(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023121743
(43)【公開日】2023-08-31
(54)【発明の名称】子供用シート及び子供キャリア
(51)【国際特許分類】
B62B 9/24 20060101AFI20230824BHJP
B60N 2/28 20060101ALI20230824BHJP
A47D 1/00 20060101ALI20230824BHJP
【FI】
B62B9/24 Z
B60N2/28
A47D1/00
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023024355
(22)【出願日】2023-02-20
(31)【優先権主張番号】202210158379.3
(32)【優先日】2022-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】517042092
【氏名又は名称】ワンダーランド スイツァーランド アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】李 文豪
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼ 波
(72)【発明者】
【氏名】馮 軍▲靜▼
【テーマコード(参考)】
3B087
3D051
【Fターム(参考)】
3B087CE07
3D051CA08
3D051CA17
(57)【要約】
【課題】子供用シート及びそれを備える子供キャリアを提供する。
【解決手段】本発明は、子供用シート及び子供キャリアに関する。子供用シートは、座席クッションと、股ベルトアセンブリと、股バックル具と、を備え、前記座席クッションは股ベルト連結部を備え、前記股ベルトアセンブリと前記股ベルト連結部とが連結され、前記股バックル具と前記股ベルトアセンブリとは、前記股バックル具と前記股ベルト連結部との距離の変更が可能になるように、位置調整可能に連結されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
子供用シートであって、
座席クッションと、股ベルトアセンブリと、股バックル具と、を備え、
前記座席クッションは股ベルト連結部を有し、
前記股ベルトアセンブリと前記股ベルト連結部とが連結され、
前記股バックル具と前記股ベルトアセンブリとは、前記股バックル具と前記股ベルト連結部との距離の変更が可能になるように、位置調整可能に連結されている
ことを特徴とする子供用シート。
【請求項2】
前記股ベルトアセンブリは、
前記股ベルト連結部に連結される第1股ベルトカバーと、
前記第1股ベルトカバーに連結される調整ベルトと、を備え、
前記股バックル具は、前記調整ベルトに位置調整可能に連結されている
ことを特徴とする請求項1に記載の子供用シート。
【請求項3】
前記調整ベルトは、前記第1股ベルトカバーの縦方向に沿って配置され、且つ前記調整ベルトの第1端と第2端とはそれぞれ前記第1股ベルトカバーに連結され、
前記股バックル具は、前記調整ベルトに位置調整可能に取り付けられる調整バックル部を備える
ことを特徴とする請求項2に記載の子供用シート。
【請求項4】
前記調整バックル部は、取り付け孔と、前記取り付け孔内に間隔をあけて配置される2つのクロスバーと、を備え、
前記2つのクロスバーにより、前記取り付け孔は第1穿孔、第2穿孔、及び第3穿孔に分割され、
前記調整ベルトは、前記第1穿孔、前記第2穿孔、及び前記第3穿孔を通している
ことを特徴とする請求項3に記載の子供用シート。
【請求項5】
前記股バックル具は連結孔を備え、
前記調整ベルトの第1端は前記第1股ベルトカバーに連結され、前記調整ベルトの第2端は前記連結孔を通した後、折り返して前記調整ベルトの適切な位置に連結される
ことを特徴とする請求項2に記載の子供用シート。
【請求項6】
前記調整ベルトの第2端は、互いに嵌合するマジックテープ(登録商標)によって前記調整ベルトと接着され、
あるいは、前記調整ベルトに少なくとも1つのボスと複数の調整孔が設けられ、前記少なくとも1つのボスと前記複数の調整孔とのうちの一方は前記調整ベルトの第1端の近くに配置され、他方は前記調整ベルトの第2端の近くに配置され、前記少なくとも1つのボスと前記複数の調整孔とは選択的に嵌合している
ことを特徴とする請求項5に記載の子供用シート。
【請求項7】
前記調整ベルトの中央部に調整バックルが取り付けられ、前記調整ベルトの第2端が折り返した後に前記調整バックルに連結される
ことを特徴とする請求項5に記載の子供用シート。
【請求項8】
前記調整バックルは、矩形枠と、前記矩形枠の中央部に配置される1つの横梁と、を備え、
前記横梁により、前記矩形枠の中心孔は第1半孔と第2半孔とに分割され、
前記調整ベルトの第2端は、前記第1半孔、前記第2半孔、および前記連結孔を順次に通した後に前記横梁に連結される
ことを特徴とする請求項5に記載の子供用シート。
【請求項9】
前記股バックル具には、前記連結孔に貫通するスライド溝が設けられ、前記スライド溝は、開口端と、前記開口端に対向する底壁と、を有し、
前記股バックル具は押し棒と弾性部材とをさらに備え、前記押し棒は、前記連結孔を第1貫通孔部と第2貫通孔部とに分割するように、前記開口端を介して前記スライド溝に挿入され、前記調整ベルトは前記第1貫通孔部と前記第2貫通孔部とを通しており、前記押し棒は、前記調整ベルトが前記連結孔の孔壁と前記押し棒との間に挟まれるように、前記弾性部材によって付勢される
ことを特徴とする請求項5に記載の子供用シート。
【請求項10】
前記押し棒には、前記開口端に向かって突出している滑り止め部が設けられ、
および/または、前記押し棒は、前記開口端の外部まで延びる押圧部を備える
ことを特徴とする請求項9に記載の子供用シート。
【請求項11】
前記弾性部材は、前記底壁に当接するように前記押し棒から延びる第1弾性アームを備え、
あるいは、前記弾性部材は、前記押し棒に当接するように前記スライド溝の壁体から延びる第2弾性アームを備える
ことを特徴とする請求項9に記載の子供用シート。
【請求項12】
前記第1股ベルトカバーには、前記第1股ベルトカバーに対する前記調整ベルトおよび前記股バックル具の左右移動範囲を規制するための規制構造が備えられる
ことを特徴とする請求項5に記載の子供用シート。
【請求項13】
前記規制構造は、前記第1股ベルトカバーの両側に配置される2つのサイドフラップを備え、前記2つのサイドフラップは、前記調整ベルトを包むように互いに取り外し可能に連結され、
あるいは、前記規制構造は、前記第1股ベルトカバーの外部に嵌合されるスリーブを備え、前記調整ベルトは前記スリーブを通すために用いられ、
あるいは、前記規制構造は、前記第1股ベルトカバーの前方に位置し、且つ前記第1股ベルトカバーに両側縁が固定される遮蔽部と、前記遮蔽部の上縁に連結され、且つ前記第1股ベルトカバーの外部に嵌合される可動スリーブと、を備え、前記調整ベルトは、前記遮蔽部と前記第1股ベルトカバーとの間、及び前記可動スリーブと前記第1股ベルトカバーとの間を通すために用いられる
ことを特徴とする請求項12に記載の子供用シート。
【請求項14】
前記可動スリーブは、前記第1股ベルトカバーの前方に配置される遮蔽シートと、前記第1股ベルトカバーの後方に配置される弾性ベルトと、を備える
ことを特徴とする請求項13に記載の子供用シート。
【請求項15】
前記調整ベルトは、両端が前記第1股ベルトカバーに固定され、且つ前記第1股ベルトカバーの縦方向に沿って設けられ、前記調整ベルトには、縦方向に沿って複数の第1調整リングが設けられ、
前記股バックル具には、前記複数の第1調整リングのうちの1つに選択的に引っ掛ける第1連結フックが設けられる
ことを特徴とする請求項2に記載の子供用シート。
【請求項16】
前記股ベルトアセンブリは、前記股ベルト連結部に連結される第2股ベルトカバーを備え、前記第2股ベルトカバーには、前記第2股ベルトカバーの縦方向に沿って配置される複数の第2調整リングが設けられ、
前記股バックル具には、前記複数の第2調整リングのうちの1つに選択的に引っ掛ける第2連結フックが設けられる
ことを特徴とする請求項1に記載の子供用シート。
【請求項17】
背もたれと、前記背もたれの両側に取り付けられる第1肩ベルトおよび第2肩ベルトと、をさらに備え、
前記第1肩ベルトに第1肩バックルが備えられ、前記第2肩ベルトに第2肩バックルが備えられ、前記第1肩バックルと前記第2肩バックルは、前記股バックル具とロックするために用いられる
ことを特徴とする請求項1に記載の子供用シート。
【請求項18】
前記背もたれの両側に取り付けられる第1腰ベルトおよび第2腰ベルトをさらに備え、前記第1腰ベルトは前記第1肩バックルに連結され、前記第2腰ベルトは前記第2肩バックルに連結される
ことを特徴とする請求項17に記載の子供用シート。
【請求項19】
請求項1ないし18のいずれか一項に記載の子供用シートを備えることを特徴とする子供キャリア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、子供用シート及び子供キャリアに関する。
【背景技術】
【0002】
チャイルドシート、ベビーカー、クーハンなどの子供キャリアは、乳幼児の移動に大きな便利さを提供している。これらの子供キャリアの座席には、通常、3点式ベルトシステムまたは5点式ベルトシステムが備えられており、ベルトにより、衝突時には子供が座席に確実に拘束される一方、衝突によって子供に加えられる力が移されて、子供が怪我をすることは回避される。
【0003】
上記の3点式ベルトシステムは2本の肩ベルトと1本の股ベルトとを備え、2本の肩ベルトは、それぞれ肩バックル具によって股ベルトにある股バックル具にロックされる。上記の5点式ベルトシステムは、上記の3点式ベルトシステムの上に2本の腰ベルトが追加されており、2本の腰ベルトは、それぞれ2本の肩ベルトにある肩バックル具に連結される。既存の子供キャリアの座席では、股ベルトにある股バックル具の位置は固定されており、肩バックル具の位置を調整できるように、肩ベルトおよび腰ベルトは長さを調整可能なものとされ、これにより、座席のベルトシステムは、各々の体型の子供または子供の各々の時期の成長に適応することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、子供用シート及びそれを備える子供キャリアを提供することにあり、該子供用シートのベルトシステムは、よりよく子供の体型に適応するように、より多くの調整オプションを有するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様では、本発明は、座席クッションと、股ベルトアセンブリと、股バックル具と、を備え、前記座席クッションは股ベルト連結部を有し、前記股ベルトアセンブリと前記股ベルト連結部とが連結され、前記股バックル具と前記股ベルトアセンブリとは、前記股バックル具と前記股ベルト連結部との距離の変更が可能になるように、位置調整可能に連結されている子供用シートを提供する。
【0006】
さらに、前記股ベルトアセンブリは、前記股ベルト連結部に連結される第1股ベルトカバーと、前記第1股ベルトカバーに連結される調整ベルトと、を備え、前記股バックル具は、前記調整ベルトに位置調整可能に連結されている。
【0007】
さらに、前記調整ベルトは、前記第1股ベルトカバーの縦方向に沿って配置され、且つ前記調整ベルトの第1端と第2端とはそれぞれ前記第1股ベルトカバーに連結され、前記股バックル具は、前記調整ベルトに位置調整可能に取り付けられる調整バックル部を備える。
【0008】
さらに、前記調整バックル部は、取り付け孔と、前記取り付け孔内に間隔をあけて配置される2つのクロスバーと、を備え、前記2つのクロスバーにより、前記取り付け孔は第1穿孔、第2穿孔、及び第3穿孔に分割され、前記調整ベルトは、前記第1穿孔、前記第2穿孔、及び前記第3穿孔を通している。
【0009】
さらに、前記股バックル具は連結孔を備え、前記調整ベルトの第1端は前記第1股ベルトカバーに連結され、前記調整ベルトの第2端は前記連結孔を通した後、折り返して前記調整ベルトの適切な位置に連結される。
【0010】
さらに、前記調整ベルトの第2端は、互いに嵌合するマジックテープ(登録商標,面ファスナーとも呼称される)によって前記調整ベルトと接着され、あるいは、前記調整ベルトに少なくとも1つのボスと複数の調整孔が設けられ、前記少なくとも1つのボスと前記複数の調整孔のうちの一方は前記調整ベルトの第1端の近くに配置され、他方は前記調整ベルトの第2端の近くに配置され、前記少なくとも1つのボスと前記複数の調整孔とは選択的に嵌合している。
【0011】
さらに、前記調整ベルトの中央部に調整バックルが取り付けられ、前記調整ベルトの第2端が折り返した後に前記調整バックルに連結される。
【0012】
さらに、前記調整バックルは、矩形枠と、前記矩形枠の中央部に配置される1つの横梁とを備え、前記横梁により、前記矩形枠の中心孔は第1半孔と第2半孔に分割され、前記調整ベルトの第2端は、前記第1半孔、前記第2半孔、および前記連結孔を順次に通した後に前記横梁に連結される。
【0013】
さらに、前記股バックル具には、前記連結孔に貫通するスライド溝が設けられ、前記スライド溝は、開口端と、前記開口端に対向する底壁とを有し、前記股バックル具は押し棒と弾性部材をさらに備え、前記押し棒は、前記連結孔を第1貫通孔部と第2貫通孔部とに分割するように、前記開口端を介して前記スライド溝に挿入され、前記調整ベルトは前記第1貫通孔部と前記第2貫通孔部とを通しており、前記押し棒は、前記調整ベルトが前記連結孔の孔壁と前記押し棒との間に挟まれるように、前記弾性部材によって付勢される。
【0014】
さらに、前記押し棒には、前記開口端に向かって突出している滑り止め部が設けられ、および/または、前記押し棒は、前記開口端の外部まで延びる押圧部を備える。
【0015】
さらに、前記弾性部材は、前記底壁に当接するように前記押し棒から延びる第1弾性アームを備え、あるいは、前記弾性部材は、前記押し棒に当接するように前記スライド溝の壁体から延びる第2弾性アームを備える。
【0016】
さらに、前記第1股ベルトカバーには、前記第1股ベルトカバーに対する前記調整ベルトおよび前記股バックル具の左右移動範囲を規制するための規制構造が備えられる。
【0017】
さらに、前記規制構造は、前記第1股ベルトカバーの両側に配置される2つのサイドフラップを備え、前記2つのサイドフラップは、前記調整ベルトを包むように互いに取り外し可能に連結され、あるいは、前記規制構造は、前記第1股ベルトカバーの外部に嵌合されるスリーブを備え、前記調整ベルトは前記スリーブを通すために用いられ、あるいは、前記規制構造は、前記第1股ベルトカバーの前方に位置し、且つ前記第1股ベルトカバーに両側縁が固定される遮蔽部と、前記遮蔽部の上縁に連結され、且つ前記第1股ベルトカバーの外部に嵌合される可動スリーブと、を備え、前記調整ベルトは、前記遮蔽部と前記第1股ベルトカバーとの間、及び前記可動スリーブと前記第1股ベルトカバーとの間を通すために用いられる。
【0018】
さらに、前記可動スリーブは、前記第1股ベルトカバーの前方に配置される遮蔽シートと、前記第1股ベルトカバーの後方に配置される弾性ベルトと、を備える。
【0019】
さらに、前記調整ベルトは、両端が前記第1股ベルトカバーに固定され、且つ前記第1股ベルトカバーの縦方向に沿って設けられ、前記調整ベルトには、縦方向に沿って複数の第1調整リングが設けられ、前記股バックル具には、前記複数の第1調整リングのうちの1つに選択的に引っ掛ける第1連結フックが設けられる。
【0020】
さらに、前記股ベルトアセンブリは、前記股ベルト連結部に連結される第2股ベルトカバーを備え、前記第2股ベルトカバーには、前記第2股ベルトカバーの縦方向に沿って配置される複数の第2調整リングが設けられ、前記股バックル具には、前記複数の第2調整リングのうちの1つに選択的に引っ掛ける第2連結フックが設けられる。
【0021】
さらに、該子供用シートは、背もたれと、前記背もたれの両側に取り付けられる第1肩ベルトおよび第2肩ベルトと、をさらに備え、前記第1肩ベルトに第1肩バックルが備えられ、前記第2肩ベルトに第2肩バックルが備えられ、前記第1肩バックルと前記第2肩バックル、は、前記股バックル具とロックするために用いられる。
【0022】
さらに、子供用シートは、前記背もたれの両側に取り付けられる第1腰ベルトおよび第2腰ベルトをさらに備え、前記第1腰ベルトは前記第1肩バックルに連結され、前記第2腰ベルトは前記第2肩バックルに連結される。
【0023】
別の態様では、本発明は、上記の子供用シートを備える子供キャリアをさらに提供する。
【0024】
本発明に提供される子供用シートを、ベルトシステムが必要である如何なる子供キャリア(例えばベビーカー)に適用する場合、ベルトシステムの肩ベルトおよび腰ベルトの長さが調整可能であることに加えて、股バックル具と座席クッション上の股ベルト連結部との間の距離も調整可能であり、すなわち、股バックル具の高さが調整可能であり、これにより、ベルトシステムはより多くの調整オプションを有し、各々の体型の子供によりよく適応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の第1実施例に係る子供用シートを模式的に示す一つの斜視図である。
【
図2】本発明の第1実施例に係る子供用シートを模式的に示すもう一つの斜視図である。
【
図3】
図1における股バックル具を模式的に示す斜視図である。
【
図4】本発明の第2実施例に係る子供用シートを模式的に示す一つの斜視図である。
【
図5】
図4における股バックル具と調整ベルトの一つとの連結形態を模式的に示す図である。
【
図6】
図4における股バックル具と調整ベルトとのもう一つの連結形態を模式的に示す図である。
【
図7】本発明の第2実施例に係る子供用シートを模式的に示すもう一つの斜視図である。
【
図8】本発明の第3実施例に係る子供用シートを模式的に示す一つの斜視図である。
【
図9】
図8における股ベルトアセンブリと股バックル具との構造を模式的に示す図である。
【
図10】
図8における股バックル具のもう一つの実施形態を模式的に示す図である。
【
図11】
図10に示す股バックル具を模式的に示す分解図である。
【
図12】
図10に示す股バックル具を模式的に示す部分断面図である。
【
図13】本発明の実施例に係る一つの股ベルトアセンブリと股バックル具とを模式的に示す正面図である。
【
図14】本発明の実施例に係るもう一つの股ベルトアセンブリと股バックル具とを模式的に示す正面図である。
【
図15】本発明の第4実施例に係る子供用シートを模式的に示す斜視図である。
【
図16】本発明の第5実施例に係る子供用シートを模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1~
図3を参照すると、本発明の第1実施例に提供される子供用シート100が示されており、該子供用シート100は、ベビーカー1000に適用される場合を例として説明されると、フレーム200に取り付けられるものとなり、また、チャイルドシートやクーハンなどの様々な適切な子供キャリアに適用される座席であってもよいことを理解されたい。図面から分かるように、該子供用シート100は、座席本体1と、第1肩ベルト41および第2肩ベルト42と、第1肩バックル51および第2肩バックル52と、第1腰ベルト61および第2腰ベルト62と、股ベルトアセンブリ2と、股バックル具3と、を備え、すなわち、座席本体1には、5点式ベルトシステムが備えられている。
【0027】
図1及び
図3を参照すると、座席本体1は、子供の臀部を支持するための座席クッション11と、子供の背中を支持するための背もたれ12と、を備えてよい。第1肩ベルト41及び第2肩ベルト42は、それぞれ背もたれ12の両側の上方に連結され、第1腰ベルト61及び第2腰ベルト62は、それぞれ背もたれ12の両側の下方に連結され、第1肩ベルト41及び第1腰ベルト61は、それぞれ第1肩バックル51の孔341及び孔361に連結され、第2肩ベルト42及び第2腰ベルト62は、それぞれ第2肩バックル52の孔342及び孔362に連結されている。
【0028】
座席クッション11の中央位置に股ベルト連結部110が配置され、股ベルトアセンブリ2と股ベルト連結部110とが連結され、股バックル具3と股ベルトアセンブリ2とは、股バックル具3と股ベルト連結部110との距離の変更が可能になるように、位置調整可能に連結されている。なお、股バックル具3と股ベルト連結部110との距離とは、股バックル具3が外に引き詰められたときの股ベルト連結部110との直線距離をいう。股バックル具3と股ベルト連結部110との距離は、股バックル具3の高さとも呼ばれ、股バックル具3と股ベルト連結部110との距離の遠近は、股バックル具3の高さの高低に対応する。これにより、子供が子供用シート100に着座したときに、各肩ベルト及び各腰ベルトの長さが調整可能であることに加えて、股バックル具3の高さも調整可能であり、その結果、5点式ベルトシステムがより多くの調整オプションを備え、子供用シート100のベルトシステムは、各々の体型の子供によりよく適応することができる。なお、
図1に示す子供用シート100に5点式ベルトシステムが備えられているが、上述した股バックル具3と股ベルトアセンブリ2とは、2本の肩ベルトと1本の股ベルトとを備えた3点式ベルトシステムにも適用可能である。
【0029】
図1及び
図2を参照すると、本実施例には、股ベルトアセンブリ2の一つの好ましい実施形態が示されており、股ベルトアセンブリ2は、第1股ベルトカバー21及び調整ベルト23を備えてよい。第1股ベルトカバー21は、例えばその底部において例えばミシン縫いによって股ベルト連結部110に連結されている。調整ベルト23は、第1股ベルトカバー21に連結されており、好ましくは、子供に接触しないように第1股ベルトカバー21の前側に連結される。股バックル具3は、調整ベルト23に位置調整可能に連結されている。そのうち、第1股ベルトカバー21は、子供に十分な接触面積を提供するために適切な幅を有してよく、いくつかの実施例では、第1股ベルトカバー21の底部の幅が最も狭く、最も狭い箇所の幅Wは例えば50mm以上である。調整ベルト23は、例えばウェビングから作製されて狭い幅を有してよい。股バックル具3と調整ベルト23とは、股バックル具3と股ベルト連結部110との距離を変更できるように、位置調整可能に連結されている。
【0030】
図1および
図2を参照すると、本実施例では、股バックル具3と調整ベルト23との好ましい連結形態が示されている。調整ベルト23は、第1股ベルトカバー21の中央部において第1股ベルトカバー21の縦方向に沿って配置されており、その縦方向の長さは、第1股ベルトカバー21の縦方向の長さHよりも短い。調整ベルト23の第1端23a及び第2端23bとは、例えばミシン縫いによってそれぞれ第1股ベルトカバー21に連結されている。股バックル具3の下縁は、調整ベルト23に位置調整可能に取り付けられる調整バックル部31を備える。股バックル具3への調整操作を行わない時には、調整ベルト23上の調整バックル部31の位置は相対的に一定に保たれ得、股バックル具3と股ベルト連結部110との間は一定の距離に保たれる。股バックル具3への調整操作を行う時に、調整バックル部31を調整ベルト23に沿って適切な位置まで移動させて、股バックル具3と股ベルト連結部110との距離を適切なものに調整することができる。
【0031】
図3を参照すると、調整バックル部31の一つの好ましい実施形態が示されており、調整バックル部31は、股バックル具3の本体の縁部に配置されており、例えば4段式バックル部(目字バックル部とも呼ばれる)とされ、取り付け孔310と、取り付け孔310内に間隔をあけて配置される2つのクロスバー311と、を備え、これらの2つのクロスバー311により、取り付け孔310が第1穿孔3111、第2穿孔3112、および第3穿孔3113に分割されており、調整ベルト23は、第1穿孔3111、第2穿孔3112、および第3穿孔3113を順次に通して、そしてこれらの穿孔を通すときに2つのクロスバー311を順次に迂回する。このように構成された調整バックル部31は、構造が簡単で低コストであり、調整ベルト23上の調整バックル部31の位置も容易に調整することができるという利点を有する。調整ベルト23上の調整バックル部31の位置が適切に調整されると、調整バックル部31は調整ベルト23に対してしっかりと連結され、調整ベルト23に対して望ましくないずれが生じにくくなる。
【0032】
図4~
図6を参照すると、本発明の第2実施例に提供される子供用シート100が示されており、本実施例は上記第1実施例の変形例であり、以下では、主に本実施例と上記第1実施例との異なる点について説明する。
【0033】
図4~
図6から分かるように、股バックル具3は、股バックル具3の下縁に設けられる連結孔301を備える。調整ベルト23の第1端23aは、例えば第1股ベルトカバー21の底部に連結され、第2端23bは、連結孔301を通した後、折り返して調整ベルト23の適切な位置に連結される。本明細書では、第2端23bが折り返すコーナ位置を第2端23bの折り返し位置と呼び、股バックル具3は、使用状態において、調整ベルト23の第2端23bの折り返し位置までスライドして各肩ベルトバックル具に連結されることが理解される。このように、第2端23bを調整ベルト23の各々の位置に連結することにより、第2端23bの折り返し位置を変更することができ、すなわち、股バックル具3と股ベルト連結部110との距離を変更することができる。
【0034】
図5は、調整ベルト23の第2端23bが折り返した後に調整ベルト23に連結される連結形態を示している。調整ベルト23は、第1端23aに近い位置にマジックテープ233が設けられており、第2端23bに近い位置にマジックテープ234が設けられており、マジックテープ234とマジックテープ233とは、取り外し可能に接着されている。マジックテープ234とマジックテープ233との接着位置を変更することにより、第2端23bの折り返し位置を変更することができる。
【0035】
図6は、調整ベルト23の第2端23bが折り返した後に調整ベルト23に連結されるもう一つの連結形態を示している。調整ベルト23には、少なくとも1つのボス231と、複数の調整孔232と、が設けられている。例えば、ボス231は、調整ベルト23の第2端23bの近くに複数設けられており、複数のボス231は、調整ベルト23の縦方向に沿って間隔をあけて設けられてよい。複数の調整孔232は、調整ベルト23の第1端23aの近くに設けられており、複数の調整孔232は、調整ベルト23の縦方向に沿って間隔をあけて設けられている。複数のボス231と複数の調整孔232とは選択的に係合することで、第2端23bの折り返し位置は変更可能になる。図示されていないいくつかの実施例では、複数のボス231および複数の調整孔232を、スナップ構造またはボタン構造に置き換えることができる。
【0036】
図4および
図7を併せて参照して、好ましくは、第1股ベルトカバー21に、第1股ベルトカバー21に対する調整ベルト23および股バックル具3の左右移動範囲を規制するための規制構造がさらに備えられ、これにより、調整ベルト23および股バックル具3が左右方向(第1股ベルトカバー21の幅方向に対応する)において第1股ベルトカバー21の範囲から外れて子供に直接接触することを回避することができる。本実施例では、規制構造は、第1股ベルトカバー21の前方に位置し、第1股ベルトカバー21に例えばミシン縫いにより両側縁が固定される遮蔽部293と、遮蔽部293の上縁に例えばミシン縫いにより連結され、第1股ベルトカバー21の外部に嵌合される可動スリーブ294と、を備えてよく、調整ベルト23は、第1股ベルトカバー21の前側と遮蔽部293との間、及び第1股ベルトカバー21の前側と可動スリーブ294との間を通すことができ、股バックル具3は、第1股ベルトカバー21の前側と可動スリーブ294との間に配置されることができる。そのうち、可動スリーブ294は、ユーザが調整ベルト23および股バックル具3を調整しやすいようにするために、下方に折り曲げることができる。好ましくは、可動スリーブ294は、第1股ベルトカバー21の前方に配置される遮蔽シート2941と、第1股ベルトカバー21の後方に配置される弾性ベルト2942と、を備え、弾性ベルト2942により、可動スリーブ294の口径を弾性的に拡大または縮小させることが可能になる。
【0037】
図8を参照すると、本発明の第3実施例に提供される子供用シート100が示されており、本実施例は上記第2実施例の変形例であり、以下では、主に本実施例と上記第2実施例との異なる点について説明する。
【0038】
本実施例では、調整ベルト23の中央部に調整バックル24が取り付けられており、調整ベルト23の第1端23aは、例えば、第1股ベルトカバー21の底部に連結され、調整ベルト23の第2端23bは、股バックル具3の連結孔301を通した後に折り返して調整バックル24に連結されている。調整ベルト23上の調整バックル24の位置を変更することにより、第2端23bの折り返し位置を変更することができ、ひいては、股バックル具3と股ベルト連結部110との間の距離を変更することができる。調整バックル24は、調整バックル24に調整操作を行わない時には、調整ベルト23上の調整バックル24の位置が相対的に一定に保たれ得るように構成されてよいことを理解されたい。調整バックル24に調整操作を行う時に、調整バックル24を調整ベルト23に沿って適切な位置まで移動させて、股バックル具3と股ベルト連結部110との距離を適切なものにすることができる。
【0039】
図9を参照すると、調整バックル24の好ましい実施形態が示されており、調整バックル24は、例えば、矩形枠241と、矩形枠241の中央部に配置される一つの横梁242と、を備える、3段式バックル(日字バックルとも呼ばれる)である。横梁242により、矩形枠241の中心孔が第1半孔2411と第2半孔2412とに分割され、調整ベルト23の第2端23bは、第1半孔2411、第2半孔2412、及び連結孔301を順次に通した後に横梁242に連結される。
【0040】
また、
図8及び
図9を参照して、本実施例における股バックル具3の連結孔301の構造は、上記第2実施例における連結孔301の上で変更されたものである。
図9では、説明の便宜上、調整ベルト23と股バックル具3と、は規制構造から取り外されている。
図9に示すように、連結孔301には、連結孔301を第1貫通孔部3011と第2貫通孔部3012とに分割したクロスバー3013が設けられており、調整ベルト23の第2端23bは、第1貫通孔部3011と第2貫通孔部3012とを順次に通した後に調整バックル24の横梁242に連結されている。このような連結孔301の構造では、股バックル具3と調整ベルト23との間の摩擦力の増大に寄与し、股バックル具3と調整ベルト23との相対移動の阻止に寄与する。
【0041】
図10~
図12を参照すると、本実施例では、股バックル具3のもう一つの構造も示している。股バックル具3には、連結孔301に貫通するスライド溝303が設けられてよく、スライド溝303は、開口端3030と、開口端3030に対向する底壁(図面には符号が付いていない)と、を有する。股バックル具3は、押し棒32と弾性部材33とも備えている。そのうち、押し棒32は、連結孔301を第1貫通孔部3011と第2貫通孔部3012とに分割するように、開口端3030を介してスライド溝303に挿入され、第1貫通孔部3011と第2貫通孔部3012とを調整ベルト23が通している。弾性部材33は、連結孔301の孔壁と押し棒32との間で調整ベルト23が挟まれるように押し棒32に付勢し、これにより、股バックル具3と調整ベルト23との相対移動が効果的に防止される。股バックル具3と調整ベルト23との相対位置を変更する必要がある場合には、押し棒32をマニュアルに操作して、押し棒32を弾性部材33の弾性力に抗して開口端3030から離れる方向に移動させれば、調整ベルト23を自由に引くことができる。
【0042】
図11及び
図12を参照すると、押し棒32は、開口端3030に向かって突出する滑り止め部321を更に備えてもよく、滑り止め部321は、大きな摩擦係数を有することで、調整ベルト23と股バックル具3との間の摩擦力を更に増大させることができる。好ましくは、押し棒32は、開口端3030の外部まで延びる押圧部322を有し、押圧部322によって押し棒32を容易に押して開口端3030から離れる方向に移動させることができる。いくつかの実施例では、押し棒32、滑り止め部321、および押圧部322は、一体成形品であってもよい。
【0043】
いくつかの実施例では、弾性部材33は、スライド溝303の底壁に当接するように押し棒32から延びる第1弾性アームを備えてよい。あるいは、本実施例に示されるように、弾性部材33は、押し棒32に当接するようにスライド溝303の壁体から延びる第2弾性アームを備え、さらに、押し棒32は、第2弾性アームを収容するための凹溝3202を備えてよい。他のいくつかの実施例では、弾性部材33は、単独の部品であって押し棒32とスライド溝303の底壁との間に挟まれてもよい。
【0044】
図13を参照して、本実施例は、規制構造のもう一つの好適な実施形態を示す。規制構造は、第1股ベルトカバー21の両側に配置される2つのサイドフラップ291および292を備え、2つのサイドフラップ291および292は、第1股ベルトカバー21に対して折り曲げられてから、股ベルト調整ベルト23を包むように互いに取り外し可能に連結されてもよい。いくつかの実施例では、2つのサイドフラップ291及び292は、例えば、互いに嵌合するマジックテープ2911及び2922によって接着される。あるいは、他の実施例では、2つのサイドフラップ291および292は、スナップまたはフックによって連結されてもよい。
【0045】
図14を参照して、本実施例は、規制構造のさらに一つの好適な実施形態を示す。規制構造は、第1股ベルトカバー21の外部に移動可能に嵌合されるスリーブ292を備えていてもよく、調整ベルト23は、第1股ベルトカバー21から取り外し可能なスリーブ292を通すために用いられる。
【0046】
本実施例における規制構造は、上記第2実施例にも適用可能であり、上記第2実施例における規制構造も本実施例に適用可能であることを理解されたい。規制構造は、様々な実施形態が可能であり、本明細書の例に限定されないことを理解されたい。
【0047】
図15を参照すると、本発明の第4実施例に提供される子供用シート100が示されており、本実施例は上記第1実施例の変形例であり、以下では、主に本実施例と上記第1実施例との異なる点について説明する。
【0048】
図15を参照すると、調整ベルト23の両端は、例えば、第1股ベルトカバー21の前側に固定されている。例えば、調整ベルト23は、第1股ベルトカバー21に一周のミシン縫いで固定されていてもよい。調整ベルト23は、第1股ベルトカバー21の縦方向に沿って配置されている。調整ベルト23には、調整ベルト23の縦方向に間隔をあけて配置される複数の第1調整リング2301が設けられてよい。各第1調整リング2301は、例えば、ウェビングリングまたは布カラーである。股バックル具3には、複数の第1調整リング2301のうちの1つに選択的に引っ掛ける第1連結フック391を備えてよく、これにより、取り外し可能な方式で、股バックル具3と股ベルト連結部110との距離を容易に調整することができる。
【0049】
図16を参照すると、本発明の第5実施例に提供される子供用シート100が示されており、本実施例は上記第4実施例の変形例である。本実施例では、股ベルトアセンブリ2は第2股ベルトカバー22を備え、第2股ベルトカバー22は、例えば底部において例えばミシン縫いによって股ベルト連結部110と連結されている。上記第4実施例とは異なり、第2股ベルトカバー22には調整ベルトが配置されておらず、例えば第2股ベルトカバー22の前側に、第2股ベルトカバー22の縦方向に沿って配置される複数の第2調整リング220が直接設けられている。股バックル具3には、複数の第2調整リング220のうちの1つに選択的に引っ掛ける第2連結フック392を備え、これにより、股バックル具3と股ベルト連結部110との距離を容易に調整することができる。
【0050】
本発明の実施例はさらに子供キャリア1000を提供し、該子供キャリア1000は、限定するものではないが、例えばチャイルドシート、ベビーカー、またはクーハンであり、該子供キャリア1000には、上述の子供用シート100が備えられてよい。
【0051】
以上説明した実施例の各技術的特徴は、任意に組み合わせることが可能であり、説明を簡潔にするために、上記実施例における各技術的特徴の全ての可能な組み合わせについては説明していないが、これらの技術的特徴の組み合わせに矛盾がない限り、本明細書に記載される範囲内であると考えられるべきである。
【0052】
上記の実施例は、本願のいくつかの実施形態を示しているに過ぎず、その叙述は具体的かつ詳細であるが、本願の発明の範囲を限定するものとして理解されるべきではない。当業者であれば、本願の思想から逸脱することなく、本願の範囲に含まれるいくつかの変形および改善を行うことができることに留意されたい。したがって、本願の特許の範囲は、添付の特許請求の範囲に従うものとする。