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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023121885
(43)【公開日】2023-09-01
(54)【発明の名称】床用目地装置及び中央維持装置
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/68 20060101AFI20230825BHJP
【FI】
E04B1/68 100A
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022025213
(22)【出願日】2022-02-22
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000110365
【氏名又は名称】ドーエイ外装有限会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080838
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 光康
(74)【代理人】
【識別番号】100194261
【弁理士】
【氏名又は名称】栢原 崇行
(72)【発明者】
【氏名】後藤 英夫
【テーマコード(参考)】
2E001
【Fターム(参考)】
2E001PA03
2E001PA12
(57)【要約】      (修正有)
【課題】係合ピン等にかかる荷重を分散できるとともに、中央維持装置と棒状部材とが干渉することを防止でき、地震による揺れを吸収できる床用目地装置を提供する。
【解決手段】一方の躯体3と他方の躯体4との間の目地部2を塞ぐ床用目地装置1において、一方の躯体3に設けられた第1の目地プレート支持部5と、他方の躯体4に設けられた第2の目地プレート支持部6と、一端部が第1の目地プレート支持部5に支持されていると共に、他端部が前記第2の目地プレート支持部6に支持され、かつ目地部2を塞ぐ目地プレート7と、目地プレート7の略中央部を目地部2の略中央部に位置させる複数個の中央維持装置10とで構成され、中央維持装置10は、一端部が一方の躯体3に前後方向にスライド移動可能に設けられていると共に、他端部が他方の躯体4に回動可能に取り付けられた長杆部材と、一端部が一方の躯体3に前後方向にスライド移動可能に設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の躯体と他方の躯体との間の目地部を塞ぐ床用目地装置において、前記一方の躯体に設けられた第1の目地プレート支持部と、前記他方の躯体に設けられた第2の目地プレート支持部と、一端部が第1の目地プレート支持部に支持されていると共に、他端部が前記第2の目地プレート支持部に支持され、かつ前記目地部を塞ぐ目地プレートと、前記目地プレートの略中央部を前記目地部の略中央部に位置させる複数個の中央維持装置とで構成され、
前記中央維持装置は、一端部が前記一方の躯体に前後方向にスライド移動可能に設けられていると共に、他端部が前記他方の躯体に回動可能に取り付けられた長杆部材と、一端部が前記一方の躯体に前後方向にスライド移動可能に設けられていると共に、他端部が前記他方の躯体に回動可能に取り付けられたパンタグラフ状のリンク機構と、前記リンク機構に設けられ、その中央部が常時目地部の中央部に位置し、前記目地プレートと接続される接続部とで構成され、前記長杆部材は、前記リンク機構を構成するリンクの1つを兼ねることを特徴とする床用目地装置。
【請求項2】
一方の躯体と他方の躯体との間の目地部を塞ぐ床用目地装置において、前記一方の躯体に設けられた第1の目地プレート支持部と、前記他方の躯体に設けられた第2の目地プレート支持部と、一端部が第1の目地プレート支持部に支持されていると共に、他端部が前記第2の目地プレート支持部に支持され、かつ前記目地部を塞ぐ目地プレートと、前記目地プレートの底部の左右方向の略中央部に設けられ下方へ延在する棒状の挿入部材と、前後方向に延在し、前記挿入部材が上下方向に摺動可能に挿入される被挿入部を有する桁部材と、前記桁部材に接続部が接続され、前記接続部が前記目地部の略中央部に常時位置し、前記目地プレートの略中央部を前記目地部の略中央部に位置させる複数個の中央維持装置とで構成され、
前記中央維持装置は、一端部が前記一方の躯体に前後方向にスライド移動可能に設けられていると共に、他端部が前記他方の躯体に回動可能に取り付けられた長杆部材と、一端部が前記一方の躯体に前後方向にスライド移動可能に設けられていると共に、他端部が前記他方の躯体に回動可能に取り付けられたパンタグラフ状のリンク機構と、前記リンク機構に設けられ、その中央部が常時目地部の中央部に位置し、前記目地プレートと接続される接続部とで構成され、前記長杆部材は、前記リンク機構を構成するリンクの1つを兼ねることを特徴とする床用目地装置。
【請求項3】
一方の躯体と他方の躯体の間の目地部を塞ぐ目地プレートの略中央部を前記目地部の略中央部に位置させる中央維持装置において、
前記一方の躯体に一端部が前後方向にスライド移動可能に設けられ、他端部が前記他方の躯体に回動可能に取り付けられた長杆部材と、一端部が前記一方の躯体に前後方向にスライド移動可能に設けられ、他端部が前記他方の躯体に回動可能に取り付けられたパンタグラフ状のリンク機構と、前記リンク機構に設けられ、その中央部が常時目地部の中央部に位置し、前記目地プレートと接続される接続部とで構成され、前記長杆部材は、前記リンク機構を構成するリンクの1つを兼ねることを特徴とする中央維持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は躯体の間の目地部を塞ぐ床用目地装置及びこの床用目地装置に用いられる目地プレートの中央部を目地部の略中央部に位置させる中央維持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一方の躯体と他方の躯体の床面間の目地部を塞ぐ床用目地装置としては、例えば「目地部を介した左右の床躯体に、該目地部の幅寸法のほぼ半分の寸法で反目地部側に傾斜面が形成された左右の目地プレート支持凹部と、この左右の目地プレート支持凹部を覆うように並列された複数個の目地プレートと、前記左右の目地プレート支持凹部の下部位置の目地部側の前記左右の床躯体にほぼ水平状態で固定された少なくとも一対のガイドレール、この少なくとも一対のガイドレールに両端部がスライド移動可能に取付けられ、中央部が枢支された少なくとも2個以上のX字状の支持リンク、この少なくとも2個以上のX字状の支持リンクの中央枢支部に枢支ピンで枢支された中央維持バー、前記複数個の目地プレートのほぼ中央部の両側寄りの部位にそれぞれ固定された、前記中央維持バーに形成されたピン挿入孔へスライド移動可能に挿入される目地プレートを移動させる係合ピンとからなる目地プレート中央維持機構とを備えることを特徴とする床用目地装置」が知られている(特許文献1)。
【0003】
このような床用目地装置では、2個以上のX字状の支持リンクを用いており、この支持リンクを構成するバー部材は目地部の左右方向の寸法よりも長く形成する必要があり、上下方向や前後方向にたわんでしまい、中央維持バーを正確に目地部の中央に位置させることが難しいという欠点があった。
【0004】
また、支持リンクの長さが長くなり、移動範囲も広くなるため、目地プレート中央維持機構を設けることができる数が制限されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010-7287号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は以上のような従来の問題点に鑑み、目地プレートの中央部分を確実に目地部の中央に位置させ、かつ、地震による揺れ動きを確実に吸収できる床用目地装置及び目地プレート用中央維持装置を提供することを目的としている。
【0007】
本発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴は次の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、より完全に明らかになるであろう。
ただし、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に記載の床用目地装置は、一方の躯体と他方の躯体との間の目地部を塞ぐ床用目地装置において、前記一方の躯体に設けられた第1の目地プレート支持部と、前記他方の躯体に設けられた第2の目地プレート支持部と、一端部が第1の目地プレート支持部に支持されていると共に、他端部が前記第2の目地プレート支持部に支持され、かつ前記目地部を塞ぐ目地プレートと、前記目地プレートの略中央部を前記目地部の略中央部に位置させる複数個の中央維持装置とで構成され、前記中央維持装置は、一端部が前記一方の躯体に前後方向にスライド移動可能に設けられていると共に、他端部が前記他方の躯体に回動可能に取り付けられた長杆部材と、一端部が前記一方の躯体に前後方向にスライド移動可能に設けられていると共に、他端部が前記他方の躯体に回動可能に取り付けられたパンタグラフ状のリンク機構と、前記リンク機構に設けられ、その中央部が常時目地部の中央部に位置し、前記目地プレートと接続される接続部とで構成され、前記長杆部材は、前記リンク機構を構成するリンクの1つを兼ねることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の床用目地装置は、一方の躯体と他方の躯体との間の目地部を塞ぐ床用目地装置において、前記一方の躯体に設けられた第1の目地プレート支持部と、前記他方の躯体に設けられた第2の目地プレート支持部と、一端部が第1の目地プレート支持部に支持されていると共に、他端部が前記第2の目地プレート支持部に支持され、かつ前記目地部を塞ぐ目地プレートと、前記目地プレートの底部の左右方向の略中央部に設けられ下方へ延在する棒状の挿入部材と、前後方向に延在し、前記挿入部材が上下方向に摺動可能に挿入される被挿入部を有する桁部材と、前記桁部材に接続部が接続され、前記接続部が前記目地部の略中央部に常時位置し、前記目地プレートの略中央部を前記目地部の略中央部に位置させる複数個の中央維持装置とで構成され、前記中央維持装置は、一端部が前記一方の躯体に前後方向にスライド移動可能に設けられていると共に、他端部が前記他方の躯体に回動可能に取り付けられた長杆部材と、一端部が前記一方の躯体に前後方向にスライド移動可能に設けられていると共に、他端部が前記他方の躯体に回動可能に取り付けられたパンタグラフ状のリンク機構と、前記リンク機構に設けられ、その中央部が常時目地部の中央部に位置し、前記目地プレートと接続される接続部とで構成され、前記長杆部材は、前記リンク機構を構成するリンクの1つを兼ねることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の中央維持装置は、一方の躯体と他方の躯体の間の目地部を塞ぐ目地プレートの略中央部を前記目地部の略中央部に位置させる中央維持装置において、前記一方の躯体に一端部が前後方向にスライド移動可能に設けられ、他端部が前記他方の躯体に回動可能に取り付けられた長杆部材と、一端部が前記一方の躯体に前後方向にスライド移動可能に設けられ、他端部が前記他方の躯体に回動可能に取り付けられたパンタグラフ状のリンク機構と、前記リンク機構に設けられ、その中央部が常時目地部の中央部に位置し、前記目地プレートと接続される接続部とで構成され、前記長杆部材は、前記リンク機構を構成するリンクの1つを兼ねることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙する効果が得られる。
(1)請求項1乃至請求項3に記載の各発明においては、長杆部材がリンク機構を構成するリンクの1つを兼ねることにより、リンク機構及び長杆部材が相互に補強し、長杆部材やリンク機構が上下方向にたわむことを防止することができる。
したがって、確実に接続部を目地部の略中央部に位置させることができる。
(2)長杆部材がリンク機構を構成するリンクの1つを兼ねることにより、リンク機構の前後方向の移動範囲も比較的小さくできるため、複数個のリンク機構を設けることができる。
したがって、かかる荷重を適切に分散でき目地プレートを安定して中央に位置させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1乃至図7は本発明の第1の実施形態を示す説明図である。
図8乃至図10は本発明の第2の実施形態を示す説明図である。
図1】第1の実施形態の床用目地装置の平面図。
図2図1の2-2線に沿う断面図。
図3図1の3-3線に沿う断面図。
図4】目地プレートの説明図。
図5】第1の実施形態の中央維持装置の説明図。
図6】地震で目地部が狭くなった状態の説明図。
図7】地震で目地部が広くなった状態の説明図。
図8】第2の実施形態の床用目地装置の平面図。
図9図8の9-9線に沿う断面図。
図10】第2の実施形態の中央維持装置の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面に示す本発明を実施するための形態により、本発明を詳細に説明する。
【0014】
図1乃至図7に示す本発明を実施するための第1の形態において、1は一方の躯体3と他方の躯体4との間の目地部2を塞ぐ床用目地装置である。すなわち、図1を参照にすると、床用目地装置1は目地部2を介して左右に設けられた一方の躯体3と他方の躯体4間に設置される床用目地装置である。
【0015】
なお、左右方向とは図1における左右方向であり、前後方向とは図1における上(後)下(前)方向をいい、上下方向とは図2における上下方向をいう。また正面視は、図2を基準とする。
【0016】
また、本発明において躯体とは、建物、道路、スラブ、エレベーターシャフト等の目地プレートを設置可能な建造物をいい、出入口とはドアや扉の設けられた出入口だけではなく、人や車両等が通行できる通路も含むものである。
【0017】
この床用目地装置1は、例えば図1乃至図3に示すように、一方の躯体3に設けられた第1の目地プレート支持部5と、前記他方の躯体4に設けられた第2の目地プレート支持部6と、一端部が第1の目地プレート支持部5に支持され、他端部が前記第2の目地プレート支持部6に支持された複数個の目地プレート7と、前記目地プレート7の底部に設けられ、かつ下方へ略垂下状態に延在する棒状の挿入部材8と、前記一方の躯体3の目地部側壁面3aに一端部が前後方向に回動可能に取り付けられ、他端部が前記他方の躯体4の目地部側壁面4aに前後方向に回動可能に取り付けられ、その略中央部に位置する接続部9が前記目地部2の略中央部に常時位置する複数個の中央維持装置10と、前記中央維持装置10の接続部9に接続され、前後方向に延在する桁部材11と、前記桁部材11に設けられ、前記挿入部材8が上下方向に摺動可能に挿入される筒状の被挿入部材12とで構成されている。
【0018】
一方の躯体3の床面には、凹所状の第1の目地プレート支持部5が設けられており、他方の躯体4の床面にも前記第1の目地プレート支持部5と同様の構成の第2の目地プレート支持部6が形成されている。この第1の目地プレート支持部5及び第2の目地プレート支持部6の目地部2と反対側の端部には、目地部2が狭くなった際に目地プレート7が乗り上げる乗り上げ傾斜面13が形成されている。
なお、第1の目地プレート支持部5、第2の目地プレート支持部6、乗り上げ傾斜面13の全体又は一部やこれらの部位のうち任意の部位のみを金属板等の補強手段で覆ってもよい。
【0019】
目地プレート7は、例えば図4に示すように、浅皿状の目地プレート本体14と、前記目地プレート本体14の底部の左右方向の略中央部に設けられた棒状の挿入部材8と、前記目地プレート本体14に充填されたセメントやモルタル等の充填部材15と、前記充填部材15の上部を覆うように設けられた化粧部材16と、目地プレート本体14の両端部にヒンジ部材17を介して設けられたカバープレート18とで構成されている。
【0020】
挿入部材8は、本実施形態においては、下方へ延在する丸棒状の部材で、目地プレート7の底部の左右方向及び前後方向の略中央部に1つ設けられている。この挿入部材8の長さは、目地プレート7が地震によって上方へせり上がった場合に、後述する被挿入部材12から脱落しない程度の長さ、好ましくは、目地プレート7が地震によって上方へせり上がった場合であっても被挿入部材12に100mm程度挿入された状態となる程度の長さに形成することが望ましい。なお、挿入部材8はパイプ状、角棒状、角パイプ状等の形状にすることができ、長尺のバー状であれば断面形状は任意の形状とすることができる。
なお、挿入部材8は1つの目地プレート7に対して複数個設けてもよい。
【0021】
化粧部材16は、石材や板材で構成される化粧板や人工芝等を用いることができる。なお、カバープレート18の上面にも化粧部材16を設けることができ、カバープレート18の上面に化粧部材16を設けることで、より美観を向上させることができる。
【0022】
目地プレート7に用いられる本発明の中央維持装置10は、図5に示すように、一方の躯体3に一端部が前後方向にスライド移動可能に設けられ、他端部が前記他方の躯体4に前後方向に回動可能に取り付けられた長杆部材19と、一端部が前記一方の躯体3に前後方向にスライド移動可能に取り付けられ、他端部が前記他方の躯体4に前後方向に回動可能に取り付けられたパンタグラフ状のリンク機構20と、前記リンク機構20に接続され、その中央部が常時目地部の中央部に位置する接続部9とで構成されている。
【0023】
長杆部材19は、一方の躯体3と他方の躯体4の間に平面視において斜め状態でかつ略水平姿勢を維持した状態で架け渡されており、一端部側は一方の躯体3の壁面3aに設けられたガイドレール21にローラー等の滑動部材22を介して一方の躯体3に前後方向にスライド移動可能に設けられている。このガイドレール21は断面視略クランク形状の部材で、一方の躯体3の目地部側の壁面3aに前後方向に延在するように設けられている。なお、断面視略チャンネル形状等のガイドレール21や2つ以上の部品で構成されるレール状の部材をガイドレール21として用いてもよい。
【0024】
この長杆部材19の他端部側は他方の躯体4の壁面4aに回動可能に設けられており、この他端部には、リンク機構20を構成するリンク23の端部もともに枢支ピン24によって枢支されている。
【0025】
リンク機構20は、一端部が前記ガイドレール21に滑動部材22を介して間接的に前後方向にスライド移動可能に設けられ、他端部が他方の躯体4の壁面に取付金具を介して間接的に回動可能に枢支状態で取り付けられている。このリンク機構20は平面視において略四角形状に形成されており、他方の躯体4に端部が枢支されているリンク23のうち、1つのリンク23を長杆部材19が兼ねている。具体的には、長杆部材19の略中間部分に一方の躯体に一端部が取り付けられたリンク23の他端部が枢支され、長杆部材19の中間部分までの部位と3つのリンク23によって略四角形状のリンク機構20が構成されている。
【0026】
また、対向するリンク23の略中間部分に架け渡された状態でバー部材25が枢支されており、このバー部材25の中央部分に接続部9が設けられている。
本実施形態においては、このバー部材25の中央部分に枢支されたピン部材9が接続部9となり、前記ピン部材9が桁部材11に接続され、桁部材11が常時目地部2の略中央部に位置する。
【0027】
この中央維持装置10は、前後方向に所定間隔を有して複数個が設けられている。
【0028】
桁部材11は、本実施形態においては、角パイプ又は角棒状の部材で、その左右方向の略中央部に前記接続部9としてのピン部材9が固定的又は着脱自在に接続される。
【0029】
この桁部材11には、挿入部材8が略嵌合状態で挿入されるパイプ状の被挿入部材12が所定間隔を有して複数個設けられている。
【0030】
被挿入部材12は、挿入部材8が上下方向に摺動可能で、かつ、略嵌合状態となるような孔形状を有するパイプ状の部材で、本実施形態においては、丸パイプ状に形成されており、桁部材11の板厚よりも下方に延在するように設けられている。この被挿入部材12の下端部は開放されており、挿入部材8が被挿入部材12の下端部よりも下方へ突出してもよい。このように挿入部材8を貫通状態で設けることも可能であるので被挿入部材12の長さは挿入部材8の長さより短くてもよいが、少なくとも200mm程度の長さを有することが望ましい。
【0031】
地震で左右の躯体3、4が左右方向に揺れ動き目地部2が狭くなると、図7に示すように、目地プレート7の両端部が第1の目地プレート支持部5及び第2の目地プレート支持部6の乗り上げ傾斜面13により、目地プレート7が略水平状態を保ったまま略垂直に上方にせり上がり、地震による揺れ動きを吸収する。このとき、挿入部材8は被挿入部材12から脱落しない程度の長さ、好ましくは、被挿入部材12に100mm程度挿入された状態となる程度の長さに形成することが望ましい。
【0032】
地震で躯体3、4が左右方向に揺れ動き目地部2が広くなると、図7に示すように、目地プレート7の両端部が第1の目地プレート支持部5及び第2の目地プレート支持部6を左右方向にスライド移動し、地震による揺れ動きを吸収する。
【0033】
なお、地震で躯体3、4が異なる前後方向に揺れ動いた場合には、中央維持装置10の一端部が前後方向にスライド移動するとともに他端部が前後方向に回動するとともに目地プレートの両端部が第1の目地プレート支持部5及び第2の目地プレート支持部6を前後方向にスライド移動し、地震による揺れ動きを吸収する。本願発明では、挿入部材8と長尺の被挿入部材12が略嵌合状態となっているため、挿入部材8等にかかる荷重を分散することができる。
【0034】
[発明を実施するための異なる形態]
次に、図8乃至図10に示す本発明を実施するための異なる形態につき説明する。なお、これらの本発明を実施するための異なる形態の説明に当って、前記本発明を実施するための第1の形態と同一構成部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0035】
図8乃至図10に示す本発明を実施するための第2の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、孔状又は筒状の接続部9Aが形成された中央維持装置10Aを用い、目地プレート7の底面の略中央部に挿入部材8を固定し、この挿入部材8を桁部材11を用いずに直接接続部9Aに挿入して目地プレート7を目地部2の中央に位置させるようにした点で、このような中央維持装置10A及び中央維持装置10Aを用いた床用目地装置1Aにしても、前記本発明を実施するための第1の形態と同様な作用効果が得られる。
【0036】
本実施形態の中央維持装置10Aは、対向するリンク23の略中間部分に架け渡された状態でバー部材25が枢支されており、このバー部材25の中央部分に孔状又は筒状の接続部9Aが設けられており、この接続部9Aに挿入部材8が挿入され、目地プレート7の略中央部を常時目地部2の略中央部に位置させることができる。
【0037】
なお、本発明の実施形態では浅皿状の目地プレート本体を用いた目地プレートを使用するものについて説明したが、その他公知の目地プレートを用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は床用目地装置を製造する産業で利用される。
【符号の説明】
【0039】
1、1A:床用目地装置、 2:目地部、
3:一方の躯体、 4:他方の躯体、
5:第1の目地プレート支持部、 6:第2の目地プレート支持部、
7:目地プレート、 8:挿入部材、
9:接続部、 10、10A:中央維持装置、
11:桁部材、 12:被挿入部材、
13:乗り上げ傾斜面、 14:目地プレート本体、
15:充填部材、 16:化粧部材、
17:ヒンジ部材、 18:カバープレート、
19:長杆部材、 20:リンク機構、
21:ガイドレール、 22:滑動部材、
23:リンク、 24:枢支ピン、
25:バー部材。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10