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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023121769
(43)【公開日】2023-08-31
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/146 20060101AFI20230824BHJP
   H01L 21/8234 20060101ALI20230824BHJP
   H04N 25/70 20230101ALI20230824BHJP
   H04N 25/76 20230101ALI20230824BHJP
   H04N 25/63 20230101ALI20230824BHJP
【FI】
H01L27/146 A
H01L27/146 E
H01L27/088 C
H01L27/088 B
H04N25/70
H04N25/76
H04N25/63
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023098062
(22)【出願日】2023-06-14
(62)【分割の表示】P 2018036110の分割
【原出願日】2018-03-01
(31)【優先権主張番号】P 2017147976
(32)【優先日】2017-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】平瀬 順司
(72)【発明者】
【氏名】高見 義則
(72)【発明者】
【氏名】山田 翔太
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 好弘
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 嘉晃
(57)【要約】
【課題】暗電流および暗電流のばらつきを低減することができる撮像装置を提供する。
【解決手段】撮像装置100は、半導体基板60と、複数の画素10とを備え、複数の画素10のそれぞれは、光電変換部12と、第1導電型の不純物を含むソースおよびドレインを備える複数のトランジスタとを備え、半導体基板60は、光が入射する第1面60aと第1面60aに対向する第2面60bとを有し、第1導電型の不純物を含む第1領域61と、第2導電型の不純物を含み、第1領域61よりも第1面60a側に位置する第2領域62とを備え、複数のトランジスタのソースおよびドレインは、第2領域62中に位置し、複数のトランジスタのソースおよびドレインのう、電荷を蓄積する第1拡散領域67nに最も近いソースまたはドレインである第2拡散領域68anと第1領域61との距離は、第2拡散領域68anと第1拡散領域67nとの距離の1.5倍以下である。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面を有する半導体基板と、
画素と、
を備え、
前記画素は、
光を電荷に変換する光電変換部と、
第1導電型の不純物を含むソースおよびドレインを備える複数のトランジスタと、
を備え、
前記半導体基板は、
前記第1導電型の不純物を含む第1領域と、
前記第1導電型とは異なる第2導電型の不純物を含み、前記第1領域よりも前記第1面側に位置する第2領域と、
を備え、
前記複数のトランジスタのソースおよびドレインは、前記半導体基板中の前記第2領域中に位置し、
前記複数のトランジスタのソースおよびドレインのうちの一つは、前記電荷を蓄積する第1拡散領域であり、
前記複数のトランジスタのうちの前記第1拡散領域を含む第1トランジスタのソースまたはドレインである第3拡散領域と前記第1領域との距離は、前記第3拡散領域と前記第1拡散領域との距離の1.5倍以下であり、
前記複数のトランジスタのうちの前記第1トランジスタ以外のトランジスタのソースまたはドレインのうち、前記第1拡散領域に最も近いソースまたはドレインである第2拡散領域と前記第1領域との距離は、前記第2拡散領域と前記第1拡散領域との距離の1.5倍以下である、
撮像装置。
【請求項2】
第1面を有する半導体基板と、
画素と、
を備え、
前記画素は、
光を電荷に変換する光電変換部と、
第1導電型の不純物を含むソースおよびドレインを備える複数のトランジスタと、
を備え、
前記半導体基板は、
前記第1導電型の不純物を含む第1領域と、
前記第1導電型とは異なる第2導電型の不純物を含み、前記第1領域よりも前記第1面側に位置する第2領域と、
を備え、
前記複数のトランジスタのソースおよびドレインは、前記半導体基板中の前記第2領域中に位置し、
前記複数のトランジスタのソースおよびドレインのうちの一つは、前記電荷を蓄積する第1拡散領域であり、
前記複数のトランジスタのソースおよびドレインのうち、前記第1拡散領域に最も近いソースまたはドレインである第2拡散領域と前記第1領域との距離は、前記第2拡散領域と前記第1拡散領域との距離の1.5倍以下である、
撮像装置。
【請求項3】
前記第2拡散領域は、平面視において、前記第1領域と重なる、
請求項1または請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記第2拡散領域と前記第1領域との距離は、前記第2拡散領域と前記第1拡散領域との距離の1.0倍以下である、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記第1領域は、
前記第1拡散領域と対向する第1部分と、前記第1拡散領域とは対向しない第2部分と、
を有し、
前記第1部分の前記第1面側の表面と前記第1面との距離は、前記第2部分の前記第1面側の表面と前記第1面との距離よりも小さい、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記半導体基板は、前記第1面に対向する第2面をさらに有し、
前記半導体基板の、前記第1拡散領域の中心を通る線分における、前記第1面から前記第2面への方向に対するポテンシャルカーブは、
単調減少する第1範囲と、
単調増加する第2範囲と、
前記第1範囲と前記第2範囲との間に位置し、前記第1範囲および前記第2範囲よりも傾きの絶対値が小さい第3範囲と、
を有し、
前記第3範囲の幅は、前記第1範囲の幅と前記第2範囲の幅との和よりも小さい、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記光電変換部は、前記半導体基板の前記第1面よりも光入射側に位置する、
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラなどにCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサおよびCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサが広く用いられている。よく知られているように、これらのイメージセンサは、半導体基板に形成されたフォトダイオードを有する。
【0003】
他方、光電変換層を有する光電変換部を半導体基板の上方に配置した構造が提案されている(例えば特許文献1、2)。このような構造を有する撮像装置は、積層型の撮像装置と呼ばれることがある。積層型の撮像装置では、光電変換によって発生した電荷が、電荷蓄積領域(「FD:フローティングディフュージョン」と呼ばれる。)に蓄積される。電荷蓄積領域に蓄積された電荷量に応じた信号が、半導体基板に形成された読み出し回路を介して読み出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2014/002330号
【特許文献2】国際公開第2012/147302号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
積層型の撮像装置では、電荷蓄積領域からの、または、電荷蓄積領域へのリーク電流(以下、「暗電流」と呼ぶことがある。)により、得られる画像に劣化が生じることがある。このようなリーク電流を低減できると有益である。
【0006】
そこで、本開示は、暗電流および暗電流のばらつきを低減することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る撮像装置は、第1面を有する半導体基板と、画素と、を備え、前記画素は、光を電荷に変換する光電変換部と、第1導電型の不純物を含むソースおよびドレインを備える複数のトランジスタと、を備え、前記半導体基板は、前記第1導電型の不純物を含む第1領域と、前記第1導電型とは異なる第2導電型の不純物を含み、前記第1領域よりも前記第1面側に位置する第2領域と、を備え、前記複数のトランジスタのソースおよびドレインは、前記半導体基板中の前記第2領域中に位置し、前記複数のトランジスタのソースおよびドレインのうちの一つは、前記電荷を蓄積する第1拡散領域であり、前記複数のトランジスタのうちの前記第1拡散領域を含む第1トランジスタのソースまたはドレインである第3拡散領域と前記第1領域との距離は、前記第3拡散領域と前記第1拡散領域との距離の1.5倍以下であり、前記複数のトランジスタのうちの前記第1トランジスタ以外のトランジスタのソースまたはドレインのうち、前記第1拡散領域に最も近いソースまたはドレインである第2拡散領域と前記第1領域との距離は、前記第2拡散領域と前記第1拡散領域との距離の1.5倍以下である。
【0008】
本開示の一態様に係る撮像装置は、第1面を有する半導体基板と、画素と、を備え、前記画素は、光を電荷に変換する光電変換部と、第1導電型の不純物を含むソースおよびドレインを備える複数のトランジスタと、を備え、前記半導体基板は、前記第1導電型の不純物を含む第1領域と、前記第1導電型とは異なる第2導電型の不純物を含み、前記第1領域よりも前記第1面側に位置する第2領域と、を備え、前記複数のトランジスタのソースおよびドレインは、前記半導体基板中の前記第2領域中に位置し、前記複数のトランジスタのソースおよびドレインのうちの一つは、前記電荷を蓄積する第1拡散領域であり、前記複数のトランジスタのソースおよびドレインのうち、前記第1拡散領域に最も近いソースまたはドレインである第2拡散領域と前記第1領域との距離は、前記第2拡散領域と前記第1拡散領域との距離の1.5倍以下である。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、暗電流および暗電流のばらつきを低減することができる撮像装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施の形態に係る撮像装置の回路構成を示す図である。
図2図2は、実施の形態における画素内のレイアウトを示す平面図である。
図3図3は、図2のA-A線における概略断面図である。
図4図4は、参考例における半導体基板および実施の形態における半導体基板の第1拡散領域周辺の概略断面図ある。
図5図5は、図4の(a)および(b)に示す第1拡散領域の中心を通る線分における、半導体基板の深さ方向に対するポテンシャル分布を示すグラフである。
図6図6は、リーク電流を計測するシミュレーションに用いた半導体基板の条件を示す図である。
図7図7は、図6に示す第2拡散領域と半導体基板との間に所定の電圧を印加した場合、各端子に流れる電流を示すグラフである。
図8図8は、図7の第1拡散領域に流れる電流のグラフを拡大したものである。
図9図9は、実施の形態における半導体基板の製造方法を説明する図である。
図10図10は、フォトダイオード(PD)型の撮像装置における画素の構成を説明する図である。
図11図11は、PD型の撮像装置における画素を図10と異なる断面で切断した場合の概略断面図である。
図12図12は、PD型の撮像装置における画素を図10および図11と異なる断面で切断した場合の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(本開示に至った知見)
従来より、積層型の撮像装置では、電荷蓄積領域の近傍、または電荷蓄積領域と半導体基板との接合部からのリーク電流を防ぐことに着目され、種々の検討がなされている。つまり、接合部における電界強度を低減する検討がなされている。
【0012】
また、画素の周辺回路において発生する少数キャリアが画素内に流入することを防ぐ検討もなされている。例えば、p型半導体基板の下方をn型半導体層で覆い、p型半導体基板中の少数キャリアをn型半導体層に取り込み、外部に排出する。
【0013】
しかしながら、これまで、画素内の少数キャリアが電荷蓄積領域に流入することを防ぐ検討は殆どなされていない。そのため、本開示では、半導体基板中、特に、単位画素内において発生した少数キャリアが電荷蓄積領域に流入することを防ぐことに着目している。具体的には、単位画素内に配置された複数のトランジスタのソースまたはドレインで発生した少数キャリアが電荷蓄積領域に流入することを低減することを目的とする。これにより、電荷蓄積領域におけるリーク電流およびリーク電流のばらつきを低減する。
【0014】
本開示の一態様の概要は以下の項目に記載のとおりである。
【0015】
本開示の一態様に係る撮像装置は、半導体基板と、複数の画素とを備える撮像装置であって、前記複数の画素のそれぞれは、光を電荷に変換する光電変換部と、前記半導体基板中に位置し、第1導電型の不純物を含むソースおよびドレインを備える複数のトランジスタと、を備え、前記半導体基板は、光が入射する第1面と、前記第1面に対向する第2面と、を有し、前記第1導電型の不純物を含む第1領域と、前記第1導電型とは異なる第2導電型の不純物を含み、前記第1領域よりも前記第1面側に位置する第2領域と、を備え、前記複数のトランジスタのソースおよびドレインは、前記半導体基板中の前記第2領域中に位置し、前記複数のトランジスタのソースおよびドレインのうちの一つには、前記電荷を蓄積する第1拡散領域が形成され、前記複数のトランジスタのソースおよびドレインのうち前記第1拡散領域に最も近いソースまたはドレインである第2拡散領域と、前記第1領域との距離は、前記第2拡散領域と前記第1拡散領域との距離の1.5倍以下である。例えば、本開示の一態様に係る撮像装置では、前記第2拡散領域と前記第1領域との距離は、前記第2拡散領域と前記第1拡散領域との距離の1.0倍以下であるとよい。
【0016】
これにより、第1導電型の不純物を含む第2拡散領域と、第2導電型の不純物を含む第2領域との接合部などで発生した少数キャリアが第1領域に吸収されやすくなる。そのため、電荷蓄積領域である第1拡散領域への少数キャリアの流入を低減することができる。つまり、第1拡散領域へのリーク電流を低減することができる。したがって、第1拡散領域における暗電流および暗電流のばらつきを低減することができる。
【0017】
例えば、本開示の一態様に係る撮像装置では、前記第2拡散領域は、前記複数のトランジスタのうち、前記第1拡散領域を含むトランジスタ以外のトランジスタのソースまたはドレインであってもよい。
【0018】
これにより、第1拡散領域を含まない他のトランジスタのソースまたはドレインのうち第1拡散領域に最も近いソースまたはドレインで発生した少数キャリアについても、第1領域に吸収され、電荷蓄積領域である第1拡散領域に少数キャリアが流入することを低減することができる。つまり、電荷蓄積領域である第1拡散領域67nへのリーク電流を低減することができる。したがって、第1拡散領域における暗電流および暗電流のばらつきを低減することができる。
【0019】
例えば、本開示の一態様に係る撮像装置では、前記第1領域は、前記第1拡散領域と対向する第1部分と、前記第1拡散領域とは対向しない第2部分と、を有し、前記第1部分と前記第1面との距離は、前記第2部分と前記第1面との距離よりも小さくてもよい。
【0020】
このように、第1拡散領域と対向する第1部分と、半導体基板の第1面との距離が、第1拡散領域と対向しない第2部分と、半導体基板の第1面との距離よりも小さいため、半導体基板中の少数キャリアが第1部分に吸収されやすくなる。そのため、第1拡散領域への少数キャリアの流入を低減することができる。
【0021】
例えば、本開示の一態様に係る撮像装置は、前記半導体基板の、前記第1拡散領域の中心を通る線分における、前記第1面から前記第2面への方向に対するポテンシャルカーブは、単調減少する第1範囲と、単調増加する第2範囲と、前記第1範囲と前記第2範囲との間に位置し、前記第1範囲および前記第2範囲よりも傾きの絶対値が小さい第3範囲と、を備え、前記第3範囲の幅は、前記第1範囲の幅と前記第2範囲の幅との和よりも小さくてもよい。
【0022】
第3範囲の幅が第1範囲の幅と第2範囲の幅との和よりも小さいことは、第1拡散領域と第1領域との距離が小さくなることを意味する。よって、半導体基板中の少数キャリアが第1領域に吸収されやすくなる。そのため、第1拡散領域への少数キャリアの流入を低減することができる。
【0023】
また、本開示の一態様に係る撮像装置は、半導体基板と、複数の画素とを備える撮像装置であって、前記複数の画素のそれぞれは、光を電荷に変換する光電変換部と、前記半導体基板中に位置し、第1導電型の不純物を含み、前記電荷を蓄積する第1拡散領域と、を備え、前記半導体基板は、光が入射する第1面と、前記第1面に対向する第2面と、を有し、前記第1導電型の不純物を含む第1領域と、前記第1導電型とは異なる第2導電型の不純物を含み、前記第1領域よりも前記第1面側に位置する第2領域と、を備え、前記第1拡散領域は、前記第2領域中に位置し、前記半導体基板の、前記第1拡散領域の中心を通る線分における、前記第1面から前記第2面への方向に対するポテンシャルカーブは、単調減少する第1範囲と、単調増加する第2範囲と、前記第1範囲と前記第2範囲との間に位置し、前記第1範囲および前記第2範囲よりも傾きの絶対値が小さい第3範囲と、を備え、前記第3範囲の幅は、前記第1範囲の幅と前記第2範囲の幅との和よりも小さくてもよい。
【0024】
第3範囲の幅が第1範囲の幅と第2範囲の幅との和よりも小さいことは、第1拡散領域と第1領域との距離が小さくなることを意味する。よって、半導体基板中の少数キャリアが第1領域に吸収されやすくなる。そのため、第1拡散領域への少数キャリアの流入を低減することができる。
【0025】
例えば、本開示の一態様に係る撮像装置では、前記光電変換部は、前記半導体基板の前記第1面よりも光が入射する側に配置されてもよい。
【0026】
これにより、光電変換部を半導体基板中に設ける必要がなくなり、平面視において光電変換部と重なるように複数のトランジスタを半導体基板中に設けることができる。そのため、平面視における画素の面積を小さくすることができる。
【0027】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0028】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、各図は、必ずしも厳密に図示したものではない。各図において、実質的に同一の構成については、同一の符号を付し、重複する説明は省略または簡略化することがある。
【0029】
また、包括的または具体的な態様は、素子、デバイス、モジュール、システムまたは方法で実現されてもよい。また、包括的または具体的な態様は、素子、デバイス、モジュール、システムおよび方法の任意の組み合わせによって実現されてもよい。
【0030】
開示された実施形態の追加的な効果および利点は、明細書および図面から明らかになる。効果および/または利点は、明細書および図面に開示の様々な実施形態または特徴によって個々に提供され、これらの1つ以上を得るために全てを必要とはしない。
【0031】
(実施の形態)
図1は、実施の形態に係る撮像装置100の回路構成を示す図である。図1では、図面が複雑になることを避けるため、複数の画素10のうち、2行2列に配列された4つの画素10を示している。
【0032】
本実施の形態に係る撮像装置100は、複数の画素10および周辺回路40を備える。周辺回路40は、垂直走査回路46(「行走査回路」とも呼ばれる。)および水平信号読み出し回路48(「列走査回路」とも呼ばれる。)を含んでいる。垂直走査回路46は、複数の画素10の各行に対応して設けられたアドレス信号線34との接続を有する。水平信号読み出し回路は、複数の画素10の各列に対応して設けられた垂直信号線35との接続を有する。また、周辺回路40は、信号処理回路、出力回路、制御回路、および各画素10に所定の電圧を供給する電源などをさらに含んでもよい。
【0033】
また、各画素10は、光電変換部12および光電変換部12に電気的に接続された信号検出回路14を含む。各画素10の光電変換部12は、光の入射を受けて正および負の電荷(典型的には正孔-電子対)を発生させる。各画素10の光電変換部12は、蓄積制御線39との接続を有しており、撮像装置100の動作時、蓄積制御線39には所定の電圧が印加される。所定の電圧を蓄積制御線39に印加することにより、光電変換によって生成された正および負の電荷のうち、一方の電荷を選択的に電荷蓄積領域に蓄積することができる。以下では、光電変換によって生成された正および負の電荷のうち、正の電荷を信号電荷として利用する場合を例示する。
【0034】
図1に例示する構成において、信号検出回路14は、増幅トランジスタ22(「読み出しトランジスタ」とも呼ばれる。)およびリセットトランジスタ26を含む。この例では、信号検出回路14は、さらに、アドレストランジスタ24(「行選択トランジスタ」とも呼ばれる。)を含んでいる。後に図面を参照して詳しく説明するように、信号検出回路14の増幅トランジスタ22、リセットトランジスタ26およびアドレストランジスタ24は、典型的には、光電変換部12を支持する半導体基板60に形成された電界効果トランジスタ(FET:Field Effect Transistor)である。以下では、特に断りの無い限り、トランジスタとしてNチャネルMOS(Metal Oxide Semiconductor)を用いる例を説明する。なお、FETの2つの拡散層のうちどちらがソースおよびドレインに該当するかは、FETの極性およびその時点での電位の高低によって決定される。そのため、どちらがソースおよびドレインであるかはFETの作動状態によって変動しうる。
【0035】
図1において模式的に示すように、増幅トランジスタ22のゲートは、光電変換部12に電気的に接続されている。光電変換部12によって生成された電荷は、光電変換部12と増幅トランジスタ22との間の電荷蓄積ノード(「フローティングディフュージョンノード」とも呼ばれる。)NDに蓄積される。なお、電荷蓄積ノードNDとは、電荷蓄積領域と増幅トランジスタ22のゲートと光電変換部12の下部電極を電気的に接続している配線、および電荷蓄積領域をいう。
【0036】
増幅トランジスタ22のドレインは、撮像装置100の動作時に各画素10に例えば3.3V程度の所定の電源電圧VDDを供給する電源配線32(「ソースフォロア電源」とも呼ばれる。)に接続される。増幅トランジスタ22は、光電変換部12によって生成された信号電荷の量に応じた信号電圧を出力する。増幅トランジスタ22のソースは、アドレストランジスタ24のドレインに接続される。
【0037】
アドレストランジスタ24のソースには、垂直信号線35が接続される。図示するように、垂直信号線35は、複数の画素10の列ごとに設けられており、垂直信号線35の各々には、負荷回路42およびカラム信号処理回路44(「行信号蓄積回路」とも呼ばれる。)が接続されている。負荷回路42は、増幅トランジスタ22とともにソースフォロア回路を形成する。
【0038】
アドレストランジスタ24のゲートには、アドレス信号線34が接続されている。アドレス信号線34は、複数の画素10の行ごとに設けられる。アドレス信号線34は、垂直走査回路46に接続されており、垂直走査回路46は、アドレストランジスタ24のオンおよびオフを制御する行選択信号をアドレス信号線34に印加する。これにより、読み出し対象の行が垂直方向(列方向)に走査され、読み出し対象の行が選択される。垂直走査回路46は、アドレス信号線34を介してアドレストランジスタ24のオンおよびオフを制御することにより、選択した画素10の増幅トランジスタ22の出力を、対応する垂直信号線35に読み出すことができる。アドレストランジスタ24の配置は、図1に示す例に限定されず、増幅トランジスタ22のドレインと電源配線32との間であってもよい。
【0039】
アドレストランジスタ24を介して垂直信号線35に出力された、画素10からの信号電圧は、垂直信号線35に対応して複数の画素10の列ごとに設けられた複数のカラム信号処理回路44のうち、対応するカラム信号処理回路44に入力される。カラム信号処理回路44および負荷回路42は、上述の周辺回路40の一部であってもよい。
【0040】
カラム信号処理回路44は、相関2重サンプリングに代表される雑音抑圧信号処理およびアナログ-デジタル変換(AD変換)などを行う。カラム信号処理回路44は、水平信号読み出し回路48に接続されている。水平信号読み出し回路48は、複数のカラム信号処理回路44から水平共通信号線49に信号を順次読み出す。
【0041】
図1に例示する構成において、信号検出回路14は、ドレインが電荷蓄積ノードNDに接続されたリセットトランジスタ26を含む。リセットトランジスタ26のゲートには、垂直走査回路46との接続を有するリセット信号線36が接続される。リセット信号線36は、アドレス信号線34と同様に複数の画素10の行ごとに設けられる。垂直走査回路46は、アドレス信号線34に行選択信号を印加することにより、リセットの対象となる画素10を行単位で選択することができる。また、垂直走査回路46は、リセットトランジスタ26のオンおよびオフを制御するリセット信号をリセット信号線36を介してリセットトランジスタ26のゲートに印加することにより、選択された行のリセットトランジスタ26をオンとすることができる。リセットトランジスタ26がオンとされることにより、電荷蓄積ノードNDの電位がリセットされる。
【0042】
この例では、リセットトランジスタ26のソースが、複数の画素10の列ごとに設けられたフィードバック線53のうちの1つに接続されている。すなわち、この例では、光電変換部12の電荷を初期化するリセット電圧として、フィードバック線53の電圧が電荷蓄積ノードNDに供給される。ここでは、上述のフィードバック線53は、複数の画素10の列ごとに設けられた反転増幅器50のうちの対応する1つにおける出力端子に接続されている。反転増幅器50は、上述の周辺回路40の一部であってもよい。
【0043】
複数の画素10の列のうちの1つに注目する。図示するように、反転増幅器50の反転入力端子は、その列の垂直信号線35に接続されている。また、反転増幅器50の出力端子と、その列に属する1以上の画素10とが、フィードバック線53を介して接続されている。撮像装置100の動作時、反転増幅器50の非反転入力端子には、所定の電圧(例えば1Vまたは1V近傍の正電圧)Vrefが供給される。その列に属する1以上の画素10のうちの1つを選択し、アドレストランジスタ24およびリセットトランジスタ26をオンとすることにより、その画素10の出力を負帰還させる帰還経路を形成することができる。帰還経路の形成により、垂直信号線35の電圧が、反転増幅器50の非反転入力端子への入力電圧Vrefに収束する。換言すれば、帰還経路の形成により、電荷蓄積ノードNDの電圧が、垂直信号線35の電圧がVrefとなるような電圧にリセットされる。電圧Vrefとしては、電源電圧(例えば3.3V)および接地電圧(0V)の範囲内の任意の大きさの電圧を用いることができる。反転増幅器50をフィードバックアンプと呼んでもよい。このように、撮像装置100は、反転増幅器50を帰還経路の一部に含むフィードバック回路16を有する。
【0044】
よく知られているように、トランジスタのオンまたはオフに伴い、kTCノイズと呼ばれる熱ノイズが発生する。リセットトランジスタのオンまたはオフに伴って発生するノイズは、リセットノイズと呼ばれる。電荷蓄積領域の電位のリセット後、リセットトランジスタをオフとすることによって発生したリセットノイズは、信号電荷の蓄積前の電荷蓄積領域に残留してしまう。しかしながら、リセットトランジスタのオフに伴って発生するリセットノイズは、フィードバックを利用することによって低減することができる。フィードバックを利用したリセットノイズの抑制の詳細は、国際公開第2012/147302号において説明されている。参考のために、国際公開第2012/147302号の開示内容の全てを本明細書に援用する。
【0045】
図1に例示する構成では、帰還経路の形成により、熱ノイズの交流成分がリセットトランジスタ26のソースにフィードバックされる。図1に例示する構成では、リセットトランジスタ26のオフの直前まで帰還経路が形成されるので、リセットトランジスタ26のオフに伴って発生するリセットノイズを低減することができる。
【0046】
図2は、実施の形態における画素10内のレイアウトを示す平面図である。図3は、画素10のデバイス構造の概略断面図である。図2は、図3に示す画素10を、半導体基板60に垂直な方向から見たときの、半導体基板60に形成された各素子(増幅トランジスタ22、アドレストランジスタ24、およびリセットトランジスタ26など)の配置を模式的に示している。ここでは、増幅トランジスタ22およびアドレストランジスタ24は、紙面における上下方向に沿って直線状に配置されている。なお、図2では、配線はレイアウトではなく、接続関係を線で示している。
【0047】
図3は、実施の形態における画素10のデバイス構造の概略断面図である。図3は、図2中のA-A線に沿って画素10を切断し、矢印方向に展開した場合の断面図である。
【0048】
なお、図2および図3において、n型不純物領域である第1拡散領域67nは、リセットトランジスタ26のドレイン領域であり、電荷蓄積領域(FD)である。
【0049】
本実施の形態に係る撮像装置100は、半導体基板60と、複数の画素10とを備える。複数の画素10のそれぞれは、光を電荷に変換する光電変換部12と、半導体基板60中に位置し、第1導電型(以下、n型と称する。)の不純物を含むソースおよびドレインを備える複数のトランジスタ(ここでは、増幅トランジスタ22、アドレストランジスタ24、およびリセットトランジスタ26)と、を備える。
【0050】
図3に模式的に示すように、画素10は、概略的には、半導体基板60と、半導体基板60の上方に配置された光電変換部12と、配線構造80とを含む。配線構造80は、光電変換部12と半導体基板60との間に形成された層間絶縁層90内に配置され、半導体基板60に形成された増幅トランジスタ22と光電変換部12とを電気的に接続する構造を含む。ここでは、層間絶縁層90は、絶縁層90a、90b、90cおよび90d(以下、90a~90d)の4層の絶縁層を含む積層構造を有し、配線構造80は、配線層80a、80b、80cおよび80d(以下、80a~80d)の4層の配線層と、これらの配線層間に配置されたプラグpa1、pa2、pb、pcおよびpdを有する。また、配線層80aは、コンタクトプラグcp1、cp2、cp3、cp4、cp5、cp6およびcp7(以下、cp1~cp7)を含む。なお、言うまでもないが、層間絶縁層90中の絶縁層の数および配線構造80中の配線層の数は、この例に限定されず、任意に設定してもよい。
【0051】
光電変換部12は、層間絶縁層90上に配置される。光電変換部12は、層間絶縁層90上に形成された画素電極12a、画素電極12aに対向する透明電極12c、および、これらの電極間に配置された光電変換層12bを含む。光電変換部12の光電変換層12bは、有機材料またはアモルファスシリコンなどの無機材料から形成され、透明電極12cを介して入射した光を受けて、光電変換により正および負の電荷を生成する。光電変換層12bは、典型的には、複数の画素10にわたって形成される。また、光電変換層12bは、有機材料から構成される層と無機材料から構成される層とを含んでいてもよい。
【0052】
透明電極12cは、ITOなどの透明な導電性材料から形成され、光電変換層12bの受光面側に配置される。透明電極12cは、典型的には、光電変換層12bと同様に、複数の画素10にわたって形成される。図3において図示が省略されているが、透明電極12cは、上述の蓄積制御線39との接続を有する。撮像装置100の動作時、蓄積制御線39の電位を制御して透明電極12cの電位と画素電極12aの電位とを異ならせることにより、光電変換で生成された信号電荷を画素電極12aによって収集することができる。例えば、透明電極12cの電位が画素電極12aの電位よりも高くなるように、蓄積制御線39の電位を制御する。具体的には、例えば10V程度の正電圧を蓄積制御線39に印加する。このことにより、光電変換層12bで発生した正孔―電子対のうち、正孔を画素電極12aによって収集することができる。画素電極12aで収集された信号電荷は、配線構造80を介して第1拡散領域67nに蓄積される。
【0053】
画素電極12aは、アルミニウム、銅などの金属、金属窒化物、または、不純物がドープされることにより導電性が付与されたポリシリコンなどから形成される電極である。画素電極12aは、隣接する他の画素10の画素電極12aから空間的に分離されることにより、他の画素10の画素電極12aから電気的に分離されている。
【0054】
半導体基板60は、光が入射する第1面60aと、第1面60aに対向する第2面60bと、を有し、n型の不純物を含む第1領域61と、n型とは異なる第2導電型(以下、p型と称する。)の不純物を含み、第1領域61よりも第1面60a側に位置する第2領域62と、を備える。
【0055】
第2領域62中には、リセットトランジスタ26、増幅トランジスタ22、アドレストランジスタ24のソース領域およびドレイン領域であるn型不純物領域68an、68bn、68cnおよび68dn、ならびに、電荷を蓄積する第1拡散領域67nが形成されている。なお、本実施の形態において、第1拡散領域67n以外のn型不純物領域のうち第1拡散領域67nに最も近いn型不純物領域である第2拡散領域は、符号68anで示すn型不純物領域である。
【0056】
リセットトランジスタ26は、第1拡散領域67nおよび第2拡散領域68anと、半導体基板60上に形成されたゲート絶縁膜70と、ゲート絶縁膜70上のゲート電極26eとを含んでいる。第1拡散領域67nおよび第2拡散領域68anは、リセットトランジスタ26のドレイン領域およびソース領域としてそれぞれ機能する。第1拡散領域67nは、光電変換部12によって生成された信号電荷を一時的に蓄積する電荷蓄積領域として機能する。
【0057】
第2領域62は、第2領域62よりも不純物の濃度が低いp型不純物領域66pと、p型不純物領域66p中に形成された第1拡散領域67nと、第2拡散領域68an、およびn型不純物領域68bn~68dnと、素子分離領域69とを有する。
【0058】
増幅トランジスタ22は、n型不純物領域68bnおよび68cnと、ゲート絶縁膜70の一部と、ゲート絶縁膜70上のゲート電極22eとを含んでいる。n型不純物領域68bnおよび68cnは、増幅トランジスタ22のドレイン領域およびソース領域としてそれぞれ機能する。
【0059】
n型不純物領域68bnと、第1拡散領域67nの間には素子分離領域69が配置される。素子分離領域69は、例えばp型の不純物拡散領域である。素子分離領域69により、増幅トランジスタ22とリセットトランジスタ26とが電気的に分離される。
【0060】
素子分離領域69は、互いに隣接する画素10間にも配置されており、これらの間で、信号検出回路14同士を電気的に分離する。ここでは、素子分離領域69は、増幅トランジスタ22およびアドレストランジスタ24の組の周囲と、リセットトランジスタ26の周囲とに設けられる。
【0061】
ここで、第1拡散領域67nと素子分離領域69とは、第1拡散領域67nが第2領域62よりも不純物濃度が低いp型不純物領域66p中に形成されることにより、互いに接しないように配置される。例えば、素子分離領域69としてp型不純物層を用いた場合、第1拡散領域67nと素子分離領域69とが接していると、接合部におけるp型不純物濃度およびn型不純物濃度の双方が共に高くなる。そのため、第1拡散領域67nと素子分離領域69との接合部周辺に、この高い接合濃度に起因したリーク電流が発生しやすい。換言すれば、第1拡散領域67nと素子分離領域69とが互いに接しないように配置されることで、素子分離領域69に高濃度のp型不純物層を用いても、pn接合濃度の上昇を抑制し、リーク電流を抑制することができる。また、素子分離領域69としてSTI(Shallow Trench Isolation)を用いる方法があるが、この場合もSTI側壁部での結晶欠陥に起因したリーク電流を低減するために、第1拡散領域67nとSTIとが互いに接しないように配置されることが望ましい。
【0062】
アドレストランジスタ24は、n型不純物領域68cnおよび68dnと、ゲート絶縁膜70の一部と、ゲート絶縁膜70のゲート電極24eとを含んでいる。この例では、アドレストランジスタ24は、n型不純物領域68cnを増幅トランジスタ22と共有することにより、増幅トランジスタ22に電気的に接続されている。n型不純物領域68cnは、アドレストランジスタ24のドレイン領域として機能し、n型不純物領域68dnは、アドレストランジスタ24のソース領域として機能する。
【0063】
この例では、リセットトランジスタ26のゲート電極26e、増幅トランジスタ22のゲート電極22eおよびアドレストランジスタ24のゲート電極24eを覆うように絶縁層72が設けられている。絶縁層72は、例えば、シリコン酸化膜である。この例では、さらに、絶縁層72と、ゲート電極26e、ゲート電極22eおよびゲート電極24eとの間に絶縁層71が介在している。絶縁層71は、例えば、シリコン酸化膜である。絶縁層71は、複数の絶縁層を含む積層構造を有していてもよい。同様に、上述の絶縁層72も、複数の絶縁層を含む積層構造を有し得る。
【0064】
絶縁層72および絶縁層71の積層構造は、複数のコンタクトホールを有する。ここでは、絶縁層72および絶縁層71に、コンタクトホールh1~h7が設けられている。コンタクトホールh1~h4は、それぞれ、第1拡散領域67n、第2拡散領域68an、および他のn型不純物領域68bnおよび68dnに重なる位置に形成されている。コンタクトホールh1~h4の位置には、それぞれ、コンタクトプラグcp1~cp4が配置されている。コンタクトホールh5~h7は、それぞれ、ゲート電極26e、ゲート電極22eおよびゲート電極24eに重なる位置に形成されている。コンタクトホールh5~h7の位置には、それぞれ、コンタクトプラグcp5~cp7が配置されている。
【0065】
図3に例示する構成において、配線層80aは、コンタクトプラグcp1~cp7を有する層であり、典型的には、n型不純物がドープされたポリシリコン層である。配線層80aは、配線構造80に含まれる配線層のうち、半導体基板60の最も近くに配置されている。配線層80bならびにプラグpa1およびpa2は、絶縁層90a内に配置されている。プラグpa1は、コンタクトプラグcp1と配線層80bとを接続しており、プラグpa2は、コンタクトプラグcp6と配線層80bとを接続している。つまり、第1拡散領域67nと増幅トランジスタ22のゲート電極22eとは、コンタクトプラグcp1およびcp6、プラグpa1およびpa2、ならびに、配線層80bを介して互いに電気的に接続されている。
【0066】
配線層80bは、絶縁層90a内に配置されており、上述の垂直信号線35、アドレス信号線34、電源配線32、リセット信号線36およびフィードバック線53などをその一部に含み得る。垂直信号線35、アドレス信号線34、電源配線32、リセット信号線36およびフィードバック線53は、それぞれ、コンタクトプラグcp4、cp7、cp3、cp5およびcp2を介して、n型不純物領域68dn、ゲート電極24e、n型不純物領域68bn、ゲート電極26eおよび第2拡散領域68anに接続される。
【0067】
絶縁層90b内に配置されたプラグpbは、配線層80bと配線層80cとを接続している。同様に、絶縁層90c内に配置されたプラグpcは、配線層80cと配線層80dとを接続している。絶縁層90d内に配置されたプラグpdは、配線層80dと光電変換部12の画素電極12aとを接続している。配線層80b~80d、および、プラグpa1、pa2、pb~pdは、典型的には、銅またはタングステンなどの金属、金属窒化物、または金属酸化物などの金属化合物などから形成される。
【0068】
プラグpa1、pa2、pb~pd、配線層80b~80d、コンタクトプラグcp1、cp6は、光電変換部12と半導体基板60に形成された信号検出回路14とを電気的に接続する。プラグpa1、pa2、pb~pd、配線層80b~80d、コンタクトプラグcp1、cp6、光電変換部12の画素電極12a、増幅トランジスタ22のゲート電極22e、および、第1拡散領域67nは、光電変換部12によって生成された信号電荷(ここでは正孔)を蓄積する電荷蓄積領域として機能する。
【0069】
ここで、半導体基板60に形成されたn型不純物領域に着目する。半導体基板60に形成されたn型不純物領域のうち、第1拡散領域67nは、第2領域62内に形成されたpウェルとしてのp型不純物領域66p内に配置される。第1拡散領域67nは、半導体基板60の表面の近傍に形成されており、その少なくとも一部は、半導体基板60の表面に位置している。p型不純物領域66pおよび第1拡散領域67nの間のpn接合によって形成される接合容量は、信号電荷の少なくとも一部を蓄積する容量として機能し、電荷蓄積領域の一部を構成する。
【0070】
本実施の形態に係る撮像装置100では、第2拡散領域68anと第1領域61との距離は、第2拡散領域68anと第1拡散領域67nとの距離の1.5倍以下であり、1.0倍以下であるとよい。ここで、距離とは、2つの領域の最も近接した部分の距離をいう。
【0071】
これにより、n型の不純物を含む第2拡散領域68anと、p型の不純物を含む半導体基板60の第2領域62との接合部で発生した少数キャリアがn型の不純物を含む第1領域61に吸収されやすくなる。ここで、少数キャリアとは、基板の電気伝導に主に寄与するキャリアの反対側のキャリアを指す。例えば、P型基板における少数キャリアは電子である。そのため、電荷蓄積領域である第1拡散領域67nへの少数キャリアの流入を低減することができる。つまり、電荷蓄積領域である第1拡散領域67nへのリーク電流を低減することができる。したがって、第1拡散領域67nにおける暗電流のおよび暗電流のばらつきを低減することができる。
【0072】
なお、本実施の形態では、第2拡散領域68anが第1拡散領域67nをドレイン領域として含むリセットトランジスタ26のソース領域である例を示したが、第2拡散領域は第1拡散領域67nを含むリセットトランジスタ26以外の他のトランジスタ(ここでは、増幅トランジスタ22またはアドレストランジスタ24)のソース領域またはドレイン領域のうち、第1拡散領域67nに最も近いソース領域またはドレイン領域であってもよい。
【0073】
これにより、第1拡散領域67nを含まない他のトランジスタのソース領域またはドレイン領域のうち、第1拡散領域67nに最も近いソース領域またはドレイン近傍領域で発生した少数キャリアについても、半導体基板60の第1領域61に吸収させることができる。このことにより、電荷蓄積領域である第1拡散領域67nに少数キャリアが流入することを低減することができる。つまり、電荷蓄積領域である第1拡散領域67nへのリーク電流を低減することができる。したがって、第1拡散領域67nにおける暗電流のおよび暗電流のばらつきを低減することができる。
【0074】
また、半導体基板60の第1領域61は、第1拡散領域67nと対向する第1部分と、第1拡散領域67nとは対向しない第2部分と、を有し、第1部分と第1面60aとの距離は、第2部分と第1面60aとの距離よりも小さい。すなわち、本実施の形態では、第1領域61は、第1拡散領域67nと対向する第1部分が第1拡散領域67nに対して凸形状を有している。
【0075】
そのため、半導体基板60中(ここでは、第2領域62中)の少数キャリアは、電荷蓄積領域である第1拡散領域67nに到達する前に、第1領域61の第1部分に吸収される。そのため、電荷蓄積領域である第1拡散領域67nへの少数キャリアの流入を低減することができる。したがって、第1拡散領域67nにおける暗電流および暗電流のばらつきを低減することができる。
【0076】
なお、第1領域61の第1部分が凸形状を有する理由については、製造方法の項にて説明するため、ここでの説明を省略する。
【0077】
図4および図5を用いて、第1拡散領域の周辺における参考例の半導体基板と実施の形態の半導体基板とのポテンシャル分布の違いについて説明する。図4は、参考例における導体基板および実施の形態における半導体基板の第1拡散領域周辺の概略断面図である。図4の(a)は、参考例における半導体基板におけるポテンシャル分布を示し、図4の(b)は、実施の形態における半導体基板のポテンシャル分布を示している。なお、図4の(a)および(b)に示す断面図では、第2領域62は濃度が一様なp型半導体層である。
【0078】
図4の(a)に示すように、参考例における半導体基板では、n型半導体層である第1領域と第1拡散領域との距離は、本実施の形態における半導体基板60の第1拡散領域67nと第1領域61との距離よりも大きい。そのため、参考例における半導体基板では、第1拡散領域から半導体基板の深さ方向に向かうポテンシャル分布において、p型不純物の一様なポテンシャルが続く部分が生じる。一方、図4の(b)に示すように、本実施の形態における半導体基板では、第1拡散領域67nと第1領域61の第1部分との距離が小さいため、第1拡散領域67nから半導体基板60の深さ方向に向かうポテンシャル分布において、p型不純物の一様なポテンシャルが続く部分が殆ど見られない。
【0079】
図5は、図4の(a)および(b)に示す第1拡散領域の中心を通る線分における、半導体基板の深さ方向に対するポテンシャル分布を示すグラフ(以下、ポテンシャルカーブと称する。)である。
【0080】
図5に示すポテンシャルカーブは、単調減少する第1の範囲と、単調増加する第2の範囲と、第1の範囲と第2の範囲との間の第3の範囲とを有する。本実施の形態に係る撮像装置100では、半導体基板60の、第1拡散領域67nの中心を通る線分における、第1面60aから第2面60bへの方向、すなわち、半導体基板60の深さ方向に対するポテンシャルカーブは、単調減少する第1範囲と、単調増加する第2範囲と、第1範囲と第2範囲W2との間に位置し、第1範囲および第2範囲よりも傾きの絶対値が小さい第3範囲と、を備え、第3範囲の幅W3は、第1範囲の幅W1と第2範囲の幅W2との和よりも小さくてもよい。
【0081】
これにより、第3範囲の幅W3が第1範囲の幅W1と第2範囲の幅W2との和よりも小さいほど第1拡散領域67nと第1領域61との距離が小さくなるため、半導体基板60中の少数キャリアが第1領域61に吸収されやすくなる。そのため、第1拡散領域67nへの少数キャリアの流入を低減することができる。
【0082】
ここで、図5を参照して、従来の半導体基板と本実施の形態における半導体基板とのポテンシャル分布を対比する。従来の半導体基板では、n型不純物を含む、第1領域と第1拡散領域との距離が大きいため、従来の半導体基板のポテンシャルカーブでは、第2領域に含まれるp型不純物自身のポテンシャルを示す第3の範囲の幅W3aが大きい。また、従来の半導体基板では、ポテンシャルカーブの第3範囲の幅W3aは、第1範囲の幅W1aよりも大きく、第2範囲の幅W2aよりも大きい。
【0083】
一方、本実施の形態における半導体基板では、図4の(b)で説明したように、n型不純物を含む、第1領域61と第1拡散領域67nとの距離が小さいため、本実施の形態における半導体基板60のポテンシャルカーブでは、従来の半導体基板に比べ、第2領域62に含まれるp型不純物自身のポテンシャルを示す第3の範囲の幅W3bが小さい。さらに、本実施の形態では、ポテンシャルカーブの第3範囲の幅W3bは、第1範囲の幅W1bおよび第2範囲の幅W2bの和よりも小さい。具体的には、図5に示すように、本実施の形態における第1拡散領域67nの中心を通る線分における、半導体基板60の深さ方向に対するポテンシャル分布は、ポテンシャルカーブがV字を描いている。すなわち、ポテンシャルカーブがV字を描くほど第1拡散領域67nと第1領域61との距離は小さい。
【0084】
次に、図6図8を参照して、第2拡散領域68anと第1領域61との距離L1と、第2拡散領域68anと第1拡散領域67nとの距離L2との比率が暗電流低減効果に及ぼす影響について説明する。図6は、リーク電流を計測するシミュレーションに用いた半導体基板60の条件を示す図である。具体的には、以下のように構成を設定してシミュレーションを行った。半導体基板60には、第1拡散領域67nおよび第2拡散領域68anが配置されている。半導体基板60の第2領域62は、p型半導体層であり、p型不純物としてホウ素を含む。半導体基板60の第1領域61は、n型半導体層であり、n型不純物としてリンを含む。ここでは、第2領域62は一様なp型不純物濃度で形成されている。
【0085】
また、上述したように、第2拡散領域68anは、画素10内の複数のトランジスタのソース領域またはドレイン領域の中で、第1拡散領域67nに最も近いn型不純物領域である。
【0086】
図6に示す半導体基板60において、第2拡散領域68anと半導体基板60との間に所定の電圧を印加した。このとき、第2拡散領域68anと第1拡散領域67nとの距離L2を固定し、第2拡散領域68anと第1領域61との距離L1を変動させた。
【0087】
図7は、第2拡散領域68anと半導体基板60との間に電圧を印加した場合、各端子に流れる電流を示すグラフである。図8は、図7の第1拡散領域に流れる電流のグラフを拡大したものである。ここで、電流INLは第2拡散領域68anに流れる電流、電流-Isubは半導体基板60の第2領域62に流れる電流、電流IGWは半導体基板60の第1領域61に流れる電流、電流IFDは第1拡散領域67nに流れる電流である。
【0088】
図7に示すように、電流INLと電流-Isubの大きさはほぼ等しい。つまり、第2拡散領域68anから半導体基板60に所定の電流を流した場合、第2拡散領域68anに流した電流の殆どが半導体基板60の第2領域62に流れている。また、電流IGWは、電流IFDよりも大きい。つまり、半導体基板60の第1領域61に流れる電流は、第1拡散領域67nに流れる電流よりも大きい。このことから、第2拡散領域68anから半導体基板60に電流を流すと、その殆どは第2領域62に流れるが、一部は第1領域61に流れ、一部は第1拡散領域67nに流れることが分かる。
【0089】
さらに、第2拡散領域68anと第1領域61との距離L1が小さくなるにつれて、電流IGWは大きくなり、電流IFDは小さくなる。すなわち、第2拡散領域68anと第1領域61との距離が小さくなるにつれて、第1領域61に流れる電流が増加し、第1拡散領域67nに流れる電流が減少する。
【0090】
具体的には、電流IFDは、第2拡散領域68anと第1領域61との距離L1が約0.94μm(L1/L2=1.65)のときに減少し始めている。距離L1が約0.78μm(L1/L2=1.37)、約0.61μm(L1/L2=1.07)、約0.42μm(L1/L2=0.74)、約0.33μm(L1/L2=0.58)および約0.23μm(L1/L2=0.40)と減少するにしたがって、電流IFDも減少している。
【0091】
したがって、本実施の形態では、第2拡散領域68anと第1領域61との距離L1は、第2拡散領域68anと第1拡散領域67nとの距離L2の1.5倍以下であり、1.0倍以下であってもよい。さらに、L1は、L2の0.7倍以下であってもよく、0.6倍以下であってもよい。
【0092】
これにより、n型の不純物を含む第2拡散領域68anと、p型の不純物を含む半導体基板60の第2領域62との接合部で発生した少数キャリア(ここでは、電子)がn型の不純物を含む第1領域61に吸収されやすくなる。そのため、電荷蓄積領域である第1拡散領域67nへの少数キャリアの流入を低減することができる。つまり、電荷蓄積領域である第1拡散領域67nへのリーク電流を低減することができる。したがって、第1拡散領域67nにおける暗電流および暗電流のばらつきを低減することができる。
【0093】
図9は、本実施の形態における半導体基板60の製造方法を説明する図である。
【0094】
まず、図9(a)に示すように、n型半導体基板61nを準備する。
【0095】
次に、図9(b)に示すように、n型半導体基板61nにp型不純物を注入し、p型不純物層62pを作製する。このとき、p型不純物層62pのp型不純物濃度は、第2領域62の不純物濃度よりも低い。また、p型不純物層62pの下方に位置するn型半導体層は、第1領域61である。
【0096】
次に、図9の(c)に示すように、p型不純物領域66pを形成する部分をレジスト63で覆い、p型不純物層62pにさらにp型不純物を注入する。すると、図9(d)に示すように、レジスト63で覆われていない部分においては、p型不純物の注入により、第1領域61とp型不純物層62pとの界面が下方に後退する。p型不純物の注入後、レジスト63を除去する。その後、熱処理を行うことにより、図9(e)に示すような半導体基板60が得られる。
【0097】
このように、第2領域62中に、第2領域62のp型不純物濃度よりも低い不純物濃度を有するp型不純物領域66pを形成する過程において、第1領域61と第2領域62との界面に凹凸が生じる。そして、図9の(d)に示すように、第1拡散領域67nが中に形成されるp型不純物領域66pと第1領域61との界面が凸状に形成される。
【0098】
これにより、本実施の形態では、第1拡散領域67nに対向する第1領域61の第1部分と、半導体基板60の第1面60a(図3参照)との距離は、第1拡散領域67nとは対向しない第1領域61の第2部分と、半導体基板60の第1面60aとの距離よりも小さくなる。
【0099】
以上のように、半導体基板60が形成される。次いで、通常のリソグラフィを用いて、トランジスタ、配線、光電変換部を形成し、本実施の形態に係る撮像装置100が製造される。
【0100】
なお、本実施の形態では、p型半導体層である第2領域62に、第2領域62よりもp型不純物濃度が低いp型不純物領域66pを形成したが、第2領域62は、p型不純物濃度が一様な半導体層であってもよい。この場合、n型半導体層である第1領域61のうち、第1拡散領域67nと対向する第1部分を凸状に形成すればよい。
【0101】
以上、本開示に係る撮像装置について、実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、これらの実施の形態に限定されるものではない。本開示の主旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を実施の形態に施したものや、実施の形態における一部の構成要素を組み合わせて構築される別の形態も、本開示の範囲に含まれる。
【0102】
なお、本実施の形態に係る撮像装置100では、画素10内に増幅トランジスタ22、アドレストランジスタ24、およびリセットトランジスタ26を備えているが、さらに、焼付き防止用トランジスタを備えてもよい。これにより、光電変換部12に過大光が入射されても、過電圧による各トランジスタの故障を防止できる。
【0103】
また、上述の各トランジスタは、PチャネルMOSであってもよい。各トランジスタがPチャネルMOSである場合、第1導電型の不純物がp型不純物であり、第2導電型の不純物がn型不純物である。これらのトランジスタの全てがNチャネルMOSまたはPチャネルMOSのいずれかに統一されている必要もない。画素内のトランジスタの各々をNチャネルMOSとし、信号電荷として電子を用いる場合には、光電変換部およびトランジスタに印加する電圧を適宜変更すればよい。
【0104】
また、本実施の形態では、第1拡散領域67nは、第1拡散領域67nとコンタクトプラグとの接続部分の抵抗を下げるために、コンタクトプラグと接する高濃度n型不純物領域を有してもよい。
【0105】
また、本実施の形態では、第1拡散領域67nに対向する第1領域61の第1部分と、半導体基板60の第1面60aとの距離(以下、対向距離とする。)を、第1拡散領域67nとは対向しない第1領域61の第2部分と、半導体基板60の第1面60aとの距離(以下、離間距離とする。)よりも小さくしたが、第2拡散領域68anなど、他の不純物領域に対向する第1領域61についても同様に、対向距離を離間距離よりも小さくする構成としてもよい。特に、第2拡散領域68anよりもn型不純物領域68bnの方が第1拡散領域67nに近い場合には、n型不純物領域68bnに対向する第1領域61について、対向距離を離間距離よりも小さくする構成としてもよい。このように、第1拡散領域67nに最も近い不純物領域に上記構成を適用することにより、画素内の少数キャリアが第1拡散領域67nに流れ込むことを低減することができる。また、第1拡散領域67n以外の不純物領域に対向する第1領域61についてのみ、対向距離を離間距離よりも小さくする構成としてもよい。これにより、第1拡散領域67nに対向する第1領域61が平らであっても、第1拡散領域67n以外の他の不純物領域に対向する第1領域61に、画素内の少数キャリアが流れ込みやすくなり、第1拡散領域67nに少数キャリアが流入することを低減することができる。
【0106】
以上、本開示に係る撮像装置について、光電変換膜を有する光電変換部を備える撮像装置を例に説明したが、本開示に係る撮像装置は、光電変換部としてフォトダイオードを備える撮像装置であってもよい。上記実施の形態と同様に、複数のトランジスタがNチャネルMOSトランジスタである例を示しているため、第1導電型をn型、第2導電型をp型と称する。なお、複数のトランジスタがPチャネルMOSトランジスタであってもよく、その場合、第1導電型の不純物がp型不純物であり、第2導電型の不純物がn型不純物である。
【0107】
図10は、光電変換部としてフォトダイオードを備える撮像装置における画素10Aの構成を説明する図である。例えば、フォトダイオードを備える撮像装置は、半導体基板101と、複数の画素10Aを備える。
【0108】
図10に示すように、複数の画素10Aのそれぞれは、フォトダイオード112と、半導体基板101中に位置し、n型不純物を含むソースおよびドレインを備える複数のトランジスタと、を備える。フォトダイオード112は、光を電荷に変換する光電変換部である。フォトダイオード112は、n型不純物を含むn型不純物層102と、n型不純物層102と接し、p型不純物を含むピニング領域107とを含む。また、複数のトランジスタのうちの1つであるトランジスタ120は、n型不純物領域104およびn型不純物領域106と、ゲート電極105と、を備える。
【0109】
画素10Aでは、複数のトランジスタを分離する分離領域110が配置される。また、隣接する画素10A間を電気的に分離する素子分離領域113が配置される。また画素10Aでは、フォトダイオード112と、画素10Aに隣接する画素内のフォトダイオード(不図示)とを電気的に分離するPD分離領域115が配置される。PD分離領域115は、高濃度のp型不純物を含む。分離領域110は、互いに隣接するフォトダイオード112および第1拡散領域103とトランジスタ120とを電気的に分離する領域であり、高濃度のp型不純物を含む。素子分離領域113は、隣接する画素10Aの間を電気的に分離するだけではなく、例えば、各画素10A内に配置された隣接する素子の間を電気的に分離するように配置されてもよい。素子分離領域113は、例えば、二酸化シリコンなどの酸化物を用いて形成される。素子分離領域113は、さらに、高濃度のp型不純物層114で被覆されてもよい。これにより、素子分離領域113と隣接する基板または素子との界面で発生する暗電流を低減することができる。特に、隣接する画素のフォトダイオード同士を分離する素子分離領域113を、p型不純物層114で被覆すると、これらのフォトダイオードの周囲の空乏層が素子分離領域113に到達することを防止することができる。なお、p型不純物層114のp型不純物濃度は、PD分離領域115のp型不純物濃度よりも高くてもよい。
【0110】
また、図10に例示するフォトダイオードを備える撮像装置では、半導体基板101は、光が入射する第1面101aと、第1面101aに対向する第2面101bと、を有し、n型の不純物を含む第1領域109と、n型とは異なるp型の不純物を含み、第1領域109よりも第1面101a側に位置する第2領域108と、を備える。複数のトランジスタのソースおよびドレインは、半導体基板101中の第2領域108中に位置する。複数のトランジスタのソースおよびドレインのうちの一つは、電荷を蓄積する第1拡散領域103である。第1拡散領域103は、リセットトランジスタ(不図示)のソースおよびドレインの一方である。複数のトランジスタのソースおよびドレインのうち、第1拡散領域103に最も近いソースまたはドレインである第2拡散領域104と第1領域109との距離L1は、第2拡散領域104と第1拡散領域103との距離L2の1.5倍以下であり、1.0倍以下であってもよい。ここで、距離とは、2つの領域の最も近接した部分の距離をいう。
【0111】
これにより、n型不純物を含む第2拡散領域104と、p型不純物を含む第2領域108との接合部などで発生した少数キャリアが、第1領域109に吸収されやすくなる。そのため、電荷蓄積領域である第1拡散領域103への少数キャリアの流入を低減することができる。つまり、第1拡散領域103へのリーク電流を低減することができる。したがって、第1拡散領域103における暗電流および暗電流のばらつきを低減することができる。
【0112】
また、第2拡散領域104は、複数のトランジスタのうち、第1拡散領域103を含むリセットトランジスタ(不図示)以外のトランジスタ120のソースまたはドレインである。
【0113】
これにより、第1拡散領域103を含まない他のトランジスタのソース領域またはドレイン領域のうち、第1拡散領域103に最も近いソース領域またはドレイン領域の近傍領域で発生した不要なキャリアについても、半導体基板101の第1領域109に吸収させることができる。このことにより、電荷蓄積領域である第1拡散領域103に不要なキャリアが流入することを低減することができる。つまり、電荷蓄積領域である第1拡散領域103へのリーク電流を低減することができる。したがって、第1拡散領域103における暗電流のおよび暗電流のばらつきを低減することができる。
【0114】
図11は、画素10Aを図10と異なる断面で切断した場合の概略断面図である。上述のように画素10Aは、第1拡散領域103を含む。図11には図示されないが、第1拡散領域103は、半導体基板101内においてフォトダイオード112に電気的に接続されている。
【0115】
フォトダイオード112は、n型不純物を含むn型不純物層102を含む。図11に示すように、フォトダイオード112と第1拡散領域103との位置関係によっては、第2拡散領域104と第1拡散領域103との距離L2よりも、第2拡散領域104とn型不純物層102との距離L3の方が短い場合がある。このような場合、第2拡散領域104と第1領域109との距離L1は、第2拡散領域104とn型不純物層102との距離L3の1.5倍以下であってもよく、1.0倍以下であってもよい。
【0116】
これにより、n型不純物を含む第2拡散領域104と、p型不純物を含む第2領域108との接合部などで発生した少数キャリアが第1領域109に吸収されやすくなる。そのため、上記接合部などからフォトダイオード112のn型不純物層102への少数キャリアの流入を低減することができる。つまり、上記接合部などからフォトダイオード112へのリーク電流を低減することができる。したがって、フォトダイオード112における暗電流および暗電流のばらつきを低減することができる。
【0117】
図12は、画素10Aを図10および図11と異なる断面で切断した場合の概略断面図である。図12には図示されないが、第1拡散領域103は、半導体基板101内においてフォトダイオード112に電気的に接続されている。
【0118】
図12に例示するように、トランジスタ121は、n型不純物領域である第1拡散領域103と、n型不純物領域117と、ゲート電極116とを備える。
【0119】
また、半導体基板101の第1領域109は、第1拡散領域103と対向する第1部分と、第1拡散領域103とは対向しない第2部分と、を有し、第1部分と第1面101aとの距離は、第2部分と第1面101aとの距離よりも小さい。すなわち、第1領域109は、第1拡散領域103と対向する第1部分が第1拡散領域103に対して凸形状を有している。
【0120】
そのため、半導体基板101中(ここでは、第2領域108中)の不要なキャリアは、電荷蓄積領域である第1拡散領域103に到達する前に、第1領域109の第1部分に吸収される。そのため、電荷蓄積領域である第1拡散領域103への不要なキャリアの流入を低減することができる。したがって、第1拡散領域103における暗電流および暗電流のばらつきを低減することができる。
【産業上の利用可能性】
【0121】
本開示によれば、暗電流による影響を抑制して高画質で撮像が可能な撮像装置が提供される。本開示の撮像装置は、例えばイメージセンサ、デジタルカメラなどに有用である。本開示の撮像装置は、医療用カメラ、ロボット用カメラ、セキュリティカメラ、車両に搭載されて使用されるカメラなどに用いることができる。
【符号の説明】
【0122】
10、10A 画素
12 光電変換部
12a 画素電極
12b 光電変換層
12c 透明電極
14 信号検出回路
16 フィードバック回路
22 増幅トランジスタ
22e、24e、26e、105、116 ゲート電極
24 アドレストランジスタ
26 リセットトランジスタ
32 電源配線
35 垂直信号線
36 リセット信号線
40 周辺回路
42 負荷回路
44 カラム信号処理回路
48 水平信号読み出し回路
50 反転増幅器
53 フィードバック線
60、101 半導体基板
60a、101a 第1面
60b、101b 第2面
61、109 第1領域
61n n型半導体基板
62、108 第2領域
62p、114 p型不純物層
63 レジスト
66p p型不純物領域
67n、103 第1拡散領域
68an、104 第2拡散領域(n型不純物領域)
68bn、68cn、68dn、106、117 n型不純物領域
69、113 素子分離領域
70 ゲート絶縁膜
71、72、90a、90b、90c、90d 絶縁層
80 配線構造
80a、80b、80c、80d 配線層
90 層間絶縁層
100 撮像装置
102 n型不純物層
107 ピニング領域
110 分離領域
112 フォトダイオード
115 PD分離領域
120、121 トランジスタ
cp1、cp2、cp3、cp4、cp5、cp6、cp7 コンタクトプラグ
h1、h2、h3、h4、h5、h6、h7 コンタクトホール
pa1、pa2、pb、pc、pd プラグ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12