(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023121731
(43)【公開日】2023-08-31
(54)【発明の名称】燃焼器用ノズル、燃焼器、およびこれを含むガスタービン
(51)【国際特許分類】
F23R 3/28 20060101AFI20230824BHJP
F23R 3/30 20060101ALI20230824BHJP
F23R 3/14 20060101ALI20230824BHJP
F02C 7/232 20060101ALI20230824BHJP
F02C 7/16 20060101ALI20230824BHJP
F02C 7/22 20060101ALI20230824BHJP
F23D 14/22 20060101ALI20230824BHJP
F23D 14/78 20060101ALI20230824BHJP
【FI】
F23R3/28 D
F23R3/28 F
F23R3/30
F23R3/14
F02C7/232 B
F02C7/16 Z
F02C7/22 B
F23D14/22 C
F23D14/78 Z
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023012842
(22)【出願日】2023-01-31
(31)【優先権主張番号】10-2022-0022450
(32)【優先日】2022-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】507002918
【氏名又は名称】ドゥサン エナービリティー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シェルシニョフ、ボリス
【テーマコード(参考)】
3K017
3K019
【Fターム(参考)】
3K017DF05
3K017DF06
3K019AA01
3K019BA01
3K019BB02
3K019BD05
3K019BD11
3K019CA03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本発明は、ノズルのチップ部分を効率的に冷却できる燃焼器用ノズル、燃焼器およびガスタービンを提供する。
【解決手段】本発明の一態様に係る水素を含む燃料を燃焼する燃焼器用ノズルは、空気と燃料が移動する複数のミキシングチューブと、前記ミキシングチューブを挿入して支持するマルチチューブと、前記マルチチューブの内部に形成され、燃料が移動する燃料チューブと、前記マルチチューブの先端に結合されたチッププレートと、前記チッププレートから間隔をおいて離隔して冷却空間を形成する前方プレートとを含むことができる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素を含む燃料を燃焼する燃焼器用ノズルにおいて、
空気と燃料が移動する複数のミキシングチューブと、
前記ミキシングチューブを挿入して支持するマルチチューブと、
前記マルチチューブの内部に形成され、燃料が移動する燃料チューブと、
前記マルチチューブの先端に結合されたチッププレートと、
前記チッププレートから間隔をおいて離隔して冷却空間を形成する前方プレートと、
を含む燃焼器用ノズル。
【請求項2】
前記前方プレートは、
前記燃料チューブに連結されたセンターホールと、
前記センターホールの外側に配置され、燃料が通過する外側ホールとを含む請求項1に記載の燃焼器用ノズル。
【請求項3】
前記マルチチューブには、
後段に配置されたリアプレートと、
前記リアプレートから間隔をおいて離隔して分配空間を形成するマニホールドプレートとが設けられた請求項1に記載の燃焼器用ノズル。
【請求項4】
前記ミキシングチューブには、螺旋方向に延びたミキシングガイドが設けられた請求項1に記載の燃焼器用ノズル。
【請求項5】
前記ミキシングチューブには複数の前記ミキシングガイドが設けられ、
前記ミキシングガイドは、前記ミキシングチューブの内壁に固定されかつ、前記ミキシングチューブの周方向に離隔配置された請求項4に記載の燃焼器用ノズル。
【請求項6】
前記ミキシングガイドは、
螺旋方向に延びた螺旋部と、
前記螺旋部から流入口に向かって突出し、平板からなる案内板とを含む請求項5に記載の燃焼器用ノズル。
【請求項7】
前記ミキシングチューブは、
長手方向一側端部に形成され、空気が流入する前記流入口と、
長手方向他側端部に形成され、燃料と空気とが混合された予備混合燃料が噴射される噴射口と、
外周面に形成され、内部に燃料を噴射する第1噴射ホールとを含む請求項6に記載の燃焼器用ノズル。
【請求項8】
前記案内板には、
燃料が収容されるチャンバと、
燃料が噴射される第2噴射ホールとが形成された請求項6に記載の燃焼器用ノズル。
【請求項9】
前記案内板から前記流入口に向かう部分は、前記ミキシングチューブの内周面に対して傾斜した傾斜面が形成され、
前記第2噴射ホールは、前記傾斜面に形成された請求項8に記載の燃焼器用ノズル。
【請求項10】
前記前方プレートの半径方向中央部分が前記チッププレートとなす第1間隔は、前記前方プレートの半径方向外側部分が前記チッププレートとなす第2間隔よりも小さく形成された請求項1から9のいずれか一項に記載の燃焼器用ノズル。
【請求項11】
前記前方プレートは、半径方向中央から外側へいくほど次第に後方へ突出するように形成された請求項1から9のいずれか一項に記載の燃焼器用ノズル。
【請求項12】
燃料と空気を噴射する複数のノズルを有するバーナと、前記バーナの一側に結合され、前記燃料と前記空気が内部で燃焼され、燃焼されたガスをタービンに伝達するダクト組立体とを含む燃焼器において、
前記ノズルは、
空気と燃料が移動する複数のミキシングチューブと、
前記ミキシングチューブを挿入して支持するマルチチューブと、
前記マルチチューブの内部に形成され、燃料が移動する燃料チューブと、
前記マルチチューブの先端に結合されたチッププレートと、
前記チッププレートから間隔をおいて離隔して冷却空間を形成する前方プレートと、
を含む燃焼器。
【請求項13】
前記前方プレートは、前記燃料チューブに連結されたセンターホールと、
前記センターホールの外側に配置され、燃料が通過する外側ホールとを含む請求項12に記載の燃焼器。
【請求項14】
前記マルチチューブには、後段に配置されたリアプレートと、
前記リアプレートから間隔をおいて離隔して分配空間を形成するマニホールドプレートとが設けられた請求項12または13に記載の燃焼器。
【請求項15】
前記ミキシングチューブには、螺旋方向に延びた複数のミキシングガイドが設けられ、
前記ミキシングガイドは、前記ミキシングチューブの内壁に固定されかつ、前記ミキシングチューブの周方向に離隔配置された請求項12または13に記載の燃焼器。
【請求項16】
前記ミキシングガイドは、
螺旋方向に延びた螺旋部と、
前記螺旋部から流入口に向かって突出し、平板からなる案内板とを含む請求項15に記載の燃焼器。
【請求項17】
前記案内板には、
燃料が収容されるチャンバと、
燃料が噴射される第2噴射ホールとが形成された請求項16に記載の燃焼器。
【請求項18】
外部から流入した空気を圧縮する圧縮機と、前記圧縮機で圧縮された圧縮空気と燃料とを混合して燃焼する燃焼器と、前記燃焼器で燃焼された燃焼ガスによって回転する複数のタービンブレードを含むタービンとを含むガスタービンであって、
前記燃焼器は、燃料と空気を噴射する複数のノズルを有するバーナと、前記バーナの一側に結合され、前記燃料と前記空気が内部で燃焼され、燃焼されたガスを前記タービンに伝達するダクト組立体とを含み、
前記ノズルは、
空気と燃料が移動する複数のミキシングチューブと、
前記ミキシングチューブを挿入して支持するマルチチューブと、
前記マルチチューブの内部に形成され、燃料が移動する燃料チューブと、
前記マルチチューブの先端に結合されたチッププレートと、
前記チッププレートから間隔をおいて離隔して冷却空間を形成する前方プレートと、
を含むガスタービン。
【請求項19】
前記前方プレートは、前記燃料チューブに連結されたセンターホールと、前記センターホールの外側に配置され、燃料が通過する外側ホールとを含む請求項18に記載のガスタービン。
【請求項20】
前記ミキシングチューブには、螺旋方向に延びた複数のミキシングガイドが設けられ、前記ミキシングガイドは、前記ミキシングチューブの内壁に固定されかつ、前記ミキシングチューブの周方向に離隔配置された請求項18または19に記載のガスタービン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼器用ノズル、燃焼器、およびこれを含むガスタービンに関し、より詳しくは、水素を含む燃料を用いる燃焼器用ノズル、燃焼器、およびこれを含むガスタービンに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンは、圧縮機で圧縮された圧縮空気と燃料とを混合して燃焼させ、燃焼で発生した高温のガスでタービンを回転させる動力機関である。ガスタービンは、発電機、航空機、船舶、列車などを駆動するのに用いられる。
【0003】
一般的に、ガスタービンは、圧縮機と、燃焼器と、タービンとを含む。圧縮機は、外部の空気を吸入して圧縮した後、燃焼器に伝達する。圧縮機で圧縮された空気は高圧および高温の状態になる。燃焼器は、圧縮機から流入した圧縮空気と燃料とを混合して燃焼させる。燃焼によって発生した燃焼ガスはタービンに排出される。燃焼ガスによってタービン内部のタービンブレードが回転し、これにより動力が発生する。発生した動力は、発電、機械装置の駆動など多様な分野に使用される。
【0004】
燃料は各燃焼器内に設けられたノズルを通して噴射され、ノズルは気体燃料および液体燃料を噴射することができる。近年は、二酸化炭素の排出を抑制するために、水素燃料または水素を含む燃料の使用が推奨されている。
【0005】
しかし、水素は燃焼速度が速いため、ガスタービン燃焼器でこれらの燃料を燃焼させた場合に、ガスタービン燃焼器内で形成される火炎がガスタービン燃焼器の構造物に接近して加熱し、ガスタービン燃焼器の信頼性で問題を起こす可能性がある。
【0006】
このような問題を解決するために、大韓民国公開特許第10-2020-0027894号などには、マルチチューブを有する燃焼器ノズルが提案されているが、マルチチューブを有するノズルは、スワラが設けられておらず、燃料と空気との均一な混合が難しい問題がある。
【0007】
また、水素を燃焼するガスタービンは、ノズルのチップ部分の劣化を防止するためには、ノズルのチップ部分を効率的に冷却する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記の技術的背景に基づき、本発明は、ノズルのチップ部分を効率的に冷却できる燃焼器用ノズル、燃焼器およびガスタービンを提供する。また、本発明は、燃料と空気とを均一に混合できる燃焼器用ノズル、燃焼器およびガスタービンを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係る水素を含む燃料を燃焼する燃焼器用ノズルは、空気と燃料が移動する複数のミキシングチューブと、前記ミキシングチューブを挿入して支持するマルチチューブと、前記マルチチューブの内部に形成され、燃料が移動する燃料チューブと、前記マルチチューブの先端に結合されたチッププレートと、前記チッププレートから間隔をおいて離隔して冷却空間を形成する前方プレートとを含むことができる。
【0010】
本発明の一態様に係る前記前方プレートは、前記燃料チューブに連結されたセンターホールと、前記センターホールの外側に配置され、燃料が通過する外側ホールとを含むことができる。
【0011】
本発明の一態様に係る前記マルチチューブには、後段に配置されたリアプレートと、前記リアプレートから間隔をおいて離隔して分配空間を形成するマニホールドプレートとが設けられる。
【0012】
本発明の一態様に係る前記ミキシングチューブには、螺旋方向に延びたミキシングガイドが設けられる。
【0013】
本発明の一態様に係る前記ミキシングチューブには複数のミキシングガイドが設けられ、前記ミキシングガイドは、前記ミキシングチューブの内壁に固定されかつ、前記ミキシングチューブの周方向に離隔配置される。
【0014】
本発明の一態様に係る前記ミキシングガイドは、螺旋方向に延びた螺旋部と、前記螺旋部から流入口に向かって突出し、平板からなる案内板とを含むことができる。
【0015】
本発明の一態様に係る前記ミキシングチューブは、長手方向一側端部に形成され、空気が流入する流入口と、長手方向他側端部に形成され、燃料と空気とが混合された予備混合燃料が噴射される噴射口と、外周面に形成され、内部に燃料を噴射する第1噴射ホールとを含むことができる。
【0016】
本発明の一態様に係る前記ミキシングガイドは、前記第1噴射ホールの間に位置することができる。
【0017】
本発明の一態様に係る前記案内板には、燃料が収容されるチャンバと、燃料が噴射される第2噴射ホールとが形成される。
【0018】
本発明の一態様に係る前記案内板から前記流入口に向かう部分は、前記ミキシングチューブの内周面に対して傾斜して形成され、前記第2噴射ホールは、前記傾斜面に形成される。
【0019】
本発明の一態様に係る前記前方プレートの半径方向中央部分がチッププレートとなす第1間隔は、前記前方プレートの半径方向外側部分がチッププレートとなす第2間隔よりも小さく形成される。
【0020】
本発明の一態様に係る前記前方プレートは、半径方向中央から外側へいくほど次第に後方へ突出するように形成される。
【0021】
本発明の一態様に係る燃焼器は、燃料と空気を噴射する複数のノズルを有するバーナと、前記バーナの一側に結合され、前記燃料と前記空気が内部で燃焼され、燃焼されたガスをタービンに伝達するダクト組立体とを含み、前記ノズルは、空気と燃料が移動する複数のミキシングチューブと、前記ミキシングチューブを挿入して支持するマルチチューブと、前記マルチチューブの内部に形成され、燃料が移動する燃料チューブと、前記マルチチューブの先端に結合されたチッププレートと、前記チッププレートから間隔をおいて離隔して冷却空間を形成する前方プレートとを含むことができる。
【0022】
本発明の一態様に係る前記前方プレートは、前記燃料チューブに連結されたセンターホールと、前記センターホールの外側に配置され、燃料が通過する外側ホールとを含むことができる。
【0023】
本発明の一態様に係る前記マルチチューブには、後段に配置されたリアプレートと、前記リアプレートから間隔をおいて離隔して分配空間を形成するマニホールドプレートとが設けられる。
【0024】
本発明の一態様に係る前記ミキシングチューブには、螺旋方向に延びた複数のミキシングガイドが設けられ、前記ミキシングガイドは、前記ミキシングチューブの内壁に固定されかつ、前記ミキシングチューブの周方向に離隔配置される。
【0025】
本発明の一態様に係る前記ミキシングガイドは、螺旋方向に延びた螺旋部と、前記螺旋部から流入口に向かって突出し、平板からなる案内板とを含むことができる。
【0026】
本発明の一態様に係る前記案内板には、燃料が収容されるチャンバと、燃料が噴射される第2噴射ホールとが形成される。
【0027】
本発明の一態様に係るガスタービンは、外部から流入した空気を圧縮する圧縮機と、前記圧縮機で圧縮された圧縮空気と燃料とを混合して燃焼する燃焼器と、前記燃焼器で燃焼された燃焼ガスによって回転する複数のタービンブレードとを含み、前記燃焼器は、燃料と空気を噴射する複数のノズルを有するバーナと、前記バーナの一側に結合され、前記燃料と前記空気が内部で燃焼され、燃焼されたガスをタービンに伝達するダクト組立体とを含み、前記ノズルは、空気と燃料が移動する複数のミキシングチューブと、前記ミキシングチューブを挿入して支持するマルチチューブと、前記マルチチューブの内部に形成され、燃料が移動する燃料チューブと、前記マルチチューブの先端に結合されたチッププレートと、前記チッププレートから間隔をおいて離隔して冷却空間を形成する前方プレートとを含むことができる。
【0028】
本発明の一態様に係る前記前方プレートは、前記燃料チューブに連結されたセンターホールと、前記センターホールの外側に配置され、燃料が通過する外側ホールとを含むことができる。
【0029】
本発明の一態様に係る前記ミキシングチューブには、螺旋方向に延びた複数のミキシングガイドが設けられ、前記ミキシングガイドは、前記ミキシングチューブの内壁に固定されかつ、前記ミキシングチューブの周方向に離隔配置される。
【発明の効果】
【0030】
上記のように、本発明の一態様に係る燃焼器用ノズル、燃焼器およびガスタービンによれば、燃料チューブと、燃料チューブに連結された前方プレートとを含み、チッププレートと前方プレートとの間に冷却空間が形成され、冷却空間に燃料が供給されるので、燃料を用いてノズルのチップ部分を効率的に冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るガスタービンの内部が示される図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係るノズルを長手方向に切断した断面図である。
【
図4】本発明の第1実施形態に係るノズルを後方からみた切開斜視図である。
【
図5】本発明の第1実施形態に係るミキシングガイドを示す断面図である。
【
図6】本発明の第1実施形態に係るミキシングガイドの案内板を示す断面図である。
【
図7】本発明の第2実施形態に係る前方プレートとチッププレートを示す断面図である。
【
図8】本発明の第3実施形態に係る前方プレートとチッププレートを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明は多様な変換が加えられて様々な実施例を有し得るが、特定の実施例を例示して詳細な説明に詳細に説明する。しかし、これは本発明を特定の実施形態について限定しようとするものではなく、本発明の思想および技術範囲に含まれるすべての変換、均等物乃至代替物を含むことが理解されなければならない。
【0033】
本発明で使った用語は単に特定の実施例を説明するために使われたものであり、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は、文脈上明らかに異なって意味しない限り、複数の表現を含む。本発明において、「含む」または「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであって、1つまたはそれ以上の他の特徴や、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものの存在または付加の可能性を予め排除しないことが理解されなければならない。
【0034】
以下、添付した図面を参照して、本発明の好ましい実施例を詳細に説明する。この時、添付した図面において、同一の構成要素はできるだけ同一の符号で表していることに留意する。また、本発明の要旨をあいまいにしうる公知の機能および構成に関する詳細な説明は省略する。同様の理由から、添付図面において、一部の構成要素は誇張または省略されるか、概略的に示された。
【0035】
以下、本発明の第1実施形態に係るガスタービンについて説明する。
【0036】
図1は、本発明の一実施形態に係るガスタービンの内部が示される図であり、
図2は、
図1の燃焼器を示す図である。
【0037】
本実施形態に係るガスタービン1000の熱力学的サイクルは、理想的にはブレイトンサイクル(Brayton cycle)によることができる。ブレイトンサイクルは、等エントロピー圧縮(断熱圧縮)、定圧給熱、等エントロピー膨張(断熱膨張)、定圧放熱につながる4つの過程からなる。すなわち、大気の空気を吸入して高圧に圧縮した後、定圧環境で燃料を燃焼して熱エネルギーを放出し、この高温の燃焼ガスを膨張させて運動エネルギーに変換させた後に、残留エネルギーを含む排ガスを大気中に放出することができる。すなわち、圧縮、加熱、膨張、放熱の4過程でサイクルが行われる。
【0038】
このようなブレイトンサイクルを実現するガスタービン1000は、
図1に示されるように、圧縮機1100と、燃焼器1200と、タービン1300とを含むことができる。以下の説明は
図1を参照するが、本発明の説明は、
図1に例示的に示されたガスタービン1000と同等の構成を有するタービン機関に対しても幅広く適用可能である。
【0039】
図1を参照すれば、ガスタービン1000の圧縮機1100は、外部から空気を吸入して圧縮することができる。圧縮機1100は、圧縮機ブレード1130によって圧縮された圧縮空気を燃焼器1200に供給し、また、ガスタービン1000で冷却が必要な高温領域に冷却用空気を供給することができる。この時、吸入された空気は圧縮機1100で断熱圧縮過程を経るので、圧縮機1100を通過した空気の圧力と温度は上昇する。
【0040】
圧縮機1100は、遠心圧縮機(centrifugal compressors)や軸流圧縮機(axial compressor)で設計されるが、小型ガスタービンでは遠心圧縮機が適用されるのに対し、
図1に示されるような大型ガスタービン1000は、大量の空気を圧縮しなければならないため、多段軸流圧縮機が適用されることが一般的である。この時、多段軸流圧縮機では、圧縮機1100の圧縮機ブレード1130は、ロータディスクの回転により回転して、流入した空気を圧縮しながら圧縮された空気を後段の圧縮機ベーン1140に移動させる。空気は多段に形成された圧縮機ブレード1130を通過しながら次第により高圧に圧縮される。
【0041】
圧縮機ベーン1140は、ハウジング1150の内部に装着され、複数の圧縮機ベーン1140が段を形成して装着できる。圧縮機ベーン1140は、前段の圧縮機ブレード1130から移動した圧縮空気を後段の圧縮機ブレード1130側に案内する。一実施形態において、複数の圧縮機ベーン1140の少なくとも一部は、空気の流入量の調節などのために、定められた範囲内で回転可能に装着できる。
【0042】
圧縮機1100は、タービン1300から出力される動力の一部を用いて駆動できる。このために、
図1に示されるように、圧縮機1100の回転軸とタービン1300の回転軸とは直結できる。大型ガスタービン1000の場合、タービン1300で生産される出力のほぼ半分程度が圧縮機1100を駆動させるのに費やされる。したがって、圧縮機1100の効率を向上させることは、ガスタービン1000の全体効率を向上させるのに直接的な影響を及ぼす。
【0043】
タービン1300は、ロータディスク1310と、ロータディスク1310に放射状に配置される複数のタービンブレードと、タービンベーンとを含む。ロータディスク1310は、略円板形状を有しており、その外周部には複数の溝が形成されている。溝は屈曲面を有するように形成され、溝にタービンブレードとタービンベーンが挿入される。タービンベーンは、回転しないように固定され、タービンブレードを通過した燃焼ガスの流れ方向を案内する。タービンブレードは、燃焼ガスによって回転しながら回転力を生成する。
【0044】
一方、燃焼器1200は、圧縮機1100の出口から供給される圧縮空気を燃料と混合して、等圧燃焼させて高いエネルギーの燃焼ガスを作ることができる。
図2は、ガスタービン1000に適用される燃焼器1200の一例を示す。燃焼器1200は、燃焼器ケーシング1210と、バーナ1220と、ノズル1400と、ダクト組立体1250とを含むことができる。
【0045】
燃焼器ケーシング1210は、複数のバーナ1220を取り囲み、略円形形状からなる。バーナ1220は、圧縮機1100の下流に配置され、環状をなす燃焼器ケーシング1210に沿って配置される。各バーナ1220には複数のノズル1400が備えられ、このノズル1400から噴射される燃料が空気と適切な割合で混合されて燃焼に適した状態をなす。
【0046】
ガスタービン1000にはガス燃料が使用可能であり、特に、水素を含む燃料が使用可能である。燃料は、水素燃料単独、または水素と天然ガスとを含む燃料からなる。
【0047】
バーナ1220とタービン1300との間を連結して高温の燃焼ガスが流動するダクト組立体1250の外面に沿って圧縮空気が流れてノズル1400側に供給され、この過程で高温の燃焼ガスによって加熱されたダクト組立体1250が適切に冷却される。
【0048】
ダクト組立体1250は、ライナ1251と、トランジションピース1252と、流動スリーブ1253とを含むことができる。ダクト組立体1250は、ライナ1251とトランジションピース1252の外を流動スリーブ1253が取り囲む二重構造からなり、圧縮空気は、流動スリーブ1253の内側の環状空間内に浸透してライナ1251とトランジションピース1252を冷却させる。
【0049】
ライナ1251は、燃焼器1200のバーナ1220に連結される管部材であって、ライナ1251内部の空間が燃焼室1240を形成する。ライナ1251の長手方向一側端部は、バーナ1220に結合され、ライナ1251の長手方向他側端部は、トランジションピース1252に結合される。
【0050】
そして、トランジションピース1252は、タービン1300の入口に連結されて、高温の燃焼ガスをタービン1300に誘導する役割を果たす。トランジションピース1252の長手方向一側端部は、ライナ1251と結合され、トランジションピース1252の長手方向他側端部は、タービン1300と結合される。流動スリーブ1253は、ライナ1251とトランジションピース1252を保護する一方、高温の熱気が外部に直接放出されるのを防止する役割を果たす。
【0051】
図3は、本発明の第1実施形態に係るノズルを長手方向に切断した断面図であり、
図4は、本発明の第1実施形態に係るノズルを後方からみた切開斜視図であり、
図5は、本発明の第1実施形態に係るミキシングガイドを示す断面図であり、
図6は、本発明の第1実施形態に係るミキシングガイドの案内板を示す断面図である。
【0052】
図3~
図6を参照して説明すれば、ノズル1400は、空気と燃料が移動する複数のミキシングチューブ1420と、ミキシングチューブ1420を取り囲むマルチチューブ1410と、マルチチューブ1410の内部に形成された燃料チューブ1450と、マルチチューブ1410の先端に結合されたチッププレート1415と、チッププレート1415から間隔をおいて離隔した前方プレート1460とを含むことができる。
【0053】
マルチチューブ1410は、円筒形状からなり、内側に空間が形成される。また、ノズル1400は、マルチチューブ1410に燃料を供給する燃料供給管1430をさらに含むことができる。ここで、燃料は、水素を含むガスからなる。マルチチューブ1410は、水素と空気を微細に噴射することができる。
【0054】
燃料チューブ1450は、マルチチューブ1410の半径方向中央に配置されて、燃料が移動する空間を提供する。燃料チューブ1450の長手方向一側端部は、燃料供給管1430に連結されて燃料が供給され、燃料チューブ1450の長手方向他側端部は、前方プレート1460に連結されて冷却空間CS1に燃料を供給する。
【0055】
チッププレート1415は、マルチチューブ1410の先端に結合されて冷却空間CS1を形成する。チッププレート1415には、複数のミキシングチューブ1420の先端が挿入される。前方プレート1460は、チッププレート1415から間隔をおいて離隔して冷却空間を形成する。前方プレート1460は、マルチチューブ1410の内壁に固定される。
【0056】
前方プレート1460は、燃料チューブ1450が結合されるセンターホール1461と、センターホール1461の外側に配置され、冷却を行った燃料が通過して後方(空気の移動方向を基準として上流側)に移動するように形成された外側ホール1462とを含むことができる。センターホール1461は、前方プレート1460の半径方向中央に配置され、外側ホール1462は、前方プレート1460の外側端部に形成される。外側ホール1462は、前方プレート1460の周りに沿って延びて形成されるか、複数の外側ホール1462が前方プレート1460の周方向に離隔配置されてもよい。
【0057】
これによって、センターホール1461を通して冷却空間CS1に流入した燃料は、チッププレート1415を衝撃して冷却した後に、半径方向外側に移動しながらマルチチューブ1410を冷却し、外側ホール1462を通して後方(空気の移動方向を基準として下流側)に移動することができる。冷却空間CS1の後方には、前方プレート1460によって分離された移動空間FS1が形成され、移動空間FS1において、燃料はミキシングチューブ1420の流入口に向かって移動する。
【0058】
一方、ミキシングチューブ1420内には、分配空間MS1を形成するマニホールドプレート1470が設けられる。マルチチューブ1410の後段にはリアプレート1418が設けられるが、マニホールドプレート1470は、リアプレート1418から間隔をおいて離隔配置される。マニホールドプレート1470には、燃料の移動のための複数のホールが形成される。
【0059】
リアプレート1418は、マニホールドプレート1470との間で分配空間MS1を形成する。燃料は、移動空間FS1から分配空間MS1に移動した後に、ミキシングチューブ1420の内部に噴射される。
【0060】
マルチチューブ1410の内部には、水素ガスを用いていくつかの小さい火炎を形成できるように複数のミキシングチューブ1420が設けられる。複数のミキシングチューブ1420は、マルチチューブ1410内で間隔をおいて離隔配置され、互いに平行に形成される。ミキシングチューブ1420は、円筒形状からなる。
【0061】
ミキシングチューブ1420の前方には、燃料と混合された空気の噴射される噴射口1423が形成され、ミキシングチューブ1420の後方には、空気の流入する流入口1422が形成される。
【0062】
ミキシングチューブ1420には複数の第1噴射ホール1425が形成され、第1噴射ホール1425は、分配空間MS1に連結されてミキシングチューブ1420の内部に燃料を噴射する。第1噴射ホール1425は、ミキシングチューブ1420の半径方向中央に向かって燃料を噴射することができる。
【0063】
ミキシングチューブ1420には、螺旋方向に延びたミキシングガイド1440が設けられるが、ミキシングガイド1440は、第1噴射ホール1425の間に位置することができる。ミキシングガイド1440は、ミキシングチューブ1420の内壁面に固定され、ミキシングチューブ1420の内壁には、複数のミキシングガイド1440がミキシングチューブ1420の周方向に離隔配置される。
【0064】
ミキシングガイド1440は、螺旋方向に延びた螺旋部1441と、螺旋部1441から流入口に向かって突出し、平板からなる案内板1442とを含むことができる。螺旋部1441は、螺旋方向に延びて回転流を誘導し、回転流によって燃料と空気とは均一に混合できる。
【0065】
一方、案内板1442には、燃料が収容されるチャンバ1443と、燃料が噴射される第2噴射ホール1445とが形成される。案内板1442は、平板形状からなり、チャンバ1443は、分配空間MS1に連結されて燃料が供給される。案内板1442から流入口1422に向かう部分は、ミキシングチューブ1420の内周面に対して傾斜した傾斜面1446が形成され、第2噴射ホール1445は、傾斜面1446に形成される。第2噴射ホール1445は、空気が流入する方向と反対方向に燃料を噴射することができ、これによって乱流が誘発されて燃料と空気とが均一に混合できる。
【0066】
以下、本発明の第2実施形態に係るノズルについて説明する。
【0067】
図7は、本発明の第2実施形態に係る前方プレートとチッププレートを示す断面図である。
【0068】
図7を参照して説明すれば、本第2実施形態に係るノズル2400は、前方プレートを除けば、上記の第1実施形態に係るノズルと同一の構造からなるので、同一の構成に関する重複説明は省略する。
【0069】
チッププレート1415は、マルチチューブ1410の先端に結合されて冷却空間CS1を形成する。チッププレート1415には、複数のミキシングチューブ2420の先端が挿入される。前方プレート2460は、チッププレート1415から間隔をおいて離隔して冷却空間CS1を形成する。前方プレート2460とチッププレート1415は、マルチチューブ1410の内壁に固定される。
【0070】
前方プレート2460は、燃料チューブが結合されるセンターホール2461と、センターホール2461の外側に配置され、冷却を行った燃料が通過して後方(空気の移動方向を基準として上流側)に移動するように形成された外側ホール2462とを含むことができる。また、前方プレート2460には、ミキシングチューブ2420が挿入される設置ホール2463が形成される。
【0071】
前方プレート2460の半径方向中央部分がチッププレート1415となす第1間隔G21は、前方プレート2460の半径方向外側部分がチッププレート1415となす第2間隔G22よりも小さく形成される。前方プレート2460は、チッププレート1415に平行な部分と、チッププレート1415に対して後方に傾斜して形成された部分とを含むことができる。
【0072】
これによって、前方プレート2460は、段階的に後方へ突出し、外側で前方プレート2460とチッププレート1415との間の間隔は増加する。中央部分に流入した燃料は加熱されて外側に移動するが、外側部分に収容される燃料の量が増加すれば、外側も燃料によって十分に冷却できる。
【0073】
以下、本発明の第3実施形態に係るノズルについて説明する。
【0074】
図8は、本発明の第3実施形態に係る前方プレートとチッププレートを示す断面図である。
【0075】
図8を参照して説明すれば、本第3実施形態に係るノズルは、前方プレートを除けば、上記の第1実施形態に係るノズルと同一の構造からなるので、同一の構成に関する重複説明は省略する。
【0076】
チッププレート1415は、マルチチューブ1410の先端に結合されて冷却空間CS1を形成する。チッププレート1415には、複数のミキシングチューブの先端が挿入される。前方プレート3460は、チッププレート1415から間隔をおいて離隔して冷却空間CS1を形成する。前方プレート3460とチッププレート1415は、マルチチューブ1410の内壁に固定される。
【0077】
前方プレート3460は、燃料チューブ1450が結合されるセンターホール3461と、センターホール3461の外側に配置され、冷却を行った燃料が通過して後方(空気の移動方向を基準として上流側)に移動するように形成された外側ホール3462とを含むことができる。また、前方プレート3460には、ミキシングチューブが挿入される設置ホール3463が形成される。
【0078】
前方プレート3460の半径方向中央部分がチッププレート1415となす第1間隔G31は、前方プレート3460の半径方向外側部分がチッププレート1415となす第2間隔G32よりも小さく形成される。前方プレート3460は、半径方向中央から外側へいくほど次第に後方へ突出する円錐台形状からなる。
【0079】
これによって、前方プレート3460は、段階的に後方へ突出し、外側で前方プレート3460とチッププレート1415との間の間隔は増加する。中央部分に流入した燃料は加熱されて外側に移動するが、外側部分に収容される燃料の量が増加すれば、外側も燃料によって十分に冷却できる。
【0080】
以上、本発明の一実施例について説明したが、当該技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された本発明の思想を逸脱しない範囲内で、構成要素の付加、変更、削除または追加などによって本発明を多様に修正および変更させることができ、これも本発明の権利範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0081】
1000:ガスタービン
1100:圧縮機
1130:圧縮機ブレード
1140:ベーン
1150:ハウジング
1200:燃焼器
1210:燃焼器ケーシング
1220:バーナ
1240:燃焼室
1400:ノズル
1410:マルチチューブ
1415:チッププレート
1418:リアプレート
1420:ミキシングチューブ
1440:ミキシングガイド
1441:螺旋部
1442:案内板
1443:チャンバ
1450:燃料チューブ
1460、2460、3460:前方プレート
1461:センターホール
1462:外側ホール
1470:マニホールドプレート