(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023121905
(43)【公開日】2023-09-01
(54)【発明の名称】風呂システム
(51)【国際特許分類】
F24H 15/196 20220101AFI20230825BHJP
F24H 9/16 20220101ALI20230825BHJP
F24H 9/20 20220101ALI20230825BHJP
A47K 3/00 20060101ALI20230825BHJP
E03C 1/22 20060101ALI20230825BHJP
A47K 1/14 20060101ALI20230825BHJP
E03C 1/23 20060101ALI20230825BHJP
【FI】
F24H1/00 602Z
F24H1/00 602L
F24H9/16 F
F24H9/20 A
A47K3/00 D
E03C1/22 C
A47K3/00 Q
A47K1/14 B
E03C1/23 Z
A47K3/00 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022025252
(22)【出願日】2022-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100120514
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 雅人
(72)【発明者】
【氏名】後藤 洋明
(72)【発明者】
【氏名】安田 ▲祥▼辰
(72)【発明者】
【氏名】久保 隆志
【テーマコード(参考)】
2D061
3L024
【Fターム(参考)】
2D061DA01
2D061DB07
3L024CC30
3L024DD35
3L024DD50
3L024EE03
3L024EE07
3L024GG38
3L024HH38
3L024HH39
(57)【要約】
【課題】浴槽の自動排水栓に関連する電力供給制御装置と給湯装置との通信プロトコルが相違するような場合であっても、データ通信を適切に行なって自動排水栓を制御可能な風呂システムを提供する。
【解決手段】浴槽40の自動排水栓41の駆動電力供給および動作制御を実行可能な電力供給制御装置3と、浴槽40への給湯が可能な給湯装置WHと、を備えている風呂システムSYであって、給湯装置WHおよび電力供給制御装置3のそれぞれに通信接続され、かつ給湯装置WHから所定の排水栓関連情報の信号を受けたときに、その内容に対応して、電力供給制御装置3に自動排水栓41の開閉動作を実行させるための制御信号を出力するインタフェースユニット2を、さらに備えており、このインタフェースユニット2は、給湯装置WHまたは給湯装置WHとは別の電力供給源から電力供給を受け、電力供給制御装置3からは電力供給を受けない構成とされている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽の自動排水栓の駆動電力供給および動作制御を実行可能な電力供給制御装置と、
前記浴槽への給湯が可能であり、前記自動排水栓の開閉に関連する排水栓関連情報の信号出力が可能な給湯装置と、
を備えている、風呂システムであって、
前記給湯装置および前記電力供給制御装置のそれぞれに通信接続され、かつ前記給湯装置から前記排水栓関連情報の信号を受けたときに、その内容に対応して、前記電力供給制御装置に前記自動排水栓の開閉動作を実行させるための制御信号を出力するインタフェースユニットを、さらに備えており、
前記インタフェースユニットは、前記給湯装置または前記給湯装置とは別の電力供給源から電力供給を受けるように構成され、前記電力供給制御装置からは電力供給を受けることなく駆動可能な構成とされていることを特徴とする、風呂システム。
【請求項2】
請求項1に記載の風呂システムであって、
前記給湯装置と前記インタフェースユニットとの相互間は、第1の通信プロトコルでの通信が実行される一方、前記インタフェースユニットと前記電力供給制御装置との相互間は、前記第1の通信プロトコルとは相違する第2の通信プロトコルでの通信が実行され、
前記インタフェースユニットは、前記給湯装置から前記排水栓関連情報の信号を前記第1の通信プロトコルで受けたときには、これに対応する信号を前記第2の通信プロトコルで前記電力供給制御装置に送信するように構成されている、風呂システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の風呂システムであって、
前記インタフェースユニットは、前記給湯装置に配線接続され、前記給湯装置から電力供給を受ける構成とされている、風呂システム。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の風呂システムであって、
前記電力供給制御装置は、前記インタフェースユニットから前記制御信号を受け、かつその内容に対応して前記自動排水栓を動作させたときには、その旨を報知するための応答信号が前記インタフェースユニットを経由して前記給湯装置に返信されるように構成されている、風呂システム。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の風呂システムであって、
前記電力供給制御装置は、前記インタフェースユニットとの相互間でデータ通信を行なうための通信回路として、前記インタフェースユニットと配線接続され、かつ前記インタフェースユニットから電力が供給される第1の通信回路と、この第1の通信回路とフォトカプラを介した信号伝達が可能であり、かつ前記電力供給制御装置に具備されている電源回路から電力供給を受ける第2の通信回路と、を備えており、
前記第1および第2の通信回路は、互いに電気的に絶縁されている、風呂システム。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載の風呂システムであって、
前記電力供給制御装置から電力供給を受けて作動し、かつ前記給湯装置から供給される湯水を利用して前記浴槽を洗浄可能な浴槽洗浄装置を、さらに備えており、
前記給湯装置は、前記浴槽洗浄装置の動作に関連する浴槽洗浄関連情報の信号出力が可能とされており、
前記インタフェースユニットは、前記給湯装置から前記浴槽洗浄関連情報の信号を受けたときに、その内容に対応して、前記電力供給制御装置に前記浴槽洗浄装置を動作させるための制御信号を出力するように構成されている、風呂システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴槽に自動排水栓が設けられているタイプの風呂システムに関する。
【背景技術】
【0002】
風呂システムの具体例として、特許文献1に記載のものがある。
同文献に記載の風呂システムは、浴槽への給湯が可能な給湯装置と、前記浴槽に設けられた自動排水栓の駆動電力供給および動作制御を実行する電力供給制御装置(排水栓制御装置)を備えている。これら給湯装置と電力供給制御装置とは、互いに通信接続されており、給湯装置が浴槽への給湯動作を開始する際には、その旨が電力供給制御装置において察知され、自動排水栓が閉状態に設定される。
このような構成によれば、浴槽への給湯を開始するときには、自動排水栓を電力供給制御装置の制御によって閉状態に設定することが可能であるため、自動排水栓が開状態のまま浴槽に給湯が開始されることを防止可能である。
【0003】
しかしながら、前記従来技術においては、次に述べるように、未だ改善すべき余地があった。
【0004】
すなわち、給湯装置と電力供給制御装置とは、互いに通信接続されているが、この通信は、所定の通信プロトコルにしたがって実行される。このため、給湯装置と電力供給制御装置との通信プロトコルが一致しない場合には、前記した風呂システムを適切に構築することが困難となる不具合を生じる。
より具体的に説明すると、浴室のリフォームなどを行なう場合に、給湯装置については既存のものを利用しつつ、自動排水栓および電力供給制御装置を新たに購入して設置する場合がある。この場合に、自動排水栓および電力供給制御装置が、給湯装置とは異なるメーカ品とされることによって、これらの通信プロトコルが相違したものとされると、これらの相互間において適切なデータ通信ができず、自動排水栓の制御が困難となる不具合を生じる。
前記とは異なり、給湯装置に加え、自動排水栓および電力供給制御装置を既に備えている風呂システムにおいては、たとえば給湯装置のみを取り替える場合がある。この場合に、給湯装置をたとえば異なるメーカ品にすると、通信プロトコルが相違する結果、自動排水栓の制御が困難となる。
このように、前記従来技術においては、自動排水栓および電力供給制御装置と給湯装置とを、同一メーカ品として、通信プロトコルが同一であるものとする必要がある。システムの融通性、ユーザの利便性を高める上では、このような不具合を適切に解消することが望まれる。
【0005】
なお、風呂システムの他の具体例としては、特許文献2に記載されているものもある。同文献に記載の風呂システムは、給湯装置のリモコンと、自動排水栓や浴槽洗浄装置を制御する電力供給制御装置とを、HA端子を利用して通信接続している。ただし、このような構成であっても、給湯装置と電力供給制御装置とがたとえば異なるメーカ品であって、通信プロトコルが相違したものとされた場合には、特許文献1について述べたのと同様な不具合を生じ、前記した不具合を適切に解消するには到らない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2021-169906号公報
【特許文献2】特開2021-116930号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記したような事情のもとで考え出されたものであり、浴槽の自動排水栓の駆動電力供給および動作制御を実行可能な電力供給制御装置と、給湯装置とが異なるメーカ品であることなどに起因して、それらの通信プロトコルが相違するような場合であっても、それら両者間におけるデータ通信を適切に行なうことができるようにし、自動排水栓を適切に制御することが可能な風呂システムを提供することを、その課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0009】
本発明により提供される風呂システムは、浴槽の自動排水栓の駆動電力供給および動作制御を実行可能な電力供給制御装置と、前記浴槽への給湯が可能であり、前記自動排水栓の開閉に関連する排水栓関連情報の信号出力が可能な給湯装置と、を備えている、風呂システムであって、前記給湯装置および前記電力供給制御装置のそれぞれに通信接続され、かつ前記給湯装置から前記排水栓関連情報の信号を受けたときに、その内容に対応して、前記電力供給制御装置に前記自動排水栓の開閉動作を実行させるための制御信号を出力するインタフェースユニットを、さらに備えており、前記インタフェースユニットは、前記給湯装置または前記給湯装置とは別の電力供給源から電力供給を受けるように構成され、前記電力供給制御装置からは電力供給を受けることなく駆動可能な構成とされていることを特徴としている。
【0010】
本発明においては、好ましくは、前記給湯装置と前記インタフェースユニットとの相互間は、第1の通信プロトコルでの通信が実行される一方、前記インタフェースユニットと前記電力供給制御装置との相互間は、前記第1の通信プロトコルとは相違する第2の通信プロトコルでの通信が実行され、前記インタフェースユニットは、前記給湯装置から前記排水栓関連情報の信号を前記第1の通信プロトコルで受けたときには、これに対応する信号を前記第2の通信プロトコルで前記電力供給制御装置に送信するように構成されている。
【0011】
本発明の前記した構成によれば、次のような効果が得られる。
すなわち、給湯装置と電力供給制御装置とは、直接的には通信接続されておらず、これらはインタフェースユニットを介して間接的に通信接続されており、給湯装置からインタフェースユニットに排水栓関連情報の信号が出力されると、その内容に対応した制御信号が、インタフェースユニットから電力供給制御装置に出力される。したがって、給湯装置および電力供給制御装置のそれぞれの通信プロトコルが相違したとしても、給湯装置からの出力信号に基づき、インタフェースユニットおよび電力供給制御装置を利用し、自動排水栓を適切に動作制御することが可能となる。その結果、たとえば異なるメーカ品である給湯装置と電力供給制御装置とを組み合わせて風呂システムを構築することが可能となり、融通性に優れ、便利である。
また、インタフェースユニットは、電力供給制御装置から電力供給を受けず、電力供給制御装置とは独立した電源系統とされているため、それらに故障が発生した場合には、その故障がインタフェースユニット側の故障であるか、電力供給制御装置側の故障であるかが明確となる。したがって、そのような故障に対する保証区分も明確となり、メーカや販売業者による故障修理または品質保証などについてのトラブル防止を好適に図ることも可能である。
【0012】
本発明において、好ましくは、前記インタフェースユニットは、前記給湯装置に配線接続され、前記給湯装置から電力供給を受ける構成とされている。
【0013】
このような構成によれば、インタフェースユニットへの電力供給を簡易に図ることができ、商用電源から独自に電力供給させる場合と比較して、構成の簡素化などを図ることができる。
【0014】
本発明において、好ましくは、前記電力供給制御装置は、前記インタフェースユニットから前記制御信号を受け、かつその内容に対応して前記自動排水栓を動作させたときには、その旨を報知するための応答信号が前記インタフェースユニットを経由して前記給湯装置に返信されるように構成されている。
【0015】
このような構成によれば、自動排水栓の動作状態を給湯装置において的確に察知させることができ、給湯装置による給湯動作に対応させた自動排水栓の適切な動作を実行させる上で、より好ましいものとなる。
【0016】
本発明において、好ましくは、前記電力供給制御装置は、前記インタフェースユニットとの相互間でデータ通信を行なうための通信回路として、前記インタフェースユニットと配線接続され、かつ前記インタフェースユニットから電力が供給される第1の通信回路と、この第1の通信回路とフォトカプラを介した信号伝達が可能であり、かつ前記電力供給制御装置に具備されている電源回路から電力供給を受ける第2の通信回路と、を備えており、前記第1および第2の通信回路は、互いに電気的に絶縁されている。
【0017】
このような構成によれば、電力供給制御装置に備えられた第1および第2の通信回路は、フォトカプラを介した信号伝達が可能である一方、互いに電気的に絶縁されている。このため、第1の通信回路を含むインタフェースユニット側、および第2の通信回路を含む電力供給制御装置側のうち、いずれか一方に電気的な故障(異常事態)が発生したとしても、この故障の影響が他方に及ばないようにし、全体が大きく故障することを適切に防止することが可能となる。
【0018】
本発明において、好ましくは、前記電力供給制御装置から電力供給を受けて作動し、かつ前記給湯装置から供給される湯水を利用して前記浴槽を洗浄可能な浴槽洗浄装置を、さらに備えており、前記給湯装置は、前記浴槽洗浄装置の動作に関連する浴槽洗浄関連情報の信号出力が可能とされており、前記インタフェースユニットは、前記給湯装置から前記浴槽洗浄関連情報の信号を受けたときに、その内容に対応して、前記電力供給制御装置に前記浴槽洗浄装置を動作させるための制御信号を出力するように構成されている。
【0019】
このような構成によれば、自動排水栓のみならず、浴槽洗浄装置についても、給湯装置から出力される浴槽洗浄関連情報の内容に対応させて動作制御することが可能である。浴槽洗浄装置が、給湯装置と異なるメーカ品であっても、適切に動作制御することができる。また、浴槽洗浄装置への電力供給は、電力供給制御装置から行なわれるため、仮に、給湯装置が故障を生じた場合であっても、浴槽洗浄装置を動作させることが可能となる。
【0020】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行なう発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明に係る風呂システムの概略構成の一例を示す説明図である。
【
図2】
図1に示す風呂システムのブロック図である。
【
図3】
図1および
図2に示す風呂システムにおいて実行される動作制御の一例を示す説明図である。
【
図4】
図1および
図2に示す風呂システムにおいて実行される動作制御の他の例を示す説明図である。
【
図5】(a),(b)は、
図1および
図2に示す風呂システムにおいて実行される動作制御の他の例を示す説明図である。
【
図6】
図5の動作制御とは異なる例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
【0023】
図1に示す風呂システムSYは、給湯装置WH、電力供給制御装置3、インタフェースユニット2、浴槽40に設けられた自動排水栓41、および浴槽洗浄装置Aを備えている。浴槽洗浄装置Aは、浴槽40に設けられた洗浄ノズル42、後述する機能ユニット5、および洗剤タンク50が組み合わされて構成されている。
【0024】
給湯装置WHは、給湯装置本体部1に、台所用および浴室用リモコン6A,6Bが組み合わされて構成されている。
給湯装置本体部1は、
図2に示すように、外部から入水口12に供給される湯水が送り込まれる熱交換器10、この熱交換器10内を流通する湯水を加熱するバーナ11を備えている。バーナ11により加熱された湯水は、出湯口13aから湯水用配管13およびアダプタ13b(
図1に記載)を介して浴槽40内に供給可能である。また、加熱された湯水は、他の出湯口14aから湯水用配管14を介して機能ユニット5に供給することも可能であり、このことにより
図1に示された洗浄ノズル42から浴槽40の内壁面などに向けて洗剤液を噴出可能とされている。
機能ユニット5は、樹脂製などのケース51内に、不図示の洗剤液生成部や、開閉バルブなどが組み込まれた構成である。洗剤液生成部は、給湯装置WHから供給されてきた湯水に、洗剤タンク50内の洗剤を混入させて洗剤液を生成可能である。前記開閉バルブは、洗浄ノズル42への洗剤液の供給およびその停止を切替え可能である。
【0025】
図2に示すように、給湯装置本体部1には、商用電源PS1から電力供給を受けて給湯装置本体部1の各部に必要な電力を供給するための電源回路15、制御部16、および通信回路17を備えている。制御部16は、マイクロコンピュータなどを用いて構成されており(この点は、後述する他の制御部21,31,61,71も同様)、各種のデータ処理や各部の動作制御を実行する。
【0026】
通信回路17には、台所用および浴室用リモコン6A,6B、ならびにインタフェースユニット2が、たとえば2芯線などの配線La,Lb,L1を介して通信接続されている。配線L1との関係において、後述する配線L2は、配線L1よりも短くされている。通信回路17は、重畳2芯線通信などの電力線通信(電力重畳通信)が可能であり、台所用および浴室用リモコン6A,6B、ならびにインタフェースユニット2に対する電力供給および情報信号の相互伝送が可能である。
【0027】
台所用および浴室用リモコン6A,6Bは、給湯装置WHの動作条件の設定、確認、および給湯装置WHの動作指令などを行なうためのものであり、通信回路17に対応する電力線通信機能を備えた通信回路60、制御部61、表示部62、複数の操作スイッチを含む操作部63、およびスピーカSPなどを備えている。これら台所用および浴室用リモコン6A,6Bは、たとえば自動排水栓41の開閉動作や、浴槽洗浄装置Aを利用した浴槽洗浄の開始動作などを実行させるための操作も可能とされている。
【0028】
電力供給制御装置3は、自動排水栓41および浴槽洗浄装置Aへの駆動電力供給、ならびにそれらの動作制御を実行するものであり、商用電源PS2から電力供給を受けて所望の必要部分に電力を供給するための電源回路30、制御部31、および通信回路32を備
えている。通信回路32は、後述するように、第1および第2の通信回路32A,32Bに区分されているが、この点については後述する。
【0029】
電力供給制御装置3の制御部31には、排水栓駆動装置44、浴槽洗浄装置Aを構成する機能ユニット5、および浴槽洗浄リモコン7が直接または間接的に接続されている。浴槽洗浄リモコン7は、電力供給制御装置3を遠隔操作するためのものであり、たとえば台所用および浴室用リモコン6A,6Bと同様に、通信回路70、制御部71、表示部72、操作部73、スピーカSPなどを具備している。
図2においては、省略しているが、電力供給制御装置3には、浴槽洗浄リモコン7の通信回路70との相互間で2芯線などの配線Ldを介した電力線通信(重畳2芯線通信)が可能な通信回路が具備されている。
【0030】
排水栓駆動装置44は、
図1に示すように、自動排水栓41にワイヤ45を介して連結されたモータ(不図示)を備えており、このモータによるワイヤ45の引っ張り、およびその解除を行なうことにより、自動排水栓41を開閉可能である。
浴槽洗浄装置Aの機能ユニット5は、先に述べたとおり、所定の洗剤液生成部や開閉バルブなどを備えたユニットである。
これら排水栓駆動装置44や機能ユニット5は、電力供給線および信号線からなる複合的な配線Le,Lfを介して電力供給制御装置3と接続されており、電力供給制御装置3から必要な電力供給を受け、かつ電力供給制御装置3によって制御される。
【0031】
インタフェースユニット2は、給湯装置WHと電力供給制御装置3との相互間に介在し、給湯装置WHとのデータ通信で用いられる第1の通信プロトコルの信号、および電力供給制御装置3とのデータ通信で用いられる第2の通信プロトコルの信号のうち、一方を受信すると、これを他方に変換し、出力する役割を果たし、給湯装置WHと電力供給制御装置3との相互間のデータ通信を可能とするものである。
前記第1の通信プロトコルは、より具体的には、給湯装置本体部1、ならびに台所用および浴室用リモコン6A,6Bの相互間の通信プロトコルである。本実施形態においては、浴槽洗浄装置Aおよび電力供給制御装置3と、給湯装置WHとが異なるメーカ品とされ、第1および第2の通信プロトコルは、互いに相違している。
【0032】
インタフェースユニット2は、通信回路20A,20B、制御部21、および電源回路22を備えている。
通信回路20Aは、先に述べたとおり、給湯装置WHの通信回路17と前記した配線L1を介して接続され、重畳2芯線通信などの電力線通信が可能である。インタフェースユニット2は、配線L1を介して給湯装置WHから電力供給を受けている。通信回路20Bは、電力供給制御装置3の通信回路32と信号線としての配線L2を介して接続されている。制御部21は、給湯装置WHからの第1の通信プロトコルの信号を通信回路20Aにおいて受けると、これを第2の通信プロトコルで通信回路20Bから電力供給制御装置3側に出力する。また、これとは反対に、通信回路20Bにおいて電力供給制御装置3からの第2の通信プロトコルの信号を受けると、これを第1の通信プロトコルで通信回路20Aから給湯装置WH側に出力する。
【0033】
電力供給制御装置3の通信回路32は、先に述べたとおり、第1および第2の通信回路32A,32Bに区分されており、これら第1および第2の通信回路32A,32Bは、フォトカプラ33a,33bを介して信号伝達が可能とされ、かつ互いに電気的に絶縁されている。
第1の通信回路32Aは、インタフェースユニット2に対して配線L2に加え、電力供給線Lcを介しても接続されており、インタフェースユニット2から電力供給を受ける。電力供給線Lcへの電力供給源は、電源回路22であり、この電源回路22には、給湯装置WHから通信回路20Aを経た電力供給がなされている。第2の通信回路32Bは、電
源回路30からの電力供給により駆動されており、第2の通信回路32Bが第1の通信回路32Aから受けた情報は制御部31に入力され、制御部31から受けた情報は第1の通信回路32Aに伝達される。
【0034】
図1に示すように、インタフェースユニット2および電力供給制御装置3は、浴槽40が設けられている浴室の天井裏(天井パネル49の上側)に設置されている。配線L2は、配線L1よりも短くされており、天井裏での配線L2の取り廻しの容易化が図られている。また、電磁ノイズなどを受け難くなっている。
なお、
図1において、符号48a,48bは、配線用のコネクタを示している。ただし、
図2では、それらを省略している。
【0035】
次に、前記した風呂システムSYにおける各部の動作制御の具体例について、
図3~
図5を参照して説明する。
【0036】
図3において、給湯装置WHの台所用および浴室用リモコン6A,6Bのいずれかが利用され、浴槽40の自動排水栓41を開状態または閉状態にする旨の操作がなされると(S1)、その旨を指令する制御信号Saが、給湯装置WHからインタフェースユニット2に対して第1の通信プロトコルで送信される。制御信号Saは、本発明でいう「排水栓関連情報の信号」の具体例に相当する。
【0037】
インタフェースユニット2は、前記の制御信号Saを受信すると、これを第2の通信プロトコルに則した制御信号Sa’として電力供給制御装置3に送信する。その結果、電力供給制御装置3においては、制御信号Sa’の内容(情報)を適切に判断し得ることとなり、自動排水栓41が開状態または閉状態とされる動作制御が実行される(S2)。
【0038】
電力供給制御装置3は、その後は自動排水栓41を開状態または閉状態に設定した旨の応答信号Sb’を、第2の通信プロトコルでインタフェースユニット2に返信する。すると、その応答信号Sb’は、第1の通信プロトコルに則した応答信号Sbでインタフェースユニット2から給湯装置WHに返信される。このため、給湯装置WHにおいては、先の制御信号Saに対応して自動排水栓41が適切に開状態または閉状態に制御された旨が確認され、自動排水栓41の現時点における状態を正確に把握することができる。
【0039】
前記とは異なり、
図4において、給湯装置WHの台所用および浴室用リモコン6A,6Bのいずれかが利用され、浴槽洗浄装置Aの動作に関連する操作、たとえば浴槽洗浄を開始する旨の操作、または既に開始されている浴槽洗浄を中断する旨の操作がなされると(S11)、その旨を指令する制御信号Scが、第1の通信プロトコルで給湯装置WHからインタフェースユニット2に送信される。制御信号Scは、本発明でいう「浴槽洗浄関連情報の信号」の具体例に相当する。
【0040】
インタフェースユニット2は、前記の制御信号Scを受信すると、これを第2の通信プロトコルに則した制御信号Sc’として電力供給制御装置3に送信する。その結果、電力供給制御装置3においては、制御信号Sc’の内容(情報)を適切に判断し得るととなり、浴槽洗浄装置Aの動作が開始され、または動作停止がなされるなどの制御が実行される(S12)。
【0041】
また、そのような制御が実行されると、電力供給制御装置3からインタフェースユニット2には、第2の通信プロトコルで応答信号Sd’が返信される。さらに、この応答信号Sd’は、第1の通信プロトコルに則した応答信号Sdでインタフェースユニット2から給湯装置WHに返信される。このことにより、給湯装置WHにおいては、先の制御信号Scに対応して浴槽洗浄装置Aが適切に制御された旨が確認される。
【0042】
前記した
図3および
図4の制御から理解されるように、給湯装置WHと電力供給制御装置3とは通信プロトコルが相違するものの、インタフェースユニット2を利用して通信プロトコルが変換されることにより、それらの相互間においてデータ通信を適切に実行し、自動排水栓41および浴槽洗浄装置Aを制御することができる。給湯装置WHおよび電力供給制御装置3として、通信プロトコルが相違する異なるメーカ品を用いることが可能となるため、融通性に優れ、便利である。
【0043】
なお、電力供給制御装置3は、浴槽洗浄中に、たとえばセンサ類などの異常が発生した場合には、浴槽洗浄リモコン7において、エラーの旨の報知処理がなされる。ただし、自動排水栓41が故障していない場合には、その開閉動作制御は可能である。したがって、前記したエラーの旨の報知処理がなされている場合であっても、
図3に示したように、給湯装置WHにおいて自動排水栓41を動作させる旨の操作があれば、この操作に対応した信号伝達が電力供給制御装置3に対して行なわれ、自動排水栓41は適切に制御される。
【0044】
本実施形態の風呂システムSYにおいては、通信の正常・異常の判断処理も実行される。
具体的には、
図5(a)に示すように、電力供給制御装置3は、通信の正常・異常の判断処理を、所定の短い周期で実行する(S21)。この処理の開始にあたっては、電力供給制御装置3からインタフェースユニット2に対し、通信の正常・異常判断用の所定の信号Se’が送信される。この送信の結果、信号Se’が、インタフェースユニット2と給湯装置WHとの相互間の通信において、第1の通信プロトコルに則した信号Se、およびその応答信号Sfとされた後に、第2の通信プロトコルに則した所定の応答信号Sf’として、電力供給制御装置3に所定時間内に返信されると、電力供給制御装置3において、風呂システムSYにおける通信は正常であると判断される。
【0045】
前記とは異なり、
図5(b)に示すように、電力供給制御装置3から信号Se’がインタフェースユニット2に向けて送信されたにも拘わらず、所定時間内に応答信号Sf’が返信されない場合がある。この場合には、通信異常であると電力供給制御装置3において判断され(S23)、その旨が浴槽洗浄リモコン7を利用して報知される(S24)。このことにより、ユーザは、風呂システムSYの通信系統に異常がある旨を的確に察知し、異常を素早く解消し得ることとなる。
【0046】
なお、
図5においては、通信の正常・異常の判断処理を、電力供給制御装置3において実行させているが、これに代えて、たとえば
図6に示すように、給湯装置WHにおいて実行させることもできる。すなわち、通信の正常・異常の判断処理の開始(S25)にあたっては、給湯装置WHからインタフェースユニット2に対し、所定の信号Seが送信される。この送信の結果、所定時間内に所定の適切な応答信号がなければ、給湯装置WHにおいて、風呂システムSYにおける通信は異常であると判断され(S26)、その旨が台所用および浴室用リモコン6A,6Bの少なくとも一方を利用して報知される(S27)。これとは異なり、所定時間内に所定の適切な応答信号があれば、風呂システムSYにおける通信は正常であると判断される。
【0047】
インタフェースユニット2は、給湯装置WHから電力供給を受けており、電力供給制御装置3からは独立した電源系統とされている。このため、これらインタフェースユニット2および電力供給制御装置3のいずれかに故障が発生した場合には、その故障がインタフェースユニット2側の故障であるか、電力供給制御装置3側の故障であるかが明確となる。そのような故障に対する保証区分も明確となり、メーカや販売業者による故障修理または品質保証などについてのトラブル防止を好適に図ることも可能である。
【0048】
電力供給制御装置3に備えられた第1および第2の通信回路32A,32Bは、フォトカプラ33a,33bを介した信号伝達を可能とし、互いに電気的に絶縁されている。このため、第1の通信回路32Aを含むインタフェースユニット2側、および第2の通信回路32Bを含む電力供給制御装置3側のうち、いずれか一方に電気的な故障(異常事態)が発生したとしても、この故障が他方に影響を及ぼさないようにする効果が期待でき、電気的な故障範囲が大きく拡がらないようにすることができる。
【0049】
その他、本実施形態によれば、インタフェースユニット2および電力供給制御装置3は、浴室の天井裏を利用してスペース効率よく設置されており、その設置作業性などもよい。
給湯装置WH、インタフェースユニット2、および電力供給制御装置3の三者は、配線L1,L2を用いて有線接続されているため、無線通信を採用する場合と比較して、安定した通信が可能である。また、配線L2は短くされているため、ノイズなどを拾い難く、通信をより安定させ得る他、配線L2の取り廻し性、配索作業性もよくなる。
【0050】
本発明は、上述した実施形態の内容に限定されない。本発明に係る風呂システムの各部の具体的な構成は、本発明の意図する範囲内において種々に設計変更自在である。
【0051】
上述の実施形態においては、自動排水栓に加え、浴槽洗浄装置も具備されているが、本発明はこれに限定されず、自動排水栓および浴槽洗浄装置のうち、浴槽洗浄装置を具備せず、自動排水栓のみを具備する風呂システムとすることもできる。
自動排水栓は、浴槽の湯水の排水のオン・オフを切替え可能な栓であるが、その具体的な構造、開閉動作機構などは限定されない。
本発明でいう「排水栓関連情報の信号」は、自動排水栓を開状態または閉状態とするための制御信号に限定されず、これ以外の内容の制御信号とすることもできる。また、本発明でいう「浴槽洗浄関連情報の信号」は、浴槽洗浄を開始し、または中断させるための制御信号に限定されず、浴槽洗浄に関連する他の動作指令を内容とする制御信号とすることもできる。
【0052】
インタフェースユニットは、給湯装置から所定の排水栓関連情報の信号を受けたときに、その内容に対応して、電力供給制御装置に自動排水栓の開閉動作を実行させるための制御信号を出力する機能を有していればよい。このような機能の例として、給湯装置の通信プロトコル(第1の通信プロトコル)を、電力供給制御装置の通信プロトコル(第2の通信プロトコル)に変換する機能を有し、給湯装置から第1の通信プロトコルで出力された所定の制御信号を受けた場合に、電力供給制御装置に対して、前記制御信号を第2の通信プロトコルで出力する機能が挙げられる。前記第1および第2の通信プロトコルの具体的な内容は、限定されない。
本発明においては、インタフェースユニットは、電力供給制御装置からの電力供給を受けないようにされるが、そのための手段としては、給湯装置から電力供給を受けることに代えて、たとえば給湯装置とは別の電力供給源(商用電源など)から電力供給を受ける構成とすることもできる。
【0053】
電力供給制御装置は、自動排水栓への駆動電力供給および動作制御を実行可能であればよい。
給湯装置は、バーナおよび熱交換器を備えた瞬間式給湯装置に代えて、たとえば貯湯式給湯装置などであってもよい。
【符号の説明】
【0054】
A 浴槽洗浄装置
SY 風呂システム
WH 給湯装置
2 インタフェースユニット
3 電力供給制御装置
32A,32B 第1および第2の通信回路
33a,33b フォトカプラ
40 浴槽
41 自動排水栓