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特開2023-121695有効突判定装置、有効突判定方法、および有効突判定プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023121695
(43)【公開日】2023-08-31
(54)【発明の名称】有効突判定装置、有効突判定方法、および有効突判定プログラム
(51)【国際特許分類】
   A63B 69/02 20060101AFI20230824BHJP
   A63B 71/06 20060101ALI20230824BHJP
   G06T 7/44 20170101ALI20230824BHJP
   G06T 7/90 20170101ALI20230824BHJP
【FI】
A63B69/02 G
A63B71/06 M
G06T7/44
G06T7/90 B
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022038651
(22)【出願日】2022-02-21
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-05-23
(71)【出願人】
【識別番号】522098079
【氏名又は名称】藤田 海渡
(71)【出願人】
【識別番号】521159263
【氏名又は名称】粟國 晴楽
(71)【出願人】
【識別番号】522098080
【氏名又は名称】中西 蓮
(72)【発明者】
【氏名】藤田 海渡
(72)【発明者】
【氏名】粟國 晴楽
(72)【発明者】
【氏名】中西 蓮
【テーマコード(参考)】
5L096
【Fターム(参考)】
5L096CA02
5L096FA35
5L096FA54
5L096FA69
5L096GA41
(57)【要約】
【課題】 フェンシング、特にフルーレ種目の練習時に、電気審判機なしで、メタルジャケット上を突いたかどうかを判定することによって突きの有効性を判定可能な有効突判定装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 剣による突きを検知する剣先スイッチと、鍔の外側に設置され、剣先画像を撮影するカメラと、剣のブレード上の長さ方向に沿って設置された発光部と、中央制御部と、中央制御部内部に設置される、剣先スイッチ入力部と、剣先スイッチ入力部からの突きの信号に従いカメラ動作を制御するカメラ制御部と、カメラで撮影した剣先画像を受信する画像受信部と、剣先画像から剣先周辺画像を取得する剣先周辺画像取得部と、剣先周辺画像を用いて有効突きを判定する有効突判定部と、突きの信号に応じて発光部に第1発光指示を出力し、有効突判定結果に応じて発光部に第2発光指示を出力するLED制御部とを有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
剣の先端に設置され、該剣に設けられた電気接点の開閉を検出して該剣による突きを検知する剣先スイッチと、
該剣の鍔の外側に剣先に向けて設置され、剣先画像を撮影するカメラと、
該剣のブレード上の長さ方向に沿って設置された発光部と、
中央制御部と、
該中央制御部内部に設置され、該剣先スイッチからの信号を受信する剣先スイッチ入力部と、
該中央制御部内部に設置され、該剣先スイッチ入力部からの突きの信号に従い該カメラの動作を制御するカメラ制御部と、
該中央制御部内部に設置され、該カメラで撮影した該剣先画像を受信する画像受信部と、
該中央制御部内部に設置され、該画像受信部から受信した該剣先画像から剣先周辺画像を取得する剣先周辺画像取得部と、
該中央制御部内部に設置され、該剣先周辺画像取得部から受信した該剣先周辺画像を用いて有効突きを判定する有効突判定部と、
該中央制御部内部に設置され、該剣先スイッチ入力部からの突きの信号に応じて該発光部に第1発光指示を出力し、該有効突判定部からの有効突判定結果に応じて該発光部に第2発光指示を出力するLED制御部と、
を有することを特徴とする有効突判定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の有効突判定装置において、
該有効突判定部が、該剣先周辺画像に含まれる有効面画素と非有効面画素の各々の画素数をカウントし、該有効面画素の画素数が該非有効面画素の画素数に比べて大きいときに、有効突きと判定することを特徴とする有効突判定装置。
【請求項3】
請求項1に記載の有効突判定装置において、
該有効突判定部が、該剣先周辺画像内での有効面画素と非有効面画素の配置情報を用いて、該剣先周辺画像を、有効領域と非有効領域に一つの線分で分割し、剣先位置が該有効領域と該非有効領域のどちらに含まれるかによって、有効突きと無効突きを判定することを特徴とする有効突判定装置。
【請求項4】
請求項2、又は請求項3に記載の有効突判定装置において、
該有効突判定部が、画素の色情報を用いて、該有効面画素と該非有効面画素のいずれか一方に識別することを特徴とする有効突判定装置。
【請求項5】
請求項4に記載の有効突判定装置において、
該有効突判定部が、該画素の色情報として、該画素のHSV分布情報を用いることを特徴とする有効突判定装置。
【請求項6】
請求項5に記載の有効突判定装置において、
該有効突判定部が、HSV分布情報として、該画素のH分布ヒストグラムの積算情報を用いることを特徴とする有効突判定装置。
【請求項7】
請求項6に記載の有効突判定装置において、
該積算情報は、所定境界値によって規定される範囲の該H分布ヒストグラムの該積算情報であり、
該所定境界値は、基準メタルジャケットから取得される該H分布ヒストグラムと、基準競技着から取得される該H分布ヒストグラムとに基づいて、決定する、
ことを特徴とする有効突判定装置。
【請求項8】
請求項2、又は請求項3に記載の有効突判定装置において、
該有効突判定部が、該剣先周辺画像内の各画素の周りのパターンに基づいて、該有効面画素と該非有効面画素のいずれか一方に識別することを特徴とする有効突判定装置。
【請求項9】
請求項1に記載の有効突判定装置において、
発音部を有し、
該発音部は、該鍔の内側に設置され、該LED制御部からの信号に従い、可聴音を発音し、
該中央制御部は、該剣のグリップに設置される、
ことを特徴とする有効突判定装置。
【請求項10】
剣の先端に設置された剣先スイッチによって、該剣に設けられた電気接点の開閉を検出して該剣による突きを検知し、
中央制御部内部に設置された剣先スイッチ入力部によって、該剣先スイッチからの信号を受信し、
該中央制御部内部に設置されたカメラ制御部によって、該剣先スイッチ入力部からの突きの信号に従いカメラの動作を制御し、
該剣の鍔の外側に剣先に向けて設置された該カメラによって、該カメラ制御部からの信号に従い剣先画像を撮影し、
該中央制御部内部に設置された画像受信部によって、該カメラで撮影した該剣先画像を受信し、
該中央制御部内部に設置された剣先周辺画像取得部によって、該画像受信部から受信した該剣先画像から剣先周辺画像を取得し、
該中央制御部内部に設置された有効突判定部によって、該剣先周辺画像取得部から受信した該剣先周辺画像を用いて有効突きを判定し、
該中央制御部内部に設置されたLED制御部によって、該剣先スイッチ入力部からの突きの信号に応じて第1発光指示を出力し、該有効突判定部からの有効突判定結果に応じて第2発光指示を出力し、
該剣のブレード上の長さ方向に沿って設置された発光部によって、該LED制御部からの第1発光指示又は第2発光指示に従い発光する、
ことを特徴とする有効突判定方法。
【請求項11】
剣の先端に設置され、該剣に設けられた電気接点の開閉を検出して該剣による突きを検知する剣先スイッチからの信号を受信する剣先スイッチ入力部のコードと、
該剣先スイッチ入力部からの突きの信号に従いカメラの動作を制御するカメラ制御部のコードと、
該剣の鍔の外側に剣先に向けて設置され、該カメラ制御部からの信号に従い剣先の画像を撮影する該カメラで撮影した剣先画像を受信する画像受信部のコードと、
該画像受信部から受信した該剣先画像から剣先周辺画像を取得する剣先周辺画像取得部のコードと、
該剣先周辺画像取得部から受信した該剣先周辺画像を用いて有効突きを判定する有効突判定部のコードと、
該剣先スイッチ入力部からの突きの信号に応じて、該剣のブレード上の長さ方向に沿って設置された発光部に、第1発光指示を出力し、該有効突判定部からの有効突判定結果に応じて第2発光指示を出力するLED制御部のコードと、
をコンピュータに実行させることを特徴とする有効突判定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有効突判定装置、有効突判定方法、および有効突判定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フェンシング競技フルーレ種目において、胴体部分に付けたメタルジャケットを突いた場合のみ有効点になるというルールがある。有効面の突きを判定するには、試合場であるピストの中央脇に設置された電気審判機が用いられている。剣先がメタルジャケットを突いた場合、電気審判機が色ランプで有効突きを判定し、メタルジャケットでない場所を突いた場合、白ランプで突きの無効性を判定する。
【0003】
電気審判機の設置には手間がかかるので、通常の練習時には電気審判機を用いないことも多く、その場合は、突きの有効性を高めるための練習が十分できていないと考えられる。このため、電気審判機なしで、突きの有効性が判定できれば、手軽に有効な練習をすることが可能になると考えられる。
【0004】
一方、剣の動きを可視化するオブジェクト追跡システムがある。例えば、特許6677531号には、フレーレートを超える可動域を持つ物理オブジェクトを撮影して当該可動域の動きを追跡しその軌跡を可視光画像上で可視化するオブジェクト追跡システムが開示されている。本技術では、フェンシングの剣の軌跡を対戦動画上に重ねてみることができるが、剣先がメタルジャケット上を突いたかどうかについて判定する機能は有していない。また、実登3151105公報には、発光機能を有し、突いたときに所定時間発光させる発光剣が開示されている。しかし、発光剣はメタルジャケット上を突いたかどうかについて判定する機能を有していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許6677531号公報
【特許文献2】実用新案登録第3151105号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来の方法では、フェンシング、特にフルーレ種目の練習時に、電気審判機なしで、メタルジャケット上を突いたかどうかを判定することによって、突きの有効性を判定することはできない。
【0007】
そこで、本発明の目的は、フェンシング、特にフルーレ種目の練習時に、電気審判機なしで、メタルジャケット上を突いたかどうかを判定することによって突きの有効性を判定可能な有効突判定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様の有効突判定装置は、剣の先端に設置され、該剣に設けられた電気接点の開閉を検出して該剣による突きを検知する剣先スイッチと、該剣の鍔の外側に剣先に向けて設置され、剣先画像を撮影するカメラと、該剣のブレード上の長さ方向に沿って設置された発光部と、中央制御部と、該中央制御部内部に設置され、該剣先スイッチからの信号を受信する剣先スイッチ入力部と、該中央制御部内部に設置され、該剣先スイッチ入力部からの突きの信号に従い該カメラの動作を制御するカメラ制御部と、該中央制御部内部に設置され、該カメラで撮影した該剣先画像を受信する画像受信部と、該中央制御部内部に設置され、該画像受信部から受信した該剣先画像から剣先周辺画像を取得する剣先周辺画像取得部と、該中央制御部内部に設置され、該剣先周辺画像取得部から受信した該剣先周辺画像を用いて有効突きを判定する有効突判定部と、該中央制御部内部に設置され、該剣先スイッチ入力部からの突きの信号に応じて該発光部に第1発光指示を出力し、該有効突判定部からの有効突判定結果に応じて該発光部に第2発光指示を出力するLED制御部と、を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、フェンシング、特にフルーレ種目の練習時に、電気審判機なしで、メタルジャケット上を突いたかどうかを判定することによって突きの有効性を判定可能な有効突判定装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1の実施形態に係る、有効突判定装置の全体構成を示す図であり、(A)は、フェンシングフルーレ種目の対戦時の動作を示す概要図であり、(B)は、有効突判定装置のブロック図である。
図2】第1の実施形態に係る、有効突判定装置の、フェンシングフルーレ種目の対戦時の動作を示す概要図であり、(A)は、突きが有効な場合を示し、(B)は、突きが有効でない場合を示している。
図3】第1の実施形態に係る、有効突判定装置の、発光・剣先画像撮影部と中央制御部の内部構成を表す構成図である。
図4】第1の実施形態に係る、突いた瞬間のカメラ画像からの剣先座標と剣先周辺画像の取得方法を示す概要図であり、(A)は、突いた瞬間のカメラ映像を示し、(B)は、剣先座標の取得方法を示し、(C)は、剣先周辺画像の取得方法を示している。
図5】第1の実施形態に係る、剣先座標と剣先周辺画像の取得方法の処理の流れを示すフローチャートである。
図6】第1の実施形態に係る、明るい場所で撮影した画像のHSV画像分布のヒストグラムを、メタルジャケットとワイン色ジャージで比較した図である。(A)は突き位置(メタルジャケット)のHSV分布を示し、(B)は突き位置(ワイン色ジャージ)のHSV分布を示している。
図7】第1の実施形態に係る、暗い場所で撮影した画像のHSV画像分布のヒストグラムを、メタルジャケットとワイン色ジャージで比較した図である。(A)は突き位置(メタルジャケット)のHSV分布を示し、(B)は突き位置(ワイン色ジャージ)のHSV分布を示している。
図8】第1の実施形態に係る、有効突判定の前処理と有効突判定処理の方法のフローチャートを示した図である。(A)は有効突判定の前処理として行う、メタルジャケットとワイン色ジャージのH分布の分割閾値の取得処理を示し、(B)は有効突判定処理として行う、H分布の分割積算比(RH)を用いた判定処理を示している。
図9】第1の実施形態に係る、メタルジャケットとワイン色ジャージのHヒストグラムから求めたHt=Ht0によるHの分割の様子を示しており、(A)は突き位置(メタルジャケット)のHSV分布上のHt0を示し、(B)は突き位置(ワイン色ジャージ)のHSV分布上のHt0を示している。
図10】第1の実施形態に係る、有効突判定処理のH分布の分割積算比(RH)を用いた判定処理の1例を示した図であり、(A1)は、境界付近のメタルジャケット側を突いた場合を示し、(B1)は、境界付近のジャージ側を突いた場合を示している。また、(A2)は、図(A1)における突き位置のHSV分布を示し、(B2)は、(B1)における突き位置のHSV分布を示している。
図11】第2の実施形態に係る、有効突判定処理の縞パターン検出方法を用いた判定処理を示した図であり、(A)は、メタルジャケット上の剣先周辺領域を示し、(B)は、剣先周辺画像内の各画素の周りのパターンに基づいて有効面画素と非有効面画素を識別する有効突判定処理方法を用いた例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1の実施形態)
(有効突判定装置1の構成)
以下、図面を参照して有効突判定装置1の構成を説明する。
【0012】
図1は、有効突判定装置1の、フェンシングフルーレ種目の対戦時の動作を示す概要図とブロック図である。図1を用いて、フェンシング競技フルーレ種目における突きの可視化と有効突判定を、いかに行うかを説明する。
【0013】
フルーレ種目においては、図1(A)に示すように、メタルジャケット2A、及びメタルジャケット2Bをそれぞれ身につけたフェンサー1Aとフェンサー1Bが剣3A、3Bを持って対峙する。図1(A)に示すように、フェンサー1Aの剣3Aがフェンサー1Bのメタルジャケット2B上を突いた場合、剣3Aに設置された有効突判定装置4A(図1(B)の有効突判定装置1)が作動する。
【0014】
有効突判定装置1の動作を図1(B)を用いて説明する。有効突判定装置1は、発光・剣先画像撮影部5、中央制御部6、記憶部7を有する。発光・剣先画像撮影部5は、剣先スイッチ8、カメラ9、発光部10、発音部11を有する。中央制御部6は、各種処理を実行するCPUを有し、有効突判定装置1内の各種動作を制御する。中央制御部6の機能は、CPUが記憶部7に記憶された各種プログラムを読み込み、実行することによって実現される。記憶部7は、RAM、ROM、HDD、及びSSD等の記憶素子を有する。記憶部7には、有効突判定装置1を制御する各種プログラムが記憶される。
【0015】
図1(B)に示す剣先スイッチ8が押されると、中央制御部6を介して、発光部10、発音部11が作動するとともに、剣先スイッチ8を視野に含むカメラ9がシャッターを切り、剣先の剣先画像を撮影し、その剣先画像を基に、剣3Aが突いた場所がメタルジャケット2B上であるかどうかを判定する。
【0016】
以上の動作を、図2を用いて説明する。
【0017】
図2は、有効突判定装置1の、フェンシングフルーレ種目の対戦時の動作を示す概要図である。フルーレ種目においては、図2(A)に示すように、メタルジャケット2A、及びメタルジャケット2Bをそれぞれ身につけたフェンサー1Aとフェンサー1Bが剣3Aと剣3Bのそれぞれを持って対峙する。
【0018】
図2(A)に示すように、フェンサー1Aの剣3Aがフェンサー1Bのメタルジャケット2B上を突いた場合、発光部5A(図1(B)における発光部10)が発光すると同時に、鍔35(図3)の外側に設置されたカメラ7A(図1(B)におけるカメラ9)がシャッターを切り、剣3Aが突いた瞬間の剣先画像を撮影する。撮影した剣先画像を基に、剣3Aが突いた周辺の有効突判定領域8Bの剣先周辺画像を取得し、その剣先周辺画像を基に、突いた部分がメタルジャケット2B上であることを判定する。
【0019】
図2(B)では、剣3Aがフェンサー1Bの腕の部分を突いており、突きが有効でない場合を示している。この場合は、有効突判定領域8Bの剣先周辺画像を基に、突いた部分がメタルジャケット2B上でないことを判定する。判定の方法としては、判定領域の剣先周辺画像の画素の色空間情報、特に色相(H)の分布情報を用いる。
【0020】
このように、本発明によって、剣3A、3Bによる突きの瞬間を可視化でき、かつメタルジャケット部分を突けたかどうかの判定を電気審判機なしでできるようになる。これにより、非常に手軽にかつ正確に突きのやりとりを認知できるようになり、効率的な練習が可能になる。
【0021】
図3は、有効突判定装置1の、発光・剣先画像撮影部5、中央制御部6の内部の構成図である。発光・剣先画像撮影部5は、剣先スイッチ8、カメラ9、発光部10、発音部11、ブレード32、取り付け治具33、鍔35を有する。中央制御部6は、剣先スイッチ入力部36、カメラ制御部37、画像受信部38、剣先周辺画像取得部39、有効突判定部310、LED制御部311を有する。
【0022】
システムの動作の概略を、図3を用いて説明する。発光・剣先画像撮影部5と中央制御部6について、剣先スイッチ8が押されてから、有効突判定を行うまでの流れについて説明する。
【0023】
剣先スイッチ8からのコードが、中央制御部6内の剣先スイッチ入力部36に接続されている。ブレード32の先端には、発光部10が設置されており、発光部10には、LED制御部311からのコード接続されている。
【0024】
剣先スイッチ8が押されると、剣先スイッチ入力部36を介して、LED制御部311へ情報が送られる。LED制御部311は、剣先スイッチ入力部36から情報を受け取ると、発光部10と鍔35内部に設置された発音部11に、それぞれ第1発光指示、及び第1発音指示を送り、発光部10を一定時間連続的に発光させると共に、発音部11を一定時間連続的に発音させる。
【0025】
鍔35の外側には、取り付け治具33によって、カメラ9がカバーされた状態で設置される。カメラ9の視野34は、剣先スイッチ8の周辺をカバーしている。剣先スイッチ8が押されると剣先スイッチ入力部36を介し、カメラ制御部37に情報が送られ、その情報により、カメラ9のシャッターが切られる。シャッターが切られるタイミングは、発光、及び発音のタイミングと同期している。
【0026】
撮影された剣先画像は、画像受信部38で受信され、剣先周辺画像取得部39に送られ、剣先座標とその周辺画像に基づく剣先周辺画像の取得処理が行われる。取得された剣先周辺画像は、有効突判定部310に送られて、有効突の判定が実行され、その結果がLED制御部311に送られる。
【0027】
LED制御部311は、有効突判定部310から情報を受け取ると、発光部10と発音部11に、それぞれ第2発光指示、及び第2発音指示を送る。突きが有効と判定された場合、第2発光指示、及び第2発音指示では、それぞれ発光部10を一定時間点滅させ、発音部11に一定時間断続音を発音させる。突きが無効と判定された場合、第2発光指示、及び第2発音指示では、発光部10、及び発音部11は、それぞれ発光、及び発音を行わない。
【0028】
このようにして、剣3A、3Bによる突きの瞬間を可視化でき、かつメタルジャケット部分を突いた場合は、最初に一定時間、剣先の発光部10が連続的に発光し、発音部11が連続的に発音した後、一定時間発光部10が点滅し、発音部11が断続音を発音するが、ジャージ部分を突いた場合は、一定時間の発光、発音の後、何も起らないこととなり、ジャージ部分を突けたかどうかの判定を電気審判機なしでできるようになる。
【0029】
<剣先周辺画像取得部>
剣先周辺画像取得部39の動作について、図4図5を用いて説明する。なお、画像処理は、プログラミング言語Pythonと画像処理ライブラリーであるOpenCVを用いて行った。図4は、突いた瞬間の剣先画像からの剣先座標と剣先周辺画像の取得方法を示す概要図であり、図4(A)は、突いた瞬間の剣先画像を示し、図4(B)は、剣先座標の取得方法を示し、図4(C)は、剣先周辺画像の取得方法を示している。
【0030】
図4(A)の突いた瞬間の剣先画像には、剣先でメタルジャケット41を突いて、剣先に貼られた発光部10であるテープLED42が発光した瞬間が表れる。カメラの解像度は1,280×720で撮影を行った。この画像から、図4(B)剣先座標の取得方法に示すように、剣先画像領域43を取得した後、剣先位置44を特定し、剣先座標を取得する。その後、図4(C)剣先周辺画像の取得に示すように、剣先位置44の上部の位置から、半円形の剣先周辺画像45を取得する。
【0031】
<剣先周辺画像取得部>
次に、剣先座標の取得と剣先周辺画像の取得について、図5を用いて説明する。
【0032】
図5は、剣先座標と剣先周辺画像の取得方法の処理の流れを示すフローチャートである。
【0033】
剣先座標の取得51では、まず処理52で、剣先画像に含まれるLED画像画素を用いて、そのRGB分布を取得する。ここでは、青色LEDを用いた。次に処理53で、取得したRGB分布を用いたマスクを作成し、剣先画像のマスキング処理を行い、マスキング画像57を出力する。処理54では、領域同士がつながるようにマスキング画像の膨張処理を行った上で、輪郭を取得する。輪郭で囲まれた領域としては、通常、剣先以外のノイズ等に起因する複数の領域が検出されるので、処理55では、ノイズを除くために、それら複数の領域から面積が最大の領域を一つ選び、その領域内の点のy座標が最大の点の位置座標を、剣先座標として取得し、処理54と処理55の結果の画像58を出力する。画像領域の上部の白い点が剣先位置である。その後、処理56で、剣先周辺画像を、剣先座標の上部の半円形の領域のマスクを用いて取得する。半円の半径はパラメータとして変更できるようにする。処理56の結果、画像59を出力する。
【0034】
<有効突判定アルゴリズムの検討>
図6を用いて、有効突きの判定を行うアルゴリズムの検討のための分析結果について説明する。図6は、明るい場所で撮影した画像のHSV画像分布のヒストグラムを、メタルジャケットとワイン色ジャージで比較した図である。図6(A)は突き位置(メタルジャケット)のHSV分布を示し、図6(B)は突き位置(ワイン色ジャージ)のHSV分布を示している。
【0035】
剣先周辺画像を用いて、画像のRGB値をHSV色空間に変換した上で、色相(H)、彩度(S)、明度(V)毎に、画素数頻度のヒストグラムを取得した。この測定を、図6に示すように、基準メタルジャケットであるメタルジャケット61と、基準競技着であるワイン色のジャージ63の部分において実施した。
【0036】
試合の際は、通常メタルジャケットの下にユニフォームを着るが、本発明では練習を想定しており、メタルジャケットとユニフォームをより明瞭に識別しやすいように、ユニフォームではなくワイン色のジャージを使うこととした。
【0037】
図6(A)は、メタルジャケットのHSV画素分布のヒストグラムであり、図6(B)は、ワイン色のジャージのHSV画素分布のヒストグラムである。横軸がHSV値で、縦軸が画素頻度である。H、S、Vそれぞれのヒストグラムを示している。メタルジャケット61上の剣先周辺領域62、及びジャージ上の剣先周辺領域64の画像のヒストグラムを示している。H、S、V共に、メタルジャケットとワイン色のジャージ上の位置で、異なるピーク位置の単独のピークが得られており、特にHのピークがシャープである。
【0038】
反射光の特性は照射した光によって変わることから、より暗い状況で測定した結果を図7に示す。図7(A)は突き位置(メタルジャケット)のHSV分布を示し、図7(B)は突き位置(ワイン色ジャージ)のHSV分布を示している。
【0039】
図6図7からわかるように、SとVの分布は明るさの条件が変わると大きく変わるため、SとVについては、ここでは有効突きの判定には使わないこととしたが、SとVを用いて有効突き判定を行ってもよい。またHのピークは、明るさの条件が変わっても、ピークのシャープさはあまり変わらずに、ピークの位置が少し変化することがわかる。この結果より、ここでは有効突きの判定にはHのピークを用いることとし、条件によってピーク位置が変わることから、競技の前に突きのテストを行って前処理を行うことによって、ピーク位置が変わっても対応できるようにした。
【0040】
以上で得られた知見を基に構成した、有効突判定の前処理と判定処理の方法について、図8を用いて説明する。
【0041】
図8は、有効突判定の前処理と判定処理の方法を示した図であり、図8(A)は、有効突判定の前処理の流れを示すフローチャートを示しており、図8(B)は、有効突判定処理の流れを示すフローチャートを示している。
【0042】
先ず、図8(A)有効突判定の前処理について説明する。この処理では、メタルジャケットとワイン色ジャージのH分布の分割閾値の取得処理を行う。最初に、処理81において、メタルジャケット上(1)とワイン色ジャージ上(2)で剣先周辺画像を取得し、HSV色空間への変換を行う。次に、処理82において、(1)、及び(2)で、HSV色空間のうち、Hのヒストグラムを取得する。更に、処理83において、H分布のある値Htを考え、(1)のHヒストグラムにおいてHt以下の頻度の積算値SHLm(Ht)、(2)のHヒストグラムにおいてHt以上の頻度の積算値SHUw(Ht)を計算し、処理84において、Htを変化させながら、SHLm(Ht0)≒SHUw(Ht0)となるような、H分布の分割閾値Ht0を求めて、有効突判定の前処理を終了する。分割閾値Ht0は、所定境界値である。
【0043】
ヒストグラムの全積算値は領域の画素数であり、測定ごとに同一である。従って、メタルジャケットとワイン色ジャージのどちらの領域を突いたかを判断する際に、Hのピーク強度ではなく、画素数の積算値を用いることとした。
【0044】
図9は、メタルジャケットとワイン色ジャージのHヒストグラムから求めたHt=Ht0によるHの分割の様子を示しており、図9(A)は突き位置(メタルジャケット)のHSV分布上のHt0を示し、図9(B)は突き位置(ワイン色ジャージ)のHSV分布上のHt0を示している。
【0045】
図9(A)のピーク位置(H値)と図9(B)のピーク位置(H値)の間の位置に、Ht=Ht0と定めることにより、Ht0値以下の(A)の分布の積算値SHLm(Ht0)と、Ht0値以上のB)の分布の積算値SHUw(Ht0)が等しくなっている様子を示している。
【0046】
本処理は、競技の前に行う。この結果は、無線通信を用いて外部PCからみられるようにして、Ht0の取得結果をHヒストグラムと共に可視化できるようにしておく。これによって、Ht0の取得処理の結果の確認とマニュアルによる修正が可能になる。
【0047】
次に、図8(B)有効突判定処理の手順を説明する。本処理は、競技中の処理である。本処理は、処理84で求めたHt0を境界として、それ以上と以下でHスペクトルの画素頻度の積算を取り、どちらの画素数が多いかを判定する。
【0048】
先ず、処理85で、剣先周辺画素のHSV色空間への変換を行う。
【0049】
次に、処理86で、HSV色空間のうち、H値のヒストグラムを取得する。
【0050】
更に、処理87で、取得したヒストグラムから、Ht0以下の画素頻度の積算値SHL(Ht0)、Ht0以上の画素頻度の積算値SHU(Ht0)を計算し、数式(1)に示すように、その比であるH分布の分割積算比を求める。
【0051】
【数1】
【0052】
最後に、処理88で、処理87で求めたRHが1以上の場合を有効突とし、1未満の場合を無効突として、判定を終了する。この判定処理を、メタルジャケットとワイン色ジャージの境界領域へ適用した例を図10に示す。
【0053】
図10は、有効突判定処理のH分布の分割積算比(RH)を用いた判定処理の1例を示した図である。図10について説明する。図10(A1)は、境界付近のメタルジャケット101側を突いた場合、図10(B1)は、境界付近のジャージ103側を突いた場合である。図10(A1)では、剣先周辺領域102の中のメタルジャケット101の方が、図10(B1)では、剣先周辺領域104の中のジャージ103側の方が、面積が大きいことが分かる。
【0054】
このことを反映して、図10(A2)、図10(B2)に示すように、図10(A1)でのRH値は1.27、図10(B1)でのRH値は0.65となる。従って、有効突判定は、図10(A1)が有効、図10(B1)が無効となり、正確に判定していることが分かる。
【0055】
すなわち、積算値SHLm(Ht0)が有効面画素の積算値であり、積算値SHUw(Ht0)が、非有効面画素の積算値である。有効突判定部310は、剣先周辺画像に含まれる有効面画素と非有効面画素の各々の画素数をカウントし、有効面画素の画素数が該非有効面画素の画素数に比べて大きいときに、有効突きと判定する。
【0056】
剣先周辺画像102あるいは104から、有効突判定を行う方法として、以下に示す方法も考えられる。
【0057】
(1)剣先周辺画像102あるいは104内の各画素の周辺の一定範囲のウィンドー領域画像を考え、ウィンドー領域毎に上記で示した有効突判定処理を行い、その結果を画素毎の1(有効突の場合)、0(有効突でない場合)で出力する。
【0058】
(2)画素毎の有効突判定結果を、ウィンドー領域がとれる全ての画素について集めて、剣先周辺画像102あるいは104上の1、0のパターンを得る。
【0059】
(3)このパターンを2次元平面上の1、0の散布図とみなし、ロジスティック回帰やSVMなどの判別分析方法を用いて、1、0の判別境界線を求める。
【0060】
(4)有効突判定は、判別境界線によって分けられた領域のどちら側に、剣先座標が属するかによって、有効か無効かを判定する。
【0061】
(第2の実施形態)
(有効突判定装置2の構成)
以下、図面を参照して有効突判定装置2の構成を説明する。
【0062】
有効突判定装置2の基本的な構成は、図1及び図3に示すものと同一であり、有効突判定装置1との違いは、図3に示す有効突判定部310の判定方法である。本実施形態の説明において、有効突判定装置1と同一の構成については、説明を省略する。
【0063】
図11に、有効突判定装置2の有効突判定部310として、剣先周辺画像内の各画素の周りのパターンに基づいて有効面画素と非有効面画素を識別する有効突判定処理方法を用いた例を示す。メタルジャケットには、図11の剣先周辺画像112に示すように、水平方向に5mm間隔で縞パターンが形成されている。そこで、ここでは、所定画素のパターンとして、剣先周辺画像内の各画素の周りのパターンを用いた有効突判定処理方法の1例を示す。
【0064】
図11(A)にメタルジャケット上の剣先周辺領域111を示す。図11(B)に、剣先周辺領域111を撮影して取得した剣先周辺画像112を用いた、縞パターン検出方法による有効突判定処理方法を示す。
【0065】
(1)まず、剣先周辺画像112にエッジ処理を施し、エッジ処理画像113を得る。
【0066】
(2)次に、エッジ処理画像113内の一つの画素114の周辺一定範囲のウィンドー領域画像115を取得する。
【0067】
(3)ウィンドー領域画像115に対して、縞パターン判定処理を行って縞パターン判定結果116を出力する。縞パターン判定結果116には、各画素114周辺のウィンドー領域画像115が縞パターンの場合は1、縞パターンでない場合は0を出力する。
【0068】
(4)以上示した剣先周辺画像112中の各画素114についての、その周辺のウィンドー領域画像115の判定結果117を、画素スキャン処理によってウィンドー領域がとれる全ての画素について集めた全画素縞パターン判定結果117を出力する。
【0069】
(5)最後に、全画素縞パターン判定結果117から、有効突判定処理を行い、有効突判定結果118を出力する。
【0070】
ウィンドー領域画像115に対する縞パターン判定処理の一つ目の例としては、ウィンドー領域画像115から直線を検出し、取得した直線の情報を使い、直線相互の傾きが一定範囲内にある直線どうしで直線間距離を測定し、直線間距離のヒストグラムの情報を基にして、縞パターン判定を行う方法が考えられる。
【0071】
縞パターン判定処理の二つ目の例としては、ウィンドー領域画像115を2次元フーリエ変換し、2次元フーリエスペクトルの周波数成分の特徴から縞パターン検出処理を行う方法が考えられる。
【0072】
縞パターン判定処理の三つ目の例としては、機械学習を用いて縞パターン検出処理を行う方法が考えられる。正解画像として、鍔35上のカメラ9から撮影したメタルジャケット上の様々な位置のウィンドー領域画像を収集し、不正解画像として、鍔35上のカメラ9から撮影した競技着(この場合はワイン色ジャージ)上の様々な位置のウィンドー領域画像を収集する。収集した正解画像と不正解画像を学習データセットとして用いて、ディープラーニングなどの判別分析方法によって判別モデルを構築する。競技の際には、構築した判別モデルを用いて、撮影したウィンドー領域画像115からの縞パターン判定処理を行う。
【0073】
全画素縞パターン判定結果117から、有効突判定を行う方法の1例としては、画素毎の判定結果1、0について、それぞれの総和Sp1、Sp0をとり、それらの比をRsp=Sp1/Sp0とし、Rspが1以上か1未満かで、有効突か無効突かを判定する方法が考えられる。Rspは、図8におけるRHに相当する量とみなすことができる。
【0074】
全画素縞パターン判定結果117から、有効突判定を行う方法のもう一つの例としては、全画素パターン判定結果117の1、0のパターンを、2次元平面上の1、0の散布図とみなし、ロジスティック回帰やSVMなどの判別分析方法を用いて、1、0の判別境界線を求め、判別境界線によって分けられた有効領域又は非有効領域のどちら側に剣先座標が属するかによって、有効突か無効突かを判定する方法が考えられる。
【0075】
すなわち、有効突判定装置1、2は、剣3A、3Bの先端に設置され、剣3A、3Bに設けられた電気接点の開閉を検出して剣3A、3Bによる突きを検知する剣先スイッチ8と、剣3A、3Bの鍔35の外側に剣先に向けて設置され、剣先画像を撮影するカメラ9と、剣3A、3Bのブレード32上の長さ方向に沿って設置された発光部10と、中央制御部6と、中央制御部6内部に設置され、剣先スイッチ8からの信号を受信する剣先スイッチ入力部36と、中央制御部6内部に設置され、剣先スイッチ入力部36からの突きの信号に従いカメラ9の動作を制御するカメラ制御部37と、中央制御部6内部に設置され、カメラ9で撮影した剣先画像を受信する画像受信部38と、中央制御部6内部に設置され、画像受信部38から受信した剣先画像から剣先周辺画像を取得する剣先周辺画像取得部39と、中央制御部6内部に設置され、剣先周辺画像取得部39から受信した剣先周辺画像を用いて有効突きを判定する有効突判定部310と、中央制御部6内部に設置され、剣先スイッチ入力部36からの突きの信号に応じて発光部10に第1発光指示を出力し、有効突判定部310からの有効突判定結果に応じて発光部10に第2発光指示を出力するLED制御部311と、を有する。
【0076】
また、有効突判定装置1、2は、有効突判定部310が、剣先周辺画像に含まれる有効面画素と非有効面画素の各々の画素数をカウントし、有効面画素の画素数が非有効面画素の画素数に比べて大きいときに、有効突きと判定する。
【0077】
また、有効突判定部310が、剣先周辺画像内での有効面画素と非有効面画素の配置情報を用いて、剣先周辺画像を、有効領域と非有効領域に一つの線分で分割し、剣先位置が有効領域と非有効領域のどちらに含まれるかによって、有効突きと無効突きを判定する。
【0078】
また、有効突判定部310が、画素の色情報を用いて、有効面画素と非有効面画素のいずれか一方に識別する。
【0079】
また、有効突判定部310が、画素の色情報として、画素のHSV分布情報を用いる。
【0080】
また、有効突判定部310が、HSV分布情報として、画素のH分布ヒストグラムの積算情報を用いる。
【0081】
また、積算情報は、所定境界値によって規定される範囲のH分布ヒストグラムの積算情報であり、所定境界値は、基準メタルジャケットから取得されるH分布ヒストグラムと、基準競技着から取得されるH分布ヒストグラムとに基づいて、決定する。
【0082】
また、有効突判定部310が、剣先周辺画像内の各画素の周りのパターンに基づいて、有効面画素と非有効面画素のいずれか一方に識別する。
【0083】
また、発音部11を有し、発音部11は、鍔35の内側に設置され、LED制御部311からの信号に従い、可聴音を発音し、中央制御部6は、剣3A、3Bのグリップに設置される。
【0084】
また、有効突判定方法は、剣3A、3Bの先端に設置された剣先スイッチ8によって、剣3A、3Bに設けられた電気接点の開閉を検出して剣3A、3Bによる突きを検知し、中央制御部6内部に設置された剣先スイッチ入力部36によって、剣先スイッチ8からの信号を受信し、中央制御部6内部に設置されたカメラ制御部37によって、剣先スイッチ入力部36からの突きの信号に従いカメラ9の動作を制御し、剣3A、3Bの鍔35の外側に剣先に向けて設置されたカメラ9によって、カメラ制御部37からの信号に従い剣先画像を撮影し、中央制御部6内部に設置された画像受信部38によって、カメラ9で撮影した剣先画像を受信し、中央制御部6内部に設置された剣先周辺画像取得部39によって、画像受信部38から受信した剣先画像から剣先周辺画像を取得し、中央制御部6内部に設置された有効突判定部310によって、剣先周辺画像取得部39から受信した剣先周辺画像を用いて有効突きを判定し、中央制御部6内部に設置されたLED制御部311によって、剣先スイッチ入力部36からの突きの信号に応じて第1発光指示を出力し、有効突判定部310からの有効突判定結果118に応じて第2発光指示を出力し、剣3A、3Bのブレード32上の長さ方向に沿って設置された発光部10によって、LED制御部311からの第1発光指示又は第2発光指示に従い発光する。
【0085】
また、有効突判定プログラムは、剣3A、3Bの先端に設置され、剣3A、3Bに設けられた電気接点の開閉を検出して剣3A、3Bによる突きを検知する剣先スイッチ8からの信号を受信する剣先スイッチ入力部36のコードと、剣先スイッチ入力部36からの突きの信号に従いカメラ9の動作を制御するカメラ制御部37のコードと、剣3A、3Bの鍔35の外側に剣先に向けて設置され、カメラ制御部37からの信号に従い剣先の画像を撮影するカメラ9で撮影した剣先画像を受信する画像受信部38のコードと、画像受信部38から受信した剣先画像から剣先周辺画像を取得する剣先周辺画像取得部39のコードと、剣先周辺画像取得部39から受信した剣先周辺画像を用いて有効突きを判定する有効突判定部310のコードと、剣先スイッチ入力部36からの突きの信号に応じて、剣3A、3Bのブレード32上の長さ方向に沿って設置された発光部10に、第1発光指示を出力し、有効突判定部310からの有効突判定結果に応じて第2発光指示を出力するLED制御部311のコードと、をコンピュータに実行させる。
【0086】
実施形態によれば、フェンシング、特にフルーレ種目の練習時に、電気審判機なしで、メタルジャケット上を突いたかどうかを判定することによって突きの有効性を判定可能な有効突判定装置を提供することができる。
【0087】
実施形態における各手順の各ステップは、その性質に反しない限り、実行順序を変更し、複数同時に実行し、あるいは実行毎に異なった順序で実行してもよい。さらに、本実施形態における各手順の各ステップの全てあるいは一部をハードウェアにより実現してもよい。
【0088】
実施形態は、上述した実施形態に限定されるものではなく、要旨を変えない範囲において、種々の変更、改変等が可能である。
【符号の説明】
【0089】
1A フェンサー
1B フェンサー
2A メタルジャケット
2B メタルジャケット
3A 剣
3B 剣
4A 有効突判定装置
4B 有効突判定装置
5 発光・剣先画像撮影部
5A 発光部
5B 発光部
6 中央制御部
6A 発音部
6B 発音部
7 記憶部
7A カメラ
7B カメラ
8 剣先スイッチ
8B 有効突判定領域
9 カメラ
10 発光部
11 発音部
32 ブレード
33 取り付け治具
34 カメラの視野
35 鍔
36 剣先スイッチ入力部
37 カメラ制御部
38 画像受信部
39 剣先周辺画像取得部
310 有効突判定部
311 LED制御部
41 メタルジャケット
42 テープRED
43 剣先画像領域
44 取得した剣先位置
45 剣先周辺画像
57 処理53の結果
58 処理54、処理55の結果
59 処理56の結果
61 メタルジャケット
62 剣先周辺領域
63 ワイン色のジャージ
64 剣先周辺領域
71 メタルジャケット
72 剣先周辺領域
73 ワイン色のジャージ
74 剣先周辺領域
101 メタルジャケット
102 剣先周辺領域
103 ワイン色のジャージ
104 剣先周辺領域
111 剣先周辺領域
112 剣先周辺画像
113 エッジ処理画像
114 画素
115 各画素周辺のウィンドー領域画像
116 縞パターン判定結果
117 全画素縞パターン判定結果
118 有効突判定結果
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11