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  • 特開-導電ペースト 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023121921
(43)【公開日】2023-09-01
(54)【発明の名称】導電ペースト
(51)【国際特許分類】
   H01B 1/22 20060101AFI20230825BHJP
   C08F 2/44 20060101ALI20230825BHJP
   C08F 292/00 20060101ALI20230825BHJP
   C08F 8/00 20060101ALI20230825BHJP
   C08F 20/26 20060101ALI20230825BHJP
   C08L 51/10 20060101ALI20230825BHJP
【FI】
H01B1/22 A
C08F2/44 A
C08F292/00
C08F8/00
C08F20/26
C08L51/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022025278
(22)【出願日】2022-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】兒玉 年矢
【テーマコード(参考)】
4J002
4J011
4J026
4J100
5G301
【Fターム(参考)】
4J002BG071
4J002BN191
4J002DA076
4J002FD116
4J002GP03
4J002GQ02
4J011AA05
4J011AC04
4J011BA04
4J011PA03
4J011PB27
4J011PC02
4J011PC08
4J011QA03
4J011QA22
4J011QA23
4J011QA24
4J011SA65
4J011TA07
4J011TA09
4J011UA01
4J011VA01
4J011WA01
4J026AC00
4J026BA27
4J026BA28
4J026BA29
4J026BA50
4J026DB06
4J026DB30
4J026DB36
4J026FA05
4J026FA09
4J100AB02Q
4J100AJ02R
4J100AL09P
4J100CA05
4J100CA31
4J100DA29
4J100FA03
4J100FA19
4J100HA55
4J100HC39
4J100HE14
4J100JA37
4J100JA45
5G301DA03
5G301DA05
5G301DA06
5G301DA42
5G301DA51
5G301DA55
5G301DA57
5G301DD01
5G301DD02
5G301DD03
5G301DE01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】6μm以下の微細な1本線でも断線しにくい配線形成を可能とする導電ペーストを提供する。
【解決手段】導電ペーストは、導電粒子、メタクリル基及び/又はアクリル基を有する感光性ポリマー、3官能以上のメタクリルモノマー及び/又はアクリルモノマー、単官能のメタクリルモノマー及び/又はアクリルモノマー及び光重合開始剤を含有し、前記3官能以上のメタクリルモノマー及び/又はアクリルモノマーの含有量が、メタクリル基若しくはアクリル基を有する感光性ポリマー100質量部に対して5~40質量部であり、かつ単官能のメタクリルモノマー及び/又はアクリルモノマーの含有量が、3官能以上のメタクリルモノマー及び/またはアクリルモノマー100質量部に対して30~150質量部である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電粒子(a)、メタクリル基および/またはアクリル基を有する感光性ポリマー(b)、3官能以上のメタクリルモノマーおよび/またはアクリルモノマー(c)、単官能のメタクリルモノマーおよび/またはアクリルモノマー(d)、光重合開始剤(e)を含有し、前記3官能以上のメタクリルモノマーおよび/またはアクリルモノマーの含有量(c)が、前記メタクリル基若しくはアクリル基を有する感光性ポリマー(b)100質量部に対して5~40質量部であり、かつ前記単官能のメタクリルモノマーおよび/またはアクリルモノマー(d)の含有量が、前記3官能以上のメタクリルモノマーおよび/またはアクリルモノマー(c)100質量部に対して30~150質量部である導電ペースト。
【請求項2】
前記メタクリル基および/またはアクリル基を有する感光性ポリマー(b)の平均分子量が、5000以上70000以下である請求項1に記載の導電ペースト。
【請求項3】
前記メタクリル基および/またはアクリル基を有する感光性ポリマー(b)が、カルボキシル基を含有しており、カルボキシル基の酸価が30~200mg/KOHである請求項1または2に記載の導電ペースト。
【請求項4】
前記メタクリル基および/またはアクリル基を有する感光性ポリマー(b)の、メタクリル等量および/またはアクリル等量の合計が、300~1000g/eqである請求項1~3のいずれか一項に記載の導電ペースト。
【請求項5】
前記メタクリル基および/またはアクリル基を有する感光性ポリマー(b)に含まれるメタクリル基および/またはアクリル基が、メタクリル酸グリシジルおよび/またはアクリル酸グリシジルの付加物である請求項1~4のいずれか一項に記載の導電ペースト。
【請求項6】
全固形分に占める前記導電粒子(a)の割合が、60~85質量%である請求項1~5のいずれか一項に記載の導電ペースト。
【請求項7】
前記導電粒子(a)が、金、銀及び銅からなる群から選ばれる金属の粒子である、請求項1~6のいずれか一項に記載の導電ペースト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電ペーストに関する
【背景技術】
【0002】
近年、入力手段としてタッチパネルが広く用いられている。タッチパネルは、液晶パネルや有機EL(エレクトロルミネッセンス)パネルなどの表示部と、特定の位置に入力された情報を検出するタッチセンサー等から構成される。タッチパネルの方式は、入力位置の検出方法により、抵抗膜方式、静電容量方式、光学方式、電磁誘導方式、超音波方式などに大別される。中でも、光学的に明るいこと、意匠性に優れること、構造が簡易であることおよび機能的に優れること等の理由により、静電容量方式のタッチパネルが広く用いられている。
【0003】
静電容量方式のタッチセンサーは、第一電極と絶縁層を介して直行する第二電極を有し、タッチパネル面の電極に電圧をかけて、指などの導電体が触れた際の静電容量変化を検知することにより得られた接触位置を信号として出力する。静電容量方式のタッチセンサーに用いられる配線電極としては、配線電極を見えにくくする観点から酸化インジウムスズ等の透明配線電極が用いられることが一般的であったが、高感度化や画面の大型化により、金属材料を用いた不透明配線電極が広まっている。金属材料を用いた不透明配線電極の場合、人間の目に視認できないようにするために線幅を6μm以下にすることが望ましいが、6μm以下の配線は断線しやすく、複数本の配線によってなされる格子状のパターンを用いることが一般的である(例えば、特許文献1参照)。近年、コストダウンやデザイン性を目的として、第一電極と第二電極を同一面で形成する取り組みがなされているが(例えば、特許文献2参照)、第一電極と第二電極を同一面で形成すると配線密度が高くなるため、1本線で配線を形成する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】W2019/035317号
【特許文献2】特開2021-82037号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、6μm以下の微細な1本線により形成された配線は、非常に断線しやすく、製造歩留まりを著しく低下させるものであった。そこで本発明は、6μm以下の微細な1本線でも断線しにくい配線形成を可能とする、導電ペーストを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、
導電粒子(a)、メタクリル基および/またはアクリル基を有する感光性ポリマー(b)、3官能以上のメタクリルモノマーおよび/またはアクリルモノマー(c)、単官能のメタクリルモノマーおよび/またはアクリルモノマー(d)、光重合開始剤(e)を含有し、前記3官能以上のメタクリルモノマーおよび/またはアクリルモノマーの含有量(c)が、前記メタクリル基若しくはアクリル基を有する感光性ポリマー(b)100質量部に対して5~40質量部であり、かつ前記単官能のメタクリルモノマーおよび/またはアクリルモノマー(d)の含有量が、前記3官能以上のメタクリルモノマーおよび/またはアクリルモノマー(c)100質量部に対して30~150質量部である、導電ペーストを提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、6μm以下の微細な1本線においても、断線しにくい配線を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】導電確率の評価に用いたフォトマスクの透光パターンを示した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の導電ペーストは、導電粒子(a)、メタクリル基および/またはアクリル基を有する感光性ポリマー(b)、3官能以上のメタクリルモノマーおよび/またはアクリルモノマー(c)、単官能のメタクリルモノマーおよび/またはアクリルモノマー(d)、光重合開始剤(e)を含有し、前記3官能以上のメタクリルモノマーおよび/またはアクリルモノマーの含有量(c)が、前記メタクリル基若しくはアクリル基を有する感光性ポリマー(b)100質量部に対して5~40質量部であり、かつ前記単官能のメタクリルモノマーおよび/またはアクリルモノマー(d)の含有量が、前記3官能以上のメタクリルモノマーおよび/またはアクリルモノマー(c)100質量部に対して30~150質量部であることを特徴とする。
【0010】
本発明の導電ペーストは、導電粒子(a)を含有する。導電粒子(a)とは、導電性を有する粒子をいい、例えば、銀、金、銅、白金、鉛、スズ、ニッケル、アルミニウム、タングステン、モリブデン、クロム、チタン若しくはインジウム又はこれら金属の合金からなる粒子が挙げられるが、導電性が高い金銀、又は銅の粒子が好ましく、安定性が高くかつ価格面でも有利な、銀の粒子がより好ましい。導電粒子(a)は二層以上の層構造を有していてもよい。例えば、銅からなるコアの表面に銀からなるシェルを有するコアシェル構造を有してもよい。また、導電粒子(a)は、有機成分や無機酸化物などにより表面が被覆されていてもよい。有機成分は小粒子径の導電性粒子の分散剤や導電助剤として機能する。有機成分としては、例えば、脂肪酸、アミン、チオール、シアンなどが挙げられる。
導電粒子(a)の体積平均粒子径は、0.1~3μmが好ましく、0.3~1μmがより好ましい。導電粒子(a)の体積平均粒子径が0.1μm以上であると、導電粒子(a)同士の接触確率が向上し、形成される導電パターンの比抵抗値が低くなり、かつ露光時の露光光が本発明の導電ペーストの塗布膜をスムーズに透過するため、微細パターニングが容易となる。一方で、導電粒子(a)の体積平均粒子径が3μm以下であると、形成される導電パターンの表面平滑度及び寸法精度が向上する。なお、導電粒子(a)の体積平均粒子径は、導電ペーストをTHF(テトラヒドロフロン)等の樹脂成分が可溶な溶媒を用いて希釈して遠心分離を行い、樹脂成分を除く固形分を沈殿させて回収し、回収した固形分を走査型電子顕微鏡(SEM)又は透過型顕微鏡(TEM)により導電粒子(a)を観察し、無作為に100個の導電粒子(a)の一次粒子を選択して画像を取得し、「「「一つ一つの一次粒子について画像解析により円換算した直径を求め、体積で重み付けをした平均径を算出する」」」ことにより求めることができる。
【0011】
全固形分に占める導電粒子(a)の割合は、60~85質量%であることが好ましく、70~80質量%であることがより好ましい。導電粒子(a)の割合が60質量%以上であると、導電粒子(a)同士の接触確率が向上し、形成される導電パターンの比抵抗値が低くなる。一方で、導電粒子(a)の割合が85質量%以下であると、露光時の露光光が本発明の導電ペーストの塗布膜をスムーズに透過するため、微細パターニングが容易となる。ここで全固形分とは、溶剤を除く、導電ペーストの全構成成分をいう。
本発明の導電ペーストの全固形分に占める導電粒子(a)の割合は、導電ペーストを60~120℃で加熱することにより溶媒を蒸発させて全固形分を回収し、全固形分をTG-DTA(示差熱天秤)により400~600℃で樹脂成分を燃焼させることで全固形分中の無機固形分の割合を求め、残存した無機固形分を硝酸等に溶解させてICP発光分光分析を行うことで無機固形分中の導電粒子(a)の割合を測定することができる。
【0012】
本発明の導電ペーストは、メタクリル基および/またはアクリル基を有する感光性ポリマー(b)を含有する。メタクリル基および/またはアクリル基を有する感光性ポリマー(b)を含有することで、表層での過度な線太りを抑制し、また、現像による剥がれを防ぐことができる。メタクリル基および/またはアクリル基を有する感光性ポリマー(b)としては、カルボキシル基を更に含有することが好ましい。カルボキシル基を含有することで、現像による残渣を抑制することができる。カルボキシル基は、不飽和酸またはその酸無水物をその他の重合物と共重合させることで得ることができる。カルボキシル基の含有量は、その酸価が30~200mg/KOHであることが好ましい。酸価を30以上とすることで、現像による残渣を抑制することができる。酸価を200以下とすることで現像による剥がれや配線カケを防ぐことができる。メタクリル基および/またはアクリル基を有する感光性ポリマー(b)としては、アクリル系共重合体、カルボン酸変性エポキシ樹脂を好ましく。アクリル系共重合体としては、アクリル系モノマーと不飽和酸またはその酸無水物との共重合体が好ましく、さらに不飽和二重結合を有する他のモノマーとの共重合体でもよい。
【0013】
アクリル系モノマーとしては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート(以下、「EA」)、2-エチルヘキシルアクリレート、n-ブチルアクリレート(以下、「BA」)、iso-ブチルアクリレート、iso-プロパンアクリレート、グリシジルアクリレート、ブトキシトリエチレングリコールアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、イソデキシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、2-メトキシエチルアクリレート、メトキシエチレングリコールアクリレート、メトキシジエチレングリコールアクリレート、オクタフロロペンチルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ステアリルアクリレート、トリフロロエチルアクリレート、アミノエチルアクリレート、フェニルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、1-ナフチルアクリレート、2-ナフチルアクリレート、チオフェノールアクリレート、ベンジルメルカプタンアクリレート、アリル化シクロヘキシルジアクリレート、メトキシ化シクロヘキシルジアクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,3-ブチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、トリグリセロールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、アクリルアミド、N-メトキシメチルアクリルアミド、N-エトキシメチルアクリルアミド、N-n-ブトキシメチルアクリルアミド、N-イソブトキシメチルアクリルアミド、メタクリルフェノール、メタクリルアミドフェノール、γ-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N-(2-ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、N-(3-ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、N-(4-ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、o-ヒドロキシフェニルアクリレート、m-ヒドロキシフェニルアクリレート、p-ヒドロキシフェニルアクリレート、2-(2-ヒドロキシフェニル)エチルアクリレート、2-(3-ヒドロキシフェニル)エチルアクリレート、2-(4-ヒドロキシフェニル)エチルアクリレートなどや、それらのアクリル基をメタクリル基に置換した化合物などが挙げられる。これらの中でも、エチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレートおよびイソボルニルアクリレートから選ばれたモノマーが特に好ましい。これらを2種以上用いてもよい。
【0014】
不飽和酸またはその酸無水物としては、例えば、アクリル酸(以下、「AA」)、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、酢酸ビニルや、これらの酸無水物などが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。不飽和酸の共重合比により、アクリル系共重合体の酸価を調整することができる。
【0015】
他の不飽和二重結合を有するモノマーとしては、例えば、o-ヒドロキシスチレン、m-ヒドロキシスチレン、p-ヒドロキシスチレンなどが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。
【0016】
カルボン酸変性エポキシ樹脂としては、エポキシ化合物と、不飽和酸または不飽和酸無水物との反応物が好ましい。ここで、カルボン酸変性エポキシ樹脂とは、エポキシ化合物のエポキシ基をカルボン酸またはカルボン酸無水物で変性したものであり、エポキシ基は含まれていない。
【0017】
エポキシ化合物としては、例えば、グリシジルエーテル類、グリシジルアミン類、エポキシ樹脂などが挙げられる。より具体的には、グリシジルエーテル類としては、例えば、メチルグリシジルエーテル、エチルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、ビスフェノールフルオレンジグリシジルエーテル、ビフェノールジグリシジルエーテル、テトラメチルビフェノールグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、3’,4’-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレートなどが挙げられる。グリシジルアミン類としては、例えば、tert-ブチルグリシジルアミンなどが挙げられる。エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂などが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。不飽和酸または不飽和酸無水物としては、アクリル系共重合体の原料として先に例示したものなどが挙げられる。
【0018】
メタクリル基および/またはアクリル基を有する感光性ポリマー(b)の、メタクリル基若しくはアクリル基は、メタクリル酸グリシジルおよび/またはアクリル酸グリシジルの付加物であることが好ましい。メタクリル酸グリシジルおよび/またはアクリル酸グリシジルの付加により得られたメタクリル基および/またはアクリル基は、露光時の連鎖反応を容易にし、反応性の低い高分子量のポリマーであっても十分な露光感度を得ることができる。メタクリル基および/またはアクリル基を有する感光性ポリマー(b)は、平均分子量が5000~70000であることが好ましい。5000以上にすることで、所望の効果をより期待することができる。70000以下とすることで、熱キュアでの金属粒子の焼結を容易にする。
平均分子量はGPC分析により測定することができる。分子量の違いによりカラムの通過速度が異なるため、分子量に応じたポリマーの溶出曲線を得ることができる。分子量が既知の標準サンプルの溶出曲線と比較することで分子量分布を求めることができ、分子量分布の平均をとることで平均分子量を算出できる。
【0019】
メタクリル基および/またはアクリル基を有する感光性ポリマー(b)は、メタクリル等量および/またはアクリル等量の合計が、300~1000g/eqであることが好ましい。300g/eq以上にすることで線太りを抑制できる。1000g/eq以下とすることで、硬化を十分に促進させて配線の剥がれ等を防ぐことができる。メタクリル等量および/またはアクリル等量の合計はNMRを用いることで測定することができる。メタクリル等量および/またはアクリル等量の合計が既知の標準サンプルと測定する試料のシグナル面積の比率から算出することができる。
【0020】
本発明の導電ペーストは、3官能以上のメタクリルモノマーおよび/またはアクリルモノマー(c)を含有する。3官能以上のメタクリルモノマーおよび/またはアクリルモノマー(c)を含有することで、露光後の架橋密度を向上させることができ、現像時の剥がれや、配線のスクラッチ傷などを防ぐことができる。3官能以上のメタクリルモノマーおよび/またはアクリルモノマー(c)は、メタクリル基および/またはアクリル基を有する感光性ポリマー(b)に対して5質量部~40質量部含有することが好ましい。5質量部以上とすることで、露光後の架橋密度を十分に向上させることができる。40質量部以下とすることで、配線の過度な太りを抑制することで微細な配線を形成することができる。
【0021】
本発明の導電ペーストは、単官能のメタクリルモノマーおよび/またはアクリルモノマー(d)を含有する。本発明での単官能のメタクリルモノマーおよび/またはアクリルモノマー(d)とは、メタクリル基およびまたはアクリル基以外の反応性の官能基、例えば、ビニル基、シラノール基等を有さない。単官能のメタクリルモノマーおよび/またはアクリルモノマー(d)を含有することで、露光後の分子量を安定化することができ、現像時の剥がれを防ぎ、また、直進性の高い配線を形成することができる。単官能のメタクリルモノマーおよび/またはアクリルモノマー(d)の含有量は、3官能以上のメタクリルモノマーおよび/またはアクリルモノマー(c)100質量部に対して30~150質量部であることが好ましい。30質量部以上とすることで、所望の効果をより顕著に得ることができる。100質量部以下とすることで、感度低下による配線剥がれを防ぐことができる。
【0022】
本発明の導電ペーストは、光重合開始剤(e)を含有する。光重合開始剤(e)とは、紫外線等の短波長の光を吸収して分解又は水素引き抜き反応を起こして、ラジカルを生じる化合物をいう。光重合開始剤(e)としては、例えば、例えば、ベンゾフェノン誘導体、アセトフェノン誘導体、チオキサントン誘導体、ベンジル誘導体、ベンゾイン誘導体、オキシム系化合物、α-ヒドロキシケトン系化合物、α-アミノアルキルフェノン系化合物、フォスフィンオキサイド系化合物、アントロン化合物、アントラキノン化合物等が挙げられる。ベンゾフェノン誘導体としては、例えば、ベンゾフェノン、O-ベンゾイル安息香酸メチル、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ジクロロベンゾフェノン、フルオレノン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルケトン等が挙げられる。アセトフェノン誘導体としては、例えば、p-t-ブチルジクロロアセトフェノン、4-アジドベンザルアセトフェノン、2,2’-ジエトキシアセトフェノン等が挙げられる。チオキサントン誘導体としては、例えば、チオキサントン、2-メチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン等が挙げられる。ベンジル誘導体としては、例えば、ベンジル、ベンジルジメチルケタール、ベンジル-β-メトキシエチルアセタール等が挙げられる。ベンゾイン誘導体としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル等が挙げられる。オキシム系化合物としては、例えば、1,2-オクタンジオン-1-[4-(フェニルチオ)-2-(O-ベンゾイルオキシム)]、エタノン-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-1-(O-アセチルオキシム)、1-フェニル-1,2-ブタンジオン-2-(O-メトキシカルボニル)オキシム、1-フェニル-プロパンジオン-2-(O-エトキシカルボニル)オキシム、1-フェニル-プロパンジオン-2-(O-ベンゾイル)オキシム、1,3-ジフェニル-プロパントリオン-2-(O-エトキシカルボニル)オキシム、1-フェニル-3-エトキシ-プロパントリオン-2-(O-ベンゾイル)オキシム等が挙げられる。α-ヒドロキシケトン系化合物としては、例えば、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン等が挙げられる。α-アミノアルキルフェノン系化合物としては、例えば、2-メチル-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタン-1-オン、2-ジメチルアミノ-2-(4-メチルベンジル)-1-(4-モルフォリン-4-イル-フェニル)ブタン-1-オン等が挙げられる。フォスフィンオキサイド系化合物としては、例えば、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-ホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキサイド等が挙げられる。アントロン化合物としては、アントロン、ベンズアントロン、ジベンゾスベロン、メチレンアントロン等が挙げられる。アントラキノン化合物としては、例えば、アントラキノン、2-t-ブチルアントラキノン、2-アミルアントラキノン、β-クロルアントラキノン等が挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。これらの中でも、光感度の高いオキシム系化合物が好ましい。感光性ペーストにおける光重合開始剤の含有量は、メタクリル基および/またはアクリル基を有する感光性ポリマー(b)100質量部に対して、1~30質量部が好ましい。光重合開始剤の含有量が1質量部以上であると、露光部の硬化密度が増加し、現像後の残膜率を高くすることができる。一方、光重合開始剤の含有量が30質量部以下であると、パターン上部における光重合開始剤による過剰な光吸収が抑制される。その結果、パターンを容易にテーパー形状にすることができ、基材との密着性を向上させることができる。
【0023】
本発明の導電ペーストは、感度を向上させるため、光重合開始剤(e)と共に増感剤を含有しても構わない。増感剤としては、例えば、2,4-ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,3-ビス(4-ジエチルアミノベンザル)シクロペンタノン、2,6-ビス(4-ジメチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、2,6-ビス(4-ジメチルアミノベンザル)-4-メチルシクロヘキサノン、ミヒラーケトン、4,4-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4-ビス(ジメチルアミノ)カルコン、4,4-ビス(ジエチルアミノ)カルコン、p-ジメチルアミノシンナミリデンインダノン、p-ジメチルアミノベンジリデンインダノン、2-(p-ジメチルアミノフェニルビニレン)イソナフトチアゾール、1,3-ビス(4-ジメチルアミノフェニルビニレン)イソナフトチアゾール、1,3-ビス(4-ジメチルアミノベンザル)アセトン、1,3-カルボニルビス(4-ジエチルアミノベンザル)アセトン、3,3-カルボニルビス(7-ジエチルアミノクマリン)、N-フェニル-N-エチルエタノールアミン、N-フェニルエタノールアミン、N-トリルジエタノールアミン、ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、ジエチルアミノ安息香酸イソアミル、3-フェニル-5-ベンゾイルチオテトラゾール又は1-フェニル-5-エトキシカルボニルチオテトラゾールが挙げられる。
【0024】
増感剤の含有量は、メタクリル基および/またはアクリル基を有する感光性ポリマー(b)100質量部に対して、0.05~10質量部が好ましい。増感剤の含有量が0.05質量部以上であると、露光感度が十分に向上する。一方で、増感剤の含有量が10質量部以下であると、塗布膜上部での過剰な光吸収が抑制され、導電パターンが逆テーパー形状となることによる基板との接着性低下を抑制することができる。
【0025】
本発明の導電ペーストは、溶剤を含有しても構わない。使用する溶剤は、導電ペーストに含まれる原料の溶解性や、導電ペーストの塗布方法に応じて、適宜決定すればよいが、例えば、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチル-2-ピロリドン、2-ジメチルアミノエタノール「以下、(DMEA)」、ジメチルイミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド、γ-ブチロラクトン、乳酸エチル、1-メトキシ-2-プロパノール、1-エトキシ-2-プロパノール、エチレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、ジアセトンアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコール、2,2,4,-トリメチル-1,3-ペンタンジオールモノイソブチレートなどが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。溶剤の沸点は150℃以上が好ましい。沸点が150℃以上であると、溶剤の揮発が抑制され、ペーストの増粘を抑制することができる。
【0026】
本発明の導電ペーストは、その所望の特性を損なわない範囲であれば、分子内に不飽和二重結合を有しない非感光性ポリマー、可塑剤、レベリング剤、界面活性剤、シランカップリング剤、消泡剤又は顔料等の添加剤を配合しても構わない。非感光性ポリマーとしては、例えば、エポキシ樹脂、ノボラック樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド前駆体又は既閉環ポリイミドが挙げられる。可塑剤としては、例えば、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ポリエチレングリコール又はグリセリンが挙げられる。レベリング剤としては、例えば、特殊ビニル系重合物又は特殊アクリル系重合物が挙げられる。シランカップリング剤としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン又はビニルトリメトキシシランが挙げられる。
【0027】
本発明の導電ペーストは、例えば、三本ローラー、ボールミル若しくは遊星式ボールミル等の分散機又は混練機を用いて調製することができる。本発明の導電パターンの製造方法は、本発明の導電ペーストを基板上に塗布して塗布膜を得る、塗布工程と、上記塗布膜を露光及び現像してパターンを得る、フォトリソ工程と、上記パターンを100~300℃で加熱して導電パターンを得る、キュア工程と、を備える。本発明の導電パターンの製造方法が備える塗布工程は、本発明の導電ペーストを基板上に塗布して、塗布膜を得る工程である。本発明の導電ペーストを塗布する基板としては、例えば、PETフィルム、COPフィルム、ポリイミドフィルム、ポリエステルフィルム、アラミドフィルム、エポキシ樹脂基板、ポリエーテルイミド樹脂基板、ポリエーテルケトン樹脂基板、ポリサルフォン系樹脂基板、ガラス基板、シリコンウエハー、アルミナ基板、窒化アルミニウム基板又は炭化ケイ素基板が挙げられる。本発明の導電ペーストを基板に塗布する方法としては、例えば、スピナーを用いた回転塗布、スプレー塗布、ロールコーティング、スクリーン印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、ブレードコーター、ダイコーター、カレンダーコーター、メニスカスコーター若しくはバーコーターを用いた塗布が挙げられる。本発明の導電ペーストが溶剤を含有する場合には、得られた塗布膜を乾燥して、溶剤を除去しても構わない。塗布膜を乾燥する方法としては、例えば、オーブン、ホットプレート若しくは赤外線照射による加熱乾燥又は真空乾燥が挙げられる。加熱乾燥温度は50~100℃、加熱乾燥時間は1分~数時間が一般的である。塗布工程で得られる塗布膜の膜厚は、塗布方法、導電ペーストの全固形分濃度又は粘度等によって適宜決定すればよいが、乾燥後の塗布膜の膜厚が、0.1~50μmであることが好ましい。本発明の導電パターンの製造方法が備えるフォトリソ工程は、塗布工程で得られた塗布膜を露光及び現像して、パターンを得る工程である。
【0028】
塗布膜の露光に用いる光源としては、水銀灯のi線(365nm)、h線(405nm)又はg線(436nm)が好ましい。露光後、現像液で未露光部を除去することによって、所望のパターンが得られる。アルカリ現像を行う場合の現像液としては、例えば、水酸化テトラメチルアンモニウム、ジエタノールアミン、ジエチルアミノエタノール、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、トリエチルアミン、ジエチルアミン、メチルアミン、ジメチルアミン、酢酸ジメチルアミノエチル、ジメチルアミノエタノール、ジメチルアミノエチルメタクリレート、シクロヘキシルアミン、エチレンジアミン又はヘキサメチレンジアミンの水溶液が挙げられるが、これらの水溶液に、N-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド若しくはγ-ブチロラクトン等の極性溶剤、メタノール、エタノール若しくはイソプロパノール等のアルコール類、乳酸エチル若しくはプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル類、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、イソブチルケトン若しくはメチルイソブチルケトン等のケトン類又は界面活性剤を添加しても構わない。有機現像を行う場合の現像液としては、例えば、N-メチル-2-ピロリドン、N-アセチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド若しくはヘキサメチルホスホルトリアミド等の極性溶剤又はこれら極性溶媒とメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、キシレン、水、メチルカルビトール若しくはエチルカルビトールとの混合溶液が挙げられる。現像の方法としては、例えば、基板を静置又は回転させながら現像液を塗布膜の表面にスプレーする方法、基板を現像液中に浸漬する方法、又は、基材を現像液中に浸漬しながら超音波をかける方法が挙げられる。現像工程で得られたパターンは、リンス液によるリンス処理を施しても構わない。ここでリンス液としては、例えば、水あるいは水にエタノール若しくはイソプロピルアルコール等のアルコール類又は乳酸エチル若しくはプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル類を加えた水溶液が挙げられる。
【0029】
本発明の導電パターンの製造方法が備えるキュア工程は、フォトリソ工程で得られたパターンを100~300℃で加熱して、導電パターンを得る工程である。
キュアの方法としては、例えば、オーブン、イナートオーブン若しくはホットプレートによる加熱乾燥、赤外線ヒーター等の電磁波による加熱乾燥、又は、真空乾燥が挙げられる。
【0030】
キュアの温度は、100~300℃である必要があるが、120~180℃が好ましい。キュアの温度が100℃未満であると、パターンの体積収縮量が大きくならず、得られる導電パターンの比抵抗が十分に低くならない。一方で、キュアの温度が300℃を超えると、耐熱性が低い基板等の上に、導電パターンを形成することができない。
【実施例0031】
以下に本発明を実施例及び比較例を挙げて詳細に説明するが、本発明の態様はこれらに限定されるものではない。
【0032】
各実施例及び比較例で用いた材料は、以下のとおりである。
[導電粒子(a)]
体積平均粒子径0.3μmの銀粒子
[メタクリル基若しくはアクリル基を有する感光性ポリマー(b)]
サイクロマーP(ACA)Z250(ダイセル・オルネクス株式会社製)。
(合成例1)~(合成例6)で得られたアクリル系共重合体
[3官能以上のメタクリルモノマーおよび/またはアクリルモノマー(c)]
ライトアクリレートPE-3A(3官能アクリルモノマー;共栄社化学株式会社製)。
ライトアクリレートDPE-6A(6官能アクリルモノマー;共栄社化学株式会社製)。
[単官能のメタクリルモノマーおよび/またはアクリルモノマー(d)]
ライトアクリレートP-200A(単官能アクリルモノマー;共栄社化学株式会社製)。
FA-711MM(1官能メタクリルモノマー;昭和電工マテリアルズ株式会社製)。
[光重合開始剤(e)]
“IRGACURE”(登録商標)OXE01(商品名、BASFジャパン(株)製、オキシム系化合物)(以下、OXE01と称す)。
[溶剤]
DMEA(東京化成工業株式会社製)
[そのほか樹脂]
ライトアクリレートDCP-A(2官能アクリルモノマー;共栄社化学株式会社製)。
【0033】
(合成例1)
エチルアクリレート(以下、「EA」/メタクリル酸2-エチルヘキシル(以下、「2-EHMA」)/スチレン(以下、「St」)/アクリル酸(以下、「AA」)のアクリル系共重合体(共重合比率(質量部):20/40/20/40)に、グリシジルメタクリレート(以下、「GMA」)を40質量部付加反応させたもの。
窒素雰囲気の反応容器中に、200gのDMEAを仕込み、オイルバスを用いて80℃まで昇温した。これに、20gのEA、40gの2-EHMA、20gのSt、40gのAA、1.0gの2,2’-アゾビスイソブチロニトリル及び12gのDMEAからなる混合物を、1時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに6時間重合反応を行った。その後、1.0gのハイドロキノンモノメチルエーテルを添加して、重合反応を停止した。引き続き、40gのGMA、3gのトリエチルベンジルアンモニウムクロライド及び30gのDMEAからなる混合物を、0.5時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに2時間付加反応を行った。得られた反応溶液をメタノールで精製することで未反応不純物を除去し、さらに24時間真空乾燥することで、アクリル系共重合体(B-1)を得た。得られたアクリル系共重合体(B-1)の酸価は105mgKOH/g、メタクリル等量は495、平均分子量は23000であった。
【0034】
(合成例2)
エチルアクリレート(以下、「EA」/メタクリル酸2-エチルヘキシル(以下、「2-EHMA」)/スチレン(以下、「St」)/アクリル酸(以下、「AA」)のアクリル系共重合体(共重合比率(質量部):20/40/20/40)に、グリシジルメタクリレート(以下、「GMA」)を40質量部付加反応させたもの
窒素雰囲気の反応容器中に、200gのDMEAを仕込み、オイルバスを用いて80℃まで昇温した。これに、20gのEA、40gの2-EHMA、20gのSt、40gのAA、2.0gの2,2’-アゾビスイソブチロニトリル及び12gのDMEAからなる混合物を、1時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに9時間重合反応を行った。その後、2.0gのハイドロキノンモノメチルエーテルを添加して、重合反応を停止した。引き続き、40gのGMA、3gのトリエチルベンジルアンモニウムクロライド及び30gのDMEAからなる混合物を、0.5時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに2時間付加反応を行った。得られた反応溶液をメタノールで精製することで未反応不純物を除去し、さらに24時間真空乾燥することで、アクリル系共重合体(B-2)を得た。得られたアクリル系共重合体(B-2)の酸価は109mgKOH/g、メタクリル等量は502、平均分子量は73000であった。
【0035】
(合成例3)
エチルアクリレート(以下、「EA」/メタクリル酸2-エチルヘキシル(以下、「2-EHMA」)/スチレン(以下、「St」)/アクリル酸(以下、「AA」)のアクリル系共重合体(共重合比率(質量部):25/40/30/25)に、グリシジルメタクリレート(以下、「GMA」)を40質量部付加反応させたもの
窒素雰囲気の反応容器中に、200gのDMEAを仕込み、オイルバスを用いて80℃まで昇温した。これに、25gのEA、40gの2-EHMA、30gのSt、25gのAA、1.0gの2,2’-アゾビスイソブチロニトリル及び12gのDMEAからなる混合物を、1時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに6時間重合反応を行った。その後、1.0gのハイドロキノンモノメチルエーテルを添加して、重合反応を停止した。引き続き、40gのGMA、3gのトリエチルベンジルアンモニウムクロライド及び30gのDMEAからなる混合物を、0.5時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに2時間付加反応を行った。得られた反応溶液をメタノールで精製することで未反応不純物を除去し、さらに24時間真空乾燥することで、アクリル系共重合体(B-1)を得た。得られたアクリル系共重合体(B-3)の酸価は28mgKOH/g、メタクリル等量は497、平均分子量は25000であった。
【0036】
(合成例4)
エチルアクリレート(以下、「EA」/メタクリル酸2-エチルヘキシル(以下、「2-EHMA」)/スチレン(以下、「St」)/アクリル酸(以下、「AA」)のアクリル系共重合体(共重合比率(質量部):20/20/30/50)に、グリシジルメタクリレート(以下、「GMA」)を30質量部付加反応させたもの
窒素雰囲気の反応容器中に、200gのDMEAを仕込み、オイルバスを用いて80℃まで昇温した。これに、20gのEA、25gの2-EHMA、15gのSt、40gのAA、1.0gの2,2’-アゾビスイソブチロニトリル及び12gのDMEAからなる混合物を、1時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに6時間重合反応を行った。その後、1.0gのハイドロキノンモノメチルエーテルを添加して、重合反応を停止した。引き続き、25gのGMA、3gのトリエチルベンジルアンモニウムクロライド及び30gのDMEAからなる混合物を、0.5時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに2時間付加反応を行った。得られた反応溶液をメタノールで精製することで未反応不純物を除去し、さらに24時間真空乾燥することで、アクリル系共重合体(B-1)を得た。得られたアクリル系共重合体(B-4)の酸価は204mgKOH/g、メタクリル等量は631、平均分子量は27000であった。
【0037】
(合成例5)
エチルアクリレート(以下、「EA」/メタクリル酸2-エチルヘキシル(以下、「2-EHMA」)/スチレン(以下、「St」)/アクリル酸(以下、「AA」)のアクリル系共重合体(共重合比率(質量部):25/25/20/50)に、グリシジルメタクリレート(以下、「GMA」)を75質量部付加反応させたもの
窒素雰囲気の反応容器中に、200gのDMEAを仕込み、オイルバスを用いて80℃まで昇温した。これに、25gのEA、25gの2-EHMA、20gのSt、50gのAA、1.0gの2,2’-アゾビスイソブチロニトリル及び12gのDMEAからなる混合物を、1時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに6時間重合反応を行った。その後、1.0gのハイドロキノンモノメチルエーテルを添加して、重合反応を停止した。引き続き、75gのGMA、5gのトリエチルベンジルアンモニウムクロライド及び40gのDMEAからなる混合物を、0.5時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに2時間付加反応を行った。得られた反応溶液をメタノールで精製することで未反応不純物を除去し、さらに24時間真空乾燥することで、アクリル系共重合体(B-1)を得た。得られたアクリル系共重合体(B-5)の酸価は60mgKOH/g、メタクリル等量は295、平均分子量は21000であった。
【0038】
(合成例6)
エチルアクリレート(以下、「EA」/メタクリル酸2-エチルヘキシル(以下、「2-EHMA」)/スチレン(以下、「St」)/アクリル酸(以下、「AA」)のアクリル系共重合体(共重合比率(質量部):30/40/25/25)に、グリシジルメタクリレート(以下、「GMA」)を15質量部付加反応させたもの
窒素雰囲気の反応容器中に、200gのDMEAを仕込み、オイルバスを用いて80℃まで昇温した。これに、20gのEA、25gの2-EHMA、15gのSt、40gのAA、1.0gの2,2’-アゾビスイソブチロニトリル及び12gのDMEAからなる混合物を、1時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに6時間重合反応を行った。その後、1.0gのハイドロキノンモノメチルエーテルを添加して、重合反応を停止した。引き続き、15gのGMA、2gのトリエチルベンジルアンモニウムクロライド及び30gのDMEAからなる混合物を、0.5時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに2時間付加反応を行った。得られた反応溶液をメタノールで精製することで未反応不純物を除去し、さらに24時間真空乾燥することで、アクリル系共重合体(B-6)を得た。得られたアクリル系共重合体(B-6)の酸価は103mgKOH/g、メタクリル等量は1150、平均分子量は19000であった。
【0039】
<解像度の評価>
厚さ100μmのPETフィルム上に、導電ペースト1を乾燥後の塗布膜厚が2.0μmになるようにスクリーン印刷法で塗布し、得られた塗布膜を100℃の乾燥オーブンで10分間乾燥した。一定のラインアンドスペース(以下、「L/S」)で配列された直線群すなわち透光パターンを1つのユニットとし、L/Sの値が異なる3種類のユニットをそれぞれ有するフォトマスクを介して、乾燥後の塗布膜を露光及び現像して、L/Sの値が異なる3種類のパターンをそれぞれ得た。その後、得られた3種類のパターンを140℃で1時間、いずれも乾燥オーブンでキュアして、L/Sの値が異なる3種類の導電パターンをそれぞれ得た。なお、フォトマスクが有する各ユニットのL/Sの値は、15/15、10/10、7/7とした(それぞれライン幅(μm)/間隔(μm)を表す)。得られた導電パターンを光学顕微鏡で観察し、パターン間に残渣がなく、かつパターン剥がれのないL/Sの値が最小の導電パターンを確認し、そのL/Sの値が7/7の場合を◎、10/10の場合を○、15/15の場合を△、15/15で導電パターンが形成できない場合を×、とそれぞれ判定した。評価結果を表1に示す。なお、露光は露光装置(PEM-6M;ユニオン光学株式会社製)を用いて露光量200mJ/cm(波長365nm換算)で全線露光を行い、現像は0.25質量%のNaCO溶液に基板を30秒浸漬させた後、超純水によるリンス処理を施して行った。
【0040】
<導通確率の評価>
厚さ100μmのPETフィルム上に、導電ペースト1を乾燥後の塗布膜厚が2.0μmになるようにスクリーン印刷法で塗布し、得られた塗布膜を100℃の乾燥オーブンで10分間乾燥した。図1に示す透光パターン100を有するフォトマスクを介して、線幅が5μmになるように露光及び現像をして、1000個のパターンを得た。その後、得られたパターンを140℃で1時間、乾燥オーブンでキュアして、評価用の導電パターンを1000個得た。得られた導電パターンの線幅は5μmであり、ライン長は200mmであった。得られた比抵抗率測定用の導電パターンのそれぞれの端部を抵抗計(RM3544;HIOKI製)でつないで抵抗値を測定し、以下の式(1)に基づいて比抵抗率を算出した。なお膜厚は、サーフコム(登録商標)1400((株)東京精密製)のような触針式段差計を用いて測定することができる。より具体的には、無作為に選択した10の位置の膜厚を触針式段差計(測長:1mm、走査速度:0.3mm/sec)でそれぞれ測定し、それらの平均値を求めることで算出することができる。また線幅は、無作為に選択した10の位置の線幅を光学顕微鏡でそれぞれ観察し、画像データを解析して、それらの平均値を求めることで算出することができる。
比抵抗率 = 抵抗値×膜厚×線幅/ライン長 ・・・ (1)
形成した1000個の導電パターンについて、いずれも比抵抗率を算出し、1000個の比抵抗率平均値±30%の範囲に入る本数の数を測定した。950本以上の場合を◎、900本以上の場合を○、850本以上の場合を△、850本未満の場合を×と、それぞれ判定した。評価結果を表1に示す。
【0041】
(実施例1)
100mLクリーンボトルに、10.0gのアクリル系共重合体(B-1)、2.0gのライトアクリレートPE-3A、1.0gのライトアクリレートP-200A、0.60gのOXE016.0gのDMEAを入れ、“あわとり錬太郎”(ARE-310;株式会社シンキー社製)で混合して、19.6gの樹脂溶液(全固形分67.7質量%)を得た。
10.0gの得られた樹脂溶液、33.9gのAg粒子(体積平均粒子径:0.5μm)を混ぜ合わせ、3本ローラーミル(EXAKT M-50;EXAKT社製)を用いて混練し、48.4gの導電ペースト1を得た。さらに、所定のパターンを形成し、熱キュアを実施することで導電パターンを製造し、パターニング性の評価及び導電性の評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0042】
(実施例2~17)
表1に示す組成の導電ペーストにより所定のパターンを形成し、同様の評価をした。評価結果を表1に示す。
【0043】
(比較例1~7)
表1に示す組成の導電ペーストにより所定のパターンを形成し、同様の評価をした。評価結果を表1に示す。
【0044】
【表1】
【符号の説明】
【0045】
100 透光パターン
図1