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特開2023-121735ガス拡散電極用のアミン官能化銀ナノ粒子
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023121735
(43)【公開日】2023-08-31
(54)【発明の名称】ガス拡散電極用のアミン官能化銀ナノ粒子
(51)【国際特許分類】
   C25B 11/032 20210101AFI20230824BHJP
   C25B 1/04 20210101ALI20230824BHJP
   C25B 1/23 20210101ALI20230824BHJP
   C25B 9/23 20210101ALI20230824BHJP
   C25B 15/023 20210101ALI20230824BHJP
   C25B 11/052 20210101ALI20230824BHJP
   C25B 11/081 20210101ALI20230824BHJP
   C25B 11/065 20210101ALI20230824BHJP
【FI】
C25B11/032
C25B1/04
C25B1/23
C25B9/23
C25B15/023
C25B11/052
C25B11/081
C25B11/065
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023017565
(22)【出願日】2023-02-08
(31)【優先権主張番号】17/676,669
(32)【優先日】2022-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(72)【発明者】
【氏名】ユイチエ、チュー
(72)【発明者】
【氏名】ベンジャミン、ナピック
(72)【発明者】
【氏名】カート、アイ.、ハーフヤード
(72)【発明者】
【氏名】ロバート、クラリッジ
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド、ロートン
(72)【発明者】
【氏名】アトゥーサ、アブドラヒ
【テーマコード(参考)】
4K011
4K021
【Fターム(参考)】
4K011AA04
4K011AA11
4K011AA30
4K011AA68
4K011BA06
4K021AA01
4K021AB25
4K021BB03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】膜電極アセンブリ、及び膜電極アセンブリ用の電極を製作する方法を提供する。
【解決手段】電極を製作する方法は、アミン官能化銀ナノ粒子及び溶媒を含む堆積組成物を調製することと、当該堆積組成物を導電性基材上に堆積させることと、を含む。当該電極は、二酸化炭素を一酸化炭素に変換するためにガス拡散電極内に配置することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極を製作する方法であって、
アミン官能化銀ナノ粒子及び溶媒を含む堆積組成物を調製することと、
前記堆積組成物を導電性基材上に堆積させることと、を含む、方法。
【請求項2】
前記導電性基材上で前記アミン官能化銀ナノ粒子を焼結することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記焼結させることは、約60セルシウス度(℃)~約200℃の温度で行われる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記アミン官能化銀ナノ粒子は、アミン官能基を有する化合物を用いて調製される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記アミン官能基は、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ヘキサデシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ジアミノペンタン、ジアミノヘキサン、ジアミノヘプタン、ジアミノオクタン、ジアミノノナン、ジアミノデカン、ジアミノオクタン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、ジノニルアミン、ジデシルアミン、メチルプロピルアミン、エチルプロピルアミン、プロピルブチルアミン、エチルブチルアミン、エチルペンチルアミン、プロピルペンチルアミン、ブチルペンチルアミン、トリブチルアミン、又はトリヘキシルアミンのうちの少なくとも1つを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記溶媒は、非極性であり、デカリン、トルエン、シクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、フェニルシクロヘキサン、ビシクロヘキシル、キシレン、又はブタノールのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記堆積させることは、
移動可能なプリントヘッドを用いて前記導電性基材上に前記堆積組成物を噴霧することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
電極であって、
導電性基材と、
前記導電性基材の表面上に焼結アミン官能化銀ナノ粒子と、を含む、電極。
【請求項9】
前記導電性基材は、炭素基材を含む、請求項8に記載の電極。
【請求項10】
約95%~約5%のアミンは、アミン官能化銀ナノ粒子の堆積組成物由来の前記焼結アミン官能化銀ナノ粒子中に残存する、請求項8に記載の電極。
【請求項11】
アミン官能化銀ナノ粒子の前記堆積組成物は、噴射可能なインク形態で調製される、請求項10に記載の電極。
【請求項12】
前記焼結アミン官能化銀ナノ粒子は、アミン官能基を含む、請求項8に記載の電極。
【請求項13】
前記アミン官能基は、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ヘキサデシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ジアミノペンタン、ジアミノヘキサン、ジアミノヘプタン、ジアミノオクタン、ジアミノノナン、ジアミノデカン、ジアミノオクタン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、ジノニルアミン、ジデシルアミン、メチルプロピルアミン、エチルプロピルアミン、プロピルブチルアミン、エチルブチルアミン、エチルペンチルアミン、プロピルペンチルアミン、ブチルペンチルアミン、トリブチルアミン、又はトリヘキシルアミンのうちの少なくとも1つを含む、請求項12に記載の電極。
【請求項14】
前記電極は、二酸化炭素を一酸化炭素に変換するためにガス拡散電極内に配置される、請求項8に記載の電極。
【請求項15】
前記電極は、約3.5ボルト未満の過電圧で約60%超のファラデー効率を有する、請求項14に記載の電極。
【請求項16】
前記電極は、約3.5ボルト未満の過電圧で約98%超の選択性を有する、請求項14に記載の電極。
【請求項17】
膜電極アセンブリであって、
導電性基材上にアミン官能化銀ナノ粒子を含むカソードと、
前記カソードに結合されたイオン交換膜と、
前記イオン交換膜に結合されたアノードと、を含む、膜電極アセンブリ。
【請求項18】
前記カソードは、約3.5ボルト未満のセル電位で約25%超のシングルパス変換率を備える、請求項17に記載の膜電極アセンブリ。
【請求項19】
前記カソードは、約3ボルト~約3.5ボルトのセル電位で、約75ミリアンペア/平方センチメートルよりも大きい電流密度を有する、請求項17に記載の膜電極アセンブリ。
【請求項20】
前記カソードは、約3.00ボルトのセル電位で約25%超のエネルギー効率を有する、請求項17に記載の膜電極アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、全般的に、膜電極アセンブリに関し、より詳細には、様々な変換システムにおいて使用されるアミン官能化銀ナノ粒子を有するガス拡散電極に関する。
【背景技術】
【0002】
COのような温室効果ガス(greenhouse gas、GHG)の排出は、地球のオゾン層の破壊及び地球全体の温度上昇を引き起こし、人間の健康、農業、及び水資源に対する悪影響をもたらしている。地球規模の気候変動を緩和するために、世界的な関心がCOの捕捉及び利用(CO2 capture and utilization、CCU)の分野に集中し、COの付加価値化学物質及び合成燃料への電気触媒変換は、魅力的なアプローチの1つである。適切な電気触媒並びに過電圧、反応温度、及び電解質などを含む反応条件を用いて、COは、一酸化炭素(CO)、メタン(CH)、エチレン(C)、ギ酸(HCOOH)、メタノール(CHOH)及びエタノール(COH)などの様々な生成物に電気化学的に変換することができる。
【0003】
現在の段階では、COのCOへの電気化学的変換は、その高い技術的かつ経済的な実現可能性のために、最も有望な反応の1つである。この反応において、合成ガス(CO及びH)は、エネルギー効率的な方法で生成することができ、次いで、フィッシャー・トロプシュ合成プロセスを介して合成炭化水素を生成するための供給原料として使用することができる。
【発明の概要】
【0004】
本明細書に例示される態様によれば、膜電極アセンブリ、及び膜電極アセンブリ用の電極を製作する方法が提供される。実施形態の1つの開示特徴は、アミン官能化銀ナノ粒子及び溶媒を含む堆積組成物を調製することと、当該堆積組成物を導電性基材上に堆積させることと、を含む方法である。
【0005】
実施形態の別の開示特徴は、ガス拡散電極を製作する別の方法である。本方法は、アミン官能化銀ナノ粒子を調製することと、アミン官能化銀ナノ粒子を噴射可能なインク形態で調製することと、アミン官能化銀ナノ粒子を炭素基材上に印刷することと、アミン官能化銀ナノ粒子を炭素基材上で焼結し、3.5ボルト(V)未満の過電圧にて、60%超のファラデー効率、98%超の選択性で、二酸化炭素の一酸化炭素への所望の変換を達成することと、を含む。
【0006】
実施形態の別の開示特徴は、膜電極アセンブリである。本方法は、カソードを印刷することを含み、カソードは、二酸化炭素フローチャンバ内で二酸化炭素を変換する炭素基材上に噴霧コーティングされた焼結アミン官能化銀ナノ粒子を含み、3.5ボルト未満のセル電位で、ファラデー効率は、60%超であり、一酸化炭素の選択性は、98%超であり、イオン交換膜は、カソードに結合され、アノードは、イオン交換膜に結合される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本開示の教示は、以下の添付図面と併せて以下の発明を実施するための形態を考慮することによって容易に理解することができる。
図1】本開示のガス拡散電極を備える例示的な膜電極アセンブリの分解ブロック図である。
図2】アミン官能化銀ナノ粒子を炭素基材上に噴霧し、本開示のガス拡散電極を製作するために使用される例示的なプリンタのブロック図である。
図3】本開示のガス拡散電極を製作するための例示的な方法のフロー図である。
図4】本開示のガス拡散電極を製作するための別の例示的な方法のフロー図である。
図5】焼結あり及び焼結なしのアミン官能化銀ナノ粒子あり並びにアミン官能化銀ナノ粒子なしの異なるガス拡散電極のSEM画像である。
図6】様々な焼結条件についてのファラデー効率対セル電位のグラフである。
図7】様々な焼結条件についてのエネルギー効率対セル電位のグラフである。
図8】様々な焼結条件についての電流密度対セル電位のグラフである。
図9】様々な焼結条件についてのシングルパス変換率対セル電位のグラフである。
図10】様々な焼結条件についての一酸化炭素反応選択性対セル電位のグラフである。
図11】様々な未焼結用途のアミン官能化銀ナノ粒子についてのファラデー効率対セル電位のグラフである。
図12】様々な未焼結用途のアミン官能化銀ナノ粒子についてのエネルギー効率対セル電位のグラフである。
図13】様々な未焼結用途のアミン官能化銀ナノ粒子についての電流密度対セル電位のグラフである。
図14】様々な未焼結用途のアミン官能化銀ナノ粒子についてのシングルパス変換率対セル電位のグラフである。
【0008】
理解を容易にするために、可能な限り、同一の参照番号は、図面に共通している同一の要素を示すために使用されている。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示は、アミン官能化銀ナノ粒子を有する例示的なガス拡散電極及びそれを製作するための方法を広く開示する。上述のように、COの付加価値化学物質及び合成燃料への電気触媒変換を使用するCCUに世界的な関心がある。
【0010】
電気化学変換プロセスの鍵は、高い効率及び選択性、並びに長期安定性を有する電気触媒である。近年、Au、Ag、Zn、Pd、及びGaなどを含む、COをCOに選択的に還元することができる電気触媒の開発において著しい進歩が見られている。すべての候補の中で、銀は、コストが低く、CO生成に対する触媒選択性が高いため、大規模利用が期待できる。Ag系電気触媒に関する広範な研究にもかかわらず、単純で拡張可能かつ費用効率の高い方法で、低減された過電圧にて向上した触媒選択性を備える材料を開発することに課題が残っている。
【0011】
本開示は、COの電気触媒変換のためのガス拡散電極中の電気触媒としてアミン官能化銀ナノ粒子を使用する。ナノ構造化銀触媒は、それらのバルク対応物と比較して改善された性能を示している。なぜなら、それらは、物質輸送の利点、並びにナノ材料のエッジ及びコーナー上のより高い活性部位を提供するからである。ナノ材料の組成、サイズ、形態、多孔性、及び表面改質を調整することによって、ナノ構造化触媒の挙動を特定の用途に合わせて調整することができる。
【0012】
表面改質は、触媒性能を改善するための有効なアプローチの1つである。研究は、機能性分子が過電圧を減少させることができるか、又はCO選択性を改善することができることを示唆しており、例えば、アミンでキャップされたAgナノ粒子は、COOH中間体を安定化させることによって、より良好な触媒性能を示す。
【0013】
そのような電気触媒の膜電極アセンブリ(Membrane Electrode Assembly、MEA)への組み込みは、望ましい製品を得るための別の重要な鍵である。典型的なMEAは、2つのガス拡散層(gas diffusion layer、GDL)と、界面に分散された触媒粒子を有するイオン交換膜と、を含み、その製造は、印刷において利用される様々なロールツーロール製造方法と同様である。CO2変換システムのためのMEAの開発における多大な努力にもかかわらず、低コスト、高標準性能、かつ調整可能な特性を有するMEAを製作することは依然として困難である。
【0014】
本開示は、効率的かつ選択的であり、調整可能な触媒特性を有するアミン官能化銀ナノ粒子電気触媒を使用して、電気化学的還元用のMEAを調製するためのスケーラブルなアプローチを提供する。アミン官能化銀ナノ粒子を合成し、触媒インクに配合し、これを連続印刷/コーティング法によってGDL上に堆積させた。高いファラデー効率及びCOに対する選択性を有するMEAの製作は、比較的低い過電圧下で実証される。ガス拡散電極の電気化学的性能は、アミン修飾AgNPを異なる温度で焼結することによって調整することができる。
【0015】
図1は、本開示のガス拡散電極104を含む例示的な膜電極アセンブリ100を示す。膜電極アセンブリ100は、化合物を異なる望ましい化合物に変換するために使用されるフローセル電気触媒コンバータの一部であってもよい。本開示のガス拡散電極104は、より低いセル電位で非常に効率的である(例えば、変換を行うためにより少ない電力を使用する)スケーラブル電極を提供してもよい。
【0016】
膜電極アセンブリ100によって実行することができる1つの例示的な変換は、二酸化炭素(CO)の一酸化炭素(CO)及び水素ガス(H)への変換である。しかしながら、ガス拡散電極104は、フローセル電気触媒コンバータとの関連で、他の種類の化合物の電気触媒変換のために使用されてもよいことに留意されたい。
【0017】
一実施形態において、膜電極アセンブリ100は、ガス拡散電極104を有するカソード102と、アニオン交換膜106と、酸化イリジウム電極110を有するアノード108と、を含む。一実施形態では、入口112は、カソード102を通してCOを供給してもよく、出口114は、カソード102からCO及びHを取り除いてもよい。入口116は、アノード108を通して電解質(例えば、KHCO、KOH、KClなど)を供給してもよく、出口は、アノード108から副生成物を取り除いてもよい。
【0018】
一実施形態において、基準電圧を印加し、COのCO及びHへの変換を支援してもよい。例えば、セル電位は、電気触媒変換を実行するために、基準電圧を介して膜電極アセンブリ100に印加されてもよい。本明細書で議論される実施例は、2.80ボルト(V)~3.80(V)のセル電位又は過電圧を印加した。
【0019】
一実施形態において、ガス拡散電極104は、アミン官能化ナノ粒子で製作されてもよい。ガス拡散電極104を製作する方法の詳細は、以下で更に詳細に説明される。ガス拡散電極104は、ガス拡散電極104の所望の触媒性能を達成するために、所望の温度(例えば、60セルシウス度(℃)~200℃)で所望の時間にわたってアミン官能化ナノ粒子を焼結することによって製作されてもよい。
【0020】
一実施形態において、所望の触媒性能は、本開示のガス拡散電極104を含むフローセル電気触媒コンバータの所与のセル電位におけるCOからCOへの変換の尺度として定義されてもよい。例えば、ガス拡散電極104は、過電圧又は3.50V未満のセル電位にて、98%超の選択性で60%超のファラデー効率を有してもよい。ガス拡散電極104は、3.50V未満のセル電位で25%超のCOからCOへのシングルパス変換率を有してもよい。ガス拡散電極104は、3.00V~3.50Vのセル電位で75ミリアンペア/平方センチメートル(mA/cm)よりも大きい電流密度を有してもよい。ガス拡散電極104は、3.00Vのセル電位で25%超のエネルギー効率を有してもよい。異なる焼結温度でのガス拡散電極104の様々な性能パラメータの比較が図5図10に示されており、本明細書で提供される実施例を参照して以下で更に詳細に説明される。
【0021】
一実施形態において、イオン交換部材106は、水酸化カリウム(KOH)で活性化され、かつ脱イオン水でリンスされたDioxide Materials製のSustainion X37-50-RTであってもよい。酸化イリジウム電極110は、酸化イリジウム(IrO)でコーティングされた炭素基材であってもよく、触媒は、イオン交換部材106に面しているか、又はイオン交換部材106の方を向いている。
【0022】
一実施形態において、アノード液は、炭酸水素カリウム(KHCO)であってもよい。カソード液フローチャンバは、二酸化炭素フローチャンバによって提供されるCOから変換されたCO及びHを捕捉してもよい。上述のように、膜電極アセンブリは、フローセル電気触媒コンバータシステムにおいて使用されてもよい。アノード液、陽極108、及びイオン交換膜106について様々な例が提供されているが、他の材料が採用されてもよいことに留意されたい。
【0023】
図2は、ガス拡散電極104の製作のために調製されるアミン官能化銀ナノ粒子208を噴霧するために使用することができる例示的なプリンタ200のブロック図を示す。一実施形態において、アミン官能化銀ナノ粒子208は、酢酸銀を、アミン官能基を有する化合物と混合することによって調製してもよい。官能基は、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ヘキサデシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ジアミノペンタン、ジアミノヘキサン、ジアミノヘプタン、ジアミノオクタン、ジアミノノナン、ジアミノデカン、ジアミノオクタン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、ジノニルアミン、ジデシルアミン、メチルプロピルアミン、エチルプロピルアミン、プロピルブチルアミン、エチルブチルアミン、エチルペンチルアミン、プロピルペンチルアミン、ブチルペンチルアミン、トリブチルアミン、トリヘキシルアミン、又はこれらの任意の組み合わせの混合物のうちの少なくとも1つを含んでもよい。
【0024】
一実施形態において、アミン官能化銀ナノ粒子208は、ドデシルアミンを用いて調製してもよい。以下の実施例1は、ドデシルアミンを有するアミン官能化銀ナノ粒子208の例を記載する。
【0025】
実施例1:
溶融ドデシルアミン(222.39グラム(g)、1.1997mol)を、オーバーヘッド撹拌システム、温度計、及びアルゴン(Ar)ラインを備えた1リットル(L)の3つ口丸底フラスコに添加した。反応フラスコを35セルシウス度(℃)の水浴中に浸漬し、撹拌を毎分300回転(RPM)に設定した。15ミリリットル(mL)のメタノールをフラスコに加え、続いて75mLのデカリンを加えた。次いで、フェニルヒドラジン(16.2g、0.1498mol)を撹拌しながら添加し、温度を35℃で安定させた。反応温度を35~37℃に維持しながら、酢酸銀粉末(50g、0.2996mol)を混合物にゆっくり加えた。酢酸銀を添加している間、撹拌を500RPMまでゆっくりと上昇させた。酢酸銀をすべて添加したら、反応物を40℃にし、1時間撹拌した。
【0026】
1時間後、375mLのメタノールを加え、10分間撹拌した。沈殿物を、2つの濾過媒体(底部にWhatman934AHガラス繊維紙、上部にWhatman#54濾紙)を加えたブフナー漏斗で濾過した。濾過により青色のウェットケーキを得て、これを125mLのメタノール中で10分間再スラリー化し、濾過した。洗浄を更に1回繰り返し、真空下で10分間乾燥させて、青灰色の銀ナノ粒子(AgNP)ウェットケーキ(33.75g)を得た。電気泳動光散乱(Electrophoretic Light Scattering、ELS)による粒径を測定したところ、より大きく、Zave:52.9ナノメートル(nm)、Zave(一次分布):11.2nm、D(1,0):9.3nmであった。
【0027】
次いで、アミン官能化銀ナノ粒子208は、中央処理装置(central processing unit、CPU)206(プロセッサ又はコントローラとも呼ばれる)の制御下にあるスプレーノズル204を備えるプリントヘッド202によって分配することができるインク形態に調製され得る。プリントヘッド202は、基材210の表面にわたってアミン官能化銀ナノ粒子208を分配するために、x-y座標系214に沿って移動してもよい。実施例2及び実施例3は、アミン官能化銀ナノ粒子208がインク形態に調製される方法の例を説明する。
【0028】
実施例2(デカリン):
134.70gのデカリンを、P4インペラを備えたオーバーヘッド撹拌器を取り付けた250mLビーカーに添加した。上述の実施例1で作製した20.4gのAgNPをデカリンに添加した。インク上に一定流量のアルゴンを流しながら、混合物を400RPMで4時間撹拌した。4時間後、インクを褐色瓶に入れ、アルゴンでパージした。電気泳動光散乱(ELS)による粒径を測定したところ、より大きく、Zave:92.5nm、Zave(一次分布):10.3nm、D(1,0):8.6nmであった。
【0029】
実施例3(トルエン):
手順は、使用した溶媒の種類を除いて、上述の実施例2と同じであった。例えば、デカリンを同量のトルエンで置き換えた。電気泳動光散乱(ELS)による粒径を測定したところ、より大きく、Zave:280.3nm、Zave(一次分布):10.4nm、D(1,0):8.8nmであった。実施例2及び実施例3によって配合された両方のインクは、均質であり、6か月にわたって非常に安定していた。
【0030】
異なる溶媒を用いたいくつかの実施例が上に提供されているが、他の非極性溶媒を使用して、アミン官能化銀ナノ粒子208のインク形態を調製することができることに留意されたい。他の非極性溶媒の例としては、シクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、フェニルシクロヘキサン、ビシクロヘキシル、キシレン、ブタノールなどを挙げることができる。
【0031】
次いで、インク形態のアミン官能化銀ナノ粒子208を基材210上に印刷してもよい。基材210は、導電性基材であってもよい。例えば、基材210は、炭素基材であってもよい。アミン官能化銀ナノ粒子208は、インク形態のアミン官能化銀ナノ粒子208を基材210に噴霧することによって印刷してもよい。
【0032】
一例では、インク形態のアミン官能化銀ナノ粒子208を、窒素流ガスを用いて、音速ヘッドガス拡散層基材から30ミリメートル(mm)のスタンドオフ距離で、毎時0.17立方メートル(m)吐出で34キロパスカル(kPa)で、超音波スプレーコーターを用いてスプレーコーティングした。超音波処理電力は1.5ワット(W)であり、シリンジポンプを介して毎分0.3ミリリットル(mL/分)のインク吐出を伴う円錐渦吐出パターンであった。固定超音波(例えば、Sonotek-Vortex)プリントヘッドを備えるX-Yボールスクリューステージを介して印刷を行った。プリントヘッドは、毎秒25mm(mm/秒)の線速度で、間に5mmの間隔ギャップを有する12本のラインの蛇行経路からなる60mm×60mmのゾーンであった。
【0033】
インク形態のアミン官能化銀ナノ粒子208が基材210上に印刷された後、基材210上のアミン官能化銀ナノ粒子208を焼結し、所望の触媒性能特性を有するガス拡散電極104を製作してもよい。例えば、所望の触媒性能特性を制御するために、焼結を実施する温度及び時間を使用してもよい。
【0034】
一実施形態において、アミン官能化銀ナノ粒子208を焼結することにより、アミン官能化銀ナノ粒子208を互いに融合させてもよい。しかしながら、いくつかの実施形態において、焼結後に残る別個のナノ粒子が依然として存在し得る。「焼結アミン官能化銀ナノ粒子」という語句は、依然として別個のナノ粒子が存在する実施形態、及びナノ粒子の一部又は全部が焼結後に融合した実施形態を包含する。
【0035】
一実施形態において、アミン官能化銀ナノ粒子208を焼結することにより、アミンの大部分を除去することもできるが、アミンの一部が残る場合がある。例えば、アミン官能化銀ナノ粒子208を焼結することにより、約95%~約5%のアミンが焼結後に残り得る。一例では、約50%~約5%のアミンが焼結後に残り得る。一例では、約10%~約5%のアミンが焼結後に残り得る。
【0036】
一例では、4つの異なるガス拡散電極104を調製した。第1の電極は、アミン官能化銀ナノ粒子208を5回通過させ、焼結を受けなかった。第2の電極は、アミン官能化銀ナノ粒子208を5回通過させ、60℃で1時間焼結された。第3の電極は、アミン官能化銀ナノ粒子208を5回通過させ、120℃で1時間焼結された。第4の電極は、アミン官能化銀ナノ粒子208を5回通過させ、200℃で1時間焼結された。図5図14は、異なる温度での焼結による異なる製作された電極の画像比較及び各電極の比較性能を示す。マルチガスクリップ(multi-gas clip、mGC)測定装置を使用して、変換前後のガス濃度を測定し、図6図14に示す電気化学的性能を計算した。
【0037】
図5図5A図5B、及び図5Cを含む)は、異なる種類の電極の走査型電子顕微鏡(scanning electron microscope、SEM)画像を示す。例えば、SEM画像502は、アミン官能化銀ナノ粒子を有さないガス拡散電極を示す。SEM画像504は、焼結されていないアミン官能化銀ナノ粒子を有するガス拡散電極を示す。SEM画像506は、アミン官能化銀ナノ粒子を有し、60℃で1時間焼結されたガス拡散電極を示す。SEM画像508は、アミン官能化銀ナノ粒子を有し、120℃で1時間焼結されたガス拡散電極を示す。SEM画像510は、アミン官能化銀ナノ粒子を有し、200℃で1時間焼結されたガス拡散電極を示す。SEM画像506、508、及び510は、本明細書に記載のガス拡散電極104の例を示してもよい。
【0038】
SEM画像504、506、508及び510の明るい点は、炭素基材全体に分布したアミン官能化銀ナノ粒子を示す。SEM画像504、506、508、及び510は、試料表面上のより効率的な電子移動に起因して、より高い分解能を示すので、炭素基材の導電率は、焼結温度の上昇とともに増加し得る。粒径は、焼結によって変化しないようであり、これは、粒子がまばらに分布しており、アミン官能化銀ナノ粒子が互いに融合する機会がほとんどないという事実によって説明できることに留意されたい。
【0039】
図6は、異なる焼結条件での上述の4つの例示的な電極についてのファラデー効率対セル電位のグラフ600を示す。ファラデー効率は、所望の電気化学反応に関与する特定の電子効率の尺度である。グラフ600に示されるように、一酸化炭素に対するファラデー選択性は、3.0V~3.5Vの電圧領域で試験した120℃で焼結された第3の電極で最も高いことが見出された。しかしながら、すべての電極は、60%超のファラデー効率を示し、いくつかは70%を超えた。
【0040】
図7は、異なる焼結条件における上述の4つの例示的な電極のエネルギー効率対セル電位のグラフ700を示す。エネルギー効率は、電気化学変換プロセスの真のエネルギー効率の尺度である。これはファラデー効率とセル過電圧との乗算によって行われ、実際のエネルギー入力が得られる。
【0041】
グラフ700は、最高性能の電極が、120℃で焼結された第3の電極であったことを示す。すべての電極は、3.0Vのセル電位で25%超のエネルギー効率を示した。すべての電極は、より高い電位で(例えば、セル電位を3.0Vから3.5Vに増加させると)エネルギー効率の低下を示した。
【0042】
図8は、異なる焼結条件で上述した4つの例示的な電極についての、mA/cm単位の電流密度対セル電位のグラフ800を示す。電流密度は、セルに印加することができる電荷量の尺度であり、最大スループット又は変換率に直接関連する。これは、CO電気分解の規模拡大経済性を考慮する際に電流密度を重要な因子にする。
【0043】
グラフ800に示されるこれらの測定値は、より高い焼結温度と増加した電流密度との間の正の相関を強調した。未焼結材料は、3.0~3.5Vの範囲で最も低い電流密度を示し、これはおそらく、焼結デバイスよりも低い表面導電率に起因する。同様に、200℃で焼結された試料電極の高い電流密度は、アミン官能化銀ナノ粒子が炭素基材上に融合してより良好な接触を作り出すので、そのより高い導電率に相関させることができる。すべての電極は、3.0V~3.5Vのセル電位で75mA/cmよりも大きい電流密度を示した。
【0044】
図9は、異なる焼結条件での上述の4つの例示的な電極についてのシングルパス変換率対セル電位のグラフ900を示す。シングルパス変換率は、変換システムの規模拡大経済性にしばしば関連する性能測定基準である。この場合、出口のCO流量が測定され、入口のCOのモル変換率を計算するために使用される。
【0045】
焼結電極の測定は、より高い焼結温度でのシングルパス変換の増加を示した。上記のグラフ800に示された電流密度の結果と同様に、最も低いシングルパス変換は、未焼結電極で測定された。すべての電極は、3.0V~3.5Vのセル電位で20%超のシングルパス変換率を示した。いくつかの電極は、35%もの高いシングルパス変換率を示した。
【0046】
図10は、異なる焼結条件における上述の4つの例示的な電極についてのCO反応選択性対セル電位のグラフ1000を示す。CO反応選択性は、セル動作中に生成されるHに対するCOのモル比によって定量化される。グラフ1000で示されるように、CO選択性は、概して、より低い電位の約3.0Vで非常に高く、4つすべてのデバイスについて98%超に達する。印加電圧の増加に伴い、すべてのデバイスについて選択性が減少する傾向があるが、未焼結デバイス及び200℃で焼結したデバイスは、最も減少した。これは、より高いセル電位が水素発生を促進し、したがって、CO反応選択性を低下させるためであり得る。60℃及び120℃で焼結されたデバイスが電圧変化に対して高い耐性を示したことは注目に値し、これは、高電圧においてさえ、それらがCOをCOに選択的に還元することができることを意味する。
【0047】
様々な電極の触媒性能特性の評価に基づいて、120℃で焼結された第3の電極が最良の全体的な性能を有することがわかった。120℃で焼結された第3の電極は、ファラデー効率及びエネルギー効率を犠牲にすることなく、改善された電流密度、シングルパス変換率、及びCO反応選択性を示した。しかしながら、60℃~200℃の温度で焼結された例示的な電極のいずれも、上述の膜電極アセンブリ100で使用されるガス拡散電極104として改善された性能を提供したことに留意されたい。
【0048】
しかしながら、焼結は、任意選択の工程であることに留意すべきである。アミン官能化銀ナノ粒子208は、焼結することなくガス拡散電極において使用してもよい。図11図14は、様々な未焼結用途のアミン官能化銀ナノ粒子208を有する電極の性能の様々なグラフ1100、1200、1300、及び1400を示す。グラフ1100、1200、1300、及び1400において、未焼結アミン官能化銀ナノ粒子208を有する電極のファラデー効率、エネルギー効率、電流密度、及び変換率は、焼結アミン官能化銀ナノ粒子208を有する電極とほぼ同じくらい良好であり得ることがわかる。
【0049】
図3及び図4は、それぞれ、本開示の電極を製作するための例示的な方法300及び方法400のフロー図を示す。一実施形態において、方法300及び方法400のうちの1つ以上のブロックは、中央コントローラ又はプロセッサ(例えば、プリンタ200)の制御下で、若しくは本明細書に記載される種々の化合物を調製するために手動で行われる工程と組み合わせて、種々のツール又は機械によって行われてもよい。
【0050】
図3の方法300を参照すると、ブロック302において、方法300は開始する。ブロック304において、方法300は、アミン官能化銀ナノ粒子及び溶媒を含む堆積組成物を調製する。
【0051】
一実施形態において、アミン官能化銀ナノ粒子は、1~70重量パーセントの銀を有する。一例では、アミン官能化銀ナノ粒子は、10~25重量パーセントの銀を含むことができる。
【0052】
一実施形態において、アミン官能化銀ナノ粒子は、酢酸銀を、アミン官能基を有する化合物と混合することによって調製してもよい。一実施形態において、アミン官能基は、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ヘキサデシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ジアミノペンタン、ジアミノヘキサン、ジアミノヘプタン、ジアミノオクタン、ジアミノノナン、ジアミノデカン、ジアミノオクタン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、ジノニルアミン、ジデシルアミン、メチルプロピルアミン、エチルプロピルアミン、プロピルブチルアミン、エチルブチルアミン、エチルペンチルアミン、プロピルペンチルアミン、ブチルペンチルアミン、トリブチルアミン、トリヘキシルアミン、又はこれらの任意の組み合わせのうちの少なくとも1つであってもよい。一実施形態において、アミン官能化銀ナノ粒子は、実施例1で上述したように、酢酸銀をドデシルアミンと混合することによって調製してもよい。
【0053】
一実施形態において、溶媒は、非極性溶媒であり得る。アミン官能化銀ナノ粒子を非極性溶媒と混合し、アミン官能化銀ナノ粒子の噴射可能なインク形態を形成してもよい。一実施形態において、アミン官能化銀ナノ粒子は、プリントヘッドによって制御されるスプレーノズルを介して印刷することができる噴射可能なインクとして調製してもよい。非極性溶媒は、デカリン、トルエン、シクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、フェニルシクロヘキサン、ビシクロヘキシル、キシレン、ブタノールなどのうちの少なくとも1つを含んでもよい。噴射可能なインクは、実施例2で上述したようにデカリンを用いて、又は実施例3で上述したようにトルエンを用いて配合することができる。
【0054】
ブロック306において、方法300は、導電性基材上に堆積組成物を堆積させる。例えば、アミン官能化銀ナノ粒子の堆積組成物は、導電性基材(例えば、炭素基材)上に印刷することができる。例えば、アミン官能化銀ナノ粒子は、可動プリントヘッドを用いて導電性基材上に噴霧することができる。
【0055】
一実施形態において、炭素基材上のアミン官能化銀ナノ粒子を焼結し、電極の性能を更に調整することができる。例えば、炭素基材上のアミン官能化銀ナノ粒子は、ガス拡散電極の所望の触媒性能を達成するために、60セルシウス度(℃)~200℃の温度で焼結することができる。例えば、アミン官能化銀ナノ粒子は、60℃、120℃、200℃などの温度で焼結することができる。上記のように、アミン官能化銀ナノ粒子を炭素基材上に焼結することによって製作されたガス拡散電極は、過電圧又は3.5V未満のセル電位で98%超の選択性で60%超のファラデー効率を提供してもよい。
【0056】
一実施形態において、ガス拡散電極は、フローセル電気触媒コンバータ内に配置される膜アセンブリ電極の一部として組み立てられてもよい。ガス拡散電極は、上述のように、COのCO及びHへの変換を行ってもよい。ブロック308において、方法300は終了する。
【0057】
図4の方法400を参照すると、ブロック402において、方法400は開始する。ブロック404において、方法400は、アミン官能化銀ナノ粒子を調製する。一実施形態において、アミン官能化銀ナノ粒子は、酢酸銀をフェニルヒドラジン(phenylhdrazine)、メタノール、デカリン、及びドデシルアミンの混合物と混合することによって調製してもよい。酢酸銀粉末、フェニルヒドラジン、メタノール、デカリン、及びドデシルアミンの混合物を加熱してもよい。次いで、メタノールを添加して、アミン官能化銀ナノ粒子を沈殿させてもよい。調製の詳細は、上の実施例1に記載されている。
【0058】
ブロック406において、方法400は、噴射可能なインク形態のアミン官能化銀ナノ粒子を調製する。例えば、アミン官能化銀ナノ粒子は、一定流量のアルゴン下で撹拌しながらデカリン又はトルエンと混合してもよい。デカリンを用いて噴射可能なインクを調製する詳細は、上の実施例2に記載されている。トルエンを用いて噴射可能なインクを調製する詳細は、上の実施例3に記載されている。
【0059】
ブロック408において、方法400は、アミン官能化銀ナノ粒子を炭素基材上に印刷する。例えば、噴射可能なインクとして調製されたアミン官能化銀ナノ粒子は、プリントヘッドによって制御されるスプレーノズルを介して蛇行経路212で、窒素流ガスを用いて炭素基材上に印刷又は噴霧することができる。
【0060】
ブロック410において、方法400は、炭素基材上のアミン官能化銀ナノ粒子を焼結し、3.5ボルト(V)未満の過電圧で、60%超のファラデー効率、98%超の選択性で、二酸化炭素の一酸化炭素への所望の変換を達成する。例えば、アミン官能化銀ナノ粒子は、60℃、120℃、200℃などの温度で1時間焼結することができる。
【0061】
一実施形態において、ガス拡散電極は、フローセル電気触媒コンバータ内に配置される膜アセンブリ電極の一部として組み立てられてもよい。ガス拡散電極は、上述のように、COのCO及びHへの変換を行ってもよい。ブロック412において、方法400は終了する。
【0062】
上記で開示されたものの変形、並びに他の特徴及び機能、又はこれらの代替物が、多くの他の異なるシステム又は用途に組み合わされ得ることは、理解されるであろう。様々な現在予期されていない、又は先行例のない代替物、修正、変形、又は改善が、その後に当業者によってなされてもよく、それらも以下の特許請求の範囲によって包含されることを意図している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14