(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023121888
(43)【公開日】2023-09-01
(54)【発明の名称】3次元映像生成装置及び3次元映像生成方法
(51)【国際特許分類】
H04N 13/106 20180101AFI20230825BHJP
H04N 13/239 20180101ALI20230825BHJP
H04N 13/128 20180101ALI20230825BHJP
A61B 34/00 20160101ALI20230825BHJP
G03B 35/08 20210101ALI20230825BHJP
H04N 13/122 20180101ALI20230825BHJP
【FI】
H04N13/106
H04N13/239
H04N13/128
A61B34/00
G03B35/08
H04N13/122
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022025221
(22)【出願日】2022-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(72)【発明者】
【氏名】生越 大輔
(72)【発明者】
【氏名】福本 誠
(72)【発明者】
【氏名】畑中 正雄
(72)【発明者】
【氏名】小暮 一輝
【テーマコード(参考)】
2H059
5C061
【Fターム(参考)】
2H059AA10
2H059AA17
5C061AA01
5C061AB04
5C061AB06
5C061AB14
5C061AB18
(57)【要約】
【課題】振動が少ない3次元映像データを送信することができる3次元映像送信装置を提供する。
【解決手段】右撮像部3R及び左撮像部3Lは、撮影者と被写体との距離が所定の距離である初期状態で、被写体上に配置した切り出し位置決定用の枠が視野内に位置するように被写体を撮像する。基準となる一方の画像を処理する右画像処理部5Rと左画像処理部5Lとのうちの一方の画像処理部は、初期状態で、枠の位置が基準となる一方の画像における画像領域における所定の位置と一致するように右画像領域と左画像領域とのうちの一方の画像領域を切り出す。右画像処理部5Rと左画像処理部5Lとのうちの他方の画像を処理する画像処理部は、初期状態で、一方の画像処理部が切り出した一方の画像領域の位置に応じて右画像領域と左画像領域とのうちの他方の画像領域を切り出す。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影者と被写体との距離が所定の距離である初期状態で、前記被写体上に配置した切り出し位置決定用の枠が視野内に位置するように前記被写体を撮像する右撮像部及び左撮像部と、
前記右撮像部より出力される右画像データを構成する各フレームにおける部分的な画像領域である右画像領域を切り出して、右切り出し画像を生成する右画像処理部と、
前記左撮像部より出力される左画像データを構成する各フレームにおける前記右画像領域と同じ大きさを有する部分的な画像領域である左画像領域を切り出して、左切り出し画像を生成する左画像処理部と、
を備え、
前記右画像処理部及び前記左画像処理部は、前記右撮像部で撮像した画像と前記左撮像部で撮像した画像の一方を基準として前記右画像領域の位置と前記左画像領域の位置を決定し、
前記基準となる一方の画像を処理する前記右画像処理部と前記左画像処理部とのうちの一方の画像処理部は、前記初期状態で、前記枠の位置が前記基準となる一方の画像における画像領域における所定の位置と一致するように前記右画像領域と前記左画像領域とのうちの一方の画像領域を切り出し、
前記右画像処理部と前記左画像処理部とのうちの他方の画像を処理する画像処理部は、前記初期状態で、前記一方の画像処理部が切り出した前記一方の画像領域の位置に応じて前記右画像領域と前記左画像領域とのうちの他方の画像領域を切り出す
3次元映像生成装置。
【請求項2】
前記右撮像部及び前記左撮像部は、互いの倍率が同じ倍率となるように連動して動作するズーム機能を備え、
前記右撮像部より出力される右画像データにおける前記枠の位置と前記左撮像部より出力される左画像データにおける前記枠の位置とに基づいて、右画像と左画像との視差量を算出する視差量算出部をさらに備え、
前記初期状態からズーム動作が行われたとき、前記他方の画像処理部は、前記一方の画像処理部が切り出した前記一方の画像領域の水平方向の位置に対し、ズーム動作前後の視差量及びズーム動作前後の枠の大きさの変化率に応じて補正した距離だけずらした位置で前記他方の画像領域を切り出す
請求項1に記載の3次元映像生成装置。
【請求項3】
前記右撮像部及び前記左撮像部は、互いの倍率が同じ倍率となるように連動して動作するズーム機能を備え、
前記右撮像部より出力される右画像データにおける前記枠の位置と前記左撮像部より出力される左画像データにおける前記枠の位置とに基づいて、右画像と左画像との視差量を算出する視差量算出部と、
前記基準となる一方の画像における前記枠の大きさが一定になるように前記右撮像部と前記左撮像部のズーム量を制御する制御部と、
をさらに備え、
前記初期状態からズーム動作が行われたとき、前記他方の画像処理部は、前記一方の画像処理部が切り出した前記一方の画像領域の水平方向の位置に対し、ズーム動作前後の視差量に応じて補正した距離だけずらした位置で前記他方の画像領域を切り出す
請求項1に記載の3次元映像生成装置。
【請求項4】
右撮像部及び左撮像部が、撮影者と被写体との距離が所定の距離である初期状態で、前記被写体上に配置した切り出し位置決定用の枠が視野内に位置するように前記被写体を撮像し、
右画像処理部が、前記右撮像部より出力される右画像データを構成する各フレームにおける部分的な画像領域である右画像領域を切り出して右切り出し画像を生成し、
左画像処理部が、前記左撮像部より出力される左画像データを構成する各フレームにおける前記右画像領域と同じ大きさを有する部分的な画像領域である左画像領域を切り出して左切り出し画像を生成し、
前記右撮像部で撮像した画像と前記左撮像部で撮像した画像のうちの一方を基準として、前記基準となる一方の画像を処理する前記右画像処理部と前記左画像処理部とのうちの一方の画像処理部が、前記初期状態で、前記枠の位置が前記基準となる一方の画像における画像領域における所定の位置と一致するように前記右画像領域と前記左画像領域とのうちの一方の画像領域を切り出し、
前記右撮像部で撮像した画像と前記左撮像部で撮像した画像のうちの他方の画像を処理する前記右画像処理部と前記左画像処理部とのうちの他方の画像処理部が、前記初期状態で、前記一方の画像処理部が切り出した前記一方の画像領域の位置に応じて前記右画像領域と前記左画像領域とのうちの他方の画像領域を切り出す
3次元映像生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3次元映像生成装置及び3次元映像生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、手術室とは離れた遠隔地にいる指導者としての医師が、手術室にいる術者を支援して患者を手術する遠隔手術支援システムが記載されている。特許文献2には、術者の頭部に装着したカメラによって患者の術部を動画撮影することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-271147号公報
【特許文献2】特開2015-20012号公報
【特許文献3】国際公開第2012/131979号
【特許文献4】特開2012-182786号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献2に記載されているカメラをステレオカメラとして、術者が患者を手術する状況を立体的に撮影した3次元映像データを指導者が見る3次元映像表示装置へと送信すれば、指導者は、術者が患者を手術する状況を立体的に把握することが可能となる。
【0005】
術者のわずかな動作または呼吸等によって3次元映像が振動すると、指導者が見る3次元映像も振動した状態となる。すると、指導者が術部を正確に確認できなかったり、映像酔いを引き起こしたりするという不具合を招くことがある。振動が少ない3次元映像を指導者に提供することが望まれる。
【0006】
本発明は、振動が少ない3次元映像データを生成することができる3次元映像生成装置及び3次元映像生成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、撮影者と被写体との距離が所定の距離である初期状態で、前記被写体上に配置した切り出し位置決定用の枠が視野内に位置するように前記被写体を撮像する右撮像部及び左撮像部と、前記右撮像部より出力される右画像データを構成する各フレームにおける部分的な画像領域である右画像領域を切り出して、右切り出し画像を生成する右画像処理部と、前記左撮像部より出力される左画像データを構成する各フレームにおける前記右画像領域と同じ大きさを有する部分的な画像領域である左画像領域を切り出して、左切り出し画像を生成する左画像処理部とを備え、前記右画像処理部及び前記左画像処理部は、前記右撮像部で撮像した画像と前記左撮像部で撮像した画像の一方を基準として前記右画像領域の位置と前記左画像領域の位置を決定し、前記基準となる一方の画像を処理する前記右画像処理部と前記左画像処理部とのうちの一方の画像処理部は、前記初期状態で、前記枠の位置が前記基準となる一方の画像における画像領域における所定の位置と一致するように前記右画像領域と前記左画像領域とのうちの一方の画像領域を切り出し、前記右画像処理部と前記左画像処理部とのうちの他方の画像を処理する画像処理部は、前記初期状態で、前記一方の画像処理部が切り出した前記一方の画像領域の位置に応じて前記右画像領域と前記左画像領域とのうちの他方の画像領域を切り出す3次元映像生成装置を提供する。
【0008】
本発明は、右撮像部及び左撮像部が、撮影者と被写体との距離が所定の距離である初期状態で、前記被写体上に配置した切り出し位置決定用の枠が視野内に位置するように前記被写体を撮像し、右画像処理部が、前記右撮像部より出力される右画像データを構成する各フレームにおける部分的な画像領域である右画像領域を切り出して右切り出し画像を生成し、左画像処理部が、前記左撮像部より出力される左画像データを構成する各フレームにおける前記右画像領域と同じ大きさを有する部分的な画像領域である左画像領域を切り出して左切り出し画像を生成し、前記右撮像部で撮像した画像と前記左撮像部で撮像した画像のうちの一方を基準として、前記基準となる一方の画像を処理する前記右画像処理部と前記左画像処理部とのうちの一方の画像処理部が、前記初期状態で、前記枠の位置が前記基準となる一方の画像における画像領域における所定の位置と一致するように前記右画像領域と前記左画像領域とのうちの一方の画像領域を切り出し、前記右撮像部で撮像した画像と前記左撮像部で撮像した画像のうちの他方の画像を処理する前記右画像処理部と前記左画像処理部とのうちの他方の画像処理部が、前記初期状態で、前記一方の画像処理部が切り出した前記一方の画像領域の位置に応じて前記右画像領域と前記左画像領域とのうちの他方の画像領域を切り出す3次元映像生成方法を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の3次元映像生成装置及び3次元映像生成方法によれば、振動が少ない3次元映像データを生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】一実施形態の3次元映像生成装置を示すブロック図である。
【
図2】3次元映像受信装置の構成例を示すブロック図である。
【
図3】患者を手術する術者を簡略的に示す図である。
【
図4】患者の上に枠を配置した状態で患者を撮影する術者を簡略的に示す図である。
【
図5】患者の上に配置する枠の一例を示す上面図である。
【
図6】術者を指導する指導者を簡略的に示す図である。
【
図7】3次元映像受信装置が3次元映像生成装置に送信する支援画像の一例を示す図である。
【
図8】術者が視認する患者に支援画像が重畳された状態を示す図である。
【
図9】初期状態で、右画像処理部及び左画像処理部が右画像及び左画像のフレームから右切り出し画像及び左切り出し画像を切り出す状態を示す図である。
【
図10】術者が患者に近付いた状態で、右画像処理部及び左画像処理部が右画像及び左画像のフレームから右切り出し画像及び左切り出し画像を切り出す状態を示す図である。
【
図11】ズームを制御して患者を拡大した第1の拡大状態で、右画像処理部及び左画像処理部が右画像及び左画像のフレームから右切り出し画像及び左切り出し画像を切り出す状態を示す図である。
【
図12】術者が患者に近付き、さらにズームを制御して患者を拡大した第2の拡大状態で、右画像処理部及び左画像処理部が右画像及び左画像のフレームから右切り出し画像及び左切り出し画像を切り出す状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、一実施形態の3次元映像生成装置及び3次元映像生成方法について、添付図面を参照して説明する。
図1は一実施形態の3次元映像生成装置100を示す。
図1に示す3次元映像生成装置100と
図2に示す3次元映像受信装置200とは、遠隔手術支援システムを構成している。
【0012】
図1に示すように、3次元映像生成装置100は、制御部1、操作部2、右撮像部3R、左撮像部3L、視差量算出部4、右画像処理部5R、左画像処理部5L、映像信号処理部6、ネットワーク送信部7を備える。また、3次元映像生成装置100は、ネットワーク受信部8、映像表示駆動部9、左右映像表示部10を備える。3次元映像生成装置100は、ネットワーク受信部8、映像表示駆動部9、左右映像表示部10を備えない構成であってもよい。
【0013】
制御部1は、
図3に示す術者110または術者110をサポートする図示していない看護師等が操作部2を操作することによって、右撮像部3R及び左撮像部3Lによる
図3に示す患者120の撮影の開始及び終了を制御する。患者120は、術部に対応する箇所が開口したドレープで覆われている。右撮像部3R及び左撮像部3Lはステレオカメラを構成する。右撮像部3R及び左撮像部3Lは、フォーカスレンズ及びズームレンズを備える。
【0014】
制御部1は、右撮像部3R及び左撮像部3Lにおけるフォーカス及びズームを制御する。制御部1は、操作部2による手動ズームモードとオートズームモードとの選択に応じてモードを切り替えるよう3次元映像生成装置100を制御する。制御部1が3次元映像生成装置100を手動ズームモードに設定しているとき、術者110は、操作部2を操作することによって、右撮像部3R及び左撮像部3Lにおけるズームを手動で調整することができる。
【0015】
左右映像表示部10は、
図3に示すような、現実空間上に仮想の視覚情報を重ねて表示する拡張現実(AR:Augmented Reality)用のゴーグル(以下、ARゴーグル)であるのがよい。右撮像部3R及び左撮像部3Lは、術者110の左目11L及び右目11Rに対応するようにARゴーグルに装着されている。術者110は撮影者である。右撮像部3Rと左撮像部3Lとの距離は左目11Lと右目11Rとの距離と同じであることが好ましいが、多少異なっていても構わない。右撮像部3R及び左撮像部3Lは、術者110の左目11L及び右目11Rに対応する位置から被写体である術部を撮像すればよい。
【0016】
右撮像部3R及び左撮像部3L以外の他の構成は、ARゴーグル内に設けられていてもよいし、ARゴーグルとは別体で手術室の任意の場所に設けられていてもよい。
【0017】
右撮像部3Rより出力された右画像データは、視差量算出部4及び右画像処理部5Rに供給される。左撮像部3Lより出力された左画像データは、視差量算出部4及び左画像処理部5Lに供給される。視差量算出部4は、右画像データと左画像データとに基づいて、右画像と左画像との視差量を算出する。視差量算出部4は、算出した視差量を左画像処理部5Lに供給する。
図1に示す構成例においては、視差量算出部4が算出した視差量を左画像処理部5Lに供給しているが、右画像処理部5Rに供給する構成とすることもできる。
【0018】
図4に示すように、術者110は、患者120の術部を囲うような矩形状の枠130を患者120の上に配置する。右画像処理部5R及び左画像処理部5Lは、後述するように、それぞれ、右画像及び左画像から所定の画像領域を切り出す。枠130は、右画像処理部5R及び左画像処理部5Lが右画像及び左画像から所定の画像領域を切り出すときの切り出し位置決定用の補助具である。
【0019】
図5に示すように、右画像処理部5R及び左画像処理部5Lが切り出し位置を決定するための枠130であることを認識するため、枠130の例えば4つの角部には特定のパターンが描画されている。特定のパターンは
図5に示す例に限定されない。枠130の形状は矩形状に限定されないが、枠130の中心を特定しやすい形状とするのがよい。枠130の材質は限定されない。
【0020】
右画像処理部5R及び左画像処理部5Lがそれぞれ右画像及び左画像から所定の部分的な右画像領域及び左画像領域を切り出した左右の画像データは、映像信号処理部6に供給される。映像信号処理部6は、左右の画像データを合成し、合成された画像データを所定の圧縮符号化方式で圧縮符号化してネットワーク送信部7に供給する。一例として、所定の圧縮符号化方式はH.264/MPEG-4 AVCである。ネットワーク送信部7は、圧縮符号化した画像データを術者左右映像データとして、ネットワークを介して、
図2に示す3次元映像受信装置200に送信する。
【0021】
左右の画像データの合成方法については、左右の画像をフレームごとに交互に配置する方法でもよいし、左右の画像を1つのフレーム内の左右または上下に配置するように結合する方法でもよい。また、左右の画像を合成せずにそれぞれ圧縮して送信してもよい。左右の画像データは、圧縮せずに伝送する構成としてもよい。
【0022】
図2に示すように、3次元映像受信装置200は、ネットワーク受信部21、制御部22、操作部23、記憶部24、復号部25、左右映像表示部26、支援画像生成部27、ネットワーク送信部28を備える。
【0023】
ネットワーク受信部21は、術者左右映像データを受信して制御部22に供給する。制御部22は、術者左右映像データを記憶部24に一時記憶させる。記憶部24は例えばビデオRAMである。復号部25は、記憶部24より読み出された術者左右映像データを復号して、左右の映像データを左右映像表示部26に供給する。
【0024】
左右映像表示部26は、一例として、
図6に示すような、指導者290の左目29L及び右目29R(
図2に図示)を覆うように装着する、仮想現実(VR:Virtual Reality)用のゴーグル(以下、VRゴーグル)である。左右映像表示部26は、3次元表示可能な液晶パネル等の平面型ディスプレイであってもよい。この場合、指導者290は、3次元視認用のいわゆる3D眼鏡を装着する。左目29L及び右目29Rが術者左右映像データの左画像及び右画像を個別に視認することにより、指導者290は術者110が見ている術部を立体的に視認する。
【0025】
ネットワーク受信部21から復号部25までの構成、支援画像生成部27、及びネットワーク送信部28は、VRゴーグル内に設けられていてもよいし、VRゴーグルとは別体で指導者290が位置する部屋内の任意の場所に設けられていてもよい。
【0026】
指導者290が支援画像を選択するか支援画像を描くように操作部23を操作すると、支援画像生成部27は、制御部22による制御に従って支援画像を生成して、ネットワーク送信部28に供給する。支援画像は、記号、文字、線、図形等で構成される。支援画像生成部27は、復号部25より取得した左画像データまたは右画像データに基づき、支援画像のフレーム内の位置を設定する。
【0027】
図7に示す支援画像は星マーク270を含む。星マーク270は支援画像の一例である。ネットワーク送信部28は、支援画像データを、ネットワークを介して3次元映像生成装置100に送信する。ここでは、支援画像生成部27は右映像データのフレーム内に星マーク270が存在する支援画像を生成するとする。
【0028】
図1に戻り、ネットワーク受信部8は、支援画像データを受信して映像表示駆動部9に供給する。映像表示駆動部9は、操作部2によって支援画像を重畳するように指示されていると、制御部1による制御に従って、支援画像データを左右映像表示部10に供給する。ここでは、支援画像は術者110の右目11Rで視認される画像として生成されているので、左右映像表示部10は、右目11Rで視認される現実空間上に仮想の視覚情報としての支援画像を表示する。制御部1には、右画像処理部5Rにおいて切り出す右画像領域の情報が供給される。
【0029】
すると、術者110は、
図8に示すように、例えば術部に星マーク270が重畳した状態の患者120を視認する。支援画像は術者110の左目11Lで視認される画像であってもよい。なお、
図8~
図12においては、患者120を覆っているドレープを省略している。
【0030】
ここで、3次元映像生成装置100が、振動が少ない3次元映像データである術者左右映像データを送信するために、右画像処理部5R及び左画像処理部5Lがそれぞれ右画像及び左画像からどのように右画像領域及び左画像領域を切り出すかについて説明する。ここでは、術者が装着する左右映像表示部10(ARゴーグル)の右撮像部3Rと左撮像部3Lは術者110の右目11R及び左目11Lと同じ位置にあり、指導者290は左右映像表示部26としてVRゴーグルを装着して受信する映像を視認すると仮定する。
【0031】
図9に示すように、右撮像部3R及び左撮像部3Lは例えば4Kと称される水平3840画素、垂直2160画素の高解像度で患者120を撮影して、右画像及び左画像のフレーム140R及び140Lを生成する。このとき、右撮像部3R及び左撮像部3Lは、枠130が視野内に位置するように患者120を撮影する。右画像処理部5R及び左画像処理部5Lは、フレーム140R及び140Lにおける水平及び垂直方向の70%の右画像領域及び左画像領域を切り出すように設定されているとする。
【0032】
右画像処理部5Rは、撮像した枠130に基づいて基準位置を設定し、設定した基準位置が、切り出す画像領域の所定の位置となるように右画像領域を切り出す。ここでは、枠130の中心を基準位置とし、基準位置が、切り出す画像領域の中心と一致するように右画像領域を切り出す例を説明する。基準位置は枠130に基づく位置であればよく、例えば、枠130上に印刷した任意の点を基準位置として設定してもよい。また、右画像処理部5Rは、設定した基準位置が、切り出す画像領域の所定の位置となるように右画像領域を切り出せばよく、所定の位置は、枠130内の画像を切り出せる位置であればよい。例えば、枠130の左上を基準位置として設定し、基準位置が、切り出す画像の左上の位置となるように右画像領域を切り出してもよい。
【0033】
右画像処理部5Rは、右画像において、基準位置である枠130の中心13cが、切り出す画像領域の中心と一致するように右画像領域を切り出す。枠130の水平方向の大きさはw1である。よって、右画像処理部5Rは、フレーム140Rにおける破線で示す右画像領域141Rを切り出し、右画像領域141Rに相当する右切り出し画像150Rを映像信号処理部6に供給する。枠130の中心13cは枠130の対角線の交点で得られる。
【0034】
フレーム140R及び140Lの左上角部の画素座標を(0,0)、切り出し開始位置である右画像領域141Rの左上角部の画素座標を(a,b)、切出し終了位置である右下角部の画素座標を(m,n)とする。左画像処理部5Lは、右画像処理部5Rと同様に、フレーム140Lにおける画素座標(a,b)を左上角部、画素座標(m,n)を右下角部とする破線で示す左画像領域141Lを切り出す。左画像処理部5Lは、左画像領域141Lに相当する左切り出し画像150Lを映像信号処理部6に供給する。
【0035】
視差量算出部4は、右画像のフレーム140Rにおける枠130に基づく基準位置と、左画像のフレーム140Lにおける枠130に基づく基準位置との水平方向の距離を視差量として算出する。以降の説明では、
図9に示すように、視差量算出部4は、右画像のフレーム140Rにおける枠130の中心13cと、左画像のフレーム140Lにおける枠130の中心13cとの水平方向の距離(両中心13c間の画素数)d1を視差量として算出する。
【0036】
なお、右撮像部3Rと左撮像部3Lの間隔及び画角は、指導者290が、
図9に示す右切り出し画像150R及び左切り出し画像150Lを合成して3次元映像受信装置200に送信した術者左右映像データの左画像及び右画像を違和感なく立体画像として視認できるように調整されている。
【0037】
図10は、
図9に示す初期状態と比較して、術者110が患者120に近付いた状態を示している。このとき、術者110と枠130との距離が短くなり、枠130の水平方向の大きさがw2、視差量がd2になったとする。このとき、距離d1及びd2と枠130の水平方向の大きさw1及びw2との間には、次の式(1)で示す関係が成り立つ。
d2/d1=w2/w1 …(1)
【0038】
図10において、フレーム140Rにおける右画像領域141Rの切り出し開始位置の水平方向の画素位置をcとすると、フレーム140Lにおける左画像領域141Lの切り出し開始位置の水平方向の画素位置もcである。
【0039】
このように、右画像処理部5Rは、常時、右画像において、枠130の中心13cが、切り出す画像領域の中心と一致するように右画像領域141Rを切り出す。左画像処理部5Lは、常時、左画像において、右画像領域141Rと同じ画素座標の左画像領域141Lを切り出す。術者のわずかな動作または呼吸等によって術者左右映像データとして送信する3次元映像が振動しても、枠130の中心13cを基準として右画像領域141Rが切り出され、右画像領域141Rの位置に応じて左画像領域141Lが切り出されるから、送信される3次元映像は振動しない。
【0040】
ここでは、右画像領域141Rの位置に基づいて左画像領域141Lの位置を決定しているが、左画像領域141Lの位置に基づいて右画像領域141Rの位置を決定してもよい。
【0041】
右画像処理部5Rと左画像処理部5Lとのうちの一方の画像処理部が、初期状態で、枠130の中心13cが画像領域の中心と一致するように画像領域を切り出す。右画像処理部5Rと左画像処理部5Lとのうちの他方の画像処理部は、初期状態で、一方の画像処理部が切り出した画像領域の位置に応じて画像領域を切り出す。
【0042】
3次元映像生成装置100によれば、術者110と患者120との距離にかかわらず、振動が少ない3次元映像データを送信することができる。
【0043】
3次元映像生成装置100は、操作部2の操作によって手動ズームモードに設定されているとする。
図11は、
図9に示す初期状態と比較して、術者110と患者120との距離に変化はないものの、術者110による操作部2の手動操作に応じて制御部1が右撮像部3R及び左撮像部3Lにおけるズームを制御し、被写体を拡大した第1の拡大状態に移行した状態を示している。制御部1は、互いの倍率が同じ倍率となるように連動して右撮像部3R及び左撮像部3Lにおけるズームを制御する。
【0044】
このとき、枠130の水平方向の大きさは初期状態におけるw1からw3に拡大するものの、視差量に変化はないため中心間距離は初期状態と同じd1である。この状態で、フレーム140Lより左画像領域141Lを切り出す位置をフレーム140Rより右画像領域141Rを切り出す位置と同じ位置とすると、3次元映像受信装置200によって所望の立体的な映像を表示することができない。所望の立体的な映像を表示するためには、フレーム140Lより左画像領域141Lを切り出す位置を補正する必要がある。
【0045】
図11に示すように、右切り出し画像150Rと、左切り出し画像150Lとの適正な視差量をd3とすると、式(1)から、式(2)とする必要があることが分かる。即ち、左画像処理部5Lは、右切り出し画像150Rと、左切り出し画像150Lとの視差量がd3となるように、フレーム140Lより左画像領域141Lを切り出す位置を補正する必要がある。
d3=w3/w1×d1 …(2)
【0046】
フレーム140Rより右画像領域141Rを切り出すときの切り出し開始位置の水平方向の画素位置をe、フレーム140Lより左画像領域141Lを切り出すときの切り出し開始位置の水平方向の画素位置をfとする。画素位置fは式(3)で表される。
f=e+(d3-d1)
=e+(w3/w1-1)×d1 …(3)
【0047】
このように、右画像処理部5Rは、常時、右画像において、枠130の中心13cが、切り出す画像領域の中心と一致するように右画像領域141Rを切り出す。左画像処理部5Lは、左画像において、右画像の切り出し位置に対し、視差量d1をズーム動作前後における枠の大きさの変化率に応じて補正した距離だけずらした位置で左画像領域141Lを切り出す。上記説明では、初期状態に対しズーム動作によって画像を拡大した場合を例に説明したが、初期状態に対しズーム動作によって画像を縮小する場合も式(3)は成立する。
【0048】
左画像領域141Lの位置に基づいて右画像領域141Rの位置を決定する場合には、右画像において、左画像の切り出し位置をずらす左右の方向が逆となる。
【0049】
図12は、
図9に示す初期状態と比較して、術者110が患者120に近付いて術者110と患者120との距離が変化し、さらに、制御部1が右撮像部3R及び左撮像部3Lにおけるズームを制御して、被写体を拡大した第2の拡大状態に移行した状態を示している。このとき、枠130の水平方向の大きさは初期状態におけるw1からw4に拡大し、視差量はd4となる。
【0050】
初期状態に対して、術者110と患者120との距離がk倍となり、ズーム倍率をz倍とすると、式(4)及び(5)が成り立つ。
d4/d1=1/k …(4)
w4/w1=z/k …(5)
【0051】
図12に示すように、右切り出し画像150Rと、左切り出し画像150Lとの適正な視差量をd5とすると、式(1)から、式(6)とする必要があることが分かる。
d5=w4/w1×d1…(6)
【0052】
フレーム140Rより右画像領域141Rを切り出すときの切り出し開始位置の水平方向の画素位置をg、フレーム140Lより左画像領域141Lを切り出すときの切り出し開始位置の水平方向の画素位置をhとする。画素位置hは式(7)で表される。なお、式(7)において、d1=d4とすれば式(3)と実質的に同じ式となることが分かる。
h=g+d5-d4
=g+w4/w1×d1-d4 …(7)
【0053】
このように、右画像処理部5Rは、常時、右画像において、枠130の中心13cが、切り出す画像領域の中心と一致するように右画像領域141Rを切り出す。左画像処理部5Lは、左画像において、右画像の切り出し位置に対し、ズーム動作前後の視差量及びズーム動作前後の枠の大きさの変化率に応じて補正した距離だけずらした位置で左画像領域141Lを切り出す。
【0054】
左画像領域141Lの位置に基づいて右画像領域141Rの位置を決定する場合には、右画像において、左画像の切り出し位置をずらす左右の方向が逆となる。
【0055】
3次元映像生成装置100によれば、ズーム動作を行っても、振動が少ない3次元映像データを生成することができる。
【0056】
3次元映像生成装置100が操作部2の操作によってオートズームモードに切り替えられた場合には、3次元映像生成装置100は次のように動作する。制御部1は、右画像のフレーム140Rにおける枠130の大きさを一定に保つように、右撮像部3Rにおけるズームを制御する。具体的には、制御部1は右画像のフレーム140Rにおける枠130の水平方向の大きさを一定に保つように、右撮像部3Rにおけるズームを制御する。制御部1は、右撮像部3Rにおけるズーム量と同じズーム量とするよう左撮像部3Lにおけるズームを制御する。制御部1は、左画像のフレーム140Rにおける枠130の大きさを一定に保つように、左撮像部3Lにおけるズームを制御し、左撮像部3Lにおけるズーム量と同じズーム量とするよう右撮像部3Rにおけるズームを制御してもよい。
【0057】
図9と同様に、初期状態において、視差量をd1、枠130の水平方向の大きさをw1とする。制御部1は、初期状態の視差量d1及び枠130の大きさw1を記憶する。術者110と患者120との距離が変化しても、制御部1はオートズームの制御によって枠130の水平方向の大きさw1を維持する。枠130の水平方向の大きさw1は変化しないが、視差量はd1からd6に変化したとする。
【0058】
左画像処理部5Lは、右切り出し画像150Rと、左切り出し画像150Lとの視差量がd1となるように、フレーム140Lより左画像領域141Lを切り出す位置を補正する必要がある。これは、式(7)においてw1=w4とした場合に相当するので、式(8)が成り立つ。
h=g+d1-d6 …(8)
【0059】
このように、オートズームモードによって右画像のフレーム140Rまたは左画像のフレーム140Lにおける枠130の大きさを一定に保つ場合には、左画像処理部5Lは、左画像において、右画像の切り出し位置に対し、初期状態における視差量d1と、ズーム後における視差量d6に応じて補正した距離だけずらした位置で左画像領域141Lを切り出す。
【0060】
3次元映像生成装置100によれば、3次元映像生成装置100がオートズームモードに設定されていて、被写体の大きさを一定に保つように右撮像部3R及び左撮像部3Lにおけるズームを制御する場合でも、振動が少ない3次元映像データを送信することができる。
【0061】
上記の説明では、制御部1が右撮像部3Rと左撮像部3Lの光学ズームを制御する構成を説明したが、ズーム機能は光学ズームに限定されることはなく、ズーム機能として画像処理によるデジタルズームが用いられてもよい。デジタルズームを用いる場合、右画像処理部5R及び左画像処理部5Lに画像をズームする機能を持たせればよい。
【0062】
本発明は以上説明した本実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。
【0063】
本開示は、SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)の「すべての人に健康と福祉を」の実現に貢献し、ヘルスケア製品・サービスによる価値創出に寄与する事項を含む。
【符号の説明】
【0064】
1 制御部
2 操作部
3R 右撮像部
3L 左撮像部
4 視差量算出部
5R 右画像処理部
5L 左画像処理部
6 映像信号処理部
7 ネットワーク送信部
8 ネットワーク受信部
9 映像表示駆動部
10 左右映像表示部
100 3次元映像生成装置
110 術者
120 患者
130 枠
200 3次元映像受信装置