(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023121730
(43)【公開日】2023-08-31
(54)【発明の名称】ポンプ装置
(51)【国際特許分類】
H02K 5/00 20060101AFI20230824BHJP
H02K 11/33 20160101ALI20230824BHJP
F04C 15/00 20060101ALI20230824BHJP
【FI】
H02K5/00 A
H02K11/33
F04C15/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023007634
(22)【出願日】2023-01-20
(31)【優先権主張番号】202220344134.5
(32)【優先日】2022-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】000220505
【氏名又は名称】ニデックパワートレインシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179969
【弁理士】
【氏名又は名称】駒井 慎二
(72)【発明者】
【氏名】村田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】金物 弘貴
(72)【発明者】
【氏名】呉 楠
【テーマコード(参考)】
3H044
5H605
5H611
【Fターム(参考)】
3H044AA02
3H044BB03
3H044CC11
3H044DD18
5H605AA04
5H605BB07
5H605BB14
5H605BB17
5H605CC01
5H605CC02
5H605CC03
5H605CC09
5H605CC10
5H605DD05
5H605DD09
5H605EA06
5H605EA18
5H605GG06
5H611AA03
5H611BB01
5H611TT01
5H611UA01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】制御基板の振動を抑制するとともに、インバータハウジングの構成部分の汎用性の向上に寄与するポンプ装置を提供する。
【解決手段】ポンプ装置1は、ロータおよびステータを有するモータと、モータの軸方向一方側に設けられ、モータによって駆動されるポンプと、モータの軸方向他方側に設けられ、モータを制御するインバータ回路が設けられた制御基板とを備えたポンプ装置1であって、モータを収容するモータハウジング40と、制御基板を収容するインバータハウジング50とをさらに備え、インバータハウジング50は、モータハウジング40の軸方向他方側に着脱可能な状態で固定され、軸方向に延びて制御基板を外周側から取り囲む筒状をなし、制御基板を固定する本体部51と、本体部51に着脱可能な状態で固定され、本体部51の軸方向他方側の開口を塞ぐ蓋部52とを有し、ポンプ装置1は、本体部51を介して被取付体に固定される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータ及びステータを有するモータと、
前記モータの軸方向一方側に設置され、前記モータにより駆動されるポンプと、
前記モータの軸方向他方側に設置され、前記モータを制御するインバータ回路が設けられた制御基板と、を備えるポンプ装置であって、
前記モータを収容するモータハウジングと、
前記制御基板を収容するインバータハウジングと、をさらに備え、
前記インバータハウジングは、
前記モータハウジングの軸方向他方側に脱着可能な状態に固定され、軸方向に延伸して外周側から前記制御基板を取り囲む筒状となっており、且つ、前記制御基板を固定している本体部と、
前記本体部に脱着可能な状態に固定されるとともに、前記本体部の軸方向他方側の開口を塞ぐ蓋部と
を有し、
前記本体部を介して被取付体に固定されることを特徴とするポンプ装置。
【請求項2】
前記本体部は、外周側へ突出するポンプ装置固定部を有し、
前記ポンプ装置固定部には、第1貫通孔が設けられており、
前記ポンプ装置は、前記第1貫通孔に挿入される第1締結部材を介して被取付体に固定されることを特徴とする請求項1に記載のポンプ装置。
【請求項3】
取付部材をさらに備え、
前記取付部材は、軸方向に延伸する筒状となっており、前記本体部に外嵌され、
前記本体部は、前記取付部材を介して被取付体に固定されることを特徴とする請求項1に記載のポンプ装置。
【請求項4】
前記本体部は、外周側へ突出するポンプ装置固定部を有し、
前記ポンプ装置固定部には、第1貫通孔が設けられており、
前記本体部は、前記第1貫通孔に挿入される第1締結部材を介して前記取付部材に固定され、
前記取付部材は、外周側へ突出する取付部を有し、 前記取付部には、第2貫通孔が設けられており、
前記ポンプ装置は、前記第2貫通孔に挿入される第2締結部材を介して被取付体に固定されることを特徴とする請求項3に記載のポンプ装置。
【請求項5】
前記ポンプ装置固定部は、周方向で間隔を空けて複数設けられており、
前記取付部は、周方向で間隔を空けて複数設けられるとともに、前記ポンプ装置固定部と周方向にずれていることを特徴とする請求項4に記載のポンプ装置。
【請求項6】
前記本体部は、前記モータハウジングと嵌合して接続されていることを特徴とする請求項1に記載のポンプ装置。
【請求項7】
前記モータハウジングの軸方向他方側には、段差部が設けられており、
前記段差部は、軸方向一方側に段差面を有し、
前記本体部の軸方向一方側には、爪部が設けられており、
前記爪部は、軸方向一方側から前記段差面に接触することで、前記モータハウジングと前記本体部とを固定することを特徴とする請求項6に記載のポンプ装置。
【請求項8】
前記爪部は、周方向で複数設けられていることを特徴とする請求項7に記載のポンプ装置。
【請求項9】
前記制御基板は、溶着によって前記本体部に固定されていることを特徴とする請求項1に記載のポンプ装置。
【請求項10】
前記本体部は、軸方向一方側から前記制御基板を支持する支持部を備えることを特徴とする請求項1に記載のポンプ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ロータとステータとを有するモータと、モータの軸方向一方側に設けられ、モータによって駆動されるポンプと、モータの軸方向他方側に設けられ、モータを制御するインバータ回路が設けられた制御基板とを備えるポンプ装置が開示されている。
【0003】
また、上記ポンプ装置は、前記モータを収容するモータハウジングと、前記制御基板を収容し、前記モータハウジングの軸方向他方側に固定されたインバータハウジングとをさらに備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記ポンプ装置は、使用時に軸方向一方側(すなわちモータに対して制御基板とは反対側)が車両等の被取付体に固定されるため、モータの振動等によって制御基板が振動しやすい。
【0006】
また、上記ポンプ装置では、被取付体等によっては、インバータハウジングの形状(通常はインバータハウジングの軸方向他方側の部分の形状)を変更する必要がある場合があり、この場合には、インバータハウジング全体を交換する必要があり、変更コストの上昇を招く。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、制御基板の振動を抑制するとともに、インバータハウジングの構成部分の汎用性を高めることに寄与するポンプ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、ロータおよびステータを有するモータと、前記モータの軸方向一方側に設けられ、前記モータによって駆動されるポンプと、前記モータの軸方向他方側に設けられ、前記モータを制御するインバータ回路が設けられた制御基板とを備えたポンプ装置であって、前記モータを収容するモータハウジングと、前記制御基板を収容するインバータハウジングとをさらに備え、前記インバータハウジングは、前記モータハウジングの軸方向他方側に着脱可能な状態で固定され、軸方向に延びて前記制御基板を外周側から取り囲む筒状をなし、前記制御基板を固定する本体部と、前記本体部に着脱可能な状態で固定され、前記本体部の軸方向他方側の開口を塞ぐ蓋部とを有し、前記本体部を介して被取付体に固定されるポンプ装置を提供する。
【0009】
本発明のポンプ装置によれば、インバータハウジングが、制御基板を固定する本体部を備え、ポンプ装置が本体部を介して被取付体に固定されるので、ポンプ装置が制御基板から離れた部分を介して被取付体に固定される場合と異なり、制御基板の振動の抑制に寄与するとともに、インバータハウジングが、軸方向に延びて制御基板を外周側から取り囲む筒状の本体部と、本体部に着脱可能な状態で固定され、本体部の軸方向他方側の開口を塞ぐ蓋部とを備えるので、被取付体によってインバータハウジングの軸方向他方側部分の形状を変更する必要が生じても、インバータハウジングの蓋部のみを交換すればよく、インバータハウジング全体を交換する必要がなく、インバータハウジングの構成部分の汎用性を高め、変更コストを低減することができる。
【0010】
また、本発明のポンプ装置において、前記本体部は、外周側に突出するポンプ装置固定部を有し、前記ポンプ装置固定部には第1貫通孔が設けられ、前記ポンプ装置は、前記第1貫通孔に挿入された第1締結部材を介して前記被取付体に固定されていることが好ましい。
【0011】
本発明のポンプ装置によれば、本体部は、外周側に突出するポンプ装置固定部を有し、ポンプ装置固定部には第1貫通孔が設けられ、ポンプ装置は、第1貫通孔に挿入された第1締結部材を介して被取付体に固定されるので、ポンプ装置固定部を介して本体部を外部に接続固定することが容易である。
【0012】
また、本発明のポンプ装置は、軸方向に延びる筒状をなし、前記本体部に外嵌された取付部材をさらに備え、前記本体部は、前記取付部材を介して前記被取付体に固定されていることが好ましい。
【0013】
本発明のポンプ装置によれば、軸方向に延びる筒状をなし、本体部に外嵌された取付部材をさらに備え、本体部が取付部材を介して被取付体に固定されているので、取付部材によって本体部を補強することができ、取付部材によってポンプ装置の取付自由度を高めることができる。
【0014】
また、本発明のポンプ装置において、前記本体部は、外周側に突出するポンプ装置固定部を有し、前記ポンプ装置固定部には第1貫通孔が設けられ、前記本体部は、前記第1貫通孔に挿入される第1締結部材を介して前記取付部材に固定され、前記取付部材は、外周側に突出する取付部を有し、前記取付部には第2貫通孔が設けられ、前記ポンプ装置は、前記第2貫通孔に挿入される第2締結部材を介して前記被取付体に固定されることが好ましい。
【0015】
本発明のポンプ装置によれば、本体部が外周側に突出するポンプ装置固定部を有し、ポンプ装置固定部に第1貫通孔が設けられ、本体部が第1貫通孔に挿入される第1締結部材を介して取付部材に固定され、取付部材が外周側に突出する取付部を有し、取付部に第2貫通孔が設けられ、ポンプ装置が第2貫通孔に挿入される第2締結部材を介して被取付体に固定されるので、本体部がポンプ装置固定部を介して取付部材に接続固定されやすくなるとともに、取付部材によって本体部を補強することができ、取付部材によってポンプ装置の取付自由度を向上させることができる。
【0016】
また、本発明のポンプ装置において、前記ポンプ装置固定部は、周方向に間隔をあけて複数設けられ、前記取付部は、周方向に間隔をあけて複数設けられ、前記ポンプ装置固定部と周方向にずれていることが好ましい。
【0017】
本発明のポンプ装置によれば、ポンプ装置固定部が周方向に間隔をあけて複数設けられ、取付部が周方向に間隔をあけて複数設けられ、ポンプ装置固定部と周方向にずれているので、ポンプ装置を被取付体に安定して固定することができる。
【0018】
また、本発明のポンプ装置では、前記本体部は、前記モータハウジングに嵌合接続されていることが好ましい。
【0019】
本発明のポンプ装置によれば、本体部がモータハウジングに嵌合接続されているので、インバータハウジングの本体部とモータハウジングとの組み付け工程を簡略化することができ、組み付け効率を向上させることができる。
【0020】
また、本発明のポンプ装置では、前記モータハウジングの軸方向他方側には、軸方向一方側に段差面を有する段差部が設けられ、前記本体部の軸方向一方側には、前記段差面に軸方向一方側から接触することで前記モータハウジングと前記本体部とを固定する爪部が設けられていることが好ましい。
【0021】
また、本発明のポンプ装置において、前記爪部は、周方向に複数設けられていることが好ましい。
【0022】
本発明のポンプ装置によれば、周方向に複数の爪部が設けられているので、インバータハウジングの本体部をモータハウジングに安定して固定することができる。
【0023】
また、本発明のポンプ装置では、前記制御基板は、前記本体部に溶着により固定されていることが好ましい。
【0024】
また、本発明のポンプ装置において、前記本体部は、前記制御基板を軸方向一方側から支持する支持部を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、被取付体によって形状を変更する必要があっても、汎用性を高め、設計変更によるコストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係るポンプ装置を模式的に示す斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に係るポンプ装置をモータのロータの回転軸線を通る平面で切断した断面を模式的に示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
次に、本発明の実施形態に係るポンプ装置について、
図1及び
図2を参照して説明する。
本発明では、モータ10のロータ11の回転軸線Lが延びる方向と平行な方向を単に「軸方向」と称し、回転軸線Lを中心とする径方向を単に「径方向」と称し、回転軸線Lを中心とする周方向を単に「周方向」と称する。径方向において、回転軸線Lに近づく方向を径方向内側といい、回転軸線Lから離れる方向を径方向外側という。また、「平行な方向」とは、略平行な方向を含む。また、
図1における下側(例えば、実際の下側と一致する)が「軸方向一方側」に相当し、
図1における上側が「軸方向他方側」に相当する。
【0028】
<ポンプ装置の全体構成>
図1に示すポンプ装置1は、例えば車両に搭載可能な電動ポンプである。ポンプ装置1は、車両内部で流体を輸送する。ポンプ装置1によって輸送される流体は、例えばオイルである。オイルは、例えばATF(Automatic Transmission Fluid)である。
【0029】
図2に示すように、ポンプ装置1は、ロータ11およびステータ12を有するモータ10と、モータ10の軸方向一方側L1に設けられ、モータ10によって駆動されるポンプ20と、モータ10の軸方向他方側L2に設けられ、モータ10を制御するインバータ回路が設けられた制御基板30とを備えている。ここで、制御基板30は、全体が例えば円板状であり、厚み方向が軸方向と一致するようにインバータハウジング50内に収容されるとともに、制御基板上に電子部品31が設けられている。
【0030】
また、
図1及び
図2に示すように、ポンプ装置1は、モータ10を収容するモータハウジング40と、制御基板30を収容するインバータハウジング50とをさらに備えている。また、インバータハウジング50は、モータハウジング40の軸方向他方側L2に着脱可能な状態で固定され、軸方向に延びて制御基板30を外周側から取り囲む筒状をなし、制御基板30を固定する本体部51と、本体部51に着脱可能な状態で固定され、本体部51の軸方向他方側L2の開口を塞ぐ蓋部52とを備えている。
【0031】
また、ポンプ装置1は、本体部51を介して、例えば車両等の被取付体(図示せず)に固定される。ここで、
図1および
図2に示すように、ポンプ装置1は、さらに、軸方向に延びる筒状(例えば円筒状)をなして本体部51に嵌合される取付部材60を備えており、本体部51は、取付部材60を介して例えば車両等の被取付体(図示せず)に固定される。
【0032】
また、
図2に示すように、ポンプ装置1は、ポンプ20を収容するポンプハウジング70をさらに備える。
【0033】
<モータの構成>
上述したように、モータ10は、ロータ11とステータ12とを備えている。
【0034】
また、
図2に示すように、ロータ11は、回転軸111と、回転軸111に固定されたロータコア112と、ロータコア112に固定されたロータマグネットとを有する。そして、回転軸111は、モータ10の軸方向に延びており、ロータコア112は、例えばモータ10の軸方向に積層された複数の電磁鋼板からなり、モータ10の軸方向に見たときの中央部に回転軸111が軸方向に貫通する貫通孔が形成されており、ロータマグネットは、例えばロータコア112の外周面に設けられている。
【0035】
また、
図2に示すように、ステータ12は、ロータ11の径方向外側に配置され、ロータ11と径方向に対向している。ステータ12は、ステータコア121と、ステータコア121に絶縁体を介して巻回されたステータコイル122とを有する。また、ステータコア121は、例えば、モータ10の軸方向に積層された複数の電磁鋼板からなり、環状のコアバックおよびコアバックから径方向内側に延びる極歯を有し、極歯の径方向内端が径方向に微小間隙を隔ててロータ11と対向しており、ステータコイル122は、ステータコア121の極歯に絶縁体を介して巻回され、制御基板30と電気的に接続されている。
【0036】
<ポンプの構成>
上述したように、ポンプ20はモータ10によって駆動される。
【0037】
また、
図2に示すように、ポンプ20はロータ11に接続されている。ここで、ポンプ20はトロコイドポンプ構造を有している。ポンプ20は、インナーロータ20aと、インナーロータ20aの径方向外側に位置するアウターロータ20bとを有している。インナーロータ20aとアウターロータ20bはポンプギヤであり、互いに噛み合っている。インナーロータ20a及びアウターロータ20bは、それぞれトロコイド歯形を有している。インナーロータ20aは、回転軸111の軸方向一方側L1の端部に固定されている。これにより、インナーロータ20aが回転軸111とともに回転することでポンプ20が駆動される。
【0038】
<モータハウジングの構成>
上述したように、モータハウジング40は、モータ10を収容している。
【0039】
また、モータハウジング40は、
図2に示すように、有底筒状をなし、軸方向に延びてモータ10を外周側から取り囲む筒部41(例えば円筒状をなす)と、筒部41の軸方向一方側L1の開口を塞ぐ底部42とを有している。また、モータ10のステータ12の外周面は、筒部41の内周面に密着している。また、底部42は、軸方向視の中央部に回転軸111の軸方向中間部を軸方向に貫通させる貫通孔が形成されている。また、底部42には、軸方向他方側L2に延びて回転軸111が軸方向に貫通する筒状の軸受部43が設けられており、この軸受部43は回転軸111を回転可能に支持しており、軸受部43の軸方向他方側L2の開口にはオイルシール80が取り付けられている。
【0040】
<インバータハウジングの構造>
上述したように、インバータハウジング50は、本体部51と蓋部52とを備えている。
【0041】
また、本体部51は、
図1及び
図2に示すように、筒状部511を有している。筒状部511は、軸方向に延びて制御基板30を外周側から取り囲む円筒状をなしており、筒状部511の軸方向一方側L1は、取付部材60によって外周側から囲まれている。ここで、筒状部511の内周面には、制御基板30を軸方向一方側L1から支持する基板支持部5111がさらに設けられている(例えば周方向に間隔をおいて複数設けられている。ただし、これに限定されず、基板支持部5111は環状に形成されていてもよい)。また、基板支持部5111には、軸方向他方側L2に突出して制御基板30を貫通する突出部PTがさらに設けられている。また、制御基板30は、本体部51(例えば基板支持部5111)に溶着により固定されている。
【0042】
また、突出部PTは、制御基板30を本体部51に固定する際の位置決め部としても用いられる。また、制御基板30は、溶着による固定に限らず、ネジ等の固定部材を用いて固定してもよい。例えば、突出部PTにより制御基板30を位置決めしてネジ等の固定部材により固定してもよい。突出部PTを制御基板30の位置決め部として用いることにより、制御基板30を本体部51に安定して固定することができる。
【0043】
また、突出部PTは、制御基板30を本体部51に溶着する際の溶着箇所としても利用される。例えば、制御基板30の面から軸方向他方側L2に突出した突出部PTの部分を熱で溶融させて溶着することにより、部品点数を削減しつつ制御基板30を本体部51に固定することができる。
【0044】
また、
図2に示すように、本体部51は、外周側に突出するポンプ装置固定部512を有し、取付部材60は、外周側に突出し、軸方向視でポンプ装置固定部512と重なるポンプ装置被固定部62を有する。ここで、ポンプ装置固定部512は、筒状部511から外周側に突出しており、ポンプ装置固定部512は、取付部材60のポンプ装置被固定部62と軸方向に接触している。ポンプ装置固定部512には、第1貫通孔TH1が設けられており、ポンプ装置1は、第1貫通孔TH1に挿入された第1締結部材FX1(図示の例ではネジであるが、これに限定されない)を介して、例えば車両等の被取付体に固定される。具体的には、
図1および
図2に示すように、本体部51は、第1貫通孔TH1に挿入されてポンプ装置被固定部62にねじ込まれた第1締結部材FX1を介して取付部材60に固定されている。また、取付部材60は、外周側に突出する取付部61をさらに有し、取付部61には第2貫通孔TH2が設けられており、ポンプ装置1は、第2貫通孔TH2に挿入される第2締結部材(図示せず、例えばネジ等)を介して、例えば車両等の被取付体に固定される。
【0045】
また、
図2に示すように、ポンプ装置固定部512は、周方向に間隔をおいて複数(図示の例では周方向に等間隔に2つ設けられているが、これに限定されるものではない)設けられており、取付部61は、周方向に間隔をおいて複数(図示の例では周方向に略等間隔に3つ設けられているが、これに限定されるものではない)設けられており、ポンプ装置固定部512と周方向にずれている。
【0046】
また、本体部51は、
図2に示すように、モータハウジング40に嵌合接続されている。ここで、モータハウジング40の軸方向他方側L2には段差部411が設けられており、段差部411は軸方向一方側L1に段差面を有し、本体部51(図示の例では筒状部511)の軸方向一方側L1には爪部513が設けられており、爪部513は軸方向一方側L1から上記段差面に接触してモータハウジング40と本体部51とを固定する。また、爪部513は、例えば周方向に等間隔に複数設けられている。
【0047】
また、
図2に示すように、蓋部52の外周縁は、筒状部511の軸方向他方側L2の端部に接触している。そして、蓋部52の軸方向一方側L1には、軸方向他方側に向かって凹む蓋凹部521が設けられており、蓋凹部521には、制御基板30に設けられた電子部品31が収容される(蓋凹部521は、電子部品31の少なくとも一部を収容してもよい)。また、
図1に示すように、蓋部52の軸方向他方側L2には、複数のヒートシンク522が設けられるとともに、外部と接続して制御基板30に電力を供給するためのコネクタ部523が設けられている。
【0048】
<ポンプハウジング70>
上述したように、ポンプハウジング70は、ポンプ20を収容している。
【0049】
また、ポンプハウジング70は、
図1及び
図2に示すように、モータハウジング40の軸方向一方側に一体に形成されたポンプハウジング筒状部71と、ポンプハウジング筒状部71に軸方向一方側L1から取り付けられたポンプハウジング蓋部72とを備えており、ポンプハウジング筒状部71とポンプハウジング蓋部72とで囲んでポンプ20のインナーロータ20a及びアウターロータ20bが収容される作動空間が形成される。また、ポンプハウジング筒状部71は流体排出口(図示せず)を有し、ポンプハウジング蓋部72は流体吸入口721を有する。
【0050】
また、ポンプ装置1の作動時には、ロータ11が回転することによりポンプ20のインナーロータ20a及びアウターロータ20bが回転駆動され、流体がポンプハウジング70の流体吸入口721から上記作動空間に流入し、加圧された後にポンプハウジング70の流体排出口から排出される。
【0051】
<本実施形態の主な効果>
本実施形態のポンプ装置1によれば、インバータハウジング50は、制御基板30を固定する本体部51を備え、ポンプ装置1が本体部51を介して車両等の被取付体に固定されるので、ポンプ装置1が制御基板から離れた部分を介して車両等の被取付体に固定される場合と異なり、制御基板30の振動の抑制に寄与するとともに、インバータハウジング50が、軸方向に延びて制御基板30を外周側から取り囲む筒状をなす本体部51と、本体部51に着脱可能な状態で固定され、本体部51の軸方向他方側L2の開口を塞ぐ蓋部52とを備えているので、車両等の被取付体によってインバータハウジング50の軸方向他方側L2部分の形状を変更する必要が生じても、インバータハウジング50全体を交換することなく、インバータハウジング50の蓋部52のみを交換すればよく、インバータハウジングの構成部分の汎用性を高め、設計変更によるコストを低減することができる。
本実施形態のポンプ装置1によれば、車両等の被取付体によって形状を変更する必要が生じても、全体を交換することなく、構成部分の汎用性を高め、設計変更によるコストを低減することができる。
本実施形態のポンプ装置1によれば、車両等の被取付体によって形状を変更する必要が生じても、全体を交換することなく、インバータハウジングの構成部分の汎用性を高め、設計変更によるコストを低減することができる。
【0052】
上記では図面を参照して本発明を例示的に説明したが,本発明の具体的な実現は上記実施形態に限定されないことは明らかである。
【0053】
例えば、上記実施形態では、ポンプ装置1が取付部材60を備え、取付部材60を介してポンプ装置1が車両等の被取付体に固定されているが、これに限らず、必要に応じて取付部材60を省略してもよい。
【0054】
また、上記実施形態では、本体部51がモータハウジング40に嵌合接続されているが、これに限定されない。例えば、本体部51は、溶接、溶着、一体成形、締結等によりモータハウジング40に固定されてもよい。
【0055】
また、上記実施形態では、制御基板30が溶着により本体部51に固定されているが、これに限らず、制御基板30がネジ等により本体部51に固定されていてもよい。
【0056】
また、上記実施形態では、ポンプハウジング70のポンプハウジング筒状部71がモータハウジング40の軸方向一方側に一体に形成されているが、これに限らず、ポンプハウジング70のポンプハウジング筒状部71がモータハウジング40と別体に形成されていてもよい。
【0057】
本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で、実施形態の各部を自由に組み合わせたり、実施形態の各部を適宜変形したり、省略したりすることができる。
【符号の説明】
【0058】
1 ポンプ装置
10 モータ
11 ロータ
111 回転軸
112 ロータコア
12 ステータ
121 ステータコア
122 ステータコイル
20 ポンプ
20a インナーロータ
20b アウターロータ
30 制御基板
31 電子部品
40 モータハウジング
41 筒部
411 段差部
42 底部
43 軸受部
50 インバータハウジング
51 本体部
511 筒状部
5111 基板支持部
512 ポンプ装置固定部
513 爪部
52 蓋部
521 蓋凹部
522 ヒートシンク
523 コネクタ部
60 取付部材
61 取付部
62 ポンプ装置被固定部
70 ポンプハウジング
71 ポンプハウジング筒状部
72 ポンプハウジング蓋部
721 流体吸入口
80 オイルシール
TH1 第1貫通孔
TH2 第2貫通孔
FX1 第1締結部材
PT 突出部
L 回転軸線
L1 軸方向一方側
L2 軸方向他方側