(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023121893
(43)【公開日】2023-09-01
(54)【発明の名称】着陸システム
(51)【国際特許分類】
G05D 1/10 20060101AFI20230825BHJP
G08G 5/02 20060101ALI20230825BHJP
【FI】
G05D1/10
G08G5/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022025228
(22)【出願日】2022-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】000191353
【氏名又は名称】新明工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074273
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 英夫
(74)【代理人】
【識別番号】100173222
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100151149
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 幸城
(72)【発明者】
【氏名】間瀬 基之
(72)【発明者】
【氏名】落合 浩之
【テーマコード(参考)】
5H181
5H301
【Fターム(参考)】
5H181AA26
5H181AA27
5H181BB04
5H181CC04
5H181CC24
5H181FF05
5H181FF13
5H181FF33
5H301AA06
5H301AA10
5H301CC04
5H301CC07
5H301CC10
5H301DD05
5H301DD15
5H301GG07
5H301GG09
(57)【要約】
【課題】高精度の撮像手段を用いることなく高精度の着陸制御の確実化を図れる着陸システムを提供すること。
【解決手段】飛行体1の着陸の誘導に所定の大きさのマーカー2を用いる着陸システムであって、前記飛行体に設けられ、該飛行体が水平姿勢のときに鉛直下方を撮像するカメラ3と、前記カメラで取得した画像を処理し、この処理結果に基づいて該飛行体の移動制御を実行するデータ処理部とを有し、前記データ処理部は、前記カメラで取得した前記マーカーの像に基づき、前記マーカーと前記飛行体との位置関係を演算し、この位置関係に基づき、前記飛行体の着陸を誘導するように構成してあり、前記マーカーは、二つの低明度の正方形と二つの高明度の正方形とを市松模様状に並べて構成してある。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飛行体の着陸の誘導に所定の大きさのマーカーを用いる着陸システムであって、
前記飛行体に設けられ、該飛行体が水平姿勢のときに鉛直下方を撮像するカメラと、前記カメラで取得した画像を処理し、この処理結果に基づいて該飛行体の移動制御を実行するデータ処理部とを有し、
前記データ処理部は、前記カメラで取得した前記マーカーの像に基づき、前記マーカーと前記飛行体との位置関係を演算し、この位置関係に基づき、前記飛行体の着陸を誘導するように構成してあり、
前記マーカーは、二つの低明度の正方形と二つの高明度の正方形とを市松模様状に並べて構成してある着陸システム。
【請求項2】
前記マーカーは、市松模様状に並べた計四つの前記正方形の外側に、各正方形の1辺の半分の幅を持ち、かつ、前記低明度の正方形と同一の明度を有する枠を連ねて設けて構成してある請求項1に記載の着陸システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ドローン(飛行体)の自動着陸のために用いられる着陸システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ドローンの離陸、飛行や着陸といった制御の自動化が進んでいるが、特に所定の目標地点に着陸させる制御が困難である。その主たる原因は、着陸制御に利用するGPS位置情報の誤差にある。
【0003】
そこで、GPS位置情報を利用してドローンを目標地点付近にまで移動させ、その後は、ドローンに搭載したカメラで目標地点にあるマーカーを撮影し、取得したマーカーの像に基づき、マーカーとドローンとの位置関係を演算し、この位置関係に基づき、ドローンの着陸を誘導するように構成する着陸システムが提案されている(特許文献1,2)。
【0004】
また、本出願人は、ドローンを用いたゴルフプレー支援システムを提案しており(特願2020-157330)、このシステムでは、プレーヤーが見失ったゴルフボールを発見するために、ゴルフカートの天面から離陸したドローンが、指令を受けた地点まで飛行して所定の撮影を行った後、元のゴルフカートの天面に帰還する。そして、この帰還(ゴルフカートの天面へのドローンの着陸)を誘導するために、ゴルフカートの天面に上記着陸システムのマーカーを設けることが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-138681号公報
【特許文献2】特許第5690539号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1記載の技術では、マーカーとして用いるHマークの形状上、その中心位置を特定するデータ処理が複雑化し、着陸制御の際に大きな位置誤差が生じる恐れがある。また、ヘリポートの着陸帯とされるHマークは、通常、縦4m×横3mの大きさとされ、このように大きなHマークをゴルフカートの天面に設けることは物理的に不可能であり、Hマークの小型化を図ると、その形状上、ドローンのカメラで認識しづらくなる恐れがある。
【0007】
特許文献2記載の技術では、相似形の図形を同心多重に配置したマーカーを用いるのであり、その中心位置を特定するデータ処理は行い易いものの、マーカーの形状が複雑であるため、高精度のカメラをドローンに搭載する必要があると考えられる。しかも、起伏のあるゴルフ場内で停車したゴルフカートの天面が水平ではなく幾らか傾いていることも多く、このとき、ドローンとゴルフカートとの位置関係によっては、ゴルフカートの天面に設けた特許文献2のマーカーは、その形状の複雑性にも起因して、ドローンに搭載したカメラでは認識できなくなる懸念もある。
【0008】
本発明は上述の事柄に留意してなされたもので、その目的は、高精度の撮像手段を用いることなく高精度の着陸制御の確実化を図れる着陸システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明に係る着陸システムは、飛行体の着陸の誘導に所定の大きさのマーカーを用いる着陸システムであって、前記飛行体に設けられ、該飛行体が水平姿勢のときに鉛直下方を撮像するカメラと、前記カメラで取得した画像を処理し、この処理結果に基づいて該飛行体の移動制御を実行するデータ処理部とを有し、前記データ処理部は、前記カメラで取得した前記マーカーの像に基づき、前記マーカーと前記飛行体との位置関係を演算し、この位置関係に基づき、前記飛行体の着陸を誘導するように構成してあり、前記マーカーは、二つの低明度の正方形と二つの高明度の正方形とを市松模様状に並べて構成してある(請求項1)。
【0010】
上記着陸システムにおいて、前記マーカーは、市松模様状に並べた計四つの前記正方形の外側に、各正方形の1辺の半分の幅を持ち、かつ、前記低明度の正方形と同一の明度を有する枠を連ねて設けて構成してあってもよい(請求項2)。
【発明の効果】
【0011】
本願発明では、高精度の撮像手段を用いることなく高精度の着陸制御の確実化を図れる着陸システムが得られる。
【0012】
すなわち、本願の各請求項に係る発明の着陸システムでは、計四つの正方形の組み合わせ方に工夫を凝らし、その前後左右どの方向に離れた位置からも認識し易いマーカーを用いるのであり、各正方形を適宜の大きさとしておくことにより、例えば空間周波数フィルター等を用いた処理によりマーカーの中心位置を容易に特定することができるので、高精度の撮像手段を用いることなく高精度の着陸制御の確実化を図れる着陸システムが得られる。
【0013】
請求項2に係る発明の着陸システムでは、ドローンに搭載したカメラを用いたマーカーの認識性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施の形態に係る着陸システムによるドローンの制御方法(動き)を概略的に示す説明図である。
【
図2】(A)は前記着陸システムに用いるマーカーの説明図、(B)は前記マーカーのX座標と輝度値との関係を示すグラフ、(C)は前記マーカーの変形例の説明図である。
【
図3】前記着陸システムによる着陸制御方法の一部の工程(主に画像処理方法)を示す説明図である。
【
図4】前記着陸システムの情報処理装置の構成例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施の形態について以下に説明する。
【0016】
本例の着陸システムは、
図1に示すように、ドローン1(飛行体の一例)の着陸の誘導に所定の大きさのマーカー2を用いるものである。
【0017】
ドローン1は、例えばユーザー機器(例えばPCであるユーザー端末や基地局を構成するコンピューター等を含む)8(
図4参照)との通信情報やGPS位置情報を利用して飛行した後、所定の目標位置に着陸する自律飛行型のドローンであり、上下方向及び水平方向に移動自在かつ旋回自在に飛行し、ホバリングも可能とする。
【0018】
図4に示すように、ドローン1は、カメラ3、データ処理部4、位置情報取得部5、通信部6及び記憶部(メモリ)7を有する。
【0019】
カメラ3は、例えば固定倍率で撮像するように構成されており、夜間でも良好な撮影が行えるように光源付きのものが好ましい。なお、カメラ3は、例えば2K(フルHD)解像度(1920×1080ピクセル)の静止画を取得できるもので十分であり、例えば4K解像度(3840×2160ピクセル)以上の静止画を取得可能な高精度のものを用いる必要はない。
【0020】
データ処理部4は、ドローン1の飛行制御、カメラ3による撮影制御など、様々な処理を実行するのであり、例えば実行機能を有するCPU等のプロセッサを有し、記憶部7に格納されたプログラムに従って処理を実行するものである。
【0021】
位置情報取得部5は、例えば図外のGPS衛星との通信を実行し、GPS衛星との通信情報に基づいて、ドローン1の現在位置(緯度、経度、高度)を解析し、解析情報をデータ処理部4に出力する。
【0022】
通信部6は、ユーザー機器8や外部サーバとの通信を実行する。
【0023】
記憶部(メモリ)7は、データ処理部4の実行するプログラムの格納領域、ワーク領域として利用され、処理に適用する様々なパラメータの記憶領域としても利用され、例えばRAM、ROM等によって構成することができる。
【0024】
一方、ユーザー機器8は、データ処理部9、位置情報取得部10、記憶部(メモリ)11、通信部12、表示部13、入力部14及び出力部15を有する。
【0025】
データ処理部9は、ドローン1の飛行経路の算出、カメラ3による撮影画像の処理、この処理結果に基づくドローン1の移動制御など、様々な処理を実行するのであり、例えば実行機能を有するCPU等のプロセッサを有し、記憶部11に格納されたプログラムに従って処理を実行するものである。
【0026】
位置情報取得部10は、例えば図外のGPS衛星との通信を実行し、GPS衛星との通信情報に基づいて、ドローン1の現在位置(緯度、経度、高度)を解析し、解析情報をデータ処理部4に出力する。
【0027】
記憶部(メモリ)11は、データ処理部9の実行するプログラムの格納領域、ワーク領域として利用され、処理に適用する様々なパラメータの記憶領域としても利用され、例えばRAM、ROM等によって構成することができる。
【0028】
通信部12は、ドローン1や外部サーバとの通信を実行する。
【0029】
表示部13は、カメラ撮影画像の表示、さらにデータ処理部9が生成したドローン1の飛行経路情報、その他の操作に必要な情報等を表示する。
【0030】
入力部14は、ユーザーによる操作を可能とし、様々な処理、例えば画像撮影、経路表示の開始、終了等のユーザー要求の入力処理等に利用される。出力部15は、音声出力部、画像出力部等を含む。なお、入力部14をキーボード、出力部15を液晶モニターとするなど、両者14,15を別々の装置で構成してあってもよいし、両者14,15を兼用するタッチパネル等を用いてもよい。
【0031】
ここで、本例の着陸システムは、ドローン1が目標位置(ドローン1を着陸させようとする位置)から離れた場所を飛行しているときに着陸シーケンスを開始し、このドローン1を目標位置に着陸させる際に、GPS位置情報を利用してドローン1を目標位置付近にまで移動させ、その後は、ドローン1に搭載したカメラ3で目標位置にあるマーカー2を撮影し、取得したマーカー2の像に基づき、マーカー2とドローン1との位置関係を演算し、この位置関係に基づき、ドローンの着陸を誘導するものであるが、この着陸に係る制御等の大部分は、公知技術を採用可能であり、以下では、説明の冗長化を避けるため、主に本発明の特徴部分の説明を中心に説明し、それ以外の部分の説明は適宜省略する。
【0032】
なお、ドローン1の飛行(移動)の制御ないし操作は、例えば、ユーザー機器8側からドローン1に目標位置座標(データ)が送信され、ドローン1に搭載されたデータ処理部4等が、ドローン1自身の位置座標(データ)と目標位置座標とに基づいてドローン1が目標位置に向かう制御(操作)を自動的に行うものであってもよいし、ユーザー機器8がドローン1からドローン1の位置座標(データ)をリアルタイムで受信し、ドローン1自身の位置座標と目標位置座標とに基づいてドローン1を目標位置に向かわせるための操作信号を逐一ドローン1に送信することによって行うものでもよく、これら以外のものでもよい。
【0033】
マーカー2は、
図2(A)に示すように、二つの黒い正方形(低明度の正方形の一例)と二つの白い正方形(高明度の正方形の一例)とを市松模様状に並べて構成してある。これら四つの正方形の各々の1辺は、50mm~300mmとすることが考えられ、本例では100mmである。なお、マーカー2は、例えば、布状あるいは板状の部材に印刷等によって設けてあってもよいし、ゴルフカートの天面等に塗装して設けてあってもよい。また、二つの黒い正方形どうし、二つの白い正方形どうしで、明度は同一としてある。
【0034】
本例の着陸システムは、以下の工程(1)~(6)を含む着陸制御方法を実行するように構成してある。
【0035】
(1)着陸シーケンスを開始し、目標位置のGPS位置情報に基づいて移動し、目標位置付近に到達したドローン1は、ホバリングにより地面から所定高さH1(本例では約10m)を維持しながら水平姿勢をとり、搭載したカメラ3で鉛直下方を撮像(撮影)する(
図1(A)参照)。このとき、
図3に示すように、撮像画像16が取得される。なお、本例のドローン1の離着陸は同一地点(例えば停止したゴルフカートの天面)で行うのであり、その地点から離陸したドローン1は所定高さH1まで上昇した後、その高さH1を維持したまま飛行する。ただし、ドローン1の離着陸を異なる地点で行わせるようにしてもよく、必要に応じて、ドローン1の高さH1を適宜の手段により計測するようにしてもよい。
【0036】
(2)データ処理部4は、撮像画像16を画像処理し、マーカー2の中心位置を算出する。
【0037】
本例では、以下のような画像処理を行う。すなわち、まず、
図3に示すように、撮像画像16に色フィルター17を用いた処理を施して特定の色以外の色の濃淡を減衰させ(例えばグレースケースに輝度保存変換し)、さらに例えば適宜のトーンカーブを用いたコントラスト補正を行ってコントラストの高い画像18を得る。
【0038】
続いて、画像18に空間周波数フィルター19を用いた処理(2次元処理)を施して、設定した大きさの形状を抽出した画像20を得る。すなわち、任意の方向に指定した空間周波数があるとその場所を選ぶ設定にしてあり、波長はマーカー2の一つの正方形の幅が半波長となるように幅を持たせて設定してある。
図2(B)の左図に示すように、殆どの場合、マーカー2の周囲は白い正方形と黒い正方形の間の輝度値をとると考えられることから、同右図に示すような矩形波(輝度値の変化)として検出される。なお、
図2(B)の例では、マーカー2の各正方形の各辺と平行ないし直交するX方向で矩形波を検出しているが、マーカー2を斜めに通る直線上でも、白い正方形のそれぞれ黒い正方形によって斜めに挟まれる部分には矩形波が出てくるので、マーカー2は問題なく検出される。但し、マーカー2以外の領域についても、矩形波は全ての周波数を含むため、選択される場合がある。
【0039】
その後、画像20に形状特徴フィルター21を用いた処理を施して、所定の形状特徴(面積、真円度、外挿円径)を有する領域を抽出した画像22を得る。なお、外挿円径とは、対象の形状に外接する最小の円の直径である。
図3に示す画像22では、その中央下部で隣接する二つの丸と右上部で隣接する二つの丸の計4か所(計2組)の領域が抽出されている。すなわち、画像22では、上記計4か所の丸の領域のそれぞれが上記面積、真円度、外挿円径の条件を満たしているとして抽出されている。
【0040】
続いて、形状面積差フィルター23を用いた処理を施して、画像22で抽出された複数の丸の領域のうち、相互に隣接している二つの丸の領域が一組の領域を構成していると判断し、複数組の領域が存在する場合、各組の領域に係る二つの丸の面積差を計算し、その面積差が閾値以下であり最も小さい組の領域をマーカー領域25として抽出した画像24を得る。上記画像22では、その中央下部と右上部の二か所の領域が抽出されていたが、画像24では右上部の領域のみが抽出され、これがマーカー領域25となる。なお、一組の領域のみが存在する場合、形状面積差フィルター23を用いた処理を施して、その領域に係る二つの丸の面積差を計算し、その面積差が閾値以下であれば、その領域をマーカー領域25として抽出した画像24を得る。いずれの領域の面積差も閾値以下でなければ、例えばエラー処理をし、上記工程(1)からやり直すようにすることが考えられ、この際、ドローン1を現在の位置から前後左右に適宜移動させるようにしてもよい。
【0041】
その後、抽出したマーカー領域25にあるマーカー2の中心位置を算出する。例えば、画像24と撮像画像16とを用いて、撮像画像(元画像)16においてマーカー領域25(とその付近)のみを処理対象にした画像26を得るようにし、この画像26上にあるマーカー2の画像を画像処理し、マーカー2の白い正方形と黒い正方形の境界を特定し、この特定に基づきマーカー2の中心位置を特定する、といったことが考えられる。
【0042】
(3)データ処理部4は、カメラ位置(撮像画像16の中心)と上記工程(2)で得られたマーカー2の中心(領域中心)とから目標位置を計算し、目標位置に移動するようにドローン1を制御する(
図1(B)参照)。なお、ドローン1が既に目標位置にあればその場に留まる。
【0043】
(4)データ処理部4は、ドローン1が地面から所定高さ(例えばH1の半分程度)H2となるまでその場で降下し、ホバリングにより地面からその高さ(本例では約5m)を維持しながら水平姿勢をとり、搭載したカメラ3で鉛直下方を撮像(撮影)するように制御する(
図1(C)参照)。
【0044】
(5)データ処理部4は、上記工程(2)、(3)と同一内容の処理を行う。
【0045】
(6)データ処理部4は、ドローン1をその場で降下するように制御し、これにより、ドローン1はマーカー2のある目標位置に着陸する。
【0046】
以上のように構成した本例の着陸システムでは、計四つの正方形の組み合わせ方に工夫を凝らし、その前後左右どの方向に離れた位置からも認識し易いマーカー2を用いるのであり、各正方形を適宜の大きさとしておくことにより、例えば空間周波数フィルター等を用いた処理によりマーカー2の中心位置を容易に特定することができるので、高精度の撮像手段を用いることなく高精度の着陸制御の確実化を図れる。
【0047】
なお、本発明は、上記の実施の形態に何ら限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々に変形して実施し得ることは勿論である。例えば、以下のような変形例を挙げることができる。
【0048】
上記実施の形態において、ドローン1側(データ処理部4等)で行う処理をユーザー機器8側(データ処理部9等)で行うようにしてもよく、逆に、ユーザー機器8側で行う処理をドローン1側で行うようにしてもよい。また、
図4に示すドローン1及びユーザー機器8の構成はあくまでも一例であり、それぞれに担わせる機能等に応じてその構成を適宜変更してもよいことはいうまでもない。
【0049】
上記工程(4)及び(5)をセットにして複数回繰り返すようにしてもよい。この場合、後にくる工程(4)ほど、ドローン1を降下させる所定高さH2を低くすればよい。
【0050】
図2(C)に示すマーカー27は、
図2(A)に示すマーカー2、つまり、市松模様状に並べた計四つの前記正方形の外側に、各正方形の1辺(a)の半分の幅(a/2)を持つ黒枠(マーカー2を構成する低明度の正方形と同一の明度を有する枠の一例)を連ねて設けて構成したものであり、このマーカー27を上記マーカー2に代えて用いるようにしてもよく、この場合、ドローン1に搭載したカメラ3を用いたマーカーの認識性の向上を図ることができる。
【0051】
なお、上記変形例どうしを適宜組み合わせてもよいことはいうまでもない。
【符号の説明】
【0052】
1 ドローン
2 マーカー
3 カメラ
4 データ処理部
5 位置情報取得部
6 通信部
7 記憶部
8 ユーザー機器
9 データ処理部
10 位置情報取得部
11 記憶部
12 通信部
13 表示部
14 入力部
15 出力部
16 撮像画像
17 色フィルター
18 画像
19 空間周波数フィルター
20 画像
21 形状特徴フィルター
22 画像
23 形状面積差フィルター
24 画像
25 マーカー領域
26 画像
27 マーカー
H1 所定高さ
H2 所定高さ