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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023121685
(43)【公開日】2023-08-31
(54)【発明の名称】Oリング及び組立体
(51)【国際特許分類】
   F16J 15/10 20060101AFI20230824BHJP
【FI】
F16J15/10 T
F16J15/10 Y
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022025171
(22)【出願日】2022-02-21
(71)【出願人】
【識別番号】000005175
【氏名又は名称】藤倉コンポジット株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177231
【弁理士】
【氏名又は名称】鴨志田 伸一
(72)【発明者】
【氏名】白瀬 利和
【テーマコード(参考)】
3J040
【Fターム(参考)】
3J040AA11
3J040AA17
3J040BA03
3J040EA01
3J040EA16
3J040EA22
3J040FA05
3J040HA03
3J040HA09
3J040HA21
(57)【要約】
【課題】本発明は、蟻溝へのセット性が容易で、使用開始後に高耐久であるОリングの提供を目的とする。
【解決手段】本発明のОリング40は、筒体20の端面22と、端面22に対向する対向体30の対向面32との間に配置され、端面22及び対向面32のいずれか一方に形成されている蟻溝34に嵌め込まれつつ筒体20と対向体30とに加圧されて、端面22と対向面32との隙間GをシールするОリング40において、その径方向外側には外側切り欠き42Aが形成され、その径方向内側には内側切り欠き44Aが形成され、蟻溝34に嵌め込まれると、外側切り欠き42A及び内側切り欠き42Aが蟻溝34の両側面34B1、34B2から離れて対向し、かつ、外側切り欠き42A以外の外周面のいずれか一部及び内側切り欠き42A以外の内周面のいずれか一部が蟻溝34の開口縁34C及び蟻溝34の底面34Aに接触する。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒体の端面と、当該端面に対向する対向体の対向面との間に配置され、前記端面及び前記対向面のいずれか一方に形成されている蟻溝に嵌め込まれつつ前記筒体と前記対向体とに加圧されて、前記端面と前記対向面との隙間をシールする、断面が円状のОリングにおいて、
その径方向外側の外周面には、その全周に亘る外側切り欠きが形成され、
その径方向内側の内周面には、その全周に亘る内側切り欠きが形成され、
前記蟻溝に嵌め込まれると、前記外側切り欠き及び前記内側切り欠きが前記蟻溝の両側面から離れて対向し、かつ、前記外側切り欠き以外の外周面のいずれか一部及び前記内側切り欠き以外の内周面のいずれか一部が前記蟻溝の開口縁及び前記蟻溝の底面に接触する、
Оリング。
【請求項2】
前記外側切り欠きと前記内側切り欠きとの最小幅は、前記蟻溝の開口幅よりも狭い、
請求項1に記載のОリング。
【請求項3】
前記外側切り欠き及び前記内側切り欠きの断面の一方又は両方は、円弧状である、
請求項1又は2に記載のОリング。
【請求項4】
前記外側切り欠き及び前記内側切り欠きの一方又は両方の両端は、曲面を形成している、
請求項1~3のいずれか一項に記載のОリング。
【請求項5】
前記外側切り欠きと、前記内側切り欠きとは、互いに対称の形状を有する、
請求項1~4のいずれか一項に記載のОリング。
【請求項6】
前記外側切り欠きと、前記内側切り欠きとは、その厚み方向において、互いに同じ範囲に形成されている、
請求項1~5のいずれか一項に記載のОリング。
【請求項7】
その幅方向の一方の部分と、当該一方の部分以外である他方の部分とは、互いに対称の形状を有する、
請求項1~6のいずれか一項に記載のОリング。
【請求項8】
その厚み方向の一方の部分と、当該一方の部分以外である他方の部分とは、互いに対称の形状を有する、
請求項1~7のいずれか一項に記載のОリング。
【請求項9】
筒体と、
当該筒体の端面に対向する対向面を有する対向体と、
請求項1~8のいずれか一項に記載のОリングであって、前記端面及び前記対向面のいずれか一方に形成されている蟻溝に嵌め込まれつつ前記筒体と前記対向体とに加圧されて、前記端面と前記対向面との隙間をシールするОリングと、
を備える組立体。
【請求項10】
前記筒体は、内部に加熱対象を収容して、前記対向体とで前記蟻溝に嵌め込まれた前記Оリングを加圧した状態で、外部から加熱される、
請求項9に記載の組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Oリング及び組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、蟻溝に装着されたシールリングにより密封を行う密封構造が開示されている。具体的に、この密封構造は、その図3及び図5に示されるように、(1)側勾配面が内側へ倒れるように傾斜した蟻溝に、ゴム状弾性材料からなるシールリングが装着され、(2)このシールリングは、前記蟻溝の溝底に密接される凸面状の底部と、その両側に形成され前記内側勾配面に密接又は近接される側面張出部と、両側の側面張出部における前記底部と反対側の端部間に円弧状凸面状に突出形成されて前記蟻溝の外側へ露出される頭部とを有し、(3)この頭部の幅が溝肩間の幅より小さく、(4)前記側面張出部の頂点間の幅が前記蟻溝の溝肩間の幅より大きいことを特徴としている。また、特許文献1によれば、このシールリングは、その図6(A)~(F)に示されるように、定められた姿勢で蟻溝に対向させ、その姿勢からあえて回転させて捩らせながら蟻溝に挿入される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-002935号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のシールリングは、前述のとおり、定められた姿勢で蟻溝に対向させ次いで回転させながら蟻溝にセットされる。すなわち、特許文献1のシールリングを蟻溝にセットするには、定められた方法に従う必要がある。
【0005】
また、特許文献1の密封構造は、蓋体により上側から加圧しない状態であってもシールリングの一対の側面張出部が蟻溝の一対の内側勾配面(側面)に密着するように設定されている。そのため、蓋体により上側から加圧されてシールリングが弾性変形すると、シールリングがその幅方向に膨張するように変形してシールリングの一対の側面張出部には蟻溝の一対の内側勾配面からより強い反力を受ける。また、一般的に蟻溝はその構造(両側面が底面側から開口側に亘って対向間隔が狭くなる構造)上の理由から、各面を高精度で加工することが難しいため、蟻溝の各面はある程度の表面粗さを有しているのが現状である。
【0006】
以上のような理由により、シールリングは、ある程度の表面粗さを有する蟻溝から強い反力を受けることにより亀裂が生じる虞がある。また、密封構造を構成する容器を加熱するような場合には、シールリングに加熱による変形や冷却による変形も生じることになるため、シールリングに亀裂が生じるとシールリングの製品寿命に大きな影響が及ぼされる。
【0007】
本発明は、蟻溝へのセット性が容易で、使用開始後に高耐久であるОリングの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1態様のOリングは、
筒体の端面と、当該端面に対向する対向体の対向面との間に配置され、前記端面及び前記対向面のいずれか一方に形成されている蟻溝に嵌め込まれつつ前記筒体と前記対向体とに加圧されて、前記端面と前記対向面との隙間をシールする、断面が円状のОリングにおいて、
その径方向外側の外周面には、その全周に亘る外側切り欠きが形成され、
その径方向内側の内周面には、その全周に亘る内側切り欠きが形成され、
前記蟻溝に嵌め込まれると、前記外側切り欠き及び前記内側切り欠きが前記蟻溝の両側面から離れて対向し、かつ、前記外側切り欠き以外の外周面のいずれか一部及び前記内側切り欠き以外の内周面のいずれか一部が前記蟻溝の開口縁及び前記蟻溝の底面に接触する。
【0009】
第2態様のOリングは、
第1態様のОリングにおいて、
前記外側切り欠きと前記内側切り欠きとの最小幅は、前記蟻溝の開口幅よりも狭い。
【0010】
第3態様のOリングは、
第1態様又は第2態様のОリングにおいて、
前記外側切り欠き及び前記内側切り欠きの断面の一方又は両方は、円弧状である。
【0011】
第4態様のOリングは、
第1態様~第3態様のいずれか一態様のОリングにおいて、
前記外側切り欠き及び前記内側切り欠きの一方又は両方の両端は、曲面を形成している。
【0012】
第5態様のOリングは、
第1態様~第4態様のいずれか一態様のОリングにおいて、
前記外側切り欠きと、前記内側切り欠きとは、互いに対称の形状を有する。
【0013】
第6態様のOリングは、
第1態様~第5態様のいずれか一態様のОリングにおいて、
前記外側切り欠きと、前記内側切り欠きとは、その厚み方向において、互いに同じ範囲に形成されている。
【0014】
第7態様のOリングは、
第1態様~第6態様のいずれか一態様のОリングにおいて、
その幅方向の一方の部分と、当該一方の部分以外である他方の部分とは、互いに対称の形状を有する。
【0015】
第8態様のOリングは、
第1態様~第7態様のいずれか一態様のОリングにおいて、
その厚み方向の一方の部分と、当該一方の部分以外である他方の部分とは、互いに対称の形状を有する。
【0016】
第1態様の組立体は、
筒体と、
当該筒体の端面に対向する対向面を有する対向体と、
請求項1~8のいずれか一項に記載のОリングであって、前記端面及び前記対向面のいずれか一方に形成されている蟻溝に嵌め込まれつつ前記筒体と前記対向体とに加圧されて、前記端面と前記対向面との隙間をシールするОリングと、
を備える。
【0017】
第2態様の組立体は、
第1態様の組立体において、
前記筒体は、内部に加熱対象を収容して、前記対向体とで前記蟻溝に嵌め込まれた前記Oリングを加圧した状態で、外部から加熱される。
【発明の効果】
【0018】
第1態様のOリングは、蟻溝へのセット性が容易で、使用開始後に高耐久である。
【0019】
第2態様のOリングは、本態様と逆の態様のOリングに比べて、蟻溝への嵌め込み時に蟻溝にスムーズに入り易い。
【0020】
第3態様のOリングは、外側切り欠き及び内側切り欠きの断面の一方又は両方が矩形状であるOリングに比べて、蟻溝への嵌め込み時に蟻溝にスムーズに入り易い。
【0021】
第4態様のOリングは、外側切り欠き及び内側切り欠きの一方又は両方の両端に直線状のエッジが形成されているOリングに比べて、蟻溝への嵌め込み時に蟻溝にスムーズに入り易い。
【0022】
第5態様のOリングは、外側切り欠きと、内側切り欠きとが互い非対称の形状を有するOリングに比べて、蟻溝への嵌め込み時に蟻溝に安定した姿勢でセットされ易い。
【0023】
第6態様のOリングは、外側切り欠きと、内側切り欠きとがその厚み方向において互いに異なる範囲に形成されているOリングに比べて、蟻溝への嵌め込み時に蟻溝に安定した姿勢でセットされ易い。
【0024】
第7態様のOリングは、容器本体と蓋とに加圧された状態で、周方向の各部分が安定してその姿勢を維持し易い。
【0025】
第8態様のOリングは、蟻溝に対しその厚み方向の一方の部分及び他方の部分のいずれか一方を先に嵌め込んでも同じようにセットできる。すなわち、第8態様のOリングは、蟻溝への嵌め込み時に、その向きを問わない。
【0026】
第1態様の組立体は、少なくとも第1態様のOリングを備えることに伴い、使用開始後に高耐久である。
【0027】
第2態様の組立体は、使用開始後に加熱環境下で使用される場合であっても高耐久である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の実施の形態(以下、本実施形態という。)の殺菌容器の図であって、その要部及びその周囲の縦断面図である。
図2図1の破線Aで囲まれた部分の拡大図である。
図3】自然状態における、本実施形態のOリングの断面図である。
図4】本実施形態の殺菌容器の製造工程の一部を説明するための図である。
図5】変形例のOリングの図であって、自然状態におけるOリングの断面図である。
図6】変形例の殺菌装置の図であって、その要部及びその周囲の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
≪概要≫
以下、本実施形態及びその複数の変形例について説明する。まず、本実施形態について説明する。次いで、複数の変形例について説明する。本明細書では、異なる実施形態等で参照する各図面において、同等の機能を有する構成要素に対して同じ符号又は同等の符号を付する点に留意されたい。
【0030】
≪本実施形態≫
以下、(1)本実施形態の機能及び構成、(2)本実施形態の殺菌容器10(図1参照)の製造工程の一部、(3)本実施形態の殺菌動作、並びに、(4)本実施形態の効果について、図面を参照しつつこれらの記載順で説明する。
【0031】
<本実施形態の殺菌容器10の機能及び構成>
図1は、本実施形態の殺菌容器10の図であってその要部及びその周囲の縦断面図である。図2は、図1の破線Aで囲まれた部分の拡大図である。ただし、図2の上下方向は便宜上図1の上下方向と逆向きにされている。
本実施形態の殺菌容器10(組立体の一例)は、図1に示されるとおり、容器本体20(筒体の一例)と、蓋30(対向体の一例)と、Oリング40とを備えている。殺菌容器10は、一例として、容器本体20がその内部に加熱対象(一例として液体)を収容して、蓋30とOリング40とを利用してその内部を密封し、加熱源(図示省略)により外部から加熱されて使用される。
以下、殺菌容器10について各構成要素に分けて説明する。
【0032】
〔容器本体及び蓋〕
容器本体20は、一例として円筒状の有底筒であり、一例として金属製である。容器本体20は、その内部に液体を収容する機能を有する。図1における符号Oは容器本体20の軸(軸O)を意味する。以下の説明では、軸Oに沿う方向を単に軸方向とする。また、容器本体20における開口側の端面を端面22とする。詳細については後述するが、端面22には蓋30に嵌め込まれたOリング40が接触する。
【0033】
蓋30は、図1及び図2に示されるように、容器本体20の端面22に対向して配置され、容器本体20の開口を塞ぐ機能を有する。具体的には、蓋30は、一例として円盤状であり、後述する蟻溝34に嵌め込まれたOリング40を容器本体20と反対側から加圧して、容器本体20及びOリング40とで当該開口を塞いで、容器本体20の内部を密封する。以下の説明では、蓋30における下側の面(Oリング40を加圧する側の面)を下面32(対向面の一例)とする。
【0034】
下面32には、Oリング40が嵌め込まれる、無端状の蟻溝34が形成されている。蟻溝34は、一例として、軸方向から見ると円状の溝である。蟻溝34の横断面(周方向の一部を軸方向に平行な軸Oを含む切断面で切断した断面図)は、図2に示されるとおり、開口幅が底面34Aの幅よりも狭い台形状である。
以下の説明では、蟻溝34の底(又は底面)を底面34A、蟻溝34の両側面をそれぞれ側面34B1、34B2とする。また、蟻溝34の開口縁を開口縁34Cとする。側面34B1は蟻溝34の内側の周側面であり、側面34B2は外側の周側面に相当する。また、蟻溝34の開口幅を開口幅W1、底面34Aの幅を底面幅W2、蟻溝34の深さを深さD1とする。
【0035】
なお、蟻溝は一般的に切削加工により形成されるが、前述のとおり、開口側の幅が底面側の幅よりも狭い逆台形状である。そのため、切削加工で形成される一般的な蟻溝の各面の加工精度には限界がある。特に、一対の傾斜面を構成する各両側面34B1、34B2の加工精度は単に工具を回転させて転削加工により平面を切削加工する場合よりも低くなる。本実施形態の蟻溝34も、一例として、一般的な蟻溝と同様に切削加工により形成される。このような背景から、本実施形態の蟻溝34の各両側面34B1、34B2の表面粗さは、一例として、最大高さ(Ry:JIS B 0601-1994)が1.6(μm)以上6.3(μm)以下の範囲である。
【0036】
〔Oリング〕
次に、本実施形態の要部である、Oリング40について、図1図3を参照しながら説明する。図3は、自然状態における、Oリング40の断面図(周方向の一部を軸方向に平行な軸Oを含む切断面で切断した断面図)である。
本実施形態のOリング40は、図1に示されるように、容器本体20の蟻溝34に嵌め込まれつつ容器本体20と蓋30とに加圧されて、容器本体20の端面22と蓋30の下面32との隙間Gをシールする機能を有する。
【0037】
ここで、本実施形態のOリング40の形状は、容器本体20の蟻溝34の形状とは、以下の関係を有する。
(1)厚みTは、蟻溝34の深さD1よりも厚い(図2及び図3参照)。
(2)最小幅W3は、蟻溝34の開口幅W1よりも広い(図2参照)。
(3)最大幅W4は、蟻溝34の開口幅W1よりも狭い(図2参照)。
(4)最大幅W4は、蟻溝34の底面34Aの底面幅W2よりも狭い(図2)参照)。
【0038】
ここで、Oリング40は、その下側から容器本体20の端面22に加圧されつつその上側から蓋30の底面34Aに加圧されるのは、前述の説明のとおり、自然状態のOリング40の厚みTが蟻溝34の深さD1がよりも厚い(大きい)関係を有するからである。
【0039】
本実施形態のOリング40は、外部から力が付与されると弾性変形する弾性体であって、一例としてゴム製である。Oリング40は、全体が一体的に形成された部材であるが、以下の説明では、Oリング40についてその構成を明確に説明する便宜のために、Oリング40を2つの部分(第1リング部42及び第2リング部44(図3参照))に分けて説明する点に留意されたい。
【0040】
(第1リング部)
第1リング部42(Oリング40の幅方向の一方側の部分の一例)は、図3に示されるように、容器本体20の周方向に垂直な切断線で切断した切断面(平行な軸Oを含む切断面で切断した断面図)が容器本体20の軸Oに平行な直線部分SLを含む半円状の部分である。
【0041】
第1リング部42の外周面(Oリング40における外周面)には、切り欠き42A(外側切り欠きの一例)が形成されている。なお、第1リング部42の断面は、切り欠き42Aにより切り欠かれていなければ、半径R2の真円の半分の部分である。
【0042】
切り欠き42Aの断面形状は、一例として円弧状である。切り欠き44A(内側切り欠きの一例)のR1は、一例として、前述の半径R2と同等以下に設定されている。ここで、本実施形態では、切り欠き44Aの曲率半径R1は、一例として半径R2と同等である。
【0043】
また、切り欠き42Aの両端42A1は、曲線(径方向外側に向くなだらかな山状の曲線)を形成している。すなわち、切り欠き42Aの両端42A1は、それぞれ曲面を形成している。
【0044】
(第2リング部)
第2リング部44(Oリング40の幅方向の一方側の部分以外である他方側の部分の一例)は、第1リング部42と一体的に形成され、第1リング部42の周方向全域に亘る直線部分SLに相当する部分(周面部分)から容器本体20の径方向の内側(本実施形態の場合は当該径方向における第1リング部42と反対側)に突出している。また、本実施形態では、第2リング部44は、直線部分SLを対称線とて第1リング部42の線対称となっている。以下の説明では、第2リング部44の切り欠き44Aの両端を、両端44A1とする。
【0045】
前述のとおり、第2リング部44は、直線部分SLを対称線とて第1リング部42の線対称となっている。また、直線部分SLは、軸Oに平行である。そのため、切り欠き44Aと切り欠き42Aとが形成されている範囲は、軸方向において同じ範囲となっている。
【0046】
また、切り欠き42Aの両端42A1を結ぶ仮想直線(図示省略)及び切り欠き44Aの両端44A1を結ぶ仮想直線(図示所略)は、それぞれ、軸Oに平行となっている。すなわち、切り欠き42Aの仮想円の中心である点C1と前述の半径R2の中心である点C2とを結ぶ直線は、軸Oに垂直となる。そして、本実施形態では、Oリング40は、軸方向の上側の部分40U(その厚み向の一方側の部分の一例)と、下側の部分40L(その厚み方向の他方側の部分の一例)とが、これらを2つに分割する軸方向に垂直な仮想平面VPに対して対称形状となっている。すなわち、軸方向の上側の部分40Uと、下側の部分40Lとは、断面視にて、互いに線対称の関係を有する。
なお、Oリング40の厚み方向(軸方向)の一端から切り欠き42Aの両端42A1のうち遠い側の端42A1及び切り欠き44Aの両端44A1のうち遠い側の端44A1までの距離をD2(図3参照)とすると、距離D2は蟻溝34の深さD1よりも短く設定されている。
【0047】
以上が、本実施形態の殺菌容器10の機能及び構成についての説明である。
【0048】
<本実施形態の殺菌装置の製造工程の一部>
次に、本実施形態の殺菌容器10(図1参照)の製造工程の一部について、図4を参照しながら説明する。具体的には、Oリング40の蓋30へのセット工程について説明する。
【0049】
まず、作業者は、蓋30の下面32が上となるようにして、Oリング40の下側の部分40Lを蓋30の蟻溝34の上に配置する(図4(A)参照)。
【0050】
次いで、作業者は、Oリング40を蟻溝34側に移動させる。その結果、Oリング40の下側の部分40Lに形成されている切り欠き42A、44Aの下端42A1、44A1のすぐ下側の部分が蟻溝34の開口縁34Cに接触する(引っ掛かる)(図4(B)参照)。
【0051】
次いで、作業者がOリング40を上側から押すと、その加圧力によりOリング40の下端42A1、44A1及びその周辺部分が圧縮されて、Oリング40の下側の部分40Lが蟻溝34の内部に入り込む(図4(C)参照)。その後、上側の部分40Uに形成されている切り欠き42A、44Aの上端42A1、44A1のすぐ下側の部分が蟻溝34の開口縁34Cに接触する(引っ掛かる)(図4(D)参照)。
【0052】
次いで、作業者がOリング40を上側から押すと、その加圧力によりOリング40の上端42A1、44A1及びその周辺部分が圧縮されて、Oリング40の上側の部分40Uの一部が蟻溝34の内部に入り込む(図4(E)参照)。
そして、作業者がこの作業をOリング40の周方向の全体の各部分に対して行うと、Oリング40の蓋30へのセット工程が終了する。
【0053】
以上が、本実施形態の本実施形態の殺菌容器10の製造工程の一部についての説明である。
【0054】
<本実施形態の殺菌動作>
次に、本実施形態の殺菌容器10(図1参照)を用いた液体の殺菌動作について説明する。
まず、容器本体20の内部に、殺菌対象(加熱対象)の液体を入れる。
次いで、容器本体20の内部に定められた量の液体が収容されたら、作業者が容器本体20に蓋30を被せて、容器本体20の内部を密封する。
次いで、容器本体20を加熱源(図示省略)に接続し、加熱源を稼働させて容器本体20を加熱する。例えば、本実施形態の殺菌動作では、容器本体20の内部に収容されている液体を100℃にして定められた時間加熱する。
そして、定められた時間が経過したら、作業者は加熱源の稼働を停止し、液体の温度が常温なったところで、本実施形態の殺菌動作が終了となる。
以上が、本実施形態の本実施形態の殺菌動作についての説明である。
【0055】
<本実施形態の効果>
次に、本実施形態の効果について図面を参照しながら説明する。
【0056】
〔第1の効果〕
本効果は、蟻溝34に対し、本実施形態のOリング40が特殊な形状を有すること(図2図3等参照)の効果である。本効果については、特許文献1に記載されている構成を比較形態として説明する。
【0057】
比較形態のシールリングは、前述のとおり、定められた姿勢で蟻溝に対向させ次いで回転させながら蟻溝にセットされる。そのため、作業者は、このシールリングを蟻溝にセットするには、シールリングの周方向の各部分を何度も回転させて蟻溝に押し込む必要がある。
【0058】
これに対して、本実施形態の場合、前述の説明したとおり、作業者は、Oリング40の下側の部分40Lを蓋30の蟻溝34の上に配置して、その後、上側からOリング40を押すだけである(図4(A)~(E)参照)。
【0059】
したがって、本実施形態のOリング40は、比較形態の場合に比べて、蟻溝34へのOリング40のセット性が容易である。
【0060】
また、比較形態の密封構造は、蓋体により上側から加圧しない状態であってもシールリングの一対の側面張出部が蟻溝の一対の内側勾配面(側面)に密着するように設定されている。そのため、蓋体により上側から加圧されてシールリングが弾性変形すると、シールリングがその幅方向に膨張するように変形してシールリングの一対の側面張出部には蟻溝の一対の内側勾配面からより強い反力を受ける。以上の理由により、比較形態のシールリングは、ある程度の表面粗さを有する蟻溝から強い反力を受けることにより亀裂が生じる虞がある。また、密封構造を構成する容器を加熱するような場合には、シールリングに加熱による変形や冷却による変形も生じることになるため、シールリングに亀裂が生じるとシールリングの製品寿命に大きく影響する(製品寿命が短くなる)。
【0061】
これに対して、本実施形態のOリング40は、図2及び図3に示されるように、以下のような構成を有する。具体的には、Oリング40の径方向外側(第1リング部42)の外周面には、その全周に亘って切り欠き42Aが形成されている。Oリング40の径方向内側(第2リング部44)の内周面には、その全周に亘る切り欠き44Aが形成されている。Oリング40は、蟻溝34に嵌め込まれると、切り欠き42A及び切り欠き44Aが蟻溝34の両側面34B1、34B2から離れて対向し、かつ、切り欠き42A以外の外周面のいずれか一部及び切り欠き44A以外の内周面のいずれか一部が蟻溝34の開口縁34C及び蟻溝34の底面34Aに接触する。
ここで、図2に示されるように、「切り欠き42A以外の外周面のいずれか一部及び切り欠き44A以外の内周面のいずれか一部」における「蟻溝34の底面34A」に接触する部分とは、Oリング40の厚み方向における、切り欠き42A及び切り欠き44Aが形成されている部分よりも一方側の部分である。また、「切り欠き42A以外の外周面のいずれか一部及び切り欠き44A以外の内周面のいずれか一部」における「蟻溝34の開口縁34C」に接触する部分とは、Oリング40の厚み方向における、切り欠き42A及び切り欠き44Aが形成されている部分よりも他方側の部分であって第1リング部42と第2リング部44との境界部分及びその周辺部分である。
また、図2に示されるように、Oリング40が、蟻溝34の底面34Aと蓋30の下面32から加圧されて変形しても、切り欠き42A及び切り欠き44Aが蟻溝34の両側面34B1、34B2から離れて対向している。すなわち、本実施形態のOリング40はその内周面及び外周面のほとんどの部分がそれぞれ蟻溝34の両側面34B1、34B2から離れて姿勢を維持している。そのため、本実施形態のOリング40は、比較形態の場合と異なり、ある程度の表面粗さを有する蟻溝34の両側面34B1、34B2との接触に起因する亀裂の発生が生じない(又は生じ難い)。
【0062】
したがって、本実施形態のOリング40は、比較形態の場合に比べて、使用開始後に高耐久である。
【0063】
以上のとおりであるから、本実施形態のOリング40は、比較形態の場合に比べて、蟻溝34へのセット性が容易で、使用開始後に高耐久である。これに伴い、本実施形態の殺菌容器10は、使用開始後に高耐久である。なお、本実施形態のように、容器本体20、蓋30及びOリング40の組み合わせた容器を加熱される容器として使用する場合、Oリング40には蟻溝34の両側面34B1、34B2との接触によるストレス以外に加熱によるストレスがかかるが、比較形態のシールリングは蟻溝の両側面を加圧した状態で加圧されることになる。この点からも、特にOリング40に熱のストレスがかかる場合に、本効果は顕著となる。
【0064】
〔第2の効果〕
本効果は、切り欠き42Aと切り欠き44Aとの最小幅W3が蟻溝34の開口幅W1よりも狭いこと(図4(C)参照)の効果である。
図4を参照しながら説明したとおり、作業者がOリング40の下側の部分40Lを蓋30の蟻溝34の上に配置しOリング40を押した後、一旦、Oリング40の下側の部分40Lに形成されている切り欠き42A、44Aの下端42A1、44A1のすぐ下側の部分が蟻溝34の開口縁34Cに引っ掛かる(図4(B)参照)。その後、作業者がOリング40を更に上側から押すと、その加圧力によりOリング40の下端42A1、44A1及びその周辺部分が圧縮されて、Oリング40の下側の部分40Lが蟻溝34の内部に入り込む(図4(C)参照)。そして、最小幅W3が蟻溝34の開口幅W1よりも狭いため、図4(B)の状態から図4(C)の状態になるまでの間、Oリング40は蟻溝34の内部にスムーズに移動できる。もし、Oリングの構成が本構成と逆の構成であれば、このような動作が実現できない。
したがって、本実施形態のOリング40は、本構成と逆の構成の場合に比べて、蟻溝34への嵌め込み時に蟻溝34にスムーズに入り易い。
なお、本効果を説明するために比較対象とした逆の構成は本効果を奏する構成ではないが、前述の第1の効果を奏する構成である。そのため、この逆の構成は、本発明の技術的範囲に含まれる。
【0065】
〔第3の効果〕
本効果は、切り欠き42Aの断面形状及び切り欠き44Aの断面形状が円弧状であること(図3参照)の効果である。
本実施形態のOリング40は、本構成を有することで、図4(B)の位置から図4(D)の位置に移動する際に、徐々に開口縁34Cから受ける反力が小さくなりながら開口縁34Cから抜け出して、徐々に開口縁34Cから受ける反力が強くなりながら開口縁34Cに引っ掛かる。すなわち、Oリング40を蟻溝34にセットする際(特に図4(B)の状態から図4(C)の状態となる際)に、急に開口縁34Cから受ける反力が変化することがない。
したがって、本実施形態のOリング40は、蟻溝34への嵌め込み時に蟻溝34にスムーズに入り易い。また、本実施形態のOリング40は、蟻溝34への嵌め込み時に蟻溝34に安定して入り易い。
なお、切り欠き42Aの断面形状及び切り欠き44Aの断面形状が円弧状でない構成は本効果を奏する構成ではないが、少なくとも前述の第1の効果を奏する構成である。そのため、当該構成は、本発明の技術的範囲に含まれる。
【0066】
〔第4の効果〕
本効果は、切り欠き42Aの両端42A1及び切り欠き44Aの両端44A1が曲面を形成していること(図3参照)の効果である。
本実施形態のOリング40は、本構成を有することで、図4(B)の位置から下側に押し込まれる際、及び、図4(D)の位置から更に下側に押し込まれる際に、開口縁34Cから受ける反力が連続的に(なだらかに)変化する。すなわち、Oリング40が図4(B)の位置から下側に移動する際、及び、図4(C)の位置から更に下側に移動する際に、急に開口縁34Cから受ける反力が変化することがない。
したがって、本実施形態のOリング40は、蟻溝34への嵌め込み時に蟻溝34にスムーズに入り易い。また、本実施形態のOリング40は、蟻溝34への嵌め込み時に蟻溝34に安定して入り易い。
なお、切り欠き42Aの両端42A1及び切り欠き44Aの両端44A1が曲面を形成していない構成は本効果を奏する構成ではないが、少なくとも前述の第1の効果を奏する構成である。そのため、当該構成は、本発明の技術的範囲に含まれる。
【0067】
〔第5の効果〕
本効果は、切り欠き42Aと、切り欠き44Aとが互いに対称の形状を有すること(図3参照)の効果である。
本実施形態のOリング40は、本構成を有することで、蟻溝34に対して自身の姿勢を垂直に維持した状態で、図4(B)のような姿勢及び図4(D)のような姿勢で引っ掛かり易い。すなわち、Oリング40は傾斜した状態で開口縁34Cに引っ掛かり難い。そのため、図4(D)の位置から更に下側に押し込まれた際に、蟻溝34に対して自身の姿勢を垂直に維持した状態(図3参照)で移動し易い。もし、Oリングの構成が本構成と逆の構成(切り欠き42Aと、切り欠き44Aとが互い非対称の形状を有する構成)であれば、このような効果は期待できない。
したがって、本実施形態のOリング40は、切り欠き42Aと、切り欠き44Aとが互い非対称の形状を有する場合に比べて、蟻溝34への嵌め込み時に蟻溝34に安定した姿勢でセットされ易い。特に、本実施形態の場合、切り欠き42Aと、切り欠き44Aとがその厚み方向において、互いに同じ範囲に形成されている(図3参照)ため、本効果は顕著となる。
なお、切り欠き42Aと、切り欠き44Aとが互いに非対称の形状である構成は本効果を奏する構成ではないが、少なくとも前述の第1の効果を奏する構成である。そのため、当該構成は、本発明の技術的範囲に含まれる。
【0068】
〔第6の効果〕
本効果は、Oリング40における、第1リング部42と、第2リング部44とが互いに対称の形状を有すること(図3参照)の効果である。
仮に、第1リング部42と、第2リング部44とが互いに非対称である場合(図示省略)、Oリング40を蓋30の蟻溝34にセットした後に、容器本体20と蓋30とに挟まれて容器本体20と蓋30とから加圧されると、第1リング部42と、第2リング部44との非対称性に起因して、幅方向に対称に変形することができない又は変形し難い。そのため、Oリング40の周方向の各部分の一部又は全部は、加圧された状態において、傾いた姿勢となり得る。そして、Oリング40の周方向の各部分の一部が傾いた姿勢で加圧され、当該一部に隣接する他の部分が軸方向に沿った姿勢で加圧されると、Oリング40は周方向において部分的に捩れた状態で加圧されることになる。また、仮にOリング40の周方向の各部分の全部が軸方向に沿った姿勢で加圧されるとしても、第1リング部42と、第2リング部44との非対称性に起因してOリング40を捩ろうとする応力を発生させたままその姿勢を維持することになる。以上の結果、第1リング部42と、第2リング部44とが互いに非対称であるOリングには、加圧された状態で前述のストレスがかかる。
これに対して、本実施形態のOリング40は、図3に示されるように、第1リング部42と、第2リング部44とが互いに対称の形状の関係を有している。そのため、Oリング40は、加圧時に、その幅方向に対称又はほぼ対称に変形する又は変形し易い。
したがって、本実施形態のOリング40は、容器本体20と蓋30とに加圧された状態で、周方向の各部分が安定してその姿勢を維持し易い。これに伴い、本実施形態のOリング40は、第1リング部42と、第2リング部44とが互いに非対称である場合に比べて、使用開始後に高耐久である。なお、本実施形態のように、容器本体20、蓋30及びOリング40の組み合わせた容器を加熱される容器として使用する場合、加熱によるOリング40の変形が発生するため、本効果は顕著となる。
なお、第1リング部42と、第2リング部44とが互いに非対称の形状である構成は本効果を奏する構成ではないが、少なくとも前述の第1の効果を奏する構成である。そのため、当該構成は、本発明の技術的範囲に含まれる。
【0069】
〔第7の効果〕
本効果は、Oリング40における、上側の部分40Uと、下側の部分40Lとが互いに対称の形状を有すること(図3参照)の効果である。
仮に、上側の部分40Uと、下側の部分40Lとが互いに非対称である場合(図示省略)、容器本体20へのセット時に容器本体20に対していずれか一方を先に嵌め込まないと、同じセット状態の殺菌容器10を製造することができない。
これに対して、本実施形態のOリング40は、図3に示されるように、上側の部分40Uと、下側の部分40Lとは、互いに線対称の関係を有している。そのため、容器本体20へのセット時にOリング40の容器本体20(蟻溝34)への向きが問われない。
したがって、本実施形態のOリング40は、容器本体20(蟻溝34)に対し上側の部分40U及び下側の部分40Lのいずれを先に嵌め込んでも同じようにセットできる。
なお、上側の部分40Uと、下側の部分40Lとが互いに非対称の形状である構成は本効果を奏する構成ではないが、少なくとも前述の第1の効果を奏する構成である。そのため、当該構成は、本発明の技術的範囲に含まれる。
【0070】
以上が本実施形態の効果についての説明である。また、以上が本実施形態についての説明である。
【0071】
≪複数の変形例≫
以上のとおり、本発明について前述の実施形態を一例として説明したが、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。本発明の技術的範囲には、例えば、後述する複数の変形例も含まれる。
【0072】
本実施形態では、Oリング40がゴム製であるとして説明した。しかしながら、Oリング40が弾性変形することができれば、Oリング40はゴム製でなくてもよい。例えば、Oリング40は、エラストマー製であってもよい。Oリング40は、他の部材に加圧されて弾性変形することができれば、ゴム製及びエラストマー製以外に、これらに他の材料(例えば、無機フィラー等)を添加した複合材製その他の弾性材製であってもよい。
【0073】
本実施形態では、Oリング40の断面は、仮に切り欠き42A、44Aがなければ円形(本実施形態では真円を想定)である(図3参照)と説明した。しかしながら、Oリング40の両側に切り欠きが形成されていれば、例えば、楕円形状その他の形状(後述する図5の変形例の形状を参照のこと)であってもよい。
【0074】
本実施形態では、Oリング40の外周面側の切り欠き42Aと内周面側の切り欠き44Aとがそれぞれ円弧状であると説明した。しかしながら、Oリング40の両側に切り欠きが形成されていれば、それぞれの切り欠きの形状は円弧状でなくてもよい。例えば、一方の切り欠きの形状が円弧状で、他方の切り欠きの形状が矩形状、多角形状、直線状、これらの組み合わせその他の形状であってもよい。このような変形例であっても本実施形態の第1の効果を奏するためである。
【0075】
本実施形態では、Oリング40の外周面側の切り欠き42Aの両端42A1及び内周面側の切り欠き44Aの両端44A1は、いずれも曲面を形成していると説明した。しかしながら、Oリング40の両側に切り欠きが形成されていれば、両端42A1及び両端44A1の一部又は全部は曲面を形成していなくてもよい。例えば、直線状のエッジを形成していてもよい。このような変形例であっても本実施形態の第1の効果を奏するためである。
【0076】
本実施形態では、Oリング40の外周面側の切り欠き42Aと、内周面側の切り欠き44Aとは、互いに、厚み方向の同じ範囲に形成されていると説明した。しかしながら、Oリング40の両側に切り欠きが形成されていれば、外周面側の切り欠き42Aと、内周面側の切り欠き44Aとが形成されている範囲は、その厚み方向において互いにずれていてもよい。このような変形例であっても本実施形態の第1の効果を奏するためである。ただし、少なくとも、互いの形成範囲の一部同士が重なることが好ましい。
【0077】
本実施形態では、Oリング40の断面は、仮に切り欠き42A、44Aがなければ円形(本実施形態では真円を想定)であると説明した。しかしながら、図5に示される変形例のOリング40Aのように、リング40を変形して、その厚み方向の一端と、他端とに、それぞれ、互いに平行な平面FP1、FP2を形成した形態としてもよい。本変形例のOリング40Aは、蟻溝34へのセット後に容器本体20と蓋30とに加圧される際に、容器本体20の蟻溝34の底面34Aに平面FP2が面接触し、蓋30の下面32に平面FP2が面接触するため、加圧時にOリング40Aの姿勢が軸方向に平行になり易いという効果を奏する。すなわち、本変形例のOリング40Aは、前述の第6の効果を顕著に発揮し易いといえる。
【0078】
また、本実施形態では、Oリング40はその内部に中空部分等が形成されていない連続的な塊であることを前提として説明した(図2図3等参照)。しかしながら、切り欠き42A、44Aが形成されていることによって前述の効果を奏する形態であれば、Oリング40は連続的な塊でなくてもよい。例えば、仮に内部に中空部分が形成されている形態(図示省略)であっても、当該中空部分が切り欠き42A、44Aによる効果に影響を及ぼさない程度の位置、大きさ、形状、範囲その他の要件を満たしていればよい。このような形態は、前述の複数の変形例についても適用可能である。
【0079】
本実施形態では、蟻溝34が蓋30の下面32に形成されているとした(図1参照)。しかしながら、互いに対向する対向面のいずれか一方の面に蟻溝が形成されており、Oリング40が当該蟻溝に嵌め込まれ、互いに対向する対向面によって加圧されて、隙間をシールする形態であれば、蟻溝34が蓋30に形成されていなくてもよい。例えば、図6の変形例の殺菌容器10Aのようにしてもよい。この変形例では、本実施形態の蟻溝34が、容器本体20の端面22に蟻溝24として形成されている。ここで、図6の蟻溝24は、底面24Aと、互いに対向する側面24B1、24B2とで構成されている。
そして、本実施形態及びその変形例と、図6に示される変形例とを考慮すると、蟻溝は容器本体20の端面22及び蓋30の対向面32のいずれか一方に形成されていればよいといえる。
【0080】
本実施形態では、組立体の一例は殺菌容器10であるとして説明した。しかしながら、Oリング40を蟻溝34に嵌め込んで使用する形態であれば、本実施形態が適用される容器は殺菌容器でなくてもよい。また、本実施形態の容器は、加熱されて使用されると説明したが、特に加熱される容器である必要はない。
【0081】
以上のとおり、本実施形態(図1図4等参照)及びその複数の変形例について説明したが、これらの一形態に他の形態の構成要素の一部を組み合わせた形態、これらの一形態に他の形態の構成要素の一部を置換した形態その他の形態も、本発明の技術的範囲に含まれることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0082】
10 殺菌容器(組立体の一例)
20 容器本体
22 端面
24 蟻溝
24A 蟻溝の底面
24B1 蟻溝の側面
24B2 蟻溝の側面
30 蓋
32 下面(対向面の一例)
34 蟻溝
34A 蟻溝の底面
34B1 蟻溝の側面
34B2 蟻溝の側面
34C 蟻溝の開口縁
40 Oリング
40A Oリング
40L 下側の部分(厚み方向の他方の部分の一例)
40U 上側の部分(厚み方向の一方の部分の一例)
42 第1リング部(幅方向の一方の部分の一例)
42A 切り欠き(外側切り欠きの一例)
42A1 切り欠きの両端
44 第2リング部(幅方向の他方の部分の一例)
44A 切り欠き(内側切り欠きの一例)
44A1 切り欠きの両端
D1 蟻溝の深さ
G 隙間
O 軸
SL 直線部分
T Oリングの厚み
VP 仮想平面
W1 蟻溝の開口幅
W2 蟻溝の底面の底面幅
W3 切り欠き同士の最小幅
W4 切り欠き同士の最大幅

図1
図2
図3
図4
図5
図6