(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023121745
(43)【公開日】2023-08-31
(54)【発明の名称】送信機、チャネル及び受信機を含む、データ転送構成を試験するための方法、コンピュータ・プログラム製品、試験信号並びに試験装置
(51)【国際特許分類】
H04L 43/0823 20220101AFI20230824BHJP
H04B 3/46 20150101ALI20230824BHJP
H04L 43/16 20220101ALI20230824BHJP
H04L 43/04 20220101ALI20230824BHJP
【FI】
H04L43/0823
H04B3/46
H04L43/16
H04L43/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023024616
(22)【出願日】2023-02-20
(31)【優先権主張番号】10 2022 104 032.1
(32)【優先日】2022-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】63/312,149
(32)【優先日】2022-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】522434967
【氏名又は名称】ビティフアイ ディジタル テスト ソリューションズ ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】BitifEye Digital Test Solutions GmbH
【住所又は居所原語表記】Herrenberger Str. 130, 71034 Boeblingen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アントン ウナカフォフ
(72)【発明者】
【氏名】ヴォルフガング ケーベレ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァレンティーナ ウナカフォワ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィクトル-リコ サンチェス-ゲラ
(72)【発明者】
【氏名】ランサム スティーブンス
(72)【発明者】
【氏名】ヘルマン シュテーリング
(57)【要約】 (修正有)
【課題】送信機、チャネル及び受信機を含む、データ転送構成を試験するための方法、コンピュータ・プログラム製品、試験信号並びに試験装置を提供する。
【解決手段】データ転送構成4を試験する方法は、初期試験データセット(IST)に基づいてチャネル出力側データセット(KAD)を取得するステップ、KAD内のエラー分布(FV)及びビットエラー率(BER)を決定するために、KADを評価するステップ、FVを評価することにより、試験部分列(PSS)を決定するステップ、PSSを備えた更なる試験データセット(CPS)を形成するステップ、CPSを適用するステップ、CPSに基づいて現在のKADを取得するステップ、現在のKAD内のFV及び現在のBERを決定するために、現在のKADを評価するステップ及び現在のBERを所定の閾値(SW)と比較し、BERがSWより大きいことを示す場合、処理を反復実行するステップとを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
データ転送構成(4)を試験するための方法であって、以下のステップ、すなわち
所定の最低数の反復で初期試験データセット(IST)を発生するステップ(S200)と、
前記初期試験データセット(IST)を前記データ転送構成(4)に適用するステップ(S300)と、
前記初期試験データセット(IST)に基づいてチャネル出力側データセット(KAD)を取得するステップ(S400)と、
前記チャネル出力側データセット(KAD)内のエラー分布(FV)を決定するために、前記チャネル出力側データセット(KAD)を評価するステップ(S500)と、
前記チャネル出力側データセット(KAD)内のビットエラー率(BER)を決定するために、前記チャネル出力側データセット(KAD)を評価するステップ(S600)と、
前記エラー分布(FV)を評価することにより、少なくとも1つの試験部分列(PSS)を決定するステップ(S700)と、
少なくとも前記決定された試験部分列(PSS)を備えた更なる試験データセット(CPS)を形成するステップ(S800)と、
前記更なる試験データセット(CPS)を前記データ転送構成(4)に適用するステップ(S900)と、
前記更なる試験データセット(CPS)に基づいて現在のチャネル出力側データセット(KAD)を取得するステップ(S1000)と、
前記現在のチャネル出力側データセット(KAD)内の現在のエラー分布(FV)を決定するために、前記現在のチャネル出力側データセット(KAD)を評価するステップ(S1100)と、
前記現在のチャネル出力側データセット(KAD)内の現在のビットエラー率(BER)を決定するために、前記現在のチャネル出力側データセット(KAD)を評価するステップ(S1200)と、
前記現在のビットエラー率(BER)を所定の閾値(SW)と比較し、前記比較が、前記ビットエラー率(BER)が前記所定の閾値(SW)より大きいことを示す場合、ステップ(S700)~(S1200)を実行する、具体的には反復して実行するステップ(S1300)と、
前記比較が、前記現在のビットエラー率(BER)が前記所定の閾値(SW)より小さいことを示す場合、エラー分析のために前記現在のチャネル出力側データセット(KAD)を評価するステップ(S1400)とを含む、方法。
【請求項2】
前記データ転送構成(4)のチャネル・パラメータは、更なるステップ(S100)で決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記エラー分布(FV)を評価することにより、少なくとも1つの試験部分列(PSS)を決定する前記ステップ(S700)は、少なくとも以下のステップ、すなわち
前記決定されたビットエラー率(BER)が所定の限界値(GW)より小さいかどうかを確認し、前記ビットエラー率(BER)が前記所定の限界値(GW)より小さい場合に、以下のステップを行うステップ(S740)と、
前記決定された試験部分列(PSS)に基づいて少なくとも1つの更なる試験部分列(PSS)を決定するステップ(S760)と、
前記更なる試験部分列(PSS)を前記更なる試験データセット(CPS)に追加するステップ(S780)とを有する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記決定された試験部分列(PSS)に基づいて少なくとも1つの更なる試験部分列(PSS)を決定する前記ステップ(S760)は、
更なる試験部分列(PSS)として試験部分列(PSS)の逆数(INV)を決定するステップ(S762)を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記決定された試験部分列(PSS)に基づいて少なくとも1つの更なる試験部分列(PSS)を決定する前記ステップ(S760)は、
パルス応答、具体的には最高パルス応答の所定の点において同一記号を備えた試験部分列(PSS)の群(G)を形成するステップ(S764)を含む、請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
前記決定された試験部分列(PSS)に基づいて少なくとも1つの更なる試験部分列(PSS)を決定する前記ステップ(S760)は、
試験部分列(PSS)を選択するために、試験部分列(PSS)に関して所定の類似基準(MET)を決定して評価するステップ(S766)を含む、請求項3、4又は5に記載の方法。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の方法を行うように構成された、コンピュータ・プログラム製品。
【請求項8】
請求項1~6のいずれか一項に記載の方法に従って決定された、試験データセット(CPS)。
【請求項9】
データ転送構成(4)を試験するための試験装置(2)であって、前記試験装置(2)は、所定の最低数の反復で初期試験データセット(IST)を発生し、前記初期試験データセット(IST)を前記データ転送構成(4)に適用し、前記初期試験データセット(IST)に基づいてチャネル出力側データセット(KAD)を取得し、前記チャネル出力側データセット(KAD)内のエラー分布(FV)を決定するために、前記チャネル出力側データセット(KAD)を評価し、前記チャネル出力側データセット(KAD)内のビットエラー率(BER)を決定するために、前記チャネル出力側データセット(KAD)を評価し、少なくとも決定された試験部分列(PSS)を備えた更なる試験データセット(CPS)を決定し、前記更なる試験データセット(CPS)を前記データ転送構成(4)に適用し、前記更なる試験データセット(CPS)に基づいて現在のチャネル出力側データセット(KAD)を決定し、前記チャネル出力側データセット(KAD)内の現在のエラー分布(FV)を決定するために、前記現在のチャネル出力側データセット(KAD)を評価し、前記現在のチャネル出力側データセット(KAD)内の現在のビットエラー率(BER)を決定するために、前記現在のチャネル出力側データセット(KAD)を評価し、前記現在のビットエラー率(BER)を所定の閾値(SW)と比較し、前記比較が、前記ビットエラー率(BER)が前記所定の閾値(SW)より大きいことを示す場合、前記更なるエラー分布(FV)を評価することにより、少なくとも1つの更なる試験部分列(PSS)を決定する少なくとも1つの過程を実行し、具体的には反復して実行し、前記比較が、前記現在のビットエラー率(BER)が前記所定の閾値(SW)より小さいことを示す場合、エラー分析のために前記チャネル出力側データセット(KAD)を評価するように構成される、試験装置(2)。
【請求項10】
前記試験装置(2)は、前記データ転送構成(4)のチャネル・パラメータを決定するように構成される、請求項9に記載の試験装置(2)。
【請求項11】
前記試験装置(2)は、前記チャネル出力側データセット(KAD)を評価することによって決定された前記ビットエラー率(BER)が、所定の限界値(GW)より小さいかどうかを確認し、前記ビットエラー率(BER)が前記限界値(GW)より小さい場合、前記決定された試験部分列(PSS)に基づいて少なくとも1つの更なる試験部分列(PSS)を決定し、前記更なる試験部分列(PSS)を前記更なる試験データセット(CPS)に追加するように構成される、請求項9又は10に記載の試験装置(2)。
【請求項12】
前記試験装置(2)は、更なる試験部分列(PSS)として試験部分列(PSS)の逆数を決定するように構成される、請求項11に記載の試験装置(2)。
【請求項13】
前記試験装置(2)は、パルス応答、具体的には最高パルス応答の所定の点に同一記号を備えた試験部分列(PSS)の群を形成するように構成される、請求項11又は12に記載の試験装置(2)。
【請求項14】
前記試験装置(2)は、試験部分列(PSS)を選択するために、試験部分列(PSS)に関連した所定の類似基準(MET)を決定して評価するように構成される、請求項11、12又は13に記載の試験装置(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送信機、チャネル及び受信機を含む、データ転送構成を試験するための方法、コンピュータ・プログラム製品、試験信号並びに試験装置に関する。
【0002】
情報理論では、チャネル(情報チャネル、転送チャネル、転送経路とも呼ばれる)は、転送中の障害の結果として、情報の損失をモデル化するための概念と理解されている。この場合、チャネルは、それを介して転送を行う媒体だけに制限されるのではなく、むしろ送信機から受信機への転送経路全体について記載する。データ送信機及びデータ受信機並びに恐らく介入した構成要素も支障をきたす可能性がある。
【背景技術】
【0003】
現時点で、データ受信機は、前に画定された試験信号とのいわゆる適合試験を用いて試験される。試験信号は、画定された試験パターン及び導入された「障害」、すなわちノイズ、ジッタ、その他など、できる限り的を絞った正確な手法で導入される理想的な信号からの偏差を有する。追加された障害の型、強度及び「混合」は、それぞれの仕様、例えば(非特許文献1)によって規定される。
【0004】
このような「準拠障害」は、それぞれのデータ通信規格によって定義され、具体的なパラメータ及びそれらの値は異なる可能性がある。障害の例は、以下の通りである、すなわち
ランダムノイズ:(疑似)ランダム値は信号に追加される、
周期的ノイズ、
ランダムジッタ:レベル遷移は、本来あるべきより若干早く又は若干遅く起き、偏差はランダムである、
決定論的(具体的には周期的)ジッタ:レベル遷移は、本来あるべきより若干早く又は若干遅く起き、偏差は、周期律又は何らかの他のアルゴリズムによって画定される、
クロストーク(決定論的)、及び
チャネル損失による符号間干渉(決定論的、(非特許文献2)も参照)。
【0005】
障害は、実際の作業環境における信号に影響を及ぼす実際の歪みを模倣する。換言すると、試験信号は、妨害信号によって歪められた実際のペイロード信号をシミュレーションするために、障害の形の妨害信号と組み合わせられるペイロード信号とみなされる可能性がある。
【0006】
最近のデータ通信規格では、これらの歪みは、高いデータ速度のために非常に大きく、エラーのない信号を受信することができるデータ受信機はない。従って仕様書により、データ受信機が「読取エラー」を比較的頻繁に有する可能性がある。これは、信号が例えばビット列の形のデジタルデータを含有する場合、受信したビットの総数の最大許容割合、ビットエラー率(BER)として表された、誤って解釈されたビットの数によって画定される。
【0007】
これらのエラーを訂正するために、いわゆる「前方エラー訂正」(FEC)が使用される。これは、例えばデータセットの形のデータの特定の符号化である。信号の歪みを低減するために使用する更なる技法はスクランブルである。従ってデータ受信機に届くデータは、通常スクランブルされてFECにプリコードされる。
【0008】
FECは物理層の一部ではないので、物理層の性能はpre-FEC BERを特徴とする。物理層を試験する時に、疑似ランダムデータ列(PRBS)は、典型的には試験信号として使用される。PRBSは、同じ長さの実際の試験信号より平均的に大きくデータ受信機に負荷するので、試験目的に適する。一般の試験信号と対照的に、これらのデータ列はスクランブルされず、FECにコード化されないので、post-FEC BERはこれらのデータ列に対して決定することができない。
【0009】
適合試験は、データ受信機の最低の検証を可能にするために必要であるが、これは設計の問題を最悪の場合(すなわち最悪の可能性の信号又は最大の障害)の被試験装置(DUT)について同定して確認することはできない。この主な理由は、PRBSが実際の作動中に送信できる全ての可能なデータセットを完全には表さないことである。PRBSは、同じ長さの実際のデータより平均的に大きく受信機に負荷するが、より大きく受信機に負荷する実際のデータセットが存在することがある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】PCI Express
【非特許文献2】https://teledynelecroy.com/doc/understanding-dj-ddj-pj-jitter-calculations
【非特許文献3】IBIS(Buffer Information Specification)
【非特許文献4】AMI(Algorithmic Modeling Interface)
【非特許文献5】PCI Express6 standard
【非特許文献6】IEEE802.3bs/cd(50GAUI C2M/C2C,KR-n,CR-n)
【非特許文献7】IEEE802.3ck(100GAUI C2M/C2C,KR-n,CR-n)
【非特許文献8】OIF CEI-56G
【非特許文献9】OIF CEI-112G
【非特許文献10】PAM-N standard
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って本発明の目的は、例えばデータ受信機の設計における重大な要素をより容易に決定できるために、このような適合試験を拡大及び/又は補完する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の目的は、データ転送構成を試験するための方法であって、以下のステップ、すなわち
所定の最低数の反復で初期試験データセットを発生するステップと、
初期試験データセットをデータ転送構成に適用するステップと、
初期試験データセットに基づいてチャネル出力側データセットを獲得するステップと、
チャネル出力側データセット内のエラー分布を決定するために、チャネル出力側データセットを評価するステップと、
チャネル出力側データセット内のビットエラー率を決定するために、チャネル出力側データセットを評価するステップと、
エラー分布を評価することにより、少なくとも1つの試験部分列を決定するステップと、
少なくとも決定された試験部分列を備えた更なる試験データセットを形成するステップと、
更なる試験データセットをデータ転送構成に適用するステップと、
更なる試験データセットに基づいて現在のチャネル出力側データセットを取得するステップと、
現在のチャネル出力側データセット内の現在のエラー分布を決定するために、現在のチャネル出力側データセットを評価するステップと、
現在のチャネル出力側データセット内の現在のビットエラー率を決定するために、現在のチャネル出力側データセットを評価するステップと、
現在のビットエラー率を所定の閾値と比較し、比較が、ビットエラー率が所定の閾値より大きいことを示す場合、エラー分布を評価することにより、少なくとも1つのエラーを起こす試験部分列を決定するステップから開始するステップを実行する、具体的には反復して実行するステップと、
比較が、現在のビットエラー率が所定の閾値より小さいことを示す場合、エラー分析のために現在のチャネル出力側データセットを評価するステップとを含む、方法を用いて達成される。
【0013】
換言すると、2段階手順が提案され、初期試験データセットを使用することによって獲得された結果は、試験データセットの特定のエラーを起こしやすい部分列を発見するために検証され、次いで特に求められる又は重大な更なる第2の試験データセットを形成するために使用される。この試験データセットは、試験を改良してより重要にすることができる。その上、特定のエラーを起こしやすい部分列を比較又は要約することにより、このような試験に必要な時間を低減することができる。
【0014】
試験部分列は、例えば少なくとも1つの単一エラーを起こす可能性がある。こうして試験部分列及びそれぞれのエラーの独特の任務がある。それと異なり、試験部分列は複数のエラーを起こす可能性もある。そのために反復工程で、更なる試験部分列は、試験データセットを尚一層段階的手法で最適化するために、確認されて試験データセットに追加され、これは、試験パターンが、最も複雑である(これは最大限に受信機に負荷する)が適合する、すなわち実際の作動中に可能な信号列を有することを意味する。
【0015】
一実施形態によれば、データ転送構成のチャネル・パラメータは、更なるステップで決定される。決定されたチャネル・パラメータは、データ転送構成のチャネルを介して転送される信号の単一ビット応答(SBR(t))、遅延及び/又は長さである可能性がある。
【0016】
更なる実施形態によれば、エラー分布を評価することにより、少なくとも1つのエラーを起こす試験部分列を決定するステップは、少なくとも以下のステップ、すなわち
決定されたビットエラー率が所定の限界値より小さいかどうかを確認し、決定されたビットエラー率が所定の限界値より小さい場合に、更なるステップを行うステップと、
決定された試験部分列に基づいて少なくとも1つの更なる試験部分列を決定するステップと、
更なる試験部分列を更なる試験データセットに追加するステップとを有する。
【0017】
従ってチャネル出力側試験データセットが有意な評価に対してエラーの発生が少な過ぎる、すなわちビットエラー率が低過ぎる場合、更なる試験部分列は、前に決定された試験部分列に基づいて、例えば前に決定された試験部分列を変えることによって決定される。換言すると、「人工」試験部分列が発生され、これらは前に決定された試験部分列に類似しており、従ってエラーももたらすべきである。これらの試験部分列は、次いで試験データセットに追加され、その結果、試験データセットは、試験部分列の数が増加する。
【0018】
更なる実施形態によれば、決定された試験部分列に基づいて少なくとも1つの更なる試験部分列を決定するステップは、
更なる試験部分列としてエラーを起こす試験部分列の逆数を決定することを含む。
【0019】
そのために、例えばPAM-4信号などの4値信号の場合、補完的4値信号が発生される。例えば4値信号が0、1、2及び3の値と仮定することができる場合、例えば信号列13032の逆数は、信号列20301である。この場合、それぞれの逆数は、単一試験部分列から、又は試験部分列の全てに対しても決定することができる。
【0020】
更なる実施形態によれば、決定された試験部分列に基づいて少なくとも1つの更なる試験部分列を決定するステップは、
パルス応答の所定の点において同一記号を備えた試験部分列の群を形成することを含む。
【0021】
換言すると、所定の点における少なくとも1つの記号が同一である試験部分列のみが、選択される。所定の点は、パルス応答の最高値である可能性がある。
【0022】
更なる実施形態によれば、決定された試験部分列に基づいて少なくとも1つの更なる試験部分列を決定するステップは、
試験部分列を選択するために、試験部分列に関する所定の類似基準を決定して評価することを含む。
【0023】
好ましい試験部分列は、こうして特に単純に決定することができる。
【0024】
その上、本発明は、このような方法を行うように構成されたコンピュータ・プログラム製品、このような方法に従って決定された試験データセット、及び試験装置を含む。
【0025】
本発明は、添付の概略図を参照して以下により詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図6】
図1に示された試験装置を作動するための方法列の概略図を示す。
【
図7】
図1に示された方法列の更なる詳細の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
【0028】
図は、少なくとも1つのデータ転送チャネル28を備え、被試験装置6(DUT)を備えた、データ転送構成4を試験するための試験装置2を示す。本例示的実施形態では、例えば試験装置2は、(非特許文献3)に準拠する、又は(非特許文献4)に準拠するように構成することができる。
【0029】
本例示的実施形態では、チャネル28は、有線チャネルとして構成される。本例示的実施形態と異なり、チャネル4は無線様式、すなわち例えば無線リンクに構成することもできる。
【0030】
チャネル28は、高い許容可能なビットエラー率(>10-6)をもつシリアル高速インターフェースとみなすことができる。このようなシリアル高速インターフェースは、マルチギガビット・データ速度(5Gbit/s以上)で作動される。最近のシリアル高速インターフェースは、高いデータ速度で信号から受ける歪みが大きいため、具体的には2レベルを超す振幅変調を使用する典型的な最近のインターフェースである、低い信号ノイズ比のために、比較的高いビットエラー率が可能である。これらの変調はPAM-Nと呼ばれ、この場合Nはレベルの数である。
【0031】
初期の型の通信規格は、非常に頻繁なエラー、例えばビットエラー率BER<10-12に達することを目指すことが多かった。これは、1012ビット受信する毎に1つのエラーが起きることを意味する。ビットエラー率BERの真の確認は、従って事実上不可能であった、すなわち約1Gbit/sのデータ転送速度で、1012のビットエラー率は、エラーが平均1000秒毎に1回起きることを意味するはずである。実際のBERの統計的に信頼できる測定値は、数時間試験を続ける必要があるはずである。
【0032】
新しい高速インターフェースに対する前述の規格によれば、許容可能なビットエラー率は、はるかに高い(BER約10-6)。これは、実際のビットエラー率測定が可能であり、その結果、提案した本発明が実現可能になる。
【0033】
本例示的実施形態では、4つの可能な状態又は記号(0、1、2及び3)を備えたPAM-4信号は、チャネル28を介して転送することができる。本例示的実施形態と異なり、例えばPAM-2、PAM-3、PAM-8、PAM-16、ENRZ又はCNRZ-5などの他の符号化方式を備えたデータセットも、チャネル28を介して転送することができる。
【0034】
その上、本例示的実施形態では、振幅変調した信号は、チャネル28を介して転送することができる。
【0035】
(非特許文献5)によるチャネル28は、複数の線、典型的には8本、16本又は32本を含むことができる。これらの線は、平行に経路を定めて作動されるが、個々の線自体はシリアルデータラインである。この構築は、「マルチシリアル」とも呼ばれる。本例示的実施形態では、各線は、別個に順次試験される。本例示的実施形態と異なり、試験装置2は、(同時に複数の線に対して)マルチレーン試験のために構成することができる。
【0036】
他のデータ通信規格は、(非特許文献6)、(非特許文献7)、(非特許文献8)、(非特許文献9)又は他の(非特許文献10)であってもよい。
【0037】
その上、本例示的実施形態では、チャネル28は、異なる信号を転送するように構成される。
【0038】
異なる信号転送は、本例示的実施形態で使用することができる。異なる信号転送の概念では、ノイズを低減するために、信号S(t)は、2つの物理的副信号の形で転送される、つまりs+(t)=S(t)/2及びs-(t)=-S(t)/2である。これらの2つの副信号s+(t)及びs-(t)は、チャネル4の別個の線に転送され、受信機に同期して届くので、元の信号は以下のように計算することができる。
S(t)=s+(t)-s-(t)
【0039】
本例示的実施形態と異なり、他の信号方式、例えばChord信号も使用することができる。
【0040】
本例示的実施形態では、試験装置2は、CPS発生器8、PSS検出器10、信号発生器12、エラー検出器14、CPSアイ・ビジュアライザ16、PSS分類器18及びpost-FEC決定ユニット20を構成要素として含む一方で、本例示的実施形態では、データ転送構成4は、被試験装置6を備えたデータ転送チャネル4を含む。
【0041】
信号発生器12は、データ転送構成4の送信機とみなすことができる一方で、被試験装置6は、データ転送構成4の受信機とみなすことができる。
【0042】
本例示的実施形態では、信号発生器12は、試験装置2に割り当てられているので、チャネル28及び被試験装置6は、本例示的実施形態で試験される。本例示的実施形態と異なり、試験装置2は、チャネル28又は追加として信号発生器12を割り当てられることも可能である。その場合、被試験装置6のみ、又は信号発生器12(送信機)、チャネル18及び被試験装置6(受信機)から構成される全ての組み合わせのいずれかが試験される。
【0043】
試験装置2及び記載されたその構成要素は、以下に記載されたその課題及び/若しくは関数のそれぞれに対して対応して構成された、ハードウェア並びに/又はソフトウェア構成要素を含むことができる。
【0044】
データ転送チャネル28を試験する目的で、例えば試験装置2の信号発生器12は、所定の最低数の反復で初期試験データセットISTを発生し、初期試験データセットISTをチャネル4に適用するように構成される。本例示的実施形態では、信号発生器12は、少なくとも64Gサンプル/sのサンプリング速度、及び少なくとも8ビットの垂直解像度を有する。
【0045】
試験装置2は、初期試験データセットISTに基づいてチャネル出力側データセットKADを取得し、チャネル出力側信号KAS内のエラー分布FVを決定するために、前記チャネル出力側データセットを評価するように構成される。
【0046】
この目的で、本例示的実施形態では、被試験装置6は、チャネル出力側信号KASからチャネル出力側データセットKADを決定し、チャネル出力側信号KASを再度符号化し、それをエラー検出器14に前進させるように構成される。
【0047】
換言すると、本例示的実施形態では、送信機として関数発生器12は、初期試験データセットISTに基づいてチャネル入力側信号KESを提供し、このチャネル入力側信号は、チャネル28を介して転送され、受信機として被試験装置6によりチャネル出力側信号KASの形で受信され、再度チャネル出力側データセットKADに変換される。
【0048】
この場合、データセットは、物体(実体)に関連した情報/値を組み合わせ、画定された開始及び終了のないデータストリームと対照的に、画定された開始及び画定された終了を有する。類似用語は、タプル、群、データ記録、記録セットである。それに反して、信号はそれに配分された意味を持つ記号である。
【0049】
初期試験データセットISTは、適合試験パターン(=「固定パターン」、例えばPRBS31Q又はSSPRQ)及び導入された「障害」(例えばノイズ、ジッタ、その他)から構成することができる。典型的な最近のインターフェースであるような、20ギガシンボル/秒を超える転送速度では、初期試験セットISTの送信は、(2*1012/20*109)=100秒未満、すなわち2分未満かかり、これにより、パターン全体にエラー統計を経験的に取得することが実施可能になる。
【0050】
この場合、エラー分布FVは、チャネル出力側信号KASのエラーのどの点で起きたかを、例えば初期試験データセットISTとの比較により示す。
【0051】
PSS検出器10は、試験部分列PSS(問題のある部分列)を決定するためにエラー分布FVを評価する。
【0052】
ここでは受信機によって受信されたデータ、すなわちチャネル出力側データセットKADは、初期試験データセットISTからの本来送信されたデータと比較され、これは、例えば4つの記号だけ異なっている(4つのエラーが存在する)ことが確立される。単純化するために、エラーは、一般に信号全体にわたって分布されるが、信号の一部に集中すると仮定する。
【0053】
初期試験データセットISTの元のデータは以下のように読み取られる。
…100002321020120302000002021010000310210310230123333023…
【0054】
受信したチャネル出力側データセットKADは以下のように読み取られる。
…101002321020120302000002021010100311210310230123233023…
【0055】
4つのエラーは以下の部分列に起きる(長さN=5、遅延m=2と仮定する)、
10000(10100と受信された)-このエラーがここでは2度起きる、
31021(31121と受信された)、及び
23333(23233と受信された)。
【0056】
その結果、長さN=5を備えた45=1024の部分列から、3つの部分列のみがそれぞれエラーを生じ、部分列10000さえもエラーを2回生じる。3つ全ての部分列は、その他より高い可能性をもつ部分列(10000)の1つ、PSSとして分類される。
【0057】
本例示的実施形態では、試験部分列PSSは、エラー分布FVによるエラーを含有する初期試験セットISTの一部を含有する。
【0058】
CPS発生器8は、少なくとも決定された試験部分列PSSを備えた更なる試験データセットCPS(準拠する問題のある列)を決定し、試験データセットCPSに基づいて更なる試験信号をチャネル28に適用するように構成される。
【0059】
この目的で、CPS発生器8は、例えば進化的アルゴリズムの形の人工知能(AI)構成要素を含むことができる、すなわち、規則を発生する複数のCPSは自動的に進化し、post-FECエラー及び/又はCPS当たりのPSSの周波数に関して互いに常に比較される。最適でない規則は廃棄される一方で、最適な発生規則が見出されるまで、最良の規則が存続し、更なる変異を受ける。別法として、獲得した応報を最大化するための戦略は、強化学習を用いて独立して学習することができる。PSS又はpost-FEC BERの数は、ここでは「応報」として使用される。
【0060】
どちらの方法もデータの訓練が必要なく、どちらの方法も、問題を解決する過程でそれら自体が学習する。
【0061】
加えて学習を監視されない方法も使用することができる。その上、CPS発生器8も、AI構成要素がないように構成することができる。
【0062】
その上、試験装置2のpost-FECを決定するユニット20は、ビットエラー率BERを決定するために、チャネル出力側データセットKADを評価するように構成される。
【0063】
その結果、本例示的実施形態では、試験装置2は、エラー分布FVを評価することにより少なくとも1つの試験部分列PSSを決定し、少なくとも決定された試験部分列PSSを備えた更なる試験データセットCPSを決定するように構成される。
【0064】
その上、本例示的実施形態では、試験装置2は、試験データセットCPSに基づいて更なる試験信号をチャネル28に適用し、更なる試験データセットCPSに基づいて現在のチャネル出力側データセットKADを取得するように構成される。
【0065】
その上、本例示的実施形態では、試験装置2は、チャネル出力側データセットKAD内の現在のエラー分布FVを決定するため、及び現在のチャネル出力側データセットKAD内の現在のビットエラー率BERを決定するために、現在のチャネル出力側データセットKADを評価するように構成される。
【0066】
その上、本例示的実施形態では、試験装置2は、現在のビットエラー率BERを所定の閾値SWと比較するように構成される。比較が、ビットエラー率BERが所定の閾値SWより大きいことを示す場合、少なくとも1つの更なる試験部分列PSSは、エラー分布FVを評価することによって決定される。
【0067】
決定されたビットエラー率BERが所定の閾値SWより大きい場合、本例示的実施形態では、試験装置2は、エラー分布FVを評価することにより、少なくとも1つの更なる試験部分列PSSを決定し、少なくとも決定された試験部分列PSSを備えた更なる試験信号CPSを決定し、試験データセットCPSに基づいて更なる試験信号をチャネル4に適用し、更なる試験データセットCPSに基づいて現在のチャネル出力側データセットKADを決定し、チャネル出力側データセットKAD内の現在のエラー分布FVを決定するために、現在のチャネル出力側データセットKADを評価し、現在のチャネル出力側データセットKAD内の現在のビットエラー率BERを決定するために、現在のチャネル出力側データセットKADを再度評価するように構成される。
【0068】
その上、本例示的実施形態では、試験装置2は、比較が、現在のビットエラー率BERが所定の閾値SWより小さいことを示す場合、エラー分析のためにチャネル出力側データセットKADを評価するように構成される。
【0069】
反覆手法で、記載されたその構成要素を備えた試験装置2は、次いで更なる試験部分列PSSを確認し、こうして段階的な手法で試験データセットを一層更に最適化するために、更なる試験データセットCPSに更なる試験部分列PSSを追加する。換言すると、ビットエラー率BERは、各反復パスの過程で上昇する。例えばビットエラー率BERの上昇が、3つの連続したパスのそれぞれの過程で閾値SWより小さい場合に終了することができる。閾値SWは、例えば0.1%、0.05%、又はユーザが画定することができる。
【0070】
その上、本例示的実施形態では、試験装置2は、チャネル出力側データセットKADを評価することによって決定されたビットエラー率BERが、所定の限界値GWより小さいかどうかを確認するように構成される。ビットエラー率BERが限界値GWより小さい場合、決定された試験部分列PSSに基づいて少なくとも1つの更なる試験部分列PSSを決定する過程は影響を及ぼされ、更なる試験部分列PSSは更なる試験信号CPSに追加される。
【0071】
この場合、試験装置2は、更なる試験部分列PSSとして試験部分列PSSの逆数を決定し、及び/又はパルス応答、具体的には最高パルス応答の所定の点に同一記号を備えた試験部分列PSSの群を形成し、及び/又は試験部分列PSSに関連した所定の類似基準METを評価するように構成することができる。
【0072】
エラー分析のためにチャネル出力側データセットKADを評価することは、以下の試験を含むことができる。
【0073】
妨害耐性試験:受信機は、ノイズの場合であっても、規格によって許容された最高値より低いビットエラー率BERを備えた信号を解釈する。この試験のために、特定量(仕様に定義された)のノイズが信号に追加される。
【0074】
ジッタ耐性試験も同じであるが、ジッタがノイズの代わりに追加される。
【0075】
一部の規格は、信号障害よりむしろ異なる障害の組み合わせについて記載している。
【0076】
その上、post-FECエラーを決定することができる。
【0077】
更なる評価方法については後に説明する。
【0078】
その上、本例示的実施形態では、試験装置2は、反復パスの前にチャネル4のチャネル・パラメータSBR(t)、N及びmを決定するように構成される。
【0079】
【0080】
本例示的実施形態では、決定されたチャネル・パラメータは、SBR単一ビット応答(single bit response SBR(t))、遅延m(Delay)及び/又は信号S(t)の長さNである。
【0081】
図は、可能な記号0、1、2及び3を備えたPAM-4信号S(t)の理想的な単一パルス22及び対応するパルス応答24であり、単一ビット応答又はSBR(single bit response SBR(t))とも呼ばれる。
【0082】
理想的なチャネル4の場合、理想的な単一パルス22が、理想的なパルス応答に対応する、すなわち理想的な単一パルスは、第0の記号におけるパルスのみに影響を及ぼし、他の記号には影響を及ぼさない。
【0083】
しかし実際には、パルス応答24は、チャネル効果のためにはるかに鋭くなく、遅延若しくは遅延mを有し、複数の記号Nにわたって延在し、又は対応する長さの信号S(t)を有する。
【0084】
この例では、記号Nの数又は信号の長さはN=5であり、遅延m又は遅延はm=2である。換言すると、受信機は、単一パルスをそれが起きた時の時間0の点ではなく、むしろ時間2の点のみで「見る」はずである。ここでは、信号レベルは、理想的な単一パルス22の最高値にほぼ対応する。
【0085】
その上、評価目的で、アイ・ダイアグラムを発生して評価することができる。
【0086】
【0087】
この場合、
図3は、1つのアイ26を備えた単純なアイ・ダイアグラムを示し、
図4は、4つのレベル及び3つのアイ26を備えたPAM-4アイ・ダイアグラムを示し、
図5は、閉じたアイ26を備えたアイ・ダイアグラムを示す。
【0088】
アイ・ダイアグラムは、デジタルデータ転送の信号品質を評価するために使用することができる、電気信号プロファイルの図形表示である。アイ・ダイアグラムは、一連の数的特徴によって置換することができるが、非常に単純でもあるので、非常に単純なアルゴリズムによって評価することができ、つまり評価は完全に自動化することができ、ユーザは評価する必要がない。
【0089】
アイ・ダイアグラムは、統計的に分布された可能性のある信号プロファイルの一種の要約である。適切な場合、ここにカラーコーディングが使用されるので、信号プロファイルの可能性が色彩から明らかになる。信号が受ける影響の結果、理論的には無限の急激な遷移は0から1に進み、逆も同様であり、ここでは数学的に同じ点で長方形又は一定に進むのではなく、むしろ多かれ少なかれ曖昧な幅で遷移し、その結果、アイの典型的な形状は「小さい障害」の場合に中心で上昇する(
図3参照)。
【0090】
換言すると、アイ・ダイアグラムは、信号転送の問題を可視化する。問題がない、又はわずかな問題しかない場合、アイ26は大きく開き、信号遷移がないことが必要である。
【0091】
転送妨害が原因で決定的であるために転送妨害が予想できる場合、信号は依然として等化を用いて受信することができる。アイ26に遷移が起きる部分列を正確に認識することにより、開発者が設計の最適化及び特に等化するのに役立つ。
【0092】
アイ26が閉じている(
図5参照)場合に、単純な閾値検出器を用いて信号を再構築することは不可能である。アイ26が開いていても、レベルが、それに続く段階を駆動するために必要な大きさを持たない場合は、識別ができないことがある。水平にアイが開いていることは、論理的瞬間状態の評価が可能である時間的範囲を示す。位相関係が明確ではない、又はジッタのために変化が多すぎる場合、アイ26は閉じる。
【0093】
その上、評価は、以下の方式に基づいて影響を及ぼされる可能性がある。
【0094】
問題は、試験部分列PSSの分類によって診断される。試験部分列PSSが属するクラスを画定するために、それぞれの試験部分列PSSが、以下のクラス画定特性の1つを有するかどうかを確立するために確認が行われる。
【0095】
1.複合試験部分列PSS(異なる組み合わせに異なる記号があり、部分組み合わせに反復する信号がない、例えば230131201132は、等化問題を示す、
2.不均等なマーク密度を備えた試験部分列PSS(すなわち試験部分列PSSの平均値は、信号の平均値より明らかに低い、又は明らかに高い、例えばPAM-4試験部分列PSS3232223332は、平均値2.5を有するが、PAM-4信号の平均レベルは、(0+1+2+3)/4=1.5である。これは、受信機内の基線変動又は受信機のフロントエンドの交流結合における問題を示す、
3.連続した同一記号(例えば0000001)又は小さい電圧振幅を備えた記号(例えばPAM-4信号PSS1221221112)の長い区分を備えた試験部分列PSSは、クロック修復の問題を示す。
【0096】
試験部分列PSSは、複数のクラスに同時に属する複数の特性も有することがある。例えば列100001001を備えた試験部分列PSSは、クラス2及び3に属する。
【0097】
その上、本例示的実施形態では、試験装置2は、ビットエラー率BERが所定の限界値より小さい場合、現在の更なる試験部分列PSSとして試験部分列PSSの逆数INV(
図7参照)を決定するように構成される。
【0098】
例えばPAM-4信号20301の場合、逆数INVは13032と読み取る。
【0099】
本例示的実施形態では、異なる転送を用いた信号転送のために、チャネル4への全ての影響は垂直に対称であると仮定することができる。
【0100】
部分列s+(t)及びs-(t)を転送するための条件は、一般に同一であり、従ってs+の増加(これは受信機が誤って0を1と解釈する可能性がある)は、s-の増加(これは受信機が誤って3を2と解釈する可能性がある)と丁度同程度である。
【0101】
その上、本例示的実施形態では、試験装置2は、パルス応答、具体的には最高パルス応答の所定の点に同一記号を備えた試験部分列PSSの群を形成するように構成される。この場合、同一記号は、エラーが実際に起きる列における記号を意味すると理解される。
【0102】
その上、本例示的実施形態では、試験装置2は、試験部分列PSSを選択するために、試験部分列PSSに関連した所定の類似基準を決定して評価するように構成される。
【0103】
類似基準METの一例は、以下の通りである。
【数1】
【0104】
2つの列s1、s2は、類似性メトリック(s1,s2)=0である場合、全体的に類似している。類似性メトリック(s1,s2)の値が大きいほど、2つの列s1、s2は類似性が小さい。
【0105】
図2に示されたチャネル4のSBR単一ビット応答(single bit response SBR(t))に対して、それぞれのSBR値は、例えばSBR(0)=0.05、SBR(1)=0.15、SBR(2)=0.4、SBR(3)=0.3、SBR(4)=0.1と読み取る。
【0106】
2つの列s1=01300及びs2=10300に対する類似性基準METは、次いで以下のように与えられる。
類似性メトリック(01300,10300)=(0-1)2・0.05+(1-0)2・0.15+0+0+0=0.2
【0107】
この値は0に近く、列s1、s2は実際に類似している。
【0108】
対照的に、列s1=01300及びs2=12211に対する類似性基準METは、値1を有し、これは、これらの列s1、s2が全く異なることを意味する。
【0109】
試験装置2を作動するための具体的な方法列について、次に追加として
図6及び7を参照して説明する。
【0110】
第1のステップS100は、チャネル4のチャネル・パラメータ(SBR(t),N,m)を決定することに関与する。
【0111】
更なるステップS200は、所定の最低数の反復で初期試験データセットISTを発生することに関与する。
【0112】
更なるステップS300は、初期試験データセットISTをチャネル28に適用することに関与する。
【0113】
更なるステップS400は、初期試験データセットISTに基づいてチャネル出力側データセットKADを取得することに関与する。
【0114】
更なるステップS500は、チャネル出力側試験データセットKAD内のエラー分布FVを決定するために、チャネル出力側データセットKADを評価することに関与する。
【0115】
更なるステップS600は、チャネル出力側データセットKAD内のビットエラー率BERを決定するために、チャネル出力側データセットKADを評価することに関与する。
【0116】
更なるステップS700は、エラー分布FVを評価することにより、試験部分列PSSを決定することに関与する。
【0117】
この目的で、更なるステップS740は、ステップS600においてチャネル出力側データセットKADを評価することによって決定されたビットエラー率BERが、所定の限界値GWより小さいかどうかを確認することに関与する。
【0118】
ビットエラー率BERが所定の限界値GW以上である場合、方法は、更なるステップS800に続けられる。本例示的実施形態と異なり、ビットエラー率BERが所定の限界値GWに等しくない場合に、方法は、更なるステップS800に続けるようにすることもできる。
【0119】
対照的に、ビットエラー率BERが所定の限界値GWより小さい場合、以下のステップが行われる。
【0120】
更なるステップS760は、決定された試験部分列PSSに基づいて少なくとも1つの更なる試験部分列PSSを決定することに関与する。
【0121】
この目的で、更なるステップS762は、更なる試験部分列PSSとして試験部分列PSSの逆数INVを決定することに関与する。
【0122】
その上、この目的で、更なるステップS764は、パルス応答、具体的には最高パルス応答の所定の点に同一記号を備えた試験部分列PSSの群Gを形成することに関与する。
【0123】
その上、この目的で、更なるステップS766は、試験部分列PSSに関して所定の類似基準METを決定し、試験部分列PSSを選択するために、それを評価することに関与する。
【0124】
更なるステップS780は、更なる試験部分列PSSを更なる試験データセットCPSに追加することに関与する。
【0125】
更なるステップS800は、少なくとも決定された試験部分列PSSを備えた更なる試験データセットCPSを決定することに関与する。
【0126】
第1のステップS900は、更なる試験データセットCPSをチャネル28に適用することに関与する。
【0127】
更なるステップS1000は、更なる試験データセットCPSに基づいて現在のチャネル出力側データセットKADを決定することに関与する。
【0128】
更なるステップS1100は、現在のチャネル出力側データセットKAD内の現在のエラー分布FVを決定するために、現在のチャネル出力側データセットKADを評価することに関与する。
【0129】
更なるステップS1200は、現在のチャネル出力側データセットKAD内の現在のビットエラー率BERを決定するために、現在のチャネル出力側データセットKADを評価することに関与する。
【0130】
更なるステップS1300は、ビットエラー率BERを閾値SWと比較することに関与する。
【0131】
ステップS1300における比較が、ビットエラー率BERが所定の閾値SWより小さいことを示す場合、方法は更なるステップS1400に続けられる。
【0132】
対照的に、ステップS1300における比較が、ビットエラー率BERが所定の閾値SWより大きいことを示す場合、本例示的実施形態では、ステップS740及びS760を含み、ステップS762、S764及びS766、並びにS780も含む、以下のステップS700~S1200は、具体的には反復して実行される。
【0133】
この目的で、更なるステップS740は、次いでステップS1100においてチャネル出力側データセットKADを評価することによって決定された現在のビットエラー率BERが、所定の限界値GWより小さいかどうかを確認することに関与する。
【0134】
本例示的実施形態と異なり、現在のビットエラー率BERが所定の限界値GWに等しい場合、方法は、更なるステップS1300に続けるようにすることもできる。
【0135】
本例示的実施形態では、方法は、ステップS100~S600の初期段階、及びステップS700~S1200の下部で制御されるループ(foot-controlled loop)を含む。本例示的実施形態と異なり、方法は、上部で制御されるループ(head-controlled loop)を含むこともできる。
【0136】
更なるステップS1400は、ビットエラー率BERが所定の閾値SWに対応する場合、エラー分析のためにチャネル出力側信号KASを評価することに関与する。
【0137】
本例示的実施形態と異なり、ステップの順番は、異なる順番であることも可能である。その上、複数のステップは、同時に又は一斉に行うこともできる。その上、本例示的実施形態と異なり、個々のステップは飛ばす又は省くこともできる。
【0138】
その結果、反復する過程で、試験パターンが最も複雑(これは最大限に受信機に負荷する)だが適合する、すなわち実際の作動中に可能である、信号列を有するという意味で、テスト信号を段階的に尚一層最適化するために、更なる試験部分列が確認されて試験信号に追加される。
【符号の説明】
【0139】
2 試験装置
4 構成
6 被試験装置
8 CPS発生器
10 PSS検出器
12 信号発生器
14 エラー検出器
16 CPSアイ・ビジュアライザ
18 PSS分類器
20 post-FEC決定ユニット
22 単一パルス
24 パルス応答
26 アイ
28 チャネル
BER ビットエラー率
CPS 試験データセット
FV エラー分布
G 群
GW 限界値
INV 逆数
IST 初期試験データセット
KAD チャネル出力側データセット
KAS チャネル出力側信号
KES チャネル入力側信号
m 遅延
MET 類似基準
n 信号の長さ
s1 列
s2 列
S(t) 信号
s+(t) 副信号
s-(t) 副信号
SBR 単一ビット応答
SW 閾値
PSS 試験部分列
S100 ステップ
S200 ステップ
S300 ステップ
S400 ステップ
S500 ステップ
S600 ステップ
S700 ステップ
S740 ステップ
S760 ステップ
S762 ステップ
S764 ステップ
S766 ステップ
S780 ステップ
S800 ステップ
S900 ステップ
S1000 ステップ
S1100 ステップ
S1200 ステップ
S1300 ステップ
S1400 ステップ
【外国語明細書】