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特開2023-121918MEC装置を有する通信システム、MEC装置の通信を処理する装置、方法及びプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023121918
(43)【公開日】2023-09-01
(54)【発明の名称】MEC装置を有する通信システム、MEC装置の通信を処理する装置、方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 24/02 20090101AFI20230825BHJP
   H04W 16/00 20090101ALI20230825BHJP
   H04W 88/08 20090101ALI20230825BHJP
   H04W 88/18 20090101ALI20230825BHJP
【FI】
H04W24/02
H04W16/00
H04W88/08
H04W88/18
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022025271
(22)【出願日】2022-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】501440684
【氏名又は名称】ソフトバンク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 壽
(74)【代理人】
【識別番号】100128691
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 弘通
(72)【発明者】
【氏名】熊倉 顕
(72)【発明者】
【氏名】張 亮
(72)【発明者】
【氏名】前迫 敬介
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA34
5K067DD11
5K067EE02
5K067EE10
5K067EE16
(57)【要約】
【課題】移動通信システムの標準仕様を満たしつつ、コアネットワークを介したMEC装置と他の装置との通信が可能になる通信システムを提供する。
【解決手段】通信システムは、移動通信網のコアネットワークよりも基地局に近い位置で端末装置と通信して情報処理を行うMEC装置を有する。この通信システムは、前記コアネットワークを介した前記MEC装置と他の装置との通信のトラフィックを収容するように、前記MEC装置を前記移動通信網の擬似的な基地局及び擬似的な端末装置として前記コアネットワークに接続させる仮想基地局機能部を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動通信網のコアネットワークよりも基地局に近い位置で端末装置と通信して情報処理を行うMEC装置を有する通信システムであって、
前記コアネットワークを介した前記MEC装置と他の装置との通信のトラフィックを収容するように、前記MEC装置を前記移動通信網の擬似的な基地局及び擬似的な端末装置として前記コアネットワークに接続させる仮想基地局機能部を備える、ことを特徴とする通信システム。
【請求項2】
請求項1の通信システムにおいて、
前記仮想基地局機能部は、
前記コアネットワークに対して前記MEC装置を擬似的な基地局として機能させるための制御プレーンの処理を行う仮想基地局処理部と、
前記コアネットワークに対して前記MEC装置を擬似的な端末装置として機能させるための制御プレーンの処理を行う仮想端末処理部と、
前記MEC装置から前記コアネットワークへ転送するパケットの処理を行うMECパケット処理部と、
前記コアネットワークから前記MEC装置へ転送するパケットの処理を行うUPF(User Plane Function)パケット処理部と、を備える、
ことを特徴とする通信システム。
【請求項3】
請求項2の通信システムにおいて、
前記仮想基地局処理部は、
NGAP(NG Application Protocol)を用いて、前記コアネットワークのAMF(加入者モビリティ管理)のノード装置と間で制御プレーンの制御信号を送受信し、
前記NGAPで受信した前記制御信号を処理して前記MEC装置を擬似的な基地局として機能させるための処理を行い、
前記AMFのノード装置から受信したNAS(Non Access Stratum)メッセージを前記仮想端末処理部に送信し、
前記擬似的な基地局としての操作を受け付けるためのインターフェースを提供する、
ことを特徴とする通信システム。
【請求項4】
請求項2又は3の通信システムにおいて、
前記仮想端末処理部は、
前記仮想基地局処理部から前記NASメッセージを受信し、
前記NASメッセージを処理して前記MEC装置を擬似的な端末装置として機能させるための処理を行い、
前記擬似的な端末装置としての操作を受け付けるためのインターフェースを提供する、
ことを特徴とする通信システム。
【請求項5】
請求項2乃至4のいずれかの通信システムにおいて、
前記MECパケット処理部は、送信元アドレスが前記MEC装置のアドレスであるパケットをGTP(General Packet Radio System Tunneling Protocol)によってカプセル化し、前記コアネットワークのUPF(User Plane Function)のノード装置に送信する、ことを特徴とする通信システム。
【請求項6】
請求項5の通信システムにおいて、
前記MECパケット処理部は、前記パケットの送信先アドレスによって、前記パケットの伝送に用いるPDU(Protocol Data Unit)セッションを規定するGTPヘッダを選択する、ことを特徴とする通信システム。
【請求項7】
請求項5又は6の通信システムにおいて、
前記UPFパケット処理部は、前記コアネットワークのUPFのノード装置から受信した前記GTPのパケットをデカプセル化し、前記MEC装置に送信する、ことを特徴とする通信システム。
【請求項8】
請求項2乃至7のいずれかの通信システムにおいて、
前記仮想端末処理部は、前記MEC装置又は前記基地局に組み込まれ、
前記仮想基地局処理部と、前記MECパケット処理部及び前記UPFパケット処理部とは、互いに別装置として構成した、ことを特徴とする通信システム。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかの通信システムにおいて、
前記他の装置は、他のMEC装置、クラウドサービスシステム、又は、外部の閉域ネットワーク、オープンネットワーク若しくは広域ネットワークに存在する装置である、ことを特徴とする通信システム。
【請求項10】
移動通信網のコアネットワークよりも基地局に近い位置で端末装置と通信して情報処理を行うMEC装置の通信を処理する装置であって、
前記コアネットワークを介した前記MEC装置と他の装置との通信のトラフィックを収容するように、前記MEC装置を前記移動通信網の擬似的な基地局及び擬似的な端末装置として前記コアネットワークに接続させる手段を備える、ことを特徴とする装置。
【請求項11】
請求項10の装置において、
前記コアネットワークに対して前記MEC装置を擬似的な基地局として機能させるための制御プレーンの処理を行う仮想基地局処理部と、
前記コアネットワークに対して前記MEC装置を擬似的な端末装置として機能させるための制御プレーンの処理を行う仮想端末処理部と、
前記MEC装置から前記コアネットワークへ転送するパケットの処理を行うMECパケット処理部と、
前記コアネットワークから前記MEC装置へ転送するパケットの処理を行うUPF(User Plane Function)パケット処理部と、
を備える、ことを特徴とする装置。
【請求項12】
移動通信網のコアネットワークよりも基地局に近い位置で端末装置と通信して情報処理を行うMEC装置の通信を処理する方法であって、
前記コアネットワークを介した前記MEC装置と他の装置との通信のトラフィックを収容するように、前記MEC装置を前記移動通信網の擬似的な基地局及び擬似的な端末装置として前記コアネットワークに接続させることを含む、ことを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項12の方法において、
前記コアネットワークに対して前記MEC装置を擬似的な基地局として機能させるための制御プレーンの処理を行うことと、
前記コアネットワークに対して前記MEC装置を擬似的な端末装置として機能させるための制御プレーンの処理を行うことと、
前記MEC装置から前記コアネットワークへ転送するパケットの処理を行うことと、
前記コアネットワークから前記MEC装置へ転送するパケットの処理を行うことと、
を含む、ことを特徴とする方法。
【請求項14】
移動通信網のコアネットワークよりも基地局に近い位置で端末装置と通信して情報処理を行うMEC装置の通信を処理する装置に備えるコンピュータ又はプロセッサにおいて実行されるプログラムであって、
前記コアネットワークを介した前記MEC装置と他の装置との通信のトラフィックを収容するように、前記MEC装置を前記移動通信網の擬似的な基地局及び擬似的な端末装置として前記コアネットワークに接続させるためのプログラムコードを含む、ことを特徴とするプログラム。
【請求項15】
請求項14のプログラムにおいて、
前記コアネットワークに対して前記MEC装置を擬似的な基地局として機能させるための制御プレーンの処理を行うためのプログラムコードと、
前記コアネットワークに対して前記MEC装置を擬似的な端末装置として機能させるための制御プレーンの処理を行うためのプログラムコードと、
前記MEC装置から前記コアネットワークへ転送するパケットの処理を行うためのプログラムコードと、
前記コアネットワークから前記MEC装置へ転送するパケットの処理を行うためのプログラムコードと、
を含む、ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動通信のコアネットワークを介したMEC装置と他の装置の通信に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、移動通信網のコアネットワークよりも基地局に近い場所(ユーザの端末装置から物理的に距離の近い場所)に計算機リソースを配置して各種サービスの処理を実施するMEC(「マルチアクセス・エッジ・コンピューティング」又は「モバイル・エッジ・コンピューティング」の略)の機能を有するサーバ(以下、「MEC装置」、「MECサーバ」、又は略して「MEC」ともいう。)が知られている(例えば、非特許文献1、2、3参照)。このMEC装置によれば、コアネットワークに流入するトラフィック量の抑制、データの地産地消によるセキュリティリスクの低減、伝送距離短縮によるリアルタイム性能の向上、分散処理による負荷軽減などを達成できると期待されている。
【0003】
また,MECによる多様かつ柔軟なユーザサービス提供のために、ハンドオーバー時のMECロケーション再選択(非特許文献4参照)や、既存のクラウドサービスシステム(以下「クラウドシステム」又は略して「クラウド」ともいう。)との処理の連携(非特許文献5参照)など、複数拠点を跨いだサービス処理アーキテクチャが提案されている。
【0004】
また、第5世代の移動通信システムのコアネットワーク(以下、「5Gコアネットワーク」又は略して「5Gコア」ともいう。)におけるMEC装置(MECサーバ)収容のための標準化において、ユーザの端末装置(以下、「UE」ともいう。)からMEC装置(MECサーバ)への通信が検討されている(非特許文献6参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Milan Patel et al, "Mobile-Edge Computing" Mobile-Edge Computing - Introductory Technical White Paper, Mobile-Edge Computing (MEC) industry initiative, [Online] Sept. 2014, [令和4年2月13日検索], インターネット〈URL:https://portal.etsi.org/portals/0/tbpages/mec/docs/mobile-edge_computing_-_introductory_technical_white_paper_v1%2018-09-14.pdf〉
【非特許文献2】Yun Chao Hu, Milan Patel, Dario Sabella, Nurit Sprecher and Valerie Young, "Mobile Edge Computing A key technology towards 5G", First Edition, ETSI White Paper, No. 11, [Online] Sept. 2015, [令和4年2月13日検索], インターネット〈URL:http://www.etsi.org/images/files/ETSIWhitePapers/etsi_wp11_mec_a_key_technology_towards_5g.pdf〉
【非特許文献3】"Multi-access Edge Computing (MEC)" ETSI(European Telecommunications Standards Institute) [Online], [令和4年2月13日検索], インターネット〈URL:https://www.etsi.org/technologies/multi-access-edge-computing〉
【非特許文献4】P.Zhou, et al, "5G MEC Computation Handoff for Mobile Augmented Reality", Networking and Internet Architecture 2021
【非特許文献5】安藤嘉浩, 他, "5G時代の多様なデジタルサービスを実現する富士通マルチアクセスエッジクラウド" FUJITSU.69, 6, 2018
【非特許文献6】S. Kekki, et al, "MEC in 5G networks", ETSI White Paper No. 28, 2018
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記MEC装置が普及した後、多様かつ柔軟なサービスの提供するユースケースが想定される。このようなユースケースでは、例えば、処理の引き継ぎのために複数のMEC装置間で通信したり、外部ネットワークに構築されたクラウドサービスシステムと連携してMEC装置を動作させたり、又は、外部の企業の閉域ネットワークからMEC装置サーバにアクセスしたりする必要がある。しかしながら、従来のMEC装置を有する移動通信システムでは、標準仕様上、コアネットワークを介して他のMEC装置や外部ネットワークのシステムなどの他の装置と通信することができない、という課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る通信システムは、移動通信網のコアネットワークよりも基地局に近い位置で端末装置と通信して情報処理を行うMEC装置を有する通信システムである。この通信システムは、前記MEC装置を前記移動通信網の擬似的な基地局及び擬似的な端末装置として前記コアネットワークに接続させる仮想基地局機能部を備える。
【0008】
前記通信システムにおいて、前記仮想基地局機能部は、前記コアネットワークに対して前記MEC装置を擬似的な基地局として機能させるための制御プレーンの処理を行う仮想基地局処理部と、前記コアネットワークに対して前記MEC装置を擬似的な端末装置として機能させるための制御プレーンの処理を行う仮想端末処理部と、前記MEC装置から前記コアネットワークへ転送するパケットの処理を行うMECパケット処理部と、前記コアネットワークから前記MEC装置へ転送するパケットの処理を行うUPF(User Plane Function)パケット処理部と、を備える。
【0009】
前記通信システムにおいて、前記仮想基地局処理部は、NGAP(NG Application Protocol)を用いて、前記コアネットワークのAMF(加入者モビリティ管理)のノード装置と間で制御プレーンの制御信号を送受信し、前記NGAPで受信した前記制御信号を処理して前記MEC装置を擬似的な基地局として機能させるための処理を行い、前記AMFのノード装置から受信したNAS(Non Access Stratum)メッセージを前記仮想端末処理部に送信し、前記擬似的な基地局としての操作を受け付けるためのインターフェースを提供してもよい。
【0010】
前記通信システムにおいて、前記仮想端末処理部は、前記仮想基地局処理部から前記NASメッセージを受信し、前記NASメッセージを処理して前記MEC装置を擬似的な端末装置として機能させるための処理を行い、前記擬似的な端末装置としての操作を受け付けるためのインターフェースを提供してもよい。
【0011】
前記通信システムにおいて、前記MECパケット処理部は、送信元アドレスが前記MEC装置のアドレスであるパケットをGTP(General Packet Radio System Tunneling Protocol)によってカプセル化し、前記コアネットワークのUPF(User Plane Function)のノード装置に送信してもよい。
【0012】
ここで、前記MECパケット処理部は、前記パケットの送信先アドレスによって、前記パケットの伝送に用いるPDU(Protocol Data Unit)セッションを規定するGTPヘッダを選択してもよい。
【0013】
また、前記UPFパケット処理部は、前記コアネットワークのUPFのノード装置から受信した前記GTPのパケットをデカプセル化し、前記MEC装置に送信してもよい。
【0014】
前記通信システムにおいて、前記仮想端末処理部は、前記MEC装置又は前記基地局に組み込まれ、前記仮想基地局処理部と、前記MECパケット処理部及び前記UPFパケット処理部とは、互いに別装置として構成してもよい。また、前記MECパケット処理部は、MEC拠点のネットワークスイッチに内包させてもよい。
【0015】
本発明の他の態様に係る装置は、移動通信網のコアネットワークよりも基地局に近い位置で端末装置と通信して情報処理を行うMEC装置の通信を処理する装置である。この装置は、前記コアネットワークを介した前記MEC装置と他の装置との通信のトラフィックを収容するように、前記MEC装置を前記移動通信網の擬似的な基地局及び擬似的な端末装置として前記コアネットワークに接続させる手段を備える。
【0016】
前記装置において、前記コアネットワークに対して前記MEC装置を擬似的な基地局として機能させるための制御プレーンの処理を行う仮想基地局処理部と、前記コアネットワークに対して前記MEC装置を擬似的な端末装置として機能させるための制御プレーンの処理を行う仮想端末処理部と、前記MEC装置から前記コアネットワークへ転送するパケットの処理を行うMECパケット処理部と、前記コアネットワークから前記MEC装置へ転送するパケットの処理を行うUPF(User Plane Function)パケット処理部と、を備えてもよい。
【0017】
本発明の更に他の態様に係る方法は、移動通信網のコアネットワークよりも基地局に近い位置で端末装置と通信して情報処理を行うMEC装置の通信を処理する方法である。この方法は、前記コアネットワークを介した前記MEC装置と他の装置との通信のトラフィックを収容するように、前記MEC装置を前記移動通信網の擬似的な基地局及び擬似的な端末装置として前記コアネットワークに接続させることを含む。
【0018】
前記方法において、前記コアネットワークに対して前記MEC装置を擬似的な基地局として機能させるための制御プレーンの処理を行うことと、前記コアネットワークに対して前記MEC装置を擬似的な端末装置として機能させるための制御プレーンの処理を行うことと、前記MEC装置から前記コアネットワークへ転送するパケットの処理を行うことと、前記コアネットワークから前記MEC装置へ転送するパケットの処理を行うことと、を含んでもよい。
【0019】
本発明の更に他の態様に係るプログラムは、移動通信網のコアネットワークよりも基地局に近い位置で端末装置と通信して情報処理を行うMEC装置の通信を処理する装置に備えるコンピュータ又はプロセッサにおいて実行されるプログラムである。このプログラムは、前記コアネットワークを介した前記MEC装置と他の装置との通信のトラフィックを収容するように、前記MEC装置を前記移動通信網の擬似的な基地局及び擬似的な端末装置として前記コアネットワークに接続させるためのプログラムコードを含む。
【0020】
前記プログラムにおいて、前記コアネットワークに対して前記MEC装置を擬似的な基地局として機能させるための制御プレーンの処理を行うためのプログラムコードと、前記コアネットワークに対して前記MEC装置を擬似的な端末装置として機能させるための制御プレーンの処理を行うためのプログラムコードと、前記MEC装置から前記コアネットワークへ転送するパケットの処理を行うためのプログラムコードと、前記コアネットワークから前記MEC装置へ転送するパケットの処理を行うためのプログラムコードと、を含んでもよい。
【0021】
前記通信システム、前記装置、前記方法及び前記プログラムにおいて、前記他の装置は、他のMEC装置、クラウドサービスシステム、又は、外部の閉域ネットワーク、オープンネットワーク若しくは広域ネットワークに存在する装置であってもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、移動通信システムの標準仕様を満たしつつ、移動通信網のコアネットワークを介したMEC装置と他の装置との通信が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】実施形態に係る通信システムの概略構成の一例を示す説明図。
図2】実施形態に係る通信システムの5Gコアネットワークのアーキテクチャの一例を示す説明図。
図3】5GコアネットワークへのMEC装置の収容の一例を示す説明図。
図4】5Gコアネットワークにおけるユーザパケット伝送の一例を示す説明図。
図5】5Gコアネットワークにおける制御プレーン処理における各装置の役割の一例を示す説明図。
図6】参考例に係るMEC装置から他の装置へのパケット伝送の説明図。
図7】参考例に係るMEC装置から他の装置へのパケット伝送方法の説明図。
図8】参考例に係るMEC装置から他の装置へのパケット伝送方法の課題の説明図。
図9】参考例に係るMEC装置から他の装置へのパケット伝送方法の物理線の構成例及びその課題の説明図。
図10】(a)及び(b)は参考例に係るMEC装置から他の装置へのパケット伝送方法の物理線の他の構成例及びその課題の説明図。
図11】実施形態に係る通信システムの構成例を示す説明図。
図12】実施形態に係る通信システムにおける仮想基地局機能部(vgNB)の構成例を示す説明図。
図13】実施形態に係る仮想基地局機能部(vgNB)の仮想gNB処理部の通信レイヤーの一例を示す説明図。
図14】実施形態に係る仮想基地局機能部(vgNB)の仮想UE処理部の通信レイヤーの一例を示す説明図。
図15】実施形態に係る仮想基地局機能部(vgNB)のMECパケット処理部の通信レイヤーの一例を示す説明図。
図16】実施形態に係るMECパケット処理部におけるGTPヘッド選択を伴うMEC装置からのパケット伝送の一例を示す説明図。
図17】実施形態に係るMECパケット処理部におけるGTPヘッド選択を伴うMEC装置からのパケット伝送の一例を示す説明図。
図18】実施形態に係るMECパケット処理部におけるGTPヘッド選択を伴うMEC装置からのパケット伝送の一例を示す説明図。
図19】実施形態に係るMECパケット処理部におけるGTPヘッド選択を伴うMEC装置からのパケット伝送の一例を示すシーケンス図。
図20】実施形態に係る仮想基地局機能部(vgNB)のUPFパケット処理部の通信レイヤーの一例を示す説明図。
図21】実施形態に係る仮想基地局機能部(vgNB)の実装例を示す説明図。
図22】実施形態に係るMEC装置および仮想基地局機能部(vgNB)を備えた通信システムの効果の一例を示す説明図。
図23】実施形態に係るMEC装置および仮想基地局機能部(vgNB)を備えた通信システムの効果の他の例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
本書に記載された実施形態に係る通信システムは、MEC装置(MECサーバ)を移動通信網の擬似的な基地局(gNB)及び擬似的な端末装置(UE)としてコアネットワークに接続させることにより、コアネットワークを介したMEC装置と他のMEC装置、クラウドなどの他の装置との通信のトラフィックを収容することができ、移動通信システムの標準仕様を満たしつつ、コアネットワークを介したMEC装置と他の装置(他のMEC装置、クラウド、他の閉域NWの装置)との通信が可能になる。
【0025】
なお、本実施形態では第5世代の標準仕様に準拠する移動通信システムの構成例について説明するが、第5世代の移動通信システムの標準仕様の適用を前提に説明するが、類似の構成を用いるシステムであれば、本発明の概念はどのようなシステムにも適用可能である。
【0026】
図1は、本実施形態に係る通信システムの概略構成の一例を示す説明図である。図1において、本実施形態の通信システムは、第5世代の標準仕様に準拠するセルラー方式の移動通信システムであり、5Gコアネットワーク10と、複数の基地局としてのgNodeB(以下、実施形態において「gNB」ともいう。)20(1),20(2)と、複数のMEC装置(以下、実施形態において「MEC」という。)30(1),30(2)とを備える。複数の端末装置(加入者端末)としてのユーザ装置(以下、実施形態において「UE」という。)50(1),50(2)はそれぞれ、gNB20(1),20(2)を介して、MEC30(1),30(2)との間でデータ通信(パケット通信)を行ったり、更に5Gコア10及びインターネット60を介してクラウドシステム(以下「クラウド」ともいう。)70等の外部の装置との間でデータ通信(パケット通信)を行ったりすることができる。
【0027】
また、本実施形態の通信システムは、gNB20(1),20(2)からのインターフェース経路が接続されている5Gコア10の接点に、5G仕様標準に違反しない状態でMEC30(1),30(2)間の通信及び各MEC30(1),30(2)と外部のクラウド70との間の通信を5Gコア10に流入させる新たな機能部としての後述の仮想基地局機能部40が配置されている。
【0028】
なお、以下の説明において、複数のMEC30(1),30(2)を区別して説明する場合は符号に括弧書きの識別番号を付し、共通の構成などを説明する場合は括弧書きの識別番号を付さないで参照する。他のgNB20(1),20(2)やUE50(1),50(2)等の装置においても同様である。
【0029】
図2は、本実施形態に係る通信システムの5Gコア10のアーキテクチャの一例を示す説明図である。図2において、5Gコア10は、主に制御信号が送受されて処理される移動通信システムの全体の制御系としての制御・プレーンの部分(以下「C-Plane」ともいう。)100Cと、主にユーザデータが送受信されて処理されるユーザプレーンの部分(以下「U-Plane」ともいう。)100Uとにより構成されている。
【0030】
C-Plane100Cには、gNB20を収容するRAN(Radio Access Network)200、UPF(User Plane Function)101、AMF(Access and Mobility Management Function)102、SMF(Session Management Function)103、NWDAF(Network Data Analytics Function)104、UDR(Unified Data Repository)105、AUSF(Authentication Server Function)106等の機能部(ノード装置)が配置されている。RAN200は無線アクセス網である。UPF101は加入者通信パケット転送等の機能を有する。AMF102は加入者モビリティ管理などの機能を有する。SMF103は加入者セッション管理などの機能を有する。NWDAF104は5Gコアのネットワークデータの分析等の機能を有する。UDR105は加入者情報データベース等の機能を有する。AUSF106は加入者認証などの機能を有する。
【0031】
更に、C-Plane100Cには、NSSF(Network Slice Selection Function)107、NEF(Network Exposure Function)108、NRF(Network Repository Function)109、PCF(Policy Control Function)110、UDM(Unified Data Management)111、AF(Application Function)112等の機能部(ノード装置)が配置されている。NSSF107はネットワークスライスの選択などの機能を有する。NEF108は5Gコアの機能の外部公開等の機能を有する。NRF109は5Gコアのファンクション管理等の機能を有する。PCF110はポリシー制御等の機能を有する。UDM111は加入者情報管理などの機能を有する。AF112は外部アプリケーションサーバ等の機能を有する。
【0032】
C-Plane100Cにおいて、AMF102等のノード装置の間の通信はそれぞれNamf等のインターフェースを介して行われる。また、RAN200の複数のgNB20間の通信はXnインターフェースを介して行われる。
【0033】
U-Plane100Uには、前述のUPF101のほか、前述のgNB20を収容するRAN200のほか、DN(Data Network)110が配置されている。DN110は5Gコアの外部のデータネットワークである。DN110には、インターネット60を介して接続されるクラウド70、IP電話のサービスなどを提供するIMS(IPマルチメディアサブシステム)、MEC30等が収容される。U-Plane100Uには、UE50を含めてもよい。
【0034】
C-Plane100CのAMF102とU-Plane100UのUE50との間の通信はN1インターフェースを介して行われ、AMF102とgNB20と間の通信はN2インターフェースを介して行われる。C-Plane100CのSMF103とU-Plane100Uとの接点にあるUPF101との間の通信はN4インターフェースを介して行われる。U-Plane100Uにおいて、gNB20とUPF101と間の通信はN3インターフェースを介して行われ、UPF101とDN110との間の通信はN6インターフェースを介して行われ、複数のUPF101間の通信はN9インターフェースを介して行われる。
【0035】
図3は5Gコアネットワーク10へのMEC装置30の収容の一例を示す説明図である。5Gコアネットワークのシステムアーキテクチャでは、MEC30(1),30(2)は、DN110の中に配置されるものと定義されている。そのため、MEC30(1),30(2)と5Gコアネットワークの接続点には、ユーザパケット伝送装置として機能するUPF101(1),101(2)が必要となる。UPF101(1),101(2)は、直接または他のUPFを経由してgNB20(1),20(2)とGTP(GPRS Tunnelling Protocol)によるセッションを確立し、ユーザパケットを伝送する。
【0036】
図4は5Gコアネットワークにおけるユーザパケット伝送の一例を示す説明図である。図4には、ユーザデータ伝送を行っているときのUE50、gNB20、第1のUPF101(1)、第3のUPF101(2)及びDN110のそれぞれにおけるプロトコルスタック50p,20p,101p(1),101p(2),110pも示している。図4において、UE50に付与するIPアドレス(UE-IP)は、UE50からの接続要求情報を基に、SMF103により決定されて払い出され、UPF101(1),UPF101(2)に通知されるとともに、AMF102を介してgNB20及びUE50に通知される。UPF101(1),UPF101(2)及びgNB20は、パケットの送信元IPがUE-IPの場合、N3及びN9のインターフェースの区間はGTPによってカプセリングされ(GTPカプセリング化)、同区間にGTPトンネル120が構築される。
【0037】
図5は、5Gコアネットワークにおける制御プレーン処理における各装置の役割の一例を示す説明図である。図5において、AMF102はネットワークスライスの決定と、使用するSMF103の決定とを行う。SMF103は、UE-IPの払い出しと、使用するUPF101(1),101(2)の決定とを行う。UPF101(1),UPF101(2)及びgNB20はそれぞれ、自装置のTEIDを決定し、AMF102及びSMF103を経由して各装置間で交換(配布)される。各装置のIPアドレスも併せて交換される。
【0038】
図5において、GTPセッション構築に必要な通信端識別子としてのTEIDと、GTPセッションが構築される隣接装置のIPアドレスは、AMF102及びSMF103を経由した動的なネゴシエーションにより決定される。また、UE50に付与するIPアドレスは、UE50からの接続要求情報を基に、SMF103により決定される。そのため、各種装置の静的な事前設定や、ネットワーク機器のルーティング制御だけでは、図6のように、MEC30(1)はUPF101(1)経由で他のUPF101(2),101(3)に収容される他のMEC30(2)やDN110のクラウド70に接続できない。
【0039】
図7は、参考例に係るMECから他の装置へのパケット伝送方法の説明図である。図7に示すように、MEC30の外部通信を実現する最も簡単な手法は、5GコアネットワークのN6インターフェースのネットワーク80を介したDN110とは別に、専用線やネットワークオーバレイにより5Gコアネットワークとは異なるL2/L3等を用いた独自のネットワーク90を構築する手法である。しかしながら、独自のネットワーク90を構築する場合、次のような課題がある。
【0040】
5Gコアネットワークでは、NWDAF104によるネットワークトラフィック解析や経路の最適化や動的な設定変更が期待されている。しかしながら、図8に示すように、NWDAF104は5Gコアネットワーク外の接続構成や通信状況を取得できないため、MEC30を含めたモバイルネットワーク全体の最適化制御ができない可能性が高い。
【0041】
また、図9に示すように、5GコアネットワークのUPF101から外部装置(クラウド70)へのN6インターフェースのネットワーク80の物理線81と、MEC30から外部装置(クラウド70)への独自のネットワーク90の物理線91とを完全に分離した状態で設けた場合は、追加の物理線91の敷設コストが莫大になるため、現実的でない。
【0042】
また、図10(a)及び(b)に示すように、共通の物理線85において5Gコアネットワークのネットワーク80と独自のネットワーク90とをネットワーク重畳技術で構築することが考えられる。しかしながら、図10(a)に示すように各ネットワークの通信に帯域制限をかけない場合、MEC30側の独自のネットワーク90で大容量の通信が発生中でも5Gコアネットワークのネットワーク80では状態を認識していないため、輻輳が発生する可能性がある。また、図10(b)に示すように各ネットワークの通信に帯域制限をかける場合、物理的には帯域に余裕があるが、MEC30側の独自のネットワーク90では上限帯域により外部装置との通信が制限される可能性がある。
【0043】
そこで、本実施形態では、gNB20からのインターフェース経路が接続されている5Gコア10の接点に仮想基地局機能部(以下「vgNB」ともいう。)40を配置することにより、5G仕様標準に違反しない状態でMEC30間の通信及び各MEC30と外部のクラウド70との間の通信を5Gコア10に流入させている。
【0044】
図11は、本実施形態に係るvgNB40を配置した通信システムの構成例を示す説明図である。vgNB40は、5GコアのUPF101及びAMF102とMEC30とに接続され、gNBの一部機能と仮想UE(vUE)の機能と他の独自機能とを有する擬似基地局ある。vgNB40は、AMF102対してgNBとして振る舞うが、無線通信部は有さない。vgNB40では,仮想UE(vUE)の制御処理も行い、vUE情報の登録、セッション構築制御を行う。セッション構築後、vgNB40は、送信元IPアドレスがMEC30のパケットをUPF101(1)に送信する。同様に、vgNB40がUPF101(1)から受け取ったパケットはMEC30に送信される。一方、5Gコア側では、仮想UE(vUE)に付与するIPアドレスとMEC30のIPアドレスが一致するよう事前設定しておく。また、MEC30では、vgNB40を外部通信のゲートウェイとして設定しておく。vgNB40を配置することにより、MEC30は、UE50に対してはDN110として振る舞い、DN110に対してはUE50として振る舞う。すなわち、vgNB40により、MEC30を擬似的なUEとして5Gコア10に接続させることができる。
【0045】
図12は、本実施形態に係る通信システムにおける仮想基地局機能部(vgNB)40の構成例を示す説明図である。図12において、vgNB40は、5GコアのC-Planeのノードとして機能する5GC CPパケット処理部410と、5GコアのU-Planeのノードとして機能する5GC UPパケット処理部420とを備える。
【0046】
5GC CPパケット処理部410は、仮想gNB処理部411と仮想UE処理部412とを有する。仮想gNB処理部411は、図13に示すように、AMF102との間で5GCにおけるC-Plane制御信号の送受信を行う。C-Plane制御信号は、5Gの標準に準拠したNGAP(NG Application Protocol)プロトコルを使用する。仮想gNB処理部411は、NGAP処理に必要な情報(セッション情報等)を通常の基地局同様に管理する。UE向けの情報(NASプロトコル)の処理は、仮想UE処理部412に移譲する。また、仮想gNB処理部411は、外部の保守者や外部システムが仮想gNBの操作を行うためのAPIを提供する。
【0047】
仮想gNB処理部411は、図13に示すように、仮想UE処理部412との通信に標準的な無線プロトコルは使用しない。仮想UE処理部412との通信においては、プロセス間通信、IP通信等、通信規格に制限はない。
【0048】
仮想UE処理部412は、AMF102との間で、5GCにおけるC-Plane制御信号の送受信を行う。仮想UE処理部412は、NASメッセージの処理を行い、仮想gNB処理部411と通信する。
【0049】
仮想UE処理部412は、NASメッセージの処理に必要な各種情報を全て保持する。仮想UE処理部412に保持する情報は、図14に示すように、認証情報等、通常SIMカード413に記録されているような静的な情報と、なりすまし防止のためのカウンタや接続先情報、UE-IP等、動的な情報である。また、仮想UE処理部412は、外部の保守者や外部システムが仮想UEの操作を行うためのAPIを提供する。
【0050】
仮想UE処理部412は、図14に示すように、標準的な無線プロトコルは使用しない。仮想gNB処理部411との通信においては、プロセス間通信、IP通信等、通信規格に制限はない。
【0051】
前述の図12において、5GC UPパケット処理部420は、MECパケット処理部421とUPFパケット処理部422とを有する。MECパケット処理部421は、図15に示すように、送信元アドレスが他のMECやクラウドなどの装置であるパケットをGTPカプセル化し、所定のUPF101に送信する。ここで、送信先アドレスによってGTPヘッダを選択(TEID、送信先UPFの切り替え)する。このGTPヘッダを選択する機能は、後述するように、通常のgNB20にはない独自機能である。MECパケット処理部421からのパケットの送信には、標準的な無線プロトコルは使用しない。パケット送信元のMEC30との通信には、TCP/IPベースの通信(例えばL1又はL2の通信)を使用する。
【0052】
図16図18は、MEC30から他のMECやクラウドなどの装置に送信するパケットにおけるGTPヘッダの選択が必要な理由を示す説明図である。図16に示すように、複数のMEC30(1),30(2)及びクラウド70をシステムとしてクラスタを構成したい場合がある。この場合、クラスタを構成する複数の装置(MEC30(1),30(2)及びクラウド70)のIPアドレスが互いに固定されている必要がある。すなわち、装置間で構築される各セッションに付与されるUE-IPが同一のものである必要がある。
【0053】
しかしながら、各セッションに付与されるUE-IPが同一のものであると、送信パケットがどのセッションのパケットかを判断することができない。例えば、図17に示すようにvgNB40(1)を介して第1のMEC30(1)と第2のMEC30(2)及びクラウド70のそれぞれとの間にセッションが確立されている状態で、第1のMEC30(1)からパケットを送信したとき、送信元のUE-IP(Src(UE-IP))が同一のため、vgNB40(1)はどちらのセッション宛のパケットかを判断できず、当該パケットをどちらのセッションに流せばよいか判断できない。
【0054】
そこで、本実施形態では、vgNB40(1)の設定として、セッション毎の宛先(IPアドレス)を定義し、送信パケットの所定のGTPヘッダに宛先のセッションのIPアドレスを設定することにより、vgNB40(1)が当該パケットを流すセッションを判断できるようにしている。例えば、図18に示すように、第1のMEC30(1)から第2のMEC30(2)へのセッションに、宛先のIPアドレスとして「10.6.12.42/24」を定義し、第1のMEC30(1)からクラウド70へのセッションに、宛先のIPアドレスとして「10.6.12.42/24」以外のIPアドレスを定義しておく。第1のMEC30(1)がGTPヘッダに宛先のIPアドレスとして「10.6.12.42」を設定してパケットをvgNB40(1)に送信すると、vgNB40(1)は、当該パケットのGTPヘッダの記述に基づいて、当該パケットが第2のMEC30(2)へのセッションのパケットであると判断し、当該パケットを第2のMEC30(2)へのセッションに流すことができる。
【0055】
図19は、前述の図16のクラスタ構成において、vgNB40(1)のMECパケット処理部421におけるGTPヘッド選択を伴うMEC30(1)からのパケット伝送の一例を示すシーケンス図である。図19において、第1のMEC30(1)と第2のMEC30(2)とクラウド70との間でクラスタを構成する場合、まず、第1のvgNB40(1)は、5GコアのSMF、AMF、UPF等と連携して、MECのIPアドレスをUE-IPとするPDUセッションを構築するための制御信号の送受信を行い、UPF101(1)を介してUPF101(2)との間に第1のPDUセッションを構築する(S101)。更に、第1のvgNB40(1)は、5GコアのSMF、AMF、UPF等と連携して、MEC及びクラウドのIPアドレスをUE-IPとするPDUセッションを構築するための制御信号の送受信を行い、UPF101(1)を介してUPF101(3)との間に第2のPDUセッションを構築する(S102)。
【0056】
次に、第1のMEC30(1)から第2のMEC30(2)宛にパケット(以下「MEC-2宛パケット」という。)を送信する場合、MEC-2宛パケットがvgNB40(1)に到達する(S103)と、vgNB40(1)のMECパケット処理部421は、MEC-2宛パケットのヘッダにある送信元IP(UE-IP)をチェックし、構築済みのPDUセッションを特定する(S104)。更に、MECパケット処理部421は、MEC-2宛パケットのヘッダにある送信先IP(UE-IP)をチェックし、MEC30(2)との間の構築済みの送信先PDUセッション(GTPヘッダ)を特定(選択)する(S105)。
【0057】
次に、vgNB40(1)のMECパケット処理部421は、MEC-2宛パケットをGTPカプセリング化し、そのGTPカプセリングパケットを、上記特定(選択)した送信先PDUセッションを介して、第2のUPF101(2)に伝送する(S106)。第2のUPF101(2)は、vgNB40(1)から受信したGTPカプセリングパケットをデカプセル化し、そのGTPデカプセルパケット(MEC-2宛パケット)のヘッダにある送信先IP(UE-IP)を確認し、GTPデカプセルパケット(MEC-2宛パケット)を第2のMEC30(2)に伝送する(S107)。
【0058】
なお、図19は、第1のMEC30(1)からクラスタ内の第2のMEC30(2)を特定してパケットを送信する場合の例であるが、同様な処理手順により、第1のMEC30(1)からクラスタ内のクラウド70を特定してパケットを伝送することができる。また、クラスタに3以上のMECを含む場合にも、図19と同様な処理手順により、第1のMEC30(1)からクラスタ内の複数のMECのいずれかのMECを特定してパケットを伝送することができる。また、PDUセッションの特定(選択)の際の条件として、デフォルトルート(他のすべての条件に合致しない場合に使用する経路)を設定することができる。
【0059】
図20は、前述の図12のvgNB40のUPFパケット処理部422の通信レイヤー(プロトコルレイヤー)の一例を示す説明図である。図20において、UPFパケット処理部422は、UPF101から受信したGTPパケットをデカプセル化し、MEC30に送信する。このGTPパケットの伝送には、標準的な無線プロトコルは使用しない。また、MEC30との通信には、TCP/IPベースの通信(例えばL1又はL2の通信)を使用する。
【0060】
図21は、本実施形態に係る仮想基地局機能部(vgNB)の実装例を示す説明図である。本実施形態のvgNB40は、単一のノード装置として構成してもよいが、図21に例示するようにvgNB40を構成する複数の処理部を分散配置してもよい。図21の例では、仮想gNB処理部411を有する第1のvgNB部分機能部40aと、MECパケット処理部421及びUPFパケット処理部422を有する第2のvgNB部分機能部40bとを互いに個別のノード装置として分散配置している。また、仮想UE処理部412はMEC30に近い位置に配置するか、又は、MEC30に組み込んでいる。なお、仮想UE処理部412は基地局であるgNB20に組み込んでもよい。また、MECパケット処理部421は、MEC拠点のネットワークスイッチに内包させてもよい。
【0061】
図22は、本実施形態に係るMEC30及び仮想基地局機能部(vgNB)40を備えた通信システムの効果の一例を示す説明図である。図22において、第1のMEC30(1)における第1のUE50(1)との通信及びクラウド70との通信のトラフィックのネットワーク帯域が逼迫した状態で第2のUE50(2)からの新規アタッチがあったとき、上記複数の通信を含む5Gコアの全体のトラフィック状態を把握しているNWDAF104は、上記ネットワーク帯域の逼迫状態を把握でき、その結果に基づいて、AMF102及びSMF103は、あえて第2のUPF101(2)を使用する経路を選択するように制御する。この制御により、第2のUE50(2)との通信を第2のMEC30(2)に分散することができるとともに、クラウド70との通信の一部又は全部を第2のMEC30(2)に分散することができるので、上記第1のMEC30(1)の通信におけるネットワーク帯域の逼迫を解消することできる。
【0062】
図23は、本実施形態に係るMEC30及び仮想基地局機能部(vgNB)40を備えた通信システムの効果の他の例を示す説明図である。図23において、5GコアのNWDAF104は、物理線85に収容された複数のネットワーク80,90a,90bのトラフィック状態を把握している。図中のネットワーク80は、UPF101から外部装置(クラウド70)へのN6インターフェースのネットワークである。また、ネットワーク90a,90bはそれぞれ、本実施形態のvgNB40によって可能になったMEC30から外部装置(クラウド70)への独自のネットワークである。NWDAF104による複数のネットワーク80,90a,90bのトラフィック状態に応じて、AMF102及びSMF103は、各ネットワークの帯域制限値をセッション単位で動的に制御することができる。
【0063】
以上、本実施形態によれば、移動通信システムの標準仕様を満たしつつ、移動通信網のコアネットワーク10を介したMEC30(1)と他のMEC30(2)やクラウド70などの他の装置との通信のトラフィックを収容することができ、MEC30間の通信、MEC30とクラウド70との通信、MEC30と外部の閉域ネットワーク(外部DN)、オープンネットワーク若しくは広域ネットワークに存在する装置との間の通信等の外部装置との通信を実現することができる。
【0064】
また、本実施形態によれば、MEC30から外部の通信を行う際の経路選択をSMF103主導で行うことができる。また、NWDAF104は、各UPF101からの統計情報を基に、MEC30による外部通信も含めたモバイルネットワーク全体を分析することができ、5Gコアネットワーク10の制御プレーン100Cによるトラフィックの最適化が可能となる。
【0065】
また、本実施形態によれば、MEC30からクラウド70や外部DN等の外部装置への独自のネットワークを敷設する必要がないので、ネットワーク敷設コストの削減や設備利用率の向上が可能となる。
【0066】
また、本実施形態によれば、仮想基地局機能部(vgNB)40は、5Gコアネットワーク10と連携して、MEC30のIPアドレスをUE-IPとするPDUセッションを構築するための制御信号の送受信を行うことができ、送信先に応じてPDUセッション(GTPヘッダ)を選択してパケット伝送することができる。
【0067】
また、本発明は、移動通信システムにおけるコアネットワークにおけるMEC装置のトラフィック制御が可能であり、MEC装置を用いた多様かつ柔軟なサービスを提供できるとともに、ネットワークの設備利用率の向上を図ることができるため、持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」の達成に貢献できる。
【0068】
なお、本明細書で説明された処理工程並びに機能部、処理部、MEC装置、ノード装置、サーバ、基地局、端末装置及び通信システムの構成要素は、様々な手段によって実装することができる。例えば、これらの工程及び構成要素は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、又は、それらの組み合わせで実装されてもよい。
【0069】
ハードウェア実装については、実体(例えば、各種無線通信装置、Node B、端末、ハードディスクドライブ装置、又は、光ディスクドライブ装置)において上記工程及び構成要素を実現するために用いられる処理ユニット等の手段は、1つ又は複数の、特定用途向けIC(ASIC)、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、デジタル信号処理装置(DSPD)、プログラマブル・ロジック・デバイス(PLD)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、電子デバイス、本明細書で説明された機能を実行するようにデザインされた他の電子ユニット、コンピュータ、又は、それらの組み合わせの中に実装されてもよい。
【0070】
また、ファームウェア及び/又はソフトウェア実装については、上記構成要素を実現するために用いられる処理ユニット等の手段は、本明細書で説明された機能を実行するプログラム(例えば、プロシージャ、関数、モジュール、インストラクション、などのコード)で実装されてもよい。一般に、ファームウェア及び/又はソフトウェアのコードを明確に具体化する任意のコンピュータ/プロセッサ読み取り可能な媒体が、本明細書で説明された上記工程及び構成要素を実現するために用いられる処理ユニット等の手段の実装に利用されてもよい。例えば、ファームウェア及び/又はソフトウェアコードは、例えば制御装置において、メモリに記憶され、コンピュータやプロセッサにより実行されてもよい。そのメモリは、コンピュータやプロセッサの内部に実装されてもよいし、又は、プロセッサの外部に実装されてもよい。また、ファームウェア及び/又はソフトウェアコードは、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、不揮発性ランダムアクセスメモリ(NVRAM)、プログラマブルリードオンリーメモリ(PROM)、電気的消去可能PROM(EEPROM)、フラッシュメモリ、フロッピー(登録商標)ディスク、コンパクトディスク(CD)、デジタルバーサタイルディスク(DVD)、磁気又は光データ記憶装置、などのような、コンピュータやプロセッサで読み取り可能な媒体に記憶されてもよい。そのコードは、1又は複数のコンピュータやプロセッサにより実行されてもよく、また、コンピュータやプロセッサに、本明細書で説明された機能性のある態様を実行させてもよい。
【0071】
また、前記媒体は非一時的な記録媒体であってもよい。また、前記プログラムのコードは、コンピュータ、プロセッサ、又は他のデバイス若しくは装置機械で読み込んで実行可能であればよく、その形式は特定の形式に限定されない。例えば、前記プログラムのコードは、ソースコード、オブジェクトコード及びバイナリコードのいずれでもよく、また、それらのコードの2以上が混在したものであってもよい。
【0072】
また、本明細書で開示された実施形態の説明は、当業者が本開示を製造又は使用するのを可能にするために提供される。本開示に対するさまざまな修正は当業者には容易に明白になり、本明細書で定義される一般的原理は、本開示の趣旨又は範囲から逸脱することなく、他のバリエーションに適用可能である。それゆえ、本開示は、本明細書で説明される例及びデザインに限定されるものではなく、本明細書で開示された原理及び新規な特徴に合致する最も広い範囲に認められるべきである。
【符号の説明】
【0073】
10 :5Gコアネットワーク(5Gコア)
20 :基地局(gNB)
30 :MEC装置(MEC、MECサーバ)
40 :仮想基地局機能部(vgNB)
40a :第2のvgNB部分機能部
40a :第1のvgNB部分機能部
50 :端末装置(UE)
60 :インターネット
70 :クラウドサービスシステム(クラウド)
80 :ネットワーク
81 :物理線
85 :物理線
90,90a,90b :ネットワーク
91 :物理線
100C :制御プレーン
100U :ユーザプレーン
101 :UPF
102 :AMF
103 :SMF
104 :NWDAF
110 :DN(データネットワーク)
120 :GTPトンネル(PDUセッション)
200 :RAN
410 :CPパケット処理部
411 :仮想gNB処理部
412 :仮想UE処理部
413 :SIMカード
420 :UPパケット処理部
421 :MECパケット処理部
422 :UPFパケット処理部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
【手続補正書】
【提出日】2023-05-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動通信網のコアネットワークよりも基地局に近い位置で端末装置と通信して情報処理を行うMEC装置を有する通信システムであって、
前記基地局からのインターフェース経路が接続されている前記コアネットワークの接点に配置され、前記コアネットワークを介した第1のMEC装置と他の第2のMEC装置を含む複数の他の装置との通信のトラフィックを収容するように、前記第1のMEC装置を前記移動通信網の擬似的な基地局及び擬似的な端末装置として前記コアネットワークに接続させる仮想基地局機能部を備え
記仮想基地局機能部は、
前記コアネットワークに対して前記第1のMEC装置を擬似的な基地局として機能させるための制御プレーンの処理を行う仮想基地局処理部と、
前記コアネットワークに対して前記第1のMEC装置を擬似的な端末装置として機能させるための制御プレーンの処理を行う仮想端末処理部と、
前記第1のMEC装置から前記コアネットワークへ転送するパケットの処理を行うMECパケット処理部と、
前記コアネットワークから前記第1のMEC装置へ転送するパケットの処理を行うUPF(User Plane Function)パケット処理部と、を備え
前記MECパケット処理部は、
前記第1のMEC装置と前記第2のMEC装置を含む前記複数の他の装置のそれぞれとの間にパケットの伝送に用いる複数のPDU(Protocol Data Unit)セッションを構築し、
前記第2のMEC装置を送信先としてパケットを送信するとき、送信元アドレスが前記第1のMEC装置のアドレスであるパケットをGTP(General Packet Radio System Tunneling Protocol)によってカプセル化し、前記パケットの送信先のアドレスに基づいて、前記構築した複数のPDUセッションから前記パケットの伝送に用いるPDUセッションを規定するGTPヘッダを選択し、前記選択したGTPヘッダを含むパケットを、前記コアネットワークのUPF(User Plane Function)のノード装置に送信する、
ことを特徴とする通信システム。
【請求項2】
請求項の通信システムにおいて、
前記仮想基地局処理部は、
NGAP(NG Application Protocol)を用いて、前記コアネットワークのAMF(加入者モビリティ管理)のノード装置と間で制御プレーンの制御信号を送受信し、
前記NGAPで受信した前記制御信号を処理して前記第1のMEC装置を擬似的な基地局として機能させるための処理を行い、
前記AMFのノード装置から受信したNAS(Non Access Stratum)メッセージを前記仮想端末処理部に送信し、
前記擬似的な基地局としての操作を受け付けるためのインターフェースを提供する、
ことを特徴とする通信システム。
【請求項3】
請求項又はの通信システムにおいて、
前記仮想端末処理部は、
前記仮想基地局処理部から前記NASメッセージを受信し、
前記NASメッセージを処理して前記第1のMEC装置を擬似的な端末装置として機能させるための処理を行い、
前記擬似的な端末装置としての操作を受け付けるためのインターフェースを提供する、
ことを特徴とする通信システム。
【請求項4】
請求項1乃至6のいずれかの通信システムにおいて、
前記UPFパケット処理部は、送信元アドレスが前記第2のMEC装置のアドレスであり送信先アドレスが前記第1のMEC装置のアドレスであるパケットがGTPによってカプセル化されたGTPのパケットを、前記コアネットワークのUPFのノード装置から受信し、前記コアネットワークのUPFのノード装置から受信した前記GTPのパケットをデカプセル化し、前記第1のMEC装置に送信する、ことを特徴とする通信システム。
【請求項5】
請求項乃至のいずれかの通信システムにおいて、
前記仮想端末処理部は、前記第1のMEC装置又は前記基地局に組み込まれ、
前記仮想基地局処理部と、前記MECパケット処理部及び前記UPFパケット処理部とは、互いに別装置として構成した、ことを特徴とする通信システム。
【請求項6】
請求項1乃至のいずれかの通信システムにおいて、
前記他の装置は、他のMEC装置、クラウドサービスシステム、又は、外部の閉域ネットワーク、オープンネットワーク若しくは広域ネットワークに存在する装置である、ことを特徴とする通信システム。
【請求項7】
移動通信網のコアネットワークよりも基地局に近い位置で端末装置と通信して情報処理を行う第1のMEC装置の通信を処理するように、前記基地局からのインターフェース経路が接続されている前記コアネットワークの接点に配置された装置であって、
前記コアネットワークを介した前記第1のMEC装置と他の第2のMEC装置を含む複数の他の装置との通信のトラフィックを収容するように、前記第1のMEC装置を前記移動通信網の擬似的な基地局及び擬似的な端末装置として前記コアネットワークに接続させる仮想基地局機能部を備え、
前記仮想基地局機能部は、
前記コアネットワークに対して前記第1のMEC装置を擬似的な基地局として機能させるための制御プレーンの処理を行う仮想基地局処理部と、
前記コアネットワークに対して前記第1のMEC装置を擬似的な端末装置として機能させるための制御プレーンの処理を行う仮想端末処理部と、
前記第1のMEC装置から前記コアネットワークへ転送するパケットの処理を行うMECパケット処理部と、
前記コアネットワークから前記第1のMEC装置へ転送するパケットの処理を行うUPF(User Plane Function)パケット処理部と、を備え
前記MECパケット処理部は、
前記第1のMEC装置と前記第2のMEC装置を含む前記複数の他の装置のそれぞれとの間にパケットの伝送に用いる複数のPDU(Protocol Data Unit)セッションを構築し、
前記第2のMEC装置を送信先としてパケットを送信するとき、送信元アドレスが前記第1のMEC装置のアドレスであるパケットをGTP(General Packet Radio System Tunneling Protocol)によってカプセル化し、前記パケットの送信先のアドレスに基づいて、前記構築した複数のPDUセッションから前記パケットの伝送に用いるPDUセッションを規定するGTPヘッダを選択し、前記選択したGTPヘッダを含むパケットを、前記コアネットワークのUPF(User Plane Function)のノード装置に送信する、
ことを特徴とする装置。
【請求項8】
移動通信網のコアネットワークよりも基地局に近い位置で端末装置と通信して情報処理を行うMEC装置の通信を処理する方法であって、
前記基地局からのインターフェース経路が接続されている前記コアネットワークの接点に配置された仮想基地局機能部が、前記コアネットワークを介した第1のMEC装置と他の第2のMEC装置を含む複数の他の装置との通信のトラフィックを収容するように、前記第1のMEC装置を前記移動通信網の擬似的な基地局及び擬似的な端末装置として前記コアネットワークに接続させることと
前記仮想基地局機能部が、前記コアネットワークに対して前記第1のMEC装置を擬似的な基地局として機能させるための制御プレーンの処理を行うことと、
前記仮想基地局機能部が、前記コアネットワークに対して前記第1のMEC装置を擬似的な端末装置として機能させるための制御プレーンの処理を行うことと、
前記仮想基地局機能部が、前記第1のMEC装置から前記コアネットワークへ転送するパケットの処理を行うことと、
前記仮想基地局機能部が、前記コアネットワークから前記第1のMEC装置へ転送するパケットの処理を行うことと、
前記仮想基地局機能部が、前記第1のMEC装置と前記第2のMEC装置を含む前記複数の他の装置のそれぞれとの間にパケットの伝送に用いる複数のPDU(Protocol Data Unit)セッションを構築することと、
前記仮想基地局機能部が、前記第2のMEC装置を送信先としてパケットを送信するとき、送信元アドレスが前記第1のMEC装置のアドレスであるパケットをGTP(General Packet Radio System Tunneling Protocol)によってカプセル化し、前記パケットの送信先のアドレスに基づいて、前記構築した複数のPDUセッションから前記パケットの伝送に用いるPDUセッションを規定するGTPヘッダを選択し、前記選択したGTPヘッダを含むパケットを、前記コアネットワークのUPF(User Plane Function)のノード装置に送信することと、
を含む、ことを特徴とする方法。
【請求項9】
移動通信網のコアネットワークよりも基地局に近い位置で端末装置と通信して情報処理を行うMEC装置の通信を処理するように、前記基地局からのインターフェース経路が接続されている前記コアネットワークの接点に配置された装置に備えるコンピュータ又はプロセッサにおいて実行されるプログラムであって、
前記コアネットワークを介した第1のMEC装置と他の第2のMEC装置を含む複数の他の装置との通信のトラフィックを収容するように、前記第1のMEC装置を前記移動通信網の擬似的な基地局及び擬似的な端末装置として前記コアネットワークに接続させるためのプログラムコードと、
記コアネットワークに対して前記第1のMEC装置を擬似的な基地局として機能させるための制御プレーンの処理を行うためのプログラムコードと、
前記コアネットワークに対して前記第1のMEC装置を擬似的な端末装置として機能させるための制御プレーンの処理を行うためのプログラムコードと、
前記第1のMEC装置から前記コアネットワークへ転送するパケットの処理を行うためのプログラムコードと、
前記コアネットワークから前記第1のMEC装置へ転送するパケットの処理を行うためのプログラムコードと、
前記第1のMEC装置と前記第2のMEC装置を含む前記複数の他の装置のそれぞれとの間にパケットの伝送に用いる複数のPDU(Protocol Data Unit)セッションを構築するためのプログラムコードと、
前記第2のMEC装置を送信先としてパケットを送信するとき、送信元アドレスが前記第1のMEC装置のアドレスであるパケットをGTP(General Packet Radio System Tunneling Protocol)によってカプセル化し、前記パケットの送信先のアドレスに基づいて、前記構築した複数のPDUセッションから前記パケットの伝送に用いるPDUセッションを規定するGTPヘッダを選択し前記選択したGTPヘッダを含むパケットを、前記コアネットワークのUPF(User Plane Function)のノード装置に送信するためのプログラムコードと、
を含む、ことを特徴とするプログラム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0044
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0044】
図11は、本実施形態に係るvgNB40を配置した通信システムの構成例を示す説明図である。vgNB40は、5GコアのUPF101及びAMF102とMEC30とに接続され、gNBの一部機能と仮想UE(vUE)の機能と他の独自機能とを有する擬似基地局ある。vgNB40は、AMF102対してgNBとして振る舞うが、無線通信部は有さない。vgNB40では,仮想UE(vUE)の制御処理も行い、vUE情報の登録、セッション構築制御を行う。セッション構築後、vgNB40は、送信元IPアドレスがMEC30のパケットをUPF101(1)に送信する。同様に、vgNB40がUPF101(1)から受け取ったパケットはMEC30に送信される。一方、5Gコア側では、仮想UE(vUE)に付与するIPアドレスとMEC30のIPアドレスが一致するよう事前設定しておく。また、MEC30では、vgNB40を外部通信のゲートウェイとして設定しておく。vgNB40を配置することにより、MEC30は、UE50に対してはDN110として振る舞い、DN110に対してはUE50として振る舞う。すなわち、vgNB40により、MEC30を擬似的なUEとして5Gコア10に接続させることができる。
【手続補正書】
【提出日】2023-08-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動通信網のコアネットワークよりも基地局に近い位置で端末装置と通信して情報処理を行うMEC装置を有する通信システムであって、
前記基地局からのインターフェース経路が接続されている前記コアネットワークの接点に配置され、移動通信網の第1のMEC装置と前記移動通信網の第2のMEC装置と外部網のクラウドシステムとを含むクラスタ構成における前記第1のMEC装置と前記第2のMEC装置及び前記クラウドシステムとの間の前記コアネットワークを介した通信のトラフィックを収容するように、前記第1のMEC装置を前記移動通信網の擬似的な基地局及び擬似的な端末装置として前記コアネットワークに接続させる仮想基地局機能部を備え、
前記仮想基地局機能部は、
前記コアネットワークに対して前記第1のMEC装置を擬似的な基地局として機能させるための制御プレーンの処理を行う仮想基地局処理部と、
前記コアネットワークに対して前記第1のMEC装置を擬似的な端末装置として機能させるための制御プレーンの処理を行う仮想端末処理部と、
前記第1のMEC装置から前記コアネットワークへ転送するパケットの処理を行うMECパケット処理部と、
前記コアネットワークから前記第1のMEC装置へ転送するパケットの処理を行うUPF(User Plane Function)パケット処理部と、を備え、
前記MECパケット処理部は、
前記第1のMEC装置と前記第2のMEC装置及び前記クラウドシステムのそれぞれとの間にパケットの伝送に用いる複数のPDU(Protocol Data Unit)セッションを構築し、
前記第2のMEC装置を送信先としてパケットを送信するとき、送信元アドレスが前記第1のMEC装置のアドレスであるパケットをGTP(General Packet Radio System Tunneling Protocol)によってカプセル化し、前記パケットの送信先のアドレスに基づいて、前記構築した複数のPDUセッションから前記第2のMEC装置への前記パケットの伝送に用いるPDUセッションを規定するGTPヘッダを選択し、前記選択したGTPヘッダを含むパケットを、前記構築した複数のPDUセッションから選択された前記第1のMEC装置と前記第2のMEC装置との間のPDUセッションを介して前記コアネットワークのUPF(User Plane Function)のノード装置に送信する、
ことを特徴とする通信システム。
【請求項2】
請求項1の通信システムにおいて、
前記仮想基地局処理部は、
NGAP(NG Application Protocol)を用いて、前記コアネットワークのAMF(加入者モビリティ管理)のノード装置と間で制御プレーンの制御信号を送受信し、
前記NGAPで受信した前記制御信号を処理して前記第1のMEC装置を擬似的な基地局として機能させるための処理を行い、
前記AMFのノード装置から受信したNAS(Non Access Stratum)メッセージを前記仮想端末処理部に送信し、
前記擬似的な基地局としての操作を受け付けるためのインターフェースを提供する、
ことを特徴とする通信システム。
【請求項3】
請求項1又は2の通信システムにおいて、
前記仮想端末処理部は、
前記仮想基地局処理部から前記NASメッセージを受信し、
前記NASメッセージを処理して前記第1のMEC装置を擬似的な端末装置として機能させるための処理を行い、
前記擬似的な端末装置としての操作を受け付けるためのインターフェースを提供する、
ことを特徴とする通信システム。
【請求項4】
請求項1乃至のいずれかの通信システムにおいて、
前記UPFパケット処理部は、送信元アドレスが前記第2のMEC装置のアドレスであり送信先アドレスが前記第1のMEC装置のアドレスであるパケットがGTPによってカプセル化されたGTPのパケットを、前記コアネットワークのUPFのノード装置から受信し、前記コアネットワークのUPFのノード装置から受信した前記GTPのパケットをデカプセル化し、前記第1のMEC装置に送信する、ことを特徴とする通信システム。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかの通信システムにおいて、
前記仮想端末処理部は、前記第1のMEC装置又は前記基地局に組み込まれ、
前記仮想基地局処理部と、前記MECパケット処理部及び前記UPFパケット処理部とは、互いに別装置として構成した、ことを特徴とする通信システム。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかの通信システムにおいて、
前記他の装置は、他のMEC装置、クラウドサービスシステム、又は、外部の閉域ネットワーク、オープンネットワーク若しくは広域ネットワークに存在する装置である、ことを特徴とする通信システム。
【請求項7】
移動通信網のコアネットワークよりも基地局に近い位置で端末装置と通信して情報処理を行う第1のMEC装置の通信を処理するように、前記基地局からのインターフェース経路が接続されている前記コアネットワークの接点に配置された装置であって、
移動通信網の第1のMEC装置と前記移動通信網の第2のMEC装置と外部網のクラウドシステムとを含むクラスタ構成における前記第1のMEC装置と前記第2のMEC装置及び前記クラウドシステムとの間の前記コアネットワークを介した通信のトラフィックを収容するように、前記第1のMEC装置を前記移動通信網の擬似的な基地局及び擬似的な端末装置として前記コアネットワークに接続させる仮想基地局機能部を備え、
前記仮想基地局機能部は、
前記コアネットワークに対して前記第1のMEC装置を擬似的な基地局として機能させるための制御プレーンの処理を行う仮想基地局処理部と、
前記コアネットワークに対して前記第1のMEC装置を擬似的な端末装置として機能させるための制御プレーンの処理を行う仮想端末処理部と、
前記第1のMEC装置から前記コアネットワークへ転送するパケットの処理を行うMECパケット処理部と、
前記コアネットワークから前記第1のMEC装置へ転送するパケットの処理を行うUPF(User Plane Function)パケット処理部と、を備え、
前記MECパケット処理部は、
前記第1のMEC装置と前記第2のMEC装置及び前記クラウドシステムのそれぞれとの間にパケットの伝送に用いる複数のPDU(Protocol Data Unit)セッションを構築し、
前記第2のMEC装置を送信先としてパケットを送信するとき、送信元アドレスが前記第1のMEC装置のアドレスであるパケットをGTP(General Packet Radio System Tunneling Protocol)によってカプセル化し、前記パケットの送信先のアドレスに基づいて、前記構築した複数のPDUセッションから前記第2のMEC装置への前記パケットの伝送に用いるPDUセッションを規定するGTPヘッダを選択し、前記選択したGTPヘッダを含むパケットを、前記構築した複数のPDUセッションから選択された前記第1のMEC装置と前記第2のMEC装置との間のPDUセッションを介して前記コアネットワークのUPF(User Plane Function)のノード装置に送信する、
ことを特徴とする装置。
【請求項8】
移動通信網のコアネットワークよりも基地局に近い位置で端末装置と通信して情報処理を行うMEC装置の通信を処理する方法であって、
前記基地局からのインターフェース経路が接続されている前記コアネットワークの接点に配置された仮想基地局機能部が、移動通信網の第1のMEC装置と前記移動通信網の第2のMEC装置と外部網のクラウドシステムとを含むクラスタ構成における前記第1のMEC装置と前記第2のMEC装置及び前記クラウドシステムとの間の前記コアネットワークを介した通信のトラフィックを収容するように、前記第1のMEC装置を前記移動通信網の擬似的な基地局及び擬似的な端末装置として前記コアネットワークに接続させることと、
前記仮想基地局機能部が、前記コアネットワークに対して前記第1のMEC装置を擬似的な基地局として機能させるための制御プレーンの処理を行うことと、
前記仮想基地局機能部が、前記コアネットワークに対して前記第1のMEC装置を擬似的な端末装置として機能させるための制御プレーンの処理を行うことと、
前記仮想基地局機能部が、前記第1のMEC装置から前記コアネットワークへ転送するパケットの処理を行うことと、
前記仮想基地局機能部が、前記コアネットワークから前記第1のMEC装置へ転送するパケットの処理を行うことと、
前記仮想基地局機能部が、前記第1のMEC装置と前記第2のMEC装置及び前記クラウドシステムのそれぞれとの間にパケットの伝送に用いる複数のPDU(Protocol Data Unit)セッションを構築することと、
前記仮想基地局機能部が、前記第2のMEC装置を送信先としてパケットを送信するとき、送信元アドレスが前記第1のMEC装置のアドレスであるパケットをGTP(General Packet Radio System Tunneling Protocol)によってカプセル化し、前記パケットの送信先のアドレスに基づいて、前記構築した複数のPDUセッションから前記第2のMEC装置への前記パケットの伝送に用いるPDUセッションを規定するGTPヘッダを選択し、前記選択したGTPヘッダを含むパケットを、前記構築した複数のPDUセッションから選択された前記第1のMEC装置と前記第2のMEC装置との間のPDUセッションを介して前記コアネットワークのUPF(User Plane Function)のノード装置に送信することと、
を含む、ことを特徴とする方法。
【請求項9】
移動通信網のコアネットワークよりも基地局に近い位置で端末装置と通信して情報処理を行うMEC装置の通信を処理するように、前記基地局からのインターフェース経路が接続されている前記コアネットワークの接点に配置された装置に備えるコンピュータ又はプロセッサにおいて実行されるプログラムであって、
移動通信網の第1のMEC装置と前記移動通信網の第2のMEC装置と外部網のクラウドシステムとを含むクラスタ構成における前記第1のMEC装置と前記第2のMEC装置及び前記クラウドシステムとの間の前記コアネットワークを介した通信のトラフィックを収容するように、前記第1のMEC装置を前記移動通信網の擬似的な基地局及び擬似的な端末装置として前記コアネットワークに接続させるためのプログラムコードと、
前記コアネットワークに対して前記第1のMEC装置を擬似的な基地局として機能させるための制御プレーンの処理を行うためのプログラムコードと、
前記コアネットワークに対して前記第1のMEC装置を擬似的な端末装置として機能させるための制御プレーンの処理を行うためのプログラムコードと、
前記第1のMEC装置から前記コアネットワークへ転送するパケットの処理を行うためのプログラムコードと、
前記コアネットワークから前記第1のMEC装置へ転送するパケットの処理を行うためのプログラムコードと、
前記第1のMEC装置と前記第2のMEC装置及び前記クラウドシステムのそれぞれとの間にパケットの伝送に用いる複数のPDU(Protocol Data Unit)セッションを構築するためのプログラムコードと、
前記第2のMEC装置を送信先としてパケットを送信するとき、送信元アドレスが前記第1のMEC装置のアドレスであるパケットをGTP(General Packet Radio System Tunneling Protocol)によってカプセル化し、前記パケットの送信先のアドレスに基づいて、前記構築した複数のPDUセッションから前記第2のMEC装置への前記パケットの伝送に用いるPDUセッション及び該PDUセッションを規定するGTPヘッダを選択し前記選択したGTPヘッダを含むパケットを、前記構築した複数のPDUセッションから選択された前記第1のMEC装置と前記第2のMEC装置との間のPDUセッションを介して前記コアネットワークのUPF(User Plane Function)のノード装置に送信するためのプログラムコードと、
を含む、ことを特徴とするプログラム。