(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023121733
(43)【公開日】2023-08-31
(54)【発明の名称】電気スイッチ
(51)【国際特許分類】
H01H 1/14 20060101AFI20230824BHJP
H01H 13/52 20060101ALI20230824BHJP
【FI】
H01H1/14
H01H13/52 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023016757
(22)【出願日】2023-02-07
(31)【優先権主張番号】63/312,061
(32)【優先日】2022-02-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】111144158
(32)【優先日】2022-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】520307104
【氏名又は名称】稜研科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】TMY TECHNOLOGY INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100204490
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 葉子
(72)【発明者】
【氏名】張 書維
【テーマコード(参考)】
5G051
5G206
【Fターム(参考)】
5G051DA01
5G051DA10
5G051HA04
5G206HS04
5G206KS33
5G206KU02
5G206KU24
(57)【要約】
【目的】優れた作動精度、信頼度、および反応時間を有し、且つ最適なインピーダンスおよび/または他の電気特性を有する電気スイッチを提供する。
【解決手段】電気スイッチは、絶縁ベース、絶縁可動部品、少なくとも2つの出力接点、および少なくとも2つの伝送接点を含む。絶縁可動部品は、絶縁ベースに移動可能に配置され、少なくとも2つのスイッチ位置の間で絶縁ベースに相対して作動するのに適している。2つの出力接点は、絶縁ベース上に配置される。2つの伝送接点は、絶縁可動部品上に配置される。絶縁可動部品が2つのスイッチ位置のうちの1つに位置する時、2つの出力接点のうちの1つは、2つの伝送接点のうちの1つと位置を合わせ、2つの出力接点のうちの別の1つは、2つの伝送接点のうちの別の1つからずれる。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁ベースと、
前記絶縁ベースに移動可能に配置され、少なくとも2つのスイッチ位置の間で前記絶縁ベースに相対して作動するのに適した絶縁可動部品と、
前記絶縁ベース上に配置された少なくとも2つの出力接点と、
前記絶縁可動部品上に配置された少なくとも2つの伝送接点と、
を含み、前記絶縁可動部品が前記少なくとも2つのスイッチ位置のうちの1つに位置する時、前記少なくとも2つの出力接点のうちの1つが、前記少なくとも2つの伝送接点のうちの1つと位置を合わせ、前記少なくとも2つの出力接点のうちの別の1つが、前記少なくとも2つの伝送接点のうちの別の1つからずれ、
前記絶縁可動部品が前記少なくとも2つのスイッチ位置のうちの別の1つに位置する時、前記少なくとも2つの出力接点のうちの前記1つが、前記少なくとも2つの伝送接点のうちの前記1つからずれ、前記少なくとも2つの出力接点のうちの前記別の1つが、前記少なくとも2つの伝送接点のうちの前記別の1つと位置を合わせる電気スイッチ。
【請求項2】
前記絶縁ベースが、貫通孔を有し、前記少なくとも2つの出力接点が、前記貫通孔の内壁に位置し、前記絶縁ベースの外側に延伸する請求項1に記載の電気スイッチ。
【請求項3】
前記絶縁可動部品が、前記貫通孔内に移動可能に配置され、前記絶縁ベースに相対して作動する前記絶縁可動部品の方向が、前記貫通孔の軸方向であり、前記少なくとも2つの伝送接点が、前記絶縁可動部品の径方向外側に位置する請求項2に記載の電気スイッチ。
【請求項4】
少なくとも1つの伝送線路を含み、前記少なくとも1つの伝送線路が、前記絶縁可動部品上に配置され、前記少なくとも2つの伝送接点が、前記少なくとも1つの伝送線路上に形成される請求項1に記載の電気スイッチ。
【請求項5】
入力接点をさらに含み、前記入力接点が、前記絶縁ベース上に配置され、前記少なくとも1つの伝送線路に接続された請求項4に記載の電気スイッチ。
【請求項6】
前記少なくとも1つの伝送線路が、渦巻状の線路であり、前記少なくとも2つの伝送接点が、それぞれ前記渦巻状の線路の異なる位置に位置する請求項4に記載の電気スイッチ。
【請求項7】
前記少なくとも1つの伝送線路が、互いに分離した少なくとも2つの直線状の線路を含み、前記少なくとも2つの伝送接点が、それぞれ前記少なくとも2つの直線状の線路上に位置する請求項4に記載の電気スイッチ。
【請求項8】
主接地部をさらに含み、前記主接地部が、前記絶縁可動部品の内側に配置され、前記少なくとも1つの伝送線路が、前記絶縁可動部品の外表面に位置し、前記主接地部から分離された請求項4に記載の電気スイッチ。
【請求項9】
少なくとも1つのサブ接地部をさらに含み、前記少なくとも1つのサブ接地部が、前記絶縁可動部品の外表面に配置されて、前記主接地部に接続され、
前記少なくとも1つの伝送線路の少なくとも2つのセクションの間に間隙があり、前記少なくとも1つのサブ接地部が、前記間隙の中に位置し、前記少なくとも2つのセクションから分離された請求項8に記載の電気スイッチ。
【請求項10】
少なくとも2つの導電ブロックをさらに含み、前記少なくとも2つの導電ブロックが、前記少なくとも1つの伝送線路に配置され、それぞれ前記少なくとも2つの伝送接点を形成した請求項4に記載の電気スイッチ。
【請求項11】
各前記導電ブロックの幾何中心が、前記絶縁可動部品の作動方向において前記少なくとも1つの伝送線路と位置合わせる請求項10に記載の電気スイッチ。
【請求項12】
各前記導電ブロックの幾何中心が、前記絶縁可動部品の作動方向において前記少なくとも1つの伝送線路からずれている請求項10に記載の電気スイッチ。
【請求項13】
各前記導電ブロックが、互いに分離した2つの導電部を含む請求項10に記載の電気スイッチ。
【請求項14】
前記絶縁ベースおよび前記絶縁可動部品の材料が、絶縁材料を含む請求項1に記載の電気スイッチ。
【請求項15】
前記絶縁材料が、低温同時焼成セラミックスを含む請求項14に記載の電気スイッチ。
【請求項16】
駆動素子をさらに含み、前記駆動素子が、前記絶縁ベースに相対して作動するよう前記絶縁可動部品を駆動するのに適した請求項1に記載の電気スイッチ。
【請求項17】
前記駆動素子が、圧電アクチュエータまたはステッピングモータである請求項16に記載の電気スイッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気スイッチに関するものであり、特に、切り替え可能な電気スイッチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
無線周波数(radio frequency, RF)スイッチは、回路に使用され、複数の接点間の導電路を選択的に確立する。現在の無線周波数スイッチの大部分は、機械式スイッチ構造を使用して、導電路を切り替える。しかしながら、複雑な組成により、機械式スイッチ構造は、作動精度、信頼度、および反応時間において性能が悪く、機械式スイッチ構造のほとんどは、金属部品で構成されるため、無線周波数スイッチのインピーダンスおよび/または他の電気性能に悪影響を及ぼしやすい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、優れた作動精度、信頼度、および反応時間を有し、且つ最適なインピーダンスおよび/または他の電気特性を有する電気スイッチを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の電気スイッチは、絶縁ベース、絶縁可動部品、少なくとも2つの出力接点、および少なくとも2つの伝送接点を含む。絶縁可動部品は、絶縁ベースに移動可能に配置され、少なくとも2つのスイッチ位置の間で絶縁ベースに相対して作動するのに適している。2つの出力接点は、絶縁ベース上に配置される。2つの伝送接点は、絶縁可動部品上に配置される。絶縁可動部品が2つのスイッチ位置のうちの1つに位置する時、2つの出力接点のうちの1つは、2つの伝送接点のうちの1つと位置を合わせ、2つの出力接点のうちの別の1つは、2つの伝送接点のうちの別の1つからずれる。絶縁可動部品が2つのスイッチ位置のうちの別の1つに位置する時、出力接点のうちの1つは、2つの伝送接点のうちの1つからずれ、出力接点のうちの別の1つは、2つの伝送接点のうちの別の1つと位置を合わせる。
【0005】
本発明の1つの実施形態において、絶縁ベースは、貫通孔を有し、2つの出力接点は、貫通孔の内壁に位置し、絶縁ベースの外側に延伸する。
【0006】
本発明の1つの実施形態において、絶縁可動部品は、貫通孔内に移動可能に配置され、絶縁ベースに相対して作動する絶縁可動部品の方向は、貫通孔の軸方向であり、2つの伝送接点は、絶縁可動部品の径方向外側に位置する。
【0007】
本発明の1つの実施形態において、電気スイッチは、少なくとも1つの伝送線路を含む。伝送線路は、絶縁可動部品上に配置され、2つの伝送接点は、伝送線路上に形成される。
【0008】
本発明の1つの実施形態において、電気スイッチは、さらに、入力接点を含む。入力接点は、絶縁ベース上に配置され、伝送線路に接続される。
【0009】
本発明の1つの実施形態において、伝送線路は、渦巻状の線路であり、2つの伝送接点は、それぞれ渦巻状の線路の異なる位置に位置する。
【0010】
本発明の1つの実施形態において、伝送線路は、互いに分離した少なくとも2つの直線状の線路を含み、2つの伝送接点は、それぞれ2つの直線状の線路上に位置する。
【0011】
本発明の1つの実施形態において、電気スイッチは、さらに、主接地部を含む。主接地部は、絶縁可動部品の内側に配置され、伝送線路は、絶縁可動部品の外表面に位置し、主接地部から分離される。
【0012】
本発明の1つの実施形態において、電気スイッチは、さらに、少なくとも1つのサブ接地部を含む。サブ接地部は、絶縁可動部品の外表面に配置されて、主接地部に接続され、伝送線路の少なくとも2つのセクションの間には、間隙があり、サブ接地部は、間隙の中に位置し、2つのセクションから分離される。
【0013】
本発明の1つの実施形態において、電気スイッチは、さらに、少なくとも2つの導電ブロックを含む。2つの導電ブロックは、伝送線路に配置され、それぞれ2つの伝送接点を形成する。
【0014】
本発明の1つの実施形態において、各導電ブロックの幾何中心は、絶縁可動部品の作動方向において伝送線路と位置合わせる。
【0015】
本発明の1つの実施形態において、各導電ブロックの幾何中心は、絶縁可動部品の作動方向において伝送線路からずれている。
【0016】
本発明の1つの実施形態において、各導電ブロックは、互いに分離した2つの導電部を含む。
【0017】
本発明の1つの実施形態において、絶縁ベースおよび絶縁可動部品の材料は、絶縁材料を含む。
【0018】
本発明の1つの実施形態において、絶縁材料は、低温同時焼成セラミックス(low-temperature cofired ceramics, LTCC)を含む。
【0019】
本発明の1つの実施形態において、電気スイッチは、さらに、駆動素子を含む。駆動素子は、絶縁ベースに相対して作動するよう絶縁可動部品を駆動するのに適している。
【0020】
本発明の1つの実施形態において、駆動素子は、圧電アクチュエータまたはステッピングモータである。
【発明の効果】
【0021】
以上のように、本発明の電気スイッチは、絶縁可動部品が絶縁ベースに相対して作動するにつれて、絶縁可動部品上の各伝送接点が絶縁ベース上の出力接点と選択的に位置を合わせることによって、導電路を切り替える。機械式スイッチ構造を使用して導電路を切り替える従来の電気スイッチと比較して、本発明の電気スイッチは、単一の絶縁可動部品を絶縁ベースに相対して作動させることにより、作動精度、信頼度、および反応時間において優れた性能を有する。さらに、大部分が金属部品で構成された従来の電気スイッチの機械式スイッチ構造と比較して、本発明の電気スイッチにおける絶縁ベースおよび絶縁可動部品は、非金属材料で作られるため、電気スイッチのインピーダンスおよび/または他の電気性能に悪影響を及ぼさない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
添付図面は、本発明の原理がさらに理解されるために含まれており、本明細書に組み込まれ、且つその一部を構成するものである。図面は、本発明の実施形態を例示しており、説明とともに、本発明の原理を説明する役割を果たしている。
【0023】
【
図1】本発明の1つの実施形態に係る電気スイッチの透視図である。
【
図2】別の視点から見た
図1の電気スイッチの透視図である。
【
図4】下向きに移動した時の
図3の絶縁可動部品を示したものである。
【
図5】下向きに移動した時の
図4の絶縁可動部品を示したものである。
【
図6】下向きに移動した時の
図5の絶縁可動部品を示したものである。
【
図8】
図1の電気スイッチのいくつかの部品のブロック概略図である。
【
図10】本発明の別の実施形態に係る絶縁可動部品の透視図である。
【
図11】本発明の別の実施形態に係る絶縁可動部品の透視図である。
【
図12】出力接点に接続された
図11の伝送線路を示したものである。
【
図13】本発明の別の実施形態に係る伝送線路および導電ブロックの概略図である。
【
図14】本発明の別の実施形態に係る伝送線路および導電ブロックの概略図である。
【
図15】本発明の別の実施形態に係る伝送線路および導電ブロックの概略図である。
【
図16】本発明の別の実施形態に係る絶縁可動部品の透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、本発明の1つの実施形態に係る電気スイッチの透視図であり、軸方向X、Y、およびZを示す。
図2は、別の視点から見た
図1の電気スイッチの透視図である。
図3は、
図1の電気スイッチの断面図であり、その断面図は、
図1の線I-Iに対応する。
図1~
図3を参照すると、本実施形態の電気スイッチ100は、例えば、無線周波数スイッチ、または他の種類の電気スイッチであり、絶縁ベース110、絶縁可動部品120、および複数の出力接点(出力接点130A~130Dで示す)および複数の伝送接点(伝送接点140A~140Dで示す)を含む。絶縁可動部品120は、軸方向Zに沿って絶縁ベース110上に配置される。出力接点130A~130Dは、絶縁ベース110上に配置され、伝送接点140A~140Dは、絶縁可動部品120上に配置される。絶縁可動部品120は、軸方向Zに沿って絶縁ベース110に相対して移動し、複数のスイッチ位置の間で作動するのに適している。本発明は、伝送接点および出力接点の数を限定せず、上述した4つであってもよく、あるいは2つ、3つ、5つ、またはそれ以上であってもよい。
【0025】
図4は、下向きに移動した時の
図3の絶縁可動部品を示したものであり、
図1の線II-IIに対応する。
図5は、下向きに移動した時の
図4の絶縁可動部品を示したものであり、
図1の線I-Iに対応する。
図6は、下向きに移動した時の
図5の絶縁可動部品を示したものであり、
図1の線II-IIに対応する。具体的に説明すると、絶縁可動部品120が
図3に示したスイッチ位置に位置する時、出力接点130Aは、伝送接点140Aと位置を合わせ、出力接点130B~130Dは、それぞれ伝送接点140B~140Dからずれる。絶縁可動部品120が
図3に示したスイッチ位置から
図4に示したスイッチ位置に向かって下向きに移動した時、出力接点130A、130C、および130Dは、それぞれ伝送接点140A、140C、および140Dからずれ、出力接点130Bは、伝送接点140Bと位置を合わせる。絶縁可動部品120が引き続き
図4に示したスイッチ位置から
図5に示したスイッチ位置に向かって下向きに移動した時、出力接点130A、130B、および130Dは、それぞれ伝送接点140A、140B、および140Dからずれ、出力接点130Cは、伝送接点140Cと位置を合わせる。絶縁可動部品120が引き続き
図5に示したスイッチ位置から
図6に示したスイッチ位置に向かって下向きに移動した時、出力接点130A、130B、および130Cは、それぞれ伝送接点140A、140B、および140Cからずれ、出力接点130Dは、伝送接点140Dと位置を合わせる。
図3~
図5において、伝送線路TLの実線で示した部分は、伝送線路TLのこの部分が視線内で断面I-IまたはII-IIにおける絶縁可動部品120に相対して近位側に位置すべきであることを意味するだけで、断面において伝送線路TLの部分を直接観察できることを意味しない。
【0026】
本実施形態において、出力接点130A~130Dは、例えば、軸方向Zにおいて同じ位置に位置し、伝送接点140A~140Dは、例えば、軸方向Zにおいてそれぞれ異なる位置に位置する。そのため、上述したように、絶縁可動部品120が任意のスイッチ位置に位置する時、出力接点130A~130Dのうちの1つだけが伝送接点140A~140Dのうちの対応する1つと位置を合わせ、導電路のスイッチ効果を達成する。別の実施形態において、出力接点130A~130Dが軸方向Zにおいてそれぞれ異なる位置に位置し、伝送接点140A~140Dが軸方向Zにおいて同じ位置に位置してもよく、あるいは、出力接点130A~130Dが軸方向Zにおいてそれぞれ異なる位置に位置し、伝送接点140A~140Dが軸方向Zにおいてそれぞれ異なる位置に位置してもよく、同じ導電路のスイッチ効果を達成することができるが、本発明はこれに限定されない。また、本実施形態の絶縁可動部品120は、上述したように、軸方向Zに沿って絶縁ベース110上にスライド式に配置されてもよく、あるいは、絶縁ベース110上に回転可能に配置して導電路を切り替えるよう変更されてもよく、あるいは、他の適切な方法で絶縁ベース110に相対して作動して導電路を切り替えてもよいが、本発明はこれに限定されない。
【0027】
上述したように、本実施形態の電気スイッチ100は、絶縁可動部品120が絶縁ベース110に相対して変化するにつれて、絶縁可動部品120上の伝送接点140A~140Dが絶縁ベース110上の出力接点130A~130Dと選択的に位置を合わせることによって、導電路を切り替える。本実施形態において、絶縁可動部品120および絶縁ベース110の材料は、例えば、低温同時焼成セラミックス(LTCC)または、他の種類の絶縁材料を含むが、本発明はこれに限定されない。
【0028】
詳しく説明すると、本実施形態において、絶縁ベース110は、貫通孔110aを有し、出力接点130A~130Dは、貫通孔110aの内壁に位置し、絶縁ベース110の外側に延伸する。絶縁可動部品120は、貫通孔110a内に移動可能に配置され、絶縁ベース110に相対して作動する絶縁可動部品120の方向は、貫通孔110aの軸方向であり、伝送接点140A~140Dは、絶縁可動部品120の径方向外側に位置する。また、電気スイッチ100は、さらに、伝送線路TLを含み、伝送線路TLは、絶縁可動部品120上に配置され、伝送接点140A~140Dは、伝送線路TL上に形成される。また、
図7は、
図1の絶縁可動部品の側面図である。伝送線路TLの延伸部TL-Cは、
図4、
図6、および
図7に示すように、絶縁可動部品120の外縁に延伸する。電気スイッチ100は、さらに、入力接点150(
図4および
図6に示す)を含み、入力接点150は、絶縁ベース110上に配置され、伝送線路TLの延伸部TL-Cに接続される。そのため、絶縁可動部品120が
図3~
図6に示したどの位置に移動しても、伝送線路TLは、延伸部TL-Cを介して常に入力接点150に接触する。
図3~
図6に示すように、本実施形態の伝送線路TLは、例えば、渦巻状の線路であり、伝送接点140A~140Dは、それぞれ渦巻状の線路の異なる位置に位置する。
【0029】
本発明は、絶縁可動部品120を作動させる駆動方法を限定しないが、以下、例を挙げて説明する。
図8は、
図1の電気スイッチのいくつかの部品のブロック概略図である。
図8を参照すると、本実施形態の電気スイッチ100は、さらに、駆動素子160を含み、駆動素子160は、絶縁可動部品120に接続され、絶縁ベース110(
図1~
図6に示す)に相対して作動する(例えば、Z軸に沿って移動する、またはZ軸の周りを回転する)よう絶縁可動部品120を駆動するのに適している。駆動素子160は、例えば、圧電アクチュエータ、ステッピングモータ、または他の種類のアクチュエータであるが、本発明はこれに限定されない。
【0030】
図9は、
図1の絶縁可動部品の平面図である。
図9を参照すると、本実施形態において、電気スイッチ100(
図1~
図8に示す)は、さらに、主接地部170を含み、主接地部170は、絶縁可動部品120の内側に配置される。伝送線路TLは、
図3~
図6に示すように、絶縁可動部品120の外表面に位置し、主接地部170から分離される。
【0031】
図10は、本発明の別の実施形態に係る絶縁可動部品の透視図である。
図10に示した本実施形態と上述した実施形態の間の主な相違点は、
図10の電気スイッチが、さらに、サブ接地部180を含むことであり、サブ接地部180は、絶縁可動部品120の外表面に配置されて、主接地部170に内向きに接続され、伝送線路TLの隣接する2つのセクションの間には、間隙Gがあり、サブ接地部180は、間隙Gの中に位置し、伝送線路TLの隣接する2つのセクションから分離される。主接地部170とともに接地機能を提供するだけでなく、サブ接地部180は、伝送線路TLの隣接する2つのセクションの間で遮蔽を提供し、伝送線路TLの隣接する2つのセクションが互いに干渉するのを防ぐこともできる。
【0032】
図11は、本発明の別の実施形態に係る絶縁可動部品の透視図である。
図12は、出力接点に接続された
図11の伝送線路を示したものである。
図11および
図12に示した本実施形態と上述した実施形態の間の主な相違点は、
図11および
図12の電気スイッチが、さらに、複数の導電ブロックBを含むことであり、導電ブロックBは、伝送線路TLに配置され、それぞれ複数の伝送接点(例えば、上述した実施形態の伝送接点140A~140D)を形成する。導電ブロックBは、例えば、矩形体であり、比較的大きな接触面積を提供して、出力接点(
図12では出力接点130Aを例に挙げる)に接触するために使用される。
【0033】
図11および
図12に示した実施形態において、各導電ブロックBは、伝送線路TLの上方に位置するため、各導電ブロックBの幾何中心は、絶縁可動部品120の作動方向(すなわち、軸方向Z)において伝送線路TLからずれている。本発明は、導電ブロックBの配置方法を限定しないが、以下、例を挙げて説明する。
図13は、本発明の別の実施形態に係る伝送線路および導電ブロックの概略図である。
図13に示した本実施形態と上述した実施形態の間の主な相違点は、
図13の導電ブロックBが、伝送線路TLの上方ではなく、伝送線路TLの下方に位置することである。
図14は、本発明の別の実施形態に係る伝送線路および導電ブロックの概略図である。
図14に示した本実施形態と上述した実施形態の間の主な相違点は、
図14の導電ブロックBが、伝送線路TLの延伸方向において比較的広い幅を有することであり、各導電ブロックBの幾何中心は、絶縁可動部品の作動方向において伝送線路TLと位置合わせる。
図15は、本発明の別の実施形態に係る伝送線路および導電ブロックの概略図である。
図15に示した本実施形態と上述した実施形態の間の主な相違点は、
図15の導電ブロックBが、互いに分離した2つの導電部Cを含むことである。
【0034】
また、本発明は、伝送線路の形状を限定しないが、以下、例を挙げて説明する。
図16は、本発明の別の実施形態に係る絶縁可動部品の透視図である。
図16に示した本実施形態と上述した実施形態の間の主な相違点は、
図16の伝送線路TL’が、互いに分離した少なくとも2つの直線状の線路を含むことであり、伝送接点140A~140Dは、それぞれ2つの直線状の線路上に位置し、各直線状の線路の下端は、電気スイッチの入力接点(
図4および
図6に示した入力接点150)に接続するために使用される。別の実施形態において、伝送線路は、絶縁可動部品120が絶縁ベース110に相対して作動するにつれて、各伝送接点140A~140Dが絶縁ベース110上の出力接点130A~130Dと選択的に位置を合わせることができれば、別の形状および数であってもよい。
【0035】
以上のように、本発明の電気スイッチは、絶縁可動部品が絶縁ベースに相対して作動するにつれて、絶縁可動部品上の各伝送接点が絶縁ベース上の出力接点と選択的に位置を合わせることによって、導電路を切り替える。機械式スイッチ構造を使用して導電路を切り替える従来の電気スイッチと比較して、本発明の電気スイッチは、単一の絶縁可動部品を絶縁ベースに相対して作動させることにより、作動精度、信頼度、および反応時間において優れた性能を有する。さらに、大部分が金属部品で構成された従来の電気スイッチの機械式スイッチ構造と比較して、本発明の電気スイッチにおける絶縁ベースおよび絶縁可動部品は、非金属材料で作られるため、電気スイッチのインピーダンスおよび/または他の電気性能に悪影響を及ぼさない。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明の電気スイッチは、無線周波数(RF)スイッチに応用することができる。
【符号の説明】
【0037】
100 電気スイッチ
110 絶縁ベース
110a 貫通孔
120 絶縁可動部品
130A~130D 出力接点
140A~140D 伝送接点
150 入力接点
160 駆動素子
170 主接地部
180 サブ接地部
C 導電部
B 導電ブロック
G 間隙
TL、TL’ 伝送線路
TL-C 延伸部
X、Y、Z 軸方向
【外国語明細書】