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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023121655
(43)【公開日】2023-08-31
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 43/241 20180101AFI20230824BHJP
   F21S 43/14 20180101ALI20230824BHJP
   F21S 43/243 20180101ALI20230824BHJP
   F21W 103/00 20180101ALN20230824BHJP
   F21W 103/10 20180101ALN20230824BHJP
   F21W 103/20 20180101ALN20230824BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20230824BHJP
【FI】
F21S43/241
F21S43/14
F21S43/243
F21W103:00
F21W103:10
F21W103:20
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022025112
(22)【出願日】2022-02-21
(71)【出願人】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100099999
【弁理士】
【氏名又は名称】森山 隆
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 泰晃
(72)【発明者】
【氏名】長瀬 一真
(72)【発明者】
【氏名】岩下 幸司
(57)【要約】
【課題】光源からの出射光を、導光体を介して灯具前方へ向けて照射するように構成された車両用灯具において、導光体がその外周縁部まで明るく光って見えるようにする。
【解決手段】導光体30として、その中心領域32に入射した発光素子22からの出射光を周辺領域34へ向けて全反射させる構成とし、また、周辺領域34の後面に、発光素子22からの直射光を入射制御するための複数の入射制御素子34Sが内周側から外周側へ向けて並んだ状態で形成された構成とする。複数の入射制御素子34Sの各々は、発光素子22からの直射光を入射させる第2入射面34S1と、その入射光を灯具前方へ向けて全反射させる第2反射面34S2とを備えた構成とした上で、中心領域32からの全反射光が第2反射面34S2に入射し得るように配置された構成とする。これにより発光素子22から導光体30の中心領域32へ向かう明るい光を周辺領域34へ振り向ける。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源からの出射光を、導光体を介して灯具前方へ向けて照射するように構成された車両用灯具において、
上記導光体は、上記光源の灯具前方に位置する中心領域と、上記中心領域の周囲に位置する周辺領域とを備えており、
上記中心領域は、上記光源からの直射光を入射させる第1入射面と、上記第1入射面から入射した上記光源からの光を上記周辺領域へ向けて全反射させる第1反射面とを備えており、
上記周辺領域の後面に、上記光源からの直射光を入射制御するための複数の入射制御素子が、上記周辺領域の内周側から外周側へ向けて並んだ状態で形成されており、
上記複数の入射制御素子の各々は、上記光源からの直射光を入射させる第2入射面と、上記第2入射面から入射した上記光源からの光を灯具前方へ向けて全反射させる第2反射面とを備えており、
上記複数の入射制御素子の各々は、上記第1反射面で全反射した上記光源からの光が上記第2反射面に入射し得る位置に配置されている、ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
上記第2反射面は、灯具前方へ向けて外周側に傾斜した傾斜面で構成されており、かつ、内周側領域よりも外周側領域の方が大きい傾斜角度で形成されている、ことを特徴とする請求項1記載の車両用灯具。
【請求項3】
上記複数の入射制御素子は、上記周辺領域の内周側から外周側へ向けて灯具前方側に徐々に変位した状態で配置されている、ことを特徴とする請求項1または2記載の車両用灯具。
【請求項4】
上記周辺領域の前面に、上記複数の入射制御素子の第2反射面で全反射した上記光源からの光を出射制御するための複数の出射制御素子が、上記周辺領域の内周側から外周側へ向けて並んだ状態で形成されており、
上記複数の出射制御素子のうち少なくとも上記周辺領域の外周縁部に位置する出射制御素子は、上記第2反射面で全反射した上記光源からの光を上記中心領域寄りの方向へ偏向出射させるように構成されている、ことを特徴とする請求項1~3いずれか記載の車両用灯具。
【請求項5】
上記光源は、発光面を灯具前方へ向けた状態で配置された発光素子で構成されている、ことを特徴とする請求項1~4いずれか記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、導光体を備えた車両用灯具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、光源からの出射光を、導光体を介して灯具前方へ向けて照射するように構成された車両用灯具が知られている。
【0003】
「特許文献1」には、このような車両用灯具の構成として、導光体の後面に、光源からの直射光を入射制御するための複数の入射制御素子が、その内周側から外周側へ向けて並んだ状態で形成されたものが記載されている。
【0004】
この「特許文献1」に記載された複数の入射制御素子の各々は、光源からの直射光を入射させる入射面と、この入射面から入射した光源からの光を灯具前方へ向けて全反射させる反射面とを備えた構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009-187859号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記「特許文献1」に記載されているような構成を採用することにより、光源から灯具前方へ向けて出射する直射光を広範囲にわたって前方照射光として利用することが可能となる。
【0007】
しかしながら、このような車両用灯具においては、光源から灯具前方へ向けて出射する直射光のうち、導光体の外周縁部へ向かう光に関しては十分な光量が得られない場合が多く、このため導光体をその外周縁部まで明るく光って見えるようにすることが容易でない。
【0008】
本願発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、光源からの出射光を、導光体を介して灯具前方へ向けて照射するように構成された車両用灯具において、導光体がその外周縁部まで明るく光って見えるようにすることができる車両用灯具を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願発明は、導光体の構成に工夫を施すことにより、上記目的達成を図るようにしたものである。
【0010】
すなわち、本願発明に係る車両用灯具は、
光源からの出射光を、導光体を介して灯具前方へ向けて照射するように構成された車両用灯具において、
上記導光体は、上記光源の灯具前方に位置する中心領域と、上記中心領域の周囲に位置する周辺領域とを備えており、
上記中心領域は、上記光源からの直射光を入射させる第1入射面と、上記第1入射面から入射した上記光源からの光を上記周辺領域へ向けて全反射させる第1反射面とを備えており、
上記周辺領域の後面に、上記光源からの直射光を入射制御するための複数の入射制御素子が、上記周辺領域の内周側から外周側へ向けて並んだ状態で形成されており、
上記複数の入射制御素子の各々は、上記光源からの直射光を入射させる第2入射面と、上記第2入射面から入射した上記光源からの光を灯具前方へ向けて全反射させる第2反射面とを備えており、
上記複数の入射制御素子の各々は、上記第1反射面で全反射した上記光源からの光が上記第2反射面に入射し得る位置に配置されている、ことを特徴とするものである。
【0011】
上記「車両用灯具」の種類は特に限定されるものではなく、例えばテールランプ、クリアランスランプ、フロントターンシグナルランプ等が採用可能である。
【0012】
上記「光源」の種類は特に限定されるものではなく、例えば発光ダイオードや光源バルブ等が採用可能である。
【0013】
上記「中心領域」および「周辺領域」の各々の具体的な範囲および外形形状は特に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0014】
本願発明に係る車両用灯具は導光体を備えているが、この導光体は中心領域と周辺領域とを備えており、その周辺領域の後面には光源からの直射光を入射制御するための複数の入射制御素子が内周側から外周側へ向けて並んだ状態で形成されており、かつ、複数の入射制御素子の各々は、光源からの直射光を入射させる第2入射面と、この第2入射面から入射した光源からの光を灯具前方へ向けて全反射させる第2反射面とを備えているので、光源から灯具前方へ向けて出射する光を広範囲にわたって前方照射光として利用することができる。
【0015】
その上で、導光体の中心領域は、光源からの直射光を入射させる第1入射面と、この第1入射面から入射した光源からの光を周辺領域へ向けて全反射させる第1反射面とを備えており、かつ、複数の入射制御素子の各々は、中心領域の第1反射面で全反射した光源からの光が第2反射面に入射し得る位置に配置されているので、中心領域の第1反射面で全反射した光源からの光についても、これを周辺領域からの前方照射光として利用することができる。
【0016】
そして、このように光源から導光体の中心領域へ向かう明るい光を周辺領域へ振り向けることにより、周辺領域からの前方照射光を大幅に増大させることができ、これにより導光体がその外周縁部まで明るく光って見えるようにすることができる。
【0017】
このように本願発明によれば、光源からの出射光を、導光体を介して灯具前方へ向けて照射するように構成された車両用灯具において、導光体がその外周縁部まで明るく光って見えるようにすることができる。
【0018】
上記構成において、さらに、複数の入射制御素子の各々の構成として、第2反射面が灯具前方へ向けて外周側に傾斜した傾斜面で構成されたものとした上で、その外周側領域が内周側領域よりも大きい傾斜角度で形成されたものとすれば、次のような作用効果を得ることができる。
【0019】
すなわち、中心領域の第1反射面で全反射した光源からの光は、複数の入射制御素子の各々に対して、その第2反射面の外周側領域に入射することとなるが、この外周側領域は内周側領域よりも大きい傾斜角度で形成されているので、周辺領域の第2入射面から入射した後に第2反射面の内周側領域で全反射した光源からの光と、中心領域の第1反射面で全反射した後に第2反射面の外周側領域で全反射した光源からの光とが、灯具正面方向に近い略同一方向へ向かう光として照射されるようにすることができる。そしてこれにより、灯具正面視において導光体の周辺領域がその全域にわたって明るく光って見えるようにすることができる。
【0020】
その際、上記「内周側領域」および「外周側領域」の各々の具体的な範囲は特に限定されるものではなく、また、外周側領域が内周側領域よりも大きい傾斜角度で形成されていれば、その各々の具体的な傾斜角度は特に限定されるものではない。
【0021】
上記構成において、さらに、複数の入射制御素子が、周辺領域の内周側から外周側へ向けて灯具前方側に徐々に変位した状態で配置された構成とすれば、中心領域の第1反射面で全反射した光源からの光を効率良く第2反射面に入射させることができる。
【0022】
上記構成において、さらに、周辺領域の前面に、複数の入射制御素子の第2反射面で全反射した光源からの光を出射制御するための複数の出射制御素子が、周辺領域の内周側から外周側へ向けて並んだ状態で形成された構成とすれば、導光体による配光制御を精度良く行うことが可能となる。その際、複数の出射制御素子のうち少なくとも周辺領域の外周縁部に位置する出射制御素子が、第2反射面で全反射した光源からの光を中心領域寄りの方向へ偏向出射させるように構成されたものとすれば、導光体の周辺に他の灯具構成部材が配置されているような場合であっても、この灯具構成部材によって周辺領域からの前方照射光が不用意に遮られてしまうのを未然に防止することができる。
【0023】
上記構成において、さらに、上記光源が、発光面を灯具前方へ向けた状態で配置された発光素子で構成されている場合には、この発光素子からの出射光の配光分布は、その発光面の略面直方向に位置する導光体の中心領域への出射光の強度が大きくなる反面、導光体の周辺領域へ向かう出射光の強度は大幅に小さくなるので、本願発明のように中心領域の第1反射面で全反射した発光素子からの光を周辺領域からの前方照射光として利用する構成を採用することが特に効果的である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本願発明の一実施形態に係る車両用灯具を示す正面図
図2図1のII-II線断面図
図3図2のIII 部詳細図
図4図3のIV部詳細図
図5図4のV部詳細図
図6】上記車両用灯具の導光体における周辺領域で行われる配光制御の様子を示す側断面図
図7】上記実施形態の第1変形例を示す、図5と同様の図
図8】上記実施形態の第2変形例を示す、図5と同様の図
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を用いて、本願発明の実施の形態について説明する。
【0026】
図1は、本願発明の一実施形態に係る車両用灯具10を示す正面図であり、図2図1のII-II線断面図である。
【0027】
図1、2において、Xで示す方向が車両用灯具10としての「前方」(車両としても「前方」)であり、Yで示す方向が車両用灯具10としての「左方向」(車両としても「左方向」)であり、Zで示す方向が「上方向」である。図1、2以外の図においても同様である。
【0028】
図1、2に示すように、本実施形態に係る車両用灯具10は、車両前部に配置されるフロントターンシグナルランプであって、ランプボディ12と、このランプボディ12の前端開口部に取り付けられた素通し状の透光カバー14とで形成される灯室内に、光源ユニット20と導光体30とホルダーパネル40とエクステンションパネル50とが組み込まれた構成となっている。そして、この車両用灯具10は、光源ユニット20からの出射光を、導光体30を介して灯具前方へ向けて照射するように構成されている。
【0029】
光源ユニット20は、光源としての発光素子22が基板24を介してプラグ26に支持された構成となっている。この光源ユニット20は、ホルダーパネル40に形成された光源支持孔40aにおいてホルダーパネル40に支持されている。この支持は、プラグ26の前端部を光源支持孔40aに灯具後方側から挿入した状態で、所定量回転させてホルダーパネル40と嵌合させることによって行われている。この嵌合が確実に行われるようにするため、プラグ26にはパッキン28が装着されている。また、プラグ26の後部には複数の放熱フィン26aが形成されている。
【0030】
ホルダーパネル40は、その外周縁部においてランプボディ12に支持されている。
【0031】
発光素子22は、正方形の発光面22aを有するアンバー色の発光ダイオードであって、光源ユニット20がホルダーパネル40に支持された状態において、その発光面22aが灯具前方(具体的には灯具正面方向)を向いた状態で配置されるように構成されている。
【0032】
導光体30は、アクリル(PMMA)樹脂やポリカーボネート(PC)樹脂等の透明樹脂成形品であって、発光素子22からの出射光を導光するように構成されている。この導光体30は、発光素子22に対して灯具正面方向に位置する中心領域32と、この中心領域32の周囲に位置する周辺領域34と、この周辺領域34の周囲に位置する外周壁部36とを備えており、その外周壁部36においてホルダーパネル40に支持されている。
【0033】
中心領域32は、発光素子22の発光中心を通るようにして灯具前後方向に延びる基準軸線Axを中心にして形成されており、灯具正面視において円形の外形形状を有している。
【0034】
中心領域32の中央部は、発光素子22からの直射光を透過制御する透過制御部32Aとして構成されており、その外周部は発光素子22からの直射光を反射制御制御する反射制御部32Bとして構成されている。
【0035】
中心領域32の後面は、発光素子22の発光中心からの直射光を基準軸線Axと平行な光として入射させる第1入射面32aとして構成されている。
【0036】
中心領域32における透過制御部32Aの前面は、第1入射面32aから入射した発光素子22からの直射光を、基準軸線Axと平行な方向に対して僅かに拡がる方向へ向けて出射させる第1出射面32Aaとして構成されている。この第1出射面32Aaは、その中央部に対して外周部が灯具前方側に変位した状態で階段状に形成されている。
【0037】
中心領域32における反射制御部32Bの前面は、第1入射面32aから入射した発光素子22からの直射光を周辺領域34へ向けて全反射させる第1反射面32Baとして構成されている。
【0038】
具体的には、第1反射面32Baは、基準軸線Axを中心軸とする円錐面で構成されており、これにより第1反射面32Baに到達した第1入射面32aからの入射光を基準軸線Axを中心にしてその径方向外方へ向けて全反射させるようになっている。その際、この第1反射面32Baは、第1入射面32aからの入射光を基準軸線Axと直交する鉛直面に対して僅かに灯具後方寄りの方向へ向けて全反射させるように、その傾斜角度が設定されている。
【0039】
周辺領域34は、灯具正面視において基準軸線Axを中心とする横長矩形状の外形形状を有している。
【0040】
周辺領域34の後面には、発光素子22からの直射光を入射制御するための複数の入射制御素子34Sが、周辺領域34の内周側から外周側へ向けて並んだ状態で形成されている。
【0041】
具体的には、複数の入射制御素子34Sは、灯具正面視において基準軸線Axを中心にして円環状に延びるように形成されている。その際、これら複数の入射制御素子34Sは、略同一の断面形状でかつ略一定の幅で形成されている。
【0042】
複数の入射制御素子34Sの各々は、発光素子22からの直射光を入射させる第2入射面34S1と、この第2入射面34S1から入射した発光素子22からの光を灯具前方へ向けて全反射させる第2反射面34S2とを備えている。
【0043】
また、複数の入射制御素子34Sの各々は、中心領域32の第1反射面32Baで全反射した発光素子22からの光が第2反射面34S2に入射し得る位置に配置されている。
【0044】
これを容易に実現するため、複数の入射制御素子34Sは、周辺領域34の内周側から外周側へ向けて灯具前方側に徐々に変位した状態で配置されている。具体的には、複数の入射制御素子34Sは、基準軸線Axと直交する鉛直面に対して5~10°程度灯具前方側に傾斜した円錐面に沿って配置されている。
【0045】
周辺領域34の前面には、複数の入射制御素子34Sの第2反射面34S2で全反射した発光素子22からの光を出射制御するための複数の出射制御素子34E1、34E2が、周辺領域34の内周側から外周側へ向けて並んだ状態で形成されている。これら複数の出射制御素子34E1、34E2は、灯具正面視において基準軸線Axを中心にして同心円状に延びる複数の円環状領域が、さらに周方向に関して等角度で分割された複数の扇形セグメントに割り付けられている。
【0046】
複数の出射制御素子34E1、34E2は、灯具正面視において複数の入射制御素子34Sと略重複する位置に形成されている。すなわち、これら複数の出射制御素子34E1、34E2は、径方向に関して略一定の幅で形成されている。
【0047】
複数の出射制御素子34E1、34E2は、第2反射面34S2で全反射した発光素子22からの光を灯具前方へ向けて基準軸線Ax寄りの方向へ出射させるように構成されている。その際、周辺領域34の外周縁部に位置する出射制御素子34E2は、周辺領域34の内周寄りに位置する出射制御素子34E1よりも基準軸線Ax寄りの方向への偏向出射角度が大きくなるように、その断面形状が設定されている。
【0048】
複数の出射制御素子34E1、34E2の各々は、第2反射面34S2で全反射した発光素子22からの光を基準軸線Axに関して周方向に拡散する光として出射させるように構成されている。
【0049】
導光体30の外周壁部36は、周辺領域34の外周縁部から灯具前方へ向けてやや外周側に傾斜した方向に延びるように形成されている。この外周壁部36は、灯具正面視において周辺領域34の外周形状に沿って横長矩形状に延びるように形成されている。
【0050】
エクステンションパネル50は、灯具正面視において導光体30の外周壁部36の前端面に沿って横長矩形状に延びるように形成されている。このエクステンションパネル50は、導光体30の周辺領域34の外形形状よりもやや小さい横長矩形状の開口部50aを有している。そして、このエクステンションパネル50は、その開口部50aから灯具後方へ向けて外周側に拡がるように形成されており、その後端部においてホルダーパネル40に当接した状態でランプボディ12に支持されている。
【0051】
図3図2のIII 部詳細図であり、図4図3のIV部詳細図である。
【0052】
図3に示すように、複数の入射制御素子34Sの各々において、第2入射面34S1は灯具前方へ向けて内周側に傾斜した傾斜面として略円錐面状に形成されており、第2反射面34S2は灯具前方へ向けて外周側に傾斜した傾斜面として略円錐面状に形成されている。
【0053】
複数の入射制御素子34Sの各々の後端部34Saは、丸みを帯びた断面形状を有している。一方、複数の入射制御素子34S相互間の接続部分は、ほとんど丸みの無いピン角状の断面形状を有している。
【0054】
第2反射面34S2は、その内周側領域34S2Aよりも外周側領域34S2Bの方が大きい傾斜角度で形成されている。なお、第2反射面34S2の内周側領域34S2Aは、第2入射面34S1よりも大きい傾斜角度で形成されている。
【0055】
図4に示すように、第2反射面34S2の外周側領域34S2Bは、中心領域32の第1反射面32Baで全反射した発光素子22からの光(以下、単に「反射光B」ともいう)が第2反射面34S2に対して入射し得る最大範囲にわたって形成されており、それ以外の領域が内周側領域34S2Aとして形成されている。
【0056】
複数の入射制御素子34Sの各々は、その第2反射面34S2の外周側領域34S2Bにおいて、中心領域32からの反射光Bを灯具前方へ向けて全反射させるとともに、その第2反射面34S2の内周側領域34S2Aにおいて、第2入射面34S1から入射した発光素子22からの光(以下、単に「直射光A」ともいう)を灯具前方へ向けて全反射させるようになっている。
【0057】
図5図4のV部詳細図であって、図5(a)は中心領域32からの反射光Bの光路を示す図であり、図5(b)は発光素子22からの直射光Aの光路を示す図であり、図5(c)はこれらを同時に示す図である。
【0058】
図5(a)に示すように、中心領域32からの反射光Bは、略平行光として第2反射面34S2の外周側領域34S2Bに到達し、この外周側領域34S2Bで全反射した後も略平行光として灯具前方へ向かう。その際、この外周側領域34S2Bからの全反射光が灯具正面方向に対して僅かに内周側に傾斜した方向へ向かう光となるように、外周側領域34S2Bの傾斜角度が設定されている。
【0059】
一方、図5(b)に示すように、発光素子22からの直射光Aは、平行光よりも僅かに拡がる光として第2入射面34S1に到達した後、この第2入射面34S1から平行光よりも僅かに拡がる光として第2反射面34S2の内周側領域34S2Aに到達し、この内周側領域34S2Aで全反射した後も平行光よりも僅かに拡がる光として灯具前方へ向かう。その際、この内周側領域34S2Aからの全反射光が灯具正面方向に対して僅かに内周側に傾斜した方向へ向かう光となるように、内周側領域34S2Aの傾斜角度が設定されている。
【0060】
ただし、入射制御素子34Sの後端部34Saに到達した直射光Aは、第2入射面34S1から入射した後に一旦収束してから拡散光として第2反射面34S2の内周側領域34S2Aに到達するので、この内周側領域34S2Aで全反射した後、拡散光として灯具前方へ向かう。
【0061】
したがって、内周側領域34S2A全体からの全反射光としては、灯具正面方向に対して僅かに内周側に傾斜した方向へ向かう略平行光と、灯具正面方向に対して内周側および外周側に拡がる拡散光とが混ざり合ったものとなる。
【0062】
図5(c)に示すように、第2反射面34S2全体からの全反射光としては、外周側領域34S2Bから略平行光として灯具正面方向に近い方向へ向かう反射光B由来の光と、内周側領域34S2Aから略平行光および拡散光として灯具正面方向に近い方向へ向かう直射光A由来の光とが混ざり合ったものとなる。
【0063】
図6は、発光素子22からの出射光に対して導光体30の周辺領域34で行われる配光制御の様子を示す側断面図である。その際、図6(a)は中心領域32からの反射光Bに対する配光制御の様子を示す図であり、図6(b)は発光素子22からの直射光Aに対する配光制御の様子を示す図であり、図6(c)はこれらを同時に示す図である。
【0064】
図6(a)に示すように、中心領域32からの反射光Bは、複数の入射制御素子34Sの第2反射面34S2で全反射した後、灯具正面方向に対して僅かに内周寄りの方向へ向かう略平行光として周辺領域34の前面に到達する。そして、出射制御素子34E1の形成領域に到達した光は、出射制御素子34E1により基準軸線Ax寄りの方向へ僅かに偏向する略平行光として灯具前方へ向けて出射し、その外周側に位置する出射制御素子34E2の形成領域に到達した光は、出射制御素子34E2により基準軸線Ax寄りの方向へ比較的大きく偏向する略平行光として灯具前方へ向けて出射する。
【0065】
一方、図6(b)に示すように、発光素子22からの直射光Aは、複数の入射制御素子34Sの第2反射面34S2で全反射した後、基準軸線Ax寄りの方向へ僅かに偏向する略平行光と拡散光とが混ざり合った光として周辺領域34の前面に到達する。そして、出射制御素子34E1の形成領域に到達した光は基準軸線Ax寄りの方向へ僅かに偏向した状態で灯具前方へ向けて出射し、出射制御素子34E2の形成領域に到達した光は基準軸線Ax寄りの方向へ比較的大きく偏向した状態で灯具前方へ向けて出射する。
【0066】
図6(c)に示すように、第2反射面34S2全体からの全反射光としては、外周側領域34S2Bから略平行光として灯具前方へ向かう反射光B由来の光と、内周側領域34S2Aから略平行光および拡散光として灯具前方へ向かう直射光A由来の光とが混ざり合ったものとなる。
【0067】
その際、反射光B由来の光は、直射光A由来の光よりも明るい光として灯具前方へ向けて出射する。
【0068】
また、反射光B由来の光も直射光A由来の光も、出射制御素子34E2の形成領域から灯具前方へ向けて出射する際には、基準軸線Ax寄りの方向へ比較的大きく偏向するので、これにより導光体30からの出射光がエクステンションパネル50によって遮光されてしまうのが未然される(図3参照)。
【0069】
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
【0070】
本実施形態に係る車両用灯具10は導光体30を備えているが、この導光体30は中心領域32と周辺領域34とを備えており、その周辺領域34の後面には光源としての発光素子22からの直射光を入射制御するための複数の入射制御素子34Sが内周側から外周側へ向けて並んだ状態で形成されており、かつ、複数の入射制御素子34Sの各々は、発光素子22からの直射光を入射させる第2入射面34S1と、この第2入射面34S1から入射した発光素子22からの光を灯具前方へ向けて全反射させる第2反射面34S2とを備えているので、発光素子22から灯具前方へ向けて出射する光を広範囲にわたって前方照射光として利用することができる。
【0071】
その上で、導光体30の中心領域32は、発光素子22からの直射光を入射させる第1入射面32aと、この第1入射面32aから入射した発光素子22からの光を周辺領域34へ向けて全反射させる第1反射面32Baとを備えており、かつ、複数の入射制御素子34Sの各々は、中心領域32の第1反射面32Baで全反射した発光素子22からの光が第2反射面34S2に入射し得る位置に配置されているので、中心領域32の第1反射面32Baで全反射した発光素子22からの光についても、これを周辺領域34からの前方照射光として利用することができる。
【0072】
そして、このように発光素子22から導光体30の中心領域32へ向かう明るい光を周辺領域34へ振り向けることにより、周辺領域34からの前方照射光を大幅に増大させることができ、これにより導光体30がその外周縁部まで明るく光って見えるようにすることができる。
【0073】
このように本実施形態によれば、発光素子22からの出射光を、導光体30を介して灯具前方へ向けて照射するように構成された車両用灯具10において、導光体30がその外周縁部まで明るく光って見えるようにすることができる。
【0074】
特に本実施形態においては、複数の入射制御素子34Sの各々の構成として、その第2反射面34S2が灯具前方へ向けて外周側に傾斜した傾斜面で構成されたものとした上で、この第2反射面34S2の外周側領域34S2Bが内周側領域34S2Aよりも大きい傾斜角度で形成されたものとなっているので、次のような作用効果を得ることができる。
【0075】
すなわち、中心領域32の第1反射面32Baで全反射した発光素子22からの光は、複数の入射制御素子34Sの各々に対して、その第2反射面34S2の外周側領域34S2Bに入射することとなるが、この外周側領域34S2Bは内周側領域34S2Aよりも大きい傾斜角度で形成されているので、周辺領域34の第2入射面34S1から入射した後に第2反射面34S2の内周側領域34S2Aで全反射した発光素子22からの光と、中心領域32の第1反射面32Baで全反射した後に第2反射面34S2の外周側領域34S2Bで全反射した発光素子22からの光とが、灯具正面方向に近い略同一方向へ向かう光として照射されるようにすることができる。そしてこれにより、灯具正面視において導光体30の周辺領域34がその全域にわたって明るく光って見えるようにすることができる。
【0076】
また本実施形態においては、複数の入射制御素子34Sが、周辺領域34の内周側から外周側へ向けて灯具前方側に徐々に変位した状態で配置されているので、中心領域32の第1反射面32Baで全反射した発光素子22からの光を効率良く第2反射面34S2に入射させることができる。
【0077】
さらに本実施形態においては、周辺領域34の前面に、複数の入射制御素子34Sの第2反射面34S2で全反射した発光素子22からの光を出射制御するための複数の出射制御素子34E1、34E2が、周辺領域34の内周側から外周側へ向けて並んだ状態で形成されているので、導光体30による配光制御を精度良く行うことができる。しかも、複数の出射制御素子34E1、34E2は、第2反射面34S2で全反射した発光素子22からの光を中心領域32寄りの方向へ偏向出射させるように構成されており、その際、周辺領域34の外周縁部に位置する出射制御素子34E2は、第2反射面34S2で全反射した発光素子22からの光を中心領域32寄りの方向へ大きく偏向出射させるように構成されているので、導光体30の周辺にエクステンションパネル50が灯具構成部材として配置されているにもかかわらず、このエクステンションパネル50によって周辺領域34からの前方照射光が不用意に遮られてしまうのを未然に防止することができる。
【0078】
しかも、複数の出射制御素子34E1、34E2の各々は、第2反射面34S2で全反射した発光素子22からの光を基準軸線Axに関して周方向に拡散する光として出射させるように構成されているので、灯具正面視の場合のみならず灯具正面方向から多少傾斜した方向から観察した場合においても、導光体30の周辺領域34がその全域にわたって均一に光って見えるようにすることができる。
【0079】
また、本実施形態に係る車両用灯具10においては、発光素子22がその発光面22aを灯具前方へ向けた状態で配置されており、このため発光素子22からの出射光の配光分布は、発光面22aの略面直方向に位置する導光体30の中心領域32への出射光の強度が大きくなる反面、導光体30の周辺領域34へ向かう出射光の強度は大幅に小さくなるので、本実施形態のように中心領域32の第1反射面32Baで全反射した発光素子22からの光を周辺領域34からの前方照射光として利用する構成を採用することが特に効果的である。
【0080】
さらに本実施形態に係る車両用灯具10においては、その光源が光源ユニット20の発光素子22で構成されているので、光源光束のバラツキがあっても光源ユニット20を交換することにより適正な光源光束を確保することが可能である。その一方で、本実施形態のように光源ユニット20が灯室内に収容されている場合には、その交換ができない灯具構成となる場合もあり、このような場合には光源光束のバラツキによって配光のバラツキも発生しやすくなってしまう。しかしながら本実施形態のように、発光素子22から導光体30の中心領域32へ向かう明るい光を周辺領域34へ振り向けることによって周辺領域34からの前方照射光を大幅に増大させる構成とすれば、光源光束に多少のバラツキがあっても導光体30がその外周縁部まで明るく光って見えるようにすることが可能となる。
【0081】
上記実施形態においては、導光体30の周辺領域34が横長矩形状の外形形状を有しているものとして説明したが、これ以外の外形形状(例えば楕円形や平行四辺形等の外形形状)を有する構成とすることも可能である。
【0082】
上記実施形態においては、複数の入射制御素子34Sが同心円状に形成されているものとして説明したが、内周側から外周側へ向けて並んだ状態で形成されていれば、これ以外の配置(例えば縦縞状や格子状等の配置)で形成された構成とすることも可能である。
【0083】
上記実施形態においては、光源ユニット20が、単一の発光素子22を備えているものとして説明したが、複数の発光素子22を備えた構成とすることも可能である。
【0084】
上記実施形態においては、光源ユニット20が、灯室内に配置されたホルダーパネル40に支持されているものとして説明したが、それ以外の灯具構成部材(例えばランプボディ12等)に支持された構成とすることも可能である。
【0085】
上記実施形態においては、導光体30の周辺にエクステンションパネル50が配置されているものとして説明したが、これ以外の灯具構成部材(例えばインナーレンズのフランジ部等)が配置された構成とすることも可能であり、このような構成を採用した場合においても、この灯具構成部材によって周辺領域34からの前方照射光が不用意に遮られたり迷光が発生してしまうのを未然に防止することができる。
【0086】
上記実施形態においては、車両用灯具10が、車両前部に設けられるフロントターンシグナルランプである場合について説明したが、車両に設けられる箇所や機能にかかわらず、上記実施形態と同様の構成を採用することにより上記実施形態と同様の作用効果を得ることができる。例えば、車両用灯具10として、フロントターンシグナルランプ以外にも、テールランプ、ストップランプ、デイタイムランニングランプ、クリアランスランプ等が採用可能である。その際、これら各灯具の機能に合わせて、アンバー色の発光ダイオードの他にも、赤色や白色の発光ダイオード等を使用することが可能である。
【0087】
次に、上記実施形態の変形例について説明する。
【0088】
まず、上記実施形態の第1変形例について説明する。
【0089】
図7は、本変形例に係る導光体130の要部を示す、図5と同様の図である。
【0090】
図7に示すように、本変形例の導光体130も、その基本的な構成は上記実施形態の場合と同様であるが、その周辺領域134の後面に形成された複数の入射制御素子134Sの構成が上記実施形態の場合と一部異なっている。
【0091】
すなわち本変形例においても、複数の入射制御素子134Sは、周辺領域134の内周側から外周側へ向けて並んだ状態で形成されており、かつ、これら複数の入射制御素子134Sの各々は、発光素子(図示せず)からの直射光Aを入射させる第2入射面134S1と、この第2入射面134S1から入射した直射光Aと中心領域(図示せず)からの反射光Bとを灯具前方へ向けて全反射させる第2反射面134S2とを備えた構成となっているが、その第2反射面134S2の断面形状が上記実施形態の場合と異なっている。
【0092】
具体的には、本変形例の第2反射面134S2においても、その外周側領域134S2Bは内周側領域134S2Aよりも大きい傾斜角度で形成されているが、外周側領域134S2Bと内周側領域134S2Aとが連続的な凹曲線で繋がる断面形状を有している点で上記実施形態の場合と異なっている。
【0093】
図7(a)に示すように、略平行光として第2反射面134S2の外周側領域134S2Bに到達した反射光Bは、この凹曲線状に形成された外周側領域134S2Bで全反射した後、灯具正面方向に対して内周側および外周側に多少拡散する光として灯具前方へ向かう。
【0094】
一方、図7(b)に示すように、平行光よりも僅かに拡がる光として第2入射面134S1に到達した直射光Aは、この第2入射面134S1から平行光よりも僅かに拡がる光として第2反射面134S2の内周側領域134S2Aに到達し、この凹曲線状に形成された内周側領域134S2Aで全反射した後、灯具正面方向に対して内周側および外周側に比較的大きく拡散する光として灯具前方へ向かう。また、入射制御素子134Sの後端部134Saに到達した直射光Aは、第2入射面134S1から入射した後に一旦収束してから拡散光として第2反射面134S2の内周側領域134S2Aに到達し、この凹曲線状に形成された内周側領域134S2Aで全反射した後、灯具正面方向に対して内周側および外周側に比較的大きく拡散する光として灯具前方へ向かう。
【0095】
したがって、内周側領域134S2A全体からの全反射光としても、灯具正面方向に対して内周側および外周側に比較的大きく拡散する光となる。
【0096】
図7(c)に示すように、第2反射面134S2全体からの全反射光としては、外周側領域134S2Bから比較的拡がりが小さい拡散光として灯具正面方向に近い方向へ向かう反射光B由来の光と、内周側領域134S2Aから比較的拡がりが大きい拡散光として灯具正面方向に近い方向へ向かう直射光A由来の光とが混ざり合ったものとなる。
【0097】
その際、反射光B由来の光は、直射光A由来の光よりも明るい光として灯具前方へ向けて全反射する。
【0098】
本変形例の構成を採用した場合においても、上記実施形態と略同様の作用効果を得ることができる。
【0099】
また、本変形例の構成を採用することにより、第2反射面134S2全体からの全反射光を、上記実施形態の場合よりも内周側および外周側への拡がりが大きい光とすることができるので、灯具正面視の場合のみならず灯具正面方向から多少傾斜した方向から観察した場合においても、導光体130の周辺領域134がその全域にわたって均一に光って見えるようにする効果を高めることができる。
【0100】
次に、上記実施形態の第2変形例について説明する。
【0101】
図8は、本変形例に係る導光体230の要部を示す、図5と同様の図である。
【0102】
図8に示すように、本変形例の導光体230も、その基本的な構成は上記実施形態の場合と同様であるが、その周辺領域234の後面に形成された複数の入射制御素子234Sの構成が上記実施形態の場合と一部異なっている。
【0103】
すなわち本変形例においても、複数の入射制御素子234Sは、周辺領域234の内周側から外周側へ向けて並んだ状態で形成されており、かつ、これら複数の入射制御素子234Sの各々は、発光素子(図示せず)からの直射光Aを入射させる第2入射面234S1と、この第2入射面234S1から入射した直射光Aと中心領域(図示せず)からの反射光Bとを灯具前方へ向けて全反射させる第2反射面234S2とを備えた構成となっているが、その第2反射面234S2の断面形状が上記実施形態の場合と異なっている。
【0104】
具体的には、本変形例の第2反射面234S2は、その内周側領域234S2Aと外周側領域234S2Bとが同じ傾斜角度で形成されており、その傾斜角度は上記実施形態の第2反射面34S2における外周側領域34S2Bの傾斜角度と同じ値に設定されている。
【0105】
これに伴い、複数の入射制御素子234Sの各々は、その後端部234Saが上記実施形態の場合よりも小さい丸みでピン角に近い断面形状を有している。
【0106】
図8(a)に示すように、略平行光として第2反射面234S2の外周側領域234S2Bに到達した反射光Bは、上記実施形態の場合と同様、外周側領域234S2Bで全反射した後、灯具正面方向に対して僅かに内周側に傾斜した方向へ向かう略平行光となる。
【0107】
一方、図8(b)に示すように、平行光よりも僅かに拡がる光として第2入射面234S1に到達した直射光Aは、この第2入射面234S1から平行光よりも僅かに拡がる光として第2反射面234S2の内周側領域234S2Aおよび外周側領域234S2Bに到達し、この第2反射面234S2で全反射した後、灯具正面方向に対して外周側に大きく傾斜した方向へ向かう略平行光となる。また、入射制御素子234Sの後端部234Saに到達した直射光Aは、第2入射面234S1から入射した後に一旦収束してから拡散光として第2反射面234S2の内周側領域234S2Aおよび外周側領域234S2Bに到達し、この2反射面234S2で全反射した後、灯具正面方向に対して外周側に大きく傾斜した方向へ向かう拡散光となる。
【0108】
図8(c)に示すように、第2反射面234S2全体からの全反射光としては、外周側領域234S2Bから比較的拡がりが小さい拡散光として灯具正面方向に近い方向へ向かう反射光B由来の光と、内周側領域234S2Aおよび外周側領域234S2Bから略平行光および拡散光として灯具正面方向に対して外周側に大きく傾斜した方向へ向かう直射光A由来の光とが混ざり合ったものとなる。
【0109】
その際、反射光B由来の光は、直射光A由来の光よりも明るい光として灯具前方へ向けて全反射する。
【0110】
本変形例の構成を採用した場合においても、上記実施形態と略同様の作用効果を得ることができる。
【0111】
また本変形例においては、反射光B由来の明るい光によって、周辺領域34が一定程度の明るさで光って見えるようにした上で、直射光A由来の光によって、灯具正面方向から大きく傾斜した方向からも周辺領域34が光って見えるようにすることができる。
【0112】
なお、上記実施形態およびその変形例において諸元として示した数値は一例にすぎず、これらを適宜異なる値に設定してもよいことはもちろんである。
【0113】
また、本願発明は、上記実施形態およびその変形例に記載された構成に限定されるものではなく、これ以外の種々の変更を加えた構成が採用可能である。
【符号の説明】
【0114】
10 車両用灯具
12 ランプボディ
14 透光カバー
20 光源ユニット
22 発光素子(光源)
22a 発光面
24 基板
26 プラグ
26a 放熱フィン
28 パッキン
30、130、230 導光体
32 中心領域
32a 第1入射面
32A 透過制御部
32Aa 第1出射面
32B 反射制御部
32Ba 第1反射面
34、134、234 周辺領域
34E1、34E2 出射制御素子
34S、134S、234S 入射制御素子
34Sa、134Sa、234Sa 後端部
34S1、134S1、234S1 第2入射面
34S2、134S2、234S2 第2反射面
34S2A、134S2A、234S2A 内周側領域
34S2B、134S2B、234S2B 外周側領域
36 外周壁部
40 ホルダーパネル
40a 光源支持孔
50 エクステンションパネル
50a 開口部
A 直射光
Ax 基準軸線
B 反射光
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8