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▶ ザ ウィスター インスティテュート オブ アナトミー アンド バイオロジーの特許一覧 ▶ イノビオ ファーマシューティカルズ,インコーポレイティドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023121765
(43)【公開日】2023-08-31
(54)【発明の名称】最適化された核酸抗体構築物
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/13 20060101AFI20230824BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20230824BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20230824BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20230824BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20230824BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20230824BHJP
   C07K 16/00 20060101ALN20230824BHJP
【FI】
C12N15/13 ZNA
A61P37/04
A61P31/12
A61K31/7088
A61K48/00
A61K39/395 N
C07K16/00
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023097859
(22)【出願日】2023-06-14
(62)【分割の表示】P 2019562336の分割
【原出願日】2018-05-10
(31)【優先権主張番号】62/504,460
(32)【優先日】2017-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/624,320
(32)【優先日】2018-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/624,367
(32)【優先日】2018-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/504,448
(32)【優先日】2017-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】516142001
【氏名又は名称】ザ ウィスター インスティテュート オブ アナトミー アンド バイオロジー
(71)【出願人】
【識別番号】509320254
【氏名又は名称】イノビオ ファーマシューティカルズ,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【弁理士】
【氏名又は名称】武居 良太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100197169
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 潤二
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド ウェイナー
(72)【発明者】
【氏名】ギアベ ギビンガ
(72)【発明者】
【氏名】ニール コーチ
(72)【発明者】
【氏名】チャールズ リード
【テーマコード(参考)】
4C084
4C085
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4C084AA13
4C084NA14
4C084ZB09
4C084ZB33
4C085AA14
4C085BB23
4C085CC23
4C085EE01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA04
4C086EA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZB09
4C086ZB33
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】      (修正有)
【課題】構造修飾されたDNAコード化抗体(DMAb)を含む組成物、DMAbの構造修飾方法、および構造修飾されたDMAbの使用方法の提供。
【解決手段】構造修飾されたDNAコード化抗体(DMAb)を含む組成物、DMAbの構造修飾方法、および構造修飾されたDMAbの使用方法が、本明細書に開示される。
【選択図】図1A-1C
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造修飾されたDNAコード化抗体(DMAb)をコードする核酸配列を生成する方法であって、
a)第1のDMAbの1つ以上のCDR領域を同定するステップと、
b)第2のDMAbの1つ以上のCDR領域を同定するステップと、
c)前記第2のDMAbの1つ以上のCDR領域のアミノ酸配列を前記第1のDMAbの1つ以上のCDR領域のアミノ酸配列で置換して、構造修飾されたDMAbのアミノ酸配列を生成するステップと、
d)構造修飾されたDMAbをコードする核酸配列を生成するステップと、を含む、方法。
【請求項2】
前記核酸配列を最適化することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
構造修飾されたDMAbをコードする核酸配列を生成する方法であって、
a)第1のDMAbのアミノ酸配列またはアミノ酸配列の断片と、1つ以上の追加のDMAb配列に由来するアミノ酸配列またはアミノ酸配列の断片との配列アラインメントを行うステップと、
b)CDR領域中の残基ではない、前記第1のDMAbのアミノ酸配列の1つ以上のアミノ酸残基を、1つ以上の追加のDMAb配列のアミノ酸配列の1つ以上のアミノ酸残基で置換して、構造修飾されたDMAbのアミノ酸配列を生成するステップと、
d)構造修飾されたDMAbをコードする核酸配列を生成するステップと、を含む、方法。
【請求項4】
前記核酸配列を最適化することをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
構造修飾されたDMAbをコードする核酸配列を生成する方法であって、
a)可変重鎖および可変軽鎖ドメインの界面での相互作用に関与することが予測されるDMAbのアミノ酸残基を同定するステップと、
b)前記界面での等電点および表面電荷のうちの少なくとも一方を改変することが予測される、前記同定されたアミノ酸残基の1つ以上のアミノ酸置換を作製して、構造修飾されたDMAbのアミノ酸配列を生成するステップと、
d)構造修飾されたDMAbをコードする核酸配列を生成するステップと、を含む、方法。
【請求項6】
前記核酸配列を最適化することをさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
構造修飾されたDMAbをコードする核酸配列を生成する方法であって、
a)CHおよびCLドメインのアミノ酸配列をDMAbのアミノ酸配列から除去するステップと、
b)VHおよびVLドメインのアミノ酸配列間のリンカーのアミノ酸配列をDMAbのアミノ酸配列に付加して、構造修飾されたDMAbのアミノ酸配列を生成するステップと、
c)少なくとも1周回のモデリングを前記生成されたアミノ酸配列に行うステップと、
d)構造修飾されたDMAbをコードするヌクレオチド配列を生成するステップと、を含む、方法。
【請求項8】
前記核酸配列を最適化することをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記モデリングする方法が、リンカーモデリング、ヒンジ修飾モデリング、フレームワークモデリング、およびCDRループ精密化のうちの少なくとも1つを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記リンカーが、前記VHドメインにC末端連結し、前記VLドメインにN末端連結する、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記リンカーが、前記VHドメインにN末端連結し、前記VLドメインにC末端連結する、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
a)CHおよびCLドメインのアミノ酸配列をDMAbのアミノ酸配列から除去するステップと、
b)VHおよびVLドメインのアミノ酸配列間のリンカーのアミノ酸配列をDMAbのアミノ酸配列に付加して、構造修飾されたDMAbのアミノ酸配列を生成するステップと、
c)少なくとも1周回のモデリングを前記生成されたアミノ酸配列に行うステップと、をさらに含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
請求項1~12に記載の方法のうちのいずれかの核酸分子によってコードされた、構造修飾されたDMAb。
【請求項14】
第1のDMAbに由来する1つ以上のCDR領域と、第2のDMAbに由来する1つ以上の定常領域と、を含む、構造修飾されたDMAbであって、前記構造修飾されたDMAbが、そのように修飾されていない対応するDMAbと比較して、より高いインビボ発現およびより高い結合のうちの少なくとも一方を呈する、構造修飾されたDMAb。
【請求項15】
前記構造修飾されたDMAbが、そのように修飾される前の前記構造修飾されたDMAbの特異性と比較して、少なくとも同じまたはより高い抗原結合特異性を呈する、請求項14に記載の構造修飾されたDMAb。
【請求項16】
1つ以上のアミノ酸置換を含む構造修飾されたDMAbであって、前記構造修飾されたDMAbが、そのように修飾されていない対応するDMAbと比較して、より高いインビボ発現およびより高い結合のうちの少なくとも一方を呈する、構造修飾されたDMAb。
【請求項17】
CH1、CH2、ヒンジ、VH、リンカー、およびVLドメインを含む、構造修飾されたDMAbであって、前記構造修飾されたDMAbが、そのように修飾されていない対応するDMAbと比較して、より高いインビボ発現およびより高い結合のうちの少なくとも一方を呈する、構造修飾されたDMAb。
【請求項18】
請求項13~17のいずれか一項に記載の構造修飾されたDMAbをコードする少なくとも1つのヌクレオチド配列を含む核酸分子を含む、組成物。
【請求項19】
少なくとも1つの構造修飾されたDMAbが、
a)アミノ酸配列であって、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号64、配列番号66、配列番号68、配列番号70、配列番号72、配列番号74、配列番号76、配列番号78、配列番号80、配列番号82、配列番号84、配列番号86、配列番号88、配列番号90、配列番号92、配列番号94、配列番号96、配列番号98、配列番号100、配列番号102、配列番号104、配列番号106、配列番号108、配列番号111、配列番号113、配列番号115、および配列番号119からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して、前記コードされた配列の全長にわたって、少なくとも90%を有する、アミノ酸配列と、
b)断片であって、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号64、配列番号66、配列番号68、配列番号70、配列番号72、配列番号74、配列番号76、配列番号78、配列番号80、配列番号82、配列番号84、配列番号86、配列番号88、配列番号90、配列番号92、配列番号94、配列番号96、配列番号98、配列番号100、配列番号102、配列番号104、配列番号106、配列番号108、配列番号111、配列番号113、配列番号115、および配列番号119からなる群から選択されるアミノ酸配列の少なくとも60%を構成する断片と、からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
前記核酸分子が、少なくとも2つのヌクレオチド配列を含み、各ヌクレオチド配列が、構造修飾されたDMAbをコードする、請求項18に記載の組成物。
【請求項21】
請求項18に記載の少なくとも1つの組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む、疾患または障害を有する対象を治療する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年5月10日出願の米国仮出願第62/504,448号、2017年5月10日出願の米国仮出願第62/504,460号、2018年1月31日出願の米国仮出願第62/624,320号、および2018年1月31日出願の米国仮出願第62/624,367号に対する優先権を主張し、各々全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、核酸抗体構築物を最適化する方法、および最適化された構造修飾された核酸抗体構築物に関する。本発明の組成物は、免疫応答を誘導するため、ならびに抗原に対して個体を予防的および/または治療的に免疫化するための改善された方法を提供する。
【背景技術】
【0003】
免疫グロブリン分子は、システイン残基間のジスルフィド結合(S-Sとして示される)によって共有結合している2つの軽(L)鎖および重(H)鎖の各種類を含む。重鎖(VH)および軽鎖(VL)の可変ドメインは、抗体分子の結合部位に寄与する。重鎖定常領域は、3つの定常ドメイン(CH1、CH2、およびCH3)と、(可動)ヒンジ領域とからなる。軽鎖も定常ドメイン(CL)を有する。重鎖および軽鎖の可変領域は、4つのフレームワーク領域(FR;FR1、FR2、FR3、およびFR4)と、3つの相補性決定領域(CDR;CDR1、CDR2、およびCDR3)とを含む。したがって、これらは、インビボで組み立てるのが困難な非常に複雑な遺伝子系である。
【0004】
標的化モノクローナル抗体(mAb)は、過去25年間で最も重要な医学的治療の進歩のうちの1つである。この種の免疫に基づく治療は、今では、多くの自己免疫疾患、癌治療、および感染疾患に対して日常的に使用されている。悪性腫瘍については、現在使用されている免疫グロブリン(Ig)に基づく治療の多くは、腫瘍に向けられた細胞傷害性化学療法レジメンと組み合わされる。この組み合わせ手法では、全生存が著しく改善している。非ホジキンリンパ腫の治療用のCD20を標的とするキメラmAbであるRituxan(リツキシマブ)、ならびにCTLA-4を遮断し、黒色腫および他の悪性腫瘍の治療に使用されているヒトmAbであるイピリムマブ(Yervoy)を含む、多数のmAb調製物が特定の癌に対する使用に認可されている。加えて、ベバシズマブ(Avastin)は、VEGFおよび腫瘍新血管形成を標的とし、大腸癌の治療に使用されている、別の卓越したヒト化mAbである。悪性腫瘍の治療のための最も注目されているmAbは、患者のサブセットにおいて乳癌に対して多大な効果を有することが実証されているHer2/neuを標的とするヒト化調製物であるトラスツズマブ(Herceptin)であろう。さらに、多くのmAbが、自己免疫疾患および特定の血液障害の治療に使用されている。
【0005】
癌治療に加えて、ポリクローナルIgの受動伝達により、ジフテリア、肝炎AおよびB、狂犬病、破傷風、水疱瘡、ならびに呼吸器合胞体ウイルス(RSV)を含む、いくつもの感染疾患に対する予防効果が媒介される。実際に、いくつかのポリクローナルIg調製物により、予防的Igを有効なワクチン接種によって生成する時間が十分にない状況下で疾患流行地域に行く個体において、特定の病原体に対する一時的な保護が提供される。さらに、免疫不全の小児において、RSV感染を標的とするmAbであるパリビズマブ(Synagis)は、RSVから臨床的に保護することが実証されている。
【0006】
市場に存在する現在利用可能な治療用抗体は、ヒトIgG1アイソタイプである。これらの抗体は、大部分のオリゴ糖がコアフコシル化される抗体定常領域(Fc)に結合した2つのN連結した二分岐の複合体型オリゴ糖を保有する糖タンパク質を含む。これは、抗体依存性細胞毒性(ADCC)および補体依存性細胞毒性(CDC)のエフェクター機能を、Fcと白血球受容体(FcγRs)または補体のいずれかとの相互作用によって実行する。治療用抗体の(インビトロに対して)低下したインビボ効果の事象が存在するため、多量、場合により数百ミリグラムの週間用量の治療用抗体が必要とされている。これは主に、血清IgGと治療用抗体とがナチュラルキラー(NK)細胞におけるFcγRIIIaへの結合について競合することに起因する。内因性ヒト血清IgGは、治療用抗体によって誘導されたADCCを阻害する。このため、ヒトにおけるフコシル化されていない治療用抗体の効果が増強され得る。フコシル化されていない治療用抗体は、フコシル化されたヒト血清IgGよりもかなり高いFcγRIIIaへの結合親和性を有しており、これは、ヒト血漿IgGによる干渉を打破するために好ましい特徴である。
【0007】
抗体に基づく治療には、リスクがないわけではない。1つのそのようなリスクは抗体依存性感染増強(ADE)であり、これは、非中和抗ウイルスタンパク質によりウイルスの宿主細胞への進入が促進されて、細胞における感染性の増加が引き起こされるときに生じる。一部の細胞は、その表面に、ウイルスが進入に用いる通常の受容体を有しない。抗ウイルスタンパク質(即ち、抗体)は、これらの細胞のうちのいくつかが細胞膜中に有する抗体Fc受容体に結合する。ウイルスは、抗体のもう一方の端部で抗原結合部位に結合する。このウイルスは、この機序を使用してヒトマクロファージを感染させることで、通常であれば軽度のウイルス感染を致死的なものにし得る。ADEの最も広く知られている例は、デングウイルス(DENV)に感染した状況で生じる。これは、DENVのある血清型に以前に感染したことのある人が何カ月または何年も後に異なる血清型に感染したときに観察される。そのような場合、疾患の臨床経過はより重篤であり、これらの人々は、ADEが生じていない人々と比較してより高いウイルス血症を有する。このことにより、一次(最初の)感染は小児において大抵は深刻でない疾患(DF)しか引き起こさない一方、二次感染(後日の再感染)は、小児および成人の両方において重篤な疾患(DHFおよび/またはDSS)とより関連付けられる傾向にあるという観察が説明される。抗原性の異なるDENVの血清型は4つ(DENV-1~DENV-4)ある。DENVによる感染は、感染性血清型に対する終生免疫を提供する中和同型免疫グロブリンG(IgG)抗体の産生を誘導する。DENVによる感染はまた、他の3つの血清型に対するある程度の交差防御免疫を生じる。中和異型抗体の誘導に加えて、DENVによる感染は、ウイルスを部分的にしかまたは全く中和しない異型抗体も誘導し得る。そのような交差反応性であるが非中和性である抗体の産生が、より重篤な二次感染の理由であり得る。白血球の中に入ると、ウイルスは、検出されずに複製し、最終的に非常に高いウイルス力価を生み、これが重篤な疾患を引き起こす。
【0008】
mAb療法の臨床的影響は目覚ましい。しかしながら、この治療手法の使用および普及を制限する問題が残っている。これらのうちのいくつかには、特にこれらが大きな影響を有し得る発展途上国での、より広範な集団におけるその使用を制限し得るこれらの複雑な生物製剤の製造コストの高さが含まれる。例えば、エボラウイルス糖タンパク質(GP)を標的とするmAbは、エボラウイルス疾患(EVD)に対する重要な治療手法である。個々のmAbおよびmAbカクテルは、小型動物および非ヒト霊長類を致命的なエボラウイルス感染から首尾よく保護し得ることが示されている。EVDに対するmAbに基づく治療は、抗GP mAbカクテルであるZMappを受けた確認済みのヒトEVD症例における順調な回復によりさらに支持される。しかしながら、劇的なコスト、遅い開発、およびいくつかの高用量投与(mg/kg)に対する必要条件により、特に大流行の可能性があるときに、タンパク質mAb送達に対して重大な課題が突き付けられる。
【0009】
さらに、効果を達成し維持するためにmAbの度重なる投与が頻繁に必要とされることは、ロジスティクスおよび患者コンプライアンスの観点から妨げになり得る。血清IgGとの競合に起因する治療用抗体のインビボ効果の低さを改善または排除する新たな抗体が必要とされている。EVD、デング、HIV、RSV、および他のウイルスのようなウイルスにおける抗体依存性感染増強を排除し得る新たな抗体が必要とされている。二重特異性抗体、二機能性抗体、および抗体カクテルが、治療的または予防的であることが判明し得るいくつかの機能を行うために必要とされている。本明細書に記載の合成抗体を、DNA系ワクチンを含むワクチンによる免疫化を介した宿主系の免疫刺激と共に利用し得る組み合わせ療法も必要とされている。加えて、これらの抗体製剤の長期安定性は、しばしば短く、最善とは言い難い。
【0010】
よって、安全かつコスト効果的様式で対象に送達することができる最適化された合成抗体分子が、当該技術分野で依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0011】
一実施形態では、本発明は、構造修飾されたDNAコード化抗体(DMAb)をコードする核酸配列を生成する方法に関し、本方法は、第1のDMAbの1つ以上のCDR領域を同定するステップと、第2のDMAbの1つ以上のCDR領域を同定するステップと、第2のDMAbの1つ以上のCDR領域のアミノ酸配列を、第1のDMAbの1つ以上のCDR領域のアミノ酸配列で置換して、構造修飾されたDMAbのアミノ酸配列を生成するステップと、構造修飾されたDMAbをコードする核酸配列を生成するステップと、を含む。一実施形態では、本方法は、核酸配列を最適化することをさらに含む。
【0012】
一実施形態では、本発明は、構造修飾されたDMAbをコードする核酸配列を生成する方法に関し、本方法は、第1のDMAbのアミノ酸配列またはアミノ酸配列の断片と、1つ以上の追加のDMAb配列に由来するアミノ酸配列またはアミノ酸配列の断片との配列アラインメントを行うステップと、CDR領域中の残基ではない、第1のDMAbのアミノ酸配列の1つ以上のアミノ酸残基を、1つ以上の追加のDMAb配列のアミノ酸配列の1つ以上のアミノ酸残基で置換して、構造修飾されたDMAbのアミノ酸配列を生成するステップと、構造修飾されたDMAbをコードする核酸配列を生成するステップと、を含む。一実施形態では、本方法は、核酸配列を最適化することをさらに含む。
【0013】
一実施形態では、本発明は、構造修飾されたDMAbをコードする核酸配列を生成する方法に関し、本方法は、可変重鎖および可変軽鎖ドメインの界面での相互作用に関与することが予測されるDMAbのアミノ酸残基を同定するステップと、界面での等電点および表面電荷のうちの少なくとも一方を改変することが予測される、同定されたアミノ酸残基の1つ以上のアミノ酸置換を作製して、構造修飾されたDMAbのアミノ酸配列を生成するステップと、構造修飾されたDMAbをコードする核酸配列を生成するステップと、を含む。一実施形態では、本方法は、核酸配列を最適化することをさらに含む。
【0014】
一実施形態では、本発明は、構造修飾されたDMAbをコードする核酸配列を生成する方法に関し、本方法は、CHおよびCLドメインのアミノ酸配列をDMAbのアミノ酸配列から除去するステップと、VHおよびVLドメインのアミノ酸配列間のリンカーのアミノ酸配列をDMAbのアミノ酸配列に付加して、構造修飾されたDMAbのアミノ酸配列を生成するステップと、少なくとも1周回のモデリングを生成されたアミノ酸配列に行うステップと、構造修飾されたDMAbをコードするヌクレオチド配列を生成するステップと、を含む。一実施形態では、本方法は、核酸配列を最適化することをさらに含む。
【0015】
一実施形態では、モデリング方法は、リンカーモデリング、ヒンジ修飾モデリング、フレームワークモデリング、およびCDRループ精密化のうちの少なくとも1つを含む。
【0016】
一実施形態では、リンカーは、VHドメインにC末端連結し、VLドメインにN末端連結する。一実施形態では、リンカーは、VHドメインにN末端連結し、VLドメインにC末端連結する。
【0017】
一実施形態では、本発明は、構造修飾されたDMAbをコードする核酸配列を生成する方法に関し、本方法は、第1のDMAbの1つ以上のCDR領域を同定するステップと、第2のDMAbの1つ以上のCDR領域を同定するステップと、第2のDMAbの1つ以上のCDR領域のアミノ酸配列を第1のDMAbの1つ以上のCDR領域のアミノ酸配列で置換して、構造修飾されたDMAbのアミノ酸配列を生成するステップと、CHおよびCLドメインのアミノ酸配列をDMAbのアミノ酸配列から除去するステップと、VHおよびVLドメインのアミノ酸配列間のリンカーのアミノ酸配列をDMAbのアミノ酸配列に付加して、構造修飾されたDMAbのアミノ酸配列を生成するステップと、少なくとも1周回のモデリングを生成されたアミノ酸配列に行うステップと、構造修飾されたDMAbをコードするヌクレオチド配列を生成するステップと、を含む。一実施形態では、本方法は、核酸配列を最適化することをさらに含む。
【0018】
一実施形態では、本発明は、構造修飾されたDMAbをコードする核酸配列を生成する方法に関し、本方法は、第1のDMAbのアミノ酸配列またはアミノ酸配列の断片と、1つ以上の追加のDMAb配列に由来するアミノ酸配列またはアミノ酸配列の断片との配列アラインメントを行うステップと、CDR領域中の残基ではない、第1のDMAbのアミノ酸配列の1つ以上のアミノ酸残基を、1つ以上の追加のDMAb配列のアミノ酸配列の1つ以上のアミノ酸残基で置換して、構造修飾されたDMAbのアミノ酸配列を生成するステップと、CHおよびCLドメインのアミノ酸配列をDMAbのアミノ酸配列から除去するステップと、VHおよびVLドメインのアミノ酸配列間のリンカーのアミノ酸配列をDMAbのアミノ酸配列に付加して、構造修飾されたDMAbのアミノ酸配列を生成するステップと、少なくとも1周回のモデリングを生成されたアミノ酸配列に行うステップと、構造修飾されたDMAbをコードする核酸配列を生成するステップと、を含む。一実施形態では、本方法は、核酸配列を最適化することをさらに含む。
【0019】
一実施形態では、本発明は、構造修飾されたDMAbをコードする核酸配列を生成する方法に関し、本方法は、可変重鎖および可変軽鎖ドメインの界面での相互作用に関与することが予測されるDMAbのアミノ酸残基を同定するステップと、界面での等電点および表面電荷のうちの少なくとも一方を改変することが予測される、同定されたアミノ酸残基の1つ以上のアミノ酸置換を作製して、構造修飾されたDMAbのアミノ酸配列を生成するステップと、CHおよびCLドメインのアミノ酸配列をDMAbのアミノ酸配列から除去するステップと、VHおよびVLドメインのアミノ酸配列間のリンカーのアミノ酸配列をDMAbのアミノ酸配列に付加して、構造修飾されたDMAbのアミノ酸配列を生成するステップと、少なくとも1周回のモデリングを生成されたアミノ酸配列に行うステップと、構造修飾されたDMAbをコードする核酸配列を生成するステップと、を含む。一実施形態では、本方法は、核酸配列を最適化することをさらに含む。
【0020】
一実施形態では、本発明は、本発明の方法を使用して生成された核酸分子によってコードされた、構造修飾されたDMAbに関する。
【0021】
一実施形態では、本発明は、第1のDMAbに由来する1つ以上のCDR領域と、第2のDMAbに由来する1つ以上の定常領域と、を含む、構造修飾されたDMAbに関し、本構造修飾されたDMAbは、そのように修飾されていない対応するDMAbと比較して、より高いインビボ発現およびより高い結合のうちの少なくとも一方を呈する。
【0022】
一実施形態では、本構造修飾されたDMAbは、そのように修飾される前の構造修飾されたDMAbの特異性と比較して、少なくとも同じまたはより高い抗原結合特異性を呈する。
【0023】
一実施形態では、本発明は、1つ以上のアミノ酸置換を含む構造修飾されたDMAbに関し、本構造修飾されたDMAbは、そのように修飾されていない対応するDMAbと比較して、より高いインビボ発現およびより高い結合のうちの少なくとも一方を呈する。
【0024】
一実施形態では、本発明は、CH1、CH2、ヒンジ、VH、リンカー、およびVLドメインを含む、構造修飾されたDMAbに関し、本構造修飾されたDMAbは、そのように修飾されていない対応するDMAbと比較して、より高いインビボ発現およびより高い結合のうちの少なくとも一方を呈する。
【0025】
一実施形態では、本発明は、構造修飾されたDMAbをコードする少なくとも1つのヌクレオチド配列を含む核酸分子を含む組成物に関する。一実施形態では、少なくとも1つの構造修飾されたDMAbは、a)アミノ酸配列であって、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号64、配列番号66、配列番号68、配列番号70、配列番号72、配列番号74、配列番号76、配列番号78、配列番号80、配列番号82、配列番号84、配列番号86、配列番号88、配列番号90、配列番号92、配列番号94、配列番号96、配列番号98、配列番号100、配列番号102、配列番号104、配列番号106、配列番号108、配列番号111、配列番号113、配列番号115、もしくは配列番号119のアミノ酸配列に対してコードされた配列の全長にわたって少なくとも90%を有する、アミノ酸配列、またはb)断片であって、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号64、配列番号66、配列番号68、配列番号70、配列番号72、配列番号74、配列番号76、配列番号78、配列番号80、配列番号82、配列番号84、配列番号86、配列番号88、配列番号90、配列番号92、配列番号94、配列番号96、配列番号98、配列番号100、配列番号102、配列番号104、配列番号106、配列番号108、配列番号111、配列番号113、配列番号115、もしくは配列番号119のアミノ酸配列の少なくとも60%を構成する断片、から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0026】
一実施形態では、本核酸分子は、少なくとも2つのヌクレオチド配列を含み、各ヌクレオチド配列は、構造修飾されたDMAbをコードする。一実施形態では、少なくとも2つのヌクレオチド配列の各々は、a)アミノ酸配列であって、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号64、配列番号66、配列番号68、配列番号70、配列番号72、配列番号74、配列番号76、配列番号78、配列番号80、配列番号82、配列番号84、配列番号86、配列番号88、配列番号90、配列番号92、配列番号94、配列番号96、配列番号98、配列番号100、配列番号102、配列番号104、配列番号106、配列番号108、配列番号111、配列番号113、配列番号115、もしくは配列番号119のアミノ酸配列に対してコードされた配列の全長にわたって少なくとも90%を有する、アミノ酸配列、またはb)断片であって、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号64、配列番号66、配列番号68、配列番号70、配列番号72、配列番号74、配列番号76、配列番号78、配列番号80、配列番号82、配列番号84、配列番号86、配列番号88、配列番号90、配列番号92、配列番号94、配列番号96、配列番号98、配列番号100、配列番号102、配列番号104、配列番号106、配列番号108、配列番号111、配列番号113、配列番号115、もしくは配列番号119のアミノ酸配列の少なくとも60%を構成する断片、から選択されるアミノ酸配列を含む、構造修飾されたDMAbをコードする。
【0027】
一実施形態では、本核酸分子は、配列番号64、配列番号66、配列番号68、配列番号70、配列番号72、配列番号74、配列番号76、配列番号78、配列番号80、配列番号82、配列番号84、配列番号86、配列番号88、配列番号90、配列番号92、配列番号94、配列番号96、配列番号98、配列番号100、配列番号102、配列番号104、または配列番号106から選択されるアミノ酸配列を含む構造修飾されたDMAbをコードするヌクレオチド配列と、配列番号108のアミノ酸配列を含む構造修飾されたDMAbをコードするヌクレオチド配列と、を含む。
【0028】
一実施形態では、本発明は、構造修飾されたDMAbをコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子を含む組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む、疾患または障害を有する対象を治療する方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1A-1C】図1A図1Dで構成され、生成され得る様々な構造修飾されたDMAbの例示的モデルを示す。図1Aは、完全グラフトDMAbの図を示す。図1Bは、部分グラフトの図を示す。親DMAb(配列番号47)と比較した、修飾されたDMAb(配列番号48)のFR1およびFR4領域におけるアミノ酸の多数の修飾が、モデリングしたDMAbの右側に示される。図1Cは、骨格修飾の図を示す。VH VL界面に関与する残基の側鎖が示される。軽鎖(上)および重鎖(下)(それぞれ配列番号50および配列番号52)の骨格修飾が、修飾された残基をハイライトした状態で示される。親DMAb配列は配列番号49および配列番号51である。
図1D図1Dは、完全および部分DMAbフレームワークグラフトを示すタンパク質のリボン画像を示す。高発現DMAbのVH-VL(黄色/青色)が左上に示される。低発現DMAbのVH-VL(緑色/赤色)が右上に示される。左下の新たなDMAb分子は、低発現に由来するCDRを高発現のフレームワークにグラフトすることによって創出される。右下は、発現不良のDMAbのVLにおける最初の22個のアミノ酸を、高発現からのアミノ酸で代置する部分グラフトによって創出された新たなDMAbである。
図2A-2B】図2A図2Bで構成され、BDBV223の完全グラフトおよび部分グラフトの効果を明示する例示的な実験結果を示す。図2Aは、BDBV223抗体の発現ならびに完全グラフトおよび部分グラフトを明示する例示的な実験結果を示す。図2Bは、EBOV抗原のBDBV223抗体への結合ならびに完全グラフトおよび部分グラフトを明示する例示的な実験結果を示す。
図3A-3B】図3A図3Bで構成され、Z5D2の完全グラフトおよび部分グラフトならびに構造修飾の効果を明示する例示的な実験結果を示す。図3Aは、Z5D2抗体の発現ならびに完全グラフトおよび部分グラフトを明示する例示的な実験結果を示す。図3Bは、EBOV抗原のZ5D2抗体への結合ならびに完全グラフトおよび部分グラフトを明示する例示的な実験結果を示す。
図4】低発現DMAb(配列番号54~配列番号57)に由来する多数の軽鎖の、2つの確認済みの高発現DMAb(配列番号58~配列番号59)に由来する軽鎖とのアラインメントを示す。
図5】完全なVL、CDR領域を除外するVL、FR1、および図5の各親軽鎖についてのFR4を、確認済みの高発現DMAbの各々と比較する同一性マトリックスを示す。
図6】全長IgG DMAbとscFv-Fc修飾IgG DMAbとの間の構造的差異を示す図を描出する。
図7A図7A図7Cで構成され、scFv-FcリンカーがCDRに干渉しないことを明示するタンパク質モデリング画像を示す。図7Aは、scFv-Fc抗体の予測される折畳みのスティックアンドリボン図を示す。VL(赤色)、VL CDR(ピンク色)、VH(緑色)、VH CDR(紫色)、およびリンカー(CPK)が示される。
図7B図7Bおよび図7Cは、ScFv-Fc DMAbの空間充填モデルの2つの回転図を示す。
図7C図7Bおよび図7Cは、ScFv-Fc DMAbの空間充填モデルの2つの回転図を示す。
図8A図8A図8Dで構成され、DMAb BDBV223のscFv-Fc変換の効果を明示する例示的な実験結果を示す。図8Aは、親DMAbおよびScFv-Fc修飾DMAbの発現レベルを示す。
図8B図8Bは、親DMAbおよびScFv-Fc修飾DMAbの血清発現レベルを示す。
図8C図8Cは、親DMAbおよびScFv-Fc修飾DMAbの、1976エボラウイルス発生株に由来する糖タンパク質抗原への抗原結合を示す。
図8D図8Dは、親DMAbおよびScFv-Fc修飾DMAbの、2014エボラウイルス発生株に由来する糖タンパク質抗原への抗原結合を示す。
図9A図9A図9Fで構成され、DMAb Z5D2のscFv-Fc変換の効果を明示する例示的な実験結果を示す。図9Aは、21日間にわたる親DMAbおよびScFv-Fc修飾DMAbの発現レベルを示す。
図9B図9Bは、親DMAbおよびScFv-Fc修飾DMAbの血清発現レベルを示す。
図9C図9Cは、親DMAbおよびScFv-Fc修飾DMAbの、1976エボラウイルス発生株に由来する糖タンパク質抗原への抗原結合を示す。
図9D図9Dは、親DMAbおよびScFv-Fc修飾DMAbの、2014エボラウイルス発生株に由来する糖タンパク質抗原への抗原結合を示す。
図9E図9Eは、35日間にわたる親DMAbおよびScFv-Fc修飾DMAbの発現レベルを示す。
図9F図9Fは、35日間にわたる親DMAbおよびScFv-Fc修飾DMAbの正規化発現レベルを示す。
図10A図10A図10Eで構成され、DMAb Z1H3のscFv-Fc変換の効果を明示する例示的な実験結果を示す。図10Aは、21日間にわたる親DMAbおよびScFv-Fc修飾DMAbの発現レベルを示す。
図10B図10Bは、親DMAbおよびScFv-Fc修飾DMAbの、1976エボラウイルス発生株に由来する糖タンパク質抗原への抗原結合を示す。
図10C図10Cは、親DMAbおよびScFv-Fc修飾DMAbの、2014エボラウイルス発生株に由来する糖タンパク質抗原への抗原結合を示す。
図10D図10Dは、35日間にわたる親DMAbおよびScFv-Fc修飾DMAbの発現レベルを示す。
図10E図10Eは、35日間にわたる親DMAbおよびScFv-Fc修飾DMAbの正規化発現レベルを示す。
図11】ScFv-Fcモデリングプロセス中の異なるステップからの例示的出力を示す。
図12】pGX9256のFv、VH-VL、およびVL-VHモデリングの例示的画像を示す。
図13】pGX9290のFv、VH-VL、およびVL-VHモデリングの例示的画像を示す。
図14】操作されたDMAbをDNAプラスミドとして合成し、次に抗原結合および発現についてインビトロおよびインビボで評価することを示す流れ図を示す。
図15A図15A図15Bで構成され、構造再フォーマットされたDMAbの中和活性を明示する例示的な実験結果を示す。図15Aは、グループ1のEBOMAb-10の中和率を明示する例示的な実験結果を示す。
図15B図15Bは、EBOLAザイール糖タンパク質(EBOV-GP)でシュードタイピングしたレンチウイルスを使用したグループ2(EBOMAb-14)の中和率を明示する例示的な実験結果を示す。
図16】グループ1およびグループ2の構造修飾されたDMAbの中和活性、IC50、およびIC90の定量化を示す。
図17A図17A図17Fで構成され、グループ1およびグループ2の構造修飾されたDMAbの発現および抗原結合を明示する例示的な実験結果を示す。図17Aは、グループ1のDMAbのインビボ発現経時変化を示す。免疫抑制BALB/cマウスに、170μgのDNA-プラスミドコードDMAbを、筋肉内送達、続く電気穿孔(IM-EP)によって投与し、DMAbの血清レベルを35日にわたって評定した。
図17B図17Bは、グループ1のDMAbについての抗原結合曲線を示す。血清中のDMAbを、エボラ抗原に対する反応性について評価した。
図17C図17Cは、EBOV-GPでシュードタイピングしたレンチウイルスベクターを使用して評価した、グループ1のDMAb中和曲線を示す。
図17D図17Dは、グループ2のDMAbのインビボ発現経時変化を示す。免疫抑制BALB/cマウスに、200μgのDNA-プラスミドコードDMAbを、筋肉内送達、続く電気穿孔(IM-EP)によって投与し、DMAbの血清レベルを35日にわたって評定した。
図17E図17Eは、グループ2のDMAbについての抗原結合曲線を示す。血清中のDMAbを、エボラ抗原に対する反応性について評価した。
図17F図17Fは、EBOV-GPでシュードタイピングしたレンチウイルスベクターを使用して評価した、グループ2のDMAb中和曲線を示す。
図18A】(原文に記載無し)
図18B】(原文に記載無し)
図19A図19Aおよび図19Bで構成され、コドン最適化マウスジカDMAb ZK190G1M3LALAの遺伝子最適化の分析を示す。図19Aは、遺伝子最適化DMAbの各々についての発現データを示す。
図19B図19Bは、遺伝子最適化DMAbの各々についての抗原結合を示す。これらの実験は、HEK293細胞中インビトロで行った。
図20A図20A図20Bで構成され、遺伝子最適化マウスジカDMAb ZK190G1M3LALAの発現および結合のインビボ分析を示す。図20Aは、遺伝子最適化DMAbの各々についてのインビボの7日目の発現データを示す。
図20B図20Bは、遺伝子最適化DMAbの各々についての抗原結合を示す。
図21A図21A図21Bで構成され、遺伝子最適化ZK185LALA FP2Aコドン最適化構築物の発現の分析を示す。図21Aは、遺伝子最適化DMAbの各々についてのインビボの7日目の発現データを示す。
図21B図21Bは、HEK293細胞における、遺伝子最適化されたDMAbの各々についてのインビトロ発現データを示す。
図22A図22Aおよび図22Bで構成され、遺伝子最適化ZK185LALA FP2Aコドン最適化構築物の結合能力の分析を示す。図22Aは、遺伝子最適化DMAbの各々についてのインビボの7日目の結合活性を示す。図5Bは、HEK293細胞における、遺伝子最適化されたDMAbの各々についてのインビトロ結合活性を示す。
図22B図22Aおよび図22Bで構成され、遺伝子最適化ZK185LALA FP2Aコドン最適化構築物の結合能力の分析を示す。図22Aは、遺伝子最適化DMAbの各々についてのインビボの7日目の結合活性を示す。図5Bは、HEK293細胞における、遺伝子最適化されたDMAbの各々についてのインビトロ結合活性を示す。
図23図23Aおよび図23Bで構成され、コドン最適化マウスジカDMAb ZK190G1M3LALAのScFv-Fc変換の分析を示す。図23Aは、各ScFv-Fc DMAbについての発現データを示す。図23Bは、各ScFv-Fc DMAbについての抗原結合を示す。これらの実験はインビボで行った。
図24】ZK185LALA FP2Aコドン最適化DMAbのScFv-Fc変換構築物のインビボ発現の分析を示す。
図25A】DMAbインビボ送達およびタンパク質操作の概略図を示す。図25Aは、CELLECTRA-3P(登録商標)デバイスを使用する促進された電気穿孔によってDMAbがインビボで送達されることを明示する概略図を示す。トランスフェクトした筋細胞は、タンパク質MAbを発現し分泌する。タンパク質MAbは血液循環に進入する。図25Aは、抗RSV 抗体をscFv-Fc発現のために操作したことを明示する概略図を示す。
図25B】DMAbインビボ送達およびタンパク質操作の概略図を示す。図25Aは、CELLECTRA-3P(登録商標)デバイスを使用する促進された電気穿孔によってDMAbがインビボで送達されることを明示する概略図を示す。トランスフェクトした筋細胞は、タンパク質MAbを発現し分泌する。タンパク質MAbは血液循環に進入する。図25Aは、抗RSV 抗体をscFv-Fc発現のために操作したことを明示する概略図を示す。
図26A図26A図26Dで構成され、scFv-Fc 抗RSV DMAbの発現を示す。図26Aは、RSV DMAbの発現動態を明示する実験結果を示す。
図26B図26Bは、RSV-DMAbのピーク発現を明示する実験結果を示す。
図26C図26Cは、気管支肺胞洗浄(BAL)試料中のDMAbの量を明示する実験結果を示す。
図26D図26Dは、RSV-F結合を明示する実験結果を示す。
図27】抗RSV DMAbの中和を明示する実験結果を示す。
図28】コットンラット中の抗RSV-DMAbを明示する実験結果を示す。
図29A図29A図29Dで構成され、免疫応答マウスにおけるヒトsc-Fv抗RSVのピーク発現および機能性を明示する例示的な実験結果を示す。マウスに、200μgのヒトsc-Fv抗RSV dMAbを、balb/cマウスの脚筋に送達して投薬した。CELLECTRA-3P(登録商標)によって送達を支援した。図29Aは、13200ng/mlのタンパク質ヒトsc-Fvの平均血清レベル発現が処置から7日後に達成されたことを明示する例示的な実験結果を示す。
図29B図29Bは、インビボで発現されたヒトsc-FvがRSV-F 抗原に結合することを明示する例示的な実験結果を示す。
図29C図29Cは、処置したマウスの血清が、インビトロのプラーク減少アッセイによって実証して生RSV-Aウイルス中和活性を呈し、平均6.9の対数逆数中和価(log recip.Neut.titer)をもたらすことを明示する例示的な実験結果を示す。
図29D図29Dは、ヒトsc-Fvが、気管支肺胞洗浄(BAL)中の総タンパク質1μgあたり1.1ngのヒトsc-Fvの平均濃度で、処理したマウスの肺に存在することを明示する例示的な実験結果を示す。
図30】コットンラット中のヒトsc-Fvの維持された発現を明示する例示的な実験結果を示す。100μgおよび800μgのヒトsc-Fvを、コットンラットのTA筋に送達した。CELLECTRA-3P(登録商標)を用いて送達を支援した。7日後に血清中のピーク発現に達する(それぞれ226ng/mlおよび1353ng/ml)。
図31A図31Aおよび図31Bで構成され、コットンラット中のヒトsc-Fvのピーク発現および機能性を明示する例示的な実験結果を示す。図31Aは、2.4mgのヒトsc-Fvをコットンラットの脚筋においてCELLECTRA-3P(登録商標)で支援しながら送達することにより、7日目に7030ng/mlの平均血清発現が生じることを明示する例示的な実験結果を示す。
図31B図31Bは、処置したコットンラットの血清が、インビトロのプラーク減少アッセイにおいて中和性であり、平均5.4の中和価(log Recip.Neut.titer)をもたらすことを明示する例示的な実験結果を示す。
図32A図32A図32Cで構成され、デングおよびジカscFv-Fcを構造再フォーマットした分子および実験設計の概略図を示す。図32Aは、使用した設計アプローチの概略図を示す。ScFv-FcのためのヒトdMAb設計戦略。VHおよびVL領域を(G4S)3リンカーによって接続し、原型的なヒトIgG1ヒンジおよびFcに融合させた。
図32B図32Bは、プラスミドをコードするscFv-FcジカおよびデングdMAb(Z-dMAb1-scおよびD-dMAb1-sc)ならびに多価双方向性プロモーター構築物(Z/D-dMAb1-sc)の分子組織の図を示す。
図32C図32Cは、多価カセットと組み合わせたまたは多価カセット内の様々なdMAb構築物を各前脛骨筋(TA)C57BL/6マウスの各々に送達し、続いて電気穿孔し、dMAb発現および抗原結合をDNA送達から7日目に評価した、実験設計のフローチャートを示す。
図33】ジカウイルスとデングウイルスとの間の交差反応性の評価を明示する例示的な実験結果を示す。ジカdMAbは、ジカ抗原と特異的に反応する。デングdMAbは、DENV1抗原およびDENV2抗原と特異的に反応する。プラスミドをコードするscFv-FC-dMAbを、293 T細胞でトランスフェクトした。scFv-Fcタンパク質を含有するトランスフェクション後2日目の上清を抗原結合に供した。96ウェルプレートを、100μl/ウェルの1μg/mlのジカまたはデング抗原(DENV1~4)でコーティングした。逆数血清希釈(reciprocal serum dilution)3分の1(1/3)連続希釈を、事前希釈した血清試料を用いて96ウェルプレート上で行った。抗原結合をELISAによって評定した。データを、平均OD450±SEMとして表す。
図34A図34A図34Cで構成され、scFV-Fc dMAbのインビトロ発現および抗原結合を明示する例示的な実験結果を示す。プラスミドをコードするscFv-FC-dMAbを、293 T細胞でトランスフェクトした。図34Aは、scFv-Fc dMAbのトランスフェクション後2日目の発現、ならびに同時トランスフェクションおよび多価Z/D-dMAb1-sc構築物へのそれらそれぞれの寄与を評定したことを明示する例示的な実験結果を示す。
図34B図34Bは、scFv-Fc dMAbがデング(DENV1)に結合する能力を明示する例示的な実験結果を示す。
図34C図34Cは、scFv-Fc dMAbがジカ抗原に結合する能力を明示する例示的な実験結果を示す。
図35A図35A図35Cで構成され、scFv-Fc dMAbのインビボ発現および抗原結合を明示する例示的な実験結果を示す。図35Aは、電気穿孔(EP)媒介型dMAbトランスフェクション後7日目のscFv-Fc dMAb発現を明示する例示的な実験結果を示す。データは、同じ動物においてカクテルで送達された場合または同じ動物において2つの別個の筋肉内部位に個々に送達された場合の、Z-dMAb1-scおよびD-dMAb1-scについての個々のdMAb発現、ならびにそれらそれぞれの寄与を示す。データはまた、単一の多価プラスミド構築物中で発現される場合のデングおよびジカscFv-Fc dMAbの寄与も示す。合計100μgのプラスミドをコードするdMAbを、Z-dMAb1-sc、D-dMAb1-sc、およびZ/D-dMAb1-sc群について送達し、200μgをカクテル送達群および個別送達群について送達し、EPを続けた。血清を定量ELISAのために処置後7日目に採取し、C57BL/6マウスにおいてscFv-Fc dMAb発現を評定した。
図35B図35Bは、様々な構築物がジカ抗原を認識する能力を評価する例示的な抗原結合アッセイを示す。
図35C図35Cは、様々な構築物がデング抗原を認識する能力を評価する例示的な抗原結合アッセイを示す。
【0030】
1.定義
別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。矛盾がある場合には、定義を含む本明細書が優先する。好ましい方法および材料については後述するが、本明細書に記載されるものと類似するまたは均等な方法および材料も、本発明の実施または試験に使用することができる。本明細書において言及される全ての刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、参照により、それらの全体が本明細書に組み込まれる。本明細書に開示される材料、方法、および例は、例示的であるに過ぎず、限定的であることを意図するものではない。
【0031】
「含む(comprise)」、「含む(include)」、「有する(having)」、「有する(has)」、「できる(can)」、「含有する(contain)」という用語、およびそれらの変形は、本明細書で使用される場合、さらなる行為または構造の可能性を除外しない、制約のない移行句、用語、または語句であることが意図される。単数形「a」、「and」、および「the」は、文脈上、別途明確に指示されない限り、複数の指示対象を含む。本開示は、明白に記載されているかにかかわらず、本明細書に提示される実施形態または要素「を含む(comprising)」、「からなる(consisting of)」、および「から本質的になる(consisting essentially of)」他の実施形態も企図する。
【0032】
「抗体」は、IgG、IgM、IgA、IgD、もしくはIgEクラスの抗体または断片、Fab、F(ab’)2、Fd、および一本鎖抗体を含むその断片もしくは誘導体、ならびにその誘導体を意味してもよい。抗体は、所望のエピトープまたはそれに由来する配列に対して十分な結合特異性を呈する、哺乳動物の血清試料から単離した抗体、ポリクローナル抗体、アフィニティー精製した抗体、またはそれらの混合物であってもよい。
【0033】
本明細書では同義に使用される「抗体断片」または「抗体の断片」は、抗原結合部位または可変領域を含むインタクトな抗体の一部分を指す。この部分は、インタクトな抗体のFc領域の定常重鎖ドメイン(即ち、抗体アイソタイプに応じて、CH2、CH3、またはCH4)を含まない。抗体断片の例としては、Fab断片、Fab’断片、Fab’-SH断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、ダイアボディ、一本鎖Fv(scFv)分子、軽鎖可変ドメインを1つのみ含む一本鎖ポリペプチド、軽鎖可変ドメインのCDRを3つ含む一本鎖ポリペプチド、重鎖可変領域を1つのみ含む一本鎖ポリペプチド、および重鎖可変領域のCDRを3つ含む一本鎖ポリペプチドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0034】
「抗原」は、宿主において免疫応答を生成する能力を有するタンパク質を指す。抗原は、抗体によって認識され、結合され得る。抗原は、体内から生じる場合も外部環境から生じる場合もある。
【0035】
本明細書で使用される「コード配列」または「コード核酸」は、本明細書に示される抗体をコードするヌクレオチド配列を含む核酸(RNAまたはDNA分子)を意味してもよい。コード配列は、核酸が投与される個体または哺乳動物の細胞において発現を誘導することが可能なプロモーターおよびポリアデニル化シグナルを含む調節エレメントに作動可能に連結された開始シグナルおよび終止シグナルをさらに含んでもよい。コード配列は、シグナルペプチドをコードする配列をさらに含んでもよい。
【0036】
本明細書で使用される「補体」または「相補的」は、核酸を意味してもよい、核酸分子のヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体間のワトソン・クリック(例えば、A-T/UおよびC-G)またはフーグスティーン塩基対を意味してもよい。
【0037】
組織または当該組織を画定する細胞が、その組織に送達される電気パルスの持続時間にわたって受ける、または経験する電流を定義するために本明細書で使用される「定電流」。電気パルスは、本明細書に記載される電気穿孔デバイスから送達される。この電流は、電気パルスの寿命にわたって当該組織内に一定のアンペア数で留まり、これは、本明細書に提供される電気穿孔デバイスが、好ましくは瞬時のフィードバックを有するフィードバック要素を有するためである。フィードバック要素は、パルスの持続時間の全体にわたって組織(または細胞)の抵抗を測定し、同じ組織内の電流が電気パルスの全体にわたって(約数マイクロ秒)、およびパルスごとに一定のままであるように、電気穿孔デバイスにその電気エネルギー出力を変更させる(例えば、電圧を増加させる)ことができる。いくつかの実施形態では、フィードバック要素は、制御装置を含む。
【0038】
本明細書で使用される「電流フィードバック」または「フィードバック」は、同義に使用されてもよく、提供される電気穿孔デバイスの能動的応答を意味してもよく、これは、電極間の組織内の電流を測定すること、およびそれに応じて電流を一定レベルに維持するためにEPデバイスによって送達されたエネルギー出力を変化させることを含む。この一定レベルは、パルス系列または電気処理を開始する前に、ユーザによって予め設定される。フィードバックは、電気穿孔デバイスの電気穿孔構成要素、例えば制御装置によって達成されてもよく、これは、その中の電気回路が、電極間の組織内の電流を連続的に監視し、その監視された電流(または組織内の電流)を予め設定された電流と比較して、監視された電流を予め設定されたレベルに維持するためにエネルギー出力調整を連続的に行うことが可能であるためである。フィードバックループは、アナログ閉ループフィードバックであるために瞬時であり得る。
【0039】
本明細書で使用される「分散電流」は、本明細書に記載される電気穿孔デバイスの様々な針電極配列から送達される電流のパターンを意味してもよく、そのパターンは、電気穿孔されている組織の任意の領域における電気穿孔関連熱応力の発生を最小限に抑えるか、または好ましくは排除する。
【0040】
本明細書で同義に使用される「電気穿孔」、「電気透過」、または「動電学的強化」(「EP」)は、生体膜内の微視的経路(細孔)を誘導するための膜貫通電界パルスの使用を指してもよく、それらの存在により、プラスミド、オリゴヌクレオチド、siRNA、薬物、イオン、および水等の生体分子が細胞膜の一方の側からもう一方の側に通過できるようになる。
【0041】
本明細書で使用される「内因性抗体」は、ホルモン免疫応答を誘導するために有効量の抗原を投与された対象において生成される抗体を指してもよい。
【0042】
本明細書で使用される「フィードバック機構」は、ソフトウェアまたはハードウェア(またはファームウェア)のいずれかによって実施されるプロセスを指してもよく、このプロセスは、(エネルギーパルスの送達の前、間、および/または後に)所望の組織のインピーダンスを受信し、現在の値、好ましくは電流と比較し、送達されるエネルギーのパルスを調整して、予め設定された値を達成する。フィードバック機構は、アナログ閉ループ回路によって実施され得る。
【0043】
「断片」は、機能的であり、即ち、所望の標的に結合することができ、全長抗体と同じ意図された効果を有する抗体のポリペプチド断片を意味してもよい。抗体の断片は、少なくとも1つのアミノ酸がNおよび/またはC末端から欠如していること(各場合、シグナルペプチドおよび/またはメチオニンを1位に有するまたは有しない)を除き、全長抗体と100%同一であってもよい。断片は、付加されているいずれの異種シグナルペプチドも除き、特定の全長抗体の長さの20%以上、25%以上、30%以上、35%以上、40%以上、45%以上、50%以上、55%以上、60%以上、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上の割合を構成してもよい。断片は、抗体と、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、または99%以上同一であるポリペプチドの断片を含んでもよく、また同一性パーセントの計算時には含まれないN末端メチオニンまたは異種シグナルペプチドを追加で含んでもよい。断片は、N末端メチオニン、および/または免疫グロブリンシグナルペプチド、例えば、IgEもしくはIgGシグナルペプチド等のシグナルペプチドをさらに含んでもよい。N末端メチオニンおよび/またはシグナルペプチドは、抗体の断片に連結してもよい。
【0044】
抗体をコードする核酸配列の断片は、少なくとも1つのヌクレオチドが5’および/または3’末端から欠如していること(各場合、シグナルペプチドおよび/またはメチオニンをコードする配列を1位に有するまたは有しない)を除き、全長抗体と100%同一であってもよい。断片は、付加されているいずれの異種シグナルペプチドも除き、特定の全長コード配列の長さの20%以上、25%以上、30%以上、35%以上、40%以上、45%以上、50%以上、55%以上、60%以上、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上の割合を構成してもよい。断片は、抗体と、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、または99%以上同一であるポリペプチドをコードする断片を含んでもよく、また任意選択で、同一性パーセントの計算時には含まれないN末端メチオニンまたは異種シグナルペプチドをコードする配列を追加で含んでもよい。断片は、N末端メチオニン、および/または免疫グロブリンシグナルペプチド、例えば、IgEもしくはIgGシグナルペプチド等のシグナルペプチドのコード配列をさらに含んでもよい。N末端メチオニンおよび/またはシグナルペプチドをコードするコード配列は、コード配列の断片に連結してもよい。
【0045】
本明細書で使用される「遺伝子構築物」は、抗体等、タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含むDNAまたはRNA分子を指す。コード配列は、核酸分子が投与される個体の細胞において発現を誘導することが可能なプロモーターおよびポリアデニル化シグナルを含む調節エレメントに作動可能に連結された開始シグナルおよび終止シグナルを含む。本明細書で使用される場合、「発現可能な形態」という用語は、個体の細胞に存在する場合にコード配列が発現されるように、タンパク質をコードするコード配列に作動可能に連結された必要な調節エレメントを含有する遺伝子構築物を指す。
【0046】
2つ以上の核酸またはポリペプチド配列の背景において本明細書で使用される「同一」または「同一性」は、配列が、指定された領域にわたって同じである指定されたパーセンテージの残基を有することを意味し得る。パーセンテージは、2つの配列を最適にアラインメントし、これら2つの配列を指定された領域にわたって比較し、同一の残基が両方の配列中で生じる位置の数を決定して、一致した位置の数を導き、一致した位置の数を指定された領域中の位置の総数で除し、結果に100を乗じて配列同一性のパーセンテージを導くことによって計算されてもよい。2つの配列が異なる長さの配列であるか、またはアラインメントが1つ以上のねじれ型端部を生じ、かつ比較の指定された領域が単一の配列のみを含む場合、単一の配列の残基は、計算の分母には含まれるが、分子には含まれない。DNAとRNAとを比較するとき、チミン(T)およびウラシル(U)は等価であるとみなされ得る。同一性は、手動で、またはBLASTもしくはBLAST 2.0等のコンピュータ配列アルゴリズムを使用して行われてもよい。
【0047】
本明細書で使用される「インピーダンス」は、フィードバック機構を考察する場合に使用され、オームの法則に従って電流値に変換することができ、したがって、予め設定された電流との比較を可能にする。
【0048】
本明細書で使用される「免疫応答」は、1つ以上の核酸および/またはペプチドの導入に応答した、宿主の免疫系、例えば哺乳動物の免疫系の活性化を意味してもよい。免疫応答は、細胞性応答もしくは液性応答、または両方の形態であり得る。
【0049】
本明細書で使用される「核酸」または「オリゴヌクレオチド」または「ポリヌクレオチド」は、共に共有結合した少なくとも2つのヌクレオチドを意味してもよい。一本鎖の説明は、相補鎖の配列も定義する。このため、核酸は、説明される一本鎖の相補鎖も包含する。核酸の多くの変異体が所与の核酸と同じ目的で使用され得る。このため、核酸は、実質的に同一の核酸およびその補体も包含する。一本鎖により、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で標的配列にハイブリダイズし得るプローブが提供される。このため、核酸は、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズし得るプローブも包含する。
【0050】
核酸は、一本鎖もしくは二本鎖であってもよく、または二本鎖および一本鎖の両方の配列の部分を含有してもよい。核酸は、ゲノムおよびcDNAの両方のDNA、RNA、またはハイブリッドであってもよく、ここで、核酸は、デオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドの組み合わせ、ならびにウラシル、アデニン、シトシン、グアニン、イノシン、キサンチン、ヒポキサンチン、イソシトシン、およびイソグアニンを含む、塩基の組み合わせを含有してもよい。核酸は、化学合成法または組換え法によって得てもよい。
【0051】
本明細書で使用される「作動可能に連結された」は、遺伝子の発現が空間的につながったプロモーターの制御下にあることを意味してもよい。プロモーターは、その制御下で遺伝子の5’(上流)または3’(下流)に位置してもよい。プロモーターと遺伝子との間の距離は、そのプロモーターと、プロモーターが由来する遺伝子内でそれが制御する遺伝子との間の距離と、ほぼ同一であってもよい。当業者に公知の通り、この距離の変動は、プロモーター機能を喪失せずに適合させることができる。
【0052】
本明細書で使用される「ペプチド」、「タンパク質」、または「ポリペプチド」は、アミノ酸の連結した配列を意味し得、天然、合成、または天然および合成の改変もしくは組み合わせであってもよい。
【0053】
本明細書で使用される「プロモーター」は、細胞内で核酸の発現をもたらす、活性化する、または強化することが可能な、合成または天然由来の分子を意味してもよい。プロモーターは、その発現をさらに増強し、かつ/またはその空間的発現および/もしくは一時的発現を変化させる1つ以上の特定の転写制御配列を含んでもよい。プロモーターは、遠位のエンハンサーまたはレプレッサ要素も含んでいてもよく、それは転写開始部位から何千もの塩基対に位置し得る。プロモーターは、ウイルス、細菌、真菌、植物、昆虫、および動物を含む供給源に由来してもよい。プロモーターは、発現が生じる細胞、組織、もしくは器官に関して、または発現が生じる発達段階に関して、または生理学的ストレス、病原体、金属イオン、もしくは誘導剤等の外部刺激に応答して、構造的または差次的に遺伝子成分の発現を調節してもよい。プロモーターの代表的な例としては、バクテリオファージT7プロモーター、バクテリオファージT3プロモーター、SP6プロモーター、lacオペレーター-プロモーター、tacプロモーター、SV40後期プロモーター、SV40初期プロモーター、RSV-LTRプロモーター、CMVプロモーター、EF1アルファプロモーター、ACTA1プロモーター、SV40初期プロモーターまたはSV40後期プロモーター、およびCMV IEプロモーターが挙げられる。
【0054】
「シグナルペプチド」および「リーダー配列」は、本明細書では同義に使用され、本明細書に示されるタンパク質のアミノ末端で連結させることができる得るアミノ酸配列を指す。シグナルペプチド/リーダー配列は、典型的には、タンパク質の局在化を指揮する。本明細書で使用されるシグナルペプチド/リーダー配列は、好ましくは、産生元の細胞からのタンパク質の分泌を促進する。シグナルペプチド/リーダー配列は、多くの場合、細胞からの分泌時に、成熟タンパク質と称されることが多いタンパク質の残部から切断される。シグナルペプチド/リーダー配列は、タンパク質のN末端で連結する。
【0055】
本明細書で使用される「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」は、核酸の複合混合物中等、第1の核酸配列(例えば、プローブ)が第2の核酸配列(例えば、標的)にハイブリダイズするときに基づく条件を意味してもよい。ストリンジェントな条件は、配列依存性であり、異なる状況においては異なることになる。ストリンジェントな条件は、定義されたイオン強度での特定の配列について熱融点(T)より約5~10℃低くなるように選択されてもよい。Tは、標的に相補的なプローブの50%が平衡状態で標的配列にハイブリダイズする(標的配列が過剰に存在するとき、Tで、プローブの50%が平衡状態で占有される)温度(定義されたイオン強度、pH、および核濃度下で)であってもよい。ストリンジェントな条件は、塩濃度が、約1.0Mのナトリウムイオン未満、例えば、pH7.0~8.3で約0.01~1.0Mのナトリウムイオン濃度(または他の塩)であり、温度が、短いプローブ(例えば、約10~50ヌクレオチド)については少なくとも約30℃、長いプローブ(例えば、約50ヌクレオチド超)については60℃である条件であってもよい。ストリンジェントな条件はまた、ホルムアミド等の不安定化剤の付加によって達成されてもよい。選択的または特異的ハイブリダイゼーションについては、陽性シグナルは、バックグラウンドハイブリダイゼーションの少なくとも2~10倍であってもよい。例示的なストリンジェントなハイブリダイゼーション条件には、以下が含まれる:50%のホルムアミド、5倍のSSC、および1%のSDSの42℃でのインキュベーション、または5倍のSSC、1%のSDSの65℃でのインキュベーション、65℃の0.2倍のSSC、および0.1%のSDS中での洗浄を伴う。
【0056】
本明細書で同義に使用される「対象」および「患者」は、哺乳動物(例えば、ウシ、ブタ、ラクダ、ラマ、ウマ、ヤギ、ウサギ、ヒツジ、ハムスター、モルモット、ネコ、イヌ、ラット、およびマウス、非ヒト霊長類(例えば、カニクイザルまたはアカゲザル等のサル、チンパンジー等)、ならびにヒト)を含むがこれらに限定されない、任意の脊椎動物を指す。いくつかの実施形態では、対象は、ヒトであっても非ヒトであってもよい。対象または患者は、他の形態の治療の受けていてもよい。
【0057】
本明細書で使用される「実質的に相補的」は、第1の配列が、第2の配列に対して、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、またはそれ以上のヌクレオチドまたはアミノ酸の領域にわたって、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であること、あるいは2つの配列がストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズすることを意味してもよい。
【0058】
本明細書で使用される「実質的に同一」は、第1の配列と第2の配列とが、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、またはそれ以上のヌクレオチドまたはアミノ酸の領域にわたって、あるいは第1の配列が第2の配列の補体に対して実質的に相補的である場合には核酸に関して、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%であることを意味してもよい。
【0059】
本明細書で使用される「合成抗体」は、本明細書に記載の組換え核酸配列によってコードされ、対象において生成される抗体を指す。
【0060】
本明細書で使用される「治療」または「治療すること」は、疾患を予防する、抑制する、抑圧する、または完全に排除する手段を通した、疾患からの対象の保護を意味し得る。疾患の予防は、疾患の発症前に、本発明のワクチンを対象に投与することを含む。疾患の制圧は、疾患の誘導後ではあるが、その臨床的出現の前に、本発明のワクチンを対象に投与することを含む。疾患の制圧は、疾患の臨床的出現の後に、本発明のワクチンを対象に投与することを含む。
【0061】
核酸に関して本明細書で使用される「変異体」は、(i)参照ヌクレオチド配列の一部分もしくは断片、(ii)参照ヌクレオチド配列の補体もしくはその一部分、(iii)参照核酸もしくはその補体と実質的に同一な核酸、または(iv)参照核酸、その補体、もしくはそれと実質的に同一な配列と、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする、核酸を意味してもよい。
【0062】
アミノ酸の挿入、欠失、または保存的置換によりアミノ酸配列が異なるが、少なくとも1つの生物学的活性を保持している、ペプチドまたはポリペプチドに関する「変異体」。変異体はまた、少なくとも1つの生物学的活性を保持するアミノ酸配列を有する参照タンパク質と実質的に同一であるアミノ酸配列を有するタンパク質を意味してもよい。アミノ酸の保存的置換、即ち、1つのアミノ酸を、類似の特性(例えば、親水性、荷電領域の程度および分布)を有する別のアミノ酸と代置することは、典型的に小規模な変更を伴うとして、当該技術分野で認識されている。これらの小規模な変更は、当該技術分野において理解されるように、部分的に、アミノ酸のハイドロパシック(hydropathic)インデックスを考慮することによって、特定することができる。Kyte et al.,J.Mol.Biol.157:105-132(1982)。アミノ酸のハイドロパシックインデックスは、その疎水性および荷電の考慮に基づく。類似のハイドロパシックインデックスのアミノ酸が、置換することができ、タンパク質の機能を依然として保持できることは、当該技術分野において公知である。一態様では、±2のハイドロパシックインデックスを有するアミノ酸が置換される。アミノ酸の親水性を利用して、生物学的機能を保持したタンパク質を生じる置換を明らかにすることもできる。ペプチドにおいてアミノ酸の親水性を考慮することで、そのペプチドの最大の局所的平均親水性、つまり抗原性および免疫原性と良好に相関することが報告されている有用な指標を計算することができる。参照により全体が本明細書に組み込まれる米国特許第4,554,101号。当該技術分野で理解される通り、類似の親水性値を有するアミノ酸の置換により、生物学的活性、例えば免疫原性を保持したペプチドを得ることができる。置換は、互いに±2以内の親水性値を有するアミノ酸を用いて実施してもよい。アミノ酸の疎水性インデックスおよび親水性値の両方とも、そのアミノ酸の特定の側鎖により影響を受ける。その観察と一致して、疎水性、親水性、荷電、寸法、および他の性質により明らにされた通り、生物学的機能に適合性のあるアミノ酸置換が、アミノ酸、特にそれらアミノ酸の側鎖の相対的類似性に依存することは理解されている。
【0063】
変異体は、完全な遺伝子配列の全長またはその断片にわたって実質的に同一な核酸配列であってもよい。核酸配列は、遺伝子配列の全長またはその断片にわたって、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であってもよい。変異体は、アミノ酸配列の全長またはその断片にわたって実質的に同一なアミノ酸配列であってもよい。アミノ酸配列は、アミノ酸配列の全長またはその断片にわたって、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であってもよい。
【0064】
本明細書で使用される「ベクター」は、複製起点を含む核酸配列を意味してもよい。ベクターは、ナノプラスミドまたは小環状プラスミド、バクテリオファージ、細菌人工染色体または酵母人工染色体を含む、プラスミドであってもよい。ベクターは、DNAまたはRNAベクターであってもよい。ベクターは、自己複製染色体外ベクター、または宿主ゲノム中に組み入れられるベクターのいずれであってもよい。
【0065】
本明細書における数値範囲の列挙の場合、それらの間に介在する同程度の正確さを有する各数値が明示的に企図される。例えば、6~9の範囲では、6および9に加えて、数値7および8が企図され、範囲6.0~7.0では、数値6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、および7.0が、明示的に企図される。
【0066】
2.構造修飾されたDMAb
本発明は、構造修飾されたDNAコード化合成抗体(DMAb)を含む組成物、構造修飾されたDMAbをコードする核酸分子を含む組成物、構造修飾されたDMAbの生成方法、および構造修飾されたDMAbの使用方法に関する。
【0067】
一実施形態では、構造修飾されたDMAbは、インビボでの、発現、抗原結合、安定性、またはそれらの組み合わせを増加させるための少なくとも1つの修飾を含む。一実施形態では、少なくとも1つの修飾は、低発現DMabとして設計されたDMAbのインビボ発現を増加させることに基づいて行われる。一実施形態では、少なくとも1つの修飾は、DMAbのインビボの抗原結合を増加させることに基づいて行われる。
【0068】
一実施形態では、本発明による構造修飾の候補となるDMAbは、望ましいインビボの抗原結合を呈するが、発現率が低いDMAbである。したがって、望ましいDMAbを生成するための構造修飾は、インビボで、望ましい抗原結合とより高い発現レベルとの両方を呈するDMAbを生成するために、そのDMAbの発現を増加させることである。一実施形態では、構造修飾されたDMAbは、修飾されていないDMAbの発現レベルを比べて増加した発現をもたらす少なくとも1つの修飾を含む。
【0069】
一実施形態では、構造修飾されたDMAbは、そのように修飾されていない対応するDMAbの発現を増加させる1つ以上の修飾を含む。一実施形態では、修飾には、完全グラフト、部分グラフト、骨格修飾、ScFv-Fc変換等が含まれるが、これらに限定されない。しかしながら、本発明はこれらの種類の修飾に限定されるべきではない。むしろ、本発明は、DMAbのインビボ発現または抗原結合を増加させることができるいずれの種類の修飾も含む。一実施形態では、本発明は、構造修飾されたDMAbをコードする核酸分子に関する。
【0070】
完全グラフト
一実施形態では、本発明の構造修飾されたDMAbは、完全グラフトDMAbである。一実施形態では、完全グラフトは、DMAb少なくとも1つのCDR領域をコードする配列を異なるDMAbの主鎖に移す方法に関する。例えば、一実施形態では、完全グラフトは、インビボ発現が低いDMAbの少なくとも1つのCDR領域を同定すること、およびインビボ発現レベルが高いDMAbの少なくとも1つのCDR領域を、低発現DMAbの少なくとも1つのCDR配列を有するように修飾することを含む。
【0071】
一実施形態では、完全グラフトDMAbは、1つのDMAbの可変重鎖に由来する少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つ全てのCDRが、第2のDMAbの可変重鎖に由来する少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つ全てのCDRと同一となるように修飾されている、DMAbを含む。一実施形態では、完全グラフトDMAbは、1つのDMAbの可変重鎖に由来する少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つ全てのCDRが、第2のDMAbの可変重鎖に由来する少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つ全てのCDRと、少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一となるように修飾されている、DMAbを含む。一実施形態では、完全グラフトDMAbは、1つのDMAbの可変軽鎖に由来する少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つ全てのCDRが、第2のDMAbの可変軽鎖に由来する少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つ全てのCDRと同一となるように修飾されている、DMAbを含む。
【0072】
本発明の完全グラフトDMAbの生成に使用するための免疫グロブリン骨格は、いずれの免疫グロブリンアイソタイプにも由来し得る。重鎖免疫グロブリンアイソタイプには、IgA1およびIgA2を含むIgA、IgD、IgE、IgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4を含むIgG、ならびにIgMが含まれるが、これらに限定されない。軽鎖免疫グロブリンアイソタイプには、カッパおよびラムダが含まれるが、これらに限定されない。一実施形態では、完全グラフトDMAbの生成のための基礎となるDMAbは、同じ免疫グロブリンアイソタイプのものである。一実施形態では、完全グラフトDMAbの生成のための基礎となるDMAbは、異なる免疫グロブリンアイソタイプに由来する。
【0073】
一実施形態では、本発明の完全グラフトDMAbは、親DMAbと比較して、修飾された発現、安定性、半減期、抗原結合、重鎖-軽鎖対合、組織透過性、またはそれらの組み合わせを有する。
【0074】
一実施形態では、本発明の完全グラフトDMAbは、発現が、親DMAbよりも、少なくとも1.1倍、少なくとも1.2倍、少なくとも1.3倍、少なくとも1.4倍、少なくとも1.5倍、少なくとも1.6倍、少なくとも1.7倍、少なくとも1.8倍、少なくとも1.9倍、少なくとも2倍、少なくとも2.1倍、少なくとも2.2倍、少なくとも2.3倍、少なくとも2.4倍、少なくとも2.5倍、少なくとも2.6倍、少なくとも2.7倍、少なくとも2.8倍、少なくとも2.9倍、少なくとも3倍、少なくとも3.5倍、少なくとも4倍、少なくとも4.5倍、少なくとも5倍、少なくとも5.5倍、少なくとも6倍、少なくとも6.5倍、少なくとも7倍、少なくとも7.5倍、少なくとも8倍、少なくとも8.5倍、少なくとも9倍、少なくとも9.5倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも30倍、少なくとも40倍、少なくとも50倍、または50倍超高い。
【0075】
一実施形態では、本発明の完全グラフトDMAbは、抗原結合が、親DMAbよりも、少なくとも1.1倍、少なくとも1.2倍、少なくとも1.3倍、少なくとも1.4倍、少なくとも1.5倍、少なくとも1.6倍、少なくとも1.7倍、少なくとも1.8倍、少なくとも1.9倍、少なくとも2倍、少なくとも2.1倍、少なくとも2.2倍、少なくとも2.3倍、少なくとも2.4倍、少なくとも2.5倍、少なくとも2.6倍、少なくとも2.7倍、少なくとも2.8倍、少なくとも2.9倍、少なくとも3倍、少なくとも3.5倍、少なくとも4倍、少なくとも4.5倍、少なくとも5倍、少なくとも5.5倍、少なくとも6倍、少なくとも6.5倍、少なくとも7倍、少なくとも7.5倍、少なくとも8倍、少なくとも8.5倍、少なくとも9倍、少なくとも9.5倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも30倍、少なくとも40倍、少なくとも50倍、または50倍超高い。
【0076】
一実施形態では、本発明の完全グラフトDMAbは、半減期が、親DMAbよりも、少なくとも1.1倍、少なくとも1.2倍、少なくとも1.3倍、少なくとも1.4倍、少なくとも1.5倍、少なくとも1.6倍、少なくとも1.7倍、少なくとも1.8倍、少なくとも1.9倍、少なくとも2倍、少なくとも2.1倍、少なくとも2.2倍、少なくとも2.3倍、少なくとも2.4倍、少なくとも2.5倍、少なくとも2.6倍、少なくとも2.7倍、少なくとも2.8倍、少なくとも2.9倍、少なくとも3倍、少なくとも3.5倍、少なくとも4倍、少なくとも4.5倍、少なくとも5倍、少なくとも5.5倍、少なくとも6倍、少なくとも6.5倍、少なくとも7倍、少なくとも7.5倍、少なくとも8倍、少なくとも8.5倍、少なくとも9倍、少なくとも9.5倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも30倍、少なくとも40倍、少なくとも50倍、または50倍超長い。
【0077】
一実施形態では、本発明の完全グラフトDMAbは、安定性が、親DMAbよりも、少なくとも1.1倍、少なくとも1.2倍、少なくとも1.3倍、少なくとも1.4倍、少なくとも1.5倍、少なくとも1.6倍、少なくとも1.7倍、少なくとも1.8倍、少なくとも1.9倍、少なくとも2倍、少なくとも2.1倍、少なくとも2.2倍、少なくとも2.3倍、少なくとも2.4倍、少なくとも2.5倍、少なくとも2.6倍、少なくとも2.7倍、少なくとも2.8倍、少なくとも2.9倍、少なくとも3倍、少なくとも3.5倍、少なくとも4倍、少なくとも4.5倍、少なくとも5倍、少なくとも5.5倍、少なくとも6倍、少なくとも6.5倍、少なくとも7倍、少なくとも7.5倍、少なくとも8倍、少なくとも8.5倍、少なくとも9倍、少なくとも9.5倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも30倍、少なくとも40倍、少なくとも50倍、または50倍超高い。
【0078】
一実施形態では、本発明の完全グラフトDMAbは、組織透過性が、親DMAbよりも、少なくとも1.1倍、少なくとも1.2倍、少なくとも1.3倍、少なくとも1.4倍、少なくとも1.5倍、少なくとも1.6倍、少なくとも1.7倍、少なくとも1.8倍、少なくとも1.9倍、少なくとも2倍、少なくとも2.1倍、少なくとも2.2倍、少なくとも2.3倍、少なくとも2.4倍、少なくとも2.5倍、少なくとも2.6倍、少なくとも2.7倍、少なくとも2.8倍、少なくとも2.9倍、少なくとも3倍、少なくとも3.5倍、少なくとも4倍、少なくとも4.5倍、少なくとも5倍、少なくとも5.5倍、少なくとも6倍、少なくとも6.5倍、少なくとも7倍、少なくとも7.5倍、少なくとも8倍、少なくとも8.5倍、少なくとも9倍、少なくとも9.5倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも30倍、少なくとも40倍、少なくとも50倍、または50倍超優れている。
【0079】
一実施形態では、本発明の完全グラフトDMAbは、重鎖-軽鎖対合が、親DMAbよりも、少なくとも1.1倍、少なくとも1.2倍、少なくとも1.3倍、少なくとも1.4倍、少なくとも1.5倍、少なくとも1.6倍、少なくとも1.7倍、少なくとも1.8倍、少なくとも1.9倍、少なくとも2倍、少なくとも2.1倍、少なくとも2.2倍、少なくとも2.3倍、少なくとも2.4倍、少なくとも2.5倍、少なくとも2.6倍、少なくとも2.7倍、少なくとも2.8倍、少なくとも2.9倍、少なくとも3倍、少なくとも3.5倍、少なくとも4倍、少なくとも4.5倍、少なくとも5倍、少なくとも5.5倍、少なくとも6倍、少なくとも6.5倍、少なくとも7倍、少なくとも7.5倍、少なくとも8倍、少なくとも8.5倍、少なくとも9倍、少なくとも9.5倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも30倍、少なくとも40倍、少なくとも50倍、または50倍超優れている。
【0080】
部分グラフト
一実施形態では、本発明の構造修飾されたDMAbは、部分グラフトDMAbである。一実施形態では、部分グラフトは、DMAbの1つ以上のFR領域またはその断片を、異なるDMAbの1つ以上のFR領域またはその断片を含むように修飾する方法に関する。例えば、一実施形態では、部分グラフトは、インビボ発現が低いDMAbのFR領域またはその断片を、インビボ発現が高い第2のDMAbのものに類似するように修飾することを含む。一実施形態では、少なくとも1つのFR領域の少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50、または50超の残基が改変される。一実施形態では、多数のFR領域の少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50、または50超の残基が改変される。一実施形態では、少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、または20超の残基が、互いにごく接近した範囲内で改変される(例えば、少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、または20超の残基が、連続する30残基領域内で改変される)。一実施形態では、少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、または20超の残基が、単一のFR内(即ち、FR1、FR2、FR3、またはFR4内)で改変される。一実施形態では、少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、または20超の残基が、多数のFR(例えば、FR1およびFR4内)で改変される。例示的な実施形態では、少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20の残基が、可変軽鎖のN末端で改変される。
【0081】
本発明の部分グラフトDMAbの生成のための基礎となるDMAbの免疫グロブリン骨格は、IgA1およびIgA2を含むIgA、IgD、IgE、IgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4を含むIgG、IgM、カッパおよびラムダを含むがこれらに限定されない、いずれの免疫グロブリンアイソタイプにも由来し得る。一実施形態では、部分グラフトDMAbの生成のための基礎となるDMAbは、同じ免疫グロブリンアイソタイプのものである。一実施形態では、部分グラフトDMAbの生成のための基礎となるDMAbは、異なる免疫グロブリンアイソタイプに由来する。
【0082】
一実施形態では、本発明の部分グラフトDMAbは、親DMAbと比較して、修飾された発現、安定性、半減期、抗原結合、重鎖-軽鎖対合、組織透過性、またはそれらの組み合わせを有する。
【0083】
一実施形態では、本発明の部分グラフトDMAbは、発現が、親DMAbよりも、少なくとも1.1倍、少なくとも1.2倍、少なくとも1.3倍、少なくとも1.4倍、少なくとも1.5倍、少なくとも1.6倍、少なくとも1.7倍、少なくとも1.8倍、少なくとも1.9倍、少なくとも2倍、少なくとも2.1倍、少なくとも2.2倍、少なくとも2.3倍、少なくとも2.4倍、少なくとも2.5倍、少なくとも2.6倍、少なくとも2.7倍、少なくとも2.8倍、少なくとも2.9倍、少なくとも3倍、少なくとも3.5倍、少なくとも4倍、少なくとも4.5倍、少なくとも5倍、少なくとも5.5倍、少なくとも6倍、少なくとも6.5倍、少なくとも7倍、少なくとも7.5倍、少なくとも8倍、少なくとも8.5倍、少なくとも9倍、少なくとも9.5倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも30倍、少なくとも40倍、少なくとも50倍、または50倍超高い。
【0084】
一実施形態では、本発明の部分グラフトDMAbは、抗原結合が、親DMAbよりも、少なくとも1.1倍、少なくとも1.2倍、少なくとも1.3倍、少なくとも1.4倍、少なくとも1.5倍、少なくとも1.6倍、少なくとも1.7倍、少なくとも1.8倍、少なくとも1.9倍、少なくとも2倍、少なくとも2.1倍、少なくとも2.2倍、少なくとも2.3倍、少なくとも2.4倍、少なくとも2.5倍、少なくとも2.6倍、少なくとも2.7倍、少なくとも2.8倍、少なくとも2.9倍、少なくとも3倍、少なくとも3.5倍、少なくとも4倍、少なくとも4.5倍、少なくとも5倍、少なくとも5.5倍、少なくとも6倍、少なくとも6.5倍、少なくとも7倍、少なくとも7.5倍、少なくとも8倍、少なくとも8.5倍、少なくとも9倍、少なくとも9.5倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも30倍、少なくとも40倍、少なくとも50倍、または50倍超高い。
【0085】
一実施形態では、本発明の部分グラフトDMAbは、半減期が、親DMAbよりも、少なくとも1.1倍、少なくとも1.2倍、少なくとも1.3倍、少なくとも1.4倍、少なくとも1.5倍、少なくとも1.6倍、少なくとも1.7倍、少なくとも1.8倍、少なくとも1.9倍、少なくとも2倍、少なくとも2.1倍、少なくとも2.2倍、少なくとも2.3倍、少なくとも2.4倍、少なくとも2.5倍、少なくとも2.6倍、少なくとも2.7倍、少なくとも2.8倍、少なくとも2.9倍、少なくとも3倍、少なくとも3.5倍、少なくとも4倍、少なくとも4.5倍、少なくとも5倍、少なくとも5.5倍、少なくとも6倍、少なくとも6.5倍、少なくとも7倍、少なくとも7.5倍、少なくとも8倍、少なくとも8.5倍、少なくとも9倍、少なくとも9.5倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも30倍、少なくとも40倍、少なくとも50倍、または50倍超長い。
【0086】
一実施形態では、本発明の部分グラフトDMAbは、安定性が、親DMAbよりも、少なくとも1.1倍、少なくとも1.2倍、少なくとも1.3倍、少なくとも1.4倍、少なくとも1.5倍、少なくとも1.6倍、少なくとも1.7倍、少なくとも1.8倍、少なくとも1.9倍、少なくとも2倍、少なくとも2.1倍、少なくとも2.2倍、少なくとも2.3倍、少なくとも2.4倍、少なくとも2.5倍、少なくとも2.6倍、少なくとも2.7倍、少なくとも2.8倍、少なくとも2.9倍、少なくとも3倍、少なくとも3.5倍、少なくとも4倍、少なくとも4.5倍、少なくとも5倍、少なくとも5.5倍、少なくとも6倍、少なくとも6.5倍、少なくとも7倍、少なくとも7.5倍、少なくとも8倍、少なくとも8.5倍、少なくとも9倍、少なくとも9.5倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも30倍、少なくとも40倍、少なくとも50倍、または50倍超高い。
【0087】
一実施形態では、本発明の部分グラフトDMAbは、組織透過性が、親DMAbよりも、少なくとも1.1倍、少なくとも1.2倍、少なくとも1.3倍、少なくとも1.4倍、少なくとも1.5倍、少なくとも1.6倍、少なくとも1.7倍、少なくとも1.8倍、少なくとも1.9倍、少なくとも2倍、少なくとも2.1倍、少なくとも2.2倍、少なくとも2.3倍、少なくとも2.4倍、少なくとも2.5倍、少なくとも2.6倍、少なくとも2.7倍、少なくとも2.8倍、少なくとも2.9倍、少なくとも3倍、少なくとも3.5倍、少なくとも4倍、少なくとも4.5倍、少なくとも5倍、少なくとも5.5倍、少なくとも6倍、少なくとも6.5倍、少なくとも7倍、少なくとも7.5倍、少なくとも8倍、少なくとも8.5倍、少なくとも9倍、少なくとも9.5倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも30倍、少なくとも40倍、少なくとも50倍、または50倍超優れている。
【0088】
一実施形態では、本発明の部分グラフトDMAbは、重鎖-軽鎖対合が、親DMAbよりも、少なくとも1.1倍、少なくとも1.2倍、少なくとも1.3倍、少なくとも1.4倍、少なくとも1.5倍、少なくとも1.6倍、少なくとも1.7倍、少なくとも1.8倍、少なくとも1.9倍、少なくとも2倍、少なくとも2.1倍、少なくとも2.2倍、少なくとも2.3倍、少なくとも2.4倍、少なくとも2.5倍、少なくとも2.6倍、少なくとも2.7倍、少なくとも2.8倍、少なくとも2.9倍、少なくとも3倍、少なくとも3.5倍、少なくとも4倍、少なくとも4.5倍、少なくとも5倍、少なくとも5.5倍、少なくとも6倍、少なくとも6.5倍、少なくとも7倍、少なくとも7.5倍、少なくとも8倍、少なくとも8.5倍、少なくとも9倍、少なくとも9.5倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも30倍、少なくとも40倍、少なくとも50倍、または50倍超優れている。
【0089】
骨格修飾
一実施形態では、本発明の構造修飾されたDMAbは、骨格修飾されたDMAbである。一実施形態では、骨格修飾は、V-V界面での安定化相互作用を増加させるように、または等電点を好ましく改変するようにDMAbの少なくとも1つのアミノ酸残基を修飾する方法に関する。本発明の方法により修飾することができる残基は、VH-VL相互作用に関与する残基を予測するための当該技術分野で既知の任意の方法を使用して(例えば、Abhinandan et al.,2010,Protein Eng Des Sel,23(9):689-697に記載されているV-V界面に関与する残基を予測するためのバイオインフォマティクス法を使用して)同定することができる。様々な実施形態では、骨格修飾されたDMAbは、非芳香族側鎖残基を芳香族側鎖残基に改変するように、1つ以上の修飾を含む。一実施形態では、骨格修飾されたDMAbは、帯電した側鎖を有するV-V界面アミノ酸を、帯電していない側鎖を有するアミノ酸へと改変するように、1つ以上の修飾(例えば、リジン(K)のグルタミン(Q)への修飾)を含む。一実施形態では、骨格修飾されたDMAbは、帯電していない側鎖を有するV-V界面アミノ酸を、疎水性の側鎖を有するアミノ酸に改変するように、1つ以上の修飾(例えば、Qのチロシン(Y)への修飾)を含む。一実施形態では、骨格修飾されたDMAbは、V-V界面アミノ酸を、芳香族側鎖を有するアミノ酸に改変するように、1つ以上の修飾(例えば、Qのチロシン(Y)への修飾)を含む。様々な実施形態では、骨格修飾されたDMAbは、FR2またはFR3内に1つ以上の修飾を含む。
【0090】
本発明の構造修飾されたDMAbの免疫グロブリン骨格は、IgA1およびIgA2を含むIgA、IgD、IgE、IgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4を含むIgG、IgM、カッパおよびラムダを含むがこれらに限定されない、いずれの免疫グロブリンアイソタイプにも由来し得る。
【0091】
一実施形態では、本発明の骨格修飾されたDMAbは、親DMAbと比較して、修飾された発現、安定性、半減期、抗原結合、重鎖-軽鎖対合、組織透過性、またはそれらの組み合わせを有する。
【0092】
一実施形態では、本発明の骨格修飾されたDMAbは、発現が、親DMAbよりも、少なくとも1.1倍、少なくとも1.2倍、少なくとも1.3倍、少なくとも1.4倍、少なくとも1.5倍、少なくとも1.6倍、少なくとも1.7倍、少なくとも1.8倍、少なくとも1.9倍、少なくとも2倍、少なくとも2.1倍、少なくとも2.2倍、少なくとも2.3倍、少なくとも2.4倍、少なくとも2.5倍、少なくとも2.6倍、少なくとも2.7倍、少なくとも2.8倍、少なくとも2.9倍、少なくとも3倍、少なくとも3.5倍、少なくとも4倍、少なくとも4.5倍、少なくとも5倍、少なくとも5.5倍、少なくとも6倍、少なくとも6.5倍、少なくとも7倍、少なくとも7.5倍、少なくとも8倍、少なくとも8.5倍、少なくとも9倍、少なくとも9.5倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも30倍、少なくとも40倍、少なくとも50倍、または50倍超高い。
【0093】
一実施形態では、本発明の骨格修飾されたDMAbは、抗原結合が、親DMAbよりも、少なくとも1.1倍、少なくとも1.2倍、少なくとも1.3倍、少なくとも1.4倍、少なくとも1.5倍、少なくとも1.6倍、少なくとも1.7倍、少なくとも1.8倍、少なくとも1.9倍、少なくとも2倍、少なくとも2.1倍、少なくとも2.2倍、少なくとも2.3倍、少なくとも2.4倍、少なくとも2.5倍、少なくとも2.6倍、少なくとも2.7倍、少なくとも2.8倍、少なくとも2.9倍、少なくとも3倍、少なくとも3.5倍、少なくとも4倍、少なくとも4.5倍、少なくとも5倍、少なくとも5.5倍、少なくとも6倍、少なくとも6.5倍、少なくとも7倍、少なくとも7.5倍、少なくとも8倍、少なくとも8.5倍、少なくとも9倍、少なくとも9.5倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも30倍、少なくとも40倍、少なくとも50倍、または50倍超高い。
【0094】
一実施形態では、本発明の骨格修飾されたDMAbは、半減期が、親DMAbよりも、少なくとも1.1倍、少なくとも1.2倍、少なくとも1.3倍、少なくとも1.4倍、少なくとも1.5倍、少なくとも1.6倍、少なくとも1.7倍、少なくとも1.8倍、少なくとも1.9倍、少なくとも2倍、少なくとも2.1倍、少なくとも2.2倍、少なくとも2.3倍、少なくとも2.4倍、少なくとも2.5倍、少なくとも2.6倍、少なくとも2.7倍、少なくとも2.8倍、少なくとも2.9倍、少なくとも3倍、少なくとも3.5倍、少なくとも4倍、少なくとも4.5倍、少なくとも5倍、少なくとも5.5倍、少なくとも6倍、少なくとも6.5倍、少なくとも7倍、少なくとも7.5倍、少なくとも8倍、少なくとも8.5倍、少なくとも9倍、少なくとも9.5倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも30倍、少なくとも40倍、少なくとも50倍、または50倍超長い。
【0095】
一実施形態では、本発明の骨格修飾されたDMAbは、安定性が、親DMAbよりも、少なくとも1.1倍、少なくとも1.2倍、少なくとも1.3倍、少なくとも1.4倍、少なくとも1.5倍、少なくとも1.6倍、少なくとも1.7倍、少なくとも1.8倍、少なくとも1.9倍、少なくとも2倍、少なくとも2.1倍、少なくとも2.2倍、少なくとも2.3倍、少なくとも2.4倍、少なくとも2.5倍、少なくとも2.6倍、少なくとも2.7倍、少なくとも2.8倍、少なくとも2.9倍、少なくとも3倍、少なくとも3.5倍、少なくとも4倍、少なくとも4.5倍、少なくとも5倍、少なくとも5.5倍、少なくとも6倍、少なくとも6.5倍、少なくとも7倍、少なくとも7.5倍、少なくとも8倍、少なくとも8.5倍、少なくとも9倍、少なくとも9.5倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも30倍、少なくとも40倍、少なくとも50倍、または50倍超高い。
【0096】
一実施形態では、本発明の骨格修飾されたDMAbは、組織透過性が、親DMAbよりも、少なくとも1.1倍、少なくとも1.2倍、少なくとも1.3倍、少なくとも1.4倍、少なくとも1.5倍、少なくとも1.6倍、少なくとも1.7倍、少なくとも1.8倍、少なくとも1.9倍、少なくとも2倍、少なくとも2.1倍、少なくとも2.2倍、少なくとも2.3倍、少なくとも2.4倍、少なくとも2.5倍、少なくとも2.6倍、少なくとも2.7倍、少なくとも2.8倍、少なくとも2.9倍、少なくとも3倍、少なくとも3.5倍、少なくとも4倍、少なくとも4.5倍、少なくとも5倍、少なくとも5.5倍、少なくとも6倍、少なくとも6.5倍、少なくとも7倍、少なくとも7.5倍、少なくとも8倍、少なくとも8.5倍、少なくとも9倍、少なくとも9.5倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも30倍、少なくとも40倍、少なくとも50倍、または50倍超優れている。
【0097】
一実施形態では、本発明の骨格修飾されたDMAbは、重鎖-軽鎖対合が、親DMAbよりも、少なくとも1.1倍、少なくとも1.2倍、少なくとも1.3倍、少なくとも1.4倍、少なくとも1.5倍、少なくとも1.6倍、少なくとも1.7倍、少なくとも1.8倍、少なくとも1.9倍、少なくとも2倍、少なくとも2.1倍、少なくとも2.2倍、少なくとも2.3倍、少なくとも2.4倍、少なくとも2.5倍、少なくとも2.6倍、少なくとも2.7倍、少なくとも2.8倍、少なくとも2.9倍、少なくとも3倍、少なくとも3.5倍、少なくとも4倍、少なくとも4.5倍、少なくとも5倍、少なくとも5.5倍、少なくとも6倍、少なくとも6.5倍、少なくとも7倍、少なくとも7.5倍、少なくとも8倍、少なくとも8.5倍、少なくとも9倍、少なくとも9.5倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも30倍、少なくとも40倍、少なくとも50倍、または50倍超優れている。
【0098】
一本鎖Fv-Fc(ScFv-Fc)変換
一実施形態では、本発明の構造修飾されたDMAbは、ScFv-Fc DMAbである。一実施形態では、ScFv-Fc変換は、CH1およびCL領域の除去、ならびにVHとVLとの間のリンカーの付加に関する。したがって、一実施形態では、本発明の構造修飾されたDMAbは、CH1およびCLドメインのコード配列を欠き、VHドメインをコードする配列とVLドメインをコードする配列との間のリンカーのコード配列を含む核酸分子によってコードされたDMAbを含む。一実施形態では、ScFv-Fc DMAbは、VH領域のC末端をVL領域のN末端に結合するリンカーを含んで、VH-VL配向にある。一実施形態では、ScFv-Fc DMAbは、VL領域のC末端をVH領域のN末端に結合するリンカーを含んで、VL-VH配向にある。一実施形態では、リンカーは、少なくとも10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、または20超のアミノ酸残基を含む。一実施形態では、リンカーは、GGGGSGGGGSGGGGS(配列番号53)に従う配列を有する(G4S)3リンカーを含む。別の実施形態では、リンカーは、アミノ酸配列GSTSGSGKPGSGEGSTKG(配列番号109)を有するWhitlowリンカーである。
【0099】
本発明のScFv-Fc DMAbの免疫グロブリン骨格は、IgA1およびIgA2を含むIgA、IgD、IgE、IgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4を含むIgG、IgM、カッパおよびラムダを含むがこれらに限定されない、いずれの免疫グロブリンアイソタイプにも由来し得る。
【0100】
一実施形態では、本発明のScFv-Fc変換された抗体は、親DMAbと比較して、修飾された発現、安定性、半減期、抗原結合、重鎖-軽鎖対合、組織透過性、またはそれらの組み合わせを有する。
【0101】
一実施形態では、本発明のScFv-Fc DMAbは、発現が、親DMAbよりも、少なくとも1.1倍、少なくとも1.2倍、少なくとも1.3倍、少なくとも1.4倍、少なくとも1.5倍、少なくとも1.6倍、少なくとも1.7倍、少なくとも1.8倍、少なくとも1.9倍、少なくとも2倍、少なくとも2.1倍、少なくとも2.2倍、少なくとも2.3倍、少なくとも2.4倍、少なくとも2.5倍、少なくとも2.6倍、少なくとも2.7倍、少なくとも2.8倍、少なくとも2.9倍、少なくとも3倍、少なくとも3.5倍、少なくとも4倍、少なくとも4.5倍、少なくとも5倍、少なくとも5.5倍、少なくとも6倍、少なくとも6.5倍、少なくとも7倍、少なくとも7.5倍、少なくとも8倍、少なくとも8.5倍、少なくとも9倍、少なくとも9.5倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも30倍、少なくとも40倍、少なくとも50倍、または50倍超高い。
【0102】
一実施形態では、本発明のScFv-Fc DMAbは、抗原結合が、親DMAbよりも、少なくとも1.1倍、少なくとも1.2倍、少なくとも1.3倍、少なくとも1.4倍、少なくとも1.5倍、少なくとも1.6倍、少なくとも1.7倍、少なくとも1.8倍、少なくとも1.9倍、少なくとも2倍、少なくとも2.1倍、少なくとも2.2倍、少なくとも2.3倍、少なくとも2.4倍、少なくとも2.5倍、少なくとも2.6倍、少なくとも2.7倍、少なくとも2.8倍、少なくとも2.9倍、少なくとも3倍、少なくとも3.5倍、少なくとも4倍、少なくとも4.5倍、少なくとも5倍、少なくとも5.5倍、少なくとも6倍、少なくとも6.5倍、少なくとも7倍、少なくとも7.5倍、少なくとも8倍、少なくとも8.5倍、少なくとも9倍、少なくとも9.5倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも30倍、少なくとも40倍、少なくとも50倍、または50倍超高い。
【0103】
一実施形態では、本発明のScFv-Fc DMAbは、半減期が、親DMAbよりも、少なくとも1.1倍、少なくとも1.2倍、少なくとも1.3倍、少なくとも1.4倍、少なくとも1.5倍、少なくとも1.6倍、少なくとも1.7倍、少なくとも1.8倍、少なくとも1.9倍、少なくとも2倍、少なくとも2.1倍、少なくとも2.2倍、少なくとも2.3倍、少なくとも2.4倍、少なくとも2.5倍、少なくとも2.6倍、少なくとも2.7倍、少なくとも2.8倍、少なくとも2.9倍、少なくとも3倍、少なくとも3.5倍、少なくとも4倍、少なくとも4.5倍、少なくとも5倍、少なくとも5.5倍、少なくとも6倍、少なくとも6.5倍、少なくとも7倍、少なくとも7.5倍、少なくとも8倍、少なくとも8.5倍、少なくとも9倍、少なくとも9.5倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも30倍、少なくとも40倍、少なくとも50倍、または50倍超長い。
【0104】
一実施形態では、本発明のScFv-Fc DMAbは、安定性が、親DMAbよりも、少なくとも1.1倍、少なくとも1.2倍、少なくとも1.3倍、少なくとも1.4倍、少なくとも1.5倍、少なくとも1.6倍、少なくとも1.7倍、少なくとも1.8倍、少なくとも1.9倍、少なくとも2倍、少なくとも2.1倍、少なくとも2.2倍、少なくとも2.3倍、少なくとも2.4倍、少なくとも2.5倍、少なくとも2.6倍、少なくとも2.7倍、少なくとも2.8倍、少なくとも2.9倍、少なくとも3倍、少なくとも3.5倍、少なくとも4倍、少なくとも4.5倍、少なくとも5倍、少なくとも5.5倍、少なくとも6倍、少なくとも6.5倍、少なくとも7倍、少なくとも7.5倍、少なくとも8倍、少なくとも8.5倍、少なくとも9倍、少なくとも9.5倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも30倍、少なくとも40倍、少なくとも50倍、または50倍超高い。
【0105】
一実施形態では、本発明のScFv-Fc DMAbは、組織透過性が、親DMAbよりも、少なくとも1.1倍、少なくとも1.2倍、少なくとも1.3倍、少なくとも1.4倍、少なくとも1.5倍、少なくとも1.6倍、少なくとも1.7倍、少なくとも1.8倍、少なくとも1.9倍、少なくとも2倍、少なくとも2.1倍、少なくとも2.2倍、少なくとも2.3倍、少なくとも2.4倍、少なくとも2.5倍、少なくとも2.6倍、少なくとも2.7倍、少なくとも2.8倍、少なくとも2.9倍、少なくとも3倍、少なくとも3.5倍、少なくとも4倍、少なくとも4.5倍、少なくとも5倍、少なくとも5.5倍、少なくとも6倍、少なくとも6.5倍、少なくとも7倍、少なくとも7.5倍、少なくとも8倍、少なくとも8.5倍、少なくとも9倍、少なくとも9.5倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも30倍、少なくとも40倍、少なくとも50倍、または50倍超優れている。
【0106】
一実施形態では、本発明のScFv-Fc DMAbは、重鎖-軽鎖対合が、親DMAbよりも、少なくとも1.1倍、少なくとも1.2倍、少なくとも1.3倍、少なくとも1.4倍、少なくとも1.5倍、少なくとも1.6倍、少なくとも1.7倍、少なくとも1.8倍、少なくとも1.9倍、少なくとも2倍、少なくとも2.1倍、少なくとも2.2倍、少なくとも2.3倍、少なくとも2.4倍、少なくとも2.5倍、少なくとも2.6倍、少なくとも2.7倍、少なくとも2.8倍、少なくとも2.9倍、少なくとも3倍、少なくとも3.5倍、少なくとも4倍、少なくとも4.5倍、少なくとも5倍、少なくとも5.5倍、少なくとも6倍、少なくとも6.5倍、少なくとも7倍、少なくとも7.5倍、少なくとも8倍、少なくとも8.5倍、少なくとも9倍、少なくとも9.5倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも30倍、少なくとも40倍、少なくとも50倍、または50倍超優れている。
【0107】
遺伝子最適化
一実施形態では、本発明の構造修飾されたDMAbは、遺伝子最適化された(GO)DMAbである。一実施形態では、遺伝子最適化は、コドン使用、GC含有量、潜在的スプライス部位、およびmRNA二次構造等の、転写および翻訳に影響する多数のパラメータが、多変数回帰アルゴリズムにおいて加重されて、親DMAbと比較して修飾された発現、安定性、半減期、抗原結合、またはそれらの組み合わせを有する配列を生成する方法に関する。
【0108】
一実施形態では、本発明の遺伝子最適化されたDMAbは、発現が、親DMAbよりも、少なくとも1.1倍、少なくとも1.2倍、少なくとも1.3倍、少なくとも1.4倍、少なくとも1.5倍、少なくとも1.6倍、少なくとも1.7倍、少なくとも1.8倍、少なくとも1.9倍、少なくとも2倍、少なくとも2.1倍、少なくとも2.2倍、少なくとも2.3倍、少なくとも2.4倍、少なくとも2.5倍、少なくとも2.6倍、少なくとも2.7倍、少なくとも2.8倍、少なくとも2.9倍、少なくとも3倍、少なくとも3.5倍、少なくとも4倍、少なくとも4.5倍、少なくとも5倍、少なくとも5.5倍、少なくとも6倍、少なくとも6.5倍、少なくとも7倍、少なくとも7.5倍、少なくとも8倍、少なくとも8.5倍、少なくとも9倍、少なくとも9.5倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも30倍、少なくとも40倍、少なくとも50倍、または50倍超高い。
【0109】
一実施形態では、本発明の遺伝子最適化されたDMAbは、抗原結合が、親DMAbよりも、少なくとも1.1倍、少なくとも1.2倍、少なくとも1.3倍、少なくとも1.4倍、少なくとも1.5倍、少なくとも1.6倍、少なくとも1.7倍、少なくとも1.8倍、少なくとも1.9倍、少なくとも2倍、少なくとも2.1倍、少なくとも2.2倍、少なくとも2.3倍、少なくとも2.4倍、少なくとも2.5倍、少なくとも2.6倍、少なくとも2.7倍、少なくとも2.8倍、少なくとも2.9倍、少なくとも3倍、少なくとも3.5倍、少なくとも4倍、少なくとも4.5倍、少なくとも5倍、少なくとも5.5倍、少なくとも6倍、少なくとも6.5倍、少なくとも7倍、少なくとも7.5倍、少なくとも8倍、少なくとも8.5倍、少なくとも9倍、少なくとも9.5倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも30倍、少なくとも40倍、少なくとも50倍、または50倍超高い。
【0110】
一実施形態では、本発明の遺伝子最適化されたDMAbは、半減期が、親DMAbよりも、少なくとも1.1倍、少なくとも1.2倍、少なくとも1.3倍、少なくとも1.4倍、少なくとも1.5倍、少なくとも1.6倍、少なくとも1.7倍、少なくとも1.8倍、少なくとも1.9倍、少なくとも2倍、少なくとも2.1倍、少なくとも2.2倍、少なくとも2.3倍、少なくとも2.4倍、少なくとも2.5倍、少なくとも2.6倍、少なくとも2.7倍、少なくとも2.8倍、少なくとも2.9倍、少なくとも3倍、少なくとも3.5倍、少なくとも4倍、少なくとも4.5倍、少なくとも5倍、少なくとも5.5倍、少なくとも6倍、少なくとも6.5倍、少なくとも7倍、少なくとも7.5倍、少なくとも8倍、少なくとも8.5倍、少なくとも9倍、少なくとも9.5倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも30倍、少なくとも40倍、少なくとも50倍、または50倍超長い。
【0111】
一実施形態では、本発明の遺伝子最適化されたDMAbは、安定性が、親DMAbよりも、少なくとも1.1倍、少なくとも1.2倍、少なくとも1.3倍、少なくとも1.4倍、少なくとも1.5倍、少なくとも1.6倍、少なくとも1.7倍、少なくとも1.8倍、少なくとも1.9倍、少なくとも2倍、少なくとも2.1倍、少なくとも2.2倍、少なくとも2.3倍、少なくとも2.4倍、少なくとも2.5倍、少なくとも2.6倍、少なくとも2.7倍、少なくとも2.8倍、少なくとも2.9倍、少なくとも3倍、少なくとも3.5倍、少なくとも4倍、少なくとも4.5倍、少なくとも5倍、少なくとも5.5倍、少なくとも6倍、少なくとも6.5倍、少なくとも7倍、少なくとも7.5倍、少なくとも8倍、少なくとも8.5倍、少なくとも9倍、少なくとも9.5倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも30倍、少なくとも40倍、少なくとも50倍、または50倍超高い。
【0112】
構造修飾されたDMAbをコードする核酸分子
一実施形態では、本発明は、構造修飾されたDMAbをコードする核酸分子を含む組成物を提供する。様々な実施形態では、核酸配列は、親DMAbよりも増加した発現、安定性、半減期、抗原結合、またはそれらの組み合わせを有するように設計された構造修飾されたDMAbをコードする。一実施形態では、核酸配列は、完全グラフトDMAb、部分グラフトDMA、骨格修飾されたDMAb、遺伝子最適化されたDMAb、またはScFv-Fc変換されたDMAbをコードする。
【0113】
抗エボラDMAb
一実施形態では、構造修飾されたDMAbは、抗エボラDMAbである。
一実施形態では、完全グラフトの構造修飾された抗エボラDMAbをコードする核酸分子は、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号16、または配列番号18のアミノ酸配列を有するDMAbをコードする。一実施形態では、完全グラフトの構造修飾された抗エボラDMAbをコードする核酸分子は、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号15、または配列番号17のヌクレオチド配列を含む。
【0114】
一実施形態では、部分グラフトの構造修飾された抗エボラDMAbをコードする核酸分子は、配列番号4、配列番号14、配列番号30、または配列番号34のアミノ酸配列を有するDMAbをコードする。一実施形態では、部分グラフトの構造修飾された抗エボラDMAbをコードする核酸分子は、配列番号3、配列番号13、配列番号29、または配列番号33のヌクレオチド配列を含む。
【0115】
一実施形態では、骨格修飾され構造修飾された抗エボラDMAbをコードする核酸分子は、配列番号2または配列番号12のアミノ酸配列を有するDMAbをコードする。一実施形態では、骨格修飾され構造修飾された抗エボラDMAbをコードする核酸分子は、配列番号2または配列番号12のヌクレオチド配列を含む。
【0116】
一実施形態では、ScFv-Fc修飾された抗エボラDMAbをコードする核酸分子は、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号32、または配列番号36のアミノ酸配列を有するDMAbをコードする。一実施形態では、ScFv-Fc修飾された抗エボラDMAbをコードする核酸分子は、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号32、または配列番号36のヌクレオチド配列を含む。
【0117】
一実施形態では、核酸分子は、構造修飾された抗エボラDMAbの断片をコードする配列を含む。一実施形態では、構造修飾されたDMAbをコードする核酸分子の断片は、構造修飾されたDMAbの可変軽鎖領域または可変重鎖領域をコードする。
【0118】
一実施形態では、1つ以上の構造修飾された抗エボラDMAbをコードする核酸分子は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、または配列番号46のアミノ酸配列に対して、コードされた配列の全長にわたって、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を有するDMAbをコードする。
【0119】
一実施形態では、1つ以上の構造修飾された抗エボラDMAbをコードする核酸分子は、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、配列番号41、配列番号43、または配列番号45の核酸配列に対して、核酸配列の全長にわたって、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む。
【0120】
一実施形態では、核酸分子は、構造修飾された抗エボラDMAbの断片をコードする配列を含む。一実施形態では、構造修飾された抗エボラDMAbをコードする核酸分子の断片は、構造修飾された抗エボラDMAbの可変軽鎖領域または可変重鎖領域をコードする。
【0121】
一実施形態では、1つ以上の構造修飾された抗エボラDMAbをコードする核酸分子は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、または配列番号46のアミノ酸配列の少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%を構成する断片をコードするヌクレオチド配列を含む。
【0122】
一実施形態では、1つ以上の構造修飾された抗エボラDMAbをコードする核酸分子は、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、配列番号41、配列番号43、または配列番号45のヌクレオチド配列の少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%を構成する断片を含む。
【0123】
一実施形態では、1つ以上の構造修飾された抗エボラDMAbをコードする核酸分子は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、または配列番号46のアミノ酸配列に対して、コードされた配列の少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%にわたって、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む。
【0124】
一実施形態では、1つ以上の構造修飾された抗エボラDMAbをコードする核酸分子は、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、配列番号41、配列番号43、または配列番号45の核酸配列に対して、核酸配列の少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%にわたって、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む。
【0125】
一実施形態では、1つ以上の構造修飾された抗エボラDMAbをコードするヌクレオチド配列は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、または配列番号46に対して、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列、あるいは配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、または配列番号46に対して、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列の断片をコードする1つ以上のDNA配列から転写された1つ以上のRNA配列を含む。
【0126】
一実施形態では、抗エボラDMAbをコードするヌクレオチド配列は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、または配列番号46に示されるアミノ酸配列、あるいは配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、または配列番号46に示されるアミノ酸配列の断片をコードする1つ以上のDNA配列から転写された1つ以上のRNA配列を含む。
【0127】
一実施形態では、抗エボラDMAbをコードするヌクレオチド配列は、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、配列番号41、配列番号43、または配列番号45に対して、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である1つ以上のDNA配列、あるいは配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、配列番号41、配列番号43、または配列番号45に対して、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一であるDNA配列の断片から転写された1つ以上のRNA配列を含む。
【0128】
一実施形態では、抗エボラDMAbをコードするヌクレオチド配列は、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、配列番号41、配列番号43、または配列番号45に示される1つ以上のDNA配列、あるいは配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、配列番号41、配列番号43、または配列番号45に示されるDNA配列の断片から転写された1つ以上のRNA配列を含む。
【0129】
本発明の組成物は、エボラウイルス感染と関連付けられる任意の疾患、障害、または状態を治療、予防、および/またはそれから保護することができる。ある特定の実施形態では、本組成物は、ウイルス感染を治療、予防、および/またはそれから保護することができる。ある特定の実施形態では、本組成物は、エボラウイルス感染と関連付けられる状態を治療、予防、および/またはそれから保護することができる。
【0130】
抗ジカDMAb
一実施形態では、構造修飾されたDMAbは、抗ZIKV DMAbである。
【0131】
一実施形態では、遺伝子最適化された抗ZIKV DMAbをコードする核酸分子は、配列番号64、配列番号66、配列番号68、配列番号70、配列番号72、配列番号74、配列番号76、配列番号78、配列番号80、配列番号82、配列番号84、または配列番号86のアミノ酸配列を有するDMAbをコードする。一実施形態では、遺伝子最適化された抗ZIKV DMAbをコードする核酸分子は、配列番号63、配列番号65、配列番号67、配列番号69、配列番号71、配列番号73、配列番号75、配列番号77、配列番号79、配列番号81、配列番号83、または配列番号85のヌクレオチド配列を含む。
【0132】
一実施形態では、ScFv-Fc修飾された抗ZIKV DMAbをコードする核酸分子は、配列番号90、配列番号92、配列番号94、配列番号96、配列番号100、配列番号102、配列番号104、または配列番号106のアミノ酸配列を有するDMAbをコードする。一実施形態では、ScFv-Fc修飾されたDMAbをコードする核酸分子は、配列番号89、配列番号91、配列番号93、配列番号95、配列番号99、配列番号101、配列番号103、または配列番号105のヌクレオチド配列を含む。
【0133】
一実施形態では、1つ以上の構造修飾された抗ZIKV DMAbをコードする核酸分子は、配列番号64、配列番号66、配列番号68、配列番号70、配列番号72、配列番号74、配列番号76、配列番号78、配列番号80、配列番号82、配列番号84、配列番号86、配列番号88、配列番号90、配列番号92、配列番号94、配列番号96、配列番号98、配列番号100、配列番号102、配列番号104、または配列番号106のアミノ酸配列に対して、コードされた配列の全長にわたって、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を有するDMAbをコードする。
【0134】
一実施形態では、1つ以上の構造修飾された抗ZIKV DMAbをコードする核酸分子は、配列番号63、配列番号65、配列番号67、配列番号69、配列番号71、配列番号73、配列番号75、配列番号77、配列番号79、配列番号81、配列番号83、配列番号85、配列番号87、配列番号89、配列番号91、配列番号93、配列番号95、配列番号97、配列番号99、配列番号101、配列番号103、または配列番号105の核酸配列に対して、核酸配列の全長にわたって、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む。
【0135】
一実施形態では、核酸分子は、構造修飾された抗ZIKV DMAbの断片をコードする配列を含む。一実施形態では、構造修飾された抗ZIKV DMAbをコードする核酸分子の断片は、構造修飾された抗ZIKV DMAbの可変軽鎖領域または可変重鎖領域をコードする。
【0136】
一実施形態では、1つ以上の構造修飾された抗ZIKV DMAbをコードする核酸分子は、配列番号64、配列番号66、配列番号68、配列番号70、配列番号72、配列番号74、配列番号76、配列番号78、配列番号80、配列番号82、配列番号84、配列番号86、配列番号88、配列番号90、配列番号92、配列番号94、配列番号96、配列番号98、配列番号100、配列番号102、配列番号104、または配列番号106のアミノ酸配列の少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%を構成する断片をコードするヌクレオチド配列を含む。
【0137】
一実施形態では、1つ以上の構造修飾された抗ZIKV DMAbをコードする核酸分子は、配列番号63、配列番号65、配列番号67、配列番号69、配列番号71、配列番号73、配列番号75、配列番号77、配列番号79、配列番号81、配列番号83、配列番号85、配列番号87、配列番号89、配列番号91、配列番号93、配列番号95、配列番号97、配列番号99、配列番号101、配列番号103、または配列番号105のヌクレオチド配列の少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%を構成する断片を含む。
【0138】
一実施形態では、1つ以上の構造修飾された抗ZIKV DMAbをコードする核酸分子は、配列番号64、配列番号66、配列番号68、配列番号70、配列番号72、配列番号74、配列番号76、配列番号78、配列番号80、配列番号82、配列番号84、配列番号86、配列番号88、配列番号90、配列番号92、配列番号94、配列番号96、配列番号98、配列番号100、配列番号102、配列番号104、または配列番号106のアミノ酸配列に対して、コードされた配列の少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%にわたって、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む。
【0139】
一実施形態では、1つ以上の構造修飾された抗ZIKV DMAbをコードする核酸分子は、配列番号63、配列番号65、配列番号67、配列番号69、配列番号71、配列番号73、配列番号75、配列番号77、配列番号79、配列番号81、配列番号83、配列番号85、配列番号87、配列番号89、配列番号91、配列番号93、配列番号95、配列番号97、配列番号99、配列番号101、配列番号103、または配列番号105の核酸配列に対して、核酸配列の少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%にわたって、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む。
【0140】
一実施形態では、1つ以上の構造修飾された抗ZIKV DMAbをコードするヌクレオチド配列は、配列番号64、配列番号66、配列番号68、配列番号70、配列番号72、配列番号74、配列番号76、配列番号78、配列番号80、配列番号82、配列番号84、配列番号86、配列番号88、配列番号90、配列番号92、配列番号94、配列番号96、配列番号98、配列番号100、配列番号102、配列番号104、または配列番号106に対して、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列、あるいは配列番号64、配列番号66、配列番号68、配列番号70、配列番号72、配列番号74、配列番号76、配列番号78、配列番号80、配列番号82、配列番号84、配列番号86、配列番号88、配列番号90、配列番号92、配列番号94、配列番号96、配列番号98、配列番号100、配列番号102、配列番号104、または配列番号106に対して、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%であるアミノ酸配列の断片をコードする1つ以上のDNA配列から転写された1つ以上のRNA配列を含む。
【0141】
一実施形態では、抗ZIKV DMAbをコードするヌクレオチド配列は、配列番号64、配列番号66、配列番号68、配列番号70、配列番号72、配列番号74、配列番号76、配列番号78、配列番号80、配列番号82、配列番号84、配列番号86、配列番号88、配列番号90、配列番号92、配列番号94、配列番号96、配列番号98、配列番号100、配列番号102、配列番号104、または配列番号106に示されるアミノ酸配列、あるいは配列番号64、配列番号66、配列番号68、配列番号70、配列番号72、配列番号74、配列番号76、配列番号78、配列番号80、配列番号82、配列番号84、配列番号86、配列番号88、配列番号90、配列番号92、配列番号94、配列番号96、配列番号98、配列番号100、配列番号102、配列番号104、または配列番号106に示されるアミノ酸配列の断片をコードする1つ以上のDNA配列から転写された1つ以上のRNA配列を含む。
【0142】
一実施形態では、抗ZIKV DMAbをコードするヌクレオチド配列は、配列番号63、配列番号65、配列番号67、配列番号69、配列番号71、配列番号73、配列番号75、配列番号77、配列番号79、配列番号81、配列番号83、配列番号85、配列番号87、配列番号89、配列番号91、配列番号93、配列番号95、配列番号97、配列番号99、配列番号101、配列番号103、または配列番号105に対して、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である1つ以上のDNA配列、あるいは配列番号63、配列番号65、配列番号67、配列番号69、配列番号71、配列番号73、配列番号75、配列番号77、配列番号79、配列番号81、配列番号83、配列番号85、配列番号87、配列番号89、配列番号91、配列番号93、配列番号95、配列番号97、配列番号99、配列番号101、配列番号103、または配列番号105に対して、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一であるDNA配列の断片から転写された1つ以上のRNA配列を含む。
【0143】
一実施形態では、抗ZIKV DMAbをコードするヌクレオチド配列は、配列番号63、配列番号65、配列番号67、配列番号69、配列番号71、配列番号73、配列番号75、配列番号77、配列番号79、配列番号81、配列番号83、配列番号85、配列番号87、配列番号89、配列番号91、配列番号93、配列番号95、配列番号97、配列番号99、配列番号101、配列番号103、または配列番号105に示される1つ以上のDNA配列、あるいは配列番号63、配列番号65、配列番号67、配列番号69、配列番号71、配列番号73、配列番号75、配列番号77、配列番号79、配列番号81、配列番号83、配列番号85、配列番号87、配列番号89、配列番号91、配列番号93、配列番号95、配列番号97、配列番号99、配列番号101、配列番号103、または配列番号105に示されるDNA配列の断片から転写された1つ以上のRNA配列を含む。
【0144】
本発明の組成物は、ジカウイルス感染と関連付けられる任意の疾患、障害、または状態を治療、予防、および/またはそれから保護することができる。ある特定の実施形態では、本組成物は、ウイルス感染を治療、予防、および/またはそれから保護することができる。ある特定の実施形態では、本組成物は、ジカウイルス感染と関連付けられる状態を治療、予防、および/またはそれから保護することができる。
【0145】
抗DENV DMAb
一実施形態では、構造修飾されたDMAbは、抗DENV DMAbである。
【0146】
一実施形態では、ScFv-Fc構造修飾抗DENV DMAbをコードする核酸分子は、配列番号108のアミノ酸配列を有するDMAbをコードする。一実施形態では、ScFv-Fc構造修飾DMAbをコードする核酸分子は、配列番号107のヌクレオチド配列を含む。
【0147】
一実施形態では、1つ以上の構造修飾された抗DENV DMAbをコードする核酸分子は、配列番号108のアミノ酸配列に対して、コードされた配列の全長にわたって、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を有するDMAbをコードする。
【0148】
一実施形態では、1つ以上の構造修飾された抗DENV DMAbをコードする核酸分子は、配列番号107の核酸配列に対して、核酸配列の全長にわたって、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む。
【0149】
一実施形態では、核酸分子は、構造修飾された抗DENV DMAbの断片をコードする配列を含む。一実施形態では、構造修飾された抗DENV DMAbをコードする核酸分子の断片は、構造修飾された抗DENV DMAbの可変軽鎖領域または可変重鎖領域をコードする。
【0150】
一実施形態では、1つ以上の構造修飾された抗DENV DMAbをコードする核酸分子は、配列番号108のアミノ酸配列の少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%を構成する断片をコードするヌクレオチド配列を含む。
【0151】
一実施形態では、1つ以上の構造修飾された抗DENV DMAbをコードする核酸分子は、配列番号107のヌクレオチド配列の少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%を構成する断片を含む。
【0152】
一実施形態では、1つ以上の構造修飾された抗DENV DMAbをコードする核酸分子は、配列番号108のアミノ酸配列に対して、コードされた配列の少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%にわたって、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む。
【0153】
一実施形態では、1つ以上の構造修飾された抗DENV DMAbをコードする核酸分子は、配列番号107の核酸配列に対して、核酸配列の少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%にわたって、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む。
【0154】
一実施形態では、1つ以上の構造修飾された抗DENV DMAbをコードするヌクレオチド配列は、配列番号108に対して、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列、あるいは配列番号108に対して、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列の断片をコードする1つ以上のDNA配列から転写された1つ以上のRNA配列を含む。
【0155】
一実施形態では、抗DENV DMAbをコードするヌクレオチド配列は、配列番号108に示されるアミノ酸配列または配列番号108に示されるアミノ酸配列の断片をコードする1つ以上のDNA配列から転写された1つ以上のRNA配列を含む。
【0156】
一実施形態では、抗DENV DMAbをコードするヌクレオチド配列は、配列番号107に対して、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である1つ以上のDNA配列、あるいは配列番号107に対して、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一であるDNA配列の断片から転写された1つ以上のRNA配列を含む。
【0157】
一実施形態では、抗DENV DMAbをコードするヌクレオチド配列は、配列番号107に示される1つ以上のDNA配列または配列番号107に示されるDNA配列の断片から転写された1つ以上のRNA配列を含む。
【0158】
本発明の組成物は、DENVウイルス感染と関連付けられる任意の疾患、障害、または状態を治療、予防、および/またはそれから保護することができる。ある特定の実施形態では、本組成物は、ウイルス感染を治療、予防、および/またはそれから保護することができる。ある特定の実施形態では、本組成物は、DENVウイルス感染と関連付けられる状態を治療、予防、および/またはそれから保護することができる。
【0159】
抗RSV DMAb
一実施形態では、構造修飾されたDMAbは、抗RSV DMAbである。
【0160】
一実施形態では、ScFv-Fc構造修飾抗RSV DMAbをコードする核酸分子は、配列番号113または配列番号117のアミノ酸配列を有するDMAbをコードする。一実施形態では、ScFv-Fc構造修飾DMAbをコードする核酸分子は、配列番号112または配列番号116のヌクレオチド配列を含む。
【0161】
一実施形態では、遺伝子最適化された抗RSV DMAbをコードする核酸分子は、配列番号111、配列番号115、または配列番号119のアミノ酸配列を有するDMAbをコードする。一実施形態では、遺伝子最適化された抗RSV DMAbをコードする核酸分子は、配列番号110、配列番号114、または配列番号118のヌクレオチド配列を含む。
【0162】
一実施形態では、1つ以上の構造修飾された抗RSV DMAbをコードする核酸分子は、配列番号111、配列番号113、配列番号115、配列番号117、または配列番号119のアミノ酸配列に対して、コードされた配列の全長にわたって、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を有するDMAbをコードする。
【0163】
一実施形態では、1つ以上の構造修飾された抗RSV DMAbをコードする核酸分子は、配列番号110、配列番号112、配列番号114、配列番号116、または配列番号118の核酸配列に対して、核酸配列の全長にわたって、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む。
【0164】
一実施形態では、核酸分子は、構造修飾された抗RSV DMAbの断片をコードする配列を含む。一実施形態では、構造修飾された抗RSV DMAbをコードする核酸分子の断片は、構造修飾された抗RSV DMAbの可変軽鎖領域または可変重鎖領域をコードする。
【0165】
一実施形態では、1つ以上の構造修飾された抗RSV DMAbをコードする核酸分子は、配列番号111、配列番号113、配列番号115、配列番号117、または配列番号119のアミノ酸配列の少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%を構成する断片をコードするヌクレオチド配列を含む。
【0166】
一実施形態では、1つ以上の構造修飾された抗RSV DMAbをコードする核酸分子は、配列番号110、配列番号112、配列番号114、配列番号116、または配列番号118のヌクレオチド配列の少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%を構成する断片を含む。
【0167】
一実施形態では、1つ以上の構造修飾された抗RSV DMAbをコードする核酸分子は、配列番号111、配列番号113、配列番号115、配列番号117、または配列番号119のアミノ酸配列に対して、コードされた配列の少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%にわたって、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む。
【0168】
一実施形態では、1つ以上の構造修飾された抗RSV DMAbをコードする核酸分子は、配列番号110、配列番号112、配列番号114、配列番号116、または配列番号118の核酸配列に対して、核酸配列の少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%にわたって、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む。
【0169】
一実施形態では、1つ以上の構造修飾された抗RSV DMAbをコードするヌクレオチド配列は、配列番号111、配列番号113、配列番号115、配列番号117、または配列番号119に対して、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列、あるいは配列番号111、配列番号113、配列番号115、配列番号117、または配列番号119に対して、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列の断片をコードする1つ以上のDNA配列から転写された1つ以上のRNA配列を含む。
【0170】
一実施形態では、抗RSV DMAbをコードするヌクレオチド配列は、配列番号111、配列番号113、配列番号115、配列番号117、または配列番号119に示されるアミノ酸配列、あるいは配列番号111、配列番号113、配列番号115、配列番号117、または配列番号119に示されるアミノ酸配列の断片をコードする1つ以上のDNA配列から転写された1つ以上のRNA配列を含む。
【0171】
一実施形態では、抗RSV DMAbをコードするヌクレオチド配列は、配列番号110、配列番号112、配列番号114、配列番号116、または配列番号118に対して、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である1つ以上のDNA配列、あるいは配列番号110、配列番号112、配列番号114、配列番号116、または配列番号118に対して、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一であるDNA配列の断片から転写された1つ以上のRNA配列を含む。
【0172】
一実施形態では、抗RSV DMAbをコードするヌクレオチド配列は、配列番号110、配列番号112、配列番号114、配列番号116、または配列番号118に示される1つ以上のDNA配列、あるいは配列番号110、配列番号112、配列番号114、配列番号116、または配列番号118に示されるDNA配列の断片から転写された1つ以上のRNA配列を含む。
【0173】
本発明の組成物は、RSVウイルス感染と関連付けられる任意の疾患、障害、または状態を治療、予防、および/またはそれから保護することができる。ある特定の実施形態では、本組成物は、ウイルス感染を治療、予防、および/またはそれから保護することができる。ある特定の実施形態では、本組成物は、RSVウイルス感染と関連付けられる状態を治療、予防、および/またはそれから保護することができる。
【0174】
3.DNAコード化抗体
上記のように、本組成物は、組換え核酸配列を含み得る。組換え核酸配列は、構造修飾されたDMAb、その断片、その変異体、またはそれらの組み合わせをコードし得る。抗体については、後により詳細に記載する。
【0175】
組換え核酸配列は、異種核酸配列であり得る。組換え核酸配列は、少なくとも1つの異種核酸配列または1つ以上の異種核酸配列を含み得る。
【0176】
組換え核酸配列は、最適化された核酸配列であり得る。そのような最適化により、抗体の免疫原性が増加し得るかまたは改変され得る。また、最適化により、転写および/または翻訳が改善し得る。最適化には、以下のうちの1つ以上が含まれ得る:転写を増加させるためのGC含有量が低いリーダー配列;mRNA安定性およびコドン最適化;翻訳増加のためのコザック配列(例えば、GCC ACC)の付加;シグナルペプチドをコードする免疫グロブリン(Ig)リーダー配列の付加;ならびにcis作用性配列モチーフ(即ち、内部TATAボックス)の可能な限りの除去。
【0177】
a.組換え核酸配列構築物
組換え核酸配列は、1つ以上の組換え核酸配列構築物を含み得る。組換え核酸配列構築物は、後により詳細に記載する1つ以上の構成要素を含み得る。
【0178】
組換え核酸配列構築物は、重鎖ポリペプチド、その断片、その変異体、またはそれらの組み合わせをコードする異種核酸配列を含み得る。組換え核酸配列構築物は、軽鎖ポリペプチド、その断片、その変異体、またはそれらの組み合わせをコードする異種核酸配列を含み得る。組換え核酸配列構築物はまた、プロテアーゼまたはペプチダーゼ切断部位をコードする異種核酸配列を含み得る。組換え核酸配列構築物は、1つ以上のリーダー配列を含むことができ、各リーダー配列がシグナルペプチドをコードする。組換え核酸配列構築物は、1つ以上のプロモーター、1つ以上のイントロン、1つ以上の転写終止領域、1つ以上の開始コドン、1つ以上の終止もしくは停止コドン、および/または1つ以上のポリアデニル化シグナルを含み得る。組換え核酸配列構築物はまた、1つ以上のリンカーまたはタグ配列を含み得る。タグ配列は、ヘマグルチニン(HA)タグをコードし得る。
【0179】
(1)重鎖ポリペプチド
組換え核酸配列構築物は、重鎖ポリペプチド、その断片、その変異体、またはそれらの組み合わせをコードする異種核酸を含み得る。重鎖ポリペプチドは、可変重鎖(VH)領域および/または少なくとも1つの定常重鎖(CH)領域を含み得る。少なくとも1つの定常重鎖領域は、定常重鎖領域1(CH1)、定常重鎖領域2(CH2)、および定常重鎖領域3(CH3)、および/またはヒンジ領域を含み得る。
【0180】
いくつかの実施形態では、重鎖ポリペプチドは、VH領域およびCH1領域を含み得る。他の実施形態では、重鎖ポリペプチドは、VH領域、CH1領域、ヒンジ領域、CH2領域、およびCH3領域を含み得る。
【0181】
重鎖ポリペプチドは、相補性決定領域(「CDR」)のセットを含み得る。CDRセットは、VH領域の3つの超可変領域を含有し得る。重鎖ポリペプチドのN末端から始めて、これらのCDRは、それぞれ、「CDR1」、「CDR2」、および「CDR3」と表される。重鎖ポリペプチドのCDR1、CDR2、およびCDR3は、抗原の結合または認識に寄与し得る。
【0182】
(2)軽鎖ポリペプチド
組換え核酸配列構築物は、軽鎖ポリペプチド、その断片、その変異体、またはそれらの組み合わせをコードする異種核酸配列を含み得る。軽鎖ポリペプチドは、可変軽鎖(VL)領域および/または定常軽鎖(CL)領域を含み得る。
【0183】
軽鎖ポリペプチドは、相補性決定領域(「CDR」)のセットを含み得る。CDRセットは、VL領域の3つの超可変領域を含有し得る。軽鎖ポリペプチドのN末端から始めて、これらのCDRは、それぞれ、「CDR1」、「CDR2」、および「CDR3」と表される。軽鎖ポリペプチドのCDR1、CDR2、およびCDR3は、抗原の結合または認識に寄与し得る。
【0184】
(3)プロテアーゼ切断部位
組換え核酸配列構築物は、プロテアーゼ切断部位をコードする異種核酸配列を含み得る。プロテアーゼ切断部位は、プロテアーゼまたはペプチダーゼによって認識され得る。プロテアーゼは、エンドペプチダーゼまたはエンドプロテアーゼ、例えば、非限定的に、フューリン、エラスターゼ、HtrA、カルパイン、トリプシン、キモトリプシン、トリプシン、およびペプシンであり得る。プロテアーゼはフューリンであり得る。他の実施形態では、プロテアーゼは、内部ペプチド結合を切断する(即ち、N末端またはC末端ペプチド結合を切断しない)、セリンプロテアーゼ、トレオニンプロテアーゼ、システインプロテアーゼ、アスパラギン酸塩プロテアーゼ、メタロプロテアーゼ、グルタミン酸プロテアーゼ、または任意のプロテアーゼであり得る。
【0185】
プロテアーゼ切断部位は、切断の効率を促進するまたは増加させる1つ以上のアミノ酸配列を含み得る。1つ以上のアミノ酸配列は、個々のポリペプチドの形成または生成の効率を促進するまたは増加させることができる。1つ以上のアミノ酸配列は、2Aペプチド配列を含み得る。
【0186】
(4)リンカー配列
組換え核酸配列構築物は、1つ以上のリンカー配列を含み得る。リンカー配列は、本明細書に記載の1つ以上の構成要素を空間的に分離または連結し得る。他の実施形態では、リンカー配列は、2つ以上のポリペプチドを空間的に分離または連結するアミノ酸配列をコードし得る。一実施形態では、リンカー配列は、(G4S)リンカー、例えば、非限定的に、アミノ酸配列GGGGSGGGGSGGGGS(配列番号53)を有する(G4S)リンカーである。別の実施形態では、リンカーは、アミノ酸配列GSTSGSGKPGSGEGSTKG(配列番号109)を有するWhitlowリンカーである。
【0187】
(5)プロモーター
組換え核酸配列構築物は、1つ以上のプロモーターを含み得る。1つ以上のプロモーターは、遺伝子発現を駆動し、遺伝子発現を調節することができるいずれのプロモーターであってもよい。そのようなプロモーターは、DNA依存性RNAポリメラーゼを介した転写に必要とされるcis作用性配列エレメントである。遺伝子発現を導くために使用されるプロモーターの選択は、特定の用途に依存する。プロモーターは、その天然環境における転写開始部位からの距離とほぼ同じ距離だけ組換え核酸配列構築物における転写開始部位から離れて位置してもよい。しかしながら、この距離の変動は、プロモーター機能を喪失せずに適合させることができる。
【0188】
プロモーターは、重鎖ポリペプチドおよび/または軽鎖ポリペプチドをコードする異種核酸配列に作動可能に連結されてもよい。プロモーターは、真核細胞中の発現に効果的であることが示されているプロモーターであってもよい。コード配列に作動可能に連結したプロモーターは、CMVプロモーター、SV40初期プロモーターおよびSV40後期プロモーター等のサルウイルス40(SV40)由来のプロモーター、マウス乳癌ウイルス(MMTV)プロモーター、ウシ免疫不全ウイルス(BIV)長末端反復(LTR)プロモーター等のヒト免疫不全ウイルス(HIV)プロモーター、モロニーウイルスプロモーター、トリ白血病ウイルス(ALV)プロモーター、CMV前初期プロモーター等のサイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、エプスタイン-バーウイルス(EBV)プロモーター、またはラウス肉腫ウイルス(RSV)プロモーターであってもよい。プロモーターはまた、ヒトアクチン、ヒトミオシン、ヒトヘモグロビン、ヒト筋肉クレアチン、ヒトポリヘドリン、またはヒトメタロチオネイン等の、ヒト遺伝子に由来するプロモーターであってもよい。
【0189】
プロモーターは、宿主細胞がある特定の外的刺激に曝露されたときにのみ転写を開始する、構成的プロモーターまたは誘導性プロモーターであり得る。多細胞生物の場合、プロモーターはまた、特定の組織もしくは器官または発達段階に特異的であってもよい。プロモーターはまた、天然または合成の、筋または皮膚特異的プロモーター等の組織特異的プロモーターであってもよい。そのようなプロモーターの例は、内容全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第20040175727号に記載されている。
【0190】
プロモーターは、エンハンサーに関連し得る。エンハンサーは、コード配列の上流に位置し得る。エンハンサーは、ヒトアクチン、ヒトミオシン、ヒトヘモグロビン、ヒト筋肉クレアチン、またはウイルスエンハンサー、例えば、CMV、FMDV、RSV、EBVからのものであってもよい。ポリヌクレオチド機能エンハンサーは、各々の内容が参照により完全に組み込まれる米国特許第5,593,972号、同第5,962,428号、および第W094/016737号に記載されている。
【0191】
(6)イントロン
組換え核酸配列構築物は、1つ以上のイントロンを含み得る。各イントロンは、機能的スプライスドナーおよびアクセプター部位を含み得る。イントロンは、スプライシングのエンハンサーを含み得る。イントロンは、効率的なスプライシングに必要とされる1つ以上のシグナルを含み得る。
【0192】
(7)転写終止領域
組換え核酸配列構築物は、1つ以上の転写終止領域を含み得る。転写終止領域は、効率的な終止を提供するように、コード配列の下流に位置することができる。転写終止領域は、上記のプロモーターと同じ遺伝子から得られてもよく、あるいは1つ以上の異なる遺伝子から得られてもよい。
【0193】
(8)開始コドン
組換え核酸配列構築物は、1つ以上の開始コドンを含み得る。開始コドンは、コード配列の上流に位置し得る。開始コドンは、コード配列とインフレームであり得る。開始コドンは、効率的な翻訳開始に必要とされる1つ以上のシグナル、例えば、非限定的に、リボソーム結合部位に関連し得る。
【0194】
(9)終止コドン
組換え核酸配列構築物は、1つ以上の終止または停止コドンを含み得る。終止コドンは、コード配列の下流にあり得る。終止コドンは、コード配列とインフレームであり得る。終止コドンは、効率的な翻訳終止に必要とされる1つ以上のシグナルに関連し得る。
【0195】
(10)ポリアデニル化シグナル
組換え核酸配列構築物は、1つ以上のポリアデニル化シグナルを含み得る。ポリアデニル化シグナルは、効率的な転写産物のポリアデニル化に必要とされる1つ以上のシグナルを含み得る。ポリアデニル化シグナルは、コード配列の下流に位置付けられ得る。ポリアデニル化シグナルは、SV40ポリアデニル化シグナル、LTRポリアデニル化シグナル、ウシ成長ホルモン(bGH)ポリアデニル化シグナル、ヒト成長ホルモン(hGH)ポリアデニル化シグナル、またはヒトβ-グロブリンポリアデニル化シグナルであってもよい。SV40ポリアデニル化シグナルは、pCEP4プラスミド(Invitrogen,San Diego,CA)からのポリアデニル化シグナルであってもよい。
【0196】
(11)リーダー配列
組換え核酸配列構築物は、1つ以上のリーダー配列を含み得る。リーダー配列は、シグナルペプチドをコードし得る。シグナルペプチドは、免疫グロブリン(Ig)シグナルペプチド、例えば、非限定的に、IgGシグナルペプチドおよびIgEシグナルペプチドであり得る。
【0197】
b.組換え核酸配列構築物の配置
上記のように、組換え核酸配列は、1つ以上の組換え核酸配列構築物を含むことができ、各組換え核酸配列構築物は、1つ以上の構成要素を含み得る。1つ以上の構成要素については、上で詳述する。1つ以上の構成要素は、組換え核酸配列構築物に含まれるとき、互いに任意の順序で配置され得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の構成要素は、以下で記載するように組換え核酸配列構築物中に配置され得る。
【0198】
(1)配置1
ある配置では、第1の組換え核酸配列構築物は、重鎖ポリペプチドをコードする異種核酸配列を含むことができ、第2の組換え核酸配列構築物は、軽鎖ポリペプチドをコードする異種核酸配列を含むことができる。
【0199】
第1の組換え核酸配列構築物は、ベクター中に置くことができる。第2の組換え核酸配列構築物は、第2のまたは別個のベクター中に置くことができる。組換え核酸配列構築物をベクター中に置くことについては、後により詳細に記載する。
【0200】
第1の組換え核酸配列構築物はまた、プロモーター、イントロン、転写終止領域、開始コドン、終止コドン、および/またはポリアデニル化シグナルを含み得る。第1の組換え核酸配列構築物は、リーダー配列をさらに含むことができ、ここでは、リーダー配列は、重鎖ポリペプチドをコードする異種核酸配列の上流(または5’)に位置する。したがって、リーダー配列によってコードされたシグナルペプチドは、ペプチド結合によって重鎖ポリペプチドに連結し得る。
【0201】
第2の組換え核酸配列構築物はまた、プロモーター、開始コドン、終止コドン、およびポリアデニル化シグナルを含み得る。第2の組換え核酸配列構築物は、リーダー配列をさらに含むことができ、ここでは、リーダー配列は、軽鎖ポリペプチドをコードする異種核酸配列の上流(または5’)に位置する。したがって、リーダー配列によってコードされたシグナルペプチドは、ペプチド結合によって軽鎖ポリペプチドに連結し得る。
【0202】
したがって、配置1の一例には、VHおよびCH1を含む重鎖ポリペプチドをコードする第1のベクター(ひいては第1の組換え核酸配列構築物)と、VLおよびCLを含む軽鎖ポリペプチドをコードする第2のベクター(ひいては第2の組換え核酸配列構築物)とが含まれ得る。配置1の第2の例には、VH、CH1、ヒンジ領域、CH2、およびCH3を含む重鎖ポリペプチドをコードする第1のベクター(ひいては第1の組換え核酸配列構築物)と、VLおよびCLを含む軽鎖ポリペプチドをコードする第2のベクター(ひいては第2の組換え核酸配列構築物)とが含まれ得る。
【0203】
(2)配置2
第2の配置では、組換え核酸配列構築物は、重鎖ポリペプチドをコードする異種核酸配列と、軽鎖ポリペプチドをコードする異種核酸配列とを含むことができる。重鎖ポリペプチドをコードする異種核酸配列は、軽鎖ポリペプチドをコードする異種核酸配列の上流(または5’)に位置付けられ得る。あるいは、軽鎖ポリペプチドをコードする異種核酸配列は、重鎖ポリペプチドをコードする異種核酸配列の上流(または5’)に位置付けられ得る。
【0204】
組換え核酸配列構築物は、後により詳細に記載するように、ベクター中に置くことができる。
【0205】
組換え核酸配列構築物は、プロテアーゼ切断部位および/またはリンカー配列をコードする異種核酸配列を含み得る。組換え核酸配列構築物に含まれる場合、プロテアーゼ切断部位をコードする異種核酸配列が、重鎖ポリペプチドをコードする異種核酸配列と軽鎖ポリペプチドをコードする異種核酸配列との間に位置付けられ得る。こうして、プロテアーゼ切断部位により、発現時に、重鎖ポリペプチドおよび軽鎖ポリペプチドを個々のポリペプチドへと分離することが可能となる。他の実施形態では、組換え核酸配列構築物に含まれる場合には、リンカー配列が、重鎖ポリペプチドをコードする異種核酸配列と軽鎖ポリペプチドをコードする異種核酸配列との間に位置付けられ得る。
【0206】
組換え核酸配列構築物はまた、プロモーター、イントロン、転写終止領域、開始コドン、終止コドン、および/またはポリアデニル化シグナルを含み得る。組換え核酸配列構築物は、1つ以上のプロモーターを含み得る。組換え核酸配列構築物は、1つのプロモーターが重鎖ポリペプチドをコードする異種核酸配列に関連することができ、第2のプロモーターが軽鎖ポリペプチドをコードする異種核酸配列に関連することができるように、2つのプロモーターを含み得る。さらに他の実施形態では、組換え核酸配列構築物は、重鎖ポリペプチドをコードする異種核酸配列と軽鎖ポリペプチドをコードする異種核酸配列とに関連する1つプロモーターを含み得る。
【0207】
組換え核酸配列構築物は、2つのリーダー配列をさらに含むことができ、ここでは、第1のリーダー配列が重鎖ポリペプチドをコードする異種核酸配列の上流(または5’)に位置し、第2のリーダー配列が軽鎖ポリペプチドをコードする異種核酸配列の上流(または5’)に位置する。このため、第1のリーダー配列によってコードされた第1のシグナルペプチドは、ペプチド結合によって重鎖ポリペプチドに連結することができ、第2のリーダー配列によってコードされた第2のシグナルペプチドは、ペプチド結合によって軽鎖ポリペプチドに連結することができる。
【0208】
したがって、配置2の一例には、VHおよびCH1を含む重鎖ポリペプチドとVLおよびCLを含む軽鎖ポリペプチドとをコードするベクター(ひいては組換え核酸配列構築物)が含まれてもよく、ここでは、リンカー配列が、重鎖ポリペプチドをコードする異種核酸配列と軽鎖ポリペプチドをコードする異種核酸配列との間に位置付けられる。
【0209】
2の配置の第2の例には、VHおよびCH1を含む重鎖ポリペプチドとVLおよびCLを含む軽鎖ポリペプチドとをコードするベクター(ひいては組換え核酸配列構築物)が含まれてもよく、ここでは、プロテアーゼ切断部位をコードする異種核酸配列が、重鎖ポリペプチドをコードする異種核酸配列と軽鎖ポリペプチドをコードする異種核酸配列との間に位置付けられる。
【0210】
配置2の第3の例には、VH、CH1、ヒンジ領域、CH2、およびCH3を含む重鎖ポリペプチドとVLおよびCLを含む軽鎖ポリペプチドとをコードするベクター(ひいては組換え核酸配列構築物)が含まれてもよく、ここでは、リンカー配列が、重鎖ポリペプチドをコードする異種核酸配列と軽鎖ポリペプチドをコードする異種核酸配列との間に位置付けられる。
【0211】
2の配置の第4の例には、VH、CH1、ヒンジ領域、CH2、およびCH3を含む軽鎖ポリペプチドとVLおよびCLを含む軽鎖ポリペプチドとをコードするベクター(ひいては組換え核酸配列構築物)が含まれてもよく、ここでは、プロテアーゼ切断部位をコードする異種核酸配列が、重鎖ポリペプチドをコードする異種核酸配列と軽鎖ポリペプチドをコードする異種核酸配列との間に位置付けられる。
【0212】
(3)ScFv-Fc配置
ScFv-Fc配置では、組換え核酸配列は、重鎖ポリペプチドのVHドメインと軽鎖ポリペプチドのVLドメインとをコードする配列、およびさらにVHドメインとVLドメインとをコードする異種核酸配列間に位置付けられるリンカー配列を含み得る。
【0213】
ScFv-Fc配置の例には、VH、リンカー、VL、ヒンジ領域、CH2、およびCH3をコードするベクター(ひいては組換え核酸配列構築物)が含まれ得る。VH領域は、VL領域にリンカーを介してN末端またはC末端連結し得る。
【0214】
c.組換え核酸配列構築物からの発現
上記のように、組換え核酸配列構築物は、1つ以上の構成要素の中でも、重鎖ポリペプチドをコードする異種核酸配列および/または軽鎖ポリペプチドをコードする異種核酸配列を含み得る。このため、組換え核酸配列構築物により、重鎖ポリペプチドおよび/または軽鎖ポリペプチドの発現を促進することができる。
【0215】
上記の配置1を利用する場合、第1の組換え核酸配列構築物により、重鎖ポリペプチドの発現を促進することができ、第2の組換え核酸配列構築物により、軽鎖ポリペプチドの発現を促進することができる。上記の配置2を利用する場合、組換え核酸配列構築物により、重鎖ポリペプチドおよび軽鎖ポリペプチドの発現を促進することができる。
【0216】
例えば、非限定的に、細胞、生命体、または哺乳動物中で発現するとき、重鎖ポリペプチドおよび軽鎖ポリペプチドは、組み立てられて合成抗体となることができる。具体的には、重鎖ポリペプチドおよび軽鎖ポリペプチドは、互いに相互作用して、組立てにより、抗原に結合することが可能な合成抗体を生じさせることができる。他の実施形態では、重鎖ポリペプチドおよび軽鎖ポリペプチドは、互いに相互作用して、組立てにより、本明細書に記載のように組み立てられていない抗体と比較してより免疫原性である合成抗体を生じさせることができる。さらに他の実施形態では、重鎖ポリペプチドおよび軽鎖ポリペプチドは、互いに相互作用して、組立てにより、抗原に対する免疫応答を励起または誘導することが可能な合成抗体を生じさせることができる。
【0217】
d.ベクター
上記の組換え核酸配列構築物は、1つ以上のベクター中に置くことができる。1つ以上のベクターは、複製起点を含有し得る。1つ以上のベクターは、プラスミド、バクテリオファージ、細菌人工染色体、または酵母人工染色体であり得る。1つ以上のベクターは、自己複製染色体外ベクター、または宿主ゲノム中に組み入れられるベクターのいずれかであり得る。
【0218】
ベクターには、プラスミド、発現ベクター、組換えウイルス、任意の形態の組換え「裸DNA」ベクター等が含まれるが、これらに限定されない。「ベクター」は、細胞を、感染させる、トランスフェクトする、一時的または永久的に形質導入することができる核酸を含む。ベクターは、裸核酸、またはタンパク質もしくは脂質と複合体化した核酸であり得ることが認識される。ベクターは、任意選択で、ウイルスまたは細菌核酸、および/またはタンパク質、および/または膜(例えば、細胞膜、ウイルス脂質エンベロープ等)を含む。ベクターは、レプリコン(例えば、RNAレプリコン、バクテリオファージ)を非限定的に含み、これにDNAの断片が付着し、複製されてもよい。よって、ベクターには、RNA、自律的自己複製型の環状または線状DNAまたはRNA(例えば、プラスミド、ウイルス等、例えば、米国特許第5,217,879号参照)が非限定的に含まれ、また発現プラスミドと非発現プラスミドとの両方が含まれる。いくつかの実施形態では、ベクターには、線状DNA、酵素DNA、または合成DNAが含まれる。組換え微生物または細胞培養物が「発現ベクター」を宿していると記載される場合、これは、宿主染色体(複数可)に組み込まれた染色体外環状および線状DNAおよびDNAの両方を含む。ベクターが宿主細胞によって維持されている場合、ベクターは、自律的構造体として有糸分裂中に細胞によって安定して複製されるか、または宿主のゲノム内に組み込まれるかのいずれであってもよい。
【0219】
1つ以上のベクターは、一般に、特定の遺伝子を標的細胞に導入するために使用されるプラスミドである、異種発現構築物であり得る。発現ベクターが細胞内に入ると、組換え核酸配列構築物によってコードされた重鎖ポリペプチドおよび/または軽鎖ポリペプチドが、細胞転写および翻訳機構であるリボソーム複合体によって産生される。1つ以上のベクターは、大量の安定なメッセンジャーRNA、ひいてはタンパク質を発現することができる。
【0220】
(1)発現ベクター
1つ以上のベクターは、環状プラスミドまたは線状核酸であり得る。環状プラスミドおよび線状核酸は、適切な対象細胞において特定のヌクレオチド配列の発現を導くことができる。組換え核酸配列構築物を含む1つ以上のベクターは、キメラであってもよく、即ち、その成分のうちの少なくとも1つが、その他の成分のうちの少なくとも1つに対して異種であることを意味する。
【0221】
(2)プラスミド
1つ以上のベクターはプラスミドであり得る。プラスミドは、細胞を組換え核酸配列構築物でトランスフェクトするのに有用であってもよい。プラスミドは、組換え核酸配列構築物を対象の中に導入するのに有用であってもよい。プラスミドはまた、プラスミドが投与される細胞における遺伝子発現に十分適していてもよい調節配列を含んでもよい。
【0222】
プラスミドはまた、プラスミドを染色体外に維持し、細胞内でプラスミドの多数のコピーを産生するために、哺乳動物の複製起点を含んでもよい。プラスミドは、Invitrogen(San Diego,CA)からのpVAXI、pCEP4、またはpREP4であってもよく、これらは、エプスタイン-バーウイルスの複製起点、ならびに組み込みなしで高コピーエピソーム複製を生じ得る核抗原EBNA-1コード領域を含んでもよい。プラスミドの主鎖はpAV0242であってもよい。プラスミドは、複製欠損アデノウイルス5型(Ad5)プラスミドであってもよい。
【0223】
プラスミドは、大腸菌(E.coli)中のタンパク質産生に使用され得るpSE420(Invitrogen,San Diego,Calif.)であってもよい。プラスミドはまた、酵母のSaccharomyces cerevisiae株中のタンパク質産生に使用され得るp YES2(Invitrogen,San Diego,Calif.)であってもよい。プラスミドはまた、昆虫細胞中のタンパク質産生に使用され得るMAXBAC(商標)完全バキュロウイルス発現系(Invitrogen,San Diego,Calif.)であってもよい。プラスミドはまた、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞等の哺乳動物細胞中のタンパク質産生に使用され得るpcDNAIまたはpcDNA3(Invitrogen,San Diego,Calif.)であってもよい。
【0224】
(3)RNA
1つ以上のベクターはRNA分子であってもよい。一実施形態では、RNA分子は、本明細書に記載のDNA配列から転写される。例えば、いくつかの実施形態では、RNA分子は、構造修飾されたDMAbまたはその変異体またはその断片をコードする。一実施形態では、RNA分子は、構造修飾されたDMAbまたはその変異体またはその断片をコードするDNA分子から生成された転写産物である。したがって、一実施形態では、本発明は、DMAbのうちの1つ以上をコードするRNA分子を提供する。RNAはプラス鎖であってもよい。したがって、いくつかの実施形態では、RNA分子は、逆転写等のいずれの介在する複製ステップも必要とせずに、細胞によって翻訳されることができる。本発明で有用なRNA分子は、5′キャップを有してもよい(例えば、7-メチルグアノシン)。このキャップにより、RNAのインビボ翻訳を強化することができる。本発明で有用なRNA分子の5′ヌクレオチドは、5′三リン酸塩基を有してもよい。キャップされたRNAにおいて、これは、7-メチルグアノシンに、5′から5′への橋を介して連結してもよい。RNA分子は、3′ポリA尾部を有してもよい。これはまた、ポリAポリメラーゼ認識配列(例えば、AAUAAA)を、その3′末端付近に含んでもよい。本発明で有用なRNA分子は、一本鎖であってもよい。本発明で有用なRNA分子は、合成RNAを含んでもよい。
【0225】
(4)環状および線状ベクター
1つ以上のベクターは、細胞ゲノムへの取り込みによって標的細胞を形質転換し得るか、または染色体外に存在し得る、環状プラスミドであってもよい(例えば、複製起点を有するプラスミドの自律増殖)。ベクターは、pVAX、pcDNA3.0、もしくはprovax、または組換え核酸配列構築物によってコードされた重鎖ポリペプチドおよび/もしくは軽鎖ポリペプチドを発現することが可能な任意の他の発現ベクターであり得る。
【0226】
また、電気穿孔を介して対象に効率的に送達され、かつ組換え核酸配列構築物によってコードされた重鎖ポリペプチドおよび/または軽鎖ポリペプチドを発現することが可能な線状核酸または線状発現カセット(「LEC」)が本明細書で提供される。LECは、いずれのリン酸主鎖も持たないいずれの線状DNAであってもよい。LECは、いずれの抗生物質耐性遺伝子および/またはリン酸主鎖も含有しない場合がある。LECは、所望の遺伝子発現と無関係の他の核酸配列を含有しない場合がある。
【0227】
LECは、直線化が可能ないずれのプラスミドに由来してもよい。プラスミドは、組換え核酸配列構築物によってコードされた重鎖ポリペプチドおよび/または軽鎖ポリペプチドを発現することが可能であってもよい。プラスミドは、pNP(Puerto Rico/34)またはpM2(New Caledonia/99)であり得る。プラスミドは、WLV009、pVAX、pcDNA3.0、もしくはprovax、または組換え核酸配列構築物によってコードされた重鎖ポリペプチドおよび/もしくは軽鎖ポリペプチドを発現することが可能な任意の他の発現ベクターであり得る。
【0228】
LECは、pcrM2であり得る。LECは、pcrNPであり得る。pcrNPおよびpcrMRは、それぞれ、pNP(Puerto Rico/34)およびpM2(New Caledonia/99)に由来し得る。
【0229】
(5)双方向性発現ベクター
1つ以上のベクターは、双方向性発現ベクターであってもよい。双方向性ベクターは、目的のタンパク質またはポリペプチド、およびレポータータンパク質を発現するように、あるいは2つの目的のタンパク質またはポリペプチドを単一のプロモーターから発現するように設計されてもよい。発現は、構成的に活性な双方向性ヒトサイトメガロウイルスプロモーター(PminCMV)によって駆動されてもよい。一実施形態では、第1の目的のポリペプチドはDMAbであり、第2の目的のポリペプチドは抗原である。一実施形態では、第1の目的のポリペプチドは第1のDMAbであり、第2の目的のポリペプチドは第2のDMAbである。一実施形態では、第1および第2のDMAbのうちの1つ以上は、構造修飾されたDMAbであってもよい。第2のDMAbは、第1のDMAbと同じ抗原、第1のDMAbと同じウイルス由来の異なる抗原、または異なるウイルスの抗原を標的にしてもよい。例えば、一実施形態では、本発明は、抗ZIKV構造修飾DMAbと抗DENV構造修飾DMAbとの組み合わせをコードする多価双方向性発現ベクターを提供する。一実施形態では、双方向性発現ベクターは、配列番号64、配列番号66、配列番号68、配列番号70、配列番号72、配列番号74、配列番号76、配列番号78、配列番号80、配列番号82、配列番号84、配列番号86、配列番号88、配列番号90、配列番号92、配列番号94、配列番号96、配列番号98、配列番号100、配列番号102、配列番号104、または配列番号106から選択されるアミノ酸配列を含む構造修飾されたDMAbをコードするヌクレオチド配列と、配列番号108のアミノ酸配列を含む構造修飾されたDMAbをコードするヌクレオチド配列と、を含む。
【0230】
(6)ウイルスベクター
本発明の核酸を細胞に送達することが可能なウイルスベクターが本明細書で提供される。発現ベクターは、ウイルスベクターの形態で細胞に提供されてもよい。ウイルスベクター技術は当該技術分野で周知であり、例えば、Sambrookら(2001)、およびAusubelら(1997)、ならびに他のウイルス学および分子生物学の教書において、記載されている。ベクターとして有用なウイルスには、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ関連ウイルス、ヘルペスウイルス、およびレンチウイルスが挙げられるが、これらに限定されない。一般に、好適なベクターは、少なくとも1つの生命体において機能的な複製起点、プロモーター配列、簡便な制限エンドヌクレアーゼ部位、および1つ以上の選択可能なマーカーを含む。(例えば、国際公開第01/96584号、同第01/29058号、および米国特許第6,326,193号を参照されたい。ウイルスベクター、特にレトロウイルスベクターは、遺伝子を、哺乳動物、例えばヒトの細胞に挿入するために最も広く使用されている方法となっている。他のウイルスベクターは、レンチウイルス、ポックスウイルス、単純ヘルペスウイルスI、アデノウイルス、およびアデノ関連ウイルス等から導出され得る。例えば、米国特許第5,350,674号および同第5,585,362号を参照されたい。
【0231】
(7)ベクターの調製方法
組換え核酸配列構築物が置かれる1つ以上のベクターを調製するための方法が本明細書で提供される。最後のサブクローニングステップの後、ベクターを使用し、当該技術分野で既知の方法を使用して、大規模発酵タンク中に細胞培養物を植菌することができる。
【0232】
他の実施形態では、最終サブクローニングステップの後、ベクターは、1つ以上の電気穿孔(EP)デバイスと共に使用することができる。EPデバイスについては、後により詳細に記載する。
【0233】
1つ以上のベクターは、既知のデバイスおよび技法の組み合わせを使用して配合または製造することができるが、2008年12月4日公開の国際公開第2008/148010号に記載されているプラスミド製造方法を使用して製造されることが好ましい。いくつかの例では、本明細書に記載のDNAプラスミドは、10mg/mL以上の濃度で配合され得る。製造技術はまた、認可された特許である2007年7月3日発行の米国特許第7,238,522号に記載されるものを含め、米国出願第60/939792号に記載されるものに加えて、当業者に一般的に既知である様々なデバイスおよびプロトコルを含むか、またはそれらを組み込む。上で参照した出願および特許、それぞれ米国出願第60/939,792号および米国特許第7,238,522号は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0234】
4.抗体
上記のように、組換え核酸配列は、構造修飾されたDMAb、その断片、その変異体、またはそれらの組み合わせをコードし得る。構造修飾されたDMAbは、後により詳細に記載する抗原と結合または反応することができる。
【0235】
構造修飾されたDMAbは、重鎖および軽鎖相補性決定領域(「CDR」)のセットを含んでもよく、これは、CDRに支持を提供し、かつCDRの互いに対する空間的関係を画定する重鎖および軽鎖フレームワーク(「FR」)のセットの間にそれぞれ介在する。CDRセットは、重鎖または軽鎖V領域の3つの超可変領域を含有してもよい。重鎖または軽鎖のN末端から始めて、これらの領域は、それぞれ、「CDR1」、「CDR2」、および「CDR3」と表される。したがって、抗原結合部位は、重鎖V領域および軽鎖V領域の各々からのCDRセットを含む6つのCDRを含んでもよい。
【0236】
タンパク質分解酵素のパパインは、IgG分子を優先的に切断して、いくつかの断片を生み、これらのうちの2つ(F(ab)断片)は、各々、インタクトな抗原結合部位を含む共有結合ヘテロ二量体を含む。酵素のペプシンは、IgG分子を切断して、F(ab’)断片を含むいくつかの断片を提供することが可能であり、これらの断片は、両方の抗原結合部位を含む。したがって、抗体は、FabまたはF(ab’)であり得る。Fabは、重鎖ポリペプチドおよび軽鎖ポリペプチドを含み得る。Fabの重鎖ポリペプチドは、VH領域およびCH1領域を含み得る。Fabの軽鎖は、VL領域およびCL領域を含み得る。
【0237】
構造修飾されたDMAbは、免疫グロブリン(Ig)を含み得る。Igは、例えば、IgA、IgM、IgD、IgE、およびIgGであり得る。免疫グロブリンは、重鎖ポリペプチドおよび軽鎖ポリペプチドを含み得る。免疫グロブリンの重鎖ポリペプチドは、VH領域、CH1領域、ヒンジ領域、CH2領域、およびCH3領域を含み得る。免疫グロブリンの軽鎖ポリペプチドは、VL領域およびCL領域を含み得る。
【0238】
構造修飾されたDMAbは、重鎖および軽鎖のそれぞれCH1およびCL領域が欠如していてもよい。そのような実施形態では、構造修飾されたDMAbは、一本鎖DMAbであってもよく、かつVL領域をVH領域に係止する働きをする柔軟なアミノ酸リンカー配列を含んでもよい。構造修飾されたDMAbは、VL領域、リンカー、VH領域、ヒンジ領域、CH2領域、およびCH3領域を含む一本鎖を含んでもよい。VH領域は、VL領域にリンカーを介してN末端またはC末端連結し得る。
【0239】
構造修飾されたDMAbは、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体であり得る。抗体は、キメラ抗体、一本鎖抗体、親和性成熟抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、または完全ヒト抗体であり得る。ヒト化抗体は、非ヒト種由来の1つ以上の相補性決定領域(CDR)とヒト免疫グロブリン分子由来のフレームワーク領域とを有する所望の抗原に結合する、非ヒト種由来の抗体であり得る。
【0240】
構造修飾されたDMAbは、IgG1抗体、IgG2抗体、IgG3抗体、IgG4抗体、IgA1抗体、IgA2抗体、IgD抗体、IgE抗体、またはIgM抗体であり得る。構造修飾されたDMAbは、IgG1抗体、IgG2抗体、IgG3抗体、IgG4抗体、IgA1抗体、IgA2抗体、IgD抗体、IgE抗体、またはIgM抗体のうちのいずれかのキメラであり得る。いくつかの実施形態では、抗体ヒンジドメインは修飾される。例えば、一実施形態では、構造修飾されたDMAbは、ヒンジドメイン中でセリンからプロリンへのアミノ酸置換を含む。
【0241】
構造修飾されたDMAbは、後により詳細に記載するように、二重特異性抗体であり得る。抗体は、これも後により詳細に記載するように、二機能性抗体であり得る。
【0242】
上記のように、組成物を対象に投与すると、抗体が対象において生成され得る。抗体は、対象内での半減期を有してもよい。いくつかの実施形態では、抗体を修飾して、対象内でのその半減期を延長または短縮してもよい。そのような修飾については、後により詳細に記載する。
【0243】
抗体は、後により詳細に記載するように、脱フコシル化され得る。
【0244】
抗体を修飾して、後により詳細に記載するように、抗原に関連付けられる疾患の抗体依存性感染増強(ADE)を低減または防止してもよい。
【0245】
a.二重特異性抗体
組換え核酸配列は、二重特異性構造修飾されたDMAb、その断片、その変異体、またはそれらの組み合わせをコードし得る。二重特異性抗体は、2つの抗原、例えば、後により詳細に記載する抗原のうちの2つと結合または反応し得る。二重特異性抗体は、本明細書に記載の抗体のうちの2つの断片で構成されてもよく、それにより、二重特異性抗体が、後により詳細に記載する抗原、受容体のためのリガンドを含むリガンド、受容体上のリガンド結合部位を含む受容体、リガンド-受容体複合体、および癌マーカーを含むマーカーを含んでもよい、2つの所望の標的分子と結合または反応することが可能となる。
【0246】
本発明は、産生能、安定性、結合親和性、生物学的活性、ある特定のT細胞の特異的標的化、標的化効率、および低減した毒性等の特に有利な特性を有する、第1の標的に特異的に結合する第1の抗原結合部位と第2の標的に特異的に結合する第2の抗原結合部位とを含む新規の二重特異性抗体を提供する。いくつかの場合には、二重特異性抗体が高い親和性で第1の標的に結合し、低い親和性で第2の標的に結合する、二重特異性抗体が存在する。他の場合には、二重特異性抗体が低い親和性で第1の標的に結合し、高い親和性で第2の標的に結合する、二重特異性抗体が存在する。他の場合には、二重特異性抗体が、所望の親和性で第1の標的に結合し、所望の親和性で第2の標的に結合する、二重特異性抗体が存在する。
【0247】
一実施形態では、二重特異性抗体は、a)第1の抗原に特異的に結合している抗体の第1の軽鎖および第1の重鎖と、b)第2の抗原に特異的に結合している抗体の第2の軽鎖および第2の重鎖とを含む、二価抗体である。
【0248】
本発明による二重特異性抗体分子は、任意の所望の特異性の2つの結合部位を有し得る。いくつかの実施形態では、本発明による抗体分子の結合部位のうちの1つは、T細胞特異的受容体分子および/またはナチュラルキラー細胞(NK細胞)特異的受容体分子に結合することが可能である。T細胞特異的受容体は、いわゆる「T細胞受容体」(TCR)であり、これにより、T細胞が、抗原提示細胞またはAPCと呼ばれる別の細胞によって提示されるエピトープ/抗原に結合し、追加のシグナルが存在する場合には、このエピトープ/抗原によって活性化され、それに応答することができるようになる。T細胞受容体は、天然に存在する免疫グロブリンのFab断片に似ていることが知られている。これは、一般的に、アルファおよびベータ鎖を含む一価であり、いくつかの実施形態では、ガンマ鎖およびデルタ鎖を含む(上記参照)。したがって、いくつかの実施形態では、TCRは、TCR(アルファ/ベータ)であり、いくつかの実施形態では、これはTCR(ガンマ/デルタ)である。T細胞受容体は、CD3 T細胞共受容体と複合体を形成する。CD3は、タンパク質複合体であり、4つの別々の鎖で構成される。哺乳動物では、この複合体は、CD3γ鎖、CD36鎖、および2つのCD3E鎖を含有する。これらの鎖は、T細胞受容体(TCR)として知られる分子およびζ鎖と会合して、Tリンパ球中で活性化シグナルを生成する。故に、いくつかの実施形態では、T細胞特異的受容体は、CD3 T細胞共受容体である。いくつかの実施形態では、T細胞特異的受容体は、T細胞上でも発現されるタンパク質であるCD28である。CD28は、T細胞活性化に必要とされる共刺激性シグナルを提供し得る。CD28は、T細胞増殖および生存、サイトカイン産生、ならびにTヘルパー2型の発達に重要な役割を果たす。T細胞特異的受容体のなおさらなる例は、Ox40とも称されるCD134である。CD134/OX40は、活性化から24~72時間後に発現され、二次共刺激性分子の定義に用いられる。T細胞受容体の別の例は、抗原提示細胞(APC)上で4-1 BB-リガンドに結合することができ、それによりT細胞のための共刺激性シグナルを生成する、4-1 BBである。主にT細胞上で見られる受容体の別の例は、CD5であり、これはB細胞上でも低いレベルで見られる。T細胞機能を修飾する受容体のさらなる例は、Fas受容体としても知られるCD95であり、これは、他の細胞の表面で発現されるFas-リガンドによるアポトーシスシグナル伝達を媒介する。CD95は、休止Tリンパ球におけるTCR/CD3駆動型シグナル伝達経路を調節すると報告されている。
【0249】
NK細胞特異的受容体分子の例は、低親和性Fc受容体およびNKG2DであるCD16である。T細胞とナチュラルキラー(NK)細胞との両方の表面で提示される受容体分子の例は、CD2、およびCD2スーパーファミリーのさらなるメンバーである。CD2は、T細胞およびNK細胞上で共刺激性分子として作用することが可能である。
【0250】
いくつかの実施形態では、抗体分子の第1の結合部位は、標的抗原に結合し、第2の結合部位は、T細胞特異的受容体分子および/またはナチュラルキラー(NK)細胞特異的受容体分子に結合する。
【0251】
いくつかの実施形態では、抗体分子の第1の結合部位は、ウイルス抗原(例えば、エボラウイルスGPグリカンキャップ、エボラウイルスGP融合ループ、またはエボラウイルスGPカリスベース(chalice base))または自己抗原(例えば、腫瘍抗原)を含むがこれらに限定されない、標的抗原に結合し、第2の結合部位は、T細胞特異的受容体分子および/またはナチュラルキラー(NK)細胞特異的受容体分子に結合する。いくつかの実施形態では、抗体分子の第1の結合部位は、標的抗原に結合し、第2の結合部位は、CD3、T細胞受容体(TCR)、CD28、CD16、NKG2D、Ox40、4-1BB、CD2、CD5、およびCD95のうちの1つに結合する。
【0252】
いくつかの実施形態では、抗体分子の第1の結合部位は、T細胞特異的受容体分子および/またはナチュラルキラー(NK)細胞特異的受容体分子に結合し、第2の結合部位は、ウイルス抗原(例えば、エボラウイルスGPグリカンキャップ、エボラウイルスGP融合ループ、またはエボラウイルスGPカリスベース)および自己抗原(例えば、腫瘍抗原)を含むがこれらに限定されない、標的抗原に結合する。いくつかの実施形態では、抗体の第1の結合部位は、T細胞特異的受容体分子および/またはナチュラルキラー(NK)細胞特異的受容体分子に結合し、第2の結合部位は、標的抗原に結合する。いくつかの実施形態では、抗体の第1の結合部位は、CD3、T細胞受容体(TCR)、CD28、CD16、NKG2D、Ox40、4-1BB、CD2、CD5、およびCD95のうちの1つに結合し、第2の結合部位は、標的抗原に結合する。
【0253】
b.二機能性抗体
組換え核酸配列は、二機能性構造修飾されたDMAb、その断片、その変異体、またはそれらの組み合わせをコードし得る。二機能性抗体は、下記の抗原と結合または反応することができる。二機能性抗体はまた、抗原の認識および抗原への結合の他に、抗体に追加の機能を与えるように修飾することができる。そのような修飾には、H因子またはその断片へのカップリングが含まれ得るが、これらに限定されない。H因子は、補体活性化の可溶性調節因子であるので、補体媒介性溶解(CML)を介した免疫応答に寄与し得る。
【0254】
c.抗体半減期の延長
上記のように、構造修飾されたDMAbを修飾して、対象における抗体の半減期を延長または短縮してもよい。修飾により、対象の血清における抗体の半減期が延長または短縮され得る。
【0255】
修飾は、抗体の定常領域に存在してもよい。修飾は、1つ以上のアミノ酸置換を含有しない抗体の半減期と比較して、抗体の半減期を延長する、抗体の定常領域における1つ以上のアミノ酸置換であってもよい。修飾は、1つ以上のアミノ酸置換を含有しない抗体の半減期と比較して、抗体の半減期を延長する、抗体のCH2ドメインにおける1つ以上のアミノ酸置換であってもよい。
【0256】
いくつかの実施形態では、定常領域における1つ以上のアミノ酸置換は、定常領域におけるメチオニン残基のチロシン残基での代置、定常領域におけるセリン残基のトレオニン残基での代置、定常領域におけるトレオニン残基のグルタミン酸残基での代置、またはそれらの任意の組み合わせを含むことで、抗体の半減期を延長してもよい。
【0257】
他の実施形態では、定常領域における1つ以上のアミノ酸置換は、CH2ドメインにおけるメチオニン残基のチロシン残基での代置、CH2ドメインにおけるセリン残基のトレオニン残基での代置、CH2ドメインにおけるトレオニン残基のグルタミン酸残基での代置、またはそれらの任意の組み合わせを含むことで、抗体の半減期を延長してもよい。
【0258】
d.脱フコシル化
組換え核酸配列は、フコシル化されていない構造修飾されたDMAb(即ち、脱フコシル化抗体または非フコシル化抗体)、その断片、その変異体、またはそれらの組み合わせをコードすることができる。フコシル化は、糖フコースの分子への付加、例えば、フコースのN-グリカン、O-グリカン、および糖脂質への付加を含む。したがって、脱フコシル化抗体において、フコースは、定常領域の炭水化物鎖に付着していない。こうして、このフコシル化の欠如により、フコシル化抗体と比較して、抗体によるFcγRIIIa結合および抗体指向細胞毒性(ADCC)活性が改善され得る。したがって、いくつかの実施形態では、非フコシル化抗体は、フコシル化抗体と比較して増加したADCC活性を呈し得る。
【0259】
構造修飾されたDMAbは、抗体のフコシル化を防止または阻害するように修飾してもよい。いくつかの実施形態では、そのような修飾された抗体は、修飾されていない抗体と比較して増加したADCC活性を呈し得る。修飾は、重鎖、軽鎖、またはそれらの組み合わせにあってもよい。修飾は、重鎖における1つ以上のアミノ酸置換、軽鎖における1つ以上のアミノ酸置換、またはそれらの組み合わせであってもよい。
【0260】
e.低減したADE応答
構造修飾されたDMAbは、抗原に関連付けられる疾患の抗体依存性感染増強(ADE)を低減または防止するが、依然として抗原を中和するように修飾してもよい。例えば、抗体は、後により詳細に記載するDENVと関連付けられる疾患のADEを低減または防止するが、依然としてDENVを中和するように修飾してもよい。
【0261】
いくつかの実施形態では、抗体を修飾して、抗体のFcyR1aへの結合を低減または防止する1つ以上のアミノ酸置換を含めてもよい。1つ以上のアミノ酸置換は、抗体の定常領域にあってもよい。1つ以上のアミノ酸置換は、抗体の定常領域におけるロイシン残基のアラニン残基への代置、即ち、LA、LA突然変異、またはLA置換としても本明細書で知られるものを含んでよい。1つ以上のアミノ酸置換は、抗体の定常領域における2つのロイシン残基の各々のアラニン残基での代置を含んでよく、またLALA、LALA突然変異、またはLALA置換としても本明細書で知られている。LALA置換が存在することにより、抗体のFcyR1aへの結合が防止または遮断され得るため、修飾された抗体が抗原に関連付けられる疾患のADEを強化または誘発しないが、依然として抗原を中和するようになる。
【0262】
5.抗原
本発明の構造修飾されたDMAbは、抗原もしくは断片またはその変異体を指向する。抗原は、核酸配列、アミノ酸配列、多糖、またはそれらの組み合わせであり得る。核酸配列は、DNA、RNA、cDNA、それらの変異体、それらの断片、またはそれらの組み合わせであり得る。アミノ酸配列は、タンパク質、ペプチド、それらの変異体、それらの断片、またはそれらの組み合わせであり得る。多糖は、核酸でコードされた多糖であり得る。
【0263】
一実施形態では、本発明の合成抗体は、2つ以上の抗原を標的とする。一実施形態では、二重特異性抗体の少なくとも1つの抗原は、本明細書に記載の抗原から選択される。一実施形態では、2つ以上の抗原は、本明細書に記載の抗原から選択される。
【0264】
抗原は、任意の数の生命体、例えば、ウイルス、寄生虫、細菌、真菌、または哺乳動物に由来し得る。抗原は、自己免疫疾患、アレルギー、または喘息に関連し得る。他の実施形態では、抗原は、癌、ヘルペス、インフルエンザ、B型肝炎、C型肝炎、ヒトパピローマウイルス(HPV)、またはヒト免疫不全ウイルス(HIV)に関連し得る。
【0265】
いくつかの実施形態では、抗原は外来である。いくつかの実施形態では、抗原は自己抗原である。
【0266】
a.外来抗原
いくつかの実施形態では、抗原は外来である。外来抗原は、体内に導入されたときに、免疫応答を刺激することができる任意の非自己物質(即ち、対象の外部で生じる)である。
【0267】
(1)ウイルス抗原
外来抗原は、ウイルス抗原、またはその断片、またはその変異体であってもよい。ウイルス抗原は、以下の科:アデノウイルス科、アレナウイルス科、ブニヤウイルス科、カリシウイルス科、コロナウイルス科、フィロウイルス科、ヘパドナウイルス科、ヘルペスウイルス科、オルトミクソウイルス科、パポバウイルス科、パラミクソウイルス科、パルボウイルス科、ピコルナウイルス科、ポックスウイルス科、ポリオーマ科、レオウイルス科、レトロウイルス科、ラブドウイルス科、またはトガウイルス科のうちの1つのウイルスに由来し得る。ウイルス抗原は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、チクングニアウイルス(CHIKV)、デング熱ウイルス、パピローマウイルス、例えば、ヒトパピローマウイルス(HPV)、ポリオウイルス、肝炎ウイルス、例えば、A型肝炎ウイルス(HAV)、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、D型肝炎ウイルス(HDV)、およびE型肝炎ウイルス(HEV)、天然痘ウイルス(大痘瘡および小痘瘡)、ワクシニアウイルス、インフルエンザウイルス、ライノウイルス、馬脳炎ウイルス、風疹ウイルス、黄熱病ウイルス、ノーウォークウイルス、A型肝炎ウイルス、ヒトT細胞白血病ウイルス(HTLV-I)、ヘアリーセル白血病ウイルス(HTLV-II)、カリフォルニア脳炎ウイルス、ハンタウイルス(出血熱)、狂犬病ウイルス、エボラ熱ウイルス、マールブルグウイルス、麻疹ウイルス、ムンプスウイルス、呼吸器多核体ウイルス(RSV)、単純ヘルペスウイルス1型(口腔ヘルペス)、単純ヘルペスウイルス2型(性器ヘルペス)、帯状疱疹(水痘帯状疱疹、別名は水疱瘡)、サイトメガロウイルス(CMV)、例えば、ヒトCMV、エプスタイン-バーウイルス(EBV)、フラビウイルス、口蹄疫ウイルス、ラッサウイルス、アレナウイルス、メルケル細胞ポリオーマウイルス(MCV)、または発癌性ウイルスに由来し得る。
【0268】
(a)ヒト免疫不全ウイルス(HIV)抗原
ウイルス抗原は、ヒト免疫不全(HIV)ウイルスであってもよい。いくつかの実施形態では、HIV抗原は、A亜型エンベロープタンパク質、B亜型エンベロープタンパク質、C亜型エンベロープタンパク質、D亜型エンベロープタンパク質、B亜型Nef-Revタンパク質、GagのA、B、C、またはD亜型タンパク質、MPolタンパク質、Env A、Env B、Env C、Env D、B Nef-Rev、Gag、またはそれらの任意の組み合わせの核酸またはアミノ酸配列であり得る。
【0269】
(b)チクングニアウイルス
ウイルス抗原は、チクングニアウイルスに由来してもよい。チクングニアウイルスは、トガウイルス科のアルファウイルス属に属する。チクングニアウイルスは、感染したヤブカ属等の蚊に刺されることによってヒトに伝播される。
【0270】
(c)デングウイルス
ウイルス抗原は、デングウイルスに由来してもよい。デングウイルス抗原は、ウイルス粒子を形成する3つのタンパク質またはポリペプチド(C、prM、およびE)のうちの1つであってもよい。デングウイルス抗原は、ウイルスの複製に関与する7つの他のタンパク質またはポリペプチド(NS1、NS2a、NS2b、NS3、NS4a、NS4b、NS5)のうちの1つであってもよい。デングウイルスは、DENV-1、DENV-2、DENV-3、およびDENV-4を含むウイルスの5つの株または血清型のうちの1つであってもよい。抗原は、複数のデングウイルス抗原の任意の組み合わせであってもよい。
【0271】
デングウイルスに特異的な例示の構造修飾されたDMAbには、配列番号108をコードする配列番号107に列挙された構造修飾されたDMAbが挙げられるが、これに限定されない。
【0272】
(d)肝炎抗原
ウイルス抗原は、肝炎ウイルス抗原(即ち、肝炎抗原)、またはその断片、またはその変異体を含んでもよい。肝炎抗原は、A型肝炎ウイルス(HAV)、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、D型肝炎ウイルス(HDV)、および/またはE型肝炎ウイルス(HEV)のうちの1つ以上に由来する抗原または免疫原であり得る。
【0273】
肝炎抗原は、HAV由来の抗原であり得る。肝炎抗原は、HAVカプシドタンパク質、HAV非構造タンパク質、それらの断片、それらの変異体、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0274】
肝炎抗原は、HCV由来の抗原であり得る。肝炎抗原は、HCVヌクレオカプシドタンパク質(即ち、コアタンパク質)、HCVエンベロープタンパク質(例えば、E1およびE2)、HCV非構造タンパク質(例えば、NS1、NS2、NS3、NS4a、NS4b、NS5a、およびNS5b)、それらの断片、それらの変異体、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0275】
肝炎抗原は、HDV由来の抗原であり得る。肝炎抗原は、HDVデルタ抗原、その断片、またはその変異体であり得る。
【0276】
肝炎抗原は、HEV由来の抗原であり得る。肝炎抗原は、HEVカプシドタンパク質、その断片、またはその変異体であり得る。
【0277】
肝炎抗原は、HBV由来の抗原であり得る。肝炎抗原は、HBVコアタンパク質、HBV表面タンパク質、HBV DNAポリメラーゼ、遺伝子XによってコードされたHBVタンパク質、それらの断片、それらの変異体、またはそれらの組み合わせであり得る。肝炎抗原は、HBV遺伝子型Aコアタンパク質、HBV遺伝子型Bコアタンパク質、HBV遺伝子型Cコアタンパク質、HBV遺伝子型Dコアタンパク質、HBV遺伝子型Eコアタンパク質、HBV遺伝子型Fコアタンパク質、HBV遺伝子型Gコアタンパク質、HBV遺伝子型Hコアタンパク質、HBV遺伝子型A表面タンパク質、HBV遺伝子型B表面タンパク質、HBV遺伝子型C表面タンパク質、HBV遺伝子型D表面タンパク質、HBV遺伝子型E表面タンパク質、HBV遺伝子型F表面タンパク質、HBV遺伝子型G表面タンパク質、HBV遺伝子型H表面タンパク質、それらの断片、それらの変異体、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0278】
いくつかの実施形態では、肝炎抗原は、HBV遺伝子型A、HBV遺伝子型B、HBV遺伝子型C、HBV遺伝子型D、HBV遺伝子型E、HBV遺伝子型F、HBV遺伝子型G、またはHBV遺伝子型Hに由来する抗原であり得る。
【0279】
(e)ヒトパピローマウイルス(HPV)抗原
ウイルス抗原は、HPV由来の抗原を含んでもよい。HPV抗原は、子宮頸癌、直腸癌、および/または他の癌を引き起こす、HPV16、18、31、33、35、45、52、および58型に由来し得る。HPV抗原は、性器疣贅を引き起こし、また頭頸部癌の原因として知られる、HPV6および11型に由来し得る。
【0280】
HPV抗原は、各HPV型のHPV E6またはE7ドメインであり得る。例えば、HPV 16型(HPV16)の場合、HPV16抗原は、HPV16 E6抗原、HPV16 E7抗原、それらの断片、変異体、または組み合わせを含むことができる。同様に、HPV抗原は、HPV 6 E6および/もしくはE7、HPV 11 E6および/もしくはE7、HPV 18 E6および/もしくはE7、HPV 31 E6および/もしくはE7、HPV 33 E6および/もしくはE7、HPV 52 E6および/もしくはE7、またはHPV 58 E6および/もしくはE7、それらの断片、変異体、または組み合わせであってもよい。
【0281】
(f)RSV抗原
ウイルス抗原は、RSV抗原を含んでもよい。RSV抗原は、ヒトRSV融合タンパク質(本明細書において「RSV F」、「RSV Fタンパク質」、および「Fタンパク質」とも称される)、またはその断片もしくは変異体であり得る。ヒトRSV融合タンパク質は、RSVサブタイプAとBとの間に保存することができる。RSV抗原は、RSV Long株(GenBank AAX23994.1)由来のRSV Fタンパク質、またはその断片もしくは変異体であり得る。RSV抗原は、RSV A2株(GenBank AAB59858.1)由来のRSV Fタンパク質、またはその断片もしくは変異体であり得る。RSV抗原は、RSV Fタンパク質、またはその断片もしくは変異体の単量体、二量体、または三量体であり得る。
【0282】
RSV Fタンパク質は、融合前形態または融合後形態であり得る。RSV Fの融合後形態は、免疫動物において高力価の中和抗体を誘発し、動物をRSVへの曝露から保護する。
【0283】
RSV抗原はまた、ヒトRSV付着糖タンパク質(本明細書において「RSV G」、「RSV Gタンパク質」、および「Gタンパク質」とも称される)、またはその断片もしくは変異体であり得る。ヒトRSV Gタンパク質は、RSVサブタイプAとBとの間で異なる。抗原は、RSV Long株(GenBank AAX23993)由来のRSV Gタンパク質、またはその断片もしくは変異体であり得る。RSV抗原は、RSVサブタイプB単離菌H5601、RSVサブタイプB単離菌H1068、RSVサブタイプB単離菌H5598、RSVサブタイプB単離菌H1123、またはそれらの断片もしくは変異体からのRSV Gタンパク質であり得る。
【0284】
他の実施形態では、RSV抗原は、ヒトRSV非構造タンパク質1(「NS1タンパク質」)、またはその断片もしくは変異体であり得る。例えば、RSV抗原は、RSV Long株(GenBank AAX23987.1)由来のRSV NS1タンパク質、またはその断片もしくは変異体であり得る。ヒトRSV抗原はまた、RSV非構造タンパク質2(「NS2タンパク質」)、またはその断片もしくは変異体であり得る。例えば、RSV抗原は、RSV Long株(GenBank AAX23988.1)由来のRSV NS2タンパク質、またはその断片もしくは変異体であり得る。RSV抗原はさらに、ヒトRSVヌクレオカプシド(「N」)タンパク質、またはその断片もしくは変異体であり得る。例えば、RSV抗原は、RSV Long株(GenBank AAX23989.1)由来のRSV Nタンパク質、またはその断片もしくは変異体であり得る。RSV抗原は、ヒトRSVリン酸化タンパク質(「P」) タンパク質、またはその断片もしくは変異体であり得る。例えば、RSV抗原は、RSV Long株(GenBank AAX23990.1)由来のRSV Pタンパク質、またはその断片もしくは変異体であり得る。RSV抗原はまた、ヒトRSV基質タンパク質(「M」)タンパク質、またはその断片もしくは変異体であり得る。例えば、RSV抗原は、RSV Long株(GenBank AAX23991.1)由来のRSV Mタンパク質、またはその断片もしくは変異体であり得る。
【0285】
さらに他の実施形態では、RSV抗原は、ヒトRSV小疎水性(「SH」)タンパク質、またはその断片もしくは変異体であり得る。例えば、RSV抗原は、RSV Long株(GenBank AAX23992.1)由来のRSV SHタンパク質、またはその断片もしくは変異体であり得る。RSV抗原はまた、ヒトRSV基質タンパク質2-1(「M2-1」)タンパク質、またはその断片もしくは変異体であり得る。例えば、RSV抗原は、RSV Long株(GenBank AAX23995.1)由来のRSV M2-1タンパク質、またはその断片もしくは変異体であり得る。RSV抗原はさらに、ヒトRSV基質タンパク質2-2(「M2-2」)タンパク質、またはその断片もしくは変異体であり得る。例えば、RSV抗原は、RSV Long株(GenBank AAX23997.1)由来のRSV M2-2タンパク質、またはその断片もしくは変異体であり得る。ヒトRSV抗原は、RSVポリメラーゼL(「L」)タンパク質、またはその断片もしくは変異体であり得る。例えば、RSV抗原は、RSV Long株(GenBank AAX23996.1)由来のRSV Lタンパク質、またはその断片もしくは変異体であり得る。
【0286】
さらなる実施形態では、RSV抗原は、NS1、NS2、N、P、M、SH、M2-1、M2-2、またはLタンパク質の最適化されたアミノ酸配列を有し得る。RSV抗原は、ヒトRSVゲノムによってコードされたタンパク質のうちのいずれか1つ等の、ヒトRSVタンパク質または組換え抗原であり得る。
【0287】
他の実施形態では、RSV抗原は、RSV Long株由来のRSV Fタンパク質、RSV Long株由来のRSV Gタンパク質、最適化されたアミノ酸RSV Gアミノ酸配列、RSV Long株のヒトRSVゲノム、最適化されたアミノ酸RSV Fアミノ酸配列、RSV Long株由来のRSV NS1タンパク質、RSV Long株由来のRSV NS2タンパク質、RSV Long株由来のRSV Nタンパク質、RSV Long株由来のRSV Pタンパク質、RSV Long株由来のRSV Mタンパク質、RSV Long株由来のRSV SHタンパク質、RSV Long株由来のRSV M2-1タンパク質、RSV Long株由来のRSV M2-2タンパク質、RSV Long株由来のRSV Lタンパク質、RSVサブタイプB単離菌H5601由来のRSV Gタンパク質、RSVサブタイプB単離菌H1068由来のRSV Gタンパク質、RSVサブタイプB単離菌H5598由来のRSV Gタンパク質、RSVサブタイプB単離菌H1123由来のRSV Gタンパク質、またはそれらの断片、またはそれらの変異体であり得るが、これらに限定されない。
【0288】
RSVに特異的な例示的な構造修飾されたDMAbには、配列番号110~配列番号119に列挙される構造修飾されたDMAbが挙げられるが、これらに限定されない。
【0289】
(g)インフルエンザ抗原
ウイルス抗原は、インフルエンザウイルス由来の抗原を含んでもよい。インフルエンザ抗原は、哺乳動物において1つ以上のインフルエンザ血清型に対する免疫応答を誘発することができる抗原である。抗原は、全長翻訳産物HA0、サブユニットHA1、サブユニットHA2、それらの変異体、それらの断片、またはそれらの組み合わせを含むことができる。インフルエンザヘマグルチニン抗原は、インフルエンザA血清型H1、血清型H2、インフルエンザA血清型H1の異なるセットの多数の株に由来するハイブリッド配列の多の株に由来してもよく、あるいはインフルエンザBの多数の株に由来してもよい。インフルエンザヘマグルチニン抗原は、インフルエンザBに由来してもよい。
【0290】
インフルエンザ抗原は、免疫応答が誘導され得る特定のインフルエンザ免疫原に対して効果的であり得る少なくとも1つの抗原エピトープを含有することもできる。抗原は、免疫原性部位の全レパートリーと、インタクトなインフルエンザウイルス中に存在するエピトープとを提供することができる。抗原は、血清型H1または血清型H2の複数のインフルエンザAウイルス株等の、1つの血清型の複数のインフルエンザAウイルス株からのヘマグルチニン抗原配列に由来してもよい。抗原は、2つの異なるヘマグルチニン抗原配列またはその一部を組み合わせることによって得られるハイブリッドヘマグルチニン抗原配列であってもよい。2つの異なるヘマグルチニン抗原配列の各々は、血清型H1の複数のインフルエンザAウイルス株等の、1つの血清型の異なるセットの複数のインフルエンザAウイルス株に由来し得る。抗原は、複数のインフルエンザBウイルス株からのヘマグルチニン抗原配列に由来するヘマグルチニン抗原配列であってもよい。
【0291】
いくつかの実施形態では、インフルエンザ抗原は、H1 HA、H2 HA、H3 HA、H5 HA、またはBHA抗原であってもよい。
【0292】
(h)エボラウイルス
ウイルス抗原は、エボラウイルスに由来してもよい。エボラウイルス疾患(EVD)またはエボラ出血熱(EHF)には、ブンディブギョウイルス(BDBV)、エボラウイルス(EBOV)、スーダンウイルス(SUDV)、およびタイフォレストウイルス(TAFV、コートジボワールエボラウイルス(アイボリーコーストウイルス、CIEBOV)とも称される)を含む5つの既知のエボラウイルスのうちの4つのいずれかが含まれる。
【0293】
構造修飾されたDMAbは、エボラウイルス抗原に特異的であってもよい。エボラウイルスに特異的な例示的な構造修飾されたDMAbには、配列番号1~配列番号46に列挙される構造修飾されたDMAbが挙げられるが、これらに限定されない。
【0294】
(i)マールブルグマールブルグウイルス
ウイルス抗原は、マールブルグマールブルグウイルスに由来してもよい。マールブルグウイルス病(MVD)またはマールブルグ出血熱(EHF)には、マールブルグウイルス(MARV)およびラブン(Ravn)ウイルス(RAVV)を含む5つの既知のマールブルグウイルスのうちの4つのいずれかを含む。
【0295】
マールブルグウイルスの多数のサブタイプまたは血清型に対する幅広い免疫を誘導するために使用され得るマールブルグウイルス免疫原。抗原は、マールブルグウイルスエンベロープ糖タンパク質から誘導されてもよい。
【0296】
(j)ジカウイルス
ウイルス抗原は、ジカウイルスに由来してもよい。ジカ病は、ジカウイルスによる感染によって引き起こされ、感染した蚊に刺されることによってヒトに伝播し得るか、またはヒトの間で性感染し得る。ジカ抗原は、ジカウイルスエンベロープタンパク質、ジカウイルスNS1タンパク質、またはジカウイルスカプシドタンパク質を含み得る。
【0297】
構造修飾されたDMAbは、ジカウイルス抗原に特異的であってもよい。ジカウイルスに特異的な例示的な構造修飾されたDMAbには、配列番号63~配列番号106に列挙される構造修飾されたDMAbが挙げられるが、これらに限定されない。
【0298】
(2)細菌抗原
外来抗原は、細菌抗原またはその断片もしくは変異体であってもよい。細菌は、以下の門:Acidobacteria、Actinobacteria、Aquificae、Bacteroidetes、Caldiserica、Chlamydiae、Chlorobi、Chloroflexi、Chrysiogenetes、Cyanobacteria、Deferribacteres、Deinococcus-Thermus、Dictyoglomi、Elusimicrobia、Fibrobacteres、Firmicutes、Fusobacteria、Gemmatimonadetes、Lentisphaerae、Nitrospira、Planctomycetes、Proteobacteria、Spirochaetes、Synergistetes、Tenericutes、Thermodesulfobacteria、Thermotogae、およびVerrucomicrobiaのうちのいずれか1つに由来し得る。
【0299】
細菌は、グラム陽性細菌またはグラム陰性細菌であってもよい。細菌は、好気性細菌または嫌気性細菌であってもよい。細菌は、独立栄養細菌または従属栄養細菌であってもよい。細菌は、中温菌、好中球菌、好極限性細菌、好酸球菌、好アルカリ菌、好熱菌、低温菌、好塩菌、または好濃菌であってもよい。
【0300】
細菌は、炭疽菌、抗生物質耐性菌、病原菌、食中毒菌、感染性細菌、Salmonella菌、Staphylococcus菌、Streptococcus菌、または破傷風菌であってもよい。細菌は、マイコバクテリア、Clostridium tetani、Yersinia pestis、Bacillus anthracis、メチシリン耐性Staphylococcus aureus(MRSA)、またはClostridium difficileであってもよい。細菌は、Mycobacterium tuberculosisであってもよい。
【0301】
(a)緑膿菌抗原
細菌抗原は、緑膿菌抗原であってもよい。例えば、一実施形態では、抗原は、Pseudomonas aeruginosa抗原、またはその断片、またはその変異体であってもよい。Pseudomonas aeruginosa抗原は、毒性因子に由来してもよい。Pseudomonas aeruginosaと関連付けられる毒性因子には、構造成分、酵素、および毒素が挙げられるが、これらに限定されない。Pseudomonas aeruginosa毒性因子は、エキソ多糖類、付着因子、リポ多糖類、ピオシアニン、外毒素A、外毒素S、細胞毒素、エラスターゼ、アルカリプロテアーゼ、ホスホリパーゼC、ラムノリピド、および細菌分泌系の成分のうちの1つであり得る。
【0302】
一実施形態では、緑膿菌抗原は、細胞外多糖類(例えば、アルギン酸塩、Pel、およびPsl)である。一実施形態では、抗原は、多糖類合成座位(polysaccharide synthesis locus(psl))、その中に含有される遺伝子(例えば、pslA、pslB、pslC、pslD、pslE、pslF、pslG、pslH、pslI、pslJ、pslK、pslL、pslM、pslN、およびpslO)、その中にコードされたタンパク質もしくは酵素(例えば、グリコシルトランスフェラーゼ、ホスホマンノースイソメラーゼ/GDP-D-マンノースピロホスホリラーゼ、輸送体、加水分解酵素、ポリメラーゼ、アセチラーゼ、デヒドロゲナーゼ、およびトポイソメラーゼ)、またはそれらから産生される産物(例えば、「Psl」と称されるPsl菌体外多糖類)のうちの1つである。
【0303】
一実施形態では、緑膿菌抗原は、細菌分泌系の構成要素である。6つの異なるクラスの分泌系(I~VI型)が細菌において説明されており、それらのうちの5つ(I、II、II、V、およびVI型)が、Pseudomonas aeruginosaを含めて、グラム陰性菌中に見られる。一実施形態では、抗原は、I型分泌系の遺伝子(例えば、aprまたはhas遺伝子)またはタンパク質(例えば、AprD、AprE、AprF、HasD、HasE、HasF、およびHasR)または分泌されたタンパク質(例えば、AprA、AprX、およびHasAp)のうちの1つである。一実施形態では、抗原は、II型分泌系の遺伝子(例えば、xcpA/pilD、xphA、xqhA、xcpP~Q、およびxcpR~Z)またはタンパク質(例えば、GspC~M、GspAB、GspN、GspO、GspS、XcpT~XcpX、FppA)または分泌されたタンパク質(例えば、LasB、LasA、PlcH、PlcN、PlcB、CbpD、ToxA、PmpA、PrpL、LipA、LipC、PhoA、PsAP、LapA)のうちの1つである。一実施形態では、抗原は、III型分泌系の遺伝子(例えば、psc、pcr、pop、またはexs遺伝子)またはタンパク質(例えば、PscC、PscE~PscF、PscJ、PscN、PscP、PscW、PopB、PopD、PcrH、およびPcrV)または分泌されたタンパク質(例えば、ExoS、ExoT、ExoU、およびExoY)のうちの1つである。一実施形態では、抗原は、III型分泌系の調節因子(例えば、ExsAおよびExsC)である。一実施形態では、抗原は、V型分泌系の遺伝子(例えば、estA)またはタンパク質(例えば、EstA、CupB3、CupB5、およびLepB)または分泌されたタンパク質(例えば、EstA、LepA、およびCupB5)のうちの1つである。一実施形態では、抗原は、VI型分泌系の遺伝子(例えば、HSI-I、HSI-II、およびHSI-III遺伝子)またはタンパク質(例えば、Fha1、ClpV1、VgrGタンパク質、またはHcpタンパク質)または分泌されたタンパク質(例えば、Hcp1)のうちの1つである。
【0304】
(b)ボレリア抗原
細菌抗原は、Borrelia spp抗原、またはその断片、またはその変異体であってもよい。Borrelia spp抗原は、Borrelia burgdorferi、Borrelia lusitaniae、Borrelia afzelii、Borrelia bissettii、Borreliella bavariensis、Borrelia chilensis、Borrelia garinii、Borrelia valaisiana、Borrelia spielmanii、およびBorrelia finlandensisのうちのいずれか1つに由来し得る。
【0305】
細菌抗原は、Borrelia spp抗原、またはその断片、またはその変異体であってもよい。Borrelia spp抗原は、Borrelia sppの複製または生存を可能にする細菌産物に由来し得る。Borrelia sppの複製または生存を可能にする細菌産物には、構造成分、酵素、および毒素が含まれるが、これらに限定されない。そのような産物は、リポタンパク質、外表面タンパク質、脊椎動物宿主内での感染性または持続性に必要とされる産物、ならびに運動性および走化性に関与する産物のうちの1つであり得る。
【0306】
一実施形態では、抗原は、リポタンパク質(例えば、BptA)である。一実施形態では、抗原は、外表面タンパク質(例えば、OspA、OspB、およびOspC)である。一実施形態では、抗原は、脊椎動物宿主内での感染性または持続性に必要とされる産物(例えば、PncA、DbpA、DbpB、Bgp、P66、およびVlsE)である。
【0307】
(c)Mycobacterium tuberculosis抗原
細菌抗原は、Mycobacterium tuberculosis抗原(即ち、TB抗原またはTB免疫原)、またはその断片、またはその変異体であってもよい。TB抗原は、TB抗原のAg85ファミリー、例えば、Ag85AおよびAg85Bに由来してもよい。TB抗原は、TB抗原のEsxファミリー、例えば、EsxA、EsxB、EsxC、EsxD、EsxE、EsxF、EsxH、EsxO、EsxQ、EsxR、EsxS、EsxT、EsxU、EsxV、およびEsxWに由来してもよい。
【0308】
(3)寄生虫抗原
外来抗原は、寄生虫抗原またはその断片もしくは変異体であってもよい。寄生虫は、原虫、原生動物、または外寄生生物であってもよい。蠕虫(即ち、虫)は、扁形動物(例えば、吸虫および条虫)、鉤頭虫、または回虫(例えば、蟯虫)であってもよい。外部寄生生物は、シラミ、ノミ、マダニ、およびコダニであってもよい。
【0309】
寄生虫は、以下の疾患のうちのいずれか1つの原因となる任意の寄生虫であり得る:アカントアメーバ角膜炎、アメーバ症、回虫症、バベシア症、バランチジウム症、アライグマ回虫症、シャーガス病、肝吸虫症、らせん虫感染症、クリプトスポリジウム症、裂頭条虫症、メジナ虫症、エキノコックス症、象皮症、腸蟯虫症、肝蛭症、肥大吸虫症、フィラリア症、ジアルジア症、顎口虫症、膜様条虫症、イソスポーラ症、片山熱、リーシュマニア症、ライム病、マラリア、横川吸虫症、ハエ幼虫症、オンコセルカ症、シラミ寄生症、疥癬、住血吸虫症、睡眠病、糞線虫症、条虫症、トキソカラ症、トキソプラズマ症、旋毛虫症、および鞭虫症。
【0310】
寄生虫は、アカントアメーバ、アニサキス、回虫、ウマバエ、大腸バランチジウム、トコジラミ、サナダムシ(条虫)、ツツガムシ、ラセンウジバエ、赤痢アメーバ、肝蛭、ランブル鞭毛虫、鉤虫、リーシュマニア、鼻腔舌虫、肝吸虫、ロア糸状虫、パラゴニムス-肺吸虫、蟯虫、Plasmodium falciparum、住血吸虫、糞線虫、コダニ、条虫、トキソプラズマ原虫、トリパノソーマ、鞭虫、またはバンクロフト糸状虫であってもよい。
【0311】
(a)ライム抗原
細菌抗原は、ライム病抗原であってもよい。抗原は、外表面タンパク質A抗原(OspA抗原)、またはその断片、またはその変異体であってもよい。抗原は、マラリアの原因となる寄生虫に由来し得る。ライム病は、細菌のBorrelia burgdorferiによって引き起こされ、感染したIxodes scapularis(クロアシダニまたはシカダニ)に刺されることによってヒトに伝播する。
【0312】
(b)マラリア抗原
外来抗原は、マラリア抗原(即ち、PF抗原またはPF免疫原)、またはその断片、またはその変異体であってもよい。抗原は、マラリアの原因となる寄生虫に由来し得る。マラリアの原因となる寄生虫は、Plasmodium falciparumであってもよい。Plasmodium falciparum抗原は、サーカムスポロゾイト(CS)抗原を含み得る。
【0313】
いくつかの実施形態では、マラリア抗原は、P.falciparum免疫原CS、LSA1、TRAP、CelTOS、およびAma1のうちの1つであり得る。免疫原は、全長タンパク質、または全長タンパク質の免疫原性断片であってもよい。
【0314】
他の実施形態では、マラリア抗原は、SSP2とも称されるTRAPであり得る。さらに他の実施形態では、マラリア抗原は、CelTOSであってもよく、これはまたAg2とも称され、高度に保存されたマラリア原虫抗原である。さらなる実施形態では、マラリア抗原は、高度に保存されたマラリア原虫抗原であるAma1であってもよい。いくつかの実施形態では、マラリア抗原はCS抗原であり得る。
【0315】
他の実施形態では、マラリア抗原は、本明細書に記載されるPFタンパク質のうちの2つ以上の組み合わせを含む融合タンパク質であってもよい。例えば、融合タンパク質は、CS免疫原、ConLSA1免疫原、ConTRAP免疫原、ConCelTOS免疫原、および互いに直接隣接して連結するか、または間にスペーサーもしくは1つ以上のアミノ酸を伴って連結するConAma1免疫原のうちの2つ以上を含んでもよい。いくつかの実施形態では、融合タンパク質は、2つのPF免疫原を含み、いくつかの実施形態では、融合タンパク質は、3つのPF免疫原を含み、いくつかの実施形態では、融合タンパク質は、4つのPF免疫原を含み、いくつかの実施形態では、融合タンパク質は、5つのPF免疫原を含む。2つのPF免疫原を有する融合タンパク質は、CSおよびLSA1;CSおよびTRAP;CSおよびCelTOS;CSおよびAma1;LSA1およびTRAP;LSA1およびCelTOS;LSA1およびAma1;TRAPおよびCelTOS;TRAPおよびAma1;またはCelTOSおよびAma1を含んでもよい。3つのPF免疫原を有する融合タンパク質は、CS、LSA1、およびTRAP;CS、LSA1、およびCelTOS;CS、LSA1、およびAma1;LSA1、TRAP、およびCelTOS;LSA1、TRAP、およびAma1;またはTRAP、CelTOS、およびAma1を含んでもよい。4つのPF免疫原を有する融合タンパク質は、CS、LSA1、TRAP、およびCelTOS;CS、LSA1、TRAP、およびAma1;CS、LSA1、CelTOS、およびAma1;CS、TRAP、CelTOS、およびAma1;またはLSA1、TRAP、CelTOS、およびAma1を含んでもよい。5つのPF免疫原を有する融合タンパク質は、CSまたはCS-alt、LSA1、TRAP、CelTOS、およびAma1を含んでもよい。
【0316】
(4)真菌抗原
外来抗原は、真菌抗原またはその断片もしくは変異体であってもよい。真菌は、Aspergillus種、Blastomyces dermatitidis、Candida酵母(例えば、Candida albicans)、Coccidioides、Cryptococcus neoformans、Cryptococcus gattii、皮膚糸状菌、Fusarium種、Histoplasma capsulatum、Mucoromycotina、Pneumocystis jirovecii、Sporothrix schenckii、Exserohilum、またはCladosporiumであってもよい。
【0317】
b.自己抗原
いくつかの実施形態では、抗原は自己抗原である。自己抗原は、免疫応答を刺激することができる対象自身の身体の構成要素であり得る。いくつかの実施形態では、自己抗原は、対象が疾患状態、例えば自己免疫疾患にない限り、免疫応答を促さない。
【0318】
自己抗原には、サイトカイン、HIVおよびデングを含む上に列挙したウイルス等のウイルスに対する抗体、癌の進行または発生に影響する抗原、ならびに細胞表面受容体または膜貫通タンパク質を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0319】
(1)WT-1
自己抗原抗原は、ウィルムス腫瘍抑制遺伝子1(WT1)、その断片、その変異体、またはそれらの組み合わせであり得る。WT1は、N末端でプロリン/グルタミンに富むDNA結合ドメインを、C末端で4つの亜鉛フィンガーモチーフを含有する転写因子である。WT1は、泌尿生殖器系の正常な発達において役割を果たし、多数の因子、例えば、既知の腫瘍抑制因子であるp53、および細胞毒性薬による治療後にWT1を多数の部位で切断するセリンプロテアーゼHtrA2と相互作用する。WT1の突然変異は、腫瘍または癌形成、例えば、ウィルムス腫瘍またはWT1を発現する腫瘍を引き起こし得る。
【0320】
(2)EGFR
自己抗原には、上皮成長因子受容体(EGFR)またはその断片もしくは変異体が含まれてもよい。EGFR(ErbB-1およびHER1とも称される)は、細胞外タンパク質リガンドの上皮成長因子ファミリー(EGFファミリー)のメンバーの細胞表面受容体である。EGFRは、受容体のErbBファミリーのメンバーであり、これには、4つの密接に関係した受容体チロシンキナーゼであるEGFR(ErbB-1)、HER2/c-neu(ErbB-2)、Her 3(ErbB-3)、およびHer 4(ErbB-4)が含まれる。EGFR発現または活性に影響する突然変異により、癌が生じ得る。
【0321】
抗原には、ErbB-2抗原が含まれてもよい。Erb-2(ヒト上皮成長因子受容体2)は、Neu、HER2、CD340(表面抗原分類340)、またはp185としても知られ、ERBB2遺伝子によってコードされる。この遺伝子の増幅または過剰発現は、ある特定の侵攻型の乳癌の発生および進行に役割を果たすことが示されている。乳癌を患う女性の約25~30%において、ERBB2遺伝子中の遺伝子改変が生じ、その結果、増加した量のHER2が腫瘍細胞の表面上で産生される。このHER2の過剰発現により急速な細胞分裂が促進されるため、HER2が腫瘍細胞をマークする。
【0322】
(3)コカイン
自己抗原には、コカイン受容体抗原が含まれてもよい。コカイン受容体には、ドーパミン輸送体が含まれる。
【0323】
(4)PD-1
自己抗原には、プログラム死1(PD-1)が含まれてもよい。プログラム死1(PD-1)ならびにそのリガンドであるPD-L1およびPD-L2は、T細胞活性化、寛容、および免疫病理学の間の均衡を調節する阻害シグナルを送達する。PD-1は、細胞外IgVドメイン、その後に膜貫通領域および細胞内尾部を含む、288アミノ酸細胞表面タンパク質分子である。
【0324】
(5)LAG-3
自己抗原には、リンパ球活性化遺伝子3(Lag-3、またCD223としても知られる)が含まれてもよい。LAG-3は、MHC-II分子に結合し、かつ阻害シグナルを形質導入することが知られている活性化され寛容化されたT細胞上でのみ発現される、Igスーパーファミリーのメンバーである。LAG-3は、エフェクターまたは記憶T細胞と比較して枯渇したT細胞上で顕著に上方調節される。LAG-3は、T細胞受容体によって誘導されるカルシウム流出を阻害し、その結果、癌の状況下でT細胞記憶プールのサイズを制御することによって、T細胞増殖を負に調節し、LAG3は、TIL上で上方調節され、LAG-3の遮断により、抗腫瘍T細胞免疫応答を増強することができる。CD8 T細胞の枯渇を引き起こすウイルス慢性モデルにおけるLAG-3の遮断により、CD8 T細胞応答を活性化することができる。
【0325】
(6)GITR
自己抗原には、TNF受容体スーパーファミリー18(TNFRSF 18)とも称されるグルココルチコイド誘導性TNFR関連タンパク質(GITR)が含まれてもよい。GITR活性化により、同時活性化シグナルがCD4+およびCD8+ T細胞に送られ、調節性T細胞による免疫応答の抑制が防止される。加えて、GITR発現エフェクターT細胞および調節性T細胞は多数の腫瘍型に浸潤するものの、非造血細胞上のGITRの発現はほとんどまたは全くない。この分布プロファイルは、GITR発現細胞が腫瘍に集中するようになり得ることを意味する。活性と分布とのこの組み合わせは、共同で、GITR活性化を様々な癌の治療に魅力的なアプローチとする。抗原結合タンパク質を使用して、固形腫瘍と白血病を含む血液癌との両方を治療することができる。癌治療における使用に加えて、別の実施形態では、提供される抗原結合タンパク質を使用して、様々な病原体に存在するもの等の外来抗原に対する免疫応答を誘導または増強することができる。免疫応答が生成され得る病原体に存在する抗原の例には、ウイルス、寄生虫、細菌、および他の微生物に存在する、タンパク質、糖タンパク質、リポタンパク質、および糖脂質が挙げられるが、これらに限定されない。
【0326】
(7)CD40
自己抗原には、CD40が含まれてもよい。CD40は、正常なヒトB細胞および腫瘍性ヒトB細胞、樹状細胞、他の抗原提示細胞(APC)、内皮細胞、単球細胞、CD8+ T細胞、上皮細胞、一部の上皮性腫瘍、ならびに肺癌、乳癌、卵巣癌、および結腸癌を含む多くの固形腫瘍の表面に存在する、55kDaの細胞表面抗原である。B細胞系列のいくつかの腫瘍に由来する悪性B細胞は、高レベルのCD40を発現し、生存および増殖のためにCD40シグナル伝達に依存するようである。このため、低悪性度および高悪性度B細胞リンパ腫、B細胞急性リンパ芽球性白血病、多発性骨髄腫、慢性リンパ性白血病、およびホジキン病を患う患者に由来する形質転換細胞は、CD40を発現する。CD40発現はまた、急性骨髄芽球性白血病症例の3分の2、およびAIDS関連リンパ腫の50%で検出される。
【0327】
(8)OX40
自己抗原には、OX40が含まれてもよい。OX40(CD134とも称される)は、50キロダルトン(KDa)の糖タンパク質であり、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリー(TNFRSF)のメンバーである。OX40のリガンドであるOX40L(TNFSF4、CD252とも称される)は、内皮細胞、マクロファージを含む活性化された抗原提示細胞、樹状細胞、B細胞、およびナチュラルキラー細胞上で発現されることが報告されている。理論に束縛されることを望むものではないが、抗原提示細胞上のCD40間の結合により、リポ多糖類(LPS)同様、OX40L発現が増加する。T細胞上のOX40の発現は、T細胞抗原受容体を介したシグナル伝達の後に誘導され得る。例えば、OX40は、炎症の部位において活性化されたばかりのT細胞上で発現される。CD4およびCD8 T細胞は、炎症状態下でOX40を上方調節することができる。
【0328】
(9)TIM-3
自己抗原には、TIM-3が含まれてもよい。TIM-3は、IFN-ガンマを分泌するTh1(Tヘルパー1)CD4-T細胞および細胞毒性CD8-T細胞上で発現される膜貫通受容体である。TIM-3は、概して、未感作T細胞上では発現されず、むしろ活性化されたエフェクターT細胞上では上方調節される。TIM-3は、インビボの免疫性および寛容を調節する役割を果たす。
【0329】
(10)4-1BB
自己抗原には、4-1BBリガンドが含まれてもよい。4-1BBリガンドは、TNFスーパーファミリーに属する2型膜貫通糖タンパク質である。4-1BBリガンドは、活性化されたTリンパ球上で発現されてもよい。4-1BBは、活性化誘導性T細胞共刺激分子である。4-1BBを介したシグナル伝達により、生存遺伝子が上方調節され、細胞分裂が増強され、サイトカイン産生が誘導され、T細胞中の活性化誘導性細胞死が防止される。
【0330】
(11)CTLA4
自己抗原には、CD152(表面抗原分類152)としても知られるCTLA-4(細胞毒性T-リンパ球抗原4)が含まれてもよい。CTLA-4は、抗原に対する細胞免疫攻撃を先導する、T細胞の表面に見られるタンパク質受容体である。抗原は、CTLA-4の断片、例えば、細胞外Vドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞質尾部、またはそれらの組み合わせであってもよい。
【0331】
(12)IL-6
自己抗原には、インターロイキン6(IL-6)が含まれてもよい。IL-6は、糖尿病、アテローム性動脈硬化、鬱病、アルツハイマー病、全身性エリテマトーデス、多発性骨髄腫、癌、ベーチェット病、リウマチ性関節炎、敗血症、細菌感染、ウイルス感染、真菌感染等を非限定的に含む、多くの疾患において炎症および自己免疫過程を刺激する。
【0332】
(13)CD126
自己抗原には、CD126が含まれてもよい。CD126は、IL-6の受容体であり、糖尿病、アテローム性動脈硬化、鬱病、アルツハイマー病、全身性エリテマトーデス、多発性骨髄腫、癌、ベーチェット病、リウマチ性関節炎敗血症、細菌感染、ウイルス感染、真菌感染等を非限定的に含む、多くの疾患において炎症および自己免疫過程を刺激する。
【0333】
(14)MCP-1
自己抗原には、単球走化タンパク質-1(MCP-1)を含んでもよい。MCP-1は、ケモカイン(C-Cモチーフ)リガンド2(CCL2)または小型の誘導性サイトカインA2とも称される。MCP-1は、CCケモカインファミリーに属するサイトカインである。MCP-1は、単球、記憶T細胞、および樹状細胞を、組織の損傷または感染のいずれかによって生じる炎症の部位に補充する。
【0334】
(15)アミロイドベータ
自己抗原には、アミロイドベータ(Aβ)またはその断片もしくは変異体が含まれてもよい。Aβ抗原は、Aβ(X-Y)ペプチドを含むことができ、ここで、XとYとの両方を含むヒト配列Aβタンパク質のアミノ酸X位~アミノ酸Y位のアミノ酸配列、具体的には、アミノ酸1~47位に対応するアミノ酸配列のアミノ酸X位~アミノ酸Y位のアミノ酸配列;ヒトクエリ配列(配列番号62)またはその変異体。Aβ抗原は、Aβ(X-Y)ポリペプチドのAβポリペプチドを含むことができ、ここで、Xは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、または32であることができ、Yは、47、46、45、44、43、42、41、40、39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、または15であることができる。Aβポリペプチドは、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも21、少なくとも22、少なくとも23、少なくとも24、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも36、少なくとも37、少なくとも38、少なくとも39、少なくとも40、少なくとも41、少なくとも42、少なくとも43、少なくとも44、少なくとも45、または少なくとも46個のアミノ酸である断片を含み得る。
【0335】
(16)IP-10
自己抗原には、インターフェロン(IFN)-ガンマによって誘導されるタンパク質10(IP-10)が含まれてもよい。IP-10は、小型誘導性サイトカインB10またはC-X-Cモチーフケモカイン10(CXCL10)としても知られる。CXCL10は、IFN-γに応答して、単球、内皮細胞、および線維芽細胞等のいくつかの細胞型によって分泌される。
【0336】
(17)TERT
自己抗原には、TERT(テロメラーゼ逆転写酵素が含まれてもよい。TERTは、テロメアの末端でTTAGGGタグを合成して、染色体短縮に起因する細胞死を防止するテロメラーゼ逆転写酵素である。TERT発現が異常に高い過剰増殖性細胞は、免疫療法の標的となり得る。最近の研究は、TERT遺伝子でトランスフェクトした樹状細胞中のTERT発現により、抗原特異的な様式で、CD8+細胞毒性T細胞が誘導され、CD4+ T細胞が励起され得ることを示している。
【0337】
(18)チロシナーゼ
自己抗原には、チロシナーゼ(Tyr)が含まれてもよい。Tyrは、(1)単球化学誘引物質タンパク質-1(MCP-1)産生を遮断することで、骨髄性抑制性細胞(MDSC)を妨害し、腫瘍成長を抑制する抗体を生成するためのB細胞応答を介した液性免疫、(2)腫瘍細胞を攻撃および殺滅するためのCD8+(CTL)等の細胞毒性Tリンパ球の増加、(3)Tヘルパー細胞応答の増加、ならびに(4)IFN-γおよびTFN-αを介した炎症応答の増加、または前述の全てを誘導することによる免疫媒介性クリアランスのための重要な標的である。
【0338】
チロシナーゼは、植物および動物の組織に見ることができる銅含有酵素である。チロシナーゼは、チロシン等のフェノールの酸化により、メラニンおよび他の色素の産生を触媒する。黒色腫において、チロシナーゼは調節されない状態となり、その結果、メラニン合成の増加が生じ得る。チロシナーゼは、黒色腫に罹患している対象における細胞毒性T細胞認識の標的でもある。したがって、チロシナーゼは、黒色腫と関連付けられる抗原であり得る。
【0339】
抗原は、タンパク質エピトープを含むことができ、これは、それらを抗Tyr免疫応答が誘導され得る免疫原として特に有効にするものである。抗原は、全長翻訳産物、それらの変異体、それらの断片、またはそれらの組み合わせを含み得る。
【0340】
Tyr抗原は、コンセンサスタンパク質を含み得る。Tyr抗原は、抗原特異的T細胞およびより高い力価の抗体応答を、全ての癌および腫瘍関連細胞両方に対して全身的に誘導する。このように、防御免疫応答がTyrコンセンサス抗原を含むワクチンによる腫瘍形成に対して提供される。したがって、いずれの使用者も、腫瘍形成、腫瘍転移、および腫瘍成長に対する幅広い免疫を提供するためにTyr抗原を含むように、本発明の免疫原性組成物を設計することができる。タンパク質は、Tyr抗原、Tyr抗原の断片、およびTyr抗原の断片と相同の配列を有するタンパク質と相同の配列を含んでもよい。
【0341】
(19)NY-ESO-1
自己抗原には、NY-ESO-1が含まれてもよい。NY-ESO-1は癌精巣抗原であり、これは、癌精巣抗原が細胞性免疫および液性免疫の両方を誘導することができる様々な癌において発現される。遺伝子発現研究により、NY-ESO-1、CTAG1Bについて、粘液性脂肪肉腫および円形細胞脂肪肉腫において遺伝子の上方調節が示されている。
【0342】
(20)MAGE
自己抗原には、MAGE(黒色腫関連抗原)が含まれてもよい。MAGE抗原には、MAGE-A4(黒色腫関連抗原4)が含まれてもよい。NY-ESO-1は癌精巣抗原であり、これは、癌精巣抗原が細胞性免疫および液性免疫の両方を誘導することができる様々な癌において発現される。遺伝子発現研究により、NY-ESO-1、CTAG1Bについて、粘液性脂肪肉腫および円形細胞脂肪肉腫において遺伝子の上方調節が示されている。
【0343】
MAGE-A4は、雄生殖細胞、ならびに消化管癌、食道癌、および肺癌等の様々な組織型の腫瘍細胞中で発現される。MAGE-A4は、癌タンパク質であるGankyrinに結合する。このMAGE-A4特異的結合は、そのC末端によって媒介される。研究により、外因性MAGE-A4は、インビトロでGankyrinを過剰発現する細胞の接着非依存性成長を部分的に阻害し、ヌードマウスにおけるこれらの細胞から移行した腫瘍の形成を抑制し得ることが示されている。この阻害はMAGE-A4とGankyrinとの間の結合に依存し、このことは、GankyrinとMAGE-A4との間の相互作用により、Gankyrin媒介性発癌が阻害されることを示唆する。主要組織中のMAGE発現は、腫瘍形成の原因ではなく結果であり、MAGE遺伝子は、初期腫瘍細胞を破壊のために標的化することによって免疫過程に関与する可能性が高い。
【0344】
黒色腫関連抗原4タンパク質(MAGEA4)は、胚発生ならびに腫瘍化および/または進行に関与し得る。MAGEA4は、通常、組織および胎盤中で発現される。しかしながら、MAGEA4は、多くの異なる種類の腫瘍、例えば、黒色腫、頭頚部扁平上皮癌、肺癌、および乳癌において発現され得る。したがって、MAGEA4は、様々な腫瘍と関連付けられる抗原であり得る。
【0345】
MAGEA4抗原は、抗原特異的T細胞および/または高い力価の抗体応答を誘導することで、抗原を発現している癌または腫瘍を指向するかまたはそれらに対して反応性である免疫応答を、誘導または励起し得る。いくつかの実施形態では、誘導または励起された免疫応答は、細胞性免疫応答、液性免疫応答、または細胞性免疫応答と液性免疫応答との両方であり得る。いくつかの実施形態では、誘導または励起された細胞性免疫応答は、インターフェロン-ガンマ(IFN-γ)および/または腫瘍壊死因子アルファ(TNF-α)の誘導または分泌を含み得る。他の実施形態では、誘導または励起された免疫応答は、抗原を発現する腫瘍または癌の成長を促進する1つ以上の免疫抑制因子、例えば、非限定的に、MHC提示を下方調節する因子、特異的調節性T細胞(Tregs)を上方調節する因子、PD-L1、FasL、IL-10およびTFG-β等のサイトカイン、腫瘍関連マクロファージ、腫瘍関連線維芽細胞を低減または阻害し得る。
【0346】
MAGEA4抗原は、タンパク質エピトープを含むことができ、これは、それらを抗MAGEA4免疫応答が誘導され得る免疫原として特に有効にするものである。MAGEA4抗原は、全長翻訳産物、それらの変異体、それらの断片、またはそれらの組み合わせを含み得る。
【0347】
(21)FSHR
自己抗原には、FSHR(卵胞刺激ホルモン受容体)が含まれてもよい。FSHRは、卵巣顆粒膜細胞(Simoni et al.,Endocr Rev.1997,18:739-773)および低レベルで卵巣内皮(Vannier et al.,Biochemistry,1996,35:1358-1366)中で女性において選択的に発現される抗原である。最も重要なのは、この表面抗原が卵巣癌の50~70%において発現されることである。
【0348】
(22)腫瘍微小環境抗原
自己抗原には、腫瘍微小環境抗原が含まれてもよい。線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)、血小板由来成長因子受容体ベータ(PDGFR-β)、およびGlypican-1(GPC1)を含むがこれらに限定されない、いくつかのタンパク質が、腫瘍微小環境において過剰発現される。FAPは、ヒト癌の90%超において癌関連線維芽細胞中で上方調節されるゼラチナーゼおよびペプチダーゼ活性を有する膜結合酵素である。PDGFR-βは、胚発生、血管新生、細胞増殖および分化を含む、多くの生物学的過程の調節において役割を有する細胞表面チロシンキナーゼ受容体である。GPC1は、癌細胞中で富化される細胞表面プロテオグリカンである。
【0349】
(23)PRAME
自己抗原は、PRAME(腫瘍中で選択的に発現される黒色腫抗原)を含んでもよい。PRAMEは、ヒトにおいてPRAME遺伝子によってコードされたタンパク質である。この遺伝子は、ヒト黒色腫において主に発現され、細胞溶解性Tリンパ球によって認識される抗原をコードする。これは、精巣を除いて正常な組織では発現されない。この遺伝子は、急性白血病においても発現される。同じタンパク質をコードする5つの選択的スプライスによる転写産物変異体が、この遺伝子について観察されている。タンパク質は、PRAME抗原、PRAME抗原の断片、およびPRAME抗原の断片と相同の配列を有するタンパク質と相同の配列を含んでもよい。
【0350】
(24)前立腺抗原
自己抗原は、前立腺抗原、例えば、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、PSA抗原、STEAP抗原、PSCA抗原、前立腺酸性ホスファターゼ(PAP)抗原、および他の既知の前立腺腫瘍抗原を含んでもよい。PSMAは、グルタミン酸カルボキシペプチダーゼII(GCPII)、N-アセチル-L-アスパルチル-L-グルタミン酸ペプチダーゼI(NAALADase I)、NAAGペプチダーゼ、または葉酸加水分解酵素(FOLH)としても知られる。PMSAは、前立腺癌細胞によって高度に発現される内在性膜タンパク質である。
【0351】
いくつかの実施形態では、PSMAに向けられる抗体(抗PSMA抗体)をコードする組換え核酸配列は、配置2の組換え核酸配列構築物を含む組換え核酸配列であってもよい。
【0352】
さらに他の実施形態では、組換え核酸配列によってコードされた抗PSMA抗体は、本明細書に記載されるように修飾されてもよい。そのような修飾の1つは、実施例で示されるように市販の抗体と比較して増加したADCC活性を呈した、脱フコシル化抗体である。修飾は、重鎖、軽鎖、またはそれらの組み合わせにあってもよい。修飾は、重鎖における1つ以上のアミノ酸置換、軽鎖における1つ以上のアミノ酸置換、またはそれらの組み合わせであってもよい。
【0353】
(25)腫瘍抗原
自己抗原には、腫瘍抗原が含まれてもよい。本発明の背景では、「腫瘍抗原」または「過剰増殖性障害抗原」または「過剰増殖性障害と関連付けられる抗原」は、癌等の特定の過剰増殖性障害に一般的な抗原を指す。本明細書で考察される抗原は、例として挙げられるに過ぎない。このリストは排他的であるようには意図されず、さらなる例が当業者には容易に明らかとなる。
【0354】
腫瘍抗原は、免疫応答、特にT細胞媒介性免疫応答を励起する腫瘍細胞によって産生されるタンパク質である。本発明の抗原結合部分の選択は、治療される癌の特定の種類に依存することになる。腫瘍抗原は、当該技術分野で周知であり、例えば、神経膠腫関連抗原、癌胎児性抗原(CEA)、β-ヒト絨毛性ゴナドトロピン、アルファフェトタンパク質(AFP)、レクチン反応性AFP、チログロブリン、RAGE-1、MN-CA IX、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素、RU1、RU2(AS)、臓器カルボキシルエステラーゼ、mut hsp70-2、M-CSF、プロスターゼ特異的抗原(PSA)、PAP、NY-ESO-1、LAGE-1a、p53、プロステイン、PSMA、Her2/neu、スルビビンおよびテロメラーゼ、前立腺癌腫瘍抗原-1(PCTA-1)、MAGE、ELF2M、好中球エラスターゼ、エフリンB2、CD22、インスリン成長因子(IGF)-I、IGF-II、IGF-I受容体、ならびにメソテリンが含まれる。
【0355】
一実施形態では、腫瘍抗原は、悪性腫瘍と関連付けられる1つ以上の抗原性癌エピトープを含む。悪性腫瘍は、免疫攻撃に対する標的抗原として働くことができるいくつものタンパク質を発現する。これらの分子には、黒色腫におけるMART-1、チロシナーゼ、およびGP 100等の組織特異的抗原、ならびに前立腺癌における前立腺酸性ホスファターゼ(PAP)および前立腺特異的抗原(PSA)が挙げられるが、これらに限定されない。他の標的分子は、形質転換関係分子、例えば、癌遺伝子のHER-2/Neu/ErbB-2の群に属する。さらに別の標的抗原の群は、腫瘍胎児性抗原、例えば、癌胎児性抗原(CEA)である。B細胞リンパ腫において、腫瘍特異的イディオタイプ免疫グロブリンは、個々の腫瘍に特有である真に腫瘍特異的な免疫グロブリン抗原を構成する。CD19、CD20、およびCD37等のB細胞分化抗原は、B細胞リンパ腫における標的抗原の他の候補である。これらの抗原(CEA、HER-2、CD19、CD20、イディオタイプ)のうちのいくつかは、限定された成果のある、モノクローナル抗体による受動免疫療法のための標的として使用されてきた。
【0356】
本発明で言及される腫瘍抗原の種類はまた、腫瘍特異的抗原(TSA)または腫瘍関連抗原(TAA)であってもよい。TSAは、腫瘍細胞に特有であり、身体の他の細胞では生じない。TAA関連抗原は、腫瘍細胞に特有ではなく、その代わり、抗原に対する免疫寛容の状態を誘発するのに失敗する条件下で正常な細胞上でも発現される。腫瘍上の抗原の発現は、免疫系の抗原への応答を可能にする条件下で生じ得る。TAAは、免疫系が未熟であり、応答することができない胎児発達中に、正常な細胞上で発現される抗原であってもよく、あるいは通常は正常な細胞では極めて低いレベルで存在するが、腫瘍細胞でははるかに高いレベルで発現される抗原であってもよい。
【0357】
TSAまたはTAA抗原の非限定的な例には、以下のものが挙げられる:分化抗原、例えば、MART-1/MelanA(MART-I)、gp100(Pmel 17)、チロシナーゼ、TRP-1、TRP-2、および腫瘍特異的多系列抗原、例えば、MAGE-1、MAGE-3、BAGE、GAGE-1、GAGE-2、p15;過剰発現された胚抗原、例えば、CEA;過剰発現された癌遺伝子および突然変異した腫瘍抑制遺伝子、例えば、p53、Ras、HER-2/neu;染色体転座から生じる特有の腫瘍抗原、例えば、BCR-ABL、E2A-PRL、H4-RET、IGH-IGK、MYL-RAR;ならびにウイルス抗原、例えば、エプスタイン-バーウイルス抗原であるEBVAおよびヒトパピローマウイルス(HPV)抗原であるE6およびE7。他の大型のタンパク質系抗原には、TSP-180、MAGE-4、MAGE-5、MAGE-6、RAGE、NY-ESO、p185erbB2、p180erbB-3、c-met、nm-23H1、PSA、TAG-72、CA 19-9、CA 72-4、CAM 17.1、NuMa、K-ras、ベータ-カテニン、CDK4、Mum-1、p 15、p 16、43-9F、5T4、791Tgp72、アルファ-フェトタンパク質、ベータ-HCG、BCA225、BTAA、CA 125、CA 15-3\CA 27.29\BCAA、CA 195、CA 242、CA-50、CAM43、CD68\P1、CO-029、FGF-5、G250、Ga733\EpCAM、HTgp-175、M344、MA-50、MG7-Ag、MOV18、NB/70K、NY-CO-1、RCAS1、SDCCAG16、TA-90\Mac-2結合タンパク質\シクロフィリンC関連タンパク質、TAAL6、TAG72、TLP、およびTPSが挙げられる。
【0358】
c.他の抗原
いくつかの実施形態では、抗原は、外来抗原および/または自己抗原以外の抗原である。例示的な他の抗原には、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0359】
(a)HIV-1 VRC01
他の抗原は、HIV-1 VRC01であり得る。HIV-1 VCR01は、HIVに対する中和CD4結合部位抗体である。HIV-1 VCR01は、HIV-1の、gp120ループD、CD4結合ループ、およびV5領域内に含まれる、HIV-1の部分に接触する。
【0360】
(b)HIV-1 PG9
他の抗原は、HIV-1 PG9であり得る。HIV-1 PG9は、HIV(HIV-1)エンベロープ(Env)糖タンパク質(gp)三量体に優先的に結合し、ウイルスを広範に中和する、グリカン依存性ヒト抗体の増え続けているファミリーの元のメンバーである。
【0361】
(c)HIV-1 4E10
他の抗原は、HIV-1 4E10であり得る。HIV-1 4E10は、中和抗HIV抗体である。HIV-1 4E10は、gp41細胞外ドメインのC末端に位置するHIV-1の膜近位外部領域(MPER)にマッピングされた線状エピトープに向けられる。
【0362】
(d)DV-SF1
他の抗原は、DV-SF1であり得る。DV-SF1は、4つのデングウイルス血清型のエンベロープタンパク質に結合する中和抗体である。
【0363】
(e)DV-SF2
他の抗原は、DV-SF2であり得る。DV-SF2は、デングウイルスのエピトープに結合する中和抗体である。DV-SF2は、DENV4血清型に特異的であり得る。
【0364】
(f)DV-SF3
他の抗原は、DV-SF3であり得る。DV-SF3は、デングウイルスエンベロープタンパク質のEDIII A鎖に結合する中和抗体である。
【0365】
6.核酸ワクチン
構造修飾されたDMAb、その断片、その変異体、またはそれらの組み合わせをコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子を含む組成物は、単独でまたは組み合わせて、それを必要とする対象に投与して、操作されたDNAコード化合成抗体のインビボ発現および形成を促進することができる。
【0366】
一実施形態では、本発明の組成物は、抗原に対する哺乳動物における免疫応答を励起する組成物と組み合わせて投与することができる。一実施形態では、本発明の組成物は、1つ以上の抗原をコードする核酸と組み合わせて投与することができる。一実施形態では、第1の組成物は、DNAワクチンを含む。
【0367】
一実施形態では、本発明の組み合わせは、少なくとも2つの構造修飾されたdMAbをコードする少なくとも2つの核酸分子を含み、ここでは、各dMAbが異なる抗原を標的とする。例えば、一実施形態では、各dMAbは、単一のウイルスの異なるウイルス抗原を標的とする。別の実施形態では、各dMAbは、異なるウイルスのウイルス抗原を標的とする。さらに別の実施形態では、各dMAbは、異なる自己抗原を標的とする。
【0368】
一実施形態では、本発明の混合ワクチンは、少なくとも2つの構造修飾されたdMAbをコードする、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、または6つ超の核酸分子を含み、各dMAbは異なる抗原を標的にする。抗原は、核酸配列、アミノ酸配列、多糖、またはそれらの組み合わせであり得る。核酸配列は、DNA、RNA、cDNA、それらの変異体、それらの断片、またはそれらの組み合わせであり得る。アミノ酸配列は、タンパク質、ペプチド、それらの変異体、それらの断片、またはそれらの組み合わせであり得る。多糖は、核酸でコードされた多糖であり得る。
【0369】
一実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、少なくとも2つの構造修飾されたdMAbをコードする少なくとも2つの核酸分子を含み、各dMAbは、異なる抗原を標的とし、各抗原は、異なるウイルスの抗原である。一実施形態では、本発明の混合ワクチンは、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、または6つ超のdMAbをコードする、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、または6つ超の核酸分子を含み、コードされたdMABは、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、または6つ超の異なるウイルスに由来する抗原を標的とする。
【0370】
本発明は、構造修飾されたDMAb、その断片、その変異体、またはそれらの組み合わせをコードする組換え核酸配列を含む組成物に関する。組成物は、それを必要とする対象に投与されたとき、対象において構造修飾されたDMAbの生成をもたらすことができる。合成抗体は、対象中に存在する標的分子(即ち、抗原)に結合することができる。そのような結合により、抗原が中和され、別の分子、例えばタンパク質または核酸による抗原の認識が遮断され、抗原に対する免疫応答が励起または誘導され得る。
【0371】
構造修飾されたDMAbは、組成物を投与した対象において、疾患の治療、予防、および/または疾患からの保護を行うことができる。構造修飾されたDMAbは、抗原に結合することにより、組成物を投与した対象において、疾患の治療、予防、および/または疾患からの保護を行うことができる。構造修飾されたDMAbは、組成物を投与した対象において疾患生存を改善することができる。一実施形態では、構造修飾されたDMAbは、対象における疾患生存を、構造修飾されたDMAbを投与されていない疾患を有する対象の予測生存と比べて増大させることができる。様々な実施形態では、構造修飾されたDMAbは、組成物を投与した対象における疾患生存を、組成物の非存在下での予測生存と比べて、少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、または100%超増大させることができる。一実施形態では、構造修飾されたDMAbは、対象における疾患に対する保護を、構造修飾されたDMAbを投与されていない対象の予測保護と比べて増大させることができる。様々な実施形態では、構造修飾されたDMAbは、組成物の非存在下での予測保護と比べて、組成物を投与した対象の少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%において、疾患から保護することができる。
【0372】
組成物は、対象への組成物の投与の少なくとも約1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、20時間、25時間、30時間、35時間、40時間、45時間、50時間、または60時間以内に、対象における構造修飾されたDMAbの生成を生じさせることができる。組成物により、対象への組成物の投与の少なくとも約1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、または10日以内に、対象における合成抗体を生じさせることができる。組成物により、対象への組成物の投与の1時間~約6日、約1時間~5日、約1時間~約4日、約1時間~約3日、約1時間~約2日、約1時間~約1日、約1時間~約72時間、約1時間~約60時間、約1時間~約48時間、約1時間~約36時間、約1時間~約24時間、約1時間~約12時間、または約1時間~約6時間以内に、対象における構造修飾されたDMAbの生成を生じさせることができる。
【0373】
組成物は、それを必要とする対象に投与されたとき、液性免疫応答を誘導するために抗原を投与した対象における内因性抗体の生成よりも迅速に、対象における構造修飾されたDMAbの生成を生じさせることができる。組成物は、液性免疫応答を誘導するために抗原を投与した対象における内因性抗体の生成の少なくとも約1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、または10日前に、構造修飾されたDMAbの生成を生じさせることができる。
【0374】
一実施形態では、本方法は、構造修飾されたDMAbをコードする核酸分子を含む第1の組成物を、第2の構造修飾されたDMAbをコードする核酸分子を含む第2の組成物と組み合わせて投与することに関する。第1の組成物および第2の組成物は、同時に投与されてもよく、あるいは任意の順序で投与されてもよい。一実施形態では、第1の組成物および第2の組成物は、異なる注射部位に同時投与される。
【0375】
一実施形態では、本方法は、2つ以上の構造修飾されたDMAbをコードする1つ以上の核酸分子を含む単一の組成物を投与することに関する。そのような実施形態では、2つ以上のDMAbは、単一の核酸分子上、または投与のために単一の組成物に組み合わされる別々の核酸分子上でコードされてもよい。
【0376】
一実施形態では、本方法は、1つ以上の構造修飾されたDMAbをコードする1つ以上の核酸分子を、抗原に対する免疫応答を哺乳動物中で生成することが可能な核酸ワクチンと組み合わせて投与することに関する。一実施形態では、核酸ワクチンは、哺乳動物中でコンセンサス抗原を発現することが可能な少なくとも1つの核酸分子と、薬学的に許容される賦形剤とを含む。一実施形態では、核酸分子は、コンセンサス抗原をコードするコード配列に作動可能に連結したプロモーターを含む。
【0377】
いくつかの実施形態では、核酸分子は、抗原をコードするコード配列を含む。いくつかの実施形態では、核酸分子は、コード配列のN末端でIgEリーダー配列に作動可能に連結した抗原をコードするコード配列を含む。
【0378】
核酸分子は、コード配列のC末端に付着したポリアデニル化配列をさらに含むことができる。一実施形態では、核酸分子は、コドン最適化される。
【0379】
いくつかの実施形態では、薬学的に許容される賦形剤は、アジュバントである。一実施形態では、アジュバントは、IL-12およびIL-15からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、薬学的に許容される賦形剤は、トランスフェクション促進剤である。一実施形態では、トランスフェクション促進剤は、ポリアニオン、ポリカチオン、または脂質、およびより好ましくはポリ-L-グルタミン酸である。一実施形態では、ポリ-L-グルタミン酸は、6mg/mL未満の濃度である。一実施形態では、核酸ワクチンは、総核酸濃度が1mg/ml以上である。
【0380】
いくつかの実施形態では、核酸ワクチンは、複数の特有のDNAプラスミドを含み、これらの複数の特有のDNAプラスミドの各々は、コンセンサス抗原を含むポリペプチドをコードする。
【0381】
本発明のいくつかの実施形態では、核酸ワクチンは、アジュバントをさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、アジュバントは、α-インターフェロン、γ-インターフェロン、血小板由来成長因子(PDGF)、TNFα、ΤΝFβ、GM-CSF、上皮成長因子(EGF)、皮膚T細胞誘引ケモカイン(CTACK)、上皮胸腺発現ケモカイン(TECK)、粘膜関連上皮ケモカイン(MEC)、IL-12、IL-15、MHC、CD80、シグナル配列が欠失したIL-15を含み、かつ任意にIgE由来のシグナルペプチドを含むCD86からなる群から選択される。有用なアジュバントであり得る他の遺伝子としては、以下をコードする遺伝子が挙げられる:MCP-1、MIP-l-α、MIP-1p、IL-8、RANTES、L-セレクチン、P-セレクチン、E-セレクチン、CD34、GlyCAM-1、MadCAM-1、LFA-1、VLA-1、Mac-1、pl50.95、PECAM、ICAM-1、ICAM-2、ICAM-3、CD2、LFA-3、M-CSF、G-CSF、IL-4、IL-18の突然変異体形態、CD40、CD40L、血管成長因子、線維芽細胞成長因子、IL-7、神経成長因子、血管内皮成長因子、Fas、TNF受容体、Flt、Apo-1、p55、WSL-1、DR3、TRAMP、Apo-3、AIR、LARD、NGRF、DR4、DR5、KILLER、TRAIL-R2、TRICK2、DR6、Caspase ICE、Fos、c-jun、Sp-1、Ap-1、Ap-2、p38、p65Rel、MyD88、IRAK、TRAF6、IkB、不活性NIK、SAP K、SAP-1、JNK、インターフェロン応答遺伝子、NFkB、Bax、TRAIL、TRAILrec、TRAILrecDRC5、TRAIL-R3、TRAIL-R4、RANK、RANK LIGAND、Ox40、Ox40 LIGAND、NKG2D、MICA、MICB、NKG2A、NKG2B、NKG2C、NKG2E、NKG2F、TAP1、TAP2、およびこれらの機能性断片。いくつかの好ましい実施形態では、アジュバントは、IL-12、IL-15、CTACK、TECK、またはMECから選択される。
【0382】
いくつかの実施形態では、コンセンサス抗原に対して哺乳動物における免疫応答を誘発する方法は、粘膜免疫応答を誘導する方法を含む。そのような方法は、上記のコンセンサス抗原を含むDNAプラスミドと組み合わせて、CTACKタンパク質、TECKタンパク質、MECタンパク質、およびその機能性断片またはその発現可能なコード配列のうちの1つ以上を、哺乳動物に投与することを含む。CTACKタンパク質、TECKタンパク質、MECタンパク質、およびその機能性断片のうちの1つ以上は、本明細書に提供される核酸ワクチンの投与の前に、それと同時に、またはその後に投与されてもよい。いくつかの実施形態では、CTACK、TECK、MEC、およびその機能性断片からなる群から選択される1つ以上のタンパク質をコードする単離された核酸分子が、哺乳動物に投与される。
【0383】
本発明の組成物は、効果的な組成物に必須である特徴、例えば、組成物が疾病または死亡を引き起こさないように安全であること、疾病から保護すること、ならびに投与の簡便性、少ない副作用、生物学的安定性、および低い用量単価を有し得る。
【0384】
上記のように、組成物は、1つ以上の抗原を含む、ワクチン等の免疫原性組成物を含み得る。ワクチンを使用して、いくつもの抗原から保護することにより、抗原に基づく病変を治療、予防、および/またはそれから保護することができる。ワクチンは、ワクチンを投与した対象の免疫応答を大幅に誘導することで、抗原による感染から保護およびそれを治療することができる。
【0385】
ワクチンは、DNAワクチン、ペプチドワクチン、または組み合わせたDNAおよびペプチドワクチンであり得る。DNAワクチンは、抗原をコードする核酸配列を含み得る。核酸配列は、DNA、RNA、cDNA、それらの変異体、それらの断片、またはそれらの組み合わせであり得る。核酸配列はまた、ペプチド結合によって抗原に連結されたリンカー、リーダー、またはタグ配列をコードするさらなる配列も含むことができる。ペプチドワクチンは、抗原ペプチド、抗原タンパク質、その変異体、その断片、またはそれらの組み合わせを含み得る。組み合わせたDNAおよびペプチドワクチンは、上記の抗原をコードする核酸配列および抗原ペプチドまたはタンパク質を含むことができ、抗原ペプチドまたはタンパク質およびコードされた抗原は、同じアミノ酸配列を有する。
【0386】
ワクチンは、ワクチンを投与された対象において液性免疫応答を誘導し得る。誘導された液性免疫応答は、抗原に特異的であり得る。誘導された液性免疫応答は、抗原と反応性であり得る。液性免疫応答は、ワクチンを投与された対象において、1.5倍~約16倍、約2倍~約12倍、または約3倍~約10倍誘導され得る。液性免疫応答は、ワクチンを投与された対象において、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2.0倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3.0倍、少なくとも約3.5倍、少なくとも約4.0倍、少なくとも約4.5倍、少なくとも約5.0倍、少なくとも約5.5倍、少なくとも約6.0倍、少なくとも約6.5倍、少なくとも約7.0倍、少なくとも約7.5倍、少なくとも約8.0倍、少なくとも約8.5倍、少なくとも約9.0倍、少なくとも約9.5倍、少なくとも約10.0倍、少なくとも約10.5倍、少なくとも約11.0倍、少なくとも約11.5倍、少なくとも約12.0倍、少なくとも約12.5倍、少なくとも約13.0倍、少なくとも約13.5倍、少なくとも約14.0倍、少なくとも約14.5倍、少なくとも約15.0倍、少なくとも約15.5倍、または少なくとも約16.0倍誘導され得る。
【0387】
ワクチンによって誘導された液性免疫応答は、ワクチンを投与されていない対象と比較して増加したレベルの、ワクチンを投与された対象と関連付けられる中和抗体を含み得る。中和抗体は、抗原に特異的であり得る。中和抗体は、抗原と反応性であり得る。中和抗体は、ワクチンを投与された対象における感染およびその関連する病変に対する保護および/またはその治療を提供し得る。
【0388】
ワクチンによって誘導された液性免疫応答は、ワクチンを投与されていない対象と比較して増加したレベルの、ワクチンを投与された対象と関連付けられるIgG抗体を含み得る。これらのIgG抗体は、抗原に特異的であり得る。これらのIgG抗体は、抗原と反応性であり得る。好ましくは、液性応答は、抗原の2つ以上の株に対して交差反応性である。ワクチンを投与された対象と関連付けられるIgG抗体のレベルは、ワクチンを投与されていない対象と比較して、約1.5倍~約16倍、約2倍~約12倍、または約3倍~約10倍増加し得る。ワクチンを投与された対象と関連付けられるIgG抗体のレベルは、ワクチンを投与されていない対象と比較して、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2.0倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3.0倍、少なくとも約3.5倍、少なくとも約4.0倍、少なくとも約4.5倍、少なくとも約5.0倍、少なくとも約5.5倍、少なくとも約6.0倍、少なくとも約6.5倍、少なくとも約7.0倍、少なくとも約7.5倍、少なくとも約8.0倍、少なくとも約8.5倍、少なくとも約9.0倍、少なくとも約9.5倍、少なくとも約10.0倍、少なくとも約10.5倍、少なくとも約11.0倍、少なくとも約11.5倍、少なくとも約12.0倍、少なくとも約12.5倍、少なくとも約13.0倍、少なくとも約13.5倍、少なくとも約14.0倍、少なくとも約14.5倍、少なくとも約15.0倍、少なくとも約15.5倍、または少なくとも約16.0倍増加し得る。
【0389】
ワクチンは、ワクチンを投与された対象において細胞性免疫応答を誘導し得る。誘導された細胞性免疫応答は、抗原に特異的であり得る。誘導された細胞性免疫応答は、抗原に反応性であり得る。好ましくは、細胞性応答は、抗原の2つ以上の株に対して交差反応性である。誘導された細胞性免疫応答は、CD8 T細胞応答の励起を含み得る。励起されたCD8 T細胞応答は、抗原と反応性であり得る。励起されたCD8 T細胞応答は、多機能性であり得る。誘導された細胞性免疫応答は、CD8 T細胞応答の励起を含むことができ、これにおいて、CD8 T細胞は、インターフェロン-ガンマ(IFN-γ)、腫瘍壊死因子アルファ(TNF-α)、インターロイキン-2(IL-2)、またはIFN-γとTNF-αとの組み合わせを産生する。
【0390】
誘導された細胞性免疫応答は、ワクチンを投与されていない対象と比較して増加した、ワクチンを投与された対象と関連付けられるCD8 T細胞応答を含み得る。ワクチンを投与された対象と関連付けられるCD8 T細胞応答は、ワクチンを投与されていない対象と比較して、約2倍~約30倍、約3倍~約25倍、または約4倍~約20倍増加し得る。ワクチンを投与された対象と関連付けられるCD8 T細胞応答は、ワクチンを投与されていない対象と比較して、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2.0倍、少なくとも約3.0倍、少なくとも約4.0倍、少なくとも約5.0倍、少なくとも約6.0倍、少なくとも約6.5倍、少なくとも約7.0倍、少なくとも約7.5倍、少なくとも約8.0倍、少なくとも約8.5倍、少なくとも約9.0倍、少なくとも約9.5倍、少なくとも約10.0倍、少なくとも約10.5倍、少なくとも約11.0倍、少なくとも約11.5倍、少なくとも約12.0倍、少なくとも約12.5倍、少なくとも約13.0倍、少なくとも約13.5倍、少なくとも約14.0倍、少なくとも約14.5倍、少なくとも約15.0倍、少なくとも約16.0倍、少なくとも約17.0倍、少なくとも約18.0倍、少なくとも約19.0倍、少なくとも約20.0倍、少なくとも約21.0倍、少なくとも約22.0倍、少なくとも約23.0倍、少なくとも約24.0倍、少なくとも約25.0倍、少なくとも約26.0倍、少なくとも約27.0倍、少なくとも約28.0倍、少なくとも約29.0倍、または少なくとも約30.0倍増加し得る。
【0391】
誘導された細胞性免疫応答は、増加した頻度の、IFN-γを産生するCD3CD8 T細胞を含み得る。ワクチンを投与された対象と関連付けられるCD3CD8IFN-γ T細胞の頻度は、ワクチンを投与されていない対象と比較して、少なくとも約2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、11倍、12倍、13倍、14倍、15倍、16倍、17倍、18倍、19倍、または20倍増加し得る。
【0392】
誘導された細胞性免疫応答は、増加した頻度の、TNF-αを産生するCD3CD8 T細胞を含み得る。ワクチンを投与された対象と関連付けられるCD3CD8TNF-α T細胞の頻度は、ワクチンを投与されていない対象と比較して、少なくとも約2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、11倍、12倍、13倍、または14倍増加し得る。
【0393】
誘導された細胞性免疫応答は、増加した頻度の、IL-2を産生するCD3CD8 T細胞を含み得る。ワクチンを投与された対象と関連付けられるCD3CD8IL-2 T細胞の頻度は、ワクチンを投与されていない対象と比較して、少なくとも約0.5倍、1.0倍、1.5倍、2.0倍、2.5倍、3.0倍、3.5倍、4.0倍、4.5倍、または5.0倍増加し得る。
【0394】
誘導された細胞性免疫応答は、増加した頻度の、IFN-γとTNF-αとの両方を産生するCD3CD8 T細胞を含み得る。ワクチンを投与された対象と関連付けられるCD3CD8IFN-γTNF-α T細胞の頻度は、ワクチンを投与されていない対象と比較して、少なくとも約25倍、30倍、35倍、40倍、45倍、50倍、55倍、60倍、65倍、70倍、75倍、80倍、85倍、90倍、95倍、100倍、110倍、120倍、130倍、140倍、150倍、160倍、170倍、または180倍増加し得る。
【0395】
ワクチンによって誘導された細胞性免疫応答は、CD4 T細胞応答の励起を含み得る。励起されたCD4 T細胞応答は、所望の抗原と反応性であり得る。励起されたCD4 T細胞応答は、多機能性であり得る。誘導された細胞性免疫応答は、CD4 T細胞応答の励起を含むことができ、これにおいて、CD4 T細胞は、IFN-γ、TNF-α、IL-2、またはIFN-γとTNF-αとの組み合わせを産生する。
【0396】
誘導された細胞性免疫応答は、増加した頻度の、IFN-γを産生するCD3CD4 T細胞を含み得る。ワクチンを投与された対象と関連付けられるCD3CD4IFN-γ T細胞の頻度は、ワクチンを投与されていない対象と比較して、少なくとも約2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、11倍、12倍、13倍、14倍、15倍、16倍、17倍、18倍、19倍、または20倍増加し得る。
【0397】
誘導された細胞性免疫応答は、増加した頻度の、TNF-αを産生するCD3CD4 T細胞を含み得る。ワクチンを投与された対象と関連付けられるCD3CD4TNF-α T細胞の頻度は、ワクチンを投与されていない対象と比較して、少なくとも約2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、11倍、12倍、13倍、14倍、15倍、16倍、17倍、18倍、19倍、20倍、21倍、または22倍増加し得る。
【0398】
誘導された細胞性免疫応答は、増加した頻度の、IL-2を産生するCD3CD4 T細胞を含み得る。ワクチンを投与された対象と関連付けられるCD3CD4IL-2 T細胞の頻度は、ワクチンを投与されていない対象と比較して、少なくとも約2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、11倍、12倍、13倍、14倍、15倍、16倍、17倍、18倍、19倍、20倍、21倍、22倍、23倍、24倍、25倍、26倍、27倍、28倍、29倍、30倍、31倍、32倍、33倍、34倍、35倍、36倍、37倍、38倍、39倍、40倍、45倍、50倍、55倍、または60倍増加し得る。
【0399】
誘導された細胞性免疫応答は、増加した頻度の、IFN-γとTNF-αとの両方を産生するCD3CD4 T細胞を含み得る。ワクチンを投与された対象と関連付けられるCD3CD4IFN-γTNF-αの頻度は、ワクチンを投与されていない対象と比較して、少なくとも約2倍、2.5倍、3.0倍、3.5倍、4.0倍、4.5倍、5.0倍、5.5倍、6.0倍、6.5倍、7.0倍、7.5倍、8.0倍、8.5倍、9.0倍、9.5倍、10.0倍、10.5倍、11.0倍、11.5倍、12.0倍、12.5倍、13.0倍、13.5倍、14.0倍、14.5倍、15.0倍、15.5倍、16.0倍、16.5倍、17.0倍、17.5倍、18.0倍、18.5倍、19.0倍、19.5倍、20.0倍、21倍、22倍、23倍、24倍、25倍、26倍、27倍、28倍、29倍、30倍、31倍、32倍、33倍、34倍、または35倍増加し得る。
【0400】
本発明のワクチンは、ワクチン自体が疾病または死亡の原因とならないように安全であること、ウイルスまたは細菌等の生病原体への曝露から生じる疾病に対する保護作用があること、細胞の発明を予防するために中和抗体を誘導すること、細胞内病原体に対する保護T細胞を誘導すること、ならびに投与し易さ、少ない副作用、生物学的安定性、および低い用量単価を提供すること等の、有効なワクチンに要求される特徴を有し得る。
【0401】
本ワクチンは、筋肉または皮膚等の異なる組織に投与された場合に免疫応答をさらに誘導することができる。本ワクチンは、電気穿孔、または注射、または皮下、または筋肉内で投与された場合に免疫応答をさらに誘導することができる。
【0402】
ワクチン構築物およびプラスミド
本ワクチンは、1つ以上の抗原をコードする核酸構築物またはプラスミドを含み得る。核酸構築物またはプラスミドは、1つ以上の異種核酸配列を含み得るか、または含有し得る。抗原をコードする核酸配列を含み得る遺伝子構築物が本明細書で提供される。遺伝子構築物は、機能的な染色体外分子として細胞内に存在し得る。遺伝子構築物は、セントロメア、テロメア、プラスミド、またはコスミドを含む、線状ミニ染色体であり得る。遺伝子構築物は、1つ以上の異種核酸配列を含み得るか、または含有し得る。
【0403】
遺伝子構築物は、任意の順序で抗原を発現するプラスミドの形態であり得る。
【0404】
遺伝子構築物はまた、組換えアデノウイルス、組換えアデノウイルス関連ウイルス、および組換えワクシニアを含む、組換えウイルスベクターのゲノムの一部であり得る。遺伝子構築物は、細胞内に生きる弱毒化生微生物または組換え微生物ベクター中の遺伝物質の一部であり得る。
【0405】
遺伝子構築物は、核酸のコード配列の遺伝子発現のための調節エレメントを含み得る。調節エレメントは、プロモーター、エンハンサー、開始コドン、停止コドン、またはポリアデニル化シグナルであり得る。
【0406】
核酸配列は、ベクターであり得る遺伝子構築物を構成し得る。ベクターは、哺乳動物において免疫応答を励起するのに有効な量で哺乳動物の細胞中で抗原を発現することが可能であり得る。ベクターは組換えであり得る。ベクターは、抗原をコードする異種核酸を含み得る。ベクターはプラスミドであり得る。ベクターは、形質転換された宿主細胞が、抗原の発現が生じる条件下で培養され、維持される、抗原をコードする核酸による細胞のトランスフェクトに有用であり得る。
【0407】
コード配列は、安定性および高レベルの発現に対して最適化され得る。いくつかの場合には、コドンは、分子内結合に起因して形成されるもの等、RNAの二次構造形成を低減するように選択される。
【0408】
ベクターは、抗原をコードする異種核酸を含むことができ、1つ以上の癌抗原コード配列(複数可)の上流にあり得る開始コドンと、抗原のコード配列(複数可)の下流にあり得る停止コドンとをさらに含むことができる。開始コドンおよび終止コドンは、抗原のコード配列(複数可)とインフレームであり得る。ベクターはまた、抗原のコード配列(複数可)に作動可能に連結するプロモーターを含み得る。プロモーターは、抗原のコード配列(複数可)に作動可能に連結したプロモーターは、サルウイルス40(SV40)由来のプロモーター、マウス乳癌ウイルス(MMTV)プロモーター、ウシ免疫不全ウイルス(BIV)長末端反復(LTR)プロモーター等のヒト免疫不全ウイルス(HIV)プロモーター、モロニーウイルスプロモーター、トリ白血病ウイルス(ALV)プロモーター、CMV前初期プロモーター等のサイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、エプスタイン-バーウイルス(EBV)プロモーター、またはラウス肉腫ウイルス(RSV)プロモーターであり得る。プロモーターはまた、ヒトアクチン、ヒトミオシン、ヒトヘモグロビン、ヒト筋肉クレアチン、またはヒトメタロチオネイン等の、ヒト遺伝子に由来するプロモーターであり得る。プロモーターはまた、天然または合成の、筋または皮膚特異的プロモーター等の組織特異的プロモーターであり得る。そのようなプロモーターの例は、内容全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第20040175727号に記載されている。
【0409】
ベクターは、抗原のコード配列(複数可)の下流にあり得るポリアデニル化シグナルも含み得る。ポリアデニル化シグナルは、SV40ポリアデニル化シグナル、LTRポリアデニル化シグナル、ウシ成長ホルモン(bGH)ポリアデニル化シグナル、ヒト成長ホルモン(hGH)ポリアデニル化シグナル、またはヒトβ-グロブリンポリアデニル化シグナルであり得る。SV40ポリアデニル化シグナルは、pCEP4ベクター(Invitrogen,San Diego,CA)からのポリアデニル化シグナルであり得る。
【0410】
ベクターは、抗原の上流のエンハンサーも含み得る。エンハンサーは、DNA発現に必須であり得る。エンハンサーは、ヒトアクチン、ヒトミオシン、ヒトヘモグロビン、ヒト筋肉クレアチン、またはウイルスエンハンサー、例えば、CMV、HA、RSV、EBVからのものであり得る。ポリヌクレオチド機能エンハンサーは、各々の内容が参照により完全に組み込まれる米国特許第5,593,972号、同第5,962,428号、および第WO94/016737号に記載されている。
【0411】
ベクターはまた、ベクターを染色体外に維持し、細胞内でプラスミドの多数のコピーを産生するために、哺乳動物の複製起点を含み得る。ベクターは、Invitrogen(San Diego,CA)からのpVAX1、pCEP4、またはpREP4であることができ、これらは、エプスタイン-バーウイルスの複製起点、ならびに組み込みなしで高コピーエピソーム複製を生じ得る核抗原EBNA-1コード領域を含むことができる。ベクターは、本明細書に記載の変異プラスミド等、変化を有するpVAX1またはpVax1変異体であり得る。変異pVax1プラスミドは、主鎖ベクタープラスミドpVAX1(Invitrogen,Carlsbad CA)の2998塩基対変異体である。CMVプロモーターが塩基137~724に位置する。T7プロモーター/プライミング部位が塩基664~683にある。多重クローニング部位が塩基696~811にある。ウシGHポリアデニル化シグナルが塩基829~1053にある。カナマイシン耐性遺伝子が塩基1226~2020にある。pUC起点が塩基2320~2993にある。
【0412】
Invitrogenから入手可能なpVAX1の配列に基づき、本明細書に示されるプラスミド1~6の主鎖として使用したpVAX1の配列中に以下の突然変異が見られた。
CMVプロモーター中のC>G241
ウシ成長ホルモンポリアデニル化シグナル(bGHpolyA)の下流のC>T 1942主鎖
カナマイシン遺伝子の下流のA>-2876主鎖
pUC複製起点(Ori)高コピー数突然変異中のC>T 3277(Nucleic Acid Research 1985参照)
RNASeH部位の上流のpUC Oriの最末端中のG>C 3753
【0413】
塩基対2、3、および4は、CMVプロモーターの上流で、主鎖においてACTからCTGに変化する。
【0414】
ベクターの主鎖はpAV0242であり得る。ベクターは、複製欠損アデノウイルス5型(Ad5)ベクターであり得る。
【0415】
ベクターはまた、ベクターが投与される哺乳動物またはヒト細胞における遺伝子発現に十分適していてもよい調節配列を含み得る。本明細書に開示される1つ以上の癌抗原配列は、コドンを含むことができ、これにより、宿主細胞におけるコード配列のより効率的な転写が可能となり得る。
【0416】
ベクターは、大腸菌(E.coli)中のタンパク質産生に使用され得るpSE420(Invitrogen,San Diego,Calif.)であり得る。ベクターはまた、酵母のSaccharomyces cerevisiae株中のタンパク質産生に使用され得るpYES2(Invitrogen,San Diego,Calif.)であり得る。ベクターはまた、昆虫細胞中のタンパク質産生に使用され得るMAXBAC(商標)完全バキュロウイルス発現系(Invitrogen,San Diego,Calif.)であり得る。ベクターはまた、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞等の哺乳動物細胞中のタンパク質産生に使用され得るpcDNA IまたはpcDNA3(Invitrogen,San Diego,Calif.)であり得る。ベクターは、参照により完全に組み込まれるSambrook et al.,Molecular Cloning and Laboratory Manual,Second Ed.,Cold Spring Harbor(1989)を含む慣習的な技法および容易に入手可能な出発材料によってタンパク質を産生するための発現ベクターまたは発現系であり得る。
【0417】
7.組成物の賦形剤および他の成分
組成物は、薬学的に許容される賦形剤をさらに含んでもよい。薬学的に許容される賦形剤は、ビヒクル、担体、または希釈剤等の機能的分子であり得る。薬学的に許容される賦形剤は、トランスフェクション促進剤であってもよく、これには、免疫刺激複合体(ISCOMS)等の界面活性剤、フロイント不完全アジュバント、モノホスホリルリピドAを含むLPS類似体、ムラミルペプチド、キノン類似体、スクアレンおよびスクアレン等の小胞体、ヒアルロン酸、脂質、リポソーム、カルシウムイオン、ウイルスタンパク質、ポリアニオン、ポリカチオン、もしくはナノ粒子、または他の既知のトランスフェクション促進剤が挙げられる。
【0418】
トランスフェクション促進剤は、ポリ-L-グルタミン酸(LGS)を含むポリアニオン、ポリカチオン、または脂質である。トランスフェクション促進剤は、ポリ-L-グルタミン酸であり、ポリ-L-グルタミン酸は、6mg/mL未満の濃度で組成物中に存在してもよい。トランスフェクション促進剤はまた、界面活性剤、例えば免疫刺激複合体(ISCOMS)、フロイント不完全アジュバント、モノホスホリル脂質Aを含むLPS類似体、ムラミルペプチド、キノン類似体、ならびにスクアレンおよびスクアレン等の小胞体を含んでもよく、ヒアルロン酸も、組成物と共に使用投与されてもよい。組成物は、トランスフェクション促進剤、例えば脂質、レシチンリポソームまたはDNAリポソーム混合物(例えば、WO09324640を参照)として当該技術分野で既知の他のリポソームを含むリポソーム、カルシウムイオン、ウイルスタンパク質、ポリアニオン、ポリカチオン、もしくはナノ粒子、または他の公知のトランスフェクション促進剤を含んでもよい。トランスフェクション促進剤は、ポリ-L-グルタミン酸(LGS)をはじめとする、ポリアニオン、ポリカチオン、または脂質である。ワクチン中のトランスフェクション剤の濃度は、4mg/ml未満、2mg/ml未満、1mg/ml未満、0.750mg/ml未満、0.500mg/ml未満、0.250mg/ml未満、0.100mg/ml未満、0.050mg/ml未満、または0.010mg/ml未満である。
【0419】
組成物は、遺伝子促進剤をさらに含んでもよい。
【0420】
組成物は、DNAを、約1ナノグラム~100ミリグラム、約1マイクログラム~約10ミリグラム、または好ましくは約0.1マイクログラム~約10ミリグラム、またはより好ましくは約1ミリグラム~約2ミリグラムの量で含んでもよい。いくつかの好ましい実施形態では、本発明による組成物は、約5ナノグラム~約1000マイクログラムのDNAを含む。いくつかの好ましい実施形態では、組成物は、約10ナノグラム~約800マイクログラムのDNAを含有し得る。いくつかの好ましい実施形態では、組成物は、約0.1~約500マイクログラムのDNAを含有し得る。いくつかの好ましい実施形態では、組成物は、約1~約350マイクログラムのDNAを含有し得る。いくつかの好ましい実施形態では、組成物は、約25~約250マイクログラム、約100~約200マイクログラム、約1ナノグラム~100ミリグラム、約1マイクログラム~約10ミリグラム、約0.1マイクログラム~約10ミリグラム、約1ミリグラム~約2ミリグラム、約5ナノグラム~約1000マイクログラム、約10ナノグラム~約800マイクログラム、約0.1~約500マイクログラム、約1~約350マイクログラム、約25~約250マイクログラム、約100~約200マイクログラムのDNAを含有し得る。
【0421】
組成物は、使用される投与様式に従って配合され得る。注射可能な医薬組成物は、滅菌されており、パイロジェンフリーおよび微粒子フリーであり得る。等張性製剤または溶液を使用することができる。等張性のための添加剤には、塩化ナトリウム、デキストロース、マンニトール、ソルビトールおよびラクトースを挙げることができる。組成物は、血管収縮剤を含み得る。等張溶液には、リン酸緩衝食塩水を挙げることができる。組成物は、ゼラチンおよびアルブミンをはじめとする安定化剤をさらに含み得る。LGSまたはポリカチオンまたはポリアニオン等、安定化剤により、製剤を室温または周囲温度で長時間安定させることができる。
【0422】
8.構造修飾されたDMAbをコードする核酸分子の生成方法
本発明の操作されたDMAbを得るために使用することができる操作戦略は多数ある。
【0423】
DMAbの完全グラフト
一実施形態では、構造修飾されたDMAbは、完全グラフトによって生成される。一実施形態では、完全グラフト方法は、親DMAbの可変軽鎖および可変重鎖のCDR領域を、DMAbをより高く発現するフレームワークに転置することを含む。一実施形態では、構造修飾されたDMAbをコードする核酸配列は、完全グラフトDMAbのアミノ酸配列から生成される。
【0424】
一実施形態では、核酸配列は最適化される。最適化には、以下のうちの1つ以上が含まれ得る:転写を増加させるためのGC含有量が低いリーダー配列の付加;mRNA安定性およびコドン最適化;翻訳増加のためのコザック配列(例えば、GCC ACC)の付加;翻訳増加のためのIRES配列の付加;転写増加のためのWPRE配列の付加;シグナルペプチドをコードする免疫グロブリン(Ig)リーダー配列の付加;ならびにcis作用性配列モチーフ(即ち、内部TATAボックス)の可能な限りの除去。
【0425】
一実施形態では、核酸分子は、構造修飾されたDMAbをコードする最適化された核酸配列を含むように生成される。核酸分子を生成するためのいずれの方法も、本発明の構造修飾されたDMAbをコードする核酸配列の生成に使用することができる。特定のヌクレオチド配列を含む核酸分子の生成方法は、概して当該技術分野で既知である。
【0426】
DMAbの部分グラフト
一実施形態では、構造修飾されたDMAbは、部分グラフトによって生成される。一実施形態では、部分グラフト方法は、構造アラインメントおよび可能性のある修飾の比較モデリングのうちの1つ以上を含む。一実施形態では、親DMAb VLドメイン配列は、1つ以上の有効な高度に発現された骨格VL配列のVLドメインに対してアラインメントされる。一実施形態では、比較モデリングは、VLドメインの構造的な重ね合わせによって予測される突然変異を含む、多数の可能性のある部分グラフト配列に行われる。一実施形態では、比較モデリング方法は、エネルギー最小化分析、界面分析、配列特性予測、およびラマチャンドラン分析のうちの少なくとも1つを含む。候補の部分グラフトDMAbは、好ましい予測された特徴(例えば、改善された安定性)を有するものである。
【0427】
一実施形態では、構造修飾されたDMAbをコードする核酸配列は、予測された部分グラフトDMAbアミノ酸配列から生成される。一実施形態では、構造修飾されたDMAbをコードする核酸配列は、さらに最適化され、構造修飾されたDMAbをコードする最適化された核酸配列を含む核酸分子が生成される。
【0428】
骨格修飾
一実施形態では、構造修飾されたDMAbは、骨格修飾によって生成される。一実施形態では、骨格修飾方法は、親DMAbのアミノ酸配列に1つ以上の特定のアミノ酸の変化を作製して、本発明の構造修飾されたDMAbを生成することを含む。一実施形態では、特定のアミノ酸の変化により、親DMAbと比較して、安定性、重鎖および軽鎖界面、ならびに構造修飾されたDMAbの分泌のうちの1つ以上が改善する。一実施形態では、特定のアミノ酸の変化により、親DMAbと比較して、構造修飾されたDMAbの、可変鎖界面に基づくDMAbの凝集、パイ相互作用、等電点、およびラマチャンドラン分析が減少する。一実施形態では、1つ以上の特定のアミノ酸の変化は、等電点修飾、VH-VL界面相互作用の改変、またはそれらの組み合わせが生じるように作製される。
【0429】
一実施形態では、構造修飾されたDMAbをコードする核酸配列は、修飾されたアミノ酸配列から生成される。一実施形態では、構造修飾されたDMAbをコードする核酸配列は、さらに最適化され、構造修飾されたDMAbをコードする最適化された核酸配列を含む核酸分子が生成される。
【0430】
ScFv-Fc構造修飾DMAb
一実施形態では、低い発現を示す親DMAbは、1周回以上のscFvモデリングを受ける。様々な実施形態では、ScFvモデリングは、リンカーモデリング、ヒンジ修飾モデリング、フレームワークモデリング、およびCDRループ精密化のうちの少なくとも1つを含む。様々な実施形態では、モデリングは、VH-リンカー-VL形式およびVL-リンカー-VH形式のうちの少なくとも1つでDMAb配列に行われる。一実施形態では、リンカーがCDRを遮らないまたはリンカーのCDRへの影響が最小限である変異体が予測されるまで、様々な入力配列を用いて多数回のモデリングが行われる。例えば、一実施形態では、予測された変異体のリンカーがCDRのうちの1つ以上を遮ることが予測されると、新たなリンカー配列を使用して別周回のScFvモデリングが実施される。一実施形態では、新たなリンカーは、既にモデリングされたリンカーよりも、長くてもよく、短くてもよく、あるいは異なるアミノ酸配列を有してもよい。一実施形態では、1周回以上のScFvモデリングに続いて、予測された構造に分析を実施して、予測されたDMAbがさらなる開発のための候補であるか否かを決定する。例えば、一実施形態では、リンカー融合部位付近の領域のRMSD分析を行う。一実施形態では、リンカーによりCDRの遮りが最小である予測されたDMAbを、候補のDMAbとして選択する。一実施形態では、リンカー融合部位付近の予測されたRMSDが低い予測されたDMAbを、候補のDMAbとして選択する。
【0431】
一実施形態では、候補の変異体をコードする核酸分子は、最適化される。一実施形態では、最適化は、VH、リンカー、およびVL配列の各々を個々にコードするヌクレオチド配列に行われる(即ち、ヌクレオチド配列のモジュラー最適化)。一実施形態では、最適化は、単一のヌクレオチド配列として、VH-リンカー-VLをコードするヌクレオチド配列に行われる。一実施形態では、最適化は、単一のヌクレオチド配列として、VL-リンカー-VHをコードするヌクレオチド配列に行われる。
【0432】
一実施形態では、構造修飾されたDMAbをコードする核酸分子が生成される。一実施形態では、核酸分子は、最適化された構造修飾されたDMAbをコードする核酸配列を含む。
【0433】
一実施形態では、その後、構造修飾されたDMAbの発現レベルおよび抗原結合が親DMAbのものと比較される。一実施形態では、次に、発現が親DMAbより優れていながら依然として抗原結合を示す構造修飾されたDMAbが、対象におけるインビボ発現および免疫応答を生成する能力についてさらに試験される。
【0434】
9.合成抗体の生成方法
本発明は、合成抗体の生成方法にも関する。本方法は、後により詳細に記載する送達方法を使用することによって、組成物を、それを必要とする対象に投与することを含み得る。したがって、合成抗体は、組成物を対象に投与した際に対象においてまたはインビボで生成される。
【0435】
本方法はまた、組成物を1つ以上の細胞内に導入することを含むことができ、それにより、合成抗体が1つ以上の細胞中で生成または産生され得る。本方法は、組成物を1つ以上の組織、例えば非限定的に皮膚および筋肉内に導入することをさらに含むことができ、それにより、合成抗体が1つ以上の組織中で生成または産生され得る。
【0436】
10.抗体の同定またはスクリーニング方法
本発明は、上記の抗原に反応性であるかまたはそれに結合する上記の抗原を同定するかまたはそれについてスクリーニングする方法にさらに関する。抗体の同定またはスクリーニング方法は、抗体を同定またはスクリーニングするための当業者に既知の方法において抗原を使用し得る。そのような方法には、ライブラリ(例えば、ファージディスプレイ)からの抗体の選択、および動物の免疫化、その後の抗体の単離および/または精製が含まれ得るが、これらに限定されない。
【0437】
11.組成物の送達方法
本発明はまた、組成物を、それを必要とする対象に送達する方法に関する。送達方法は、組成物を対象に投与することを含み得る。投与には、インビボ電気穿孔を伴うまたは伴わないDNA注射、リポソーム媒介型送達、およびナノ粒子促進型送達が含まれ得るが、これらに限定されない。
【0438】
組成物の送達を受ける哺乳動物は、ヒト、霊長類、非ヒト霊長類、乳牛、畜牛、ヒツジ、ヤギ、レイヨウ、バイソン、スイギュウ、バイソン、ウシ、シカ、ハリネズミ、ゾウ、ラマ、アルパカ、マウス、ラット、およびニワトリであってもよい。
【0439】
組成物は、経口、非経口、舌下、経皮、経直腸、経粘膜、局所、吸入、口腔投与、胸膜内、静脈内、動脈内、腹腔内、筋肉内、鼻腔内、髄腔内、および関節内、またはそれらの組み合わせを含む、様々な経路によって投与され得る。獣医学的使用には、組成物は、通常の獣医学診療に従った好適な許容される製剤として投与され得る。獣医師であれば、特定の動物に最も適した投薬レジメンおよび投与経路を容易に決定することができる。組成物は、伝統的なシリンジ、無針注入デバイス、「微粒子銃」、または電気穿孔(「EP」)、「流体力学法」、もしくは超音波などのその他の物理的方法によって投与されてもよい。
【0440】
a.電気穿孔
電気穿孔を介した組成物の投与は、可逆的な孔を細胞膜に形成するのに有効なエネルギーのパルスを哺乳動物の所望の組織に送達するように構成され得る電気穿孔デバイスを使用して達成されてもよく、好ましくは、このエネルギーのパルスは、ユーザによる予め設定された電流入力に類似した定電流である。電気穿孔デバイスは、電気穿孔構成要素と、電極アセンブリまたはハンドルアセンブリとを備えてもよい。電気穿孔構成要素は、制御装置、電流波形発生器、インピーダンス試験器、波形ロガー、入力素子、状況報告要素、通信ポート、メモリ構成要素、電源、および電源スイッチを含む、電気穿孔デバイスの様々な要素のうちの1つ以上を含み、かつ組み込んでもよい。電気穿孔は、プラスミドによる細胞のトランスフェクションを促進するために、インビボの電気穿孔デバイス、例えば、CELLECTRA EPシステム(Inovio Pharmaceuticals,Plymouth Meeting,PA)またはElgen電気穿孔器(Inovio Pharmaceuticals,Plymouth Meeting,PA)を使用して達成してもよい。
【0441】
電気穿孔構成要素は、電気穿孔デバイスの1つの要素として機能してもよく、他の要素は、電気穿孔構成要素と通信している別個の要素(または構成要素)である。電気穿孔構成要素は、電気穿孔デバイスの2つ以上の要素として機能してもよく、これは、電気穿孔構成要素から離れた電気穿孔デバイスのさらに他の要素と通信していてもよい。電気機械的または機械的デバイスの一部として存在する電気穿孔デバイスの要素は限定されない場合があり、これは、要素が、1つの装置として、または互いに通信している別個の要素として機能することができるためである。電気穿孔構成要素は、所望の組織内に定電流を生じるエネルギーのパルスを送達することが可能であってもよく、フィードバック機構を含む。電極アセンブリは、空間的配置で複数の電極を有する電極アレイを含んでもよく、電極アセンブリは、電気穿孔構成要素からのエネルギーのパルスを受信し、これを、電極を通じて所望の組織に送達する。複数の電極のうちの少なくとも1つは、エネルギーのパルスの送達中に中性であり、所望の組織内のインピーダンスを測定し、インピーダンスを電気穿孔構成要素に通信する。フィードバック機構は、測定されたインピーダンスを受信してもよく、電気穿孔構成要素によって送達されたエネルギーのパルスを調節して、定電流を維持することができる。
【0442】
複数の電極が、分散パターンでエネルギーのパルスを送達してもよい。複数の電極は、プログラムされたシーケンス下での電極の制御を通して分散パターンでエネルギーのパルスを送達してもよく、プログラムされたシーケンスは、ユーザによって電気穿孔構成要素に入力される。プログラムされたシーケンスは、シーケンスで送達される複数のパルスを含んでもよく、複数のパルスの各々のパルスは、インピーダンスを測定する1つの中性電極を有する少なくとも2つの活性電極によって送達され、後続の複数のパルスは、インピーダンスを測定する1つの中性電極を有する少なくとも2つの活性電極のうちの異なる1つによって送達される。
【0443】
フィードバック機構は、ハードウェアまたはソフトウェアのいずれかによって実施されてもよい。フィードバック機構は、アナログ閉ループ回路によって実施されてもよい。このフィードバックは、50μs、20μs、10μs、または1μsごとに生じるが、好ましくはリアルタイムフィードバックまたは瞬時(即ち、応答時間を決定するために利用可能な技術によって決定されるように実質的に瞬時)である。中性電極は、所望の組織においてインピーダンスを測定してもよく、インピーダンスをフィードバック機構に通信し、フィードバック機構は、インピーダンスに応答し、エネルギーのパルスを調節して、予め設定された電流と同様の値に定電流を維持する。フィードバック機構は、エネルギーのパルスの送達中に定電流を連続的または瞬時に維持してもよい。
【0444】
本発明の組成物の送達を促進し得る電気穿孔デバイスおよび電気穿孔法の例には、内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、Draghia-Akliらによる米国特許第7,245,963号、Smithらによる米国特許公開第2005/0052630号に記載されるものが含まれる。本組成物の送達を促進するために使用され得る他の電気穿孔デバイスおよび電気穿孔法には、全て全体が本明細書に組み込まれる、35 USC119(e)下で、2006年10月17日出願の米国仮出願第60/852,149号および2007年10月10日出願の同第60/978,982号に対する利益を主張する、2007年10月17日出願の同時係属かつ共同所有の米国特許出願第11/874072号に提供されるものが含まれる。
【0445】
Draghia-Akliらによる米国特許第7,245,963号は、体内または植物内の選択された組織の細胞への生体分子の導入を促進するためのモジュール電極システムおよびそれらの使用について記載している。モジュール電極システムは、複数の針電極、皮下注射針、プログラム可能な定電流パルス制御器から複数の針電極に導電性接続を提供する電気コネクタ、および電源を備えてもよい。操作者は、支持構造体に載置された複数の針電極を把持し、それらを体内または植物内の選択された組織へしっかりと挿入することができる。生体分子は、次いで、皮下注射針を介して選択された組織内に送達される。プログラム可能な定電流パルス制御器が作動し、定電流電気パルスが複数の針電極に印加される。印加された定電流電気パルスは、複数の電極間の細胞内への生体分子の導入を促進する。米国特許第7,245,963号の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0446】
Smithらによる米国特許公開第2005/0052630号は、体内または植物内の選択された組織の細胞への生体分子の導入を効果的に促進するために使用され得る電気穿孔デバイスについて記載している。電気穿孔デバイスは、動作がソフトウェアまたはファームウェアによって特定される動電学的デバイス(「EKDデバイス」)を含む。EKDデバイスは、ユーザ制御およびパルスパラメータの入力に基づき、アレイの電極間に一連のプログラム可能な定電流パルスパターンを生じ、電流波形データの記憶および取得を可能にする。電気穿孔デバイスはまた、一連の針電極、注入針用の中央注入チャネル、および取り外し可能なガイドディスクを有する、交換可能な電極ディスクを備える。米国特許公開第2005/0052630号の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0447】
米国特許第7,245,963号および米国特許公開第2005/0052630号に記載される電極アレイおよび方法は、筋肉等の組織だけではなく他の組織または器官へ深く浸透するように適合されてもよい。電極アレイの構成のため、注入針(選択した生体分子を送達するための)はまた、標的器官に完全に挿入され、注入は、電極によって事前に線引きされた領域内で標的組織に垂直に投与される。米国特許第7,245,963号および米国特許公開第2005/005263号に記載される電極は、好ましくは20mmの長さおよび21ゲージである。
【0448】
加えて、電気穿孔デバイスおよびその使用を組み込むいくつかの実施形態において企図されるものには、以下の特許に記載されているものである電気穿孔デバイスがある:1993年12月28日発行の米国特許第5,273,525号、2000年8月29日発行の米国特許第6,110,161号、2001年7月17日発行の同第6,261,281号、および2005年10月25日発行の同第6,958,060号、ならびに2005年9月6日発行の米国特許第6,939,862号。さらに、様々なデバイスのうちのいずれかを使用したDNAの送達に関する2004年2月24日発行の米国特許第6,697,669号、およびDNAの注射方法に関心を寄せる2008年2月5日発行の米国特許第7,328,064号において提供される主題を網羅する特許が、本明細書で企図される。上記の特許は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0449】
12.治療方法
対象において構造修飾されたDMAbを生成することによって、疾患の治療、疾患からの保護、および/または疾患の予防を、それを必要とする対象において行う方法も、本明細書で提供される。本方法は、組成物を対象に投与することを含み得る。対象への組成物の投与は、上記の送達方法を使用して行うことができる。
【0450】
構造修飾されたDMAbが対象において生成されると、合成抗体は抗原に結合するかまたは抗原と反応することができる。そのような結合により、抗原が中和され、別の分子、例えばタンパク質または核酸による抗原の認識が遮断され、抗原に対する免疫応答が励起または誘導され、それにより、対象において抗原と関連付けられる疾患の治療、疾患からの保護、および/または疾患の予防を行うことができる。
【0451】
治療的および予防的免疫応答を誘導するために、ワクチンまたはワクチン接種の送達方法が提供されてもよい。ワクチン接種プロセスにより、抗原に対する免疫応答が哺乳動物中で生成されてもよい。ワクチンは、個人に送達されて、哺乳動物の免疫系の活性を調節し、免疫応答を増強してもよい。ワクチンの送達は、細胞中で発現され、細胞表面に送達され、その際に、免疫系が認識して、細胞性応答、液性応答、または細胞性応答および液性応答を誘導する、核酸分子としてのコンセンサス抗原のトランスフェクションであってもよい。ワクチンの送達を使用して、上で考察したようにワクチンを哺乳動物に投与することによって、抗原に対する哺乳動物における免疫応答を誘導または励起してもよい。
【0452】
組成物の用量は、1μg~10mg活性成分/体重1kg/時間であってもよく、20μg~10mg成分/体重1kg/時間であってもよい。組成物は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、または31日ごとに投与することができる。効果的な治療のための組成物服用回数は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10回であり得る。
【0453】
組成物は、1個以上、2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、7個以上、8個以上、9個以上、または10個以上の、抗原をコードするDNAワクチンを含み得る。組成物は、1個以上、2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、7個以上、8個以上、9個以上、または10個以上の構造修飾されたDMAbまたはその断片を含んでもよい。
【0454】
DNAワクチンおよび構造修飾されたDMAbをコードする核酸分子は、同じときに投与されても、異なるときに投与されてもよい。一実施形態では、DNAワクチンおよび構造修飾されたDMAbをコードする核酸分子は、同時に投与される。一実施形態では、DNAワクチンは、構造修飾されたDMAbをコードする核酸分子の前に投与される。一実施形態では、構造修飾されたDMAbをコードする核酸分子は、DNAワクチンの前に投与される。
【0455】
ある特定の実施形態では、DNAワクチンは、構造修飾されたDMAbをコードする核酸分子が投与されてから、1日以上、2日以上、3日以上、4日以上、5日以上、6日以上、7日以上、8日以上、9日以上、10日以上、11日以上、12日以上、13日以上、または14日以上後に投与される。ある特定の実施形態では、DNAワクチンは、構造修飾されたDMAbをコードする核酸分子が投与されてから、1週間以上、2週間以上、3週間以上、4週間以上、5週間以上、6週間以上、7週間以上、8週間以上、9週間以上、または10週間以上後に投与される。ある特定の実施形態では、DNAワクチンは、構造修飾されたDMAbをコードする核酸分子が投与されてから、1か月以上、2か月以上、3か月以上、4か月以上、5か月以上、6か月以上、7か月以上、8か月以上、9か月以上、10か月以上、11か月以上、または12か月以上後に投与される。
【0456】
ある特定の実施形態では、構造修飾されたDMAbをコードする核酸分子は、DNAワクチンが投与されてから、1日以上、2日以上、3日以上、4日以上、5日以上、6日以上、7日以上、8日以上、9日以上、10日以上、11日以上、12日以上、13日以上、または14日以上後に投与される。ある特定の実施形態では、構造修飾されたDMAbをコードする核酸分子は、DNAワクチンが投与されてから、1週間以上、2週間以上、3週間以上、4週間以上、5週間以上、6週間以上、7週間以上、8週間以上、9週間以上、または10週間以上後に投与される。ある特定の実施形態では、構造修飾されたDMAbをコードする核酸分子は、DNAワクチンが投与されてから、1か月以上、2か月以上、3か月以上、4か月以上、5か月以上、6か月以上、7か月以上、8か月以上、9か月以上、10か月以上、11か月以上、または12か月以上後に投与される。
【0457】
ある特定の実施形態では、構造修飾されたDMAbをコードする核酸分子およびDNAワクチンは、1回投与される。ある特定の実施形態では、構造修飾されたDMAbをコードする核酸分子および/またはDNAワクチンは、2回以上投与される。ある特定の実施形態では、構造修飾されたDMAbをコードする核酸分子およびDNAワクチンの投与により、持続的かつ全身的な免疫応答が得られる。
【0458】
13.抗生物質との併用
本発明は、構造修飾されたDMAbと治療用抗生物質剤との組み合わせを投与することによって、疾患の治療、疾患からの保護、および/または疾患の予防を、それを必要とする対象において行う方法も提供する。
【0459】
構造修飾されたDMAbおよび抗生物質剤は、構造修飾されたDMAbおよび抗生物質剤の組み合わせが両方とも対象の中に存在するように、任意の好適な方法を使用して投与され得る。一実施形態では、本方法は、上で詳述した方法のいずれかによって本発明の構造修飾されたDMAbをコードする核酸分子を含む第1の組成物を投与することと、合成抗体の投与後、1日未満、2日未満、3日未満、4日未満、5日未満、6日未満、7日未満、8日未満、9日未満、または10日未満で、抗生物質剤を含む第2の組成物を投与することとを含んでもよい。一実施形態では、本方法は、上で詳述した方法のいずれかによって本発明の構造修飾されたDMAbをコードする核酸分子を含む第1の組成物を投与することと、合成抗体の投与後、1日超、2日超、3日超、4日超、5日超、6日超、7日超、8日超、9日超、または10日超で、抗生物質剤を含む第2の組成物を投与することとを含んでもよい。一実施形態では、本方法は、抗生物質剤を含む第1の組成物を投与することと、抗生物質剤の投与後、1日未満、2日未満、3日未満、4日未満、5日未満、6日未満、7日未満、8日未満、9日未満、または10日未満で、上で詳述した方法のいずれかによって、本発明の構造修飾されたDMAbをコードする核酸分子を含む第2の組成物を投与することとを含んでもよい。一実施形態では、本方法は、抗生物質剤を含む第1の組成物を投与することと、抗生物質剤の投与後、1日超、2日超、3日超、4日超、5日超、6日超、7日超、8日超、9日超、または10日超で、上で詳述した方法のいずれかによって、本発明の構造修飾されたDMAbをコードする核酸分子を含む第2の組成物を投与することとを含んでもよい。一実施形態では、本方法は、本発明の構造修飾されたDMAbをコードする核酸分子を含む第1の組成物と、抗生物質剤を含む第2の組成物とを、上で詳述した方法のいずれかによって同時に投与することを含んでもよい。一実施形態では、本方法は、本発明の構造修飾されたDMAbをコードする核酸分子および抗生物質剤を含む単一の組成物の投与を含んでもよい。
【0460】
本発明の合成抗体と併用することができる抗生物質の非限定的な例には、アミノグリコシド系(例えば、ゲンタマイシン、アミカシン、トブラマイシン)、キノロン系(例えば、シプロフロキサシン、レボフロキサシン)、セファロスポリン系(例えば、セフタジジム、セフェピム、セフォペラゾン、セフピロム、セフトビプロール)、抗緑膿菌ペニシリン系:カルボキシペニシリン系(例えば、カルベニシリンおよびチカルシリン)およびウレイドペニシリン(例えば、メズロシリン、アズロシリン、およびピペラシリン)、カルバペネム系(例えば、メロペネム、イミペネム、ドリペネム)、ポリミキシン(例えば、ポリミキシンBおよびコリスチン)、およびモノバクタム系(例えば、アズトレオナム)が挙げられる。
【0461】
本発明は、以下の非限定的な実施例によって示される多数の態様を有する。
【実施例0462】
本発明を、以下の実施例でさらに説明する。これらの実施例は、本発明の好ましい実施形態を示すが、例示目的のみで提供されることを理解されたい。上述の説明およびこれらの実施例から、当業者であれば、本発明の本質的な特徴を確認することができ、その趣旨および範囲から逸脱することなく、本発明に様々な変更および修正を行って様々な用途および状況に適合させることができる。したがって、本明細書に示され、かつ説明されるものに加えて、本発明の様々な修正は、前述の説明から当業者には明らかとなるであろう。そのような修正もまた、添付の特許請求の範囲内に入るように意図されている。
【0463】
実施例1:グラフトおよび骨格修飾
DNAベクターコード化モノクローナル抗体(DMAb)により、電気穿孔(EP)を使用して骨格筋をトランスフェクトすることによってインビボmAbを生成する手段を提供する。これまでの研究で、DMAbは、高い血清レベルを達成することができ、インフルエンザおよび緑膿菌マウスチャレンジモデルにおいて精製されたmAbに匹敵する保護を示したことが実証されている。臨床的応用に向けて、製剤化、投与、ヌクレオチドおよびアミノ酸の最適化を通したDMAbのインビボ発現レベルのさらなる増加にその努力が集中している。多数のDMAb抗体修飾戦略が、元のmAbクローンの生物学を犠牲にすることなくDMAbのインビボ発現レベルを増加させるためにフレームワークグラフトを用いて開発されている。
【0464】
図1は、最適化されたDMABを生成するために使用される多数の戦略の概観を提供する。戦略には、完全骨格グラフト、部分骨格グラフト、および骨格修飾(多数の点突然変異)が含まれる。
【0465】
完全骨格グラフトには、CDRを、望ましくない特性を有する1つのFv領域(VまたはV)から望ましい特性を有する第2のFvのフレームワークに移動させることが含まれる。この方法は、抗体ヒト化に用いられるものに多少類似している。Fv’の限定された選択が利用可能であり、理想的なCDR配置が困難となっている。骨格が完全に互換性でない場合、発現は良い影響を受け得るが、結合は悪い影響を受け得る。
【0466】
部分骨格グラフトには、折畳み安定性を増加させることを目的として、骨格の選択された領域を改変することが含まれる。CDRに近すぎる領域は、CDRの摂動を最低限に抑えるために回避される。一般に、可変軽鎖のN末端における最初の20個の残基内で変化を作製して、高発現を有するDMAbの配列を模倣する。
【0467】
骨格修飾には、予測された一連の多数の突然変異を作製して、V-V界面での安定化相互作用を増加させるか、または等電点を好ましく改変することが含まれる。一般に、約3~4個の個々のアミノ酸変化を作製して、安定性を増加させる。
【0468】
これから方法について記載する。
【0469】
BALB/cマウス(n=8)に、100μgのDMAbをコードするDNA-プラスミドを、筋肉内送達、続いて電気穿孔(IM-EP)によって、1つの治療部位に投与した。DMAbの血清レベルを、ELISAによって7日目に定量化した。血清DMAbの結合を、ELISAによって7日目に評定した。
【0470】
部分グラフト、完全グラフト、および骨格修飾を、表1に詳述するようにBDBV223およびZ5D2抗体に行った。
【表1】
【0471】
以降、結果を記載する。
【0472】
多数の構築物を生成し、ELISAによってインビボ発現についてスクリーニングした。部分グラフト方法は、発現不良に由来する可変軽鎖フレームワーク領域の一部分を、発現がより高いDMAbで代置することからなる。新たな部分グラフト構築物は、結合を維持しながら、元のDMAbよりもおよそ1対数高い増加を示した。
【0473】
BDBV223の部分グラフトにより、発現が増強され、かつ結合が維持された、最適化された抗体が得られた(図2)。対照的に、BDBV223のV2L2への完全グラフトでは、発現は増強されたが、抗原結合は失われた(図2)。同様の結果がZ5D2抗体でも見られた。Z5D2の部分グラフトにより、発現が増強され、かつ結合が維持された、最適化された抗体が得られた一方、Z5D2の完全グラフトでは、抗原結合が失われた(図3)。図4は、完全グラフト、部分グラフト、および骨格修飾が、3つの異なる親DMAb配列から修飾された構造修飾されたDMAbの発現および抗原結合に与える影響の概要を提供する。
【0474】
実施例2:部分グラフト設計
2つの高発現DMAB(pGX9232およびpGX9214)を、pGX9256(1A2)およびpGX9290(EBV114)のDMAB軽鎖に対してアラインメントした(図4)。
【0475】
CDRを用いるおよび用いない同一性マトリックスを計算した。結果を図5に提供する。アラインメントマトリックスも、FR1(最初のCys残基まで)およびFR4のみを使用して生成した。FR1マトリックスパターンからのパターンは、VLおよび無CDRマトリックスと同一であった。10個の残基のみ(末端Rを除く)に基づいたFR4マトリックスは、異なるパターンをもたらしたが、全体的には極めて類似していた。いずれの特定の理論にも束縛されるものではないが、類似したスコアが高いほどよいことが仮定される。操作された部分グラフトの配列は以下である。
>pGX9256_(232)_L(配列番号58)
>pGX9290_(232)_L(配列番号59)
>pGX9256_(214)_L(配列番号60)
>pGX9290_(214)_L(配列番号61)
【0476】
実施例3:scFv-Fc変換
一本鎖ScFv-Fc変換は、CH1およびCL領域の除去、ならびにVHとVLとの間のリンカーの付加である。変換により、重鎖-軽鎖対合および組織透過が向上する。DMAbは、リンカーの付加により全長抗体からscFv-Fcに変換される(図6および7に図示される通り)。
【0477】
これから方法について記載する。
【0478】
BALB/cマウス(n=5)に、100μgのscFv-Fc DMAbをコードするDNA-プラスミドを、筋肉内送達、続いて電気穿孔(IM-EP)によって、1つの治療部位に投与した。血清を、投与後35日にわたって収集した。
【0479】
293T細胞を、scFv-Fc DMAbをコードするDNA-プラスミドでトランスフェクトした。scFv-Fc DMAbを、タンパク質Aを使用して細胞上清から精製し、それらの正規化した結合親和性を、2つの異なるエボラウイルス発生株に由来する同一の抗原である、1976メインガ株または2014ギニア株に由来するザイールエボラウイルス糖タンパク質(GP)を使用して、ELISAによって分析した。
【表2】
【0480】
以降、結果を記載する。
【0481】
BDBV223のscFv-Fc変換により、抗原結合が減少した(図8)。Z5D2のscFv-Fc変換により、発現が増加し、抗原結合が減少した(図9)。Z1H3のscFv-Fc変換により、発現は増加したが、抗原結合に影響はなかった(図10)。
【0482】
実施例4:scFv-Fc設計
いくつかの見込みある操作アプローチが存在するが、この分野の多くの出版物は、逆を主張してはいるものの、極めて系特異的である。設計に使用され、現在dMAb空間において試験されているいくつかの新たなアプローチは、scFv-Fc空間に着想を与え得る可能性がある。
【0483】
結合および/または発現の増加と関連付けられるscFv DMAbの構造的特徴を同定するために、モデリングおよび分析を行った。モデリングは、FvおよびscFvに対して、(G4S)3リンカーを使用して両方の形態(VH-VLおよびVL-VH)で行った。15セットのモデルを生成し、各セットには多数のモデルがあった。スコアリング方法および構造検査を使用して、各ステップのモデル構築を評定した。図11は、フレームワークモデリングおよびCDRループ精密化を含むモデリング過程中の異なるステップからの例となる出力を図示する。上位20個のリンカー配座を評価した。リンカー付近の領域に注意して、主鎖の二乗平均平方根(RMSD)を生成した。
【0484】
リンカー
GGGGSGGGGSGGGGS(配列番号53)の配列を有する(G4S)3リンカーを、試験に組み入れるために選択した。
【0485】
以降、結果を記載する。
【0486】
予測ScFv-Fcモデリングを5つの異なる親DMAbに行った。各DMAbを、VH-リンカー-VLおよびVL-リンカー-VHの2つの配向でモデリングした。図12および図13は、リンカーがCDRを遮るかまたはCDRに干渉する可能性が高いかどうかを予測するために使用されるScFv-Fc DMAbの空間充填モデルを示す。
【0487】
表3は、さらなる開発のための候補のDMAbを同定するための決定木の要約を提供する。
【表3】
【0488】
これらの結果に基づく推奨が表3である。いくつかの場合においては、RMSDは、独立して最小化されたモデルについて通常の誤差以内である。一部の場合、特に、配座間で強力なシグナルが存在しない場合には、一方よりも他方を選択することに利益がない場合がある(VH-VLおよびVL-VH)。他の場合には、モデリングにより、一方の配座が他方よりも優れた候補であり得ることが示される。RMSDは、推奨を形成するための単純で一貫性のある測定であるが、RMSD以外の他の基準も有益であり得る。
【0489】
本明細書で使用するもの等のリンカー評価は、ひずみの問題を検出することができるが、会合において柔軟性または中間物に依存し、会合のためにより大きな移動度を必要とするVドメイン会合に関する問題(例えば、「エントロピー検討(entropic considerations)」)を容易に検出することはできない。
【0490】
実施例5:エボラウイルス疾患(EVD)に対する合成DNA-プラスミドコード抗体の治療用遺伝子導入のための構造的再フォーマットおよびタンパク質操作戦略の機能評定
エボラウイルス疾患(EVD)は、ヒトにおいて重篤な出血熱を引き起こし、高い死亡率と関連付けられる。西アフリカにおける2013~2015年のエボラの流行は、目下最も致死的であり、最近の新興疾患歴において最も長続きするものであった。そのような大発生の困難により、効果的なEVD抗ウイルス療法およびワクチンの必要性が浮き彫りとなった。EVDのためのワクチンがヒトにおいて有効であることが分かったものの、ワクチン防御は、即時的でなく、EVDの急性症例に対する治療背景において有益でない場合が多い。即時の防御免疫を与えるためにモノクローナル抗体(mAb)の導入を必要とする受動免疫戦略が、EVDを含む感染疾患の背景において首尾よく使用されている。しかしながら、抗体投与に関連付けられる概念的および方法論的ハードルがある。これには、インビトロでのそれらの産生および最適化、それらのインビボでの投薬、そして最後に製造プロセス中に発生するコストが含まれる。この観点から、DNA-プラスミドコード抗体のインビボ送達により、モノクローナル抗体(mAb)投与に対する革新的かつ安全なコスト効果的アプローチが得られる。
【0491】
様々な病原体に向けられたDNAコードモノクローナル抗体(DMAb)のマウスにおけるインビボ電気穿孔(EP)媒介型遺伝子送達は、既に実証されている。最近の研究は、エボラウイルス糖タンパク質(EBOV-GP)であるEBOMAb-10およびEBOMAb-14を標的とする2つのDMAbを説明し、これはまた、免疫グロブリン(Ig)の一本鎖抗体(scFv-Fc)への再フォーマット、および前述のDMAb構造フレーム内の骨格グラフトからなる操作された修飾の機能的影響も説明している。EBOMAb-10およびEBOMAb-14のそれらの未修飾形式および修飾形式におけるEP媒介型遺伝子導入により、ELISAによるEBOV-GP抗原結合およびEBOV-GP偽型ウイルスアッセイにおけるウイルス中和によって評定して、マウス血清における機能的抗体の分泌が生じる。これらの構造変化は、インビトロおよび表面糖タンパク質を発現する生細胞中でのEBOV-GP結合ならびにウイルス中和に対して異質の効果を有する。まとめると、本明細書に記載のデータは、EVD等の新興疾患に対する治療効力が増強した合成DNAプラスミドコードモノクローナル抗体(DMAb)の開発のための概念的枠組みを提供する。この試験はまた、DMAbの構造操作を評定するための機能的パラダイムを提供し、全体として、DNA系受動免疫アプローチを安全かつコスト効率的様式で臨床に転換するためのさらなるインビボの動物実験を支持する。
【0492】
これから方法について記載する。
【0493】
図14は、これらの研究に使用される方法の流れ図を提供する。ScFv-Fc DMAbの生成に使用されるDMAb設計戦略には、1)リンカー設計、2)VH-VL配向、および3)ヒンジ-CH2-CH3選択が含まれる。親DMAbは、部分グラフト、ScFv-Fc変換、または部分グラフトとScFv-Fc変換との組み合わせを受けた。
【0494】
DMAbの2つのグループをこれらの試験で分析した。グループ1は、EBOMAb-10 DMAb:EBOMAb-10-IgG(対照)、EBOMAb-10-2(ScFv-Fc修飾DMAb)、EBOMAb-10-3-IgG部分グラフト、およびEBOMAb-10-4 ScFv-Fc部分グラフトからなる。グループ2は、EBOMAb-14 DMAb:EBOMAb-14-IgG(対照)、EBOMAb-14-2(ScFv-Fc修飾DMAb)、EBOMAb-14-3-IgG部分グラフト、およびEBOMAb-14-4 ScFv-Fc部分グラフトからなる。これらの試験に使用した配列を表4に示す。
【表4】
【0495】
以降、結果を記載する。
【0496】
構造修飾されたDMAbの中和活性を評価した。全ての構造再フォーマットしたDMAbは、それらの親対照DMAbに匹敵した(図15)。IC50およびIC90の評価により、ScFv-Fc DMAbは、IC90が対照DMAbのものより大きかったが、部分グラフト修飾したDMAbは、IC90が対照のものより低かったことが示された(図16)。グループ2のDMAbは、対照DMAbと比較して増加した発現を示し、抗原結合は対照に対してわずかに増加したかまたは同等であった(図17)。
【0497】
大部分が構造修飾されたDMAbは、機能(即ち、抗原結合および阻害能力)を大幅に失うことなくマウスにおいて高レベルで発現され得る。EBOMAb10-3およびEBOMAb-14-3については、構造修飾により、IC50およびIC90によって計算して、マウスにおける発現が増加し、阻害能力が増加する。
【0498】
このデータにより、DMAbが、より高い可能性のある発現およびより高い治療効能のために操作することができる順応性のあるツールであるという概念の証拠がもたらされる。
【0499】
表5は、フレームワーク突然変異、完全グラフト、部分グラフト、およびscFv-Fc変換を利用する、例となるエボラDMAbプラスミド構築物の一覧を提供する。
【0500】
【表5-1】
【表5-2】
【0501】
実施例6:ジカウイルスに対するDNAコード化モノクローナル抗体(DMAb)のインビボ発現レベルを増加させるための戦略としての遺伝子最適化およびscFv-Fc再フォーマットの調査
遺伝子最適化およびscFv-Fc再フォーマットという2つの抗体修飾戦略を使用して、ジカウイルスを標的とする修飾されたDMAbを生成した(図1)。
【0502】
遺伝子最適化方法は、2つの全長ジカDMAb配列の選択および6つの異なるアルゴリズムによる最適化からなった。コドン使用、GC含有量、潜在的スプライス部位、およびmRNA二次構造等の、転写および翻訳に影響する多数のパラメータを、独自の多変数回帰アルゴリズムにおいて加重した。しかしながら、参照したデータのほとんどは、インビトロ発現系を使用して生成した。ジカDMAbのインビボ発現に最適なアルゴリズムを見いだすために、BALB/cマウス(n=5)に、100μgのプラスミドDNAを、1治療部位での筋肉内送達、続いて電気穿孔によって投与した。DMAbの血清レベルおよび正規化結合を、ELISAによって7日目に定量化した。ZKDMAB-1については、アルゴリズム1により、18ug/mlで最高の発現が得られた(図19および図20)。ZKDMAB-2については、アルゴリズム2により、3.5ug/mlの最高の発現が得られた(図21)。一貫して、アルゴリズム6によって最適化した両方のDMAbは、インビボ発現が最も低かったかまたは全くなかった。ほとんどの場合、ELISAによる結合は保持されたが、いくつかのアルゴリズムはZKDMAB-1についての減少を経験し、発現されたDMAbのタンパク質の折畳みまたは配座がヌクレオチド配列の影響を受けた可能性があることが示唆された(図19図20、および図22)。
【0503】
加えて、一本鎖Fv-Fc(scFv-Fc)変換を試験した。ScFv-Fc変換は、CH1およびCL領域の除去、ならびにVHとVLとの間のリンカーの付加である。変換により、重鎖-軽鎖対合および組織透過が向上する。DMAbは、リンカーの付加により全長抗体からscFv-Fcに変換される(図1に図示される通り)。
【0504】
2つのジカDMAbを選択し、それらから多数の構築物を生成した。これらは、そのリンカー分子の選択およびVH-VLの配向が異なった。DMAbを全長抗体からscFv-Fcに変換することで、元のDMAbと比較してマウス発現が最大で6倍増加した。ZKDMAB-1については、試験した4つの形式の発現は、16ug/mlから、下は8ug/mlまでの範囲であり、VH-VL配向の(G4S)リンカーが支持された。ZKDMAB-2は、VL-VH配向の(G4S)リンカーを使用して、最高の発現が12ug/mlに達した。重要なことに、DMAbの大部分に行った修飾は抗原結合を保持した。これらの変化により、インビボ発現レベルは、元のmAbクローンの生物学を犠牲にすることなく増加した(図23および図24)。これらのデータにより、DMAbを遺伝子療法用途に設計するときに遺伝子およびタンパク質を調節することの明白な利益が示される。
【表6-1】
【表6-2】
【0505】
実施例7:ジカウイルス(ZIKV)およびデングウイルス(DENV)感染に対する多価scFv-Fc DNAコード化モノクローナル抗体(DMAb)プラットフォームの評価
この研究では、それぞれZIKVおよびDENVを標的とする2つの一本鎖断片可変Fc(scFv-Fcs)DMAb、Z-DMAb1-sc、およびD-DMAb1-scの操作について説明する。これは、Z-DMAb1-scとD-DMAb1-scとを多価双方向性プロモーター形式(Z/D-DMAb1-sc)でコードする追加のDMAbの操作についても説明する。マウスモデルを使用し、CELLECTRA(登録商標)-EP技術を使用して、様々なカクテルとして組み合わせたZ-DMAb1-scおよびD-DMAb1-scならびに個々に製剤化した多価Z/D-DMAb1-scを筋肉内送達した。これらのscFv-Fc DMAbの各々のEP媒介性遺伝子導入により、ELISAおよびウイルス抗原結合アッセイによって評定して、機能的scFv-Fcがマウス血清中で分泌された。この観察から、Z-DMAb1-scおよびD-DMAb1についてのscFv-Fc発現は、単一の多価双方向性プロモーター構築物(Z/D-DMAb1-sc)中で発現させた場合に、2つのDNAプラスミド構築物を単一の調製物中で同時製剤化するか、または2つの個別の筋肉部位で別々に送達した場合よりも高いことが観察された。さらに、中和表現型のこれらの様々な同時製剤化および多価組み合わせの効果を分析した。全てをまとめると、これらのデータにより、重複する風土地で流行しているZIKVおよびDENV等の多数の病原体による感染に対抗するために、より多用途であり得ることが分かっている多価scFv-Fc DMAbプラットフォームを適合させることへの証拠が得られる。
【表7】
【0506】
実施例8:呼吸器合胞体ウイルス(RSV)に対するインビボ発現されたDNA系モノクローナル抗体(dMAb)の機能的特性評価
mAbは多くの感染疾患に対する保護の提供に効果的であることが示されているが、それらの普及は限定的である。限定されたインビボ半減期は、免疫を維持するために多数回の投薬が必要であることを意味し、また開発に伴う高いコストおよび複雑性、製造および低温流通体系、ならびに現場で用いることができる好適な投薬方法の欠如も、それらの世界的な使用の妨げとなっている。これに対し、抗体遺伝子のインビボ送達に基づく新たな戦略が開発されている。1つのそのようなプラットフォームは、dMAb、合成プラスミドDNAコード化mAbである。ヒトmAbをコードするDNA配列はプラスミドに挿入される。図1Bに図示するように、dMAbプラスミドは筋肉組織に直接送達され、インビボの電気穿孔により、筋細胞による取り込みが増強される。トランスフェクトされた筋細胞は、mAbを産生し分泌する。mAbは、血液循環に進入し、全身的に機能することができる。概念実証研究では、dMAbは、前臨床動物モデルにおいて、インフルエンザ、緑膿菌、ジカ、およびエボラを含む様々な感染疾患に対する保護を提供した。ここでは、RSVを標的とするdMAbの前臨床開発を示す。RSV-dMAbは、シーズンにわたってRSV感染からの重篤な合併症に対する予防的な保護を提供するために、ハイリスク集団に送達され得る。維持された発現により、初回1回のdMAb送達がRSVシーズン全体をカバーし、再送達は必要でない場合がある。
【0507】
抗RSV sc-FvをコードするDNAプラスミドを操作して、全長ヒトIgGと比較して改善したインビボ発現プロファイルを持たせた(図25A)。全身性発現をさらに増強するため、最適化された送達プロトコルを用いた。最適化された製剤は、標的組織の細胞外マトリックスの修飾によりプラスミドDNAの分散を増強する。電気穿孔は、標的細胞によるDNA分子の細胞取り込みを増加させる。インビボ発現されたヒトsc-Fvの機能性を、RSV-融合タンパク質(RSV-F)抗原への結合およびインビトロの生RSV-Aウイルスの中和について、処理マウスの血清から確認した。血清レベルの発現に加えて、インビボ発現されたヒトsc-Fvも、自然RSV感染部位である肺において検出された。次に、投薬および送達方法を、RSV予防薬開発のための標準前臨床モデルであるコットンラットに適用した。
【0508】
このdMAbのインビボ送達により、マウスの血清における抗体の堅牢な全身レベルが得られた(図26および図29A)。一致したレベルの組換えパビリズマブにより、RSV感染後の下気道疾患からの保護がもたらされた。RSV感染後のヒト疾患のモデルとするための代表的基準であるコットンラットにおいて、dMAbの持続した血清発現が、送達後60日まで観察された(図30)。抗体は、肺洗浄試料中でも検出され、効果的な生体内分布が示された(図26Cおよび図29D)。さらに、RSV-F dMAbを保有する動物由来の血清は、抗原結合および生ウイルスの中和において機能的に活性であった(図27図29B図29C、および図31B)。コットンラットのインビボ生ウイルスチャレンジを実施するために、実験を設計する。コットンラットは、適合されていないヒトRSVに対する感受性が高く、かつヒトにおける感染の病理の多くの特徴を呈するので、RSVワクチンの前臨床開発のための最適なモデルであると考えられる。
【0509】
これらの結果により、抗RSVヒトsc-Fv dMAbが、RSVシーズン全体にわたるタンパク質-mAbの反復注射に対する効果的な代替となり得ることが示唆される。RSV-dMAbは、受動免疫と関連付けられるハードルのうちのいくつかを克服する可能性を有する。
【表8】
【表9】
【0510】
実施例9:ジカウイルス(ZIKV)およびデングウイルス(DENV)感染に対する多価scFv-Fc DNAコード化モノクローナル抗体(dMAb(商標))プラットフォームの評価
ジカ(ZIKV)およびデング(DENV)ウイルスは、深刻でない湿疹からさらに死に繋がり得る重篤な臓器不全まで様々な軽度から重度の病態を引き起こす蚊媒介性フラビウイルスであり、特に妊娠中のZIKVによる感染は、自然流産、または個人的にも社会的にも重圧となり得る小頭症および認識機能障害を含む新生児における重篤な発育不全と関連付けられる。これまでに公開されている前臨床モデルは、ZIKVおよびDENV感染に対する治療的介入のための基礎として中和モノクローナル抗体(mAbs)を使用することについて論拠を立てた。mAb投与は感染疾患のための予防的および治療的両方のアプローチとして極めて有望であるものの、ZIKVまたは/およびDENV感染に罹患する危険にさられている可能性がある数百万の人を特別に対象としたタンパク質mAbの大規模な投与と関連付けられる概念および方法論的障害が存在する。これらの疾患の治療のための代替的アプローチは、血清中のmAbのインビボ産生および分泌をもたらす、骨格筋におけるプラスミドをコードする抗体(dMAb)の発現に基づく。病原の対象範囲が拡大したより多用途のdMAbプラットフォームを設計するために、それぞれZIKVおよびDENVを標的とするZ-dMAb1-scおよびD-dMAb1-scという2つの一本鎖断片可変Fc(scFv-Fcs)dMAbを作製した(図32)。Z-dMAb1-scとD-dMAb1-scとの両方を多価双方向性プロモーター形式(Z/D-dMAb1-sc)でコードする追加のdMAbも作製した(図32および表10)。CELLECTRA(登録商標)-EP技術を使用して、プラスミドDNAをコードするZ-dMAb1-scおよびD-dMAb1-scの様々なカクテルとしての組み合わせ、ならびに個々に製剤化した多価プラスミドDNAをコードするZ/D-dMAb1-scをマウスモデルにおいて筋肉内送達した。これらのscFv-Fc dMAbの各々のEP媒介性遺伝子導入により、ELISAおよびウイルス抗原結合アッセイによって評定して、機能的scFv-Fcがマウス血清中で分泌された(図33)。この観察から、単一の多価双方向性プロモーター構築物(Z/D-dMAb1-sc)中で発現させた場合、2つのDNAプラスミド構築物を単一の調製物中で同時製剤化するか、または2つの個別の筋肉部位で別々に送達した場合と比較して、Z-dMAb1-scおよびD-dMAb1について異質のscFv-Fc発現が認められた(図34)。さらに、これらの様々な同時製剤化および多価組み合わせがどのように中和表現型に影響するのかを分析した(図35)。多価scFv-Fcプラットフォームにより、2つの機能的scFv-Fc dMAb(Z-dMAb1-scおよびD-dMAb1-sc)の産生が可能となる。scFv-Fcジカ/デングdMAbのカクテル化/混合は、デングdMAb1-sc発現に有益であるように見受けられる。さらに、双方向性プロモータープラットフォームにおけるジカ/デングdMAbの分子操作は、デングdMAbの発現に極めて有益であり、ジカ発現においても顕著な差異はないように見受けられる。
【0511】
全てをまとめると、これらのデータにより、重複する風土地で流行しているZIKVおよびDENV等の多数の病原体による感染に対抗するために、より適合性であり得ることが分かっている多価scFv-Fc dMAbプラットフォームが支持される。
【表10】
【0512】
上記の詳細な説明および付随する実施例は、単に例示であり、添付の特許請求の範囲およびそれらの均等物によってのみ定義される本発明の範囲に対する制限であると解釈されるべきではないことを理解されたい。
【0513】
開示される実施形態に対する様々な変更および修正は、当業者には明白であろう。限定されないが、本発明の化学構造、置換基、誘導体、中間体、合成、組成物、製剤、または使用方法に関連するものを含むかかる変更および修正は、その主旨および範囲から逸脱することなく行うことができる。
図1A-1C】
図1D
図2A-2B】
図3A-3B】
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図8C
図8D
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図9F
図10A
図10B
図10C
図10D
図10E
図11
図12
図13
図14
図15A
図15B
図16
図17A
図17B
図17C
図17D
図17E
図17F
図18A
図18B
図19A
図19B
図20A
図20B
図21A
図21B
図22A
図22B
図23
図24
図25A
図25B
図26A
図26B
図26C
図26D
図27
図28
図29A
図29B
図29C
図29D
図30
図31A
図31B
図32A
図32B
図32C
図33
図34A
図34B
図34C
図35A
図35B
図35C
【配列表】
2023121765000001.app
【手続補正書】
【提出日】2023-07-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造修飾されたDNAコード化抗体(DMAb)をコードする核酸配列を生成する方法であって、
a)第1のDMAbの1つ以上のCDR領域を同定するステップと、
b)第2のDMAbの1つ以上のCDR領域を同定するステップと、
c)前記第2のDMAbの1つ以上のCDR領域のアミノ酸配列を前記第1のDMAbの1つ以上のCDR領域のアミノ酸配列で置換して、構造修飾されたDMAbのアミノ酸配列を生成するステップと、
d)構造修飾されたDMAbをコードする核酸配列を生成するステップと、を含む、方法。
【外国語明細書】