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  • 特開-歩行アシスト器具 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023012192
(43)【公開日】2023-01-25
(54)【発明の名称】歩行アシスト器具
(51)【国際特許分類】
   A43B 3/12 20060101AFI20230118BHJP
【FI】
A43B3/12 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021115694
(22)【出願日】2021-07-13
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1)令和3年2月26日 中部電力株式会社 発行 「技術開発ニュース」No.164/2021-2 23頁、24頁にて公開 (2)平成3年3月3日中部電力株式会社のホームページ ウエブサイトのアドレス https://www.chuden.co.jp/seicho_kaihatsu/kaihatsu/kai_library/news/news_164.html にて公開
(71)【出願人】
【識別番号】391014114
【氏名又は名称】株式会社SANKEI
(71)【出願人】
【識別番号】304026696
【氏名又は名称】国立大学法人三重大学
(71)【出願人】
【識別番号】000213297
【氏名又は名称】中部電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081547
【弁理士】
【氏名又は名称】亀川 義示
(72)【発明者】
【氏名】安田 府佐雄
(72)【発明者】
【氏名】池浦 良淳
(72)【発明者】
【氏名】立松 大輝
(72)【発明者】
【氏名】杉本 敏文
【テーマコード(参考)】
4F050
【Fターム(参考)】
4F050AA28
4F050BA03
4F050JA22
4F050MA90
(57)【要約】
【課題】安全靴を履いて砕石上を歩いて巡視作業するとき、靴の外側や内側が砕石にめり込んで不安定になり、足がぐらついて足首や脚に負担がかかることを防止できるようにした歩行アシスト器具を提供する。
【解決手段】靴2に装着される歩行アシスト器具1であり、靴の側面に広がる安全板3を有する。安定板3は、靴底の先端から踵部まで側方に広がる平面部8と、該平面部8の中間から靴底の中央部を通って靴底の他方の側面側に延び外端縁が靴底の他側面側に位置する平面取付部10で構成されている。平面取付部10を靴底5の踵部7の前方の土踏まず部分に位置させて該安定板3を靴底に装着し、装着具4で固定する。平面部8の先端側には、靴底5の側面に当接するようストッパー19が設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業靴の靴底の側面の先端から踵部に添って側方に広がる平面状に形成された平面部及び、該平面部の中間から靴底の中央部を通って靴底の他方の側面側に延び外端縁が靴底の他側面側に位置する平面取付部を有する安定板と、該平面取付部を靴底の踵部の前方の土踏まず部分に位置させて該安定板を靴底に装着する装着具を具備する歩行アシスト器具。
【請求項2】
上記平面部の外側縁は弧状に湾曲している請求項1に記載の歩行アシスト器具。
【請求項3】
上記平面取付部は、靴底に装着したとき、靴底の下面の踏みつけ部分と段差を生じないように固定される請求項1または2に記載の歩行アシスト器具。
【請求項4】
上記安定板には先端側に靴底の側面に当接するようストッパーが設けられている請求項1から3のいづれかに記載の歩行アシスト器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変電所等の巡視作業において、砕石等の不安定な地面の上を歩行するとき、靴が側方に傾いて砕石等にめり込まないようにした歩行アシスト器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
変電所等では、地面に砕石が敷かれており、巡視作業は、通常、安全靴を履いてその上を歩くことになるが、砕石の地面は不安定な状態であるので、靴の外側や内側が砕石にめり込んで不安定になって、足首がねじれたり、脚に負担がかかり、捻挫の原因になることもあった。
【0003】
歩行中に足首を捩じらないようにしたリハビリ用の足首捻挫防止靴が知られている(例えば特許文献1参照)。このような靴は、靴底と一体的に、外側方向に突出する張出部分を設け、張出部分が地面に接して靴が外側に傾きにくくしてある。この張出部分により、靴の傾きが防止され、足首の捻挫を予防できるが、通常の安全靴は、JIS基準により靴底等の構造が定められているから、安全靴のような靴に、靴底と一体的な張出部分を設けることができないし、既存の安全靴に適用することもできない。
【0004】
靴に着脱できる器具として、雪上等を歩行できるよう靴に装着して使用するかんじきが広く用いられており、このかんじきを安全靴に装着すれば、不安定な地面で靴が側方にめり込まないようにできるかもしれないが、通常、かんじきは靴底の全体をカバーするよう靴底の外形よりも大きな外形を有しているので、巡視作業で使用するには歩行しにくい。雪上や砂上での歩行を容易にできるよう全体の形状を非対称形にした輪かんじきも提案されている(例えば特許文献2参照)。しかし、特許文献2に記載の輪かんじきは、履く部分の全体を平板に形成し、その上に靴を載せ、輪かんじきと靴を緊締する構造であるから、靴底の下面の踏みつけ部分と地面の間に平板が介在することになる。そのため、この輪かんじきを用いて砕石上を歩くと、平板と靴底の下面の間に小さな砕石等が入り込むおそれがあり、歩行しにくくなる。また、安全靴の靴底は、耐踏み抜き性、耐滑性等を考慮して形成されているので、通常の靴底よりも硬質であり、この靴底で地面を踏みつけて歩行するよう構成されているから、靴底と地面の間に平板が介在していると、靴底が平板の上を滑って歩きにくくなり、一方、かんじき自体も歩行中に後方に押されてスライドしやすくなり、靴との緊締状態が緩みやすくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001-286303号公報(図1図2
【特許文献2】特開昭54-49242号公報(図1図2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の解決課題は、安全靴等の作業靴を履いていて砕石等の上を歩行するとき、歩きやすくし、靴の傾きを抑制して歩行中に足首が外側等に傾いたりせずに、足首を保護でき、かつ靴から簡単に脱落しないように着脱可能にした歩行アシスト器具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、作業靴の靴底の側面の先端から踵部に添って側方に広がる平面状に形成された平面部及び、該平面部の中間から靴底の中央部を通って靴底の他方の側面側に延び外端縁が靴底の他側面側に位置する平面取付部を有する安定板と、該平面取付部を靴底の踵部の前方の土踏まず部分に位置させて該安定板を靴底に装着する装着具を具備する歩行アシスト器具が提供され、上記課題が解決される。
【0008】
また、上記安定板には先端側に靴底の側面に当接するようストッパーが設けられている上記歩行アシスト器具が提供され、上記課題が解決される。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、上記のように構成され、安全靴等の作業靴の靴底の側面の先端から踵部に添って側方に広がる平面状に形成された平面部と、該平面部の中間から靴底の中央部を通って靴底の他方の側面側に延び外端縁が靴底の他側面側に位置する平面取付部を有する安定板を設け、装着具で該安定板を靴底に装着するようにしたから、靴底の側面に添って安定板が常に位置しており、砕石に接する面積が大きくなり、歩行中に靴の側面が砕石にめり込むような事態になっても安定板が安全靴の傾きを抑えて足首のぐらつきを防止し、足首や脚に負担がかからないようにすることができる。
【0010】
さらに、上記平面取付部を、靴底の踵部の前方の土踏まず部分に位置させて該安定板を靴底に装着するようにしたから、平面取付部は安全靴等の靴底の土踏まず部分に隠され、その前方に位置する靴底の下面や踵部の下面の踏みつけ部分は、砕石等の地面に直接接触する。そのため、安定板が靴底の下面に入り込まないようにでき、靴底と安定板の間に細かい砕石等が入り込むことがないので、歩行の邪魔になることはない。また、歩行中は地面を安全靴等の靴底で直接踏みつけるようになるので、安定板上で安全靴等が滑るおそれがなく、通常と同じように歩行できるし、安定板も平面取付部が踵部にあたるから、後方へのスライドが阻止されて脱落するおそれがない。その上、上記平面取付部を装着具で土踏まず部分に固定したから、ベルト等の装着具は靴の踏みつけ部分から外れることになり、ベルト等が損傷しにくい。
【0011】
上記安定板の先端側には、靴底の側面に当接するようストッパーを設けることができるが、このようなストッパーを設けると、安定板が靴底下面の踏みつけ部分に入り込まないようにでき、安定板が靴底の下面に介在することによる上述のような欠点回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施例を示す斜視図。
図2】安全靴に装着した状態の斜視図。
図3】一部を拡大して示す分解斜視図。
図4】ベルトの挿通工程を示し、(A)は外側前スリットに挿通した状態、(B)は内側後スリットに挿通した状態、(C)は外側後スリットに挿通した状態、(D)は内側前スリットに挿通した状態に各説明図。
図5】平面図。
図6】側面図。
図7】靴に装着した状態を正面からみた説明図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1から図3を参照し、本発明の歩行アシスト器具は、作業用靴、特に安全靴を履いて巡視作業で砕石上を歩行しなければならないときに好適に使用され、図においては、アシスト器具1を安全靴2に装着した実施例が示されている。本発明のアシスト器具1は、安定板3と、該安定板3を安全靴2に装着するための装着具4で構成されている。上記安定板3は、安全靴2の靴底5の側面の先端6から踵部7に添って側方に広がる平面状に形成された平面部8と、該平面部8の中間から靴底5の中央部を通って靴底の他方の側面側に略T字状に延び外端縁9が靴底の他側面側に位置する平面取付部10を有している。該安定板3は、合成樹脂材料、金属材料、木質材料その他の強度があって、耐屈曲性のある材料で平板状に作られ、好ましくは絶縁性のある構造で作ることもできる。上記平面部8は、図に示す実施例では、外側縁11が弧状に湾曲しているが、外側縁を直線状の適宜形状に屈曲させた形状に形成することもできる。また、実施例においては、平面部8と平面取付部10は、一枚の板状体で一体的に形成してあるが、平面取付部10の基端に適宜の補強片(図示略)を添着若しくは内蔵させて補強するようにしてもよい。
【0014】
上記平面取付部10は、靴底5の踵部7の前方の土踏まず部分に収まるような形状に形成され、踵部7の前端に形成された起立面に側面を添わせた状態で靴底の土踏まず部分に差込まれ、靴底5の下面と安定板3の下面に段差が生じないような状態に取り付けられる。平面取付部10を靴底5に固定する装着具4としては、ベルト、紐等の索状体、バックルその他の適宜の装着具を用いることができ、実施例で示す装着具4は、ベルト12で構成されている。上記平面取付部10には、該ベルト12を挿通するためのスリットが設けられている。図に示す実施例においては、該スリットは、平面取付部10の外端縁9側に前後に間隔を空けて設けられた外側前スリット13及び外側後スリット14と、平面取付部10の基端側に前後に間隔を空けて設けられた内側前スリット15及び内側後スリット16の計4ヶ所に設けられ、各スリットはそれぞれ差込口a、引出口bが並列した状態で構成され、差込口a、引出口b間には支軸が形成されている。
【0015】
図4を参照し、上記各スリットにベルト12を挿通する手順は、止着具17が設けられていない側のベルト12の一端を、外側前スリット13の差込口aに上方から差込み、安定板3の下を通して外側前スリット13の引出口bから上方に引き出す(図4A)。引き出した先端を、安定板3の上に沿って延ばし内側後スリット16の差込口aに上方から差込み、安定板3の下を通して内側後スリット16の引出口bから上方に引き出す(図4C)。この引き出した部分は、安全靴2の踵部7の上方の履き口後部18の外周を巡るに充分な長さを保持してその先端を上記外側後スリット14の差込口aに上方から差込まれ、安定板3の下を通して外側後スリット14の引出口bから上方に引き出される(図4B)。そして引き出された部分は、安定板3の上方を通って内側前スリット15の差込口aに差し込まれ、安定板3の下を通して引出口bから上方に引き出され(図4D)、図2に示すように、靴2の甲部で上記ベルト12の先端に設けた止着具17で緊締される。このようにすれば、安定板の平面取付部は、靴の土踏まず部分内で装着できるので、ベルト等が靴底で踏みつけられことがなく、損傷が防止される。
【0016】
ベルトの挿通方法は、図に示す実施例と相違する方法でもよく、またスリットに代えてベルト等を挿通できるようにした突片やリング等を安定板に設けることもできる。なお、上記装着具17として、図に示す実施例では、フックを用いているが、面ファスナーやスナップ等の公知のものを使用することができる。
【0017】
上記安定板3には、好ましくは、先端側に靴底5の側面に当接するようストッパー19を設けることができる。該ストッパー19は、靴底5に当接するに充分な高さに形成され、合成樹脂材料、金属材料、木質材料等で別体に成形して止ねじ20で上記安定板3に固定しているが、安定板3と一体的に形成することもできる。
【0018】
本発明の上記歩行アシスト器具1は、安全靴2の靴底5の土踏まず部分に平面取付部10をあてがって装着具4で安全靴2に緊締すれば、図2図5に示すように、安定板3が靴2の側方に位置し、靴底5の前足部や踵部7の後足部が露出した状態で簡単に装着できる。そして、上記前足部や後足部に位置する踏みつけ部分は、図6図7に示すように、地面の砕石21に直接接触するから、従来の安全靴とほぼ同様に歩行することができ、かつ安定板3により歩行時の接地面積が広がって靴の側面が外側、内側にめり込まないようにできる。これにより、歩行時のぐらつきを減少させることができ、足首への負担を軽減し、捻挫等の発生を防止することができる。
【符号の説明】
【0019】
1 歩行アシスト器具
2 安全靴
3 安定板
4 装着具
8 平面部
10 平面取付部
12 ベルト
19 ストッパー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7