値を用いればよい。例えば、αは、200Hzであるが、この値に限定されない。
【0026】
アナログ音声復調部12Bは、受信信号52を復調してアナログ音声信号54を出力する。アナログ音声信号54は、受信信号52に含まれるアナログ放送波の信号を復調して得られる音声を表す、デジタルデータである。アナログ音声信号54は、アナログのオーディオ信号であってもよい。例えば、アナログ音声復調部12Bは、受信信号52に含まれるアナログ放送波の信号をAM復調またはFM復調することによって得られる、アナログ音声信号54を出力する。アナログ音声復調部12Bは、アナログ音声信号54を第2送信部12Dへ出力する。
【0027】
第1送信部12Cは、受信部12Aから入力された受信信号52を第2の電子部品20へ送信する。
【0028】
第1送信部12Cは、データを送信するインターフェースである。第1送信部12Cは、例えば、I2S(Inter-IC Sound)方式に沿って、受信信号52を第2の電子部品20へ送信する。なお、第1送信部12Cの通信方式は、I2Sに限定されない。例えば、第1送信部12Cは、SDIO(Secure Digital Input/Output)規格に準拠して動作し、受信信号52を第2の電子部品20へ送信する形態であってもよい。
【0029】
第2送信部12Dは、アナログ音声復調部12Bから入力されたアナログ音声信号54を第2の電子部品20へ送信する。
【0030】
第2送信部12Dは、データを送信するインターフェースである。第2送信部12Dは、例えば、I2S方式に沿って、アナログ音声信号54を第2の電子部品20へ送信する。なお、第2送信部12Dの通信方式は、I2Sに限定されない。
【0031】
第1制御部14は、第1信号処理部12を制御する。第1制御部14は、第1送信部12Cから第2の電子部品20への受信信号52の送信と、第2送信部12Dから第2の電子部品20へのアナログ音声信号54の送信と、が同時に開始されるように、第1信号処理部12を制御する。
【0032】
同時に開始される、とは、これらの受信信号52およびアナログ音声信号54の第2の電子部品20への送信開始タイミングのずれが、第1時間差以下であることを意味する。
【0033】
第1時間差は、受信装置1において「同時」と判別可能な時間差である。本実施形態では、第1時間差は、第2時間差以下の時間差である形態を一例として説明する。
【0034】
第2時間差とは、後述する第2の電子部品20においてデジタル音声信号58とアナログ音声信号54とに含まれる同一の音声成分のタイミングが一致するように出力時間差を調整するときの、「同一の音声成分のタイミングが一致」すると判別可能な時間差の最大値以下の時間差である。
【0035】
具体的には、例えば、後述する第2の電子部品20に含まれる選択部22Dのサンプリング周波数が44.1kHzである場合を想定する。この場合、第2時間差は、例えば、3サンプリング周期分の時間である68μsである。この場合、第1時間差は、第2時間差である68μs以下の時間差であり、例えば、10μs、または、1μs等であればよい。
【0036】
本実施形態では、第1制御部14は、受信装置1の起動時に第1送信部12Cおよび第2送信部12Dへ出力開始指示信号80を送信する。出力開始指示信号80の第1送信部12Cおよび第2送信部12Dへの送信により、第1制御部14は、受信信号52の第2の電子部品20への送信とアナログ音声信号54の第2の電子部品20への送信とが同時に開始されるように第1信号処理部12を制御する。
【0037】
出力開始指示信号80は、信号の出力開始を指示するための信号である。言い換えると、出力開始指示信号80は、信号出力開始のトリガとなる信号である。例えば、出力開始指示信号80は、信号の出力開始を指示するためのコマンドである。なお、出力開始指示信号80は、端子間に流れる信号レベルを閾値以上に制御するハイ状態と信号レベルを閾値未満に制御するロー状態との切替えによって表される信号であってもよい。
【0038】
例えば、ユーザによる操作指示等によって受信装置1の各部への電力供給が開始されて受信装置1が起動すると、第1制御部14は、第1送信部12Cおよび第2送信部12Dへ出力開始指示信号80を送信する。
【0039】
詳細には、第1制御部14は、受信装置1の各部への電力供給が開始されて受信装置1が起動し、第2の電子部品20から出力開始指示信号80を受信したときに、出力開始指示信号80を第1送信部12Cおよび第2送信部12Dへ送信する。
【0040】
第1送信部12Cおよび第2送信部12Dは、第1制御部14から出力開始指示信号80を受信すると、それぞれ、受信信号52およびアナログ音声信号54の第2の電子部品20への送信を開始する。例えば、第1送信部12Cおよび第2送信部12Dは、第2の電子部品20への信号出力開始に用いるクロック信号のタイミングを、出力開始指示信号80の受信タイミングに一致させる。これらの処理により、第1送信部12Cおよび第2送信部12Dは、受信信号52およびアナログ音声信号54の第2の電子部品20への送信を同時に開始する。このため、第1送信部12Cから第2の電子部品20への受信信号52の送信と、第2送信部12Dから第2の電子部品20へのアナログ音声信号54の送信と、が同時に開始される。
【0041】
次に、第2の電子部品20について説明する。
【0042】
第2の電子部品20は、第2信号処理部22と、第2制御部24と、を備える。第2信号処理部22と第2制御部24とは、データまたは信号を授受可能に接続されている。第2の電子部品20の第2制御部24と第1の電子部品10の第1制御部14とは、通信可能に接続されている。
【0043】
第2信号処理部22は、デジタル音声信号58の復調および出力音声信号70の出力に関する各種処理を実行する。第2制御部24は、第2信号処理部22を制御する。
【0044】
第2信号処理部22は、第1受信部22Aと、第2受信部22Bと、デジタル音声復調部22Cと、選択部22Dと、出力部22Eと、を備える。第1受信部22A、第2受信部22B、デジタル音声復調部22C、選択部22D、出力部22E、および第2制御部24、の少なくとも1つは、CPUなどのプロセッサにプログラムを実行させること、すなわちソフトウェアにより実現されてもよいし、ハードウェアにより実現してもよい。第1受信部22A、第2受信部22B、デジタル音声復調部22C、選択部22D、出力部22E、および第2制御部24の全てがソフトウェアにより実現されてもよく、全てがそれぞれ異なるハードウェアにより実現されてもよい。あるいは、第1受信部22A、第2受信部22B、デジタル音声復調部22C、選択部22D、出力部22E、および第2制御部24の少なくとも1つがソフトウェアにより実現され、他がハードウェアにより実現されてもよい。
【0045】
第1受信部22Aは、第1の電子部品10の第1送信部12Cと通信する通信インターフェースである。言い換えると、第2の電子部品20の第1受信部22Aと、第1の電子部品10の第1送信部12Cとは、1対1の関係でデータを送受信する1つの通信経路である。このため、第1受信部22Aは、第1送信部12Cと同じ規格に準拠して動作し、第1送信部12Cから受信信号52を受信する。
【0046】
第1受信部22Aは、第1送信部12Cから受信した受信信号52をデジタル音声復調部22Cへ出力する。
【0047】
第2受信部22Bは、第1の電子部品10の第1送信部12Cと通信する通信インターフェースである。言い換えると、第2の電子部品20の第2受信部22Bと、第1の電子部品10の第2送信部12Dとは、1対1の関係でデータを送受信する1つの通信経路である。このため、第2受信部22Bは、第2送信部12Dと同じ規格に準拠して動作し、第2送信部12Dからアナログ音声信号54を受信する。
【0048】
第2受信部22Bは、第2送信部12Dから受信したアナログ音声信号54を選択部22Dへ出力する。
【0049】
デジタル音声復調部22Cは、第1受信部22Aから入力された受信信号52を復調し、デジタル音声信号58を出力する。デジタル音声信号58は、受信信号52に含まれるデジタル放送波の信号を復調して得られる音声を表すデジタルデータである。デジタル音声信号58は、オーディオ信号であってもよい。例えば、デジタル音声復調部22Cは、受信信号52に含まれるデジタル放送波の信号をOFDM復調することによって得られる、デジタル音声信号58を選択部22Dへ出力する。
【0050】
また、デジタル音声復調部22Cは、第1受信部22Aから入力された受信信号52を用いて切替信号60を生成し、選択部22Dへ出力する。切替信号60は、アナログ音声信号54を出力する出力音声信号70として選択している状態と、デジタル音声信号58を出力音声信号70として選択している状態と、を切り替えるための信号である。
【0051】
デジタル音声復調部22Cは、例えば、デジタル音声信号58を復調出来た場合、アナログ音声信号54を選択している状態からデジタル音声信号58を選択している状態へと切替える切替信号60を生成する。また、デジタル音声復調部22Cは、デジタル音声信号58を復調出来なかった場合、デジタル音声信号58を選択している状態からアナログ音声信号54を選択している状態へと切り替える切替信号60を生成する。
【0052】
例えば、デジタル音声復調部22Cは、受信信号52に含まれるデジタル放送波の信号の信号スペクトルに基づきC/N(Carrier to Noise Ratio)比を算出する。例えば、デジタル音声復調部22Cは、OFDM復調して得られたデータをビタビ復号した場合におけるエラーレートをC/N比として算出する。また、例えば、デジタル音声復調部22Cは、復調したデジタル音声信号58の信号レベルとノイズレベルとを比較してS/N(Signal to Noise Ratio)比を算出する。そして、デジタル音声復調部22Cは、これらのC/N比およびS/N比の少なくとも一方を用いて、受信状況の判別を行えばよい。
【0053】
選択部22Dは、デジタル音声信号58およびアナログ音声信号54の少なくとも一方を出力音声信号70として選択する。そして、選択した出力音声信号70を出力部22Eへ出力する。
【0054】
詳細には、選択部22Dには、デジタル音声復調部22Cからデジタル音声信号58および切替信号60が入力される。また、選択部22Dには、第2受信部22Bからアナログ音声信号54が入力される。
【0055】
選択部22Dは、デジタル音声復調部22Cから入力されたデジタル音声信号58と、第2受信部22Bから入力されたアナログ音声信号54と、に含まれる同一の音声成分のタイミングが一致するように、デジタル音声信号58とアナログ音声信号54との出力時間差を調整する。
【0056】
上述したように、第1制御部14の制御によって、第1送信部12Cから第2の電子部品20への受信信号52の送信と、第2送信部12Dから第2の電子部品20への第2受信部22Bの送信と、が同時に開始される。このため、第2の電子部品20が第1の電子部品10から初めて受信した受信信号52と、第2の電子部品20が第1の電子部品10から初めて受信したアナログ音声信号54と、の受信時間差が、これらの信号の受信開始以降も継続して維持される。すなわち、受信信号52とアナログ音声信号54とに含まれる同一の音声成分のタイミングの差は、固定の上記受信時間差、すなわち固定時間差となる。このため、第2の電子部品20は、固定時間差が維持された状態の受信信号52とアナログ音声信号54とを受信開始以降も継続して受信することとなる。
【0057】
このため、選択部22Dは、上記固定時間差を相殺するように、デジタル音声復調部22Cから入力されたデジタル音声信号58および第2受信部22Bから入力されたアナログ音声信号54の何れか一方を遅延させる調整処理を実行する。この調整処理により、選択部22Dは、デジタル音声復調部22Cから入力されたデジタル音声信号58と、第2受信部22Bから入力されたアナログ音声信号54と、に含まれる同一の音声成分のタイミングが一致するように、デジタル音声信号58とアナログ音声信号54との出力時間差を調整する。
【0058】
すなわち、本実施形態では、選択部22Dは、固定時間差を用いて、含まれる同一の音声成分のタイミングが一致するようにデジタル音声信号58とアナログ音声信号54との出力時間差を調整する。
【0059】
選択部22Dは、上記固定時間差を予め記憶すればよい。例えば、選択部22Dは、受信信号52とアナログ音声信号54との第2の電子部品20への送信開始タイミングのずれを表す情報を、上記受信時間差として予め記憶する。また、選択部22Dは、該送信開始タイミングのずれを表す情報を、第1制御部14から第2制御部24を介して予め受信し、上記受信時間差として予め記憶してもよい。そして、選択部22Dは、予め記憶した該受信時間差を固定時間差として用いて、出力時間差を調整すればよい。選択部22Dは、受信装置1の起動後に、アナログ音声信号54とデジタル音声信号58のそれぞれの波形を比較することによって、固定時間差を算出してもよい。選択部22Dは、受信装置1が起動するごとに固定時間差を算出してもよいし、受信装置1の初回の起動時にのみ固定時間差を算出し、当該固定時間差を記憶して、以降は記憶した固定時間差を用いてもよい。
【0060】
なお、ラジオ放送波50を発信する放送局が、アナログ放送波を、デジタル放送波に対して予め定めた第1遅延時間遅らせて放送する場合がある。この場合、受信装置1は、ラジオ放送波50に含まれるアナログ放送波を、デジタル音声波に含まれる音声成分と同一の音声成分に対して上記第1遅延時間遅れて受信することとなる。第1遅延時間は、規格などに基づいて、ラジオ放送波50を配信する放送局側で予め決定されている。例えば、第1遅延時間は、4.458秒であるが、この値に限定されない。
【0061】
この場合、選択部22Dは、上記受信時間差および上記第1遅延時間差を上記固定時間差として用い、出力時間差を調整すればよい。
【0062】
なお、選択部22Dは、切替信号60についても上記調整処理を行うことが好ましい。切替信号60は、デジタル音声復調部22Cによって生成される信号であるため、デジタル音声信号58と同じ時間差を含むためである。
【0063】
本実施形態では、選択部22Dは、上記固定時間差を用いて、デジタル音声信号58とアナログ音声信号54とに含まれる同一の音声成分のタイミングが一致するように、デジタル音声信号58および切替信号60と、アナログ音声信号54と、の出力時間差を調整する調整処理を実行する。
【0064】
そして、選択部22Dは、出力時間差を調整された、デジタル音声信号58、切替信号60、およびアナログ音声信号54を用いて、切替処理を実行する。詳細には、選択部22Dは、切替信号60を用いて、アナログ音声信号54を選択している状態からデジタル音声信号58を選択している状態、または、デジタル音声信号58を選択している状態からアナログ音声信号54を選択している状態へと切り替える。
【0065】
また、選択部22Dは、デジタル音声信号58からアナログ音声信号54への切り替え、およびアナログ音声信号54からデジタル音声信号58への切り替えを、所定の切替時間を費やして切り替えてもよい。切替時間は、例えば1秒程度である。
【0066】
選択部22Dは、上記切替処理によって、出力時間差を調整されたデジタル音声信号58およびアナログ音声信号54の少なくとも一方を出力音声信号70として選択し、選択した出力音声信号70を出力部22Eへ出力する。
【0067】
出力部22Eは、選択部22Dから入力された出力音声信号70を外部の装置に送信する。例えば、出力部22Eは、出力音声信号70を、所定のデジタル通信経路を介して他の装置に送信する。また、例えば、出力部22Eは、出力音声信号70をアナログのオーディオ信号に変換して、例えば、スピーカを駆動する増幅装置に送信してもよい。また、出力部22Eは、第1の電子部品10に設けられた構成としてもよい。この場合、出力部22Eは、図示を省略する通信インターフェースを介して、出力音声信号70を第1の電子部品10の出力部22Eへ送信すればよい。
【0068】
次に、受信装置1で実行される処理の流れの一例を説明する。
【0069】
図2は、受信装置1で実行される処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【0070】
受信装置1が起動する(ステップS100)。例えば、受信装置1は、受信装置1の各部への電力供給が開始されることで起動する。
【0071】
第2の電子部品20の第2制御部24は、初期化指示を表す信号を第2信号処理部22へ送信する(ステップS102)。初期化指示を表す信号を受信した第2信号処理部22は、初期化処理を実行する(ステップS104)。例えば、第2信号処理部22は、第2信号処理部22内のバッファに記憶されているデータをクリアするバッファ初期化処理等を実行する。初期化処理が完了すると、第2信号処理部22は、初期化完了を表す信号を第2制御部24へ送信する(ステップS106)。
【0072】
初期化完了を表す信号を受信すると、第2制御部24は、受信待機指示を表す信号を第2信号処理部22へ送信する(ステップS108)。受信待機指示を表す信号を受信した第2信号処理部22は、第1の電子部品10からの受信信号52およびアナログ音声信号54の受信を待機する待機状態となる(ステップS110)。
【0073】
第2信号処理部22が待機状態となると、第2制御部24は、出力開始指示信号80を第1制御部14へ送信する(ステップS112)。
【0074】
一方、受信装置1が起動すると(ステップS100)、第1信号処理部12の受信部12Aはラジオ放送波50の受信処理を開始し(ステップS114)、第1信号処理部12のアナログ音声復調部12Bはアナログ音声信号54の復調処理を開始する(ステップS116)。このため、受信装置1が起動すると、受信部12Aから第1送信部12Cへの受信信号52の出力が開始され、アナログ音声復調部12Bから第2送信部12Dへのアナログ音声信号54の出力が開始される。
【0075】
第1制御部14は、第2の電子部品20から出力開始指示信号80を受信したときに、出力開始指示信号80を第1送信部12Cおよび第2送信部12Dへ送信する(ステップS118)。
【0076】
なお、ステップS112において、第2制御部24は、第1送信部12C用の出力開始指示信号80と、第2送信部12D用の出力開始指示信号80と、を第1制御部14へ送信してもよい。この場合、第1制御部14は、第1送信部12C用の出力開始指示信号80と、第2送信部12D用の出力開始指示信号80と、を同時に第1信号処理部12へ送信すればよい。
【0077】
出力開始指示信号80を受信した第1送信部12Cおよび第2送信部12Dは、それぞれ、受信信号52およびアナログ音声信号54の各々の第2の電子部品20への送信を開始する(ステップS120、ステップS122)。このため、第1送信部12Cから第2の電子部品20への受信信号52の送信と、第2送信部12Dから第2の電子部品20へのアナログ音声信号54の送信と、が同時に開始される。上述したように、第1送信部12Cから第2の電子部品20への受信信号52の送信と、第2送信部12Dから第2の電子部品20へのアナログ音声信号54の送信と、の送信開始タイミングのずれは、第1時間差以下であればよい。
【0078】
ステップS120およびステップS122の処理によって、第2信号処理部22の第1受信部22Aが受信信号52の受信を開始し、第2信号処理部22の第2受信部22Bがアナログ音声信号54の受信を開始する(ステップS124、ステップS126)。
【0079】
このため、第2信号処理部22の第1受信部22A、および第2信号処理部22の第2受信部22Bは、固定時間差が維持された状態の受信信号52とアナログ音声信号54とを継続して受信することとなる。
【0080】
デジタル音声復調部22Cは、第1受信部22Aで受信した受信信号52を復調し、デジタル音声信号58を選択部22Dへ出力する(ステップS128)。また、デジタル音声復調部22Cは、該受信信号52を用いて切替信号60を生成し、選択部22Dへ出力する。
【0081】
選択部22Dは、デジタル音声復調部22Cから入力されたデジタル音声信号58と、第2受信部22Bから入力されたアナログ音声信号54と、に含まれる同一の音声成分のタイミングが一致するように、デジタル音声信号58とアナログ音声信号54との出力時間差を調整する(ステップS130)。選択部22Dは、固定時間差を用いて、デジタル音声信号58とアナログ音声信号54とに含まれる同一の音声成分のタイミングが一致するように、デジタル音声信号58および切替信号60とアナログ音声信号54との出力時間差を調整する。
【0082】
そして、選択部22Dは、出力時間差を調整したデジタル音声信号58およびアナログ音声信号54の少なくとも一方を出力音声信号70として選択する(ステップS132)。ステップS132で選択された出力音声信号70は、出力部22Eによって外部装置または増幅装置などに出力される(ステップS134)。そして、本シーケンスを終了する。
【0083】
以上説明したように、本実施形態の受信装置1は、第1の電子部品10と、第2の電子部品20と、を備える。
【0084】
第1の電子部品10は、第1信号処理部12と、第1信号処理部12を制御する第1制御部14と、を備える。第1信号処理部12は、受信部12Aと、アナログ音声復調部12Bと、第1送信部12Cと、第2送信部12Dと、を有する。受信部12Aは、デジタル放送波とアナログ放送波とを含むラジオ放送波50を受信する。アナログ音声復調部12Bは、ラジオ放送波50を復調して受信信号52を出力する。第1送信部12Cは、受信信号52を第2の電子部品20へ送信する。第2送信部12Dは、アナログ音声信号54を第2の電子部品20へ送信する。
【0085】
第2の電子部品20は、第2信号処理部22と、第2信号処理部22を制御する第2制御部24と、を備える。
【0086】
第2信号処理部22は、第1受信部22Aと、第2受信部22Bと、デジタル音声復調部22Cと、選択部22Dと、出力部22Eと、を備える。第1受信部22Aは、受信信号52を第1送信部12Cから受信する。第2受信部22Bは、アナログ音声信号54を第2送信部12Dから受信する。デジタル音声復調部22Cは、受信信号52を復調しデジタル音声信号58を出力する。選択部22Dは、デジタル音声信号58およびアナログ音声信号54の少なくとも一方を出力音声信号70として選択する。
【0087】
第1制御部14は、第1送信部12Cから第2の電子部品20への受信信号52の送信と、第2送信部12Dから第2の電子部品20へのアナログ音声信号54の送信と、が同時に開始されるように、第1信号処理部12を制御する。
【0088】
ここで、例えば、コストダウンまたはシステムの拡張性向上などの観点から、デジタル放送波の復調と、アナログ放送波の復調と、を異なる電子部品で実行する場合が想定される。例えば、アナログ放送波の復調を、専用のLSI(Large Scale Integration)などの電子部品で実行し、デジタル放送波の復調を、ラジオ放送波50の処理以外の処理も実行する汎用の電子部品で実行する場合が想定される。例えば、デジタル放送波の復調を、画面の描画、USB(Universal Serial Bus)に記憶されたデータの再生、などのラジオ放送波50の処理以外の機能全般の処理を実行する電子部品で実行する場合が想定される。
【0089】
このように、デジタル放送波の復調と、アナログ放送波の復調と、を異なる電子部品で実行する場合、デジタル放送の処理系と、アナログ放送の処理系と、のそれぞれの処理時間を一定に保つように調整し、アナログ放送波を予め定めた時間遅らせること等により、デジタル音声信号とアナログ音声信号との出力時間差を調整する場合が想定される。
【0090】
しかし、デジタル放送波の復調と、アナログ放送波の復調と、を異なる電子部品内で行う場合、処理時間を一定に保つ事は難しく、電子部品間の復調の処理時間差等により発生する、各処理系統の時間差を固定化することは困難であった。このため、従来技術では、デジタル音声信号58とアナログ音声信号54との出力時間差を容易に調整することは困難であった。
【0091】
一方、本実施形態の受信装置1では、第1の電子部品10の第1制御部14が、第1送信部12Cから第2の電子部品20への受信信号52の送信と、第2送信部12Dから第2の電子部品20へのアナログ音声信号54の送信と、が同時に開始されるように、第1信号処理部12を制御する。
【0092】
すなわち、第1制御部14の制御によって、第1送信部12Cから第2の電子部品20への受信信号52の送信と、第2送信部12Dから第2の電子部品20への第2受信部22Bの送信と、が同時に開始される。このため、第2の電子部品20が第1の電子部品10から初めて受信した受信信号52と、第2の電子部品20が第1の電子部品10から初めて受信したアナログ音声信号54と、の受信時間差が固定化される。すなわち、受信信号52とアナログ音声信号54とに含まれる同一の音声成分のタイミングの差は、固定の上記受信時間差、すなわち固定時間差となる。このため、第2の電子部品20は、固定時間差が維持された状態の受信信号52とアナログ音声信号54とを、受信開始以降も継続して受信することとなる。
【0093】
このため、第2の電子部品20では、この固定時間差を用いて、含まれる同一の音声成分のタイミングが一致するようにデジタル音声信号58とアナログ音声信号54との出力時間差を調整すればよく、容易に出力時間差を調整することができる。
【0094】
従って、本実施形態の受信装置1は、異なる電子部品でデジタル放送波の復調とアナログ放送波の復調とを行う受信装置1において、デジタル音声信号58とアナログ音声信号54との出力時間差の調整を容易に行うことができる。
【0095】
(第2の実施形態)
本実施形態では、第1の電子部品側で算出された合成パラメータを更に第2の電子部品へ送信する形態を説明する。なお、本実施形態では、第1の実施形態と同じ機能および同じ構成部分には、同じ符号を付与し、詳細な説明を省略する場合がある。
【0096】
図3は、本実施形態に係る受信装置1Bの構成の一例を示す図である。
【0097】
受信装置1Bは、第1の電子部品10Bと、第2の電子部品20Bと、を備える。第1の電子部品10Bと第2の電子部品20Bとは、データまたは信号を授受可能に接続されている。
【0098】
第1の電子部品10Bは、アナログ放送波を復調する電子部品である。第1の電子部品10Bは、第1信号処理部13と、第1制御部15と、を備える。第1の電子部品10Bは、上記実施形態の第1信号処理部12に替えて第1信号処理部13を備え、第1制御部14に替えて第1制御部15を備える。第1信号処理部13と第1制御部15とは、データまたは信号を授受可能に接続されている。第1制御部15は、第1信号処理部13を制御する。
【0099】
第1信号処理部13は、アンテナ11と、受信部12Aと、アナログ音声復調部13Bと、第1送信部12Cと、第2送信部12Dと、第3送信部13Eと、を有する。受信部12A、第1送信部12C、および第2送信部12Dは、上記実施形態と同様である。
【0100】
アナログ音声復調部13Bは、上記実施形態のアナログ音声復調部12Bと同様に、受信信号52を復調し、アナログ音声信号54を第2送信部12Dへ出力する。本実施形態では、アナログ音声復調部13Bは、更に合成パラメータ56を算出する。
【0101】
合成パラメータ56は、デジタル音声信号58とアナログ音声信号54との合成に関するパラメータである。詳細には、合成パラメータ56は、後述する第2の電子部品20B側でアナログ音声信号54とデジタル音声信号58とを合成するときに、デジタル音声信号58を劣化させる劣化の程度を示す情報である。言い換えると、合成パラメータ56は、後述する第2の電子部品20Bから出力される出力音声信号70がアナログ音声信号54とデジタル音声信号58とで切り替えられるときの、出力音声の違和感を軽減するために、第2の電子部品20B側でアナログ音声信号54およびデジタル音声信号58の少なくとも一方を加工するための情報である。
【0102】
合成パラメータ56は、例えば、受信信号52に含まれるアナログ放送波の信号の、S/N、C/N、または、マルチパス検出値、などである。また、合成パラメータ56は、第2の電子部品20B側でアナログ音声信号54およびデジタル音声信号58の少なくとも一方を加工するために用いる数値そのものであってもよい。この数値は、例えば、信号レベルを変更するための数値、ステレオ信号のセパレーション比、周波数特性を変えるフィルター係数、などである。
【0103】
具体的には、アナログ音声復調部13Bは、アナログ音声信号54の信号レベルとノイズレベルとを比較し、S/Nを算出する。例えば、アナログ音声復調部13Bは、受信信号52に含まれるアナログ放送波の信号の信号スペクトルに基づきC/Nを算出する。また、例えば、アナログ音声復調部13Bは、受信信号52に含まれるアナログ放送波の信号の周波数の信号成分と、この信号成分の両脇の周波数に含まれるノイズ量とに基づき、C/Nを算出する。なお、アナログ放送波の場合、C/NとS/Nとの間に相関関係があるので、C/Nに基づきS/Nを推定することができる。また、アナログ放送波にマルチパスが含まれると、FM変調のベースバンド信号の高周波成分のノイズが大きくなる。このため、アナログ音声復調部13Bは、例えば、FM変調のベースバンド信号である受信信号52の高周波成分のノイズ量を、マルチパス検出値として算出する。
【0104】
アナログ音声復調部13Bは、算出した合成パラメータ56を第3送信部13Eへ出力する。
【0105】
第3送信部13Eは、アナログ音声復調部13Bから入力された合成パラメータ56を第2の電子部品20へ送信する。
【0106】
第3送信部13Eは、データを送信するインターフェースである。第3送信部13Eは、例えば、I2S方式に沿って、合成パラメータ56を第2の電子部品20Bへ送信する。なお、第3送信部13Eの通信方式は、I2Sに限定されない。
【0107】
第1制御部15は、第1送信部12Cから第2の電子部品20Bへの受信信号52の送信と、第2送信部12Dから第2の電子部品20Bへのアナログ音声信号54の送信と、第3送信部13Eから第2の電子部品20Bへの合成パラメータ56の送信と、が同時に開始されるように、第1信号処理部13を制御する。
【0108】
例えば、ユーザによる操作指示等によって受信装置1Bの各部への電力供給が開始されて受信装置1Bが起動すると、第1制御部15は、第1送信部12C、第2送信部12D、および第3送信部13Eへ出力開始指示信号80を送信する。
【0109】
上記実施形態と同様に、第1制御部15は、受信装置1Bの各部への電力供給が開始されて受信装置1Bが起動し、第2の電子部品20Bから出力開始指示信号80を受信したときに、第1送信部12C、第2送信部12D、および第3送信部13Eへ出力開始指示信号80を送信する。
【0110】
第1送信部12C、第2送信部12D、および第3送信部13Eは、第1制御部15から出力開始指示信号80を受信すると、それぞれ、受信信号52、アナログ音声信号54、および合成パラメータ56の各々の第2の電子部品20Bへの送信を開始する。このため、第1送信部12Cから第2の電子部品20Bへの受信信号52の送信と、第2送信部12Dから第2の電子部品20Bへのアナログ音声信号54の送信と、第3送信部13Eから第2の電子部品20Bへの合成パラメータ56の送信と、が同時に開始される。
【0111】
なお、上記実施形態と同様に、第1送信部12Cから第2の電子部品20Bへの受信信号52の送信と、第2送信部12Dから第2の電子部品20Bへのアナログ音声信号54の送信とは、同時、すなわち第1時間差以内の時間差で開始されればよい。また、受信信号52またはアナログ音声信号54と、合成パラメータ56と、の第2の電子部品20Bへの送信開始タイミングのずれは、第1時間差以内で、且つ、受信信号52とアナログ音声信号54との送信開始タイミングのずれより大きい時間差であってよい。
【0112】
次に、第2の電子部品20Bについて説明する。
【0113】
第2の電子部品20Bは、第2信号処理部23と、第2制御部24と、を備える。第2信号処理部23と第2制御部24とは、データまたは信号を授受可能に接続されている。第2制御部24は、上記実施形態と同様の処理を実行する。本実施形態では、第2制御部24は、第1の電子部品10Bの第1制御部15と通信可能に接続されている。また、本実施形態では、第2制御部24は、第2信号処理部22に替えて第2信号処理部23を制御する。
【0114】
第2信号処理部23は、第1受信部22Aと、第2受信部22Bと、デジタル音声復調部22Cと、選択部23Dと、出力部22Eと、第3受信部23Fと、を備える。第1受信部22A、第2受信部22B、デジタル音声復調部22C、および出力部22Eは、上記実施形態と同様である。
【0115】
第3受信部23Fは、第3送信部13Eから合成パラメータ56を受信する。
【0116】
第3受信部23Fは、第1の電子部品10Bの第3送信部13Eと通信する通信インターフェースである。言い換えると、第2の電子部品20Bの第3受信部23Fと、第1の電子部品10Bの第3送信部13Eとは、1対1の関係でデータを送受信する1つの通信経路である。このため、第3受信部22Fは、第3送信部13Eと同じ規格に準拠して動作し、第3送信部13Eから合成パラメータ56を受信する。
【0117】
第3受信部23Fは、第3送信部13Eから受信した合成パラメータ56を選択部23Dへ出力する。
【0118】
選択部23Dは、上記実施形態の選択部22Dと同様に、デジタル音声信号58およびアナログ音声信号54の少なくとも一方を出力音声信号70として選択する。本実施形態では、選択部23Dは、デジタル音声信号58およびアナログ音声信号54を出力音声信号70として選択する場合には、デジタル音声信号58およびアナログ音声信号54を合成パラメータ56に応じた合成比で合成した信号を、出力音声信号70として選択する。そして、選択部23Dは、選択した出力音声信号70を出力部22Eへ出力する。
【0119】
詳細には、選択部23Dには、デジタル音声復調部22Cからデジタル音声信号58および切替信号60が入力される。また、選択部23Dには、第2受信部22Bからアナログ音声信号54が入力される。また、選択部23Dには、第3受信部23Fから合成パラメータ56が入力される。
【0120】
選択部23Dは、上記実施形態の選択部22Dと同様に、デジタル音声復調部22Cから入力されたデジタル音声信号58と第2受信部22Bから入力されたアナログ音声信号54とに含まれる同一の音声成分のタイミングが一致するように、固定時間差を用いて、デジタル音声信号58および切替信号60とアナログ音声信号54と合成パラメータ56との出力時間差を調整する。
【0121】
そして、選択部23Dは、出力時間差を調整された、デジタル音声信号58、切替信号60、およびアナログ音声信号54を用いて、上記実施形態の選択部22Dと同様に、切替処理を実行する。切替処理によって、第2信号処理部23は、デジタル音声信号58およびアナログ音声信号54の少なくとも一方を出力音声信号70として選択し、選択した出力音声信号70を出力部22Eへ出力する。
【0122】
また、選択部23Dは、出力時間差を調整されたデジタル音声信号58およびアナログ音声信号54を出力音声信号70として選択する場合、出力時間差を調整された合成パラメータ56に応じて、アナログ音声信号54およびデジタル音声信号58の少なくとも一方を加工する。そして、選択部23Dは、加工後の信号である出力音声信号70を、出力部22Eへ出力する。出力部22Eは、上記実施形態と同様である。
【0123】
また、選択部23Dは、デジタル音声信号58からアナログ音声信号54への切替え、およびアナログ音声信号54からデジタル音声信号58への切替えを、所定の切替時間を費やして切り替えてもよい。選択部23Dは、この切替時間中に、合成パラメータ56を用いてアナログ音声信号54およびデジタル音声信号58の少なくとも一方を加工してもよい。
【0124】
次に、受信装置1Bで実行される処理の流れの一例を説明する。
【0125】
図4は、受信装置1Bで実行される処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【0126】
受信装置1Bでは、上記実施形態のステップS100~ステップS118と同様にして、ステップS200~ステップS218の処理が行われる。
【0127】
詳細には、受信装置1Bの各部への電力供給が開始されることで受信装置1Bが起動する(ステップS200)。第2の電子部品20Bの第2制御部24は、初期化指示を表す信号を第2信号処理部23へ送信する(ステップS202)。初期化指示を表す信号を受信した第2信号処理部23は、初期化処理を実行する(ステップS204)。初期化処理が完了すると、第2信号処理部23は、初期化完了を表す信号を第2制御部24へ送信する(ステップS206)。
【0128】
初期化完了を表す信号を受信すると、第2制御部24は、受信待機指示を表す信号を第2信号処理部23へ送信する(ステップS208)。受信待機指示を表す信号を受信した第2信号処理部23は、第1の電子部品10Bからの受信信号52、アナログ音声信号54、および合成パラメータ56の受信を待機する待機状態となる(ステップS210)。
【0129】
第2信号処理部23が待機状態となると、第2制御部24は、出力開始指示信号80を第1制御部15へ送信する(ステップS212)。
【0130】
一方、受信装置1Bが起動すると(ステップS200)、第1信号処理部13の受信部12Aはラジオ放送波50の受信処理を開始し(ステップS214)、第1信号処理部13のアナログ音声復調部13Bはアナログ音声信号54の復調処理および合成パラメータ56の算出処理を開始する(ステップS216)。このため、受信装置1Bが起動すると、受信部12Aから第1送信部12Cへの受信信号52の出力が開始され、アナログ音声復調部13Bから第2送信部12Dへのアナログ音声信号54の出力が開始され、アナログ音声復調部13Bから第3送信部13Eへの合成パラメータ56の出力が開始される。
【0131】
第1制御部15は、第2の電子部品20Bの第2制御部24から出力開始指示信号80を受信したときに、出力開始指示信号80を第1送信部12C、第2送信部12D、および第3送信部13Eへ送信する(ステップS218)。
【0132】
出力開始指示信号80を受信した第1送信部12C、第2送信部12D、および第3送信部13Eは、それぞれ、受信信号52、アナログ音声信号54、および合成パラメータ56の各々の第2の電子部品20への送信を開始する(ステップS220、ステップS222、ステップS224)。このため、第1送信部12Cから第2の電子部品20Bへの受信信号52の送信と、第2送信部12Dから第2の電子部品20Bへのアナログ音声信号54の送信と、第3送信部13Eから第2の電子部品20Bへの合成パラメータ56の送信と、が同時に開始される。上述したように、第1送信部12Cから第2の電子部品20Bへの受信信号52の送信と、第2送信部12Dから第2の電子部品20Bへのアナログ音声信号54の送信と、第3送信部13Eから第2の電子部品20Bへの合成パラメータ56の送信と、の送信開始タイミングの時間差は、第1時間差以下であればよい。
【0133】
ステップS220、ステップS222、およびステップS224の処理によって、第2信号処理部23の第1受信部22Aが受信信号52の受信を開始し、第2信号処理部23の第2受信部22Bがアナログ音声信号54の受信を開始し、第2信号処理部23の第3受信部23Fが合成パラメータ56の受信を開始する(ステップS226、ステップS228、ステップS230)。
【0134】
このため、第2信号処理部23の第1受信部22A、第2信号処理部23の第2受信部22B、および第2信号処理部23の第3受信部23Fは、固定時間差が維持された状態の受信信号52とアナログ音声信号54と合成パラメータ56とを継続して受信することとなる。
【0135】
デジタル音声復調部22Cは、第1受信部22Aで受信した受信信号52を復調し、デジタル音声信号58を選択部23Dへ出力する(ステップS232)。また、デジタル音声復調部22Cは、該受信信号52を用いて切替信号60を生成し、選択部23Dへ出力する。
【0136】
選択部23Dは、デジタル音声信号58とアナログ音声信号54に含まれる同一の音声成分のタイミングが一致するように、固定時間差を用いて、デジタル音声信号58および切替信号60と、アナログ音声信号54と、合成パラメータ56と、の出力時間差を調整する(ステップS234)。
【0137】
そして、選択部23Dは、出力時間差を調整した切替信号60および合成パラメータ56に応じて、出力時間差を調整したデジタル音声信号58およびアナログ音声信号54の少なくとも一方を出力音声信号70として選択する(ステップS236)。ステップS236で選択された出力音声信号70は、出力部22Eによって外部装置または増幅装置などに出力される(ステップS238)。そして、本シーケンスを終了する。
【0138】
以上説明したように、本実施形態の受信装置1Bでは、第1の電子部品10Bの第1制御部15が、第1送信部12Cから第2の電子部品20Bへの受信信号52の送信と、第2送信部12Dから第2の電子部品20Bへのアナログ音声信号54の送信と、第3送信部13Eから第2の電子部品20Bへの合成パラメータ56の送信と、が同時に開始されるように、第1信号処理部13を制御する。
【0139】
すなわち、第1制御部15の制御によって、第1送信部12Cから第2の電子部品20への受信信号52の送信と、第2送信部12Dから第2の電子部品20への第2受信部22Bの送信と、第3送信部13Eから第2の電子部品20Bへの合成パラメータ56の送信と、が同時に開始される。このため、第2の電子部品20Bが第1の電子部品10Bから初めて受信した受信信号52と、第2の電子部品20Bが第1の電子部品10Bから初めて受信したアナログ音声信号54と、第2の電子部品20Bが第1の電子部品10Bから初めて受信した合成パラメータ56と、の受信時間差が固定化される。すなわち、第2の電子部品20Bは、固定化された受信時間差である固定時間差が維持された状態の受信信号52とアナログ音声信号54と合成パラメータ56とを、受信開始以降も継続して受信することとなる。
【0140】
このため、第2の電子部品20Bでは、この固定時間差を用いて、含まれる同一の音声成分のタイミングが一致するようにデジタル音声信号58とアナログ音声信号54と合成パラメータ56との出力時間差を調整すればよく、容易に出力時間差を調整することができる。すなわち、第2の電子部品20Bは、上記第1の実施形態の効果に加えて、合成パラメータ56についても容易に出力時間差を調整することができる。
【0141】
従って、本実施形態の受信装置1Bは、上記実施形態の効果に加えて、デジタル音声信号58と、アナログ音声信号54と、合成パラメータ56と、の出力時間差を調整することができる。
【0142】
なお、本実施形態では、第2の電子部品20Bの第3受信部23Fと第1の電子部品10Bの第3送信部13Eとが、1対1の関係でデータを送受信する1つの通信経路である形態を一例として説明した。また、本実施形態では、第2の電子部品20Bの第2受信部22Bと第1の電子部品10Bの第2送信部12Dとが、1対1の関係でデータを送受信する1つの通信経路である形態を一例として説明した。しかし、第2受信部22Bおよび第3受信部23Fと、第2送信部12Dおよび第3送信部13Eと、を1つの通信経路で接続した形態であってもよい。この場合、該通信経路を32bitのラインとし、16bitを第3受信部23Fと第3送信部13Eとの通信経路として用い、残りの16bitを第2受信部22Bと第2送信部12Dとの通信経路として用いればよい。
【0143】
また、合成パラメータ56を、時分割多重化(TDM:Time Division Multiplexing)により受信信号52またはアナログ音声信号54と共に第2の電子部品20Bへ送信する形態であってもよい。
【0144】
(第3の実施形態)
本実施形態では、第1の電子部品側で算出された合成パラメータ56を第1制御部が第2の電子部品へ送信する形態を説明する。なお、本実施形態では、上記実施形態と同じ機能および同じ構成部分には、同じ符号を付与し、詳細な説明を省略する場合がある。
【0145】
図5は、本実施形態に係る受信装置1Cの構成の一例を示す図である。
【0146】
受信装置1Cは、第1の電子部品10Cと、第2の電子部品20Cと、を備える。第1の電子部品10Cと第2の電子部品20Cとは、データまたは信号を授受可能に接続されている。
【0147】
第1の電子部品10Cは、アナログ放送波を復調する電子部品である。第1の電子部品10Cは、第1信号処理部17と、第1制御部19と、を備える。すなわち、第1の電子部品10Cは、上記第1の実施形態の第1信号処理部12に替えて第1信号処理部17を備え、第1制御部14に替えて第1制御部19を備える。第1信号処理部17と第1制御部19とは、データまたは信号を授受可能に接続されている。
【0148】
第1信号処理部17は、第1信号処理部12と同様に、アナログ放送波の復調に関する各種処理を実行する。第1制御部19は、第1信号処理部17を制御する。
【0149】
第1信号処理部17は、アンテナ11と、受信部12Aと、アナログ音声復調部13Bと、第1送信部12Cと、第2送信部12Dと、を有する。受信部12A、第1送信部12C、および第2送信部12Dは、上記第1の実施形態と同様である。アナログ音声復調部13Bは、上記第2の実施形態と同様である。
【0150】
本実施形態では、アナログ音声復調部13Bは、上記第1の実施形態のアナログ音声復調部12Bと同様に、受信信号52を復調し、アナログ音声信号54を第2送信部12Dへ出力する。また、アナログ音声復調部13Bは、上記第2の実施形態のアナログ音声復調部13Bと同様に、合成パラメータ56を算出する。本実施形態では、アナログ音声復調部13Bで算出された合成パラメータ56を、第1制御部19が取得する。例えば、第1制御部19は、所定時間ごとにアナログ音声復調部13Bから合成パラメータ56を取得する。
【0151】
第1制御部19は、第1の実施形態の第1制御部14と同様に、第1送信部12Cから第2の電子部品20Cへの受信信号52の送信と、第2送信部12Dから第2の電子部品20Cへのアナログ音声信号54の送信と、が同時に開始されるように、第1信号処理部17を制御する。すなわち、第1制御部19は、第2制御部25から出力開始指示信号80を受信したときに、出力開始指示信号80を第1送信部12Cおよび第2送信部12Dへ送信する。これらの処理にょり、第1送信部12Cから第2の電子部品20Cへの受信信号52の送信と、第2送信部12Dから第2の電子部品20Cへのアナログ音声信号54の送信と、が同時に開始される。
【0152】
本実施形態では、第1制御部19は、更に、アナログ音声復調部13Bで算出された合成パラメータ56を、第2の電子部品20Cの第2制御部25を介して第2信号処理部22へ送信する。
【0153】
例えば、第1制御部19は、所定時間ごとにアナログ音声復調部13Bで算出された合成パラメータ56を取得し、第2の電子部品20Cの第2制御部25へ送信する。また、例えば、第1制御部19は、アナログ音声復調部13Bで算出された合成パラメータ56の値が前回取得した値とは異なる場合、該合成パラメータ56を、第2の電子部品20Cの第2制御部25へ送信してもよい。
【0154】
次に、第2の電子部品20Cについて説明する。
【0155】
第2の電子部品20Cは、上記第1の実施形態の第2の電子部品20と同様に、デジタル放送波を復調する電子部品である。第2の電子部品20Cは、第2信号処理部22と、第2制御部25と、を備える。第2信号処理部22と第2制御部25とは、データまたは信号を授受可能に接続されている。第2信号処理部22は、上記第1の実施形態と同様である。
【0156】
第2制御部25は、第2信号処理部22を制御する。第2制御部25は、上記第1の実施形態の第2制御部24の処理に加えて、更に以下の処理を実行する。第2制御部25は、第1制御部19から合成パラメータ56を受信すると、受信した合成パラメータ56を第2信号処理部22の選択部22Dへ送信する。このため、第1の電子部品10Cの第1制御部19は、アナログ音声復調部13Bで算出された合成パラメータ56を、第2制御部25を介して第2信号処理部22へ送信する。
【0157】
本実施形態の第2信号処理部22の選択部22Dは、アナログ音声信号54とデジタル音声信号58とに含まれる同一の音声成分のタイミングが一致するように、デジタル音声信号58および切替信号60とアナログ音声信号54との出力時間差を調整する。選択部22Dは、上記第1の実施形態と同様に、上記固定時間差を用いて、出力時間差を調整する。また、選択部22Dは、切替信号60に応じてデジタル音声信号58およびアナログ音声信号54を出力音声信号70として選択する場合には、上記第2の実施形態の選択部23Dと同様の処理を実行すればよい。詳細には、本実施形態の選択部22Dは、デジタル音声信号58およびアナログ音声信号54を、第2制御部25から受信した合成パラメータ56に応じて加工する、そして、選択部22Dは、加工した信号を出力音声信号70として選択する。そして、選択部22Dは、選択した出力音声信号70を出力部22Eへ出力する。
【0158】
次に、受信装置1Cで実行される処理の流れの一例を説明する。
【0159】
受信装置1Cによる処理の流れは、以下の点以外は、第1の実施形態の受信装置1による処理の流れと同様である[
図3参照]。すなわち、受信装置1Cでは、第2の電子部品20Cの選択部22Dが、アナログ音声復調部13Bで算出された合成パラメータ56を、第1制御部19を介して第2制御部25から受信する。そして、第2の電子部品20Cの選択部22Dは、ステップS132の処理において(
図3参照)、デジタル音声信号58およびアナログ音声信号54の少なくとも一方を出力音声信号70として選択する。また、選択部22Dは、切替信号60に応じてデジタル音声信号58およびアナログ音声信号54を出力音声信号70として選択する場合には、デジタル音声信号58およびアナログ音声信号54を第2制御部25から受信した合成パラメータ56に応じて加工した信号を、出力音声信号70として選択する。
【0160】
以上説明したように、本実施形態の受信装置1Cでは、第1制御部19が、アナログ音声復調部13Bで算出された合成パラメータ56を、第2制御部25を介して第2信号処理部22へ送信する。また、本実施形態の受信装置1Cでは、上記実施形態と同様に、第2の電子部品20Cが、固定時間差を用いて、デジタル音声信号58とアナログ音声信号54に含まれる同一の音声成分のタイミングが一致するように、デジタル音声信号58とアナログ音声信号54との出力時間差を調整する。
【0161】
このため、本実施形態の受信装置1Cは、上記実施形態と同様に、デジタル音声信号58と、アナログ音声信号54と、の出力時間差を容易に調整することができる。また、本実施形態の受信装置1Cは、アナログ音声復調部13Bで算出された合成パラメータ56を第1制御部19および第2制御部25を介して第2信号処理部22で受信し、デジタル音声信号58とアナログ音声信号54の加工に用いる。このため、本実施形態の受信装置1Cでは、上記第1の実施形態の効果に加えて、合成パラメータ56についても容易に出力時間差を調整することができる。
【0162】
なお、上記には本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態およびその変形は、発明の範囲および要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0163】
1,1B,1C 受信装置
10,10B,10C 第1の電子部品
12,13,17 第1信号処理部
12A 受信部
12B,13B アナログ音声復調部
12C 第1送信部
12D 第2送信部
13E 第3送信部
14,15,19 第1制御部
20,20B,20C 第2の電子部品
22,23 第2信号処理部
22A 第1受信部
22B 第2受信部
22C デジタル音声復調部
22D,23D 選択部
22E 出力部
23F 第3受信部
24,25 第2制御部