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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023121819
(43)【公開日】2023-08-31
(54)【発明の名称】回路構成体
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/20 20060101AFI20230824BHJP
   H05K 7/06 20060101ALI20230824BHJP
   H02G 3/16 20060101ALI20230824BHJP
【FI】
H05K7/20 B
H05K7/20 F
H05K7/06 C
H02G3/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023106782
(22)【出願日】2023-06-29
(62)【分割の表示】P 2022524494の分割
【原出願日】2021-05-18
(31)【優先権主張番号】P 2020089136
(32)【優先日】2020-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001966
【氏名又は名称】弁理士法人笠井中根国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100147717
【弁理士】
【氏名又は名称】中根 美枝
(74)【代理人】
【識別番号】100103252
【弁理士】
【氏名又は名称】笠井 美孝
(72)【発明者】
【氏名】井倉 昂士
(72)【発明者】
【氏名】下田 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】柳田 泰次
(57)【要約】
【課題】発熱部品の接続部における発熱を、速やかに低減することができる、新規な構造の回路構成体を開示する。
【解決手段】回路構成体10が、通電により発熱する発熱部品12と、発熱部品12の接続部14に接続する通電部材16と、通電部材16を接続部14に締結する締結部材18と、通電部材16と接続部14の締結部位に熱的に接触し、発熱部品12の接続部14の熱容量を増加させる熱容量増加部品20と、を含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通電により発熱する発熱部品と、
前記発熱部品の接続部に接続する通電部材と、
前記通電部材を前記接続部に締結する締結部材と、
前記通電部材と前記接続部の締結部位に熱的に接触し、前記発熱部品の前記接続部の熱容量を増加させる熱容量増加部品と、
を含む回路構成体。
【請求項2】
熱伝導部材とケースとをさらに含み、前記通電部材が、前記熱伝導部材を介して前記ケースに熱的に接触している、請求項1に記載の回路構成体。
【請求項3】
前記熱容量増加部品が金属製であり、
前記熱容量増加部品が、前記締結部材により前記通電部材と共に前記接続部に締結されている、請求項1または請求項2に記載の回路構成体。
【請求項4】
前記熱容量増加部品が、前記通電部材の前記接続部への接触面と反対側の面に重ね合わされている、請求項3に記載の回路構成体。
【請求項5】
前記熱容量増加部品が、前記通電部材の端部によって構成されて、前記通電部材の前記接続部への接触面と反対側の面に折り返されて重ね合わされている、請求項3に記載の回路構成体。
【請求項6】
前記通電部材には、前記熱容量増加部品を構成する前記通電部材の端部と、前記通電部材の前記接続部への接触面と反対側の面との重ね合わせ状態を保持する保持部が設けられている、請求項5に記載の回路構成体。
【請求項7】
前記熱容量増加部品の線膨張係数が、前記締結部材の線膨張係数の1/3倍~3倍である、請求項3から請求項6のいずれか1項に記載の回路構成体。
【請求項8】
前記熱容量増加部品と前記締結部材が同じ材質である、請求項3から請求項7のいずれか1項に記載の回路構成体。
【請求項9】
前記熱容量増加部品が、前記締結部材に装着されるキャップによって構成されている、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の回路構成体。
【請求項10】
前記キャップが金属製である、請求項9に記載の回路構成体。
【請求項11】
前記キャップと前記締結部材との間には熱伝導部材が設けられている、請求項10に記載の回路構成体。
【請求項12】
前記キャップが合成樹脂製である、請求項9に記載の回路構成体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発熱部品を有する回路構成体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、通電により発熱するリレーやヒューズ等の発熱部品を備えた回路構成体においては、発熱部品の熱を放熱するための放熱構造が設けられる場合がある。例えば、特許文献1には、ケース内に収容されたリレーの接続部とケース外に配置されたバッテリーの接続端子とを接続するバスバーの中間部分を利用して、リレーの放熱を行う構造が提案されている。具体的には、リレーを収容するケース外に延出されたバスバーの中間部を絶縁性放熱シートを介してシャーシや電源装置全体を収容する筐体等に当接させることで、リレーで発生した熱をシャーシや筐体に熱伝導して放熱する構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-79093号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の構造では、リレーとバッテリーを接続する通電部を構成するバスバーの中間部に放熱構造が設けられている。そのため、バスバーを介したリレーの放熱を促すことはできるものの、大電流が流れた際にリレーの接続部に生じる発熱を速やかに低減することができない、という懸念があった。
【0005】
そこで、発熱部品の接続部における発熱を、速やかに低減することができる、新規な構造の回路構成体を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の回路構成体は、通電により発熱する発熱部品と、前記発熱部品の接続部に接続する通電部材と、前記通電部材を前記接続部に締結する締結部材と、前記通電部材と前記接続部の締結部位に熱的に接触し、前記発熱部品の前記接続部の熱容量を増加させる熱容量増加部品と、を含むものである。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、発熱部品の接続部における発熱を、速やかに低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態1に係る回路構成体を示す斜視図である。
図2図2は、図1に示された回路構成体からケースを構成する蓋部材を取り外した状態を示す分解斜視図である。
図3図3は、図1に示された回路構成体の分解斜視図である。
図4図4は、図1に示された回路構成体を構成する通電部材を示す斜視図である。
図5図5は、図2におけるV-V断面図である。
図6図6は、実施形態2に係る回路構成体を示す斜視図であって、ケースを構成する蓋部材を取り外した状態の要部拡大図である。
図7図7は、図6におけるVII-VII断面図である。
図8図8は、実施形態3に係る回路構成体を示す斜視図であって、ケースを構成する蓋部材を取り外した状態の要部拡大図である。
図9図9は、図8におけるIX-IX断面図である。
図10図10は、実施形態4に係る回路構成体を示す縦断面図であって、図9に対応する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<本開示の実施形態の説明>
最初に、本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示の回路構成体は、
(1)通電により発熱する発熱部品と、前記発熱部品の接続部に接続する通電部材と、前記通電部材を前記接続部に締結する締結部材と、前記通電部材と前記接続部の締結部位に熱的に接触し、前記発熱部品の前記接続部の熱容量を増加させる熱容量増加部品と、を含むものである。
【0010】
本開示の回路構成体によれば、発熱部品の発熱部位となる接続部と、当該接続部に接続される通電部材との締結部位に、熱的に接触して接続部の熱容量を増加させる熱容量増加部品を有している。それゆえ、発熱部品の接続部と通電部材の締結部位に伝熱された接続部の熱を、締結部位に熱的に接触する熱容量増加部品により温度上昇を抑制して、接続部の熱を低減することができる。その結果、発熱部品の接続部から離隔した部位で通電部材を他部材に接触させて放熱を行う従来構造に比して、発熱部品の接続部における発熱を、熱容量増加部品により速やかに低減することができる。なお、発熱部品には、リレーやヒューズ等の通電により発熱する部品が含まれる。
【0011】
熱容量増加部品は、接続部と通電部材の締結部位に熱的に接触することで、発熱部品の接続部の熱容量を増加させることができるものであれば、いかなるものでもよい。例えば、熱伝導率が高い、鉄,銅,アルミニウムやそれらの合金等の金属製のものや、合成樹脂製のものが採用され得る。また、熱容量増加部品の形状は特に限定されず、接続部と通電部材の締結部位に熱的に接触できる形状であれば、いかなる形状も採用可能である。
【0012】
締結部材としては、通電部材の締結用に用いられ得るものであれば、周知のいかなる締結部材も採用可能であり、ボルトやリベット等が有利に採用され得る。
【0013】
(2)熱伝導部材とケースとをさらに含み、前記通電部材が、前記熱伝導部材を介して前記ケースに熱的に接触している、ことが好ましい。通電部材に伝わった熱を、熱伝導部材を通じてケースから放熱することができる。それゆえ、発熱部品の熱を低減することができる。本態様では、例えばシート状の熱伝導部材が好適に採用される。
【0014】
(3)前記熱容量増加部品が金属製であり、前記熱容量増加部品が、前記締結部材により前記通電部材と共に前記接続部に締結されている、ことが好ましい。熱容量増加部品が金属製とされて、通電部材と共に接続部に締結されていることから、接続部の熱容量を容易且つ確実に増加させることができるからである。なお、熱容量増加部品は、通電部材と一体的に形成されていてもよいし、通電部材と別体の部品であってもよい。
【0015】
(4)前記熱容量増加部品が、前記通電部材の前記接続部への接触面と反対側の面に重ね合わされている、ことが好ましい。通電部材の接続部への接触面と反対側の面に、熱容量増加部品が重ね合わされていることから、締結部材により接続部に対して締結される際に、通電部材と接続部の間に熱容量増加部品が介在することが、回避されている。それゆえ、導通抵抗を増大させることなく、接続部の熱容量を増加させることが可能となる。
【0016】
(5)前記熱容量増加部品が、前記通電部材の端部によって構成されて、前記通電部材の前記接続部への接触面と反対側の面に折り返されて重ね合わされている、ことが好ましい。熱容量増加部品が通電部材の端部によって構成されていることから、部品点数の増加を抑えることができる。しかも、通電部材の接続部への接触面と反対側の面に折り返されて重ね合わされていることから、締結部材により接続部に対して締結される際に、通電部材と接続部の間に熱容量増加部品が介在することが、回避されている。それゆえ、導通抵抗を増大させることなく、接続部の熱容量を増加させることが可能となる。
【0017】
(6)前記通電部材には、前記熱容量増加部品を構成する前記通電部材の端部と、前記通電部材の前記接続部への接触面と反対側の面との重ね合わせ状態を保持する保持部が設けられている、ことが好ましい。保持部により、通電部材と熱容量増加部品(折り返された通電部材の端部)との間の隙間を小さく抑えることができて、通電部材と熱容量増加部品とを広い接触面積をもって安定して接触させることができる。これにより、接続部の熱容量をより確実に増加させることができる。
【0018】
(7)前記熱容量増加部品の線膨張係数が、前記締結部材の線膨張係数の1/3倍~3倍である、ことが好ましい。熱容量増加部品が締結部材と同程度の線膨張係数を有していることから、発熱による締結部材のゆるみが発生しにくいからである。
【0019】
(8)前記熱容量増加部品と前記締結部材が同じ材質である、ことが好ましい。熱容量増加部品と締結部材の線膨張係数が等しくなることから、発熱による締結部材のゆるみをより確実に抑えることができる。
【0020】
(9)前記熱容量増加部品が、前記締結部材に装着されるキャップによって構成されている、ことが好ましい。締結部材に装着されるキャップであっても、接続部の熱容量を増加させることができ、発熱部品の接続部における発熱を、速やかに低減することができるからである。
【0021】
(10)前記キャップが金属製である、ことが好ましい。熱伝導率の高い金属製のキャップを採用することで、接続部での温度上昇を抑制することができる。
【0022】
(11)前記キャップと前記締結部材との間には熱伝導部材が設けられている、ことが好ましい。熱伝導部材により締結部材からキャップへ安定して熱を伝えることができる。本態様では、例えばグリース状の熱伝導部材が好適に採用される。
【0023】
(12)前記キャップが合成樹脂製である、ことが好ましい。キャップの材質として、例えば金属よりも柔らかい合成樹脂を採用することで、締結部材に対してキャップを略隙間なく装着することができる。それゆえ、締結部材からキャップへ安定して熱を伝えることができて、接続部の熱容量をより確実に増加させることができる。
【0024】
<本開示の実施形態の詳細>
本開示の回路構成体の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示は、これらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0025】
<実施形態1>
以下、本開示の実施形態1について、図1~5を参照しつつ説明する。実施形態1の回路構成体10は、例えば電気自動車やハイブリッド自動車等の車両(図示せず)に搭載され、バッテリー等の電源(図示せず)からモータ等の負荷(図示せず)への電力の供給、制御を行う。回路構成体10は、任意の向きで配置することができるが、以下では、X方向を前方、Y方向を右方、Z方向を上方として説明する。また、複数の同一部材については、一部の部材にのみ符号を付し、他の部材については符号を省略する場合がある。
【0026】
<回路構成体10>
回路構成体10は、通電により発熱する発熱部品としてのリレー12と、リレー12の接続部14に接続する通電部材としての通電バスバー16と、通電バスバー16をリレー12の接続部14に締結する締結部材としてのボルト18とを備えている。また、回路構成体10は、通電バスバー16と接続部14の締結部位A(図中において二点鎖線で囲まれる領域)に熱的に接触する熱容量増加部品20を含んでいる。更に、回路構成体10はケース22を含んでいる。リレー12、通電バスバー16、ボルト18および熱容量増加部品20は、何れもケース22に収容されている。更にまた、ケース22には、通電により発熱するヒューズ24と電流センサ26が収容されている。
【0027】
<ケース22>
ケース22は、全体として箱形状であり、例えば合成樹脂により形成される。実施形態1では、ケース22は平面視において左右方向に延びる略矩形状である。ケース22は、上下方向で分割可能であり、下方に位置するベース部材28と、上方に位置する蓋部材30とを含んで構成されている。ベース部材28は、上方に開口する箱形状である。また、蓋部材30は、下方に開口する箱形状である。そして、ベース部材28の上方開口部を蓋部材30で覆って、ベース部材28と蓋部材30とを相互に固定することで、ケース22が構成される。ベース部材28と蓋部材30との固定手段は限定されるものではなく、接着や溶着、圧入や凹凸嵌合等、従来公知の固定手段を採用することができる。なお、ケース22は金属製であってもよく、ケース22の表面に絶縁被覆を設けることで絶縁性が確保されるようになっていてもよい。
【0028】
ベース部材28は、左右方向に延びる略矩形状の底壁32と、底壁32の外周縁部から上方に突出する周壁34とを備えている。実施形態1では、底壁32の上面に、上方に開口する矩形状の第1収容凹部36が形成されている。即ち、底壁32の上面には段差38が形成されており、段差38で囲まれた部分が第1収容凹部36である。特に、実施形態1では、底壁32の上面において、4つの第1収容凹部36が、所定の大きさをもって、且つ左右方向で所定の離隔距離をもって、形成されている。
【0029】
図5にも示されるように、底壁32の下面において、第1収容凹部36と対応する位置には、下方に開口する矩形状の第2収容凹部40が形成されている。即ち、底壁32の下面には段差42が形成されており、段差42で囲まれた部分が第2収容凹部40である。この第2収容凹部40は、第1収容凹部36に対応する大きさと位置で、4つ設けられている。したがって、実施形態1では、第1および第2収容凹部36,40の形成位置において、底壁32が他の部分に比べて薄肉である。
【0030】
蓋部材30は、左右方向に延びる略矩形状の上底壁44と、上底壁44の外周縁部から下方に突出する周壁46とを備えている。実施形態1では、上底壁44の左右方向両端部において、上下方向に貫通する矩形状の開口部48a,48bが形成されている。また、蓋部材30の外周部分には、上下方向で貫通する複数のボルト挿通孔50が形成されている。
【0031】
<リレー12、ヒューズ24、電流センサ26>
リレー12は、中空の直方体形状とされたリレー本体52を備えている。リレー本体52の前面には、一対の接続部14,14(第1接続部14aおよび第2接続部14b)が、左右方向で相互に離隔して設けられている。これら第1接続部14aと第2接続部14bとの間には、前方に突出する絶縁板54が設けられている。
【0032】
また、リレー本体52には、左右方向外方に突出する脚部56が複数設けられている。これらの脚部56には、上下方向で貫通するボルト挿通孔が形成されている。
【0033】
ヒューズ24は、略直方体形状とされたヒューズ本体60を備えている。ヒューズ本体60には、左右方向両側に突出する金属製の接続部62,62が設けられている。これら接続部62,62には、上下方向で貫通するボルト挿通孔が形成されている。
【0034】
電流センサ26は、略直方体形状とされたセンサ本体66を備えている。センサ本体66には、左右方向両側に突出する金属製の接続部68,68が設けられている。これら接続部68,68には、上下方向で貫通するボルト挿通孔が形成されている。
【0035】
<通電バスバー16>
通電バスバー16は、金属板材をプレス加工等によって所定の形状に折り曲げることによって形成されている。通電バスバー16の材質は限定されるものではないが、銅や銅合金、アルミニウムやアルミニウム合金等が好適に採用される。なお、銅の線膨張係数は、およそ16~17(×10-6/K)程度である。また、アルミニウムの線膨張係数は、およそ23~24(×10-6/K)程度である。実施形態1では、図4にも示されるように、一対の通電バスバー16,16(第1通電バスバー16aおよび第2通電バスバー16b)が、左右方向で相互に離隔して設けられている。
【0036】
第1通電バスバー16aは、全体として左右方向に延びている。第1通電バスバー16aは、右方端部において、上下方向(YZ平面)に広がる矩形のボルト締結部72を備えている。ボルト締結部72の下端からは、水平方向(XY平面)に広がる矩形の伝熱部74が後方に延び出している。また、第1通電バスバー16aは、左方端部において、水平方向(XY平面)に広がる矩形の外部接続部76を備えている。そして、これら伝熱部74と外部接続部76とが、左右方向中間部分において、クランク状に屈曲する部分により接続されている。
【0037】
さらに、第1通電バスバー16aにおけるボルト締結部72の上端部は、前方に折り返されてボルト締結部72の下端部分に重ね合わされている。なお、折り返される前のボルト締結部72の上端部を、図4において、二点鎖線で示す。この折り返されて重ね合わされた部分が、熱容量増加部品20である。即ち、実施形態1では、熱容量増加部品20が金属製であり、通電バスバー16(第1および第2通電バスバー16a,16b)と同じ材質である。そして、第1通電バスバー16aは、熱容量増加部品20の形成位置において、2枚分の厚さ寸法をもって形成されている。また、ボルト締結部72の後面が、リレー12の第1接続部14aに接触する接触面78である。したがって、第1通電バスバー16aの端部となるボルト締結部72の上端部(熱容量増加部品20)が、ボルト締結部72において接触面78と反対側の面である前面79に重ね合わされている。
【0038】
更にまた、第1通電バスバー16aには、熱容量増加部品20とボルト締結部72の前面79との重ね合わせ状態を保持する保持部80が設けられている。保持部80の形状は限定されるものではないが、実施形態1では、保持部80が、第1通電バスバー16aと一体的に形成された金属製の部材である。具体的には、ボルト締結部72の左右方向両側にそれぞれ帯状の一対の保持部80,80が設けられている。そして、熱容量増加部品20(ボルト締結部72の上端部)がボルト締結部72の前面79に重ね合わされた状態で、保持部80,80を折り曲げてかしめることで、熱容量増加部品20(ボルト締結部72の上端部)の重ね合わせ状態が保持されている。
【0039】
また、ボルト締結部72には、前後方向で貫通するボルト挿通孔82が形成されている。実施形態1では、熱容量増加部品20が設けられた部分(ボルト締結部72の上端部が折り返されて重ね合わされた部分)にボルト挿通孔82が形成されている。したがって、ボルト挿通孔82は、厚さ寸法が第1通電バスバー16aの2枚分とされた部分を前後方向に貫通して形成されている。なお、このボルト挿通孔82は、ボルト締結部72の上端部が折り返される前に、ボルト締結部72の上端部と下端部分のそれぞれに貫通孔が形成されて、ボルト締結部72の上端部が折り返されて両貫通孔が連通することで形成されるようになっていてもよい。あるいは、ボルト締結部72の上端部が折り返されて重ね合わされた後に、2枚分の厚さ寸法とされた部分にボルト挿通孔82が形成されてもよい。このボルト挿通孔82にボルト18を挿通して第1接続部14aに締結することで、熱容量増加部品20を備えた第1通電バスバー16aが固定される。換言すれば、ボルト18の締結により、1枚分の厚さ寸法とされた第1通電バスバーだけでなく、もう1枚分の厚さ寸法を有する熱容量増加部品20も共に第1接続部14aに固定される。
【0040】
さらに、実施形態1では、ボルト挿通孔82が上下方向に長い長円形状である。これにより、後述するリレー12と第1通電バスバー16aとの締結時に、リレー12に対する第1通電バスバー16aの上下方向位置を調節することができる。この結果、後述するように、伝熱部74をケース22(または後述する熱伝導シート114)に対してより確実に熱的に接触させることができる。更に、外部接続部76には、厚さ方向(上下方向)で貫通するボルト挿通孔84が形成されている。
【0041】
第2通電バスバー16bは、第1通電バスバー16aと左右方向で略対称な形状である。即ち、第2通電バスバー16bの左方端部には、前方にボルト締結部72が設けられている。このボルト締結部72の下端部からは、後方に伝熱部74が延び出している。また、第2通電バスバー16bの右方端部には、水平方向(XY平面)に広がる矩形のヒューズ接続部86が設けられている。これら伝熱部74とヒューズ接続部86とが、左右方向中間部分において、クランク状に屈曲する部分により接続されている。更に、ヒューズ接続部86には、厚さ方向(上下方向)で貫通するボルト挿通孔88が形成されている。
【0042】
そして、第2通電バスバー16bにおけるボルト締結部72の上端部が前方に折り返されて熱容量増加部品20が構成されている。また、保持部80,80により、熱容量増加部品20(ボルト締結部72の上端部)が折り返されて前面79に重ね合わされた状態で保持されている。更に、熱容量増加部品20が設けられた状態で、ボルト締結部72には、厚さ方向(前後方向)で貫通するボルト挿通孔82が形成されている。このボルト挿通孔82にボルト18を挿通して第2接続部14bに締結することで、熱容量増加部品20を備えた第2通電バスバー16bが固定される。即ち、ボルト18の締結により、第2通電バスバー16bと共に熱容量増加部品20が第2接続部14bに固定される。
【0043】
<第3通電バスバー90、第4通電バスバー92>
図2,3にも示されるように、ヒューズ24と電流センサ26には、第3通電バスバー90が接続されている。また、電流センサ26において第3通電バスバー90が接続される側と反対側には、第4通電バスバー92が接続されている。これら第3および第4通電バスバー90,92も、第1および第2通電バスバー16a,16bと同様に、金属板材をプレス加工等により所定の形状に折り曲げることで形成されている。
【0044】
第3通電バスバー90は、左右方向両端部に、水平方向に広がる矩形のヒューズ接続部94およびセンサ接続部96を備えている。即ち、第3通電バスバー90において、左方にヒューズ接続部94が設けられていると共に、右方にセンサ接続部96が設けられている。これらヒューズ接続部94およびセンサ接続部96には、厚さ方向(上下方向)に貫通するボルト挿通孔が形成されている。
【0045】
実施形態1では、第3通電バスバー90が前後方向に延びて上方に開口する略樋状とされた部分を備えている。この略樋状とされた部分の上方開口部における左右両端部分からヒューズ接続部94とセンサ接続部96とが左右方向外方に延び出している。そして、略樋状とされた部分の底壁が、回路構成体10の組付時にケース22(ベース部材28)に熱的に接触する伝熱部102である。
【0046】
第4通電バスバー92は、第3通電バスバー90と同様の構造とされている。即ち、第4通電バスバー92は、前後方向に延びて上方に開口する略樋状とされた部分を備えている。この略樋状とされた部分の上方開口部における左端部分からセンサ接続部104が左方に延び出していると共に、右端部分から外部接続部106が右方に延び出している。このセンサ接続部104には、厚さ方向(上下方向)で貫通するボルト挿通孔が形成されている。また、外部接続部106には、厚さ方向(上下方向)で貫通するボルト挿通孔110が形成されている。そして、略樋状とされた部分の底壁が、回路構成体10の組付時にケース22(ベース部材28)に熱的に接触する伝熱部112である。
【0047】
<ボルト18>
リレー12と第1および第2通電バスバー16a,16bとは、ボルト18,18によって固定されている。具体的には、第1および第2接続部14a,14bとボルト締結部72,72のボルト挿通孔82,82とが位置合わせされ、ボルト18,18が挿通されて締結されている。ボルト18は、鉄やステンレス等の周知の材料のものを採用することができる。実施形態1では、ボルト18が鉄によって形成されている。なお、鉄の線膨張係数は、およそ11~12(×10-6/K)程度である。
【0048】
<熱伝導シート114,116>
回路構成体10の組付時において、第1~第4通電バスバー16a,16b,90,92の伝熱部74,74,102,112が、ケース22(ベース部材28)に対して熱的に接触している。実施形態1では、ベース部材28の各第1収容凹部36に熱伝導部材としての熱伝導シート114が収容されている。そして、各伝熱部74,74,102,112が、熱伝導シート114を介してベース部材28に対して熱的に接触している。
【0049】
また、実施形態1では、ベース部材28の各第2収容凹部40にも熱伝導シート116が収容されている。そして、回路構成体10の車両装着時において、ベース部材28が、各熱伝導シート116を介して、車体パネルや筐体等の放熱体118に熱的に接触している。
【0050】
熱伝導シート114,116は、上下方向に扁平なシート状をなしており、空気よりも熱伝導率の大きな合成樹脂からなる。具体的には、シリコーン系の樹脂や非シリコーン系のアクリル系樹脂やセラミック系樹脂等が利用できる。より詳細には、熱伝導性シリコーンゴム等が挙げられる。熱伝導シート114,116は柔軟性および弾性を有しており、上下方向に加えられる力に応じて、厚さ寸法が変化するように弾性変形可能である。なお、実施形態1では、ベース部材28の上下両面に設けられる熱伝導部材としてそれぞれ熱伝導シート114,116が採用されているが、両熱伝導部材の何れもこの態様に限定されず任意の形状の熱伝導部材が採用可能であり、例えば、シリコーン系の樹脂からなる、放熱ギャップフィラーや熱伝導グリースを用いてもよい。
【0051】
特に、実施形態1では、段差38を有する第1収容凹部36に熱伝導シート114が収容されることにより、ベース部材28に対して熱伝導シート114が位置決めされる。また、段差42を有する第2収容凹部40に熱伝導シート116が収容されることにより、ベース部材28に対して熱伝導シート116が位置決めされる。更に、各熱伝導シート114は、各伝熱部74,74,102,112とベース部材28との上下方向間で圧縮状態で挟持されることが好ましい。各熱伝導シート114は圧縮されることによって各伝熱部74,74,102,112及びベース部材28と高い密着度で接触することができる。これにより、各熱伝導シート114は熱を伝熱部74,74,102,112からベース部材28へ効率よく伝えることが可能となる。同様に、各熱伝導シート116は、ベース部材28と放熱体118との上下方向間で圧縮状態で挟持されることが好ましい。熱伝導シート116は圧縮されることによってベース部材28及び放熱体118と高い密着度で接触することができる。これにより、熱伝導シート116は熱をベース部材28から放熱体118へ効率よく伝えることが可能となる。
【0052】
<回路構成体10の組み付け工程>
続いて、回路構成体10の組み付け工程の具体的な一例について説明する。なお、回路構成体10の組み付け工程は、以下の記載に限定されない。
【0053】
先ず、蓋部材30、リレー12、ヒューズ24、電流センサ26、第1~第4通電バスバー16a,16b,90,92、ボルト18を準備する。そして、上下反転させた蓋部材30の上底壁44に対してリレー12を載置し、脚部56にボルトを挿通して、蓋部材30に設けられた図示しないボルト固定部に締結する。これにより、蓋部材30とリレー12とを固定する。その後、リレー12の上方に第1および第2通電バスバー16a,16bを載置して、リレー12の第1および第2接続部14a,14bと第1および第2通電バスバー16a,16bのボルト挿通孔82,82とを位置合わせする。続いて、これら第1および第2接続部14a,14bとボルト挿通孔82,82とにボルト18,18を挿通して締結する。これにより、リレー12と第1および第2通電バスバー16a,16bとを固定する。
【0054】
次に、蓋部材30の上底壁44に対して第3通電バスバー90と第4通電バスバー92を載置して、更にその上方からヒューズ24と電流センサ26とを載置する。これにより、第2通電バスバー16bのヒューズ接続部86とヒューズ24の左側の接続部62とを重ね合わせる。また、ヒューズ24の右側の接続部62と第3通電バスバー90のヒューズ接続部94とを重ね合わせる。更に、第3通電バスバー90のセンサ接続部96と電流センサ26における左側の接続部68とを重ね合わせる。更にまた、電流センサ26における右側の接続部68と第4通電バスバー92のセンサ接続部104とを重ね合わせる。そして、これら重ね合わされた接続部62,68、ヒューズ接続部86,94、センサ接続部96,104に対してボルトを挿通して、蓋部材30に設けられた図示しないボルト固定部に締結する。これにより、蓋部材30に対して、リレー12と第1および第2通電バスバー16a,16bに加えて、ヒューズ24、電流センサ26、第3通電バスバー90、第4通電バスバー92を固定する。
【0055】
さらに、ベース部材28、各熱伝導シート114,116を準備する。そして、ベース部材28の各第1収容凹部36に熱伝導シート114を収容して、接着剤等で固定する。また、各第2収容凹部40に熱伝導シート116を収容して、接着剤等で固定する。その後、リレー12、ヒューズ24、電流センサ26、第1~第4通電バスバー16a,16b,90,92が固定された蓋部材30の上方開口部を、各熱伝導シート114,116が固定されたベース部材28で覆い、蓋部材30とベース部材28とを相互に固定してケース22を形成する。その後、上下反転することで回路構成体10が完成する。
【0056】
なお、蓋部材30に対して、リレー12、ヒューズ24、電流センサ26、第1~第4通電バスバー16a,16b,90,92を固定する順番は、上記の工程に限定されるものではない。また、第1~第4通電バスバー16a,16b,90,92(伝熱部74,74,102,112)とベース部材28との間に設けられる各熱伝導シート114は、ベース部材28に固定されず、各伝熱部74,74,102,112の下面に固定されてもよい。同様に、ベース部材28の下面に設けられる各熱伝導シート116は、ベース部材28に固定されず、放熱体118に固定されてもよい。
【0057】
このようにして組み付けられた回路構成体10では、第1通電バスバー16aと第4通電バスバー92の外部接続部76,106が、蓋部材30の開口部48a,48bを通じて外部に露出している。そして、図示しない外部の電線の末端に設けられた端子部と、外部接続部76,106のボルト挿通孔84,110とを位置合わせした状態で図示しないボルトを挿通して締結することで、外部の電線と第1通電バスバー16aおよび第4通電バスバー92が電気的に接続される。また、回路構成体10と放熱体118とを重ね合わせて、ケース22(蓋部材30)の外周部分に設けられたボルト挿通孔50に図示しないボルトを挿通して締結することで、回路構成体10が放熱体118に固定される。これにより、実施形態1では、熱伝導シート116が、回路構成体10と放熱体118との上下方向間で圧縮されている。
【0058】
実施形態1の回路構成体10では、第1および第2通電バスバー16a,16bにおいて、リレー12の第1および第2接続部14a,14bとの締結部位Aに熱的に接触する熱容量増加部品20,20が設けられている。具体的には、第1および第2通電バスバー16a,16bにおけるボルト締結部72,72の上端部が折り返されて重ね合わされることにより、熱容量増加部品20が構成されている。これにより、第1および第2通電バスバー16a,16bとリレー12の第1および第2接続部14a,14bとの締結部位Aでは、第1および第2通電バスバー16a,16bがそれぞれ2枚分の厚さとされる。それゆえ、単に第1および第2通電バスバーが1枚分の厚さとされる場合に比べて、第1および第2通電バスバー16a,16bの熱容量を増加させることができる。これにより、第1および第2通電バスバー16a,16b、ひいては第1および第2通電バスバー16a,16bに接続する第1および第2接続部14a,14bの温度上昇を抑制することができて、一時的に大電流が流れた際等の発熱の問題を解消することができる。
【0059】
また、実施形態1では、第1~第4通電バスバー16a,16b,90,92の伝熱部74,74,102,112がそれぞれケース22(ベース部材28)に対して熱的に接触していることから、通電により発生するリレー12、ヒューズ24、電流センサ26の熱をケース22を通じて放熱することができる。これにより、リレー12、ヒューズ24、電流センサ26による発熱の問題も解消することができる。特に、実施形態1では、伝熱部74,74,102,112とベース部材28との間に熱伝導シート114が設けられていることから、伝熱部74,74,102,112からベース部材28への伝熱が安定して実現される。更に、ベース部材28の下面には熱伝導シート116が設けられており、熱伝導シート116を介してベース部材28と放熱体118とが熱的に接触している。これにより、リレー12、ヒューズ24、電流センサ26の発熱が放熱体118からも放熱されて、放熱効果の向上が図られる。
【0060】
更にまた、実施形態1では、第1および第2通電バスバー16a,16bのボルト締結部72,72の上端部により熱容量増加部品20,20が構成されており、熱容量増加部品20,20が設けられた部分にボルト挿通孔82,82が形成されている。これにより、ボルト18,18の締結により、第1および第2通電バスバー16a,16bと共に熱容量増加部品20,20も固定される。即ち、実施形態1では、第1および第2通電バスバー16a,16bと熱容量増加部品20,20とが一体的に形成されていることから、部品点数が増加することが回避される。また、熱容量増加部品が第1および第2通電バスバー16a,16bに対して別体とされる場合に比べて、組付作業性を向上することができる。
【0061】
特に、実施形態1では、ボルト締結部72,72の上端部が外側(前方)に折り返されて重ね合されている。これにより、ボルト締結部の上端部を内側に折り返す場合に比べて、第1および第2接続部14a,14bから外部接続部76やヒューズ接続部86に至る電気的な経路を短くすることができる。これにより、通電に伴う導通抵抗が増大することが回避される。また、第1および第2接続部14a,14bから伝熱部74,74に至る熱的な経路も短くすることができる。これにより、第1および第2接続部14a,14bにおける発熱が伝熱部74,74を通じてより速やかに放熱される。
【0062】
また、第1および第2通電バスバー16a,16bには、熱容量増加部品20,20(ボルト締結部72,72の上端部)の重ね合わせ状態を保持する保持部80,80が設けられている。それゆえ、熱容量増加部品20,20とボルト締結部72,72との間、要するに相互に重ね合わされるボルト締結部72,72の上端部と下端部との間に隙間が生じることがなく、熱容量増加部品20,20が設けられる位置における熱容量を安定して増加させることができる。
【0063】
なお、熱容量増加部品20(第1および第2通電バスバー16a,16b)の線膨張係数は、ボルト18,18の線膨張係数に対して1/3倍~3倍の範囲内に設定されることが好ましい。また、熱容量増加部品20(第1および第2通電バスバー16a,16b)の線膨張係数は、ボルト18,18の線膨張係数に対して1/2倍~2倍の範囲内に設定されることがより好ましい。更に、熱容量増加部品20(第1および第2通電バスバー16a,16b)の線膨張係数は、ボルト18,18の線膨張係数に対して2/3倍~3/2倍の範囲内に設定されることがより好ましい。更にまた、熱容量増加部品20(第1および第2通電バスバー16a,16b)の線膨張係数は、ボルト18,18の線膨張係数と等しくされることが最も好ましい。ボルト18,18の線膨張係数に対する熱容量増加部品20(第1および第2通電バスバー16a,16b)の線膨張係数を1/3倍~3倍と比較的近づけて設定することで、リレー12の発熱時におけるボルト18,18のゆるみを抑えることができる。ちなみに、例えば第1および第2通電バスバー16a,16bが銅により形成されて、且つボルト18,18が鉄により形成される場合、ボルト18,18の線膨張係数に対する熱容量増加部品20,20の線膨張係数は、およそ1.4倍である。
【0064】
特に、熱容量増加部品20(第1および第2通電バスバー16a,16b)とボルト18,18との線膨張係数を等しく、即ち熱容量増加部品20(第1および第2通電バスバー16a,16b)とボルト18,18が同じ材質であることで、リレー12の発熱時におけるボルト18,18のゆるみを一層抑えることができる。
【0065】
<実施形態2>
以下、本開示の実施形態2について、図6,7を参照しつつ説明する。実施形態2の回路構成体120は、前記実施形態1における回路構成体10と比べて、基本的な構造は同様であるが、熱容量増加部品122,122が、通電部材である第1および第2通電バスバー124a,124bと別体とされている点で異なっている。以下の説明において、前記実施形態と実質的に同一の部材および部位には、図中に、前記実施形態と同一の符号を付すことにより詳細な説明を省略する。なお、図6,7では、回路構成体120を、ケース22を構成する蓋部材30を取り外した状態で示す。
【0066】
実施形態2における熱容量増加部品122は、矩形ブロック状である。熱容量増加部品122の略中央部分には、前後方向に貫通する貫通孔126が形成されている。熱容量増加部品122の材質は、組み付けられた際に、第1および第2通電バスバー124a,124b、ひいては第1および第2接続部14a,14bの熱容量が増加するものであれば限定されるものではないが、熱伝導率が高い金属であることが好ましい。熱容量増加部品122の材質としては、鉄、銅、アルミニウム、およびそれらの合金等がより好適に採用される。実施形態2では、熱容量増加部品122が、金属により形成されている。なお、熱容量増加部品122は、銅や鉄よりも比重の軽い金属により形成されていることが望ましい。比重の軽い金属とすることによりボルト18の振動の影響を小さくすることができるからである。
【0067】
実施形態2の熱容量増加部品122は、ボルト18により、第1および第2通電バスバー124a,124bと共にリレー12に固定される。即ち、リレー12の第1および第2接続部14a,14bと、第1および第2通電バスバー124a,124bのボルト挿通孔82と、熱容量増加部品122の貫通孔126とを相互に位置合わせする。そして、ボルト18を挿通して締結することで、熱容量増加部品122,122が、第1および第2通電バスバー124a,124bと共にリレー12に固定される。これにより、熱容量増加部品122,122が、第1および第2通電バスバー124a,124bと第1および第2接続部14a,14bとの締結部位Aに熱的に接触している。特に、実施形態2においても、熱容量増加部品122は、第1および第2通電バスバー124a,124bのボルト締結部72において、第1および第2接続部14a,14bへの接触面78と反対側の面である前面79に重ね合わされている。なお、前記実施形態1では、ボルト締結部72の上端部が折り返されて第1および第2通電バスバー16a,16bにおけるボルト18の締結部位が2枚分の厚さ寸法であったが、実施形態2の第1および第2通電バスバー124a,124bにおけるボルト18の締結部位は1枚分の厚さ寸法である。
【0068】
実施形態2の回路構成体120においても、熱容量増加部品122が設けられることで、リレー12の第1および第2接続部14a,14bと第1および第2通電バスバー124a,124bとの締結部位Aにおける熱容量が増加することから、リレー12の発熱が抑えられる。それゆえ、前記実施形態1と同様の効果が発揮される。
【0069】
特に、実施形態2の回路構成体120では、熱容量増加部品122が第1および第2通電バスバー124a,124bとは別体であることから、熱容量増加部品122の材質として、第1および第2通電バスバー124a,124bよりも熱容量を増加させやすい材質を採用することも可能である。或いは、熱容量増加部品122の材質として、ボルト18と同じ材質(例えば、鉄)を採用することで、リレー12の発熱時のボルト18のゆるみを低減することも可能である。熱容量増加部品122の形状としても、矩形ブロック形状に限定されるものではなく、単にバスバーのような平板形状でもよいし、熱容量を増加させやすい形状であったり、発熱時のボルト18のゆるみを抑えることができる形状であってもよい。
【0070】
また、実施形態2においても、熱容量増加部品122が、第1および第2通電バスバー124a,124bのボルト締結部72における前面79に重ね合わされて設けられている。それゆえ、第1および第2接続部14a,14bから外部接続部76やヒューズ接続部86に至る電気的な経路や伝熱部74,74に至る熱的な経路が短くされて、導通抵抗の増大を防止したり、速やかな伝熱を図ることができる。
【0071】
<実施形態3>
以下、本開示の実施形態3について、図8,9を参照しつつ説明する。実施形態3の回路構成体130は、前記実施形態2における回路構成体120と比べて、基本的な構造は同様であるが、熱容量増加部品122に代えて、熱容量増加部品としての金属製のキャップ132,132が、ボルト18に装着されているという点で異なっている。なお、実施形態3では、前記実施形態2と同様の構造の第1および第2通電バスバー124a,124bが採用されている。また、図8,9では、回路構成体130を、ケース22を構成する蓋部材30を取り外した状態で示す。
【0072】
すなわち、実施形態3では、熱容量増加部品が、ボルト18の頭部に装着されるキャップ132によって構成されている。したがって、キャップ132には、ボルト18の頭部を収容する収容凹部136が形成されている。これにより、キャップ132が、第1および第2通電バスバー124a,124bと第1および第2接続部14a,14bとの締結部位Aに対して、ボルト18を介して熱的に接触している。実施形態3では、キャップ132が、熱伝導率の高い金属によって形成されている。キャップ132は、例えば鉄や銅、アルミニウム、およびそれらの合金等によって好適に形成される。要するに、熱容量増加部品は、締結部材(ボルト18)によって通電部材(第1および第2通電バスバー)と共に発熱部材(リレー12)に固定される態様に限定されるものではない。
【0073】
このキャップ132は、ボルト18により第1および第2通電バスバー124a,124bをリレー12の第1および第2接続部14a,14bに固定した後、ボルト18の頭部に装着される。或いは、キャップ132をボルト18の頭部に装着した後に、このボルト18により第1および第2通電バスバー124a,124bをリレー12の第1および第2接続部14a,14bに固定してもよい。キャップ132における収容凹部136よりも外周側の部分は、第1および第2通電バスバー124a,124bにおけるボルト締結部72の前面79に当接していてもよいし、当接していなくてもよい。
【0074】
なお、キャップ132の収容凹部136の内面と、ボルト18の頭部との間には、熱伝導部材である熱伝導グリース138が設けられることが好適である。これにより、例えば製造誤差等によりキャップ132とボルト18との間に隙間が生じたとしても、ボルト18からキャップ132への伝熱が安定して実現される。
【0075】
実施形態3の回路構成体130では、リレー12と第1および第2通電バスバー124a,124bとを固定するボルト18に第1および第2接続部14a,14bの熱容量を増加させるキャップ132が設けられている。この結果、リレー12の発熱時におけるボルト18、ひいては第1および第2接続部14a,14bの温度上昇がキャップ132により抑制される。
【0076】
特に、実施形態3では、キャップ132が金属であることから、熱容量を簡単に大きくすることができる。また、キャップ132が、第1および第2通電バスバー124a,124bやボルト18とは別部材とされていることから、キャップ132の材質として、第1および第2通電バスバー124a,124bやボルト18よりも熱容量を増加させやすい材質を採用することも可能となる。なお、キャップ132とボルト18の線膨張係数を近い値にする、またはキャップ132とボルト18の材質を同じとすることで、リレー12の発熱時にキャップ132とボルト18との間に隙間を生じにくくさせることも可能である。なお、キャップ132は、銅や鉄よりも比重の軽い金属により形成されていることが望ましい。比重の軽い金属とすることによりボルト18の振動の影響を小さくすることができるからである。
【0077】
<実施形態4>
以下、本開示の実施形態4について、図10を参照しつつ説明する。実施形態4の回路構成体140は、前記実施形態1の回路構成体10と比べて、基本的な構造は同様であるが、熱容量増加部品としての合成樹脂製のキャップ142が、ボルト18に装着されているという点で異なっている。即ち、キャップ142が、第1および第2通電バスバー16a,16bと第1および第2接続部14a,14bとの締結部位Aに対して、ボルト18を介して熱的に接触している。なお、図10では、回路構成体140を、ケース22を構成する蓋部材30を取り外した状態で示す。
【0078】
実施形態4の回路構成体140においても、リレー12と第1および第2通電バスバー16a,16bとを固定するボルト18に第1および第2接続部14a,14bの熱容量を増加させるキャップ142が装着されていることから、前記実施形態1の熱容量増加部品20に加えて、キャップ142による温度上昇の抑制効果も追加される。特に、実施形態4では、金属よりも比較的柔らかい合成樹脂製のキャップ142が採用されていることから、ボルト18の頭部とキャップ142とを略隙間なく密着させることができて、キャップ142とボルト18の頭部との接触面積を十分に確保することができる。これにより、ボルト18からキャップ142に安定して熱を伝えることができる。更に、合成樹脂製のキャップ142を採用することでボルト18の頭部における電気絶縁性も確保される。
【0079】
<他の実施形態>
本明細書に記載された技術は上記記述および図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本明細書に記載された技術の技術的範囲に含まれる。
【0080】
(1)前記実施形態では、発熱部品であるリレー12の第1および第2接続部14a,14bと第1および第2通電バスバー16a,124a,16b,124bとの締結部位Aに熱容量増加部品20,122およびキャップ132,142が設けられていたが、これに限定されない。通電により発熱するヒューズや電流センサの接続部と通電部材(例えば、前記実施形態における第2~第4通電バスバー)との締結部位に熱容量増加部品が設けられてもよい。即ち、本開示に係る発熱部品は、リレーに代えて、または加えて、ヒューズや電流センサであってもよい。なお、発熱部品は、複数設けられる必要はなく、少なくとも1つ設けられればよい。
【0081】
(2)前記実施形態3では、熱容量増加部品として、前記実施形態1の熱容量増加部品20に代えてキャップ132が採用されていたが、キャップ132は、前記実施形態1,2における熱容量増加部品20,122に加えて採用してもよい。
【0082】
(3)前記実施形態の熱容量増加部品20,122およびキャップ132,142は、前記実施形態4以外の態様をもって、少なくとも2つを組み合わせて採用してもよい。即ち、例えばリレーの第1および第2接続部と第1および第2通電バスバーとの締結部位に前記実施形態1および2のような熱容量増加部品を組み合わせて採用してもよい。或いは、リレーの第1および第2接続部と第1および第2通電バスバーとの締結部位に前記実施形態1や2のような熱容量増加部品を採用すると共に、ヒューズや電流センサの接続部と通電部材との締結部位に前記実施形態3や4のような熱容量増加部品を設けてもよい。
【0083】
(4)前記実施形態では、リレー12における第1および第2接続部14a,14bと第1および第2通電バスバー16a,124a,16b,124bとの締結部位Aのそれぞれに熱容量増加部品20,122や熱容量増加部品としてのキャップ132,142が設けられていたが、これに限定されない。熱容量増加部品は、少なくとも一方の接続部と通電部材との締結部位に設けられればよい。なお、ヒューズや電流センサにおける接続部と通電部材との締結部位に熱容量増加部品が設けられる場合も同様である。
【0084】
(5)通電により発熱する部品(例えば、実施形態中のリレー12、ヒューズ24、電流センサ26)からの熱を放熱する放熱機構(例えば、伝熱部74,102,112や熱伝導シート114,116等)は必須なものではない。放熱機構を設ける場合であっても、前記実施形態のような構造に限定されるものではなく、従来公知の放熱機構が採用される。例えば、ケース(例えば、ベース部材の底壁)に貫通孔を設けて、伝熱部が直接、または熱伝導部材(例えば、熱伝導シート)を介して放熱体に熱的に接触するようになっていてもよい。
【0085】
(6)前記実施形態では、リレー12、ヒューズ24、電流センサ26、第1~第4通電バスバー16a,124a,16b,124b,90,92は、何れも蓋部材30に固定されていたが、少なくとも1つはベース部材に固定されてもよい。
【0086】
(7)前記実施形態では、締結部材としてボルト18を例示したが、ボルトに限定されるものではなく、リベット等、通電部材と接続部を締結することのできる従来公知の締結部材を採用することができる。
【0087】
(8)本開示に係る熱容量増加部品は、前記実施形態で例示した形状や材質に限定されるものではなく、設けられることで通電部材単体の場合よりも熱容量が大きくなるものであれば、形状や材質は限定されるものではない。
【符号の説明】
【0088】
10 回路構成体(実施形態1)
12 リレー(発熱部品)
14 接続部
14a 第1接続部
14b 第2接続部
16 通電バスバー(通電部材)
16a 第1通電バスバー
16b 第2通電バスバー
18 ボルト(締結部材)
20 熱容量増加部品
22 ケース
24 ヒューズ
26 電流センサ
28 ベース部材
30 蓋部材
32 底壁
34 周壁
36 第1収容凹部
38 段差
40 第2収容凹部
42 段差
44 上底壁
46 周壁
48a,48b 開口部
50 ボルト挿通孔
52 リレー本体
54 絶縁板
56 脚部
60 ヒューズ本体
62 接続部
66 センサ本体
68 接続部
72 ボルト締結部
74 伝熱部
76 外部接続部
78 接触面
79 前面(接触面と反対側の面)
80 保持部
82,84 ボルト挿通孔
86 ヒューズ接続部
88 ボルト挿通孔
90 第3通電バスバー
92 第4通電バスバー
94 ヒューズ接続部
96 センサ接続部
102 伝熱部
104 センサ接続部
106 外部接続部
110 ボルト挿通孔
112 伝熱部
114 熱伝導シート(熱伝導部材)
116 熱伝導シート
118 放熱体
120 回路構成体(実施形態2)
122 熱容量増加部品
124a 第1通電バスバー(通電部材)
124b 第2通電バスバー(通電部材)
126 貫通孔
130 回路構成体(実施形態3)
132 キャップ(熱容量増加部品)
136 収容凹部
138 熱伝導グリース(熱伝導部材)
140 回路構成体(実施形態4)
142 キャップ(熱容量増加部品)
A 締結部位
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10