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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023121666
(43)【公開日】2023-08-31
(54)【発明の名称】一体型空気調和装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 13/02 20060101AFI20230824BHJP
   F24F 1/028 20190101ALI20230824BHJP
   F24F 13/08 20060101ALI20230824BHJP
【FI】
F24F13/02 F
F24F1/028
F24F13/08 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022025128
(22)【出願日】2022-02-21
(71)【出願人】
【識別番号】391001457
【氏名又は名称】アイリスオーヤマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100180644
【弁理士】
【氏名又は名称】▲崎▼山 博教
(72)【発明者】
【氏名】上山 晃平
(72)【発明者】
【氏名】今川 圭介
【テーマコード(参考)】
3L049
3L080
3L081
【Fターム(参考)】
3L049BA03
3L049BB03
3L049BC01
3L080AA07
3L080AC05
3L080AD02
3L081AA02
3L081AB01
3L081BA04
(57)【要約】
【課題】排気ダクトの接続に制約があるような場所でも冷房効率を向上させることが可能な一体型空気調和装置を提供することを目的とする。
【解決手段】一体型空気調和装置1は、室外排気口16を有するケース2と、室外排気口16から排気される空気をケース2の外部に向けて排気する排気ダクト50と、ケース2の内部に配され、圧縮機10、蒸発器、及び凝縮器で構成される冷凍サイクルと、排気ダクト50を上方に向けた姿勢で保持する保持部52と、を備える。一体型空気調和装置1は、保持部52によって、排気ダクト50をフード3に向けた姿勢で保持することができ、室外排気口16から排気される空気を換気装置5を通じて外部に排気できる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
室外排気口を有するケースと、
前記室外排気口から排気される空気を前記ケースの外部に向けて排気する排気ダクトと、
前記ケースの内部に配され、圧縮機、蒸発器、及び凝縮器で構成される冷凍サイクルと、
前記排気ダクトを上方に向けた姿勢で保持する保持部と、
を備えることを特徴とする一体型空気調和装置。
【請求項2】
前記保持部が、前記ケースに支持されると共に、前記排気ダクトを上方に向けて支持する支持具を備えていること、を特徴とする請求項1に記載の一体型空気調和装置。
【請求項3】
前記排気ダクトが、送風ファンを備えており、
前記送風ファンが、前記排気ダクトにおける排気方向下流側に向けて送風可能であること、を特徴とする請求項1又は2に記載の一体型空気調和装置。
【請求項4】
前記送風ファンが、吹出口に渦巻き状のリブを有するグリルを備えていること、を特徴とする請求項3に記載の一体型空気調和装置。
【請求項5】
前記排気ダクトに、渦巻き状のリブを有するグリルが設けられていること、を特徴とする請求項1又は2に記載の一体型空気調和装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の一体型空気調和装置が、フードを有する換気装置を配した部屋に配されるものであり、
前記保持部が、前記フードに向けて排気可能な姿勢で前記排気ダクトを保持するものであること、を特徴とする一体型空気調和装置。
【請求項7】
前記排気ダクトが、前記フードに接続されるフード接続部を有すること、を特徴とする請求項6に記載の一体型空気調和装置。
【請求項8】
前記排気ダクトの開口端側に、前記排気ダクトの内部に形成された排気通路の通路断面積を絞る狭窄部が設けられていること、を特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の一体型空気調和装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一体型空気調和装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、室内機及び室外機が分離されたセパレートタイプの空気調和装置(エアコンとも称する)と、熱交換器(蒸発器、凝縮器)を内蔵した一体型空気調和装置(ポータブルクーラーとも称する)と、が知られている。後者の一体型空気調和装置は、部屋の間取り等の理由により、セパレートタイプの空気調和装置(エアコンとも称する)を取り付けできない場合や、手軽に、かつ、スポット的に冷風を当てたい場合などに利用されている。一体型空気調和装置(一体型空気調和機に相当)は、小能力の圧縮機を内蔵し、冷凍サイクルを応用したものとされている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4354318号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の一体型空気調和装置は、排気ダクトを窓に接続し、冷凍サイクルにおける熱交換によって生じる熱気を室外に排出するものとされている。しかしながら、部屋等に窓がない場合や排気ダクトの接続ができない窓しかない場合は、熱気を排出できないという問題があった。特に、キッチンにおいては、排気ダクトの接続に制約がある場合が多く、一体型空気調和装置の設置に制約があった。また、上述のように排気ダクトが接続できないキッチン内に一体型空気調和装置を設置した場合は、調理器具等から発せられる熱気と排気ダクトから排出される熱気により、キッチン内がより一層高温になる懸念があった。
【0005】
そこで、本発明は、排気ダクトの接続に制約があるような場所でも冷房効率を向上させることが可能な一体型空気調和装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)上述した課題を解決すべく提供される本発明の一体型空気調和装置は、室外排気口を有するケースと、前記室外排気口から排気される空気を前記ケースの外部に向けて排気する排気ダクトと、前記ケースの内部に配され、圧縮機、蒸発器、及び凝縮器で構成される冷凍サイクルと、前記排気ダクトを上方に向けた姿勢で保持する保持部と、を備えることを特徴とするものである。
【0007】
上述した一体型空気調和装置は、保持部によって排気ダクトを上方に向けた姿勢で保持することができる。ここで、室外排気口から排気される空気は、冷凍サイクルの熱交換によって、暖められた空気(以下、熱気とも称する)とされている。そのため、排気ダクトから排気される熱気が、上方側に遠ざけられる。また、熱気は、軽くて上方側に溜まりやすいため、室内を冷やすための冷気から遠ざけられる。そのため、上述した一体型空気調和装置は、排気ダクトを窓に接続できないような場合であっても、冷房効率の低下を抑制できる。ここで、保持部は、例えば、湾曲可能で形状を保持可能な蛇腹状のダクト等で形成するとよい。また、上述した一体型空気調和装置は、上方に向けた姿勢で保持された際に、排気ダクトの開口が換気装置を向くように配置されるとよい。かかる構成とすることにより、上述した一体型空気調和装置は、排気ダクトを通って上方に排気された熱気を、換気装置を通じて室外に排出することができる。
【0008】
(2)上述した本発明の一体型空気調和装置は、前記保持部が、前記ケースに支持されると共に、前記排気ダクトを上方に向けて支持する支持具を備えているとよい。
【0009】
上述した一体型空気調和装置は、かかる構成とすることにより、排気ダクトを上方に向けて確実に支持することができる。そのため、上述した一体型空気調和装置は、例えば、排気ダクトが重いような場合であっても、排気ダクトが垂れ下がって方向が変わることを抑制できる。ここで、支持具は、例えば、ケース上に立設された脚やケース側面に設けられたホースバンドなど、各種の部材を用いることができる。また、保持部及び支持具は、保持部自体が支持具として形成されたものや保持部の一部が支持具として形成されたもの、あるいは、保持部と独立して支持具が形成されたものなど、各種の形態のものを利用できる。
【0010】
(3)上述した本発明の一体型空気調和装置は、前記排気ダクトが、送風ファンを備えており、前記送風ファンが、前記排気ダクトにおける排気方向下流側に向けて送風可能であるとよい。
【0011】
上述した一体型空気調和装置は、かかる構成とすることにより、排気ダクトを通る熱気の風力を送風ファンで高めて排気できる。そのため、上述した一体型空気調和装置は、排気ダクトを通る熱気をスムーズに排気できる。ここで、送風ファンは、各種のものを利用することができ、例えば、直進性の高い空気を吹き出し可能なサーキュレータを好ましく利用できる。
【0012】
(4)上述した本発明の一体型空気調和装置は、前記送風ファンが、吹出口に渦巻き状のリブを有するグリルを備えているとよい。
【0013】
上述した一体型空気調和装置は、かかる構成とすることにより、排気ダクトを通る熱気の風力を送風ファンで高めつつ、吹き出す熱気をスパイラル気流として排気できる。これにより、上述した一体型空気調和装置は、排気ダクトから排気された熱気の直進性を高めることができ、当該熱気を上方側に向けて排気することができる。そのため、上述した一体型空気調和装置は、冷房効率を向上させることができる。ここで、グリルは、排気ダクトにおける排気方向下流側に向けて膨出して形成されているとよい。かかる構成とすることにより、上述した一体型空気調和装置は、排気される熱気を送風方向の中央に集める(収束させる)ことができるので、風速を向上させることができ、排気される熱気の到達距離を伸長できる効果が期待できる。
【0014】
(5)上述した本発明の一体型空気調和装置は、前記排気ダクトに、渦巻き状のリブを有するグリルが設けられているとよい。
【0015】
上述した一体型空気調和装置は、かかる構成とすることにより、排気ダクトを通った熱気をスパイラル気流として排気できる。これにより、上述した一体型空気調和装置は、排気ダクトから排気された熱気の直進性を高めることができ、当該熱気を上方側に向けて排気することができる。そのため、上述した一体型空気調和装置は、冷房効率を向上させることができる。ここで、グリルは、排気ダクトにおける排気方向下流側に向けて膨出して形成されているとよい。かかる構成とすることにより、上述した一体型空気調和装置は、排気される熱気を送風方向の中央に集める(収束させる)ことができるので、風速を向上させることができ、排気される熱気の到達距離を伸長できる効果が期待できる。
【0016】
(6)上述した本発明の一体型空気調和装置は、フードを有する換気装置を配した部屋に配されるものであり、前記保持部が、前記フードに向けて排気可能な姿勢で前記排気ダクトを保持するものであるとよい。
【0017】
上述した一体型空気調和装置は、フード(例えば、レンジフード)に向けて熱気を排気できる。そのため、換気装置から確実に熱気が排気される。これにより、上述した一体型空気調和装置は、冷房効率を向上させることができる。また、上述した一体型空気調和装置は、例えば、キッチンに配されたレンジフードを利用して、排気ダクトから排出される熱気を外部に排気できる。
【0018】
(7)上述した本発明の一体型空気調和装置は、前記排気ダクトが、前記フードに接続されるフード接続部を有するとよい。
【0019】
上述した一体型空気調和装置は、かかる構成とすることにより、排気ダクトから排気される空気を確実にフードに導くことができる。これにより、上述した一体型空気調和装置1は、より一層冷房効率を向上させることができる。ここで、フード接続部は、例えば、ホースバンド状のものなど各種のものが利用できる。
【0020】
(8)上述した本発明の一体型空気調和装置は、前記排気ダクトの開口端側に、前記排気ダクトの内部に形成された排気通路の通路断面積を絞る狭窄部が設けられているとよい。
【0021】
上述した一体型空気調和装置は、かかる構成とすることにより、排気ダクトを通る空気を絞り込んで排気することができる。そのため、排気ダクトから排気される空気が、エアカーテンを形成すると共に、排気される空気の風速が高められる。これにより、上述した一体型空気調和装置は、排気ダクトから排気される熱気と共に、周辺の熱気(例えば、調理器具等から発せられる熱気)も排気方向(上方)に導くことができる。従って、上述した一体型空気調和装置は、排気効率を向上できると共に、冷房効率を向上できる。ここで、狭窄部には、例えば、扁平ノズルのように排気通路の通路断面積を扁平に絞ったものなど、各種の形状や大きさに形成されたものが利用できる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、排気ダクトの接続に制約があるような場所でも冷房効率を向上させることが可能な一体型空気調和装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の一実施形態に係る一体型空気調和装置の概略斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係る一体型空気調和装置の概略構成図である。
図3】本発明の第一変形例に係る一体型空気調和装置の概略斜視図である。
図4】本発明の第二変形例に係る一体型空気調和装置の概略斜視図である。
図5】(a)は、本発明の第二変形例に係る一体型空気調和装置の説明図であり、(b)は、本発明の第三変形例に係る一体型空気調和装置の説明図である。
図6】本発明の第四変形例に係る一体型空気調和装置の概略斜視図である。
図7】本発明の第五変形例に係る一体型空気調和装置の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の一体型空気調和装置1の一実施形態について、図1及び図2を参照しつつ、以下に詳細を説明する。なお、各図における寸法は、説明の便宜上、実際の大きさや比率と異なる場合があることに留意されたい。また、本実施形態では、一体型空気調和装置1が、フード3(例えば、レンジフード)を有する換気装置4(図2参照)が配された部屋(例えば、キッチン)に配されている場合を例として説明する。フード3は、内部に空間が形成されており、当該空間内に換気装置4が収容されている。従って、フード3は、換気装置4に空気を導く経路を形成している。
【0025】
図1及び図2に示すように、本発明の一体型空気調和装置1は、ケース2に装置本体が収容されている。また、ケース2の背面側には、排気ダクト50が接続されている。
【0026】
図2に示すように、ケース2は、縦長の箱体として形成されており、室内吸込口10と、室内吹出口12と、室外吸気口14と、室外排気口16と、を備えている。また、ケース2は、内部に冷凍サイクルを構成する圧縮機20と、蒸発器22と、凝縮器24と、を収容している。ケース2は、前記の他、第一ファン30(室内ファン30とも称する)と、第二ファン35(室外ファン35とも称する)等を収容している。
【0027】
室内吸込口10は、ケース2の背面側(後方側)に設けられており、ケース2の内部と室内とを連通させている。室内吸込口10は、一体型空気調和装置1が設置される室内の空気をケース2の内部に吸気するものとされている。また、室内吸込口10には、フィルタ(図示せず)が設けられており、当該フィルタは、ケース2の内部に埃や異物が侵入することを抑制するものとされている。
【0028】
室内吹出口12は、図1及び図2に示すように、ケース2の前面側(前方側)に設けられており、ケース2の内部と室内とを連通させている。室内吹出口12は、室内吸込口10から吸い込まれた室内の空気を、後述する蒸発器22を介して室内に吹き出すものとされている。
【0029】
図2に示すように、室内吸込口10及び室内吹出口12との間には、第一送風経路40が形成されている。第一送風経路40には、蒸発器22と、第一ファン30と、が配されている。第一送風経路40は、外周が断熱された隔壁によって隔てられており、室内吸込口10から吸い込まれた空気を室内吹出口12に向けて流通させる通路を形成している。
【0030】
第一ファン30は、例えば、シロッコファンで形成されており、モータ31が接続されている。第一ファン30は、モータ31の駆動力によって回転駆動される。第一ファン30が、回転駆動されると、室内吸込口10から室内吹出口12に向けての気流が発生する。これにより、室内の空気が室内吸込口10から吸い込まれて、室内吹出口12から排気される。
【0031】
室外吸気口14は、ケース2の背面側(後方側)に設けられている。室外吸気口14は、ケース2の外部(室内)と連通している。室外吸気口14は、室内の空気をケース2の内部に流入させる(吸気する)ものとされている。また、室外吸気口14には、フィルタ(図示せず)が設けられており、当該フィルタは、ケース2の内部に埃や異物が侵入することを抑制するものとされている。なお、室外吸気口14に吸気ダクトを接続して、室外の空気を取り入れるようにすることも可能である。
【0032】
室外排気口16には、排気ダクト50を接続するための被接続アダプタ(図示せず)が形成されている。室外排気口16の被接続アダプタには、排気ダクト50の一端側が接続されている。室外排気口16は、排気ダクト50を介して、ケース2の外部(室内)と連通している。室外排気口16は、室外吸気口14から流入する空気を、後述する凝縮器24を介してケース2の外部に排気するものとされている。詳細は後述するが、室外排気口16からは、凝縮器24で熱交換された空気(熱気)が排気される。
【0033】
室外吸気口14及び室外排気口16との間には、第二送風経路42が形成されている。第二送風経路42には、凝縮器24と、第二ファン35と、が配されている。第二送風経路42は、外周が断熱された隔壁によって隔てられており、室外吸気口14から吸い込まれた外気を室外排気口16に向けて流通させる通路を形成している。
【0034】
第二ファン35は、例えば、シロッコファンで形成されており、モータ36が接続されている。第二ファン35は、モータ36の駆動力によって回転駆動される。第二ファン35が、回転駆動されると、室外吸気口14からケース2内部に向けての気流が発生する。これにより、ケース2の外部の空気が室外吸気口14から吸い込まれる。また、ケース2内部に吸い込まれた空気は、凝縮器24で熱交換された後、室外排気口16から排気される。
【0035】
排気ダクト50は、筒状の蛇腹として形成されており、所定の範囲で伸縮が可能であると共に湾曲させることが可能である。排気ダクト50は、一端側(上流側)が、室外排気口16に接続されている。具体的には、排気ダクト50の一端側に接続アダプタ(図示せず)が形成されており、当該接続アダプタを室外排気口16の被接続アダプタ(図示せず)に接続することにより、排気ダクト50の一端側が、室外排気口16に接続される。
【0036】
排気ダクト50は、他端側が開口形成されており、開口端がケース2の外部(室内)と連通している。従って、排気ダクト50は、室外排気口16から排気される熱気をケース2の外部に排気することができる。また、排気ダクト50は、保持部52を備えている。
【0037】
保持部52は、例えば、所定の形状を保持可能な複数本のワイヤが通線されている。従って、保持部52は、排気ダクト50を所定の形状に保持することができる。図1に示すように、本実施形態では、保持部52は、排気ダクト50を上方に向けた姿勢で保持するものとされている。このとき、本実施形態では、排気ダクト50が、換気装置4のフード3の内部に向けた姿勢で保持されている。従って、上述した一体型空気調和装置1は、排気ダクト50を通って上方に排気された熱気を、フード3に向けて排出することができる。これにより、上述した一体型空気調和装置1は、フード3に配された換気装置4を通じて熱気を効率良く室外に排出することができる。なお、保持部52は、排気ダクト50を上方に向けた姿勢で保持可能な各種の手段を利用できる。
【0038】
次に、一体型空気調和装置1における冷凍サイクルを構成する圧縮機20、蒸発器22、及び凝縮器24について、図2を参照しながら説明する。なお、本実施形態では、蒸発器22及び凝縮器24が、熱伝導性良好なアルミニウム等のフィンに銅管を貫通させたフィンチューブ式の熱交換器26を形成している場合について説明する。
【0039】
圧縮機20は、ポンプで形成されており、ケース2の下方に配置されている。圧縮機20は、熱交換器26における冷媒を高温高圧ガスに圧縮するものとされている。圧縮機20によって圧縮された高温高圧冷媒は、凝縮器24に送られる。
【0040】
凝縮器24は、熱伝導性良好なアルミニウム等のフィンを有し、当該フィンに冷媒を流通させる銅管(図示せず)が貫通されている。凝縮器24は、圧縮機20で圧縮された高温高圧冷媒を放熱させて凝縮(液化)させる。また、凝縮器24には、第二ファン35により室外吸気口14から取り込まれた空気(外気とも称する)が送り込まれる。これにより、冷媒の熱交換が行われ、冷媒から放出された熱が外気で冷やされる。また、外気は熱を吸収し、熱気となって室外排気口16から排気される。他方、凝縮器24によって凝縮された冷媒は、膨張弁(図示せず)を通過して、圧力が低下すると共に、沸点が降下する。これにより、冷媒が低温低圧の液体に変換されて、蒸発器22に送られる。
【0041】
蒸発器22は、凝縮器24と同様に熱伝導性良好なアルミニウム等のフィンを有し、当該フィンに冷媒を流通させる銅管(図示せず)が貫通されている。蒸発器22は、低温低圧の液体となった冷媒を蒸発(気化)させるものとされている。蒸発器22は、冷媒の蒸発に伴って、熱が奪われて温度が低下する。また、蒸発器22には、第一ファン30により、室内の空気が送り込まれる。これにより、冷媒の熱交換が行われ、室内から吸気した空気が蒸発器22によって冷却される。また、冷却された空気は、冷気となって室内吹出口12から吹き出される。以上が、本発明の一体型空気調和装置1における冷凍サイクルの一実施形態である。
【0042】
上述したように、本発明の一体型空気調和装置1は、保持部52によって排気ダクト50を上方に向けた姿勢で保持することができる。ここで、室外排気口16から排気される空気は、冷凍サイクルの熱交換によって、暖められた空気(以下、熱気とも称する)とされている。そのため、排気ダクト50から排気される熱気が、上方側に遠ざけられる。また、熱気は、軽くて上方側に溜まりやすいため、室内吹出口12から吹き出される冷気から遠ざけられる。そのため、上述した一体型空気調和装置1は、排気ダクト50を窓に接続できないような場合であっても、冷房効率の低下を抑制できる。また、上述した一体型空気調和装置1は、本実施形態のようにフード3を有する換気装置4が配された部屋(例えば、キッチン)に設置する場合、フード3を利用して、排気ダクト50から排出される熱気を外部に排気できる。そのため、夏場等のキッチンのように室内が高温になった場合でも、上述した一体型空気調和装置1は、冷房効率の低下を抑制でき、キッチンでの作業者に対して効果的に冷風を当てることができる。
【0043】
以上が、本発明の一実施形態に係る一体型空気調和装置1の構成であり、次に、本発明の第一変形例~第五変形例に係る一体型空気調和装置1について、図3図7を参照しながら以下に説明する。なお、上述した実施形態と同一の部材については、同一の符号を付していることに留意されたい。また、上述した実施形態と同一の部材については、説明を省略する。
【0044】
≪第一変形例≫
図3に示すように、第一変形例に係る一体型空気調和装置1は、保持部52が支持具54を備えている。支持具54は、ケース2の上部に立設された2本の脚として形成されている。すなわち、支持具54は、脚の基端側が、ケース2に支持されており、脚の他端側に排気ダクト50が支持されている。支持具54は、保持部52と共に、排気ダクト50を上方に向けて支持するものとされている。
【0045】
従って、第一変形例に係る一体型空気調和装置1は、排気ダクト50を上方に向けて確実に支持することができる。そのため、上述した一体型空気調和装置1は、例えば、排気ダクト50が重いような場合であっても、排気ダクト50が垂れ下がって方向が変わることを抑制できる。
【0046】
以上が、本発明の第一変形例に係る一体型空気調和装置1の構成であり、次に本発明の第二変形例に係る一体型空気調和装置1について図4及び図5(a)を参照しながら以下に説明する。
【0047】
≪第二変形例≫
図4及び図5(a)に示すように、第二変形例に係る一体型空気調和装置1は、排気ダクト50が、送風ファン60を備えている。第二変形例では、排気ダクト50の内部における開口端側(排気方向下流側)に、送風ファン60が設けられている。第二変形例では、送風ファン60としてサーキュレータが用いられている。
【0048】
送風ファン60は、ファンガード61と、送風用モータ65(図5(a)参照)、及びファン67等から構成されている。ファンガード61は、送風ファン60の正面側に配されるグリル62(前ファンガード62とも称する)、及び送風ファン60の背面側に配される後ファンガード63を有する。グリル62は、グリル62及び後ファンガード63を一体化することにより形成される内部空間に、ファン67を回転可能なように収容できる。
【0049】
グリル62には、正面視で渦巻き状となるように形成されたリブ62aが設けられている。ファン67の回転に伴って発生した風は、リブ62a,62aの間に形成された隙間を介して排出される。また、グリル62は、図5(a)に示すように、外側(正面側)に向けて略ドーム状に膨出するように形成されている。グリル62を膨出して形成することにより、風が送風方向の中央に集まり(収束し)、風速を向上でき、送風ファン60にて発生する気流(スパイラル気流)の到達距離を伸長できる利点がある。
【0050】
後ファンガード63には、放射状にリブ63aが設けられている。後ファンガード63は、周方向に隣接するリブ63a,63aの間に形成された隙間を介して、排気ダクト50内を流れる空気(熱気)を導入できる。
【0051】
また、図4に示すように、第三変形例では、排気ダクト50が第一変形例と同様に支持具54で支持されている。このように、送風ファン60を排気ダクト50に設ける場合は、排気ダクト50の重量が増すので、支持具54を設けるとよい。なお、支持具54は、必要に応じて設ければよく、支持具54を設けない構成とすることも可能である。かかる場合は、保持部52による支持力を向上させるとよい。
【0052】
図5(a)に示すように、後ファンガード63の後方側には、送風用モータ65が設けられている。送風用モータ65は、ファン67を回転させるための動力源となるものである。例えば、送風用モータ65にはDCモータが用いられている。
【0053】
送風ファン60は、送風用モータ65を駆動することにより、排気ダクト50を通る熱気を後ファンガード63から吸い込み、排気ダクト50における排気方向下流側(開口端)に向けて送風することができる。従って、第二変形例に係る一体型空気調和装置1は、排気ダクト50を通る熱気の風力を送風ファン60で高めて排気できるので、排気ダクト50を通る熱気をスムーズに排気できる。
【0054】
また、第二変形例では、上述したように送風ファン60として、サーキュレータが用いられている。また、第二変形例に係る一体型空気調和装置1は、送風ファン60が、吹出口に渦巻き状のリブ62aを有するグリル62を備えるものとされている。
【0055】
従って、第二変形例に係る一体型空気調和装置1は、排気ダクト50を通る空気(熱気)の風力を送風ファン60で高めつつ、吹き出す熱気をスパイラル気流として排気できる。これにより、上述した一体型空気調和装置1は、排気ダクト50から排気された熱気の直進性を高めることができ、当該熱気を上方側に向けて排気することができる。そのため、上述した一体型空気調和装置1は、冷房効率を向上させることができる。なお、送風ファン60は、サーキュレータだけではなく、各種のファンを利用することが可能である。
【0056】
以上が、第二変形例に係る一体型空気調和装置1の構成であり、次に第三変形例に係る一体型空気調和装置1について、図5(b)を参照しながら以下に説明する。なお、第三変形例は、第二変形例における送風ファン60の送風用モータ65、ファン67、及び後ファンガード63を取り除いて構成したものである。すなわち、第三変形例に係る一体型空気調和装置1は、排気ダクト50に、渦巻き状のリブ62aを有するグリル62を設けたものとされている。
【0057】
≪第三変形例≫
第三変形例では、第二ファン35(図2参照)による風力によって、排気ダクト50を通る熱気が、グリル62に向けて送風される。また、熱気は、グリル62を通過することで、スパイラル気流に変換されて、排気ダクト50の開口端から排気される。これにより、第三変形例に係る一体型空気調和装置1は、排気ダクト50から排気された熱気の直進性を高めることができ、当該熱気を上方側に向けて排気することができる。そのため、上述した一体型空気調和装置1は、冷房効率を向上させることができる。ここで、グリル62は、第二変形例と同様に、排気ダクト50における排気方向下流側に向けて膨出して形成されているとよい。かかる構成とすることにより、上述した一体型空気調和装置1は、排気される熱気を送風方向の中央に集める(収束させる)ことができるので、風速を向上させることができ、排気される熱気の到達距離を伸長できる効果が期待できる。
【0058】
以上が、第三変形例に係る一体型空気調和装置1の構成であり、次に本発明の第四変形例に係る一体型空気調和装置1について、図6を参照しながら以下に説明する。
【0059】
≪第四変形例≫
第四変形例に係る一体型空気調和装置1は、フード3(例えば、レンジフード)を有する換気装置4を配した部屋に配されるものとされている。また、第四変形例では、排気ダクト50が、フード3に接続されるフード接続部56を有するものとされている。
【0060】
フード接続部56は、排気ダクト50をフード3に支持するために設けられている。フード接続部56は、例えば、フード3に支持可能なホースバンドやフックなどで形成されている。排気ダクト50は、開口端側を、例えば、フード3に支持されたフード接続部56に支持することにより、フード3に接続できる。
【0061】
このように、第四変形例に係る一体型空気調和装置1は、排気ダクト50がフード3の内部に接続されているので、排気ダクト50を通じて排気される熱気を確実にフード3に導くことができる。これにより、上述した一体型空気調和装置1は、より一層冷房効率を向上させることができる。
【0062】
以上が、第四変形例に係る一体型空気調和装置1の構成であり、次に本発明の第五変形例に係る一体型空気調和装置1について、図7を参照しながら以下に説明する。
【0063】
≪第五変形例≫
第五変形例に係る一体型空気調和装置1は、排気ダクト50の開口端側に、狭窄部70が設けられている。
【0064】
狭窄部70は、排気ダクト50の内部に形成された排気通路の通路断面積を絞るものとされている。狭窄部70は、本実施形態では、排気通路の通路断面積を扁平に絞った扁平ノズルが用いられている。
【0065】
このように、狭窄部70は、排気通路の通路断面積が絞られているので、排気ダクト50を通る空気を絞り込んで排気することができる。そのため、排気ダクト50から排気される空気が、エアカーテンを形成すると共に、排気される空気の風速が高められる。これにより、第五変形例に係る一体型空気調和装置1は、排気ダクト50から排気される熱気と共に、周辺の熱気(例えば、調理器具等から発せられる熱気)も排気方向(上方)に導くことができる。従って、上述した一体型空気調和装置1は、排気効率を向上できると共に、冷房効率を向上できる。なお、狭窄部70は、扁平ノズルに限定されず、排気通路の通路断面積を絞り込むことが可能な各種の部材を用いることができる。
【0066】
以上が、本発明の一体型空気調和装置1の実施形態及び変形例に係る構成であるが、本発明は上述した実施形態や変形例に限定されるものではなく、発明の範囲内で適宜の変更を行うことができる。
【0067】
本実施形態では、室外吸気口14及び室外排気口16が、ケース2の背面側(後方側)に配されているが、これには限定されず、室外吸気口14及び室外排気口16は、各種の位置に配することができる。例えば、室外吸気口14及び室外排気口16が、ケース2の側面に配されていてもよい。また、本実施形態では、室内吸込口10がケース2の背面側に配され、室内吹出口12がケース2の前面側に配されているが、室内吸込口10及び室内吹出口12は、各種の位置に配することができる。例えば、室内吸込口10が、ケース2の側面に配されていてもよい。また、室内吹出口12が、ケース2の上面側に配されていてもよい。また、室内吸込口10及び室内吹出口12が、それぞれ複数設けられていてもよい。また、ケース2の形状や大きさも各種の形状や大きさのものが利用できる。
【0068】
また、圧縮機20、蒸発器22、及び凝縮器24の配置は、本実施形態に限定されず、各種の位置に配することができる。また、本実施形態では、冷凍サイクルを構成する場合を例示したが、本発明の一体型空気調和装置1は、圧縮機20、蒸発器22、凝縮器24等を反転させて機能させることにより、暖房装置として利用することも可能である。
【0069】
また、排気ダクト50に用いる素材も円筒状や蛇腹状のものだけではなく、各種の素材のものを利用できる。また、排気ダクト50の形状や大きさは、本実施形態のものに限定されず、各種の形状や大きさのものを採用できる。また、排気ダクト50は、一体的に形成されているものだけではなく、分割形成したものを連結して形成してもよい。また、第一送風経路40及び第二送風経路42は、各種の形状や大きさに形成することができる。また、本実施形態では、第一ファン30及び第二ファン35としてそれぞれシロッコファンを例示したが、本発明の一体型空気調和装置1は、これには限定されず、各種の形態のファンを利用できる。
【0070】
また、本実施形態では、保持部52が、形状を保持可能なワイヤで構成されているものを例示したが、保持部52は、これには限定されず、各種の素材を用いて形成できる。また、保持部52の形状や大きさは、各種の形状や大きさのものが利用できる。また、本実施形態では、保持部52が、排気ダクト50と一体化されたものを例示したが、保持部52が、排気ダクト50と独立して配されていてもよい。また、保持部52及び支持具54は、保持部52自体が支持具54として形成されたものや保持部52の一部が支持具54として形成されたもの、あるいは、保持部52と独立して支持具54が形成されたものなど、各種の形態のものを利用できる。また、保持部52による排気ダクト50の方向付けは、一体型空気調和装置1を部屋に配する前や部屋に配した後など、適宜のタイミングで行うことが可能である。
【0071】
また、支持具54は、必要に応じて設ければよく、支持具54を有しない構成とすることができる。また、支持具54は、各種の形状や大きさに形成することができる。また、支持具54は、各種の部材を用いて構成することができ、支持具54を設ける位置も、各種の位置に配することができる。例えば、支持具54が、ケース2の側面に設けられていてもよい。
【0072】
また、送風ファン60は、必要に応じて設ければよく、送風ファン60を有しない構成とすることができる。また、本変形例では、送風ファン60にサーキュレータを用いたが、これには限定されず、送風ファン60には、各種のファンが利用できる。また、送風ファン60に設けられるグリル62は、渦巻き状のリブ62aが設けられるものだけではなく、各種の形状のリブを備えたものを利用できる。また、グリル62は、各種の形状のものを利用できる。例えば、グリル62は、前面が膨出しているものだけではなく、平坦に形成されていてもよい。また、第三変形例で用いたグリル62は、各種の形状のリブを備えたものや各種の形状・大きさのものを利用できる。また、本発明の一体型空気調和装置1は、フード3を有する換気装置4を配した部屋だけではなく、各種の部屋や場所に配することができる。また、フード接続部56は、必要に応じて設ければよい。また、フード接続部56には、各種の形態のものが利用できる。
【0073】
以上が、本発明の一体型空気調和装置1の実施形態であるが、本発明は上述した実施形態や変形例において例示したものに限定されるものではなく、特許請求の範囲を逸脱しない範囲でその教示及び精神から他の実施形態があり得ることは当業者に容易に理解できよう。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明の一体型空気調和装置は、室内外を問わず、各種の場所で利用することができる。また、本発明の一体型空気調和装置は、フードを有する換気装置が配されたキッチン等において好ましく利用することができる。
【符号の説明】
【0075】
1 :一体型空気調和装置
2 :ケース
3 :フード
4 :換気装置
10 :室内吸込口
12 :室内吹出口
14 :室外吸気口
16 :室外排気口
20 :圧縮機
22 :蒸発器
24 :凝縮器
26 :熱交換器
50 :排気ダクト
52 :保持部
54 :支持具
56 :フード接続部
60 :送風ファン
61 :ファンガード
62 :グリル
62a:リブ
63 :後ファンガード
70 :狭窄部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7