(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023121670
(43)【公開日】2023-08-31
(54)【発明の名称】製袋包装機
(51)【国際特許分類】
B65B 9/213 20120101AFI20230824BHJP
【FI】
B65B9/213
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022025141
(22)【出願日】2022-02-21
(71)【出願人】
【識別番号】000147833
【氏名又は名称】株式会社イシダ
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】藤原 弘樹
(72)【発明者】
【氏名】奥田 慎之介
(72)【発明者】
【氏名】長島 良太
(72)【発明者】
【氏名】橋本 哲
(72)【発明者】
【氏名】市川 誠
【テーマコード(参考)】
3E050
【Fターム(参考)】
3E050AA02
3E050AB02
3E050AB08
3E050CA02
3E050CB03
3E050DC02
3E050DD03
3E050DF01
3E050DH04
3E050FA01
3E050FB01
3E050FB07
3E050FC03
3E050FC06
3E050GB06
3E050HB09
(57)【要約】
【課題】横シール機構より下流側においても物品の充填率を高めることができる製袋包装機を提供する。
【解決手段】製袋包装機は、物品排出装置から排出された物品Aを、フィルムを筒状に成形した袋Wに包装する。製袋包装機は、横シール機構と、移動機構と、制御部とを備える。横シール機構は、搬送される方向に対して交差する方向(水平方向H)からフィルムを挟み、シールする第1動作を行う。移動機構は、横シール機構を移動させる。制御部は、移動機構を制御し、第1動作が完了する前に横シール機構を振動させ、フィルム筒FT内の物品Aに対して振動を与える振動動作を実行させる。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品排出装置から排出された物品を、包材を筒状に成形した袋に包装する製袋包装機であって、
搬送される方向に対して交差する方向から前記包材を挟み、シールする第1動作を行う横シール機構と、
前記横シール機構を移動させる移動機構と、
前記移動機構を制御し、前記第1動作が完了する前に前記横シール機構を振動させ、前記包材内の前記物品に対して振動を与える振動動作を実行させる制御部と
を備える、
製袋包装機。
【請求項2】
前記制御部は、
前記振動動作において、前記移動機構に前記横シール機構を鉛直方向及び水平方向の少なくともいずれか一方向で往復駆動させる、
請求項1に記載の製袋包装機。
【請求項3】
前記横シール機構は、
前記横シール機構の上方において前記横シール機構に一体的に配置され、前記包材の外面と接触して前記包材の内部を落下する前記物品を受け止める受け部材を有し、
前記制御部は、
前記振動動作において、前記移動機構に、前記横シール機構とともに前記受け部材を振動させる、
請求項1または2に記載の製袋包装機。
【請求項4】
前記横シール機構は、
前記第1動作において前記包材を挟むシール部を有する、
請求項3に記載の製袋包装機。
【請求項5】
前記受け部材は、
前記第1動作において前記シール部が前記包材に接触する前に、前記包材の外面に接触し、
前記制御部は、
前記受け部材が前記包材の外面に接触し、前記シール部が前記包材に接触する前に前記振動動作を開始する、
請求項4に記載の製袋包装機。
【請求項6】
前記移動機構は、
前記横シール機構を駆動する駆動モータを有し、
前記制御部は、
前記振動動作において、前記駆動モータを正転及び逆転させることで前記移動機構に前記横シール機構を振動させる、
請求項1に記載の製袋包装機。
【請求項7】
前記包材を前記横シール機構に搬送する搬送機構をさらに備え、
前記搬送機構は、
前記包材を一定周期で間欠的に搬送する、
請求項1から6のいずれか1項に記載の製袋包装機。
【請求項8】
前記包材を前記横シール機構に搬送する搬送機構をさらに備え、
前記搬送機構は、
前記包材を連続的に搬送する、
請求項1から6のいずれか1項に記載の製袋包装機。
【請求項9】
前記横シール機構は、
前記横シール機構の上方において前記横シール機構に一体的に配置され、前記包材の外面と接触して前記包材の内部を落下する前記物品を受け止める受け部材と、
前記第1動作において前記包材を挟むシール部と
を有し、
前記移動機構は、
前記横シール機構を回転動作させる回転機構であって、
前記制御部は、
前記振動動作において、前記移動機構に、前記回転機構を正転及び逆転させることで前記横シール機構とともに前記受け部材を振動させる、
請求項1に記載の製袋包装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
製袋包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(特開2012-166833号公報)は、筒状に成形され物品が投下された包材の所定箇所をシールして製袋する包装機(製袋包装機)を開示している。特許文献1の包装機は、包材をその搬送方向と交差する方向に沿って挟んでシールする一対のシールジョーと、シールジョーの上方で包材を挟み、物品の進行を一時的に阻止する一対のシャッタとを備える。特許文献1のシャッタは、挟んだ包材を揺さぶり物品に振動を与えることで、シャッタより上流側にある物品の隙間を詰めて充填率を向上させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1の包装機では、振動を与えられた物品は、シャッタの下流に配置された袋の中に落下させられた後に包装される。このようにして、落下させられた物品の間には再び隙間が発生してしまうため、特許文献1の包装機では、充分に充填率を向上させることができないという課題があった。
【0004】
本発明の課題は、横シール機構より下流側においても物品の充填率を高めることができる製袋包装機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1観点に係る製袋包装機は、物品排出装置から排出された物品を、包材を筒状に成形した袋に包装する。本製袋包装機は、横シール機構と、移動機構と、制御部とを備える。横シール機構は、搬送される方向に対して交差する方向から包材を挟み、シールする第1動作を行う。移動機構は、横シール機構を移動させる。制御部は、移動機構を制御し、第1動作が完了する前に横シール機構を振動させ、包材内の物品に対して振動を与える振動動作を実行させる。
【0006】
本発明の第2観点に係る製袋包装機は、第1観点の製袋包装機であって、制御部が、振動動作において、移動機構に横シール機構を鉛直方向及び水平方向の少なくともいずれか一方向で往復駆動させる。
【0007】
本発明の第3観点に係る製袋包装機は、第1観点または第2観点の製袋包装機であって、受け部材をさらに備える。受け部材は、横シール機構の上方において横シール機構に一体的に配置され、包材の外面と接触して包材の内部を落下する物品を受け止める。制御部は、振動動作において、移動機構に、横シール機構とともに受け部材を振動させる。
【0008】
本発明の第4観点に係る製袋包装機は、第3観点の製袋包装機であって、横シール機構が、第1動作において包材を挟むシール部を有する。
【0009】
本発明の第5観点に係る製袋包装機は、第4観点の製袋包装機であって、受け部材が、第1動作においてシール部が包材に接触する前に、包材の外面に接触する。制御部は、受け部材が包材の外面に接触し、シール部が包材に接触する前に振動動作を開始する。
【0010】
本発明の第6観点に係る製袋包装機は、第1観点の製袋包装機であって、移動機構は、横シール機構を駆動する駆動モータを有する。制御部は、振動動作において、移動機構に、駆動モータを正転及び逆転させることで横シール機構を振動させる。
【0011】
本発明の第7観点に係る製袋包装機は、第1観点から第6観点の製袋包装機のいずれかであって、包材を横シール機構に搬送する搬送機構をさらに備える。搬送機構は、包材を一定周期で間欠的に搬送する。
【0012】
本発明の第8観点に係る製袋包装機は、第1観点から第6観点の製袋包装機のいずれかであって、包材を横シール機構に搬送する搬送機構をさらに備える。搬送機構は、包材を連続的に搬送する。
【0013】
本発明の第9観点に係る製袋包装機は、第1観点の製袋包装機であって、横シール機構が、受け部材と、シール部とを有する。受け部材は、横シール機構の上方において横シール機構に一体的に配置され、包材の外面と接触して包材の内部を落下する物品を受け止める。シール部は、第1動作において包材を挟む。移動機構は、横シール機構を回転動作させる回転機構である。制御部は、振動動作において、移動機構に、回転機構を正転及び逆転させることで横シール機構とともに受け部材を振動させる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る製袋包装機は、横シール機構より下流側においても物品の充填率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】製袋包装機10の全体構成を示す概略図である。
【
図2】横シール機構15及び移動機構16の平面図である。
【
図3】横シール機構15及び移動機構16の平面図である。
【
図4】横シール機構15及び移動機構16の側面図である。
【
図5】受け部材40を説明するための製袋包装機10の側面図である。
【
図6】制御部17が実行するサイクル動作を説明するための側面図である。
【
図7】サイクル動作における第1シールジョー56及び第2シールジョー57の鉛直方向Vにおける移動速度の変化を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。以下に説明される実施形態は、本発明の具体例の一つであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0017】
(1)全体構成
図1は、本発明の一実施形態である製袋包装機10の全体構成を示す概略図である。
図1は、製袋包装機10の側面図である。製袋包装機10の上方には、物品排出装置20が設置されている。物品排出装置20は、物品Aを落下させて下方に排出する。製袋包装機10は、物品排出装置20から排出されて落下した物品Aを包装する。製袋包装機10は、フィルムFを筒状に成形した袋Wを作り、袋Wの中に物品Aを投入してシールすることによって物品Aを包装する。
【0018】
製袋包装機10は、主として、フィルムロール支持部11と、フォーマ12と、プルダウンベルト13と、縦シール機構14と、横シール機構15と、移動機構16と、制御部17とを備える。
【0019】
(2)詳細構成
(2-1)フィルムロール支持部
フィルムロール支持部11は、フィルムロールFRを支持する。フィルムFは、フィルムロール支持部11に支持されているフィルムロールFRから引き出される。フィルムロールFRから引き出されたフィルムFは、複数のローラ11aを経由して、フォーマ12へ送られる。フィルムFは、包材の一例である。
【0020】
(2-2)フォーマ
フォーマ12は、フィルムFを湾曲させて、フィルムFの幅方向両端部を重ね合わせることにより、フィルムFを筒状に成形する。フォーマ12は、チューブ21とセーラ22とを有する。フィルムロール支持部11から送られてきたフィルムFは、セーラ22によって湾曲され、チューブ21とセーラ22との間を通過することで筒状に成形される。筒状に成形されたフィルムFは、チューブ21に沿って下方に案内される。物品排出装置20から排出された物品Aは、チューブ21の内部を落下して下方に送られる。
【0021】
(2-3)プルダウンベルト
プルダウンベルト13は、筒状のフィルムFをチューブ21に沿って上方から下方に向かって、横シール機構15に搬送する。プルダウンベルト13は、モータ(図示せず)によって駆動される。プルダウンベルト13は、フィルムFを連続的に搬送する。プルダウンベルト13は、搬送機構の一例である。
【0022】
(2-4)縦シール機構
縦シール機構14は、筒状のフィルムFを縦シールしてフィルム筒FTを作る。縦シールされる部分は、フォーマ12によって互いに重ね合わされた部分である。縦シール機構14は、筒状のフィルムFをチューブ21に対して押し付けながら加熱することで、筒状のフィルムFを鉛直方向Vにシールする。縦シール機構14は、例えば、筒状のフィルムFをシールするためのヒータを有する。
図1に示されるように、物品排出装置20から排出されチューブ21の内部を落下した物品Aは、チューブ21の下方においてフィルム筒FTの内部を落下する。
【0023】
(2-5)横シール機構
横シール機構15は、搬送される方向に対して交差する方向(水平方向H)からフィルム筒FTを挟み横シールすることで袋Wを作るサイクル動作を行う。横シール機構15は、第1シールジョー56と第2シールジョー57とを有する。第1シールジョー56及び第2シールジョー57は、互いに接近又は離間するように、それぞれ水平方向Hに移動可能である。第1シールジョー56及び第2シールジョー57は、鉛直方向Vにも移動可能である。横シール機構15は、第1シールジョー56及び第2シールジョー57でフィルム筒FTを挟み加熱することで、フィルム筒FTを水平方向Hにシールする。第1シールジョー及び第2シールジョーは、シール部の一例である。サイクル動作の詳細は、後述する。
【0024】
(2-6)移動機構
移動機構16は、横シール機構15を移動させる。具体的には、移動機構16は、第1シールジョー56と第2シールジョー57とを水平方向Hに互いに接近又は離間させるとともに、横シール機構15を鉛直方向Vに移動させる。また、移動機構16は、振動動作において横シール機構15を振動させ、フィルム筒FT内の物品Aに対して振動を与える。振動動作の詳細は、後述する。
【0025】
(2-7)制御部
制御部17は、プルダウンベルト13、縦シール機構14、横シール機構15、移動機構16、物品排出装置20、及び、その他のアクチュエータ等を制御する。制御部17は、各種センサからの信号を受信して処理する。制御部17は、例えば、マイクロコンピュータである。
【0026】
詳細は後述するが、制御部17は、製袋包装機10に、袋Wの成形及び物品Aの包装を行わせる。また、この際、制御部17は、移動機構16を制御し、サイクル動作に含まれる第1動作(後述)が完了する前に振動動作を実行させる。
【0027】
(3)横シール機構及び移動機構の詳細
図2及び
図3は、横シール機構15及び移動機構16の平面図である。
図4は、横シール機構15及び移動機構16の側面図である。横シール機構15は、主として、受け部材40と、架台51と、水平移動枠52と、摺動部材53と、第1シールジョー56と、第2シールジョー57とを有する。移動機構16は、主として、水平移動機構54と、鉛直移動機構55とを有する。なお、
図2、
図3、及び
図4では、受け部材40の図示は省略する。
【0028】
(3-1)架台
架台51は、第1サイドフレーム61と、第2サイドフレーム62と、第1連結部材63と、第2連結部材64と、複数のガイド65とを有する。第1連結部材63及び第2連結部材64は、第1サイドフレーム61と第2サイドフレーム62とを連結する。ガイド65は、第1サイドフレーム61又は第2サイドフレーム62に固定されている。
【0029】
(3-2)水平移動枠
水平移動枠52は、架台51に対して水平方向Hに移動可能である。水平移動枠52は、第1摺動ロッド71と、第2摺動ロッド72と、第1ベース部材73と、第2ベース部材74とを有する。第1摺動ロッド71は、第1サイドフレーム61に沿うように配置されている。第2摺動ロッド72は、第2サイドフレーム62に沿うように配置されている。第1摺動ロッド71及び第2摺動ロッド72の両端には、それぞれ、第1ベース部材73及び第2ベース部材74が固定されている。第1摺動ロッド71及び第2摺動ロッド72は、架台51のガイド65によって、水平方向Hに摺動可能に支持されている。
【0030】
(3-3)摺動部材
摺動部材53は、第1摺動ロッド71と第2摺動ロッド72との間に架け渡されている。摺動部材53の両端にはスライダ75が設けられている。スライダ75は、第1摺動ロッド71及び第2摺動ロッド72に対して水平方向Hにスライド可能である。
【0031】
(3-4)水平移動機構
水平移動機構54は、水平移動モータ58と、水平リンク機構80とを有する。
【0032】
水平移動モータ58は、第1シールジョー56及び第2シールジョー57を水平方向Hに移動させる動力を発生する。水平移動モータ58は、正転及び逆転のいずれにも回転可能である。
【0033】
水平リンク機構80は、水平移動モータ58の動力を、水平移動枠52及び摺動部材53に伝達する。
図2に示されるように、水平リンク機構80は、第1リンク81と、第2リンク82と、第3リンク83とを有する。
【0034】
第1リンク81の中央には、回転軸58aが固定されている。回転軸58aは、水平移動モータ58によって回転させられる。回転軸58aは、正転及び逆転のいずれにも回転可能である。回転軸58aは、水平移動モータ58のロータに直結した軸であってもよい。回転軸58aは、水平移動モータ58に取り付けられたギアボックス又はベルトによって回転させられる軸であってもよい。回転軸58aの回転に伴って、第1リンク81も回転する。
【0035】
第1リンク81の両端部には、それぞれ、第2リンク82及び第3リンク83が回転可能に連結されている。第2リンク82は、第2ベース部材74に連結されている。第3リンク83は、摺動部材53に連結されている。
【0036】
(3-5)第1シールジョー及び第2シールジョー
第1シールジョー及び第2シールジョーは、フィルム筒FTを挟んで押圧しながら熱を加えて横シールする。第1シールジョー56は、水平移動枠52の第1ベース部材73に取り付けられている。第2シールジョー57は、摺動部材53に取り付けられている。第1シールジョー56及び第2シールジョー57には、ヒータ(図示省略)が設けられている。第1シールジョー56及び第2シールジョー57の少なくとも一方には、可動ナイフ(図示省略)が設けられている。
【0037】
図2において、第1シールジョー56及び第2シールジョー57は、互いに接近した位置にある。
図3において、第1シールジョー56及び第2シールジョー57は、互いに離間した位置にある。
図2の状態において、回転軸58aが所定の角度だけ回転すると、水平リンク機構80の配置は
図3に示される状態になる。
図3の状態において、回転軸58aが所定の角度だけ回転すると、水平リンク機構80の配置は
図2に示される状態になる。
【0038】
(3-6)受け部材
図5は、受け部材40を説明するための製袋包装機10の側面図である。受け部材40は、フィルム筒FTの外面と接触してフィルム筒FTの内部を落下する物品Aを受け止める。受け部材40は、物品Aを受けることで、フィルム筒FTの内部を落下した物品Aがフィルム筒FTと当たる時の衝撃を低減して、フィルム筒FTの内部の物品A、及び、フィルム筒FTの破損を抑制する。受け部材40は、横シール機構15の上方において横シール機構15に一体的に配置される。具体的には、受け部材40は、第1シールジョー56及び第2シールジョー57の上方において第1シールジョー56及び第2シールジョー57に一体的に配置される。
【0039】
受け部材40は、第1受け部18と第2受け部19とを有する。受け部材40は、第1受け部18及び第2受け部19でフィルム筒FTを挟み込むことで、フィルム筒FTの内部を落下する物品Aを受け、受け部材40よりも下方に物品Aが落下することを抑制する。
【0040】
第1受け部18は、主として、第1固定部18aと、第1摺動部18bと、第1接触部18cとを有する。第1固定部18aは、横シール機構15の摺動部材53の上面に取り付けられる。第1摺動部18bは、第1固定部18aを貫通し、第1固定部18aに対して水平方向Hにスライド可能である。第1接触部18cは、第1摺動部18bに支持されている。第1接触部18cは、受け部材40が物品Aを受ける時に、フィルム筒FTの外面と接触する。
図5に示されるように、第1接触部18cは、第1シールジョー56及び第2シールジョー57が互いに離間してフィルム筒FTにしていない時は、第1シールジョー56よりもフィルム筒FTの近傍に位置するように第1摺動部18bに支持されている。第1摺動部18bが第1固定部18aに対して水平方向Hにスライドすることで、第1接触部18cは、第1シールジョー56に対して水平方向Hにスライドできる。
【0041】
第2受け部19は、主として、第2固定部19aと、第2摺動部19bと、第2接触部19cとを有する。第2固定部19aは、横シール機構15の水平移動枠52の第1ベース部材73の上面に取り付けられる。第2摺動部19bは、第2固定部19aを貫通し、第2固定部19aに対して水平方向Hにスライド可能である。第2接触部19cは、第2摺動部19bに支持されている。第2接触部19cは、受け部材40が物品Aを受ける時に、フィルム筒FTの外面と接触する。
図5に示されるように、第2接触部19cは、第1シールジョー56及び第2シールジョー57が互いに離間してフィルム筒FTにしていない時は、第2シールジョー57よりもフィルム筒FTの近傍に位置するように第2摺動部19bに支持されている。第2摺動部19bが第2固定部19aに対して水平方向Hにスライドすることで、第2接触部19cは、第2シールジョー57に対して水平方向Hにスライドできる。
【0042】
図1に示されるように、第1接触部18c及び第2接触部19cは、フィルム筒FTを挟んで対向している。第1接触部18c及び第2接触部19cの表面であって、フィルム筒FTの外面と対向する面は、フィルム筒FTの外面と接触する接触面である。接触面は、鉛直方向Vに対して傾斜している。具体的には、
図5に示されるように、水平方向Hにおいて、第1接触部18cの接触面と第2接触部19cの接触面との間の距離は、下方から上方に向かって徐々に増加している。
【0043】
受け部材40が物品Aを受ける時、フィルム筒FTは、第1接触部18cの接触面と第2接触部19cの接触面とによって挟み込まれる。フィルム筒FTの内部を落下する物品Aは、第1接触部18c及び第2接触部19cによって挟み込まれている高さ位置において、フィルム筒FTに当たって受け部材40によって受け止められる。
【0044】
第1接触部18c及び第2接触部19cは、第1動作(後述)において第1シールジョー56及び第2シールジョー57がフィルム筒FTに接触する前に、フィルム筒FTの外面に接触する。
【0045】
第1接触部18c及び第2接触部19cの接触面は、スポンジ等の弾力性を有する部材で覆われている。これにより、フィルム筒FTの内部を落下する物品Aを受け部材40が受ける際に、物品Aがフィルム筒FTに当たる時の衝撃が低減される。
【0046】
(3-7)鉛直移動機構
鉛直移動機構55は、鉛直移動モータ59と、鉛直リンク機構90とを有する。
【0047】
鉛直移動モータ59は、第1シールジョー56及び第2シールジョー57を鉛直方向Vに移動するように駆動する動力を発生する。鉛直移動モータ59は、正転及び逆転のいずれにも回転可能である。鉛直移動モータ59は、駆動モータの一例である。
【0048】
鉛直リンク機構90は、鉛直移動モータ59の動力を架台51へ伝達する。鉛直リンク機構90は、第1リンク91と、第2リンク92とを有する。
【0049】
第1リンク91の一端には、回転軸59aが固定されている。回転軸59aは、鉛直移動モータ59によって回転させられる。回転軸59aは、正転及び逆転のいずれにも回転可能である。回転軸59aは、鉛直移動モータ59のロータに直結した軸であってもよい。回転軸59aは、鉛直移動モータ59に取り付けられたギアボックス又はベルトによって回転させられる軸であってもよい。回転軸59aの回転に伴って、第1リンク91も回転する。
【0050】
第1リンク91の他端には、第2リンク92が回転可能に連結されている。第2リンク92は、架台51の第1サイドフレーム61又は第2サイドフレーム62と連結されている。回転軸59aが回転すると、架台51は鉛直方向Vに移動する。架台51が鉛直方向Vに移動することにより、第1シールジョー56、第2シールジョー57及び受け部材40も、鉛直方向Vに移動する。詳細は後述するが、鉛直移動機構55が鉛直方向Vにおいて架台51の往復駆動を繰り返すことにより、振動動作が実現される。
【0051】
(4)サイクル動作
図6は、制御部17が実行するサイクル動作を説明するための側面図である。
図6では、便宜上、第1シールジョー56及び第2シールジョー57並びに第1接触部18c及び第2接触部19cのみを示している。
図7は、サイクル動作における第1シールジョー56及び第2シールジョー57の鉛直方向Vにおける移動速度の変化を示すタイムチャートである。なお、
図6は、サイクル動作の前後における第1シールジョー56及び第2シールジョー57並びに第1接触部18c及び第2接触部19cの動作の順序を示している。このため、サイクル動作における各部の動作の時間的な長さは、
図6の縮尺通りでない場合もある。また、
図7では、便宜上、第1シールジョー56及び第2シールジョー57の移動速度を示したが、第1シールジョー56及び第2シールジョー57に一体的に配置された受け部材40も同じ速度で移動する。
【0052】
サイクル動作は、第1動作と、第2動作とを含む。また、第1動作は、第1フェーズ及び第2フェーズからなる。
図6に示されるように、第1フェーズの開始前において、第1シールジョー56及び第2シールジョー57の下方のフィルム筒FTの内部には、1つの袋Wに包装されるべき量の物品Aが既に投入されている。
【0053】
サイクル動作の間、プルダウンベルト13は、横シール機構15にフィルムFを連続的に搬送している。このため、制御部17は、第1フェーズ及び第2フェーズにおいて、鉛直移動機構55に、横シール機構15の鉛直方向Vの位置をフィルム筒FTの鉛直方向Vにおける移動に合わせて適宜変化させる。
【0054】
(4-1)第1動作
第1動作は、制御部17が、水平移動機構54に、第1シールジョー56及び第2シールジョー57を互いに接近するように水平方向Hに移動させることにより開始される。また、第1動作は、制御部17が、挟み込んだフィルム筒FTに熱を加えて横シールをした第1シールジョー56及び第2シールジョー57を互いに離間させることにより完了する。
【0055】
(4-1-1)第1フェーズ
第1フェーズの開始時、第1シールジョー56及び第2シールジョー57は、フィルム筒FTに接触しない位置で互いに離間している。また、第1接触部18c及び第2接触部19cも、フィルム筒FTに接触しない位置で互いに離間している。
【0056】
第1フェーズでは、制御部17は、水平移動機構54に、第1シールジョー56及び第2シールジョー57を互いに接近するように水平方向Hに移動させる。これにより、第1シールジョー56及び第2シールジョー57に一体的に配置された受け部材40の第1接触部18c及び第2接触部19cも互いに接近するように水平方向Hに移動する。第1接触部18c及び第2接触部19cがフィルム筒FTと接触した時、第1フェーズが終了し第2フェーズが開始される。
【0057】
(4-1-2)第2フェーズ
第2フェーズでは、制御部17は、第1動作が完了する前(言い換えると、第2フェーズが完了する前)に、鉛直移動機構55に横シール機構15を振動させる振動動作を実行するとともに、第1シールジョー56及び第2シールジョー57にフィルム筒FTを横シールさせる。また、第2フェーズが開始されると、制御部17は、物品排出装置20に1つの袋Wに包装されるべき量の物品Aを排出させる。
【0058】
より詳細には、制御部17は、受け部材40の第1接触部18c及び第2接触部19cがフィルム筒FTの外面に接触し、第1シールジョー56及び第2シールジョー57がフィルム筒FTに接触する前に振動動作を開始する。振動動作では、制御部17が、鉛直移動機構55の鉛直移動モータ59に所定の振幅での正転及び逆転を繰り返させる。これにより、架台51が鉛直方向Vにおいて往復駆動するため、横シール機構15の第1シールジョー56、第2シールジョー57、及び受け部材40は、鉛直方向Vに振動する。これにより、第1動作が完了する前のフィルム筒FT内の物品Aに振動が与えられる。
【0059】
同時に、水平移動機構54は、フィルム筒FTを挟み込むまで第1シールジョー56及び第2シールジョー57を水平方向Hに移動させる。
【0060】
フィルム筒FTを挟み込んだ第1シールジョー56及び第2シールジョー57は、フィルム筒FTを押圧しながら、フィルム筒FTに熱を加えて横シールする。この時、フィルム筒FTの横シールされた部分である横シール部の下方には、物品Aが包装された袋Wが作られる。次に、第1シールジョー56又は第2シールジョー57に設けられた可動ナイフが、横シール部を水平方向Hに切断して、第2フェーズが終了する。横シール部が切断されると、袋Wは、上方のフィルム筒FTから切り離されて落下する。
【0061】
制御部17は、第1動作が完了するまでに、鉛直移動機構55に、横シール機構15に加えている振動を停止させ、振動動作を終了する。
【0062】
ここで、第1動作が「完了する」時とは、挟み込んだフィルム筒FTに熱を加えて横シールをした第1シールジョー56及び第2シールジョー57が、互いに離間を開始する直前を意味する。
【0063】
上述したように、受け部材40の第1接触部18c及び第2接触部19cは、第1シールジョー56及び第2シールジョー57がフィルム筒FTに接触する前に、フィルム筒FTの外面に接触している。このため、第1接触部18c及び第2接触部19cは、第1シールジョー56及び第2シールジョー57がフィルム筒FTを挟み込む前にフィルム筒FTを挟み込み、フィルム筒FT内部を落下する物品Aを受け止めることができる。振動動作においては、受け部材40も、鉛直方向Vに振動するため、受け部材40に受け止められている物品Aにも振動が与えられる。
【0064】
なお、製袋包装機10は、第2フェーズにおいて、振動動作を開始する前にしごき動作を行う。しごき動作は、フィルム筒FTの内面に付着する物品A等を落下させて横シール部における物品A等の噛み込みを抑制するための動作である。しごき動作において、制御部17は、鉛直移動機構55に横シール機構15を下方に所定距離移動させた後、元の高さへ戻させる(
図7参照)。製袋包装機10は、しごき動作を行わなくてもよい。
【0065】
(4-2)第2動作
第1動作が完了すると、制御部17は、第2動作を開始する。第2動作で、制御部17は、水平移動機構54に、第1シールジョー56及び第2シールジョー57を第1フェーズの開始時と同様に、フィルム筒FTに接触しない位置で互いに離間するように水平方向Hに移動させる。同時に、制御部17は、鉛直移動機構55に、第1シールジョー56及び第2シールジョー57の鉛直方向Vにおける位置を、第1フェーズの開始時における位置まで戻させる。これにより、第2動作及びサイクル動作が完了する。
【0066】
製袋包装機10は、以上のサイクル動作を繰り返すことで、物品Aが包装された袋Wを連続的に製造することができる。
【0067】
振動動作を開始するタイミングは、第2フェーズの開始(第1接触部18c及び第2接触部19cがフィルム筒FTと接触した時)以後、第1動作が完了する前までであれば限定されない。
【0068】
振動動作における振幅、周期、振動回数等のパラメータは、物品Aの重量や形状、フィルムFの材質、袋Wの形状等に基づいて適宜設定される。振動動作における振幅は、例えば、10ミリ以上50ミリ以下程度とすることができる。振動周期は、例えば、50ミリ秒以上100ミリ秒以下程度とすることができる。振動回数は、例えば、1回以上10回以下程度とすることができる。
【0069】
(5)特徴
(5-1)
製袋包装機10は、物品排出装置20から排出された物品Aを、フィルムFを筒状に成形した袋Wに包装する。製袋包装機10は、横シール機構15と、移動機構16と、制御部17とを備える。横シール機構15は、搬送される方向に対して交差する方向(水平方向H)からフィルムFを挟み、シールする第1動作を行う。移動機構16は、横シール機構15を移動させる。制御部17は、移動機構16を制御し、第1動作が完了する前に横シール機構15を振動させ、フィルム筒FT内の物品Aに対して振動を与える振動動作を実行させる。
【0070】
製袋包装機10では、制御部17が振動動作を実行する行うことで、第1動作が完了する前のフィルム筒FT内の物品Aに振動が与えられる。これにより、第1動作の完了前に、横シール機構15の下流側(鉛直方向Vにおける下方)にある物品Aをお互いの隙間を詰めながら下方に向かって移動させられるため、横シール機構15より下流側においても物品Aの充填率を高めることができる。
【0071】
また、製袋包装機10では、第1動作中に振動動作が行われる。このため、第1動作とは別に物品Aに振動を与える動作を行う場合と比べて、生産能力を下げることなく物品Aの充填率を高めることができる。
【0072】
さらに、製袋包装機10では、第1動作において横シール機構15を移動させるための移動機構16を用いて振動動作が実現される。このため、シェーカーのような物品Aに振動を与えるための装置を特別に設ける必要が無いため、包装機の製造コストを低く抑えながら物品Aの充填率を高めることができる。
【0073】
(5-2)
制御部17は、振動動作において、移動機構16に横シール機構15を鉛直方向Vで往復駆動させる。
【0074】
(5-3)
受け部材40は、横シール機構15の上方において横シール機構15に一体的に配置され、フィルム筒FTの外面と接触してフィルム筒FTの内部を落下する物品Aを受け止める。制御部17は、振動動作において、移動機構16に、横シール機構15とともに受け部材40を振動させる。
【0075】
製袋包装機10では、振動動作において、横シール機構15とともに受け部材40も振動させるため、受け部材40に受け止められている物品Aについても振動が与えられる。このため、横シール機構15の上流側(鉛直方向Vにおける上方)及び下流側の両側において効果的に物品Aの充填率を高めることができる。
【0076】
(5-4)
横シール機構15は、第1動作においてフィルム筒FTを挟む第1シールジョー56及び第2シールジョー57を有する。
【0077】
(5-5)
受け部材40は、第1動作において第1シールジョー56及び第2シールジョー57がフィルム筒FTに接触する前に、フィルム筒FTの外面に接触する。制御部17は、受け部材40がフィルム筒FTの外面に接触し、第1シールジョー56及び第2シールジョー57がフィルム筒FTに接触する前に振動動作を開始する。
【0078】
(5-6)
移動機構16は、横シール機構15を回転駆動する鉛直移動モータ59を有する。制御部17は、振動動作において、移動機構16に、鉛直移動モータ59を正転及び逆転させることで横シール機構15を振動させる。
【0079】
(5-7)
製袋包装機10は、プルダウンベルト13を備える。プルダウンベルト13は、フィルムFを連続的に搬送する。
【0080】
(6)変形例
(6-1)変形例A
横シール機構15を往復駆動させる方向は、鉛直方向V及び水平方向Hの少なくともいずれか一方向であればよい。
【0081】
横シール機構15を水平方向Hに往復駆動させる場合、横シール機構15を水平方向Hに往復駆動させる駆動モータ(図示省略)を設けて、当該駆動モータを正転及び逆転させることで横シール機構15を振動させればよい。
【0082】
(6-2)変形例B
制御部17は、第1動作が完了する前に、鉛直移動機構55に横シール機構15をわずかに上方に向かって移動させて袋Wを膨らませる動作(ブラウジング動作)を行ってもよい。この際、制御部17が、鉛直移動機構55に上方に移動する横シール機構15の第1シールジョー56、第2シールジョー57、及び受け部材40を振動させることにより、物品Aの充填率をさらに高めることができる。
【0083】
(6-3)変形例C
プルダウンベルト13は、フィルムFを一定周期で間欠的に搬送してもよい。
【0084】
この場合、制御部17は、基本的に、サイクル動作において、鉛直移動機構55に、横シール機構15の鉛直方向Vの位置を振動動作以外で変化させる必要はない。
【0085】
(6-4)変形例D
横シール機構15を振動させる移動機構16は、電磁フィーダーであってもよい。
【0086】
この場合、移動機構16は、水平移動機構54及び鉛直移動機構55に加えて、横シール機構15を振動させることができる電磁フィーダー(図示省略)を有する。制御部17は、水平移動機構54及び鉛直移動機構55を用いて横シール機構15に第1動作をさせながら、所定のタイミングで電磁フィーダーに横シール機構15を振動させればよい。
【0087】
この電磁フィーダーは、横シール機構15を振動させてもよいし、横シール機構15を支持する製袋包装機10のフレーム(図示省略)を振動させてもよい。
【0088】
(6-5)変形例E
本発明の変形例Dに係る製袋包装機(図示省略)は、回転軸の周りで回転する横シール機構を2つ備えたロータリー式の製袋包装機であってもよい。
【0089】
変形例Dに係る製袋包装機の横シール機構は、受け部材と、シール部とを有する。この受け部材は、横シール機構の上方において横シール機構に一体的に配置され、包材の外面と接触して包材の内部を落下する物品を受け止める。シール部は、第1動作において包材を挟みシールする。また、移動機構は、横シール機構を回転動作させる回転機構である。制御部は、振動動作において、移動機構に、回転機構を正転及び逆転させることで横シール機構とともに受け部材を振動させる。
【符号の説明】
【0090】
10 製袋包装機
13 プルダウンベルト(搬送機構)
15 横シール機構
16 移動機構
17 制御部
40 受け部材
20 物品排出装置
55 鉛直移動機構(移動機構)
56 第1シールジョー(シール部)
57 第2シールジョー(シール部)
59 鉛直移動モータ(駆動モータ)
A 物品
F フィルム(包材)
FT フィルム筒
W 袋
【先行技術文献】
【特許文献】
【0091】